JP2004114346A - 新規な質感を有する加飾シート - Google Patents

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Abstract

【課題】社会の要求に応えるべく、新規な質感を有し、斬新なイメージを付与することができる加飾シートを提供する。
【解決手段】互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が積層されてなる透明ないし半透明の複合フィルムを一方のフィルム層が実質的に染色されない条件で他方のフィルム層を染色してなる透明ないし半透明の染色された複合フィルムを、該実質的に染色されていないフィルム層を加飾シートとして用いられる際に最外層となるように有する加飾シート。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車内外装、家具、建築材料、鞄、家電製品、オーディオ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、カメラ、ビデオカメラ、看板、ディスプレイ、ネームプレート、額縁、パチンコ・パチスロ等アミューズメント製品、各種ヘルメット、化粧品ケース、宝飾品、食器、玩具等の樹脂製品の表面に新規な質感を付加する加飾シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂成形品の成形にあたって加飾シートを金型に挿入して、成形品表面に金属調などの外見を付加した成形品は、高級感を減ずることなく従来の金属材料と置き換えでき、同時に省工程、低コスト、軽量化などを同時に達成することができるため、まさに時代的要求に沿った技術であり、非構造材部品を中心に様々な技術が提案されてきている。
【0003】
このようなものとして、例えば特開2001−180189公報(特許文献1)、特開2002−67262公報(特許文献2)などが挙げられる
【0004】
本出願人も例えば特願2001−221836(特許文献3)、特願2001−309775(特許文献4)あるいは特願2002−85784(特許文献5)等により、成形性、外見、生産性等における様々な要求に応じた提案を行っている。
しかしながら、さらにユニークで、斬新な加飾シートが次々と求められて来ている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−180189公報(第2頁)
【特許文献2】
特開2002−67262公報(第2頁)
【特許文献3】
特願2001−221836(明細書第1頁)
【特許文献4】
特願2001−309775(明細書第1頁)
【特許文献5】
特願2002−85784(明細書第1頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような社会の要求に応えるべく、新規な質感を有し、斬新なイメージを付与することができる加飾シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ここで有望な技術として、染色されたフィルムの加飾シートへの応用を試みた。
【0008】
染色フィルムは、染料がフィルム内部に浸透していて発色が均一で色むらも全く生じず、必要な量を必要なときに染色することができるので多種少量生産に対応可能である上、いわゆる、ベタ印刷により着色されたフイルムや、着色剤を原料樹脂に添加してフィルム化した、いわゆる「原着フィルム」等に比して外観が良好であり、有望な素材と考えられた。しかしながら、実際に加飾シートに応用してみると耐候性や摩擦堅牢度に劣り、色あせが甚だしく、またこのような加飾シートをスーツケース、PDA、ノートパソコンあるいは化粧品ケースなどに応用した携帯品の場合、白等の淡色の衣服や他の携帯品に色が移るなどの問題が生じる。
【0009】
そこで染料フィルム表面側に接着剤を併用して透明フィルムを積層したり、押出しラミネートにより表面側に透明フィルム層を形成したり、あるいは、クリアコートを行うなどの検討を行った。
【0010】
ところが、染色フィルムに接着剤による透明な表面保護フィルムの積層やクリアコートによる保護層の形成を行うとその影響で染料がこれらに溶出し表面が汚れる。また、染色後の押出しラミネートでは染料が分解して発色が鈍くなったり、変色する。
【0011】
これら試行錯誤を伴う検討の結果、本発明者らは本発明に至った。すなわち、本発明の加飾シートは上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が積層されてなる透明ないし半透明の複合フィルムを一方のフィルム層が実質的に染色されない条件で他方のフィルム層を染色してなる透明ないし半透明の染色された複合フィルムを、該実質的に染色されていないフィルム層を加飾シートとして用いられる際に最外層となるように有する加飾シートである。
【0012】
このような構成により、染料により染色されたフィルムを用いた加飾シートでありながら、耐候性や摩擦堅牢度に優れ、淡色の衣服や紙などへの色移りがなく、高品質で、さらに、驚くべきことに色に深みのある優れた加飾シートとすることができた。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1を用いて本発明に係る加飾シートにおける染色された複合フィルムについて説明する。
熱ラミネーション成形の場合には図1(a)に示すように一方のフィルム1を形成した後、共押出し成形の場合には2層同時に成形して、図1(b)に示すように複合フィルムを得る。この複合フィルムは互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層1及び2が直接積層されてなる透明ないし半透明の複合フィルムである。すなわち、フィルム層1及び2はそれぞれ透明ないし半透明であるためこの複合フィルムも透明ないし半透明である。
【0014】
ここで、本発明の加飾シートで特異的に深みのある色付加効果が得られるかについての考察について説明する。
図1(b)に断面をモデル的に示すような、互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が直接積層されてなる透明ないし半透明の複合フィルムを、一方のフィルム層(この例ではフィルム層2)が実質的に染色されない条件で他方のフィルム層(この例ではフィルム層1)を染色すると、図1(c)に示すようにフィルム層1のフィルム層2側に接した面には染料が触れることがないために、染色されず、他方の面からのみ染色される。このとき、フィルム層1の他方の面がもっとも強く染まり、深さ方向に徐々に淡く染色される。
【0015】
この図1(c)に示された透明ないし半透明の染色された複合フィルム(本発明に係る加飾シート用中間材)を、実質的に染色されていないフィルム層2を加飾シートとして用いられる際に最外層となるように有する加飾シートを用いて成形を行うと、成形物表面に、視認者からみて、深さ方向に徐々に色が濃くなるような透明ないし半透明な表面層が形成される。本発明の加飾シートが、全く新規な特異的な深みのある優れた加飾シートとなるのはこのような深さ方向に徐々に濃くなる色のグラデーションによるものと考えられる。
【0016】
ここで、互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が直接積層されてなる透明の複合フィルムとして、無色透明の樹脂であるポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」とも云う)からなるフィルム層と無色透明の樹脂であるポリメタクリル酸メチル(以下「PMMA」とも云う)からなるフィルム層とが直積積層されてなる複合フィルムを共押出し法により形成した。このときのポリフッ化ビニリデン層の厚さは8μm、ポリメタクリル酸メチル層の厚さは72μmであった。
【0017】
このような2層フィルムをポリフッ化ビニリデンを染色せず、ポリメタクリル酸メチルを染色する水性アゾ系分散染料を用いて、水を溶媒とする染色浴にフィルム長さ方向に供給して浸漬し、引き上げて連続的に浴染しながら染色し、本発明に係る加飾シート用フィルムを得た。このときの染色は90℃の染色浴に3〜30分の範囲で含浸し、その後、水洗し、次いで75℃で90秒間乾燥させて行った。
【0018】
このとき、染色条件を変更することにより様々な調子、濃度の透明の染色された複合フィルムを得ることができることが確認された。
【0019】
これらサンプルの断面方向の着色状況を顕微鏡で調べた(そのときの一部のサンプルでの顕微鏡写真を図2(a)〜図2(c)に示した。これらはそれぞれ染色時間を3分、15分あるいは30分として得たサンプルでの結果であり、それぞれの写真の下辺はフィルムのポリメタクリル酸メチル層の表面に一致するように撮影されている。このように図2(a)〜図2(c)のサンプルの着色域(染色された部分)はそれぞれ10μm、23μm、あるいは45μmである。これらすべてで、着色が観察されなかったポリフッ化ビニリデンフィルム層の面から他方の面に向かう深さ方向の色の濃度(赤色)が徐々に高くなっていること(グラデーションの形成)が確認された。さらにこれら加飾シート用フィルムの幅、長さ方向の色むらを目視で観察したが、むらの発生は確認されなかった。
【0020】
なお、上記特異的な深みの色の発現は上記本発明の構成からのみ得られ、他の構成では得られない。
たとえば、通常の染色フィルムを用いた場合には図3(a)に断面を示すように染料はその両面からフィルム1内部に進入し、それぞれの表面から、順次薄色となるように染色される(図3(b)の1aは染色済みフィルム)。
【0021】
染色済みフィルム1aの片面には熱ラミネーションにより透明保護フィルム2’aが形成(積層)される(図3(c)参照)。このような2層フィルムを用いた成形物は透明保護フィルム2’側から観察されるので、深さ方向に順次濃くなる色のグラデーションは得られない。
【0022】
また、図3(d)に示すように、片面に、いわゆる、ベタ印刷により着色されたフィルム1b’の場合、その着色部分1b1’の厚さはきわめて薄い。このような、印刷により着色されたフィルム1b’の場合、通常、印刷されていない側より観察されるが、そのとき、深さ方向に順次濃くなる色のグラデーションは得られず、深みのない外観で、高級感に欠けるものとなる。
【0023】
さらに、ベタ印刷されたフィルムは長さ方向、幅方向とも色むらが不可避的に発生してしまう。さらにベタ印刷されたフィルムを用いた加飾シートを製品に応用したときにとともに、成形時の絞り箇所が極端に色が薄くなり、あるいは無色となってしまうため、品質上からも加飾シートへの応用は困難である。
【0024】
図3(e)にモデル的に示した、着色剤を原料樹脂に添加してフィルム化した、原着フィルム1c’の場合には、必ずしも保護フィルムは必要はないが、図3(f)に示すように保護フィルム2a’を熱ラミネーションによって形成した場合であっても、深さ方向に順次濃くなる色のグラデーションは得られず、深みのない外観で、高級感に欠けるものとなると云った問題が生じる。
【0025】
さらに、原着フィルムの場合、原料の関係でフィルムメーカーでの生産となり、さらに原料の樹脂組成物に着色剤を添加し、押し出し、あるいは、カレンダーによりフィルム化するという作業の関係上、さまざまな色調、濃淡に対応できる多種多様の原着フィルムの少量生産は事実上不可能であり、多量に生産した場合には大きな在庫負担となる。
【0026】
さらに、互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が直接、積層されてない複合フィルム、すなわち、接着剤を介して積層した複合フィルムを形成し、染色を行った場合には、染色工程において、あるいは、その後の加飾シートとして成形に用いた場合に、いずれか一方のフィルム層に収縮が起きるため、フレアーやしわが発生し、ロスや欠陥の原因となり、フレアーやしわが発生しやすく、ロスや欠陥の原因となる。このため、本発明において互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が直接積層されてなる複合フィルムを用いることが好ましい。
【0027】
このように特異的な深い色を示す本発明に係る加飾シートにおいて、互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が積層されてなる透明ないし半透明の複合フィルムを一方のフィルム層が実質的に染色されない条件で他方のフィルム層を染色してなる本発明に係る加飾シート用中間材より下層側で、かつ、外部から透視できる箇所に金属層を配したときに、モダンで現代的で、深みがありながら鮮やかな新規なメタリック感を付与することができる加飾シートとなり、また、本発明に係る加飾シート用中間材より下層側で、かつ、外部から透視できる箇所に暗色のベースフィルム層を配したときには、漆調の深みを有し、日本人にとって、懐かしい、しっとりとした落ち着いた新規な質感を付与できる加飾シートとなり、さらに、これら両者に共通して、加飾シートとして製品に用いた場合に、色落ち、色移りのおそれがなく耐久性に優れたものとすることができる。
【0028】
本発明において染色特性が異なるとは、一方のフィルム層が染色される条件であっても、他方のフィルム層がその条件で必ずしも染色されないことがあることを指し、通常、これらフィルムを構成するポリマーが有する官能基が異なることによる。
【0029】
ここで、これら2つのフィルム層を構成するポリマーの種類、特にそのポリマーが有する官能基を互いに異なるものとした上で、染色分野において周知されている技術により染料の種類(酸性染料、中性染料、直接染料、媒染染料、分散染料等)、温度、pHなどの諸条件を選択することにより、一方のフィルム層のみを染色することが可能である。
【0030】
なお、実質的に染色されていないフィルム層における実質的に染色されないとは、上述の深さ方向の色濃度のグラデーションを乱さない程度にわずかに染色される場合を含むが、通常、このフィルム層の厚さは薄くされるために、本発明の効果への影響はきわめて少ない。
【0031】
実質的に染色されていないフィルム層を構成する樹脂として、一般的な染料では染色されないポリエチレン、ポリプロピレン、あるいは、フッ素系樹脂を選択し、他方のフィルム層を構成する樹脂として、アクリル系、ポリエステル系などの一般的な染料で容易に染色される樹脂を選択して、染料として一般的なものを用いることによっても、本発明は達成可能である。
【0032】
本発明において実質的に染色されていないフィルム層を構成する樹脂としてフッ素系樹脂からなると殆どの染料では染色しないので、複合フィルムの染色の際の染料の選択の幅が広がると共に、加飾シートとして製品に応用したときに質感をさらに深く保つことができる。また実質的に染色されていないフィルム層は最終製品の表面層となるため、耐候性が向上し、摩擦堅牢度、耐薬品性(耐油性を含む)、防汚性、耐スクラッチ性が向上する。
【0033】
このようなフッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、塩化三フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレンパーフルオロアルコキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテルなどが挙げられる。
【0034】
なお、実質的に染色されていないフィルム層は成形物の表面層となるため、そときの耐久性、耐摩耗性、加飾シートとしての成形性への影響等を勘案するとその厚さは1μm以上100μm以下であることが望ましく、さらに望ましい範囲は3μm以上30μm以下である。
【0035】
一方、染色されるフィルム層は染色性に優れ、鮮やかな発色が得られ、加飾シートとして必要とされる成形性の点で、ポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂からなるフィルム層であることが望ましい。
【0036】
染色されるフィルム層の成形時の深絞り部での色むらの発生防止、加飾シートとしての成形性への影響等を勘案するとその厚さは10μm以上200μm以下であることが望ましく、さらに望ましい範囲は30μm以上100μm以下である。
【0037】
このような互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が直接積層されてなる透明ないし半透明の複合フィルムを一方のフィルム層が実質的に染色されない条件で他方のフィルム層を染色してなる複合フィルムは、表面フィルム層を構成する樹脂と染色フィルム層を構成する樹脂との2種の樹脂とを共押出し、あるいは押出しラミネート等により作製することができるが、前者の共押出し法によることが経済的に有利であるため好ましい。
【0038】
本発明において実質的に染色されていないフィルム層(加飾シートとなったときの最外層)あるいは染色されるフィルム層の内側面のいずれかあるいは両方に必要に応じてサンドマット加工、エッチング加工、ヘアライン加工あるいは印刷などを単独で、あるいは組み合わせて行うことができる。
【0039】
まず、金属調加飾シートとする場合について説明する。
金属調加飾シートとする場合には、加飾シートの、加飾シートとして成形品表面に配されたときに、成形品の、上記の染色された複合フィルムよりも下層側であって、かつ、成形品外部より視認される箇所に金属層が配されていればよい。
【0040】
このとき染色された複合フィルム内側の面(加飾シートとなったときの内側の面)に直接、真空製膜技術を応用して金属層を設けても良く、その場合に金属層の次に接着層を介してベースフィルムを貼り合わせて金属調加飾シートとしても良い。このときの金属調の加飾シートのモデル断面図を図4に示す。また、染色された複合フィルムに接着層を介して金属箔層を配しても良いが、このとき加飾シートとしての成形性の自由度が減少する場合があり、そのときには、平面ないしなだらかな曲面を構成する部分に応用する。
【0041】
しかし、染色された複合フィルムを後述する漆調加飾シートにも転用する可能性を考慮すると、上記染色された複合フィルム内側を金属層を有するベースフィルムに接着層により接着して用いることが望ましい。
【0042】
金属層を有するベースフィルムとしては、ベースフィルムに直接金属層を設けることも可能ではある。しかし、金属層は通常、蒸着、スパッタリングなどの真空技術を用いて真空容器内の処理により設けること、真空容器にはロール状態でフィルム、シートを入れて連続的に処理を行うこと、金属層形成時の最大コスト要因は、ロール交換、蒸気源交換、清掃、真空容器の減圧、減圧解除等の段取りの手間、およびその時間にあり、できるだけ長尺のフィルム・シートを用いることがコスト的に優位になること等を勘案すると、薄いフィルム(金属層保持用フィルム)の少なくとも片面に金属層を設け、このように金属層を有する金属層保持用フィルムをベースフィルムに張り合わせてなる、金属層を有するベースフィルム(以下「金属調ベースフィルム中間材」)を用いることが望ましい。
【0043】
なお、金属調ベースフィルム中間材としては金属層が直接露出していると取扱性に劣り、瑕疵の原因となるため、金属層をベースフィルム層側に有する金属層保持用フィルム、接着剤層、及びベースフィルム層をこの順番で有するものを用いることが望ましい。
【0044】
このとき、金属層保持用フィルムは金属との密着性に優れた熱可塑性樹脂からなり、かつ、金属調加飾シートとしたときに下層の金属層を視認できるように透明ないし半透明であることが必要である。また、金属保持用フィルムの金属層形成側の面またはその反対の面、あるいはこの両方にサンドマット加工、エッチング加工、ヘアライン加工を施すことができる。
【0045】
金属層保持用フィルムとしてはポリエステル系フィルムあるいはポリオレフィン系フィルムであることが、金属層との密着性が優れているために好ましい。例えば、予め検討したところ、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム蒸着層との密着性はポリメタクリル酸メチルとアルミニウム蒸着層との密着性の5倍強であった。
【0046】
金属層保持用フィルムとして用いるポリオレフィン系フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン(低密度、高密度)などが挙げられる。
【0047】
ここで、ポリエステル系フィルムとしては通常のポリエチレンテレフタレート等も用いることができるが、成形性、特に、深絞りの成形物に対応できる点で、アモルファスポリエチレンテレフタレート(いわゆる「APET」)、あるいは、変性ポリエチレンテレフタレート、すなわち、ベンゼン環とナフタレン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物、あるいは、ベンゼン環とシクロヘキサン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物からなるフィルムであることが望ましい。
【0048】
このようなベンゼン環とシクロヘキサン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物の1例を化学式(1)に示した(式中mおよびnは自然数)。このようなベンゼン環とシクロヘキサン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物により構成されたフィルムを用いると最終成形品の金属光沢感が特に鮮やかで、かつ、成形品における曲率半径の極めて小さな角部であっても、白化、ぼけなどが生じない。
【0049】
【化1】
Figure 2004114346
【0050】
このようなベンゼン環とシクロヘキサン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物からなる透明な熱可塑性樹脂は、ペレット状などの形状のものがイーストマンケミカル社などから入手可能であり、これらをカレンダー法、押し出し法およびその他の公知の方法でフィルム化することにより、ベンゼン環とシクロヘキサン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物からなる透明な熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
【0051】
また、金属層保持用フィルムが、化学式(2)にその一例を示すようなベンゼン環とナフタレン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物により構成されていると、優れた金属蒸着性、成形性、耐薬品性を併せ持つことができ、特に金属光沢感が鮮やかで、かつ、成形品における曲率半径の極めて小さな角部であっても、白化、ぼけなどが生じないとともに、一般のものよりもフィルム厚さを薄くすることが容易にできるため、生産性が向上し、製造コストが削減できると云う効果をも併せ持つことができ、また、複雑形状表面にも容易に金属光沢を付与することができるようになる。
【0052】
【化2】
Figure 2004114346
【0053】
このようなベンゼン環とナフタレン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物からなる透明な熱可塑性樹脂フィルムは、例えば帝人デュポンフィルム(株)商品名テフレックスがある。
【0054】
金属層保持用フィルム層の厚さとしては金属層形成時での高い生産性と充分な低コスト効果を得るために、1ロールあたりの巻き長さをできるだけ長くできるよう、可能な限り薄いことが望ましく、100μm以下、好ましくは40μm以下、より好ましくは25μm以下である。厚さの下限としては、金属層形成及びその後の取り扱いに充分であれば良く、3μm以上、好ましくは5μm以上である。
【0055】
金属層は上記金属層保持用フィルムをベースとしてその片面に直接、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、プラズマCVD等の真空技術応用の薄膜形成技術で形成される。
【0056】
金属層を構成する金属は求められる金属調の質感に応じて、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、ニッケル、錫、銀、クロム、チタン、白金、パラジウム、ニッケル、インジウム等の単体、アルミニウム系合金、ステンレス、ハステロイ等の合金、あるいはケイ素などから選択できるが、通常はアルミニウム及びその合金が用いられることが一般的である。
【0057】
金属層の厚さは各種加工に耐えられるものであればよく、通常10〜200nm、特に深絞りを行う場合には20〜100nmであることが望ましい。
このように金属層を設けた金属層保持用フィルムの金属層側面には接着剤層を介してベースフィルムに貼り合わせられる。
【0058】
このときの接着剤は、従来の金属調加飾シートに用いられているものをそのまま使って良いが、最終成形物の質感、色調に影響を及ぼすことがほとんどなく、また表面側の染色された複合フィルム及び金属層保持用フィルム層によって保護されているために耐候性に特に配慮することが求められないため、接着力が強いもの、及び、コストの低いものが選択できる等、比較的選択の自由度が高い。このようなものとして、安価ではあるが従来、金属調加飾シートに用いることが困難であった黄変タイプのウレタン系接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは、通常2μm以上20μm以下である。
【0059】
ベースフィルム層としては、従来の加飾シートに用いられているベースフィルム層に用いられている樹脂あるいは樹脂組成物をそのまま用いても良い。
【0060】
そのようなものとして、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられ、加飾シートを併用して成形する成形品の樹脂に合わせて適宜選択する。なお、本発明におけるベースフィルム層は通常、シートに分類されるような例えば500μmのような厚いものも含む。
【0061】
このような金属調ベースフィルム中間材と上記染色された複合フィルムは接着剤層を介して貼り合わせられて、本発明に係る金属調の加飾シートを得ることができる。図5にこのような金属調の加飾シートのモデル断面図を示す。
【0062】
このとき、上記染色された複合フィルムと金属調ベースフィルム中間材との間に配される接着剤層は下層の金属層を視認できるように透明ないし半透明であることが必要である。各種色素、顔料等が加えられ、透明度、色調などが調整されていても良い。また、金属粉末、金属箔粉末、マイカなどが添加されていても良い。
【0063】
接着剤層を構成する接着剤としては充分な接着力と必要に応じた耐候性、及び少なくとも成形時の熱に耐えられる耐熱性を有しているものが使用可能であるが、一般にポリウレタン系接着剤などを使用することができる。
【0064】
表面フィルム層と金属層保持用フィルム層との間に配される接着剤層の厚さは通常2μm以上20μm以下である。
【0065】
以上、本発明に係る加飾シートのうち、金属調の加飾シートについて説明したが、以下、本発明に係る漆調の加飾シートについて説明する。
このような漆調の加飾シートは本発明の加飾シート用中間材に表面側から見える位置に暗色の不透明なフィルム(シートを含む)を配することによって達成できる。
【0066】
本発明における暗色とはJIS Z8721に規定される明度V=5以下であり、この値を超える明色のフィルムを配した場合、漆調の質感等のデザイン上の本発明の効果が得られない。また、不透明でないと漆調の深みのある色調が得られないが、視認して実質的に不透明であれば充分であり、その場合は本発明に含まれる。
【0067】
なお、暗色のフィルムは加飾シートのベースフィルム自体であってもよく、またベースフィルムとは別のフィルムであっても良いが、生産性、手間、コストを勘案すると、暗色に着色されたベースフィルムを用いたほうが良い。このときの本発明に係る漆調の加飾シートのモデル断面図を図6に示す。
【0068】
ベースフィルムの材質、厚さ等の諸元は、上記金属調の加飾シートのベースフィルムと同様である。
【0069】
暗色への着色はフィルム製造時に、フィルム原料樹脂中に着色剤を混入させて行うのが、加飾シートとして用いる成形時の絞りにも色が薄くなる部分が発生せず、コスト的にも安いので好ましい。
【0070】
このように作成した暗色のフィルムを上記染色された複合フィルムに表面側から見える位置に貼り合わせる。
【0071】
このときの接着剤層の諸元は上記金属調の加飾シートにおける加飾シート用中間シートと金属調ベースフィルム中間材との間に配される接着剤層と同等である。
以上、述べた、金属調の加飾シート及び漆調の加飾シートはいずれも本発明の加飾シートの応用例であり、その主要部(染色された複合フィルム)を共有するものである。
【0072】
本発明の加飾シートは、加飾シートとして一貫的に生産を行っても良いが、互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が積層されてなる透明ないし半透明の複合フィルムを一方のフィルム層が実質的に染色されない条件で他方のフィルム層を染色してなる、染色された複合フィルムを生産しておき、顧客の要請に応じ、透明あるいは半透明の金属層保持用フィルム層、金属層、接着剤層及びベースフィルム層をこの順で有するベースフィルム中間材と、あるいは、暗色のベースフィルムと貼り合わせることにより対応することができるため、従来のように顧客の要求を予測して多種多様な加飾シートを準備しておく必要がなく、在庫管理の手間および在庫コスト、リスクを大幅に解消することが可能となるとともに、需要への迅速な対応が可能となり、さらに生産コストの削減が可能となる。
【0073】
【実施例】
以下に本発明の加飾シートについて実施例によって具体的に説明する。
<染色された複合フィルムA>
加飾シートとして用いられる際に最外層となる部分に配する実質的に染色されないフィルム層として、無色透明の樹脂であるポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」とも云う)を、染色されるフィルム層を構成する樹脂として無色透明の樹脂であるポリメタクリル酸メチル(以下「PMMA」とも云う)をそれぞれ選択し、これらからなる透明な複合フィルムを共押出し法により形成した。このときのポリフッ化ビニリデン層の厚さは8μm、ポリメタクリル酸メチル層の厚さは72μmであった。
【0074】
このような2層フィルムをポリフッ化ビニリデンを染色せず、ポリメタクリル酸メチルを染色する水性アゾ系分散染料を用いて、水を溶媒とする染色浴にフィルム長さ方向に供給して浸漬し、引き上げて連続的に浴染しながら染色し、本発明に係る加飾シート用フィルムを得た。このときの染色は90℃の染色浴に3〜30分の範囲で含浸し、その後、水洗し、次いで75℃で90秒間乾燥させて行った。このとき、染色条件を変更することにより様々な調子、濃度の中間材を得ることが確認された(以下の実施例、比較例において染色によるものは同様の効果が得られた)。
これらの得られた染色された複合フィルムのうち断面の顕微鏡観察によって染色された部分の厚さが15μmのもの選んで加飾シート用フィルムAとして以下用いた。
【0075】
<染色された複合フィルムB>
上記同様に、ただしポリメタクリル酸メチルの代わりにポリエチレンテレフタレートを用いて本発明に係る加飾シート用中間材Bを得た。この加飾シート用フィルムBの染色された部分の厚さは15μmであった。
【0076】
<比較用の加飾シート用フィルムC及びD>
厚さが50μmのポリメタクリル酸メチルフィルムを単独で上記同様にアゾ系分散染料を用いて染色した。このとき、この染色フィルムについて、顕微鏡観察を行ったところ、それぞれの面から15μmの厚さで染色されていた。この染色フィルムの片面に厚さ30μmのポリフッ化ビニリデン層をドライラミネーション法で形成して比較用の加飾シート用フィルムCを得た。
【0077】
またポリメタクリル酸メチルフィルムの代わりに同じ厚さのポリエチレンテレフタレートのフィルムを用いて、染色した。このフィルムについて、顕微鏡観察を行ったところ、それぞれの面から15μmの厚さで染色されていた。、この染色フィルムの片面にドライラミネーション法にて厚さ30μmのポリフッ化ビニリデン層を形成して比較用の加飾シート用フィルムDを得た。
【0078】
<比較用の加飾シート用フィルムE>
フィルムメーカーに注文してフィルム製膜時の原料に着色剤を添加して原着フィルム(ポリメタクリル酸メチル製フィルム)を得た。このとき、フィルムメーカの品揃えのなかから最も所望の色調に近いものを選んだが、その選択の幅は非常に少なかった。これらフィルムの厚さは50μmであった。この原着フィルムの片面にドライラミネーション法にて厚さ30μmのポリフッ化ビニリデン層を形成して比較用の加飾シート用フィルムEを得た。
【0079】
<比較用の加飾シート用フィルムF>
厚さ80μmのポリメタクリル酸メチル製フィルム片面にグラビア印刷により、いわゆるベタ印刷を施し比較用の加飾シート用フィルムFとした。このとき色調の調節は比較的容易であり、所望の色調のものが得られたが、幅方向及び長さ方向での色むらが見られ、この色むらは技術的に改善が困難であった。
【0080】
<金属調の加飾シートへの応用;金属層保持用フィルムを併用する場合>
透明な金属層保持用フィルムとして、厚さが25μmのベンゼン環とナフタレン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物からなるフィルム(帝人デュポンフィルム社製テフレックス:以下「変性PET」とも云う)の6000m巻ロールを真空蒸着器にセットして、金属層としてアルミニウムを50nmとなるようにフィルム片面に蒸着し、取り出した。
【0081】
このときのロールの太さ(直径)は約60cmで、その真空蒸着器内にセットできる最大径クラスのものであったが、厚さが125μmのフィルムの場合には1000m巻のロールがその真空蒸着器内にセットできる最大径のロールであった。
【0082】
この蒸着の一連の作業の、前段取り、金属層形成及び後段取りの全工程に必要な時間は従来の125μm厚のフィルムを用いた場合の必要時間に比して1.3倍程度であった。
【0083】
この金属層を有する金属層保持用フィルムの金属層側にウレタン系接着剤層(厚さ:5μm)を介して、厚さ300μmのベースフィルム層(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS」とも云う)からなるシート)を積層し、金属調ベースフィルム中間材を得た。
【0084】
次いでこの金属調ベースフィルム中間材の金属層保持用フィルム側と加飾シート用フィルムAの染色されたフィルム層側とが合わさるようにウレタン系接着剤層(厚さ:5μm)を介して貼り合わせ、金属調の加飾シート1を得た。
【0085】
<金属調の加飾シートへの応用;金属層保持用フィルムを併用しない場合>
上記同様にして、加飾シート用フィルムA〜Dの染色されたフィルム層側、加飾シート用フィルムEの原着フィルム層側、及び、加飾シート用フィルムFの印刷層側にそれぞれ金属層としてアルミニウムを厚さが50nmとなるようにそれぞれ蒸着した。次いでそれらの金属層側にウレタン系接着剤層(厚さ:5μm)を介して、厚さ300μmのベースフィルム層(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂からなるシート)を積層し、それぞれ実施例の金属調の加飾シート2及び3、比較例の金属調の加飾シート4〜7を得た。
【0086】
<金属調の加飾シートへの応用;評価>
これら金属調の加飾シート1〜7について評価を行った。
【0087】
[外観の質感]
外観の質感は工業デザイナー20人にアンケートを行い評価した。「鮮映性」、「深み感」、「光輝感」及び「近未来感」の4つの観点から、100を満点として数字による評価を行った結果を平均して、80以上100以下を「○」、80未満40以上を「△」、40未満を不充分として「×」として評価した。
【0088】
[成形性]
成形性評価として、図7(a)と図7(b)及び図8(a)と図8(b)にそれぞれ正面図及び側面図を示す2種類の金型α及びβを用い、上記加飾シート1〜7を真空成形し、それぞれ成形品を得た。
【0089】
この成形品における成形性について目視で評価をおこなった。すなわち、細部に亘ってそれぞれの金型の形状通りに成形されている場合を「○」、金型αでは金型の形状通りに成形できたが金型βでの形状が充分に再現されていない場合を「△」、いずれの金型であっても形状が充分に再現されていない場合を不充分として「×」として評価した。
これらの評価結果を表1及び表2に示す。
【0090】
【表1】
Figure 2004114346
【0091】
金属調の加飾シート4〜6では最外層のポリフッ化ビニリデン層(保護フィルム層)と着色されたフィルム層(染色されたフィルム層、原着フィルム層あるいは印刷フィルム層)との間に剥離が生じ成形ができないことが判った。また金属調の加飾シート7を用いた場合には成形物に著しい色むら、透けが発生し、良品はできなかった。
これら結果より、本発明に係る加飾シート用フィルムを用いた金属調の加飾シートは従来技術に係る加飾シートが有する質感とは全く異なる印象、すなわち、鮮映性、深み感、光輝感、及び、近未来感などの印象を与えることができるまったく新規の加飾シートであって、かつ、成形性に優れていることが判る。
【0092】
<漆調の加飾シートへの応用>
上記加飾シート用フィルムA〜Fを用いて、加飾シート用フィルムA〜Dの染色されたフィルム層側、加飾シート用フィルムEの原着フィルム層側、及び、加飾シート用フィルムFの印刷層側にウレタン系接着剤層(厚さ:5μm)を介して、厚さ300μmのベースフィルム層(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂からなるシート。原料樹脂100重量部に対してカーボンブラック0.5重量部を添加してV=2の黒色としてある。)を積層し、それぞれ実施例の漆調の加飾シート8及び9、比較例の金属調の加飾シート10〜13を得た。
【0093】
これらについて、上記漆調の加飾シート同様の評価を行った。ただし、外観の質感に関しては「肉持感」、「深み感」、「艶感」及び「格調」4つの観点から評価した。
これら評価結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
Figure 2004114346
【0095】
表2により本発明に係る加飾シート用フィルムを用いた漆調の加飾シートは従来技術に係る加飾シート用フィルムを用いた加飾シートが有する質感とは全く異なる印象、すなわち、肉持ち感、深み感、艶、及び、格調などの印象を与えることができる新規の加飾シートであって、かつ、成形性に優れていることが判る。
【0096】
【発明の効果】
本発明の加飾シートは、染色むらの発生がきわめて低く、高品質の加飾シートであり、従来では得られなかったような特異的な深みのある色調と、全く新規の印象を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加飾シートにおける染色された複合フィルムを説明するモデル断面図である。
【図2】染色された複合フィルムの断面方向の着色状況を顕微鏡で調べた結果である。(a)3分間の染色処理での結果
(b)15分間の染色処理での結果
(c)30分間の染色処理での結果
【図3】本発明に至るまで試行された加飾シート用フィルムをモデル的に例示する図である。
【図4】本発明の加飾シート用フィルムの応用例(金属層保持用フィルムを併用しない金属調加飾シート)のモデル断面図である。
【図5】本発明の加飾シート用フィルムの他の応用例(金属層保持用フィルムを併用する金属調加飾シート)のモデル断面図である。
【図6】本発明の加飾シート用フィルムの他の応用例(漆調加飾シート)のモデル断面図である。
【図7】実施例で加飾シート用フィルムを応用した加飾シートの評価のため用いた金型αを示す図である。
(a)上面図
(b)側面図
【図8】実施例で加飾シートの評価のため用いた金型βを示す図である。
(a)上面図
(b)側面図

Claims (8)

  1. 互いに染色特性が異なる2種類のフィルム層が積層されてなる透明ないし半透明の複合フィルムを一方のフィルム層が実質的に染色されない条件で他方のフィルム層を染色してなる透明ないし半透明の染色された複合フィルムを、該実質的に染色されていないフィルム層を加飾シートとして用いられる際に最外層となるように有することを特徴とする加飾シート。
  2. 上記実質的に染色されていないフィルム層がフッ素系樹脂からなるフィルム層であり、かつ、他方の染色されるフィルム層がポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂からなるフィルム層であることを特徴とする請求項1に記載の加飾シート。
  3. 上記加飾シートの、加飾シートとして成形品表面に配されたときに、該成形品の上記染色された複合フィルムよりも下層側であって、かつ、成形品外部より視認される箇所に金属層が配されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加飾シート。
  4. 上記の透明ないし半透明の染色された複合フィルムからなる層、接着剤層、少なくとも片面に金属層を有する金属層保持用フィルム層、接着剤層及びベースフィルム層をこの順で有することを特徴とする請求項3に記載の加飾シート。
  5. 上記金属層を有する金属層保持用フィルム層の金属層保持用フィルムが透明あるいは半透明であって、その片面に金属層を有するものであって、かつ、その金属層がベースフィルム層側の面に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の加飾シート。
  6. 上記金属層保持用フィルム層の厚さが40μm以下であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の加飾シート。
  7. 上記金属層保持用フィルム層がポリエステル系フィルムあるいはポリオレフィン系フィルムのいずれかからなることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の加飾シート。
  8. 上記加飾シートの、加飾シートとして成形品表面に配されたときに、該成形品の上記染色された複合フィルムよりも下層側であって、かつ、成形品外部より視認される箇所に暗色の不透明なフィルム層が配されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加飾シート。
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