JP3977520B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体に関するものであり、成形物表面等に生産性に優れた安価で種々の機能保有層を形成するのに用いられる、例えば表面機能層である金属蒸着層を担持する延伸ポリエステルフイルムである表皮材と、該表皮材と内層樹脂層とが一体に成形された、例えばミラー板のような積層体に関する。
本発明は、ポリエステル、PC(ポリカーボネート)、アクリル、ポリオレフィンなどの板材に多段プレス、熱圧着等により、表面機能層保持延伸ポリエステルフィルムを一体成形するなど、表皮材を一体積層して得られる、加飾、機能付与等を施されて得られる積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、PVC、PC、アクリルなどの板材に表面機能層を付与するには、転写材を転写するラミネ−ト転写方式による転写による方法等が行われてきた。PVC板材においては転写以外にも熱プレス成形により表面機能層を付与した厚物成形物も知られているが、他のポリエステル、PC、アクリルなどの板材においては薄物一体成形物は例えばドライラミネート加工の手法は知られているが、これらの熱プレス成形により延伸ポリエステルフィルムに担持された表面機能層を付与した厚物成形物はいまだ提供されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、板材作製上またはコスト的な問題から大面積を有する板材が市場より要求されてきている。例えば、特にPVCの厚板作製において実施される工程である、多段プレスにおいて、この工程時に転写を行うことが工程の簡略化、コストの低減を図れるためである。しかしながら、多段プレス転写方式にて転写材を転写する場合、大面積でかつ高温、高圧、長時間の転写条件が加わるため、転写材のベ−スフィルムからオリゴマ−が発生し、それによりプレス板の汚染やプレス板との接着等が起こり、作業上、品質上問題となる等、一体成形による所謂厚物成形体においては種々課題を抱えており、特に塩ビ以外の樹脂の厚物成形体において表面機能性を有する成形体、積層体が求められ、インサート成形、インモールド成形等が提案されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層体は、従来多段プレス転写方式での転写において発生していた前記課題、即ち、多段プレス転写方式にて転写材を転写する場合、大面積でかつ高温、高圧、長時間の転写条件が加わるため、転写材のベースフィルムからオリゴマーが発生し、それによりプレス板の汚染やプレス板との接着などが起こり、作業上、品質上問題が生じてしまう、という課題を解決するために、さらにはインサート形成、インモールド形成等の複雑な構成を経ることなく、単純にプレス成形によって簡単に得られる、表面に所望の機能性を有する、即ち表面機能性を有する積層体の製造方法を提供するものである。
即ち、本願発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも、表面機能層(A)と、該表面機能層(A)を担持する延伸ポリエステルフィルム(B)と、をこの順に記載してなる表皮材(AB)と、熱可塑性の内層樹脂層(C)とが、前記表面機能層(A)、前記延伸ポリエステルフィルム(B)、前記内層樹脂層(C)、の順に積層してなる構成となるように、まず前記延伸ポリエステルフィルム(B)に前記表面機能層(A)を積層することにより前記表皮材(AB)を得た後に、前記表皮材(AB)と前記内層樹脂層(C)とを積層し、それをプレス成形することによって、前記延伸ポリエステルフィルム(B)と前記内層樹脂層(C)とが一体化することにより、全体が一体成形されてなる積層体であって、前記表面機能層(A)の厚さが0.01μm〜10μmであり、前記延伸ポリエステルフィルム(B)の厚さが2〜200μmであり、前記内層樹脂層(C)の厚さが0.1mm以上であること、を特徴とする。
また本願発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の積層体において、前記内層樹脂層(C)が、A−PET、PET−G、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、又はポリエチレンの何れか1種または2種以上の樹脂からなるものであり、かつ前記プレス成形時に、前記延伸ポリエステルフィルム(B)と一体成形しうるものであること、を特徴とする。
また本願発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の積層体において、前記表面機能層(A)を担持する前記延伸ポリエステルフィルム(B)の、前記表面機能層(A)を担持していない側に、接着剤層を設けてなること、を特徴とする。
また本願発明の請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の積層体において、前記積層体全体の厚みが0.1mm以上であること、を特徴とする。
そして本願発明の請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の積層体において、前記表面機能層(A)が金属蒸着層であること、を特徴とする。
【0005】
【発明の実施態様】
本発明の積層体における表面機能層(A)は、装飾性、導電性、光線選択透過性等を付与する金属薄膜層または無機化合物層、表面硬度を付与する高硬度樹脂層や粒子含有高硬度樹脂層、親水性を付与する親水性樹脂層、撥水撥油性や防汚性を付与する含シリコンまたは含フッ素の樹脂層、反射防止層、防眩層、図柄層、印刷層等でありこれらに限定されるものではなく、厚さが0.01〜10μmであって、基体となる内面樹脂層(C)の保有していない機能を該内面樹脂層(C)の表面に機能性を付与しうる薄層であればよい。この厚さは、好ましくは0.02〜5μmでありさらに好ましくは0.05〜3μmである。これらの表面機能層(A)は延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面上に成形・担持されるものであり、その成形方法は、公知の蒸着、コーテイング、転写等の手法が適宜選択される。
前記表面機能層(A)には、保護や彩色等のために厚さが0.1〜10μmの保護層や彩色層をその表面機能層の上または下に設けてもよく、この厚さは好ましくは0.2〜5μmさらに好ましくは0.2〜3μmのものである。
【0006】
本発明の表皮材フイルムである延伸ポリエステルフィルム(B)は、特に限定されるものではないが、前記表面機能層(A)を担持し内面樹脂層(C)に一体化しうるものであればよく、例えばポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−トフィルム、ポリエチレンテレフタレ−ト・イソフタレ−ト共重合体等のポリエステルフィルムが挙げられるがこれらは少なくとも一軸延伸されたものでもよく、二軸延伸されたものでもよい。耐熱性、寸法安定性等からこれらの中でも延伸ポリエチレンテレフタレ−ト系フィルムが好ましい。
これら表皮材フィルムすなわち延伸ポリエステルフィルム(B)の厚さとしては、2〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは4〜50μmの範囲のものを用いるのが、取扱性、一体化作業性やなどの点から好ましい。また、これら表皮材フィルムは、表面機能層(A)を担持するための、蒸着、コーテイング、転写等の工程において、相当の熱、機械的応力にさらされるために、耐熱性、耐熱収縮性、高抗張力等が要求されるものであり、延伸、熱処理、セット、等の工程を経由製造されたものであり、そのため結晶化もある程度は進行し、延伸ポリエチレンテレフタレ−ト系フィルムの場合は密度が1.36以上のものが好ましい。延伸ポリエチレンテレフタレ−ト系フィルムの場合の密度は、より好ましくは1.38以上のものである。
【0007】
本発明の熱可塑性の内面樹脂層は、厚さが0.1mm以上である。この熱可塑性の内面樹脂層の厚さは、単一内面樹脂層としての厚さであってもよく、同一単一内面樹脂層を複数枚積層し一体成形されたものでもよい。本発明の骨子は、0.1mm以上の厚さを有する板状体に代表される厚物成形体に表面機能層を付与することであり、特に塩ビ以外の厚物成形体に表面機能層を付与するものであり、さらに好ましくはポリエステル厚物成形体に表面機能層を付与するものである。
これらの熱可塑性の内面樹脂層(C)を構成するものとしては、、A−PET、PET−G等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂の群から選ばれた一種以上の樹脂からなるものであり、熱プレス時に前記の少なくとも表面機能層を担持する延伸ポリエステルフイルムと一体に成形されるものである。これらの中でも、本発明の表皮材である少なくとも表面機能層(A)を担持する延伸ポリエステルフイルム(B)の(B)の(A)を担持していない面に接着剤層がなくても、一体成形が極めて仕上がりよく実施できる、A−PET、PET−G等のポリエステル樹脂が好ましい。これらのA−PET、PET−G等のポリエステル樹脂は、結晶化がほとんど進行していず、密度が1.35以下のもの、さらには1.34以下のものが好ましい。
【0008】
本発明の表皮材である、少なくとも表面機能層(A)を担持する延伸ポリエステルフイルム(B)は、必要に応じて(B)の(A)を担持していない面に接着剤層(S)を設けてもよく、また(A)上に保護層(H)を設けてもよい。
保護層(H)としては特に制限はなく、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、ウレタン−アクリル系、メラミン系、尿素系、尿素−メラミン系、セルロ−ス系、ベンゾグアナミン系などの樹脂を単独またはこれらの混合物を主成分とした有機溶剤もしくは水に溶解させた塗料をグラビア印刷法、スクリ−ン印刷法、オフセット印刷法などの印刷法で前記表面機能層(A)上に塗布、乾燥(熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂など硬化性塗膜の場合には硬化)させて形成したものが挙げられる。
保護層(H)の厚さとしては特に制限はなく、0.5〜10μm程度の範囲から適宜採用される。0.5μm未満の場合、保護硬化が得られにくく、また10μmより厚くしてもそれ以上の保護効果が得られず、コスト面からも適当でない。
本発明の表面機能層(A)に用いる金属蒸着層作成のための材料としては特に制限がなく、金属、金属混合物、金属化合物などから適宜選択採用される。例えばアルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、金、銀、銅、白金、亜鉛、ケイ素などの蒸着可能な金属の単体、これらの混合物、あるいはこれらの各種化合物などから適宜選択採用される。
【0009】
表面機能層(A)は、前記材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法などの通常の薄膜形成方法により形成される。表面機能層(A)は1層に限らず、複数層設けてもよく、各層はそれぞれ成分が異なっていてもよい。例えば、半透明金属蒸着層と通常の金属蒸着層の間に透明化合物蒸着層を可視光線の大旨1/4波長の奇数倍に設けると半透明金属蒸着層側から見て美しい有彩色を呈し、趣のある転写箔を得ることができる。このように、金属薄膜層の厚さとしては特に制限はなく、金属光沢効果、ハ−フミラ−効果などの期待する目的に合わせて適宜選択採用される。
【0010】
本発明の必要に応じて用いられる接着剤層(S)に用いる樹脂としては特に制限はなく、通常の転写箔に用いられる樹脂から適宜選択し用いられる。例えば、アクリル系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル系、ポリエステル系、塩化ゴム系、塩素化ポリプロピレン系、ウレタン系などの樹脂の単独またはこれらの混合物を主成分とする有機溶剤型樹脂、エマルジョン系樹脂、水溶性樹脂から適宜選択採用される。接着層は、前記樹脂を溶剤もしくは水で希釈された塗液をグラビア印刷法、スクリ−ン印刷法、オフセット印刷法などで前記延伸ポリエステルフイルム(B)上に塗布、乾燥させて形成される。接着剤層(S)の厚さとしては特に制限はなく、通常0.3〜20μm程度の範囲から適宜選択採用される。0.3μm未満の場合、強固な密着性を得ることが困難なため好ましくない。また20μm以上の場合コスト面、加工性面で好ましくない。
【0011】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。
実施例1
厚さ25μm2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(B)の一方の面上に、アルミニウムを真空蒸着法にて蒸着し50nmの厚さで蒸着層(A)を形成し、該蒸着層上に、アクリル−ウレタン樹脂25部、トルエン40部、メチルエチルケトン35部からなる溶液をグラビアコ−ティング法にて塗布、乾燥して厚さ1.5μmの保護層を形成し、表皮材(AB−1)を得て、厚さ0.1mmのA−PET板(C)に該表皮材のB側を重ねて熱プレスを行い、本発明の積層体を得た。
【0012】
実施例2
厚さ25μm2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(B)の一方の面上に、ケイ素酸化物をシロキサン樹脂50部、イソプロピルアルコ−ル50部からなる溶液からなる溶液をグラビアコ−ティング法にて塗布、乾燥し厚さ1.0μmのオリゴマ−防止層を形成した。
(B)の他面にアルミニウムを真空蒸着法にて蒸着し40nmの蒸着層(A)を形成し、その蒸着層上にアクリル−ウレタン樹脂25部、トルエン40部、メチルエチルケトン35部からなる溶液をグラビアコ−ティング法にて塗布、乾燥して厚さ1.5μmの保護層を形成して、表皮材(AB−2)を得た。得られた表皮材(AB−2)を、厚さ0.1mmのA−PET板(C)を5枚重ねた上にB側を重ねて、多段プレスを行い積層体を得た。
【0013】
実施例3
厚さ25μm2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(B)の一方の面上に、ケイ素酸化物を蒸着法にて厚さ0.03μmのオリゴマ−防止層を形成した。
(B)の他面にアルミニウムを真空蒸着法にて蒸着し50nmの蒸着層(A)を形成し、その蒸着層上にアクリル−ウレタン樹脂25部、トルエン40部、メチルエチルケトン35部からなる溶液をグラビアコ−ティング法にて塗布、乾燥して厚さ2.5μmの保護層を形成して、表皮材(AB−3)を得た。得られた表皮材(AB−2)を、厚さ0.1mmのA−PET板(C)を10枚重ねた上にB側を重ねて、多段プレスを行い積層体を得た。
【0014】
実施例1、2、3の積層体はいずれも、ミラー材として反射性を有した一体成形面において均一な成形面を有するものであった。
【0015】
【発明の効果】
本発明の積層体延伸ポリエステルフイルムに表面機能層を担持せしめ、その後にA−PET板等の成形性に優れた内層樹脂層と一体成形した積層体であり、成形面(表皮材と内層樹脂層との接合面)が接着剤を介在せしめることもなく均一、美麗に仕上げる事ができ、経済性に優れた表面機能層を内層樹脂層に付与できる積層体を提供しうるものである。

Claims (5)

  1. 少なくとも、
    表面機能層(A)と、該表面機能層(A)を担持する延伸ポリエステルフィルム(B)と、
    をこの順に記載してなる表皮材(AB)と、
    熱可塑性の内層樹脂層(C)とが、
    前記表面機能層(A)、前記延伸ポリエステルフィルム(B)、前記内層樹脂層(C)、の順に積層してなる構成となるように、
    まず前記延伸ポリエステルフィルム(B)に前記表面機能層(A)を積層することにより前記表皮材(AB)を得た後に、前記表皮材(AB)と前記内層樹脂層(C)とを積層し、それをプレス成形することによって、前記延伸ポリエステルフィルム(B)と前記内層樹脂層(C)とが一体化することにより、全体が一体成形されてなる積層体の製造方法であって、
    前記表面機能層(A)の厚さが0.01μm〜10μmであり、
    前記延伸ポリエステルフィルム(B)の厚さが2〜200μmであり、
    前記内層樹脂層(C)の厚さが0.1mm以上であること、
    を特徴とする、積層体の製造方法
  2. 請求項1に記載の積層体の製造方法において、
    前記内層樹脂層(C)が、
    A−PET、PET−G、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、又はポリエチレンの何れか1種または2種以上の樹脂からなるものであり、
    かつ前記プレス成形時に、前記延伸ポリエステルフィルム(B)と一体成形しうるものであること、
    を特徴とする、積層体の製造方法
  3. 請求項1又は請求項2に記載の積層体の製造方法において、
    前記表面機能層(A)を担持する前記延伸ポリエステルフィルム(B)の、前記表面機能層(A)を担持していない側に、接着剤層を設けてなること、
    を特徴とする、積層体の製造方法
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の積層体の製造方法において、
    前記積層体全体の厚みが0.1mm以上であること、
    を特徴とする、積層体の製造方法
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の積層体の製造方法において、
    前記表面機能層(A)が金属蒸着層であること、
    を特徴とする、積層体の製造方法
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