JP2004114254A - 主軸装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速回転する工作機械主軸のアンバランスを的確に修正することが出来、高速回転での振動および騒音を低減する主軸装置を提供する。
【解決手段】主軸5において、第一の軸受手段である転がり軸受10a、10bより軸端側に配置された軸受ナット5b上、転がり軸受10a、10bとモータロータ61との間、モータロータ61と転がり軸受10cとの間のバランスリング5d上、第二の軸受手段である転がり軸受10c、10dより軸端側であって且つ回転検出部である検出リング66より内側に配置されたバランスリング5c上を、それぞれバランス修正面P1,P2,P3、P4としており、ここに修正バランスを施すことで、4面修正を行っており、それにより、特に高速回転速度領域で、主軸5の振動低減を図り、回転精度を向上させることができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械の主軸装置に関し、特に高速回転速度領域で振動低減を効果的に達成できる主軸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高速回転する工作機械の主軸においては、通常、振動低減のためバランス修正を行っている。従来は、スピンドルの組立終了後に、2面釣り合わせのバランサにおいて、主軸のバランス修正を行い振動を低下させるようにしている。工作機械の主軸においては、JISB0905における釣り合いの良さG2.5〜G0.4程度の釣り合いの良さにてバランス修正を行っており、それにより一定の振動低減効果が達成される。
【0003】
従来のバランス修正例としては、主軸を剛性ロータ(軸がバランスによって変形しないと仮定できるロータ)として扱うことで、バランス修正面を任意の2面とすることが出来るので、工作機械上、バランス修正面を作業が行いやすい位置(フロント側、リヤ側ともに軸端付近の軸受ナットやバランス調整リング部)に設け、かかるバランス修正面に対して穿孔したりして修正を行っていた。これを2面修正と称する(以下の特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平6−126588号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年において、加工能率向上のために、工作機械主軸を高速回転化する傾向がある。ここで、主軸の回転数が危険速度の60〜70%以上になると、2面修正を行っても、軸に変形が生じその変形自身がアンバランスとなって、振動が急激に上昇することがわかった。特に、工作機械用モータビルトインスピンドルでは、主に主軸の中央部分に初期残留アンバランスが存在するが、これを軸端付近のバランス修正面で2面修正を行うと、高速回転速度領域では軸に曲げ変形が生じ、振動が増大することがわかった。
【0005】
一方、軸を剛性ロータとして扱えない場合(弾性ロータ)においては、理論的には、多面つりあわせによって振動を低減できることが知られている。しかるに、理論的もしくは数学的にはバランス修正の方法は存在していたものの(「回転機械の釣り合わせ」、217頁〜、三輪、下村著、コロナ社発行)、それを工作機械主軸のようなモータビルトインスピンドルに適用するための具体的技術は未だ存在しなかった。すなわち、工作機械主軸のような主軸装置では、危険速度の60〜70%以上の回転速度で回転させることは、一般的には困難であった。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、例えば工作機械主軸用モータビルトインスピンドルの特性を考慮しつつ、軸の変形(曲がり)を防ぐバランス修正をおこない、高速回転速度領域において振動を低減させる主軸装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の主軸装置は、
ハウジングと、主軸と、前記主軸を、前記ハウジングに対して回転自在に支持する第一の軸受手段と第二の軸受手段と、前記第一の軸受手段と第二の軸受手段の間に取り付けたモータロータを有し、前記モータロータにより前記主軸が回転駆動される主軸装置において、
前記主軸における、前記第一の軸受手段より軸端側、前記第一の軸受手段と前記モータロータとの間、前記モータロータと前記第二の軸受手段との間、及び前記第二の軸受手段より軸端側の少なくとも4個所に、バランス修正面を配置したことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明の主軸装置は、ハウジングと、主軸と、前記主軸を、前記ハウジングに対して回転自在に支持する第一の軸受手段と第二の軸受手段と、前記第一の軸受手段と第二の軸受手段の間に取り付けたモータロータを有し、前記モータロータにより前記主軸が回転駆動される主軸装置において、前記主軸における、前記第一の軸受手段より軸端側、前記第一の軸受手段と前記モータロータとの間、前記モータロータと前記第二の軸受手段との間、及び前記第二の軸受手段より軸端側の少なくとも4個所に、バランス修正面を配置したので、従来技術のごとく2箇所で修正する場合に比べ、高速回転速度領域における前記主軸の変形を抑え、振動を効果的に低減させることができる。尚、前記主軸は、例えば軸単体であってよく、或いは軸に軸受ナット或いはバランスリングを固定したような構成であってもよい。また、第一、第二の軸受手段は、一列又は複数列の転がり軸受であってよい。
【0009】
本発明について、更に詳細に説明する。本発明では、高速回転時に出来るだけ曲げ変形が発生しないように、バランス修正面を4つ設けて各面でバランス修正を行う、いわゆる4面修正を行っている。ここで、4面修正の理論について説明する。図1は、本発明の概念を説明するための模式図である。
【0010】
図1において、ハウジング1に対して、転がり軸受2,3,4により、主軸5が回転自在に支持されている。主軸5の中央外周には、モータロータ6が設置されている。本発明では、主軸5において、第一の軸受手段である転がり軸受2,3より軸端側、転がり軸受2,3とモータロータ6との間、モータロータ6と第二の軸受手段である転がり軸受4との間、及び転がり軸受4より軸端側の少なくとも4個所を、それぞれバランス修正面P1〜P4として、ここに修正バランスを施すことで、4面修正を行うこととする。
【0011】
4面修正は、1次危険速度以下で回転する弾性ロータに通常適用されるものであり、軸に4つのバランス修正面を設け、2つの回転数(低速および高速)における振動を計測し、影響係数法と呼ばれる手法で、振動を0とするバランス修正量を算出するものである。さらに具体的には、バランス修正面P1〜P4におけるアンバランス量と、測定点1、2における振動V1,V2との関係が線形関係で近似できることを利用し、バランス修正面P1〜P4にそれぞれ、低速、高速にて、試しおもりを付加したときの振動の変化から、各バランス修正面におけるバランスの修正量を計算するものである。数学的には、以下の複素数の行列演算によって修正量を算出するものである。
【数1】
Figure 2004114254
【0012】
ここで、Efは影響係数と呼ばれ振動とアンバランスの関係を結ぶ行列である。又、Ef−1は、Efの逆行列を表す。Uy_、Vxy_、ΔUy_(x、yは上式における添字1〜3、_は高速時H、低速時Lのいずれか)は、大きさと位相を持つ以下の複素数である。以下は、各符号の説明である。
U1,U2、U3、U4: 各バランス修正面の修正アンバランス量
ΔUyL(y=1、2、3、4、): 低速時にバランス修正面yに付加した試しおもりの量
ΔUyH(y=1、2、3、4、): 高速時にバランス修正面yに付加した試しおもりの量
V10L、V20L: 測定点1、2における低速時の初期の振動値
V10H、V20H: 測定点1、2における高速時の初期の振動値
VlyL、V2yL(y=1、2、3、4):低速時、バランス修正面yのみに試しおもりΔUyLのおもりを付加したときの測定点1、2における振動値
V1yH、V2yH(y=1、2、3、4):高速時、バランス修正面yのみに試しおもりΔUyHのおもりを付加したときの測定点1、2における振動値
【0013】
(1)式より求まるU1、U2、U3、U4の量のバランス修正を行うことによって理論的には測定した低速および高速の2つの回転速度で、振動を0にできるが、この2つの回転速度以外の回転数において振動が低下するか否かは、かかる理論では保証されない。そこで発明者は、工作機械主軸に用いられるビルトインスピンドルの特性に着目し、使用回転数全域にわたって、振動を低下させる技術を発明した。
【0014】
使用する回転速度全域にわたって、振動レべルが低いということは、軸がアンバランスによって曲げ変形をおこさないということを意味する。すなわち、アンバランスのある部品の近くでバランス修正することが必要となる。
【0015】
図1のように、バランス修正面P2とP3を、転がり軸受3、4とモータロータ6の間(ローターの両端)にそれぞれとることで、モータロータ6のアンバランスなど、主軸5の中央部に存在する初期アンバランスによって生ずる主軸5の曲げ変形を小さくすることが可能となり、高速回転での振動を低減させることが可能となる。しかし、バランス修正面P2、P3においてスピンドル組立後に外部からバランスを調整する必要が生じる。工作機械では精度維持のため外筒冷却を行うが、この外筒冷却経路と干渉しないように、バランス調整ネジの取付けスぺースを確保する必要がある。後述する実施の形態では、軸受用の冷却溝とモータの冷却溝を分離し、その中間に調整ネジ組込用のねじ孔のスぺースを確保することでこれを可能にした。
【0016】
工作機械ビルトインスピンドルでは、以下のような理由でリヤ側(図1で右側)の剛性が低くなる傾向があるため、バランス修正面P4の設定に関しては注意が必要である。
(1)工作機械では、工具をクランプするためのばね部品を挿入するため、主軸5を中空軸にする必要があり、一般的にリヤ側の主軸の肉厚は薄くなる。
(2)モータロータ6に強度の弱いアルミダイキャスト及び積層のケイ素鋼板などを使用するため、高速回転時に遠心力によるモータロータ6の破壊を防ぐためにその直径(φ2)を小さくし、その応力を小さくする必要がある。これに伴い、モータロータ6よりリヤ側の主軸の直径(φ3)は細くなる。
(3)ビルトインスピンドルでは、回転数と位相の制御のため、歯車状のリングの凹凸を磁気的に感知するビルトインセンサ(ここでは回転検出部)Tを設けることが必要である。高速回転では、ビルトインセンサTの感度を上げるため、歯車状のリング直径を小さくし、周速度を下げなければならない場合があり、これに伴ってセンサTの取り付け部よりリヤ側の軸径(φ4)はさらに細くなる場合がある。
【0017】
このように工作機械用ビルトインスピンドルでは、リヤ側の軸径が細く薄肉になり、主軸5の剛性が低下する。このため、バランス修正面P4が主軸5の後端にあると、高速回転において曲げ変形を生じ、振動を発生する原因となる。すなわち、バランスの修正面P4を、ビルトインセンサTよりフロント側に設けることにより曲げ変形を少なくし、振動低減を可能にできる。尚、フロント側(図1で左側)は主軸剛性が高く曲げ変形は少ないが、出来るだけ軸受の近くにバランス修正面P1を配置することが望ましい。
【0018】
即ち、前記第二の軸受手段(転がり軸受4)と、前記主軸(5)の軸端との間に回転検出部(ビルトインセンサT)を設け、前記第二の軸受手段より軸端側のバランス修正面を、前記第二の軸受手段と回転検出部の間に配置すると好ましい。
【0019】
又、前記主軸(5)は中空軸を含み、前記中空軸は、前記第一の軸受手段(転がり軸受2、3)嵌合部、前記モータロータ(6)嵌合部、前記第二の軸受手段(転がり軸受4)嵌合部、前記回転検出部(ビルトインセンサT)嵌合部の順序で外径が小さくなる(φ1>φ2>φ3>φ4)。一方向から各部品の組み付けが行える利点も生じる。尚、図1では、図を簡略化するために、主軸1を中実で外径が一様なものとして表している。
【0020】
更に、前記バランス修正を行うために用いるねじ孔を、前記主軸に形成すると、おもりの取り付けが容易になるので好ましいが、例えば前記主軸にバランスリング等を取り付けて、その表面(これもバランス修正面)に、バランス修正用のねじ孔加工などを行っても良い。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施の形態である主軸装置を、図面を参照して詳細に説明する。図2は、本実施の形態にかかる主軸装置(主軸径φ70,最高回転速度45000min−1のモータビルトインスピンドル)の断面図である。尚、図2において、工具取り付け部がある左方を主軸装置のフロント側と呼び、右方をリヤ側と呼ぶこととする。
【0022】
図2において、主軸装置14は、ハウジング28と、主軸5(上下で軸線方向にずらせて図示)と、この主軸5を、ハウジング28に対して回転自在に支承する複数個(図示例では合計4個のアンギュラ玉軸受)の軸受10a,10b,10c,10dとを備えている。
【0023】
軸受10a,10b(第一の軸受手段)と、軸受10c,10d(第二の軸受手段)は,2個づつ組となって主軸5のフロント側とリヤ側とを、それぞれ荷重を分担して支承するように、軸方向に所定間隔をおいて配置されている。フロント側の軸受10a、10bの外輪は、ハウジング28に固定された内ハウジング20に外輪抑え30を介して固定されている。リア側軸受10c、10dの外輪は、軸受スリーブ22に外輪抑え34を介して固定されている。軸受スリーブ22は、ハウジング内径面28sに軸方向にスライド可能に支持され、バネ36によって軸方向後方に弾性付勢されており、これによりフロント側軸受とリヤ側軸受に予圧を付与している。軸受10a、10bの外輪は、冷却溝28aを流れる冷却油によって冷却される。
【0024】
一方、各軸受10a〜10dの内輪は、主軸5の外周面に嵌合され、フロント側・リヤ側のそれぞれで,各軸受10a〜10dの間に,軸受10a〜10dを軸方向に固定するための円筒状の内輪間座40が設けられている。
【0025】
主軸5は、中空の軸5aと、その両端近傍に固定された軸受ナット5b及びバランスリング5cとから構成されており、軸5aの内部において、左方の取付部51に工具を取り付けるための機構50(ばね部品50aを含む)が配置されている。かかる機構50については公知のため、以下に詳細は記載しない。
【0026】
軸5aの中央にはモータ部60が配置されている。モータ部60は、モータロータ61と、ハウジング28に固定されたステータ64からなる。ステータ64は、固定子鉄心64aと、固定子鉄心64a内部を巻回するコイル63からなり、冷却ジャケット62を介して冷却溝28bを流れる冷却油によって冷却される。
【0027】
ロータ61は、積層の珪素鋼板の周囲にアルミダイキャストを施した、かご型回転子の構成であり、軸5aに対し100から150μmの締まりばめによって強固に嵌合されている。ロータ61は、積層構造であるという特性からバランスが悪く、主軸中央部にアンバランスが発生する大きな要因となる。この対策として、あらかじめロータ単体でバランス修正する方法が取られてきたが、軸と締結される際、大きな嵌めあいで生じた変形によって新たにアンバランスが生じるため、本ロータ部分にはアンバランスが残留してしまう。又、高速回転のロータでは、遠心力破壊の恐れがあるため、ロータを削るなどしてバランスをとることができない場合も多い。
【0028】
更に、軸5aの回転速度と位相とを検出するためのセンサ(ビルトインセンサ)65が、軸5aのリヤ側端部近傍の外周に配置され且つ歯車状の凹凸が形成された検出リング66に対向して、ハウジング28に対して取り付けられている。
【0029】
軸5aは、軸受10a、10bに嵌合する部分の外径がφ1で、モータロータ61が嵌合する部分の外径がφ2で、軸受10c、10dが嵌合する部分の外径がφ3で、検出リング66が嵌合する部分の外径がφ4であり、φ1>φ2>φ3>φ4の関係が成立している。
【0030】
潤滑油供給装置22Aに接続された配管18は,それぞれ主軸装置14の内ハウジング20において、各軸受10a,10b,10c,10d近傍に配置されたノズル12a,12b,12c,12dに接続されている。
【0031】
次に、本実施の形態の動作について説明する。取付部51に工具(不図示)を取り付けた状態で、不図示の駆動回路からの動力供給により、モータ部60がモータロータ61を回転駆動し、それにより主軸5と共に工具が回転するようになっている。主軸5の回転速度及び位相の制御は、センサ65からの信号に基づいて行われる。主軸5の回転速度に応じて、不図示の潤滑油供給装置から配管18を介して潤滑油が供給され、ノズル12a〜12dを介して軸受10a〜10dが潤滑されるようになっている。
【0032】
本実施の形態においては、主軸5において、第一の軸受手段である転がり軸受10a、10bより軸端側に配置された軸受ナット5b上、転がり軸受10a、10bとモータロータ61との間、モータロータ61と転がり軸受10cとの間のバランスリング5d上、第二の軸受手段である転がり軸受10c、10dより軸端側であって且つ回転検出部である検出リング66より内側に配置されたバランスリング5c上を、それぞれバランス修正面P1,P2,P3、P4としており、ここに修正バランスを施すことで、4面修正を行っている。本実施の形態では、センサ65のフロント側にバランスリング5cを設けて、軸の曲がりを抑制している。尚、比較例(図6を参照して後述)として、主軸5のリヤ側でリング5fと共に取り付けられた軸受ナット5bに、比較修正面P4’を図示した。
【0033】
なお、バランス修正面P1〜P4’は、円周複数箇所(4等配〜16等配程度)にねじ孔を設ける構造となっており、そこに挿入するネジ長さ(重さ)によってアンバランスの修正をおこなう。この方法がもっとも作業性がよいが、直接バランス修正面を削る方法や、またアンバランスを持つ2つ(複数)のリングの位相を組み合せて修正することも可能である。
【0034】
尚、軸受ナット5b、バランスリング5cのバランス修正面P1,P4は、カバー37a、37bをはずせば、フロント側もしくはリヤ側からバランス調整用のネジを取り付け、取り外しすることでバランス調整が行える。一方、軸5aの表面に形成されるバランス修正面P2,及びバランスリング5cに形成されるバランス修正面P3については、ねじ孔加工は軸5a単体で行えるものの、ねじ孔にバランス用おもりをどのようにして取り付けるかが問題である。そこで、本実施の形態では、軸受用冷却溝28aと、モータ冷却溝28bを分け、修正窓28c、28dを形成し、ここからバランス修正面P2,P3の加工を行えるようにしている。修正窓28c、28dは、バランス調整作業中にネジ等が落下しても、それを介して磁石付き棒を用いて回収できるよう、十分大きな形状とするのが好ましい。加工後は、蓋28A、28Bにより修正窓28c、28dが閉止され、外部からの異物の侵入を阻止する。
【0035】
又、修正加工を容易にすべく、軸受冷却用の溝28aを含む内ハウジング20と、モータ冷却用溝28bを含むハウジング28のモータ冷却部とを分離するようにし、更にハウジング28と、内ハウジング20とに、それぞれ軸線に直交する方向に延在する孔21、21を穿孔している。万一、作業中にネジやおもりが落下しても、この穴を下方向に設ければ、穴を介してネジ等が下側へ落下し、取り出すことが容易となる。バランス調整後は、孔21、21の外方端に止め栓21a、21aを嵌め込むことによって、外部からの切削水の侵入などを防ぐことが出来る。
【0036】
バランス修正時における振動の測定点は、任意の2点を選ぶことが出来るが、バランス修正面P1及びP4近傍のハウジング外径部とするのが修正精度向上の面で望ましい。
【0037】
図3〜5は図2における軸系の動的解析結果である。図3は、モータロータの中央に初期の残留アンバランス3g・cm(JIS G2.5程度のアンバランス)があった場合において、従来の2面修正および本発明による4面修正を行った際の、4万回転における軸の曲げ変形曲線である。2面修正の場合は剛性ロータとして、低速アンバランスを0とするように修正おもりを負荷して解析している。4面修正の場合は、12000min−1および36000min−1において軸受反力が0となるよう、各バランス修正面に修正おもりを付加して解析した。2面修正の場合は、中央部のアンバランスを軸端付近のみで修正するため、大きな曲げ変形を生じている。高速回転では曲がり変形自体がアンバランスとなるので、このように大きな変形を生じる。それに対し、本発明の4面修正によれば、曲げ変形は、2面修正の場合に比べ1/5〜1/10程度に減少している。
【0038】
図4は、従来の2面修正と本発明の4面修正において、軸のアンバランスによって生じる軸受の反力(軸受4つの合力)を解析した結果で、回転数を横軸にとって比較した結果である。図4の軸受反力は回転力であり、軸受反力が大きくなれば主軸の振動が大きくなることを意味する。2面修正と4面修正を比較するに、2〜3万min−1程度までは同等の軸受反力であるが、4面修正の場合では、それ以上の高速回転で軸受反力が低くなっている。4面修正により、軸の曲がり変形が小さくなった効果が顕著に現れている。
【0039】
図5は、リア側のバランス修正面位置を軸端ナットとした場合と、センサよりフロント側にバランスリングを設けた場合とにおける、軸の変形曲線の比較結果である。各バランス修正面に約1.5g・cmの修正おもりを付加した時の40000min−1における変形を解析した。本発明のようにバランス修正面を、ビルトインセンサ65(すなわち検出リング66)よりフロント側に設けた場合には、軸端にバランス修正面があるのに比べて変形が約1/2に減少する。これにより振動を低減することが可能である。
【0040】
図6は、バランス修正の違いによる振動を実際に計測した結果を示す図であり、主軸フロント側のハウジングのラジアル方向の振動値の回転周波数成分を記録した。2面修正の場合は、それぞれ低速12000min−1、高速36000min−1の回転数において2種類、4面修正の場合は、それぞれ低速12000min−1、高速36000min−1の回転数にて、G0.4相当のバランス修正を行った。
【0041】
12000min−1で2面修正を行った場合は、低速では振動は小さいが、高速になると振動が大きくなる。36000min−1で2面修正を行った場合は、36000min−1での振動は小さいが、その他の回転数での振動が大きい。これは、軸に曲げ変形が生じた状態でバランスを修正しているためで、曲げ変形の生じていない低速や、曲げ変形の大きさが変わるさらに高速域では釣り合いが取れないことを意味している。一方、4面修正の場合では、12000、36000min−1の両回転数で振動が低下するように修正されており、さらに適切にバランス修正面を選んでいることで使用回転数全域にわたって振動が小さくなっていることがわかる。
【0042】
次に、主軸のリア側の曲げ変形の効果を確認するために、リア軸端ナット5fでの修正(比較修正面P4’での修正)と、ビルトインセンサ65のフロント側でのバランスリング5cの修正(バランス修正面P4での修正)とを比較した。リア軸端ナットで修正した場合には、曲げ変形によるアンバランスで、40000min−1付近で振動が上昇している。ビルトインセンサ65のフロント側での修正の場合では、40000min−1という超高速においても振動の上昇が少なくなっている。
【0043】
図7は、騒音の測定結果を示す図であり、スピンドル前側1mでの測定結果である。4面修正の場合は、振動が低下するため、これに伴う騒音も低下することがわかる。
【0044】
図8は、工具取り付け部51先端に円形のダミー工具52を取り付け、回転中の面52Aの振れ精度を非接触変位計にて測定した結果を示す図である。従来の2面修正では、高速回転で振動が増加し軸の曲げ変形も大きくなるため回転精度が悪化するが、本実施の形態では、軸に曲げ変形が殆ど発生しないため、回転精度の劣化が少ないことがわかる。本発明の適用により、高回転精度も達成でき、加工精度の高い工作機械主軸を提供することが可能となった。
【0045】
本発明にかかるバランス修正法は、転がり軸受以外に、磁気軸受、空気軸受などを用いた高速回転する主軸装置においても有効である。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、高速回転する工作機械主軸のアンバランスを的確に修正することが出来、高速回転での振動および騒音を低減する主軸装置が提供される。磁気軸受の場合、本発明のごとく4面修正を行わなくても制御により振動を少なくすることはできるが、この場合は、軸が曲がった状態でバランスされているため、軸の回転速度が低下してしまう。本発明を用いたバランス修正により、軸の曲げ変形を抑制できるため、磁気軸受では回転精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念を説明するための模式図である。
【図2】本実施の形態にかかる主軸装置の断面図である。
【図3】本発明の実施例に関する軸系の動的解析結果を示す図である。
【図4】本発明の実施例に関する軸系の動的解析結果を示す図である。
【図5】本発明の実施例に関する軸系の動的解析結果を示す図である。
【図6】バランス修正の違いによる振動を実際に計測した結果を示す図である。
【図7】本発明の実施例における騒音の測定結果を示す図である。
【図8】工具取り付け部51先端に円形のダミー工具52を取り付け、回転中の振れ精度を非接触変位計52Aにて測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
5 主軸
5a 軸
5b 軸端ナット
5c バランスリング
10a〜10d 軸受
14 主軸装置
28 ハウジング

Claims (4)

  1. ハウジングと、主軸と、前記主軸を、前記ハウジングに対して回転自在に支持する第一の軸受手段と第二の軸受手段と、前記第一の軸受手段と第二の軸受手段の間に取り付けたモータロータを有し、前記モータロータにより前記主軸が回転駆動される主軸装置において、
    前記主軸における、前記第一の軸受手段より軸端側、前記第一の軸受手段と前記モータロータとの間、前記モータロータと前記第二の軸受手段との間、及び前記第二の軸受手段より軸端側の少なくとも4個所に、バランス修正面を配置したことを特徴とする軸受装置。
  2. 前記第二の軸受手段と、前記主軸の軸端との間に回転検出部を設け、前記第二の軸受手段より軸端側のバランス修正面を、前記第二の軸受手段と前記回転検出部との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の主軸装置。
  3. 前記主軸は中空軸を含み、前記中空軸は前記第一の軸受部、前記モータロータの嵌合部、前記第二の軸受部、前記回転検出部の順序で外径が小さくなることを特徴とする請求項2に記載の主軸装置。
  4. バランス修正を行うために用いるねじ孔を、前記主軸に形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の主軸装置。
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