以下、本発明の工作機械の主軸装置を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。また、工作機械の主軸装置は、主軸装置に工具を取付けるマシニングセンタなどの工作機械、または主軸装置に工作物を取付ける旋盤などの工作機械に搭載される。実施形態においては、主軸装置に工具を取付けて加工を行う工作機械に本発明の主軸装置を適用したものとして説明する。
また、以下の実施形態において、エア流路と変位センサは異なる位相に位置するが、各部材との軸方向位置の関係を示すことを目的として、図1,図2,図6においては、位相が異なる場合でも同図上に示すものとした。
<第一実施形態>
(主軸装置1の構成)
第一実施形態において、本発明の工作機械の主軸装置1の機械構成部分について、図1〜図5を参照して説明する。本実施形態の工作機械の主軸装置1は、図1に示すように、主として、ハウジング10と、主軸30と、モータ50と、4つの変位センサ71〜74とから構成される。この主軸装置1は、工作機械に固定されたハウジング10の内周面15に第一軸受装置61、第二軸受装置62および第三軸受装置63を介して回転自在に主軸30を支持している。そして、工作機械は、主軸装置1の主軸30の先端側(図1の左側)に取付けられた工具ユニット80の刃具81を被加工物である工作物(ワーク)に対して相対移動させることにより加工を行う。
ハウジング10は、図1,2に示すように、全体形状として筒状からなり、複数の部材から構成される主軸ハウジング20を有する。このハウジング10は、図1,3に示すように、主軸ハウジング20に形成された2本のエア流路11,12を有している。ハウジング10のエア流路11,12は、エアの供給源であるポンプユニット(図示せず)に接続され、そのポンプユニットより所定の圧力に調整されたエアが供給される。ハウジング10の内周面15は、主軸ハウジング20により形成される面である。つまり、内周面15は、図5(b)の太線で示すように、主軸30の軸線に対して平行でない面を含むものである。
主軸ハウジング20は、図1に示すように、第一軸受装置61、第二軸受装置62および第三軸受装置63を介して主軸30を回転可能に支持する部材である。また、主軸ハウジング20は、スリーブ部材21と、前側ハウジング22と、中央ハウジング23と、後側ハウジング24と、ハウジングキャップ25と、カバー部材26と、センサベース27とから構成される。それぞれの部材21〜27は、略円筒状に形成され、それらが一体に連結固定されることにより主軸ハウジング20を形成している。
スリーブ部材21は、軸方向中央部に径方向外方へ突出するリング状のフランジ部21aを有する。このスリーブ部材21のフランジ部21aが前側ハウジング22と中央ハウジング23との軸方向間に配置される。さらに、スリーブ部材21におけるフランジ部21aの軸方向両側にある円筒部分が、中央ハウジング23の前側(軸方向において、刃具81の取付端側、図1の左側)端部の内周と前側ハウジング22の内周に嵌合される。また、中央ハウジング23の後側(図1の右側)端部に後側ハウジング24が連結固定される。
ハウジングキャップ25は、図2に示すように、スリーブ部材21および前側ハウジング22の軸方向前側端に取付けられる。このハウジングキャップ25は、第一軸受装置61の外輪を、スリーブ部材21との軸方向間に挟んでいる。また、中央ハウジング23は、その内周面に軸方向に摺動可能に設けられたピストン部材を介して第二軸受装置62を支持している。後側ハウジング24は、その内周面に第三軸受装置63の外輪が固定され、当該第三軸受装置63を支持している。
カバー部材26は、ハウジング10の前側端部に位置する円盤状の部材である。このカバー部材26は、ハウジングキャップ25にセンサベース27が嵌合した状態で両部材に固定され、クーラント(切削液など)や切り粉などの異物が主軸装置1の内部に侵入することを防止している。また、カバー部材26は、その内周縁が主軸30の外周面41に形成された環状のラビリンスシール溝40aとの間に僅かな間隔をもって挿入される。これにより、カバー部材26とラビリンスシール溝40aとの隙間を迷路状に入り組んだ形状にしたラビリンスシールが形成される。
センサベース27は、ハウジングキャップ25とカバー部材26の間に配置される略円筒状の部材である。このセンサベース27は、図4に示すように、外周面に形成されたOリング用シール溝27aと、内周面に形成された第一エアシール溝27bおよびセンサ用シール溝27cとを有する。センサベース27は、主軸ハウジング20において連結固定される各部材21〜25に対して着脱可能となっており、ハウジングキャップ25の内周に嵌合することにより心出しされる。
Oリング用シール溝27aは、弾性部材で形成されたOリング16が嵌装される環状溝である。そして、センサベース27が主軸ハウジング20に嵌合した際に、Oリング16がハウジングキャップ25の内周面およびOリング用シール溝の溝底面の両面から押圧された状態となる。これにより、Oリング16は、ハウジングキャップ25とセンサベース27の間にクーラントなどが浸入することを防止している。
第一エアシール溝27bは、主軸30に外周面41と対向するセンサベース27の内周面において形成された環状溝である。また、センサベース27の内周面に対向する主軸30の外周面41には、同一の軸方向位置に第二エアシール溝40bが形成されている。このような構成により、図4,図5(a),(b)に示すように、ハウジング10の内周面15および主軸30の外周面41により形成される隙間Apにおいて、供給されるエアを滞留する環状の領域であるエアポケットAcが形成される。つまり、第一エアシール溝27bと第二エアシール溝40bの各溝底面および各溝側面は、エアポケットAcを形成する形成面である。
また、センサベース27は、ハウジング10に対する主軸30の変位を検出する4つの変位センサ71〜74が異なる所定位相にそれぞれ配置されている。本実施形態において、変位センサ71〜74は、主軸30のラジアル方向(主軸30の径方向)の変位を検出する。そのため、変位センサ71〜74は、その検出部71b〜74bが主軸30の外周面41に向けて配置される。この時、変位センサ71〜74の検出部71b〜74bと主軸30の外周面41とは、僅かに離間している。
4つの変位センサ71〜74は、図3に示すように、センサベース27の周方向に等間隔となるように、90(deg)間隔で配置される。これにより、主軸装置1は、Y軸上の正方向川に配置される変位センサ71と、Y軸上の負方向側に配置される変位センサ73とにより、主軸30のY軸方向への変位を検出している。同様に、主軸装置1は、X軸上の正方向側に配置される変位センサ72と、X軸上の負方向側に配置される変位センサ74とにより、主軸30のX軸方向への変位を検出している。このように、本実施形態の工作機械は、ハウジング10に対する主軸30のX軸方向およびY軸方向への変位を複数の変位センサ71〜74の検出値から求めている。これにより、加工による主軸装置1への熱影響や検出誤差などを補正し、変位検出の高精度化を図っている。
センサベース27のセンサ用シール溝27cは、主軸30の外周面41と対向するセンサベース27の内周面において形成された環状溝である。また、センサベース27の内周面に対向する主軸30の外周面41には、同一の軸方向位置に後述するターゲット部43およびカラー44が配置されている。このような構成により、図4,図5(b)に示すように、ハウジング10の内周面15および主軸30の外周面41により形成される隙間Apにおいて、供給されるエアを滞留する環状の滞留領域Taが形成される。つまり、センサ用シール溝27cの溝底面および溝側面と主軸30の外周面41は、エアの滞留領域Taを形成する形成面である。
ここで、本実施形態において、センサベース27に配置された4つの変位センサ71〜74の各検出部71b〜74bの先端がセンサ用シール溝27cの溝底面の一部を形成している。このような構成において、複数の変位センサ71〜74およびターゲット部43がハウジング10の径方向に対向している。そして、センサ用シール溝27cの軸方向幅(シール溝幅Ws)は、図4に示すように、ターゲット部43の軸方向幅(ターゲット幅Wt)よりも大きくなるように設定されている。
また、このように複数の部材21〜27から構成される主軸ハウジング20は、ハウジング10のエア流路11,12が形成されている。これにより、センサベース27および主軸30により構成されるエアシールに圧縮されたエアを供給可能としている。また、ハウジングキャップ25は、図2,3に示すように、軸方向前側端面に開口部を有する排気路25aおよび内部配管25bが形成されている。排気路25aは、エアが流通可能に形成され、上記のエアシールで流通したエアをドレンに導いて排出している。内部配管25bは、ハウジングキャップ25よりも軸方向前側に配置される複数の変位センサ71〜74の各配線71a〜74aが集約された後に挿通するための配管である。
ここで、センサベース27においてエアポケットAcを構成する第一エアシール溝27bの溝底面には、センサベース27の周方向に等間隔となるように、180(deg)間隔でエア流路11,12の第一開口部11a,12aが形成されている。また、エア流路11,12は、図5(a)に示すように、センサベース27の内部で分岐している。そして、センサベース27において滞留領域Taを構成するセンサ用シール溝27cの溝底面には、分岐したエア流路11,12の第二開口部11b,12bが形成されている。そして、第二開口部11b,12bは、複数の変位センサ71〜74が配置されたセンサベース27の異なる複数の所定位相の何れとも異なる位相に形成されている。
また、複数の変位センサ71〜74は、図2に示すように、同一の軸方向位置に配置されている。そして、複数の変位センサ71〜74の各配線71a〜74aは、図3に示すように、当該変位センサ71〜74が位置するセンサベース27の軸方向位置において配線集約位置Pgに集約されている。
また、上述したように、ハウジングキャップ25には、軸方向前側端面に開口部を有する内部配管25bが形成されている。ハウジングキャップ25にセンサベース27が嵌合して連結された際に、配線集約位置Pgは、この内部配管25bの開口部と一致するように設定されている。そして、センサベース27に配置された複数の変位センサ71〜74の各配線71a〜74aは、センサベース27の軸方向に延びる状態で、センサベース27からハウジングキャップ25に連絡される。内部配管25bの開口部は、内部配管25bに各配線71a〜74aを通した後に、簡易なシール部材により異物侵入を防止される。
主軸30は、全体形状として略円筒状に形成され、主軸本体31と、主軸キャップ40とから構成される。主軸本体31は、ハウジング10の内周面15に第一軸受装置61、第二軸受装置62および第三軸受装置63を介して回転可能に支持されている。また、主軸本体31の中空内部には、刃具81が固定されたホルダ82をクランプするクランプユニット83や、クランプユニット83を作動させるプッシュロッド84およびドローバー85が収容されている。
また、主軸本体31の軸方向後側であって、後側ハウジング24の中空内部には、クランプユニット83を操作するためのシリンダ組立体86が配置されている。主軸本体31の外周の軸方向中央部には、ロータスリーブ87を介してモータ50のロータ51が固定されている。このロータ51の外周側には、中央ハウジング23の内周に嵌合固定されたモータ50のステータ52が設けられている。主軸30は、このモータ50により回転駆動されるようになっている。
主軸キャップ40は、主軸本体31の軸方向前側に配置され、主軸本体31に対して着脱可能な別体からなる略円筒状の部材である。この主軸キャップ40は、ラビリンスシール溝40aおよび第二エアシール溝40bが形成された外周面41と、テーパ状内周面42と、ターゲット部43と、カラー44とから構成される。主軸キャップ40の外周面41は、図5(b)の太線で示すように、主軸30の軸線に対して平行でない面も含むものであり、ハウジング10の内周面15と僅かな隙間Apをもって離間している。
ラビリンスシール溝40aは、環状からなり、その溝底の外径がカバー部材26の内径よりも小径に形成されている。また、ラビリンスシール溝40aの軸方向幅は、カバー部材26の軸方向幅よりも大きく形成されている。これにより、主軸装置1が組付けられた状態において、カバー部材26の内周縁とラビリンスシール溝40aによりラビリンスシールが構成される。
第二エアシール溝40bは、センサベース27の内周面と対向する主軸キャップ40の外周面41に形成された環状溝である。この第二エアシール溝40bは、センサベース27に形成された第一エアシール溝27bと同一の軸方向位置に形成されている。また、第二エアシール溝40bの溝幅(軸方向幅)と第一エアシール溝27bの溝幅は同じ大きさに設定されている。これにより、第二エアシール溝40bは、第一エアシール溝27bとともにエアポケットAcを形成する。
テーパ状内周面42は、刃具81が固定されたホルダ82の外周面と当接し、軸方向後側に向かって縮径するテーパ状の内周面である。また、工具ユニット80のホルダ82の外周面も同様に、軸方向後側に向かって縮径するテーパ状に形成されている。このような構成により、ドローバー85によりホルダ82を軸方向後側に引き込むことにより、主軸30に対して工具ユニット80の刃具81が心出しされることになる。このように、本実施形態における主軸キャップ40は、主軸本体31に対して着脱可能な別体にからなるとともに、工具ユニット80の刃具81と当接し心出しを行うテーパ状内周面42が形成されている。
ターゲット部43は、センサベース27に配置された変位センサ71〜74の検出部位に配置される。これにより、変位センサ71〜74は、主軸キャップ40に配置されたターゲット部43との距離を検出することにより、ハウジング10に対する主軸30の変位を検出している。本実施形態において、変位センサ71〜74にインダクタンス式センサを適用していることから、ターゲット部43は、絶縁皮膜を介して積層された珪素鋼板により形成されるものとしている。カラー44は、積層した複数の珪素鋼板を積層方向両側から挟み込み、ターゲット部43とともに主軸キャップ40に焼き嵌めにより固定される。
ここで、変位センサ71〜74をインダクタンス式センサとした場合に、変位センサ71〜74のコイルが発生する磁界の影響により、検出部位に渦電流が生じることがある。主軸30に渦電流が生じると、発生した渦電流がインダクタンスの変化に影響を与え、ノイズとして現れることがある。そこで、本実施形態のようなターゲット部43とすることにより、渦電流は積層される個々の珪素鋼板の内部で生じることになる。これにより、ターゲット部43全体として大きな渦電流の発生を抑制している。
第一軸受装置61および第二軸受装置62は、図1に示すように、それぞれ二対のアンギュラ玉軸受を備えて構成されている。第一軸受装置61は、モータ50の軸方向前側(刃具81の取付端側)であって、前側ハウジング22の内周面と主軸30の外周面との間に嵌合される。第二軸受装置62は、モータ50の軸方向前側であり、第一軸受装置61の軸方向後側(刃具81の取付端側とは反対側)に配置される。この第二軸受装置62は、スリーブ部材21の内周面に軸方向に摺動可能に設けられたピストン部材の内周面と主軸30の外周面との間に嵌合される。
第一軸受装置61のアンギュラ玉軸受の接触角と、第二軸受装置62のアンギュラ玉軸受の接触角は、軸直交平面に対して対称となるように設けられている。具体的には、第一軸受装置61の外輪と転動体の接点は、当該転動体の中心よりも軸方向後側(第二軸受装置62側)に位置し、第二軸受装置62の外輪と転動体の接点は、当該転動体の中心よりも軸方向前側(刃具81の取付端側)に位置する。また、第一軸受装置61の内輪と転動体の接点は、当該転動体の中心よりも軸方向前側(刃具81の取付端側)に位置し、第二軸受装置62の内輪と転動体の接点は、当該転動体の中心よりも軸方向後側(モータ50側)に位置する。
第三軸受装置63は、図1に示すように、一個の円筒ころ軸受を備えて構成されている。第三軸受装置63は、モータ50の軸方向後側(刃具81の取付端側と反対側)であって、第一後側ハウジング13の内周面と主軸30の外周面との間に嵌合される。
このように構成される工作機械の主軸装置1において、工作機械の制御装置(図示せず)は、複数の変位センサ71〜74による出力値に基づいて、ハウジング10に対する主軸30のラジアル方向(径方向)の変位を検出する。そして、本実施形態において、制御装置は、検出された主軸30の変位に基づいて、加工時に主軸30に加えられるラジアル方向の荷重を算出し、算出された荷重と予め設定されている閾値とを比較する。これにより、制御装置により工作機械は、例えば、加工精度の低減を防止するために、オーバーライドにより工作物に対する刃具81の送り速度を低減させるように制御する。また、大きな負荷が主軸に加えられていると判定された場合に、制御装置により工作機械は、主軸を停止させるように制御する。
その他に、制御装置は、上記主軸30の変位に加えて、回転速度センサにより検出した主軸30の回転速度(回転数)などを元情報として、FFT解析などの周波数解析を行うものとしてもよい。これにより、加工時における主軸のびびり振動が解析され、びびり振動の周波数、径方向の位相および振幅が算出される。そして、制御装置は、この解析結果に基づいて、例えば、ハウジング10に対する主軸30のラジアル方向の減衰係数を調整するユニットを制御し、びびり振動の低減を図るものとしてもよい。このように、制御装置は、工作機械による加工における適正な加工状態を維持し、加工精度の向上を図っている。
ここで、上述したように種々の用途に使用される主軸装置1の変位センサ71〜74は、加工において主軸30に加えられる負荷による主軸30の変位を検出するものである。よって、変位センサ71〜74は、変位をより確実に検出するためには、主軸30における刃具81の取付端側に設けられる方が好適である。また、変位センサ71〜74は、各検出部71b〜74bが変位を検出する主軸30の外周面41の検出箇所へ異物が侵入すると、検出精度の低下や検出部71b〜74bの劣化などを招来するおそれがある。
しかし、変位センサ71〜74を主軸装置1における軸方向前側に配置すると、加工時にクーラントを供給され切り粉を生じる加工箇所に変位センサ71〜74が近接し、異物が侵入しやすくなることがある。そこで、本発明の工作機械の主軸装置1は、上記のような構成により、変位センサ71〜74の配置される位置に関わらず、各検出部71b〜74bへの異物侵入を防止している。
(主軸装置1のエアシール)
ここで、主軸装置1のエアシールについて説明する。主軸装置1のエアシールは、カバー部材26および主軸30により形成されるラビリンスシールよりも軸方向後側に位置し、且つ複数の変位センサ71〜74よりも軸方向前側に位置し、主軸装置1の内部への異物侵入を防止するシール構造である。このエアシールは、上述したように、主として、ハウジング10のエア流路11,12と、ハウジング10の内周面15および主軸30の外周面41により形成される隙間Apと、この隙間Apにおいて第一エアシール溝27bおよび第二エアシール溝40bにより形成されるエアポケットAcと、ドレンに連結されるハウジングキャップ25の排気路25aとから構成される。
また、主軸装置1のエアシールは、上記の構成に加えて、主軸装置1のエアシールは、上記の構成に加えて、センサ用シール溝27cおよび主軸キャップ40の外周面(主に、ターゲット部43およびカラー44の外周面)により形成される滞留領域Taを有する。この滞留領域Taは、変位センサ71〜74の検出部71b〜74bおよびその検出部位に配置されたターゲット部43への異物侵入を防止することを目的としている。
エアの供給源であるポンプユニットには、圧縮されたエアを流通可能な外部配管を接続される。そして、外部配管を2本の枝管に分岐した後、ハウジング10のエア流路11,12の端部にそれぞれ形成されたコネクタにそれぞれの枝管が連結される。つまり、エア流路11,12は、外部配管を介してポンプユニットに接続されることになる。そして、上記のような構成からなるエアシールは、先ず、ポンプユニットにより供給されるエアをエア流路11,12を介してエアポケットAcおよび滞留領域Taに圧送する。これにより、供給されたエアは、エアポケットAcおよび滞留領域Taに一時的に充填されることになる。
次に、ハウジング10の内周面15および主軸30の外周面41により形成される隙間Apに、エアポケットAcおよび滞留領域Taから滞留していたエアの一部が流通する。この時、エアは、図5(b)の矢印で示すように、主にエアポケットAcから軸方向前側に向かって流通する。ここで、ハウジング10の内部において、隙間Apにより連通し、供給されるエアが流通し得るエアの流通領域が形成される。この供給されるエアは、第一開口部11a,12aからエアポケットAcに供給されるエア、または第二開口部11b,12bから滞留領域Taに供給されるエアである。このエアの流通領域は、エアポケットAcまたは滞留領域Taに供給されるエアの圧力や隙間Apの大きさ、各部材間のシール状態または密閉状態などにより変動するものである。
続いて、隙間Apを軸方向前側に抜けたエアは、センサベース27の軸方向前側端面およびカバー部材26の軸方向後側端面との間を径方向外方に流通する。そして、エアは、ハウジングキャップ25の軸方向前側端面に開口部を有する排気路25aから排気され、ドレンに排出される。このようなエアの流通により、エアシールは、カバー部材26よりも内側(軸方向後側)にクーラントや切り粉などが侵入した場合に、隙間Apからエアを流出し隙間Apへの異物侵入を防止している。さらに、エアシールは、エアを隙間Apからハウジングキャップ25の排気路25aへ流通させることにより、カバー部材26よりも内側に侵入した異物をドレンに排出している。このように、主軸装置1のエアシールは、異物侵入を防止するシール構造を構成している。
上述したように、主軸装置1のエアシールは、隙間Apへの異物侵入を防止することで、各軸受装置61〜63や変位センサ71〜74の検出部71b〜74b、およびターゲット部43への異物侵入を防止するものである。ここで、このエアシールにおけるエアポケットAcおよび滞留領域Taは、エア流路11,12を介してエアポンプから圧縮されたエアが供給される。この時、エアポケットAcおよび滞留領域Taが環状からなるため、その形成面において第一開口部11a,12aまたは第二開口部11b,12bが形成された位相の内圧は、他の位相の内圧と比較して高い状態となる。そこで、第一、第二開口部11a,12a,11b,12bをより高いシール効果を要請される変位センサ71〜74などの部材が配置される位相またはその周辺に形成すると好適である。
(主軸装置1による効果)
本発明の工作機械の主軸装置1によると、ハウジング10の内周面15および主軸30の外周面41により形成される隙間Apにおいて、主軸装置1におけるエアシールにより供給されるエアを滞留する環状の滞留領域Taが形成される。そして、変位センサ71〜74およびターゲット部43は、滞留領域Taの形成面において互いに対向するように配置される構成としている。ここで、主軸装置1に設けられたエアシールは、上述したように、ハウジング10および主軸30の隙間Apに形成されたエアポケットAcに圧縮されたエアを供給する。これにより、主軸30の全周に亘りエアが充填され、主として、主軸30における刃具81の取付端側にエアを流通させてシール効果を得るものである。
本発明では、このエアシールのエアポケットAcと同様に、エアを滞留する環状の滞留領域Taを形成している。そして、この滞留領域Taにエアシールにより供給されるエアの一部を分岐して流通させている。つまり、エアシールのエアポケットAcおよび滞留領域Taは、例えば、エアの供給源であるポンプユニットから分岐したエア流路を介して、エアがそれぞれに供給される。そのため、エアを滞留するエアポケットAcおよび滞留領域Taは、エアシールのシール構造の中でも異物が侵入し難い部位である。そこで、上記構成とすることにより、変位センサ71〜74の検出部71b〜74bおよびターゲット部43への異物侵入を防止することができる。これにより、異物侵入に起因した変位センサ71〜74の誤検出および検出部71b〜74bまたはターゲット部43の劣化を防止することができる。
ここで、変位センサ71〜74およびターゲット部43は、ハウジング10の径方向に対向するように配置されている。このように、変位センサ71〜74が主軸30のラジアル方向の変位を検出する場合に、滞留領域Taの軸方向幅であるシール溝幅Wsは、ターゲット部43の軸方向幅であるターゲット幅Wtよりも大きくなるように設定される構成としている。変位センサ71〜74の検出部位に配置されるターゲット部43は、主軸30が変位しても適正にその変位を検出可能とするために、十分なターゲット幅Wtが設定されることが好適である。そこで、上記構成にすることにより、ターゲット部43への異物侵入を確実に防止することができる。これにより、変位センサ71〜74とターゲット部43の間に異物がない良好な検出状態を維持できるため、検出精度の低下を防止できる。
エア流路11,12の第二開口部11b,12bは、滞留領域Taの形成面において、変位センサ71〜74が配置されたハウジング10の所定位相と異なる位相に形成される構成としている。エアの滞留領域Taは、例えばエアの供給源であるポンプユニットからエア流路11,12を介して、圧縮されたエアを供給される。そして、変位センサ71〜74および第二開口部11b,12bがハウジング10の所定位相において同位相となるように位置すると、変位センサ71〜74の検出部71b〜74bと第二開口部11b,12bを配置するために、滞留領域Taの幅に相当するシール溝幅Wsを広く設定する必要がある。そこで、上記構成とすることにより、変位センサ71〜74および第二開口部11b,12bの位置関係により、シール溝幅Wsを適正に設定することができる。
また、主軸30は、ハウジング10に回転可能に支持される主軸本体31と、主軸本体31に対して着脱可能な別体からなり、ターゲット部43が配置される主軸キャップ40と、を有する構成としている。ここで、変位センサ71〜74の検出部位に配置されるターゲット部43は、主軸30へ加えられる大きな荷重により他部材と接触すると破損するおそれがある。また、ターゲット部43は、主軸装置1における駆動環境などにより外力の影響や熱影響を受けて経年劣化するため、主軸装置1からの取り外しや分解などのメンテナンスが容易であることが好ましい。
ここで、主軸装置1において、ターゲット部43が配置される主軸30が各軸受装置61〜63を介してハウジング10に回転可能に支持される。そのため、主軸30をハウジングから取り外し、ターゲット部を補修した後に、正確に位置決めして元の支持状態に戻すには大きな労力と時間が必要となっていた。そこで、上記構成とすることにより、主軸本体31をハウジング10に支持された状態のままで、ターゲット部43が配置される主軸キャップ40を着脱することができる。これにより、例えば、ターゲット部43の補修や交換が必要となった場合に、主軸キャップ40の交換などによりターゲット部43を容易にメンテナンスすることができる。
さらに、この主軸キャップ40は、工具ユニット80のホルダ82の外周面と当接するテーパ状内周面42が形成される構成としている。一般に、主軸30が工具ユニット80を保持する際には、工具ユニット80のホルダ82の外周面に対して、この外周面に応じたテーパ状内周面42が主軸30に形成される。そして、両面を当接させた状態で、工具ユニット80のホルダ82をドローバー85により主軸30の軸方向後側に引き込むことにより主軸30に対して工具ユニット80の刃具81を心出ししている。この時、主軸30は強固に工具ユニット80を保持するため、テーパ状内周面42には大きな圧力が加えられることになる。
ここで、主軸30におけるターゲット部43が装着される部位のみを主軸キャップ40とすると、主軸本体31がテーパ状の内周面を有することになる。そうすると、テーパ状の内周面から主軸キャップ40までの距離が十分でないと、大きな圧力が加えられる部材としては剛性が不足するおそれがある。そこで、上記構成とすることで、主軸キャップ40がテーパ状内周面42を有するので、主軸本体31に対してターゲット部43を着脱可能としても、部材全体として剛性を向上させることができる。
変位センサ71〜74は、インダクタンス式センサであり、ターゲット部43は、積層された珪素鋼板により形成される構成としている。変位センサ71〜74をインダクタンス式センサとした場合に、変位センサ71〜74のコイルが発生する磁界の影響により、検出部位に渦電流が生じることがある。主軸30に渦電流が生じると、発生した渦電流がインダクタンスの変化に影響を与え、ノイズとして現れることがある。そこで、上記構成とし、絶縁皮膜を介して珪素鋼板を積層すると、渦電流は積層される個々の珪素鋼板の内部で生じることになる。これにより、ターゲット部43全体として大きな渦電流の発生を防止できる。よって、変位センサ71〜74の検出精度を向上させることができる。
<第二実施形態>
第二実施形態において、本発明の工作機械の主軸装置101の機械構成部分について、図6〜図9を参照して説明する。ここで、第二実施形態の構成は、主に、第一実施形態における複数の変位センサ71〜74が検出対象とする変位方向がラジアル方向であったのに対して、アキシャル方向とした点が相違する。なお、その他の構成については、第一実施形態と同一であるため、詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
(主軸装置101の構成)
本実施形態の工作機械の主軸装置101は、主として、ハウジング110と、主軸130と、モータ50と、2つの変位センサ171,172とから構成される。この主軸装置101は、工作機械に固定されたハウジング110の内周面15に第一軸受装置61、第二軸受装置62および第三軸受装置63を介して回転自在に主軸130を支持している。
ハウジング110は、図6に示すように、主軸ハウジング120に形成された2本のエア流路111,112を有している。ハウジング110のエア流路111,112は、エアの供給源であるポンプユニット(図示せず)に接続され、そのポンプユニットより所定の圧力に調整されたエアが供給される。ハウジング110の内周面15は、主軸ハウジング120により形成される面である。つまり、内周面15は、図9(b)の太線で示すように、主軸130の軸線に対して平行でない面を含むものである。
また、主軸ハウジング120は、ハウジング110のエア流路111,112の一部が軸方向に延びるように形成されている。これにより、センサベース127および主軸130により構成されるエアシールに圧縮されたエアを供給可能としている。また、ハウジングキャップ25は、軸方向前側端面に開口部を有する内部配管25bが形成されている。この内部配管25bは、ハウジングキャップ25よりも軸方向前側に配置される複数の変位センサ171,172の各配線171a,172aが集約された後に挿通するための配管である。
センサベース127は、ハウジングキャップ25とカバー部材26の間に配置される略円筒状の部材である。このセンサベース127は、図9に示すように、外周面に形成されたOリング用シール溝27aと、内周面に形成された第一エアシール溝27bおよびセンサ用シール溝27cとを有する。センサベース127は、主軸ハウジング20において連結固定される各部材21〜25に対して着脱可能となっており、ハウジングキャップ25の内周に嵌合することにより心出しされる。また、センサベース127の内周面に対向する主軸130の外周面41には、同一の軸方向位置に第二エアシール溝40bが形成されている。このような構成により、図9(b)に示すように、ハウジング110の内周面15および主軸130の外周面41により形成される隙間Apにおいて、供給されるエアを滞留する環状のエアポケットAcが形成される。
また、センサベース127は、ハウジング110に対する主軸130の変位を検出する2つの変位センサ171,172が異なる所定位相にそれぞれ配置されている。本実施形態において、変位センサ171,172は、主軸130のアキシャル方向(主軸130の軸方向)の変位を検出する。そのため、変位センサ171,172は、その検出部171b,172bが主軸130の外周面41に向けて配置される。この時、変位センサ171,172の検出部171b,172bと主軸130の外周面41とは、僅かに離間している。
2つの変位センサ171,172は、図7に示すように、センサベース127の周方向に等間隔となるように、180(deg)間隔で配置される。これにより、主軸装置101は、Y軸正方向に配置される変位センサ171と、Y軸負方向に配置される変位センサ172とにより、主軸130のZ軸方向への変位を検出している。このように、本実施形態の工作機械は、ハウジング110に対する主軸130のZ軸方向への変位を複数の変位センサ171,172の検出値から求めている。これにより、加工による主軸装置101への熱影響や検出誤差などを補正し、変位検出の高精度化を図っている。
センサベース127のセンサ用シール溝27cは、主軸130の外周面41と対向するセンサベース127の内周面において形成された環状溝である。また、本実施形態において、変位センサ171,172は、渦電流式センサまたは静電容量式センサを適用している。そのため、主軸130の外周面41において、変位センサ171(172)の検出部171b(172b)と対向する部分をターゲット部143としている。このような構成により、図8,図9(b)に示すように、ハウジング110の内周面15および主軸130の外周面41により形成される隙間Apにおいて、供給されるエアを滞留する環状の滞留領域Taが形成される。つまり、センサ用シール溝27cの溝底面および溝側面と主軸30の外周面41は、エアの滞留領域Taを形成する形成面である。
ここで、本実施形態において、センサベース127に配置された2つの変位センサ171,172の各検出部171b,172bの先端がセンサ用シール溝27cの溝底面の一部を形成している。このような構成において、複数の変位センサ171,172およびターゲット部143がハウジング110の径方向に対向している。そして、センサ用シール溝27cの径方向幅(シール溝幅Ws)は、図8に示すように、ターゲット部143の径方向幅(ターゲット幅Wt)よりも大きくなるように設定されている。
センサベース127においてエアポケットAcを構成する第一エアシール溝27bの溝底面には、センサベース127の周方向に等間隔となるように、180(deg)間隔でエア流路111,112の第一開口部111a,112aが形成されている。また、エア流路111,112は、図9(a)に示すように、センサベース127の内部で分岐している。そして、センサベース127において滞留領域Taを構成するセンサ用シール溝27cの溝底面には、分岐したエア流路111,112の第二開口部111b,112bが形成されている。そして、第二開口部111b,112bは、複数の変位センサ171,172が配置されたセンサベース127の異なる複数の所定位相の何れとも異なる位相に形成されている。
また、複数の変位センサ171,172は、図6に示すように、同一の軸方向位置に配置されている。そして、複数の変位センサ171,172の各配線171a,172aは、図7に示すように、当該変位センサ171,172が位置するセンサベース127の軸方向位置において配線集約位置Pgに集約されている。
主軸130は、全体形状として略円筒状に形成され、主軸本体31と、主軸キャップ140とから構成される。主軸キャップ140は、主軸本体31の軸方向前側に配置され、主軸本体31に対して着脱可能な別体からなる略円筒状の部材である。この主軸キャップ140は、ラビリンスシール溝40aおよび第二エアシール溝40bが形成された外周面41と、テーパ状内周面42と、ターゲット部143とから構成される。主軸キャップ140の外周面41は、図9(b)の太線で示すように、主軸130の軸線に対して平行でない面も含むものであり、ハウジング110の内周面15と僅かな隙間Apをもって離間している。
第二エアシール溝40bは、センサベース127の内周面と対向する主軸キャップ140の外周面41に形成された環状溝である。この第二エアシール溝40bは、センサベース127に形成された第一エアシール溝27bと同一の軸方向位置に形成されている。また、第二エアシール溝40bの溝幅(軸方向幅)と第一エアシール溝27bの溝幅は同じ大きさに設定されている。これにより、第二エアシール溝40bは、第一エアシール溝27bとともにエアポケットAcを形成する。ターゲット部143は、主軸130の外周面41において、変位センサ171(172)の検出部171b(172b)と対向する部分である。よって、変位センサ171,172は、直接的に主軸130の外周面41との距離を検出することにより、ハウジング10に対する主軸130の変位を検出している。
このように構成される工作機械の主軸装置101において、工作機械の制御装置(図示せず)は、複数の変位センサ171,172による出力値に基づいて、ハウジング110に対する主軸130のアキシャル方向(軸方向)の変位を検出する。そして、本実施形態において、制御装置は、検出された主軸130の変位に基づいて、加工時に主軸に加えられるアキシャル方向の荷重を算出する。この算出した荷重に基づく制御装置による工作機械の制御については、第一実施形態と同様なので説明を省略する。また、制御装置は、上記の制御により加工における適正な加工状態を維持し、加工精度の向上を図っている。本実施形態の主軸装置101のエアシールについては、第一実施形態と実質的に同一であるため詳細な説明を省略する。
(主軸装置101による効果)
本発明の工作機械の主軸装置101によると、第一実施形態の主軸装置1と同様の効果を奏する。即ち、本実施形態の主軸装置101において、ハウジング110の内周面15および主軸130の外周面41により形成される隙間Apにおいて、主軸装置101におけるエアシールにより供給されるエアを滞留する環状の滞留領域Taが形成される。そして、変位センサ171,172およびターゲット部143は、滞留領域Taの形成面において互いに対向するように配置される構成としている。
ここで、主軸装置101に設けられたエアシールは、上述したように、ハウジング110および主軸130の隙間Apに形成されたエアポケットAcに圧縮されたエアを供給する。これにより、主軸30の全周に亘りエアが充填され、主として、主軸30における刃具81の取付端側にエアを流通させてシール効果を得るものである。
本発明では、このエアシールのエアポケットAcと同様に、エアを滞留する環状の滞留領域Taを形成している。そして、この滞留領域Taにエアシールにより供給されるエアの一部を分岐して流通させている。つまり、エアシールのエアポケットAcおよび滞留領域Taは、例えば、エアの供給源であるポンプユニットから分岐したエア流路を介して、エアがそれぞれに供給される。
そのため、エアを滞留するエアポケットAcおよび滞留領域Taは、エアシールのシール構造の中でも異物が侵入し難い部位である。そこで、上記構成とすることにより、変位センサ171,172の検出部171b,172bおよびターゲット部143への異物侵入を防止することができる。これにより、異物侵入に起因した変位センサ171,172の誤検出および検出部171b,172bまたはターゲット部143の劣化を防止することができる。その他の第一実施形態の主軸装置1による効果についても同様である。
<第一、第二実施形態の変形態様>
第一、第二実施形態の主軸装置1,101において、エアの滞留領域Taの形成面にエア流路11,12,111,112の開口部11b、12,111b、112bを形成し、滞留領域Taの形成面において互いに対向するように変位センサ71〜74,171,172とターゲット部43,143を配置する構成とした。このように、変位センサおよびターゲット部は、エア流路からエアを供給される滞留領域Taにおいて対向するように配置される位置関係であれば、主軸装置1の内部で配置される位置を適宜変更してもよい。例えば、第一、第二実施形態のエアポケットAcの形成面において、変位センサとターゲット部を対向するように配置する構成としてもよい。これにより、エア流路11,12,111,112を分岐を省略することができる。よって、装置全体としての構成を簡素化し、製造コストを低減することができる。
また、滞留領域Taは、隙間Apにおいてセンサ用シール溝27cの溝底面および溝側面と主軸30,130の外周面41により形成されるものとした。これに対して、ハウジング10,110の内周面15および主軸30,130の外周面41の両面において、対向する2つの溝により滞留領域Taを形成する構成としてもよい。また、主軸30,130の外周面41にセンサ用のシール溝を形成する構成としてもよい。つまり、例えば、センサ用シール溝27cが形成されていない一様なセンサベース27の外周面と、主軸30,130の外周面41に形成した環状のシール溝により滞留領域Taを形成してもよい。このような構成においても同様の効果を奏する。また、一方部材の加工のみで済むことから製造コストを低減することができる。
また、第一、第二実施形態において、複数の変位センサ71〜74,171,172により、ラジアル方向またはアキシャル方向(X,Y軸方向またはZ軸方向)を所定方向として、その変位を検出するものとした。これに対して、各方向の変位は、単数の変位センサにより検出するものとしてもよい。変位検出の高精度化の観点からは複数の変位センサを配置することが望ましいが、十分な検出値を得られる場合には単数の変位センサを配置することによりコストを低減することができる。また、変位センサは、ラジアル方向およびアキシャル方向の両方向の変位を検出するように複数配置する構成としてもよい。