JP2004114014A - 排気ガス浄化用触媒及びその製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒及びその製造方法 Download PDF

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平本 純章
Shinji Yamamoto
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Abstract

【課題】パラジウムのHC酸化活性を効率良く高め、浄化触媒層における脱離HC浄化効率を向上させた排気ガス浄化用触媒及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】内燃機関の排気流路に備えた一体構造型担体に、HC吸着材層と触媒成分層を順次積層して成り、触媒成分層はアルカリ金属やアルカリ土類金属を分散させた無機酸化物とPdとを含有し、HC吸着材層から脱離されたHCを浄化する排気ガス浄化用触媒である。
無機酸化物を、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩と無機酸化物前駆体の塩又はゾルとを混合し均一化した後、乾燥、焼成して上記排気ガス浄化用触媒を得る。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス浄化用触媒及びその製造方法に係り、更に詳細には、内燃機関から排出される排気ガスを浄化し、特にエンジン始動時に排出される高濃度の炭化水素を効率良く除去できる排気ガス浄化用触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、自動車などの内燃機関の排気ガス浄化用触媒として、HC吸着触媒が用いられている。例えば、積層タイプのHC吸着触媒は、アルカリ元素であるBaを添加してPdの浄化性能を向上させるため、コート層を形成した後にBa溶液(酢酸Baなど)に浸漬して作製されていた。
しかし、吸水特性からBaなどは下層の吸着材層(ゼオライト)に担持され易く、効率良く浄化層のPdと作用させることができず、所望の浄化特性を引き出せなかった。
【0003】
このような背景から、Ba等のアルカリ元素を添加する手法として、浄化層スラリーに予めBa粉末(炭酸Baなど)を混合することが実施されている。
しかしながら、この場合は塊状のBaが発生してしまい、効率良く浄化層のPdと作用させることができず、所望の浄化特性を引き出せなかった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パラジウムのHC酸化活性を効率良く高め、浄化触媒層における脱離HC浄化効率を向上させた排気ガス浄化用触媒及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、予めアルカリ元素を組み込んだ複合酸化物を触媒成分層に混ぜ込んでコートした後に、アルカリ元素のマイグレーションを利用してパラジウムを高分散させることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排気ガス浄化用触媒について詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
【0007】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、内燃機関の排気流路に備えた一体構造型担体に、炭化水素吸着材層(以下「HC吸着材層」という)と触媒成分層を順次積層して成る。言い換えれば、HC吸着材層が下層として被覆され、その上に触媒成分層が被覆されている。
このような構成により、代表的には、エンジン始動直後の比較的低温時において、排気ガス中のHCがHC吸着材層に吸着され、その後、排気ガスにより吸着材層が高温になったときにHC吸着材層からHCが脱離し、触媒成分層でこのHCが酸化されて浄化される。
【0008】
ここで、上記触媒成分層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属のいずれか一方又は双方を分散させた無機酸化物とパラジウム(Pd)とを含有する。
この場合は、Pdを活性な表面状態に効率良く維持できるので、脱離HC浄化性能が向上する。即ち、Pdを含有する触媒成分層のみに、効率良くアルカリ元素の効果(耐久性向上)を均一に与えることが可能となる。また、高分散させたアルカリ元素がPd粒子同士のシンタリング抑制にも作用し、耐久性向上が期待できる。なお、上記Pdは、上記無機酸化物に担持された状態で用いることがより好適である。
【0009】
また、上記無機酸化物は、シリカ、アルミナ、チタニア、セリア又はジルコニア、及びこれらの任意の組合せに係るものを複合化させて成ることが好適である。このときは、アルカリ元素のマイグレーション後の分散性を維持でき、高分散されたアルカリ元素がPdに作用するので、特に耐久後の脱離HC浄化性能が向上し易い。
【0010】
更に、上記無機酸化物は、酸化物換算で1〜30%のアルカリ金属、アルカリ土類金属のいずれか一方又は双方を含むことが好適である。このときは、アルカリ元素の助触媒作用を安定化できるので、Pd上の脱離HC浄化性能を安定的に向上できる。なお、アルカリ元素の含有量が1未満%では添加の効果が小さいことがあり、30%超では効果が飽和し、無機酸化物の安定性が損なわれ性能低下を引き起こし易い。
特に、上記アルカリ金属としてはバリウム(Ba)、上記アルカリ土類金属としてはマグネシウム(Mg)を用いることがよい。これらは、無機酸化物中に高分散に共存させ易く、Pdに対する作用が大きいので有効である。
【0011】
なお、上述した無機酸化物としては、代表的には、TiO−BaO、Al−BaO、SiO−Al−BaO、CeO−BaO、CeO−ZrO−BaO、CeO−Al−BaO、Al−MgO、CeO−MgO又はCeO−ZrO−MgO、及びこれらの任意の組合せに係るものが挙げられる。
【0012】
一方、上記HC吸着材層としては、例えば、公知のゼオライトを用いることができる。特に、常温から高い温度(評価条件によって異なるが、例えば100℃)で、しかも水存在雰囲気下でも十分なHC吸着性能を有し、且つ高い耐久性を有するゼオライトを適宜選択して用いることが望ましい。
また、各種ゼオライトには、パラジウム(Pd)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、リン(P)、ホウ素(B)又はジルコニウム(Zr)、及びこれらの任意の混合物を、イオン交換法、含浸法及び浸漬法などの常法によりゼオライトに担持し、吸着性能や脱離抑制能を更に向上させることができる。
【0013】
また、上記触媒成分層は、更に白金(Pt)及び/又はロジウム(Rh)と、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)又はランタン(La)、及びこれらの任意の組合せに係るものを金属換算で1〜10原子%含むアルミナと、Zr、ネオジウム(Nd)、プラセオジム(Pr)、イットリウム(Y)又はLa、及びこれらの任意の組合せに係るものを金属換算で1〜50原子%含むセリウム酸化物と、を含有して成ることが好適である。
このときは、触媒成分層における脱離HC転化率がより向上し易い。また、助触媒成分を添加したアルミナと酸素供給源であるセリウム酸化物を含むので、共存する貴金属のHC酸化活性が高められる。特に、これらがPdを担持した状態で用いると尚更よい。
【0014】
更に、上記触媒成分層は、更にCe、Nd又はLa、及びこれらの任意の組合せに係るものを金属換算で1〜40原子%含むジルコニウム酸化物を含有して成ることが好適である。
このときは、触媒成分層における脱離HC転化率が向上し易い。また、ジルコニウム酸化物を含むことで、貴金属元素が活性な状態になり易い。特に、かかるジルコニウム酸化物とともにPt及びRhを含有するとよい。
【0015】
なお、本発明の排気ガス浄化用触媒は、モノリス担体(一体構造型担体)に上記触媒成分層及びHC吸着材層を設けて成るが、かかるモノリス担体としては、耐熱性材料から成るハニカム状担体やメタル担体を使用することが望ましい。
特に、自動車の排気ガス中を浄化するに当たっては、ハニカム状担体を用いることにより、触媒成分と排気ガスとの接触面積を大きくなり、圧力損失が抑制し易く、振動・摩擦にも強くなるため、より有効である。また、このハニカム状担体としては、一般にセラミックス等のコーディエライト質のものが多く用いられるが、フェライト系ステンレス等の金属材料から成るハニカム状担体を用いることも可能であり、更には触媒材料粉末自体をハニカム状に成形してもよい。
【0016】
次に、本発明の排気ガス浄化用触媒の製造方法について詳細に説明する。
上述の排気ガス浄化用触媒は、担体上にHC吸着材層を被覆し、その上に触媒成分層を被覆して得られる。本発明の製造方法では、上記触媒成分層に含める無機酸化物を、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方と無機酸化物前駆体の塩又はゾルとを混合し均一化した後、乾燥、焼成して得ることを特徴とする。
この場合は、酸化物中のアルカリ元素が高分散となり、Pd含有層においてアルカリ元素を少量且つ均一にマイグレーションさせ得る。これより、高分散なアルカリ元素がPdに作用するので、特に耐久後の脱離HC浄化性能が向上する。なお、「マイグレーション」とは、分子や粒子が拡散し、系内を移動することを意味するが、特に、ここではPdを含有する触媒成分層(主にコート層表面)でアルカリ成分を均一に分散させることを示す。
【0017】
また、上記触媒成分層の作製に際し、アルカリ金属含有粉末、アルカリ土類金属含有粉末のいずれか一方又は双方を含むコート層を形成した後、このコート層を酸性溶液で前処理し、アルカリ金属、アルカリ土類金属のいずれか一方又は双方をマイグレーションさせることができる。
この場合は、酸処理によってアルカリ元素(Baなど)が徐々に溶出し、浄化触媒層内に分散されるので有効である。また、Pdを担持した無機酸化物に高分散担持され易い。よって、使用初期からPdとアルカリ元素の相互作用を得られる。また、酸性溶液は弱酸性領域(pH=4〜6程度)のものを使用するのが良い。これはアルカリ元素の急激な溶出が抑えられ、必要以上のマイグレーションを起こさないようにするためである。
【0018】
更に、上記触媒成分層の作製に際し、アルカリ金属含有粉末、アルカリ土類金属含有粉末のいずれか一方又は双方を含むコート層を形成した後、このコート層を、水を1.0vol%以上含み且つガス温度が300〜800℃の条件下で、酸化雰囲気と還元雰囲気を交互に変動させて処理することができる。
この場合は、HO存在下で酸化−還元を繰り返す雰囲気変動により、アルカリ元素が凝集することなく、分散化がゆっくりと進行するので有効である。また、Pdを担持した無機酸化物に高分散担持され易い。よって、高分散なアルカリ元素とPdとの相互作用が得られ、脱離HC浄化性能が向上し得る。具体的には、例えばエンジンからの排気ガスによる処理が該当する。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
Si/2Al=25のβ−ゼオライト粉末160gとシリカゾル(日産化学製ST−OS)を200g(固形分濃度20%)と純水300gをアルミナ製ボールミルポットに投入し、60分間粉砕してスラリー液を得た。このときの平均粒子径は、4μm〜6μmであった。このスラリー液をコーディエライト製モノリス担体(400セル/6ミル、触媒容量0.12L)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて、100℃の空気流通下30分間乾燥した後、400℃で1時間焼成した。このときの塗布量としては、焼成後に200g/Lになるまでコーティング作業を繰り返し、触媒−aを得た。
【0021】
アルミナゾル(固形分濃度20%)と酢酸バリウム溶液(40%)を混合攪拌しながら、10%アンモニア水を少量ずつ滴下してゲル化させた。このゲル状アルミ−バリウム混合物を150℃で24時間乾燥した後、400℃で1時間、次いで、600℃で1時間焼成し、バリウム含有酸化物(Al−BaO)を得た。このときのバリウム含有量は酸化物換算で20%だった。更に、調製したバリウム含有酸化物に、硝酸パラジウム水溶液を含浸或いは高速撹拌中で噴霧し、150℃で24時間乾燥した後、400℃で1時間、次いで、600℃で1時間焼成し、Pd担持粉末(粉末a)を得た。この粉末aのPd濃度は3.0%であった。
Zr30mol%含有セリウム酸化物粉末(Ce70mol%)に、硝酸パラジウム水溶液を含浸或いは高速撹拌中で噴霧し、150℃で24時間乾燥した後、400℃で1時間、次いで、600℃で1時間焼成し、Pd担持セリウム酸化物粉末(粉末b)を得た。この粉末bのPd濃度は2.0%であった。
【0022】
上記Pd担持アルミナ粉末(粉末a)250g、Pd担持セリウム酸化物粉末(粉末b)125g、硝酸酸性アルミナゾル250g(ベーマイトアルミナ10%に10%の硝酸を添加することによって得られたゾルでAl換算で25g)を純水175gを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリー液を得た。このときの平均粒子径は、4μmであった。このスラリー液を上記コート触媒−aに付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて乾燥し、400℃で1時間焼成し、コート層重量80.0g/Lを塗布し、触媒−bを得た。このときの触媒の貴金属担持量は、Pd2.0g/Lであった。
【0023】
Zr3mol%を含むアルミナ粉末(Al:97mol%)に硝酸ロジウム水溶液を含浸し、10℃で12時間乾燥した後、400℃で1時間焼成して、Rh担持アルミナ粉末(粉末c)を得た。この粉末cのRh濃度は1.5%であった。
上記粉末c330gと、Ce20mol%含有ジルコニウム酸化物粉末(Zr80mol%)を100g、硝酸酸性アルミナゾル200g(ベーマイトアルミナ10%に10%の硝酸を添加することによって得られたゾルでAl換算で20g)を純水370gを磁性ボールミルに投入し、混合・粉砕してスラリー液を得た。このときの平均粒子径は、4μm〜5μmであった。このスラリー液を先ほどの触媒−bに更に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去・乾燥し、400℃で1時間焼成した。Rhスラリー45g/L、コート層総重量325g/L−担体の触媒−cを得た。このときのRhの担持量は0.5g/L(Pd/Rh比は5/1)であった。
完成した触媒を、pH=5.0に調整した酢酸水溶液に1分間浸漬した後、余剰の水分を空気流にて除去後、乾燥し、400℃で再度1時間焼成処理を施した。
【0024】
(実施例2)
Pdを担持するアルカリ元素含有酸化物粉末を、Al−BaO(BaO含有量20%)から、TiO−BaO(BaO含有量10%)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、触媒−dを得た。
【0025】
(実施例3)
Pdを担持するアルカリ元素含有酸化物粉末を、Al−BaO(BaO含有量20%)から、SiO―Al―BaO(BaO含有量25%、SiO含有量25%)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、触媒−eを得た。
【0026】
(実施例4)
Pdを担持するアルカリ元素含有酸化物粉末を、Al−BaO(BaO含有量20%)から、CeO―ZrO―MgO(MgO含有量5%)に変更し、更に共存させるPd担持セリウム酸化物粉末(粉末b)において、セリウム酸化物の代わりに、Ce3mol%、Zr3mol%を含有するアルミナ(粉末d)上にPdを担持した粉末(粉末e)を使用した。また、完成後の処理を酢酸処理から、ガソリンエンジン排気(ガス入口温度350℃)でλ=0.9、1.1を各5sec、定常(λ=1.0)を60secのモードを繰り返し、5時間処理した。これら以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、触媒−fを得た。
【0027】
(実施例5)
Pdを担持するアルカリ元素含有酸化物粉末を、CeO―ZrO―MgO(MgO含有量5%)から、Al―MgO(MgO含有量10%)に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を繰り返して、触媒−gを得た。
【0028】
(実施例6)
Pdを担持するアルカリ元素含有酸化物粉末を、CeO―ZrO―MgO(MgO含有量5%)から、CeO―ZrO―BaO(BaO含有量15%)に変更し、完成後の処理を酢酸処理から、ガソリンエンジン排気の処理温度をガス入口温度700℃で処理したこと以外は、実施例4と同様の操作を繰り返して、触媒−hを得た。
【0029】
(実施例7)
Pdを担持するアルカリ元素含有酸化物粉末を、CeO―ZrO―MgO(MgO含有量5%)から、CeO―Al―BaO(BaO含有量20%)に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を繰り返して、触媒−iを得た。
【0030】
(比較例1)
バリウム含有酸化物粉末を用いず、Pd担持粉末に粉末bと粉末eを使用し、完成触を酢酸バリウム溶液に浸漬し、実施例1相当のバリウム量を添加したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、触媒−jを得た。
【0031】
(比較例2)
バリウム含有酸化物粉末を用いず、Pd担持粉末として粉末bと粉末eを使用し、実施例1と同量のバリウム量を炭酸バリウム粉末を混ぜ込むことによって添加したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、触媒−kを得た。
【0032】
(評価方法)
下記耐久条件にて各触媒を急速劣化させ、そのサンプルをモデルガスにより評価し、HC浄化性能を比較した。
耐久条件
エンジン排気量    3000cc
燃料         ガソリン(日石ダッシュ)
触媒入口ガス温度   800℃
耐久時間       30時間
【0033】
評価条件
評価温度300℃
NO:1000ppm、CO:0.5%、O2:0.4%、C:500ppm、HO:10%、CO:14%、残部N
サンプル容量:40cc
サンプルガス流量:50L/min
【0034】
【表1】
Figure 2004114014
【0035】
表1に示すように、実施例1〜7で得られた排気ガス浄化用触媒は本発明の好適形態であり、優れたHC浄化率を示すことがわかる。これに対して、比較例1、2で得られた触媒は、本発明の要件を満たさないため、HC浄化率が低いことがわかる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、予めアルカリ元素を組み込んだ複合酸化物を触媒成分層に混ぜ込んでコートした後に、アルカリ元素のマイグレーションを利用してパラジウムを高分散させることとしたため、パラジウムのHC酸化活性を効率良く高め、浄化触媒層における脱離HC浄化効率を向上させた排気ガス浄化用触媒及びその製造方法を提供することができる。

Claims (11)

  1. 内燃機関の排気流路に備えた一体構造型担体に、炭化水素吸着材層と触媒成分層を順次積層して成る排気ガス浄化用触媒であって、
    上記触媒成分層は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を分散させた無機酸化物とパラジウムとを含有し、HC吸着材層から脱離された炭化水素を浄化することを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. 上記無機酸化物が、シリカ、アルミナ、チタニア、セリア及びジルコニアからなる群より選ばれた少なくとも1種のものを複合化させて成ることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒。
  3. 上記無機酸化物に上記パラジウムが担持されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化用触媒。
  4. 上記無機酸化物が酸化物換算で1〜30%のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化用触媒。
  5. 上記無機酸化物が、TiO−BaO、Al−BaO、SiO−Al−BaO、CeO−BaO、CeO−ZrO−BaO、CeO−Al−BaO、Al−MgO、CeO−MgO及びCeO−ZrO−MgOから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化用触媒。
  6. 上記アルカリ金属がバリウム、上記アルカリ土類金属がマグネシウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化用触媒。
  7. 上記触媒成分層が、更に白金及び/又はロジウムと、セリウム、ジルコニウム及びランタンから成る群より選ばれた少なくとも1種を金属換算で1〜10原子%含むアルミナと、ジルコニウム、ネオジウム、プラセオジム、イットリウム及びランタンから成る群より選ばれた少なくとも1種を金属換算で1〜50原子%含むセリウム酸化物と、を含有して成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化用触媒。
  8. 上記触媒成分層が、更にセリウム、ネオジウム及びランタンから成る群より選ばれた少なくとも1種を金属換算で1〜40原子%含むジルコニウム酸化物を含有して成ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化用触媒。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化用触媒を製造するに当たり、
    上記無機酸化物を、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と無機酸化物前駆体の塩又はゾルとを混合し均一化した後、乾燥、焼成して得ることを特徴とする排気ガス浄化用触媒製造方法。
  10. 上記触媒成分層の作製に際し、アルカリ金属含有粉末及び/又はアルカリ土類金属含有粉末を含むコート層を形成した後、このコート層を酸性溶液で前処理し、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属をマイグレーションさせることを特徴とする請求項9に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  11. アルカリ金属含有粉末及び/又はアルカリ土類金属含有粉末を含むコート層を形成した後、このコート層を、水を1.0vol%以上含み且つガス温度が300〜800℃の条件下で、酸化雰囲気と還元雰囲気を交互に変動させて処理することを特徴とする請求項9に記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
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