JP2004113821A - 運動処方支援装置 - Google Patents

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JP2004113821A JP2003402228A JP2003402228A JP2004113821A JP 2004113821 A JP2004113821 A JP 2004113821A JP 2003402228 A JP2003402228 A JP 2003402228A JP 2003402228 A JP2003402228 A JP 2003402228A JP 2004113821 A JP2004113821 A JP 2004113821A
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天野 和彦
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上馬場 和夫
Hitoshi Ishiyama
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Abstract

【課題】 大掛かりな装置に拘束されず、かつ、煩雑な作業を伴わずに、最大酸素摂取量を求める。
【解決手段】
 被験者の脈波波形を検出する脈波検出部101と、脈波波形から被験者の心拍数を求めるFFT処理部103と、被験者が走行運動した場合の体動を検出する体動検出部104と、体動から被験者の走行運動におけるピッチを求めるFFT処理部106と、ピッチ、被験者の歩幅、体重から当該走行運動における運動強度を求める運動強度演算部108と、As trand-Ryhmingのノモグラムで示される関係を記憶し、心拍数と運動強度とから最大酸素摂取量を求めるノモグラム記憶部109とを備え、求めた最大酸素摂取量を被験者の体重で割って、単位体重あたりの最大酸素摂取量を演算する。
【選択図】   図1

Description

 この発明は、適正な運動を使用者に処方するために用いて好適な運動処方支援装置に関する。
 従来より、健康増進のために運動を行う人は多い。
 ところで、運動を行う場合、ある一定強度以下の運動は無意味であり、ある一定強度以上の運動は危険であるため、適正強度の運動を行う必要があるが、該運動強度が適正であるか否かを知るのは難しかった。
 この理由は、適正な運動強度を求めるためのデータの取得が困難であるためである。そこで、この原因についてさらに詳述する。
 例えば、適正な運動強度を求めるために最大酸素摂取量を用いる方法が知られている。
 一般に、最大酸素摂取量(VO2max)とは、ヒト(広義には生体)が単位時間あたりに摂取しうる最大酸素量をいい、特に、身体の大きさを加味して、そのヒトの体重で割ったもの(VO2max/wt)は、そのヒトの持久性体力を示す絶対的な指標と考えられている。このため、最大酸素摂取量が持つ意義は、スポーツ生理学などにおいて極めて高い。例えば、単位体重あたりの最大酸素摂取量を用いると、そのヒトの体力を定量的に評価することが可能となって、トレーニングの効果を確認するのが容易となる。
 ここで、最大酸素摂取量を求める方法には、従来より様々のものがあるが、被験者に対し、ある強度の運動付加を与え、それに対する生理的パラメータを測定する点において、いずれも共通している。
 次に、これらの方法を大別すると、被験者の呼気を測定して最大酸素摂取量を直接的に求める直接法と、最大酸素摂取量と相関性の高い生理的パラメータを測定し、それらパラメータから最大酸素摂取量を間接的に求める間接法との2種類に分けられる。このうち、間接法には、最大酸素摂取量と相関性の高い乳酸値や、心仕事量などを測定する方法や、Astrand-Ryhmingのノモグラムを用いた方法などがある。
 しかしながら、直接法および間接法のいずれにおいても、ある運動負荷を被験者に与えるのに、従来では、トレッドミルや自転車エルゴメータなどのような装置を用いていたため、当該装置の設置場所や台数などのような物理的な制約を受けるばかりでなく、被験者を装置自体に拘束するため、被験者に対し精神的なストレスを与えるといった問題点があった。
 さらに、直接法では、被験者の呼気ガスを直接測定するために、装置自体が大掛かりとなり、また、オールアウトと呼ばれる限界点まで運動負荷を加える必要があるため、疾患者や、半健康者、中高年者などへの適用が困難であった。
 一方、間接法のうち、乳酸値を測定する方法では、血液採取が必要であり、また、心仕事量を測定する方法では、収縮期血圧を求めなければならないなど、測定方法において煩雑さがあった。
 この発明は、このような背景の下になされたもので、適正な運動処方を提示することができる運動処方支援装置を提供することを目的とする。
 本発明は、使用者の最大酸素摂取量を記憶する記憶手段と、この最大酸素摂取量に基づいて運動処方を求める処方手段と、求められた運動処方を使用者に告示する告示手段とを具備することを特徴としている。これにより、適正な運動処方を提示することが可能となる。
 添付図面を参照しながら、本発明に係る様々な実施形態を説明する。
<1.第1実施形態>
 以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
<1.1.実施形態の構成>
 まず、本発明の第1実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置について説明する。本実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置は、被験者に対し、ある運動をさせて、ある時点における運動強度(作業強度、仕事率)と心拍数とから、Astrand-Ryhmingのノモグラム(Astrand, P. O. and Ryhming, I.: A nomogram for calculation of aerobic capacity(physical fitness) from pulse rate during submaximal work. J. Appl. Physiol., 218〜221, 1954.)を用いて最大酸素摂取量(VO2max[リットル/分])を推定するとともに、この推定値を被験者の体重で割って、単位体重あたりの最大酸素摂取量(VO2max/wt[単位:ミリリットル/kg/分])として求めるものである。
<1.1.1.Astrand-Ryhmingのノモグラム>
 ここで、本実施形態の構成を説明する前に、上記Astrand-Ryhmingのノモグラムについて簡単に説明しておく。図3は、このノモグラムの内容を示す図である。
 このノモグラムでは、最大酸素摂取量(VO2max)が、運動強度を右軸に、心拍数を左軸にそれぞれプロットして、両点を結んだ直線と中軸との交点の座標の値で示され、各引数(パラメータ)は、性別毎に適用される。すなわち、最大酸素摂取量(VO2max)は、性別を指定すれば、運動強度および心拍数を引数とする関数により推定できることとなる。
<1.1.1.1.ノモグラムへの適用条件>
 次に、上記Astrand-Ryhmingのノモグラムへの適用条件について説明しておく。
 一般に、運動強度と心拍数とは、図4に示すように、運動強度が所定値以下であれば、心拍数は運動強度に比例して増加する関係にある。ところが、運動強度が所定値を越えると、運動強度の増加に対して、心拍数の増加の割合が鈍化してゆき、遂には飽和してしまう。ここで、運動強度と心拍数とが比例関係から逸脱し始める変異点を、一般に、HRtp(Heart Rate turn point)と呼んでいる。
 なお、この変異点HRtpは、無酸素的作業しきい値(Anaerobic Threshold、いわゆるAT値)より若干高くなるが、ほぼ等しくなることが知られている。
 ここで、Astrand-Ryhmingのノモグラムは、被験者の運動強度と心拍数とが直線関係にある状態を前提として、作成されている。
 このため、上記ノモグラムを用いて、最大酸素摂取量を精度良く推定するには、被験者の運動強度と心拍数とに直線関係が成立していなければならない。ここで、直線関係が成立しているか否かを判別するためには、運動強度を、少なくとも3段階以上で測定し、各段階での心拍数について求める必要がある一方、その運動については、変異点HRtpが現われるまで、としなければならない。
<1.1.2.機能構成>
 次に、本実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置の機能構成について説明する。図1は、その機能構成を示すブロック図である。
 この図において、脈波検出部101は、被験者の脈波波形を検出するセンサである。脈波検出部101による脈波波形信号は、A/D変換部1021によりディジタル信号に変換され、さらに、FFT処理部103によりFFT処理される。この処理結果により、脈拍数が求められる。なお、本実施形態においては必要なのは心拍数であるが、心拍数イコール脈拍数なので、求めた脈拍数を心拍数としている。したがって、脈波検出部101については、心拍を直接的に検出する構成に置換してもよい。
 一方、体動検出部104は、被験者による走行運動における体の動きを検出するセンサであり、例えば、加速度センサなどから構成される。この体動検出部104による体動信号は、脈波波形と同様に、A/D変換部105によりディジタル信号に変換され、さらに、FFT処理部106によりFFT処理される。この処理結果により、走行運動におけるピッチ、すなわち、単位時間あたりの歩数が求められる。
 記憶部107は、被験者の歩幅(ストライド)、体重および性別の情報を記憶するものである。
 運動強度演算部108は、求めたピッチ、被験者のストライドおよび体重から運動強度を演算するものである。ここで、被験者が行なう運動の形態を走行運動とした場合、運動強度は、単位時間あたりの走行距離と被験者の体重との積によって表わすことができる。このうち、単位時間あたりの走行距離については、被験者のピッチとストライドとを乗じることにより求めることができる。
 ノモグラム記憶部109は、上記Astrand-Ryhmingのノモグラムの関係を記憶するものである。したがって、このノモグラムを用いれば、心拍数、運動強度、性別の情報から、最大酸素摂取量(VO2max)が求められる。
 VO2max/wt演算部110は、求められた最大酸素摂取量(VO2max)を被験者の体重で割って、単位体重あたりの最大酸素摂取量(VO2max/wt)を演算する。
 VO2max/wt表示部1112は、求められた単位体重あたりの最大酸素摂取量(VO2max/wt)の値を被験者に対し表示するものである。
 ここで、制御部120は、各部の動作を制御するものである。
<1.1.3.電気的構成>
 次に、図1に示した機能構成を実現するための電気的構成について説明する。図2は、その構成を示すブロック図である。
 この図において、CPU201は、バスBを介した各部の制御や、各種処理の実行、演算などを行なうものであり、図1におけるFFT処理部103、106、運動強度演算部108、VO2max/wt演算部110および制御部120に相当する。
 ROM202は、CPU201において用いられる基本プログラムのほかに、前述のAstrand-Ryhmingのノモグラムで表わされる関係を記憶するものであり、図1におけるノモグラム記憶部109に相当する。
 ここで、ROM202におけるノモグラムの記憶態様であるが、例えば、図3で示されるノモグラムの関係をテーブル化して記憶することが考えられる。ここで、心拍数と運動強度とをそれぞれ有効数字3桁で求めることとすると、図3に示すように、心拍数については120〜170[拍/分]の50ステップであり、運動強度は300〜1500[kpm/分]の120ステップであるから、これらの組み合わせは、6000通り、さらに男女の性別にあわせて、計12000通り存在する。すなわち、ROM202には、これらの組み合わせの各々に対応して、最大酸素摂取量(VO2max)の値をそれぞれ記憶する一方、測定された心拍数と運動強度とに対応する値をCPU201が読み出すという構成によって、運動強度と心拍数とに対応する最大酸素摂取量の値を得ることができる。ここで、テーブルに要する容量は、組み合わせが12000通りであるから、12Kバイト弱で済む。
 なお、このノモグラムにおいて、右軸の運動強度における単位は[kpm/分]であるので、CPU201は、求めた運動強度をキロ・ポンド・メートルに換算して上記ノモグラムを適用することとする。ちなみに、1.00[kpm/分]=0.1635[W]である。
 また、ROM202では、テーブルによらず、ノモグラムが示す関数自体を記憶する一方、CPU201が当該関数を用いて演算により求める構成でも良い。
 さて、RAM203は、CPU201による制御において用いられる各種データ、例えば、被験者の体重や、ストライド、性別などのデータを一時的に記憶するものであり、図1における記憶部107に相当する。
 センサインターフェイス204は、脈波検出部101および体動検出部104による各アナログ出力信号を、それぞれ所定の時間毎にサンプリングして、ディジタル信号に変換して出力するものであり、図1におけるA/D変換部1021、105に相当する。
 一方、時計回路205は、通常の計時機能のほか、予め設定された時間間隔毎にCPU201に対し割込信号を送出する機能を有している。
 操作部206は、被験者が様々な値の入力や、各種機能(モード)を設定するためのものであり、後述するように種々のボタンスイッチにより構成される。
 アラーム部207は、CPU201の制御によりアラーム音を発生して、被験者に各種の状態変化を告知するものである。その意味において、特にアラームのような聴覚に限られず、例えば、振動による触覚など、被験者の五感に訴えるものであれば足りる。
 表示部208は、CPU201からの各種の情報を表示するためのものであり、例えばLCD(液晶表示パネル)などにより構成され、図1におけるVO2max/wt表示部1112に相当している。
<1.1.4.外観構成>
 本実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置は、通常、被験者の携行品に組み込まれるが、その一例として、図5に示すように腕時計に組み込んだ態様が挙げられる。
 この図に示すように、本態様における最大酸素摂取量推定装置は、腕時計構造を有する装置本体500、この装置本体500に接続されたケーブル501、および、このケーブル501の先端側に設けられた脈波検出部101から構成されている。
 このうち、装置本体500には、リストバンド502が取り付けられている。詳細には、リストバンド502の一端が装置本体500の12時方向から被験者の左腕に巻き付いて、その他端が装置本体500の6時方向で固定されている。
 また、装置本体500における6時の方向の表面側には、コネクタ部503が設けられている。このコネクタ部503には、ケーブル501の端部に設けられたコネクタピース504が着脱自在に取り付けられており、コネクタピース504をコネクタ部503から外すことにより、本装置を通常の腕時計やストップウオッチとして用いることができるようになっている。
 一方、装置本体500の表面には、表示部208が設けられており、現在時刻や日付に加えて、推定された最大酸素摂取量(VO2max/wt)などの情報や、モードなど各種情報を、ドットマトリックスあるいはセグメントで表示する。
 装置本体500の表面には、さらに、ボタンスイッチ511が表示部208の下側に配置し、時刻、日付、体重およびストライドの値を修正するにあたって設定値を1ずつ繰り下げるのに使用される。
 くわえて、ボタンスイッチ512が表示部208の上側に配置し、時刻、日付、体重およびストライドの値を修正するにあたって設定値を1ずつ繰り上げるのに使用されるほか、各種の経過時間測定の開始/停止の指示、性別の指定などを行なうためにも使用される。
 さらに、装置本体500の外周部には、ボタンスイッチ513〜516が、装置本体500に対してそれぞれ2時、4時、8時、10時の方向に設けられている。各ボタンスイッチの機能は、それぞれ次の通りである。
 まず、ボタンスイッチ513は、本装置が有する各種モード、例えば、時計表示モードや、時間計測モード、最大酸素摂取量推定モード、入力・変更モードなどのモードの設定を行なうものである。次に、ボタンスイッチ514は、入力・変更モードにおいて、時分秒、年月日、12/24時間表示切換、体重、ストライド、性別のうち、いずれの値を入力・変更するかを設定するものである。また、ボタンスイッチ515は、表示部208による表示内容を切り換えを指示するものである。そして、ボタンスイッチ516は、表示部208におけるバックライトの点灯を指示するものであり、当該スイッチを押すことによって、EL(Electro Luminescence)が、例えば3秒間点灯して、しかる後に、自動あ的に消灯するようになっている。
 一方、脈波検出部101は、青色LEDと受光部とから構成され(ともに図示せず)、センサ固定用バンド520によって遮光されて、被験者の人指し指の根元から第2指関節までの間に装着されている。そして、脈波検出部101は、青色LEDから光を照射するとともに、その光のうち、毛細血管中のヘモグロビンによって反射したものを受光部により受光し、この受光による出力波形を脈波波形として、ケーブル501を介し装置本体500に出力する。
 なお、外観として現われない要素、たとえば、CPU201や、体動検出部104、センサインターフェイス204などは、装置本体500に内蔵されている。
<1.2.実施形態の動作>
 次に、本実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置に動作について説明する。上述したように、装置本体は、種々のモードを有しており、そのひとつとして、最大酸素摂取量の推定を行なう最大酸素摂取量推定モードを有している。そこで、以下においては、この最大酸素摂取量推定モードの動作について説明し、他のモードについては、本願と直接関係がないので、その説明を省略することとする。
<1.2.1.最大酸素摂取量推定の前提>
 被験者がボタンスイッチ513を操作して、装置本体500の動作モードを最大酸素摂取量推定モードに設定すると、CPU201は、まず、図6に示すメインプログラムを実行する。このメインプログラムは、最大酸素摂取量(VO2max/wt)を推定するにあたって前提となる情報をセットするものであり、詳細には、以下のステップS1〜S11の処理が実行される。
 はじめに、CPU201はステップS1において、たとえばRAM203において必要な領域を確保したり、当該領域をクリアするなどの初期設定処理を実行する。
 次に、CPU201はステップS2において、被験者の性別、体重およびストライドの情報がRAM203にセットされているか否かを判別する。本実施形態においてはじめて最大酸素摂取量を推定する場合、上記情報がRAM203にはセットされていないので、ステップS2の判別を行なっているのである。
 上記情報がセットされている場合、CPU201はステップS3において、当該セット値をRAM203から読み出して表示部208に表示させるとともに、次のステップS4において、これら値を変更するか否かの選択を被験者に促すメッセージを表示させる。
 被験者が変更しない旨の指示を行なうと、CPU201はステップS5において、上記情報を既定値としてRAM203に再セットする。
 一方、上記情報がRAM203にセットされていない場合、あるいは、上記情報を変更する旨の指示が行なわれた場合、CPU201はステップS6において、上記情報が入力されたか否かを判別して、入力されなければ再び処理手順をステップS6に戻す。すなわち、被験者の性別、体重、ストライドが入力されるまで、処理手順がステップS6において待機するようになっている。そして、これらの情報が入力・変更されると、CPU201はステップS7においてそれらの値をRAM203にセットする。
 ここで、性別等の変更する旨の指示としては、たとえば、被験者がボタンスイッチ513を操作して、装置本体500の動作モードを入力・変更モードに設定することなどが考えられる。また、変更しない旨の指示としては、被験者がボタンスイッチ513を一定時間操作しないことなどが考えられる。さらに、性別、体重、ストライドの情報を変更・入力する方法としては、たとえば、被験者が入力・変更モードに設定して、さらに、ボタンスイッチ514により変更・入力する対象を性別、体重、ストライドのいずれかに設定した後、当該対象となった値をボタンスイッチ511あるいは512により1ずつ繰り下げあるいは繰り上げることなどが考えられる。
 さて、被験者の性別、体重、ストライドにかかる情報がRAM203にセットされると、CPU201はステップS8において、体動検出部104による体動信号を検出して、被験者が実際に走行運動を開始しているかを判別し、開始していなければ、処理手順を再びステップS8に戻す。すなわち、被験者が走行運動を開始するまで、処理手順がステップS8において待機するようになっている。
 実際に、被験者が走行運動を開始すると、CPU201はステップS9において、当該走行運動のピッチを後述する方法により検出し、次に、ステップS10において、走行運動の開始を認識した旨を被験者に告知すべく、アラーム部207に対し、検出したピッチに対応するアラーム音をたとえば10秒間だけ発生するように制御する。これにより、走行運動を開始すると、その運動に同期したアラーム音が発生するようになっている。
 そして、CPU201はステップS11において、それぞれ所定の時間間隔毎に実行される2つの割込処理(演算表示処理および運動強度増加告知処理)の実行を許可する。すなわち、被験者の性別等の情報がRAM203にセットされ、かつ、被験者が実際に走行運動を開始すると、CPU201は、演算表示処理および運動強度増加告知処理を、それぞれ所定の時間間隔毎に並列して実行するようになっている。
<1.2.2.ピッチ検出>
 ここで、ステップS9において実行される、走行運動のピッチ検出動作の原理について簡単に説明する。
 被験者が走行運動した場合、体動検出部104における体動信号には、(1)上下動に伴う加速度信号と、(2)腕の振りに伴う加速度信号とが重畳されると考えられる。
 各加速度信号の成分を個別に検討してみると、上下動に伴う加速度は、左足を踏み出したときと、左足を踏み出したときとでは均等に現われるので、上下動に伴う加速度信号の1周期は、走行運動における1歩分と等しい、と考えられる。
 一方、装置本体500が装着される左腕の運動について着目すると、左足を踏み出したとき左手を前方から引き戻し、右足を踏み出したとき左手を後方から降り出す振り子運動なので、腕の振りに伴う加速度信号は、上下動に伴う加速度信号と同期し、かつ、その1周期は走行運動における2歩分と等しい、と考えられる。
 このため、上下動と腕の振り運動との加速度成分が重畳される体動信号は、その第1次高調波成分が上下運動によるものであり、第2次高調波成分が腕の振り運動によるものと考えられる。
 ただし、一般の走行運動では、上下動に伴う加速度よりも腕の振りに伴う加速度の方が大きいので、体動信号には、腕の振り運動による第2次高調波が特徴的に現われるはずである。したがって、走行運動におけるピッチは、たとえば、CPU201が体動検出部104による体動信号を次のように処理することで検出できる。
 すなわち、第1に、CPU201は、体動検出部104における体動信号をFFT処理し、第2に、そのピークが最も大きい高調波成分を、第2次高調波成分であるとして、そのピーク周波数を検出し、第3に、当該ピーク周波数を求め、さらに、1/2を乗じたものを、ピッチとして求める。
<1.2.3.演算表示処理>
 次に、割込処理の1つである演算表示処理の動作について図7を参照して説明する。この演算表示処理は、被験者の走行運動における運動強度と心拍数とから最大酸素摂取量(VO2max/wt)を、所定の時間間隔毎に推定して、表示部に表示させる処理である。
 被験者が走行運動を開始したのを検出して(ステップS8)、割込処理の実行を許可すると(ステップS11)、CPU201は、図7に示す演算表示処理を、所定の時間間隔(例えば30秒毎)に実行する。
 まず、CPU201はステップSa1において、脈波検出部101による脈波波形を、センサインターフェイス204を介して読み取って、脈拍数すなわち拍数[拍/分]を求める。
 次に、CPU201はステップSa2において、体動検出部104による体動信号を、上述したステップS9と同様に処理して、走行運動におけるピッチを検出する。
 さらに、CPU201はステップSa3において、RAM203において記憶された被験者のストライドと直前ステップで検出されたピッチとを乗じて、単位時間あたりにおける被験者の走行距離を算出するとともに、当該走行距離にRAM203に記憶された被験者の体重を乗じて運動強度[W]を求め、これを[kpm/分]に換算する。
 そして、CPU201はステップSa4において、換算した運動強度[kpm/分]と検出した拍数[拍/分]とを組にしてRAM203に記憶する。
 ここで、CPU201はステップSa5において、RAM203に記憶された運動強度と拍数との組が少なくとも3組以上であるか否かを判別する。もし、3組未満であれば、それのみによっては、運動強度と拍数とに直線関係が成立しているか否かを判別できないから、判別結果を「No」として今回の演算表示処理を終了する。後述するように、被験者は、運動強度増加告知処理によって、段階的に運動強度を増加させて走行運動を行なう一方、この演算表示処理は30秒毎に実行され、その都度、RAM203に記憶される運動強度と拍数との組が増加する。したがって、それに従えば、運動強度と拍数との組は、3組以上となって、いずれ判別結果「Yes」となる機会が訪れる。
 さて、運動強度と拍数との組が3組以上である場合、CPU201はステップSa6において、これらに直線関係が成立しているかを判別する。この際、運動強度と拍数とに多少の誤差が含まれているのを考慮しても良い。直線関係が成立していれば、当該走行運動は、変異点HRtpが現われる前に行なわれて、Astrand-Ryhmingのノモグラムにおける適用条件を満たすものであるから、CPU201は以下のステップSa7〜Sa9の処理を実行して、最大酸素摂取量(VO2max/wt)を推定する。
 すなわち、CPU201はステップSa7において、今回の演算表示処理におけるステップSa4で記憶した運動強度と拍数とに対応する最大酸素摂取量(VO2max)であって、RAM203で記憶された性別に対応する値を、ROM202におけるテーブルから読み出し、ステップSa8において、読み出した最大酸素摂取量(VO2max)を、RAM203に記憶された被験者の体重で除し、ステップSa9において、この除算値を単位体重あたりの最大酸素摂取量(VO2max/wt)として表示部208に表示させる。
 したがって、被験者が走行運動を開始後、運動強度と拍数とに直線関係が成立していると、この演算表示処理が実行される毎に、単位体重あたりの最大酸素摂取量(VO2max/wt)が表示部208に表示されることとなる。
 一方、ステップSa6において直線関係が成立しなくなれば、それは、当該走行運動において変異点HRtpが現われたこと、あるいは、被験者が何らかの理由により走行運動を中止したことを示すので、CPU201はステップSa10において、当該走行運動の停止を命令する表示(あるいは、体動信号が出力されていなければ、最大酸素摂取量推定モードを解除した旨を示す表示)して被験者にその旨を告知する。この告知は、アラーム部207のアラーム音によって、あるいは、表示およびアラーム音の両者によって、行なっても良い。
 このように、演算表示処理は、被験者が走行運動開始後、30秒毎に実行されて、当該走行運動における運動強度と拍数とに直線関係が成立していれば、運動強度と心拍数とから最大酸素摂取量(VO2max/wt)を推定して、表示部に表示させる一方、直線関係が成立しなくなれば、被験者に走行運動を終了するように促すようになっている。また、直線関係が成立しているか否かを判断するのに、データが不十分であれば、今回における運動強度と心拍数とを記憶して、次回以降にその判断を持ち越すようになっている。
 なお、演算表示処理の実行間隔は30秒毎に限られない。
<1.2.4.運動強度の増加告知処理>
 次に、他の割込処理である運動強度の増加告知処理について図8を参照して説明する。この運動強度の増加告知処理は、被験者が走行運動を開始した後に、当該走行運動における運動強度の増加する命令を、所定の時間間隔(例えば120秒)毎に、被験者に対して行なう処理である。
 被験者が走行運動を開始したのを検出して(ステップS8)、割込処理の実行を許可すると(ステップS11)、CPU201は、図8に示す運動強度の増加告知処理を、所定の時間間隔(例えば120秒毎)に実行する。
 まず、CPU201はステップSb1において、体動検出部104による体動信号を、上述したステップS9、Sa2と同様に処理して、走行運動におけるピッチを検出する。
 次に、CPU201はステップSb2において、直前ステップで検出したピッチを10%増加したピッチを求め、このピッチにしたがったアラーム音を、例えば10秒間、「ピッ、ピッ、…」という形で発生するように、アラーム部207を制御する。これにより、被験者は走行運動における運動強度を段階的に高める際のタイミングとともに、次段階で走行運動をする際のピッチを参考的に知ることができる。
 このように、運動強度の増加告知処理は、被験者が走行運動開始後、120秒毎に実行されて、その都度、被験者に対し走行運動の運動強度を10%ずつ増加するように告知する。
 なお、走行運動における運動強度は、この運動強度の増加告知処理で求めているのではなく、前述の演算表示処理におけるステップSa2,3において実測・演算して求めるので、被験者は正確に10%だけ運動強度を増加する必要はない。すなわち、運動強度の増加告知というのはあくまでも目安に過ぎない。したがって、被験者は、運動強度を一定に維持したままでも良いし、逆に、ある程度、運動強度を低下させても良いし、さらに、この告知処理によらないで、自分の意志により運動強度を異ならせても良いのである。
 また、目安という観点から言えば、運動強度の増加告知処理の実行間隔は120秒毎に限られない。
<1.3.具体的な動作>
 次に、このような実施形態における具体的な動作について説明する。
 まず、被験者は、ボタンスイッチ513を操作して、装置本体500のモードを最大酸素摂取量推定モードに設定する。これにより、図6に示すメインプログラムが実行され、現時点においてセットされている性別、体重およびストライドの情報が表示部208に表示される(ステップS3)。ここで、表示された情報が被験者のものと異なる場合、被験者は、ボタンスイッチ514を操作して変更する対象を選択し、ボタンスイッチ511あるいは512を操作して、選択した値が自己の値となるように設定する。これにより、その値が被験者に関する新たな情報としてRAM203にセットされる(ステップS7)。一方、表示された情報が被験者のものであれば、被験者は、所定時間なにも操作しないことで、その旨が装置本体500に伝えられる。これにより、前の情報が被験者に関する情報としてRAM203に再びセットされる(ステップS5)。こうして、被験者に関する性別等の情報がRAM203にセットされると、次回、モードが最大酸素摂取量推定モードに設定される場合に、再び、読み出されて表示されるので、最大酸素摂取量推定モードに設定する毎に、被験者が自己に関する情報を入力しないで済むようになっている。
 さて、被験者に関する性別等の情報がRAM203にセットされた状態において、走行運動を開始すると、その走行運動のピッチに対応してアラーム音が発生するので(ステップS10)、被験者は、装置本体500が走行運動を検出して推定処理を開始した旨を認識する。
 また、走行運動を開始すると、装置本体500では、割込処理が許可されるので(ステップS11)、演算表示処理は30秒毎に、運動強度の増加告知処理は120秒毎に、それぞれ実行されることになる。
 まず、被験者は、走行運動を開始後、最初に運動強度の増加告知処理が実行されるまでの120秒間、ピッチを一定として走行運動を行なう。この120秒間に、演算表示処理は4回実行されるが、運動強度が一定なので、得られる運動強度と拍数の組は1組に過ぎない。したがって、この間、演算表示処理におけるステップSa6〜Sa9の処理は実行されない。
 次に、走行運動を開始後120秒経過すると、第1回目の運動強度の増加告知処理が実行されるため、いままでのピッチを10%あげた間隔でアラーム音が発生する。それにしたがって、被験者は、いままでよりも10%ピッチをあげるとともに、次の第2回目にかかる運動強度の増加告知処理が実行されるまでの120秒間、そのピッチで走行運動するように努める。この120秒間に、演算表示処理は4回実行されるが、得られる運動強度と拍数の組は、前回の120秒間に得られたものとあわせても2組に過ぎない。したがって、この間においても、演算表示処理におけるステップSa6〜Sa9の処理は実行されない。
 そして、第1回目の運動強度の増加告知処理が実行されてから、さらに、120秒経過すると、第2回目の運動強度の増加告知処理が実行される。このため、ピッチをさらに10%あげた間隔でアラーム音が発生し、被験者は、さらに10%ピッチをあげるとともに、そのピッチで走行運動するように努める。
 その時点から30秒経過して演算表示処理が実行されたとき、ピッチを上げたことに伴う脈拍数の変動もすでに定常状態となっていると考えられる。このため、得られる運動強度と拍数の組は、前回までに得られたものとあわせて3組となる。したがって、これらの組において直線関係が成立すれば、演算表示処理におけるステップSa7〜Sa9の処理が実行されて、被験者の単位体重あたりの最大酸素摂取量(VO2max/wt)が表示部208に表示される。これにより、被験者は自己の単位体重あたりの最大酸素摂取量(VO2max/wt)を知ることとなる。
 こうして、以降30秒毎に演算表示処理が実行される毎に、被験者の単位体重あたりの最大酸素摂取量(VO2max/wt)が表示部208に表示されることとなる。ただし、表示される最大酸素摂取量(VO2max/wt)は、それほど変化はないはずである。最大酸素摂取量(VO2max/wt)は、トレーニング次第で向上することはできるものの、本来的には個人ごとの固有値であるためである。
 さて、運動強度の増加告知処理が120秒毎に実行されるため、その都度、ピッチをさらに10%あげた間隔でアラーム音が発生し、被験者は、さらに10%ピッチをあげるとともに、そのピッチで走行運動するように努める。ただし、ピッチを段階的に上昇をさせた結果、その時点での運動強度と心拍数とが、過去における運動強度と心拍数との直線関係から逸脱すると、それは、変異点HRtpを越えたことを意味する。したがって、この場合、その時点で実行された演算表示処理により走行運動停止の命令が表示部208に表示され(ステップSa10)、以降、割込処理に実行が禁止されて(ステップS11)、最大酸素摂取量の推定モードの動作が終了することとなる。これにより本実施形態における動作が終了することとなる。
 このような実施形態によれば、被験者は、大掛かりな装置に拘束されることなく、かつ、自由な意志で走行運動を行なうだけで、自己の単位体重あたりの最大酸素摂取量を知ることができる。したがって、被験者は、自己の体力を客観的に評価したり、トレーニングの効果を確認するのが、極めて容易となる。
 なお、上述した実施形態にあっては、脈波検出部101を、青色LEDと受光部とから構成し、毛細血管中のヘモグロビンによって反射したものを脈波波形として検出するようにしたが、本発明はこれに限られない。例えば、単に、圧電マイクなどで構成しても良い。ただし、圧電マイクなどを用いた場合、脈波に伴う振動とともに、体動による振動成分も同時に検出してしまうため、圧電マイクの出力信号成分から体動検出部104による体動信号を差し引いて、純粋に脈波に伴う振動成分のみを得る処理が必要となる。
 また、上述した実施形態にあっては、脈波信号あるいは体動信号から心拍数あるいはピッチを求めるのに、FFT処理を用いたが、これに限られず、MEM解析や、ウェーブレット解析などを用いても良く、また、単純なピーク検出でも良い。
 さらに、上述した実施形態にあっては、ストライドの値を直接、装置本体に500に入力する構成としたが、そのかわりに身長の値を入力する構成として、この身長に一定の係数を乗じることにより、あるいは、入力した身長と体重とを引数とする関数により、ストライドを間接的に求めてRAM203にセットして、これを、運動強度を求める際に用いることとしても良い。
<2.第2実施形態>
 次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
 一般に、走行運動においてピッチを上げた場合、当該走行運動におけるストライドは、多少の個人差は考えられるが短くなると考えられる。しかしながら、上述した第1実施形態においては、ピッチを上げているにもかかわらず、ストライドについてはRAM203にセットされた値をそのまま用いているため一定であり、このような走行運動における特性を考慮していない。
 したがって、この点において、第1実施形態では、ステップSa3で求める運動強度が不正確となりやすい欠点を有する。
 そこで、この第2実施形態は、ピッチとストライドの補正係数との関係を示すテーブルを予め求めて記憶しておき、走行運動においてピッチが変化した場合、変化したピッチに対応するストライド補正係数を読み出して、RAM203にセットされたストライドに乗じて、当該ピッチに対応するストライドに補正して、上記欠点を解消しようとするものである。
 したがって、第2実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置の構成は、図1および図2に示す第1実施形態に実質的に加える必要のある構成要素はない。ただ、RAM203に、ピッチとストライドの補正係数との関係を示すテーブルを設けるだけでよい。このテーブルは、一般的には、図9における実線で示すように、ピッチが増加するにしたがって、ストライドの補正係数が「1」よりも漸次小となるものである。なお、基準ピッチとは、当該走行運動におけるストライドが入力したストライド(基準ストライド)となる場合のピッチをいう。
 ここで、ピッチとストライドの補正係数との関係は被験者毎に大きく異なると考えられるので、実際には、図9で実線で示される関係を、同図で破線で示す関係のように、被験者自身の特性にあわせて編集する必要がある。
 詳細には、次の通りである。まず、第1に、被験者は、基準ピッチに対し、例えば、10%ずつピッチを段階的に増加した場合のストライドを実測して、基準ストライドと比べてどの位の割合となるかを求めておく。第2に、被験者は、これらの割合と基準ピッチに対する割合とを、例えば、ボタンスイッチ511〜514を用いて装置本体500に入力する。
 すると、CPU201は、次のような動作を行なう。すなわち、CPU201は、入力されたピッチの割合とストライドの割合とをプロットするとともに、これらプロット間を補間して、例えば、図9において破線で示すような特性を求め、これをRAM203の所定の領域にテーブル化して保持しておく。
 実際に被験者が走行運動を行なって、ステップSa3において運動強度を演算する場合、CPU201は、第1に、直前ステップSa2において検出したピッチが基準ピッチと比べていかなる割合となっているかを求め、第2に、当該割合に対応するストライドの補正係数を、当該テーブルから読み出して求め、第3に、RAM203から読み出した基準ストライドに当該係数を乗じて、走行運動におけるピッチにあうようにストライドを補正し、第4に、運動強度の演算においては、補正したストライドを用いることとする。
 したがって、この第2実施形態によれば、走行運動においてピッチを上げても、ストライドが修正されるので、しかも、その修正は、被験者固有の特性に合わせているので、より正確に最大酸素摂取量(VO2max/wt)を求めることができる。
<3.第3実施形態>
 次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
 走行運動する場合、当該走行が常に平坦路でできるとは限らない。一般道では、むしろ、多少の勾配を伴うのが通常であろう。ここで、走行運動において勾配が伴うと、ストライドは登り勾配では短く、下り勾配では逆に長くなると言われている(マラソン選手になると、この関係が逆になるとも言われる)。
 このため、勾配があれば、ピッチが一定でもストライドが変化するので、実際の運動強度は異なってくる。しかし、上述した第1実施形態では、ストライドについて、RAM203にセットされた値を用いているため、勾配があってもピッチが一定であれば、運動強度も一定として演算してしまう欠点がある。
 したがって、この点において、第1実施形態では、ステップSa3で求める運動強度が不正確となりやすい欠点を有する。
 そこで、この第3実施形態は、走行運動における勾配を求め、それに応じてストライドを修正して、上記欠点を解消しようとするものである。
 図10は、第3実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置の電気的構成を示すブロック図である。この図に示す構成が、図2に示す第1実施形態の構成と相違する点は、高度計210を備える点である。この高度計210は、気圧差によって高度差を求めるものであり、装置本体500に内蔵される。
 高度差を求める処理を、演算表示処理において実行することとすると、この処理間隔は30秒であるため、この間における走行運動の高度差が求められることになる。
 また、この第3実施形態におけるRAM203には、図11に示すような特性を有するストライド係数テーブルが設けられる。
 このテーブルは、一般的には、図における実線で示すように、勾配が(+)の場合、すなわち上り坂である場合には、勾配が強くなるにしたがって、ストライドの補正係数が「1」よりも漸次小となる一方、勾配が(−)の場合、すなわち下り坂である場合には、勾配が強くなるにしたがって、ストライドの補正係数が「1」よりも漸次大となるものである。
 ここで、勾配とストライドの補正係数との関係は、第2実施形態と同様に、被験者毎に大きく異なると考えられるので、実際には、図において実線で示される関係を、同図で破線で示す関係のように、被験者自身の特性にあわせて編集する必要がある。
 詳細には、次の通りである。まず、第1に、被験者は、予め勾配のあるところを走行し、その走行におけるストライドが基準ストライドに対しどれくらいの割合となっているかを、当該勾配とともに求めておく。ここで、勾配とストライドの割合との組は1組だけでなく数組とするのが望ましい。第2に、被験者は、求めた勾配とストライドの割合とを、例えば、ボタンスイッチ511〜514を用いて装置本体500に入力する。
 すると、CPU201は、次のような動作を行なう。すなわち、CPU201は、入力された勾配とストライドの割合とをプロットするととも、これらプロット間を補間して、例えば、図11における破線で示すような特性を求め、これをRAM203の所定の領域にテーブル化して保持しておく。
 実際に被験者が走行運動を行なった場合に、その割込処理として行なわれる演算表示処理のフローチャートについては、図12に示す通りとなる。この図に示すように、第3実施形態の演算表示処理は、図7に示した処理に対し、ステップSa2の直後に、ステップSa101〜Sa103を追加したものとなる。
 すなわち、ステップSa2において走行運動におけるピッチを検出すると、次に、CPU201は、ステップSa102において、高度計210により検出された高度差の情報を取得して、これをRAM203に格納し、ステップSa103において、取得した情報により高度差の有無を判別する。
 ここで、高度差がなければ、詳細には、前回演算表示処理を実行したときから今回演算表示処理を実行するまでの30秒間にかかる走行運動に高度差がなければ、それは平坦路での走行を意味するから、RAM203にセットされた基準ストライドをそのまま用いて、運動強度を演算する(ステップSa3)。
 一方、高度差があれば、CPU201は、ステップSa103において、第1に、当該高度差と、30秒間にかかる走行距離とから勾配と求め、第2に、当該勾配に対応するストライドの補正係数を、テーブルから読み出して求め、第3に、RAM203から読み出した基準ストライドに当該補正係数を乗じて、当該勾配に対応するストライドを補正する。したがって、CPU201は、走行運動に高度差があれば、RAM203にセットされた基準ストライドを補正して、この補正後のストライドを用いて、運動強度を演算する(ステップSa3)。
 したがって、この第3実施形態によれば、走行運動における勾配に応じてストライドが補正されるので、しかも、その補正は、被験者固有の特性に合わせているので、より正確に最大酸素摂取量(VO2max/wt)を求めることができる。
 なお、この第3実施形態においては、勾配によるストライドの変動のみならず、高度差に伴う被験者の位置エネルギーの変動も考慮して、運動強度を求めることとしてもよい。すなわち、高度計210により求められた高度差とRAM203にセットされた被験者の体重との積で示される位置エネルギーを、求めた運動強度に加減算(上昇の場合は加算、下降の場合は減算)する構成としても良い。
 さらに、第2、第3の実施形態の双方を組み合わせ、ピッチと勾配とに合わせて、RAM203にセットされたストライドを補正すれば、さらに正確に最大酸素摂取量(VO2max/wt)を求めることができる。
<4.第4実施形態>
<4.1.基本的構成および動作>
 以下、図面を参照して、この発明の第4実施形態について説明する。
 図13は、第4実施形態による運動処方支援装置の構成例を示すブロック図である。
 この図において、マイクロコンピュータ1は、CPU(中央処理装置)およびその周辺回路からなり、本装置の各部を制御すると共に、脈拍数の上限値ULおよび下限値LLを求める。
 入力部7は、各種モードの選択に用いられるモードスイッチMと、設定値の変更に用いられるアップスイッチUおよびダウンスイッチDと、設定値の決定に用いられるセットスイッチSとを有する。
 表示部8は、液晶表示器からなり、マイクロコンピュータ1が求めた上限値ULおよび下限値LLを表示する。
 脈拍数テーブル記憶部9は、具体的にはROM(リードオンリメモリ)で構成され、以下に示す脈拍数テーブルを記憶している。
 図14は、上記脈拍数テーブルの一例を示す説明図である。
 この図に示すように、脈拍数テーブルは、各VO2max毎に、該VO2maxに対応する脈拍数を記憶している。
 この図において、VO2maxとは、ある人が、その人にとって最大強度の運動をした時点における酸素の摂取量である。また、VO2maxは、酸素の摂取量を示すと共に、「VO2maxが40〔ml/kg/分〕の運動」というように、運動の強度を表すのにも利用される。
 この図において、各VO2maxに対応する脈拍数は、VO2maxが該値である平均的な人が、該VO2maxの50%に相当する強度の運動をした場合における、脈拍数を示している。
 なお、脈拍数テーブル記憶部9には、2種類の脈拍数テーブル(男性用および女性用)が記憶されており、図14に示した脈拍数テーブルは男性用である。
 次に、上記構成による運動処方支援装置の動作を説明する。
 あらかじめ、使用者は、第1〜第3実施形態で説明した方法、あるいは公知の「間接法」を用いて自分のVO2maxを推定しておく。ここで、「間接法」とは、最大下運動中の仕事率と心拍数とからVO2max/wtを推定する方法である(保険の科学,第32巻,第3号,1990年参照)。
 次に、使用者が、本装置の電源を入れ、モードスイッチM(図13参照)を押すと、表示部8の表示は図15(a)に示す状態に変化する。
 この状態において、使用者がアップスイッチU(またはダウンスイッチD)を1回押す度に、表示部8の表示が“1(男性)”から“2(女性)”へ、または、“2(女性)”から“1(男性)”へ変化するので、これにより、使用者は、該表示を自分の性別に合わせた後、セットスイッチSを押して、該値を入力する。ここでは、一例として、“1(男)”が入力されたとする。
 性別が入力されると、マイクロコンピュータ1は、脈拍数テーブル記憶部9に記憶されている2種類の脈拍数テーブル(男性用および女性用)の中から、該性別に対応する脈拍数テーブルを読み出す。ここでは、“1(男性)”が入力されたので、マイクロコンピュータ1は、男性用の脈拍数テーブル(図14参照)を読み出す。
 次に、使用者がモードスイッチMを押すと、表示部8の表示は図15(b)に示す状態に変化する。
 この状態において、使用者がアップスイッチUを押し続けている間、表示部8の表示がカウントアップし、使用者がダウンスイッチDを押し続けている間、表示部8の表示がカウントダウンするので、これにより、使用者は、該表示を自分のVO2maxに合わせた後、セットスイッチSを押して、該値を入力する。ここでは、一例として、“40”が入力されたとする。
 VO2maxが入力されると、マイクロコンピュータ1は、読み出した脈拍数テーブル(図14参照)から、該VO2maxに対応する脈拍数を読み出す。ここでは、“40”が入力されたので、マイクロコンピュータ1は、該“40”に対応する値“125”を読み出す。
 次に、マイクロコンピュータ1は、読み出した脈拍数に所定の上限値係数1.2(すなわち120%)を乗算することにより、脈拍数の上限値ULを求める。ここでは、上記脈拍数が“125”であるので、上限値ULは“150”となる。
 同様に、マイクロコンピュータ1は、読み出した脈拍数に所定の下限値係数0.8(すなわち80%)を乗算することにより、脈拍数の下限値LLを求める。ここでは、上記脈拍数が“125”であるので、下限値LLは“100”となる。
 最後に、マイクロコンピュータ1が上限値ULおよび下限値LLを表示部8に転送すると、表示部8は該上限値ULおよび下限値LLを表示する。
<4.2.ピッチメーカへの適用例>
 次に、図面を参照して、本装置(運動処方支援装置)をピッチメーカへ適用した場合における適用例について説明する。
<4.2.1.全体構成>
 始めに、図面を参照して、本装置が適用されたピッチメーカの構成を説明する。
 図16は、上記ピッチメーカの外観を示す斜視図である。
 この図において、該本体14はリストバンド12によって使用者の腕に取り付けられている。
 また、後述する脈波センサ301(図19参照)および体動センサ302(図19参照)は、指ベルト15によって指に固定されている。
 次に、図17は、上記ピッチメーカの電気的構成例を示すブロック図である。
 この図において、上下限値設定部21は、先に「基本的構成および動作」で説明した本発明による装置(運動処方支援装置)であり、脈拍数の上限値ULおよび下限値LLを求め、出力する。
 また、脈拍/ピッチ検出部22は、運動時における使用者の脈拍とピッチとを検出し、その値を示す脈拍検出信号BSとピッチ検出信号PSとを各々出力する。なお、脈拍/ピッチ検出部22の構成・動作の詳細は、後述する「(2)脈拍/ピッチ検出部」で説明する。
 上下限比較部23は、脈拍/ピッチ検出部22から供給される脈拍検出信号BSの示す脈拍が下限値LLまたは上限値ULを超えたか否かを検出し、その状態を示す信号SSをピッチ信号発生部24に出力する。
 ピッチ信号発生部24は、脈拍/ピッチ検出部22から供給されるピッチ検出信号PSと、上下限比較部23から供給される信号SSとに基づいて、ピッチ制御信号PCSを作成する回路であり、例えば、図18に示す構成になっている。
 図18において、初期ピッチ設定部33は、信号SSに基づいて、使用者の脈拍数が最初に下限値LLを超えたことを検出すると、信号Saを制御部34に出力する回路である。
 制御部34は、信号Saが供給されると、その時点においてピッチ検出信号PSが示す使用者のピッチを、ピッチ制御信号PCSとして出力する。
 また、制御部34は、信号Saが出力された後も引き続き信号SSをチェックし、使用者の脈拍数が下限値LLを下回った場合には、該脈拍数が再び下限値LLを超えるまで、所定のレートでピッチが上昇するようピッチ制御信号PCSを調整する。
 また、制御部34は、信号Saが出力された後も引き続き信号SSをチェックし、使用者の脈拍数が上限値ULを超えた場合には、該脈拍数が再び上限値ULを下回るまで、所定のレートでピッチが下降するようピッチ制御信号PCSを調整する。
 また、停止制御部35は、ピッチ制御信号PCSとピッチ検出信号PSを比較し、両者が所定時間一致している場合(あるいはほぼ等しい場合)は、ピッチ制御信号PCSの出力を停止させるとともに、両者に相違が生じれば再びピッチ制御信号PCSを出力させる回路である。ただし、制御部34は、ピッチを変更(上昇もしくは下降)するときは、停止制御部35の動作に係わらず、ピッチ制御信号PCSを出力し続けるようになっている。
 以上がピッチ信号発生部24の構成および処理内容であるが、同様の処理が行えれば、他の回路構成であってもよく、また、ソフトウエアによって実現してもよい。
 次に、図17に示す放音部25は、たとえば、圧電ブザーとその駆動回路で構成され、ピッチ制御信号PCSに応じたピッチで、たとえば「ピッ、ピッ、……」という音を放音する。また、ピッチ制御信号PCSが供給されない場合は、放音が停止される。
 表示部26は、液晶表示器からなり、図16に示すように、ピッチ制御信号PCSが示すピッチを数値で表示するとともに、そのピッチに応じてマークMKを点滅させる。また、表示部26は、脈拍/ピッチ検出部22から供給される脈拍検出信号BSに基づいて脈拍数を表示する。さらに、表示部26は、上下限値設定部21のモードスイッチM(図13参照)によって表示モードが変更されると、上限値ULおよび下限値LLの値を表示するようになっている(図示略)。
<4.2.2.脈拍/ピッチ検出部>
 以下に、図面を参照して脈拍/ピッチ検出部22の構成・動作について説明する。
 図19は、脈拍/ピッチ検出部22の構成例を示すブロック図である。
 この図において、脈波センサ301は、生体から脈波を検出し、検出した脈波信号を脈波信号増幅回路303に出力する。脈波センサ301としては、例えば、圧電マイクを用いる。
 体動センサ302は、生体の動きを検出し、検出した体動信号を体動信号増幅回路304に出力する。体動センサ302としては、例えば、加速度センサを用いる。
 脈波信号増幅回路303は、検出された脈波信号を増幅し、A/D変換回路305及び脈波波形整形回路306に出力する。
 体動信号増幅回路304は、検出された体動信号を増幅し、A/D変換回路305及び体動波形整形回路307に出力する。
 A/D変換回路305は、増幅された脈波信号と体動信号をA/D変換し、CPU308に出力する。
 脈波波形整形回路306は、増幅された脈波信号を整形し、CPU308に出力する。
 体動波形整形回路307は、増幅された体動信号を整形し、CPU308に出力する。
 図20は、脈波/ピッチ検出部22における処理手順を示すフローチャートである。
 この図において、ステップSF1では、脈波を検出し、該脈波信号を増幅し、増幅された脈波信号をA/D変換する。
 ステップSF2では、体動を検出し、該体動信号を増幅し、増幅された体動信号をA/D変換する。
 ステップSF3では、A/D変換された脈波信号と体動信号をFFT処理する。
 ステップSF4では、FFT処理された脈波信号および体動信号に基づいて、拍動周波数成分を抽出する。
 ステップSF5では、抽出された拍動周波数成分に基づいて脈拍数を演算する。
 なお、本明細書において「拍動周波数成分」とは、脈波信号のFFT処理結果から体動信号に対応する周波数成分を除去したものをいう。
<4.2.2.1.拍動周波数成分抽出処理の原理>
 上述したようにステップSF4においては拍動周波数成分が抽出されるが、その動作の原理について説明しておく。
 図21(a)は、周波数fと周波数f(但し、周波数fの振幅は、周波数fの1/2)を加算した信号を示す図であり、図21(b)は、該加算信号をFFT処理した結果を示すグラフである。
 FFT処理した結果得られる最も低い周波数は、分析時間の逆数で決定される。例えば、分析時間を16〔sec〕とすると線スペクトルは1/16〔sec〕、すなわち62.5〔msec〕の分解能で得られる。したがって、分析対象の信号は16〔Hz〕の整数倍の高調波成分に分解される。それぞれの高調波成分の大きさ(パワー)が縦軸で表現される。図21(b)においては、周波数fのパワーの半分を周波数fBが持っている事を示している。
 図22は、運動状態での脈波センサ301と体動センサ302の出力信号をFFT処理した結果の一例を示すグラフである。この図において、(a)は脈波センサ301の出力信号をFFT処理した結果(脈波スペクトルfmg)を表し、(b)は体動センサ302の出力信号をFFT処理した結果(体動スペクトルfsg)を表し、(c)は脈波スペクトルfmgから体動スペクトルfsgを引いた拍動スペクトルfを表す。
 この図に示すように、(a)には、拍動周波数成分と体動によって発生する信号がもつ周波数成分の両方が乗ってくる。
 それに対して、体動センサ302は体動だけに反応するので、(b)には、体動によって発生する信号だけが持つ周波数成分が得られる。
 したがって、脈波スペクトルfmgから体動スペクトルfsgを引き、残った線スペクトルfの中で最大のものを拍動周波数成分として特定する。
 図20に示すステップSF5では、この拍動周波数成分をもとに脈拍数を演算する。
 しかし、実際にはそれぞれのセンサ出力波形を周波数分析すると、高調波信号の影響が有って単純に差を取る方法だけでは難しい場合も有る。そこで、脈波を特定する方法を更に詳しく説明する。
 まず、解析する周波数範囲について検討する。通常、体動周波数は1〜2〔Hz〕である。従って、fmax=4〔Hz〕とすると、第3高調波のチェックまでで十分である。
 詳細は後述するが、本実施形態においては、2〜4〔Hz〕の周波数領域の最大体動成分を抽出して、その最大成分が体動成分の第2高調波であると推定する。この推定を行う理由について述べる。
 図23は、体動センサ302の出力をFFT処理した結果である。一般に、運動状態、特に走行状態においては、図23のごとく基本波に比べて第2高調波のパワーがより高く得られる(ごく平均的な走り方をしている時で、3〜10倍程度)。走行時の体動センサ302の検知要因として、以下の3点が考えられる。
 (1)走行時の上下動
 (2)腕の振りの基本波
 (3)腕の振りの第2高調波
 (1)に関しては、右足をステップした時と左足をステップした時に均等に上下動が出るので、体動成分の第2高調波となる。
 (2)に関しては、腕の振り出し,引き戻しを一周期とする振り子運動を指すが、通常走行において腕の振りを滑らかな振り子運動にするのは難しく、この成分のパワーは弱めとなる。
 (3)については、腕の振り出し、引き戻しのそれぞれの瞬間に加速度がかかる為、第2高調波が(2)の基本波より強く出る。
 したがって、体動周波数の内、第2高調波成分が特徴的に得られることになる。
 通常走行では、2〜4〔Hz〕の範囲であれば走行ペースの速い遅いを考えても第2高調波が出現する領域がカバー出来る。したがって、この領域に限定した上で特徴的な第2高調波成分を抽出することで検出精度を上げる事が出来る。
<4.2.2.2.拍動周波数成分抽出処理の詳細>
 図24は、体動信号の高調波を特定した後に脈波成分を特定する処理方法を示すフローチャートである。
 ステップSD1では、体動信号の周波数分析結果に基づいて、パワーPが最大の線スペクトルfsを求める。
 ステップSD2では、fsの1/2の周波数に、ある一定値Th以上の体動成分P(fs/2)が有るか否かを判断する。
 この判断結果が「YES」の場合、すなわち、ある一定値Th以上の体動成分P(fs/2)が有る場合には、ステップSD3へ進む。
 ステップSD3では、fsを第2高調波(HMC=2)と特定する。
 一方、ステップSD2の判断結果が「NO」の場合、すなわち、ある一定値Th以上の体動成分P(fs/2)が無い場合は、ステップSD4へ進む。
 ステップSD4では、fsの1/3の周波数に、ある一定値Th以上の体動成分P(fs/3)が有るか否かを判断する。
 この判断結果が「YES」の場合、すなわち、ある一定値Th以上の体動成分P(fs/3)が有る場合、ステップSD5へ進む。
 ステップSD5では、fsを第3高調波(HMC=3)と特定する。
 一方、ステップSD4の判断結果が「NO」の場合、すなわち、ある一定値Th以上の体動成分P(fs/3)が無い場合は、fsを基本波fs1と特定する。
 以上の処理でfsが第何高調波であるかが特定出来たので、ステップSD7では、体動の基本波fs1を求める。
 ステップSD8〜SD11では、脈波の周波数分析結果から、パワーPの大きな線スペクトル順に、その周波数fmと体動周波数との比較を行い、その周波数が体動信号の基本波(fs1),第2高調波(2×fs1),第3高調波(3×fs1)と一致するかどうかをチェックする。
 この処理を行うことで、ステップSD12において、体動成分と一致しない最大の脈波周波数成分fmを抽出する事ができる。
 以上で、脈拍/ピッチ検出部22の構成・動作の説明を終了する。
<4.2.3.動作>
 次に、図面を参照して、上記ピッチメーカの動作を説明する。
 まず始めに、図17に示す上下限値設定部21(すなわち、本発明による運動処方支援装置)は、先に「基本的構成および動作」で述べた処理を行うことにより、脈拍数の上限値ULおよび下限値LLを求める。
 次に、使用者は、図16に示す指ベルト15を指に装着するとともに、例えば、図27に示す時刻tから走行を開始する。
 この結果、図17に示す脈拍/ピッチ検出部22は、先に「(2)脈拍/ピッチ検出部」で述べた処理を行うことにより、使用者の脈拍とピッチを検出し、その値を示す脈拍検出信号BSとピッチ検出信号PSを各々出力する。
 そして、上下限比較部23は、脈拍検出信号BSと上限値UL,下限値LLとを比較し、比較結果に対応する信号SSを出力する。
 この場合、走り初めにおいては、図27に示すように、使用者の脈拍は下限値LLに達していない。このため、初期ピッチ設定部33(図18参照)は信号Saを出力せず、制御部34は初期ピッチの設定を行わない。したがって、ピッチ制御信号PCSが発生されず、放音部25はピッチ音を発生しない。
 次に、使用者のウォーミングアップが終わって、徐々にピッチがあがってくると、これに従って運動強度が大きくなり、脈拍数が上昇していく。
 そして、図27に示す時刻tに達すると、脈拍検出信号BSが示す脈拍数が下限値LLを超える。この結果、上下限比較部23が出力する信号SSは、「下限値超え」を示すものとなり、初期ピッチ設定部33(図18参照)が信号Saを出力する。
 信号Saが出力されると、制御部34はピッチ検出信号PSが示す使用者のピッチを取り込み、これを初期ピッチとして設定するとともに、このピッチに対応するピッチ制御信号PCSを出力する。
 これにより、放音部25は、ピッチ制御信号PCSに対応するピッチ(この場合は、現時点の使用者のピッチであり、図27に示す例では160歩/分)でピッチ音を発生する。すなわち、使用者の脈拍が下限値LLを超えたときに、初めてピッチ音が発生され、しかも、その放音間隔はその時点の使用者のピッチに等しいものになる。
 そして、放音部25が発生したピッチ音と使用者のピッチとが一致し、この一致時間が所定期間を経過すると、停止制御部35(図18参照)が制御部34に対して制御信号を出力し、これにより、ピッチ制御信号PCSが停止され、放音部25のピッチ音が停止する。したがって、放音部25におけるピッチ音の放音は、図27に示す時刻tから時間Tだけ行われる。
 時間T経過後にピッチ音を切ってしまうのは、定常的な走行状態に入った使用者のピッチは一般に安定しており、何らかの理由がない限り、ピッチ音等の指示がなくとも、ほとんど一定のピッチで走行するため、不要なピッチ指示は行わず、消費電力を節約するためである。
 次に、初期ピッチで走行していた使用者の脈拍が、図27に示すように上昇していき、時刻tにおいて上限値ULを超えると、上下限比較部23の出力信号SSは「上限値超え」を示すものとなり、制御部34(図18参照)は使用者の脈拍が上限値ULを下回るまで所定のレートでピッチが下降するようピッチ制御信号PCSを調整する。
 また、制御部34は、このピッチ変更に際して、再びピッチ制御信号PCSを出力し、放音部25からピッチ音を出力させる。これは、使用者に対し、ピッチ変更を認識させる必要があるためである。
 そして、時刻tになると、使用者の脈拍が上限値ULを下回り、制御部34はピッチ制御信号PCSに対する調整を停止する。したがって、制御部34の設定ピッチは、時刻tの直前のピッチ(145歩/分)に固定される。そして、変更されたピッチと使用者のピッチとが所定時間一致すると、これが停止制御部35に検出され、再びピッチ制御信号PCSが停止される。
 次に、体調変化等の理由により、例えば、時刻tにおいて、使用者のピッチが変動すると、これが停止制御部35に検出される。これにより、停止制御部35は、制御部34にピッチ制御信号PCSを出力させる。これにより、放音部25が、再びピッチ音を放音し、使用者はこのピッチ音に従って自己の走行ピッチを可変する。そして、使用者のピッチと制御部34の設定ピッチとが所定時間一致すると、停止制御部35によってピッチ制御信号PCSの発生が停止される。
 そして、使用者の脈拍が次第に減少し、例えば、時刻tにおいて、下限値LLを下回ると、上下限比較部23の出力信号SSは下限値以下を示すものとなり、制御部34は使用者の脈拍が下限値LLを超えるまで所定のレートでピッチが上昇するようピッチ制御信号PCSを調整する。
 また、制御部34は、このピッチ変更に際して、再びピッチ制御信号PCSを出力し、放音部25からピッチ音を出力させる。この場合、脈拍が下限値LLを下回る時刻tからピッチ制御信号PCSの調整が開始される時刻tまで若干の時間差があるが、これは制御部34が所定周期毎に信号SSの監視を行っているためであり、この例の場合には、監視が行われるタイミングtが時刻tより微少タイミングだけ遅れている。しかしながら、使用者へのピッチ指示には、十分に早い周期が設定されているので、実用上の問題はない。
 時刻tにおいて発生されたピッチ音は時間T経過後に停止されるが、これは上述の場合と同様に停止制御部35の制御によるものである。
 以上で、上記ピッチメーカの動作説明を終了する。
<5.第5実施形態>
<5.1.実施形態の構成>
<5.1.1.全体構成>
 以下、図面を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
 図29は本実施形態による携帯型脈波測定装置および該携帯型脈波測定装置で測定された情報を処理するためのデータ処理装置を示した図であり、以下ではこれらを総称して脈波情報処理装置と呼ぶことにする。また、図30は携帯型脈波測定装置の使用方法を示す説明図である。これらの図からわかるように、本実施形態では携帯機器として腕時計を用いた腕装着型脈波計測機器となっている。そして図29のように、脈波情報処理装置1は、腕装着型脈波計測機器1Aと、この腕装着型脈波計測機器1Aとの間でデータ転送を行うデータ処理装置1Bとから構成される。
 腕装着型脈波計測機器1Aには後述するようにコネクタ部70が設けられており、コネクタ部70にはデータ処理装置1Bと通信するための通信ユニット100が取り付けられている。この通信ユニット100は、腕装着型脈波計測機器1Aとデータ処理装置1Bとの間における光信号を利用したデータ転送用に用いられ、腕装着型脈波計測機器1Aから着脱自在の構造となっている。また、コネクタ部70には通信ユニット100の代わりにコネクタピース80を取り付けることができ、後述するように、コネクタピース80にはケーブル20を介してその先端側に脈波測定用のセンサユニット30が設けられている。
 一方、データ処理装置1Bは機器本体2,ディスプレイ3,キーボード4,プリンタ5などから構成されており、以下の点を除いて通常のパーソナルコンピュータから構成されているため、その内部構成の説明の詳細は省略する。すなわち、データ処理装置1Bは、光信号によるデータを送受信するための図示しない送信制御部及び受信制御部を内蔵している。これら送信制御部と受信制御部は、それぞれ光信号を送信するためのLED61と光信号を受信するためのフォトトランジスタ62を有する。これらLED61,フォトトランジスタ62は何れも近赤外線用のもの(例えば中心波長が940nmのもの)が用いられ、可視光を遮断するための可視光カット用のフィルタ63を介し、データ処理装置1Bの前面に設けられた光通信用の通信窓6から光通信を行う。
 次に、図30において、腕装着型脈波計測機器1Aは、腕時計構造を有する機器本体10,この機器本体10に接続されたケーブル20,このケーブル20の先端側に設けられたセンサユニット30とから大略構成されている。機器本体10には、腕時計における12時方向から腕に巻きついてその6時方向で固定されるリストバンド12が設けられ、このリストバンド12によって、機器本体10は腕に着脱自在となっている。また、センサユニット30は、幅が約10mmのセンサ固定用バンド40を備え、このセンサ固定用バンド40によって人差し指の根元から指関節までの間に装着されている。
 なお、腕時計における何時方向とはあくまで機器本体の方向を意味しており、機器本体上での表示が指針式であることを意味するものではない。
<5.1.2.機器本体の構成>
 次に、図30のその他の部品について、腕装着型脈波計測機器1Aの機器本体の平面図である図31をも参照して説明する。
 再び、図30において、機器本体10は樹脂製の時計ケース11を備えており、この時計ケース11の表面側には、現在時刻や日付のほか脈拍数などの脈波情報等をデジタル表示する液晶表示装置13が構成されている。
 時計ケース11の内部には、センサユニット30による検出結果(すなわち脈波信号)に基づいた脈拍数の変化などを表示するために、検出結果に対する信号処理などを行うデータ処理部50が内蔵される。データ処理部50には計時部も構成されているため、液晶表示装置13上に通常時刻,ラップタイム,スプリットタイムなども表示可能である。
 また、時計ケース11の外周部には、時刻合わせモード,表示モード,脈波計測モード,ストップウォッチモード,データ転送モードなどといった各種モードの切り換え等を行うためのボタンスイッチ111〜115が構成されるとともに、その表面にはボタンスイッチ116〜117(図30では図示略)が構成されている。
 一方、腕装着型脈波計測機器1Aの電源は、図31に一点鎖線で示すように、時計ケース11に内蔵されている偏平なボタン形の電池590であり、ケーブル20は電池590からセンサユニット30に電力を供給するとともに、センサユニット30の検出結果を時計ケース11内のデータ処理部50に入力する。また、時計ケース11が横長であることを利用して、その内部にはブザー用の偏平な圧電素子580と電池590が面方向に並んで配置されており、このような構成によって機器本体10を薄型化できる。
<5.1.3.センサユニットの構成>
 図30に示すように、センサユニット30は、センサ固定用バンド40と光学ユニット300から構成されている。センサ固定用バンド40は可撓性をもつ肉厚の樹脂成形品から構成されており、丸くくるまっている状態からそれを広げて指の根元に巻付けた後にそのまま手を離すと、それ自身の形状復帰力により指の根元に巻きついた状態となる。また、センサ固定用バンド40の略中央部分はさらに肉厚になっているともに、そこには光学ユニット300を収納できる穴41が形成されている。
 次に図32において、光学ユニット300は、そのケース体としてのセンサ枠3011に裏蓋3021が被されてその内部が部品収納空間になっている。センサ枠3011の上面部分には、ガラス板3041(フィルタ)で光透過窓が形成され、このガラス板3041に対向するように回路基板3051がセンサ枠3011の内部に固定されている。回路基板3051には、脈波計測用LED31,脈波計測用フォトトランジスタ32,トランジスタ(図示略)などの電子部品が実装されている。これら脈波計測用LED31,脈波計測用フォトトランジスタ32は、それぞれ発光面,受光面をガラス板3041の方に向けている。
 また、光学ユニット300はセンサ固定用バンド40に対してガラス板3041が内側に向くように取り付けられており、センサ固定用バンド40を指の根元に装着すると、脈波計測用LED31および脈波計測用フォトトランジスタ32がそれぞれの発光面および受光面を指の表面に向いた状態になる。したがって、脈波計測用LED31から指に向けて光を照射すると、脈波計測用フォトトランジスタ32が指の血管から反射してきた光を受光し、その受光結果(脈波信号)が、ケーブル20を介して、光学ユニット300から機器本体10に入力される。
 ここで、センサユニット30には、発光波長領域が350nm〜600nmの脈波計測用LED31と、受光波長領域が300nm〜600nmの脈波計測用フォトトランジスタ32を用いてあり、その重なり領域である約300nm〜約600nmの波長領域の検出結果に基づいて生体情報を表示する。外光に含まれる光のうち、波長領域が700nm以下の光は、指を透過しにくい傾向にあるため、外光がセンサ固定用バンド40で覆われていない指の部分に照射されても、図32に点線Xで示すように、指を導光体として脈波計測用フォトトランジスタ32にまで到達せず、検出には影響を与えない波長領域の光だけが指を導光体として通ってくる。また、300nmより低波長領域の光は皮膚表面でほとんど吸収されるので、受光波長領域を700nm以下としても、実質的な受光波長領域は300nm〜700nmとなる。したがって、指を大掛かりに覆わなくても必要最小限の範囲を覆うだけで外光の影響を抑えることができるとともに、本実施形態のような小さなセンサユニット30であれば指の根元に装着した状態で手を握ることができランニングに支障がない。
 なお、脈波計測用LED31から発せられた光は、その一部が矢印Cで示すように指を通って血管にまで到達し、血液中のヘモグロビンからの反射光が矢印Dで示すように脈波計測用フォトトランジスタ32に届く。この経路で受光された光量が生体反射量である。また、脈波計測用LED31から発せられた光は、その一部が矢印Eで示すように指表面で反射して脈波計測用フォトトランジスタ32に届く。この経路で受光された光量が皮膚反射量である。さらに、脈波計測用LED31から発せられた光と血管から反射した光の一部とは、矢印F,Gで示すように指内で吸収或いは分散し、脈波計測用フォトトランジスタ32に届かない。
<5.1.4.データ処理部の構成>
 機器本体10では上述した脈波信号から脈拍数が求められる。図33に時計ケース11の内部に構成されたデータ処理部50の機能の一部をブロック図で示す。
 この図において、脈波信号変換部51は、ケーブル20を介してセンサユニット30から入力された信号をデジタル信号へ変換して脈波信号記憶部52に出力する。脈波信号記憶部52は、デジタル化された脈波データを記憶するRAM(ランダムアクセスメモリー)である。また脈波信号演算部53は、脈波信号記憶部52に記憶される脈波データを読み出し、周波数分析を行った結果を脈波成分抽出部54に入力する。この脈波成分抽出部54は、脈波信号演算部53からの出力信号より脈波成分を抽出して脈拍数演算部55に出力する。脈拍数演算部55は入力された脈波の周波数成分から脈拍数を演算して、その結果を液晶表示装置13に出力する。
 また、データ処理部50には、脈拍数演算部55で求めた脈波情報,この脈波情報に対応する時刻データ,腕装着型脈波計測機器1Aの計時機能を利用して計測したマラソン中のラップタイムやスプリットタイムなどを記憶しておくためのデータ記憶部56が構成されている。
 一方、コネクタピース80の代わりに通信ユニット100をコネクタ部70へ取り付けるとともに、腕装着型脈波計測機器1Aをデータ転送モードとした場合は次の各部が機能する。すなわち、データ出力制御部57は、データ記憶部56に記憶されている脈波情報や時刻データなどを、通信ユニット100を介し光信号としてデータ処理装置1B側へ出力する。またデータ入力制御部58は、データ処理装置1Bから送出された光信号を通信ユニット100を介して受信してデータ記憶部56に記憶させる。
<5.1.5.コネクタ部分の構成>
 日常生活において腕装着型脈波計測機器1Aを通常の腕時計と同様に扱えるように、図29に示すコネクタピース80および通信ユニット100は、図31に示すように、機器本体10の6時の方向に位置する端部の表面側で着脱できるようになっている。ここで、コネクタ部70は6時の方向に位置するので、機器本体10を腕に装着したときにコネクタ部70が利用者から見て手前側となり操作が簡単である。またコネクタ部70は、機器本体10から3時の方向に張り出さないので、利用者はランニング中に手首を自由に動かすことができるとともに、ランニング中に転んでも手の甲がコネクタ部70にぶつからない。
 次に、コネクタピース80或いは通信ユニット100とコネクタ部70との間の電気的な接続は図34に示すとおりである。この図はコネクタピース80側におけるセンサ回路の電極部、および、このセンサ回路と信号の入出力を行うためのコネクタ部70側の端子の組合せを示している。なお、この図はコネクタ部70とコネクタピース80を接続する場合を示してあるが、コネクタピース80の代わりに通信ユニット100を接続する場合も全く同様である。
 図34において、コネクタ部70には端子751〜756が構成されており、これらの端子に対応して、コネクタピース80には電極部831〜836が構成されている。端子752は電極部832を介して脈波計測用LED31に駆動電圧VDDを供給するためのプラス端子、端子753は電極部833を介して脈波計測用LED31のマイナス電位とされる端子、端子754は電極部834を介して脈波計測用フォトトランジスタ32のコレクタ端子に駆動用の定電圧を供給するための端子である。
 端子751は電極部831を介して脈波計測用フォトトランジスタ32のエミッタ端子からの信号が入力される端子、端子755は電極部835を介してコネクタピース80をコネクタ部70に装着したか否かを検出するための信号が入力される端子である。電極部836はセンサユニット30において人体にアースを落としており、端子751と電極部836が電気的に接続したとき、VDDをグランド線とすることによって電極部831〜834をシールドするようになっている。
 一方、コネクタピース80側では、脈波計測用LED31の端子間(電極部832,833の間)に対して、コンデンサC1およびスイッチSW1が介挿されている。スイッチSW1は、コネクタピース80をコネクタ部70から外したときに閉状態になって、脈波計測用LED31に対してコンデンサC1を並列接続させ、コネクタピース80をコネクタ部70に装着したときに開状態になる。
 同様に、脈波計測用フォトトランジスタ32の端子間(電極部831,834)に対しては、コンデンサC2およびスイッチSW2が介挿されている。スイッチSW2は、コネクタピース80をコネクタ部70から外したときに閉状態になって、脈波計測用フォトトランジスタ32に対してコンデンサC2を並列接続させ、コネクタピース80をコネクタ部70に装着したときに開状態になる。
<5.1.6.コネクタピースの構造>
 次に、コネクタ部70,コネクタピース80の構造を詳述する。図35はコネクタピース80の構成を示す拡大図、図36はコネクタ部70の拡大図である。
 まず図35において、コネクタピース80の下面部801には、その両側で下方に向けて張り出す一対の突出部81,82が形成されている。これらの突出部81,82の下端部では、その内側に向かって4個の係合片811,812,821,822が突出している。また下面部801には、機器本体10にケーブル20を接続したときに静電気の影響を防止する回路(上述)をスイッチングする2本の作動ピン857,858が形成されている。これらの作動ピンは、コネクタピース80をコネクタ部70から外した状態では、先端がコネクタピース80の下面部801から突出した状態にある。
 また、コネクタピース80の下面部801には、6つの電極部831〜836が形成されており、その周囲には環状の凸条部841〜846が形成されている。ここで、コネクタピース80をコネクタ部70に装着する際には、後述するとおり、コネクタピース80をコネクタ部70に被せた後、矢印Qの方向にコネクタピース80をスライドさせる。そして電極部831〜836は、かかるスライド方向(矢印Qの方向)に沿って、電極部831〜833と電極部834〜836との2列に形成されており、いずれの列においても、各電極部はコネクタピース80のスライド方向に対して直交する方向にずれ、斜めに配置されている。
<5.1.7.コネクタ部の構成>
 図36に示すように、コネクタ部70には外側に張り出す係合部71〜74が形成されている。したがって、コネクタピース80の突出部81,82がコネクタ部70の係合部71〜74が外側に位置し、かつ、係合部71と係合部72との間および係合部73と係合部74との間に、コネクタピース80の係合片811,821が位置するように、コネクタピース80をコネクタ部70に被せた後、係合片811,821が係合部71と係合部72との間および係合部73と係合部74との間をそれぞれ通り抜けるように、コネクタピース80をコネクタ部70に向けて押し付け(コネクタピース80をコネクタ部70に装着するための第1の動作)、しかる後に、矢印Qの方向(コネクタピース80の装着方向、機器本体10の6時の方向から12時の方向)にコネクタピース80をスライドさせると(コネクタピース80をコネクタ部70に装着するための第2の動作)、係合部71,73の下に係合片811,821が潜り込む。また、係合部72,74の下に係合片812,822が潜り込む。その結果、係合片811,821,812,822は、コネクタピース80の下面部801との間に係合部71〜74をそれぞれ保持する状態になり、コネクタピース80はコネクタ部70に簡単かつ確実に装着される。
 ここで、各端子751〜756は、電極部831〜836と同様、コネクタピース80のスライド方向(矢印Qの方向)に沿って、端子751〜753と、端子754〜756の2列に形成されている。また、電極部831〜836と同様、何れの列においても、各電極部はコネクタピース80のスライド方向に対して直交する方向にずれるように斜め配置されている。したがって、コネクタピース80をコネクタ部70に装着すると、6つの電極部831〜836に対して、6つの端子751〜756がそれぞれ電気的に接続して、センサユニット30の計測結果をケーブル20を介し機器本体10に入力できる。なお、端子751〜756は、何れも、コネクタ部70に形成された孔761〜766の内部に配置されている。
 一方、コネクタピース80をコネクタ部70から外すときには、コネクタピース80を逆に矢印Rの方向にスライドさせる。その結果、係合片811,821は、係合部71と係合部72との間および係合部73と係合部74との間に位置するまで戻る。したがって、このままコネクタピース80を持ち上げれば、コネクタピース80がコネクタ部70から簡単かつ確実に外れる。
 このようにして、コネクタピース80をコネクタ部70上で矢印Qの方向にスライドさせたときに係合するとともに、この状態からコネクタピース80を逆の方向(矢印Rの方向)にスライドさせたときに係合状態が解除される係合機構700が構成される。かかる構成の係合機構は、少ない部品でありながら係合が確実である。
<5.1.8.ストッパー機構の構成>
 図36に示すように、係合部71〜74には、矢印Qの方向の側に垂直壁711,721,731,741が形成されている。したがって、コネクタピース80をコネクタ部70に装着するときに、コネクタピース80を矢印Rの方向にスライドさせると(第2の動作)、係合片811,812,821,822は、垂直壁711,721,731,741にそれぞれ当接し、コネクタピース80をコネクタ部70の装着位置で停止させる。すなわち、垂直壁711,721,731,741は、コネクタピース80に対する第1のストッパーとして機能する。
 これとは逆に、コネクタピース80をコネクタ部70から外すために矢印Rの方向にスライドさせると、係合片811,821は、それぞれ係合部72,74の垂直壁721,741の裏側に当接し、コネクタピース80をコネクタ部70を元の位置で停止させる。すなわち垂直壁721,741の裏側はコネクタピース80に対する第2のストッパーとして機能する。
<5.1.9.スイッチ機構の構成>
 再び、図34において、矢印で表わす作動ピン858の動きに連動してスイッチSW1が閉じ、コンデンサC1は脈波計測用LED31に並列に電気的接続した状態となる。したがって、静電気によって高い電位にあるものが電極部832,833に触れても、その電荷はコンデンサC1に蓄積されて脈波計測用LED31が破損することはない。
 また、図34において、コネクタピース80をコネクタ部70に装着したとき、スイッチSW1は開いた状態になるので脈波を計測可能な回路構成になる。このとき、コンデンサC1に電荷が蓄積されていても、この電荷は電極部832,833および端子752,753を介して放電しないため、コネクタ部70および機器本体10に内蔵されている各回路は破損しない。このように、かかるスイッチ機構は、簡単な構成でありながらコネクタ部70へのコネクタピース80の装着動作に確実に連動する。
<5.1.10.コネクタカバーの構成>
 図37はコネクタカバー90の構成を示す説明図である。このコネクタカバー90は、コネクタ部70からコネクタピース80又は通信ユニット100を外し、腕装着型脈波計測機器1Aを通常の腕時計として用いる際に、該コネクタ部70に装着される。コネクタピース80と異なり、コネクタカバー90は電極部,センサー回路,ケーブルが不要であるため全体に薄い。また、コネクタカバー90は、コネクタ部70に装着したときの見栄えを損なわない形状になっているものの、コネクタ部70に対する装着構造はコネクタピース80と同じ構成になっている。すなわち、コネクタカバー90の下面部901には、その両側で下方に向けて張り出す一対の突出部91,92が形成されている。これら突出部91,92の下端部では、その内側に向かって4個の係合片911,912,921,922が突出している。また、下面部901には、コネクタ部70の端子751〜756が配置されている位置に対応して、これら端子751〜756とクリック機構を構成する凸条部941〜946が形成されている。
 コネクタカバー90をコネクタ部70に装着する際には、コネクタピース80と同様、係合部71と係合部72との間および係合部73と係合部74との間に、コネクタカバー90の係合片911,921が位置するように、コネクタカバー90をコネクタ部70に被せた後、係合片911,921が係合部71と係合部72との間および係合部73と係合部74との間をそれぞれ通り抜けるように、コネクタカバー90をコネクタ部70に向けて押し付け、しかる後に、矢印Qの方向(機器本体10の6時の方向から12時の方向)にコネクタカバー90をスライドさせると、係合部71,73の下に係合片911,921が潜り込む。また、係合部72,74の下に係合片912,922が潜り込む。その結果、係合片911,921,912,922は、コネクタカバー90の下面部901との間に係合部71〜74をそれぞれ保持する状態になるとともに、コネクタ部70の端子751〜756は、凸条部941〜946を乗り越えてクリック力を発揮する。このようにして、コネクタカバー90はコネクタ部70に装着された状態となる。
<5.1.11.通信ユニットの構成>
 図38に示すように、通信ユニット100の概観は略コネクタピース80のものと同じである。すなわち、図35との対比からわかるように、通信ユニット100には通信ケーブル20が接続されておらず、その上面の中央部分は長方形をした可視光カット用のフィルタ1001で覆われている。このフィルタ1001の直下には、上述したLED1015およびフォトトランジスタ102を露出するために、フィルタ1001と相似形の孔が空けられ、これによりフィルタ1001を介して光信号を送受信できるようになっている。
 すなわち、通信ユニット100は、その内部が部品収納空間になっており、上面のフィルタ1001に対向するようにして図示しない回路基板が固定されている。この回路基板には、LED1015,フォトトランジスタ102,その他の電子部品が実装されている。ここで、LED1015,フォトトランジスタ102は例えば940nmを中心波長とする近赤外線用のものが用いられ、それぞれ発光面および受光面をフィルタ1001の方に向けている。
 なお、突出部1100,1200、係合片1011,1012,1021,1022、電極部1031〜1036、凸条部1041〜1046、作動ピン1057,1058の構造は、何れも図35における突出部81,82、係合片811,812,821,822、電極部831〜836、凸条部841〜846、作動ピン857,858と同じ機能を有するものである。
<5.2.実施形態の動作>
 次に、上記構成による装置の動作について説明する。ここで、以下の説明では利用者がマラソンを行う場合を想定している。
<5.2.1.通常の腕時計として使用する場合>
 まず、腕装着型脈波計測機器1Aを通常の腕時計として用いる場合には、機器本体10のコネクタピース80をコネクタ部70から外すことで、ケーブル20およびセンサユニット30を取り外す。この状態で、リストバンド12により機器本体10を腕に装着する。このとき、コネクタ部70には図37に示すコネクタカバー90を装着し、その見栄えを高めるとともにコネクタ部70を保護する。
<5.2.2.脈波計測モードにおける動作>
 腕装着型脈波計測機器1Aを用いてランニング中の脈拍数を計測する場合には、図30に示すように、コネクタピース80をコネクタ部70に装着して、ケーブル20を機器本体10に接続した後、機器本体10をリストバンド12で腕に装着する。また、センサユニット30(図32に示す光学ユニット300のガラス板3041)をセンサ固定用バンド40によって指に密着させた後、ランニングを行う。
 この状態で、図32に示すように、脈波計測用LED31から指に向けて光を照射すると、この光が血管に届いて血液中のヘモグロビンによって一部が吸収され、一部が反射する。指の血管から反射された光は、脈波計測用フォトトランジスタ32によって受光され、その受光量変化は、血液の脈波によって生じる血量変化に対応する。すなわち、血量が多いときには反射光が弱くなる一方、血量が少なくなると反射光が強くなるので、反射光強度の変化を脈波計測用フォトトランジスタ32で監視すれば、脈波を検出することができる。
 一方、図33に示すデータ処理部50では、脈波計測用フォトトランジスタ32から入力された信号をデジタル信号に変換し、このデジタル信号に周波数分析などを行って脈拍数を演算して、得られた脈拍数を液晶表示装置13に表示させる。このようにして、腕装着型脈波計測機器1Aが脈拍計として機能する。またこのとき、脈拍数演算部55からデータ記憶部56に対して脈拍数およびその測定時刻が出力されてデータ記憶部56に記憶される。また、マラソン中にラップタイムやスプリットタイムを計測した場合には、これらのデータもデータ記憶部56に記憶される。さらに、機器本体10に温度や湿度の計測機能も付加されている場合にはこれらのデータもデータ記憶部56に記憶される。そして、かかる情報は、マラソンが終了した後に、改めて液晶表示装置13に順次表示させることが可能である。
<5.2.3.データ転送モードにおける動作>
 以上のようにして腕装着型脈波計測装置1Aを脈拍計として用いた後には、図29に示すように、腕装着型脈波計測装置1Aとデータ処理装置1Bとの間においてデータ転送を行う。それには、図39に示すように、コネクタ部70からコネクタピース80を取り外し、代わりに通信ユニット100をコネクタ部70へ装着する。この状態において、腕装着型脈波計測装置1Aとデータ処理装置1Bとの間は、LED61とフォトトランジスタ102、および、LED1015とフォトトランジスタ62によって双方向のデータ転送を行うための一対のフォトカプラが構成されたのと同様の状態にある。
 次に、ボタンスイッチ111〜117のうち所定のスイッチを操作して、腕装着型脈波計測機器1Aをデータ転送モードとする。このとき、図33に示すデータ処理部50では、データ出力制御部57が、データ記憶部56に記憶されている脈波情報や時刻データなどを通信ユニット100のLED1015から光信号として出力可能な状態となる。この待機状態において、データ処理装置1Bにおいてデータを送信するようにとの指令がなされると、その旨の光信号がLED61から通信窓6を介して出力される。
 この光信号を腕装着型脈波計測機器1A側のフォトトランジスタ102が受光すると、その旨の信号をデータ入力制御部58が受ける。その結果、データ出力制御部57は、データ記憶部56に記憶されている脈波情報や時刻データなどをLED1015から光信号として出力する。この光信号は、データ処理装置1B側のフォトトランジスタ62で受光され、その旨の信号がデータ処理装置1Bに取り込まれる。それ故、データ処理装置1Bでは、脈波情報や時刻データなどを必要に応じて所定の記録媒体に記録しておける一方、ディスプレイ3やプリンタ5に出力することができる。
 このように、本実施形態の腕装着型脈波計測機器1Aでは、機器本体10の液晶表示装置13に脈波情報などを表示できるだけでなく、データ出力制御部57および通信ユニット100内のLED1015を利用して、利用者がデータ処理装置1Bから離れたまま該データ処理装置1B側へデータを送信できる。すなわちマラソン競技が終了した後、これらのデータをデータ処理装置1Bの側で一括して表示することができ、データの集計を簡単に行うことができる。
 また、データ入力制御部58および通信ユニット100内のフォトトランジスタ102を利用して、データ処理装置1Bからのデータ受信を行うこともできる。したがって、腕装着型脈波計測機器1Aで行う各種の動作の条件をデータ処理装置1Bから腕装着型脈波計測機器1Aに入力してデータ記憶部56に記憶させておくことができる。このように、条件設定などをデータ処理装置1Bから行うことができれば、腕装着型脈波計測機器1Aの側にこれ以上多くのスイッチを設ける必要がない。しかも、かかるデータ転送を行うのに、着脱可能な通信ユニット100を用いた光通信によるデータ伝送を行うので、腕装着型脈波計測機器1Aの側に新たなインターフェースユニット等を設ける必要がないなど、腕装着型脈波計測機器1Aの小型化,軽量化を図ることができる。
<6.第6実施形態>
<6.1.実施形態の構成>
 第5実施形態では、脈波測定時においては、腕装着型脈波計測機器1Aのコネクタ部70に対してコネクタピース80と通信ユニット100の何れか一つを選択的に装着できる構成としていた。これに対し、本実施形態では、図40のように、腕装着型脈波計測機器1Aのコネクタ部70Aに対してコネクタピース80および通信ユニット100を一体化した通信ユニット200を装着するようになっている。
 以上のような構成としたことから、コネクタ部70Aと通信ユニット200を接続する電極数が第5実施形態に比べて増加している。
 すなわち、通信ユニット200の構成は図41に示す拡大図のようになり、その上面にフィルタ1001が設けられると共に、ケーブル20が接続された構成となる。また、図38に示す通信ユニット100と対比すると、その下面部1301には、さらに電極部1137〜1140と環状の凸条部1147〜1150が形成されている。これら電極部は、2個の電極部が対となり、それぞれが元々図38に存在している2列の電極群に対してそれぞれ平行に配置される。なおこれは凸条部についても同様である。
 なお、突出部1300,1400、係合片1111,1112,1121,1122、電極部1131〜1136、凸条部1141〜1146、作動ピン1157,1158の構造は、何れも図38における突出部1100,1200、係合片1011,1012,1021,1022、電極部1031〜1036、凸条部1041〜1046、作動ピン1057,1058と同じ機能を有するものである。
 次に、図42に示すコネクタ部70Aの構成は、図36に示すコネクタ部70に対して、その上面部にさらに端子757〜760と孔767〜770が形成されている。これら端子は2個の端子が対となり、それぞれが元々図36に存在している2列の端子群に対してそれぞれ平行に配置されている。なおこれは、孔についても同様である。
 次いで、図43に示すコネクタカバー90Aの構成は、図37に示すコネクタカバー90に対して、その下面部901Aにさらに凸条部947〜950が形成されている。これら凸条部は、2個の凸条部が対となり、それぞれが元々図37に存在している2列の凸条部に対してそれぞれ平行に配置されている。
 さらに、図示は省略するが、図34においてLED31とフォトトランジスタ32に対しそれぞれ設けられているのと同様の回路を、LED1015とフォトトランジスタ102に対して追加するようにする。
<6.2.実施形態の動作>
 次に、本実施形態による装置の動作を概説する。
<6.2.1.通常の腕時計として使用する場合>
 この場合は、センサ固定用バンド40を指から外すことでセンサユニット30を一緒に取り外すとともに、コネクタ部70Aにはコネクタカバー90Aを装着する。
<6.2.2.脈波計測モードにおける動作>
 ランニング中の脈拍数を計測する場合は、コネクタ部70Aからコネクタカバー90Aを取り外し、代わりに通信ユニット200を装着した後に、ランニングを行う。この状態で、センサユニット30が検出した脈波信号は、第5実施形態と同様に、データ処理部50に取り込まれてデジタル化された後、周波数分析などを行って脈拍数が演算され、得られた脈拍数が液晶表示装置13に表示される。さらに、この脈拍数を測定時刻等と一緒にデータ記憶部56へ記憶する。
<6.2.3.データ転送モードにおける動作>
 腕装着型脈波計測装置1Aとデータ処理装置1Bとの間でデータ転送を行う場合は、所定のボタンスイッチを操作して、腕装着型脈波計測機器1Aをデータ転送モードとする。次に、データ出力制御部57は、第5実施形態と同様に、データ記憶部56に記憶されている情報を、光通信によってデータ処理装置1B側へ転送して、記録媒体への記録,ディスプレイ3やプリンタ5への出力等を行う。
 このように、本実施形態では、一旦、センサユニット30と通信ユニット200を装着してしまえば、以後はコネクタ部70Aへの着脱作業を行うことなしに、脈波の測定,脈波信号のセンサユニット30から機器本体10への転送,機器本体10からデータ処理装置1Bへの脈拍情報等の転送が可能となり、利用者の負担を大幅に軽減することができる。
<7.第7実施形態>
<7.1.実施形態の構成>
 本実施形態では、図44に示すように、センサユニット30から機器本体10への脈波情報の伝送を光信号で行うようにしたものである。すなわち、センサユニット30を構成するセンサ固定用バンド40の上面に半円筒形状の送信装置400を長手方向に固定して取り付けている。そして、これらの間はケーブル20Bによって電気的に接続されて脈波信号の授受がなされるとともに、送信装置400からセンサユニット30に対しては電源の供給がなされる。また、送信装置400の肘側の側面には孔が設けられており、この孔の部分からは光通信用の素子である近赤外線のLED401が露出している。
 また、本実施形態においては、コネクタカバー90又は通信ユニット100の何れかがコネクタ部70に装着される。
 次に、この送信装置400の回路構成を説明するため、そのブロック図を図45に示す。この図において、A/D(アナログ/デジタル)変換器411はセンサユニット30から送出される脈波信号を所定時間間隔でサンプリングしてデジタル信号へ変換する。
 識別番号記憶部412は、光信号が何れの装置から送出されたものかを識別するための識別番号を記憶しており、この識別番号は脈波信号が送信装置400から外部に送出される場合に、この脈波信号とともに光信号に載せられる。これは、腕装着型脈波計測機器1Aの利用者が複数いるために送信装置400が複数存在する場合における競合を防止するためである。したがって、各送信装置内の識別番号記憶部412に記憶される識別番号は、出荷時の設定等によって互いに異なった番号が付与される。またこのことから、本実施形態では、機器本体10(すなわちデータ処理部50)とデータ処理装置1Bについても全ての装置にユニークな番号が付与されるような設定がなされる。
 制御部413は送信装置400内の各部を制御するための回路である。また、送信部414は、上述したLED401を駆動するための駆動回路を内蔵しており、LED401を駆動することで、制御部413が作成した送信データを光信号へ変換して外部へ送出する。
 さらに、送信装置400には送信装置400内の各部とセンサユニット30の電源供給源となる電池(図示略)が搭載されている。
<7.2.実施形態の動作>
 次に、本実施形態による装置の動作を概説する。
<7.2.1.通常の腕時計として使用する場合>
 この場合は、センサ固定用バンド40を指から外すことでセンサユニット30及び送信装置400を一緒に取り外すとともに、コネクタ部70にはコネクタカバー90を装着する。
<7.2.2.脈波計測モードにおける動作>
 ランニング中の脈拍数を計測する場合は、図44に示すように、LED401の発光部が肘側(機器本体10側)を向くように、センサ固定用バンド40によりセンサユニット30及び送信装置400を指に装着する。また、腕装着型脈波計測機器1Aのコネクタ部70からコネクタカバー90を取り外し、代わりに通信ユニット100を装着する。そして、ランニングを行う。
 次に、センサユニット30で検出された脈波信号は、A/D変換器411でデジタル化されて制御部413に取り込まれ、制御部413は取り込んだデジタル信号に識別番号記憶部412から識別番号等の情報を付与して送信部414へ送出する。これらの情報は送信部414で光信号へ変換されてLED401から送信装置400の外部へ送出される。この光信号は通信コネクタ1000のフォトトランジスタ102を介してデータ処理部50へ送られる。これにより、データ入力制御部58は光信号中の識別番号部を取り出してデータ記憶部56へ格納するとともに、光信号の送出元が自らの腕装着型脈波計測機器1Aに設けられた送信装置400であることを識別するとともに、以後のデータが脈波信号であることを認識する。そしてその後は、第5実施形態と同様に、脈波信号を取り込んで脈拍数を算出して液晶表示装置13へ表示させるとともに、脈拍数を測定時刻等と一緒にデータ記憶部56へ記憶する。
<7.2.3.データ転送モードにおける動作>
 次いで、腕装着型脈波計測装置1Aとデータ処理装置1Bとの間でデータ転送を行う場合は、所定のボタンスイッチを操作して、腕装着型脈波計測機器1Aをデータ転送モードとする。次に、データ出力制御部57は、第5実施形態と同様に、データ記憶部56に記憶されている情報を、光通信によってデータ処理装置1B側へ転送して、記録媒体への記録,ディスプレイ3やプリンタ5への出力等を行う。
 このように、本実施形態では、一旦、通信コネクタ1000,センサユニット30,送信装置400を装着してしまえば、以後はコネクタ部70への着脱作業を行うことなしに、脈波の測定,脈波信号のセンサユニット30から機器本体10への転送,機器本体10からデータ処理装置1Bへの脈拍情報等の転送が可能となり、利用者の負担を大幅に軽減することができる。
<8.第8実施形態>
 上記第1〜第3実施形態においては、使用者のVO2maxが求められたが、求めたVO2maxに基づいて、使用者に運動処方を告知することができる。その詳細を以下説明する。まず、運動処方を告知するためには、使用者に最適な運動強度と、一回あたりの運動時間と、所定期間内における運動頻度とを特定する必要がある。
 上述したように、「最適な運動強度」はVO2maxの50%に相当する運動強度であるから、VO2maxが求められると直ちに求まる。また、一般人を対象にすると、一回あたりの好適な運動時間は「20分」程度であり、好適な運動頻度は「40〜50%」程度(すなわち10日のうち4〜5日)である。
 従って、本実施形態にあっては、VO2maxが得られた場合に、図50に示すような運動目標画面が表示部208に表示される。図示の例にあっては、週に3回、750[kpm/分]の運動を20分続ければよいことが解る。ここで使用者が所定の操作を行うと、表示部208に図51に示す画面が表示される。
 図において601は運動量目標値表示部であり、使用者の1週間あたりの運動量の目標値を表示する。上記例にあっては、「750[kpm/分]×20[分]×3[回]=45000[kpm]」が運動量目標値になるため、この値が表示されている。なお、ここにいう「運動量」とは、運動強度を時間で積分した結果である。602は運動量現在値表示部であり、過去1週間の使用者の運動量の積算値を表示する。但し、図示の例では、使用者が本実施形態の装置の使用を初めて開始してVO2maxを求めた直後の状態を想定しているから、運動量現在値表示部602には「0」が表示されている。
 次に、603は円グラフ表示部であり、運動量目標値に対する運動量現在値の割合の百分率を円グラフで表示する。604はフェースチャート表示部であり、運動量目標値に対する運動量現在値の割合に応じたフェースチャートを表示する。607は運動強度目標値表示部であり、先に求められた運動強度の目標値(750[kpm/分])が表示される。606は運動強度現在値表示部であり、運動強度の現在値を表示する。図示の例では、使用者が静止していることを仮定しており、運動強度現在値表示部606には「0」が表示されている。
 次に、605は運動強度メータであり、「0%」〜「200%」の範囲で、「10%」間隔で20個のLEDを配置し、これらの点灯状態によって、運動強度現在値の運動強度目標値に対する割合を表示する。図示の例では運動強度現在値が「0」であるから、全てのLEDが消灯状態になっている。ここで、運動強度メータ605を構成するLEDのうち「10〜70%」に対応するものは黄色、「80〜120%」に対応するものは緑色、「130%以上」に対応するものは赤色に点灯する。
 次に、使用者がある程度の運動を行っている状態における表示例を図52に示す。図示の例では運動量現在値は「13500」になっているため、運動量目標値の「30%」が達成されている。従って、これに対応した円グラフが円グラフ表示部603に表示されるとともに、フェースチャート表示部604に表示されるフェースチャートも当該達成率に応じたものに変更されている。
 一方、運動強度現在値は「1300」であり、運動強度目標値である「750」を大きく上回っているため、運動強度メータ605内の赤色のLEDのうち数個が点灯する。従って、使用者はこれを見て運動強度が強過ぎることを知ることができる。
 次に、使用者の運動量、運動強度が共に好適な状態を図53に示す。この図において運動量現在値は「45000[kpm]」になっており、運動量目標値が達成されている。従って、円グラフ表示部603およびフェースチャート表示部604においては、かかる状況に対応した表示がなされている。また、運動強度現在値は「980[kpm/分]」であり、運動強度目標値の±20%の範囲に含まれるから、運動強度メータ605においては対応する緑色のLEDが点灯される。
 本実施形態においては、過去7日間に渡る運動量が各日毎に記憶され、これらの積算結果が運動量現在値として表示される。そして、所定時刻(例えば午前0時)になると、最も古い日の運動量データが破棄され、これに代えて新たな日の運動量データが用いられる。
 上記例においては運動量の積算期間を7日間としたが、この積算期間は10日等、使用者が自由に設定できるようにしてもよい。従って、例えば「3ヶ月後」のように所定の期日を設定して、その間に目標とする運動量を設定してトレーニングを行うことができる。
 また、第5実施形態において説明したようなコネクタ部70を本実施形態の装置に設け、これに通信ユニット100を装着することにより、外部機器との間で双方向のデータ転送を行うことができる。すなわち、本実施形態の装置によって測定されたVO2maxや脈波データを外部機器に供給することができる。また、本実施形態の装置にあっては、VO2maxの測定結果のみならず、外部機器から得られた様々なデータ(例えば医師やトレーニング指導者による問診結果等)も運動処方に反映させることができる。
<9.変形例>
 以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、例えば以下に列挙するように、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
<9.1.装置の形態における変形>
 また、脈波の検出場所は、指に限らず、脈波が測れる場所(一例としては、耳等)ならばどこでも良い。
 すなわち、上記各実施形態における装置の形態は、一般的な腕時計であったが、本発明はこれに限られず、被験者が日常的に使用するものや、装身具一般(携行品)であればよい。例えば、眼鏡や、指輪、ネックレス、バンドなどに組み込むほか、バンドを介して取り付ける万歩計(登録商標)の一機能することも考えられる。
 そこで、以下では腕時計以外の組み合わせとして、アクセサリー及び眼鏡を例に挙げて説明する。
 まず、アクセサリーと組み合わせた場合の一例として図46に示すネックレスを取り上げる。この図において、550はセンサパッドであって例えばスポンジ状の緩衝材で構成される。このセンサーパッド550には、図44に示した送信装置400と同様に構成された送信装置555が取り付けられている。この送信装置555には、上述した光学ユニット300に相当するセンサーユニット(図示略)が設けられており、このセンサーユニットが皮膚面に接触するように構成される。そして、ネックレスを首にかけることで、センサーユニットが首の後ろ側の皮膚に接触して脈波を測定することができる。
 また、中空部分を有するブローチ様の形状のケース551には、第1実施形態における機器本体10内部に設けられたのと同様の各種部品が収納されている。またこのケース551には、その前面にはコネクタカバー90又は通信ユニット100の何れかを装着するためのコネクタ部が設けられており、図では通信ユニット100が取り付けられている。
 さらに、ケース551にはボタンスイッチが設けられており、ここでは図31に示すボタンスイッチのうち、ボタンスイッチ116,117を示してある。しかしながら、これら以外にもボタンスイッチを設けて良い。さらに、ケース551の前面には液晶表示装置13も設けられている。ちなみに、図のように、センサーパッド550とケース551とは鎖552によって繋がれている。
 なお、アクセサリーはネックレス以外のものであっても良いのは勿論である。
 次に、眼鏡と組み合わせた場合の例を図47に示す。同図のように、携帯型脈波測定装置を収納するためにケース651aとケース651bが設けられている。これらケースはそれぞれ別々に眼鏡の蔓652に取り付けられ、蔓652内部に埋め込まれたリード線を介して互いに電気的に接続されている。
 ケース651aは表示制御回路を内蔵しており、このケース651aのレンズ653側の側面には全面に液晶パネル654が取り付けられ、また、該側面の一端には鏡655が所定の角度で固定されている。さらにケース651aには、光源(図示略)を含む液晶パネル654の駆動回路等が組み込まれている。そして、この光源から発射された光は、液晶パネル654を介して鏡655で反射されて、眼鏡のレンズ653に投射される。したがって、これらが図33の液晶表示装置13に相当するものと言える。
 一方、ケース651bには、第1実施形態の機器本体10内部に収容されたのと同様の部品が組み込まれており、その上面には各種のボタンスイッチが設けられる。ここでは、ネックレスの場合と同様に、ボタンスイッチ116,117のみを示してあるが、これ以外のボタンスイッチを設けても良い。また、ケース651bにおいて、皮膚に接触するのと反対の側面には、コネクタピース80,コネクタカバー90,通信ユニット100の何れかを装着するためのコネクタ部が設けられており、ここでは通信ユニット100が取り付けられている。
 他方、第1実施形態で光学ユニット300を構成していたLED31およびフォトトランジスタ32は、そのままパッド656に内蔵するようにして、パッド656,656で耳朶を挟むようになっている。また、これらのパッドはケーブル20を介してコネクタピース80に接続されている。
 なお、ケース651aとケース651bを接続するリード線は、蔓652に沿って這わせるようにしても良く、また、上記の2つのケースを一体化して構成しても良い。また、鏡655については、利用者が液晶パネル654と鏡655との角度を調整できるように可動式としても良い。さらに、図47では第1実施形態の場合について図示してあるが、第2実施形態〜第3実施形態と組み合わせるようにしても良い。
 また、上述した形態を様々に組み合わせても良い。例えば、図44に示した送信装置400の代わりに図46に示した送信装置555を用い、首の部分で測定した脈波信号を腕時計側へ光信号で送り出すようにしても良い。同様に、図47に示す眼鏡には送信装置だけを設けるようにして、耳朶で測定した脈波信号を腕時計側へ送出し、腕時計を介してデータ処理装置1B側へ送信を行う構成とすることもできる。
 さらに、上述の説明では、コネクタピースや通信ユニットを腕時計,ネックレス,眼鏡等の携帯機器に対して着脱自在に取り付ける構成としていた。しかしながら、脈波を測定しない場合にも、コネクタピースや通信ユニットを携帯機器へ取り付けたままにしても問題ないのである。したがって、コネクタ部に対してコネクタピースと通信ユニットを択一的に装着させる構成でなければ、すなわち第1実施形態以外の構成であれば、通信ユニットを携帯機器側に固定して取り付けるように構成して良い。こうすれば、コネクタ部70を携帯機器から省くことができ、携帯機器の構成が簡単になってその製造コストを下げることができる。
<9.2.運動の種類の変形>
 また、上記第1〜3実施形態においては、被験者が行なう運動を走行としたが、本発明はこれに限られない。例えば、運動を水泳とし、走行のストライドに対応してひとかきの移動距離を入力し、ピッチに対応して単位時間あたりのかき数とを検出することでも、同様な効果が得られる。要するに本発明は、被験者の運動強度と、拍数とを検出することさえすれば、運動形態を限ることなく、最大酸素摂取量(VO2max/wt)を求めることができるのである。
 換言すれば、体動センサ302として用いる加速度センサは、腕のみに限らず、走者の身体のどこかに装着すれば、その加速度変化からピッチの測定を行うことができる。
<9.3.記憶装置の変形>
 また、上記実施形態では、脈拍数テーブル記憶部9はROMで構成されるとしたが、この他にも、該脈拍数テーブル記憶部9を書き換え可能な不揮発性メモリ(具体的には、E^2PROM,フラッシュROM,バッテリバックアップされたRAM等)で構成することも考えられる。この場合、使用者の運動能力の向上に対応して、図14に示す脈拍数テーブルの内容を随時書き換えることができる。
<9.4.VO2maxの推定・入力等の変形>
 たとえば、VO2maxの推定方法としては、上述した間接法の他に、呼吸気の成分から測定する方法や、乳酸閾値から求める方法も考えられる。
 ここで、「呼吸気法」とは、最大下運動中の仕事率と呼気中二酸化炭素とからVO2max/wtを推定する方法であり、「乳酸閾値法」とは、最大下運動中の仕事率と血中乳酸とからVO2max/wtを推定する方法である。
 また、VO2maxの入力方法としては、アップスイッチUおよびダウンスイッチDによる方法の他に、小型のテンキーを設けて行う方法や、パーソナルコンピュータ等の機器から通信(ワイヤレス/ワーヤードいずれも可)で行う方法も考えられる。
 また、脈拍数テーブルより読み出した脈拍数を、使用者の年齢や、温度センサー(図示略)により得た周囲温度や、その時の体調に合わせた好みの運動強度等で補正することも考えられる。
 また、上限値ULおよび下限値LLの幅としては、上述した±20%以外の値も考えられる。
 また、CPU308が行う周波数解析方法としては、FFTの他に、最大エントロピー法や、ウェブレット変換法等も考えられる。
<9.5.使用者への告知方法の変形>
<9.5.1.視覚や触覚等による告知>
 また、第4実施形態における使用者へのピッチ告知方法としては、放音部25によるピッチ音の他に、視覚や触覚による告知を行っても良い。例えば、視覚の場合は、LED等を指示ピッチに合わせて点滅させてもよい。また、触覚による場合は、通電時に本体14(図16参照)の下面から突出する形状記憶合金を設け、この形状記憶合金に指示ピッチに合わせたタイミングで通電を行うようにする。あるいは、偏心荷重を回転させて人体に振動を伝える振動アラームが周知であるが、これを本体14と一体もしくは別体に設け、指示ピッチに合わせて通電するようにしてもよい。さらに、本体14の下面内側の一部を図28に示すように70μm程度の厚さにして凹部を作り、ここに、ピエゾ素子PZTを取り付けるようにしてもよい。このピエゾ素子に適当な周波数の交流電流を印加すると、ピエゾ素子PZTが振動し、その振動が人体に伝達される。したがって、指示ピッチに合わせたタイミングで交流電流を印加するようにすれば、触覚的なピッチ告知を行うことができる。なお、ピエゾ素子PZTの厚みは100μm,直径は凹部の直径の80%程度にするとよい。
<9.5.2.ピッチの評価結果の告知>
 また、使用者にピッチそのものを告知するのではなく、現在のピッチが適切なピッチの範囲内にある、低過ぎる、あるいは高過ぎる等の評価結果を告知してもよい。かかる評価結果の告知態様も視覚、聴覚、触覚、等五感に訴えるものであればどのような態様であってもよい。例えば、評価結果が適切な範囲にあるか否かを図48に示すようなフェースチャートで表示してもよい。
<9.5.3.VO2maxの履歴の告知>
 また、VO2max自体が体力増強の目安となるため、上記各実施形態において、長期間に渡るVO2maxの履歴をメモリに記憶し、その変化を表示部208に表示して使用者に告知してもよい。例えば、1ヶ月を単位とするVO2maxの変化を表示する例を図49に示す。図において現在〜1ヶ月前までの平均値、1ヶ月前〜2ヶ月前までの平均値、……4ヶ月前〜6ヶ月前までの平均値がヒストグラム状に表示されており、これによって使用者は、長期間に渡るトレーニングの効果を知ることができる。
<9.6.拍動成分の特定方法の変形>
<9.6.1.最も簡略化した場合>
 上記第4実施形態においては、図24のフローチャートによって拍動周波数成分が特定された。しかし、CPU308の処理能力が充分ではない場合等においては、拍動周波数成分を特定する処理を以下のように簡略化することができる。
 図25は、脈拍/ピッチ検出部22による拍動成分の特定方法の一例を示すフローチャートである。
 この図において、ステップSB3では、脈波体動減算処理(f=fmg−fsg)を行い、拍動信号だけに有る周波数成分を取り出す。ステップSB4で、取り出された脈波成分fの中の最大の周波数成分を特定する。特定されたfmaxが拍動の周波数成分である。
 拍動成分と体動成分には運動負荷による高調波成分の変化に差があり、拍動成分に変化が良く現れる。これは、心機能の変化に起因するものであり、一回拍出量(SV)の変化に良く現れる。また、周知のように、拍数も運動負荷が大きくなるにつれ増加する。
<9.6.2.体動成分の最大成分を第2高調波であると特定する場合>
 上記第4実施形態においては、体動成分の最大成分が第2高調波であると最初に推定し、この推定が正しいか否かについて検証を行った(ステップSD2,SD4)。この推定が正しくなる確率は、運動の種類(ランニング、水泳、競歩等)や、その運動における使用者の体の動かしかた等の条件に応じて変化すると考えられる。従って、条件さえ整えば、きわめて高い確率で上記推定が正しくなる。かかる場合には、推定を検証する処理を省略することができる。
 図26は、かかる原理に基づいて脈波成分の特定方法を簡略化した例を示すフローチャートである。
 この図において、ステップSC1,SC2,SC3では、体動成分として比較的検出し易い体動センサ302の第2高調波fs2を特定する。
 ステップSC2に示すfminは、運動を例えば走行とした場合、走行の第2高調波の出現する下限周波数である2〔Hz〕とする。
 一方、ステップSC2に示すfmaxは、A/D変換するサンプリングレートで決まる周波数であり、サンプリング周波数を8〔Hz〕とすると、サンプリング定理から、原波形が再現できる最高周波数は4〔Hz〕と自動的に決まる。
 このfmaxからfminの範囲における最大の線スペクトルを、体動成分の第2高調波fs2として特定する。
 次に、ステップSC4では、体動成分の基本波fs1を求める。
 ステップSC5,SC6,SC7,SC8では、脈波センサ301の検出スペクトルから体動成分の基本波(fs1),第2高調波(2×fs1),第3高調波(3×fs1)と一致する脈波成分を除去する。
 ステップSC9では、除去した後に残った最大の周波数成分を脈波fmとして特定する。
<9.7.処理分担の変形>
 第5〜第7実施形態においては、腕装着型脈波計測機器1A側で脈拍数を算出し、求めた脈拍数をデータ処理装置1B側へ送出することとした。しかしながら、検出した脈波信号をそのままデータ処理装置1Bへ送出することとして、該データ処理装置1B側で脈波信号から脈拍数を算出するようにしても良い。
本発明の第1実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置の機能的構成を示すブロック図である。 同実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明において用いるAstrand-Ryhmingのノモグラムを説明するための図である。 運動強度と心拍数との関係を示す図である。 同実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置の外観構成を示す図である。 同実施形態おける主動作を示すフローチャートである。 同実施形態における演算表示処理を示すフローチャートである。 同実施形態における運動強度の増加告知処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置においてピッチとストライドの補正係数との関係を示す図である。 本発明の第3実施形態にかかる最大酸素摂取量推定装置の電気的構成を示すブロック図である。 同実施形態において高度差とストライドの補正係数との関係を示す図である。 同実施形態おける主動作を示すフローチャートである。 第4実施形態による運動処方支援装置の構成例を示すブロック図である。 同実施形態において脈拍数テーブルの一例を示す説明図である。 同実施形態において表示部8の表示例を示す説明図である。 同実施形態による運動処方支援装置が適用されたピッチメーカの外観を示す斜視図である。 上記ピッチメーカの電気的構成例を示すブロック図である。 ピッチ信号発生部24の構成例を示すブロック図である。 脈拍/ピッチ検出部22の構成例を示すブロック図である。 脈波/ピッチ検出部22における処理手順を示すフローチャートである。 (a)は周波数fと周波数fを加算した信号を示す図であり、(b)は該加算信号をFFT処理した結果を示すグラフである。 (a)は脈波センサ301の出力信号をFFT処理した結果、(b)は体動センサ302の出力信号をFFT処理した結果、(c)は(a)の結果から(b)の結果を差し引いた脈波成分を表す図である。 体動センサ302の出力をFFT処理した結果である。 体動信号の高調波を特定した後に脈波成分を特定する処理方法を示すフローチャートである。 脈拍/ピッチ検出部22による脈波成分の特定方法の一例を示すフローチャートである。 脈拍/ピッチ検出部22による脈波成分の特定方法の一例を示すフローチャートである。 上記ピッチメーカの動作を説明するためのタイミングチャートである。 ピッチ告知手段としてピエゾ素子を用いる場合の設置状態を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る携帯型脈波測定装置と該装置が計測した脈波情報を処理するデータ処理装置の構成を示す図である。 同実施形態に係る腕装着型脈波計測機器の使用方法を示す図である。 同計測機器の機器本体の平面図である。 同計測機器において、センサユニットを指に装着した状態を示す図である。 同計測機器のデータ処理部のブロック図である。 同計測機器のコネクタ部における電気的な接続関係を示す図である。 同実施形態によるコネクタピース80の構成を示す図である。 同実施形態によるコネクタ部70の構成を示す図である。 同実施形態によるコネクタカバー90の構成を示す図である。 同実施形態による通信ユニット100の構成を示す図である。 同実施形態において、コネクタピース80の代わりに通信ユニット100をコネクタ部70へ取り付けた様子を示す図である。 本発明の第6実施形態に係る腕装着型脈波計測機器の使用方法を示す図である。 同実施形態による通信ユニット100の構成を示す図である。 同実施形態によるコネクタ部70Aの構成を示す図である。 同実施形態によるコネクタカバー90Aの構成を示す図である。 本発明の第7実施形態に係る腕装着型脈波計測機器の使用方法を示す図である。 同実施形態における送信装置400の構成を示すブロック図である。 装置をネックレスと組み合わせた場合の図である。 装置を眼鏡と組み合わせた場合の図である。 ピッチの告知態様の変形例を示す図である。 長期間に渡るVO2maxの変化を告知する態様を表示する図である。 第8実施形態における表示部208の表示例を示す図である。 第8実施形態における表示部208の表示例を示す図である。 第8実施形態における表示部208の表示例を示す図である。 第8実施形態における表示部208の表示例を示す図である。
符号の説明
 1…マイクロコンピュータ、2…機器本体、3…ディスプレイ、4…キーボード、6…通信、7…入力部、8…表示部、9…脈拍数テーブル記憶部、10…機器本体、25…放音部、26…表示部、30…センサユニット、55…脈拍数演算部、56…データ記憶部、101…脈波検出部、102…フォトトランジスタ、103…処理部、104…体動検出部、105…変換部、106…処理部、107…記憶部、108…運動強度演算部、109…ノモグラム記憶部、110…演算部、120…制御部、1112…表示部

Claims (4)

  1.  使用者の最大酸素摂取量を記憶する記憶手段と、
     この最大酸素摂取量に基づいて運動処方を求める処方手段と、
     求められた運動処方を使用者に告示する告示手段と
     を具備することを特徴とする運動処方支援装置 。
  2.  前記処方手段によって求められる運動処方は、運動強度、運動頻度および一回あたりの運動時間を含むことを特徴とする請求項1記載の運動処方支援装置。
  3.  使用者から得られる生体情報に基づいて前記最大酸素摂取量を演算して前記記憶手段に格納する最大酸素摂取量演算手段を具備することを特徴とする請求項1記載の運動処方支援装置。
  4.  測定された最大酸素摂取量を所定期間に亙って記憶するとともに、これら最大酸素摂取量の変遷結果を告示する手段を有することを特徴とする請求項3記載の運動処方支援装置。
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