JP2004113424A - ミシン及びアーム部退避用切換え制御プログラム - Google Patents

ミシン及びアーム部退避用切換え制御プログラム Download PDF

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三宅 邦治
Yoshiyuki Okazaki
岡崎 好幸
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大矢 一登
Hidetaka Inagaki
稲垣 秀高
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Abstract

【課題】縫製途中におけるアーム部の退避位置への切換えを、縫針や加工布に支障なく、しかも縫目に乱れが生じることなく、行えるようにすること。
【解決手段】タッチキーの退避指令キーが操作されたときに、縫製中であってミシンモータが駆動中のときには(S17:Yes) 、縫針が針上位置となるようにミシンモータの駆動が停止される(S18、S19:Yes) 。縫製動作が停止された後、糸カセットがカセット装着部に装着されている場合に(S20、S21:Yes) 、切換え禁止フラグがリセットされ(S22)、キャリッジは、一旦、原点位置に移動された後(S23、S24:Yes) 、更に後方のロック解除位置まで移動される(S25)。このとき、キャリッジによりロック機構がロック解除状態に切換えられて、アーム部を作業者により手動で退避位置に切換え可能になる。
【選択図】 図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシン及びアーム部退避用切換え制御プログラムに関し、特にアーム部の退避位置への切換えに際しては、縫製動作を停止してから行うようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的な家庭用のミシンにおいては、ベッド部内に下軸で駆動される糸輪捕捉器が設けられるとともに、このベッド部に対向するアーム部内に主軸で駆動される天秤駆動機構や針棒駆動機構が設けられている。最近では、電動型のミシンが普及しており、これら主軸や下軸をミシンモータの駆動力で連動して回転駆動するようにし、ミシンモータで駆動される主軸により天秤や縫針を上下駆動するのに調時させて、ミシンモータで駆動される下軸により糸輪捕捉器を駆動するようにし、これら縫針と糸輪捕捉器により、ベッド部の針板上面に載置した加工布に縫目を形成するようになっている。
【0003】
ところで、針板上面に加工布をセットする場合や縫製途中で加工布の向きを変更する等の縫製作業の作業性を改善するように、アーム部を略水平な縫製位置から上方に揺動させた退避位置に切換えるようにしたミシンが種々提案されている。例えば、米国特許361426号公報に記載のミシンにおいては、水平アーム部がその基端部において垂直アーム部(脚柱部)の上端部にヒンジ機構を介して上下揺動可能に構成され、必要に応じて水平アーム部を手動操作で縫製位置から退避位置に揺動させ、この退避位置にボルトを用いて固定でき、作業性を改善できるようにしてある。この場合、水平アーム部のヘッド部には、一般的なミシンと同様に、上下向きに配設された縫針が上下動可能に支持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許361426号公報 (第1〜2頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記米国特許361426号公報に記載のミシンによれば、水平アーム部を、必要に応じて水平な縫製位置から退避位置に切換え可能に構成してあるが、水平アーム部の退避位置への切換えと縫製作業との関連について、つまり水平アーム部の切換え動作と縫製動作の連動性については記載されていない。そこで、従来の電動型ミシンに、アーム部を縫製位置と退避位置とに切換え可能な切換え機構を採用した場合、縫製中か否かに関係なく、任意の時点でアーム部を退避位置に切換え可能である。
【0006】
その為、特に縫製途中に、加工布の方向を変える等のために、アーム部を退避位置に切換えるような場合には、上下動しながら上方に移動する縫針と針板とが衝突して縫針が折損したり、上下動しながら上方に移動する縫針で加工布が破れること、更には縫目を綺麗に形成できないこと、等の問題がある。
【0007】
本発明の目的は、縫製途中におけるアーム部の退避位置への切換えを、縫針や加工布に支障なく、しかも縫目に乱れが生じることなく、行えるようにすること、等である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るミシンは、水平な縫製位置とこの縫製位置から上方へ揺動させた退避位置とに切換え可能なアーム部と、アーム部にて縫針を上下動する為のミシンモータとを備え、その縫針の上下動を介して加工布に縫目を形成するミシンであって、アーム部を縫製位置にロックするロック状態と縫製位置から退避位置への切換えが可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構と、ロック機構をロック解除状態に駆動するロック解除駆動手段と、アーム部を退避位置に切換える為に指令する指令手段と、指令手段からロック解除駆動手段を作動させる指令を受けたときに、ミシンモータが駆動中のときには、縫針を針上位置にしてミシンモータの駆動を停止させるとともに、ミシンモータの停止後にロック機構をロック解除状態に切換えるようにロック解除駆動手段を制御する切換え制御手段とを備えたものである。
【0009】
切換え制御手段は、指令手段からロック解除駆動手段を作動させる指令を受けたときに、縫製途中であってミシンモータが駆動している場合には、先ず、縫針が針上位置となるようにミシンモータの駆動を停止し、その後にロック機構をロック解除状態に切換える。それ故、縫製動作が完全に停止してから、アーム部を手動操作にて退避位置に切換える状態となる。
【0010】
請求項2に係るミシンは、請求項1の発明において、前記切換え制御手段は、指令手段からアーム部を退避位置に切換える為の指令を受けたときに、ミシンモータの駆動が停止しているときには、ミシンモータを駆動して縫針を針上位置に上昇駆動させるものである。その他、請求項1と同様の作用を奏する。
【0011】
請求項3に係るミシンは、請求項1又は2の発明において、前記アーム部に対向状のベッド部の上面に針板が設けられ、この針板に縫針の上下動を許容する針穴が形成されているものである。この場合、アーム部を退避位置に切換えるに際して、縫針は必ず針上位置に移動しているため、縫針が針板の針穴から離間している。その他、請求項1又は2と同様の作用を奏する。
【0012】
請求項4に係るミシンは、請求項1〜3の何れかの発明において、前記アーム部が退避位置に切換えられた状態では、切換え制御手段はミシンモータの駆動を禁止するように制御するものである。この場合には、アーム部を縫製位置とは異なる退避位置に切換えることで、縫製動作が禁止される。その他、請求項1〜3の何れかと同様の作用を奏する。
【0013】
請求項5に係るミシンは、請求項1〜4の何れかの発明において、前記アーム部のうちの縫針の付近に、糸供給源を有する糸カセットを着脱可能なカセット装着部が設けられ、切換え制御手段によって縫針の先端がカセット装着部に装着した糸カセットよりも上側に達するまで、ミシンモータで縫針が駆動されるものである。この場合、アーム部を退避位置への切換えに際しては、縫針の先端が糸カセットよりも上側、つまり糸カセットの底面よりも上側に位置するため、針上位置の縫針が糸カセットから食み出して露出するようなことがなく、加工布の縫針への接近を糸カセットにより確実にガードすることができる。その他、請求項1〜4の何れかと同様の作用を奏する。
【0014】
請求項6に係るアーム部退避用切換え制御プログラムは、水平な縫製位置とこの縫製位置から上方へ揺動させた退避位置とに切換え可能なアーム部と、アーム部にて縫針を上下駆動する為のミシンモータと、アーム部を縫製位置にロックするロック状態と縫製位置から退避位置への切換えが可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構と、ロック機構をロック解除状態に駆動するロック解除駆動手段とを備えたミシンを制御する制御装置のコンピュータに、アーム部を退避位置に切換える為にロック解除駆動手段にロック状態解除制御を実行させる為のアーム部退避用切換え制御プログラムであって、ロック機構をロック解除状態に切換えるように指令を受けたときに、ミシンモータが駆動中のときには、縫針を針上位置にしてミシンモータの駆動を停止させるミシンモータ制御ルーチンと、ミシンモータの停止後にロック機構をロック解除状態に切換えるようにロック解除駆動手段を制御する切換え制御ルーチンとを含むものである。
【0015】
アーム部退避用切換え制御プログラムには、ミシンモータ制御ルーチンと、切換え制御ルーチンとが含まれので、これらミシンモータ制御ルーチンと切換え制御ルーチンとを含むアーム部切換え制御プログラムが、水平な縫製位置とこの縫製位置から上方へ揺動させた退避位置とに切換え可能なアーム部と、このアーム部にて縫針を上下駆動すに為のミシンモータと、アーム部を縫製位置にロックするロック状態と縫製位置から退避位置への切換えが可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構と、ロック機構をロック解除状態に駆動するロック解除駆動手段とを有するミシンを制御する制御装置のコンピュータに適用される。それ故、このアーム部退避用切換え制御プログラムを適用したミシンは、請求項1と同様に作用する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態は、衣服の袖等の筒状の加工布に種々の刺繍模様を縫製可能な家庭用刺繍ミシンに本発明を適用したものである。尚、作業者は図1の左方から右方を向いて各種の作業を行うため、図1の左方を前方として以下説明する。
【0017】
図1、図2に示すように、刺繍ミシン1は、作業テーブル等に載置される水平なベース部2と、このベース部2の後端部分に上下方向に立設された脚柱部3と、この脚柱部3から前方へ水平に延びるシリンダベッド4と、脚柱部3の上端部から前方へ延びるアーム部6とを備えている。
【0018】
この刺繍ミシン1を用いて縫製を開始する場合、作業者により刺繍縫いに供する筒状の加工布を、シリンダベッド4に有する正面視にて湾曲状の布保持枠5(図1参照)にセットするに際して、アーム部6の前端部のヘッド部7に設けられた縫針30や糸通し機構(図示略)等が邪魔になるため、アーム部6を水平な縫製位置から上方に揺動させた退避位置に切換えることで、加工布の布保持枠5へのセット作業を容易にできるようになっている。その後、再びアーム部6を水平な縫製位置に切換えることで、布保持枠5にセットした加工布に所望の刺繍模様を縫製することができる。
【0019】
脚柱部3に有する本体フレーム10には、ミシンモータ11と、このミシンモータ11の回転駆動力をヘッド部7に設けられた縫針30や天秤31に伝達する駆動力伝達機構12などが設けられている。駆動力伝達機構12は、主軸14と、伝達軸13,15と、ベルト16,17と、ギヤ18,19と、プーリ20a,20b,20e等で構成されている。ミシンモータ11の回転駆動力はベルト16を介して伝達軸13に伝達され、両ギヤ18,19を介して主軸14に伝達され、更に、プーリ20e,ベルト17及びプーリ20aを介して伝達軸15に伝達される。ここで、作業者の手動操作により主軸13を回転させて縫針30を上下動させるためのハンドプーリ21も設けられている。更に、駆動力伝達機構12を構成する部品は、主軸14,伝達軸13,15の軸方向において、適宜分散して配置されている。
【0020】
アーム部6のアームフレーム25には、伝達軸26と、回転板27と一体のプーリ28と、ベルト29等が設けられている。それ故、伝達軸15に伝達された回転駆動力は、伝達軸15を介してプーリ20aと一体的なプーリ20bとベルト29とを介してプーリ28と伝達軸26に伝達され、最終的に回転板27が回転駆動される。アームフレーム25の後端部は、本体フレーム10に回動自在に支持する左右1対の軸受100,101を介して伝達軸15に回動自在に支持され、アーム部6は伝達軸15を回動中心として、図2に実線で示す水平な縫製位置と、鎖線で示す上方の退避位置とに切換え可能である。
【0021】
ヘッド部7には、縫針30と、アームフレーム25に上端部で前後に揺動自在に枢着された天秤31と、縫針30を保持する針抱き32と、針抱き32の上下動をガイドするガイド軸33と、上糸64に張力を付与する糸調子機構34と、縫針30の目孔30aに上糸64を通す糸通し機構(図示略)と、ガイド軸33の下端に設けられ加工布を上側から押える押え足35等が設けられている。
【0022】
前記回転板27の外周近傍部に水平方向向きの駆動ピン36が固着され、その駆動ピン36は、天秤31の長手方向に形成された案内溝31aを貫通状に係合している。針抱き32に連結されたリンク部材37の上端部が駆動ピン36の先端部に連結されている。それ故、ミシンモータ11の回転駆動力が駆動力伝達機構12及びベルト29を介して回転板27に伝達され、回転板27の回転により駆動ピン36を介してリンク部材37が上下動して針抱き32及び縫針30がガイド軸33に案内されつつ上下動し、縫針30の上下動に調時して天秤31が前後方向に揺動する。
【0023】
アーム部6を覆うアームカバー45(図1参照)の右端部には、右方へほぼ水平に突出する操作パネル46が設けられ、この操作パネル46には、図3に示すように、大型の液晶ディスプレイ47が設けられている。この液晶ディスプレイ47のキーボード部の上面部(前面部)には、刺繍模様を選択する為の模様選択キー等の複数の機能名の表示位置の各々に対応させて、透明電極からなるタッチキー48がマトリックス状に設けられている。但し、作業者が液晶ディスプレイ47を見やすいように、操作パネル46は前方程下方に下がる傾斜状に形成されている。
【0024】
このタッチキー48には、図3に示すように、刺繍データをメモリカードから読み込むように指示するカードキー48a、複数の刺繍模様のうちから所望の1つを選択する模様選択キー48b、・・・アーム部6の退避位置への切換えを指令する退避指令キー48g(これが指令手段に相当する)、ヘルプキー48h等が設けられている。この操作パネル46には、更に、電源スイッチ46aと、スタート/ストップスイッチ46bも設けられている。
【0025】
ところで、このヘッド部7には、糸駒63を収容した糸カセット50を装着するカセット装着部40が設けられており、この糸カセット50をアーム部6の長さ方向に移動することでカセット装着部40に装着でき、その装着動作に連動して、後述する二股状の案内部75aを有する糸誘導部材75で上糸64が糸通し機構に誘導され、この糸通し機構により縫針30の目孔30aに上糸64が通される。また、後述する糸切れ検出体65の糸案内部材66,67の糸孔66a,67aの間で上糸64が張られることにより、天秤31及び糸調子機構34にも上糸64が掛けられるようになっている。ここで、糸誘導部材75の後端部には、糸カセット50のカセット装着部40に対する装着状態を検出する糸カセット検出スイッチ76が取付けられている。
【0026】
次に、刺繍ミシン1のヘッド部7、つまりアーム部6のうちの縫針30の付近に設けられたカセット装着部40やそのカセット装着部40に着脱可能に装着される糸カセット50について、図4〜図7に基づいて説明する。
【0027】
先ず、カセット装着部40について、図4に基づいて説明すると、ヘッド部7に対応するアームフレーム25の前端近傍部の左壁部25aの下端部には、下半部分を略逆コ字状に曲げ形成された前後方向に延びる第1係合部材41がビス42で固定され、この第1係合部材41の下端部に第1係合部41aが形成されている。更に、アームフレーム25の右壁部25bの下端部には、下半部分を略コ字状に曲げ形成された前後方向に延びる第2係合部材43がビス44で固定され、この第2係合部材43の下端部に第2係合部43aが形成されている。また、アームフレーム25の水平面の下面には、上糸64をこの糸通し機構に二股状の案内部75a(図13参照)で誘導する糸誘導部材75が下方に突出して配置されている。
【0028】
次に、糸カセット50について、図4〜図7に基づいて説明する。
【0029】
糸カセット50は、平面視略台形状であり、合成樹脂製のカセットケース51と、このカセットケース51の上側を部分的に覆う透明な合成樹脂製のカバー部材52とを有している。カセットケース51は、所定高さを有する外周壁部53と、この外周壁部53の下端で連続する底壁部54を有している。
【0030】
図7に示すように、カセットケース51には、円筒形の糸駒収容部55と、この糸駒収容部55に隣接させて、天秤31の前後方向の揺動を許容する前後方向に長い揺動通路56と、この揺動通路56に隣接させて縫針30や押え足35、更には糸通し機構等の複数の縫製用部品を収容して縫い動作を行う縫製動作室57が夫々形成されている。そこで、カセットケース51には、糸駒収容部55を形成する円筒壁部58と、揺動通路56を形成する左右の通路壁部59,60と、縫製動作室57を形成する外周壁部53の一部である外壁部61等が設けられている。尚、通路壁部59,60は、天秤31からの糸抜け防止の為のものである。
【0031】
このように、これら複数の壁部58〜61やその他の補強壁部により、カセットケース51が補強された構造になっている。糸駒収容部55の中心部に枢支軸62が立設され、この枢支軸62に糸駒63が回転可能に装着されている。カセットケース51の後方の左端部側には、上糸64をガイドするガイド軸部65a(図8参照)を有し且つ上糸64の糸切れを検出するための糸切れ検出体65が回転可能に枢支されている。左側の通路壁部59の後端部には、上糸64を案内する糸孔66aを形成した板状の第1糸案内部材66が固着されている。
【0032】
右側の通路壁部60の後端部には、上糸64を案内する1対の糸孔67aを形成した平面視U字状の第2糸案内部材67と、これよりも前側に第3糸案内部材68とが夫々固着されている。縫製動作室57に対応する底壁部54には、後方且つ上側に延びる板状の糸ガイド部材69が一体形成されている。また、更に、外壁部61の後端近傍部には、前方に向かう切欠きからなる糸案内部61aが形成されるとともに、外壁部61の前端近傍部には、上糸64の自由端部を弾性的に保持する上糸保持部材70が設けられている。
【0033】
ここで、糸駒63から延びる上糸64の糸道経路を説明しておく。図5,図6に示すように、糸駒63から繰り出された上糸64は、先ず糸切れ検出体65のガイド軸部65aと、第1糸案内部材66の糸孔66a及び第2糸案内部材67の糸孔67aと、第3糸案内部材68と、糸ガイド部材69と、糸案内部61aとを順々に経て、最終的に上糸保持部材70で保持されている。
【0034】
ところで、カバー部材52の上面において、その左右方向の中央より右寄りの位置には、前後方向に延びる、つまりアーム部6の長さ方向に延びる正面視略逆L字状の第1被係合部72がカバー部材52と一体形成されている。また、外壁部61の後端部分の外側には、右方に突出した前後方向向き、つまりアーム部6の長さ方向に延びる第2被係合部73が外壁部61と一体形成されている(図4参照)。それ故、第1被係合部72が第1係合部41aに係合可能であり、第2被係合部73が第2係合部43aに係合可能である。
【0035】
ここで、糸カセット50のカセット装着部40への装着について簡単に説明しておく。糸カセット50を刺繍ミシン1に装着するに際して、先ず、糸駒63から延びる上糸64を図5に示すように所定の糸道経路に沿って掛けておく。次に、ヘッド部7のカセット装着部40に移動させ、第1被係合部72を第1係合部41aに対応させ、第2被係合部73も第2係合部43aに対応させる。この状態で、糸カセット50を水平状に後方に移動させる。
【0036】
その結果、図8に示すように、糸カセット50は、これら第1及び第2被係合部72,73と、第1及び第2係合部41a,43aの係合状態を保持しつつ、後方の所定の取付け位置、つまり刺繍ミシン1のカセット装着部40に着脱可能に装着される。このとき、図8に示すように、糸カセット50の後端部に糸調子機構34が進入するとともに、第2糸案内部材67の内部に糸取りバネ74の先端部が進入し、揺動通路56内に天秤31の下端部が進入する。更に、縫製動作室57に、縫針30と、押え足35と、図示外の糸通し機構と、糸誘導部材75等が進入する。
【0037】
それ故、糸切れ検出体65から第1糸案内部材66に至る上糸部分は糸調子機構34の両糸調子皿(図示略)間に挿入され、第1糸案内部材66から第2糸案内部材67に至る上糸部分は天秤31に係合し、第2糸案内部材67に対応する上糸部分が糸取りバネ74に引っ掛かる。更に、第3糸案内部材68から糸ガイド部材69に至る上糸部分は糸通し機構による糸通し動作により、縫針30の目孔30aに通される。
【0038】
このように、糸カセット50が縫針30の近傍に位置しており、針上位置に位置する縫針30の外周側のうち、前側半周以上が、外壁部61と、外周壁部53の前側及び左側の周壁部分と、揺動通路56を形成する右側の通路壁部60と、縫製動作室57に対応する底壁部54等からなるガード壁部で構成されている。そこで、縫針30を針上位置に上昇させて、縫針30の先端をカセット装着部40に装着した糸カセット50よりも上側、つまり図4に示すように、糸カセット50の底壁部54より上側に達するまで縫針30を上昇させておけば、縫針30はこのガード壁部により、食み出して露出することがなく、糸カセット50は縫針30に対するガード機能を発揮する。尚、糸カセット50がカセット装着部40に装着されると、縫針30の外周側の半周以上が、脚柱部3とは反対側(前側)の部分を含めて、その糸カセット50に対面している。
【0039】
次に、シリンダベッド4について説明する。図1〜図2に示すように、シリンダベッド4は前後に延びる円筒状の合成樹脂製のカバー部材80で構成されており、カバー部材80の前端側部分の上端部には針板83を取付けるための切欠き穴80aが形成されている。このシリンダベッド4の内部には、垂直釜81と、垂直釜81の外釜(図示略)を回転駆動する釜軸82が収容されている。垂直釜81の上側には針板83が設けられ、針板83の針穴(図示略)を通って縫針30が下降すると、針板83の下側で、外釜の剣先に上糸64が引っ掛けられて上糸64と下糸が交絡し、針板83の上側の加工布に縫目が形成される。
【0040】
尚、この針板83の針穴は縫製中に縫針30が加工布を貫通するときに、加工布が針穴に沈み込み過ぎない程度の小さな開口しか有していない。従って、縫針30が針板83よりも下方に達している状態でアーム部6が縫製位置から上方へ回動されると、針板83の針穴の周囲に縫針30が接触して、縫針30が折れたり、曲がったりする虞がある。
【0041】
前後に延びる釜軸82の左側には、この釜軸82に平行に本体フレーム10から前方へ延びる鉛直板状の釜軸支持フレーム84が配設され、釜軸82は、この釜軸支持フレーム84と本体フレーム10とに設けられた前後1対の軸受85(後側の軸受は図示略)方により夫々回転自在に支持されている。この釜軸82には、ミシンモータ11の回転駆動力が主軸14からギヤ86,87を介して伝達され、その回転駆動力により外釜が回転駆動される。
【0042】
図1、図2に示すように、シリンダベッド4の前半側部分には、加工布を保持する為の布保持枠5が摺動自在に外嵌されており、この布保持枠5の前後両端部に1対の布保持部5a,5bが夫々形成されている。加工布は、1対の布保持部5a,5bにおいて、図示しない布押えにより上方から押し付けられて布保持枠5に保持される。
【0043】
シリンダベッド4の後半側部分には、布保持枠5を支持するキャリッジ88がシリンダベッド4に対して前後方向に移動可能に配設されている。このキャリッジ88の前後両端側部分には、釜軸82が挿通する前後1対の被ガイド部(図示略)が夫々設けられており、これら1対の被ガイド部においてキャリッジ88は釜軸82に前後方向に移動自在にガイドされている。このキャリッジ88は、ステッピングモータからなるキャリッジ駆動モータ89により前後方向に駆動される。
【0044】
キャリッジ駆動モータ89の駆動力は、図示外のギヤを介して、釜軸支持フレーム84の前後方向途中部から本体フレーム10に亙って掛けられたベルト90に伝達される。このベルト90はキャリッジ88にビス止めされた図示外のベルト連結部材によりキャリッジ88と連結されているため、ベルト90からキャリッジ88に駆動力が伝達され、キャリッジ88が前後方向に移動駆動される。
【0045】
ところで、このキャリッジ88には、シリンダベッド4を通過して下方へ延びる突出部91が一体形成され、こ突出部91は、ベース部1の上面部に設けられ前後に延びる合成樹脂製のレール状の回転規制部材92に、前後方向にスライド移動可能で且つ左右方向に移動不能に係合しており、回転規制部材92によりキャリッジ88の釜軸82に対する回転が規制されている。
【0046】
キャリッジ88の前端部に一体的に設けられた取付板部93には、環状の駆動リング94が前後方向向きの軸心回りにキャリッジ88に対して回動自在に取付けられている。駆動リング94の前端部には、布保持枠5が駆動リング94と一体的に取付けられている。駆動リング94の外周部には、キャリッジ88に固定的に設けられた複数(例えば、3つ)のローラ95と係合する環状溝94aが形成されており、駆動リング94は複数のローラ95にガイドされつつキャリッジ88に対して相対的に回動可能である。
【0047】
この駆動リング94を回転駆動する回転駆動モータ96はステッピングモータからなり、取付板部93の後面部に取付けられ、回転駆動モータ96の回転駆動力は、駆動リング94の内側に配設されたギヤ(図示略)及び駆動リング94の内周部に形成されたギヤ(図示略)を介して駆動リング94に伝達される。
【0048】
キャリッジ駆動モータ89によるキャリッジ88の前後方向の移動量と、回転駆動モータ96による駆動リング94の回動量は、縫製前にフレキシブルディスクやメモリーカード等の記憶媒体から予め読み込まれた刺繍データに基づいて夫々決定される。このように決定された所定の移動量だけキャリッジ88がキャリッジ駆動モータ89により前後方向に移動駆動されると、キャリッジ88に駆動リング94を介して支持された布保持枠5が前後方向にその所定の移動量だけ移動する。
【0049】
更に、このように決定された所定の回動量だけ駆動リング94が回転駆動モータ96により回動駆動されると、駆動リング94に取付けられた布保持枠5がその所定の回動量だけ右回動方向に又は左回動方向に夫々回動する。
【0050】
ところで、図9に示すように、アームフレーム25の後端部の伝達軸15に左右1対のスリーブ状の第1の軸受100が取付けられ、この第1の軸受100を回動可能に内嵌する左右1対の第2の軸受101がアームフレーム25に固着されている。それ故、アームフレーム25は第2の軸受101を介して、退避位置に揺動可能であり、伝達軸15の回転を許容している。
【0051】
本体フレーム10に平面視略コ字状の連結フレーム102がボルト締めにより固定され、この連結フレーム102に平面視略コ字状の連結フレーム103が固定され、更にこの連結フレーム103に連結フレーム104の左右両壁部において夫々ボルト締めにより固定され、この連結フレーム104が1対の第1の軸受100を介して伝達軸15に回転自在に連結されている。それ故、アームフレーム25と連結フレーム104とは、第1,2の軸受100,101を介して相互に回動可能になっている。
【0052】
伝達軸15の左右方向中央部に、プーリ20bと一体化された爪ギヤ105が伝達軸15に固着されている。一方、右側の第1の軸受100にセクタギヤ106が固着され、このセクタギヤ106に噛合するギヤ107が枢支軸108により回転可能に右壁部25bに枢支されている。更に、このギヤ107の偏心位置にピン109を介して爪部材110が、爪ギヤ105の前側に位置するように固着されている。それ故、アーム部6を退避位置に切換える切換え動作に連動して、アームフレーム25が伝達軸15を中心に揺動するため、ギヤ107が固定側のセクタギヤ106に対して回動する。
【0053】
その結果、爪部材110がギヤ107と共に右側面視にて時計回転方向に回動するため、爪部材110の先端の爪が爪ギヤ105に上側から係合し、アーム部6の上方揺動範囲が制限されるようになっている。ところで、爪部材110と爪ギヤ105の噛合により、ハンドプーリ21をロックしている。ここで、連結フレーム104の左右両側の前端部にピン111が夫々固着され、アームフレーム25の左右両壁部25a,25bにもピン112が夫々固着され、これら両ピン111,112に亙って引っ張りバネ113が夫々掛け渡されており、アーム部6はこれら両引っ張りバネ113のバネ力により、揺動した退避位置に保持されるようになっている。
【0054】
ここで、図9に示すように、主軸14には円板の外周の一端部に突起部を有する針上位置検出板115が固着され、この針上位置検出板115の近傍部に、その突起部を検出可能な針上位置検出センサ116が設けられている。この針上位置検出センサ116は、発光器と受光器とからなるフォトインタラプタからなり、針上位置検出板115が1縫製サイクルで1回転するときに、針上位置のタイミングのときに突起部を検出して針上位置信号を出力する。また、退避位置に切換えられた状態のアーム部6を検出する退避位置検出センサ117(図11参照)も設けられている。
【0055】
次に、アーム部6を縫製位置にロックするロック状態と、縫製位置から退避位置への切換えが可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構120について、図9〜図10に基づいて説明する。
【0056】
ネジ部121aを有し左右方向に伸長するロックピンホルダ121が連結フレーム104に貫通状で左右方向移動自在に設けられ、1対のナット122で左右方向に位置調節可能に固着されている。このロックピンホルダ121の内部に、小径部123aと大径部123bを有するロックピン123が左右方向に移動自在に内嵌されている。このロックピン123は小径部123aに外嵌状のロックバネ124のバネ力により、常に右方に、つまりロック位置側に弾性付勢されている。左壁部25aの後端部には合成樹脂性の被ロック板125が一体的に設けられている。
【0057】
そこで、アーム部6が縫製位置に切換えられている場合、ロックピン123の先端部123cがこれら被ロック板125と左両壁部25aに形成した挿通孔125a,25cを夫々貫通している。それ故、固定側の連結フレーム104に設けたロックピン123の先端部が、揺動側のアームフレーム25と被ロック板125の挿通孔25c,125aに貫通状態であるため、アーム部6は縫製位置にロックするロック状態に保持されている。
【0058】
ところで、ロックピン123の左端部には、図10に示すように、ロックカラー126によりスライド板127の上端部が固着され、スライド板127の下端部には左右方向向きのスライド軸128の左端部が固定されている。このスライド軸128には、カラー129aが通され、スライド軸128の右端側近傍部の上端に上向きの連結ネジ129がカラー129aに噛合して固着され、この連結ネジ129の上部は、上下方向に延びる回動軸130の上端部に固定された前後方向向きの第1回動レバー131の長孔131aに係合している。回動軸130の下端部には第2回動レバー132が固着され、この第2回動レバー132に作動ピン133が下向きに固定されている。
【0059】
それ故、キャリッジ88が図2に示す原点位置を通過してから、キャリッジ駆動モータ89が所定ステップ数だけ駆動されて、キャリッジ88が原点位置よりも後方のロック解除位置に移動したとき、キャリッジ88の後端部で作動ピン133を後方に押すため、第2回動レバー132を介して回動軸130が平面視にて時計回り方向に回動し、第1回動レバー131と連結ネジ129を介してスライド軸128が左方に移動する。
【0060】
その結果、図10に示すように、スライド板127を介してロックピン123が所定距離だけ左方に移動(2点鎖線で図示)し、ロックピン123のアームフレーム25への係合が解除される。即ち、アーム部6がロックピン123で回動規制されることなく、縫製位置から退避位置への切換えが可能なロック解除状態に切換えられる。
【0061】
そこで、作業者が手動操作でアーム部6を退避位置まで揺動させることができる。アーム部6が退避位置にあるときには、被ロック板125に形成された部分球状凹部125bにロックピン123の先端部が挿入されるため、アーム部6は退避位置に保持される。ここで、キャリッジ88の前後移動通路の一カ所には、キャリッジ88の原点位置を検出するための原点位置検出スイッチ134が設けられている(図11参照)。
【0062】
次に、アーム部切換え制御手段140について説明すると、図11に示すように、刺繍ミシン1の制御装置としてのアーム部切換え制御手段140が設けられている。このアーム部切換え制御手段140は、CPU141やROM142とRAM143及び入出力インターフェース(I/F)144、更には駆動回路等を備えたマイクロコンピュータで構成されている。このアーム部切換え制御手段140には、スタート/ストップスイッチ46bと、糸カセット検出スイッチ76と、原点位置検出スイッチ134と、針上位置検出センサ116と、退避位置検出センサ117等が夫々電気的に接続されている。
【0063】
更に、アーム部切換え制御手段140には、ミシンモータ11と、キャリッジ駆動モータ89と、回転駆動モータ96と、液晶ディスプレイ47と、タッチキー48等が夫々電気的に接続されている。前記マイクロコンピュータのROM142には、刺繍ミシン1を制御する各種の制御プログラムに加えて、後述するアーム部退避用切換え制御の制御プログラム等が予め格納され、RAM143には、CPU141で演算した演算結果を記憶するメモリやバッファ等の各種メモリ等が設けられている。
【0064】
次に、アーム部切換え制御手段140で実行されるアーム部退避用切換え制御プログラムについて図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0065】
電源スイッチ46aによって刺繍ミシン1に電源が投入されるとこの制御が開始され、先ず退避位置検出センサ117からの退避位置検出信号が読み込まれ(S11)、アーム部6が退避位置に切換えられていない場合、つまり縫製位置に切換えられた状態の場合には(S12:No)、縫製スタート許可フラグがセットされ、ミシンモータ11の駆動が許可される(S26)。しかし、アーム部6が退避位置に切換えられた状態の場合には(S12:Yes) 、縫製スタート許可フラグがリセットされ、ミシンモータ11の駆動が禁止される(S13)。
【0066】
次に、タッチキー48の何れかのキーが操作された場合(S14:Yes) 、タッチキー48から出力される操作されたキーのタッチキー信号が読み込まれる(S15)。このタッチキー信号が退避指令キー48gのキー信号でない場合には(S16:No)、操作されたキーに対応する処理が実行される(S27)。タッチキー信号が退避指令キー48gの場合であって(S16:Yes) 、この時点においてミシンモータ11が駆動中の場合には(S17:Yes) 、針上位置検出センサ116から針上位置信号を受信し、縫針30を針上位置にしてミシンモータ11の駆動が停止される(S18)。
【0067】
しかし、退避指令キー48gが操作された時点で、刺繍縫製されておらず、ミシンモータ11が停止しているときには(S17:No)、針上位置検出センサ116からの針位置信号が読み込まれ(S28)、針上位置でない場合には(S29:No)、ミシンモータ11を駆動して、縫針30が針上位置に上昇移動される(S30)。ここで、縫針30が針下位置のときに限って、針上位置に上昇移動させるようにしてもよい。この場合、アーム部6を退避位置に切換える直前の縫目を形成することができる。ここで、S18においてミシンモータ11の駆動を停止するように指令されたときに、ミシンモータ11の停止状態を、1縫製サイクルで1回転駆動される主軸14に設けられた図示外のロータリエンコーダからのエンコーダ信号を一切受信しないことで確認される(S19:Yes) 。
【0068】
このように、ミシンモータ11の駆動停止が確認されると、次に、糸カセット検出スイッチ76からの検出信号が読み込まれる(S20)。その検出信号が、糸カセット50の装着状態を示す装着検出信号の場合には(S21:Yes) 、切換え禁止フラグがリセットされる(S22)。
【0069】
次に、この時点で、キャリッジ88が原点位置まで後退していない場合を考慮して、原点位置検出スイッチ134から原点位置信号を受信するまで、キャリッジ駆動モータ89を1ステップ分ずつ連続駆動して、キャリッジ88を微小距離ずつ後方に移動される(S23、S24:No)。キャリッジ88が原点位置に到達して原点位置検出スイッチ134から原点位置信号を受信した場合(S24:Yes) 、キャリッジ88を後方のロック解除位置まで移動させる為に、キャリッジ駆動モータ89が所定ステップ数だけ駆動される(S25)。
【0070】
このとき、前述したように、キャリッジ88の後端部で回動軸130が回動し、スライド軸128に連動してロックピン123も左方に移動してロックピン123のアームフレーム25への係合が解除されるため、ロック解除状態に切換えられ、図13に示すように、アーム部6を縫製位置から退避位置への切換えが可能になる。このように、縫製中においては、ミシンモータ11の駆動を停止させて、しかも縫針30を針上位置に移動させた場合に限って、更には糸カセット50をカセット装着部40に装着した状態に限って、アーム部6を退避位置に切換えることができる。
【0071】
それ故、縫製動作が完全に停止してから、作業者はアーム部6を手動操作にて退避位置に切換えるため、縫針30が折損したり加工布が破れるようなことがなく、縫製作業に何ら支障をきたすことがない。しかも、何れの縫目にも乱れが生じることがない。更に、アーム部6を退避位置に切換えたときに、加工布などが縫針30に接触し易い状態であっても、縫針30を針上位置に上昇させておくことで、縫針30の上下方向における全て若しくは殆どがカセット装着部40の糸カセット50に対面し、その糸カセット50のガード機能により、縫針30は露出することなく、加工布等の縫針30への接近を糸カセット50により確実にガードすることができ、縫針30が加工布に引っ掛かって縫針30が破損するのを未然に防止できるとともに、加工布が縫針30に刺さったりして加工布の破れを防止することができる。
【0072】
ここで、アーム部6を退避位置に切換える際に、縫針30が針上位置に移動しているため、縫針30が針板83の針穴に何ら干渉するようなことがなく、縫針30の折損を確実に防止することができる。
【0073】
ところで、退避指令キー48gが操作されたにも関わらず、糸カセット50がカセット装着部40に装着されていないために、糸カセット検出スイッチ76からの検出信号が装着検出信号でない場合には(S21:No)、切換え禁止フラグがセットされ(S31)、液晶ディスプレイ47に、糸カセット50の検出結果に関するメッセージ「糸カセットが装着されていません」が表示(図3参照)される(S32)。この場合、勿論、キャリッジ88が後方のロック解除位置に移動せず、ロック機構120はロック状態に保持されているため、アーム部6を縫製位置から退避位置へ切換えることができない。
【0074】
即ち、糸カセット50は縫針30付近のカセット装着部40に取付けられているため、ガード機能を発揮できるが、このガード機能を有する糸カセット50が装着されていない場合には、ミシンモータ11の駆動が停止し且つ縫針30が針上位置に移動された場合であっても、アーム部6を縫製位置から退避位置へ切換えることができないため、前述したように、縫針30の破損や加工布の破れを確実に防止することができる。ここで、図12に示すアーム部退避用切換え制御の、特にS16〜S18等がミシンモータ制御ルーチンに相当し、特にS23〜S25等が切換え制御ルーチンに相当する。
【0075】
それ故、これらミシンモータ制御ルーチンと、切換え制御ルーチンを含むアーム部退避用切換え制御プログラムを、各種のミシンを制御する制御装置のコンピュータに適用して、ロック解除駆動手段にロック状態解除制御を実行させることが可能である。また、キャリッジ88、キャリッジ駆動モータ89、スライド板127、スライド軸128、回動軸130、第1回動レバー131、第2回動レバー132、作動ピン133等からロック解除駆動手段が構成されている。
【0076】
次に、前記実施の形態の変更形態について説明する。
【0077】
1〕アーム部6を退避位置に切換える退避指令信号は、手動操作する退避指令キー48g以外に、例えば、縫製の完了時や糸交換時、上糸64や下糸に関する糸切れ検出時や使い切り検出時、糸絡み等によるミシンモータ11の過負荷発生時等のように、縫製が自動的に又は手動により停止した場合に、アーム部切換え制御手段140から出力されるように構成してもよい。
【0078】
2〕アーム部退避用切換え制御のS19における「ミシンモータは停止か?」の判定を、S18において受信したミシンモータ11の停止指令から所定時間(例えば、2〜4秒)が経過したことを条件に、ミシンモータ11の停止を判定するようにしてもよい。
【0079】
3〕アーム部退避用切換え制御のS29における「針上位置か?」の判定に代えて、「針下位置か?」に変更し、縫針30が針下位置にあるときに限って、針上位置に上昇移動させるようにしてもよい。
【0080】
4〕前記糸カセット50は、少なくとも針上位置における縫針30の前方側、つまり脚柱部3と反対側だけに位置するように構成してもよい。
【0081】
5〕糸輪捕捉器である釜を備えないミシンとして、例えば、特開2002−20964号公報に記載の差し込み縫いが可能な縫製装置に、本発明を適用するようにしてもよい。
【0082】
6〕上述した実施の形態の糸カセット50は、糸駒63を囲う壁部を有しているが、糸駒63が露出している構成でもよい。また、上糸64は、糸駒63に巻回されているが、上糸64のみの塊であって、糸カセット50にその塊が取付けられる構成であってもよい。
【0083】
7〕既存の技術や当業者に自明の技術に基いて種々の変更を加えることもあり得る。更に、アーム部が退避位置に揺動可能で、糸カセットを着脱自在に装着するようにした各種のミシンに本発明を適用し得ることは勿論である。
【0084】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、水平な縫製位置と退避位置とに切換え可能なアーム部と、アーム部にて縫針を上下動する為のミシンモータとを備え、ロック機構と、ロック解除駆動手段と、指令手段と、切換え制御手段とを備えたので、アーム部を退避位置に切換えるに際して、縫製動作が完全に停止してから、作業者はアーム部を退避位置に切換えることができ、縫針が折損したり加工布が破れるようなことがなく、縫製作業に何ら支障をきたすことがない。
【0085】
請求項2の発明によれば、前記切換え制御手段は、指令手段からアーム部を退避位置に切換える為の指令を受けたときに、ミシンモータの駆動が停止しているときには、ミシンモータを駆動して縫針を針上位置に上昇駆動させるので、アーム部を退避位置に切換える直前の縫目まで確実に形成することができる。その他請求項1と同様の効果を奏する。
【0086】
請求項3の発明によれば、前記アーム部に対向状のベッド部の上面に針板が設けられ、この針板に縫針の上下動を許容する針穴が形成されているので、アーム部を退避位置に切換えるに際して、縫針が針板の針穴から離間しており、縫針が針板の針穴に衝突することがなく、縫針の折損を確実に防止することができる。その他、請求項1又は2と同様の効果を奏する。
【0087】
請求項4の発明によれば、前記アーム部が退避位置に切換えられた状態では、切換え制御手段はミシンモータの駆動を禁止するように制御するため、縫製動作を確実に禁止させることができる。その他、請求項1〜3の何れかと同様の効果を奏する。
【0088】
請求項5の発明によれば、前記アーム部のうちの縫針の付近に、糸供給源を有する糸カセットを着脱可能なカセット装着部が設けられ、切換え制御手段によって縫針の先端がカセット装着部に装着した糸カセットよりも上側に達するまで、ミシンモータで縫針が駆動されるので、針上位置の縫針が糸カセットから食み出して露出せず、縫針が加工布に引っ掛かって縫針が破損するのを未然に防止できるとともに、加工布が縫針に刺さって破れるのを一層確実に防止することができる。その他、請求項1〜4の何れかと同様の効果を奏する。
【0089】
請求項6の発明によれば、これらミシンモータ制御ルーチンと、切換え制御ルーチンとが含まれるアーム部切換え制御プログラムを適用して、ミシンモータの停止後にロック機構をロック解除状態に切換えるので、請求項1と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る刺繍ミシンの側面図である。
【図2】刺繍ミシンの内部機構を示す側面図である。
【図3】操作パネルの平面図である。
【図4】ヘッド部の要部縦断正面図である。
【図5】糸カセットの右側面側からの斜視図である。
【図6】糸カセットの左側面側からの斜視図である。
【図7】カセットケースの平面図である。
【図8】ヘッド部に装着した糸カセットの平面図である。
【図9】アーム部の後端部の部分平面図である。
【図10】図9のJ−J線縦断正面図である。
【図11】アーム部切換え制御手段に関する制御系のブロック図である。
【図12】アーム部退避用切換え制御のフローチャートである。
【図13】退避位置に切換えたアーム部の側面図である。
【符号の説明】
1    刺繍ミシン
6    アーム部
30   縫針
40   カセット装着部
48g  退避指令キー
50   糸カセット
83   針板
89   キャリッジ駆動モータ
120  ロック機構
123  ロックピン
125a 挿通孔
127  スライド板
128  スライド軸
130  回動軸
131  第1回動レバー
132  第2回動レバー
133  作動ピン

Claims (6)

  1. 水平な縫製位置とこの縫製位置から上方へ揺動させた退避位置とに切換え可能なアーム部と、前記アーム部にて縫針を上下動する為のミシンモータとを備え、その縫針の上下動を介して加工布に縫目を形成するミシンにおいて、
    前記アーム部を縫製位置にロックするロック状態と縫製位置から退避位置への切換えが可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構と、
    前記ロック機構をロック解除状態に駆動するロック解除駆動手段と、
    前記アーム部を退避位置に切換える為に指令する指令手段と、
    前記指令手段から前記ロック解除駆動手段を作動させる指令を受けたときに、前記ミシンモータが駆動中のときには、前記縫針を針上位置にして前記ミシンモータの駆動を停止させるとともに、前記ミシンモータの停止後に前記ロック機構をロック解除状態に切換えるように前記ロック解除駆動手段を制御する切換え制御手段と、
    を備えたことを特徴とするミシン。
  2. 前記切換え制御手段は、前記指令手段から前記アーム部を退避位置に切換える為の指令を受けたときに、前記ミシンモータの駆動が停止しているときには、前記ミシンモータを駆動して前記縫針を針上位置に上昇駆動させることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記アーム部に対向状のベッド部の上面に針板が設けられ、この針板に前記縫針の上下動を許容する針穴が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  4. 前記アーム部が退避位置に切換えられた状態では、前記切換え制御手段は前記ミシンモータの駆動を禁止するように制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシン。
  5. 前記アーム部のうちの前記縫針の付近に、糸供給源を有する糸カセットを着脱可能なカセット装着部が設けられ、前記切換え制御手段によって前記縫針の先端が前記カセット装着部に装着した糸カセットよりも上側に達するまで、前記ミシンモータで縫針が駆動されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のミシン。
  6. 水平な縫製位置とこの縫製位置から上方へ揺動させた退避位置とに切換え可能なアーム部と、前記アーム部にて縫針を上下駆動する為のミシンモータと、前記アーム部を縫製位置にロックするロック状態と縫製位置から退避位置への切換えが可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構と、前記ロック機構をロック解除状態に駆動するロック解除駆動手段とを備えたミシンを制御する制御装置のコンピュータに、前記アーム部を退避位置に切換える為に前記ロック解除駆動手段にロック状態解除制御を実行させる為のアーム部退避用切換え制御プログラムであって、
    前記ロック機構をロック解除状態に切換えるように指令を受けたときに、前記ミシンモータが駆動中のときには、前記縫針を針上位置にして前記ミシンモータの駆動を停止させるミシンモータ制御ルーチンと、
    前記ミシンモータの停止後に前記ロック機構をロック解除状態に切換えるように前記ロック解除駆動手段を制御する切換え制御ルーチンと、
    を含むことを特徴とするアーム部退避用切換え制御プログラム。
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