JP2004113062A - キメラ受容体を有する動物細胞とその利用 - Google Patents

キメラ受容体を有する動物細胞とその利用 Download PDF

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上田  宏
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Abstract

【課題】一本鎖抗体が特異的に認識する抗原の存在下で選択的に免疫応答を引き起こす動物細胞や、前記動物細胞を作製するための組換え遺伝子を保有するベクターDNAや、前記動物細胞やベクターDNAを利用した有用物質の生産方法、抗原濃度測定方法、細胞応答活性化物質のスクリーニング方法、タンパク質間相互作用の測定方法、細胞応答の制御方法や、キメラ受容体のスクリーニング方法、外来遺伝子導入細胞の選択方法、癌治療用ウイルスベクターDNA等を提供すること。
【解決手段】フルオレセインを用い、それに対する一本鎖抗体31IJ3遺伝子とマウスエリスロポエチン受容体遺伝子、及びマウスgp130遺伝子との組換え遺伝子を保有するベクターDNAを、標的細胞に導入し、キメラ受容体を該細胞膜表面に発現させることにより、フルオレセインダイマーの刺激によって、細胞増殖因子非依存的に増殖することができる遺伝子導入細胞を創製する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一本鎖抗体(ScFv)が受容体又はその一部に連結された一対のキメラ受容体を膜表面に有し、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化され細胞応答を引き起こす動物細胞や、該動物細胞の作製のために使用される一本鎖抗体をコードする遺伝子を受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有するベクターDNAや、これら動物細胞やベクターDNAの利用等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動物細胞培養によって抗体、サイトカインなどの有用タンパク質の生産が工業的に広く行われている。動物細胞の増殖には各種の細胞増殖因子が必要であり、その供給源として牛胎児血清が用いられてきたが、目的タンパク質の高純度分離精製が困難であること、プリオン混入といった安全面での危惧があることから、無血清培地への転換が求められている。しかし、無血清培地を用いる場合には細胞増殖を活性化するために高価な増殖因子の添加が必要となる場合が多く、培地コストの観点から工業的規模の動物細胞培養の大きな問題点となっている。また、細胞の有用物質生産効率を高める方法として、細胞増殖を制御する方法が試みられてきた(例えば、非特許文献1参照。)。具体的には、対数増殖期においては短時間で細胞増殖を促進して物質生産を迅速に行わせ、細胞密度が充分高密度に達した後は増殖を抑制して、過増殖によって引き起こされる細胞死に至るまでの時間を延長させる。実際、このような細胞増殖制御によって、増殖制御を行わない場合と比較して数倍高い物質生産効率が得られることが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0003】
また、近年新しい治療法として遺伝子治療が期待されているが、標的細胞への遺伝子導入効率は充分でない場合が多い。このため、目的遺伝子が導入された細胞を未導入の細胞から選択する必要がある。従来法では、目的遺伝子とともに薬剤耐性遺伝子、表面抗原マーカーや蛍光蛋白質マーカーを組み込んだベクターを作製し、選択薬剤の添加やセルソーターを用いた選別で目的遺伝子導入細胞を選択的に得ていた。しかし、この方法では原理的に治療用遺伝子を持つ細胞を増やすことができないので、治療用遺伝子の発現自体が細胞増殖に有利に働かない限り、充分な治療効果が得られないという問題があった。
【0004】
これら問題を克服するための方法として、遺伝子導入細胞だけを生体内又は外で選択的に増幅するという手法が考えられており、選択的増幅の方法としては導入したい遺伝子と同時に増殖シグナルを伝達する細胞増殖因子受容体の遺伝子を導入することが考えられ、エリスロポエチン受容体を選択的増幅遺伝子として用い、生体内での遺伝子導入細胞の増幅が確認されている(例えば、非特許文献3参照。)。しかし、細胞増殖因子を投与すると生体内にある通常の細胞に何らかの副作用を引き起こしてしまうという新たな問題が生じる。
【0005】
これらの課題を克服する方法として、細胞増殖因子とは異なるリガンドに応答して、細胞内へ細胞増殖因子と同様なシグナルを伝達できるような人工受容体を創製する方法が考えられる。この概念に基づき、細胞増殖因子受容体のリガンド認識ドメインをエストロゲン受容体、若しくは免疫抑制剤FK506受容体であるFKBP12に置換したキメラ受容体が報告されており、合成リガンドである4−hydroxytamoxifenやFK1012のような分子を添加することで遺伝子導入細胞を増幅する系が提案されている(例えば、非特許文献4、5参照。)。しかし、これらの合成リガンドが生体内に投与した際に毒性をもたないかどうかはまだ示されておらず、体内に投与しても安全な物質に応答する新規選択的増幅遺伝子の開発が望まれている。
【0006】
本発明者らは、無数の組み合わせと高い特異性を持つ抗原−抗体系に着目し、細胞増殖因子受容体のリガンド結合ドメインを抗体の抗原結合部位で置換した抗体/受容体キメラを作製し、任意の抗原を添加することにより細胞増殖因子のシグナル伝達を代用する方法を提案している(例えば、特許文献1参照。)。細胞増殖因子受容体は細胞増殖因子添加によって引き起こされる2量体形成によって活性化されるため、用いる抗原−抗体系は、抗原がない状態では互いに親和性をもたず、抗原添加時のみ近接して強い親和性をもつ必要がある。このような性質を持つ抗原−抗体系のモデルとして、上記特許文献1記載の実験系では、ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)とそれに対する抗体HyHEL−10の可変領域VH、VLを用い、VH−受容体キメラ、VL−受容体キメラの2つのキメラ受容体を標的細胞で共発現させ、HELの添加により受容体の2量体形成を誘導し、細胞増殖を制御することに成功している。
【0007】
しかし、HELのような異種抗原を用いると、生体内において遺伝子導入細胞を選択的に増幅する際に免疫反応が惹起されるため、抗原として免疫原性のない低分子物質等を用いることが好ましい。しかし、低分子物質に対する抗体の親和性は通常低く、VH−VLと連結した一本鎖抗体での親和性があっても、上記特許文献1記載の方法におけるように、VHとVLを別々のポリペプチド鎖として分けてしまうと、抗原への親和性が弱まってしまい、2つのキメラ受容体によるシグナル伝達が不充分であるという問題が考えられる。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−234372号公報
【非特許文献1】
Cytotechnology, 10, 15−23, 1992
【非特許文献2】
Nat. Biotechnol., 16, 468−472, 1998
【非特許文献3】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 9402−9407, 1996
【非特許文献4】
J. Gene Med. 1, 236−244, 1999
【非特許文献5】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 3076−3081, 1997
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、一本鎖抗体が特異的に認識する低分子物質等の抗原の存在下で選択的に免疫応答を引き起こす動物細胞や、該選択的に免疫応答を引き起こす動物細胞を作製するための一本鎖抗体遺伝子を受容体遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有するベクターDNAや、前記動物細胞やベクターDNAを利用した、有用物質の生産方法、抗原濃度測定方法、細胞応答活性化物質のスクリーニング方法、タンパク質間相互作用の測定方法、細胞応答の制御方法や、キメラ受容体のスクリーニング方法、外来遺伝子導入細胞の選択方法、癌治療用ウイルスベクターDNA等を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、低分子物質として生体に無害であると考えられるフルオレセインを用い、それに対する一本鎖抗体31IJ3遺伝子とマウスエリスロポエチン受容体遺伝子、及びマウスgp130遺伝子との組換え遺伝子を保有するベクターDNAを、標的細胞に導入し、キメラ受容体を該細胞膜表面に発現させることにより、フルオレセインダイマーの刺激によって、細胞増殖因子非依存的に増殖することができる遺伝子導入細胞を創製することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、所定の抗体の可変領域VH及び可変領域VLがリンカーアミノ酸配列を介して連結された可変領域VH−リンカーアミノ酸配列−可変領域VL、又は可変領域VL−リンカーアミノ酸配列−可変領域VHからなる1又は2種以上の一本鎖抗体の1又は2以上が、所定の受容体又はその一部に連結された少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に有し、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化され細胞応答を引き起こすことを特徴とする動物細胞(請求項1)や、所定の受容体又はその一部が、細胞増殖因子受容体又はその一部であることを特徴とする請求項1記載の動物細胞(請求項2)や、細胞増殖因子受容体又はその一部が、エリスロポエチン受容体若しくはその一部及び/又はgp130若しくはその一部であることを特徴とする請求項2記載の動物細胞(請求項3)や、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原が、ヒトに免疫原性がない抗原であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の動物細胞(請求項4)や、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原が、分子量1,000以下の低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の動物細胞(請求項5)や、分子量1,000以下の低分子物質が、フルオレセインであることを特徴とする請求項5記載の動物細胞(請求項6)に関する。
【0012】
また本発明は、所定の抗体の可変領域VHをコードする遺伝子及び可変領域VLをコードする遺伝子がリンカーDNA配列を介して連結された可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子からなる1又は2種以上の一本鎖抗体をコードする遺伝子の1又は2以上を、所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有することを特徴とするベクターDNA(請求項7)や、所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子が、細胞増殖因子受容体又はその一部をコードする遺伝子であることを特徴とする請求項7記載のベクターDNA(請求項8)や、細胞増殖因子受容体又はその一部が、エリスロポエチン受容体若しくはその一部及び/又はgp130若しくはその一部であることを特徴とする請求項8記載のベクターDNA(請求項9)や、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原が、分子量1,000以下の低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載のベクターDNA(請求項10)や、分子量1,000以下の低分子物質が、フルオレセインであることを特徴とする請求項10記載のベクターDNA(請求項11)や、動物細胞に導入することにより、少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に発現させることができ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化され細胞応答を引き起こすことを特徴とする請求項7〜11のいずれか記載のベクターDNA(請求項12)や、請求項1〜6のいずれか記載の動物細胞の作製方法であって、請求項7〜12のいずれか記載のベクターDNAを動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、引き起こされる細胞応答を指標として単離することを特徴とする動物細胞の作製方法(請求項13)や、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原として低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーを用い、該低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーの存在下で増殖する動物細胞を単離することを特徴とする請求項13記載の動物細胞の作製方法(請求項14)や、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原として癌抗原を用い、該癌抗原の存在下で増殖する動物細胞を単離することを特徴とする請求項13記載の動物細胞の作製方法(請求項15)や、動物細胞が、ヒトT細胞又は樹状細胞であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか記載の動物細胞の作製方法(請求項16)や、請求項7〜12のいずれか記載のベクターDNAを有用物質生産動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、細胞増殖を引き起こさせることを特徴とする有用物質の生産方法(請求項17)や、癌抗原に対する抗体の可変領域VHをコードする遺伝子及び可変領域VLをコードする遺伝子がリンカーDNA配列を介して連結された可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子からなる1又は2種の一本鎖抗体をコードする遺伝子を、細胞死誘導受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有することを特徴とする癌治療用ウイルスベクターDNA(請求項18)に関する。
【0013】
さらに本発明は、請求項1〜6のいずれか記載の動物細胞の細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原含有試料における細胞応答の程度を測定することを特徴とする抗原濃度測定方法(請求項19)や、抗原含有試料が、癌抗原を含む血液であることを特徴とする請求項19記載の抗原濃度測定方法(請求項20)や、請求項1〜6のいずれか記載の動物細胞の細胞膜表面に発現した少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体と、被検物質とを接触させることを特徴とするキメラ受容体が特異的に認識して細胞応答を活性化させる能力を有する物質のスクリーニング方法(請求項21)や、低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーを特異的に認識するキメラ受容体と、被検物質としての低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーとを接触させることを特徴とする請求項21記載のキメラ受容体が特異的に認識して細胞応答を活性化させる能力を有する物質のスクリーニング方法(請求項22)や、所定の抗体の可変領域VHをコードする遺伝子及び可変領域VLをコードする遺伝子がリンカーDNA配列を介して連結された可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子からなる一本鎖抗体をコードする遺伝子をランダム化し、かかるランダム化された一本鎖抗体をコードする遺伝子を、所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有するベクターDNAを動物細胞に導入し、該ベクターDNA導入動物細胞と請求項21又は22記載のスクリーニング方法により得られる細胞応答を活性化させる能力を有する物質とを接触させ、細胞応答の程度を測定することを特徴とする抗原結合能を有するキメラ受容体のスクリーニング方法(請求項23)や、請求項1〜3のいずれか記載の動物細胞の細胞膜表面に発現した少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体であって、2種類又は3種類以上のタンパク質をそれぞれ特異的に認識するキメラ受容体と、2種類又は3種類以上のタンパク質とを接触させ、前記キメラ受容体が活性化されることにより引き起こされる細胞応答の程度を測定することを特徴とするタンパク質間相互作用の測定方法(請求項24)や、請求項7〜12のいずれか記載のベクターDNAに外来遺伝子を組み込み、該外来遺伝子を組み込んだベクターDNAを動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、細胞応答を引き起こす動物細胞を単離することを特徴とする外来遺伝子導入細胞の選択方法(請求項25)や、請求項7〜12のいずれか記載のベクターDNAとこれとは異なるベクターDNAに組み込んだ外来遺伝子とを動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、細胞応答を引き起こす動物細胞を単離することを特徴とする外来遺伝子導入細胞の選択方法(請求項26)や、外来遺伝子が、遺伝子治療用の遺伝子であり、細胞応答が細胞増殖であることを特徴とする請求項25又は26記載の外来遺伝子導入細胞の選択方法(請求項27)や、請求項1〜6のいずれか記載の動物細胞の細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原の添加量を調節することによって細胞応答の程度を制御することを特徴とする細胞応答の制御方法(請求項28)や、請求項25又は26記載の選択方法により得られた外来遺伝子導入細胞の細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原の添加量を調節することによって細胞増殖の程度を制御することを特徴とする細胞の分化、増殖、死の経時的又は空間的制御方法(請求項29)に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の動物細胞としては、所定の抗体の可変領域VH及び可変領域VLがリンカーアミノ酸配列を介して連結された可変領域VH−リンカーアミノ酸配列−可変領域VL、又は可変領域VL−リンカーアミノ酸配列−可変領域VHからなる1又は2種以上の一本鎖抗体の1又は2以上が、所定の受容体又はその一部に連結された少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に有し、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化され細胞応答を引き起こす細胞であれば特に制限されるものではなく、また、本発明のベクターDNAとしては、所定の抗体の可変領域VHをコードする遺伝子及び可変領域VLをコードする遺伝子がリンカーDNA配列を介して連結された可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子からなる1又は2種以上の一本鎖抗体をコードする遺伝子の1又は2以上を、所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有するベクターDNAであれば特に制限されるものではなく、上記動物細胞としては、骨芽細胞、肝前駆細胞、白血球、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、B細胞、有用物質生産細胞株等、その由来、種類は問わない。本発明によるキメラ受容体のシグナル伝達の模式図を図1として示す。図1には、抗フルオレセイン抗体の可変領域VH及び可変領域VLがリンカーアミノ酸配列を介して連結された可変領域VH−リンカーアミノ酸配列−可変領域VLからなる1の一本鎖抗体が、エリスロポエチン受容体(EpoR)の細胞外領域とgp130の細胞内領域からなる組換え受容体に連結された少なくとも一対のキメラ受容体を膜表面に有し、一本鎖抗体が特異的に認識するフルオレセインのダイマーとの接触により引き起こされる2量体複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化され細胞応答(アポトーシスの誘導又は細胞増殖)を引き起こすシグナル伝達のようすが示されている。
【0015】
上記所定の受容体としては、リガンドとの接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって活性化され細胞応答を引き起こす受容体であれば特に制限されるものではなく、細胞増殖因子受容体、アポトーシス誘導因子受容体、細胞遊走因子受容体等、一般にサイトカインと総称されるシグナル伝達分子に対する受容体を挙げることができ、ここで「細胞増殖因子」とは、それが受容体に結合することによって細胞の増殖に関わる信号伝達系が活性化するようなすべての分子を意味し、それぞれの細胞への分化やその分化の途中の段階の細胞増殖を刺激する役割を担っている。また、「アポトーシス誘導因子」とは、それが受容体に結合することによって細胞のアポトーシスに関わる信号伝達系が活性化するようなすべての分子を意味し、「細胞遊走因子」とは、それが受容体に結合することによって細胞の遊走に関わる信号伝達系が活性化するようなすべての分子を意味している。上記細胞増殖因子受容体としては、主に血球の前駆細胞や白血球に作用して増殖を誘導するインターロイキン(IL)、例えばIL−2、IL−3、IL−6、IL−11や、コロニー刺激因子(CSF)、例えば顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の他、幹細胞増殖因子(SCF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板産生因子(TPO)、神経成長因子(NGF)、上皮成長因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、赤血球産生因子(EPO)などの細胞増殖因子の受容体(R)であるIL−2R、IL−3R、IL−6R(gp130)、IL−11R、G−CSFR、GM−CSFR、SCFR、HGFR、TPOR、NGFR、EGFR、FGFR、VEGFR、EPORなどを具体的に例示することができる。また、アポトーシス誘導因子受容体としては、腫瘍壊死因子(TNF)、幅広い種類の細胞に対して細胞死を引き起こすことができるFasリガンドなどのアポトーシス誘導因子の受容体であるTNFR、Fasなどを具体的に例示することができる。さらに、例えば、EPORの細胞外ドメインとgp130の細胞内ドメインを結合した組換え受容体等、上記受容体の一部を適宜組み合わせた組換え受容体として用いることもできる。
【0016】
上記所定の抗体の可変領域VH及び可変領域VLがリンカーアミノ酸配列を介して連結された可変領域VH−リンカーアミノ酸配列−可変領域VL、あるいは可変領域VL−リンカーアミノ酸配列−可変領域VHからなる一本鎖抗体としては、免疫グロブリンIgGの直接抗原と結合する部位を含む可変領域(fragmentof variable region:Fv)を構成するVHドメイン(可変領域VH)とVLドメイン(可変領域VL)間を人工的なリンカーアミノ酸配列(ペプチドリンカー)で結合し、抗原分子のエピトープを特異的に認識して抗原分子と結合しうるものであれば特に制限されるものではなく、かかる一本鎖抗体をコードする遺伝子は、ミックスプライマー等のPCRプライマーを用いて常法により作製することができる。また、かかる一本鎖抗体が特異的に認識する抗原としては、一本鎖抗体と結合する能力(反応原性)を有し、膜表面に発現した一組のキメラ受容体との接触によりキメラ受容体が活性化され細胞応答を引き起こすものであればどのようなものでもよいが、ヒト等の生体にとって毒性がなく、免疫原性がないものが好ましい。かかる観点からして、ハプテン等の分子量1,000以下の低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーが好ましく、かかる低分子物質としては、フルオレセインの他、Rhodamine, Cy3, Alexa488のような蛍光色素、Benzthiazide、Diazoxide、Triamterene等の利尿剤、Chloramphenicol、Ampicillin等の抗生物質など毒性の低い低分子化合物を具体的に例示することができる。また、種類の異なる低分子物質の連結多量体を用いることもできる。
【0017】
前記所定の受容体が、IL−2R、IL−3R、IL−6R(gp130)、IL−11R、G−CSFR、GM−CSFR、SCFR、HGFR、TPOR、EGFR、FGFR、VEGFR、EPORなどNGFRを除く細胞増殖因子の受容体の場合、一対のキメラ受容体が2量体を形成することにより活性化されシグナルが伝達されるが、NGFRや、TNFR、Fasなどのアポトーシス誘導因子受容体の場合、一組のキメラ受容体が3量体あるいはそれ以上の複合体を形成することにより活性化されシグナルが伝達されることになる。例えば、2量体を形成することにより活性化される一対のキメラ受容体の場合、抗原として低分子物質のダイマーを有利に用いることができる。また、3量体以上の複合体を形成することにより活性化される一組のキメラ受容体の場合、抗原として低分子物質のトリマー以上のマルチマーを有利に用いることができる他、キメラ受容体の一本鎖抗体部分を複数連結することによって低分子物質のダイマー添加時にキメラ受容体を3量体あるいはそれ以上の複合体にすることが可能となる。
【0018】
上記キメラ受容体は、上記一本鎖抗体が、所定の受容体又はその一部に連結された受容体であり、一本鎖抗体が受容体(天然の受容体全体)に連結されたキメラ受容体の場合、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原の他に天然の受容体に結合する増殖因子等のリガンドにも応答することになり、他方、一本鎖抗体が受容体の一部に連結されたキメラ受容体の場合、天然の受容体の増殖因子等のリガンドに結合する部分が除去されていることから、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原にのみ応答することになる。かかるキメラ受容体をコードする遺伝子は、一本鎖抗体をコードする遺伝子を、所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結することにより構築した組換え遺伝子として得ることができる。この構築した組換え遺伝子を1種又は2種以上組み込んだ動物細胞発現用ベクターを動物細胞に導入し、形質転換することにより、少なくとも一組のキメラ受容体を動物細胞の膜表面に発現させることができる。例えば、異なる抗原又は異なるエピトープを認識する2種の一本鎖抗体をコードする遺伝子を所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した2種の組換え遺伝子を保有する動物細胞発現用ベクターを動物細胞に導入し、二重特異性のキメラ受容体を動物細胞の膜表面に発現させることもできる。
【0019】
少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に発現した動物細胞を作製するには、上記組換え遺伝子を保有する動物細胞発現用ベクターを導入した動物細胞に、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原を接触させ、該接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によってキメラ受容体が活性化されることによって生じる細胞応答を指標として動物細胞を単離することができる。例えば、1種の組換え遺伝子を組み込んだ動物細胞発現用ベクターを用いた場合、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原として低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーを用い、該低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーの存在下で増殖する動物細胞を単離することにより、一対のキメラ細胞増殖因子受容体を膜表面に発現した動物細胞を作製することができる。また、2種又は3種類以上の組換え遺伝子を組み込んだ動物細胞発現用ベクターを用いた場合、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原として、2種以上の低分子物質の連結多量体や、タンパク質間に相互作用を有する2種又は3種類以上のタンパク質や、2又は3以上のエピトープが存在する抗原を用い、該連結多量体、2種又は3種類以上のタンパク質、2又は3以上のエピトープが存在する抗原などの存在下で増殖する動物細胞を単離することにより、二重又は三重以上の多重特異性のキメラ細胞増殖因子受容体を膜表面に発現した動物細胞を作製することができる。
【0020】
また、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原として癌抗原を用い、該癌抗原の存在下で増殖するヒトT細胞、樹状細胞等の動物細胞を単離することにより、一対のキメラ細胞増殖因子受容体を膜表面に発現した動物細胞を作製することができ、かかる癌抗原を特異的に認識するヒトT細胞、樹状細胞等は、癌治療に有利に用いることができる。さらに、前記本発明のベクターDNAを有用物質生産動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、細胞増殖を引き起こさせることにより、各種サイトカイン等の高価な細胞増殖因子を使用することなく有用物質生産動物細胞を大量に増殖させることができ、有用物質を大量に生産することが可能となる。
【0021】
また、癌抗原に対する抗体の可変領域VHをコードする遺伝子及び可変領域VLをコードする遺伝子がリンカーDNA配列を介して連結された可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子からなる1又は2種の一本鎖抗体をコードする遺伝子を、細胞死誘導受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有するウイルスベクターDNAを癌治療用とすることや、少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に有する上記本発明の動物細胞を用いて、一本鎖抗体が特異的に認識する癌抗原を含む血液等の抗原含有試料における細胞応答の程度を測定することによって血液中の癌抗原等の抗原濃度を測定することができる。
【0022】
また、少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に有する上記本発明の動物細胞に低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマー等の被検物質を接触させることにより、キメラ受容体が特異的に認識して細胞応答を活性化させる能力を有する物質をスクリーニングすることができる。さらに、可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子からなる一本鎖抗体をコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子をランダム化し、かかるランダム化された一本鎖抗体をコードする遺伝子を、所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有するベクターDNAを動物細胞に導入し、該ベクターDNA導入動物細胞と上記スクリーニング方法により得られる細胞応答を活性化させる能力を有する物質とを接触させ、細胞応答の程度を測定することにより、抗原結合能を有するキメラ受容体をスクリーニングすることもできる。
【0023】
また、本発明の動物細胞の細胞膜表面に発現した少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体であって、2種類又は3種類以上のタンパク質をそれぞれ特異的に認識するキメラ受容体と、2種類又は3種類以上のタンパク質とを接触させ、キメラ受容体が活性化されることにより引き起こされる細胞応答の程度を測定することにより、タンパク質間相互作用を測定することができる。さらに、本発明のベクターDNAに遺伝子治療用遺伝子等の外来遺伝子を組み込み、該外来遺伝子を組み込んだベクターDNAを動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によってキメラ受容体が活性化されることにより、細胞増殖等の細胞応答を引き起こす動物細胞を単離することによって、外来遺伝子導入細胞を選択することや、本発明のベクターDNAとこれとは異なるベクターDNAに組み込んだ遺伝子治療用遺伝子等の外来遺伝子とを動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体形成によってキメラ受容体が活性化されることにより、細胞増殖等の細胞応答を引き起こす動物細胞を単離することによって、外来遺伝子導入細胞を選択することができる。また、異なる抗原特異性を有する一本鎖抗体の後ろにそれぞれ異なるシグナル伝達能を持つ受容体をキメラ化し、1つの細胞にこれらの種々のキメラ受容体を導入し、対応する抗原を添加することによって伝達されるシグナルの種類を制御すると、細胞の分化、増殖、死を経時的又は空間的に制御することが可能となる。さらに、少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に有する上記本発明の動物細胞の細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、一本鎖抗体が特異的に認識する抗原の添加量を調節することによって細胞応答の程度を制御することもできる。
以下、本発明の応用例についてより具体的に説明する。
【0024】
[有用物質生産細胞の培養コスト削減](図2参照)
動物細胞を用いて医薬品などの有用物質を生産する場合には、細胞増殖を活性化するために高価な増殖因子の添加が必要となる場合が多く、培地コストの観点から工業的規模の動物細胞培養の大きな問題になっている。また、過増殖によって引き起こされる細胞死は物質生産効率を低下させる原因となり、この過増殖もまた問題である。このような問題に対し、本発明のキメラ受容体発現動物細胞を用い、安価な低分子物質に応答して増殖シグナルを伝達するキメラ受容体を有用物質生産株に導入すれば、高価な増殖因子を必要とせず、簡便に増殖制御することが可能となり、有用物質生産の効率化および低コスト化を図ることができる。
【0025】
[遺伝子導入細胞のin vivoでの選択的増幅](図3参照)
近年、新しい治療法として遺伝子治療が期待されているが、標的細胞への遺伝子導入効率は充分でない場合が多い。これを克服するための方法として、遺伝子導入細胞だけを生体内又は外で選択的に増幅するという手法が考えられる。本発明のキメラ受容体ベクターDNAを治療用遺伝子とともに標的細胞に導入し、該キメラ受容体を発現させ、フルオレセイン等のキメラ受容体が特異的に認識する抗原を投与することにより、簡便に遺伝子導入細胞のみを選択的に増幅することができる。例えば、造血幹細胞は全ての血液細胞の源となる細胞であることから、本発明のキメラ受容体ベクターDNAを導入した造血幹細胞を作製し、フルオレセイン等のキメラ受容体が特異的に認識する抗原を投与し、該細胞を効率よく増幅することにより、造血系の疾患の治療効果を大きく向上することができる。
【0026】
[抗癌作用のある細胞の選択的増幅による癌治療](図4参照)
癌の遺伝子治療では、癌を攻撃するT細胞に抗腫瘍遺伝子を導入して機能が強化されたT細胞を作製し、抗腫瘍活性を増強する試みが行われてきた。しかし、現在のところ遺伝子導入効率が低く、長期に渡る充分な治療効果が期待できないことが問題となっている。これに対し、本発明のキメラ受容体ベクターDNAを抗腫瘍遺伝子とともに標的細胞に導入し、キメラ受容体を発現させ、フルオレセイン等のキメラ受容体が特異的に認識する抗原を投与することにより、簡便に遺伝子導入細胞のみを選択的に増殖することができる(図4)。すなわち、キメラ受容体をT細胞に導入すれば、機能強化T細胞をフルオレセイン等のキメラ受容体が特異的に認識する抗原を添加により選択的に増殖させることで導入効率の低さを克服し、治療効果の向上を図ることができる(図4−(1))。また、癌抗原特異的な抗体を受容体としてキメラ化し、癌の周辺に機能強化T細胞を選択的に増殖することができる(図4−(2))。さらに、癌抗原を表面提示し、T細胞を活性化する樹状細胞に、癌抗原とともに本発明によるキメラ受容体遺伝子を導入し、フルオレセイン等のキメラ受容体が特異的に認識する抗原を添加して選択的に増幅するシステムを構築することにより、癌を攻撃するT細胞を効率よく活性化することができる(図4−(3))。
【0027】
[癌細胞を選択的に死滅させるシステム](図5参照)
癌抗原に対する抗体ScFvと細胞死(アポトーシス)誘導受容体をキメラ化したキメラ受容体を作製し、このキメラ受容体を癌の組織に導入・発現させることにより、細胞表面に癌抗原を有する細胞においてのみキメラ受容体が活性化され、癌細胞を選択的にアポトーシスに導くことができ、死滅させることができる。
【0028】
[低分子物質結合性ScFvの迅速なスクリーニング法とその応用](図6参照)
キメラ受容体のScFv部分にランダムな変異を導入して細胞に導入し、任意の低分子物質を培地に添加したときに増殖した細胞を回収すれば、任意の低分子物質に結合するScFvを迅速簡便に選択することができる。すなわち、本発明によれば、任意の抗原に対して高い親和性の抗体を迅速に得ることができ、内分泌系撹乱物質など測定ニーズの高い低分子物質に対する抗体の迅速な取得法として応用することができる。また、このようにして得られた抗体は抗体医薬品として、疾患の治療に用いることができる。
【0029】
[細胞の分化、増殖、死の経時的制御](図7参照)
本発明によれば、低分子物質応答性キメラ受容体をも合理的かつ迅速に選択することができる。すなわち、上記[低分子物質結合性ScFvの迅速なスクリーニング法]を利用し、種々のキメラ受容体が得られた場合には、各ScFvの後ろに、それぞれ異なるシグナル伝達能を持つ受容体をキメラ化し、1つの細胞にこれらの種々のキメラ受容体を導入することにより、遺伝子導入細胞の増殖、分化、死といった運命(各段階)を人為的に、且つ経時的に制御することが可能となる。この方法を利用することにより、例えば、組織再生において、ある一定の期間だけ遺伝子導入(骨芽)細胞を増殖・分化させて再生の足場を作り、その後は死滅させて患者由来の(骨芽)細胞による自発的再生を促すといった治療が可能となる。
【0030】
[細胞の分化、増殖、死の空間的制御](図8参照)
上記[細胞の分化、増殖、死の経時的制御]において得られた種々のキメラ受容体に結合する低分子物質を担体上の任意の領域に固定化することにより、細胞の増殖、分化、死などを空間的に制御することができる。かかる制御方法を用いることにより、臓器再生においてどの部分に増殖あるいは分化した細胞を配置するかの空間的制御と、臓器自体の大きさの制御を同時に行うことができる。
【0031】
[物質の濃度を測定するセンサーとしての応用](図9参照)
診断医療においては、低分子物質に限らず、血中に含まれる種々の物質の濃度を高感度に測定する必要がある。本発明によれば、診断医療において、低分子物質に限らず、血中に含まれる種々の物質の濃度を高感度に測定することができる。すなわち、癌抗原のような大きな抗原の血中濃度を測定することができる。具体的には、標的抗原分子の異なるエピトープ部分と結合する2種類の抗体ScFvを得て、それらを増殖因子受容体と連結した2種類のキメラ受容体遺伝子を作製して細胞で発現させる。その後、血液サンプルを添加したときの細胞増殖を指標として、標的抗原分子の濃度を測定することができる。また、測定に要する時間を短縮するために、あらかじめ発光酵素遺伝子を細胞に導入しておき、増殖因子受容体からのシグナル伝達が生じたときのみ発光酵素を発現、生成して発光するようにしておけば、標的抗原濃度を迅速かつ高感度に検出することができる。
【0032】
[蛋白質間相互作用の測定](図10参照)
蛋白質間相互作用は細胞内シグナル伝達や酵素反応における重要なステップであり、その測定が行えれば、シグナル伝達機構の解明や創薬への応用が可能である。本発明によれば、作製したキメラ受容体において、測定したい2種類のタンパク質に対する抗体ScFvを得て、それらを2量体形成により活性化されるシグナル伝達分子に連結した2種類のキメラを作製すれば、上記[物質の濃度を測定するセンサーとしての応用]におけると同様に、細胞増殖若しくは発光を検出することでタンパク質間相互作用を測定することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1[キメラ受容体の発現用ベクターDNAの作製]
低分子物質として生体に無害であると考えられるフルオレセインを選択し、フルオレセインに対する一本鎖抗体31IJ3とマウスエリスロポエチン受容体及びマウスgp130遺伝子との組換え遺伝子を保有するキメラ受容体発現用ベクターDNAを作製した。
抗フルオレセイン抗体31IJ3はIan M. Tomlinson博士より供与を受けた。31IJ3遺伝子は、ヒト合成抗体ライブラリーTomlinson J由来である。Tomlinson Jはヒト型のフレームワークを有し、VH−VLの順に連結された一本鎖抗体ライブラリーであり、抗原結合に関わる相補性決定領域(CDR)のうちCDRH2、CDRH3、CDRL2、CDRL3がPCR法によりランダム化されて作製され、ファージミドベクターに組み込まれている。
【0034】
Tomlinson博士によって行われた具体的な実験操作は以下の通りである。このファージミドベクターを大腸菌株TG−1に形質転換し、ヘルパーファージを感染させ、ファージ表面に一本鎖抗体ライブラリーを有するファージライブラリーを得た。Fluorescein担体を固定化したプレート上にファージライブラリーを反応させ、未反応のファージを洗浄操作によって除去後、Fluorescein結合性ファージを溶出して回収し、回収した該ファージを大腸菌に感染させ、Fluorescein結合性一本鎖抗体を含むファージミドベクターを得た。これらのサイクルを数回繰り返すことにより、Fluoresceinへの高い親和性を持つ一本鎖抗体を濃縮し、得られたクローンのうち一つを31IJ3と名付けた。
【0035】
このファージミド31IJ3を鋳型とし、一本鎖抗体(ScFv)部分をPCR法により増幅し、抗体H鎖シグナル配列を持つプラスミドpTV−SigのPst I−Hind III部位に挿入した(pTV−Sig−ScFv)。上記pTV−Sigは、pTV118N(宝酒造社製)のNco I部位に抗体H鎖シグナル配列をもつIgM−ヒト上皮細胞増殖因子受容体キメラ蛋白質発現プラスミドpRSVVuERCA(Bio/Technology, 10: 430−433, 1992)由来の574bpのNco I断片が、Hind III切断部位が3’側になるような方向に挿入されたものである。
【0036】
PCRに用いたプライマーは、配列番号1に示される塩基配列を有するオリゴDNA、及び、配列番号2に示される塩基配列を有するオリゴDNAである。プラスミドの配列を確認後、pTV−Sig−ScFvからシグナル配列とScFv部分を、レトロウィルスベクターpMX−Hg−XhoにNco I−Hind IIIサイトで挿入した(pMX−ScFvg)。上記pMX−Hg−Xhoは、pMXのXho I部位をブランティングにより除去し、EcoR I部位に、抗ニワトリ卵白リゾチーム抗体HyHEL−10のVH、GSGリンカー、EpoR細胞外D2ドメイン、gp130細胞内ドメイン配列をpME−Hg(Biotechnol. Bioeng.,74, 416−423, 2001)から挿入したものであり、上記操作によりHyHEL−10のVHが31IJ3のScFvに置換されることになる。
【0037】
次に、pMX−ScFvgから受容体部分をEcoR Iサイト(2箇所)で切り出し、IRES(internal ribosomal entry site)−EGFP(enhanced green fluorescent protein)を持つレトロウィルスベクターpMX−Lg−IRES−EGFPのXho I部位をブランティングして除去したベクターのEcoR I部位に挿入した(pMX−ScFvg−IRES−EGFP)。ここで、pMX−Lg−IRES−EGFPは、pMXのEcoR I部位に、抗ニワトリ卵白リゾチーム抗体HyHEL−10のVL、GSGリンカー、エリスロポエチン受容体(EpoR)細胞外D2ドメイン、gp130細胞内ドメイン配列をpMEZ−Lg(Biotechnol. Bioeng., 74, 416−423, 2001)から挿入したものであり、上記操作によりHyHEL−10のVLが31IJ3のScFvに置換されることになる。ここで、IRES−EGFPは、ベクターを細胞に導入した後、キメラ受容体と同時にEGFPを発現させ、EGFPの緑色蛍光を指標にフローサイトメーターでソーティングするために挿入した。
【0038】
なお、PCR反応はPyrobestポリメラーゼ(宝酒造社製)を用いて行い、制限酵素及び修飾酵素は宝酒造製のものを使用した。また、塩基配列の確認は日立シークエンサーSQ−5500を用いて行った。
【0039】
実施例2[動物細胞への発現ベクターの導入と導入細胞の選択]
実施例1で作製したレトロウィルスベクターpMX−ScFvg−IRES−EGFPをレトロウィルス感染によりインターロイキン3(IL−3)依存性マウスpro−B細胞株Ba/F3に導入した。具体的には、レトロウイルスパッケージング細胞株Plat−E(Gene Therapy, 7, 1063−1066, 2000)を2×10個/4mlでφ6cmのディッシュにまき20時間インキュベートした。上記ウィルスベクター3μgを6μlの滅菌水に溶解し、9μlのFugene6(Roche社製)に100μlの無血清F12培地(Gibco BRL社製)を添加したものと穏やかに混和した。室温で15分放置後、この混合物をPlat−Eにゆっくりと滴下し、24時間インキュベートした。インキュベート後に上清をアスピレーターで吸い取り、DMEM培地を3mL加え、さらに24時間インキュベートした。この上清を3krpm、5分間遠心してPlat−Eを沈殿させて上清をウィルス上清として回収した。Ba/F3細胞1×10個に対し、10μg/mLのpolybrene、4μg/mLのIL−3、500μLのウィルス上清を12wellプレート上で混和し、RPMI培地を加えて全量1mLにして5時間インキュベート後、0.6mLのRPMI培地を加え、24時間インキュベートした。
その後継代培養を行って細胞を増殖させた後、FACSによってEGFP陽性細胞をソーティングした。その結果、EGFP発現細胞率を94%まで濃縮することができた。
【0040】
実験例3[フルオレセイン応答性細胞の選択]
BSAのリジン残基にFITC(Fluorescein isothiocyanate)を反応させ、BSA−Flを作製した。具体的には、炭酸緩衝液(0.1M NaCL、0.25M NaCO、pH9.0)を作製し、BSAを15mg/mLの濃度で溶解し、BSA1mgあたり0.05mgのFITCを加えて4℃で一晩混和した。反応生成物を含む混合液をSephadexカラムNAP−5(Amersham−Pharmacia社製)を用いてゲルろ過して、未反応のFITCとBSA−Flとを分画した。得られたBSA−Flにおいて、BSA1分子あたりのフルオレセイン結合量を、280nm及び490nmにおける吸光度を測定し、次式で求めたところ、29分子であった。
モル比=2.87×A490/(A280−0.35×A490
ただし、A280は280nmにおける吸光度、A490は490nmにおける吸光度である。
【0041】
このようにして作製されたBSA−Flを用いて、FACSによりソーティングされたキメラ受容体発現細胞に対してフルオレセイン応答性細胞の選択を行った。具体的には、まず細胞を回収し、PBSで3回洗浄し、IL−3を除去した後、細胞を24well プレートにおいてBSA−Flを70μg/mL加え、数日間培養した。生細胞率が50%ぐらいになったら上清1mLを廃棄し、IL−3を加えて生細胞を賦活化した。そして細胞が十分に増幅されたら再びBSA−Flを添加して培養を行う、という操作を数回繰り返した。また、培地は4〜7日ごとに上清1mLを廃棄し、BSA−FlあるいはIL−3とともに新鮮な培地を1mL加えた。以上の操作によりIL−3非存在下でBSA−Fl依存的に増殖する細胞を回収した。
【0042】
実験例4[遺伝子導入細胞におけるキメラ受容体の発現確認]
得られたBSA−Fl応答性細胞におけるキメラ受容体の発現をWestern Blottingにより確認した。具体的には1×10個の細胞を集めてPBSで1回洗浄した細胞を可溶化緩衝液(20mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、10% Glycerol、1% Triton X−100、1.5mM MgCl、1.0mM EGTA、10μg/mL leupeptin、10μg/mL aprotinin)100μlに懸濁して溶解し、0℃で10分間置いたあと、15krpm、5分間、4℃で遠心して上清を回収し、4×レムリBufferを加えて2分間ボイルしたのち、20μlをSDSポリアクリルアミド電気泳動に用いた。電気泳動後、セミドライブロッティング装置(Bio−Rad社製)をマニュアルに従って操作し、ポリアクリルアミドゲル上の蛋白質をニトロセルロース膜(Millipore社製)に転写した。TBS−T緩衝液(20mM Tris−ClpH7.5、150mM NaCl、0.1% Tween 20)で15分間振とう後、1%スキムミルクを含むTBS−Tに浸して一晩緩やかに振とうしてブロッキング処理した。その後、溶液を廃棄し、TBS−T溶液による15分間の洗浄操作を2回繰り返した後に1μg/mLの一次抗体(ウサギ抗マウスgp130細胞内ドメイン認識抗体)を含むTBS−T溶液に浸し、穏やかに1時間振とうした。溶液を廃棄し、TBS−T溶液による15分間の洗浄操作を3回繰り返した後に1μg/mLのペルオキシターゼ標識二次抗体(ヤギ抗ウサギIgG)を含むTBS−T溶液に浸し、穏やかに1時間振とうした。溶液を廃棄し、TBS−T溶液による15分間の洗浄操作を3回繰り返した後にECL Kit(Amersham社製)により発光反応を起こしてニトロセルロース膜上に固定化されたペルオキシダーゼ量をX線フィルム(Fuji RX社製)に感光させ現像して可視化した。
その結果、図11に示した通り、遺伝子導入細胞ではBa/F3細胞には見られない分子量70kDaのバンドが確認された。
【0043】
実験例5[遺伝子導入細胞のBSA−Fl及びフルオレセインダイマー依存的増殖応答の確認]
得られたBSA−Fl応答性細胞を初期細胞濃度1×10個/mLでまき、培地中に含まれるBSA−Fl濃度を変えて培養し、細胞数の経時変化を測定した。生細胞数の経時変化をトリパンブルー染色を用いたセルカウント法で測定した。結果は図12に示した通りであり、細胞が培地中のBSA−Fl濃度に依存して増殖することが確認された。
【0044】
次に、フルオレセインダイマー(Fluorescein dimer)を作製した。配列番号3に示す、回文配列を有するオリゴDNAの5’末端にフルオレセインを標識したフルオレセイン標識オリゴDNAを作製し、作製したフルオレセイン標識オリゴDNAをアニーリングさせ、フルオレセインダイマーを作製した。なお、配列番号3の配列の末端の2つの塩基は生体内での分解を防ぐためS−oligoとした。
【0045】
また、BSA−Fl応答性細胞を、初期細胞濃度1.5×10個/mLでまき、培地中に含まれるフルオレセインダイマー濃度を変えて培養し、細胞数の経時変化を測定した。結果は図13に示した通りである。該細胞はフルオレセインダイマーの濃度依存的に増殖し、BSA−Flでの刺激とほぼ同等の増殖結果を得ることができた。
【0046】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、本発明によれば、本来は細胞増殖に関与しない低分子物質のダイマー等の存在下で選択的に増殖する細胞と、この細胞を作製するためのベクターDNA、及びこのベクターDNAを用いて上記細胞を作製する方法が提供される。この発明の細胞を用いることによって、安価かつ入手容易な低分子物質を用いて細胞増殖を制御し、これによって細胞の有用物質産生効率を向上させることが可能となる。また、細胞の増殖速度を指標とした低分子物質濃度の測定により免疫測定法を簡便に行うことが可能となる。さらに、治療用遺伝子等の外来遺伝子を導入した場合にも、低分子物質存在下で選択的に増殖する細胞を得れば、外来遺伝子発現細胞を簡便かつ正確に選択することができる。また、低分子物質の2量体は生体内での免疫原性がないと考えられるため、このような遺伝子導入細胞の選択的増幅を生体内でも行うことができ、遺伝子治療効果を向上させることが可能となる。
【0047】
【配列表】
Figure 2004113062
Figure 2004113062

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキメラ受容体のシグナル伝達の模式図である。
【図2】本発明のキメラ受容体導入動物細胞による、物質生産細胞の安価な増殖制御を説明する模式図である。
【図3】本発明のキメラ受容体遺伝子と治療用遺伝子を導入した細胞の選択的増幅を説明する模式図である。
【図4】本発明のキメラ受容体遺伝子を導入した、抗癌作用のある細胞の選択的増幅による癌治療を説明する模式図である。
【図5】本発明のキメラ受容体遺伝子と細胞死誘導遺伝子を導入した癌細胞を選択的に死滅させるシステムを示す模式図である。
【図6】本発明の低分子物質結合性ScFvの迅速なスクリーニング法を説明する模式図である。
【図7】本発明のキメラ受容体による、細胞の分化、増殖、死の経時的制御を説明する模式図である。
【図8】本発明のキメラ受容体による、細胞の分化、増殖、死の空間的制御を説明する模式図である。
【図9】本発明のキメラ受容体を利用した、物質の濃度を測定するセンサーとしての応用例を示す模式図である。
【図10】本発明のキメラ受容体を利用した、蛋白質間相互作用の測定例を示す模式図である。
【図11】本発明の抗フルオレセイン一本鎖抗体領域を有するキメラ受容体遺伝子を導入したBSA−Fl応答性細胞に対するウエスタン・ブロットによる分析結果を示す図である。
【図12】本発明の抗フルオレセイン一本鎖抗体領域を有するキメラ受容体遺伝子を導入したBSA−Fl応答性細胞の、BSA−Fl濃度依存的細胞増殖結果を示す図である。
【図13】本発明の抗フルオレセイン一本鎖抗体領域を有するキメラ受容体遺伝子を導入したBSA−Fl応答性細胞の、Fluorescein dimer濃度依存的細胞増殖結果を示す図である。

Claims (29)

  1. 所定の抗体の可変領域VH及び可変領域VLがリンカーアミノ酸配列を介して連結された可変領域VH−リンカーアミノ酸配列−可変領域VL、又は可変領域VL−リンカーアミノ酸配列−可変領域VHからなる1又は2種以上の一本鎖抗体の1又は2以上が、所定の受容体又はその一部に連結された少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に有し、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化され細胞応答を引き起こすことを特徴とする動物細胞。
  2. 所定の受容体又はその一部が、細胞増殖因子受容体又はその一部であることを特徴とする請求項1記載の動物細胞。
  3. 細胞増殖因子受容体又はその一部が、エリスロポエチン受容体若しくはその一部及び/又はgp130若しくはその一部であることを特徴とする請求項2記載の動物細胞。
  4. 一本鎖抗体が特異的に認識する抗原が、ヒトに免疫原性がない抗原であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の動物細胞。
  5. 一本鎖抗体が特異的に認識する抗原が、分子量1,000以下の低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の動物細胞。
  6. 分子量1,000以下の低分子物質が、フルオレセインであることを特徴とする請求項5記載の動物細胞。
  7. 所定の抗体の可変領域VHをコードする遺伝子及び可変領域VLをコードする遺伝子がリンカーDNA配列を介して連結された可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子からなる1又は2種以上の一本鎖抗体をコードする遺伝子の1又は2以上を、所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有することを特徴とするベクターDNA。
  8. 所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子が、細胞増殖因子受容体又はその一部をコードする遺伝子であることを特徴とする請求項7記載のベクターDNA。
  9. 細胞増殖因子受容体又はその一部が、エリスロポエチン受容体若しくはその一部及び/又はgp130若しくはその一部であることを特徴とする請求項8記載のベクターDNA。
  10. 一本鎖抗体が特異的に認識する抗原が、分子量1,000以下の低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載のベクターDNA。
  11. 分子量1,000以下の低分子物質が、フルオレセインであることを特徴とする請求項10記載のベクターDNA。
  12. 動物細胞に導入することにより、少なくとも一組のキメラ受容体を膜表面に発現させることができ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化され細胞応答を引き起こすことを特徴とする請求項7〜11のいずれか記載のベクターDNA。
  13. 請求項1〜6のいずれか記載の動物細胞の作製方法であって、請求項7〜12のいずれか記載のベクターDNAを動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、引き起こされる細胞応答を指標として単離することを特徴とする動物細胞の作製方法。
  14. 一本鎖抗体が特異的に認識する抗原として低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーを用い、該低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーの存在下で増殖する動物細胞を単離することを特徴とする請求項13記載の動物細胞の作製方法。
  15. 一本鎖抗体が特異的に認識する抗原として癌抗原を用い、該癌抗原の存在下で増殖する動物細胞を単離することを特徴とする請求項13記載の動物細胞の作製方法。
  16. 動物細胞が、ヒトT細胞又は樹状細胞であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか記載の動物細胞の作製方法。
  17. 請求項7〜12のいずれか記載のベクターDNAを有用物質生産動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、細胞増殖を引き起こさせることを特徴とする有用物質の生産方法。
  18. 癌抗原に対する抗体の可変領域VHをコードする遺伝子及び可変領域VLをコードする遺伝子がリンカーDNA配列を介して連結された可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子からなる1又は2種の一本鎖抗体をコードする遺伝子を、細胞死誘導受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有することを特徴とする癌治療用ウイルスベクターDNA。
  19. 請求項1〜6のいずれか記載の動物細胞の細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原含有試料における細胞応答の程度を測定することを特徴とする抗原濃度測定方法。
  20. 抗原含有試料が、癌抗原を含む血液であることを特徴とする請求項19記載の抗原濃度測定方法。
  21. 請求項1〜6のいずれか記載の動物細胞の細胞膜表面に発現した少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体と、被検物質とを接触させることを特徴とするキメラ受容体が特異的に認識して細胞応答を活性化させる能力を有する物質のスクリーニング方法。
  22. 低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーを特異的に認識するキメラ受容体と、被検物質としての低分子物質のダイマー又はトリマー以上のマルチマーとを接触させることを特徴とする請求項21記載のキメラ受容体が特異的に認識して細胞応答を活性化させる能力を有する物質のスクリーニング方法。
  23. 所定の抗体の可変領域VHをコードする遺伝子及び可変領域VLをコードする遺伝子がリンカーDNA配列を介して連結された可変領域VHをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VLをコードする遺伝子、又は可変領域VLをコードする遺伝子−リンカーDNA配列−可変領域VHをコードする遺伝子からなる一本鎖抗体をコードする遺伝子をランダム化し、かかるランダム化された一本鎖抗体をコードする遺伝子を、所定の受容体又はその一部をコードする遺伝子に連結した組換え遺伝子を保有するベクターDNAを動物細胞に導入し、該ベクターDNA導入動物細胞と請求項21又は22記載のスクリーニング方法により得られる細胞応答を活性化させる能力を有する物質とを接触させ、細胞応答の程度を測定することを特徴とする抗原結合能を有するキメラ受容体のスクリーニング方法。
  24. 請求項1〜3のいずれか記載の動物細胞の細胞膜表面に発現した少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体であって、2種類又は3種類以上のタンパク質をそれぞれ特異的に認識するキメラ受容体と、2種類又は3種類以上のタンパク質とを接触させ、前記キメラ受容体が活性化されることにより引き起こされる細胞応答の程度を測定することを特徴とするタンパク質間相互作用の測定方法。
  25. 請求項7〜12のいずれか記載のベクターDNAに外来遺伝子を組み込み、該外来遺伝子を組み込んだベクターDNAを動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、細胞応答を引き起こす動物細胞を単離することを特徴とする外来遺伝子導入細胞の選択方法。
  26. 請求項7〜12のいずれか記載のベクターDNAとこれとは異なるベクターDNAに組み込んだ外来遺伝子とを動物細胞に導入し、細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原との接触により引き起こされる2量体又は3量体以上の複合体形成によって前記キメラ受容体が活性化されることにより、細胞応答を引き起こす動物細胞を単離することを特徴とする外来遺伝子導入細胞の選択方法。
  27. 外来遺伝子が、遺伝子治療用の遺伝子であり、細胞応答が細胞増殖であることを特徴とする請求項25又は26記載の外来遺伝子導入細胞の選択方法。
  28. 請求項1〜6のいずれか記載の動物細胞の細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原の添加量を調節することによって細胞応答の程度を制御することを特徴とする細胞応答の制御方法。
  29. 請求項25又は26記載の選択方法により得られた外来遺伝子導入細胞の細胞膜表面に少なくとも一組の一本鎖抗体が連結したキメラ受容体を発現させ、前記一本鎖抗体が特異的に認識する抗原の添加量を調節することによって細胞増殖の程度を制御することを特徴とする細胞の分化、増殖、死の経時的又は空間的制御方法。
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