JP2004111784A - 光透過性電磁波遮蔽シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光透過性電磁波遮蔽シートを、窓等に適用可能とする為に大面積で連続帯状の巻物として製造できる様にする。その為に、導電性金属箔にレジストパターンを印刷で形成する時の印刷抜けやムラを解消する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレートシート等による透明基材1と銅箔等による導電性金属箔2Aとを接着剤3を介して積層した後、導電性金属箔面にフレキソ印刷でレジストパターンを設けて、導電性金属箔をエッチングしてパターン金属層2とすることで光透過性電磁波遮蔽シート10を製造する際に、導電性金属箔の印刷面faの表面粗さをJIS B0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとする。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリエチレンテレフタレートシート等による透明基材1と銅箔等による導電性金属箔2Aとを接着剤3を介して積層した後、導電性金属箔面にフレキソ印刷でレジストパターンを設けて、導電性金属箔をエッチングしてパターン金属層2とすることで光透過性電磁波遮蔽シート10を製造する際に、導電性金属箔の印刷面faの表面粗さをJIS B0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド(遮蔽)が必要な公共施設、ホール、病院、学校、企業ビル、研究所、精密部品製造工場、電磁波シールドルーム等の窓や、電磁波を発生する電気製品の文字・画像表示部分等に利用する、透視可能な電磁波遮蔽性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁波遮蔽性と共に光透過性も有する光透過性電磁波遮蔽シートとしては、例えば次の様なものが挙げられる。
【0003】
(1)樹脂シート等の透明基材に、金等の高導電性金属を真空蒸着等で成膜して全面に透明な導電性薄膜を設けた真空成膜品。
(2)透明基材に導電性インキをパターン状にスクリーン印刷した導電性層を設けた印刷品。
(3)透明基材に箔の積層やめっき等で全面に銅等による不透明な金属層を設けた後、パターン形成にフォトリソグラフィ法を利用したエッチングにて、該金属層をパターン状のパターン金属層としたエッチング品(特許文献1等参照)。
(4)繊維に金属めっきした導電性繊維メッシュを、透明基材にラミネートしたラミネート品。
(5)更に上記(3)にて、金属層の表面の粗さ(Ra)を0.1〜1.0μmとして、パターン金属層からの光反射を少なくして該層を目立ち難くした光反射低減品(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−41682号公報
【特許文献2】
特開2000−286594号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)〜(5)の如き、従来の光透過性電磁波遮蔽シートでは、次の様な欠点があった。
すなわち、上記(1)の導電性薄膜の真空成膜品は、GHz帯のシールド性能が十分に得られない。
また、上記(2)のスクリーン印刷を利用した印刷品は、微細な細線状(例えば50μm以下、特に40μm以下)の印刷パターンを形成できる導電性インキが実用上制限されてしまう。従って、光透過性を上げられない。また、スクリーン印刷は通常、枚葉印刷の為に連続パターンの印刷はできず、建築物の窓用途等に対して連続帯状物として大量生産するのには適さない。
また、上記(3)のフォトリソグラフィ法を利用したエッチング品は、細線形成の点では優れているが、フォトリソグラフィ工程が生産性に劣る上、フォトマスクのサイズに制約があり、大面積には適さない。
【0006】
また、上記(4)の導電性繊維メッシュのラミネート品は、繊維のめっき層が密着性に欠け、ラミネート加工時にめっき層が剥離したり、寒熱耐久性試験で剥離が発生したりする場合もある。また、縦・横の繊維がずれて視覚的に濃淡ができ易く、従って、ラミネート加工が難しい。また、高品質を維持する為に連続帯状の巻物として製造が極めて困難であり、歩留まりを向上することに限界もある。
また、上記(5)の金属層の表面粗さRaを規定した光反射低減品は、上記(3)と同様にフォトリソグラフィ法を利用したエッチング品であり、従って、生産性に劣る上、フォトマスクサイズに制約があり大面積には適さない。また、光反射が低減されているとは言え、金属層表面は金属光沢感があり、建築物の窓等に用いる場合にそれが外観を損ねるという問題もある。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、光透過性電磁波遮蔽シートについて、窓等にも適用できる様にする為に、高精度で高品質なシールドパターンを大面積で連続帯状物として製造できる様にすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで上記課題を解決すべく、本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの製造方法では、透明基材と導電性金属箔とを接着剤を介して積層一体化した後、前記導電性金属箔の透明基材から遠い方の面(印刷面)にフレキソ印刷によりレジストパターンを設けて、該導電性金属箔をエッチングしてパターン状のパターン金属層とすることで、光透過性電磁波遮蔽シートを製造する製造方法であって、導電性金属箔の印刷面の表面粗さがJIS B0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmである様にした。
【0009】
この様な製造方法とすることで、印刷方式がフレキソ印刷である為に大面積で連続帯状物として生産性良く巻物形態で大量生産できる。しかも印刷面の表面粗さをRaが1.0〜3.0μmとしてあるので、フレキソ版上に余分なインキが蓄積するのを防止でき、その結果、印刷抜けやムラが無くなり、版パターンの印刷再現性が向上し、パターン金属層のパターン(特に細線)を、太りや断線無く高精度で印刷できる。従って、印刷方式による印刷品であっても、美観やシールド性能の点で高品質のものが得られる。また、上記表面粗さの規定により、パターン金属層表面の金属光沢感も低下し、それによる外観低下も無い。
【0010】
また、本発明の光透過性電磁波遮蔽シートは、透明基材上に接着剤を介して、導電性金属箔によるパターン状のパターン金属層が接着積層され、更に該パターン金属層上に樹脂層が積層されてなる光透過性電磁波遮蔽シートにおいて、パターン金属層の樹脂側の面の表面粗さが、JIS B0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmである構成とした。
【0011】
この様な構成とすることで、上記製造方法で容易に得られる光透過性電磁波遮蔽シートとなり、上記製造方法で述べた効果を享受できる。そして、光透過性電磁波遮蔽シートとして、パターン金属層(シールドパターン)に印刷抜けやムラ等による細線(パターン)の太りや断線が無く、美観やシールド性能の点で高品質のものとなる。また、上記表面粗さの規定により、パターン金属層表面の金属光沢感も低下し、それによる外観低下も無い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、実施の形態を説明する。
【0013】
〔概要〕
図1は、本発明の光透過性電磁波遮蔽シート10とその製造方法を、概念的に示す説明図である。先ず、本発明では、図1(A)の如く、透明基材1と導電性金属箔2Aとを接着剤(層)3を介して積層したものを用意する。また、導電性金属箔2Aの透明基材1から遠い方の面、つまり印刷面faは表面粗さを算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとしておく。そして、図1(B)の如くレジストをフレキソ印刷によって導電性金属箔2Aの印刷面fa上に所望のパターン状に形成して樹脂層4を形成した後、エッチングすれば、パターン(特に細線)の太りや断線の無いパターン金属層2を形成でき、その結果、図1(C)の如き光透過性電磁波遮蔽シート10が得られる。これにより、光透過性電磁波遮蔽シートは、高精度で高品質な製品を、連続帯状で巻物として、大量生産することが可能となるというものである。
【0014】
以下、更に、各層毎に順を追って本発明を詳述する。
【0015】
〔透明基材〕
透明基材1の素材としては、透明性のある熱可塑性樹脂、或いは熱硬化性樹脂等の樹脂材料を用いることができる。但し、巻物形態での製造及び施行時に望まれる可撓性の点では、熱硬化性樹脂よりは熱可塑性樹脂の方が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、或いは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、或いは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂等である。こられらの中でも、透明性、耐熱性、耐薬品性、コスト等の点より、ポリエチレンテレフタレートは最も好ましい樹脂である。
【0016】
透明基材は、これら樹脂の単体又は2種以上の混合物からなる、単層シート或いは2層以上の積層シートを用いることができる。
透明基材の厚みは用途に応じたものとすれば良く特に制限はないが、通常、25〜300μm、好ましくは50〜150μmである。厚みが50μm未満ではコシ(腰)が無く、施行時の作業性が低下する。なお、ポリエチレンテレフタレート等で50μm未満のシートを用いる場合は、他のシート(例えば、熱線カット機能付きポリエチレンテレフタレートシート、ハードコートポリエチレンテレフタレートシート)と積層して厚みを厚くした積層シートとして用いても良い。一方、厚みが150μm超過でも、高透明性ポリエチレンテレフタレートシート等であれば、透明性は維持できるが、コスト高となる。
【0017】
また、透明基材には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン吹付処理、プラズマ処理、易接着プライマー塗工処理等の公知の易接着処理を施しても良い。例えば、ポリエチレンテレフタレートシート等では、市販の易接着処理品を用いれば、更なる易接着処理を省略する事もできる。
【0018】
〔導電性金属箔〕
導電性金属箔2Aはパターン状のパターン金属層2となるものであり、この導電性金属箔の材料としては、導電性でエッチング可能であれば特に制限は無いが、銅、アルミニウム等が入手容易性等の点で好ましい。なかでも、銅は、導電性、及び、微細なエッチング適性に優れているので、高価ではあるが、最も好ましい。
【0019】
導電性金属箔の印刷面faとする面の表面粗さは、JIS B0601(1994年)による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとするのが、良好なるフレキソ印刷適性が得られる点で好ましい。印刷面の表面平滑性がフレキソ印刷の印刷品質に影響するからである。算術平均粗さRaが1.0μm未満では、連続印刷時に、フレキソ版上に余分なインキが蓄積して行き、印刷時間が長くなるとともに、版パターンの再現性が低下する。一方、算術平均粗さRaが3.0μm超過では、印刷面の表面凹凸が大きくなりすぎて、印刷面にインキが転移しない部分が生じる印刷抜けが発生し易くなる。特に、微細なパターンを形成する場合のフレキソ印刷では、印刷圧力が低く設定されるために、従来のフレキソ印刷で一般的な食品包材やダンボール印刷と比較すると、印刷抜け発生が目立ち易い。またこの現象は、特に、レジストをフレキソインキとして高粘度で印刷する場合に顕著である。なお、食品包装やダンボール印刷等の従来一般的なフレキソ印刷では、粘度が0.1〜1Pa・s(100〜1000cP)程度であるが、今回の様に高精度で細かいパターンを形成するには、例えば、0.3Pa・s(300cP)以上の粘度が望ましい。
【0020】
なお、従来技術で挙げた特許文献2が良いとする表面粗さRa0.1〜0.4μmでは、光反射は確かに低下するが、フレキソ印刷適性が得られないばかりか、金属光沢感がありギラギラして視認性が著しく低下し、外観意匠も損なうという視覚上の難点もある。これに対して、本発明の如く算術平均粗さRa1.0〜3.0μmとすると、金属光沢感も減り、それによる外観低下も防ぐことができる。また、特許文献2では、レジストの積層はフォトリソグラフィ法を利用する関係で全面塗布であり、本発明の如く、レジストを印刷で最初からパターン形成する際の形成(印刷)面と印刷適性との関係については想定外で検討されていない。
【0021】
ところで、導電性金属箔の印刷面faの表面粗さを、算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとするには、導電性金属箔を接着剤を介して透明基材と積層した後の積層物に対して、所定の表面を粗面化しても良いが、透明基材と積層前の導電性金属箔について、所定の表面粗さのものを用いれば良い。
導電性金属箔として、その印刷面faとする面を上記所定の表面粗さとするには、化学的研磨、機械的研磨等の公知の表面粗面化手法を適宜採用すれば良い。例えば、銅等の場合では、その導電性金属箔を製造時に所定の表面粗さとしても良い。具体的には、銅箔を電解鋳造する際の膜成長速さ、銅溶液濃度、温度等を調整する事により表面粗さを制御することができる。また、銅を析出させる際に、陰極ドラムの表面凹凸形状の調整により制御することもできる。銅箔製造後の表面粗面化加工でも表面粗さの調整はできるが、コスト的に好ましくなく、箔製造時の方がコスト的に有利である。
【0022】
以上の如く、本発明では、印刷面の表面を僅かにしかも適度に粗すことにより表面積が増えて、瞬間的に版が接する印刷に於いて、インキの転移性が向上するのである。その結果として、印刷の経過時間とともにフレキソ版上に転移残りによる余分なインキが蓄積することなく、インキの適性な転移状態を継続的に維持することが可能となるのである。
【0023】
なお、導電性金属箔の透明基材側とする面は、該透明基材と間に接着剤を介して積層することから、接着強化処理を施してあるのが望ましい。接着強化処理としては、公知の処理、具体的には粗面化処理(粗化処理)で良い。
例えば、図2は、導電性金属箔2Aとして銅箔の一例を示す断面図であり、導電性金属箔2Aは、銅母材21が所定粗さRaの印刷面faを有し、該銅母材21の他方の面は、透明基材と積層させる際の接着強化の為に、粗面化処理面fbを有する粗面化処理層22となっている構成である。
【0024】
導電性金属箔の厚みは、パターン形成する線幅等に応じて適宜なものとすれば良く、通常5〜50μm程度で良いが、細線(例えば50μm以下、特に40μm以下)パターンに対してはより好ましくは9〜18μm程度のものが良い。厚みが厚い程、細かい形状を高精度でパターン形成し難くなり、逆に厚みが薄すぎると導電性金属箔としての取り扱い性、導電性が低下する。
【0025】
〔透明基材と導電性金属箔の接着剤による積層〕
透明基材1と導電性金属箔2Aを積層し一体化する為には、それらを接着剤(層)3で接着・積層する。その際の積層法としては特に限定は無いが、ドライラミネーション法が代表的である。
この様な接着剤としては、用途に応じたものを適宜使用すれば良く、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化型接着剤が挙げられる。なかでも、主剤にポリエステルポリオールを用い、硬化剤にイソシアネート系硬化剤を用いたウレタン樹脂系接着剤は、コスト、塗工適性、硬化後の透明性、比較的低温での硬化性、及び取り扱い性に優れている点で好ましい接着剤の一つである。なお、接着剤は、ロールコート、スプレーコート等の塗工法、或いは、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷法で施せば良い。
【0026】
なお、透明基材、導電性金属箔の接着剤と接する面には、必要に応じ適宜、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等の公知のカップリング剤による接着強化処理を行っても良い。
【0027】
〔樹脂層(レジスト)のフレキソ印刷〕
樹脂層4は、導電性金属箔2Aを所望のパターン状の金属層2とする為のエッチングレジストによるものであり、フレキソ印刷により導電性金属箔の印刷面に対して形成される。微細なパターンはスクリーン印刷でも形成可能ではあるが、線幅50μm以下、特に40μm以下の微細なパターンを、広幅(1m幅以上)で、しかも連続帯状物に対して連続印刷するには、スクリーン印刷は不適当である。
【0028】
なお、フレキソ印刷によるインキの厚みは、微細パターンを形成する為には、2μm以下が好ましい。耐エッチング液性に優れる電離放射線硬化型インキ等を使用することにより、0.5μm程度の厚みでもエッチング可能である。
なお、フレキソ印刷用のアニロックスロールとしては、セルの彫刻方式として機械彫刻式、レーザ(例えばYAGレーザ等)彫刻式等があるが、印刷の厚みを極力薄くするために、セルは微細なものが好ましい。
【0029】
エッチングレジストとするフレキソインキとしては、紫外線等で硬化し無溶剤型の電離放射線硬化型インキを使用することができる。該フレキソインキとしては、水性インキも使用することはできるが、乾燥後、水で溶解してしまうインキでは、その後のエッチングでレジストとして機能できず不適当である。なお、導電性金属箔のエッチングは、公知のエッチング液、例えば金属が銅の場合では、一般的な塩化第二鉄溶液、塩化銅溶液等となる。
【0030】
なお、電離放射線硬化型インキに用いる電離放射線硬化性樹脂としては、公知の各種モノマー、オリゴマー、プレポリマー等を、粘度、密着性、顔料分散性等を考慮して、適宜選択・配合した樹脂組成物を使用することができる。また、粘度を高めとする場合は、オリゴマー、プレポリマーを主体としたインキ配合とすれば良い。また、この様な電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系等のアクリレート系樹脂(組成物)等がある。
なお、電離放射線とは、紫外線、電子線等であり、紫外線硬化型インキは紫外線照射で、電子線硬化型インキは電子線照射で、インキを硬化させる。
【0031】
なお、導電性金属箔2上にレジストとして印刷形成した樹脂層4は、エッチング後は剥離せずそのままパターン金属層2上の樹脂層4として最後まで残して良い。そこで、この点を利用して、インキをカーボン顔料等で黒等の暗色に着色しておくことで、パターン金属層2の表面が金属光沢によりぎらついて外観を損なう場合に、暗色とした樹脂層4でパターン金属層2を覆い外観低下を防いでも良い。
【0032】
インキの印刷パターンは、パターン金属層2の平面視パターンとなるが、用途に応じた任意形状のパターンで良く、フレキソ印刷版を刷版時に、コンピュータ上での公知のデジタル画像処理によって任意形状の画像を生成することで容易に対応できる。
【0033】
例えば、パターンとしては、パターン金属層2の非形成部分(=レジスト非印刷部分であり該パターン金属層に対して開口部となる部分)の形状が、正方形〔例えば図5(A)参照、図面では白い部分〕、長方形〔例えば図5(B)参照〕、三角形〔例えば図5(C)〕、六角形〔例えば図5(D)参照〕、八角形、その他の多角形、或いはこれら多角形で角に丸みのある形状〔例えば図5(E)参照〕、或いは、円形〔例えば図5(F)参照〕、楕円形、或いは、これら形状の組合わせ(例えば、八角形と四角形)等である。また、これらの形状の並び方は、正方格子〔例えば図5(A)、(E)、(F)参照〕の格子配列の他、並び方を調整して千鳥調〔例えば図5(B)〜(C)参照〕とすることも可能である。なお、もちろんだか、パターン金属層の形成部分は、分断せず連続した形状とするのが、電磁波遮蔽性能の点で好ましい。
【0034】
なお、光透過性と電磁波遮蔽性能を高度に両立させる為には、印刷パターン、すなわちパターン金属層のパターンは、なるべく細い細線で形成し、且つ非印刷(形成)部分をなるべく広くするのが好ましい。この為には、該細線の線幅は、用途にもよるが200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更により好ましくは40μm以下とするのが良い。なお、線幅の下限は、フレキソ印刷時の線の欠け発生等の点で少なくとも10μm以上とするのが良い。
【0035】
以上の様にすることで、光透過性と電磁波遮蔽性能を両立できる開口率(パターン金属層非形成部分である開口部が全面積に閉める面積割合)が得られる。なお、開口率は、電磁波遮蔽性能、光透過率等の要求性能に応じて決めれば良い。開口率60%未満では光透過性が十分に得られないが、高い電磁波遮蔽性能が得られる。逆に開口率90%超過では、高い光透過性が得られるが、印刷条件やエッチング条件は高い精度での制御が必要になる。
【0036】
〔その他の構成層〕
本発明による光透過性電磁波遮蔽シートは、更に必要に応じ適宜、他の構成層を追加的に設けて良い。例えば、表面保護層、ハードコート層、粘着剤層、熱線カット層等である。
例えば、図3に例示の光透過性電磁波遮蔽シート10は、透明基材1のパターン金属層2側の面の全面に、透明樹脂等からなる表面保護層5を設けた形態例である。
また、図4に例示の光透過性電磁波遮蔽シート10は、透明基材1のパターン金属層2側の面の全面に、粘着剤層6及び離型紙7をこの順に積層した構成である。
【0037】
上記表面保護層5は、パターン金属層2を傷や表面酸化等から保護する為の透明な層であり、透明樹脂からなる樹脂組成物を塗布等して形成すれば良い。表面保護層の形成は、スプレーコート、ロールコート、グラビアコート等の塗工法、或いは、スクリーン印刷等の印刷法で形成すれば良い。なお、透明樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等を使用できるが、レジストによる樹脂層4、パターン金属層2、及び接着剤層3の各層に対する接着性、及び皮膜強度を有する樹脂を選定すれば良い。なお、接着性向上の為に、上記樹脂組成物中には、シランカップリング剤等の公知のカップリング剤を添加しても良い。
【0038】
表面保護層5は、ハードコート層としても良い。ハードコート層とするには、透明樹脂に、例えば、ウレタン樹脂、或いはアクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂等の硬質塗膜が得られる硬化性樹脂を使用し、更に必要に応じシリカ、アルミナ等の硬質無機粉末を添加すれば良い。また、この様な硬質塗膜は、透明基材に対しても設けても良い。つまり、透明基材の導電性金属箔を積層しない側の面に対して、表面保護層(ハードコート層)を設けた構成である。また、ハードコート層により、施行時及び(窓等の)清掃時のクリーニング適性(表面硬度)も光透過性電磁波遮蔽シートに付与できる。
【0039】
また、図4に例示の如く、粘着剤層6を設けることにより、光透過性電磁波遮蔽シートを、該粘着剤層によって窓等に容易に貼り付けることができる。粘着剤層6は、図3に例示とは逆に透明基材の面に対して設けても良い。なお、粘着剤層も表面保護層同様に光透過性の点で透明層とする。
なお、粘着剤層に用いる粘着剤としては、アクリル樹脂系、ゴム系、シリコーン系等の公知の粘着剤を用途に応じて適宜使用すれば良い。なかでも、アクリル樹脂系は、透明性、耐候性等の点で優れている。
【0040】
また、粘着剤層を設ける場合は、施行時まで粘着剤層を保護する為に、離型紙7を粘着剤層上に積層した構成とするのが好ましい。離型紙としては、紙ベース以外に、樹脂ベース或いは紙と樹脂の複合ベースでも良く、公知のものを適宜選択使用すれば良い。なお、離型紙の場合は透明性は不要である。
【0041】
なお、熱線カット層は、公知の赤外線吸収剤を表面保護層や粘着剤層の樹脂中に添加してこれら層を兼用させたり、或いは、透明樹脂シート中に添加して熱線カットシートとして、このシートをラミネートすれば良い。熱線カットシートの場合、それを透明基材乃至は透明基材の一部としても良い。なお、透明樹脂シートの樹脂としては、前述透明基材で述べた樹脂等が使用される。
【0042】
【実施例】
次に実施例及び比較例により本発明を更に説明する。
【0043】
〔実施例1〕
図1で例示した如き製造方法で、図1(C)の断面図で示す如き光透過性電磁波遮蔽シート10を作製した。
【0044】
先ず、透明基材1として厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシートに、導電性金属箔2Aとして厚み12μmの銅箔を、ドライラミネート用のウレタン系接着剤を用いて貼り合わせて、図1(A)の如き、透明基材1に導電性金属箔2Aが接着剤層3を介して積層した構成の積層シートを用意した。なお、貼り合わせた導電性金属箔2Aは、その接着剤層3に接しない側の印刷面faの表面粗さが算術平均粗さRaで1.5μmであった。また、接着剤層3と接する側は粗面化処理面となっているものを使用した。
【0045】
次に、導電性金属箔2Aの印刷面fa上に、フレキソ印刷により無溶剤タイプで黒色の紫外線硬化型インキを、開口形状が正方形となる、線幅30μm、開口幅300μmの正方格子配列パターン〔図5(A)参照〕を、厚み1μmに印刷し、紫外線を照射してインキを硬化させ、エッチングレジストとなる樹脂層4を形成した〔図1(B)参照〕。
フレキソ印刷は良好に実施でき、ムラ、スジ等の印刷不良は発生しなかった。
【0046】
次いで、塩化第二鉄溶液により、導電性金属箔をエッチングし、印刷(樹脂層)部分を残して、非印刷部分の導電性金属箔を除去して、パターン状のパターン金属層2として、図1(C)の如き所望の光透過性電磁波遮蔽シート10を得た。
【0047】
得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて40dBであった。また、開口率は83%、(可視光領域領域における)光線透過率は70%であつた。
なお、結果は、他の試験例と共に表1に纏めて示す。
【0048】
〔実施例2〕
実施例1に於いて、導電性金属箔の印刷面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを2.5μmに変更した他は、実施例1と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、フレキソ印刷は良好に実施でき、ムラ、スジ等の印刷不良は発生しなかった。また、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて40dBであった。また、開口率は83%、光線透過率は72%であつた。
【0049】
〔実施例3〕
実施例1に於いて、フレキソ印刷の印刷パターンを、開口形状が直径80μmの円形で、孔ピッチ160μmで正方格子配列した丸孔抜きパターン〔図5(E)〕に変更した他は、実施例1と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、フレキソ印刷は良好に実施でき、ムラ、スジ等の印刷不良は発生しなかった。また、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて70dBであった。また、開口率は20%、光線透過率は30%であつた。
【0050】
〔比較例1〕
実施例1に於いて、導電性金属箔の印刷面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを0.4μmに変更した他は、実施例1と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、印刷時にフレキソ印刷版上の余分なインキが時間とともに蓄積し印刷ムラが発生した。なお、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて43dBであった。また、開口率は83%、光線透過率は65%であつた。
【0051】
〔比較例2〕
実施例3に於いて、導電性金属箔の印刷面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを0.4μmに変更した他は、実施例3と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、印刷時にフレキソ印刷版上の余分なインキが時間とともに蓄積し印刷ムラが発生した。なお、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて68dBであった。また、開口率は20%、光線透過率は33%であつた。
【0052】
〔比較例3〕
実施例1に於いて、導電性金属箔の印刷面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを4.5μmに変更した他は、実施例1と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、フレキソ印刷時に印刷面の表面粗さが大きいため、インキが転移しない部分が発生し、微小なインキ抜けが発生した。また、格子状のパターンの細線部分にも欠けが生じた。なお、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて36dBであった。また、開口率は83%、光線透過率は75%であつた。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
(1)本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの製造方法によれば、大面積で連続帯状物として生産性良く巻物形態で大量生産できる。しかも、導電性金属箔をエッチングでパターン化してパターン金属層(シールドパターン)とする為の、エッチングレジストを印刷する際に、版パターンの印刷再現性が良く、パターン金属層のパターン(特に細線)を、太りや断線無く高精度で印刷できる。従って、パターン形成に印刷方式を利用した印刷品であっても、美観やシールド性能の点で高品質のものが得られる。また、パターン金属層の面の金属光沢感も低下し、それによる外観低下も無い。
【0055】
(2)本発明の光透過性電磁波遮蔽シートによれば、上記製造方法で容易に得られる構成の光透過性電磁波遮蔽シートとなり、上記製造方法で述べた効果を享受できる。そして、光透過性電磁波遮蔽シートとして、パターン金属層(シールドパターン)に印刷抜けやムラ等による細線(パターン)の太りや断線が無く、美観やシールド性能の点で高品質のものとなる。また、パターン金属層表面の金属光沢感も低下し、それによる外観低下も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの製造方法を概念的に示す説明図。
【図2】導電性金属箔(銅箔)の一例を示す断面図。
【図3】本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの或る一形態を例示する断面図。
【図4】本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの別の一形態を例示する断面図。
【図5】パターン金属層のパターンの幾つかを例示する平面図。
【符号の説明】
1 透明基材
2A 導電性金属箔
2 パターン金属層
3 接着剤層
4 樹脂層(レジスト)
5 表面保護層
6 粘着剤層
7 離型紙
10 光透過性電磁波遮蔽シート
21 銅母材
22 粗面化処理層
fa 印刷面
fb 粗面化処理面
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド(遮蔽)が必要な公共施設、ホール、病院、学校、企業ビル、研究所、精密部品製造工場、電磁波シールドルーム等の窓や、電磁波を発生する電気製品の文字・画像表示部分等に利用する、透視可能な電磁波遮蔽性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁波遮蔽性と共に光透過性も有する光透過性電磁波遮蔽シートとしては、例えば次の様なものが挙げられる。
【0003】
(1)樹脂シート等の透明基材に、金等の高導電性金属を真空蒸着等で成膜して全面に透明な導電性薄膜を設けた真空成膜品。
(2)透明基材に導電性インキをパターン状にスクリーン印刷した導電性層を設けた印刷品。
(3)透明基材に箔の積層やめっき等で全面に銅等による不透明な金属層を設けた後、パターン形成にフォトリソグラフィ法を利用したエッチングにて、該金属層をパターン状のパターン金属層としたエッチング品(特許文献1等参照)。
(4)繊維に金属めっきした導電性繊維メッシュを、透明基材にラミネートしたラミネート品。
(5)更に上記(3)にて、金属層の表面の粗さ(Ra)を0.1〜1.0μmとして、パターン金属層からの光反射を少なくして該層を目立ち難くした光反射低減品(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−41682号公報
【特許文献2】
特開2000−286594号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)〜(5)の如き、従来の光透過性電磁波遮蔽シートでは、次の様な欠点があった。
すなわち、上記(1)の導電性薄膜の真空成膜品は、GHz帯のシールド性能が十分に得られない。
また、上記(2)のスクリーン印刷を利用した印刷品は、微細な細線状(例えば50μm以下、特に40μm以下)の印刷パターンを形成できる導電性インキが実用上制限されてしまう。従って、光透過性を上げられない。また、スクリーン印刷は通常、枚葉印刷の為に連続パターンの印刷はできず、建築物の窓用途等に対して連続帯状物として大量生産するのには適さない。
また、上記(3)のフォトリソグラフィ法を利用したエッチング品は、細線形成の点では優れているが、フォトリソグラフィ工程が生産性に劣る上、フォトマスクのサイズに制約があり、大面積には適さない。
【0006】
また、上記(4)の導電性繊維メッシュのラミネート品は、繊維のめっき層が密着性に欠け、ラミネート加工時にめっき層が剥離したり、寒熱耐久性試験で剥離が発生したりする場合もある。また、縦・横の繊維がずれて視覚的に濃淡ができ易く、従って、ラミネート加工が難しい。また、高品質を維持する為に連続帯状の巻物として製造が極めて困難であり、歩留まりを向上することに限界もある。
また、上記(5)の金属層の表面粗さRaを規定した光反射低減品は、上記(3)と同様にフォトリソグラフィ法を利用したエッチング品であり、従って、生産性に劣る上、フォトマスクサイズに制約があり大面積には適さない。また、光反射が低減されているとは言え、金属層表面は金属光沢感があり、建築物の窓等に用いる場合にそれが外観を損ねるという問題もある。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、光透過性電磁波遮蔽シートについて、窓等にも適用できる様にする為に、高精度で高品質なシールドパターンを大面積で連続帯状物として製造できる様にすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで上記課題を解決すべく、本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの製造方法では、透明基材と導電性金属箔とを接着剤を介して積層一体化した後、前記導電性金属箔の透明基材から遠い方の面(印刷面)にフレキソ印刷によりレジストパターンを設けて、該導電性金属箔をエッチングしてパターン状のパターン金属層とすることで、光透過性電磁波遮蔽シートを製造する製造方法であって、導電性金属箔の印刷面の表面粗さがJIS B0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmである様にした。
【0009】
この様な製造方法とすることで、印刷方式がフレキソ印刷である為に大面積で連続帯状物として生産性良く巻物形態で大量生産できる。しかも印刷面の表面粗さをRaが1.0〜3.0μmとしてあるので、フレキソ版上に余分なインキが蓄積するのを防止でき、その結果、印刷抜けやムラが無くなり、版パターンの印刷再現性が向上し、パターン金属層のパターン(特に細線)を、太りや断線無く高精度で印刷できる。従って、印刷方式による印刷品であっても、美観やシールド性能の点で高品質のものが得られる。また、上記表面粗さの規定により、パターン金属層表面の金属光沢感も低下し、それによる外観低下も無い。
【0010】
また、本発明の光透過性電磁波遮蔽シートは、透明基材上に接着剤を介して、導電性金属箔によるパターン状のパターン金属層が接着積層され、更に該パターン金属層上に樹脂層が積層されてなる光透過性電磁波遮蔽シートにおいて、パターン金属層の樹脂側の面の表面粗さが、JIS B0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmである構成とした。
【0011】
この様な構成とすることで、上記製造方法で容易に得られる光透過性電磁波遮蔽シートとなり、上記製造方法で述べた効果を享受できる。そして、光透過性電磁波遮蔽シートとして、パターン金属層(シールドパターン)に印刷抜けやムラ等による細線(パターン)の太りや断線が無く、美観やシールド性能の点で高品質のものとなる。また、上記表面粗さの規定により、パターン金属層表面の金属光沢感も低下し、それによる外観低下も無い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、実施の形態を説明する。
【0013】
〔概要〕
図1は、本発明の光透過性電磁波遮蔽シート10とその製造方法を、概念的に示す説明図である。先ず、本発明では、図1(A)の如く、透明基材1と導電性金属箔2Aとを接着剤(層)3を介して積層したものを用意する。また、導電性金属箔2Aの透明基材1から遠い方の面、つまり印刷面faは表面粗さを算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとしておく。そして、図1(B)の如くレジストをフレキソ印刷によって導電性金属箔2Aの印刷面fa上に所望のパターン状に形成して樹脂層4を形成した後、エッチングすれば、パターン(特に細線)の太りや断線の無いパターン金属層2を形成でき、その結果、図1(C)の如き光透過性電磁波遮蔽シート10が得られる。これにより、光透過性電磁波遮蔽シートは、高精度で高品質な製品を、連続帯状で巻物として、大量生産することが可能となるというものである。
【0014】
以下、更に、各層毎に順を追って本発明を詳述する。
【0015】
〔透明基材〕
透明基材1の素材としては、透明性のある熱可塑性樹脂、或いは熱硬化性樹脂等の樹脂材料を用いることができる。但し、巻物形態での製造及び施行時に望まれる可撓性の点では、熱硬化性樹脂よりは熱可塑性樹脂の方が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、或いは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、或いは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂等である。こられらの中でも、透明性、耐熱性、耐薬品性、コスト等の点より、ポリエチレンテレフタレートは最も好ましい樹脂である。
【0016】
透明基材は、これら樹脂の単体又は2種以上の混合物からなる、単層シート或いは2層以上の積層シートを用いることができる。
透明基材の厚みは用途に応じたものとすれば良く特に制限はないが、通常、25〜300μm、好ましくは50〜150μmである。厚みが50μm未満ではコシ(腰)が無く、施行時の作業性が低下する。なお、ポリエチレンテレフタレート等で50μm未満のシートを用いる場合は、他のシート(例えば、熱線カット機能付きポリエチレンテレフタレートシート、ハードコートポリエチレンテレフタレートシート)と積層して厚みを厚くした積層シートとして用いても良い。一方、厚みが150μm超過でも、高透明性ポリエチレンテレフタレートシート等であれば、透明性は維持できるが、コスト高となる。
【0017】
また、透明基材には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン吹付処理、プラズマ処理、易接着プライマー塗工処理等の公知の易接着処理を施しても良い。例えば、ポリエチレンテレフタレートシート等では、市販の易接着処理品を用いれば、更なる易接着処理を省略する事もできる。
【0018】
〔導電性金属箔〕
導電性金属箔2Aはパターン状のパターン金属層2となるものであり、この導電性金属箔の材料としては、導電性でエッチング可能であれば特に制限は無いが、銅、アルミニウム等が入手容易性等の点で好ましい。なかでも、銅は、導電性、及び、微細なエッチング適性に優れているので、高価ではあるが、最も好ましい。
【0019】
導電性金属箔の印刷面faとする面の表面粗さは、JIS B0601(1994年)による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとするのが、良好なるフレキソ印刷適性が得られる点で好ましい。印刷面の表面平滑性がフレキソ印刷の印刷品質に影響するからである。算術平均粗さRaが1.0μm未満では、連続印刷時に、フレキソ版上に余分なインキが蓄積して行き、印刷時間が長くなるとともに、版パターンの再現性が低下する。一方、算術平均粗さRaが3.0μm超過では、印刷面の表面凹凸が大きくなりすぎて、印刷面にインキが転移しない部分が生じる印刷抜けが発生し易くなる。特に、微細なパターンを形成する場合のフレキソ印刷では、印刷圧力が低く設定されるために、従来のフレキソ印刷で一般的な食品包材やダンボール印刷と比較すると、印刷抜け発生が目立ち易い。またこの現象は、特に、レジストをフレキソインキとして高粘度で印刷する場合に顕著である。なお、食品包装やダンボール印刷等の従来一般的なフレキソ印刷では、粘度が0.1〜1Pa・s(100〜1000cP)程度であるが、今回の様に高精度で細かいパターンを形成するには、例えば、0.3Pa・s(300cP)以上の粘度が望ましい。
【0020】
なお、従来技術で挙げた特許文献2が良いとする表面粗さRa0.1〜0.4μmでは、光反射は確かに低下するが、フレキソ印刷適性が得られないばかりか、金属光沢感がありギラギラして視認性が著しく低下し、外観意匠も損なうという視覚上の難点もある。これに対して、本発明の如く算術平均粗さRa1.0〜3.0μmとすると、金属光沢感も減り、それによる外観低下も防ぐことができる。また、特許文献2では、レジストの積層はフォトリソグラフィ法を利用する関係で全面塗布であり、本発明の如く、レジストを印刷で最初からパターン形成する際の形成(印刷)面と印刷適性との関係については想定外で検討されていない。
【0021】
ところで、導電性金属箔の印刷面faの表面粗さを、算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmとするには、導電性金属箔を接着剤を介して透明基材と積層した後の積層物に対して、所定の表面を粗面化しても良いが、透明基材と積層前の導電性金属箔について、所定の表面粗さのものを用いれば良い。
導電性金属箔として、その印刷面faとする面を上記所定の表面粗さとするには、化学的研磨、機械的研磨等の公知の表面粗面化手法を適宜採用すれば良い。例えば、銅等の場合では、その導電性金属箔を製造時に所定の表面粗さとしても良い。具体的には、銅箔を電解鋳造する際の膜成長速さ、銅溶液濃度、温度等を調整する事により表面粗さを制御することができる。また、銅を析出させる際に、陰極ドラムの表面凹凸形状の調整により制御することもできる。銅箔製造後の表面粗面化加工でも表面粗さの調整はできるが、コスト的に好ましくなく、箔製造時の方がコスト的に有利である。
【0022】
以上の如く、本発明では、印刷面の表面を僅かにしかも適度に粗すことにより表面積が増えて、瞬間的に版が接する印刷に於いて、インキの転移性が向上するのである。その結果として、印刷の経過時間とともにフレキソ版上に転移残りによる余分なインキが蓄積することなく、インキの適性な転移状態を継続的に維持することが可能となるのである。
【0023】
なお、導電性金属箔の透明基材側とする面は、該透明基材と間に接着剤を介して積層することから、接着強化処理を施してあるのが望ましい。接着強化処理としては、公知の処理、具体的には粗面化処理(粗化処理)で良い。
例えば、図2は、導電性金属箔2Aとして銅箔の一例を示す断面図であり、導電性金属箔2Aは、銅母材21が所定粗さRaの印刷面faを有し、該銅母材21の他方の面は、透明基材と積層させる際の接着強化の為に、粗面化処理面fbを有する粗面化処理層22となっている構成である。
【0024】
導電性金属箔の厚みは、パターン形成する線幅等に応じて適宜なものとすれば良く、通常5〜50μm程度で良いが、細線(例えば50μm以下、特に40μm以下)パターンに対してはより好ましくは9〜18μm程度のものが良い。厚みが厚い程、細かい形状を高精度でパターン形成し難くなり、逆に厚みが薄すぎると導電性金属箔としての取り扱い性、導電性が低下する。
【0025】
〔透明基材と導電性金属箔の接着剤による積層〕
透明基材1と導電性金属箔2Aを積層し一体化する為には、それらを接着剤(層)3で接着・積層する。その際の積層法としては特に限定は無いが、ドライラミネーション法が代表的である。
この様な接着剤としては、用途に応じたものを適宜使用すれば良く、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化型接着剤が挙げられる。なかでも、主剤にポリエステルポリオールを用い、硬化剤にイソシアネート系硬化剤を用いたウレタン樹脂系接着剤は、コスト、塗工適性、硬化後の透明性、比較的低温での硬化性、及び取り扱い性に優れている点で好ましい接着剤の一つである。なお、接着剤は、ロールコート、スプレーコート等の塗工法、或いは、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷法で施せば良い。
【0026】
なお、透明基材、導電性金属箔の接着剤と接する面には、必要に応じ適宜、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等の公知のカップリング剤による接着強化処理を行っても良い。
【0027】
〔樹脂層(レジスト)のフレキソ印刷〕
樹脂層4は、導電性金属箔2Aを所望のパターン状の金属層2とする為のエッチングレジストによるものであり、フレキソ印刷により導電性金属箔の印刷面に対して形成される。微細なパターンはスクリーン印刷でも形成可能ではあるが、線幅50μm以下、特に40μm以下の微細なパターンを、広幅(1m幅以上)で、しかも連続帯状物に対して連続印刷するには、スクリーン印刷は不適当である。
【0028】
なお、フレキソ印刷によるインキの厚みは、微細パターンを形成する為には、2μm以下が好ましい。耐エッチング液性に優れる電離放射線硬化型インキ等を使用することにより、0.5μm程度の厚みでもエッチング可能である。
なお、フレキソ印刷用のアニロックスロールとしては、セルの彫刻方式として機械彫刻式、レーザ(例えばYAGレーザ等)彫刻式等があるが、印刷の厚みを極力薄くするために、セルは微細なものが好ましい。
【0029】
エッチングレジストとするフレキソインキとしては、紫外線等で硬化し無溶剤型の電離放射線硬化型インキを使用することができる。該フレキソインキとしては、水性インキも使用することはできるが、乾燥後、水で溶解してしまうインキでは、その後のエッチングでレジストとして機能できず不適当である。なお、導電性金属箔のエッチングは、公知のエッチング液、例えば金属が銅の場合では、一般的な塩化第二鉄溶液、塩化銅溶液等となる。
【0030】
なお、電離放射線硬化型インキに用いる電離放射線硬化性樹脂としては、公知の各種モノマー、オリゴマー、プレポリマー等を、粘度、密着性、顔料分散性等を考慮して、適宜選択・配合した樹脂組成物を使用することができる。また、粘度を高めとする場合は、オリゴマー、プレポリマーを主体としたインキ配合とすれば良い。また、この様な電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系等のアクリレート系樹脂(組成物)等がある。
なお、電離放射線とは、紫外線、電子線等であり、紫外線硬化型インキは紫外線照射で、電子線硬化型インキは電子線照射で、インキを硬化させる。
【0031】
なお、導電性金属箔2上にレジストとして印刷形成した樹脂層4は、エッチング後は剥離せずそのままパターン金属層2上の樹脂層4として最後まで残して良い。そこで、この点を利用して、インキをカーボン顔料等で黒等の暗色に着色しておくことで、パターン金属層2の表面が金属光沢によりぎらついて外観を損なう場合に、暗色とした樹脂層4でパターン金属層2を覆い外観低下を防いでも良い。
【0032】
インキの印刷パターンは、パターン金属層2の平面視パターンとなるが、用途に応じた任意形状のパターンで良く、フレキソ印刷版を刷版時に、コンピュータ上での公知のデジタル画像処理によって任意形状の画像を生成することで容易に対応できる。
【0033】
例えば、パターンとしては、パターン金属層2の非形成部分(=レジスト非印刷部分であり該パターン金属層に対して開口部となる部分)の形状が、正方形〔例えば図5(A)参照、図面では白い部分〕、長方形〔例えば図5(B)参照〕、三角形〔例えば図5(C)〕、六角形〔例えば図5(D)参照〕、八角形、その他の多角形、或いはこれら多角形で角に丸みのある形状〔例えば図5(E)参照〕、或いは、円形〔例えば図5(F)参照〕、楕円形、或いは、これら形状の組合わせ(例えば、八角形と四角形)等である。また、これらの形状の並び方は、正方格子〔例えば図5(A)、(E)、(F)参照〕の格子配列の他、並び方を調整して千鳥調〔例えば図5(B)〜(C)参照〕とすることも可能である。なお、もちろんだか、パターン金属層の形成部分は、分断せず連続した形状とするのが、電磁波遮蔽性能の点で好ましい。
【0034】
なお、光透過性と電磁波遮蔽性能を高度に両立させる為には、印刷パターン、すなわちパターン金属層のパターンは、なるべく細い細線で形成し、且つ非印刷(形成)部分をなるべく広くするのが好ましい。この為には、該細線の線幅は、用途にもよるが200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更により好ましくは40μm以下とするのが良い。なお、線幅の下限は、フレキソ印刷時の線の欠け発生等の点で少なくとも10μm以上とするのが良い。
【0035】
以上の様にすることで、光透過性と電磁波遮蔽性能を両立できる開口率(パターン金属層非形成部分である開口部が全面積に閉める面積割合)が得られる。なお、開口率は、電磁波遮蔽性能、光透過率等の要求性能に応じて決めれば良い。開口率60%未満では光透過性が十分に得られないが、高い電磁波遮蔽性能が得られる。逆に開口率90%超過では、高い光透過性が得られるが、印刷条件やエッチング条件は高い精度での制御が必要になる。
【0036】
〔その他の構成層〕
本発明による光透過性電磁波遮蔽シートは、更に必要に応じ適宜、他の構成層を追加的に設けて良い。例えば、表面保護層、ハードコート層、粘着剤層、熱線カット層等である。
例えば、図3に例示の光透過性電磁波遮蔽シート10は、透明基材1のパターン金属層2側の面の全面に、透明樹脂等からなる表面保護層5を設けた形態例である。
また、図4に例示の光透過性電磁波遮蔽シート10は、透明基材1のパターン金属層2側の面の全面に、粘着剤層6及び離型紙7をこの順に積層した構成である。
【0037】
上記表面保護層5は、パターン金属層2を傷や表面酸化等から保護する為の透明な層であり、透明樹脂からなる樹脂組成物を塗布等して形成すれば良い。表面保護層の形成は、スプレーコート、ロールコート、グラビアコート等の塗工法、或いは、スクリーン印刷等の印刷法で形成すれば良い。なお、透明樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等を使用できるが、レジストによる樹脂層4、パターン金属層2、及び接着剤層3の各層に対する接着性、及び皮膜強度を有する樹脂を選定すれば良い。なお、接着性向上の為に、上記樹脂組成物中には、シランカップリング剤等の公知のカップリング剤を添加しても良い。
【0038】
表面保護層5は、ハードコート層としても良い。ハードコート層とするには、透明樹脂に、例えば、ウレタン樹脂、或いはアクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂等の硬質塗膜が得られる硬化性樹脂を使用し、更に必要に応じシリカ、アルミナ等の硬質無機粉末を添加すれば良い。また、この様な硬質塗膜は、透明基材に対しても設けても良い。つまり、透明基材の導電性金属箔を積層しない側の面に対して、表面保護層(ハードコート層)を設けた構成である。また、ハードコート層により、施行時及び(窓等の)清掃時のクリーニング適性(表面硬度)も光透過性電磁波遮蔽シートに付与できる。
【0039】
また、図4に例示の如く、粘着剤層6を設けることにより、光透過性電磁波遮蔽シートを、該粘着剤層によって窓等に容易に貼り付けることができる。粘着剤層6は、図3に例示とは逆に透明基材の面に対して設けても良い。なお、粘着剤層も表面保護層同様に光透過性の点で透明層とする。
なお、粘着剤層に用いる粘着剤としては、アクリル樹脂系、ゴム系、シリコーン系等の公知の粘着剤を用途に応じて適宜使用すれば良い。なかでも、アクリル樹脂系は、透明性、耐候性等の点で優れている。
【0040】
また、粘着剤層を設ける場合は、施行時まで粘着剤層を保護する為に、離型紙7を粘着剤層上に積層した構成とするのが好ましい。離型紙としては、紙ベース以外に、樹脂ベース或いは紙と樹脂の複合ベースでも良く、公知のものを適宜選択使用すれば良い。なお、離型紙の場合は透明性は不要である。
【0041】
なお、熱線カット層は、公知の赤外線吸収剤を表面保護層や粘着剤層の樹脂中に添加してこれら層を兼用させたり、或いは、透明樹脂シート中に添加して熱線カットシートとして、このシートをラミネートすれば良い。熱線カットシートの場合、それを透明基材乃至は透明基材の一部としても良い。なお、透明樹脂シートの樹脂としては、前述透明基材で述べた樹脂等が使用される。
【0042】
【実施例】
次に実施例及び比較例により本発明を更に説明する。
【0043】
〔実施例1〕
図1で例示した如き製造方法で、図1(C)の断面図で示す如き光透過性電磁波遮蔽シート10を作製した。
【0044】
先ず、透明基材1として厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシートに、導電性金属箔2Aとして厚み12μmの銅箔を、ドライラミネート用のウレタン系接着剤を用いて貼り合わせて、図1(A)の如き、透明基材1に導電性金属箔2Aが接着剤層3を介して積層した構成の積層シートを用意した。なお、貼り合わせた導電性金属箔2Aは、その接着剤層3に接しない側の印刷面faの表面粗さが算術平均粗さRaで1.5μmであった。また、接着剤層3と接する側は粗面化処理面となっているものを使用した。
【0045】
次に、導電性金属箔2Aの印刷面fa上に、フレキソ印刷により無溶剤タイプで黒色の紫外線硬化型インキを、開口形状が正方形となる、線幅30μm、開口幅300μmの正方格子配列パターン〔図5(A)参照〕を、厚み1μmに印刷し、紫外線を照射してインキを硬化させ、エッチングレジストとなる樹脂層4を形成した〔図1(B)参照〕。
フレキソ印刷は良好に実施でき、ムラ、スジ等の印刷不良は発生しなかった。
【0046】
次いで、塩化第二鉄溶液により、導電性金属箔をエッチングし、印刷(樹脂層)部分を残して、非印刷部分の導電性金属箔を除去して、パターン状のパターン金属層2として、図1(C)の如き所望の光透過性電磁波遮蔽シート10を得た。
【0047】
得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて40dBであった。また、開口率は83%、(可視光領域領域における)光線透過率は70%であつた。
なお、結果は、他の試験例と共に表1に纏めて示す。
【0048】
〔実施例2〕
実施例1に於いて、導電性金属箔の印刷面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを2.5μmに変更した他は、実施例1と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、フレキソ印刷は良好に実施でき、ムラ、スジ等の印刷不良は発生しなかった。また、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて40dBであった。また、開口率は83%、光線透過率は72%であつた。
【0049】
〔実施例3〕
実施例1に於いて、フレキソ印刷の印刷パターンを、開口形状が直径80μmの円形で、孔ピッチ160μmで正方格子配列した丸孔抜きパターン〔図5(E)〕に変更した他は、実施例1と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、フレキソ印刷は良好に実施でき、ムラ、スジ等の印刷不良は発生しなかった。また、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて70dBであった。また、開口率は20%、光線透過率は30%であつた。
【0050】
〔比較例1〕
実施例1に於いて、導電性金属箔の印刷面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを0.4μmに変更した他は、実施例1と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、印刷時にフレキソ印刷版上の余分なインキが時間とともに蓄積し印刷ムラが発生した。なお、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて43dBであった。また、開口率は83%、光線透過率は65%であつた。
【0051】
〔比較例2〕
実施例3に於いて、導電性金属箔の印刷面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを0.4μmに変更した他は、実施例3と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、印刷時にフレキソ印刷版上の余分なインキが時間とともに蓄積し印刷ムラが発生した。なお、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて68dBであった。また、開口率は20%、光線透過率は33%であつた。
【0052】
〔比較例3〕
実施例1に於いて、導電性金属箔の印刷面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを4.5μmに変更した他は、実施例1と同様にして光透過性電磁波遮蔽シートを作製した。その際、フレキソ印刷時に印刷面の表面粗さが大きいため、インキが転移しない部分が発生し、微小なインキ抜けが発生した。また、格子状のパターンの細線部分にも欠けが生じた。なお、得られた光透過性電磁波遮蔽シートの電磁波遮蔽性能は、1GHzにおいて36dBであった。また、開口率は83%、光線透過率は75%であつた。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
(1)本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの製造方法によれば、大面積で連続帯状物として生産性良く巻物形態で大量生産できる。しかも、導電性金属箔をエッチングでパターン化してパターン金属層(シールドパターン)とする為の、エッチングレジストを印刷する際に、版パターンの印刷再現性が良く、パターン金属層のパターン(特に細線)を、太りや断線無く高精度で印刷できる。従って、パターン形成に印刷方式を利用した印刷品であっても、美観やシールド性能の点で高品質のものが得られる。また、パターン金属層の面の金属光沢感も低下し、それによる外観低下も無い。
【0055】
(2)本発明の光透過性電磁波遮蔽シートによれば、上記製造方法で容易に得られる構成の光透過性電磁波遮蔽シートとなり、上記製造方法で述べた効果を享受できる。そして、光透過性電磁波遮蔽シートとして、パターン金属層(シールドパターン)に印刷抜けやムラ等による細線(パターン)の太りや断線が無く、美観やシールド性能の点で高品質のものとなる。また、パターン金属層表面の金属光沢感も低下し、それによる外観低下も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの製造方法を概念的に示す説明図。
【図2】導電性金属箔(銅箔)の一例を示す断面図。
【図3】本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの或る一形態を例示する断面図。
【図4】本発明の光透過性電磁波遮蔽シートの別の一形態を例示する断面図。
【図5】パターン金属層のパターンの幾つかを例示する平面図。
【符号の説明】
1 透明基材
2A 導電性金属箔
2 パターン金属層
3 接着剤層
4 樹脂層(レジスト)
5 表面保護層
6 粘着剤層
7 離型紙
10 光透過性電磁波遮蔽シート
21 銅母材
22 粗面化処理層
fa 印刷面
fb 粗面化処理面
Claims (2)
- 透明基材と導電性金属箔とを接着剤を介して積層一体化した後、前記導電性金属箔の透明基材から遠い方の面にフレキソ印刷によりレジストパターンを設けて、該導電性金属箔をエッチングしてパターン状のパターン金属層とすることで、光透過性電磁波遮蔽シートを製造する製造方法であって、
導電性金属箔の印刷面の表面粗さがJIS B0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmである、光透過性電磁波遮蔽シートの製造方法。 - 透明基材上に接着剤を介して、導電性金属箔によるパターン状のパターン金属層が接着積層され、更に該パターン金属層上に樹脂層が積層されてなる光透過性電磁波遮蔽シートにおいて、
パターン金属層の樹脂側の面の表面粗さが、JIS B0601による算術平均粗さRaで1.0〜3.0μmである、光透過性電磁波遮蔽シート。
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- 2002-09-20 JP JP2002274733A patent/JP2004111784A/ja not_active Withdrawn
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