JP2004110854A - 無線カード - Google Patents

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Abstract

【課題】本カードを通信装置に対してかざす際に、本カードを保持する手の指などで電力波用アンテナおよびデータ波用アンテナが覆われるおそれが少なく、しかも、各アンテナはほぼ同様の受信状況となり、確実な送受信が可能となる無線カードを提供する。
【解決手段】外部の通信装置から送信される第1の周波数の電力波、および、前記第1の周波数と異なる第2の周波数のデータ波をそれぞれ受信する無線カードにおいて、前記電力波を受信する電力波用アンテナを形成する第1のコイルを電波を透過する部材で形成された長方形のカード状基板の一方の面の中央部に配設するとともに、前記データ波を受信するデータ波用アンテナを形成する第2のコイルを前記基板の一方の面の中央部で前記第1のコイルと2重の輪となるように配設してなる。
【選択図】  図7

Description

 本発明は、たとえば、携帯可能な無線通信機能を有する無電池式の無線カードと無線カードリーダ・ライタ(通信装置)との間で無線による送受信を行なうことにより、無線カードリーダ・ライタから無線カードに対して電力の送信やデータの送信および受信を行なうとともに、無線カードから無線カードリーダ・ライタに対してデータの送信および受信を行なう無線通信システムに用いられる無電池式の無線カードに関する。
 最近、ほぼ名刺サイズの長方形なカード状のICカードによって構成された無線カードが開発され、この無線カードを無線カードリーダ・ライタの前にかざすことで、非接触により無線カードリーダ・ライタとの間で送受信を行なうことにより、データなどを授受する無線通信システムがある。この無線カードには、半導体メモリなどの記憶素子を含む制御手段(CPU)が搭載されており、記憶素子に適宜なデータを記憶させておくことにより、IDカード(個人識別カード)や定期券などとして用いることが可能となる。
 従来の無線カードにあっては、搭載される回路素子の動作電源となる電池を搭載するようにしたものがあるが、電池の寿命および電池交換のためのコストなどが問題となっていた。
 そこで、無線カードに電池などを搭載することなく、無線カードリーダ・ライタから送信される電波を無線カードで受信し、この受信電波を整流して動作電源用の直流電力を得る技術が提案されている。その1つの方法は、無線カードリーダ・ライタから、電力送信用の電力波をデータ信号で変調して、1つの周波数信号で電力およびデータをそれぞれ無線カードに送信するものである。他の方法は、無線カードリーダ・ライタから、電力送信用の電力波と、これとは異なる周波数でデータ送信用のデータ波との2つの周波数信号により、無線カードに対して電力およびデータをそれぞれ送信するものである。
 電力波をデータ信号で変調した1つの周波数信号を用いる方法にあっては、無線カード側でのデータ信号の復調が比較的に簡単である。しかるに、同一周波数を用いた複数の無線通信システムが近接して設けられた場合、たとえば、無線カードを定期券として、その改札を行なう複数の改札装置が並設された場合などにあっては、近接した他の改札装置からの電力波の影響を受け易く、遮蔽などの対応策が必要となるという不具合があった。
 また、電力波とデータ波を異なる周波数で送信する方法にあっては、データ波に比較して電力波が極めて大きな電力(たとえば10の7乗倍の電力)であり、無線カード側でデータ波を受信するアンテナでは、大きな電力の電力波に微弱な電力のデータ波が重畳された信号を受信することとなる。
 ところが、電力波からデータ波を抽出する実用的技術が確立していない現状にある。データ波を抽出するために、コイル素子を用いたものが容易に考えられるが、コイル素子は形状寸法が大きく、無線カードに搭載する素子として適していない。
 また、無線カードに搭載する回路を1チップIC(集積回路)化するにも、コイル素子は適していない。さらに、従来は、無線カードから無線カードリーダ・ライタへの応答波としては、電力波の第1の周波数を逓倍した高周波を用いるのが一般的であり、逓倍回路による不要輻射への対策を必要としていた。
 また、無線カードリーダ・ライタから、電力波とデータ波を異なる周波数で送信する方法にあっては、無線カードに、電力波とデータ波をそれぞれ受信するアンテナを配設するのに充分なスペースが得られないという不具合があった。
 そして、無線カードリーダ・ライタからは、データ波に比較して電力波が極めて大きな電力で送信されるが、無線カードで充分な動作電源容量を確保するには電力波を効率よく受信しなければならず、それだけで無線カードで必要となる電力波用アンテナの外径寸法が大きなものとなり、その配置が困難である。
 そこで、本発明は、本カードを通信装置に対してかざす際に、本カードを保持する手の指などで電力波用アンテナおよびデータ波用アンテナが覆われるおそれが少なく、しかも、各アンテナはほぼ同様の受信状況となり、確実な送受信が可能となる無線カードを提供することを目的とする。
 本発明の無線カードは、外部の通信装置から送信される第1の周波数の電力波、および、前記第1の周波数と異なる第2の周波数のデータ波をそれぞれ受信する無線カードであって、前記電力波を受信する電力波用アンテナを形成する第1のコイルを電波を透過する部材で形成された長方形のカード状基板の一方の面の中央部に配設するとともに、前記データ波を受信するデータ波用アンテナを形成する第2のコイルを前記基板の一方の面の中央部で前記第1のコイルと2重の輪となるように配設してなることを特徴とする。
 本発明の無線カードによれば、カードの中央部に、電力波を受信する電力波用アンテナを形成する第1のコイルと、データ波を受信するデータ波用アンテナを形成する第2のコイルとを2重の輪となるように配設することにより、通信装置にかざす際に、本カードを保持する指などで第1のコイルおよび第2のコイルが覆われる虞れが少なく、しかも、第1のコイルおよび第2のコイルはほぼ同様の受信状況となり、双方のコイルの受信状況が大幅に異なるようなことはない。
 また、本発明の無線カードによれば、第1のコイルおよび第2のコイルを偏平な長方形として、本カードの短辺で3つに区分した中央区部に配設することにより、本カードを保持する指などで第1のコイルおよび第2のコイルが覆われる虞れがない。
 また、本発明の無線カードによれば、基板の同一平面上で第1のコイルに囲まれる内側に第2のコイルを配設することにより、電力波をより効率よく受信することができ、それだけ動作電源の容量を大きなものにでき、動作を確実になし得る。
 以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 
 図1は、本実施の形態に係る無線カードが適用される無線通信システムの構成を示すである。この無線通信システムは、非接触で通信を行なう通信装置としての無線カードリーダ・ライタ10と無線カード20とから構成される。無線カードリーダ・ライタ10からは、連続した無変調の大きな電力で第1の周波数の電力波f1 、および、データ信号によりASK変調された微弱な電力で第1の周波数よりも低い第2の周波数のデータ波f2 が、それぞれ電力波用アンテナ11、データ波用アンテナ12を介して無線カード20に対して送信される。
 ここに、電力波f1 の第1の周波数は、たとえば、13.56MHzであり、データ波f2 の第2の周波数は、たとえば、第1の周波数を1/4分周した3.39MHzである。また、電力波f1 は、データ波f2 に対して、たとえば、10の7乗倍の電力で送信される。
 無線カード20は、第1のコイルL1と第1のコンデンサC1との並列回路からなる電力波用アンテナ21、電源生成用の整流回路22、分周回路23、第2のコイルL2と第2のコンデンサC2との並列回路からなるデータ波用アンテナ24、送受信切換スイッチ25、復調回路26、変調回路27、および、制御手段としてのCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)28によって構成されている。
 すなわち、無線カード20において、電力波用アンテナ21で受信された電力波f1 は、整流回路22で整流されて直流電圧となり、これが動作電源+Bとして用いられる。また、電力波用アンテナ21で受信された電力波f1 の一部は、分周回路23に送られ、ここで、たとえば、1/4分周された分周信号としての第2の周波数が生成され、変調回路27に送られる。
 変調回路27には、CPU28から無線カードリーダ・ライタ10に対する応答信号が入力され、この応答信号でASK変調された第2の周波数が図6に示すごとき応答波f3 として送受信切換スイッチ25に送られる。また、データ波用アンテナ24で受信されたデータ波を含む入力信号が送受信切換スイッチ25を介して復調回路26に送られ、データ波が適宜に抽出されるとともに、波形整形されてデータ信号として復調され、CPU28に送られる。
 なお、データ波用アンテナ24は、LC共振回路であり、その共振周波数をデータ波f2 の第2の周波数に設定することで、電力波f1 の受信がデータ波f2 の受信に比べて抑圧されるが、アンテナのQ特性が急峻でないために、データ波f2 のみを抽出するには充分とは言い難い。
 そして、送受信切換スイッチ25には、CPU28から送受信切換信号が入力されることにより、データ波用アンテナ24からの入力を復調回路26に伝達したり、あるいは、変調回路27からの変調された応答波f3 をデータ波用アンテナ24から無線カードリーダ・ライタ10に向けて送信するよう伝達すべく、適宜に切換え制御される。
 復調回路26は、たとえば、受信したデータ波を抽出する抽出回路26a、および、抽出されたデータ波信号を波形整形してデータ信号を復調出力する整形回路26bによって構成されている。
 なお、無線カード20の回路部材は、電力波用アンテナ21を形成する第1のコイルL1、および、データ波用アンテナ24を形成する第2のコイルL2を除いて、1チップIC29化されている。
 図2は、復調回路26における抽出回路26aの構成を詳細に示している。すなわち、データ波用アンテナ24からのデータ波信号は、入力端31に入力される。入力端31は、直流阻止用コンデンサC3を介して第1の増幅回路32のNPN形トランジスタT1のベースに接続される。トランジスタT1のコレクタは、コレクタ抵抗R1とコレクタコンデンサC4との並列回路を介して動作電源+Bに接続される。トランジスタT1のエミッタは、エミッタ抵抗R2とエミッタコンデンサC5の並列回路を介して接地される。トランジスタT1のコレクタとベースとがバイアス抵抗R3を介して接続されるとともに、トランジスタT1のコレクタは、直流阻止用コンデンサC6を介して第2の増幅回路33のNPN形トランジスタT2のベースに接続される。
 トランジスタT2のコレクタは、コレクタ抵抗R4とコレクタコンデンサC7との並列回路を介して動作電源+Bに接続されるとともに、トランジスタT2のエミッタは接地される。トランジスタT2のコレクタとベースとがバイアス抵抗R5を介して接続されるとともに、トランジスタT2のベースはバイアス抵抗R6を介して接地される。トランジスタT2のコレクタは、直流阻止用コンデンサC8を介して、第3の増幅回路34のNPN形トランジスタT3のベースに接続される。
 トランジスタT3のコレクタは、コレクタ抵抗R7とコレクタコンデンサC9との並列回路を介して動作電源+Bに接続されるとともに、トランジスタT3のエミッタは接地される。トランジスタT3のベースは、バイアス抵抗R8を介して動作電源+Bに接続されるとともに、バイアス抵抗R9を介して接地される。トランジスタT3のコレクタは、直流阻止用コンデンサC10を介して第4の増幅回路35のNPN形トランジスタT4のベースに接続される。
 トランジスタT4のコレクタは、コレクタ抵抗R10とコレクタコンデンサC11との並列回路を介して動作電源+Bに接続されるとともに、トランジスタT4のエミッタは接地される。トランジスタT4のコレクタとベースとがバイアス抵抗R11を介して接続されるとともに、トランジスタT4のコレクタは、抵抗R12を介して出力端36に接続される。
 このような構成の抽出回路29において、第1〜第4の増幅回路32,33,34,35は、B級またはC級として動作するようにバイアス設定がなされている。そこで、入力端31に与えられる入力信号は、大きな電力b1 の電力波f1 に微弱な電力d1 のデータ波f2 が重畳された図3(a)に示すようなものであるが、第1の増幅回路32のB級またはC級の増幅動作により、データ波f2 が高い利得で増幅され、電力波f1 はこれよりも小さい利得で増幅される。
 この結果、第1の増幅回路32の増幅出力としては、図3(b)に示すように、データ波f2 の電力がD1 まで増幅され、電力波f1 との電力の相対比率が改善される。そこで、第2,第3,第4の増幅回路33,34,35で同様に増幅することで、よりデータ波f2 の電力が増幅されて、電力波f1 との相対比率が大幅に改善され得る。
 なお、第1,第4の増幅回路32,35において、トランジスタT1,T4の各ベースをバイアス抵抗を介して接地してもよい。また、第2,第3,第4の増幅回路33,34,35において、トランジスタT2,T3,T4の各エミッタをエミッタ抵抗を介して接地し、バイアス電圧をよりC級動作となるように設定してもよい。
 さらに、抽出回路26aを構成する第1〜第4の増幅回路32,33,34,35は、いずれかの回路が省かれていてもよく、また、いずれかの回路が重複していてもよい。要は、入力される電力波f1 と、それに重畳されるデータ波f2 の電力の相対比率に応じて適宜に増幅回路の段数を設定すればよい。したがって、1段の増幅回路で抽出回路26aが構成されていてもよい。
 また、第1〜第4の増幅回路32,33,34,35の各トランジスタT1,T2,T3,T4のコレクタには、コレクタコンデンサC4,C7,C9,C11が設けられており、これらの増幅回路特性は、図4に示すように、所定周波数以上の周波数信号に対して、高い周波数ほど利得が低下する。そこで、データ波f2 の第2の周波数を、周波数に対して利得が低下する付近に設定することで、高い周波数の電力波f1 の利得を低下させて増幅を抑圧し、低い周波数のデータ波f2 を高い利得で増幅し得る。このような増幅回路特性からも、電力波f1 からデータ波f2 を抽出し得る。
 ところで、第1の増幅回路32にあっては、エミッタ抵抗R2が設けられており、トランジスタT1が導通するとエミッタ電位が上昇し、電圧負帰還が作用する。また、バイアス抵抗R3がトランジスタT1のベースとコレクタ間を接続しているので、トランジスタT1が導通するとコレクタ電位が下降し、これに伴いベース電位も下降する。よって、電流負帰還が作用する。したがって、第1の増幅回路32は、電圧と電流負帰還がともに作用し、トランジスタT1の飽和が回避される。また、第2,第4の増幅回路33,35にあっては、バイアス抵抗R5,R11により電流負帰還が作用し、トランジスタT2,T4の飽和が回避される。これにより、データ波f2 が歪んだり、飽和により検出不能となるようなことがない。
 上述のごとき、第1〜第4の増幅回路32,33,34,35の各増幅動作により、抽出回路26aは、図5(a)に示すような入力信号に対して、図5(b)に示すような信号が出力端36に出力される。すなわち、電力波f1 の電力b1 に対してデータ波f2 の電力d1 であった入力が、電力波f1 の電力B4 に対してデータ波f2 の電力D4 となり、データ波f2 の電力の相対比率が大きなものとなる。そこで、図5(b)に示すような抽出回路26aの出力を、適宜に整形回路26bで波形整形することで、容易に図5(c)に示すようなデータ信号を復調できる。
 なお、上記説明では、第1〜第4の増幅回路32,33,34,35の各増幅素子としてNPN形トランジスタT1,T2,T3,T4を用いているが、増幅素子として電界効果トランジスタを用いてもよい。電界効果トランジスタを用いることで、増幅回路自体による消費電力を抑制することができ、動作電源の容量に充分な余裕を与えることができるとともに、1チップIC化するのにも好適である。
 次に、無線カード20の構造について、図7を参照して詳細に説明する。無線カード20は、図7に示すごとく、電波を透過する部材たとえば誘電体で形成された名刺大の長方形の基板41上に組み立てられている。すなわち、基板41の表面が短辺側で3つに短冊状に区分された中央区分P2 に、第1のコイルL1および第2のコイルL2が配置される。第1,第2のコイルL1,L2はともに、偏平な長方形状に形成され、第1のコイルL1で囲まれる内側に第2のコイルL2が同一平面上で2重の輪となるようにほぼ同心上に配置される。
 また、基板41の表面で、一方の長辺側の区分P3 には、グランド箔42が設けられ、このグランド箔42上に1チップIC29が設置されている。1チップIC29および第1,第2のコイルL1,L2は、基板41の表面と裏面に設けた接続線43,43,…および基板41の表面と裏面とを電気的接続するためのスルーホール(図示せず)により適宜に接続される。
 なお、第1,第2コイルL1,L2およびグランド箔42および接続線43,43,…は、たとえば、導電箔のエッチングや導電金属の蒸着などにより形成される。
 さらに、基板41の表面および裏面には、図8(a)(b)に示すように、絶縁層44,45がそれぞれ積層形成されて、第1,第2のコイルL1,L2を含む回路部材が全て密封されている。また、グランド箔42が設けられた長辺側とは異なる他方の長辺側の区分P1 に臨んで、磁気記録層46が一方の絶縁層44または45の表面に配設される。このようにして、無線カード20は、全体として外形が名刺大の長方形のカード状に形成される。
 このような構成において、基板41および絶縁層44,45は、電磁波を透過させるため、図9に示すように、無線カード20を手30に持って、無線カード20の表面または裏面を無線カードリーダ・ライタ10に向けてかざすことで、無線カードリーダ・ライタ10からの電力波f1 を中央部の第1のコイルL1を含む電力波用アンテナ21で受信し、データ波f2 を第2のコイルL2を含むデータ波用アンテナ24で受信し、無線カード20として機能する。
 ここで、無線カード20を無線カードリーダ・ライタ10にかざす際には、無線カード20の名刺大の長方形の形状から、図9に示すように、手30で長辺側を持って保持される場合が多い。この結果、短辺側で3つに区分した中央区分P2 に配設された第1,第2のコイルL1,L2が、手30の指などで覆われる虞れが少なく、それだけ電力波f1 およびデータ波f2 を確実に受信し得る。
 また、第1のコイルL1を大きな形状としたので、それだけ電力波f1 を効率よく受信でき、無線カード20の動作電源の容量を大きなものとすることができ、無線カード20の動作が確実になされる。
 そして、第1のコイルL1および第2のコイルL2を同一平面上で2重の輪となるように、一方のコイルで囲まれる内側に他方のコイルを配設することで、隣に並べて配設した場合の一方のコイルが指などで覆われ、他方のコイルのみが電力波f1 またはデータ波f2 を受信できるようなことがなく、第1および第2のコイルL1,L21の各受信状況はほぼ同様となる。
 さらに、無線カード20の回路部材が密封されるように、絶縁層44,45が積層形成されるので、コイルの断線や回路短絡などの電気的事故が生じにくく、また、耐久性に富む。しかも、第1,第2のコイルL1,L2などをエッチングや蒸着で構成すれば、安価に大量に製造するのに好適である。
 そして、無線カード20を例えば定期券などとして用いるならば、一方の絶縁層44または45の表面に、通用期間および通用区間などが適宜に印刷され、また、磁気記録層46に上記通用期間および通用区間などのデータが適宜に記録され、さらに、同様にCPU28の記憶素子に上記通用期間および通用区間などのデータが適宜に記憶される。
 すると、駅の自動改札装置などに無線カードリーダ・ライタ10が設置されていれば、非接触にて検札行為が実行され、また、無線カードリーダ・ライタ10が設置されずに磁気読取装置などが設置されているならば、磁気記録層46に記録されたデータを用いて検札行為を実行させ、かかる自動改札装置も設置されていなければ、表面に印刷された文字データにより検札行為を行なうことができる。
 なお、上記説明では、第1のコイルL1および第2のコイルL2を偏平な長方形状として中央区分に配設したが、磁気記録層46が設けられないならば、1チップIC29が搭載される場所以外の基板41の表面全体で中央部を囲むように第1,第2のコイルL1,L2を配設してもよい。
 また、第1のコイルL1および第2のコイルL2は、基板41の短辺側で3つに均等に区分された中央区分に必ずしも設けなくてもよく、中央部に配設されればよい。さらに、第1のコイルL1および第2のコイルL2が基板41の表面と裏面にそれぞれ設けられていてもよい。
 以上説明したように、上記実施の形態の無線通信システムによれば、無線カードからの応答波に、電力波の第1の周波数を分周した低い第2の周波数を用いているので、従来の逓倍回路などを用いるものに比べて不要輻射が少なく、不要輻射防止のための部材を必要としない。しかも、データ波と応答波は、ともに電力波の第1の周波数を分周した第2の周波数を用いるので、データ波と応答波を1つのアンテナで送受信できる。したがって、特に小形化を要望される無線カードに好適である。
 また、上記実施の形態の無線通信システムによれば、電力波に重畳されたデータ波を、周波数が高いほど利得が低下する増幅回路を用いて抽出するので、高い周波数の電力波が抑圧され、低い周波数のデータ波が高い利得で増幅され、増幅回路の段数を適宜に設けることで、データ波の電力波に対する相対比率を適宜な大きさにまで改善でき、整形回路によるデータ波からデータ信号の復調が容易である。
 また、上記実施の形態の無線通信システムによれば、電力波に重畳されたデータ波を、B級またはC級で動作する増幅回路を用いて抽出するので、電力の大きい電力波が抑圧され、電力波の包絡線に重畳される微弱なデータ波が高い利得で増幅され、増幅回路の段数を適宜に設けることで、データ波の電力波に対する相対比率を適宜な大きさにまで改善でき、整形回路によるデータ波からデータ信号の復調が容易である。
 さらに、上記実施の形態の無線通信システムによれば、無線カードリーダ・ライタと無線カードとの間で送受信されるデータ波と応答波で、ともにASK変調を用いているので、信号を復調するための回路が極めて簡単なものとなる。さらに、抽出回路としての増幅回路を、コイル素子を含まずに形成するので、寸法の大きなコイル素子を必要としないだけ回路を小形化できる。しかも、IC化が容易である。
 また、上記実施の形態の無線カードによれば、カードの中央部に、電力波を受信する電力波用アンテナを形成する第1のコイル、および、データ波を受信するデータ波用アンテナを形成する第2のコイルを2重の輪となるように配設したので、無線カードリーダ・ライタにかざす際に、本カードを保持する指などで第1のコイルおよび第2のコイルが覆われる虞れが少なく、しかも、第1のコイルおよび第2のコイルはほぼ同様の受信状況となり、双方のコイルの受信状況が大幅に異なるようなことはない。さらに、電磁波を透過させる基板上に第1のコイルおよび第2のコイルが設けられているので、いずれの面を無線カードリーダ・ライにかざしても通信を行なうことができる。
 また、上記実施の形態の無線カードによれば、第1のコイルおよび第2のコイルを偏平な長方形状として、名刺大の長方形の基板の短辺側で3つに区分した中央区部に配置したので、本カードを保持する指などで第1のコイルおよび第2のコイルが覆われる虞れがない。
 また、上記実施の形態の無線カードによれば、基板の同一平面上で第1のコイルに囲まれる内側に第2のコイルを配置したので、電力波をより効率よく受信することができ、それだけ動作電源の容量を大きなものにでき、動作を確実になし得る。
 さらに、上記実施の形態の無線カードによれば、第1のコイルおよび第2のコイルを含む回路部材が絶縁層により密封されるので、コイルの断線や回路の短絡などの電気的事故が生じにくく、また、耐久性に富む。そして、CPUの記憶素子に記憶されているデータと同じ内容などを、絶縁層の表面に設けた磁気記録層に記録することで、無線通信システムの無線カードとしてのみならず、磁気読取装置との間でデータの読取りなどがなされる磁気カードとしても用いることができる。
 また、上記実施の形態の無線カードにおける復調回路の抽出回路によれば、増幅回路がB級またはC級として動作するので、電力波に重畳されるデータ波が電力波よりも高い利得で増幅され、電力波に対するデータ波の電力の相対比率が改善され、データ波を抽出し易くなる。しかも、コイル素子を回路構成要素として含んでおらず、それだけ回路を小形に構成することができるとともに、回路のIC化に好適である。したがって、無線カードに搭載される回路のように、寸法的制約があるとともに1チップIC化が望まれる回路を構成する抽出回路として最適である。
 また、上記実施の形態の抽出回路によれば、増幅回路が高い周波数ほど利得が低下する特性を有するので、高い周波数の電力波は低い利得となり、それよりも低い周波数のデータ波は高い利得となる。この結果、増幅出力は、電力波に対するデータ波の電力の相対比率が改善され、データ波を抽出し易くなる。
 さらに、上記実施の形態の抽出回路によれば、電力波に対してデータ波の電力の相対比率を大きくする増幅回路を複数段接続するので、最初の入力の電力波とデータ波の電力の相対比率に応じて段数を適宜に設定することで、容易にデータ波を抽出し得る相対比率となし得る。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図。 復調回路における抽出回路の具体的な構成例を示す回路図。 抽出回路による増幅動作の一例を示す波形図。 抽出回路の増幅回路が有する周波数対利得の特性図。 抽出回路の動作を説明するための波形図。 無線カードから送信される応答波の一例を示す波形図。 無線カードの構造を説明するための図で、(a)は表面図、(b)は裏面図。 無線カードを構成する基板の両面に絶縁層を積層することを説明する図で、(a)は積層後の縦断側面図、(b)は分解斜視図。 無線カードの使用状態の一例を示す斜視図。
符号の説明
 10…無線カードリーダ・ライタ(通信装置)、11…電力波用アンテナ、12…データ波用アンテナ、20…無線カード、21…電力波用アンテナ、22…整流回路、23…分周回路、24…データ波用アンテナ、25…送受信切換スイッチ、26…復調回路、26a…抽出回路、26b…整形回路、27…変調回路、28…CPU(制御手段)、29…1チップIC、32〜35…増幅回路、L1…第1のコイル、L2……第2のコイル、41……基板、43……接続線、44,45……絶縁層、46……磁気記録層、f1 ……電力波、f2 ……データ波、f3 ……応答波。

Claims (4)

  1.  外部の通信装置から送信される第1の周波数の電力波、および、前記第1の周波数と異なる第2の周波数のデータ波をそれぞれ受信する無線カードであって、
     前記電力波を受信する電力波用アンテナを形成する第1のコイルを電波を透過する部材で形成された長方形のカード状基板の一方の面の中央部に配設するとともに、前記データ波を受信するデータ波用アンテナを形成する第2のコイルを前記基板の一方の面の中央部で前記第1のコイルと2重の輪となるように配設してなることを特徴とする無線カード。
  2.  前記第1のコイルおよび第2のコイルをそれぞれ偏平な長方形状に形成し、かつ、前記基板を短辺で3つに区分したときの中央区部に前記第1のコイルおよび第2のコイルをそれぞれ配設したことを特徴とする請求項1記載の無線カード。
  3.  前記基板の同一平面上で前記第1のコイルで囲まれる内側に前記第2のコイルを配設したことを特徴とする請求項1記載の無線カード。
  4.  前記第1のコイルおよび第2のコイルを除く回路部材を前記基板の3つに区分された一方の長辺側の区分に配設するとともに、前記第1のコイルおよび第2のコイルおよび回路部材が配設された前記基板の両面に絶縁層を積層し、前記基板の3つに区分された他方の長辺側の区分に臨んで片側の前記絶縁層の表面に磁気記録層を配設したことを特徴とする請求項2記載の無線カード。
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