JP2004110038A - 感熱性乳剤、フォトサーモグラフィ材料、及び可視像の形成方法 - Google Patents

感熱性乳剤、フォトサーモグラフィ材料、及び可視像の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 焼出し効果を抑えつつ所望の画像濃度(Dmax)を発現する感熱性乳剤を提供すること。
【解決手段】 a)感光性ハロゲン化銀の粒子群、
 b)非感光性の被還元性銀イオン源、
 c)親水性バインダー、及び
 d)該被還元性銀イオンのための還元剤組成物
を含んで成り、該感光性ハロゲン化銀粒子群の主体のすべてが、均質であり、かつ、当該粒子群の全銀量を基準として20モル%以上のヨウ化物を含むことを特徴とする感熱性乳剤。
【選択図】   なし

Description

 本発明は、水性感光性画像形成乳剤、及び、ヨウ化銀高含有のハロゲン化銀粒子群を含むフォトサーモグラフィ材料に関する。本発明はまた、フォトサーモグラフィ材料の画像形成法に関する。
 熱を用いて、しかも液体現像を用いずに現像される銀含有フォトサーモグラフィ画像形成材料は長年にわたって当業者に知られている。このような材料は、特定の電磁線(例えば可視線、紫外線又は赤外線)による像様露光をフォトサーモグラフィ材料に施すことにより画像が形成され、そしてこの画像が熱エネルギーの使用により現像されるような記録プロセスにおいて使用される。「乾燥銀」材料としても知られているこれらの材料は、一般に、下記の(a)〜(d)が塗被されている支持体を含む:(a)感光性触媒(例えばハロゲン化銀)であって、前記露光が施されると露光済粒子群に潜像を提供し、この粒子群が現像工程において銀画像を続いて形成するための触媒として作用することができる、感光性触媒、(b)比較的又は完全に非感光性の被還元性銀イオン源、(c)被還元性銀イオンのための還元性組成物(通常は現像剤を含む)、及び(d)親水性又は疎水性のバインダー。この潜像は次いで熱エネルギーを加えることにより現像される。
 最も一般的なフォトサーモグラフィ材料は、層の配合及び塗被に際して有機溶剤を使用して調製され、従ってしばしば「溶剤系」又は「非水性」材料と見なされる。このような材料に必要となる種々の化学成分は一般に有機溶剤中に可溶であり、水不溶性である。
 しかし、水から配合されて塗被され得るフォトサーモグラフィ材料(「水性」材料)は、製造、環境及びコストの面で多くの利点を有することになる。溶剤系材料中に存在する同じ化学成分を水性環境で常に使用可能にするためには、高価な又は冗長な可溶化技術又は分散技術を用いなければならない。水不溶性化学成分はこれらを水性配合物中で使用する場合には、適正な分散体を用いても、沈殿して感光性の応答に変動を招き、また塗被の欠陥を引き起こす傾向がある。
 水性フォトサーモグラフィ材料の現像における1つの主要な試みは、画像濃度(Dmax)を増大させることである。このための1つの方策は、画像形成環境(又は乳剤)中の銀の量を増加させることである。しかし、銀被覆量を増加させると、画像「焼出し効果」が増大するか、或いは、所定の時間経過後にDminが増大するおそれがある。この効果は、画像の有用性及び精度を損なう。
 表面にヨウ化物を極めて高く含有するハロゲン化銀乳剤は、写真フィルムにおいて高い関心を持たれてはいない。なぜならば、このような乳剤は、化学増感及び分光増感を行うのが困難であり、その現像速度及び定着速度が比較的遅いからである。シェルのヨウ化物含量がより低いコア・シェル構造を有する乳剤を形成すると、これらの問題は軽減又は排除された。コア・シェル乳剤は、例えば米国特許第4,728,602号明細書(Shibahara他)に記載されている。
 熱現像用写真フィルムにおけるコア・シェル乳剤の使用は、米国特許第5,064,753号明細書(Sohei他)に記載されている。ハロゲン化銀自体は、現像中に還元されて銀金属になる一次成分であり、この材料は主にカラー用途に用いられる。これらの好ましい配合物の焼出し効果特性に対して対策は講じられていない。表面高ヨウ化物粒子群は、熱カブリを促進させると言われている。
 非感光性の被還元性銀源に依存し、非水性バインダーを使用して塗被されるフォトサーモグラフィ材料の場合、感光性ハロゲン化銀コア・シェル乳剤の総ヨウ化物レベルは、好ましくは、米国特許第5,434,043号明細書(Zou他)に記載されたように、10モル%未満であり、また米国特許第5,382,504号(Shor他)に記載されたように、4モル%未満である。
米国特許第4349622号明細書 米国特許第4728602号明細書 米国特許第5064753号明細書 米国特許第5382504号明細書 米国特許第5434043号明細書 米国特許第5496694号明細書 特開昭63−300234号公報 特開昭62−229241号公報 特開昭62−150240号公報 特開昭62−103634号公報
 水性(親水性)系としての塗被用フォトサーモグラフィ材料には、コスト上及び環境上の利点がある。しかし、親水性バインダーを使用すると、その結果として、処理済フィルムの急速な高湿度焼出し効果が生じることになる。従って、望ましい高Dmaxを示すと共に、画像「焼出し効果」が低減される、改善された水性(親水性)フォトサーモグラフィ材料が必要である。
 本発明は、
 a)感光性ハロゲン化銀の粒子群、
 b)非感光性の被還元性銀イオン源、
 c)親水性バインダー、及び
 d)該被還元性銀イオンのための還元剤組成物
を含んで成り、該感光性ハロゲン化銀粒子群の主体のすべてが、均質であり、かつ、当該粒子群の全銀量を基準として20モル%以上のヨウ化物を含む、感熱性乳剤を提供する。
 本発明はまた、親水性バインダー並びに、反応するように組み合わされた下記a〜c:
 a)感光性ハロゲン化銀の粒子群、
 b)非感光性の被還元性銀イオン源、及び
 c)該被還元性銀イオンのための還元剤組成物
を含む1以上の画像形成層を支持体上に有して成り、該感光性ハロゲン化銀粒子群の主体のすべてが、均質であり、かつ、当該粒子群の全銀量を基準として20モル%以上のヨウ化物を含む、フォトサーモグラフィ材料を提供する。
 本発明の特に好ましい実施態様は、透明支持体上に、ゼラチン又はゼラチン誘導体をバインダーとして含む水性画像形成層と、該画像形成層の上の水性表面保護オーバーコートとを有し、かつ、該支持体の裏側に水性ハレーション防止層を有して成るフォトサーモグラフィ材料であって、該画像形成層が、反応するように組み合わされた下記a〜e:
 a)感光性ヨウ臭化銀の粒子群、
 b)水性ナノ粒子分散体として用意された1又は2種以上のカルボン酸銀であってその少なくとも1種がベヘン酸銀であるものを含む非感光性の被還元性銀イオン源、
 c)1又は2種以上のヒンダードフェノールを含む、該被還元性銀イオンのための還元剤組成物、
 d)1又は2種以上のカブリ防止剤又は分光増感色素、及び
 e)現像促進剤としての、スクシンイミド、2H-1,3-ベンゾオキサジン-2,4-(3H)-ジオン又はフタラジノン
を含み、さらに、該感光性ヨウ臭化銀粒子群の主体のすべてが、均質であり、かつ、当該粒子群の全銀量を基準として20〜35モル%のヨウ化物を含むこと、並びに、該水性画像形成層の全銀被覆量が0.2〜5g/m2である、フォトサーモグラフィ材料を含む。
 さらに、本発明は、
 A)本発明のフォトサーモグラフィ材料に、波長が400nmより長い電磁線による像様露光を施すことにより潜像を形成し、
 B)同時に、又は引き続いて、該露光済フォトサーモグラフィ材料を加熱することにより該潜像を現像して可視像にする
可視像の形成方法を提供する。
 この方法はさらに、フォトサーモグラフィ材料が透明支持体を含み、かつ、
 C)可視像を有する、露光・熱現像済のフォトサーモグラフィ材料を、画像形成用輻射線源と、該画像形成用輻射線に対して感光する画像形成性材料との間に配置し、そして
 D)その後該画像形成性材料を、該露光・熱現像済のフォトサーモグラフィ材料に含まれる該可視像を通して該画像形成用輻射線に当てることにより、該画像形成性材料において可視像を提供する
工程をさらに含むことにより、採用することができる。
 本発明の感光性で感熱性の乳剤及び材料は、許容可能な画像濃度Dmaxを提供し、その結果として得られる画像は、低減された画像「焼出し効果」を示す。この利点は、乳剤に含まれる銀の使用量に関して許容範囲を提供する。その他のセンシトメトリックな特性は許容可能な値で維持される。これらの利点は、感光性ハロゲン化銀粒子群における通常のヨウ化物よりも多くのヨウ化物、すなわちハロゲン化銀粒子群中の総銀量を基準として20モル%以上のヨウ化物を使用することにより達成される。
 本発明の熱現像可能な乳剤とフォトサーモグラフィ材料とは、例えば、コンベンショナルな黒白又はカラーフォトサーモグラフィ、電子的に発生させられる黒白又はカラーハードコピー記録に使用することができる。これらはマイクロフィルム用途、ラジオグラフィ画像形成(例えばデジタル医療用画像形成)、及び工業用ラジオグラフィにおいて使用することができる。本発明のフォトサーモグラフィ材料は、医療用、歯科用、獣医用ラジオグラフィに特に有用であり、これにより黒白画像を得ることができる。
 本発明のフォトサーモグラフィ材料は、任意の好適な波長の輻射線に対して感光させることができる。従っていくつかの実施態様の場合、これらの材料は、電磁スペクトルの紫外波長、可視波長、赤外波長又は近赤外波長において感光する。他の実施態様の場合、これらの材料はX線に対して感光する。
 本発明の材料は、可視線又はX線の非医療用途にも有用である(例えばX線リソグラフィ及び工業用ラジオグラフィ)。このような画像形成用途では、フォトサーモグラフィ材料が「両面塗布型」であることが有用な場合がある。
 本発明のフォトサーモグラフィ材料の場合、画像形成のための成分は1又は2以上の層内に存在することができる。感光性ハロゲン化銀又は非感光性の被還元性銀イオン源、或いはその両方を含有する1又は2以上の層を、本明細書中では乳剤層と呼ぶ。感光性ハロゲン化銀及び非感光性の被還元性銀イオン源は、触媒的に近接な関係(すなわち、互いに反応するように組み合わされた関係)にあり、同じ乳剤層内にあることが好ましい。
 いくつかの用途において、フォトサーモグラフィ材料は「両面塗布型」であって、支持体の両面に感光性の熱現像可能な塗膜を有することが有用である場合がある。このような構造において、それぞれの面は、1又は2以上の保護トップコート層、プライマ層、中間層、静電防止層、アキュータンス層、補助層、クロスオーバー防止層その他の当業者に自明な層を含んでいてもよい。
 定義:
 本明細書中に使用するように:
 「フォトサーモグラフィ材料」は、少なくとも1つのフォトサーモグラフィ乳剤層又はフォトサーモグラフィ層セット(この場合、感光性ハロゲン化銀及び非感光性の被還元性銀イオン源は1つの層内にあり、その他の成分又は添加剤は、所望の通りに、隣接する塗被層内に分配される)、及び任意の支持体、トップコート層、画像受理層、ブロック層、ハレーション防止層、下塗り層又はプライミング層を含む構造を意味する。これらの材料はまた多層構造を含む。これらの多層構造において、1又は2以上の画像形成成分は異なる層内にあるが、しかし「反応するように組み合わされた関係」にあるので、これらの成分は画像形成中及び/又は現像中に互いに容易に接触することになる。
 「像様露光を施す」又は「像様露光」という用語は、電磁輻射線によって潜像を提供する任意の露光手段を用いて材料が画像形成されることを意味する。このことは、例えば、感光性材料上への投影によって画像が形成されるアナログ露光によるもの、並びに、画像が一度に1画素だけ形成されるデジタル露光、例えば走査型レーザー放射の変調によるものを含む。
 「触媒的に近接な関係」又は「反応するように組み合わされた関係」は、材料が同一層内又は隣接層内にあるので、これらの材料が熱現像中に互いに容易に接触するようになっていることを意味する。
 「乳剤層」、「画像形成層」又は「フォトサーモグラフィ乳剤層」は、感光性ハロゲン化銀及び/又は非感光性銀塩を含有するフォトサーモグラフィ材料層を意味する。前記用語はまた、感光性ハロゲン化銀及び/又は非感光性銀塩に加えて、付加的な主要な成分及び/又は望ましい添加剤を含有するフォトサーモグラフィ材料層をも意味することができる。これらの層は通常、支持体の「正面側」として知られている面上に位置する。
 「両面」及び「両面塗被」という用語は、支持体の両面(正面側及び裏側)に同じ又は異なる乳剤層が1又は2以上配置されたフォトサーモグラフィ材料を定義するのに使用される。
 当業者には明らかなように、本明細書中に記載された化合物(例えばトナー)に関して、置換は許容されるだけでなく、しばしば望ましい場合がある。特に断りのない限り、本発明に使用される化合物には種々の置換基が見込まれる。
 光触媒
 上述のように、本発明のフォトサーモグラフィ材料は、フォトサーモグラフィ乳剤層内の光触媒の主体として、1又は2種以上の特定の「高ヨウ化物」ハロゲン化銀を含む。「主体」とは、所与の乳剤層において、総ハロゲン化銀量の50質量%を上回る量が、本明細書に記載した特定の「高」ヨウ化銀粒子群から構成されていることを意味する。
 有用な光触媒は(ハロゲン化銀粒子群中の総銀量を基準として)20モル%以上のヨウ化物を含むハロゲン化銀、例えばヨウ化銀、ブロモヨウ化銀、クロロブロモヨウ化銀である。これらのハロゲン化銀の混合物を、任意の好適な比率で使用することもできる。好ましくは、所与の乳剤層におけるハロゲン化銀粒子群のヨウ化物含有率は、20モル%からヨウ化物飽和限界までであり、より好ましくは24〜35モル%である。このように定義された量のヨウ化物を有するブロモヨウ化銀が最も好ましい。ハロゲン化銀粒子群を調製して沈殿させる典型的な技術は、Research Disclosure, 1978, 第17643項に記載されている。「高」ヨウ化銀粒子乳剤の好ましい調製を下記に示す。
 上記の量のヨウ化物を含有するハロゲン化銀粒子群の主体は「均質」である。このことはヨウ化物が粒子構造全体にわたって均一であることを意味する。高ヨウ化物乳剤のヨウ化物濃度は実質的な粒子間変動を有し得ることが判っているが、しかし平均して、粒子群の外側領域(シェル)におけるヨウ化物含有率が、粒子群の内側領域(コア)におけるよりも低いことはない。すなわち、本発明の実施に用いられる「高」ヨウ化物粒子群のほとんど又はすべては、「コア・シェル」粒子群として知られているものではない。
 純粋なヨウ化銀乳剤、及び、塩化銀を主体とするか、又は臭化銀を主体とするエピタキシャル成長物を有するヨウ化銀乳剤も考えられ、また、エピタキシャル成長物を実質的に含有しないヨウ化銀粒子群のファセットの少なくとも半分を有するヨウ化銀乳剤も考えられる。このような乳剤は、米国特許第4,094,684号明細書(Maskasky)、同第4,142,900号明細書(Maskasky)及び同第4,349,622号明細書(Koitabashi)に記載されている。
 本発明に使用される感光性ハロゲン化銀粒子群の形状は決して限定されない。ハロゲン化銀粒子群は任意の晶癖、例えば、立方体状、八面体状、四面体状、斜方晶系、菱形、十二面体状、その他の多面体状、平板状、薄層状、双晶状、又は小板状の形態を有してよく、また、これらの上に結晶のエピタキシャル成長を有してよい。所望の場合には、これらの結晶の混合物を採用することができる。高ヨウ化物ヨウ臭化銀の平板状の形態の調製は、米国特許第4,945,037号明細書(Saitou)に記載されており、純粋なヨウ化物の平板状の形態の調製は、米国特許第4,459,353号(Maskasky)に記載されている。
 イリジウム及び/又は銅でドープされた粒子群が、米国特許第5,434,043号(前出)及び同第5,939,249号(Zou)に記載されている。
 感光性ハロゲン化銀が、非感光性の被還元性銀イオン源に触媒的に近接な関係で配置される限り、この感光性ハロゲン化銀を任意の様式で乳剤層に添加する(又は乳剤層内で形成する)ことができる。
 ハロゲン化銀がex-situプロセスによって予め形成され、調製されることが好ましい。ex-situで調製されたハロゲン化銀粒子群は、次いで非感光性の被還元性銀イオン源に添加され、そしてこれと物理的に混合されてよい。
 ex-situで調製されたハロゲン化銀の表面上のシェルとして、被還元性銀イオン源を形成することが考えられる。このようなプロセスにおいて、被還元性銀イオン源、例えば長鎖脂肪酸カルボン酸銀(一般に銀「石鹸」と呼ばれる)は、予め形成されたハロゲン化銀粒子群のハロゲン化物イオンの一部を有機銀配位子によって交換することにより形成される。ハロゲン化銀表面上のシェルとして被還元性銀イオンを形成すると、2つの材料の親和性のより高い混合物が提供される。このタイプの材料はしばしば「予形成石鹸」と呼ばれる。
 画像形成配合物において使用されるハロゲン化銀粒子群の、最大数マイクロメートル(μm)の平均直径は、これらの所望の用途に応じて変化することができる。好ましいハロゲン化銀粒子群は0.02〜1.5μmの平均粒度を有し、より好ましいハロゲン化銀粒子群は0.03〜1.0μmの平均粒度を有し、また最も好ましいハロゲン化銀粒子群は0.04〜0.8μmの平均粒度を有する。当業者には明らかなように、ハロゲン化銀粒子群には、乳剤粒子群の安定性に応じた実際的な有限下限がある。このような下限は、使用されるペプタイザー及び成長改質剤に依存する。この値は典型的には0.02μmである。
 感光性ハロゲン化銀粒子群の平均粒度は、粒子群が球体の場合には平均直径によって表現され、粒子群が立方体形状又はその他の非球体形状の場合には、投影画像に対応する等価円の直径の平均によって表現される。
 本発明のフォトサーモグラフィ材料中に使用される1又は2種以上の感光性ハロゲン化銀は、好ましくは、非感光性の被還元性銀イオン源1モル当たり、0.005〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.25モル、また最も好ましくは0.03〜0.15モルの量で存在する。
 本発明のいくつかの実施態様の場合、(下記ハロゲン化銀及び銀塩双方からの)総銀量は5g/m2以下、また好ましくは3g/m2以下である。このような実施態様における最小総銀量は一般に0.2g/m2以上である。
 化学増感剤及び分光増感剤
 本発明のフォトサーモグラフィ乳剤及び材料に使用される感光性ハロゲン化銀は、変更を加えずに採用することができる。しかし、写真スピードを増大させるために、感光性ハロゲン化銀を調製する際に、1又は2種以上のコンベンショナルな化学増感剤が一般に使用される。このような化合物は、硫黄、テルリウム又はセレンを含有してよく、又は、金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム又これらの組み合わせを含有する化合物、ハロゲン化錫のような還元剤、又はこれらのうちの任意の組み合わせを含んでよい。
 さらに、米国特許第5,691,127号明細書(Daubendiek他)に記載されているようなメルカプトテトラゾール及びテトラアジンデンを、平板状ハロゲン化銀粒子群に適した添加剤として使用することができる。
 使用時には、通常、硫黄増感剤を添加し、適正な温度で予め決められた時間にわたって乳剤を攪拌することにより、硫黄増感が実施される。硫黄増感剤の一例としては、チオスルフェート、チオ尿素、チアゾール、ロダニン、チオスルフェート及びチオ尿素のような化合物が挙げられる。好ましい1実施態様の場合、化学増感はフォトサーモグラフィ乳剤の存在において、硫黄含有分光増感色素の酸化的分解によって達成される。このような増感は米国特許第5,891,615号明細書(Winslow他)に記載されている。
 別の実施態様の場合、化学増感剤として、或る特定の置換型及び無置換型のチオ尿素化合物を使用することができる。特に有用なテトラ置換型チオ尿素が、米国特許第6,368,779号明細書(Lynch他)に記載されている。
 米国特許第6,423,481号明細書(Simpson他)に記載されているように、金(3+)含有化合物と、硫黄含有化合物又はテルリウム含有化合物との組み合わせも、化学増感剤として有用である。
 化学増感剤は、一般にハロゲン化銀粒子群の平均粒度に応じたコンベンショナルな量で、ハロゲン化銀乳剤を形成する際に使用することができる。一般的に見て、その総量は、平均粒度0.01μm〜2μmのハロゲン化銀粒子群に関して、総銀量1モル当たり10-10モル以上であり、また好ましくは、10-8〜10-2モルである。上限は、使用される化合物、ハロゲン化銀レベル及び平均粒度に応じて変化することができ、当業者によって容易に決定することができる。
 分光増感剤
 感光性ハロゲン化銀は、紫外線、可視線及び/又は赤外線に対するハロゲン化銀の感度を向上させることで知られている種々の分光増感色素で分光増感することができる。採用可能な増感色素の一例としては、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポラー・シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキサノール色素が挙げられる。シアニン色素が特に有用である。シアニン色素は好ましくはベンゾチアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素及びベンゾセレナゾール色素を含む。これらの色素は、1又は2種以上のチオアルキル基、チオアリール基又はチオエーテル基を含む。
 好ましい実施態様の場合、本発明において有用な「高」ヨウ化物ハロゲン化銀は、700nmよりも長い波長に対して分光増感させられる。
 添加される分光増感色素の適量は、一般にハロゲン化銀1モル当たり、10-10〜10-1モルであり、好ましくは10-7〜10-2モルである。
 非感光性の被還元性銀源材料
 本発明のフォトサーモグラフィ材料に使用される非感光性の被還元性銀イオン源は、被還元性銀イオンを含有するいかなる材料であってもよい。好ましくはこの材料は、光に対して比較的安定であり、かつ露光済感光性ハロゲン化銀及び/又は還元剤の存在において80℃以上に加熱されると、銀画像を形成する銀塩である。
 有機酸の銀塩、特に長鎖カルボン(脂肪)酸の銀塩が好ましい。これらの鎖が含有する炭素原子数は典型的には10〜30、また好ましくは15〜28である。好適な有機銀塩は、カルボン酸基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩、又は、芳香族カルボン酸の銀塩を含む。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例は、ベヘン酸銀、アラキン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、フロ酸銀、リノール酸銀、酪酸銀、ショウノウ酸銀、及びこれらの混合物を含む。少なくとも、カルボン酸銀のうちの1種として含まれるベヘン酸銀を有するのが特に有用である。
 さらに、イミノ基を含有する化合物の銀塩を使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾール及びこれらの置換型誘導体の銀塩(例えば、銀メチルベンゾトリアゾール及び銀5-クロロベンゾトリアゾール)、1,2,4-トリアゾール又は1-H-テトラゾール、例えば米国特許第4,220,709号明細書(deMauriac)に記載されているようなフェニルメルカプトテトラゾールの銀塩、及び、米国特許第4,260,677号明細書(Winslow他)に記載されているようなイミダゾール及びイミダゾール誘導体の銀塩が挙げられる。このタイプの特に有用な銀塩は、ベンゾトリアゾール及びこれらの置換型誘導体の銀塩である。
 銀石鹸分散体の形成に用いられる方法は当業者に知られており、Research Disclosure, 1983年、4月、第22812項、Research Disclosure, 1983年、10月、第23419項、米国特許第3,985,565号明細書(Gabrielsen他)及び上述の参考文献に記載されている。
 非感光性の被還元性銀イオン源は、銀塩粒子群(例えばカルボン酸銀粒子群)の水性ナノ粒子分散体の形態で提供されることが特に好ましい。このような分散体中の銀塩粒子群の質量平均粒度は、任意の有用な技術、例えば沈降場流動分画法、フォトン相関分光法、又はディスク遠心分離法によって測定した場合、1000nm未満である。このような小型の銀塩粒子群は、以下の段落に示す同時係属出願に記載された種々の技術を用いて得ることができるが、しかし一般にこのような粒子群は、Morehouse-Cowles及びHochmeyerによって製造されたような装置によって、高速微粉砕を利用して得られる。このような微粉砕の詳細は当業者によく知られている。
 このような分散体はまた、有利には表面改質剤を含むので、銀塩をより容易に水性フォトサーモグラフィ配合物中に内蔵することができる。有用な表面改質剤の一例としては、アミノ成分を有するビニルポリマー、例えば米国特許第6,391,573号明細書(Lelental他)に記載されているような、アクリルアミド、メタクリルアミド又はこれらの誘導体から調製されたポリマーが挙げられる。特に有用な表面改質剤は、Makromoleculare Chemie, 193(9), 1992, 第2505〜17頁においてPavia他によって提供された教示内容を用いて、上記同時係属出願に記載されているように調製することができるドデシルチオポリアクリルアミドである。
 他の有用な表面改質剤は、リン酸エステル、例えば米国特許第6,387,611号明細書(Lelental他)に記載されているような、オルトリン酸と、ヒドロキシを末端基とするオキシエチル化長鎖アルコール又はオキシエチル化アルキルフェノールとのモノエステル及びジエステルの混合物が挙げられる。特に有用なリン酸エステルは、EMPHS(登録商標)(Witco Corp.)、RHODAFAC(Rhone-Poulenc)、T-MULZ(登録商標)(Hacrons Organics)及びTRYFAC(Henkel Corp./Emery Group)の商標又は商品名で、いくつかの製造業者から商業的に入手可能である。
 1又は2種以上の非感光性の被還元性銀イオン源は、乳剤層の総乾燥質量を基準として、好ましくは5質量%〜70質量%の量で、より好ましくは10質量%〜50質量%の量で存在する。別の言い方をすれば、被還元性銀イオン源の量は一般に、乾燥フォトサーモグラフィ材料の0.001〜0.2モル/m2の量で、また好ましくは前記材料の0.01〜0.05モル/m2の量で存在する。
 還元剤
 被還元性銀イオン源のための還元剤(又は、2又は3種以上の成分を含む還元剤組成物)は、銀(1+)イオンを金属銀に還元することのできる任意の材料、好ましくは有機材料であってよい。還元剤はしばしば現像剤又は現像主薬と呼ばれる。
 還元剤としては、コンベンショナルな写真現像剤、例えば芳香族ジ-及びトリ-ヒドロキシ化合物(例えばヒドロキノン、没食子酸及び没食子酸誘導体、カテコール及びピロガロール)、アミノフェノール(例えば、N-メチルアミノフェノール)、p−フェニレンジアミン、アルコキシナフトール(例えば4-メトキシ-1-ナフトール)、ピラゾリジン-3-オン型還元剤(例えばPHENIDONE(登録商標))、ピラゾリン-5-オン、ポリヒドロキシスピロ-ビス-インダン、インダン-1,3-ジオン誘導体、ヒドロキシテトロン酸、ヒドロキシテトロンイミド、ヒドロキシルアミン誘導体(例えば米国特許第4,082,901号明細書(Laridon他)に記載された誘導体)、ヒドラジン誘導体、ヒンダードフェノール、アミドキシム、アジン、レダクトン(例えばアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体)、ロイコ色素、及び当業者には容易に明らかなその他の材料を使用することができる。
 アスコルビン酸還元剤を使用することもできる。「アスコルビン酸」還元剤とは、アスコルビン酸、その複合体及びその誘導体を意味する。アスコルビン酸現像主薬は、写真プロセスにおける相当数の刊行物、例えば米国特許第5,236,816号明細書(Purol他)及びこの明細書に引用された参考文献に記載されている。
 銀源としてカルボン酸銀を使用する場合には、ヒンダードフェノール系還元剤が好ましい。いくつかの事例において、還元剤組成物は、2又は3種以上の成分、例えばヒンダードフェノール現像剤、及び、下記の種々の部類の還元剤から選ぶことができる共現像剤を含む。コントラスト促進剤のさらなる添加に関与する三元現像剤混合物も有用である。このようなコントラスト促進剤は、下記の種々の部類の還元剤から選ぶことができる。
 (単独での、又は、1又は2種以上の高コントラスト共現像主薬及び共現像剤コントラスト促進剤との組み合わせにおける)ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。これらのヒンダードフェノール現像剤は、所与のフェニル環上にただ1つのヒドロキシ基を含有し、このヒドロキシ基に対してオルト位に配置された1以上の付加的な置換基を有する化合物である。ヒンダードフェノール現像剤は、それぞれのヒドロキシ基が異なるフェニル環上に配置されている限り、2以上のヒドロキシ基を含有してよい。ヒンダードフェノール現像剤は、例えば、ビナフトール(すなわちジヒドロキシビナフチル)、ビフェノール(すなわちジヒドロキシビフェニル)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン(すなわちビスフェノール)、ヒンダードフェノール及びヒンダードナフトールを含む。これらのそれぞれは、種々に置換されていてよく、これらの多くが米国特許第3,094,417号明細書(Workman)及び同第5,262,295号明細書(Tanaka他)に記載されている。
 芳香族ジ-ヒドロキシ還元剤及びトリ-ヒドロキシ還元剤を、ヒンダードフェノール還元剤と組み合わせて一緒に使用するか、或いは、1又は2種以上の高コントラスト共現像主薬及び共現像剤コントラスト促進剤と組み合わせて使用することもできる。これらの材料は上述の通りである。
 本明細書中に記載された還元剤(又はその混合物)は一般に、乳剤層の1〜10%(乾燥質量)として存在する。多層構造において、還元剤が乳剤層以外の層に添加される場合、還元剤は2〜15質量%という僅かに高い比率で存在することがより望ましい。いかなる共現像剤も一般に、乳剤層塗膜の0.001%〜1.5%(乾燥質量)の量で存在してよい。
 熱現像可能な材料における還元剤として使用されるほとんどのヒンダードフェノールは、天然結晶質材料であり、固形粒子分散体として内蔵されるときには、これらの結晶質を保つ。ヒンダードフェノールは結晶質であってよいが、しかし、いくつかの実施態様の場合、非結晶質化合物又はアモルファス化合物が使用される。
 「非結晶質」は、偏光を使用して光学顕微鏡法により試験した場合に、還元剤組成物が複屈折を示さないことを意味する。
 ヒンダードフェノールの特に有用な混合物は、ビスフェノール混合物である。特に有用な1混合物は、2,2'-(2-メチルプロピリデン)ビス(4,6-ジメチルフェノール)及び2,2'-(3,5,5-トリメチルヘキシリデン)ビス(4,6-ジメチル-フェノール)を含む。
 ヒンダードフェノール還元剤組成物は一般に、乳剤層の5〜30%(乾燥質量)の量で存在する。多層構造において、還元剤が乳剤層以外の層に添加される場合、これよりも僅かに多い量が存在してよい。任意のコントラスト促進剤がコンベンショナルな量で存在する。
 カラー・フォトサーモグラフィ画像形成材料(例えばモノクロ画像、二色画像、又はフルカラー画像)に対しては、1又は2種以上の還元剤を使用することができる。これらの還元剤を直接的又は間接的に酸化させることにより、1又は2種以上の色素を形成又は放出することができる。
 色素形成化合物又は色素放出化合物は、任意の有色、無色又は薄色化合物であってよく、この化合物は酸化されることにより有色形になることができ、或いは、好ましくは最小1秒間にわたって80℃〜250℃の温度に加熱したときに、予め形成された色素を放出することができる。色素受理層又は画像受理層と共に使用される場合、色素は、画像形成層及び中間層を通って、フォトサーモグラフィ材料の画像受理層内に分散することができる。
 本発明のフォトサーモグラフィ材料中に内蔵することができる1又は2種以上の色素形成化合物又は色素放出化合物の総量は、一般に、これらの化合物が配置されているそれぞれの画像形成層の総質量の0.5〜25質量%である。好ましくは、それぞれの画像形成層における量は、総乾燥層質量を基準として、1〜10質量%である。ロイコ色素の有用な相対比率は、当業者には容易に明らかである。
 その他の添加剤
 本発明のフォトサーモグラフィ材料はまた、その他の添加剤、例えば保管期限安定剤、カブリ防止剤、コントラスト促進剤、アキュータンス色素、加工後安定剤又は安定剤前駆物質、熱溶剤(メルトフォーマーとしても知られる)、及び当業者には容易に明らかなその他の画像改質剤を含有することもできる。
 フォトサーモグラフィ材料の特性(例えばコントラスト、Dmin、スピード又はカブリ)をさらに制御するために、式Ar-S-M1及びAr-S-S-Arの1又は2種以上の複素環式芳香族メルカプト化合物又は複素環式芳香族ジスルフィド化合物を添加することが好ましく、上式中、M1は水素原子又はアルカリ金属原子を表わし、Arは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子又はテルリウム原子のうちの1又は2以上を含有する複素環式芳香族環又は縮合複素環式芳香族環を表わす。好ましくは、複素環式芳香族環は、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン又はキナゾリノンを含む。その他の複素環式芳香族環を有する化合物、及び、他の波長での増感促進を可能にする化合物が好適であるとも考えられる。例えば複素環式芳香族メルカプト化合物が、欧州特許第0559228号明細書(Philip Jr.他)における赤外フォトサーモグラフィ材料のための超色増感剤として記載されている。
 複素環式芳香族メルカプト化合物が最も好ましい。好ましい複素環式芳香族メルカプト化合物の例は、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール及び2-メルカプトベンゾオキサゾール、及びこれらの混合物である。
 複素環式芳香族メルカプト化合物は、これを使用する場合には一般に、乳剤層中の総銀量1モル当たり0.0001モル以上の量で、乳剤層中に存在する。より好ましくは、複素環式芳香族メルカプト化合物は、総銀量1モル当たり0.001モル〜1.0モルの範囲内で、また最も好ましくは0.005モル〜0.2モルの範囲内で存在する。
 本発明のフォトサーモグラフィ材料は、好ましくは、pKaが8以下の1又は2以上の水溶性又は水分散性のカブリ防止剤を含む。さらに、これらのフォトサーモグラフィ材料は、下記式I:
Figure 2004110038
によって表される。上記構造式中、R1は、カブリ防止剤が水溶性であるか又は水易分散性である限り、任意のサイズを有する置換型又は無置換型の脂肪族基又は環式基である。R1に対応する置換型又は無置換型の脂肪族基は、鎖内の炭素、窒素、硫黄及び酸素の原子数が1〜20である1価基を含み、この鎖の一例としては、1又は2以上の置換型又は無置換型アルキル基(炭素原子数1〜10)、置換型または無置換型アルケニレン基(炭素原子数2〜20)、置換型又は無置換型アルキレンアリーレン基(鎖内炭素原子数7〜20)、及びこれらの基の任意の組み合わせ、並びに、1又は2以上のアミノ、アミド、カルボニル、スルフォニル、カルボンアミド、スルホンアミド、チオ、オキシ、オキシカルボニル、オキシスルホニル、及び当業者には容易に明らかなその他の結合基と結合されたこれらの基の組み合わせを含む鎖が挙げられる。種々のタイプの有用な脂肪族基が当業者には容易に明らかである。
 R1に対応する好ましい脂肪族基は、置換型又は無置換型のt-ブチル基及びトリフルオロメチル基を含む。
 R1は、芳香族及び非芳香族双方の、置換型又は無置換型の炭素環式アリール基(環式環を形成するための炭素原子数6〜14)、置換型又は無置換型のシクロアルキレン基(環式環を形成するための炭素原子数5〜10)、及び複素環式基(環式環を形成するための炭素、窒素、硫黄又は酸素の原子数5〜10)を含む、置換型又は無置換型の環式基であってよい。種々のタイプの有用な脂肪族基が当業者には容易に明らかである。
 R1に対応する好ましい環式基は、環式環を形成するための炭素原子数が6〜10の置換型又は無置換型のアリール基を含む。置換型又は無置換型フェニル基が最も好ましい。メチル基がフェニル基上の好ましい置換基である。
 R1が4-メチルフェニル、フェニル、トリフルオロメチル、アダマンチル又は第3ブチルであることがより好ましい。
 構造式Iにおいて、R2及びR10は、これらのうちの一方が臭素である限り、独立して水素又は臭素である。好ましくはR2及びR10の双方が臭素である。
 さらに、Lは、置換型又は無置換型の脂肪族2価結合基である。この結合基は、Lが2価であることを除き、R1と同じ定義を有することができる。従って、当業者であれば、化合物の水溶性又は水分散性を維持しつつ所望の目的に役立つ好適なL基を決定することができる。好ましくは、Lは-NH-アルキレン基であり、「アルキレン」は置換型又は無置換型であり、その炭素原子数は1〜10(より好ましくは原子数1〜3)である。
 m及びnがそれぞれ1の場合、Lは好ましくは-N(CH3)-アルキレン-基又は-NH-アルキレン-基である。
 R1及びL上の置換基は、カブリ防止剤の所望の機能に不都合な影響を与えることのない任意の化学成分であってよく、その一例としては、アルキル、アリール、複素環式、シクロアルキル、アミノ、カルボキシ、ヒドロキシ、ホスホ、スルホンアミド、スルホ及び当業者に容易に明らかなその他の基が挙げられる。置換基の数は、利用可能な原子価(利用可能な水素原子)の数によってのみ制限される。アルキル基が環式R1基に対して好ましい置換基である。しかし明らかなように、カブリ防止剤は、分子に水溶性を付与する複数のスルホ、カルボキシ、ホスホ及びスルホンアミド基を有することができる。
 さらに、構造式Iにおいて、m及びnは独立して0又は1であり、また好ましくは双方とも1である。
 SGは、カブリ防止活性を妨害しない、pKaが8以下の任意の可溶化性基であってよい。SGは遊離酸の形で存在していてよく、又は塩、具体的には好適な金属塩(例えばアルカリ金属塩)又はアンモニウムイオン塩であってよい。好ましくはSGは塩である。SGが遊離酸の形で存在する場合、その塩は、当業者によって共通に使用される任意の塩基性金属で中和することにより、in situで発生させることができる。好ましくは、SGは、カルボキシ、ホスホ、スルホ又はスルホンアミド基である。SGがスルホンアミド基である場合、この基は、-SO2-COR11+、又は-NSO211+であってよい。この式中、R11はR1から定義されたような、置換型又は無置換型の脂肪族基又は環式基である。R1及びR11は同じ基であるか又は異なる基であってよい。より好ましくはSGは、特にm及びnが1の場合、カルボキシ基またはスルホ基(又はこれらの塩)である。
 M+は好適なカチオン、例えば水素又は金属カチオン(好ましくはアルカリ金属カチオン)又はアンモニウムイオンである。M+が水素原子である場合、その結果生じる遊離酸は、好適な塩基、例えば水酸化カリウム又は重炭酸ナトリウムで中和することにより、容易に可溶化することができる。
 好ましい実施態様において、m及びnが両方とも0の場合、SGはカルボキシ(又はその塩)、スルホ(又はその塩)、ホスホ(又はその塩)、-SO2-COR11+、又は-N-SO211+(この式中、M+は上で定義した通りである)である。
 さらに、m及びnが両方とも1の場合、SGはカルボキシ(又はその塩)、スルホ(又はその塩)、ホスホ(又はその塩)又は-SO2-COR11+(この式中、M+は上で定義した通りである)である。
 さらに、mが1であり、nが0である場合、SGはカルボキシ(又はその塩)、スルホ(又はその塩)、ホスホ(又はその塩)、又は-N-SO211+(この式中、M+は上で定義した通りである)である。
 これらの好ましいカブリ防止剤に関する更なる詳細は、同時係属の同一譲受人による米国特許第10/014,961号明細書(Burgmaier及びKlausにより2001年12月11日付け出願)に記載されている。
 カブリ防止剤は独立して、又は本発明のフォトサーモグラフィ材料中で組み合わせて使用することができる。一般に、カブリ防止剤は、0.0001モル/総銀モル以上の量で存在する。好ましくは、カブリ防止剤は、0.001〜0.1モル/総銀モル以上の量で存在する。
 好ましくは、カブリ防止剤は、1又は2以上のフォトサーモグラフィ乳剤層内に含まれるが、しかし、製造中に、支持体の正面側の中間層、下層、及び保護トップコート層内にカブリ防止剤を内蔵することができる。これらのカブリ防止剤が非乳剤層に配置される場合には、カブリ防止層は、これらがDminを低減するのに効果的になる乳剤層内に移動する傾向がある。
 熱現像可能な乳剤及び本発明のフォトサーモグラフィ材料は、トナー及び/又は現像促進剤を含むこともできる。
 画像を改善する「トナー」及びこれらの誘導体を使用することは、極めて望ましい。好ましくは、トナーはこれが使用される場合に、トナーを内部に含む層の総乾燥質量を基準として、0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%の量で存在することができる。トナーは、サーモグラフィック乳剤層又はフォトサーモグラフィ乳剤層内に、又は隣接する層内に内蔵されてよい。
 好ましいトナーは、フタラジンN-オキシド又はその誘導体である。このような化合物は、従来の意味での「トナー」として乳剤又は材料中にフタラジン又はその誘導体を提供又は放出する「前駆物質」であると考えられる。フタラジンN-オキシド又はその誘導体は、総銀量1モル当たり、3.8ミリモル以上の量で、また好ましくは総銀量1モル当たり4〜800ミリモルの量で存在することができる。フォトサーモグラフィ材料において、これらの化合物は一般には、1又は2以上の層内で0.01g/m2〜2g/m2の量で、また好ましくは0.02〜2g/m2の量で存在する。これらのトナー前駆物質は、正面側の層のうちの任意の層内に存在することができ、具体的には、1又は2以上のフォトサーモグラフィ乳剤層内に存在することができる。最も好ましくは、これらのトナー前駆物質は、必要な画像形成成分(感光性ハロゲン化銀、非感光性の被還元性銀イオン源、及び還元剤組成物)のすべてと一緒に、単独の水性フォトサーモグラフィ乳剤層内に存在する。
 トナー前駆物質は、下記の構造式II:
Figure 2004110038
によって表すことができる。
 上記式中、Rは同じ又は異なる1価置換基、例えばハロ基(フルオロ、ブロモ、クロロ又はヨウド)、炭素原子数1〜24の置換型又は無置換型アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル及びドコサニル基)、炭素原子数1〜24の置換型又は無置換型アルコキシ基(例えばメトキシ、2-エトキシ、t-ブトキシ及びn-ヘプトキシ)、置換型又は無置換型のフェノキシ(例えば3-メチルフェノキシ)、ニトロ、シアノ、カルボキシ(又は塩)、及びスルホ(又は塩)基を表す。さらに、置換基のうちの2又は3以上が1又は2の炭素原子に互いに隔たった状態で結合される場合、これらの置換基は構造式IIに示したフタラジン環と共に、脂肪族環、芳香族環、または複素環を形成することができる。多種多様の置換基が可能であり、これらの置換基には、米国特許第6,146,822号明細書(Asanuma他)の第5〜8欄に記載されたもののうちのいくつか又はすべてが含まれる。好ましいR基は、ハロ、低級アルキル(炭素原子数1〜4)、シアノ、カルボキシ及びスルホ基を含む。
 また、構造式IIにおいて、pは0〜4の整数である。好ましくはpは0又は1であり、より好ましくはpは0である。従ってpが2、3又は4であるときには「R」置換基は同じ基であるか、又は異なる基であってよい。
 従って、フタラジンN-オキシドのこの好ましい化合物以外に、米国特許第6,146,822号明細書(前出)の第8〜17欄に示されたフタラジン誘導体と同様に、付加的なフタラジンN-オキシド誘導体を構成することができる。
 「現像促進剤」も存在していると、望ましい利点を達成することができる。これらの化合物はトナーとして当業者に知られていることもある。
 現像促進剤は感熱性乳剤中に、総銀量1モル当たり、10ミリモル以上の量で、また好ましくは総銀1モル当たり20〜700ミリモルの量で存在することができる。フォトサーモグラフィ材料において、これらの化合物は一般には、1又は2以上の層内で3mg/m2〜1300mg/m2の量で、また好ましくは6〜1300mg/m2の量で存在する。これらの現像促進剤は、正面側の層のうちの任意の層内に存在することができ、具体的には、1又は2以上のフォトサーモグラフィ乳剤層内に存在することができる。最も好ましくは、これらの現像促進剤は、必要な画像形成成分(感光性ハロゲン化銀、非感光性の被還元性銀イオン源、還元剤組成物、及び任意のフタラジンN-オキシド又はその誘導体)のすべてと一緒に、単独の水性フォトサーモグラフィ乳剤層内に存在する。
 本発明において現像促進剤として使用することができる化合物の有用な部類は、環状イミド(例えばスクシンイミド、フタルイミド及びナフタルイミド)、ベンゾオキサジンジオン、ベンズチアジンジオン、トリアゾールチオン、キナゾリンジオン、及びフタラジノンを含む。スクシンイミドが最も好ましい現像促進剤である。
 バインダー
 本発明に使用される感光性ハロゲン化銀、非感光性の被還元性銀イオン源、還元剤組成物、トナー、及びその他の添加剤は一般的に、親水性の性質を主体とする1又は2以上のバインダー中で使用される。このようなバインダーの混合物を使用することもできる。「主体」とは、総バインダー量の50質量%以上が親水性の性質を有することを意味する。残余は疎水性の性質を有する1又は2種以上のバインダーを含むことができる。しかし、乳剤層のための配合物は、水性塗被用溶剤(水、及び、水を溶剤の主体とする、水と水混和性溶剤との混合物を意味する)から調製され塗被される。
 種々の層(特に乳剤層)における有用な親水性バインダーの一例としては、蛋白質及び蛋白質誘導体、「ゼラチン類」、例えばゼラチン及びゼラチン様誘導体(アルカリ処理及び酸処理ゼラチン、アセチル化ゼラチン、酸化ゼラチン、フタレート処理ゼラチン、及び脱イオン化ゼラチンを含む硬化又は未硬化ゼラチン)、セルロース系材料、例えばヒドロキシメチルセルロース及びセルロースエステル(例えばセルロースアセテート及びセルロースアセテートブチレート)、多糖類(例えばデキストリン)、ポリ(ケイ酸)、ヒドロキシメチルセルロース、アクリルアミド/メタクリルアミドポリマー、アクリル/メタクリル系ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルラクタム)、スルホアルキルアクリレート及びメタクリレートのポリマー、加水分解ポリビニルアセテート、多糖類(例えばデキストラン及び澱粉エーテル)、及び、水性写真乳剤に使用するものとして周知のその他の合成的又は自然発生的なビヒクル[例えばResearch Disclosure, 第38957項参照]が挙げられる。米国特許第5,620,840号明細書(Maskasky)及び米国特許第5,667,955号明細書(Maskasky)に記載されているように、平板状ハロゲン化銀粒子群のためのペプタイザーとして、カチオン系澱粉を使用することができる。ゼラチン、ゼラチン誘導体、ヒドロキシ置換型のセルロース系材料、及びポリ(ビニルアルコール)が最も好ましいバインダーである。
 典型的な疎水性バインダーの一例としては、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ブタジエン-スチレンコポリマー、及び当業者に容易に明らかなその他の材料が挙げられる。コポリマー(ターポリマーを含む)もポリマーの定義に含まれる。ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)及びビニルコポリマー(例えばポリビニルアセテート及びポリビニルクロリド)が特に好ましい。特に好適なバインダーは、BUTVAR(登録商標)B79 (Solutia, Inc)、Pioloform BS-18又はPioloform BL-16(Wacker Chemical Company)として入手可能なポリビニルブチラール樹脂である。
 バインダーは、バインダー中に分散させられた成分を担持するのに十分な量で使用される。効果的な範囲は、当業者によって適切に決定することができる。好ましくは、バインダーは、バインダーが含まれる層の総乾燥質量を基準として、10質量%〜90質量%のレベル、より好ましくは20質量%〜70質量%のレベルで使用される。
 支持体材料
 フォトサーモグラフィ材料は高分子支持体を使用して調製することができる。この高分子支持体は、好ましくはフレキシブルなフィルムである。このフィルムは所望の厚さを有しており、フォトサーモグラフィ材料の用途に応じて、1又は2種以上の高分子材料から成っている。支持体は一般には透明(特に材料がフォトマスクとして使用される場合)であるか又は少なくとも半透明であるが、しかし、不透明な支持体が有用な場合もある。これらの支持体は、熱現像中に寸法安定性を示すこと、また、上塗り層との好適な付着特性を有することが必要とされる。このような支持体を形成するための有用な高分子材料の一例としては、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、セルロースアセテート及びその他のセルロースエステル、ポリビニルアセタール、ポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリカーボネート、及びポリスチレン(及びスチレン誘導体のポリマー)が挙げられる。好ましい支持体は、良好な熱安定性を有するポリマー、例えばポリエステル及びポリカーボネートから成っている。
 配合物及び構成
 乳剤層のための配合物は、バインダーと、乳剤成分と、還元剤組成物と、任意の添加剤とを、水性溶剤中に溶解又は分散させることにより調製することができる。この水性溶剤は、水と、できる限り少量(50容積%未満)の水混和性溶剤(例えばアセトン又は低級アルコール)とを含むことにより、水性塗被用配合物を提供する。
 欧州特許第079476号明細書(Geisler他)には、「木目」効果として知られるもの、又は不均一な光学濃度を低減するための、種々のフォトサーモグラフィ材料改質手段が記載されている。この効果は、支持体の処理、トップコートへの艶消し剤の添加、或る特定の層内でのアキュータンス色素の使用、又は上記刊行物に記載されたその他の手順を含むいくつかの手段によって、低減又は排除することができる。
 すべての成分を含有する単独の画像形成層塗膜と、保護トップコートとを含む2層構造が一般に、フォトサーモグラフィ材料に見出される。しかし感光性ハロゲン化銀及び非感光性の被還元性銀イオン源を乳剤層(通常は支持体に隣接する層)に含有し、かつ還元剤組成物とその他の成分とを異なる層に含有するか又は両層間に分配する2層構造も考えられる。一般にはこれらの複数の層は、上述のように水から塗被される。従って、フォトサーモグラフィ材料が保護オーバコート及び/又はハレーション防止層を含む場合、これらのフォトサーモグラフィ材料もまた一般には水性配合物として塗被される。
 保護オーバコート又は保護トップコートが、1又は2以上の乳剤層に被さるように存在していてもよい。これらのオーバコートは一般には透明であり、1又は2種以上の皮膜形成親水性バインダー、例えばポリ(ビニルアルコール)、ゼラチン(及びゼラチン誘導体)及びポリ(ケイ酸)から成っている。ポリ(ビニルアルコール)とポリ(ケイ酸)との組み合わせが特に有用である。このような層はさらに、艶消し粒子群、可塑剤及び当業者に容易に明らかなその他の添加剤を含むことができる。
 保護層は、支持体の裏側に設けられた裏層(例えばハレーション防止層)であってもよい。
 好ましくは、スライド・コーティングを用いて、フィルム支持体に、2又は3以上の層が塗布される。第1の層は第2の層の上部に、この第2の層がまだ湿っている間に塗被することができる。
 第1及び第2の層は、フィルム支持体の一方の側に塗被することができるが、この製造法は、前記高分子支持体の反対側又は裏側に、ハレーション防止層、静電防止層又は艶消し剤(例えばシリカ)含有層、又はこのような層の組み合わせを含む、1又は2以上の付加的な層を形成することを含むこともできる。
 本発明のフォトサーモグラフィ材料が、支持体の両側に乳剤層を含み、また、1種以上の赤外線吸収性の熱漂白可能な組成物をハレーション防止下層として、1以上の乳剤層の下方に含むことも考えられる。
 画像鮮鋭度を促進するために、本発明のフォトサーモグラフィ材料は、アキュータンス色素及び/又はハレーション防止色素を含有する1又は2以上の層を含有することができる。これらの色素は、露光波長に近い吸光度を有するように選ばれ、散乱光を吸収するように構成される。ハレーション防止裏層、ハレーション防止下塗り層、又はハレーション防止上塗り層として、公知技術に従って、1又は2種以上のハレーション防止層内に1又は2種以上のハレーション防止色素を、ハレーション防止裏層、ハレーション防止下層、又はハレーション防止オーバコートとして内蔵することができる。さらに、公知の技術に従って、1又は2以上の正面側の層、例えばフォトサーモグラフィ乳剤層、プライマ層、下層、又はトップコート層内に、1又は2種以上のアキュータンス色素を内蔵することができる。フォトサーモグラフィ材料は、乳剤層及びトップコート層が塗被されている側とは反対側で支持体上にハレーション防止塗膜を含有していることが好ましい。
 このような色素及びその他の成分が存在することにより、一般に、画像形成側、裏側又はその両方の側における光学濃度は0.1以上、好ましくは0.2〜3.0になる。
 加工中に熱で脱色又は漂白されることになるアキュータンス色素又はハレーション防止色素を含む組成物を採用することも、本発明において有用である。
 特に有用な熱漂白可能な裏側ハレーション防止組成物は、赤外線吸収化合物、例えばオキソノール色素、及びヘキサアリールビイミダゾール(「HABI」としても知られる)との組み合わせで使用されるその他の種々の化合物、又はこれらの混合物を含むことができる。
 実際の使用条件下において、これらの組成物は、最低90℃の温度で最小0.5秒間にわたって、漂白を可能にするように加熱される。好ましくは漂白は100℃〜200℃の温度で5〜20秒間にわたって行われる。最も好ましい漂白は、20秒以内で110℃〜130℃の温度で行われる。
 好ましい実施態様において、本発明のフォトサーモグラフィ材料は、支持体の、1又は2以上の熱現像可能な層と同じ側に表面保護層を含み、かつ支持体のその反対側にハレーション防止層を含むか、又は、表面保護層及びハレーション防止層の双方を支持体のそれぞれの側に含む。
 画像形成/現像
 本発明のフォトサーモグラフィ材料は、任意の好適な画像形成源(典型的にはフォトサーモグラフィ材料のための幾つかのタイプの放射信号又は電子信号、及びサーモグラフィ材料のための幾つかのタイプの熱源)を使用して、材料のタイプと呼応した任意の好適な方法で画像形成することができるが、以下では、フォトサーモグラフィ材料のための好ましい画像形成手段に関して説明する。一般に、これらの材料は400〜1150nm(好ましくは600〜850nm)の範囲における輻射線に対して感光する。
 画像形成は、紫外線、可視線、近赤外線及び赤外線を含む、フォトサーモグラフィ材料が感光する好適な輻射線源によりこれらのフォトサーモグラフィ材料に露光を施すことによって達成することができ、これにより潜像が提供される。好適な露光手段がよく知られており、所望の領域において輻射線を発光するレーザダイオード、フォトダイオード、及び、例えばResearch Disclosure, 1996年9月、第38957項を含めて技術的に記載されたその他の手段(例えば日光、キセノンランプ及び蛍光灯)を含む。特に有用な露光手段は、レーザダイオードを使用する。これらのレーザダイオードには、米国特許第5,780,207号明細書(Mohapatra他)に記載されたような多重長手方向露光技術として知られている技術を用いて、画像形成効率を高めるように変調されるレーザダイオードが含まれる。他の露光技術が米国特許第5,493,327号明細書(McCallum他)に記載されている。
 フォトサーモグラフィ材料を使用する際には、熱現像条件は、使用される構造に応じて変化することになるが、しかし典型的には像様露光済材料を、好適に上昇させた温度で加熱することに関与することになる。従ってこの潜像は、中程度に上昇させた温度、例えば50℃〜250℃(好ましくは80℃〜200℃、より好ましくは100℃〜200℃)の温度で十分な時間、一般には1〜120秒間にわたって露光済材料を加熱することにより、現像することができる。加熱は好適な加熱手段、例えば熱板、蒸気アイロン、熱ローラ又は加熱浴を使用して達成することができる。
 下記の例は本発明及び本発明の実施の代表例であり、本発明を限定するものでは決してない。
 例に関する方法及び材料:
 下記の例において使用したすべての材料は、特に断らない限り、標準的な商業的供給元から容易に入手可能であるか、又は周知の手順及び出発材料を用いて調製される。すべての百分率は、特に指示しない限り質量%である。
 カブリ防止剤AF−1は、2,2'-ジブロモ-(4-メチルフェニル)スルホニル-N-(2-スルホエチル)アセトアミド、カリウム塩であり、下記の構造を有する:
Figure 2004110038
 カブリ防止剤AF−1は、下記のように調製することができる:
 機械的な攪拌器及び還流冷却器を備えた5リットル・フラスコに、p-トルエンスルフィン酸、リチウム塩(309g)、N-(2-スルホエチル)-2-ブロモアセトアミド、リチウム塩(527g)、水(180ml)、及びエチルアルコール(3380ml)を添加した。その結果生じた懸濁液を還流温度まで加熱した。約1時間の還流後には、反応物のほとんどすべてが溶解した。還流をさらに4時間にわたって続け、その溶液をCeliteパッドを介して熱ろ過し、これによりいくらかの曇りを除去した。この溶液を一晩室温まで冷却した。形成された固形物を捕集し、1リットルの95%エチルアルコール/水で洗浄した。この白色固形物を空気乾燥させ、次いで高真空で乾燥させて、554g(89%収率)の2-(4-メチルフェニル)スルホニル-N-(2-スルホエチル)アセトアミド、リチウム塩(中間体1)を提供した。HPLC分析は、検出可能な不純物を示さなかった。イオン・クロマトグラフィは、0.035質量%の臭化物と、1.8質量%のリチウムとを示した。この材料は許容可能なプロトン・スペクトルを示した。
 氷酢酸(660ml)に中間体1(98.2g)及び1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(42.9g)を添加した。その結果生じた懸濁液を、溶液が発生する還流温度まで加熱した。還流温度で3〜5分後に、僅かな臭素色を排出させ、そして還流をさらに15分間続けた。HPLCによる反応混合物の分析は、1主要生成物への変換を示した。室温近くまで冷却したあと、酢酸のほとんどを回転フィルム蒸発器上で、水流吸引器(水浴温度40℃)を使用して除去した。残留物をエチルアルコール2500mlで希釈した。懸濁液を室温で1時間にわたって攪拌したあと、完全な溶液が発生した。室温でのこの攪拌溶液に、エチルアルコール(500ml)中に溶解された酢酸カリウム(58.9g)の溶液を液滴状に添加した。白色固形物が直ちに形成された。酢酸カリウム溶液を完全に添加するとすぐに、この懸濁液を室温で90分間にわたって攪拌し、そして所期のカブリ防止剤AF−1、2,2'-ジブロモ-(4-メチルフェニル)スルホニル-N-(2-スルホエチル)アセトアミド、カリウム塩をろ過により捕集し、エチルアルコールで洗浄した。次いで、固形物を高真空下において40℃で乾燥させた。わずかな酢酸臭を有する未精製カブリ防止剤AF−1の収量は145g(94%)であった。
 AF−1の2つの別個の合成バッチを形成し、合体し、そして水(85ml)とエチルアルコール(600ml)との混合物中で生成物182gを沸騰させながら溶解させることにより再結晶化し、熱ろ過し、そしてオイリングを防止するように冷却させるとすぐに7mlの水を添加した。溶液を室温で一晩静止状態で放置した後、所期のカブリ防止剤生成物を捕集し、300ml(10:1v/v)エチルアルコール/水の混合物で洗浄した。次いで生成物を空気乾燥させ、そして高真空下において40℃で乾燥させ、160gの所期生成物を提供した。HPLC分析は、所期成分99.2%というアッセイを示した。この生成物は、上記AF−1構造と呼応する、予想プロトンNMRスペクトル及び質量スペクトルを示した。
 カブリ防止剤AF−2は、2-ブロモ-2-(4-メチルフェニルスルホニル)アセトアミドであり、米国特許第3,955,982号明細書(Van Allan)に提供された教示内容を用いて得ることができ、また下記の構造を有する:
Figure 2004110038
Figure 2004110038
 A)ナノ粒子ベヘン酸銀の調製:
 最初に反応器に、脱塩水と、ドデシルチオポリアクリルアミド界面活性剤の10%溶液(72g)と、ベヘン酸[46.6g、通常はイソプロパノールから再結晶化された90%ベヘン酸(Unichema)]とを装入した。反応器内容物を150rpmで攪拌し、70℃まで加熱し、この時点で10.85%w/wKOH溶液(65.1g)を反応器に添加した。次いで反応器内容物を70℃まで加熱し、曇った溶液が得られるまで30分間保持した。次いで反応混合物を70℃まで冷却し、硝酸銀から成る硝酸銀溶液(166.7gの12.77%溶液)を30分間にわたって制御された速度で反応器に添加した。次いで反応器内容物を30分間にわたって反応温度で保持し、室温まで冷却し、そしてデカントした。粒度中央値が140nmであるナノ粒子ベヘン酸銀分散体(NPSBD)を得た(3%固形分)。
 B)NPSBDの精製及び濃縮
 3%固形分のナノ粒子ベヘン酸銀分散体(12kg)を、(有効表面積0.34m2と、公称分画分子量50,000とを有するOsmonicsモデル21-HZ20-S8J透過器膜カートリッジを備えた)ダイアフィルトレーション/限外ろ過装置内に装入した。透過器内に入る圧力が50 lb/in2(3.5kg/cm2)になるように、また、透過器から下流側の圧力が20 lb/in2(1.4kg/cm2)になるように装置を操作した。透過水を脱イオン化水と置換し、これを分散体から24kgの透過水が除去されるまで行った。この時点で置換水を遮断し、分散体が28%固形分の濃度に達するまで装置を運転し、これによりナノ粒子ベヘン酸銀分散体(NPSB)を提供した。
 ハロゲン化銀乳剤1〜10:一連のヨウ化物レベルのAgIBr
 40℃、pH5.6及び90mVのvAg(Ag/AgCl基準電極)で4%フタレート処理骨ゼラチン溶液400gを含有する強力に攪拌された反応容器に、下記表1に示す流量で2.5モルのAgNO3溶液を添加した。同時に、vAgを維持するのに必要な流量で、下記表1に示すモル%のヨウ化物を含有する2.5モルの臭化-ヨウ化ナトリウム溶液を添加した。0.5モルの銀が添加されたときに沈殿を停止させた。乳剤を米国特許第2,614,929号明細書(Yutzy他)の凝集法によって洗浄し、pH5.6で保存した。平均粒子直径を透過型電子顕微鏡写真から測定した。
 最大量のヨウ化物(乳剤6〜10)を含有する乳剤を、遊離ヨウ化銀相の存在に関して、また、粒子群のヨウ化物組成物の均質性を評価するために、X線回折によって試験した。それぞれの乳剤は、単独の、比較的狭い(220)回折ピークを示した。測定条件、ピーク幅及びピーク・プロフィールを基準として、それぞれの乳剤に対応するヨウ化物分布(モル%)は、ピーク最大値の3百分率単位内にあった。乳剤のいずれにも遊離ヨウ化銀相は検出されなかった(推定最小検出限界はハロゲン化銀の0.5質量%である)。
 ハロゲン化銀乳剤11:Ag1モル当たり1ミリモルのNa3RhCl6で形成されたAgIBr(3モル%I)
 この乳剤を上記乳剤2と同様に形成した。ただし乳剤2の場合と異なり、この乳剤11においては、沈殿開始から1分後に、0.5ミリモルのNa3RhCl6・12H2Oを含有する10mlの溶液を添加した。
Figure 2004110038
 ハロゲン化銀乳剤12:AgIBr(28モル%ヨウ化物)
 50℃、pH5.6及び90mVのvAg(Ag/AgCl基準電極)で4%フタレート処理ゼラチン溶液3,000gを含有する強力に攪拌された反応容器に、190ml/minの流量で2.5モルのAgNO3溶液を添加した。同時に、vAGを維持するのに必要な流量で、1.75モルの臭化ナトリウム及び0.683モルのヨウ化ナトリウムの塩溶液を添加した。7.5モルの銀が添加されたときに沈殿を停止させた。総量3.091リットルの塩溶液を添加した。乳剤を米国特許第2,614,929号明細書(前出)の凝集法によって洗浄し、pH5.6で保存した。平均粒子直径は透過型電子顕微鏡写真から、56nmであることが測定された。
 ハロゲン化銀乳剤13:AgI乳剤
 35℃、pH6.0及び−156mVのvAg(Ag/AgCl基準電極及びAgIで塗被されたAG電極)で4%フタレート処理ゼラチン溶液400gを含有する強力に攪拌された反応容器に、8ml/minの流量で4モルのAgNO3溶液を添加した。同時に、vAGを維持するのに必要な流量で、4モルのヨウ化ナトリウム溶液を添加した。0.5モルの銀が添加されたときにこれらの添加を停止させた。vAgが40mVになるまで、1モルのAgNO3溶液を1ml/minで添加した。乳剤を米国特許第2,614,929号明細書(前出)の凝集法によって洗浄し、pH5.6で保存した。平均粒子直径は透過型電子顕微鏡写真から、39nmであることが測定された。
 分光増感乳剤の調製
 分光増感ハロゲン化銀乳剤を、17.8ミリモルの被験ハロゲン化銀乳剤を水で希釈して30gにすることにより調製した。40℃で、10%Olin 10G界面活性剤3.9g、及びD-1の3g/l水溶液9.3gを添加した。20分後、D-2の7.0g/lメタノール系溶液1.2mlを添加した。この増感乳剤を、使用前に最低10分間にわたって保持した。
 例1〜6:フォトサーモグラフィ・ベヘン酸銀乳剤の調製及び処理
 40℃の11%ゼラチン溶液(牛骨のアルカリ処理された脱イオン化ゼラチン)292gに、上述のように調製された水性ナノ粒子ベヘン酸銀分散体208gを添加した。この混合物に、AF−2固形粒子分散系2.0gと、AF−1の25g/l水溶液4.6gと、スクシンイミド5.6gと、NaIの5%溶液6.0mlとを添加した。その結果生じた混合物を20分間にわたって攪拌し、現像剤DEV−1の固形粒子分散体56gを添加し、そして混合物をさらに20分間にわたって攪拌した。次いで4-メチルフタル酸の100g/l水溶液6.3gを添加した。
 その結果生じた混合物を分割して29g部分にした。それぞれの部分に、下記表2において特に断らない限り、被験分光増感ハロゲン化銀乳剤2.0gを添加した。次いで、その結果生じたフォトサーモグラフィ乳剤を、ゼラチンで下塗りされたポリ(エチレンテレフタレート)支持体上に、100g/m2の湿潤被覆量で塗被した。その結果生じた塗膜を乾燥させ、これらの塗膜に0.001秒間にわたって、ステップ・タブレットを備えたKodak Wratten 89B赤外線フィルタを通して、キセノンランプによる露光を施し、122℃で15秒間にわたって熱現像した。次いで24時間にわたる77%相対湿度及び21.1℃の環境内で、現像済塗膜に、蛍光照明(65フートキャンドル又は699.4ルクス)による露光を施した。濃度をグリーン濃度に関してMacbeth TD504デンシトメータ・セットで読み取った。24時間にわたる77%相対湿度及び21.1℃の環境における焼出し効果によってもたらされた初期最小濃度(Dmin)、最大濃度(Dmax)、及び最小濃度増加(最小Δ濃度)を下記表2に示す。
 例2と同様に比較例10を調製した。ただしこの比較例10の場合、例2とは異なり、スクシンイミドの代わりにモル当量のスクシンアミドを使用した。その結果生じた材料を上述のように露光し、そして熱現像した。
 また、例2と同様に比較例11を調製した。ただしこの比較例11の場合、例2とは異なり、画像形成配合物にはスクシンイミドもスクシンアミドも添加しなかった。その結果生じた材料を上述のように露光し、そして熱現像した。
Figure 2004110038
 表2におけるデータ試験は、水性フォトサーモグラフィ材料の高湿度焼出し効果に関する有用な情報を明らかにする。比較例8及び9に関して焼出し効果(最小Δ濃度)がないことは、ハロゲン化銀が焼出し効果を引き起こす主要成分であることを実証している。比較例7の場合、フィルムの写真性能は、極めて深い多数の電子トラップ、すなわちRh(III)ヘキサクロリドでハロゲン化銀成分を内部でドーピングすることにより有意に低減されたが、しかしフィルムは依然として有意な焼出し効果を示したままであった。このことは、写真感度と焼出し効果とが直接的に関連しないことを明らかにする。比較例1〜6及び発明例1〜6は、露光及び熱処理後に写真画像を生成した。ヨウ化物レベルが20モル%を上回る乳剤を使用して形成されたこれらの材料(例1〜6)は、高湿度環境内で焼出し効果の有意な改善(低減)を示した。
 比較例10及び11の材料は、使用可能な写真画像を生成しなかった。表2において例2の高いDmax画像濃度と、比較例10の画像濃度の欠乏とを比較すると、高温溶剤スクシンアミド(比較例10)が、例2に使用されたスクシンイミドの有用な代替物にはならないことが判る。比較例11におけるようにスクシンイミド及びスクシンアミドの双方を省いた場合も、画像濃度は不良であった。
 例7
 この例は、フォトサーモグラフィ画像形成を停止(シャットダウン)する、高ヨウ化物乳剤の効果を示す。
 上述の比較例2及び発明例2と同様に、2つのフォトサーモグラフィ材料を調製した。ただしこの場合、上述の比較例2及び発明例2とは異なり、それぞれの材料には付加的に、ゼラチン2.2g/m2と、スクシンイミド0.33g/m2と、Aerosol OT界面活性剤0.019g/m2と、Alkanol XC界面活性剤0.057g/m2とから成るオーバコート層を設け、これにより比較例12及び発明例7を用意した。
 これらの材料の試料を、810nmレーザー感光計を用いて露光し、そして122℃で15秒間にわたって熱処理することにより、現像済銀画像を生成した。次いで現像済材料に、24時間にわたる77%相対湿度及び21.1℃の環境において、蛍光照明(約65フートキャンドル又は699.4ルクス)による露光を施した。焼出し効果の結果を下記表3に示す(最小Δ濃度)。
 また、予め露光も現像も施されていないこれらの2材料の試料に、24時間にわたる77%相対湿度及び21.1℃の環境において、蛍光照明(約65フートキャンドル又は699.4ルクス)による露光を施し、次いでこれらの試料を122℃で15秒間にわたって処理した。その結果を下記表3の最後の欄(「現像前露光」)に示す。
Figure 2004110038
 表3に示した結果から、28%ヨウ化物感光性乳剤を含有する例7の材料の処理後高湿度焼出し効果が、3%ヨウ化物感光性乳剤を含有する比較例12よりも有意に小さいことが判る。
 例7の材料に、24時間にわたって77%相対湿度及び21.1℃で、約65フートキャンドル(699.4ルクス)による露光を施し、続いてこの材料を熱現像した結果、極めて低い現像濃度が生じた。これとは対照的に、比較例12は予想された高い現像濃度を示した。
 例8:銀ベンゾトリアゾール塗被用配合物の調製及び処理
 成分A:
 下記の成分の90g水性混合物を調製し、そしてpHを5.5に調節した:
 ゼラチン(牛骨、アルカリ処理された脱イオン化ゼラチン)1.4g、
 ZONY FSN界面活性剤(DuPont)の40%溶液0.17g、
 23ミリモルの銀を含有する銀ベンゾトリアゾール分散体39.7g、及び
 8質量%の塩基性ベンゾトリアゾール溶液1.4g。
 成分B:
 下記の成分の20g溶液を調製した:
 2,4-ジヒドロ-4-(フェニルメチル)-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオン61.9mg、
 スクシンイミド155mg、
 アスコルビン酸2.26g、及び
 1,3-ジメチル尿素160mg。
 成分A及びBを一緒に混合し、次いでこれを2つの27.4g部分に分割した。それぞれの部分に、下記表4に示したような非分光増感乳剤0.16ミリモルを含有する混合物2gを添加した。次いでこの混合物に、ビス(ビニルスルホニル)メタンの1.8%溶液1.6mlを添加した。次いでその結果生じた配合物を、0.055g/m2のハロゲン化銀被覆量を提供する、ゼラチンで下塗りされたポリ(エチレンテレフタレート)支持体上に100g/m2の湿潤被覆量で塗被した。その結果生じた塗膜を乾燥させることにより、フォトサーモグラフィ材料(本発明及び比較)を用意し、これらの材料にステップ・タブレットを通して0.001秒間にわたってキセノンランプによる露光を施し、そして150℃で15秒間にわたって熱現像した。次いで現像済フィルムに、6時間にわたる77%相対湿度及び21.1℃の環境内で、蛍光照明(約65フートキャンドル又は699.4ルクス)による露光を施した。銀濃度をグリーン吸収度に関してMacbeth TD504デンシトメータ・セットで読み取った。6時間にわたる77%相対湿度及び21.1℃の環境における焼出し効果によってもたらされた初期最小濃度(Dmin)、最大濃度(Dmax)、及び最小濃度増加(最小Δ濃度)を下記表4に示す。
Figure 2004110038
 表4の結果から判るように、本発明のフォトサーモグラフィ材料が示す高湿度「焼出し効果」は、本発明以外の低ヨウ化物比較材料よりも低い。

Claims (5)

  1.  a)感光性ハロゲン化銀の粒子群、
     b)非感光性の被還元性銀イオン源、
     c)親水性バインダー、及び
     d)該被還元性銀イオンのための還元剤組成物
    を含んで成り、該感光性ハロゲン化銀粒子群の主体のすべてが、均質であり、かつ、当該粒子群の全銀量を基準として20モル%以上のヨウ化物を含むことを特徴とする感熱性乳剤。
  2.  該感光性ハロゲン化銀粒子群が当該粒子群の全銀量を基準として24〜30モル%のヨウ化物を含む、請求項1に記載の乳剤。
  3.  親水性バインダー並びに、反応するように組み合わされた下記a〜c:
     a)感光性ハロゲン化銀の粒子群、
     b)非感光性の被還元性銀イオン源、及び
     c)該被還元性銀イオンのための還元剤組成物
    を含む1以上の画像形成層を支持体上に有して成り、該感光性ハロゲン化銀粒子群の主体のすべてが、均質であり、かつ、当該粒子群の全銀量を基準として20モル%以上のヨウ化物を含むことを特徴とするフォトサーモグラフィ材料。
  4.  透明支持体上に、ゼラチン又はゼラチン誘導体をバインダーとして含む水性画像形成層と、該画像形成層の上の水性表面保護オーバーコートとを有し、かつ、該支持体の裏側に水性ハレーション防止層を有して成るフォトサーモグラフィ材料であって、該画像形成層が、反応するように組み合わされた下記a〜e:
     a)感光性ヨウ臭化銀の粒子群、
     b)水性ナノ粒子分散体として用意された1又は2種以上のカルボン酸銀であってその少なくとも1種がベヘン酸銀であるものを含む非感光性の被還元性銀イオン源、
     c)1又は2種以上のヒンダードフェノールを含む、該被還元性銀イオンのための還元剤組成物、
     d)1又は2種以上のカブリ防止剤又は分光増感色素、及び
     e)現像促進剤としての、スクシンイミド、2H-1,3-ベンゾオキサジン-2,4-(3H)-ジオン又はフタラジノン
    を含み、さらに、該感光性ヨウ臭化銀粒子群の主体のすべてが、均質であり、かつ、当該粒子群の全銀量を基準として20〜35モル%のヨウ化物を含むこと、並びに、該水性画像形成層の全銀被覆量が0.2〜5g/mであることを特徴とするフォトサーモグラフィ材料。
  5.  A)請求項3に記載のフォトサーモグラフィ材料に、波長が400nmより長い電磁線による像様露光を施すことにより潜像を形成し、
     B)同時に、又は引き続いて、該露光済フォトサーモグラフィ材料を加熱することにより該潜像を現像して可視像にする
    ことを特徴とする可視像の形成方法。
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