JP2004108430A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス遮蔽性及び装着性に優れた密封装置を提供する。
【解決手段】環状溝を一周する連続したゴム状弾性部材と、ゴム状弾性部材の側方を被覆すると共に環状溝に沿った周上で一部切断された切断部を有するガス遮蔽性の高い樹脂部材と、を備える。これにより、透過漏れ及び隙間漏れが防止されると共に、十分な伸び性を有し装着も容易である。
【選択図】 図2
【解決手段】環状溝を一周する連続したゴム状弾性部材と、ゴム状弾性部材の側方を被覆すると共に環状溝に沿った周上で一部切断された切断部を有するガス遮蔽性の高い樹脂部材と、を備える。これにより、透過漏れ及び隙間漏れが防止されると共に、十分な伸び性を有し装着も容易である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子材料に良く溶解し遮蔽が困難な二酸化炭素のような分子サイズの小さな流体を密封する密封装置に関するものである。この密封装置は、例えば配管継手等に使用可能である。
【0002】
【従来の技術】
冷凍機等に用いられる冷媒は現在、新冷媒と呼ばれるフロンR−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)が主流であるが、環境規制等の問題から、将来使用禁止が予定されている。
【0003】
この冷媒の代替品として近年注目されているのは、炭化水素系ガスと二酸化炭素ガスである。特に二酸化炭素ガスは安全性、取り扱いの容易性等から次世代冷媒として注目を集めている。
【0004】
しかし、二酸化炭素ガスはフロンよりも高圧になり、また一般的な高分子材料への透過性・溶解度も高いため、ブリスター(発泡)が発生し易く、仮にブリスターが発生しなかったとしても材料それ自体を二酸化炭素ガスが透過してしまうため圧力維持や密封を困難なものとしている。
【0005】
密封材料としてゴム材料を用いても一般的には二酸化炭素ガス透過率が高く、特に1MPa以上では著しく高いため、二酸化炭素ガスを十分密封することはできない。また、二酸化炭素はポリマー中へ溶解し易いため、ゴム材料の膨潤が大きい。また、使用圧力が高いために、いわゆる「はみ出し」現象が発生し、それに伴う破壊が生じる。
【0006】
このため、二酸化炭素ガスを密封する装置には、従来、金属同士を接触させるような継手、例えばメタルシールやフレア管継手等が利用されていた。
【0007】
しかしながら、車輌搭載用の空調装置等にあっては、配管用作業の容易性や振動に対する耐久性が要求されるため、メタルシール等は使用できない。そのため、ゴム材料製のOリングで密封する継手の要請が強い。
【0008】
ところが、先にも記載したとおり、ゴム材料は二酸化炭素ガスの遮蔽性が低く、長期にわたる使用では二酸化炭素ガスの漏れ量が多くなる。また、ゴム材料に対する二酸化炭素ガスの溶解による膨潤から「はみ出し」現象も大きくなり、耐久性の問題も免れない。
【0009】
そこで、芯材の一部を不連続とし、伸縮性を付与したゴム被覆リングが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、遮蔽板とOリングの組み合わせにより、二酸化炭素ガスの密閉性を得るCO2冷媒用シール装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
また、樹脂部材とゴム状弾性部材(一体成形品)からなる二酸化炭素ガスの密閉性を得るCO2冷媒用密封装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−005294号公報
【特許文献2】
特開2001−355733号公報
【特許文献3】
特開2002−156042号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、シール自体のつぶし代が得られない問題がある。よって、つぶし代が大きく取れないことから、二酸化炭素ガスの透過漏れ以外に隙間漏れが生じる可能性があった。
【0014】
また、特許文献2及び特許文献3では、配置関係が適切でなければならないことや装着困難な形状であることから、継手への装着性に問題がある。さらには、この場合にも特許文献1と同様につぶし代が遮蔽板や樹脂部材によって制約を受けてしまっていた。
【0015】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガス遮蔽性及び装着性に優れた密封装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、環状隙間の内外周面となる2対向面のいずれか一方の面に形成された環状溝に配置されて前記環状隙間を密封する密封装置であって、前記環状溝を一周する連続したゴム状弾性部材と、該ゴム状弾性部材の側方を被覆すると共に前記環状溝に沿った周上で一部切断された切断部を有するガス遮蔽性の高い被覆部材と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成では、ゴム状弾性部材を透過する二酸化炭素ガスのようなガスの漏洩をゴム状弾性部材の側方を被覆した被覆部材で密封して透過漏れを防ぐことができる。また、ゴム状弾性部材の側方を被覆部材で被覆しただけであり、装置自体が十分なつぶし代を有し、内外周に至る側方を被覆部材が被覆することで、隙間漏れを防ぐことができる。さらに、ゴム状弾性部材とそれに被覆された被覆部材で成る単純な一体化したものであり、被覆部材の周上の一部に切断部を有して一周を伸び広げる十分な伸び性があるので、環状溝への装着も容易である。
【0018】
前記被覆部材が被覆する前記ゴム状弾性部材の側方は、前記ゴム状弾性部材の反密封側であることが好適である。
【0019】
これによると、密封側の使用圧力が高い高圧条件での使用の場合に、ゴム状弾性部材が反密封側へはみ出すはみ出しを被覆部材で抑制することができる。
【0020】
前記ゴム状弾性部材の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−12cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満、
前記被覆部材の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−14cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満である材料の組み合わせで構成されたことが好適である。
【0021】
これによると、より効果的に二酸化炭素ガスの透過漏れを防止した密封ができる。
【0022】
前記被覆部材の前記ゴム状弾性部材を被覆した厚みが1〜200μmであることが好適である。
【0023】
これによると、被覆部材は薄く柔軟性があるので、剥離することなくゴム状弾性部材の変形に追随すると共につぶし代を大きく取ることができ、より効果的にガスの密封ができる。
【0024】
前記被覆部材に前記ゴム状弾性部材を被覆した厚み方向で貫通した孔を設け、該孔にも前記ゴム状弾性部材を充填させて前記被覆部材と前記ゴム状弾性部材とを一体化したことが好適である。
【0025】
これによると、アンカー効果が発揮されて被覆部材とゴム状弾性部材との剥離が生じず双方の接着がより良く行われる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
以下に図1〜図4を用いて実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る密封装置1を示す外観図及び断面図である。図2は実施の形態に係る密封装置1の装着状態を示す断面図である。図3は実施の形態に係る密封装置1の樹脂部材3を示す図である。図4は実施の形態に係る密封装置1の成形方法を示す図である。
【0028】
この密封装置1が配置される環状隙間は、相対運動を行う例えば回転軸もしくは往復動軸とハウジングとによって形成されてもよく、また相対運動を行わない例えばハウジング間に形成されるものでもよい。本実施の形態では、継手の内外周の第1、第2ハウジング10,20間に環状隙間が形成された場合について説明する。
【0029】
密封装置1は、図2に示すように、環状隙間の外周面を表面に形成する第1ハウジング10と環状隙間の内周面を表面に形成する第2ハウジング20との間で、第2ハウジング20の環状溝21に配置されて両ハウジング10,20に密接して密封側Mの二酸化炭素ガスを反密封側Oへ漏れの無いように密封する。
【0030】
密封装置1は、図1に示すように、断面円形のゴム状弾性部材2と、ゴム状弾性部材2の反密封側Oの表面を被覆した被覆部材としての樹脂部材3と、から構成されている。
【0031】
ゴム状弾性部材2は、断面円形で環状溝21を一周する連続したリング形状である。形状としては、いわゆるOリングと同形状である。
【0032】
このゴム状弾性部材2は、材料として例えば、ブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、ニトリルゴム等が用いられている。これらの材料を用いたゴム状弾性部材2の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−12cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満であることが好ましい。
【0033】
一方、樹脂部材3は、図3に示すように、断面円形のゴム状弾性部材2の反密封側Oをゴム状弾性部材2の内外周に至る表面に合わせて円弧状(円周の50%)に被覆した断面半円筒形状であり、環状溝21に沿った周上で一部切断された切断部4を1箇所有する。なお、切断部4は1箇所に限られず、複数設けることもできる。
【0034】
また、樹脂部材3には、ゴム状弾性部材2を被覆した厚み方向で貫通した周上4箇所の孔5が形成されている。孔5にはゴム状弾性部材2が充填されて樹脂部材3の表面に盛り上がっており、アンカー効果が発揮されて樹脂部材3とゴム状弾性部材2との剥離が生じず双方の接着がより良く行われ、樹脂部材3とゴム状弾性部材2とを一体化する。
【0035】
この樹脂部材3は、二酸化炭素透過係数が小さな材料を用い、二酸化炭素ガスの透過を防止するガス遮蔽性を発揮する。材料として例えば、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等が用いられている。これらの材料を用いた樹脂部材3の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−14cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満であることが好ましい。
【0036】
また、樹脂部材3のゴム状弾性部材2を被覆した厚みは、1〜200μmである。このため、樹脂部材3は、薄く柔軟性があり、剥離することなくゴム状弾性部材2の変形に追随すると共につぶし代を大きく取ることができる。
【0037】
以上の密封装置1は、以下のようにして製造される。まず、射出成形法を用いて樹脂部材3を成形し、成形後に切断部4及び孔5を形成する。次に、完成した樹脂部材3をゴム金型にはめ込み、この上に未加硫ゴム生地6を置く(図4(a)参照)。樹脂部材3をはめ込んだゴム金型には、図1のように樹脂部材3の孔5に充填されたゴム生地6がさらに樹脂部材3の表面で僅かに盛り上がるような窪みを形成しておく。そして、ゴム金型の上にこれらを重ね合わせたものを圧縮成形等で加硫し、複合成形体として密封装置1を成形する(図4(b)参照)。
【0038】
このように構成された密封装置1は、図2に示す状態で使用される。即ち、密封装置1は、環状溝21内に配置され、両ハウジング10,20の組込みにより密封装置1の内外周が押圧されて断面楕円形となり、ゴム状弾性部材2が環状隙間を定常的に密封する。
【0039】
また、樹脂部材3もゴム状弾性部材2から剥離することなくゴム状弾性部材2の変形に追随する。これは、樹脂部材3が薄く柔軟性があるためである。また、孔5にゴム状弾性部材2を充填させて表面に盛り上がることによりアンカー効果を発揮させていることから、このような断面楕円形となっても樹脂部材3はゴム状弾性部材2の表面から剥離することなく接着された状態で維持されている。
【0040】
以上のように、密封装置1自体がつぶし代を大きく取ることができ、断面円形から断面楕円形となるまで圧縮変形することができる。
【0041】
そして、この装着状態では、密封側Mの二酸化炭素ガスが反密封側Oへ向かって来ると、密封装置1が十分なつぶし代を有して断面楕円形に変形しており、ゴム状弾性部材2の内外周に至る反密封側Oを樹脂部材3が被覆するので隙間漏れを防ぐ。
【0042】
また、二酸化炭素ガスが図示矢印で示すようにゴム状弾性部材2を透過するが、ゴム状弾性部材2の反密封側Oを被覆する樹脂部材3に対して二酸化炭素ガスは透過しにくいために透過漏れをも防ぐことができる。
【0043】
また、密封側Mの使用圧力が高い高圧条件での使用の場合に、ゴム状弾性部材2が反密封側Oへはみ出しを生じさせようとするが、樹脂部材3がゴム状弾性部材2の反密封側Oを被覆しているために、ゴム状弾性部材2のはみ出しは樹脂部材3によって防止される。
【0044】
なお、密封装置1は、ゴム状弾性部材2とそれに被覆された樹脂部材3で成る単純な一体化したものであり、樹脂部材3の周上の一部に切断部4を有しており、切断部4でゴム状弾性部材2のみがつながった伸び性を許容したことにより密封装置1の一周を伸び広げる十分な伸び性があるので、環状溝21への装着も容易である。
【0045】
以上、本実施の形態について説明したが、ゴム状弾性部材2を被覆する被覆部材としては、樹脂部材3に限られず、ガス透過を防ぎ被覆可能な部材であれば金属等他のものでもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、樹脂部材3がゴム状弾性部材2の反密封側Oの側方を被覆するものであったが、側方としてゴム状弾性部材2の密封側Mを被覆して先にガス透過を防ぐようにしてもよい。しかし、この密封側Mを被覆する場合には、ゴム状弾性部材2のはみ出し防止の機能を樹脂部材3は得ることはできない。このように、側方とは、密封側Mや反密封側Oの軸方向両側のことをいう。
【0047】
ここで、樹脂部材3がゴム状弾性部材2の反密封側Oの側方において、ゴム状弾性部材2の内外周に至る円弧の部分(円周の50%)を被覆していたが、装着時の圧縮状態で隙間漏れを防ぐように両ハウジング10,20に密接する被覆円弧であれば円周の50%以下であってもよい。
【0048】
さらに、本実施の形態では、樹脂部材3をゴム状弾性部材2に接着する方法として、樹脂部材3に設けた孔5にゴム状弾性部材2を充填してアンカー効果によりより良く接着を行う方法を採用していたが、これに限られず、接着剤による接着やその他のアンカー効果を発揮させる結合等種々の方法を採用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、ゴム状弾性部材を透過する二酸化炭素ガスのようなガスの漏洩をゴム状弾性部材の側方を被覆した被覆部材で密封して透過漏れを防ぐことができる。また、ゴム状弾性部材の側方を被覆部材で被覆しただけであり、装置自体が十分なつぶし代を有し、内外周に至る側方を被覆部材が被覆することで、隙間漏れを防ぐことができる。さらに、ゴム状弾性部材とそれに被覆された被覆部材で成る単純な一体化したものであり、被覆部材の周上の一部に切断部を有して一周を伸び広げる十分な伸び性があるので、環状溝への装着も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る密封装置を示す外観図及び断面図である。
【図2】実施の形態に係る密封装置の装着状態を示す断面図である。
【図3】実施の形態に係る密封装置の樹脂部材を示す図である。
【図4】実施の形態に係る密封装置の成形方法を示す図である。
【符号の説明】
1 密封装置
2 ゴム状弾性部材
3 樹脂部材
4 切断部
5 孔
6 未加硫ゴム生地
10 第1ハウジング
20 第2ハウジング
21 環状溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子材料に良く溶解し遮蔽が困難な二酸化炭素のような分子サイズの小さな流体を密封する密封装置に関するものである。この密封装置は、例えば配管継手等に使用可能である。
【0002】
【従来の技術】
冷凍機等に用いられる冷媒は現在、新冷媒と呼ばれるフロンR−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)が主流であるが、環境規制等の問題から、将来使用禁止が予定されている。
【0003】
この冷媒の代替品として近年注目されているのは、炭化水素系ガスと二酸化炭素ガスである。特に二酸化炭素ガスは安全性、取り扱いの容易性等から次世代冷媒として注目を集めている。
【0004】
しかし、二酸化炭素ガスはフロンよりも高圧になり、また一般的な高分子材料への透過性・溶解度も高いため、ブリスター(発泡)が発生し易く、仮にブリスターが発生しなかったとしても材料それ自体を二酸化炭素ガスが透過してしまうため圧力維持や密封を困難なものとしている。
【0005】
密封材料としてゴム材料を用いても一般的には二酸化炭素ガス透過率が高く、特に1MPa以上では著しく高いため、二酸化炭素ガスを十分密封することはできない。また、二酸化炭素はポリマー中へ溶解し易いため、ゴム材料の膨潤が大きい。また、使用圧力が高いために、いわゆる「はみ出し」現象が発生し、それに伴う破壊が生じる。
【0006】
このため、二酸化炭素ガスを密封する装置には、従来、金属同士を接触させるような継手、例えばメタルシールやフレア管継手等が利用されていた。
【0007】
しかしながら、車輌搭載用の空調装置等にあっては、配管用作業の容易性や振動に対する耐久性が要求されるため、メタルシール等は使用できない。そのため、ゴム材料製のOリングで密封する継手の要請が強い。
【0008】
ところが、先にも記載したとおり、ゴム材料は二酸化炭素ガスの遮蔽性が低く、長期にわたる使用では二酸化炭素ガスの漏れ量が多くなる。また、ゴム材料に対する二酸化炭素ガスの溶解による膨潤から「はみ出し」現象も大きくなり、耐久性の問題も免れない。
【0009】
そこで、芯材の一部を不連続とし、伸縮性を付与したゴム被覆リングが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、遮蔽板とOリングの組み合わせにより、二酸化炭素ガスの密閉性を得るCO2冷媒用シール装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
また、樹脂部材とゴム状弾性部材(一体成形品)からなる二酸化炭素ガスの密閉性を得るCO2冷媒用密封装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−005294号公報
【特許文献2】
特開2001−355733号公報
【特許文献3】
特開2002−156042号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、シール自体のつぶし代が得られない問題がある。よって、つぶし代が大きく取れないことから、二酸化炭素ガスの透過漏れ以外に隙間漏れが生じる可能性があった。
【0014】
また、特許文献2及び特許文献3では、配置関係が適切でなければならないことや装着困難な形状であることから、継手への装着性に問題がある。さらには、この場合にも特許文献1と同様につぶし代が遮蔽板や樹脂部材によって制約を受けてしまっていた。
【0015】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガス遮蔽性及び装着性に優れた密封装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、環状隙間の内外周面となる2対向面のいずれか一方の面に形成された環状溝に配置されて前記環状隙間を密封する密封装置であって、前記環状溝を一周する連続したゴム状弾性部材と、該ゴム状弾性部材の側方を被覆すると共に前記環状溝に沿った周上で一部切断された切断部を有するガス遮蔽性の高い被覆部材と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成では、ゴム状弾性部材を透過する二酸化炭素ガスのようなガスの漏洩をゴム状弾性部材の側方を被覆した被覆部材で密封して透過漏れを防ぐことができる。また、ゴム状弾性部材の側方を被覆部材で被覆しただけであり、装置自体が十分なつぶし代を有し、内外周に至る側方を被覆部材が被覆することで、隙間漏れを防ぐことができる。さらに、ゴム状弾性部材とそれに被覆された被覆部材で成る単純な一体化したものであり、被覆部材の周上の一部に切断部を有して一周を伸び広げる十分な伸び性があるので、環状溝への装着も容易である。
【0018】
前記被覆部材が被覆する前記ゴム状弾性部材の側方は、前記ゴム状弾性部材の反密封側であることが好適である。
【0019】
これによると、密封側の使用圧力が高い高圧条件での使用の場合に、ゴム状弾性部材が反密封側へはみ出すはみ出しを被覆部材で抑制することができる。
【0020】
前記ゴム状弾性部材の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−12cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満、
前記被覆部材の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−14cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満である材料の組み合わせで構成されたことが好適である。
【0021】
これによると、より効果的に二酸化炭素ガスの透過漏れを防止した密封ができる。
【0022】
前記被覆部材の前記ゴム状弾性部材を被覆した厚みが1〜200μmであることが好適である。
【0023】
これによると、被覆部材は薄く柔軟性があるので、剥離することなくゴム状弾性部材の変形に追随すると共につぶし代を大きく取ることができ、より効果的にガスの密封ができる。
【0024】
前記被覆部材に前記ゴム状弾性部材を被覆した厚み方向で貫通した孔を設け、該孔にも前記ゴム状弾性部材を充填させて前記被覆部材と前記ゴム状弾性部材とを一体化したことが好適である。
【0025】
これによると、アンカー効果が発揮されて被覆部材とゴム状弾性部材との剥離が生じず双方の接着がより良く行われる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
以下に図1〜図4を用いて実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る密封装置1を示す外観図及び断面図である。図2は実施の形態に係る密封装置1の装着状態を示す断面図である。図3は実施の形態に係る密封装置1の樹脂部材3を示す図である。図4は実施の形態に係る密封装置1の成形方法を示す図である。
【0028】
この密封装置1が配置される環状隙間は、相対運動を行う例えば回転軸もしくは往復動軸とハウジングとによって形成されてもよく、また相対運動を行わない例えばハウジング間に形成されるものでもよい。本実施の形態では、継手の内外周の第1、第2ハウジング10,20間に環状隙間が形成された場合について説明する。
【0029】
密封装置1は、図2に示すように、環状隙間の外周面を表面に形成する第1ハウジング10と環状隙間の内周面を表面に形成する第2ハウジング20との間で、第2ハウジング20の環状溝21に配置されて両ハウジング10,20に密接して密封側Mの二酸化炭素ガスを反密封側Oへ漏れの無いように密封する。
【0030】
密封装置1は、図1に示すように、断面円形のゴム状弾性部材2と、ゴム状弾性部材2の反密封側Oの表面を被覆した被覆部材としての樹脂部材3と、から構成されている。
【0031】
ゴム状弾性部材2は、断面円形で環状溝21を一周する連続したリング形状である。形状としては、いわゆるOリングと同形状である。
【0032】
このゴム状弾性部材2は、材料として例えば、ブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、ニトリルゴム等が用いられている。これらの材料を用いたゴム状弾性部材2の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−12cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満であることが好ましい。
【0033】
一方、樹脂部材3は、図3に示すように、断面円形のゴム状弾性部材2の反密封側Oをゴム状弾性部材2の内外周に至る表面に合わせて円弧状(円周の50%)に被覆した断面半円筒形状であり、環状溝21に沿った周上で一部切断された切断部4を1箇所有する。なお、切断部4は1箇所に限られず、複数設けることもできる。
【0034】
また、樹脂部材3には、ゴム状弾性部材2を被覆した厚み方向で貫通した周上4箇所の孔5が形成されている。孔5にはゴム状弾性部材2が充填されて樹脂部材3の表面に盛り上がっており、アンカー効果が発揮されて樹脂部材3とゴム状弾性部材2との剥離が生じず双方の接着がより良く行われ、樹脂部材3とゴム状弾性部材2とを一体化する。
【0035】
この樹脂部材3は、二酸化炭素透過係数が小さな材料を用い、二酸化炭素ガスの透過を防止するガス遮蔽性を発揮する。材料として例えば、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等が用いられている。これらの材料を用いた樹脂部材3の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−14cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満であることが好ましい。
【0036】
また、樹脂部材3のゴム状弾性部材2を被覆した厚みは、1〜200μmである。このため、樹脂部材3は、薄く柔軟性があり、剥離することなくゴム状弾性部材2の変形に追随すると共につぶし代を大きく取ることができる。
【0037】
以上の密封装置1は、以下のようにして製造される。まず、射出成形法を用いて樹脂部材3を成形し、成形後に切断部4及び孔5を形成する。次に、完成した樹脂部材3をゴム金型にはめ込み、この上に未加硫ゴム生地6を置く(図4(a)参照)。樹脂部材3をはめ込んだゴム金型には、図1のように樹脂部材3の孔5に充填されたゴム生地6がさらに樹脂部材3の表面で僅かに盛り上がるような窪みを形成しておく。そして、ゴム金型の上にこれらを重ね合わせたものを圧縮成形等で加硫し、複合成形体として密封装置1を成形する(図4(b)参照)。
【0038】
このように構成された密封装置1は、図2に示す状態で使用される。即ち、密封装置1は、環状溝21内に配置され、両ハウジング10,20の組込みにより密封装置1の内外周が押圧されて断面楕円形となり、ゴム状弾性部材2が環状隙間を定常的に密封する。
【0039】
また、樹脂部材3もゴム状弾性部材2から剥離することなくゴム状弾性部材2の変形に追随する。これは、樹脂部材3が薄く柔軟性があるためである。また、孔5にゴム状弾性部材2を充填させて表面に盛り上がることによりアンカー効果を発揮させていることから、このような断面楕円形となっても樹脂部材3はゴム状弾性部材2の表面から剥離することなく接着された状態で維持されている。
【0040】
以上のように、密封装置1自体がつぶし代を大きく取ることができ、断面円形から断面楕円形となるまで圧縮変形することができる。
【0041】
そして、この装着状態では、密封側Mの二酸化炭素ガスが反密封側Oへ向かって来ると、密封装置1が十分なつぶし代を有して断面楕円形に変形しており、ゴム状弾性部材2の内外周に至る反密封側Oを樹脂部材3が被覆するので隙間漏れを防ぐ。
【0042】
また、二酸化炭素ガスが図示矢印で示すようにゴム状弾性部材2を透過するが、ゴム状弾性部材2の反密封側Oを被覆する樹脂部材3に対して二酸化炭素ガスは透過しにくいために透過漏れをも防ぐことができる。
【0043】
また、密封側Mの使用圧力が高い高圧条件での使用の場合に、ゴム状弾性部材2が反密封側Oへはみ出しを生じさせようとするが、樹脂部材3がゴム状弾性部材2の反密封側Oを被覆しているために、ゴム状弾性部材2のはみ出しは樹脂部材3によって防止される。
【0044】
なお、密封装置1は、ゴム状弾性部材2とそれに被覆された樹脂部材3で成る単純な一体化したものであり、樹脂部材3の周上の一部に切断部4を有しており、切断部4でゴム状弾性部材2のみがつながった伸び性を許容したことにより密封装置1の一周を伸び広げる十分な伸び性があるので、環状溝21への装着も容易である。
【0045】
以上、本実施の形態について説明したが、ゴム状弾性部材2を被覆する被覆部材としては、樹脂部材3に限られず、ガス透過を防ぎ被覆可能な部材であれば金属等他のものでもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、樹脂部材3がゴム状弾性部材2の反密封側Oの側方を被覆するものであったが、側方としてゴム状弾性部材2の密封側Mを被覆して先にガス透過を防ぐようにしてもよい。しかし、この密封側Mを被覆する場合には、ゴム状弾性部材2のはみ出し防止の機能を樹脂部材3は得ることはできない。このように、側方とは、密封側Mや反密封側Oの軸方向両側のことをいう。
【0047】
ここで、樹脂部材3がゴム状弾性部材2の反密封側Oの側方において、ゴム状弾性部材2の内外周に至る円弧の部分(円周の50%)を被覆していたが、装着時の圧縮状態で隙間漏れを防ぐように両ハウジング10,20に密接する被覆円弧であれば円周の50%以下であってもよい。
【0048】
さらに、本実施の形態では、樹脂部材3をゴム状弾性部材2に接着する方法として、樹脂部材3に設けた孔5にゴム状弾性部材2を充填してアンカー効果によりより良く接着を行う方法を採用していたが、これに限られず、接着剤による接着やその他のアンカー効果を発揮させる結合等種々の方法を採用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、ゴム状弾性部材を透過する二酸化炭素ガスのようなガスの漏洩をゴム状弾性部材の側方を被覆した被覆部材で密封して透過漏れを防ぐことができる。また、ゴム状弾性部材の側方を被覆部材で被覆しただけであり、装置自体が十分なつぶし代を有し、内外周に至る側方を被覆部材が被覆することで、隙間漏れを防ぐことができる。さらに、ゴム状弾性部材とそれに被覆された被覆部材で成る単純な一体化したものであり、被覆部材の周上の一部に切断部を有して一周を伸び広げる十分な伸び性があるので、環状溝への装着も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る密封装置を示す外観図及び断面図である。
【図2】実施の形態に係る密封装置の装着状態を示す断面図である。
【図3】実施の形態に係る密封装置の樹脂部材を示す図である。
【図4】実施の形態に係る密封装置の成形方法を示す図である。
【符号の説明】
1 密封装置
2 ゴム状弾性部材
3 樹脂部材
4 切断部
5 孔
6 未加硫ゴム生地
10 第1ハウジング
20 第2ハウジング
21 環状溝
Claims (5)
- 環状隙間の内外周面となる2対向面のいずれか一方の面に形成された環状溝に配置されて前記環状隙間を密封する密封装置であって、
前記環状溝を一周する連続したゴム状弾性部材と、
該ゴム状弾性部材の側方を被覆すると共に前記環状溝に沿った周上で一部切断された切断部を有するガス遮蔽性の高い被覆部材と、
を備えたことを特徴とする密封装置。 - 前記被覆部材が被覆する前記ゴム状弾性部材の側方は、前記ゴム状弾性部材の反密封側であることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
- 前記ゴム状弾性部材の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−12cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満、
前記被覆部材の4MPa、25℃における二酸化炭素透過係数が1.0×10−14cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa)未満である材料の組み合わせで構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の密封装置。 - 前記被覆部材の前記ゴム状弾性部材を被覆した厚みが1〜200μmであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の密封装置。
- 前記被覆部材に前記ゴム状弾性部材を被覆した厚み方向で貫通した孔を設け、該孔にも前記ゴム状弾性部材を充填させて前記被覆部材と前記ゴム状弾性部材とを一体化したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の密封装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2004108430A true JP2004108430A (ja) | 2004-04-08 |
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Family Applications (1)
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JP2002269716A Pending JP2004108430A (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | 密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004108430A (ja) |
-
2002
- 2002-09-17 JP JP2002269716A patent/JP2004108430A/ja active Pending
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