JP2004108137A - プレキャスト部材による壁体構造物およびその継手 - Google Patents

プレキャスト部材による壁体構造物およびその継手 Download PDF

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Abstract

【課題】壁体構造物の構築におけるプレキャスト部材接合作業の効率化、作業性の向上、プレキャスト部材表面の無欠損化、経済性の向上等を図る。
【解決手段】既設セグメント1の軸方向切羽側端面に雌継手21,21eが位置するようにセグメント1を千鳥組みする。新設セグメント1aを、トンネルの切羽側から坑口側に向けて押込む。連結材11aで連結された1対の雄継手11および端部雄継手11eの先端部が、それぞれ端部雌継手21eおよび連結材21aで連結された1対の雌継手21に進入して行く際に調芯機能が働く。円周方向継手面については、雄、雌テーパーナックル継手面31,41が法線方向のガイドとなってセグメント1,1aどうしが引き寄せられながら円滑な進入が可能となる。
【選択図】  図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明はプレキャスト部材を継手を介して組み立ててなる壁体構造物およびその継手の構造に関するもので、例えばシールドトンネル、立坑、タンク側壁等の壁体構造物およびその構築に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、シールド工法に用いるセグメントの連結方法はボルトによる結合が多い。そのため、ボルトの芯あわせに手間がかかる、ボルトの締結作業が必要である、金物が露出しているため防錆処理が必要である、セグメント内面が平滑でない(内面側に継手ボックスなどが開口している)ため二次覆工が必要である等の欠点がある。
【0003】
これに対し、継手がセグメント本体に埋設され、内面を平滑にして2次覆工を省略可能とするとともに、ボルト接合を不要とし、組立ての自動化、省力化を図った継手構造が種々開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等参照)。
【0004】
また、特許文献4には、リング接合端面の周方向両端部に嵌合凸部が、それらの間に嵌合凹部がそれぞれ周方向に沿って連続的に形成されたセグメントを千鳥組みすることによってリング接合端面どうしを接合し、この接合端面間の隙間をなくすために、モルタル等の密閉材を充填する充填孔を貫通形成させた構造が記載されている。
【0005】
さらに、特許文献5には、前記特許文献4記載の構造に加え、リング接合端面に断面台形状で円弧状の補強金具を固着させた構造が記載されている。
【0006】
なお、前記特許文献4および特許文献5に記載されたものは、何れもセグメントどうしを連結するためには、周方向、長手方向ともボルトを使用しており、これらのボルトによって引張力やせん断力に抵抗している。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−248898号公報
【特許文献2】
特開平8−296396号公報
【特許文献3】
特開2001−90485号
【特許文献4】
特開平7−139296号公報
【特許文献5】
特開平7−197787号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1、特許文献2および特許文献3記載の継手構造は、製作誤差や組立誤差に対処できるように考慮されているもののその機能は必ずしも十分でなく、また継手面における引抜き力、せん断力に対する抵抗も十分とは言い難い。
【0009】
一方、特許文献4および特許文献5記載の構造は、セグメントを千鳥組みすることを前提としたものであり、リング接合端面における嵌合凸部と嵌合凹部の組み合わせに加え、密閉材の充填により隙間をなくすことができるため、接合面どうしが密着し、せん断力の伝達に優れる。
【0010】
しかし、リング接合端面を断面台形状に形成するために型枠が高価となるとともに、密閉材の充填がセグメント組立時の現場作業となるために、作業が煩雑となること、充填作業の施工管理が伴うこと、したがって作業効率の低下を招くこと等の問題がある。
【0011】
また、特許文献5記載のものは、補強金具を固着させた構造であるため、さらに経済性の低下を招いていることは明らかである。
【0012】
本願発明は、筒状の壁体構造物をプレキャスト部材の千鳥組みで構成し、壁体軸方向の継手部材に周方向の継手機能を兼備させ、周方向の継手面に継手金具等を必要としない構造としたものであり、構築におけるプレキャスト部材接合作業の効率化、作業性の向上、プレキャスト部材表面の無欠損化、経済性の向上等を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係るプレキャスト部材による壁体構造物は、複数のプレキャスト部材を周方向に配してリングを形成し、リング軸方向には各プレキャスト部材が隣接するリングの2つのプレキャスト部材間に跨がるように千鳥組みしてなる壁体構造物において、前記プレキャスト部材のリング継手面の周方向中間部に所定間隔をおいて設けられた少なくとも1対の継手部材が周方向に連結されており、該1対の継手部材のそれぞれを隣接するリングの2つのプレキャスト部材のリング継手面のそれぞれ端部から所定間隔をおいて設けられた端部継手部材と嵌合してなることを特徴とするものである。
【0014】
本願発明の壁体構造物に用いる継手は、雌雄の継手がプレキャスト部材本体に埋設され、基本的にはプレキャスト部材を押圧するだけで、プレキャスト部材どうしの継手による接合を完了することができる自動継手タイプの継手である。
【0015】
また、千鳥組みによる組立てを前提とし、リング軸方向の継手、すなわちリング継手面に設けられた雌雄の継手の嵌合のみで組立てを完了することができる。ただし、別途、周方向について仮止め的な金具を用いたり、あるいは何らかの継手部材を取り付けることは差し支えない。
【0016】
なお、ここで言うプレキャスト部材は、主としてシールドトンネル用のセグメントを対象とするが、その他、立坑、タンク側壁等に用いられる各種プレキャスト部材を含む。また、ここで言うリングは、狭い意味での円形リングに限定されず、断面形状が矩形や複円形、楕円形、小判型、アーチ型なども含むものとし、必ずしも周方向に閉合されていなくともよい。
【0017】
リング継手面の継手部材としての雄継手および雌継手の材料としては、金属製、強化プラスチック、セラミックス製等のものが利用でき、その他、必要な強度を有するものであれば、材質は特に限定されない。
【0018】
請求項2は、請求項1に係るプレキャスト部材による壁体構造物において、前記プレキャスト部材のリング継手面の周方向中間部に設けられた連結された少なくとも1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔が、該1対の継手部材が嵌合する隣接するリングの2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔より相対的に小さく設定されている場合である。
【0019】
上記1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔が、これと嵌合する隣接するリングの2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔より相対的に小さく設定されていることは、これらの嵌合に際し、周方向に確実に引寄せ力が作用することを意味する。なお、リング継手面、周方向継手面とも、通常、シール材を取り付けるためのシール溝が形成されており、プレキャスト部材どうしの引き寄せに際し、シール材を押し潰す形で継手面における止水性が確保されている。
【0020】
したがって、プレキャスト部材のリング継手面の周方向中間部に設けられた連結された少なくとも1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔は、シール材の取り付け代なども考慮して決める必要がある。少なくとも1対というのは2対以上でもよいことを意味する。
【0021】
周方向継手面に締結機能を有する継手がない場合、そのままではプレキャスト部材どうしを周方向引き寄せる力が生じないが、請求項2に係る発明では、千鳥組みされる新設のプレキャスト部材のリング継手面の周方向中間部で互いに連結されている1対の継手部材を、隣接するリングの2つのプレキャスト部材の端部継手部材と嵌合することで、該隣接するリングの2つのプレキャスト部材どうしを周方向に引き寄せることができる。
【0022】
したがって、別途、周方向継手面に引き寄せ機能を有する継手を設ける必要がなく、新設のプレキャスト部材のリング軸方向への嵌合だけで効率よく、迅速に壁体構造物を構築して行くことができる。
【0023】
請求項3は、請求項1に係るプレキャスト部材による壁体構造物において、前記プレキャスト部材のリング継手面の周方向中間部に設けられた連結された少なくとも1対の継手部材どうしは、一端面が前記継手面に位置する連結材の嵌合孔に対し、該継手面の周方向に遊隙をおいて嵌入されていることにより、該遊隙の範囲で相対変位を許容するように連結されており、前記連結材と前記端部継手部材のいずれか一方に設けられたせん断受圧部としての嵌合凸部と、他方に設けられたせん断受圧部としての嵌合凹部が互いに嵌合することで、該継手面における周方向のせん断力を伝達するようになっており、かつ嵌合前の前記連結材のせん断受圧部どうしの間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材のせん断受圧部どうしの間隔より相対的に小さく設定されている場合である。
【0024】
上述した請求項2に係る発明では、基本的には連結された1対の継手部材どうしの間隔が変化しない場合を想定しており、これと隣接するリングの2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしが嵌合する際、継手面にシール材がある場合にはシール材を押し潰しながら、該隣接するリングの2つのプレキャスト部材が周方向に引き寄せられる。
【0025】
これに対し、請求項3に係る発明では、少なくともリング継手面の周方向については、請求項2の場合のように、連結された1対の継手部材が隣接する2つのプレキャクスト部材の端部継手部材どうしを引き寄せるのではなく、連結材が端部継手部材どうしを引き寄せるようになっている。
【0026】
すなわち、連結材によって連結されている1対の継手部材は、遊隙の範囲で連結材に対してリング継手面周方向の相対変位が可能であるため、端部継手部材との嵌合においては引き寄せの機能がなく、連結材と端部継手部材のせん断受圧部どうし(嵌合凹部と嵌合凸部)の嵌合により端部継手部材どうしが引き寄せられるようになっている。
【0027】
この場合、連結材と端部継手部材のせん断受圧部の当接位置(テーパー面とすることが望ましい)においてリング継手面周方向のせん断力が伝達される。なお、リング継手面においてこれと直交する方向のせん断力については、請求項2の場合と同様、連結された1対の継手部材と隣接する2つのプレキャクスト部材の端部継手部材どうしの間で伝達される。
【0028】
嵌合前の前記連結材のせん断受圧部どうしの間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材のせん断受圧部どうしの間隔より相対的に小さくなるように設定してあることで、嵌合(1対の継手部材と隣接する2つのプレキャクスト部材の端部継手部材どうしの嵌合、および連結材と端部継手部材との嵌合)に際し、プレキャスト部材どうしが引き寄せられる基本的な原理は、請求項2の継手部材どうしの嵌合による場合と同様であるが、請求項3の場合、その引き寄せに際し、引寄せのための反力は連結材部分に生じ、連結された1対の継手部材とコンクリートとの間に引寄せのため反力が生じさせないという利点がある。
【0029】
嵌合前の連結材のせん断受圧部どうしの間隔をシール材の取り付け代なども考慮して決める必要があること、少なくとも1対というのは2対以上でもよいこと、別途、周方向継手面に引寄せ機能を有する継手を設ける必要がなく、新設のプレキャスト部材のリング軸方向への嵌合だけで効率よく、迅速に壁体構造物を構築して行くことができること等は、請求項2の場合と同様である。
【0030】
請求項4は、請求項1、2または3に係るプレキャスト部材による壁体構造物において、リング継手面で嵌合された継手部材の一方が一方のプレキャスト部材のリング継手面の内側に埋設されリング継手面に開口する雌継手であり、他方が他方のプレキャスト部材のリング継手面から突出する雄継手である場合である。
【0031】
リング継手面に設けられた雌雄の継手の嵌合による継手は、従来の技術の項でも述べたように種々開発さており、雌雄の継手個々の形態については種々の形状、構造のものが適用可能である。
【0032】
請求項5は、請求項1〜4に係るプレキャスト部材による壁体構造物において、周方向に隣接するプレキャスト部材の周方向端部どうしが、リング軸方向の断面寸法形状がそれぞれほぼ同一であって少なくとも1条の雄ナックル継手面としての凸状曲面と雌ナックル継手面としての凹状曲面で係合している場合である。
【0033】
本願発明において、周方向継手面については、締結機能を有する継手を必要としないが、後に詳述するように、ナックル継手面を有する雌雄のナックル継手は継手面における回転に抵抗せずに、周方向の軸力をナックル継手面で伝達することができる。
【0034】
雌雄のナックル継手面は、通常、継手面の長手方向に1条設けられるが、2条以上でもよい。
【0035】
請求項6は、請求項5に係るプレキャスト部材による壁体構造物において、前記プレキャスト部材の周方向継手面のナックル継手は、該周方向継手面の一方の端部からリング軸方向中央部までがリング軸方向中央部に向けて突出部の高さおよびまたは幅が漸減する少なくとも1条の凸状曲面を有する雄ナックル継手面を形成し、他方の端部からリング軸方向中央部までがリング中央部に向けて溝部の深さおよびまたは幅が漸減する少なくとも1条の凹状曲面を有する雌ナックル継手面を形成している場合である。
【0036】
ナックル継手面にテーパーを設けることで、雌雄のナックル継手面が互いにガイドの役割を果たし、新設のプレキャスト部材のリング軸方向への押込みと同時に既設リングのプレキャスト部材どうし、あるいは新設のプレキャスト部材と周方向に隣り合うプレキャスト部材との間での周方向継手面での引寄せ接合を、断面形状の変わらない平行ナックル継手面の場合に比べ、よりスムーズに行うことができる。
【0037】
また、1つの継手面のリング軸方向中央部を境に、雄ナックル継手面と雌ナックル継手面を設けたのは、プレキャスト部材をリング状に組み立てて行く際の接合手順との関係で、施工の容易化を図ったものである。
【0038】
請求項7は、請求項1〜6に係るプレキャスト部材による壁体構造物において、周方向に隣接するプレキャスト部材の周方向継手面間にはシール材が介在し、前記リング継手面に設けられた継手部材どうしの嵌合により周方向に引き寄せられたプレキャスト部材の周方向継手面間で前記シール材が押圧され、該プレキャスト部材の周方向継手面に密着している場合である。
【0039】
前述したように、シール材を介在させることで継手面における止水性を確保することができる。
【0040】
本願の請求項8に係るプレキャスト部材の継手は、上記請求項2に係る壁体構造物の構築に適した継手を与えるものであり、千鳥組みにより壁体構造物を形成するプレキャスト部材の継手であって、隣接する2つのプレキャスト部材に跨がって配置されるプレキャスト部材の継手面の長手方向中間部に設けられた少なくとも1対の継手部材が継手面の長手方向に連結されており、該1対の継手部材のそれぞれが前記隣接する2つのプレキャスト部材の継手面のそれぞれ長手方向端部から所定間隔をおいて設けられた端部継手部材と嵌合するようになっており、連結された該1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔より相対的に小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0041】
連結された該1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔より相対的に小さく設定した効果や継手部材の材質等は、請求項1、2に係る発明について述べた通りである。
【0042】
請求項9は、請求項8に係るプレキャスト部材の継手において、前記1対の継手部材が連結材としての板状の鋼材によって連結されている場合であり、請求項10は、前記1対の継手部材が連結材とともに一体成形されている場合である。
【0043】
本願の請求項8に係るプレキャスト部材の継手では、連結された該1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔より相対的に小さく設定されているため、継手部材どうしの嵌合により接合が行われた状態では連結材に、プレキャスト部材どうしの引寄せ力の反力として周方向の引張力が作用する。
【0044】
したがって、その引張力に抵抗できるものであれば、連結材の材質や形態は問わないが、特に鋼製の継手部材を用いる場合には、連結材として鋼板を用いたり、あるい継手部材と一体成形するのが性能、信頼性、コストの面などで有利である。
【0045】
請求項11は、請求項8〜10に係るプレキャスト部材の継手において、前記1対の継手部材と前記隣接する2つのプレキャスト部材の継手部材は、一方が継手面の内側に埋設され継手面に開口する雌継手であり、他方が継手面から突出する雄継手である場合であり、請求項4の構造に対応するものである。
【0046】
請求項12は、請求項8〜11に係るプレキャスト部材の継手において、前記連結材の少なくとも一端面が継手面と面一になっている場合、請求項13は、前記連結材がプレキャスト部材の継手面より内側に埋没している場合である。
【0047】
請求項13の場合、特に鋼製の連結材がコンクリート中に埋設される場合において、連結材の防錆等の処理が不要となるメリットがある。
【0048】
請求項14は、請求項8〜11に係るプレキャスト部材の継手において、前記雄継手と雌継手の嵌合状態において前記雄継手のせん断力を受ける部分の断面形状が略矩形または略小判形である場合である。
【0049】
リング継手面におけるせん断力は雄継手と雌継手あるいはこれらと連結材との嵌合部分の側面において伝達されるため、この部分の断面形状を略矩形や略小判形でできるだけ大きな断面とすることで継手面におけるせん断力の伝達がスムーズとなる。
【0050】
本願の請求項15に係るプレキャスト部材の継手は、前記請求項3に係る壁体構造物の構築に適した継手を与えるものであり、千鳥組みにより壁体構造物を形成するプレキャスト部材の継手であって、隣接する2つのプレキャスト部材に跨がって配置されるプレキャスト部材の継手面の長手方向中間部に設けられた少なくとも1対の継手部材が継手面の長手方向に連結されており、該1対の継手部材のそれぞれが前記隣接する2つのプレキャスト部材の継手面のそれぞれ長手方向端部から所定間隔をおいて設けられた端部継手部材と嵌合するようになっており、連結された該1対の継手部材どうしは、一端面が前記継手面に位置する連結材の嵌合孔に対し、該継手面の長手方向に遊隙をおいて嵌入されていることにより、該遊隙の範囲で相対変位を許容する状態で連結されており、前記連結材と前記端部継手部材のいずれか一方に形成されたせん断受圧部としての嵌合凸部と、他方に形成されたせん断受圧部としての嵌合凹部が互いに嵌合することで、該継手面の長手方向のせん断力を伝達するようになっており、かつ嵌合前の前記連結材のせん断受圧部どうしの間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材せん断受圧部どうしの間隔より相対的に小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0051】
嵌合前の連結材のせん断受圧部どうしの間隔を、隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材せん断受圧部どうしの間隔より相対的に小さく設定した効果や継手部材の材質等は、請求項3に係る発明について述べた通りである。
【0052】
請求項15の場合も、接合が行われた状態では連結材に、プレキャスト部材どうしの引寄せ力の反力として周方向の引張力が作用する。連結材の材質や形態は問わないが、特に鋼製の継手部材を用いる場合には、連結材として鋼板、球状黒鉛鋳鉄、鋳鋼等を用いるのが性能、信頼性、コストの面などで有利である。
【0053】
請求項16は、請求項15に係るプレキャスト部材の継手において、前記1対の継手部材と前記隣接する2つのプレキャスト部材の継手部材は、一方が継手面の内側に埋設され継手面に開口する雌継手であり、他方が継手面から突出する雄継手であり、嵌合前の該1対の継手部材どうしの間隔と、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔がほぼ一致するように設定されている場合である。
【0054】
請求項15の継手の場合、リング継手面周方向のせん断力の伝達は連結材が受け持ち、連結材によって連結される1対の継手部材については連結材の嵌合孔部分の遊隙で変位が許容されるため、これらと対向する隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材との間で偏心させる必要なく、むしろこれらがほぼ一致するように設定することで、リング継手として安定した構造となり、またリング周方向についてはコンクリートとの付着に影響を及ぼすような無理な力が作用しないという利点がある。
【0055】
請求項17は、請求項8〜16に係るプレキャスト部材の継手において、前記端部継手部材には前記1対の継手部材から受ける周方向のせん断力に抵抗させるための周方向または周面に対し斜め方向のアンカー部が設けられている場合である。
【0056】
端部継手部材については、前記1対の継手部材との嵌合により周方向継手面への引寄せ力が作用し、設計によっては端部継手部材に大きなせん断力が作用することが考えられる。その場合に、斜め方向のアンカー部を設けることで変形や抜け出しを抑制することができる。
【0057】
請求項18は、請求項8〜17に係るプレキャスト部材の継手において、前記プレキャスト部材がコンクリート製、鉄筋コンクリート製、またはコンクリートを充填した鋼製あるいはダクタイル鋳鉄製であり、連結された前記1対の継手部材およびまたは前記連結材のコンクリート中に埋設される部分の表面が歪み吸収機能を有する被覆材料で被覆されている場合である。
【0058】
後に詳述するように、前記1対の継手部材を連結した状態で嵌合を行うことで、あるいは請求項15の場合は、連結材と端部継手部材が直接嵌合する部分を有することで、連結材に引張力が作用し、それによりプレキャスト部材のコンクリートにひび割れを生ずる恐れがある。請求項18に係る発明では、連結材や継手部材の表面を歪み吸収機能を有する被覆材料で被覆することで、その部分でのコンクリートとの付着を切り、コンクリートのひび割れを防止することができる。
【0059】
なお、被覆材料で被覆する必要があるのは、コンクリートと接する部分であり、継手面に露出した部分等は被覆する必要はない。また、継手部材のアンカー部については被覆することでアンカー機能が損なわれるので被覆しないかまたはアンカー機能に支障がない範囲で被覆する。さらに、請求項15の場合は継手部材には被覆せず、連結材のみの被覆で足りる。
【0060】
請求項19は、請求項8〜18に係るプレキャスト部材の継手において、前記プレキャスト部材がコンクリート製、鉄筋コンクリート製、またはコンクリートを充填した鋼製あるいはダクタイル鋳鉄製であり、該コンクリートと、連結された前記1対の継手部材およびまたは該連結材とが、継手面の長手方向に接することで、該コンクリートに押圧力が作用する位置に変位吸収材を介在させている場合である。
【0061】
請求項18では、被覆材料による被覆で縁切れさせることで、連結材に引張力が作用し、それによりプレキャスト部材のコンクリートにひび割れを生ずるのを防止することとしたが、連結材の両端その他、連結材や1対の継手部材とコンクリートが継手面の長手方向、すなわちプレキャスト部材をリング状に組んだ場合のリング周方向に当接する部分で、これらの部材とコンクリートの間に押圧力が作用し、その部分からコンクリートにひび割れが生ずることが考えられるため、請求項19ではそのような押圧力が作用する部分に変位吸収材を介在させることでひび割れの発生を防止することした。
【0062】
なお、請求項18の被覆材料による被覆を行わずに、請求項19の変位吸収材を介在させる場合もある。
【0063】
変位吸収材としては、取り扱いやすさやその機能から、発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、発泡スチロール等、独立気泡を有する発泡樹脂が適するが、連結材または継手部材とコンクリートの間に介在させた状態で変形することによって変位を吸収できるものであれば特に限定されない。
【0064】
以上述べた本願発明において、プレキャスト部材として、本願発明は主としてシールド工法用のセグメントを対象としているが、これに限定されず、鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造、鋼コンクリート合成構造、コンクリートを充填した鋼製構造および球状黒鉛鋳鉄構造等の各種構造、各種用途のプレキャスト部材に適用することができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施形態をシールド工法用の鉄筋コンクリートセグメント(以下「セグメント」という。)を例として説明する。
【0066】
図1は、Aセグメント3ピース(A1、A2、A3の3種各1ピースのセグメント)、Bセグメント2ピース(B1、B2の2種各1ピースのセグメント)およびKセグメント1ピースを用いて1リングを構成する場合のセグメント組立図である。
【0067】
図1(a) は1リングの組立状況を示す立面図、図1(b) は図1(a) のリングを3リング千鳥組みした場合の展開図、図1(c) は図1(b) の1リングを取り出し、円周方向の継手部を若干離間させて図示した展開図である。なお、図中、各セグメントに付した丸付数字は1リングごとのセグメントの組立順序を表す(図6、図7についても同じ)。
【0068】
図2は図1に示すA2セグメントの透視斜視図であり、図において上側がシールドトンネルの坑口側、下側が切羽側となる。図の右側の円周方向継手面は坑口側二分の一の長さ分がナックル継手を構成する雌テーパーナックル継手面41、切羽側二分の一の長さ分が雄テーパーナックル継手面31、また左側の円周方向継手面は坑口側二分の一の長さ分が雄テーパーナックル継手面31、切羽側二分の一の長さ分が雌テーパーナックル継手面41を形成している。
【0069】
ここで、ナックル継手とは継手面において実質的に回転に対する抵抗を有しない凹凸面突き合わせ継手をいう。
【0070】
本願において、雄テーパーナックル継手面31とは、円周方向継手面において、リング継手面に最も近い該継手面における突出幅が最大でセグメント幅中央(トンネル長手方向の中央)におけるセグメントの厚さ中央付近で突出幅が最小となるように突出幅が漸減し、かつ該継手面からの突出高さが、前記突出幅が最大となる位置で最大となり前記突出幅が最小となる位置で最小となるような、横断面形状がかまぼこ形凸状断面で、該かまぼこ形凸状断面の大きさがトンネル長手方向に漸減または漸増する凸状曲面と、それを除く平面部を含む継手面をいう。
【0071】
また、雌テーパーナックル継手面41とは、円周方向継手面において、リング継手面に最も近い該継手面における溝部の幅が最大でセグメント幅中央(トンネル長手方向の中央)におけるセグメントの厚さ中央付近で溝部の幅が最小となるように溝部の幅が漸減し、かつ該継手面からの溝部の深さが、前記溝部の幅が最大となる位置で最大となり前記溝部の幅が最小となる位置で最小となるような、横断面形状がかまぼこ形凹状断面で、該かまぼこ形凹状断面の大きさがトンネル長手方向に漸減または漸増する凹状曲面と、それを除く平面部を含む継手面をいう。
【0072】
トンネル長手方向の継手面には、坑口側に雄継手11,11e、切羽側に雌継手21,21eがそれぞれコンクリートに埋設されている。それらのうち、中央部の雄継手11および雌継手21は、それぞれ円周方向に所要量の離間を設けてそれぞれ連結材1laおよび連結材21aにより連結して1対として配置されている。
【0073】
また、両端部の雄継手11eおよび雌継手21eは、それぞれ1対の中央部の雄継手11,11および雌継手21,21より円周方向に所要量離間して、円周方向継手面に近い位置に配置されている。
【0074】
ここに、所要量の離間とは、図1(b) に示すようにセグメントを千鳥組みしてトンネル長手方向の継手が連結可能なように、すなわち連結された1対の雄継手および雌継手が、円周方向に略等間隔に配置されるような離間を意味する。
【0075】
また、図2において右側継手面の切羽側には、該継手面に対して斜めに配置され該継手面に開口するインサート51が埋設され、またこれに対応するように左側継手面の切羽側とトンネル長手方向の継手面に開口するボルト孔52が穿設され、後に説明する図4あるいは図8等に示されるボルト53の挿通が可能となっている。
【0076】
図3は、図1(a) のリングが2リング千鳥組みされ、かつ第3番目のリングのうちA1セグメントが組立完了し、A2セグメントを組立中の下部の状況を示す透視斜視図、図4はその詳細を示す透視斜視図である。
【0077】
図5は、A1セグメントとA2セグメントとの円周方向継手面を展開した透視斜視図である。
【0078】
図5において、組立完了のA1セグメントのA2セグメントとの円周方向継手面のうち坑口側二分の一は、凸状円弧状部と継手平面部との交線が坑口側に向かって漸増する雄テーパーナックル継手面31を、切羽側二分の一は、凹状円弧状部と継手平面部との交線が坑口側に向かって漸減する雌テーパーナックル継手面41をそれぞれ形成している。
【0079】
該A1セグメントに接合されるA2セグメントの継手面のうち、坑口側二分の一は、凹状円弧状部と継手平面部との交線が坑口側に向かって漸増する雌テーパーナックル継手面41を、切羽側二分の一は、凸状円弧状部と継手平面部との交線が坑口側に向かって漸減する雄テーパーナックル継手面31をそれぞれ形成している。
【0080】
かく構成された円周方向継手面どうしが接合される状況を示す図4において、粗位置決めされたA2セグメントがエレクターまたはジャッキによって坑口側に押し込まれると、既設のA1セグメント継手面に形成された雄テーパーナックル継手面31の凸状円弧状部および雌テーパーナックル面41の凹状円弧状部がガイドとなって進入し、該セグメントの長手方向の雄継手11eが既設リングの雌継手21に円滑に挿入されることとなる。
【0081】
図1ではAセグメントの円周方向継手面に形成する雄テーパーナックル面31の凸状円弧状部および雌テーパーナックル面41の凹状円弧状部の配置の相違によってA1、A2、A3の3種類のAセグメントが必要となる。これに対し、Aセグメントを1種類で構成可能にしたのが図6である。
【0082】
すなわち、詳細を図6(d) に示すように、雄継手11eのリング継手面からの突出代hpと組立余裕代α分だけ円周方向継手面の長手方向中央部に平面部54を設けることでこれを可能にし、もって製作性、経済性、施工性をより向上させた。
【0083】
また、図1、図6では各セグメントの円周方向中央に連結された雄継手11,11、雌継手21,21をそれぞれ1組ずつ配置したのに対し、図7ではAセグメントおよびBセグメントには2組ずつを、Kセグメントでは図1、図6と同様に1組ずつをそれぞれ配置した例を示しており、トンネル断面寸法やセグメントの使用条件によってセグメントの千鳥組みが可能であれば継手の配置は自由である。
【0084】
図8は図1〜図7において、Aセグメントどうし又はAセグメントとBセグメントを接合した状態の横断面拡大図である。雄、雌テーパーナックル面31,41の凸状円弧状部31aと凹状円弧状部41aは当接しているが、平面部31b,41bは幾分かの間隙を有して接合されるよう、凸状円弧状部31aの高さおよび凹状円弧状部41aの深さが設定されている。
【0085】
これにより、セグメントリングに作用する円周方向軸圧縮力はセグメント厚さのほぼ中央部を通してのみ伝達される。すなわち、土、水圧荷重等によるセグメントリングの横断面内変形の多くは、円周方向の継手面のトンネル軸周りの回転によって生じるが、該回転によって生じる内面側または外面側の線接触によるセグメント稜線部や隅各部の欠け、クラックの発生等の欠陥が前記間隙の設定で回避可能としたものである。
【0086】
図9は図2に示す円周方向継手面を2条の凸状円弧状部32aを有する雄テーパーナックル継手面32と、2条の凹状円弧状部42aを有する雌テーパーナックル継手面42とで構成した例である。この場合、右側の継手面はトンネル長手方向のセグメント幅全幅にわたって雄テーパーナックル継手面32を形成し、左側の継手面はトンネル長手方向のセグメント幅全幅にわたって雌テーパーナックル継手面42を形成しているが、前記図1又は図6に示すように、一つの継手面に雄テーパーナックル継手面32と雌テーパーナックル継手面42とを併用してもよいことは言うまでもない。
【0087】
図10は図9に示すセグメントの組立中の下部状況を、図3と同様に示した透視斜視図である。
【0088】
なお、他の図示した実施形態と同様に、各セグメント1,1aの切羽側には、インサート51とボルト孔52がセグメントを組み立てたときに隣り合うセグメント間で斜めに連通するように設けられており、ボルト53をボルト孔52を通じてインサート51に螺合することでセグメントの切羽側を仮止めできるようになっている。
【0089】
このボルト53による仮止めは、通常は次のリングの組み立てにより周方向継手面に引き寄せ力が作用することで不要となるが、組み立て後も周方向締結部材として残しておくこともできる。
【0090】
図11は、図8と同様に、図9に示すAセグメントどうしまたはAセグメントとBセグメントを接合した状態の横断面拡大図である。雄、雌テーパーナックル面32,42の凸状円弧状部32aと凹状円弧状部42aは当接しているが、平面部32b,42bは幾分かの間隙を有して接合されるよう、凸状円弧状部32aの高さおよび凹状円弧状部42aの深さが設定されている。
【0091】
これにより、セグメントリングに作用する円周方向軸圧縮力は、凸状円弧状部32aおよび凹状円弧状部42aを通してのみ伝達される。すなわち、土、水圧荷重等によるセグメントリングの横断面内変形の多くは、円周方向の継手面のトンネル軸周りの回転によって生じるが、該回転によって生じる内面側または外面側の線接触によるセグメント稜線部や隅各部の欠け、クラックの発生等の欠陥が前記間隙の設定で回避可能としたものである。
【0092】
以上の図1〜図11におけるリング間継手として、各セグメントのリング継手面の周方向中央部に配される1対の雄継手11や雌継手21および周方向端部に配される雄継手11eや雌継手21eは、新設セグメント1aをトンネル軸方向に押込んだときに隣接するセグメント1,1a間において、雄継手が雌継手に嵌合するものであれば、具体的な形状や構造は特に限定さないが、そのような構造の一例として、図29〜図32に示すような構造のものを用いることができる。
【0093】
すなわち、図29は本願発明に応用可能な雌雄継手の一例についての接合状態を示す継手部の透視斜視図であり、図30は図29の例における接合前の雌雄継手の位置関係を示す斜視図(雌継手は断面)、図31は接合中の雌雄継手の位置関係を示す斜視図(雌継手は断面)、図32は接合完了時の雌雄継手の位置関係を示す斜視図(雌継手は断面)であり、本願発明において一方の継手に用いられる連結材を省略した状態に相当する。なお、ここでは説明の都合で、周方向端部に配される雄継手11eや雌継手21eを含むものとして、雄継手について符号11、雌継手について符号12を用いる。
【0094】
この雄継手11は、図29に示すように、セグメント1に埋設されたアンカー部12とセグメント1側面(継手面)より突き出た突出部13からなり、突出部13には1段(図示せず)または図示のように2段の縮径部14が形成されている。また突出部13の先端は芯合わせがスムーズに行われるようテーパー形状に加工してある(図30参照)。
【0095】
なお、図示の雄継手11は、異形鉄筋の先端部を加工した例であるが、鋳造、鍛造などによる金属製の他、強化プラスチック、セラミックス製のものでもよい。
【0096】
また、図示の例では引張力に対する抵抗力を異形鉄筋とコンクリートとの付着力に期待しているため、アンカー部12としてのコンクリート埋込み部は同一横断面の棒状であるが、鋳造、鍛造などによる金属製または強化プラスチック、セラミックス製等の場合には、図示した雌継手21の後端部のように、膨大部を形成して引き抜き抵抗力を確保することもできる。
【0097】
雌継手21は、図29に示すように、その頭部23がセグメント1側面に位置するようアンカー部22とともに埋設されており、頭部23は内部に雄継手11の突出部13が結合できるようセグメント1側面に開口する中空の円筒形状になっている。
【0098】
雌継手21についても、雄継手11と同様、鋳造、鍛造による金属製の他、強化プラスチック、セラミックス等のものでもよい。
【0099】
この雌継手21の内部には雄継手11が進入結合した際、雄継手11の縮径部14と対応する位置に、対応する数の環状溝24が形成されていて、その環状溝24に環状弾性部材としての環状スプリング25がセットされている(図30参照)。
【0100】
図30〜図32に示される雌継手21には、第1環状スプリング25a、第2環状スプリング25bに、それぞれ第1拡径保持具27a、第2拡径保持具27bが装着されている。
【0101】
この拡径保持具27(27a,27b)は、その外径寸法が雌継手21の内径寸法よりわずかに小さく、先端部がテーパー状に形成されていて、雌継手21の環状溝24(24a,24b)にセットした環状スプリング25(25a,25b)を拡径保持している。
【0102】
また、第1拡径保持具27aの外径寸法は中空に形成されている第2拡径保持具27bの内径寸法よりわずかに小さい。なお、図30〜図32では、第1環状スプリング25a、第2環状スプリング25bにそれぞれの拡径保持具27a,27bを装着しているが、第1環状スプリング25aと第2環状スプリング25bを拡径保持する一つの拡径保持具を用いても良い。
【0103】
この継手の結合過程を図30〜図32に基づいて説明する。セグメントは、雌継手21が既設セグメントの切羽側端面に配置されるよう組み立てられているものとする。そして、新たに結合すべきセグメントを、トンネルの切羽側から坑口側に向けて近接し位置合わせを行う。
【0104】
その際、新設セグメントの雄継手11はその突出部13が突出しており、突出した先端がテーパー加工してあるため、位置決め、挿入作業を容易に行うことができるとともに、雄継手11の先端部が雌継手21に進入して行く際、調芯機能が働き、セグメントの真円組立性能が向上する。
【0105】
その後、セグメントがジャッキで押されることにより、雄継手11の突出部13が雌継手21に挿入され、雄継手11の先端部が雌継手21の内部に装着してある第1拡径保持具27aを押し込み、第1環状スプリング25aが第1拡径保持具27aから解放されて、雄継手11の先端のテーパー面を乗り越えて1段目の縮径部(第2縮径部)14bに縮合する。
【0106】
本実施形態において、第1拡径保持具27aは第2拡径保持具27bよりわずかに小径に製作されており、押し込まれるにつれ、第1拡径保持具27aが第2保持具27bの内部に収納される(図31参照)。
【0107】
さらに、セグメントがジャッキで押されることにより、雄継手11の先端部が第1拡径保持具27aを内側に納めた第2拡径保持具27bを押し込み、第2環状スプリング25bが第2拡径保持具27bから解放されて、雄継手11の先端のテーパー面を乗り越えて1段目の縮径部(第2縮径部)14bに縮合し、第1環状スプリング25aが第2縮径部14b後部のテーパー面を乗り越えて2段目の縮径部(第1縮径部)14aに縮合する(図32参照)。
【0108】
なお、以上はあくまで本願発明の継手構造に応用可能な雄継手および雌継手の一例であり、これに限定されるものではない。
【0109】
図12は、図3のa部の詳細を示す斜視図、すなわち図3におけるセグメント円周方向中央部の切羽側継手面に埋め込まれている連結された1組の雌継手21(片側のみ示している)の部分切断斜視図であり、上述した図29〜図32に示される雌継手21と同様の構造を有している。
【0110】
1組の雌継手21は、連結材21aにより該雌継手21の口元端部および連結材21aの切羽側側面がそれぞれ継手面と面一になるように配設されて連結されている。この図12の例では、雌継手21の外周に、所要間隔を置いて該雌継手21の外周に嵌合されるよう穿設された2孔を有する連結材21aが装着されている。
【0111】
図13は、図12の例に対し、連結材21aがコンクリート内部に埋没するよう切羽側継手面より幾分坑口側に装着された例であり、連結材21aが継手面に露出しないため、該連結材21aが金属製の場合に耐食性に優れる特徴がある。図14は、図13の部分切断斜視図で(環状スプリングは図示省略)、連結材21を雌継手21に嵌装した状況を示す。
【0112】
図15は、図12〜図14に代わる他の実施例であり、図22に示す雄継手11と同形状の端部雄継手が嵌装される場合の雌継手21で、せん断力を受ける面の形状が隅切り矩形で奥行き方向にテーパーとなっている2孔が所要間隔を置いて穿設された連結材21aを、前記雌継手21の口元付近に嵌着した例である。この場合、連結材21aの切羽側側面が継手面に面一になるように配設され、雌継手21の口元は幾分継手面より奥部に位置している。図16は、図15の部分切断斜視図で(環状スプリングは図示省略)、連結材21aを雌継手21に嵌装した状況を示す。
【0113】
図17は図15に対し2孔の形状が小判形であること以外は図15と同じである。図18は、図17の部分切断斜視図で(環状スプリングは図示省略)、連結材21aを雌継手21に嵌装した状況を示す。
【0114】
以上、図12〜図18に示す連結材21aは、いずれも雌継手21と別個に製作されたもので、1組2個の雌継手21に嵌挿して1組の雌継手となすものであるが、該連結材と雌継手を鋳造等によって一体的に成形して1組の雌継手としてもよい。
【0115】
なお、図12〜図18に示す連結材21aおよび雌継手21は、それらの外周面全体または、代表的に図12中にハッチングで示した範囲(アンカー部22を除いている)の表面を軟質で延性または塑性に富む材料で被覆してある。
【0116】
被覆材料としては、ウレタン系や合成ゴム系等の各種塗料系材料を使用することができ、はけ塗り、吹き付け、どぶ漬け等の方法で容易に被覆することができる。また、油粘土のような可塑性に富む各種材料を連結材21aや雌継手21に圧着成形してもよい。さらに熱収縮チューブを使用することも可能である。
【0117】
すなわち、後述のように連結材21aに発生する円周方向引張力によって該連結材21aが伸張する際、該伸張によって発生する歪がコンクリートにほとんど伝達されないような材料であればその材質は問わない。
【0118】
図19は、図3のb部の詳細を示す斜視図、すなわち図3におけるセグメント円周方向端部の切羽側継手面に埋め込まれている端部雌継手21eを示す斜視図である。
【0119】
トンネル長手方向に作用する引張力に抵抗するためのトンネル軸方向に延びるアンカー部22と、円周方向に作用するせん断力に抵抗するための斜め方向に延びるアンカー部22sを一体的に具備した端部雌継手21eを示す斜視図であり、該端部雌継手21eは図21に示す雄継手11と接合され、せん断力を受ける面は頭部23の円筒面である。
【0120】
これに対し、図20は図15、図16と同様に、せん断力を受ける面を隅切り矩形のテーパー面として、図19と同様なアンカー部22sを具備した雌継手である。
【0121】
なお、斜め方向に延びるアンカー部22sは、トンネルの規模、セグメントに作用する荷重に応じて、図3に示すように省略してもよい。
【0122】
図21は、図3のc部の詳細を示す斜視図、すなわち図3におけるセグメント円周方向中央部の坑口側継手面に埋め込まれている連結された1組の雄継手11(片側のみ示している)の部分切断斜視図であり、上述した図29〜図32に示される雄継手11と同様の構造を有している。
【0123】
該雄継手11は図19に示す端部雌継手21eと結合される継手で、1組の雄継手11は、坑口側側面が継手面に面一になるように配設した連結材11aにより連結されており、図21の例では、雄継手11の外周に、所要間隔を置いて該雄継手11の外周に嵌合されるよう穿設された円柱形の2孔を有する連結材11aが装着された実施例である。
【0124】
図22は、図20に示す端部雌継手21eと結合される継手で、1組の雄継手11は坑口側側面が継手面に面一になるように配設した連結材11aにより連結されており、図22の例では、雄継手11の外周に、所要間隔を置いて該雄継手11の外周に嵌合されるよう穿設された隅切り矩形柱形の2孔を有する連結材11aが装着された実施例である。
【0125】
図21、図22に示す連結材11aは、図13、図14に示す雌継手21と同様に、コンクリート内部に埋没するよう継手面より幾分切羽側に装着して、連結材11aの継手面からの露出を回避し、該連結材11aが金属製の場合に耐食性の向上を図ることもできる。
【0126】
また、図21、図22に示す連結材11aは、いずれも雄継手11と別個に製作されたものであるが、該連結材と雄継手を鋳造等によって一体的に成形して1組の雄継手としてもよい。
【0127】
図23は、図3のd部の詳細を示す斜視図、すなわち図3におけるセグメント円周方向端部の坑口側継手面に埋め込まれている端部雄継手11eを示す斜視図である。
【0128】
トンネル長手方向に作用する引張力に抵抗するためのトンネル軸方向に延びる軸部アンカー部12と、円周方向に作用するせん断力に抵抗するための斜め方向に延びるアンカー筋12cとを溶接等によって接合した端部雄継手11eを示す斜視図であり、図12または図13に示す雌継手21と接合され、せん断力を受ける面は円筒面である。
【0129】
図24は、せん断力を受ける面の断面形状が隅切り矩形で軸方向にテーパーとなっており、円周方向に作用するせん断力に抵抗するための斜め方向に延びるアンカー部12sが軸部アンカー部12と一体的に成形された端部雄継手11eの斜視図であり、図15、図16の雌継手21と結合される。
【0130】
なお、図示しないが、図22、図24に示す雄継手11のせん断力を受ける横断面形状を、図17、図18に示す雌継手21のせん断力を受ける面の形状、すなわち、軸方向にテーパーを有する小判形形状にしてもよいことはいうまでもない。
【0131】
図21、図22に示す連結材11aおよび雄継手11は、図12〜図18に示す連結材21aおよび雌継手21と同様に、それらのコンクリートに埋設されている外周面全体または、代表的に図21中にハッチングで示した範囲の表面を、軟質で延性に富む各種塗料系材料で被覆するか、油粘土のような可塑性に富む各種材料で被覆するか、熱収縮チューブを使用するなどする。雌継手21と同様、後述のように連結材11aに発生する円周方向引張力によって該連結材11aが伸張する際、該伸張によって発生する歪がコンクリートにほとんど伝達されないような材料であればその材質は問わない。
【0132】
以上の雄継手11,11e、雌継手21,21eについては、図3に示すように、中央部に配置される雄継手11のせん断力を受ける部分の軸中心間隔Lmcと、該継手と結合される端部に配置される左右の雌継手21eの組立完了後の雌継手21eのせん断力を受ける部分の軸中心間隔Lfeとは前者が後者に対して相対的に狭く設定されている。
【0133】
同様に、中央部に配置される雌継手21のせん断力を受ける部分の軸中心間隔Lfcと、該継手と結合される端部に配置される左右の雄継手11eの組立完了後の雄継手11eのせん断力を受ける部分の軸中心間隔Lmeとは前者が後者に対して相対的に狭く設定されている。
【0134】
次に、継手の結合方法について説明すると、第一の実施形態における継手の結合過程・結合状態が図1、図3、図4に示されている。図3、図4において、既設セグメント1の軸方向切羽側端面には雌継手21,21eが配置されるようにセグメント1が組み立てられている。
【0135】
そして新たに接合すべきセグメント1aを、トンネルの切羽側から坑口側に向けて近接させて位置合わせを行う。その際、新設セグメント1aの雄継手11,11eは一部突出しており、また突出した先端がテーパー加工してあるため、位置決め、挿入作業を容易に行うことができるとともに、雄継手11,11eの先端部が雌継手21e,21に進入して行く際に調芯機能が働き、セグメントの真円組立性能が向上する。
【0136】
その後、セグメントがジャッキで押される際に、円周方向継手面の雄、雌テーパーナックル継手面31,41が法線方向のガイドとなって円滑な進入が可能となる。また、さらに進入が進むと、新設セグメント1aが既設セグメント1に引き付けられるような円周方向の移動とトンネル軸方向への移動とが同時に生起する。
【0137】
そして、該新設セグメント1aが既設セグメントリングに押圧された状態では、図3に示したような雄、雌継手の構造によって、新設セグメント1aは既設セグメント1に押圧されているために、双方のセグメント間のシール材(図4のシール溝61に取り付けられる)が圧縮されて、円周方向に左右のセグメントを締結せずともセグメントどうしの緊結が可能となると同時に止水性も確保できる。
【0138】
同時に、該新設セグメント1aの後方に位置する既設セグメントリングの切羽側円周方向継手面は、新設セグメント1aの中央部に埋設された1組の雄継手11によって緊結されるために、既設セグメントリングの切羽側円周方向継手面の緊結、止水性の確保が可能となる。
【0139】
このような雄、雌継手の締結状態を図25〜図28に示す。図25は、図3のe部詳細を示す部分断面詳細図であり、端部雌継手21eには図19、雄継手11には図21を採用した例である。
【0140】
図25に採用した雄継手11の引張抵抗部、せん断力受圧部、アンカー軸部の各軸線はすべて同一である。同様に、図25に採用した雌継手21の引張抵抗部、せん断力受圧部、アンカー軸部の各軸線はすべて同一である。
【0141】
本実施例ではセグメントリングが円形の例であるため、本来は角度表示すべきであるが、説明を簡潔にするために平面的に展開、すなわち平版形セグメントの組立の場合としての説明をする。平面展開した各部寸法を下記とする。
【0142】
Lfe :端部雌継手の、組立完了後の設定軸線間隔
Lfe1 :円周方向継手面から端部雌継手軸線までの設定距離
Lmc :中央部雄継手の設定軸線間隔
Cs  :円周方向継手面のシール材圧縮後の設定残存クリアランス
Df  :雌継手のせん断受圧部の内径
Dm  :雄継手のせん断受圧部の外径
【0143】
ここで、雄継手11が雌継手21eに装着され、円周方向継手面のシール材が圧縮されてその残存クリアランスがCs になったとき(図25(b) 参照)、雄継手11のせん断力受圧面と雌継手21eのせん断力受圧面との位置関係は、図25のp部にて接触し、q部で離間している関係にある。そこで下記の関係式が成立する。
【0144】
Lfe=Lmc+(Df −Dm )
Lfe1 =(Lfe−Cs )/2
すなわち、Df、Dm 、LmcおよびCs を設定すれば、Lfe1 を上式から決定することができる。
【0145】
逆に言えば、このように設定した上記寸法の継手を用いれば、図3のように既設セグメントリングに新設セグメント1aを挿入結合したとき、新設セグメント1aとそれに隣り合って円周方向に接合された既設セグメント1との継手面および該新設セグメント1aがトンネル方向に接合される2つの既設セグメント1,1(図3の2番目のセグメントリングのA2セグメントとB1セグメント間の継手面は、残存クリアランスCs を残してシール材が圧縮されて該継手面には所要の初期締結力が導入される(図3の白抜きの押込みと締付力の矢印参照)。
【0146】
図26は、図3のf部詳細を示す部分断面詳細図であり、雌継手21には図12、雄継手11eには図23のものを採用した例である。図26に採用した雄継手11eの引張抵抗部、せん断力受圧部、アンカー軸部の各軸線はすべて同一である。同様に、図26に採用した雌継手21の引張抵抗部、せん断力受圧部、アンカー軸部の各軸線はすべて同一である。
【0147】
図25の場合と同様に、平面展開した各部寸法を下記とする。
【0148】
Lme :端部雄継手の、組立完了後の設定軸線間隔
Lme1 :円周方向継手面から端部雄継手軸線までの設定距離
Lfc :中央部雌継手の設定軸線間隔
Cs  :円周方向継手面のシール材圧縮後の設定残存クリアランス
Df  :雌継手のせん断受圧部の内径
Dm  :雄継手のせん断受圧部の外径
【0149】
ここで、新設セグメント1aの雄継手11eが既設セグメントリングの雌継手21に装着され、該既設セグメントリングの円周方向継手面のシール材が圧縮されてその残存クリアランスがCs になったとき、雄継手11eのせん断力受圧面と雌継手21のせん断力受圧面との位置関係は、図26のp部にて接触し、q部にて離間している関係にある。そこで下記の関係式が成立する。
【0150】
Lme=Lfc+(Df −Dm )
Lme1 =(Lme−Cs)/2
すなわち、Df、Dm 、LfcおよびCs を設定すれば、Lme1 を上式から決定することができる。
【0151】
逆に言えば、このように設定した上記寸法の継手を用いれば、既設セグメントリングに新設セグメント1aを挿入結合したとき、該既設セグメントリングの切羽側継手面は、残存クリアランスCs を残してシール材が圧縮されて該継手面には所要の初期締結力が導入される。
【0152】
図27は図25と同様に、図3のe部詳細を示す他の例の部分断面詳細図であり、継手には図20に示す雌継手21eと図22に示す雄継手11を採用した場合である。今、各軸線を下記のように表記すると、本実施例では雌継手21eにおいてY1−Y1軸、Y2−Y2軸及びY3−Y3軸が一致し、雄継手11においてX1−X1軸はY1−Y1軸、Y2−Y2軸、Y3−Y3軸と一致している。
【0153】
X2−X2軸とX3−X3軸とは一致し、かつ、これらは図27においてY1−Y1軸、Y2−Y2軸、Y3−Y3軸より右側に位置している。このとき、p1部は接触しq1部で
離間している。また、u1部及びu2部は同程度の間隙を有している。
【0154】
Y1−Y1軸:雌継手のせん断力受圧部の軸線
Y2−Y2軸:雌継手のせん断力受圧部より奥部円筒部の軸線
Y3−Y3軸:雌継手のアンカー部の軸線
X1−X1軸:雄継手の先端係止部の軸線
X2−X2軸:雄継手のせん断力受圧部の軸線
X3−X3軸:雄継手のアンカー部の軸線
【0155】
図25が、せん断力の受圧断面が中実円形断面である雄継手11を示しているのに対し、本実施例では雄継手11のせん断力の受圧断面を大きな隅切り矩形断面として、より大きな円周方向の初期締結力を導入したり、外荷重に耐える継手を提供することができるものである。
【0156】
また、詳細説明を省略するが、図25と同様な方法によって継手間隔を設定することで確実な締結が得られることは他言を要しない。
【0157】
図28は図26と同様に、図3のf部詳細を示す他の例の部分断面詳細図であり、継手には図15に示す雌継手21と図24に示す雄継手11eを採用した場合である。今、各軸線を図26の場合と同様に定めると、各軸線も同様なことが言え、p1部で接触しq1部で離間、またu1部及びu2部は同程度の間隙を有している構成が成立していることが分かる。
【0158】
図3において、A2セグメントが既設セグメントリングに接合されると、前記のように図25〜図28に示すような雄、雌継手の接合および円周方向の締め付けが完了するため、雄、雌継手に図33に示すような円周方向のせん断力が作用する。
【0159】
該せん断力は、円周方向中央部に埋設された1組の雄継手11,11を結合する連結材11aおよび1組の雌継手21,21を結合する連結材21aをそれぞれ円周方向に伸長させる引張力Tとして作用するため、図33に示すように連結材(図33では雄継手11に対する連結材11a)の中央部のコンクリートにひび割れが発生しやすくなると同時に、隣接するセグメントから迂回する外力を負担しなければならず、そのため鉄筋量の増加をきたし経済性の低下を招きかねない。
【0160】
そこで、これらの悪影響を避けるため、前記した被覆材をセグメント円周方向中央部に埋設する雄、雌継手に被覆すれば、円周方向に引張力を受ける連結材11a,21aおよびこれに連結されている雄継手および雌継手11,21の間隔が増加しても、その変位が被覆材により吸収されるため、前記コンクリートのひび割れの発生を防止でき、止水性および耐久性の向上を図ることが可能となるばかりでなく、外力の伝達も回避できるために鉄筋量の増加を必要としないため、経済的なセグメントを提供できる効果がある。
【0161】
図34にはA2セグメント組立中における円周方向隣接セグメントとの接合面に作用するせん断力Qを矢印で示す。このせん断力Qは接合完了後においても同様に作用し、ナックル継手がこのせん断力Qに抵抗するため、せん断ずれを防止し、次工程で組み立てられるセグメントリングの円滑、効率的な施工に有効となる。
【0162】
図35は、本願発明のさらに他の実施形態(請求項3、15に対応)におけるセグメントの透視斜視図、図36は、図35に示すセグメントの組立中の下部状況を、図3、図10と同様に示した透視斜視図である。
【0163】
図37は、図5と同様に、セグメントどうしの円周方向継手面を展開した透視斜視図である。図37の場合も図中左側のセグメント1の円周方向継手面のうち坑口側二分の一は、凸状円弧状部と継手平面部との交線が坑口側に向かって漸増する雄テーパーナックル継手面31を、切羽側二分の一は、凹状円弧状部と継手平面部との交線が坑口側に向かって漸減する雌テーパーナックル継手面41をそれぞれ形成している。
【0164】
また、これと接合される図中右側のセグメント1aの継手面のうち、坑口側二分の一は、凹状円弧状部と継手平面部との交線が坑口側に向かって漸増する雌テーパーナックル継手面41を、切羽側二分の一は、凸状円弧状部と継手平面部との交線が坑口側に向かって漸減する雄テーパーナックル継手面31をそれぞれ形成している。
【0165】
このような構成において、粗位置決めされた新設のセグメント1aがエレクターまたはジャッキによって坑口側に押し込まれると、既設のセグメント1の継手面に形成された雄テーパーナックル継手面31の凸状円弧状部および雌テーパーナックル面41の凹状円弧状部がガイドとなって進入し、該セグメントの長手方向の雄継手11eが既設リングの雌継手21に円滑に挿入されることとなる。
【0166】
ところで、リング継手面の継手部材どうしが嵌合する際、前述した図33に示すような連結材11aに作用する引張力Tによるひび割れの発生の回避のため、前述した図21に示される例では、連結された1組の雄継手11,11および連結材11aのコンクリート中に埋設される部分の表面に歪み吸収機能を有する被覆材料による被覆を施すこととした(連結された1組の雌継手21,21とその連結材21aの場合も同様)。
【0167】
しかしながら、継手部材の表面に均一な被覆を施すのは必ずしも容易ではなく、連結された1対の継手部材の表面を被覆せずに、このひび割れの発生を確実に回避できるのであれば、継手の製作性、経済性の向上が期待できる。
【0168】
図35〜図51に示される実施形態は、それを実現したものであり、以下にその詳細を説明する。
【0169】
図38〜図44は、連結材11aによって連結されたリング継手面の周方向に所定の間隔をおいた1対の雄継手11,11と、これらの雄継手11,11が嵌合される端部雌継手21e,21eとの取り合いおよび各部材の詳細を示したものである。
【0170】
図38に示した雄継手11は、図39に示す連結材11aの両端部に形成された嵌合孔71に貫通させることで、連結材11aに対しリング周方向に相対変位が可能な状態で連結される。
【0171】
すなわち、連結材11aの嵌合孔71は、図に示すようにリング周方向(連結材11aの軸線方向)に延びた横長の孔となっており、貫通させた連結材11aとの間にリング周方向について十分な遊隙が生ずるようになっている。
【0172】
一方、リング周方向と直交する方向(セグメントの厚さ方向)については、雄継手11の突出部13に設けた図38(b)中、上下に位置する座部15の外面どうしの間隔dm1が、連結材11aの嵌合孔71の図39(a)中、上下に位置する平坦部どうしの間隔dm0とほぼ等しく、嵌入を可能とする僅かな余裕が設けられる程度となっている。
【0173】
また、図39(b),(c)に示すように、連結材11aのリング継手面に位置する側については、両端の嵌合孔71の外側に嵌合孔71の軸に対して偏心させた嵌合凸部72としての突出部が形成されている。
【0174】
図40は、本実施形態における上記雄継手11の突出部13が結合される端部雌継手21eを示したもので、頭部23のリング継手面側に、上記連結材11aの嵌合凸部72が嵌合する嵌合凹部73が形成されている。
【0175】
これらの嵌合凸部72および嵌合凹部73には、嵌合を容易にするためテーパーがついており、テーパー面で引き寄せつつ嵌合され、嵌合状態においてこのテーパー面が連結材11aと端部雌継手21eとの間でリング周方向のせん断力を伝達するせん断受圧部となる。
【0176】
図44は、これらの取り合いと寸法関係の一例を示したもの(図39も参照)である。
【0177】
この例では、1対の雄継手11(図44では片側のみ図示)の引張抵抗部となる突出部13、アンカー部12の各部の軸線(まとめてXで示す)と、端部雌継手21eの引張抵抗部である頭部23、せん断受圧部としての嵌合凹部73、アンカー部22の軸部の各軸線(まとめてYで示す)は一致させ、連結材11eの嵌合凸部72の軸線Zのみ、前記軸線X,Yと偏心させている。なお、図では作図上、軸線の偏心を誇張しているため、必ずしも軸心が中央となっていない。
【0178】
各部の寸法を下記とする。
【0179】
Lfe :端部雌継手の、組立完了後の設定軸線間隔
Lfe1 :円周方向継手面から端部雌継手軸線までの設定距離
Lmc :中央部雄継手の設定軸線間隔(=Lfe)
Cs  :円周方向継手面のシール材圧縮後の設定残存クリアランス
Df  :雌継手のせん断受圧部(嵌合凹部)の内径
Dm  :雄継手連結板のせん断受圧部(嵌合凸部)の外径
(ただし、せん断受圧部はテーパー面であるため、DfおよびDmは厳密には一定でないが、説明上、テーパーを無視して説明する。)
【0180】
ここで、雄継手11が端部雌継手21eに装着され、円周方向継手面のシール材が圧縮されてその残存クリアランスがCs になったとき、雄継手11のせん断力受圧面と雌継手21eのせん断力受圧面との位置関係は、図44のp1部にて接触し、q1部で離間している関係にある。
【0181】
このとき、
Lfe1 =(Lfe−Cs )/2
の関係にある。また、q1部で離間距離(隙間)は、Df−Dm であり、軸線X,Yと軸線Zの偏心距離は、
(Df−Dm)/2
となっている。
【0182】
このように設定した上記寸法の継手を用いれば、図36のように既設セグメントリングに新設セグメント1aを挿入結合したとき、新設セグメント1aとそれに隣り合って円周方向に接合された既設セグメント1との継手面および該新設セグメント1aがトンネル方向に接合される2つの既設セグメント1,1(図36の2番目のセグメントリングのセグメント1,1)間の継手面は、残存クリアランスCs を残してシール材が圧縮されて該継手面には所要の初期締結力が導入される。
【0183】
また、この時、連結材11aには引張力が作用し該連結材11aは伸張しようとするが、該伸張によって連結材11aとコンクリートとが押圧される部分に、図44に示されるように変位吸収材74を取り付けることによって、前記伸張変位は吸収できるとともに、該連結材11aのコンクリートとの接触表面を図21に基づいて説明したのと同様に、被覆材料によって被覆することで連結材とコンクリートとは容易に縁切れが可能となる。変位吸収材74としては、発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、発泡スチロール、その他弾性を有する材料を用いることができる。
【0184】
この場合、連結材11aの伸張によってもリング周方向には嵌合孔71が雄継手11と接触しないよう大きく遊隙を設けてあるため、雄継手11は連結材11aの伸張の影響を受けることがない。そのため図21にハッチングして示したような雄継手11の被覆は不要となり、製作性、経済性の向上が期待できる。
【0185】
図41および図42は、それぞれ上記の雄継手11を連結材11aの端部の嵌合孔71に通した状態の継手面側からと背面側からの斜視図である。また、図43は端部雌継手21eの継手面側からの斜視図である。
【0186】
図45〜図51は、連結材21aによって連結されたリング継手面の周方向に所定の間隔をおいた1対の雌継手21,21と、これらの雌継手21,21が嵌合される端部雄継手11e,11eとの取り合いおよび各部材の詳細を示したものである。
【0187】
図45に示した雌継手21は、図46に示す連結材21aの両端部の背面側(継手面と反対側)に形成された所定の深さの嵌合孔81に嵌入させることで、連結材21aに対しリング周方向に相対変位が可能な状態で連結される。
【0188】
すなわち、連結材21aの嵌合孔81は、図に示すようにリング周方向(連結材21aの軸線方向)に延びた横長の孔となっており、嵌入させた連結材21aとの間にリング周方向について十分な遊隙が生ずるようになっている。
【0189】
一方、リング周方向と直交する方向(セグメントの厚さ方向)については、雌継手21の頭部23に設けた図45(a)中、上下に位置する座部29の外面どうしの間隔df1が、連結材21aの嵌合孔81の図46(a)中、上下に位置する平坦部どうしの間隔df0とほぼ等しく、嵌入を可能とする僅かな余裕が設けられる程度となっている。
【0190】
また、図46(b),(c)に示すように、連結材21aのリング継手面に位置する側については、両端の嵌合孔81の軸に対して偏心させた嵌合凹部83が形成されている。
【0191】
図47は、本実施形態における上記雌継手21に結合される端部雄継手11eを示したもので、雌継手21と結合される突出部13の基部にテーパーを有する嵌合凸部82が形成され、上記雌継手21の嵌合凹部83に嵌合するようになっている。
【0192】
これらの嵌合凸部82および嵌合凹部83にはテーパーがついていることで、テーパー面で引き寄せつつ嵌合され、嵌合状態においてこのテーパー面が連結材21aと端部雄継手11eとの間でリング周方向のせん断力を伝達するせん断受圧部となる。
【0193】
図51は、これらの取り合いと寸法関係の一例を示したもの(図46も参照)である。
【0194】
この例では、1対の雌継手21(図51では片側のみ図示)の引張抵抗部となる頭部23、アンカー部22の各部の軸線(まとめてYで示す)と、端部雄継手11eの引張抵抗部である突出部13、せん断受圧部としての嵌合凸部82、アンカー部12の軸部の各軸線(まとめてXで示す)は一致させ、連結材21eの嵌合凹部83の軸線Zのみ、前記軸線X,Yと偏心させている。なお、図では作図上、軸線の偏心を誇張しているため、必ずしも軸心が中央となっていない。
【0195】
各部の寸法を下記とする。
【0196】
Lme :端部雄継手の、組立完了後の設定軸線間隔
Lme1 :円周方向継手面から端部雄継手軸線までの設定距離
Lfc :中央部雌継手の設定軸線間隔(=Lme)
Cs  :円周方向継手面のシール材圧縮後の設定残存クリアランス
Df  :連結板のせん断受圧部(嵌合凹部)の内径
Dm  :雄継手のせん断受圧部(嵌合凸部)の外径
(ただし、せん断受圧部はテーパー面であるため、DfおよびDmは厳密には一定でないが、説明上、テーパーを無視して説明する。)
【0197】
ここで、新設セグメント1aの端部雄継手11eが既設セグメントリングの雌継手21に装着され、該既設セグメントリングの円周方向継手面のシール材が圧縮されてその残存クリアランスがCs になったとき、端部雄継手11eのせん断力受圧面と雌継手21のせん断力受圧面との位置関係は、図51のp2部にて接触し、q2部にて離間している関係にある。
【0198】
このとき、
Lme1=(Lme−Cs )/2
の関係にある。また、q2部で離間距離(隙間)は、Df−Dm であり、軸線X,Yと軸線Zの偏心距離は、
(Df−Dm)/2
となっている。
【0199】
このように設定した上記寸法の継手を用いれば、図36のように既設セグメントリングに新設セグメント1aを挿入結合したとき(図36のhの位置)、新設セグメント1aとそれに隣り合って円周方向に接合された既設セグメント1との継手面および該新設セグメント1aがトンネル方向に接合される2つの既設セグメント1,1の切羽側継手面は、残存クリアランスCs を残してシール材が圧縮されて該継手面には所要の初期締結力が導入される。
【0200】
また、この時、連結材21aには引張力が作用し該連結材21aは伸張しようとするが、該伸張によって連結材21aとコンクリートとが押圧される部分に、変位吸収材84を取り付けることによって、前記伸張変位は吸収できるとともに、該連結材21aのコンクリートとの接触表面を既述したような被覆材料によって被覆することで連結材21aとコンクリートとは容易に縁切れが可能となる。
【0201】
さらに、前記連結材21aの伸張によってもリング周方向には嵌合孔81が雌継手21と接触しないよう大きく遊隙を設けてあるため、雌継手21は連結材21aの伸張の影響を受けることがない。そのため図21にハッチングして示したのと同様な雌継手21の被覆は不要となって製作性、経済性の向上が期待できる。
【0202】
図48および図49は、それぞれ上記の雌継手21を連結材21aの端部の嵌合孔81に通した状態の背面側からと継手面側からの斜視図である。また、図50は端部雄継手11eの背面側からの斜視図である。
【0203】
以上、本願発明の実施形態を、シールド工法用の鉄筋コンクリートセグメントについて説明したが、本願発明の適用対象となるプレキャスト部材はこれに限定されず、鉄骨鉄筋コンクリート構造、鋼コンクリート合成構造、コンクリートを充填した鋼製構造および球状黒鉛鋳鉄構造等のセグメントに適用可能であることは勿論、セグメント以外の版状あるいはブロック状の各種プレキャスト部材にも適用可能であり、また接合方向も特に限定されず、プレキャスト部材の用途等に応じ任意である。
【0204】
【発明の効果】
本願発明の壁体構造物および継手は、シールドトンネルや立坑、外壁等の周方向閉合壁体の軸方向の継手部材に周方向の継手機能を兼備させ、周方向の継手面に継手金具等を必要としない構造としたものであり、構築におけるプレキャスト部材接合作業の効率化、作業性の向上、プレキャスト部材表面の無欠損化、経済性の向上が可能である。
【0205】
また、雌雄の継手がプレキャスト部材本体に埋設されているタイプとしてシールドトンネルや立坑に用いる場合、内面を平滑に形成することで二次覆工等を省略することができる。
【0206】
また、基本的にはプレキャスト部材を押圧するだけで、プレキャスト部材どうしの継手による接合を完了することができ、ボルト等の付属品も不要であり、組立の自動化、省力化が可能であり、作業時間も大幅に短縮でき、作業安全性も高い。
【0207】
請求項2、請求項8に係る発明では、連結材によって連結される1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔が、これと嵌合する隣接するリングの2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔より相対的に小さく設定されていることで、これらの嵌合に際し、周方向に確実に引寄せ力を作用させることができ、請求項7のシール材等との併用により継手面における止水性も確保される。
【0208】
また、請求項3、請求項15に係る発明では、請求項2、請求項8の場合のように、連結された1対の継手部材が隣接する2つのプレキャクスト部材の端部継手部材どうしを引き寄せるのではなく、連結材が端部継手部材どうしを引き寄せるようになっており、連結材によって連結されている1対の継手部材は、遊隙の範囲で連結材に対してリング継手面周方向の相対変位が許容され、連結材と端部継手部材のせん断受圧部どうしの嵌合により端部継手部材どうしが引き寄せられるようになっている。
【0209】
すなわち、嵌合前の前記連結材のせん断受圧部どうしの間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材のせん断受圧部どうしの間隔より相対的に小さくなるように設定してあり、引寄せのための反力は連結材部分に生じ、連結された1対の継手部材とコンクリートとの間に引寄せのため反力が生じさせないという利点がある。この場合も、請求項7のシール材等との併用により継手面における止水性が確保される。
【0210】
請求項5に係る発明では、周方向継手面にナックル継手を併用することで、継手面における回転を許容しつつ周方向の軸力を確実に伝達し、合理的な壁体構造を実現することができる。
【0211】
請求項6に係る発明では、ナックル継手面にテーパーを設けることで、雌雄のナックル継手面が互いにガイドの役割を果たし、プレキャスト部材の周方向継手面での引寄せ接合をスムーズに行うことができる。
【0212】
請求項13に係る発明では、連結材がプレキャスト部材の継手面より内側に埋没するため、鋼製の連結材の場合に防錆等の処理が不要である。
【0213】
請求項14に係る発明では、雄継手のせん断力を受ける部分の断面形状が略矩形または略小判形とし、できるだけ大きな断面とすることで継手面におけるせん断力の伝達がスムーズとなる。
【0214】
請求項17に係る発明では、端部継手部材について斜め方向のアンカー部を設けたことで、連結材で連結された1対の継手部材と嵌合した際の変形や抜け出しを効果的に抑制することができる。
【0215】
請求項18に係る発明では、連結材で連結される1対の継手部材について、被覆材料により連結材や継手部材とコンクリートとの付着が切られることで、連結材に生ずる引張力を原因とするコンクリートのひび割れを、簡便な方法で抑制することができる。
【0216】
請求項19に係る発明では、連結された1対の継手部材と隣接するセグメントリングの端部継手部材どうしの締結により連結材が伸びようとする際に、コンクリートが押圧力を受ける位置に変位吸収材が介在していることで、コンクリートのひび割れを抑制することができる。また、請求項18の被覆と併用すればその効果がさらに確実となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明をシールドトンネルに適用した場合の一実施形態を示したもので、(a) は1リングの組立状況を示す立面図、(b) は(a) のリングを3リング千鳥組みした場合の展開図、(c) は(b) の1リングを取り出し、円周方向の継手部を若干離間させて図示した展開図である。
【図2】図1の実施形態におけるA2セグメントの透視斜視図である。
【図3】図1(a) のリングが2リング千鳥組みされ、かつ第3番目のリングのうちA1セグメントが組立完了し、A2セグメントを組立中の下部の状況を示す透視斜視図である。
【図4】図3の組立中の部分の詳細を示す透視斜視図である。
【図5】図1〜図4に示した実施形態におけるA1セグメントとA2セグメントとの円周方向継手面を展開した透視斜視図である。
【図6】本願発明をシールドトンネルに適用した場合の他の実施形態(Aセグメントが1種類の場合)を示したもので、(a) は1リングの組立状況を示す立面図、(b) は(a) のリングを3リング千鳥組みした場合の展開図、(c) は(b) の1リングを取り出し、円周方向の継手部を若干離間させて図示した展開図、(d) は雄継手の組立余裕代と平坦部の関係を説明するための要部拡大図である。
【図7】本願発明をシールドトンネルに適用した場合の他の実施形態(連結された雄継手、雌継手が各セグメントの円周方向中間に2組ずつある場合)を示したもので、(a) は1リングの組立状況を示す立面図、(b) は(a) のリングを3リング千鳥組みした場合の展開図、(c) は(b) の1リングを取り出し、円周方向の継手部を若干離間させて図示した展開図である。
【図8】図1〜図5、図6または図7の実施形態におけるAセグメントどうし、またはAセグメントとBセグメントを接合した状態の横断面拡大図である。
【図9】円周方向継手面に2条の雌雄テーパーナックル継手面を有するセグメントの例を示す透視斜視図である。
【図10】図9に示すセグメントの組立中の下部状況を示した透視斜視図である。
【図11】図9に示すAセグメントどうしまたはAセグメントとBセグメントを接合した状態の横断面拡大図である。
【図12】図3のa部の詳細を示す斜視図である。
【図13】図12の雌継手に対する変形例を示す斜視図である。
【図14】図13の部分切断斜視図である。
【図15】図12の雌継手に対する他の変形例を示す斜視図である。
【図16】図15の部分切断斜視図である。
【図17】図12の雌継手に対するさらに他の変形例を示す斜視図である。
【図18】図17の部分切断斜視図である。
【図19】図3のb部の詳細を示す斜視図である。
【図20】図19の端部雌継手に対する変形例を示す斜視図である。
【図21】図3のc部の詳細を示す斜視図である。
【図22】図21の雄継手に対する変形例を示す斜視図である。
【図23】図3のd部の詳細を示す斜視図である。
【図24】図23の端部雄継手に対する変形例を示す斜視図である。
【図25】(a) は図3のe部詳細を示す部分断面詳細図、(b) はその機能を説明するための寸法関係説明図である。
【図26】図3のf部詳細を示す部分断面詳細図である。
【図27】図3のe部詳細を示す他の例の部分断面詳細図である。
【図28】図3のf部詳細を示す他の例の部分断面詳細図である。
【図29】本願発明に応用可能な雌雄継手の一例(本願発明において一方の継手に用いられる連結材を省略した状態)についての接合状態の継手部の透視斜視図である。
【図30】図29の例における接合前の雌雄継手の位置関係を示す斜視図(雌継手は断面)である。
【図31】図29の例における接合中の雌雄継手の位置関係を示す斜視図(雌継手は断面)である。
【図32】図29の例における接合完了時の雌雄継手の位置関係を示す斜視図(雌継手は断面)である。
【図33】連結材に生じる接線力とコンクリートのひび割れとの関係を説明するための透視斜視図である。
【図34】リング間継手に作用するせん断力を説明するための透視斜視図である。
【図35】本願発明のさらに他の実施形態におけるAセグメントの例を示す透視斜視図である。
【図36】図35に示すセグメントの組立中の下部の状況を示した透視斜視図である。
【図37】図35、図36に示した実施形態におけるAセグメントどうしの円周方向継手面を展開した透視斜視図である。
【図38】図35、図36の実施形態における連結材に遊嵌される中央部雄継手を示したもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図39】図38の中央部雄継手が遊嵌される連結材を示したもので、(a)は背面図、(b)は底面図(セグメント底面側に位置し、右半分は断面図)、(c)はセグメントの継手面における正面図である。
【図40】図35、図36の実施形態における端部雌継手を示したもので、(a)は側面図(上半分は断面図)、(b)は継手面における正面図である。
【図41】図35、図36の実施形態における中央部雄継手を連結材の端部に嵌合した状態を示す継手面側からの斜視図である。
【図42】図41に対応する背面側からの斜視図である。
【図43】図35、図36の実施形態における端部雌継手の継手面側からの斜視図である。
【図44】図36におけるg部詳細を示す部分断面詳細図である。
【図45】図35、図36の実施形態における連結材に遊嵌される中央部雌継手を示したもので、(a)は継手面側らの正面図、(b)は側面図(一部断面図)である。
【図46】図45の中央部雌継手が遊嵌される連結材を示したもので、(a)は背面図、(b)は底面図(セグメント底面側に位置し、右半分は断面図)、(c)はセグメントの継手面における正面図である。
【図47】図35、図36の実施形態における端部雄継手の平面図(セグメント内面側から見た図)である。
【図48】図35、図36の実施形態における中央部雌継手を連結材の端部に嵌合した状態を示す背面側からの斜視図である。
【図49】図49に対応する継手面側からの斜視図である。
【図50】図35、図36の実施形態における端部雄継手の背面側からの斜視図である。
【図51】図36におけるh部詳細を示す部分断面詳細図である。
【符号の説明】
1…セグメント、1a…新設セグメント、
11…雄継手(リング間継手)、11a…連結材、11e…端部雄継手、12…アンカー部、12c…アンカー筋、12s…アンカー部(斜め方向)、13…突出部、13a…拡大根部、14…縮径部、14a…第1縮径部、14b…第2縮径部、15…座部、
21…雌継手(リング間継手)、21a…連結材、21e…端部雌継手、22…アンカー部、22s…アンカー部(斜め方向)、23…頭部、24…環状溝、24a…第1環状溝、24b…第2環状溝、25…環状スプリング、25a…第1環状スプリング、25b…第2環状スプリング、26…芯材、26a…せん断抵抗部材、27…拡径保持具、27a…第1拡径保持具、27b…第2拡径保持具、28…空室部、29…座部、
31…雄テーパーナックル面、32…雄テーパーナックル面(2条)、
41…雌テーパーナックル面、42…雌テーパーナックル面(2条)、
51…インサート、52…ボルト孔、53…ボルト、54…平坦部、
61…シール溝、
71…嵌合孔、72…嵌合凸部(せん断受圧部)、73…嵌合凹部(せん断受圧部)、74…変位吸収材、
81…嵌合孔、82…嵌合凸部(せん断受圧部)、83…嵌合凹部(せん断受圧部)、84…変位吸収材

Claims (19)

  1. 複数のプレキャスト部材を周方向に配してリングを形成し、リング軸方向には各プレキャスト部材が隣接するリングの2つのプレキャスト部材間に跨がるように千鳥組みしてなる壁体構造物において、前記プレキャスト部材のリング継手面の周方向中間部に所定間隔をおいて設けられた少なくとも1対の継手部材が周方向に連結されており、該1対の継手部材のそれぞれを隣接するリングの2つのプレキャスト部材のリング継手面のそれぞれ端部から所定間隔をおいて設けられた端部継手部材と嵌合してなることを特徴とするプレキャスト部材による壁体構造物。
  2. 前記プレキャスト部材のリング継手面の周方向中間部に設けられた連結された少なくとも1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔が、該1対の継手部材が嵌合する隣接するリングの2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔より相対的に小さく設定されている請求項1記載のプレキャスト部材による壁体構造物。
  3. 前記プレキャスト部材のリング継手面の周方向中間部に設けられた連結された少なくとも1対の継手部材どうしは、一端面が前記継手面に位置する連結材の嵌合孔に対し、該継手面の周方向に遊隙をおいて嵌入されていることにより、該遊隙の範囲で相対変位を許容するように連結されており、前記連結材と前記端部継手部材のいずれか一方に設けられたせん断受圧部としての嵌合凸部と、他方に設けられたせん断受圧部としての嵌合凹部が互いに嵌合することで、該継手面における周方向のせん断力を伝達するようになっており、かつ嵌合前の前記連結材のせん断受圧部どうしの間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材せん断受圧部どうしの間隔より相対的に小さく設定されている請求項1記載のプレキャスト部材による壁体構造物。
  4. リング継手面で嵌合された継手部材の一方が一方のプレキャスト部材のリング継手面の内側に埋設されリング継手面に開口する雌継手であり、他方が他方のプレキャスト部材のリング継手面から突出する雄継手である請求項1、2または3記載のプレキャスト部材による壁体構造物。
  5. 周方向に隣接するプレキャスト部材の周方向端部どうしが、リング軸方向の断面寸法形状がそれぞれほぼ同一であって少なくとも1条の雄ナックル継手面としての凸状曲面と雌ナックル継手面としての凹状曲面で係合している請求項1、2、3または4記載のプレキャスト部材による壁体構造物。
  6. 前記プレキャスト部材の周方向継手面のナックル継手は、該周方向継手面の一方の端部からリング軸方向中央部までがリング軸方向中央部に向けて突出部の高さおよびまたは幅が漸減する少なくとも1条の凸状曲面を有する雄ナックル継手面を形成し、他方の端部からリング軸方向中央部までがリング中央部に向けて溝部の深さおよびまたは幅が漸減する少なくとも1条の凹状曲面を有する雌ナックル継手面を形成している請求項5記載のプレキャスト部材による壁体構造物。
  7. 周方向に隣接するプレキャスト部材の周方向継手面間にはシール材が介在し、前記リング継手面に設けられた継手部材どうしの嵌合により周方向に引き寄せられたプレキャスト部材の周方向継手面間で前記シール材が押圧され、該プレキャスト部材の周方向継手面に密着している請求項1〜6の何れかに記載のプレキャスト部材による壁体構造物。
  8. 千鳥組みにより壁体構造物を形成するプレキャスト部材の継手であって、隣接する2つのプレキャスト部材に跨がって配置されるプレキャスト部材の継手面の長手方向中間部に設けられた少なくとも1対の継手部材が継手面の長手方向に連結されており、該1対の継手部材のそれぞれが前記隣接する2つのプレキャスト部材の継手面のそれぞれ長手方向端部から所定間隔をおいて設けられた端部継手部材と嵌合するようになっており、連結された該1対の継手部材どうしの嵌合前の間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔より相対的に小さく設定されていることを特徴とするプレキャスト部材の継手。
  9. 前記1対の継手部材が連結材としての板状の鋼材によって連結されている請求項8記載のプレキャスト部材の継手。
  10. 前記1対の継手部材が連結材とともに一体成形されている請求項8記載のプレキャスト部材の継手。
  11. 前記1対の継手部材と前記隣接する2つのプレキャスト部材の継手部材は、一方が継手面の内側に埋設され継手面に開口する雌継手であり、他方が継手面から突出する雄継手である請求項8、9または10記載のプレキャスト部材の継手。
  12. 前記連結材の少なくとも一端面が継手面と面一になっている請求項8、9、10または11記載のプレキャスト部材の継手。
  13. 前記連結材がプレキャスト部材の継手面より内側に埋没している請求項8、9、10または11記載のプレキャスト部材の継手。
  14. 前記雄継手と雌継手の嵌合状態において前記雄継手のせん断力を受ける部分の断面形状が略矩形または略小判形である請求項8、9、10または11記載のプレキャスト部材の継手。
  15. 千鳥組みにより壁体構造物を形成するプレキャスト部材の継手であって、隣接する2つのプレキャスト部材に跨がって配置されるプレキャスト部材の継手面の長手方向中間部に設けられた少なくとも1対の継手部材が継手面の長手方向に連結されており、該1対の継手部材のそれぞれが前記隣接する2つのプレキャスト部材の継手面のそれぞれ長手方向端部から所定間隔をおいて設けられた端部継手部材と嵌合するようになっており、連結された該1対の継手部材どうしは、一端面が前記継手面に位置する連結材の嵌合孔に対し、該継手面の長手方向に遊隙をおいて嵌入されていることにより、該遊隙の範囲で相対変位を許容する状態で連結されており、前記連結材と前記端部継手部材のいずれか一方に形成されたせん断受圧部としての嵌合凸部と、他方に形成されたせん断受圧部としての嵌合凹部とが互いに嵌合することで、該継手面の長手方向のせん断力を伝達するようになっており、かつ嵌合前の前記連結材のせん断受圧部どうしの間隔が、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材のせん断受圧部どうしの間隔より相対的に小さく設定されていることを特徴とするプレキャスト部材の継手。
  16. 前記1対の継手部材と前記隣接する2つのプレキャスト部材の継手部材は、一方が継手面の内側に埋設され継手面に開口する雌継手であり、他方が継手面から突出する雄継手であり、嵌合前の該1対の継手部材どうしの間隔と、前記隣接する2つのプレキャスト部材の端部継手部材どうしの間隔がほぼ一致するように設定されている請求項15記載のプレキャスト部材の継手。
  17. 前記端部継手部材には前記1対の継手部材から受ける周方向のせん断力に抵抗させるための周方向または周面に対し斜め方向のアンカー部が設けられている請求項8〜16の何れかに記載のプレキャスト部材の継手。
  18. 前記プレキャスト部材がコンクリート製、鉄筋コンクリート製、またはコンクリートを充填した鋼製あるいはダクタイル鋳鉄製であり、連結された前記1対の継手部材およびまたは前記連結材のコンクリート中に埋設される部分の表面が歪み吸収機能を有する被覆材料で被覆されている請求項8〜17の何れかに記載のプレキャスト部材の継手。
  19. 前記プレキャスト部材がコンクリート製、鉄筋コンクリート製、またはコンクリートを充填した鋼製あるいはダクタイル鋳鉄製であり、該コンクリートと、連結された前記1対の継手部材およびまたは該連結材とが、継手面の長手方向に接することで、該コンクリートに押圧力が作用する位置に変位吸収材を介在させている請求項8〜18の何れかに記載のプレキャスト部材の継手。
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