JP2004108136A - 地盤改良機械および地盤改良工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多角形の筒状構造体を単位要素とする地盤改良構造体を構築する際の作業性を改善する。
【解決手段】ショベル系掘削機械等のベースマシンのアーム4先端に撹拌混合ヘッド5を装着するとともに、撹拌混合ヘッド5には撹拌翼11を備えたドライブチェーン10を巻き掛ける。ドライブチェーン10を上下方向に周回移動させながら撹拌混合ヘッド5の地中への貫入と引き抜きとを繰り返して、地盤の掘削とともに改良材との撹拌混合処理を行う。アーム4に対して撹拌混合ヘッド5を首振り旋回動作させる旋回機構6を設け、鉛直姿勢のままで撹拌混合ヘッド5の姿勢変更を可能にする。
【選択図】 図5
【解決手段】ショベル系掘削機械等のベースマシンのアーム4先端に撹拌混合ヘッド5を装着するとともに、撹拌混合ヘッド5には撹拌翼11を備えたドライブチェーン10を巻き掛ける。ドライブチェーン10を上下方向に周回移動させながら撹拌混合ヘッド5の地中への貫入と引き抜きとを繰り返して、地盤の掘削とともに改良材との撹拌混合処理を行う。アーム4に対して撹拌混合ヘッド5を首振り旋回動作させる旋回機構6を設け、鉛直姿勢のままで撹拌混合ヘッド5の姿勢変更を可能にする。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上構造物の基礎となる軟弱地盤の改良や液状化現象の防止を目的として、地盤を掘削しながらセメント等の地盤改良材(固化材)と土壌とを撹拌混合して固結させる地盤改良機械とその工法に関し、特に多角形の筒状構造体を単位要素としつつこれらの筒状構造体を複数個連結することにより平面視にて格子状もしくは網目状をなす地盤改良構造体を地中に構築するのに好適な地盤改良機械とその工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の地盤改良に関する技術としては、例えば特開2001−20272号号公報に記載されているように、ベースマシン(母機)となるバックホウ等のアームの先端に装着された撹拌混合ヘッドを地中に貫入することにより地盤の掘削とともに地盤改良材との撹拌混合処理を行うことを基本として、撹拌混合ヘッドの貫入と引き抜きとを複数回繰り返すことで先ず改良層からなる鉛直壁部を地中に施工し、次いでこの鉛直壁部を一辺とする多角形の筒状構造体を構築するべく既設鉛直壁部に連続するように順次複数の鉛直壁部を施工し、さらにこの筒状構造体を単位要素として複数の筒状構造体同士を互いに連結するように上記施工を繰り返すことにより、例えばハニカム構造に代表されるように平面視にて格子状もしくは網目状をなす地盤改良構造体を地中に構築するようにしたものが知られている(なお、上記公報以外にも例えば特開平4−161610号公報に類似技術が記載されている)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の技術では、図15に示すようにベースマシンとなるバックホウ100が履帯式等の走行装置を備えてはいても、そのバックホウ100のフロントアタッチメントとしてアーム101の先端に撹拌混合ヘッド102を装着しているものであるから、上記のようなハニカム構造等の地盤改良構造体の構築に際して撹拌混合ヘッド102の自由度が必ずしも十分ではなく、その作業性もしくは施工性改善の上でなおも改善の余地を残している。
【0004】
すなわち、図16に示すように例えば単位要素となる正六角形の筒状構造体103を構築する場合に、施工しようとするいずれかの一辺部の鉛直壁部103aまたは103bとバックホウ100の走行方向およびアーム101とをその都度平面視にて互いに一致させた状態で施工を行う必要があり、したがって、例えば一つ目の鉛直壁部103aの施工完了に続いてそれに連続する二つ目の鉛直壁部103bの施工に移行するには、その都度バックホウ100そのものの姿勢を大きく変更する必要があり、実質的に隣り合う二つの鉛直壁部103a,103bの連続施工が困難となるほか、いわゆる段取り替えに要する時間のために実稼動時間が制約されることとなり、作業性の低下が余儀なくされることとなって好ましくない。
【0005】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、特に撹拌混合ヘッドに旋回自由度を具備させることで上記のような不具合を解消した地盤改良機械と地盤改良工法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ショベル系掘削機械をベースマシンとしてそのアームの先端に撹拌混合ヘッドを装着するとともに、撹拌混合ヘッドには撹拌翼を備えたエンドレスなチェーンを巻き掛けておき、このチェーンを上下方向に周回移動させながら撹拌混合ヘッドを地中に貫入することにより、地盤の掘削とともに改良材との撹拌混合処理を行うようにした地盤改良機械を前提として、アームに対して撹拌混合ヘッドを首振り旋回動作させる旋回機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
この場合、請求項2に記載のように、旋回機構を備えた撹拌混合ヘッドをアームに対して着脱可能に装着するか、もしくは請求項3に記載のように、アームに対して旋回機構を着脱可能に装着するとともに、その旋回機構に対して撹拌混合ヘッドを着脱可能に装着することが、アタッチメントの交換やメンテナンスを行う上で望ましい。
【0008】
したがって、これらの請求項1〜3に記載の発明では、ハニカム構造に代表されるように平面視にて格子状もしくは網目状をなる地盤改良構造体を地中に構築するべく、その単位要素となる多角形の筒状構造体の鉛直壁部を一辺部ごとに連続的を施工するにあたり、施工しようとする鉛直壁部とベースマシンの走行方向およびアームとが平面視にて相互に一致している必要がなくなる。すなわち、多角形の筒状構造体の特定の一辺部となる鉛直壁部の施工に続いてそれに連続する鉛直壁部を続けて施工する際に、撹拌混合ヘッドの旋回自由度を使ってその撹拌混合ヘッドの姿勢を変更するだけで対応することが可能となる。これは、多角形の筒状構造体を構築するにあたって、その筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で施工を行うようにすれば、少なくとも一つの筒状構造体を構成することになる複数の鉛直壁部の施工が完了するまでは、ベースマシンの上部旋回体の旋回自由度やアームの旋回自由度さらには撹拌混合ヘッドの旋回自由度を使って各鉛直壁部の施工を行うことにより、ベースマシンそのものは全く移動させる必要がないことを意味し、一つの筒状構造体を構成することになる複数の鉛直壁部の施工を連続して行うことができることになる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の地盤改良機械を用いることにより、多角形の筒状構造体を単位要素としつつこれらの筒状構造体を複数個連結することにより平面視にて格子状もしくは網目状をなす地盤改良構造体を地中に構築する手順を地盤改良工法として明確化したものである。
【0010】
すなわち、請求項4に記載の発明は、筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で、撹拌混合ヘッドの地中への貫入,引き抜き動作と並行して多角形の一辺部の長手方向への移動動作と首振り旋回動作を併用することにより、筒状構造体の一辺部に相当する位置に鉛直壁部の施工を行う工程と、鉛直壁部施工工程の作業を複数回繰り返すことで既設鉛直壁部に連続する鉛直壁部の施工を順次行って多角形の筒状構造体を構築する工程と、既設筒状構造体のいずれかの一辺部の鉛直壁部を共有しつつそれに隣接する筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で、上記鉛直壁部施工工程の作業を複数回繰り返すことで既設鉛直壁部に連続する鉛直壁部の施工を順次行って既設筒状構造体に隣接する筒状構造体を構築する工程とを含むことを特徴としている。
なお、上記筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部とは、中心そのもののみならず中心の近傍を含むものである。
【0011】
【発明の効果】
請求項1〜3に記載の発明によれば、ベースマシンのアームの先端に装着される撹拌混合ヘッドが旋回自由度を有することによって地盤改良機械としての自由度が高くなり、作業性の向上が図れる。
【0012】
特に請求項4に記載の発明によれば、多角形の筒状構造体を地中に構築するにあたって、その筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で施工を行うようにすれば、少なくとも一つの筒状構造体を構成することになる複数の鉛直壁部の施工が完了するまではベースマシンそのものは全く移動させる必要がなく、一つの筒状構造体を構成することになる複数の鉛直壁部の施工を連続して行うことができるようになって、作業性が飛躍的に向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図12は本発明に係る地盤改良機械とその地盤改良工法の好ましい実施の形態を示す図である。
【0014】
特に図1は地盤改良機械の全体構成を、図2は図1の撹拌混合ヘッド5のみを90度旋回させた状態をそれぞれ示しており、同図に示すように、地盤改良機械は建設機械の一つである万能掘削機すなわち無限軌道(履帯)式のショベル系掘削機械をベースマシン(母機)1として形成されているものであって、旋回ベース2に搭載された旋回式のブーム3の先端には同じく旋回式のアーム4が連結されていて、さらにそのアーム4の先端には土壌の掘削と撹拌混合のためのいわゆるトレンチャー式の撹拌混合ヘッド5が後述する旋回機構6を介して着脱可能に装着されている。
【0015】
撹拌混合ヘッド5は、図3,4に示すように上下方向に延びるフレーム7の上部の駆動輪8と下部の従動輪9との間にエンドレスなドライブチェーン10を巻き掛けるとともに、そのドライブチェーン10の外周に等ピッチで複数の撹拌翼11を装着したもので、フレーム7の先端には図示しない改良材吐出装置が設けられており、例えばポンプにより圧送されてきたスラリ状の地盤改良材が吐出されるようになっている。そして、フレーム7の上部に設けられた油圧モータ12を起動することにより各撹拌翼11がドライブチェーン10とともに周回移動し、それに併せてベースマシン1の推力による撹拌混合ヘッド5の地中への貫入と引き抜きとを繰り返すことにより、土壌の掘削と併せて改良材との撹拌混合とが行われるようになっている。
【0016】
なお、ドライブチェーン10はフレーム7に設けたガイドローラ13にて案内されているとともに、同じくフレーム7側のリーフスプリング14に支持されたテンションローラ15にて所定の張力が付与される。また、ドライブチェーン10を周回駆動するための駆動輪8はそのドライブチェーン10と噛み合うチェーンスプロケットである必要があるが、従動輪9については必ずしもチェーンスプロケットである必要はない。
【0017】
図5および図6,7はベースマシン1側のアーム4と撹拌混合ヘッド5との間に介装される旋回機構6の詳細を示しており、アーム4の先端に着脱可能に装着される固定側ブラケット16と一体の筒状体17の下部にはボルト18にて固定された支持体19とベアリング20とを介して大径のドリブンギヤ21が水平回転可能に支持されている一方、撹拌混合ヘッド5側に装着される可動側ブラケット22と一体の筒状体23の上部がドリブンギヤ21にボルト24にて固定されている。なお、可動側ブラケット22には図5に示すように撹拌混合ヘッド5のフレーム7と一体のヘッド側ブラケット25が着脱可能に装着される。支持体19側には補助ブラケット26を介して旋回駆動源である油圧モータ27が搭載されており、そのモータ軸にはドリブンギヤ21に噛み合うドライブギヤ28が装着されている。したがって、油圧モータ27を起動させることによりドライブギヤ28を介してドリブンギヤ21とともに撹拌混合ヘッド5が首振り旋回動作することになる。
【0018】
ここで、各ブラケット16,25における連結用の軸穴16a,16b同士および25a,25bのスパンは予め共通化されていて、上記撹拌混合ヘッド5の旋回機能を必要としない場合にはヘッド側ブラケット25を取付部として撹拌混合ヘッド5を直接アーム4の先端に着脱可能に装着できるようになっている。また、上記の例ではアーム4に対して旋回機構6が着脱可能に装着されているとともに、その旋回機構6に対して撹拌混合ヘッド5が着脱可能に装着されているものであるが、必要に応じて旋回機構6と撹拌混合ヘッド5を着脱不能な構造としてもよい。
【0019】
さらに、図6,7に示すように可動側ブラケット22にはこれと相対回転可能な補助リンク29が付設されていて、この補助リンク29は、例えば旋回機構6が先にアーム4側に装着されている場合にその旋回機構6に対して撹拌混合ヘッド5を装着する際に補助的に使用される。すなわち、図3のほか図5,6に示すように、最初にヘッド側ブラケット25の軸穴25bと補助リンク29側の軸穴29aとを合致させた上でそれに連結ピンを挿入して、両者を一次的に仮連結状態とする。そして、可動側ブラケット22と補助リンク29との相対回転自由度と、補助リンク29とヘッド側ブラケット25との相対回転自由度を利用して、ヘッド側ブラケット25の軸穴25aと可動側ブラケット22の軸穴22aとを合致させ、それらの軸穴25a,22aに連結ピンを挿入して両者を連結する。この場合、ヘッド側ブラケット25は可動側ブラケット22に対し補助リンク29を介して仮連結状態にあるので、軸穴25a,22a同士の整合合致作業を容易に行うことができる。
【0020】
こうして軸穴25a,22a同士がピン結合されたならば先に軸穴25b,29aに挿入されている連結ピンを取り外して仮連結状態を解除し、この時点で補助リンク29はその役目を終えることになる。代わって軸穴25a,22aに挿入されている連結ピンを支点としてヘッド側ブラケット25と可動側ブラケット22とを相対回転させて、ヘッド側ブラケット25の軸穴25bと可動側ブラケット22の軸穴22bとを合致させ、それらの軸穴25b,22bに連結ピンを挿入して両者を連結する。こうすることにより、補助リンク29がない場合と比べて旋回機構6に対する撹拌混合ヘッド5の連結がきわめてスムーズ且つ迅速に行えることになる。
【0021】
次に、このように構成された地盤改良機械を使用して例えば図8に示すようなハニカム構造をなす地盤改良構造体30を地中に構築する場合の手順について説明する。なお、上記の地盤改良構造体30は、地盤改良層からなる正六角形の筒状構造体A,B,C…を単位要素としてそれぞれの筒状構造体A,B,C…の少なくとも一辺部を共有するように隣接する筒状構造体A,B,C…同士を相互に連結したものである。なお、筒状構造体A,B,C…の総数は任意に設定できることは言うまでもない。
【0022】
ハニカム状の地盤改良構造体30の構築に先立って、図8に示すようにその地盤改良構造体30を構築すべき領域の地面に地盤改良構造体30の平面形状に相当する大まかな区割り線を引いておくとともに、各六角形A,B,C…の中心位置を予め特定しておき、オペレータはその区割り線に沿って撹拌混合ヘッド5を動かしながら順次施工を行うものとする。
【0023】
ここでは、図8に示した地盤改良構造体30のうち一番最初に端部の筒状構造体Aを構築するものと仮定すると、図10の(A)に示すように構築すべき筒状構造体Aの中心位置までベースマシン1を移動させてその位置で静止させた上で、筒状構造体Aのいずれかの一辺部となる鉛直壁部31を最初に施工する。すなわち、図9に示すように構築すべき筒状構造体Aの中心位置に静止させたベースマシン1の旋回ベース2の自由度やブーム3およびアーム4の旋回自由度を使って撹拌混合ヘッド5を筒状構造体Aとなるべき領域の一辺部相当位置まで移動させて鉛直状態とし、先に述べたように撹拌混合ヘッド5に付帯する撹拌翼11付きのドライブチェーン10の周回駆動と改良材の吐出とを併用しながら地中への所定深度の貫入と引き抜きとを繰り返すとともに、図10の(A)に示すように旋回ベース2の反時計回り方向への旋回動作によりその一辺部相当部に沿って撹拌混合ヘッド5を移動させて、特定の一辺部となる所定厚みの鉛直壁部31を施工する。この鉛直壁部31は、撹拌混合ヘッド5で掘削した土壌と改良材とを撹拌混合した改良層をもって形成されるものであり、最終的には改良材の固化作用をもって固結したものとなる。
【0024】
この場合、一辺部相当部に沿って撹拌混合ヘッド5を移動させる際にそれと並行して旋回機構6により撹拌混合ヘッド5を所定角度ずつ首振り旋回動作させて姿勢変更させるものとし、こうすることにより特定の一辺部となる鉛直壁部31の施工が完了するまではベースマシン1は定位置のままで一切動かす必要はない。
【0025】
特定の一辺部での鉛直壁部31の施工が完了したならば、図10の(B)に示すように既設鉛直壁部31に隣接することになる一辺部相当部での鉛直壁部32を同様の手順で施工する。この場合においても、旋回ベース2の自由度やブーム3およびアーム4の自由度を使って撹拌混合ヘッド5を移動させる際に、同時に旋回機構6により撹拌混合ヘッド5を所定角度ずつ首振り旋回動作させるようにすれば、二つ目の一辺部となる鉛直壁部32の施工が完了するまではベースマシン1はなおも定位置のままで一切動かす必要はない。
【0026】
図10のほか図11,12に示すように、以上のような鉛直壁部31〜36の施工を合計で6回繰り返すことにより、図8および図12の(B)に示すように互いに隣接することになる6枚の鉛直壁部31〜36をもって正六角形の筒状構造体Aが地中に構築される。そして、同図から明らかなようにベースマシン1を筒状構造体Aの中心位置に静止させた上で各鉛直壁部31〜36の施工を行うことにより、正六角形の筒状構造体Aの構築が完了するまではベースマシン1そのものを全く移動させる必要がなく、合計六辺の鉛直壁部31〜36をもって構成される正六角形の筒状構造体Aを実質的に連続して構築することが可能となる。
【0027】
図8に示すようにハニカム構造の地盤改良構造体30の単位要素である特定の一つの筒状構造体Aが構築されたならば、その既設筒状構造体Aに隣接することになる隣りの筒状構造体BもしくはEとなるべき領域にベースマシン1を移動させてその中心位置に静止させる。そして、上記と同様にして合計六辺の鉛直壁部31〜36をもって構成される正六角形の筒状構造体BまたはEを構築する。この場合、図8に示すように筒状構造体Bの場合には特定の一辺部の鉛直壁部を筒状構造体Aとで共有し合うかたちとなるとともに、筒状構造体Eの場合には同様に特定の一辺部の鉛直壁部を筒状構造体Aとで共有し合うかたちとなる。また、筒状構造体BとEとが共に構築された場合には両者は同様にして特定の一辺部の鉛直壁部を共有し合うかたちとなる。
【0028】
このように、既設筒状構造体に隣接しつついずれかの一辺部の鉛直壁部を共有し合うかたちとなる筒状構造体A,B,C…を必要数だけ構築することにより、図8に示すように正六角形の筒状構造体A,B,C…を単位要素とするハニカム構造の地盤改良構造体30が地中に構築される。この場合、先に述べたように構築すべき筒状構造体A,B,C…の領域の中心位置相当部にベースマシン1を静止させたならば、ベースマシン1を一切移動させることなく旋回ベース2の旋回自由度や撹拌混合ヘッド5の旋回自由度を使って撹拌混合ヘッド5の移動や姿勢変更を行うようにしているので、六辺の鉛直壁部31〜36の集合体からなる筒状構造体A,B,C…を連続的に構築することができ、しかもベースマシン1を移動させる頻度が極端に少なくなることによって作業性が飛躍的に向上する。
【0029】
ここで、上記の実施の形態では正六角形の筒状構造体A,B,C…を単位要素とするいわゆるハニカム構造の地盤改良構造体30を構築する場合を例にとって説明したが、単位要素としては3辺以上の筒状構造体であればどのような形状のものでもよく、要は地盤改良構造体30全体として平面視にて格子状もしくは網目状をなすものであればどのような構造のものにも本発明を適用することが可能である。
【0030】
図13には上記実施の形態の地盤改良機械を用いた別の施工例を示す。
【0031】
この施工例では、既存の家屋40に近接した部分の地中に壁状の構造体41を構築するにあたり、ベースマシン1を施工方向Pに対して直角に位置させるとともに、旋回機構6の自由度を使って撹拌混合ヘッド5を施工方向Pと正対するようにその向きを調整した上で、ベースマシン1を施工方向Pに横行させながら、地中に貫入した撹拌混合ヘッド5を同方向Pに移動させるようにしたものである。
【0032】
この施工方法によれば、ベースマシン1を家屋40から可及的に離れた位置において施工を行うことができるため、家屋40等の近隣に及ぼす騒音および振動等を著しく抑制できる利点がある。例えば、図13の(A)の符号Mはベースマシン1から地盤への振動による影響線を示すが、家屋40の直下の地盤までは及ばないことがわかる。特に撹拌混合ヘッド5は撹拌翼11が上下方向に周回駆動されることで撹拌混合処理を行う方式であるので、家屋40側の地盤に無用な土圧増加等を及ぼすこともない。
【0033】
ちなみに、図15に示した従来の地盤改良機械にて同様の施工を行おうとすると、図14のようにベースマシンであるバックホウ100そのものが家屋に著しく接近せざるを得なくなり、騒音や振動等の影響が危惧されることになる。
【0034】
ここで、図13に示した施工に関するかぎりでは旋回機構6は絶対必要条件ではなく、図15に示す従来の地盤改良機械においてアーム101に対する撹拌混合ヘッド102の向きを90度異ならしめたタイプのものを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地盤改良機械の実施の形態としてその全体構造を示す説明図。
【図2】図1の状態から撹拌混合ヘッドを90度旋回させた状態を示す説明図。
【図3】図1に示す撹拌混合ヘッドの拡大説明図。
【図4】図3に示す撹拌混合ヘッドの側面説明図。
【図5】図1に示すアームと旋回機構および撹拌混合ヘッドの相互関係を示す要部拡大図。
【図6】図5に示す旋回機構単独での拡大図。
【図7】図6の右側面説明図。
【図8】地中に構築すべき地盤改良構造体の概略平面説明図。
【図9】図2の状態から撹拌混合ヘッドを地中に貫入した状態を示す説明図。
【図10】(A),(B)ともに図8に示す地盤改良構造体の単位要素となるいずれか一つの筒状構造体を構築する際の手順を示す工程説明図。
【図11】(A),(B)ともに図8に示す地盤改良構造体の単位要素となるいずれか一つの筒状構造体を構築する際の手順を示す工程説明図。
【図12】(A),(B)ともに図8に示す地盤改良構造体の単位要素となるいずれか一つの筒状構造体を構築する際の手順を示す工程説明図。
【図13】本発明の地盤改良機械を用いた別の施工例を示す図で、(A)はその側面説明図、(B)は同図(A)の平面説明図。
【図14】図15に示した従来の地盤改良機械を用いた施工例を示す図で、(A)はその側面説明図、(B)は同図(A)の平面説明図。
【図15】従来の地盤改良機械の一例を示す説明図。
【図16】(A),(B)ともに従来の多角形の地盤改良工法の一例を示す工程説明図。
【符号の説明】
1…ベースマシン
4…アーム
5…撹拌混合ヘッド
6…旋回機構
10…ドライブチェーン
11…撹拌翼
30…地盤改良構造体
31〜36…鉛直壁部
A〜G…筒状構造体
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上構造物の基礎となる軟弱地盤の改良や液状化現象の防止を目的として、地盤を掘削しながらセメント等の地盤改良材(固化材)と土壌とを撹拌混合して固結させる地盤改良機械とその工法に関し、特に多角形の筒状構造体を単位要素としつつこれらの筒状構造体を複数個連結することにより平面視にて格子状もしくは網目状をなす地盤改良構造体を地中に構築するのに好適な地盤改良機械とその工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の地盤改良に関する技術としては、例えば特開2001−20272号号公報に記載されているように、ベースマシン(母機)となるバックホウ等のアームの先端に装着された撹拌混合ヘッドを地中に貫入することにより地盤の掘削とともに地盤改良材との撹拌混合処理を行うことを基本として、撹拌混合ヘッドの貫入と引き抜きとを複数回繰り返すことで先ず改良層からなる鉛直壁部を地中に施工し、次いでこの鉛直壁部を一辺とする多角形の筒状構造体を構築するべく既設鉛直壁部に連続するように順次複数の鉛直壁部を施工し、さらにこの筒状構造体を単位要素として複数の筒状構造体同士を互いに連結するように上記施工を繰り返すことにより、例えばハニカム構造に代表されるように平面視にて格子状もしくは網目状をなす地盤改良構造体を地中に構築するようにしたものが知られている(なお、上記公報以外にも例えば特開平4−161610号公報に類似技術が記載されている)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の技術では、図15に示すようにベースマシンとなるバックホウ100が履帯式等の走行装置を備えてはいても、そのバックホウ100のフロントアタッチメントとしてアーム101の先端に撹拌混合ヘッド102を装着しているものであるから、上記のようなハニカム構造等の地盤改良構造体の構築に際して撹拌混合ヘッド102の自由度が必ずしも十分ではなく、その作業性もしくは施工性改善の上でなおも改善の余地を残している。
【0004】
すなわち、図16に示すように例えば単位要素となる正六角形の筒状構造体103を構築する場合に、施工しようとするいずれかの一辺部の鉛直壁部103aまたは103bとバックホウ100の走行方向およびアーム101とをその都度平面視にて互いに一致させた状態で施工を行う必要があり、したがって、例えば一つ目の鉛直壁部103aの施工完了に続いてそれに連続する二つ目の鉛直壁部103bの施工に移行するには、その都度バックホウ100そのものの姿勢を大きく変更する必要があり、実質的に隣り合う二つの鉛直壁部103a,103bの連続施工が困難となるほか、いわゆる段取り替えに要する時間のために実稼動時間が制約されることとなり、作業性の低下が余儀なくされることとなって好ましくない。
【0005】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、特に撹拌混合ヘッドに旋回自由度を具備させることで上記のような不具合を解消した地盤改良機械と地盤改良工法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ショベル系掘削機械をベースマシンとしてそのアームの先端に撹拌混合ヘッドを装着するとともに、撹拌混合ヘッドには撹拌翼を備えたエンドレスなチェーンを巻き掛けておき、このチェーンを上下方向に周回移動させながら撹拌混合ヘッドを地中に貫入することにより、地盤の掘削とともに改良材との撹拌混合処理を行うようにした地盤改良機械を前提として、アームに対して撹拌混合ヘッドを首振り旋回動作させる旋回機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
この場合、請求項2に記載のように、旋回機構を備えた撹拌混合ヘッドをアームに対して着脱可能に装着するか、もしくは請求項3に記載のように、アームに対して旋回機構を着脱可能に装着するとともに、その旋回機構に対して撹拌混合ヘッドを着脱可能に装着することが、アタッチメントの交換やメンテナンスを行う上で望ましい。
【0008】
したがって、これらの請求項1〜3に記載の発明では、ハニカム構造に代表されるように平面視にて格子状もしくは網目状をなる地盤改良構造体を地中に構築するべく、その単位要素となる多角形の筒状構造体の鉛直壁部を一辺部ごとに連続的を施工するにあたり、施工しようとする鉛直壁部とベースマシンの走行方向およびアームとが平面視にて相互に一致している必要がなくなる。すなわち、多角形の筒状構造体の特定の一辺部となる鉛直壁部の施工に続いてそれに連続する鉛直壁部を続けて施工する際に、撹拌混合ヘッドの旋回自由度を使ってその撹拌混合ヘッドの姿勢を変更するだけで対応することが可能となる。これは、多角形の筒状構造体を構築するにあたって、その筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で施工を行うようにすれば、少なくとも一つの筒状構造体を構成することになる複数の鉛直壁部の施工が完了するまでは、ベースマシンの上部旋回体の旋回自由度やアームの旋回自由度さらには撹拌混合ヘッドの旋回自由度を使って各鉛直壁部の施工を行うことにより、ベースマシンそのものは全く移動させる必要がないことを意味し、一つの筒状構造体を構成することになる複数の鉛直壁部の施工を連続して行うことができることになる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の地盤改良機械を用いることにより、多角形の筒状構造体を単位要素としつつこれらの筒状構造体を複数個連結することにより平面視にて格子状もしくは網目状をなす地盤改良構造体を地中に構築する手順を地盤改良工法として明確化したものである。
【0010】
すなわち、請求項4に記載の発明は、筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で、撹拌混合ヘッドの地中への貫入,引き抜き動作と並行して多角形の一辺部の長手方向への移動動作と首振り旋回動作を併用することにより、筒状構造体の一辺部に相当する位置に鉛直壁部の施工を行う工程と、鉛直壁部施工工程の作業を複数回繰り返すことで既設鉛直壁部に連続する鉛直壁部の施工を順次行って多角形の筒状構造体を構築する工程と、既設筒状構造体のいずれかの一辺部の鉛直壁部を共有しつつそれに隣接する筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で、上記鉛直壁部施工工程の作業を複数回繰り返すことで既設鉛直壁部に連続する鉛直壁部の施工を順次行って既設筒状構造体に隣接する筒状構造体を構築する工程とを含むことを特徴としている。
なお、上記筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部とは、中心そのもののみならず中心の近傍を含むものである。
【0011】
【発明の効果】
請求項1〜3に記載の発明によれば、ベースマシンのアームの先端に装着される撹拌混合ヘッドが旋回自由度を有することによって地盤改良機械としての自由度が高くなり、作業性の向上が図れる。
【0012】
特に請求項4に記載の発明によれば、多角形の筒状構造体を地中に構築するにあたって、その筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で施工を行うようにすれば、少なくとも一つの筒状構造体を構成することになる複数の鉛直壁部の施工が完了するまではベースマシンそのものは全く移動させる必要がなく、一つの筒状構造体を構成することになる複数の鉛直壁部の施工を連続して行うことができるようになって、作業性が飛躍的に向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図12は本発明に係る地盤改良機械とその地盤改良工法の好ましい実施の形態を示す図である。
【0014】
特に図1は地盤改良機械の全体構成を、図2は図1の撹拌混合ヘッド5のみを90度旋回させた状態をそれぞれ示しており、同図に示すように、地盤改良機械は建設機械の一つである万能掘削機すなわち無限軌道(履帯)式のショベル系掘削機械をベースマシン(母機)1として形成されているものであって、旋回ベース2に搭載された旋回式のブーム3の先端には同じく旋回式のアーム4が連結されていて、さらにそのアーム4の先端には土壌の掘削と撹拌混合のためのいわゆるトレンチャー式の撹拌混合ヘッド5が後述する旋回機構6を介して着脱可能に装着されている。
【0015】
撹拌混合ヘッド5は、図3,4に示すように上下方向に延びるフレーム7の上部の駆動輪8と下部の従動輪9との間にエンドレスなドライブチェーン10を巻き掛けるとともに、そのドライブチェーン10の外周に等ピッチで複数の撹拌翼11を装着したもので、フレーム7の先端には図示しない改良材吐出装置が設けられており、例えばポンプにより圧送されてきたスラリ状の地盤改良材が吐出されるようになっている。そして、フレーム7の上部に設けられた油圧モータ12を起動することにより各撹拌翼11がドライブチェーン10とともに周回移動し、それに併せてベースマシン1の推力による撹拌混合ヘッド5の地中への貫入と引き抜きとを繰り返すことにより、土壌の掘削と併せて改良材との撹拌混合とが行われるようになっている。
【0016】
なお、ドライブチェーン10はフレーム7に設けたガイドローラ13にて案内されているとともに、同じくフレーム7側のリーフスプリング14に支持されたテンションローラ15にて所定の張力が付与される。また、ドライブチェーン10を周回駆動するための駆動輪8はそのドライブチェーン10と噛み合うチェーンスプロケットである必要があるが、従動輪9については必ずしもチェーンスプロケットである必要はない。
【0017】
図5および図6,7はベースマシン1側のアーム4と撹拌混合ヘッド5との間に介装される旋回機構6の詳細を示しており、アーム4の先端に着脱可能に装着される固定側ブラケット16と一体の筒状体17の下部にはボルト18にて固定された支持体19とベアリング20とを介して大径のドリブンギヤ21が水平回転可能に支持されている一方、撹拌混合ヘッド5側に装着される可動側ブラケット22と一体の筒状体23の上部がドリブンギヤ21にボルト24にて固定されている。なお、可動側ブラケット22には図5に示すように撹拌混合ヘッド5のフレーム7と一体のヘッド側ブラケット25が着脱可能に装着される。支持体19側には補助ブラケット26を介して旋回駆動源である油圧モータ27が搭載されており、そのモータ軸にはドリブンギヤ21に噛み合うドライブギヤ28が装着されている。したがって、油圧モータ27を起動させることによりドライブギヤ28を介してドリブンギヤ21とともに撹拌混合ヘッド5が首振り旋回動作することになる。
【0018】
ここで、各ブラケット16,25における連結用の軸穴16a,16b同士および25a,25bのスパンは予め共通化されていて、上記撹拌混合ヘッド5の旋回機能を必要としない場合にはヘッド側ブラケット25を取付部として撹拌混合ヘッド5を直接アーム4の先端に着脱可能に装着できるようになっている。また、上記の例ではアーム4に対して旋回機構6が着脱可能に装着されているとともに、その旋回機構6に対して撹拌混合ヘッド5が着脱可能に装着されているものであるが、必要に応じて旋回機構6と撹拌混合ヘッド5を着脱不能な構造としてもよい。
【0019】
さらに、図6,7に示すように可動側ブラケット22にはこれと相対回転可能な補助リンク29が付設されていて、この補助リンク29は、例えば旋回機構6が先にアーム4側に装着されている場合にその旋回機構6に対して撹拌混合ヘッド5を装着する際に補助的に使用される。すなわち、図3のほか図5,6に示すように、最初にヘッド側ブラケット25の軸穴25bと補助リンク29側の軸穴29aとを合致させた上でそれに連結ピンを挿入して、両者を一次的に仮連結状態とする。そして、可動側ブラケット22と補助リンク29との相対回転自由度と、補助リンク29とヘッド側ブラケット25との相対回転自由度を利用して、ヘッド側ブラケット25の軸穴25aと可動側ブラケット22の軸穴22aとを合致させ、それらの軸穴25a,22aに連結ピンを挿入して両者を連結する。この場合、ヘッド側ブラケット25は可動側ブラケット22に対し補助リンク29を介して仮連結状態にあるので、軸穴25a,22a同士の整合合致作業を容易に行うことができる。
【0020】
こうして軸穴25a,22a同士がピン結合されたならば先に軸穴25b,29aに挿入されている連結ピンを取り外して仮連結状態を解除し、この時点で補助リンク29はその役目を終えることになる。代わって軸穴25a,22aに挿入されている連結ピンを支点としてヘッド側ブラケット25と可動側ブラケット22とを相対回転させて、ヘッド側ブラケット25の軸穴25bと可動側ブラケット22の軸穴22bとを合致させ、それらの軸穴25b,22bに連結ピンを挿入して両者を連結する。こうすることにより、補助リンク29がない場合と比べて旋回機構6に対する撹拌混合ヘッド5の連結がきわめてスムーズ且つ迅速に行えることになる。
【0021】
次に、このように構成された地盤改良機械を使用して例えば図8に示すようなハニカム構造をなす地盤改良構造体30を地中に構築する場合の手順について説明する。なお、上記の地盤改良構造体30は、地盤改良層からなる正六角形の筒状構造体A,B,C…を単位要素としてそれぞれの筒状構造体A,B,C…の少なくとも一辺部を共有するように隣接する筒状構造体A,B,C…同士を相互に連結したものである。なお、筒状構造体A,B,C…の総数は任意に設定できることは言うまでもない。
【0022】
ハニカム状の地盤改良構造体30の構築に先立って、図8に示すようにその地盤改良構造体30を構築すべき領域の地面に地盤改良構造体30の平面形状に相当する大まかな区割り線を引いておくとともに、各六角形A,B,C…の中心位置を予め特定しておき、オペレータはその区割り線に沿って撹拌混合ヘッド5を動かしながら順次施工を行うものとする。
【0023】
ここでは、図8に示した地盤改良構造体30のうち一番最初に端部の筒状構造体Aを構築するものと仮定すると、図10の(A)に示すように構築すべき筒状構造体Aの中心位置までベースマシン1を移動させてその位置で静止させた上で、筒状構造体Aのいずれかの一辺部となる鉛直壁部31を最初に施工する。すなわち、図9に示すように構築すべき筒状構造体Aの中心位置に静止させたベースマシン1の旋回ベース2の自由度やブーム3およびアーム4の旋回自由度を使って撹拌混合ヘッド5を筒状構造体Aとなるべき領域の一辺部相当位置まで移動させて鉛直状態とし、先に述べたように撹拌混合ヘッド5に付帯する撹拌翼11付きのドライブチェーン10の周回駆動と改良材の吐出とを併用しながら地中への所定深度の貫入と引き抜きとを繰り返すとともに、図10の(A)に示すように旋回ベース2の反時計回り方向への旋回動作によりその一辺部相当部に沿って撹拌混合ヘッド5を移動させて、特定の一辺部となる所定厚みの鉛直壁部31を施工する。この鉛直壁部31は、撹拌混合ヘッド5で掘削した土壌と改良材とを撹拌混合した改良層をもって形成されるものであり、最終的には改良材の固化作用をもって固結したものとなる。
【0024】
この場合、一辺部相当部に沿って撹拌混合ヘッド5を移動させる際にそれと並行して旋回機構6により撹拌混合ヘッド5を所定角度ずつ首振り旋回動作させて姿勢変更させるものとし、こうすることにより特定の一辺部となる鉛直壁部31の施工が完了するまではベースマシン1は定位置のままで一切動かす必要はない。
【0025】
特定の一辺部での鉛直壁部31の施工が完了したならば、図10の(B)に示すように既設鉛直壁部31に隣接することになる一辺部相当部での鉛直壁部32を同様の手順で施工する。この場合においても、旋回ベース2の自由度やブーム3およびアーム4の自由度を使って撹拌混合ヘッド5を移動させる際に、同時に旋回機構6により撹拌混合ヘッド5を所定角度ずつ首振り旋回動作させるようにすれば、二つ目の一辺部となる鉛直壁部32の施工が完了するまではベースマシン1はなおも定位置のままで一切動かす必要はない。
【0026】
図10のほか図11,12に示すように、以上のような鉛直壁部31〜36の施工を合計で6回繰り返すことにより、図8および図12の(B)に示すように互いに隣接することになる6枚の鉛直壁部31〜36をもって正六角形の筒状構造体Aが地中に構築される。そして、同図から明らかなようにベースマシン1を筒状構造体Aの中心位置に静止させた上で各鉛直壁部31〜36の施工を行うことにより、正六角形の筒状構造体Aの構築が完了するまではベースマシン1そのものを全く移動させる必要がなく、合計六辺の鉛直壁部31〜36をもって構成される正六角形の筒状構造体Aを実質的に連続して構築することが可能となる。
【0027】
図8に示すようにハニカム構造の地盤改良構造体30の単位要素である特定の一つの筒状構造体Aが構築されたならば、その既設筒状構造体Aに隣接することになる隣りの筒状構造体BもしくはEとなるべき領域にベースマシン1を移動させてその中心位置に静止させる。そして、上記と同様にして合計六辺の鉛直壁部31〜36をもって構成される正六角形の筒状構造体BまたはEを構築する。この場合、図8に示すように筒状構造体Bの場合には特定の一辺部の鉛直壁部を筒状構造体Aとで共有し合うかたちとなるとともに、筒状構造体Eの場合には同様に特定の一辺部の鉛直壁部を筒状構造体Aとで共有し合うかたちとなる。また、筒状構造体BとEとが共に構築された場合には両者は同様にして特定の一辺部の鉛直壁部を共有し合うかたちとなる。
【0028】
このように、既設筒状構造体に隣接しつついずれかの一辺部の鉛直壁部を共有し合うかたちとなる筒状構造体A,B,C…を必要数だけ構築することにより、図8に示すように正六角形の筒状構造体A,B,C…を単位要素とするハニカム構造の地盤改良構造体30が地中に構築される。この場合、先に述べたように構築すべき筒状構造体A,B,C…の領域の中心位置相当部にベースマシン1を静止させたならば、ベースマシン1を一切移動させることなく旋回ベース2の旋回自由度や撹拌混合ヘッド5の旋回自由度を使って撹拌混合ヘッド5の移動や姿勢変更を行うようにしているので、六辺の鉛直壁部31〜36の集合体からなる筒状構造体A,B,C…を連続的に構築することができ、しかもベースマシン1を移動させる頻度が極端に少なくなることによって作業性が飛躍的に向上する。
【0029】
ここで、上記の実施の形態では正六角形の筒状構造体A,B,C…を単位要素とするいわゆるハニカム構造の地盤改良構造体30を構築する場合を例にとって説明したが、単位要素としては3辺以上の筒状構造体であればどのような形状のものでもよく、要は地盤改良構造体30全体として平面視にて格子状もしくは網目状をなすものであればどのような構造のものにも本発明を適用することが可能である。
【0030】
図13には上記実施の形態の地盤改良機械を用いた別の施工例を示す。
【0031】
この施工例では、既存の家屋40に近接した部分の地中に壁状の構造体41を構築するにあたり、ベースマシン1を施工方向Pに対して直角に位置させるとともに、旋回機構6の自由度を使って撹拌混合ヘッド5を施工方向Pと正対するようにその向きを調整した上で、ベースマシン1を施工方向Pに横行させながら、地中に貫入した撹拌混合ヘッド5を同方向Pに移動させるようにしたものである。
【0032】
この施工方法によれば、ベースマシン1を家屋40から可及的に離れた位置において施工を行うことができるため、家屋40等の近隣に及ぼす騒音および振動等を著しく抑制できる利点がある。例えば、図13の(A)の符号Mはベースマシン1から地盤への振動による影響線を示すが、家屋40の直下の地盤までは及ばないことがわかる。特に撹拌混合ヘッド5は撹拌翼11が上下方向に周回駆動されることで撹拌混合処理を行う方式であるので、家屋40側の地盤に無用な土圧増加等を及ぼすこともない。
【0033】
ちなみに、図15に示した従来の地盤改良機械にて同様の施工を行おうとすると、図14のようにベースマシンであるバックホウ100そのものが家屋に著しく接近せざるを得なくなり、騒音や振動等の影響が危惧されることになる。
【0034】
ここで、図13に示した施工に関するかぎりでは旋回機構6は絶対必要条件ではなく、図15に示す従来の地盤改良機械においてアーム101に対する撹拌混合ヘッド102の向きを90度異ならしめたタイプのものを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地盤改良機械の実施の形態としてその全体構造を示す説明図。
【図2】図1の状態から撹拌混合ヘッドを90度旋回させた状態を示す説明図。
【図3】図1に示す撹拌混合ヘッドの拡大説明図。
【図4】図3に示す撹拌混合ヘッドの側面説明図。
【図5】図1に示すアームと旋回機構および撹拌混合ヘッドの相互関係を示す要部拡大図。
【図6】図5に示す旋回機構単独での拡大図。
【図7】図6の右側面説明図。
【図8】地中に構築すべき地盤改良構造体の概略平面説明図。
【図9】図2の状態から撹拌混合ヘッドを地中に貫入した状態を示す説明図。
【図10】(A),(B)ともに図8に示す地盤改良構造体の単位要素となるいずれか一つの筒状構造体を構築する際の手順を示す工程説明図。
【図11】(A),(B)ともに図8に示す地盤改良構造体の単位要素となるいずれか一つの筒状構造体を構築する際の手順を示す工程説明図。
【図12】(A),(B)ともに図8に示す地盤改良構造体の単位要素となるいずれか一つの筒状構造体を構築する際の手順を示す工程説明図。
【図13】本発明の地盤改良機械を用いた別の施工例を示す図で、(A)はその側面説明図、(B)は同図(A)の平面説明図。
【図14】図15に示した従来の地盤改良機械を用いた施工例を示す図で、(A)はその側面説明図、(B)は同図(A)の平面説明図。
【図15】従来の地盤改良機械の一例を示す説明図。
【図16】(A),(B)ともに従来の多角形の地盤改良工法の一例を示す工程説明図。
【符号の説明】
1…ベースマシン
4…アーム
5…撹拌混合ヘッド
6…旋回機構
10…ドライブチェーン
11…撹拌翼
30…地盤改良構造体
31〜36…鉛直壁部
A〜G…筒状構造体
Claims (4)
- ショベル系掘削機械をベースマシンとしてそのアームの先端に撹拌混合ヘッドを装着するとともに、撹拌混合ヘッドには撹拌翼を備えたエンドレスなチェーンを巻き掛けておき、このチェーンを上下方向に周回移動させながら撹拌混合ヘッドを地中に貫入することにより、地盤の掘削とともに改良材との撹拌混合処理を行うようにした地盤改良機械であって、
アームに対して撹拌混合ヘッドを首振り旋回動作させる旋回機構を設けたことを特徴とする地盤改良機械。 - 旋回機構を備えた撹拌混合ヘッドをアームに対して着脱可能に装着したことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良機械。
- アームに対して旋回機構を着脱可能に装着するとともに、その旋回機構に対して撹拌混合ヘッドを着脱可能に装着したことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良機械。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の地盤改良機械を用いることにより、多角形の筒状構造体を単位要素としつつこれらの筒状構造体を複数個連結することにより平面視にて格子状もしくは網目状をなす地盤改良構造体を地中に構築する方法であって、
筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で、撹拌混合ヘッドの地中への貫入,引き抜き動作と並行して多角形の一辺部の長手方向への移動動作と首振り旋回動作を併用することにより、筒状構造体の一辺部に相当する位置に鉛直壁部の施工を行う工程と、
鉛直壁部施工工程の作業を複数回繰り返すことで既設鉛直壁部に連続する鉛直壁部の施工を順次行って多角形の筒状構造体を構築する工程と、
既設筒状構造体のいずれかの一辺部の鉛直壁部を共有しつつそれに隣接する筒状構造体となるべき領域の中心位置相当部にベースマシンを静止させた状態で、上記鉛直壁部施工工程の作業を複数回繰り返すことで既設鉛直壁部に連続する鉛直壁部の施工を順次行って既設筒状構造体に隣接する筒状構造体を構築する工程と、
を含むことを特徴とする地盤改良工法。
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