JP4328239B2 - 掘削装置 - Google Patents

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Description

本発明は、地盤を掘削するための掘削装置に関する。
地盤を掘削するための掘削装置としては、ベースマシンに支持されている固定軸と、固定軸周りに回転可能な出力部を有し、撹拌翼を有する撹拌軸が出力部に取り付けられている油圧モータ(中空モータ)を備える撹拌手段と、撹拌手段の下方に設けられており、固定軸周りに回転可能な出力部を有し、掘削刃および撹拌翼を有する掘削軸が出力部に取り付けられている油圧モータ(中空モータ)を備える掘削手段と、から構成されている回転手段によって地盤を掘削可能な掘削装置がある(例えば、特許文献1参照)。
この掘削装置では、掘削手段の油圧モータが撹拌手段の下方に配置されており、地盤を掘削する際に、掘削手段の油圧モータを掘削孔内に配置することができるため、装置全体の重心を低くすることができる。
特許第3407139号公報(段落0007〜0009、図2)
しかしながら、前記した構成の掘削装置によって、大きな口径の掘削孔を構築する場合には、その口径に対応した面積の掘削面を有する掘削刃を設け、この掘削刃によって地盤を掘削することになる。これにより、掘削刃の掘削面が大きくなり、掘削時に掘削刃の振動が大きくなるため、前記した掘削装置のように、1本の固定軸によって掘削刃を支持する構成では、掘削時に装置を安定させることが困難になってしまうという問題がある。
また、掘削面が大きな掘削刃によって掘削するためには、大きな回転トルクが必要となる。すなわち、前記した掘削装置のように、1基の油圧モータによって掘削刃を回転させている構成では、大きな回転トルクを出力可能な油圧モータが必要となる。したがって、汎用性が少ない油圧モータを用いることになるため、油圧モータに係る費用が高くなってしまうという問題がある。
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、掘削刃の掘削面が大きい場合であっても、掘削刃が安定した状態で地盤を掘削して、大きな口径の掘削孔を構築することができるとともに、装置の製作費用を少なくすることができる掘削装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、掘削刃により地盤を掘削可能な掘削装置であって、軸方向が進行方向に配置されている複数の固定軸と、先端部に掘削刃を有し、軸周りに回転可能な状態で、各固定軸に支持されている掘削軸とを備え、各固定軸の先端部には、駆動モータが取り付けられており、各駆動モータの出力部に設けられた駆動歯車と、掘削軸に設けられた従動歯車とを係合させることにより、各駆動モータの出力部の回転力によって、掘削軸が回転するように構成されていることを特徴としている。
ここで、駆動モータは、油圧モータや電動モータなど、その構成は限定されるものではなく、各固定軸に取り付けられた複数の駆動モータによって、掘削時に掘削刃が必要とする回転トルクを発揮することができればよい。
また、掘削刃は、掘削対象となる地盤を確実に掘削することができる形状および材質であればよく、その構成は限定されるものではない。
このように、掘削刃を有する掘削軸を複数の固定軸によって支持することにより、掘削刃の掘削面が大きい場合であっても、掘削時に掘削刃の振動を少なくすることができる。これにより、掘削面が大きな掘削刃が安定した状態で地盤を掘削することができるため、大きな口径の掘削孔を効率良く構築することができる。
また、各固定軸に取り付けられた駆動モータによって掘削軸が回転するため、掘削軸は複数の駆動モータによる回転トルクによって回転することになる。これにより、掘削刃の掘削面が大きく形成され、掘削時に掘削刃が大きな回転トルクを必要とする場合であっても、駆動モータ単体の回転トルクを小さくすることができるため、汎用性の高い駆動モータを用いることができ、駆動モータに係る費用を少なくすることができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の掘削装置であって、駆動モータは、固定軸が内挿された状態で、出力部が固定軸周りに回転可能な油圧モータであることを特徴としている。
ここで、出力部が固定軸周りに回転可能な油圧モータとは、ラジアルピストンモータやアキシャルピストンモータなど、内挿された軸周りに回転可能な出力部を備えている外周駆動型の油圧式モータである。
このように、出力部が固定軸周りに回転する油圧モータを用いることにより、掘削時に出力部が安定した状態で固定軸の周囲を回転するため、固定軸と駆動モータとの取り付け部の構成を簡素化することができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の掘削装置であって、各固定軸には、掘削軸および各固定軸の周囲を掘削軸周りに回転可能な外周部材が取り付けられ、外周部材の内面には、掘削土砂を撹拌可能な撹拌部材が取り付けられており、外周部材に設けられた環状の従動歯車と、各駆動モータの出力部に設けられた駆動歯車とを係合させることにより、各駆動モータの出力部の回転力によって、外周部材が回転するように構成されていることを特徴としている。
ここで、撹拌部材は、螺旋状の翼部材や複数の翼部材などによって構成されており、外周部材と共に回転することによって、掘削孔内の掘削土砂を撹拌する部材である。なお、撹拌部材の形状や材質などは限定されるものではなく、掘削土砂を効率良く撹拌することができる構造であればよい。
このように、掘削軸および各固定軸の周囲を回転可能な外周部材を設け、この外周部材の内面に撹拌部材を取り付けることにより、掘削軸および各固定軸の周囲で撹拌部材が回転することになる。これにより、掘削土砂に固化剤を注入し、掘削土砂と固化剤とを撹拌混合して地盤を改良する場合には、掘削孔内の掘削土砂を均一に撹拌することができ、掘削土砂と固化剤とを確実に撹拌混合することができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の掘削装置であって、駆動モータの出力部には、固定軸と同心軸に配置された回転軸が取り付けられており、回転軸の周囲には、掘削土砂を撹拌可能な撹拌部材が取り付けられていることを特徴としている。
このように、撹拌部材を有する回転軸を駆動モータの出力部に取り付けることにより、駆動モータの出力部の回転によって、掘削軸の近傍で撹拌部材を回転させることができ、さらに、掘削軸は駆動モータの駆動歯車と係合している従動歯車によって回転しており、掘削軸と回転軸の撹拌部材とが互いに異なる方向に回転するため、掘削土砂を確実に撹拌することができる。
このような掘削装置によれば、複数の固定軸によって掘削軸を支持することにより、掘削刃の掘削面が大きい場合であっても、掘削刃が安定した状態で掘削することができるため、大きな口径の掘削孔を効率良く構築することができる。また、掘削面が大きな掘削刃を汎用性の高い駆動モータによって回転させて地盤を掘削することができるため、駆動モータに係る費用を少なくすることができ、装置の製作費用を少なくすることができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
本実施形態では、大きな口径の掘削孔を鉛直方向に掘削するとともに、その掘削孔内に固化剤を注入し、掘削土砂と固化剤を撹拌混合することによって地盤を改良する掘削装置を例として説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る掘削装置について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る掘削装置を示した側面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る掘削装置の掘削撹拌手段を示した図で、(a)は掘削撹拌手段の正面図、(b)は図2(a)のA−A断面図である。
なお、以下の説明において右側とは図2の右側に対応し、左側とは図2の左側に対応している。
まず、本発明の第1実施形態に係る掘削装置の構成について説明する。
第1実施形態に係る掘削装置1は、図1および図2に示すように、ベースマシン2と、ベースマシン2に昇降可能に支持されている掘削撹拌手段20とを備え、掘削撹拌手段20は、掘削刃21および撹拌部材41を有しており、掘削刃21によって地盤を掘削するとともに、撹拌部材41によって掘削孔内の掘削土砂と固化剤とを撹拌混合するように構成されている。
続いて、ベースマシン2の構成について説明する。
ベースマシン2は、図1に示すように、鉛直方向の昇降レール3と、昇降レール3に沿って昇降可能な支持部材4と、昇降レール3を水平方向に旋回させるための旋回台座5と、昇降レール3を傾動させるための可倒手段6と、掘削撹拌手段20に駆動用オイルを供給するための給油管7と、掘削撹拌手段20から駆動用オイルを排出するための排油管8と、掘削撹拌手段20に固化剤を供給するための供給管9と、ベースマシン2を移動させるための履帯10とを主要部として構成されている。
旋回台座5は、上部台座5aと下部台座5bとから構成され、上部台座5aには昇降レール3の下端部が可倒可能に軸支されており、上部台座5aを水平方向に回動させることによって、昇降レール3を水平方向に旋回させることができる。
昇降レール3の可倒手段6は、伸縮可能な油圧シリンダであり、下端部が上部台座5aに連結されるとともに、上端部が昇降レール3の中間部に連結されており、可倒手段6を伸縮させることによって、昇降レール3の下端部に設けられた回転支持部11を中心として、昇降レール3を傾動させることができる。
支持部材4は、掘削撹拌手段20を支持している部材であり、昇降レール3に沿って鉛直方向に昇降自在となっている。この支持部材4を昇降させるための機構は限定されるものではなく、この実施形態では、旋回台座5上に電動ウィンチ(図示せず)を設置し、この電動ウィンチのワイヤ12を昇降レール3の上端部に設置された滑車13と支持部材4の上部に設置された滑車14とを介して昇降レール3の上端部に固定して支持部材4を吊り上げ、ワイヤ12の繰り出しまたは巻き取りによって支持部材4を昇降させている。
給油管7および排油管8は、掘削撹拌手段20を駆動させるための部材であり、施工現場に設置されたオイルタンク(図示せず)から掘削撹拌手段20に接続されている。そして、給油管7を通じてオイルタンクから掘削撹拌手段20に駆動用オイルが供給されるとともに、掘削撹拌手段20から排出された駆動用オイルが、排油管8を通じてオイルタンクに回収されるように構成されている。また、供給管9は、施工現場に設置されている貯蔵タンク(図示せず)から掘削撹拌手段20に接続されており、貯蔵タンク内の固化剤が供給管9を通じて掘削撹拌手段20に供給されるように構成されている。
次に、掘削撹拌手段20の構成について説明する。
掘削撹拌手段20は、図2に示すように、軸方向が鉛直方向(進行方向)に配置されている2本の固定軸30,30と、下端部(先端部)に掘削刃21を有し、軸周りに回転可能な状態で、各固定軸30,30に支持されている掘削軸22とを備え、各固定軸30,30の下端部(先端部)には、出力部42が固定軸30周りに回転可能な駆動モータ(以下、「アウターモータ」という)40が取り付けられている。また、固定軸30,30がベースマシン2(図1参照)の支持部材4に支持されることによって、掘削撹拌手段20は支持部材4と連動して鉛直方向に昇降するように構成されている。
固定軸30,30は、左右方向に所定間隔を空けて配置されており、各固定軸30,30の上端部がベースマシン2(図1参照)の支持部材4に取り付けられることにより、固定軸30,30は支持部材4に支持されている。この固定軸30,30は、軸方向に貫通した供給孔31が中央部に形成されている中空管であり、各固定軸30,30の下端部には、固定軸30が貫通しているアウターモータ40が取り付けられている。
このアウターモータ40は、固定軸30が貫通した状態で、固定軸30周りに出力部42が回転可能な外周駆動型の油圧モータであり、各出力部42の外周面に沿って螺旋状に形成された撹拌部材41が取り付けられている。さらに、各出力部42の下端部には、平歯車である駆動歯車43が取り付けられており、出力部42と連動して固定軸30周りに回転するように構成されている。なお、この実施形態では、固定軸30の下端部は、駆動歯車43から下方に突出した状態となっているが、固定軸30がアウターモータ40を貫通することなく、アウターモータ40の内部に内挿された状態で、出力部42を固定軸30周りに回転させることもできる。
また、各固定軸30,30の供給孔31の周囲には、アウターモータ40に駆動用オイルを供給するための給油孔(図示せず)と、アウターモータ40からの駆動用オイルを排出するための排油孔(図示せず)と、アウターモータ40の内部で駆動用オイルが漏れた場合のドレン孔(図示せず)とが軸方向に貫通しており、給油孔、排油孔およびドレン孔はアウターモータ40に接続されている。
そして、固定軸30の供給孔31には供給管9が接続され、さらに、給油孔には給油管7が接続されるとともに、排油孔には排油管8が接続され(図1参照)、ドレン孔にはドレン管(図示せず)が接続されている。この各接続において、掘削時に固定軸30が回転しないため、接続部にスイベルジョイント等の特殊な機構を設ける必要がなく、掘削装置1の構成が簡素化されている。
掘削軸22は、軸方向が鉛直方向に配置されており、各固定軸30,30の間に配置されている。この掘削軸22の上端部は、各固定軸30,30に取り付けられているアウターモータ40,40よりも上方に配置されている。
ここで、各固定軸30,30の間には、軸方向が左右方向に配置され、両端部が各固定軸30,30に取り付けられている連結部材23が、アウターモータ40,40よりも上方に設けられており、掘削軸22の上端部は、軸方向に回転可能な状態で連結部材23に取り付けられている。これにより、掘削軸22は、軸周りに回転可能な状態で、2本の固定軸30,30に支持されている。
また、掘削軸22の下端部は、各固定軸30,30の下端部よりも下方に配置されており、掘削軸22と連動して回転するようにして掘削刃21が取り付けられている。
さらに、掘削軸22には、各固定軸30,30に取り付けられているアウターモータ40,40の駆動歯車43,43と係合するようにして、従動歯車24が取り付けられている。このようにして、掘削軸22の従動歯車24と、アウターモータ40,40の駆動歯車43,43とを係合させることにより、2基のアウターモータ40,40の出力部42の回転力によって、掘削軸22が回転する構成となっている。すなわち、掘削軸22に取り付けられた掘削刃21は、2基のアウターモータ40,40の回転トルクで回転するように構成されている。なお、符号44は駆動歯車43,43および従動歯車24を掘削土砂から保護するためのカバー部材である。
また、掘削刃21は、逆円錐形状の部材であり、下面を掘削面として地盤を掘削するように構成されている。この掘削刃21は、掘削軸22の下端部に取り付けられることにより、各固定軸30,30よりも下方に配置されている。そして、掘削刃21は、掘削軸22と連動して回転することにより、掘削面に設けられた複数の掘削ビット21aによって地盤を掘削することができる。なお、掘削刃21の掘削面は、掘削する掘削孔の口径に対応した面積となっており、この実施形態では、大きい口径の掘削孔を構築するために、掘削刃21の掘削面が大きく形成されているため、掘削刃21が大型化されている。
このように構成された掘削撹拌手段20では、2基のアウターモータ40,40よって掘削軸22を回転させているため、掘削刃21は2基のアウターモータ40,40の回転トルクで地盤を掘削することができる。さらに、各固定軸30,30の供給孔31を通じて掘削孔内に固化剤を注入し、2基のアウターモータ40,40の出力部42,42に取り付けられている撹拌部材41,41の回転によって掘削孔内の掘削土砂と固化剤を撹拌混合することができる。
したがって、第1実施形態に係る掘削装置1では、掘削刃21の掘削面が大きく形成されているため、掘削時に掘削刃21が大きな回転トルクを必要としているが、掘削刃21は2基のアウターモータ40,40の回転トルクで回転することから、アウターモータ40単体の回転トルクを小さくすることができる。これにより、汎用性の高いアウターモータ40を用いることができるため、アウターモータ40に係る費用を少なくすることができ、掘削装置1の製作費用を少なくすることができる。
次に、第1実施形態に係る掘削装置1を用いた地盤改良方法について説明する。
まず、図1および図2に示すように、掘削する所定位置の側方にベースマシン2を移動させ、旋回台座5および可倒手段6を調整して掘削撹拌手段20を所定位置に鉛直状態で設置する。そして、掘削撹拌手段20を下降させ、掘削刃21を地上面に当接させる。
続いて、2基のアウターモータ40,40を駆動させて掘削軸22を回転させ、掘削軸22の下端部に取り付けられている掘削刃21によって地盤を掘削しながら、ベースマシン2によって掘削撹拌手段20を順次に下降させて所定口径の掘削孔を構築する。
このとき、掘削面が大きな掘削刃21を有する掘削軸22は、連結部材23を介して2本の固定軸30,30によって支持されているため、掘削時に掘削刃21の振動を少なくすることができる。これにより、掘削面が大きな掘削刃21が安定した状態で地盤を掘削することができるため、大きな口径の掘削孔を効率良く構築することができる。
一方、掘削刃21で地盤を掘削しながら、2本の固定軸30,30の供給孔31に供給管9を通じて固化剤を供給する。この固化剤は各固定軸30,30の供給孔31の下端部から掘削孔内に注入され、各アウターモータ40,40の出力部42に取り付けられている撹拌部材41によって、掘削土砂と固化剤とが撹拌混合される。このとき、アウターモータ40は、固定軸30の下端部に取り付けられており、固化剤の注入箇所の近傍で撹拌部材41が安定した状態で回転するため、掘削土砂と固化剤とを確実に撹拌混合することができる。
最後に、掘削土砂と固化剤を撹拌混合しながら、掘削撹拌手段20を上昇させて掘削孔から引き上げる。このとき、各アウターモータ40,40の出力部42,42を回転させながら上昇させることにより、アウターモータ40と掘削土砂との間の抵抗力が小さくなるため、掘削撹拌手段20を掘削孔から簡易に引き上げることができる。
そして、掘削撹拌手段20の離脱後に、掘削孔内の掘削土砂が硬化することによって、掘削孔内の地盤の強度が高まり、地盤の改良が完了する。
したがって、第1実施形態に係る掘削装置1を用いた地盤改良方法では、掘削面が大きな掘削刃21が安定した状態で地盤を掘削することができるため、大きな口径の掘削孔を効率良く構築することができ、1回の掘削で広範囲の地盤の強度を高めることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る掘削装置について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る掘削装置の掘削撹拌手段を示した図で、(a)は掘削撹拌手段の正面図、(b)は図3(a)のB−B断面図である。
なお、以下の説明において右側とは図3の右側に対応し、左側とは図3の左側に対応している。
本発明の第2実施形態に係る掘削装置は、第1実施形態に係る掘削装置1(図1および図2参照)と略同様の構成であり、掘削撹拌手段20の構成が異なっている。
第2実施形態に係る掘削装置の掘削撹拌手段20aでは、図3に示すように、掘削軸22および各固定軸30,30の周囲を掘削軸22周りに回転可能な円筒形状の外周部材50を備えている。さらに、各アウターモータ40,40の出力部42には、固定軸30と同心軸に配置された回転軸32が取り付けられている。
外周部材50の上端部には、外周部材50の円周に沿って形成された環状の従動歯車51が取り付けられており、この従動歯車51には、各アウターモータ40,40の出力部42,42に取り付けられている駆動歯車43,43と係合するようにして、環状の歯面が形成されている。このように、外周部材50は、従動歯車51が駆動歯車43,43に係合することにより、各固定軸30,30に取り付けられている。これにより、外周部材50は、2基のアウターモータ40,40の出力部42,42の回転力によって、掘削刃21と異なる方向で、掘削軸22および各固定軸30,30の周囲を掘削軸22周りに回転するように構成されている。
また、外周部材50の下端部は、内方に向けて折り曲げられており、この折り曲げ部によって形成された外周部材50の下面には、複数の掘削ビット52が取り付けられている。このように、掘削ビット52によって、掘削土砂を粉砕することができるとともに、掘削孔の側壁を掘削することができるように構成されている。
さらに、外周部材50の内面には、掘削孔内の掘削土砂を撹拌可能な棒状部材である複数の撹拌部材53が、軸方向を水平方向に配置した状態で等間隔で取り付けられている。
回転軸32は、軸方向が鉛直方向に配置され、上端部がアウターモータ40の駆動歯車43に取り付けられている中空管であり、アウターモータ40および駆動歯車43を貫通して下方に延長された固定軸30が内挿されている。これにより、各回転軸32は、各アウターモータ40,40の駆動歯車43と連動して固定軸30周りに回転するように構成されている。
また、回転軸32の外周面には、掘削孔内の掘削土砂を撹拌可能な棒状部材である複数の撹拌部材33が、軸方向を水平方向に配置した状態で取り付けられている。さらに、回転軸32の下端部には、掘削土砂を粉砕するための粉砕用掘削刃34が取り付けられており、この粉砕用掘削刃34は、上下方向において外周部材50の下端部と掘削刃21との間に配置されている。なお、回転軸32および外周部材50の撹拌部材33,53は、回転軸32および外周部材50が回転した際に、互いに接触しないようにして、高さ方向において交互に配置されている。
また、第2実施形態における掘削軸22では、従動歯車24よりも下方の外周面に、掘削孔内の掘削土砂を撹拌可能な棒状部材である複数の撹拌部材25が、軸方向を水平方向に配置した状態で取り付けられており、掘削軸22および回転軸32の撹拌部材25,33は、掘削軸22および回転軸32が回転した際に、互いに接触しないようにして、高さ方向において交互に配置されている。なお、この実施形態では、掘削軸22の撹拌部材15と、外周部材50の撹拌部材53とが同じ高さに配置されている。
このように、掘削撹拌手段20aでは、2基のアウターモータ40,40の駆動歯車43,43に、掘削軸22および外周部材50の従動歯車24,51が係合しているため、2基のアウターモータ40,40の出力部42,42の回転力によって、掘削軸22および外周部材50が回転するように構成されている。
そして、第2実施形態に係る掘削撹拌手段20aを備える掘削装置によって地盤を掘削した場合には、地盤を掘削している掘削刃21の上方で、各回転軸32,32の粉砕用掘削刃34,34および外周部材50の掘削ビット52が異なる方向に回転するため、掘削土砂を細かく粉砕することができる。さらに、掘削軸22および各固定軸30,30の周囲を外周部材50の撹拌部材53が回転するとともに、外周部材50内では、各回転軸32,32の撹拌部材33、33と掘削軸22の撹拌部材25とが互いに異なる方向に回転するため、掘削土砂を効率良く撹拌することができる。これにより、掘削土砂と固化剤とを確実に撹拌混合することができるため、掘削孔内の地盤の強度を均一に高めることができる。
以上、本発明の好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、前記した第1実施形態および第2実施形態では、固定軸30周りに回転可能な出力部42を有する外周駆動型のアウターモータ40を用いているが、軸方向が鉛直方向に配置された出力軸(出力部)を有する油圧モータ(以下、「インナーモータ」という)を用いることができる。
図4は、本発明の第2実施形態に係る掘削撹拌手段の他の構成を示した正面図である。
ここでは、本発明の第2実施形態に係る掘削撹拌手段20a(図3参照)にインナーモータを用いた場合を例として説明する。そのため、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
図4に示すように、インナーモータ60を用いた掘削撹拌手段20bでは、インナーモータ60の出力軸61が固定軸30と同心軸に配置された状態で、各固定軸30,30の下端部にインナーモータ60,60の本体が各々取り付けられている。そして、各インナーモータ60,60の出力軸61、61の下端部には、駆動歯車43が各々取り付けられている。これにより、各インナーモータ60,60の出力軸61,61の回転に連動して駆動歯車43,43が回転するため、2基のインナーモータ60,60の出力軸61,61の回転力によって、掘削軸22および外周部材50が回転するように構成されている。
この掘削撹拌手段20bでは、インナーモータ60はアウターモータよりも小型に形成することができるため、各固定軸30,30の間隔を小さくすることができる。また、インナーモータ60は、アウターモータよりも製作費用が少ないため、掘削装置の製作費用を少なくすることができる。
また、第1実施形態および第2実施形態に係る掘削装置では、2本の固定軸30,30によって掘削軸22および外周部材50を支持し、2基のアウターモータ40,40またはインナーモータ60,60によって掘削軸22および外周部材50を回転させているが、アウターモータ40またはインナーモータ60の台数は限定されるものではなく、掘削時に掘削刃21が必要な回転トルクに応じて、適宜に設定することができる。
さらに、掘削軸22および外周部材50に対するアウターモータ40またはインナーモータ60の配置も限定されるものではなく、例えば、3基のモータ40,60を掘削軸22の周囲に平面視で三方に配置したり、4基のモータ40,60を掘削軸22の周囲に平面視で四方に配置して、モータ40,60の駆動歯車43と掘削軸22および外周部材50の従動歯車24,51とを係合させてもよく、掘削時の掘削刃21の振動が少なくなるようにして、適宜に設定することが好ましい。
本発明の第1実施形態に係る掘削装置を示した側面図である。 本発明の第1実施形態に係る掘削装置の掘削撹拌手段を示した図で、(a)は掘削撹拌手段の正面図、(b)は図2(a)のA−A断面図である。 本発明の第2実施形態に係る掘削装置の掘削撹拌手段を示した図で、(a)は掘削撹拌手段の正面図、(b)は図3(a)のB−B断面図である。 本発明の第2実施形態に係る掘削撹拌手段の他の構成を示した正面図である。
符号の説明
1 掘削装置
20 掘削撹拌手段
21 掘削刃
22 掘削軸
24 従動歯車
30 固定軸
32 回転軸
33 撹拌部材
40 アウターモータ(駆動モータ)
41 撹拌部材
42 出力部
43 駆動歯車
50 外周部材
51 従動歯車
53 撹拌部材
60 インナーモータ(駆動モータ)

Claims (4)

  1. 掘削刃により地盤を掘削可能な掘削装置であって、
    軸方向が進行方向に配置されている複数の固定軸と、
    先端部に前記掘削刃を有し、軸周りに回転可能な状態で、前記各固定軸に支持されている掘削軸と、を備え、
    前記各固定軸の先端部には、駆動モータが取り付けられており、
    前記各駆動モータの出力部に設けられた駆動歯車と、前記掘削軸に設けられた従動歯車とを係合させることにより、前記各駆動モータの前記出力部の回転力によって、前記掘削軸が回転するように構成されていることを特徴とする掘削装置。
  2. 前記駆動モータは、前記固定軸が内挿された状態で、前記出力部が前記固定軸周りに回転可能な油圧モータであることを特徴とする請求項1に記載の掘削装置。
  3. 前記各固定軸には、前記掘削軸および前記各固定軸の周囲を前記掘削軸周りに回転可能な外周部材が取り付けられ、
    前記外周部材の内面には、掘削土砂を撹拌可能な撹拌部材が取り付けられており、
    前記外周部材に設けられた環状の従動歯車と、前記各駆動モータの前記出力部に設けられた前記駆動歯車とを係合させることにより、前記各駆動モータの前記出力部の回転力によって、前記外周部材が回転するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掘削装置。
  4. 前記駆動モータの前記出力部には、前記固定軸と同心軸に配置された回転軸が取り付けられており、
    前記回転軸の周囲には、掘削土砂を撹拌可能な撹拌部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の掘削装置。
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