JP2004107593A - フッ素樹脂成形体製造方法及びフッ素樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】含フッ素未処理成形体を表面処理してフッ素樹脂成形体を得ることよりなるフッ素樹脂成形体製造方法であって、上記表面処理は、高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の電磁波光を照射するものであることを特徴とするフッ素樹脂成形体製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素樹脂成形体製造方法及びフッ素樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素樹脂は、他の樹脂類に比べて撥水撥油性、摺動性、防汚性、耐熱性、耐薬品性、電気的特性等の点に優れており、医療、電子、化学、精密機械等の分野で広く使用されている。
【0003】
しかしながら、フッ素樹脂からなる成形体は、その優れた撥水撥油性に起因して、接着性が非常に悪いので他の樹脂や金属等と接着させることによる複合化が難しく、また、フッ素樹脂からなる成形体への印刷が困難である。
【0004】
このような欠点を改良するために、フッ素樹脂からなる成形体の表面改質法として、従来、金属ナトリウムの液体アンモニア溶液又は金属ナトリウムとナフタレンのテトラヒドロフラン溶液から調製される錯体溶液を用いて処理する化学エッチング処理方法(例えば、非特許文献1参照。)、グロー放電を利用する方法(例えば、非特許文献2参照。)のほか、低圧下での高周波スパッタエッチングにより処理する方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0005】
フッ素樹脂からなる成形体の表面改質法として、ヒドラジンガス等の無機化合物の雰囲気中でレーザー照射する方法が提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。しかしながら、この方法では、ヒドラジンには毒性、爆発性があり取扱いが困難であるという問題があった。
【0006】
フッ素樹脂からなる成形体の表面改質のためにレーザー照射する方法として、また、照射をB(CH3)3やAl(CH3)3等のガス雰囲気中で行う方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法は、これらの特殊なガスを必要とし、汎用性に劣るという問題があった。
【0007】
フッ素樹脂は、一般に、紫外線から可視光線領域における光吸収係数が非常に小さいことが知られている。例えば、KrFエキシマレーザー光のような高強度の紫外線を照射しても、化学反応の誘起が非常に困難であることが知られている(例えば、特許文献3参照。)。このため、紫外線から可視光線領域における光吸収係数が大きく、フッ素樹脂の成形温度において充分な耐熱性を有する光吸収性高分子の添加を必要とする問題があった。
【0008】
フッ素樹脂からなる成形体の表面改質のためにエキシマレーザーを照射する方法として、また、95〜200nmの波長域のエキシマレーザーをパルス照射する方法が知られている(例えば特許文献4参照。)。しかしながら、この方法は、照射を空気中で行うものであり、フッ素樹脂からなる成形体の接着剤、印刷インキ、塗料等に対する接着性が、照射後でも不充分であるという問題があった。
【0009】
樹脂成形体の表面改質法として、アクリル樹脂成形体の表面を、ガス状又は液状の窒素化合物の雰囲気中でレーザー光照射する方法が知られている(例えば、特許文献5参照。)。この方法では、フッ素樹脂からなる成形体の表面改質を行う雰囲気は、液状よりむしろガス状であることが好ましいとされている。
【0010】
【非特許文献1】
イー.アール.ネルソン(E.R.Nelson),「インダストリアル アンド エンジニアリング ケミカル リサーチ」,アメリカ化学会出版、1958年,第50巻,p.329
【非特許文献2】
角田,「工業材料」,1981年,第29巻,第2号,p.105
【非特許文献3】
新納,矢部,「日本化学会第65回春季年会予稿集II」,1993年,p.252
【特許文献1】
特公昭53−22108号公報
【特許文献2】
特開平2−196834号公報
【特許文献3】
特公平7−108944号公報
【特許文献4】
特公平3−57143号公報
【特許文献5】
特開平5−222223号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、接着剤、印刷インキ、塗料等の有機材料との接着性や金属の蒸着性を向上させる親水化したフッ素樹脂成形体を得ることができ、更に、撥水性を向上させたフッ素樹脂成形体を得ることもできるフッ素樹脂成形体製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、含フッ素未処理成形体を表面処理してフッ素樹脂成形体を得ることよりなるフッ素樹脂成形体製造方法であって、上記表面処理は、高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものであることを特徴とするフッ素樹脂成形体製造方法である。
本発明は、含フッ素未処理成形体の表面に親水化処理をすることにより得られるフッ素樹脂成形体であって、上記親水化処理は、高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものであることを特徴とするフッ素樹脂成形体である。
【0013】
本発明は、含フッ素未処理成形体の表面に撥水化処理をすることにより得られるフッ素樹脂成形体であって、上記撥水化処理は、高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものであることを特徴とするフッ素樹脂成形体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のフッ素樹脂成形体製造方法は、含フッ素未処理成形体を表面処理してフッ素樹脂成形体を得ることよりなるものである。本明細書において、上記「含フッ素未処理成形体」とは、フッ素樹脂からなる成形体であって、上記表面処理を行う前の成形体を意味する。上記表面処理は、含フッ素未処理成形体の表面に親水性を持たせたり、含フッ素未処理成形体の表面の撥水性を高くしたりして、含フッ素未処理成形体の表面特性を変えることができるものである。
【0015】
上記表面処理は、含フッ素未処理成形体に高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものである。本明細書において、「高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射すること」を「光照射」ということがある。
【0016】
本明細書において、上記「真空紫外線から軟X線領域の光」は、通常、真空紫外線から軟X線領域の光と認識されるものであればよく、例えば、波長が10〜300nmである光である。
【0017】
上記真空紫外線から軟X線領域の光は、高輝度放射光から発生させるものであってもよいし、プラズマX線源から発生させるものであってもよいが、放射輝度が極めて高いので、高輝度放射光によって発生させるものであることが好ましい。
【0018】
上記表面処理は、含フッ素未処理成形体をなすフッ素樹脂の種類によるが、通常、含フッ素未処理成形体の温度を0〜300℃にして行うことが好ましい。上記範囲外であると、親水性を持たせたり撥水性を大きくしたりすることができない場合がある。
【0019】
上記真空紫外線から軟X線領域の光は、50〜500mA・時間のDOSE量で照射することが好ましい。上記範囲外であると、親水性を持たせたり撥水性を持たせたりすることができない場合がある。上記光照射は、強度と時間とを調整することにより、目的とする用途に応じて含フッ素未処理成形体に親水性を持たせたり撥水性を大きくしたりすることができる。より好ましい下限は、70mA・時間であり、より好ましい上限は、450mA・時間である。更に好ましくは、100mA・時間程度である。
【0020】
上記表面処理により、含フッ素未処理成形体の表面に親水性を持たせることができる場合、得られるフッ素樹脂成形体の表面の水の接触角が上記表面処理の前における含フッ素未処理成形体の表面の水の接触角よりも小さくなる。本明細書において、上述の表面処理のうち、表面処理の前における含フッ素未処理成形体の表面の水の接触角を表面処理により減少させるものを親水化処理という。上記親水化処理により得られたフッ素樹脂成形体は親水性を有することとなり、フッ素樹脂成形体の表面に濡れ性、接着性、金属との蒸着性等の性質を有することとなる。
【0021】
上記親水化処理は、含フッ素未処理成形体をなすフッ素樹脂の種類にもよるが、含フッ素未処理成形体の温度を0〜90℃にして行うことが好ましい。上記範囲内で親水化処理を行うことにより、含フッ素未処理成形体の表面に親水性を持たせることができる。上記温度は、含フッ素未処理成形体をなすフッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕である場合、0〜90℃であると、含フッ素未処理成形体の表面に親水性を持たせることができる。
【0022】
上記親水化処理は、上記真空紫外線から軟X線領域の光を100〜500mA・時間のDOSE量で照射することが好ましい。上記範囲内で親水化処理を行うことにより、含フッ素未処理成形体の表面に親水性を持たせることができる。
【0023】
上記表面処理により、含フッ素未処理成形体の表面に撥水性を持たせることができる場合、得られるフッ素樹脂成形体の表面の水の接触角が上記表面処理の前における含フッ素未処理成形体の表面の水の接触角よりも大きくなる。本明細書において、上述の表面処理のうち、表面処理の前における含フッ素未処理成形体の表面の水の接触角を表面処理により増加させるものを撥水化処理という。上記撥水化処理により得られたフッ素樹脂成形体は、フッ素樹脂本来の性質として表面処理の前に有していた撥水性の程度が表面処理により向上したものとして得ることができる。
【0024】
上記撥水化処理は、含フッ素未処理成形体をなすフッ素樹脂の種類にもよるが、含フッ素未処理成形体の温度を95〜250℃にして行うことが好ましい。上記範囲内で撥水化処理を行うことにより、含フッ素未処理成形体の表面の撥水性を高めることができる。
【0025】
上記撥水化処理において、水の接触角が155°以上であるような超撥水性を得るためには、上記含フッ素未処理成形体の温度を170〜250℃にして行うことが好ましい。上記温度は、含フッ素未処理成形体をなすフッ素樹脂がPTFEである場合、180〜250℃であると、上述のような超撥水性を得ることができる。
【0026】
上記撥水化処理は、上記真空紫外線から軟X線領域の光を50〜150mA・時間のDOSE量で照射することが好ましい。上記範囲内で撥水化処理を行うことにより、含フッ素未処理成形体の表面の撥水性を高めることができる。
【0027】
上記表面処理は、表面処理を行う際の含フッ素未処理成形体の温度と光照射の度合によって、得られるフッ素樹脂成形体の表面に親水性を与えたり、撥水性を与えたりすることができる。フッ素樹脂成形体の表面に親水性を与えるか撥水性を与えるかは、なかでも、表面処理を行う際の含フッ素未処理成形体の温度に依存するものである。
【0028】
上記親水化処理は、上述のように、得られるフッ素樹脂成形体の表面に親水性を与えることができる。このように有利な効果を奏する機構としては明確ではないが、上記親水化処理により含フッ素未処理成形体の表面にある元素のうち、フッ素の密度が低下し、炭素の密度が増加するので、親水化しているものと考えられる。
【0029】
上記撥水化処理は、上述のように、得られるフッ素樹脂成形体の表面に撥水性を与えることができる。このように有利な効果を奏する機構としては明確ではないが、上記撥水化処理により含フッ素未処理成形体の表面が図4の実施例7及び実施例8の電子顕微鏡写真に示すように、有底孔を形成したり、エッチング深さが30μm以上になって針状の突起を形成したりすることにあるものと考えられる。含フッ素未処理成形体に有底孔を形成したり、針状の突起を形成したりすることにより表面処理を行う前よりも水の接触角を大きくし、含フッ素未処理成形体に撥水性を持たせることができると考えられる。
【0030】
上記含フッ素未処理成形体への光照射は、例えば、真空チャンバー中に設置された台に含フッ素未処理成形体を載置し、上記真空紫外線から軟X線領域の光を上方から照射する方法により行うことができる。上記方法では、真空チャンバー中に設置された台を移動させ、含フッ素未処理成形体の所望の部分に光照射させることができる。上記光照射は、パルス照射であってもよいし、連続照射であってもよい。
【0031】
上記含フッ素未処理成形体をなすフッ素樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体〔PFA〕、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕、ポリフッ化ビニリデン〔PVdF〕、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体〔ETFE〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体〔ECTFE〕等が挙げられ、なかでも、PTFEが好ましい。
【0032】
上記含フッ素未処理成形体は、上記フッ素樹脂と耐熱性樹脂とからなるものであってもよい。上記耐熱性樹脂は、上記含フッ素未処理成形体の50質量%以下であることが好ましい。上記耐熱性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドイミド〔PAI〕、ポリイミド〔PI〕、ポリフェニレンサルファイド〔PPS〕、ポリエチレンサルファイド〔PES〕等が挙げられる。上記含フッ素未処理成形体は、更に、例えば、充填剤、可塑剤、安定剤、滑剤、増量剤、顔料、染料、耐熱性向上剤、難燃化剤、抗酸化剤、耐候剤、光吸収剤、界面活性剤、架橋剤、防曇剤、防湿剤、弾性向上剤等の従来公知の添加剤、加工助剤等が添加されてなるものであってもよい。
【0033】
上記含フッ素未処理成形体の形状としては特に限定されず、例えば、フィルム、テープ、シート、板状物、ロッド、繊維等が挙げられるが、上記表面処理は、上述した形状以外の各種形状の成形体に対しても行うことができる。含フッ素未処理成形体の成形法としては特に限定されず、例えば、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法等の公知の成形法を採用することができる。
【0034】
本発明のフッ素樹脂成形体製造方法によれば、化学的及び物理的に活性が低い含フッ素未処理成形体の表面形状を、フッ素樹脂の特性である優れた耐熱性、耐薬品性及び電気的特性等を損なうことなく変化させることができ、光照射時における含フッ素未処理成形体の温度と光照射の強度及び時間を調整することにより、含フッ素未処理成形体の表面に親水性を持たせたり、逆に、含フッ素未処理成形体の表面の撥水性を大きくさせたりすることができる。
【0035】
含フッ素未処理成形体の表面に親水化処理をすることにより得られるフッ素樹脂成形体もまた、本発明の一つである。上記親水化処理は、上述のように高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものである。
【0036】
含フッ素未処理成形体の表面に撥水化処理をすることにより得られるフッ素樹脂成形体もまた、本発明の一つである。上記撥水化処理は、上述のように高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものである。
【0037】
本発明のフッ素樹脂成形体製造方法は、表面処理を行う際の含フッ素未処理成形体の温度と光照射の強度及び時間を選択することにより、得られるフッ素樹脂成形体の表面に対し、親水性の付与、又は、撥水性の向上を可能にすることができるので、表面特性を容易に所望のものに変化させることができる。
【0038】
上述のような表面特性の変化により、フッ素樹脂成形体の付加価値を増大することができ、用途を拡大することができる。例えば、親水化処理することにより得られたフッ素樹脂成形体は、表面粗度が大きくなることにより接着剤、印刷インキ、塗料等の有機材料に対する接着性が更に向上しているだけでなく金属との蒸着性も得られるので、例えば、電子工業における高周波用フッ素樹脂プリント基板の製造において、フッ素樹脂成形体に光をパターン照射したのち、金属の無電解メッキをすることにより直接金属配線することが可能となる。
【0039】
撥水化処理することにより得られたフッ素樹脂成形体は、従来のフッ素樹脂からなる成形体と比較して更に撥水性が向上したものであるので、通常、撥水性が求められる用途に高撥水性のものとして好適に用いることができる。
【0040】
以下、フッ素樹脂成形体を特定するために使用している各種の要素について、測定方法を説明する。実施例におけるデータは、下記測定方法で得られたものである。
(水の接触角)
直径約1.5mmの水滴をマイクロシリンジを用いて作り、PTFEシートの表面を水滴に接触させ、PTFEシート上に水滴を移し、通常の液滴法により接触角を測定する。
(エッチング深さ)
触針式表面粗さ計を用いて測定を行う。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕(商品名:ポリフロン、ダイキン工業社製)を用いて成形を行い、得られた厚さ1mmのPTFEシートを試料とした。この試料に、電子ビームを1GeVまで蓄積して発生させた0.3〜190nmの真空紫外線から軟X線領域の光を、真空下、試料温度20℃で、120mA・時間のDOSE量で照射した。
得られたPTFEシートについて、水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
比較例1
実施例1で成形したPTFEシートに光照射を行わないで、水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
実施例1及び比較例1で得られたPTFEシートについて、走査型電子顕微鏡〔SEM〕を用いて倍率4000倍で表面状態を調べた。実施例1及び比較例1で得られたPTFEシートのSEMによる写真を図1に示す。図1から、光照射を行った実施例1のPTFEシートには浅いくぼみが成形されており、光照射を行わなかった比較例1のPTFEシートに比べて表面が粗くなっていることがわかった。
【0044】
実施例2〜3
DOSE量を表1に示す値に変えた以外は、実施例1と同様の方法で光照射し、得られたPTFEシートの水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1〜3で得られたPTFEシートの水の接触角と、比較例1のPTFEシートの水の接触角とを観察した写真を、図2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1及び図2から、光照射を行うことによってPTFEシートの水の接触角が小さくなり、DOSE量が大きい程、得られるPTFEシートの水の接触角が小さくなることが分かった。
【0047】
実施例4〜10
試料温度を表2に示す値にし、DOSE量を80mA・時間に変えた以外は実施例1と同様にして、試料に光照射した。得られたPTFEシートについて、エッチング深さと水の接触角とを測定した。結果を表2に示す。
また、実施例7〜10で得られたPTFEシートの水の接触角を観察した写真を図3に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表1及び表2から、試料温度を70℃以下にして光照射した実施例4〜5で得られたPTFEシートの水の接触角は、光照射していない比較例1のPTFEシートの水の接触角より小さくなり、実施例4〜5で得られたPTFEシートは、比較例1のPTFEシートと比べてより高い親水性を示すことがわかった。一方、試料温度を100℃以上にして光照射した実施例6〜10で得られたPTFEシートの水の接触角は、光照射していない比較例1のPTFEシートの水の接触角より大きくなり、実施例6〜10で得られたPTFEシートは、比較例1のPTFEシートと比べてより高い撥水性を示すことがわかった。
【0050】
走査型電子顕微鏡〔SEM〕を用い、実施例7で得られたPTFEシートについて倍率500倍で表面状態を調べ、実施例8で得られたPTFEシートについて倍率500倍及び倍率4000倍で表面状態を調べた。実施例7及び実施例8で得られたPTFEシートのSEMによる写真を図4に示す。
【0051】
図4から、試料温度を150℃にして光照射されたPTFEシートは、表面に有底孔ができていることがわかった。また、試料温度を180℃にして光照射したPTFEシートは、エッチング深さが30μm以上になり、表面に大きな針状の突起が形成していることがわかった。
【0052】
【発明の効果】
本発明のフッ素樹脂成形体製造方法は、上述の構成を有するので、接着剤、印刷インキ、塗料等の有機材料との接着性や金属の蒸着性を向上させる親水化したフッ素樹脂成形体を得ることができ、更に、撥水性を向上させたフッ素樹脂成形体を得ることもできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたPTFEシートの表面と、比較例1のPTFEシートの表面とを、それぞれ倍率4000倍で撮影した電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1〜3で得られたPTFEシートの水の接触角と、比較例1のPTFEシートの水の接触角とを観察した写真である。
【図3】実施例7〜10で得られたPTFEシートの水の接触角を観察した写真である。
【図4】実施例7で得られたPTFEシートの表面を倍率500倍で撮影した電子顕微鏡写真、及び、実施例8で得られたPTFEシートの表面を倍率500倍及び倍率4000倍で撮影した電子顕微鏡写真である。
Claims (3)
- 含フッ素未処理成形体を表面処理してフッ素樹脂成形体を得ることよりなるフッ素樹脂成形体製造方法であって、
前記表面処理は、高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものである
ことを特徴とするフッ素樹脂成形体製造方法。 - 含フッ素未処理成形体の表面に親水化処理をすることにより得られるフッ素樹脂成形体であって、
前記親水化処理は、高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものである
ことを特徴とするフッ素樹脂成形体。 - 含フッ素未処理成形体の表面に撥水化処理をすることにより得られるフッ素樹脂成形体であって、
前記撥水化処理は、高輝度放射光又はプラズマX線源による真空紫外線から軟X線領域の光を照射するものである
ことを特徴とするフッ素樹脂成形体。
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