JP2004107436A - ゴム発泡体用共重合体ラテックス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族共役ジエン50〜90重量部、シアン化ビニル10〜40重量部、およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜20重量部からなる単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスであって、該共重合体ラテックス(固形分換算)100重量部に対して、固形分換算でロジン石鹸0.1〜5重量部および脂肪酸石鹸0.1〜5重量部を含有し、かつ固形分濃度が60重量%以上であるゴム発泡体用共重合体ラテックス。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は弾力性と風合いのバランスに優れたきめ細かなゴム発泡体の製造に使用される共重合体ラテックスに関する。更に詳しくは、ゴム発泡体を製造する際の発泡工程からゲル化工程まで、きめ細かな発泡構造と発泡倍率を保ち、弾力性と風合いのバランスに優れたきめ細かなゴム発泡体を安定に効率よく生産することを可能にするゴム発泡体用共重合体ラテックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
共重合体ラテックスを原料にして発泡工程、ゲル化工程、加硫工程、洗浄工程、乾燥工程を経て成型されるゴム発泡体は、各種の衝撃吸収材料、遮音材料、吸音材料、油引き材料、マットレスやクッション用のスポンジ心材、化粧用パフとして各種用途に使われている。それら用途の中でも油引き材料や化粧用パフなどは耐油性が求められるため、従来からアクリロニトリルとブタジエンの共重合体ラテックスが好んで使用されてきた。特に化粧用パフの特性を改良する目的として、これまでに種々の提案、例えば特許文献1〜5などが提案されているが、発泡体を製造する際に発泡工程からゲル化工程まで、きめ細かな発泡構造と発泡倍率を安定に保って、弾力性と風合いのバランスに優れたきめ細かなゴム発泡体を安定に効率よく生産するには未だ不十分であった。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−14811号公報
【特許文献2】
特開平6−32942号公報
【特許文献3】
特開平6−73220号公報
【特許文献4】
特開平6−73221号公報
【特許文献5】
特開平11−263846号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は弾力性と風合いのバランスに優れたきめ細かなゴム発泡体の製造に使用される共重合体ラテックス、更には、ゴム発泡体を製造する際の発泡工程からゲル化工程まで、きめ細かな発泡構造と発泡倍率を保ち、弾力性と風合いのバランスに優れたきめ細かなゴム発泡体を安定に効率よく生産することを可能にするゴム発泡体用共重合体ラテックスを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の諸事情に鑑み現状の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、共重合体ラテックスに対し、ロジン石鹸と脂肪酸石鹸を特定範囲になるよう工夫することで、上記問題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
脂肪族共役ジエン系単量体50〜90重量部、シアン化ビニル単量体10〜40重量部、およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜20重量部からなる単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスであって、該共重合体ラテックス(固形分換算)100重量部に対して、固形分換算でロジン石鹸0.1〜5重量部および脂肪酸石鹸0.1〜5重量部を含有し、かつ固形分濃度が60重量%以上であるゴム発泡体用共重合体ラテックスを提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明における脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。
【0007】
本発明におけるシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの使用が好ましい。
【0008】
上記単量体と共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有するエチレン系不飽和単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、エチレン系不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。
【0009】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
【0010】
エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にメチルメタクリレートやブチルアクリレートの使用が好ましい。
【0011】
ヒドロキシアルキル基を含有するエチレン系不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
【0012】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
【0013】
エチレン系不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
【0014】
本発明の共重合体ラテックスを構成する上記の単量体組成は、脂肪族共役ジエン系単量体50〜90重量部、シアン化ビニル系単量体10〜40重量部、およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜20重量部であることが必要である。
【0015】
脂肪族共役ジエン系単量体が50重量部未満ではゴム発泡体の風合いが硬くなるので好ましくない。また90重量部を超えると共重合体ラテックスの固形分濃度を上げる濃縮工程で安定性が低下するので好ましくない。好ましくは55〜80重量部、更に好ましくは58〜75重量部である。
【0016】
シアン化ビニル単量体が10重量部未満では共重合体ラテックスの固形分濃度を上げる濃縮工程で安定性が低下するので好ましくない。また40重量部を超えるとゴム発泡体の風合いが硬くなるので好ましくない。好ましくは20〜40重量部、更に好ましくは25〜40重量部である。
【0017】
共重合可能な他の単量体の合計が20重量部を超えるとゴム発泡体の風合いが硬くなるので好ましくない。好ましくは0〜15重量部、さらに好ましくは0〜10重量部である。
【0018】
本発明の共重合体ラテックスに含有されるロジン石鹸とは、ロジンを水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリまたはアンモニアで中和したロジン石鹸であり、これらを1種または2種以上用いることができる。
ロジン石鹸は共重合体ラテックス(固形分換算)100重量部に対して0.1〜5重量部含まれていることが必要である。
ロジン石鹸が0.1重量部未満では発泡後、ゲル化剤を添加してからゲル化が完結するまでの時間、すなわちゲル化タイムが長くなりすぎ、ゲル化する時点で発泡構造の一部が破壊され、発泡安定性が低下するのみならず、ゴム発泡体のきめの細かさが失われるため好ましくない。また、ロジン石鹸が5重量部を越えると共重合体ラテックス製造時、特に濃縮工程で取り扱い上の問題を生じる可能性がある。好ましくは0.3〜3.5重量部、さらに好ましくは0.5〜3.0重量部である。
【0019】
本発明の共重合体ラテックスに含有される脂肪酸石鹸とは、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、牛脂酸などを水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリまたはアンモニアで中和した脂肪酸石鹸であり、これらを1種または2種以上用いることができる。これらのうち、特にオレイン酸、リノール酸、牛脂酸を原料とした脂肪酸石鹸が使い易さの点で好ましい。
脂肪酸石鹸は共重合体ラテックス(固形分換算)100重量部に対して0.1〜5重量部含まれていることが必要である。
脂肪酸石鹸が0.1重量部未満では発泡倍率が低下するので好ましくない。また脂肪酸石鹸が5重量部を越えると共重合体ラテックス製造時、特に濃縮工程で取り扱い上の問題を生じる可能性がある。好ましくは0.3〜3.5重量部、さらに好ましくは0.5〜3.0重量部である。
【0020】
上述のとおり、本発明の共重合体ラテックスに含有されるロジン石鹸と脂肪酸石鹸の量は、本発明の目的を達成するために制限されるが、その添加時期は制限されず、いわゆる乳化剤として乳化重合の開始時および/または重合反応途中で添加してもよく、また重合反応終了後に添加してもよい。さらに、共重合体ラテックスを目標の固形分濃度60重量%以上に濃縮する工程の前後で添加してもよい。
【0021】
本発明における共重合体ラテックスは、公知の乳化重合法により製造することができ、また、これら共重合体ラテックスの重合に際しては、上記のロジン石鹸、脂肪酸石鹸およびこれら以外の乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤、還元剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等、さらには炭化水素系溶剤を使用することができる。また重合に際し用いられる各単量体およびその他添加剤の添加方法については特に制限はなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法等いずれも採用できる。
なお、本発明の効果を十分に発揮させるためには共重合体ラテックスの乳化重合においてロジン石鹸、脂肪酸石鹸以外の乳化剤使用量は共重合体ラテックス(固形分換算)100重量部に対して2重量部以下に制限されることが好ましい。
【0022】
上記ロジン石鹸、脂肪酸石鹸以外の乳化剤としてはナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。特に、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
【0023】
本発明における共重合体ラテックスの乳化重合に使用できる連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、α−メチルスチレンダイマー、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0〜5重量部にて使用される。
【0024】
本発明における共重合体ラテックスの乳化重合に使用される重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に過硫酸カリウムや過硫酸ナトリウムなどの水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイドなどの油溶性重合開始剤の使用が好ましい。
【0025】
また、反応系内に重合開始剤とともに還元剤を存在させると、性能の低下無く反応速度が促進されるので好ましい。還元剤の種類は特に限定されないが、鉄などの遷移金属を含む還元剤を使用すると一般に化粧パフの耐熱変色性能が低下すると言われているので好ましくない。遷移金属を含む還元剤を使用しても金属封止剤をラテックスに添加すれば化粧パフの耐熱変色性能は若干改良されると推測されるが、遷移金属を含む還元剤、例えば硫酸第一鉄などは使用を避けた方がよい。
本発明において好ましく用いられる還元剤の具体例としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、また、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩などの還元性スルホン酸塩、更にはL−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類、更にはデキストロース、サッカロースなどの還元糖類、更にはジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどのアミン類が挙げられる。特に亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸が好ましい。
【0026】
また、重合に際して、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を使用しても良い。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留などによって回収、再利用しやすいシクロヘキセンやトルエンが、本発明の目的とは異なるものの、環境問題の観点から好適である。
【0027】
本発明の共重合体ラテックスの固形分濃度は60重量%以上であることが必要である。60重量%未満ではゴム発泡体のきめの細かさが劣るため好ましくない。
【0028】
該共重合体ラテックスの固形分濃度を60重量%以上にするためには、乳化重合して得られた共重合体ラテックスを濃縮する方法、また得られた共重合体ラテックス粒子の一部または全部を公知の粒子肥大化法に従って、例えば平均粒子径が50nm〜200nmの共重合体ラテックスを100nm〜数ミクロンに肥大化させた後、固形分濃度が60重量%以上となるよう濃縮する方法等により調整することができるが、その調整のし易さの点から特に後者の方法が望ましい。
該共重合体ラテックスの固形分濃度が60重量%未満では化粧パフのきめが粗くなり、風合いも硬くなるため好ましくない。好ましくは63重量%、さらに好ましくは65重量%以上である。
【0029】
なお、共重合体ラテックスの粒径肥大化方法としては特に制限されないが、例えば、カルボキシル基含有共重合体粒子等の粒子径肥大化剤を添加して強制的に撹拌する方法(一般にケミカルアグロメ法と称されている)、重合途中で反応を停止させて粒子が単量体で膨潤し、相互に融着し易い状態で強制的に撹拌する方法、重合終了後の共重合体ラテックスにスチレン等の単量体やトルエン、シクロヘキセン等の溶剤を添加して、粒子がそれらで膨潤し、相互に融着し易い状態で強制的に撹拌する方法、ある温度に加温した共重合体ラテックスを一定の圧力でノズルから噴射させるなどして高せん断を与えて肥大化させる方法(以下、加温加圧肥大化法と称する)等が挙げられる。
【0030】
本発明のゴム発泡体用共重合体ラテックスは、上記の単量体組成ならびに当該共重合体ラテックスに対し、特定量の脂肪酸石鹸およびロジン石鹸を含有することが必須条件であるが、必要に応じて二種類の共重合体ラテックスをブレンドすることも可能であり、その際には最終的に得られる共重合体ラテックスの組成、脂肪酸石鹸およびロジン石鹸の含有量が本発明にて規定する範囲内となるよう調整すればよい。
【0031】
本発明の共重合体ラテックスを用いたゴム発泡体の製造方法における各工程の具体的方法には特に限定はなく、従来公知のいずれの方法も用いることができる。ゴム発泡体の製造工程は通常、加硫剤や助剤を添加する工程、発泡工程、ゲル化工程、加硫工程、水洗工程、乾燥工程の順からなる。加硫剤や助剤を添加する工程では、加硫剤、加硫促進剤、必要により老化防止剤、増粘剤、保水剤、着色剤などの助剤が適宜添加される。加硫剤は特に限定されないが、例えば硫黄やそれを乳化分散したコロイド硫黄などが使用される。加硫助剤や加硫促進剤も特に限定されないが、加硫助剤としては亜鉛華などが、加硫促進剤としては、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバメート系促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾール及びその亜鉛塩、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系促進剤等が挙げられる。
【0032】
ゴム発泡体の製造に際して、本発明の共重合体ラテックスの固形分換算100重量部に対する前述の各薬剤の添加量にも特に限定はないが、例えば、硫黄0.3〜6重量部、亜鉛華0.5〜7重量部、加硫促進剤0.2〜4重量部の範囲が一般的である。また、その他の助剤として各種の老化防止剤、増粘剤、保水剤、着色剤などの助剤についても本発明の効果を妨げない範囲にて添加してもよい。
【0033】
ゴム発泡体の製造における発泡方法は従来公知の方法がいずれも使用でき、特に制限されない。
発泡方法としては、空気を種々の方法で混入させる強制発泡方法単独、あるいは強制発泡方法でガス発生物質を併用して使用することもできる。強制発泡装置としては、例えば、オークス発泡機、超音波発泡機等を使用できる。
【0034】
ゲル化方法も従来公知の方法がいずれも使用でき特に制限されず、オルガノポリシロキサンを使用した感熱凝固法や急激に温度低下させる冷凍凝固法等も使用できるが、本発明の共重合体ラテックスは、ゲル化剤として珪フッ化ソーダや珪フッ化カリ、チタン珪フッ化ソーダ等のフッ化珪素化合物を起泡した共重合体ラテックスに添加する常温凝固法(ダンロップ法)が最も効果的と考えられ、本発明の共重合体ラテックスはきめの細かなゴム発泡体を安定に製造するのに好適なゲル化タイムを提供することができる。
【0035】
ゲル化後の加硫工程での諸条件も特に制限はなく、100〜150℃程度の温度で10〜100分程度加硫させることにより良質のゴム発泡体が得られる。また洗浄工程や乾燥工程の諸条件も特に制限はないが、25〜60℃の水またはお湯で5〜20分間程度、攪拌しながら洗浄し、その後遠心分離法などの方法で水を切り、ゴム発泡体の風合いを保てるように40〜120℃程度の温度で乾燥する。
乾燥工程まで終了したゴム発泡体から化粧用パフ製品などの最終成型物を得るためには、ゴム発泡体を所定の厚さに切り出し、それを所定の形状に切断し、切断した側面やエッジをきめの細かな回転砥石で研磨仕上げする。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は特に断りのない限り重量基準によるものである。ただし、純水と水以外は固形分あるいは有効成分の重量部または重量%を示す。また、実施例における諸物性の評価は次の方法に拠った。
【0037】
ゲル化特性の判定
共重合体ラテックスの固形分換算100部に対して加硫剤としてコロイド硫黄2部、加硫促進剤としてジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業(株)製 ノクセラーEZ)1.5部、亜鉛華3部を添加して全体を均一に混合する。次いで、これを1400mlのところに目印ラインを入れた透明の2000ml円筒容器に200ml入れ、二軸型ハンドミキサーを用いて室温で強制撹拌して、発泡液面上部が目印ラインに到達するまで体積で7倍発泡させる。その後、珪フッ化ソーダのスラリー2部を添加し室温で30秒間撹拌を継続して成型用型枠に流し入れ、30秒間隔で発泡液面上部を指で軽く押さえて、流動しなくなったゲル化終点に到達したかどうかを判定する。珪フッ化ソーダ添加時刻からゲル化終点までの時間をゲル化時間とし、ゲル化特性の良否について下記の通り判定した。
ゲル化時間が1分以内:不可▲1▼(型流れ性が悪く、成型できない)
ゲル化時間が1分以上2分以内:可▲1▼(型流れ性が維持できる下限)
ゲル化時間が2.0分以上5.0分以内:良(型流れ性が優れ、発泡状態を維持できる)
ゲル化時間が5.0分以上5.5分以内:可▲2▼(ゲル化工程で一部破泡する可能性がある)
ゲル化時間が5.5分以上:不可▲2▼(ゲル化工程が長過ぎ、破泡する可能性が高い)
【0038】
発泡特性の評価
前述の円筒容器に共重合体ラテックスを200ml入れ、ストップウォッチをスタートすると同時に二軸型ハンドミキサーを用いて室温で強制撹拌して、発泡液面上部が目印ラインに到達するまで、つまり体積で7倍発泡させるのに要する時間をラップ計測する。7倍に発泡したら撹拌を止め、それから5分間発泡状態を肉眼で観察し、下記の通り判定した。
不可▲1▼:5分間撹拌しても発泡倍率が7倍に至らない。
不可▲2▼:撹拌開始から5分以内で発泡倍率が7倍に到達するが、撹拌を止めてから5分以内に明らかな破泡と発泡倍率の低下が認められる。
可:撹拌開始から5分以内で発泡倍率が7倍に到達する。撹拌を止めてから5分以内にわずかな破泡が認められるが、発泡倍率の低下は認められない。
良:撹拌開始から2分以上5分以内で発泡倍率が7倍に到達する。撹拌を止めてから5分以内で破泡も発泡倍率の低下も認められない。
優:撹拌開始から2分未満で発泡倍率が7倍に到達する。撹拌を止めてから5分以内で破泡も発泡倍率の低下も認められない。
【0039】
ゴム発泡体の成型
共重合体ラテックスの固形分換算100部に対して加硫剤としてコロイド硫黄2部、加硫促進剤としてジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業(株)製 ノクセラーEZ)1.5部、亜鉛華3部を添加し、二軸型ハンドミキサーを用いて室温で強制撹拌して、前述のごとく体積で7倍発泡させる。その後、珪フッ化ソーダのスラリー2部を添加し室温で30秒間撹拌を継続して成型用型枠に流し入れ、ゲル化した後110℃の加圧スチームで40分間加硫させた。型枠から取り出したゴム発泡体を長さ方向に厚み1cmにスライスし、60℃のお湯で10分間水洗した後、70℃のオーブン中で90分乾燥しゴム発泡体成型物を得た。
【0040】
ゴム発泡体の品質評価
前述のように成型されたゴム発泡体成型物のきめの細かさや弾力性、風合いを官能的に検査して、下記の通り判定した。
不良▲1▼:発泡構造のきめが粗く、風合いが硬く、弾力が不足している。
不良▲2▼:発泡構造のきめは細かいが、風合いが硬く、弾力が不足している。
良好▲1▼:発泡構造のきめは細かいが、やや風合いが硬く、弾力がやや劣る。
良好▲2▼:風合いが柔らかく弾力性に富むが、発泡構造のきめがやや粗い。
優秀:発泡構造のきめが細かく、風合いが柔らかく、弾力性に富む。
【0041】
共重合体ラテックスの平均粒子径の測定
共重合体ラテックスを四酸化オスミウムで染色後、透過型電子顕微鏡写真を撮影して、粒子1000個の直径を計測し数平均の粒子径を求めた。
【0042】
共重合体ラテックスAの作製
耐圧性の20リットル重合反応機に、純水105部、乳化剤としてオレイン酸カリウム1.5部、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩1部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.3部、ブタジエン67部、アクリロニトリル33部、t−ドデシルメルカプタン1部、シクロヘキセン0.5部を仕込み、撹拌しながら温度を22℃に保った。次に、クメンハイドロパーオキサイド0.15部を添加して反応を開始した。次いで重合転化率が25%に達したところでオレイン酸カリウム0.3部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。次いで重合転化率が50%に達したところでオレイン酸カリウム0.3部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。次いで重合転化率が75%に達したところでオレイン酸カリウム0.3部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。重合転化率が95%以上になった時点で重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。次に水蒸気蒸留によって残留するブタジエンを除去して共重合体ラテックスAを得た。共重合体ラテックスAの固形分濃度は40%、平均粒子径は120nmであった。
【0043】
共重合体ラテックスBの作製
耐圧性の20リットル重合反応機に、純水110部、乳化剤としてロジン酸カリウム1.8部、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.7部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.3部、ブタジエン63部、アクリロニトリル37部、t−ドデシルメルカプタン0.7部、α−メチルスチレンダイマー0.2部を仕込み、撹拌しながら温度を27℃に保った。次に、クメンハイドロパーオキサイド0.12部を添加して反応を開始した。次いで重合転化率が25%に達したところでロジン酸カリウム0.2部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。次いで重合転化率が50%に達したところでロジン酸カリウム0.2部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。次いで重合転化率が75%に達したところでロジン酸カリウム0.2部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。重合転化率が95%以上になった時点で重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。次に水蒸気蒸留によって残留するブタジエンを除去して共重合体ラテックスBを得た。共重合体ラテックスBの固形分濃度は39%、平均粒子径は115nmであった。
【0044】
共重合体ラテックスCの作製
耐圧性の20リットル重合反応機に、純水105部、乳化剤としてロジン酸ナトリウム1部、オレイン酸カリウム1部、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.5部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.3部、ブタジエン60部、アクリロニトリル35部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1.2部を仕込み、撹拌しながら温度を15℃に保った。次に、クメンハイドロパーオキサイド0.15部を添加して反応を開始した。次いで重合転化率が25%に達したところでロジン酸ナトリウム0.2部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。次いで重合転化率が50%に達したところでオレイン酸カリウム0.2部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。次いで重合転化率が75%に達したところでオレイン酸カリウム0.2部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水2部を添加した。重合転化率が95%以上になった時点で重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。次に水蒸気蒸留によって残留するブタジエンを除去して共重合体ラテックスCを得た。共重合体ラテックスCの固形分濃度は40%、平均粒子径は104nmであった。
【0045】
共重合体ラテックスDの作製
単量体とt−ドデシルメルカプタンの仕込み量をブタジエン45部、アクリロニトリル45部、メチルメチクリレート10部、t−ドデシルメルカプタン0.6部に変える以外は共重合体ラテックスCの方法と同一にして共重合体ラテックスDを得た。共重合体ラテックスDの固形分濃度は41%、平均粒子径は125nmであった。
【0046】
共重合体ラテックスEの作製
単量体とt−ドデシルメルカプタンの仕込み量をブタジエン91部、アクリロニトリル9部、t−ドデシルメルカプタン2部に変える以外は共重合体ラテックスCの方法と同一にして共重合体ラテックスEを得た。共重合体ラテックスEの固形分濃度は40%、平均粒子径は98nmであった。
【0047】
共重合体ラテックスA1の作製
共重合体ラテックスAをマントン−ゴーリン(Manton−Gaulin)ホモジナイザーを用いて、温度48℃、圧力3.3×106Paの条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行った後、濃縮して共重合体ラテックスA1を得た。その固形分濃度は65%、平均粒子径は650nmであった。
【0048】
共重合体ラテックスB1の作製
共重合体ラテックスBを共重合体ラテックスA1と同一条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行った後、濃縮して共重合体ラテックスB1を得た。その固形分濃度は66%、平均粒子径は700nmであった。
【0049】
共重合体ラテックスD1の作製
共重合体ラテックスDを共重合体ラテックスA1と同一条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行った後、濃縮して共重合体ラテックスD1を得た。その固形分濃度は66%、平均粒子径は510nmであった。
【0050】
共重合体ラテックスE1の作製
共重合体ラテックスEを共重合体ラテックスA1と同一条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行ったが、固形分濃度が58%を越えたところで共重合体ラテックスが凝集し、共重合体ラテックスE1は得られなかった。
【0051】
共重合体ラテックスA2の作製
共重合体ラテックスAの固形分換算100部に対してロジン酸カリウムを1.5部添加した後、共重合体ラテックスA1と同一条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行った後、濃縮して共重合体ラテックスA2を得た。その固形分濃度は66%、平均粒子径は610nmであった。
【0052】
共重合体ラテックスB2の作製
共重合体ラテックスBの固形分換算100部に対してオレイン酸ナトリウム1.5部添加し、共重合体ラテックスA1と同一条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行った後、濃縮して共重合体ラテックスB2を得た。その固形分濃度は65%、平均粒子径は560nmであった。
【0053】
共重合体ラテックスC1とC2の作製
共重合体ラテックスCを共重合体ラテックスA1と同一条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行った後、濃縮して共重合体ラテックスC2を得た。その固形分濃度は67%、平均粒子径は740nmであった。また、共重合体ラテックスC2の濃縮過程の途中で共重合体ラテックスC1を得た。その固形分濃度は57%、平均粒子径は720nmであった。
【0054】
共重合体ラテックスブレンドA1/Bの作製
共重合体ラテックスA1/共重合体ラテックスBを固形分換算比で70部/30部となるようにブレンドし、濃縮して共重合体ラテックスブレンドA1/Bを得た。その固形分濃度は67%、平均粒子径は490nmであった。
【0055】
共重合体ラテックスブレンドA/B1の作製
共重合体ラテックスA/共重合体ラテックスB1を共重合体成分比で30部/70部となるようにブレンドし、濃縮して共重合体ラテックスブレンドA/B1を得た。その固形分濃度は67%、平均粒子径は540nmであった。
【0056】
上記の共重合体ラテックスA〜Eの重合処方を表1に示す。
また、濃縮後の共重合体ラテックスA1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、A1/B、A/B1を用いて、ゲル化特性、発泡特性の評価、ゴム発泡体の品質を前述の方法に従って評価した。それらの結果を各共重合体ラテックスの単量体組成、ロジン石鹸、脂肪酸石鹸の含有量、平均粒子径、固形分濃度と共に表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明は弾力性と風合いのバランスに優れたきめ細かなゴム発泡体の製造に使用される共重合体ラテックス、更には、ゴム発泡体を製造する際の発泡工程からゲル化工程まで、きめ細かな発泡構造と発泡倍率を保ち、弾力性と風合いのバランスに優れたきめ細かなゴム発泡体を安定に効率よく生産することを可能にするゴム発泡体用共重合体ラテックスを提供することができる。
Claims (1)
- 脂肪族共役ジエン系単量体50〜90重量部、シアン化ビニル単量体10〜40重量部、およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜20重量部からなる単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスであって、該共重合体ラテックス(固形分換算)100重量部に対して、固形分換算でロジン石鹸0.1〜5重量部および脂肪酸石鹸0.1〜5重量部を含有し、かつ固形分濃度が60重量%以上であるゴム発泡体用共重合体ラテックス。
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