JP2014177536A - フォームラバー用高分子水分散体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
弾力性と風合いに優れるだけでなく、ピンホールの少ないフォームラバーを得ることができるフォームラバー用高分子水分散体を提供すること。
【解決手段】
共重合体ラテックス100重量部(固形分換算)に対して、電気伝導滴定法により求めた中和終了点のpHが8.5以下である乳化剤を0.1〜7重量部用いることを特徴とするフォームラバー用高分子水分散体
【選択図】なし

Description

本発明は弾力性と風合いに優れるだけでなく、ピンホールの少ないフォームラバーを得ることができる高分子水分散体に関する。
高分子水分散体を原料にして発泡工程、ゲル化工程、加硫工程、洗浄工程、乾燥工程を経て成型されるフォームラバーは、各種の衝撃吸収材料、遮音材料、吸音材料、油引き材料、マットレスやクッション用のスポンジ芯材、化粧用パフとして各種用途に使われている。
化粧用パフでは、弾力性と風合いのバランスの他に、ピンホールが少ないことが求められている。発泡工程で形成させた発泡構造が壊れることなく、最終の化粧パフになることが重要であるが、発泡構造が壊れて大きな泡構造になり、更に、ピンホールとして確認出来る大きさまでになると、見栄えも重要である化粧パフの商品価値が大きく低下してしまう。
特許文献1〜3に示すような従来の技術では、弾力性と風合いに優れるだけでなく、ピンホールが少ないフォームラバーを得ることが困難であった。
特開2006−181051号公報
特開平6−32942号公報
特開平11−263846号公報
本発明は弾力性と風合いに優れるだけでなく、ピンホールの少ないフォームラバーを得ることができるフォームラバー用高分子水分散体を提供することを目的とする。
上述の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、中和終了点のpHが低い乳化剤を高分子水分散体に含有させることで、上記の問題を解決することが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、電気伝導滴定法により求めた中和終了点のpHが8.5以下である乳化剤を含有することを特徴とするフォームラバー用高分子水分散体に関する。
本発明により、弾力性と風合いに優れるだけでなく、ピンホールの少ないフォームラバーを得ることができるフォームラバー用高分子水分散体を提供する事ができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子水分散体は電気伝導滴定法により求めた中和終了点のpHが8.5以下である乳化剤を含有することを特徴とする高分子水分散体である。
本発明の高分子水分散体を得るために用いられる単量体の種類に特に制限はないが、脂肪族共役ジエン系単量体、シアン化ビニル系単量体及びそれらと共重合可能な他の単量体を使用する事が好ましい。高分子水分散体はこれらの単量体から構成される単量体混合物を公知の乳化重合法で重合を行うことで得ることが出来る。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンを使用する事が好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。特にアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを使用する事が好ましい。
上記の脂肪族共役ジエン系単量体とシアン化ビニル系単量体に共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有するエチレン系不飽和単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、エチレン系不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマルエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。特にブチルアクリレートを使用する事が好ましい。
ヒドロキシアルキル基を含有するエチレン系不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノ又はジカルボン酸(無水物)が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
エチレン系不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどが挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
上述の単量体の種類及び比率に特に制限はないが、脂肪族共役ジエン系単量体が50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体が10〜40重量%、共重合可能な他の単量体が0〜40重量%から構成される単量体混合物を乳化重合して得られた高分子水分散体は、フォームラバーとした際の風合いや高分子水分散体の固形分を調整する際の安定性が良好であり好ましい。より好ましくは脂肪族共役ジエン系単量体が55〜80重量%、シアン化ビニル系単量体が20〜35重量%、共重合可能な他の共重合体が0〜25重量%である。
本発明の高分子水分散体を乳化重合して得る際には、公知の乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤、還元剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等、さらには炭化水素系溶剤を使用することができる。また、重合に用いられる各単量体及びその他添加剤の添加方法については特に制限はなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法等いずれも採用する事ができる。
乳化重合に使用する乳化剤としては、オレイン酸のアルカリ金属塩、ロジン酸のアルカリ金属塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、高級アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸のアルカリ金属塩、脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、非イオン性界面活性剤硫酸エステルのアルカリ金属塩等のアニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。これらの乳化剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して1〜3重量部用いられる。
乳化重合に使用する連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、α−メチルスチレンダイマー、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。これらの連鎖移動剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0〜5重量部用いられる。
乳化重合に使用する重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に過硫酸カリウムや過硫酸ナトリウムなどの水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイドなどの油溶性重合開始剤を用いることが好ましい。これらの重合開始剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0.05〜2重量部用いられる。
反応系内に重合開始剤とともに還元剤を存在させると、フォームラバーとしての特性を低下させること無く反応速度が促進されるので好ましい。還元剤の種類は特に限定されないが、鉄などの遷移金属を含む還元剤を使用すると一般にフォームラバーの耐熱変色性能が低下すると言われているので、遷移金属を含む還元剤を使用する際は、金属封止剤を併用することが好ましい。
還元剤の具体例としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、また、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩などの還元性スルホン酸塩、更にはL−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類、更にはデキストロース、サッカロースなどの還元糖類、更にはジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどのアミン類が上げられる。特に亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸が好ましい。
乳化重合の際に、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を使用しても良い。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留などによって回収、再利用しやすいシクロヘキセンやトルエンが環境問題の観点から好適である。
本発明の高分子水分散体は、電気伝導度滴定法により求めた中和終了点のpHが8.5以下である乳化剤を含むことを特徴としている。電気伝導度滴定では、乳化剤の水溶液を、硫酸、塩酸等の強酸を用いて、酸型にした後に、アルカリ金属の水酸化物水溶液で滴定する際の電気伝導度の変化を測定することによって、乳化剤が酸型からアルカリ金属塩型に変わったことを示す中和終了点のpHを求めることが出来る。
具体的には、乳化剤0.3g(固形分換算)を、0.05〜0.10%の固形分濃度になるように純水で希釈し、塩酸を用いてpHを2に調整することにより乳化剤を酸型にした後、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、電気伝導度の変化を測定する。乳化剤が酸型からアルカリ金属型に変化している間とアルカリ金属型に全て変化した後では、電気伝導度の傾きが変わるので、接線法により変化点を求め、その変化点を中和終了点とする。
本発明で用いられる、電気伝導度滴定法により求めた中和終了点のpHが8.5以下である乳化剤としては、カプリル酸のアルカリ金属塩、リシノール酸のアルカリ金属塩、アルケニルコハク酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
電気伝導度滴定法により求めた中和終了点のpHが8.5以下である乳化剤を用いる時期については特に制限なく、高分子水分散体の重合中、高分子水分散体の重合終了後、高分子水分散体の粒子肥大化処理後、高分子水分散体の濃縮処理後、さらにはフォームラバー製造の際に高分子水分散体と他の添加剤成分とを混合する時に用いることも可能である。単量体混合物もしくは高分子水分散体(固形分換算)100重量部に対して0.1〜7重量部用いることが好ましい。より好ましくは0.5〜5重量部用いることである。
一般的に、pHが高い(10以上)高分子水分散体は時間の経過と共にpHが低下する事が知られている。pHが低下した状態では高分子水分散体の安定性に劣るため、フォームラバーの製造を行うと得られたフォームラバーの弾力性及び/又は風合い、ピンホール発生率が劣ってしまう。しかし、本発明の高分子水分散体は中和終了点のpHが8.5以下の乳化剤を含むことで、経時変化により高分子水分散体のpHが9付近となっても、水分散体としての安定性が高く、風合い及びピンホール発生率が良好なフォームラバーを製造することができる。
本発明の高分子水分散体の固形分濃度に特に制限はないが、フォームラバーの風合いの観点から、フォームラバーを製造する際には固形分濃度を65重量%以上とすることが好ましい。
高分子水分散体の固形分濃度を65重量%以上にするためには、乳化重合で得られた高分子水分散体を濃縮する方法、また得られた高分子水分散体粒子の一部又は全部を公知の粒子肥大化法により、例えば平均粒子径が50nm〜200nmの高分子水分散体を100nm〜数ミクロンに肥大化させた後、固形分濃度が65重量%以上となるよう濃縮する方法等により調整することができるが、その調整の簡便性の点から特に後者の方法が望ましい。
高分子水分散体の粒径肥大化方法としては特に制限されないが、例えば、カルボキシル基含有共重合体粒子等の粒子径肥大化剤を添加して強制的に撹拌する方法(一般にケミカルアグロメ法と称されている)、重合途中で反応を停止させて粒子が単量体で膨潤し、相互に融着し易い状態で強制的に撹拌する方法、重合終了後の高分子水分散体にスチレン等の単量体やトルエン、シクロヘキセン等の溶剤を添加して、粒子がそれらで膨潤し相互に融着し易い状態で強制的に撹拌する方法、加温した高分子水分散体を一定の圧力でノズルから噴射させるなどして高剪断を与えて肥大化させる方法(以下、加温加圧肥大化法と称する)等が挙げられる。
本発明の高分子水分散体を用いたフォームラバーの製造方法における各工程の具体的方法に特に限定はなく公知の方法を用いることができる。フォームラバーの製造工程は通常、加硫剤や助剤を添加する工程、発泡工程、ゲル化工程、加硫工程、水洗工程、乾燥工程の順からなる。加硫剤や助剤を添加する工程では、加硫剤、加硫促進剤、必要により老化防止剤、増粘剤、保水剤、着色剤などの助剤が適宜添加される。加硫剤は特に限定されないが、例えば硫黄やそれを乳化分散したコロイド硫黄などが使用される。加硫助剤や加硫促進剤も特に限定されないが、加硫助剤としては亜鉛華などが、加硫促進剤としては、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバメート系促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾール及びその亜鉛塩、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系促進剤等が挙げられる。
フォームラバーを製造する際の高分子水分散体の固形分換算100重量部に対する前述の各薬剤の添加量に特に制限はないが、例えば、硫黄0.3〜10重量部、亜鉛華0.5〜10重量部、加硫促進剤0.2〜5重量部の範囲で使用することが一般的である。また、その他の助剤として各種の老化防止剤、増粘剤、保水剤、着色剤などの助剤についても本発明の効果を妨げない範囲にて添加してもよい。
上記発泡工程における発泡方法は公知の方法が使用でき、特に制限はない。発泡方法としては、空気もしくはガス発生物質を単独又は併用し、種々の方法で混入させる強制発泡方法が挙げられる。強制発泡装置としては、例えば、オークス発泡機、超音波発泡機等を使用できる。
上記ゲル化工程におけるゲル化方法も公知の方法が使用でき、特に制限はない。ゲル化方法としては、オルガノポリシロキサンを使用した感熱凝固法や急激に温度低下させる冷凍凝固法等が例示できるが、ゲル化剤として珪フッ化ソーダや珪フッ化カリ、チタン珪フッ化ソーダ等のフッ化珪素化合物を発泡した高分子水分散体に添加する常温凝固法(ダンロップ法)が最も効果的と考えられる。
ゲル化後の加硫工程での諸条件も特に制限はなく、100〜150℃程度の温度で10〜100分程度加硫させることにより良質のフォームラバーが得られる。また、水洗工程や乾燥工程の諸条件も特に制限はないが、25〜60℃の水又はお湯で5〜20分間程度、攪拌しながら洗浄し、その後遠心分離法などの方法で水を切り、フォームラバーの風合いを保てるように40〜120℃程度で乾燥することが好ましい。
化粧用パフ製品などの最終成型物は、乾燥工程まで終了したフォームラバーを所定の厚さに切り出し、それを所定の形状に切断し、切断した側面やエッジをきめの細かな回転砥石で研磨仕上げすることで得ることができる。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は特に断りのない限り重量基準によるものである。また実施例における諸物性の評価は次の方法に拠った。
中和終了点のpH
中和終了点の測定に用いる乳化剤を固形分で約0.3g精秤し、0.01N塩化水素水溶液と純水でpHが2、容量が400gとなるように調整した。その後、2時間撹拌し、電気伝導度測定機器(平沼産業株式会社製 Titstation TS−980)を用い、0.1N水酸化ナトリウム水溶液にて滴定を行った。そして、横軸をpH、縦軸を電気伝導度とした電導度曲線から中和終了点を定め、その時のpHを乳化剤の中和終了点のpHとした。測定に用いた乳化剤の種類と測定結果を表1に示す。
高分子水分散体の数平均粒子径の測定
高分子水分散体を四酸化オスミウムで染色後、透過型電子顕微鏡写真を撮影して、粒子1000個の直径を計測し数平均粒子径を求めた。
高分子水分散体Aの作製
耐圧性の100リットル重合反応機に、純水105部、乳化剤としてヒマシ油カリウム石鹸(花王株式会社製 FR−25)2.0部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.36部、ブタジエン65部、アクリロニトリル35部、t−ドデシルメルカプタン0.6部を仕込み、撹拌しながら温度を30℃に保った。次に、クメンハイドロパーオキサイド0.18部を添加して反応を開始した。重合転化率が98%以上になった時点で重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。次に水蒸気蒸留によって残留するブタジエンを除去することで高分子水分散体Aを得た。高分子水分散体Aの数平均粒子径は125nmであった。
高分子水分散体Bの作製
耐圧性の100リットル重合反応機に、純水105部、乳化剤としてカプリル酸ナトリウム2.0部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.36部、ブタジエン65部、アクリロニトリル35部、t−ドデシルメルカプタン0.6部を仕込み、撹拌しながら温度を30℃に保った。次に、クメンハイドロパーオキサイド0.18部を添加して反応を開始した。重合転化率が98%以上になった時点で重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。次に水蒸気蒸留によって残留するブタジエンを除去することで高分子水分散体Bを得た。高分子水分散体Bの数平均粒子径は120nmであった。
高分子水分散体Cの作製
耐圧性の100リットル重合反応機に、純水105部、乳化剤としてロジン酸ナトリウム2.0部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.36部、ブタジエン65部、アクリロニトリル35部、t−ドデシルメルカプタン0.6部を仕込み、撹拌しながら温度を30℃に保った。次に、クメンハイドロパーオキサイド0.18部を添加して反応を開始した。重合転化率が98%以上になった時点で重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。次に水蒸気蒸留によって残留するブタジエンを除去することで高分子水分散体Cを得た。高分子水分散体Cの数平均粒子径は115nmであった。
高分子水分散体A1の作製
高分子水分散体Aをマントン−ゴーリン(Manton−Gaulin)ホモジナイザーを用いて、温度48℃、圧力4.0×10Paの条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行うことで、高分子水分散体A1を得た。
高分子水分散体B1の作製
高分子水分散体Bを高分子水分散体A1と同一条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行うことで、高分子水分散体B1を得た。
高分子水分散体C1の作製
高分子水分散体Cを高分子水分散体A1と同一条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行うことで、高分子水分散体C1を得た。
高分子水分散体A2の作製
高分子水分散体Aと高分子水分散体A1とを30:70(固形分換算)の割合で混合し、混合物100部(固形分換算)に対してロジン酸ナトリウムを1.5部添加した後、濃縮することで高分子水分散体A2を得た。濃縮後のpHは11であった。
高分子水分散体A3の作製
上記方法で得た高分子水分散体A2のpHを9とすることで、高分子水分散体A3を得た。
高分子水分散体B2の作製
高分子水分散体Bと高分子水分散体B1とを30:70(固形分換算)の割合で混合し、混合物100部(固形分換算)に対してカプリル酸ナトリウムを1.5部添加した後、濃縮することで高分子水分散体B2を得た。濃縮後のpHは11であった。
高分子水分散体B3の作製
上記方法で得た高分子水分散体B2のpHを9とすることで、高分子水分散体B3を得た。
高分子水分散体C2の作製
高分子水分散体Cと高分子水分散体C1とを30:70(固形分換算)の割合で混合し、混合物100部(固形分換算)に対してヒマシ油カリウム石鹸(花王株式会社製 FR−25)を1.5部添加した後、濃縮することで高分子水分散体C2を得た。濃縮後のpHは11であった。
高分子水分散体C3の作製
上記方法で得た高分子水分散体C2のpHを9とすることで、高分子水分散体C3を得た。
高分子水分散体C4の作製
高分子水分散体Cと高分子水分散体C1とを30:70(固形分換算)の割合で混合し、混合物100部(固形分換算)に対してロジン酸ナトリウムを1.5部添加した後、濃縮することで高分子水分散体C4を得た。濃縮後のpHは11であった。
高分子水分散体C5の作製
上記方法で得た高分子水分散体C4のpHを9とすることで、高分子水分散体C5を得た。
フォームラバー成型物の作成
上述の高分子水分散体100部(固形分換算)に対して加硫剤としてコロイド硫黄1.2部、加硫促進剤としてジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.2部、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛0.8部、亜鉛華2.5部を添加し、二軸型ハンドミキサーを用いて、室温の条件で体積が7倍になるまで強制撹拌を行い発泡させた。その後、珪フッ化ソーダのスラリー2部を添加し室温で30秒間撹拌を継続して、縦×横×高さが5cm×5cm×10cmの成型用型枠に流し入れ、ゲル化した後に110℃の加圧スチームで40分間加硫させた。型枠から取り出したフォームラバーを長さ方向に厚み1cm、評価サンプルとして10点分裁断し、60℃のお湯で10分間水洗した後、60℃のオーブンで1時間乾燥することでフォームラバー成型物を得た。
ピンホール評価
上記方法で作製したフォームラバー成型物のピンホール評価を行った。直径0.5mm以上の穴をピンホールとし、評価サンプル10個のうち、ピンホールが1個以上存在する評価サンプルの個数を数えた。その個数から下記判定内容を基に評価を行った。結果を表2に示す。
◎:0個
○:1〜2個
△:3〜4個
×:5個以上
触感評価
フォームラバー成型物の弾力性及び風合いを触感で判断し、下記判定内容を基に評価した。結果を表2に示す。
○:弾力性及び風合いが共に良好。
△:弾力性又は風合いどちらかが乏しい。
×:弾力性及び風合いが共に乏しい。
表2に示すように、実施例1〜6は重合時もしくは濃縮時に本発明で規定する乳化剤を用いているため、弾力性と風合いに優れるだけでなく、ピンホールの少ないフォームラバーを得ることが出来た。また、高分子水分散体のpHが9であっても、弾力性と風合いに優れ、ピンホールの少ないフォームラバーを得ることが出来た。
表2に示すように、比較例1及び2は高分子水分散体に本発明で規定する乳化剤を含有していないため、弾力性と風合いに劣る及び/又はピンホールの発生が多いフォームラバーしか得られなかった。さらに、高分子水分散体のpHが9である比較例2はpHが11である比較例1と比較して、弾力性と風合い及びピンホール評価がより劣る結果となった。これは比較例では中和終了点のpHが8.5を越える乳化剤しか用いていなかったため、高分子水分散体のpHが11の時と比較して9付近では安定性に劣り、最終的に弾力性、風合い及びピンホール評価により劣るフォームラバーしか得られなかったことを示している。
以上のとおり、本発明により、弾力性と風合いに優れピンホールが少ないフォームラバーを得ることができるフォームラバー用高分子水分散体を提供する事ができる。

Claims (3)

  1. 共重合体ラテックス100重量部(固形分換算)に対して、電気伝導滴定法により求めた中和終了点のpHが8.5以下である乳化剤を0.1〜7重量部用いることを特徴とするフォームラバー用高分子水分散体
  2. 脂肪族共役ジエン系単量体50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜40重量%、共重合可能な他の単量体が0〜40重量%である単量体混合物を重合して得られることを特徴とする請求項1に記載のフォームラバー用高分子水分散体
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載のフォームラバー用高分子水分散体を用いて得られたフォームラバー成型物
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