JP2004107410A - 接着剤及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、プラスチックフィルムと金属板とを貼着し、積層するための接着剤であって、貼着・積層時にプラスチックフィルムの端面からはみ出さない接着剤であって、プラスチックフィルムと金属板とを貼着し、積層した後、レトルトしても白化せず、加工密着に対する高度な要求を満足する接着剤を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリエステルポリオール(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、及び3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)を含有することを特徴とする接着剤。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリエステルポリオール(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、及び3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)を含有することを特徴とする接着剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤に関し、詳しくはプラスチックフィルムと金属板とを貼着し、積層するための接着剤に関し、さらに詳しくは印刷層の設けられたプラスチックフィルムと金属板とを印刷層を介して積層する際に用いられる接着剤に関する。
さらに、本発明は、上記接着剤の利用に関し、詳しくは印刷層の設けられたプラスチックフィルムの印刷層上に接着剤層を形成してなる接着剤層付きプラスチックフィルム、並びに該接着剤層付きプラスチックフィルムと金属板とを貼着し、積層してなるプラスチックフィルム被覆金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、食物や飲料(以下、飲料等という)を保存し収容する缶の内・外面は、それぞれ耐食性、装飾性等を付与する目的で各種の塗装や印刷が施されている。ところで、飲料等用の缶は、その形態から大きく3ピース缶と2ピース缶とに分類できる。3ピース缶は、円筒状の側面部、即ち缶胴部と、底部と蓋部とからなる。一方、2ピース缶は、一体化した缶胴部・底部、即ち有底缶胴部と、蓋部とからなる。
これら缶のうち3ピース缶の缶胴部は、一般に予め所定の大きさに切った金属板に、内面塗料及び外面下塗り塗料を塗布した後、外面側に印刷層を設け、該印刷層の上に外面仕上げ塗料を塗布した後、一缶毎の大きさの四辺形に切断し、次いでその四辺形の金属板を円筒状に丸め、端面を接着、溶接等することによって形成される。その後、円筒状の缶胴部の上端部及び下端部を縮める加工(ネックイン加工)が施される。
一方、これら缶のうち2ピース缶の一体化した缶胴部・底部は、一缶分の金属板を有底円筒状にした後、内面塗料及び外面下塗り塗料を塗布した後、外面側に印刷層を設け、該印刷層の上に外面仕上げ塗料を塗布し、形成される。
【0003】
近年、2ピース缶、3ピース缶いずれの場合も、金属に直に塗料を塗布したり、インキを印刷したりする上記の方法の他に、缶胴部の金属の内・外面をプラスチックフィルムで被覆する方法が提案されている。
例えば、2ピース缶の有底缶胴部は、外面被覆用のプラスチックフィルムの一方の面に印刷層を設け、該印刷層上に外面仕上げ塗料を塗布してなる金属外面被覆用プラスチックフィルムを得、金属板の一方の面に金属内面被覆用プラスチックフィルムを、金属板の他方の面に上記の金属外面被覆用プラスチックフィルムの印刷層を設けていない側(非印刷層側)をそれぞれ積層してなるプラスチックフィルム被覆金属板を得、該プラスチックフィルム被覆金属板を一缶分毎に打ち抜き、これを有底円筒状にしたり、
【0004】
または、金属板の一方の面に金属内面被覆用プラスチックフィルムを、金属板の他方の面に金属外面被覆用プラスチックフィルムをそれぞれ積層し、両面をプラスチックフィルムで被覆した金属板を得た後、該プラスチックフィルム被覆金属板を一缶分毎に打ち抜き、打ち抜いたものを有底円筒状にし、次いで円筒部の外面に、印刷層を設け、その印刷層の上に外面仕上げ塗料を塗布したりすることによって形成される。
【0005】
一方、3ピース缶の缶胴部は、外面被覆用のプラスチックフィルムの一方の面に仕上げ用塗料層を、外面被覆用のプラスチックフィルムの他方の面に印刷層を設け、該印刷層上に接着剤層を設けてなる金属外面被覆用の接着剤層付きプラスチックフィルムを得、金属板の一方の面に金属内面被覆用プラスチックフィルムを、金属板の他方の面に金属外面被覆用接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層をそれぞれ積層してなるプラスチックフィルム被覆金属板を得、該プラスチックフィルム被覆金属板を一缶毎の大きさの四辺形に切断し、次いでその四辺形の金属板を円筒状に丸め、端面を接着、溶接等することによって形成される。
【0006】
このような分野に用られる接着剤として種々のものが提案されている。
例えば、ポリエステルとイソシアネート化合物とを含有する接着剤が特許文献1〜5に記載されている(特許文献1:特開平01−268777号公報、特許文献2:特開平06−31362号公報、特許文献3:特開平08−199147号公報、特許文献4:特開平09−208654号公報、特許文献5:特開平11−157006号公報等参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平01−268777号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平06−313162号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平08−199147号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平09−208654号公報
【0011】
【特許文献5】
特開平11−157006号公報
【0012】
また、イソシアネート化合物のうちブロック化イソシアネート化合物をポリエステルと組み合わせてなる接着剤が特許文献6〜10に記載されている(特許文献6:特開平04−266984号公報、特許文献7:特開平05−070737号公報、特許文献8:特開平10−183095号公報、特許文献9:特開平11−199851号公報、特許文献10:特開平2000−0080181号公報等参照)。
【0013】
【特許文献6】
特開平04−266984号公報
【0014】
【特許文献7】
特開平05−070737号公報
【0015】
【特許文献8】
特開平10−183095号公報
【0016】
【特許文献9】
特開平11−199851号公報
【0017】
【特許文献10】
特開2000−008018号公報
【0018】
さらに、ウレタン変性ポリエステルとブロック化イソシアネート化合物とを含有する接着剤が特許文献11〜13に記載されている(特許文献11:特開平09−286968号公報、特許文献12:特開平11−293220号公報、特許文献13:特開2001−107015号公報等参照)。
【0019】
特許文献11(特開平09−286968号公報)及び特許文献12(特開平11−293220号公報)には、特定の構成成分から構成されるポリエステル樹脂を多価イソシアナート化合物および/またはエポキシ樹脂で変性してなる変性ポリエステル樹脂を含有する接着剤が記載されている(特許文献11の請求項3、特許文献12の請求項1)。そして、この変性ポリエステル樹脂(A)と反応し得る硬化剤(B)を配合する旨記載され(特許文献11の請求項1、特許文献12[0021])、その硬化剤(B)の一種として種々のイソシアネート化合物が開示されている(特許文献11[0020]、特許文献12[0023])。さらにブロック化イソシアネート化合物の利用も開示されている(特許文献11[0023]、特許文献12[0024])。
【0020】
特許文献13(特開2001−107015号公報)には、特定分子量の水酸基含有ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物を特定割合で反応させてなる特定分子量のウレタン変性ポリエステル樹脂(A)とブロック化イソシアネート化合物(B)とを含有する接着剤が記載されている(請求項1)。
【0021】
【特許文献11】
特開平09−286968号公報
【0022】
【特許文献12】
特開平11−293220号公報
【0023】
【特許文献13】
特開2001−107015号公報
【0024】
3ピース缶の缶胴部形成に際し、金属板に金属外面被覆用接着剤層付きプラスチックフィルムを積層せしめる場合、まず金属板と金属外面被覆用接着剤層付きプラスチックフィルムとを重ね合わせつつ180〜210℃に加熱したロール間を通過させ熱圧着した後、180〜230℃で1〜数分間加熱し、接着剤を十分に硬化させる必要がある。
しかし、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)に代表されるプラスチックフィルムは、積層時の上記のような温度条件において収縮してしまう。プラスチックフィルムが収縮すると、プラスチックフィルムと金属板との間に位置する印刷層及び接着剤が端部においてプラスチックフィルムの外にはみ出してしまうこととなる。一般に接着剤層は印刷層に比して厚いので、端部におけるはみ出しも印刷層に比して顕著になる。
接着剤が熱圧着時の温度条件で端部からはみ出してしまうと、圧着の際に使用するロールの表面に付着し、その結果ロール表面の付着物が積層中のプラスチックフィルム被覆金属板表面を汚してしまうこととなる。
【0025】
ところで、金属外面被覆用接着剤層付きプラスチックフィルムに使用される接着剤は、金属とプラスチックフィルムとを貼着する機能を担うばかりでなく、酸化チタン等の白色顔料を含有することにより貼着後金属地を隠蔽し、印刷層の美粧性を引き立てる機能をも担う。
熱圧着時及びその後の加熱時にプラスチックフィルムが収縮し、プラスチックフィルムの端部から接着剤がはみ出したり、はみ出した接着剤が積層中のプラスチックフィルム被覆金属板表面に付着すると、接着剤が白色顔料を含有しているが故に目立ち、積層物の外観を著しく損なうこととなる。
【0026】
そこで、係る課題に対し、本発明者らは、ポリエステルポリオール(a1)と3官能以上のイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、及びジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B)を含有する接着剤を用いれば、プラスチックフィルムと金属板とを貼着する際に、接着剤がプラスチックフィルムの端面からはみ出さないことを見出した(特願2001−263464号参照)。
【0027】
【特許文献14】
特願2001−263464号
【0028】
ところで、飲料等用の缶は、レトルト殺菌処理されることから、缶用の塗料や接着剤には耐レトルト性が要求される。また、飲料等用の缶胴部の上下部分、即ち底部材や蓋部材と接合される近傍には、いわゆるネックイン加工等の各種加工が加えられる。
従って、接着剤には耐レトルト性に優れること、各種加工にも十分耐え得るように密着性に優れることが求められる。
【0029】
特許文献14(特願2001−263464号)に提案される接着剤は、はみ出しにくく、またレトルト後の加工部の密着性にも優れるものであった。
しかし、特願2001−263464号に提案される接着剤は、レトルト後白化する傾向にあり、レトルト後白化しない接着剤が求められた。
特に、印刷層を設けてなるプラスチックフィルムの印刷層上に、酸化チタン等の白色顔料を含有する接着剤層を設け、得られた接着剤層付きプラスチックフィルムを金属板に貼着し、金属地を隠蔽し、印刷層の美粧性を引き立てる機能をも接着剤層が担っている場合に、レトルト後の白化が問題となる。
一般に印刷層の色をデザイン原稿の色に合わせる(調色と呼ばれる)場合、数色のインキを混合しPETフィルムに印刷、酸化チタン等を含有する接着剤を塗工後金属板に貼り合わせて行う場合が多い。しかしながら、これを実際に製缶、レトルトした際に、接着剤層が白化すると調色した色よりも白さが増し、デザイン原稿の色と異なってしまい出荷できないという問題が発生する事がある。特に黄インキを主に混合調色した場合に、接着剤層の白化現象が大きな問題となる。
【0030】
そこで、係る課題に対し、本発明者らは、ポリエステルポリオール(a1)と3官能以上のイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、及びジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B)を含有する接着剤にさらにエポキシ樹脂(C)を含有すれば、レトルト後に接着剤層が白化しないことを見出した(特願2002−76044号参照)。
【0031】
【特許文献15】
特願2002−76044号
【0032】
しかし、缶の形態はコストダウンの観点より蓋剤の小径化が進み、円筒状の上端部を縮める加工(ネックイン加工)も1段ネック・2段ネックより3段ネックが施さる。それに伴い要求されるレトルト後の加工密着性も厳しくなる。特許文献15(特願20002−76044号)に提案される接着剤は、2段ネック加工であればレトルト後の加工密着性も優れていたが、3段ネック加工ではレトルト後の加工密着性が低下するという問題があった。加工密着性向上のためエポキシ樹脂(C)を多量に使用すると、金属との密着性は向上するもののPETフィルムとの密着性が低下し、レトルト後にPETフィルムの剥離が生じやすくなる。また、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B)を多量に使用すると、レトルト後の加工密着性は向上するものの、金属板との貼着・積層時に端部からのはみ出しが悪くなり問題となる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プラスチックフィルムと金属板とを貼着し、積層するための接着剤であって、貼着・積層時にプラスチックフィルムの端面からはみ出さない接着剤を提供すること、及び金属板との貼着・積層時に端部からはみ出したりしない接着剤層を印刷層の設けられたプラスチックフィルムの印刷層上に形成してなる接着剤層付きプラスチックフィルム、並びに該接着剤層付きプラスチックフィルムと金属板とを貼着・積層後、レトルト処理しても接着剤層が白化せず、厳しい加工にも十分耐え得る様に密着性に優れる、プラスチックフィルム被覆金属板を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の接着剤を用いることにより、貼着・積層時のプラスチックフィルムの収縮を抑制でき、レトルト処理後に接着剤層が白化したり、厳しい加工にも十分耐え得る様に密着性に優れることを見出し、さらに本発明を完成した。
即ち、第1の発明は、ポリエステルポリオール(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)、エポキシ樹脂(C)及びカルボキシル基を有する化合物(d1)のカルボキシル基をビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)でブロックしてなるブロックカルボン酸化合物(D)を含有することを特徴とする接着剤である。
【0035】
第2の発明は、ポリイソシアネート化合物(a2)が、3官能以上のポリイソシアネート化合物(a2−1)であることを特徴とする第1の発明に記載の接着剤であり、
第3の発明は、3官能以上のポリイソシアネート化合物(a2−1)が、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体であることを特徴とする第2の発明に記載の接着剤である。
【0036】
第4の発明は、3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)が、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B−1)であることを特徴とする第1ないし第3の発明のいずれか記載の接着剤である。
【0037】
第5の発明は、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能のブロック化イソシアネート化合物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)の合計100重量%中に、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)を50〜95重量%、3官能のブロック化イソシアネート化合物(B)を2〜47重量%、エポキシ樹脂(C)を2〜47重量%、ブロックカルボン酸化合物(D)を0.02〜10重量%含有することを特徴とする第1ないし第4の発明いずれかに記載の接着剤である。
【0038】
第6の発明は、イソシアネート化合物のブロック化物(B)のブロック化剤が、オキシム系のブロック化剤であることを特徴とする第1ないし第5の発明いずれか記載の接着剤である。
【0039】
第7の発明は、ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量が5000〜30000であり、水酸基価が3〜25mgKOH/gであることを特徴とする第1ないし第6の発明いずれか記載の接着剤である。
【0040】
第8の発明は、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量が20000〜80000であることを特徴とする第1ないし第6の発明いずれか記載の接着剤である。
【0041】
第9の発明は、エポキシ樹脂(C)が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とする第1ないし第8の発明いずれかに記載の接着剤である。
【0042】
第10の発明は、ブロックカルボン酸化合物(D)が、カルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)と、ビニルエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)とを必須成分として形成されてなることを特徴とする第1ないし第9の発明のいずれか記載の接着剤である。
【0043】
第11の発明は、さらに白色顔料を含有することを特徴とする第1ないし第10の発明いずれか記載の接着剤である。
【0044】
第12の発明は、印刷層を設けたプラスチックフィルム/金属板貼着用であることを特徴とする第1ないし第11の発明いずれか記載の接着剤である。
【0045】
第13の発明は、プラスチックフィルムの一方の面に印刷層が設けられ、該印刷層上に第1ないし第11の発明いずれか記載の接着剤を用いてなる接着剤層が設けられていることを特徴とする接着剤層付きプラスチックフィルムである。
【0046】
第14の発明は、プラスチックフィルムの非印刷層側にトップコート層が設けられていることを特徴とする第13の発明記載の接着剤層付きプラスチックフィルムである。
【0047】
第15の発明は、第13又は第14の発明記載の接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層上に金属板が積層されてなることを特徴とするプラスチックフィルム被覆金属板である。
【0048】
第16の発明は、第15の発明記載のプラスチックフィルム被覆金属板を用いてなる飲料用缶である。
【0049】
第17の発明は、プラスチックフィルムの一方の面に印刷層が設けられ、該印刷層上に接着剤層が設けられている接着剤層付きプラスチックフィルムであって、
前記印刷層が、水酸基及び/又はアミノ基を有するポリウレタンを含有する印刷インキから形成され、かつ、
前記接着剤層が、ポリエステルポリオール(a1)と3官能以上のイソシアネート化合物(a2−1)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A−1)、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のブロック化イソシアネート化合物(B−1)、エポキシ樹脂(C)及びカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)のカルボキシル基を、ビニルエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)でブロックしてなるブロックカルボン酸化合物(D−4)を含有する接着剤から形成されることを特徴とする接着剤層付きプラスチックフィルムである。
【0050】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるポリエステルポリオール(a1)は、常法に従い、得ることができる。例えば、反応槽中に多価アルコールと多塩基酸を仕込み、加熱、撹拌しながら180〜250℃にて反応することにより得られる。
【0051】
多価アルコールの例としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブチンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサド付加物などの飽和および不飽和の低分子グリコール類、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類やバーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類である。
更には、環状エステル化合物を開環重合せしめたりしてポリエステルポリオールを得ることもできる。
【0052】
前記多塩基酸の例としては、例えばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの二塩基酸もしくはこれらの無水物が挙げられる。
なお、金属板との接着性、耐レトルト性の点よりフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸を使用したポリエルテルポリオールが好ましい。
【0053】
なお、ポリエステルポリオール(a1)は、数平均分子量(以下Mnという)が5000〜30000、水酸基価が3〜25mgKOH/gであることが好ましく、更にはMnが10000〜20000、水酸基価6〜12mgKOH/gがより好ましい。
Mnが5000未満であったり、又は水酸基価が25mgKOH/gを越えると、イソシアネート基と反応して得られるウレタン変性ポリエステルポリオールの凝集力が高くなりすぎて接着剤層と金属板との接着性が低下し易くなり、Mnが30000を超えたり、又は水酸基価が3未満になると、ポリイソシアネート化合物(a2)と反応させる際、急激な粘度上昇やゲル化を起こし易くなり、また接着剤の流動性が悪くなり好ましくない。
【0054】
ポリエステルポリオール(a1)と反応させるためのポリイソシアネート化合物(a2)としては、2官能もしくは3官能以上のイソシアネート化合物が好ましく、特に接着剤のプラスチックフィルムの端面からはみ出し防止の観点からは3官能以上が好ましい。
【0055】
ジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知の種々のジイソシアネート類が挙げられる。
例えば、芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が、
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が、
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4’−ジイソシアネート、1,3ービス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0056】
3官能以上のイソシアネート化合物としては、以下に示すようなアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等が挙げられる。
【0057】
アダクト体は、各種公知の種々のジイソシアネート化合物と3価以上のアルコールとを反応させて得られる。以下に3官能のアルコールの場合について示す。
【0058】
【化1】
【0059】
アダクト体に使用される3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトール等が挙げられる。
【0060】
イソシアヌレート体は、以下の式に示されるように、各種公知の種々のジイソシアネート化合物3分子からなる。
【0061】
【化2】
【0062】
ビュレット体は、以下の式に示されるように、各種公知の種々のジイソシアネート化合物と水との反応により得られる。
【0063】
【化3】
【0064】
更にポリエステルポリオール(a1)と反応させるための3官能以上のイソシアネート化合物(a2)としては、上記したアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等の他に、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’’−テトライソシアネート等の3個以上のイソシアネ−ト基を有するイソシアネート化合物も使用できる。
【0065】
更には、各種公知のジイソシアネート化合物のカルボジイミド変性体も使用できる。
【0066】
ウレタン変性の方法としては、ポリエステルポリオール(a1)をイソシアネート化合物とは反応しない有機溶剤に溶かし、ポリイソシアネート化合物(a2)を加え、必要に応じアミン化合物、有機金属化合物等の反応触媒を添加し加熱することにより得られるが、これに限定されることはない。
【0067】
ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)のMnは、20000〜80000が好ましく、30000〜50000であることがより好ましい。ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)のMnが20000未満では、貼着・積層時のプラスチックフィルムの収縮抑制効果は小さくなり、Mnが80000を超えると貼着・積層後プラスチックフィルム被覆金属板の接着剤層の凝集力が高くなり、金属板に高度な加工(打ち抜き、レトルト加工等)を加えると接着剤層と金属板との接着性が低下し易くなる。また、これを使用した接着剤の粘度が高くなりレベリング性の点で好ましくはない。
【0068】
次に上記したウレタン変性ポリエステルポリオール(A)と反応させるために用いる3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)について説明する。
3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)は、ポリイソシアネート化合物(a1)の説明の項で記載した3官能以上のイソシアネート化合物を従来公知の方法にてブロック化剤でブロックされてなるものであり、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B−1)が貼着・積層し焼き付けたプラスチック被覆金属板に高度な加工を加えた後、さらにレトルト処理を加えた場合、接着剤層と金属または接着剤層と印刷層の接着力の点で好ましい(以下、高度な加工を加え、さらにレトルト処理した後の接着性を加工密着性という)。
【0069】
ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール類、3,5−ジメチルピラゾール、1,2−ピラゾール等のピラゾール類、1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられ、その他にもアミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられ、加工密着性の点より、メチルエチルケトンオキシムをブロック化剤とするもの使用することが好ましい。
さらにいわゆるウィケット圧痕の解消という点からは、メチルエチルケトンオキシムでブロック化したものを必須とし、これにピラゾール類もしくはトリアゾール類でブロック化したものを併せて使用することが好ましい。メチルエチルケトンオキシム、ピラゾール類及びトリアゾール類でそれぞれブロック化したものを3種類併用することもできる。
【0070】
尚、ここでいうウィケット圧痕とは、絵柄や隠蔽層(接着剤層)の薄くなった部分や「ヌケ」をいう。接着剤層と金属板とを熱圧着し、プラスチックフィルム/接着剤層/金属/接着剤層/印刷層/プラスチックフィルムという構成のプラスチックフィルム被覆金属板をウイケット架台上に乗せ、接着剤を熱硬化させる。この際印刷層に隣接するプラスチックフィルム、即ち缶胴部の外面を構成する面がウイケット架台上に接触することとなる。高温のウィケット架台に外面側のプラスチックフィルムが接触すると、その部分の接着剤が軟化、溶融し流動してしまう。接着剤の流動に伴い、プラスチックフィルムと接着剤の間に位置する印刷層も流動しててしまうことがある。プラスチックフィルムを介してウィケット架台に接触していた部分の接着剤や印刷層が流動すると、絵柄や隠蔽層(接着剤層)が薄くなり、移動が著しい場合には「ヌケ」が生じ外面側のプラスチックフィルムを通して金属素地が見えてしまう。絵柄や隠蔽層(接着剤層)の薄くなった部分や「ヌケ」を「ウイケット圧痕」という。
【0071】
本発明において用いられるエポキシ樹脂(C)について説明する。
エポキシ樹脂(C)は、硬化後の接着層の凝集力を高めレトルト後の白化を抑制し、かつ高加工時における剥離が生じないために必要である。また、Mnが300〜10000の範囲にあることが好ましく、500〜7000の範囲にあることがより好ましい。Mnが300より小さいエポキシ樹脂を用いて接着剤組成物を得て、プラスチックフィルムと金属板とを貼り合わせても、接着剤層の凝集力が不十分となるため高加工時における剥離が生じやすくなり、一方、Mnが10000よりも大きいエポキシ樹脂は、前記ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)との相溶性が悪く、その結果このようなエポキシ樹脂を用いても均一な接着剤組成物は得難く、不均一な接着剤組成物を用いてプラスチックフィルムと金属板とを貼り合わせた場合には、十分な接着力を確保することが極めて難しい。
【0072】
エポキシ樹脂(C)としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等があげられるが、レトルト後の白化抑制、加工密着性、耐熱性などの点からクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好適である。
【0073】
次にブロックカルボン酸化合物(D)について説明する。
ブロックカルボン酸化合物(D)は、カルボキシル基を有する化合物(d1)のカルボキシル基をビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)でブロックしてなるものである。接着剤層付きプラスチックフィルムを金属板に貼着・積層する際に、ブロックカルボン酸化合物(D)を構成していたブロック化剤であるビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)が解離し、生成したカルボキシル基を有する化合物(d1)が、エポキシ樹脂(C)の硬化剤として機能すると考えられる。その結果、厳しい加工にも十分耐え得る様に密着性が向上する。
【0074】
ブロックカルボン酸化合物(D)は、これを構成するカルボキシル基を有する化合物(d1)、ビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)の官能基数の違い及び組み合わせによって例えば表1のように分類できる。
【0075】
【表1】
【0076】
カルボキシル基を有する化合物(d1)としては、表1にも示すように一分子中にカルボキシル基を1個有する化合物(d1−1)、一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)が挙げられる。
【0077】
一分子中にカルボキシル基を1個有する化合物(d1−1)としては、飽和モノカルボン酸、不飽和モノカルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
飽和モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルプロパン酸(イソ酪酸)、2−エチルへキシル酸、ラウリン酸、シクロヘキ酸カルボン酸等が、
不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸等が、
芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸等が、それぞれ挙げられる。
【0078】
一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)としては、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、脂環族ポリカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ポリカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸等が、
芳香族ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が、
脂環族ポリカルボン酸としては、テトラヒドロカルボン酸、ヘキサヒドロカルボン酸等がそれぞれ挙げられる。
さらに、一分子中にカルボキシル基2個以上を有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、マレイン化ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
【0079】
また、一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)としては、例えば(1)一分子当たりヒドロキシル2個以上を有するポリオールと酸無水物とをハーフエステル化させる、(2)一分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物とヒドロキシカルボン酸またはアミノ酸とを付加させる、(3)カルボキシル基含有α,β−不飽和単量体を単独重合または他のα,β−不飽和単量体と共重合させる、(4)カルボキシル基末端のポリエステル樹脂、等が挙げられる。
【0080】
前記(1)の場合に用いられる一分子当たりヒドロキシル基2個以上を有するポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネノペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブチンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルブタンジオール、ジプロピレングリコール、水添ビスフェノールA、グリセリン、ソルビトール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マチトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジペンタエリスリトール等の多価アルコール類;これらの多価アルコール類とγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン化合物との開環付加体;該多価アルコール類と、トリレンジイソシアネーと、ジフェニルメタンジイシシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイシシアネート等のイソシアネート化合物とのアルコール過剰下での付加体;該多価アルコール類とエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ペンタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメチノールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物とのアルコール過剰下での付加体;および該多価アルコール類とアルコキシシリコーン化合物等とのアルコール過剰下での付加体等を挙げることができる。
【0081】
一方、これらのポリオールと反応させる酸無水物としては、例えばコハク酸、グルタル酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸の酸無水物体を挙げることができる。
【0082】
また前記(2)の場合に用いられる一分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が、
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が、
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4’−ジイソシアネート、1,3ービス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
また、上記ジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等で3官能化したアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等が挙げられる。
【0083】
また前記(2)の場合に用いられるヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、クエン酸、ヒドロキシピパリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸等を挙げることができ、
アミノ酸としては、例えばDL−アラニン、L−グルタミン酸、グリシン、L−テアニン、グリシルグリシン、γ−アモノカプロン酸、L−アスパラギン酸、L−チトルリン、L−アルギニン、L−ロイシン、L−セリン等が挙げられる。
【0084】
さらに前記(3)の場合に用いられるカルボキシル基含有α,β−不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、他のα,β−不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−ビニルトルエン、アクリロニトリル等を挙げることができる。また、カルボキシル基末端のポリエステル樹脂は多価アルコールに対して多塩基酸過剰下での通常のポリエステル樹脂の合成法に従い、容易に得られる。
【0085】
また、ブロック化剤であるビニルエーテル化合物(d2)、ビニルチオエーテル化合物(d3)としても、表1にも示すように一分子中に官能基を1個有する化合物(d2−1)及び(d3−1)、一分子中に官能基を2個以上有する化合物(d2−2)及び(d3−2)が挙げられる。
【0086】
一分子中にビニルエーテル基を1個有する化合物(d2−1)としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル類、2,3−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウム等の環状ビニルエーテル類が挙げられる。
【0087】
また、一分子中にビニルチオエーテル基を1個有する化合物(d3−1)としては、前記ビニルエーテル類の酸素原子をイオウ原子に置換えたものを挙げることができる。
【0088】
一分子中にビニルエーテル基を2個以上有する化合物(d2−1)としては、脂肪族および芳香族ジオール化合物とアセチレンより誘導させる化合物が挙げられる。例えばエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロピレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロピレングリコールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレンジュリコールジビニルエーテル、ペンタンジオールジビニルエーテル、ジメチルブタンジオールジビニルエーテル、3−メチル−1,5―ペンタンジオールジビニルエーテル、水添ビスフェノールAジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0089】
また、一分子中にビニルチオエーテル基を2個以上有する化合物(d3−2)としては、一分子中にビニルエーテル基を2個以上有する化合物の酸素原子をイオウ原子に置換えたものを挙げることができる。
【0090】
本発明において用いるブロックカルボン酸化合物(D)としては、表1に示すように、
・ 一分子中にカルボキシル基を1個有する化合物(d1−1)を、一分子中にビニルエーテル基もしくはビニルチオエーテル基を1個有する化合物(d2−1)、(d3−1)でブロックしてなるもの(D−1)、
・ 一分子中にカルボキシル基を1個有する化合物(d1−1)を、一分子中にビニルエーテル基もしくはビニルチオエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)、(d3−2)でブロックしてなるもの(D−2)、
・ 一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)を、一分子中にビニルエーテル基もしくはビニルチオエーテル基を1個有する化合物(d2−1)、(d3−1)でブロックしてなるもの(D−3)、
・ 一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)を、一分子中にビニルエーテル基もしくはビニルチオエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)、(d3−2)でブロックしてなるもの(D−4)が挙げられ、(D−4)が好ましい。
【0091】
また、本発明では、表1に示したものの他にブロックカルボン酸化合物(D)として、カルボキシル基を有する化合物(d1−1)と(d1−2)とを併用してなるもの、ビニルエーテル基を有する化合物(d2−1)、(d2−2)、ビニルチオエーテル基を有する化合物(d3−1)、(d3−2)を2種類以上併用してなるもの、さらにはカルボキシル基を有する複数の化合物を複数のブロック化剤でブロック化してなるものも用いることができる。
【0092】
本発明において用いられるブロックカルボン酸化合物(D)は、特開平04−72324号公報、特開平04−80242号公報、特開平04−81419号公報、特開平04−218561号公報、特開平04−345602号公報等に記載される方法に従い得ることができる。
即ち、カルボキシル基を有する化合物(d1−1)等と、ビニルエーテル化合物(d2−1)等とを好ましくは−20〜100℃程度の温度で反応させればよい。また、ブロック化剤であるビニルエーテル化合物(d2−1)等は、カルボキシル基をブロックするのに十分な量を反応させればよい。
【0093】
このようなブロックカルボン酸化合物(D)としては、日本油脂(株)製のノフキュアーTY501(一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物と一分子中にビニルエーテル基を2個以上有する化合物よりなるブロックカルボン酸化合物、固形分50%)等が挙げられる。
【0094】
使用するビニルエーテル類、ビニルチオエーテル類の種類により異なるが、これらブロックカルボン酸(D)は、80〜200℃の範囲の温度で1分間ないし10時間程度加熱することによってブロック化剤が解離するものであることが好ましい。
【0095】
ブロックカルボン酸化合物(D)を構成していたブロック化剤であるビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)が解離し、生成したカルボキシル基を有する化合物(d1)が、エポキシ樹脂(C)の硬化剤として反応するのであるが、この解離・硬化反応を促進する目的で加熱硬化時に活性を示す酸触媒を併用することもできる。
かかる酸触媒としてはルイス酸またはプロトン酸などの酸触媒が挙げられる。また、プロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートとの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物等も触媒として挙げられる。
【0096】
上記ルイス酸は、電子受容体を示す化合物であり、金属ハロゲン化合物、有機金属化合物(下記金属キレート化合物及び有機金属石鹸を除く)、金属キレート化合物、有機金属石鹸等の化合物を用いることができる。
金属ハロゲン化合物としては、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ等が、
有機金属化合物としは、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズ等が、
【0097】
金属キレート化合物としては、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノアセチルアセトナトビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−ブチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエチルアセトアセテート・ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、アセチルアセトナト・ビス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトアセテート)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジクロロ・ビル(アセチルアセトナト)スズ、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)クロム、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルト等が、
【0098】
有機金属石鹸としては、ジブチルススジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等が挙げられる。
【0099】
上記プロトン酸は、プロトンを解離させ酸性を示す物質であり、硫酸、スルホン酸、リン酸、ホウ酸、カルボン酸およびこれらの誘導体などが好ましい。
その具体例としては、例えば硫酸、硫酸モノエステル、リン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、ポリリン酸エステル、ホウ酸モノエステル、ホウ酸ジエステル、スルホン酸、カルボン酸、ハロゲノカルボン酸等が挙げられる。
【0100】
プロトン酸またはルイス酸を中和するためのルイス塩基は、電子供与体を示す化合物であり、アンモニア、アミン類、ホスファイト類、ホスフィン類、アミド系化合物、スルホキシド系化合物、エーテル系化合物、アルキルスルフィド系化合物、ヒドロキシアルキルスルフィド系化合物、含イオウ化合物等が用いられる。
アミン類としては、トリエチルアミン、ピリジン、アニリン、モルホリン、N−メチルピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルオキサゾリン、イミダゾール、N−メチルイミダソール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン、N,N−ジプロピルイソプロパノールアミン、N,N−ジブチルイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−プロピルジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリ−s−ブタノールアミン等が、
【0101】
ホスファイト類としては、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等のトリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトが
【0102】
ホスフィン類としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンが
【0103】
アミド系化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が、
スルホキシド系化合物としては、ジメチルスルホキシド等が、
エーテル系化合物としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が、
アルキルスルフィド系化合物としては、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジ−n−プロピルスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−ヘキシルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジ−sec−ブチルスルフィド、ジ−tert−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−2−エチルヘキシルスルフィド等が、
ヒドロキシアルキルスルフィド系化合物としては、2−(エチルチオ)エタノール、2,2’−チオジエタノール、ビス(2−メトキシエチル)スルフィドやその誘導体;
【0104】
含イオウ化合物としては、
ジフェニルスルフィド、チオアニソール等の芳香族環を有する化合物、
メチルチオ酢酸メチル、メチルチオプロピオン酸エチル、チオジプロピオン酸ジメチル等のカルボン酸エステル部分を含む化合物、
チオジプロピオニトリル等のニトリル基を含む化合物;
その他、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、1,2−オキサチオラン、1,3−ヘキサチオラン、1,3−オキサチアン、1,4−オキサチアン等の化合物がそれぞれ挙げられる。
【0105】
ルイス酸とトリアルキルホスフェートとの混合物に用いるルイス酸としては、前記のルイス酸が挙げられる。
【0106】
前記スルホン酸エステル類としては、例えば一般式(1)
【0107】
【化4】
【0108】
(式中のR1はフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基またはアルキル基、R2は一級炭素または二級炭素を介してスルホニル基と結合している炭素数3〜18のアルキル基、アルケニル基、アルカリール基、アルカノール基、飽和若しくは不飽和のシクロアルキル基またはヒドロキシシクロアルキル基である)で表される化合物、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンベンゼンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類と、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール等の第一級アルコール類またはイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類とのエステル化物、さらには前記スルホン酸類とオキシラン基含有化合物との反応により得られるβ−ヒドロキシアルキルスルホン酸エステル類等が挙げられる。
【0109】
前記リン酸エステル類としては、例えば一般式(2)
【0110】
【化5】
【0111】
(式中のR3は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基、nは1または2である)で表される化合物が挙げられ、例えばn−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の
第一級アルコール類;イソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類等が挙げられる。
【0112】
前記オニウム化合物としては、例えば一般式[(R4)3NR5]+X−、
[(R4)3PR5]+X−、[(R4)3OR5]+X−、[(R4)3SR5]+X−(式中のR4は炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基またはシクロアルキル基であって、2個のR4はたがいに結合してN,P,OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、R5は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基、X−はSbF6 −、AsF6 −、PF6 −またはBF4 −である)で表される化合物等が挙げられる。
【0113】
上記した各種酸触媒の添加量は特に限定されるものではないが、短時間で効率よく硬化させるには、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)成分の固形分総量に対し0.01〜5重量%の範囲にあるのが望ましい。
【0114】
本発明の接着剤は、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)の合計100重量%中に、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)を50〜95重量%、3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B)を2〜47重量%、エポキシ樹脂(C)を2〜47重量%、及びブロックカルボン酸化合物(D)を0.02〜10重量%含有することが好ましく、更にはウレタン変性ポリエステルポリオール(A)を60〜89重量%、3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B)を5〜34重量%、エポキシ樹脂(C)を5〜34重量%、ブロックカルボン酸化合物(D)を0.1〜5重量%含有することがより好ましい。
3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B)が2重量%未満だと加工密着性が悪くなり、また47重量%を越えると塗工面にタックが残り易くなり、印刷層を設けたプラスチックフィルムに塗工後巻き取った場合ブロッキングを起こし易くなり好ましくない。
エポキシ樹脂(C)が、2重量%未満だとレトルト後の白化の抑制が十分ではなく、一方47重量%を越えると硬化した接着剤層の凝集力が高くなりすぎて可撓性が不足し、加工密着性が低下するので好ましくない。
ブロックカルボン酸化合物(D)が、0.02重量%未満だと解離したカルボキシル基を有する化合物(d1)とエポキシ樹脂(C)の反応が充分ではなく、厳しい加工にも十分耐え得る密着性を得ることが難しく、一方10重量%を越えると硬化した塗膜の耐水性が不充分となりレトルト後の加工密着性が低下するので好ましくない。
【0115】
また、本発明の接着剤は、その他必要に応じて種々の顔料、有機溶剤、有機錫化合物、3級アミン等の硬化触媒、帯電防止剤、表面平滑剤、消泡剤、分散剤等の種々の添加剤を含有することができる。
顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられ、貼着・積層後金属地を隠蔽しようとする場合には、白色で隠蔽性に優れる酸化チタンを含有するとこが好ましい。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、更には前記グリコールエーテルのアセテート類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等から溶解性、蒸発速度等を考慮して選択される。
【0116】
上記した本発明の接着剤は、基材又は被着体に塗布・乾燥後タックフリーの状態になることが重要であり、タックフリーの状態にした後、基材と被着体とを加熱・加圧下に貼着・積層することができる。
基材又は被着体としては、プラスチックフィルム、印刷層を設けたプラスチックフィルム、金属板等が挙げられ、プラスチックフィルムと金属板、プラスチックフィルムとプラスチックフィルム、プラスチックフィルムと印刷層を設けたプラスチックフィルム、印刷層を設けたプラスチックフィルムと印刷層を設けたプラスチックフィルム、印刷層を設けたプラスチックフィルムと金属板、金属板と金属板との貼着・積層等に適用でき、特にプラスチックフィルムと金属板とを印刷層を介して貼着・積層する際に好適に使用することができる。
プラスチックフィルムと金属板とを印刷層を介して貼着・積層するには、
(1) 印刷層を設けたプラスチックフィルムの印刷層上に接着剤層を設け、接着剤層付きプラスチックフィルムを得、該接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層と金属板とを接触せしめ、加熱・加圧し、接着剤層付きプラスチックフィルムと金属板とを貼着・積層することもできるし、
(2) 印刷層を設けたプラスチックフィルムの印刷層と、接着剤層を設けた接着剤層付き金属板の接着剤層とを接触せしめ、加熱・加圧し、印刷層付きプラスチックフィルムと接着剤層付き金属板とを貼着・積層することもできるが、前者が好ましい。
【0117】
本発明の接着剤層付きプラスチックフィルムは、プラスチックフィルムと、印刷層と、上述の接着剤から形成される接着剤層とがこの順序で積層されてなるものである。例えば、印刷層を設けたプラスチックフィルムを得た後、その印刷面側に上記した接着剤をスプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、リップコーティングなどにより塗布し、タックフリーになるように加熱乾燥し、接着剤層付きプラスチックフィルムを得ることができる。加熱乾燥後の状態において接着剤層をタックフリーの状態にすることによって、接着剤層付きプラスチックフィルムを巻き取り保存等することができる。この接着剤層付きプラスチックフィルムは、飲料等用の缶の外面側に用いられる。
【0118】
プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。
ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等が、またポリオレフィンフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられ、飲料缶用としてはポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0119】
印刷層は、プラスチックフィルムの一方の面にグラビア印刷、フレキソ印刷等にてインキを印刷・乾燥することにより得られる。
印刷に供される印刷インキとしては、種々のものが用いられるが、耐水性、耐ボイル・レトルト性等の観点から、ポリウレタンをバインダーとするインキが好ましい。
印刷インキに好適なポリウレタンは、常法に従い、得ることができる。例えば、
(1)ポリオールとポリイソシアネート化合物とを、水酸基過剰の条件下に反応せしめる、
(2)ポリオールとポリイソシアネート化合物とを、イソシアネート基過剰の条件下に反応せしめ、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを得、次いで該ポリウレタンプレポリマーと、鎖伸長剤としてジアミン化合物又はジオール化合物とを反応せしめる、
(3)上記(2)の場合において、必要に応じて反応停止剤として単官能のアミン化合物又はアルコールを反応せしめる。
上記(2)(3)の場合において、鎖伸長剤としてのジアミン化合物とジオール化合物、反応停止剤としての単官能アミン化合物と単官能アルコールとをそれぞれ併用することもできるし、また鎖伸長剤としてのジアミン化合物と反応停止剤としての単官能アルコールとを組み合わせることも、鎖伸長剤としてのジオール化合物と反応停止剤としての単官能アミン化合物とを組み合わせることもできる。
【0120】
ポリウレタンを得る際に用いられるポリオールとしては、水酸基を2個以上有するものであればよく、比較的低分子量のジオールの他、一般にポリウレタンの合成に供される比較的高分子量のジオール成分等が用いられる。
低分子量ジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−ブチンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの飽和および不飽和の低分子グリコール類、
n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0121】
また、高分子量ジオールとしては、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどを重合または共重合してなるポリエーテルポリオール類;前記低分子量ジオールやバーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの二塩基酸もしくはこれらの無水物とを脱水縮合せしめて得られるポリエステルポリオール類;
環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類;
ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類;
その他ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類等が挙げられる。
なお、高分子量ジオールのうち、グリコール類と二塩基酸とから得られるポリエステルポリオールを用いる場合は、グリコール類のうち5モル%までを以下の各種ポリオールに置換することが出来る。すなわち、たとえばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトール等のポリオールに置換してもよい。
【0122】
ポリウレタンを得る際に用いられるポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知の種々のジイソシアネート類や、3官能のイソシアネート類も必要に応じて使用することが出来る。
例えば、芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が、
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が、
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4’−ジイソシアネート、1,3ービス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
また、3官能イソシアネート類としては、上記ジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等で3官能化したアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等が挙げられる。
【0123】
ポリウレタンを得る際に用いられる鎖伸長剤としては、各種公知のジアミン類およびグリコール類を使用できる。
ジアミン類としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2− ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2− ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2− ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の分子内に水酸基を有するジアミン類およびダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等が代表例として挙げられる。
また、グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5− ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチルジオール、ジプロピレングリコール等の飽和および不飽和の各種公知の低分子グリコール類およびダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が代表例として挙げられる。
【0124】
更には、ポリウレタンを得る際に反応停止剤を用いることもできる。かかる反応停止剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
【0125】
上記したような種々の方法によって得られた接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層と金属板とを対向・接触せしめつつ、180〜210℃に加熱したロール間を通過させ熱圧着せしめた後、180〜230℃で1〜数分間加熱し、接着剤を十分に硬化させることにより、プラスチックフィルム被覆金属板を得ることができる。
プラスチックフィルム被覆金属板を得る場合、予め内面側がプラスチックフィルムで被覆された金属板を用いても良いし、外面用の接着剤層付きプラスチックフィルムと金属板とを貼着・積層するのと同時に金属板の他方の面に内面用の接着剤層付きプラスチックフィルムを貼着・積層しても良いし、あるいは金属板の一方の面に外面用の接着剤層付きプラスチックフィルムを貼着・積層した後、金属板の他方の面に内面用の接着剤層付きプラスチックフィルムを貼着・積層しても良い。
【0126】
さらに外面側の表面、即ちプラスチックフィルムの印刷層とは接していない方の側(非印刷層側)にトップコート層が設けられていてもよい。このようなトップコート層は、金属板の一方の面に外面用の接着剤層付きプラスチックフィルムを貼着・積層した後に設けてもよいし、あるいは金属板と貼着・積層する前、つまり接着剤層付きプラスチックフィルムの状態で設けておいてもよい。
後者の場合、プラスチックフィルムの一方の面にトップコート層を設け、次いで該プラスチックフィルムの背面、即ちトップコート層を設けていない側に印刷層を設け、次いで該印刷層の上に接着剤層を設けても良いし、プラスチックフィルムの一方の面に印刷層を設け、次いで該プラスチックフィルムの背面、即ち非印刷層側にトップコート層を設け、その後印刷層上に接着剤層を設けても良い。
【0127】
本発明のプラスチックフィルム被覆金属板に用いられる金属板の素材としては、例えば鉄、ブリキ、ステンレス鋼、チタン、銅、アルミニウム等が挙げられる。なお、これらの金属の表面には、あらかじめ表面処理が施されていてもよく、また各種プライマーが形成されていてもよい。
上記のようにして得た内・外面をプラスチックフィルムで被覆した金属板を用いて3ピ−ス缶の缶胴部を得ることができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら具体例のみに限定されるものではない。なお、例中[部]とあるのは[重量部]を示す。
[実施例1]
分水器、還流冷却器、精留塔、温度調節器、窒素導入管、撹拌装置、減圧装置を有する2リットル四口フラスコに、エチレングリコール138部(2.22モル)、ネオペンチルグリコール194部(1.86モル)、ジメチルテレフタレート361部(1.86モル)、酢酸亜鉛0.1部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら160〜220に加熱しエステル交換を4時間行い理論上のメタノールが95%留出したら、イソフタル酸を309部(1.86モル)仕込み徐々に240℃まで加熱、酸化が2以下になるまで反応させた。更にテトラブトキシチタンを0.01部仕込み、所定の粘度になるまで240℃で減圧反応を続け、Mn17000、水酸基価6KOHmg/gの水酸基を有するポリエステル樹脂(a)を得た。
【0128】
得られたポリエステル樹脂(a)300部、トルエン361.8部を同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにヘキサメチレンジイソシアネート(以下HMDIという)の3官能イソシアヌレート体3部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、メチルエチルケトン(以下MEKという)201部を添加し、Mn39000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液を得た。
【0129】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をメチルエチルケトンオキシム(以下MEKオキシムという)でブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液9.6部、ブロックカルボン酸であるノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)0.5部、トルエン34.7部、MEK34.7部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(1)を調整した。
【0130】
[実施例2]
実施例1で合成したポリエステル樹脂(a)300部、トルエン361.8部を実施例1と同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにHMDIの3官能ビュレット体3部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK201部を添加し、Mn34000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A2)溶液を得た。
【0131】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A2)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)0.5部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(2)を調整した。
【0132】
[実施例3]
実施例1で合成したポリエステル樹脂(a)300部、トルエン361.8部を実施例1と同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにHMDIとトリメチロールプロパンを反応させた3官能アダクト体3.2部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK201.1部を添加し、数平均分子量32000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A3)溶液を得た。
【0133】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A3)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMKEオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(3)を調整した。
【0134】
[実施例4]
実施例1で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をマロン酸ジエチルでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液9.6部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン34.7部、MEK34.7部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(4)を調整した。
【0135】
[実施例5]
実施例1で合成したポリエステル樹脂(a)300部、トルエン387.9部を実施例1と同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにイソホロンジイソシアネート(以下IPDIという)の3官能イソシアヌレート体2.5部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK210部を添加し、数平均分子量31000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A4)溶液を得た。
【0136】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A4)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(5)を調整した。
【0137】
[実施例6]
実施例1で合成したポリエステル樹脂(a)300部、トルエン387.9部を実施例1と同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにトリレンジイソシアネートの3官能イソシアヌレート体2.5部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK173.9部を添加し、数平均分子量30000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A5)溶液を得た。
【0138】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A5)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(6)を調整した。
【0139】
[実施例7]
実施例1と同様の2リットル四口フラスコに、エチレングリコール138部(2.22モル)、ネオペンチルグリコール194部(1.86モル)、ジメチルテレフタレート361部(1.86モル)、酢酸亜鉛0.1部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら160〜220に加熱しエステル交換を4時間行い理論上のメタノールが95%留出したら、イソフタル酸を309部(1.86モル)仕込み徐々に240℃まで加熱、酸化が2以下になるまで反応させた。更にテトラブトキシチタンを0.01部仕込み、所定の粘度になるまで240℃で減圧反応を続け、Mn10000、水酸基価10KOHmg/gの水酸基を有するポリエステル樹脂(b)を得た。
【0140】
得られたポリエステル樹脂(b)300部、トルエン366.6部を同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにHMDIの3官能イソシアヌレート体4部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK197.8部を添加し、Mn37000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液を得た。
【0141】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(7)を調整した。
【0142】
[実施例8]
実施例7で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)2.2部、HMDIの3官能イソシアヌレート体を3,5−ジメチルピラゾールでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)2.1部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(8)を調整した。
[実施例9]
実施例7で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)0.5部、酸触媒であるオクチル酸亜鉛(CAT1)0.2部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(9)を調整した。
【0143】
[実施例10]
実施例7で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)0.5部、オクチル酸亜鉛とトリエチルホスファイトからなる酸触媒(CAT2)(固形分50%)0.25部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(10)を調整した。
【0144】
[比較例1]
実施例1で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液9.6部、トルエン34.7部、MEK34.7部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(11)を調整した。
【0145】
[比較例2]
実施例2で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A2)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(12)を調整した。
【0146】
[比較例3]
実施例3で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A3)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMKEオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(13)を調整した。
【0147】
[比較例4]
実施例1で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をマロン酸ジエチルでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液9.6部、トルエン34.7部、MEK34.7部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(14)を調整した。
【0148】
[比較例5]
実施例5で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A4)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(15)を調整した。
【0149】
[比較例6]
実施例6で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A5)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(16)を調整した。
【0150】
[比較例7]
実施例7で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(17)を調整した。
【0151】
[接着剤のはみ出し及び耐レトルト性(加工密着性)評価用プラスチックフィルム被膜金属板の作成]
各実施例及び比較例で得た接着剤を用いて、以下のようにしてプラスチックフィルムと金属板とを貼着・積層した。
厚さ12μのコロナ処理PETフィルムに、ポリウレタンをバインダーとするグラビアインキ「NEWLPスーパーR39S藍」および「NEWLPスーパーR630白」(共に東洋インキ製造(株)製)をトルエン/メトルエチルケトン/イソプロパノール=40/40/20(重量比)の溶剤にて粘度を調整し、35μmグラビア版にてPETフィルム/藍/白の順でグラビア印刷を行った。
次いで、各実施例及び各比較例で調整した接着剤を前記PETフィルム印刷物のインキ面に、バーコーターにて10g/m2になるように塗工、170℃で40秒間乾燥後、縦200mm、横100mmの大きさに切り、ロール温度200℃、ロール圧力5Kg/cm2、ラミネート速度1m/分の条件でスズメッキ鋼板と熱圧着した後、210℃の雰囲気中で2分間加熱処理を行い、プラスチックフィルム被膜金属板を得た。
【0152】
[白化試験用プラスチックフィルム被膜金属板の作成]
各実施例及び比較例で得た接着剤を用いて、以下のようにしてレトルト白化試験用プラスチックフィルム被膜金属板を作成した。
厚さ12μのコロナ処理PETフィルムに、ポリウレタンをバインダーとするグラビアインキ「NEWLPスーパーR262黄」および「NEWLPスーパーR630白」(共に東洋インキ製造(株)製)をトルエン/メトルエチルケトン/イソプロパノール=40/40/20(重量比)の溶剤にて粘度を調整し、35μmグラビア版にてPETフィルム/黄/白の順でグラビア印刷を行った。
次いで、各実施例及び各比較例で調整した接着剤を前記PETフィルム印刷物のインキ面に、バーコーターにて10g/m2になるように塗工、170℃で40秒間乾燥後、縦200mm、横100mmの大きさに切り、ロール温度200℃、ロール圧力5Kg/cm2、ラミネート速度1m/分の条件でスズメッキ鋼板と熱圧着した後、210℃の雰囲気中で2分間加熱処理を行い、プラスチックフィルム被膜金属板を得た。
【0153】
[性能試験]
各例の接着剤にて得られたプラスチックフィルム被膜金属板において、接着剤のはみ出し性、耐レトルト性(加工密着性)、レトルト後の白化を評価し、結果を表−2および表−3に示した。なお、評価条件は以下の通りである。
【0154】
<接着剤のはみ出し性>:加熱処理したプラスチックフィルム被膜金属板のフィルム端部(縦方向)にはみ出している接着剤の量(長さ)を、拡大鏡にて測定した。なお、はみ出した接着剤の量として0.1mm以下を良好レベルとした。
【0155】
<耐レトルト性(加工密着性)>:深絞り加工機を用いて、加熱処理したプラスチックフィルム被膜金属板を直径30mm、絞り高さ12mmのキャップ状に加工し、別途同様にして直径30mm、絞り高さ14mmのキャップ状に加工し、それぞれ加圧レトルト装置により125℃で30分間熱水レトルト処理を行い、レトルト後の接着性を評価した。評価基準は次の5段階評価とした。
尚、絞り高さ14mmのキャップ状加工は、2段ネック加工よりもさらに厳しい3段ネック加工を想定したものである。
5点:フィルムの剥離は見られない。
4点:フィルム剥離は見られないが、ごく僅かに気泡が見られる。
3点:僅かにフィルム剥離が見られる。
2点:加工面積の50%程度にフィルム剥離が見られる。
1点:全面にフィルム剥離が見られる。
【0156】
<レトルト後の白化>:加熱処理した白化試験用プラスチックフィルム被膜金属板を、125℃−30分加圧レトルト装置により125℃で30分間熱水レトルト処理を行い、レトルト処理前後のΔEを色彩色差計にて測定し白化による色変化を評価した。評価基準は次の5段階評価とした。
5点:ΔEが1未満で色変化がほとんど見られない。
4点:ΔEが1以上2未満で色変化がわずかに見られる。
3点:ΔEが2以上3未満で色変化がやや見られる。
2点:ΔEが3以上4未満で色変化が見られる。
1点:ΔEが4以上で色変化が顕著に見られる。
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
【発明の効果】
本発明によれば、金属板とプラスチックフィルムと印刷インキ、とりわけ金属板とPETフィルムと印刷インキとの接着性に優れるため、接着剤のはみ出し、レトルト後の白化が少なく、耐レトルト性の良好なプラスチック被膜金属板を製造することができ、缶蓋、缶内外面などの缶用途に好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤に関し、詳しくはプラスチックフィルムと金属板とを貼着し、積層するための接着剤に関し、さらに詳しくは印刷層の設けられたプラスチックフィルムと金属板とを印刷層を介して積層する際に用いられる接着剤に関する。
さらに、本発明は、上記接着剤の利用に関し、詳しくは印刷層の設けられたプラスチックフィルムの印刷層上に接着剤層を形成してなる接着剤層付きプラスチックフィルム、並びに該接着剤層付きプラスチックフィルムと金属板とを貼着し、積層してなるプラスチックフィルム被覆金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、食物や飲料(以下、飲料等という)を保存し収容する缶の内・外面は、それぞれ耐食性、装飾性等を付与する目的で各種の塗装や印刷が施されている。ところで、飲料等用の缶は、その形態から大きく3ピース缶と2ピース缶とに分類できる。3ピース缶は、円筒状の側面部、即ち缶胴部と、底部と蓋部とからなる。一方、2ピース缶は、一体化した缶胴部・底部、即ち有底缶胴部と、蓋部とからなる。
これら缶のうち3ピース缶の缶胴部は、一般に予め所定の大きさに切った金属板に、内面塗料及び外面下塗り塗料を塗布した後、外面側に印刷層を設け、該印刷層の上に外面仕上げ塗料を塗布した後、一缶毎の大きさの四辺形に切断し、次いでその四辺形の金属板を円筒状に丸め、端面を接着、溶接等することによって形成される。その後、円筒状の缶胴部の上端部及び下端部を縮める加工(ネックイン加工)が施される。
一方、これら缶のうち2ピース缶の一体化した缶胴部・底部は、一缶分の金属板を有底円筒状にした後、内面塗料及び外面下塗り塗料を塗布した後、外面側に印刷層を設け、該印刷層の上に外面仕上げ塗料を塗布し、形成される。
【0003】
近年、2ピース缶、3ピース缶いずれの場合も、金属に直に塗料を塗布したり、インキを印刷したりする上記の方法の他に、缶胴部の金属の内・外面をプラスチックフィルムで被覆する方法が提案されている。
例えば、2ピース缶の有底缶胴部は、外面被覆用のプラスチックフィルムの一方の面に印刷層を設け、該印刷層上に外面仕上げ塗料を塗布してなる金属外面被覆用プラスチックフィルムを得、金属板の一方の面に金属内面被覆用プラスチックフィルムを、金属板の他方の面に上記の金属外面被覆用プラスチックフィルムの印刷層を設けていない側(非印刷層側)をそれぞれ積層してなるプラスチックフィルム被覆金属板を得、該プラスチックフィルム被覆金属板を一缶分毎に打ち抜き、これを有底円筒状にしたり、
【0004】
または、金属板の一方の面に金属内面被覆用プラスチックフィルムを、金属板の他方の面に金属外面被覆用プラスチックフィルムをそれぞれ積層し、両面をプラスチックフィルムで被覆した金属板を得た後、該プラスチックフィルム被覆金属板を一缶分毎に打ち抜き、打ち抜いたものを有底円筒状にし、次いで円筒部の外面に、印刷層を設け、その印刷層の上に外面仕上げ塗料を塗布したりすることによって形成される。
【0005】
一方、3ピース缶の缶胴部は、外面被覆用のプラスチックフィルムの一方の面に仕上げ用塗料層を、外面被覆用のプラスチックフィルムの他方の面に印刷層を設け、該印刷層上に接着剤層を設けてなる金属外面被覆用の接着剤層付きプラスチックフィルムを得、金属板の一方の面に金属内面被覆用プラスチックフィルムを、金属板の他方の面に金属外面被覆用接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層をそれぞれ積層してなるプラスチックフィルム被覆金属板を得、該プラスチックフィルム被覆金属板を一缶毎の大きさの四辺形に切断し、次いでその四辺形の金属板を円筒状に丸め、端面を接着、溶接等することによって形成される。
【0006】
このような分野に用られる接着剤として種々のものが提案されている。
例えば、ポリエステルとイソシアネート化合物とを含有する接着剤が特許文献1〜5に記載されている(特許文献1:特開平01−268777号公報、特許文献2:特開平06−31362号公報、特許文献3:特開平08−199147号公報、特許文献4:特開平09−208654号公報、特許文献5:特開平11−157006号公報等参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平01−268777号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平06−313162号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平08−199147号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平09−208654号公報
【0011】
【特許文献5】
特開平11−157006号公報
【0012】
また、イソシアネート化合物のうちブロック化イソシアネート化合物をポリエステルと組み合わせてなる接着剤が特許文献6〜10に記載されている(特許文献6:特開平04−266984号公報、特許文献7:特開平05−070737号公報、特許文献8:特開平10−183095号公報、特許文献9:特開平11−199851号公報、特許文献10:特開平2000−0080181号公報等参照)。
【0013】
【特許文献6】
特開平04−266984号公報
【0014】
【特許文献7】
特開平05−070737号公報
【0015】
【特許文献8】
特開平10−183095号公報
【0016】
【特許文献9】
特開平11−199851号公報
【0017】
【特許文献10】
特開2000−008018号公報
【0018】
さらに、ウレタン変性ポリエステルとブロック化イソシアネート化合物とを含有する接着剤が特許文献11〜13に記載されている(特許文献11:特開平09−286968号公報、特許文献12:特開平11−293220号公報、特許文献13:特開2001−107015号公報等参照)。
【0019】
特許文献11(特開平09−286968号公報)及び特許文献12(特開平11−293220号公報)には、特定の構成成分から構成されるポリエステル樹脂を多価イソシアナート化合物および/またはエポキシ樹脂で変性してなる変性ポリエステル樹脂を含有する接着剤が記載されている(特許文献11の請求項3、特許文献12の請求項1)。そして、この変性ポリエステル樹脂(A)と反応し得る硬化剤(B)を配合する旨記載され(特許文献11の請求項1、特許文献12[0021])、その硬化剤(B)の一種として種々のイソシアネート化合物が開示されている(特許文献11[0020]、特許文献12[0023])。さらにブロック化イソシアネート化合物の利用も開示されている(特許文献11[0023]、特許文献12[0024])。
【0020】
特許文献13(特開2001−107015号公報)には、特定分子量の水酸基含有ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物を特定割合で反応させてなる特定分子量のウレタン変性ポリエステル樹脂(A)とブロック化イソシアネート化合物(B)とを含有する接着剤が記載されている(請求項1)。
【0021】
【特許文献11】
特開平09−286968号公報
【0022】
【特許文献12】
特開平11−293220号公報
【0023】
【特許文献13】
特開2001−107015号公報
【0024】
3ピース缶の缶胴部形成に際し、金属板に金属外面被覆用接着剤層付きプラスチックフィルムを積層せしめる場合、まず金属板と金属外面被覆用接着剤層付きプラスチックフィルムとを重ね合わせつつ180〜210℃に加熱したロール間を通過させ熱圧着した後、180〜230℃で1〜数分間加熱し、接着剤を十分に硬化させる必要がある。
しかし、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)に代表されるプラスチックフィルムは、積層時の上記のような温度条件において収縮してしまう。プラスチックフィルムが収縮すると、プラスチックフィルムと金属板との間に位置する印刷層及び接着剤が端部においてプラスチックフィルムの外にはみ出してしまうこととなる。一般に接着剤層は印刷層に比して厚いので、端部におけるはみ出しも印刷層に比して顕著になる。
接着剤が熱圧着時の温度条件で端部からはみ出してしまうと、圧着の際に使用するロールの表面に付着し、その結果ロール表面の付着物が積層中のプラスチックフィルム被覆金属板表面を汚してしまうこととなる。
【0025】
ところで、金属外面被覆用接着剤層付きプラスチックフィルムに使用される接着剤は、金属とプラスチックフィルムとを貼着する機能を担うばかりでなく、酸化チタン等の白色顔料を含有することにより貼着後金属地を隠蔽し、印刷層の美粧性を引き立てる機能をも担う。
熱圧着時及びその後の加熱時にプラスチックフィルムが収縮し、プラスチックフィルムの端部から接着剤がはみ出したり、はみ出した接着剤が積層中のプラスチックフィルム被覆金属板表面に付着すると、接着剤が白色顔料を含有しているが故に目立ち、積層物の外観を著しく損なうこととなる。
【0026】
そこで、係る課題に対し、本発明者らは、ポリエステルポリオール(a1)と3官能以上のイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、及びジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B)を含有する接着剤を用いれば、プラスチックフィルムと金属板とを貼着する際に、接着剤がプラスチックフィルムの端面からはみ出さないことを見出した(特願2001−263464号参照)。
【0027】
【特許文献14】
特願2001−263464号
【0028】
ところで、飲料等用の缶は、レトルト殺菌処理されることから、缶用の塗料や接着剤には耐レトルト性が要求される。また、飲料等用の缶胴部の上下部分、即ち底部材や蓋部材と接合される近傍には、いわゆるネックイン加工等の各種加工が加えられる。
従って、接着剤には耐レトルト性に優れること、各種加工にも十分耐え得るように密着性に優れることが求められる。
【0029】
特許文献14(特願2001−263464号)に提案される接着剤は、はみ出しにくく、またレトルト後の加工部の密着性にも優れるものであった。
しかし、特願2001−263464号に提案される接着剤は、レトルト後白化する傾向にあり、レトルト後白化しない接着剤が求められた。
特に、印刷層を設けてなるプラスチックフィルムの印刷層上に、酸化チタン等の白色顔料を含有する接着剤層を設け、得られた接着剤層付きプラスチックフィルムを金属板に貼着し、金属地を隠蔽し、印刷層の美粧性を引き立てる機能をも接着剤層が担っている場合に、レトルト後の白化が問題となる。
一般に印刷層の色をデザイン原稿の色に合わせる(調色と呼ばれる)場合、数色のインキを混合しPETフィルムに印刷、酸化チタン等を含有する接着剤を塗工後金属板に貼り合わせて行う場合が多い。しかしながら、これを実際に製缶、レトルトした際に、接着剤層が白化すると調色した色よりも白さが増し、デザイン原稿の色と異なってしまい出荷できないという問題が発生する事がある。特に黄インキを主に混合調色した場合に、接着剤層の白化現象が大きな問題となる。
【0030】
そこで、係る課題に対し、本発明者らは、ポリエステルポリオール(a1)と3官能以上のイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、及びジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B)を含有する接着剤にさらにエポキシ樹脂(C)を含有すれば、レトルト後に接着剤層が白化しないことを見出した(特願2002−76044号参照)。
【0031】
【特許文献15】
特願2002−76044号
【0032】
しかし、缶の形態はコストダウンの観点より蓋剤の小径化が進み、円筒状の上端部を縮める加工(ネックイン加工)も1段ネック・2段ネックより3段ネックが施さる。それに伴い要求されるレトルト後の加工密着性も厳しくなる。特許文献15(特願20002−76044号)に提案される接着剤は、2段ネック加工であればレトルト後の加工密着性も優れていたが、3段ネック加工ではレトルト後の加工密着性が低下するという問題があった。加工密着性向上のためエポキシ樹脂(C)を多量に使用すると、金属との密着性は向上するもののPETフィルムとの密着性が低下し、レトルト後にPETフィルムの剥離が生じやすくなる。また、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B)を多量に使用すると、レトルト後の加工密着性は向上するものの、金属板との貼着・積層時に端部からのはみ出しが悪くなり問題となる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プラスチックフィルムと金属板とを貼着し、積層するための接着剤であって、貼着・積層時にプラスチックフィルムの端面からはみ出さない接着剤を提供すること、及び金属板との貼着・積層時に端部からはみ出したりしない接着剤層を印刷層の設けられたプラスチックフィルムの印刷層上に形成してなる接着剤層付きプラスチックフィルム、並びに該接着剤層付きプラスチックフィルムと金属板とを貼着・積層後、レトルト処理しても接着剤層が白化せず、厳しい加工にも十分耐え得る様に密着性に優れる、プラスチックフィルム被覆金属板を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の接着剤を用いることにより、貼着・積層時のプラスチックフィルムの収縮を抑制でき、レトルト処理後に接着剤層が白化したり、厳しい加工にも十分耐え得る様に密着性に優れることを見出し、さらに本発明を完成した。
即ち、第1の発明は、ポリエステルポリオール(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)、エポキシ樹脂(C)及びカルボキシル基を有する化合物(d1)のカルボキシル基をビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)でブロックしてなるブロックカルボン酸化合物(D)を含有することを特徴とする接着剤である。
【0035】
第2の発明は、ポリイソシアネート化合物(a2)が、3官能以上のポリイソシアネート化合物(a2−1)であることを特徴とする第1の発明に記載の接着剤であり、
第3の発明は、3官能以上のポリイソシアネート化合物(a2−1)が、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体であることを特徴とする第2の発明に記載の接着剤である。
【0036】
第4の発明は、3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)が、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B−1)であることを特徴とする第1ないし第3の発明のいずれか記載の接着剤である。
【0037】
第5の発明は、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能のブロック化イソシアネート化合物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)の合計100重量%中に、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)を50〜95重量%、3官能のブロック化イソシアネート化合物(B)を2〜47重量%、エポキシ樹脂(C)を2〜47重量%、ブロックカルボン酸化合物(D)を0.02〜10重量%含有することを特徴とする第1ないし第4の発明いずれかに記載の接着剤である。
【0038】
第6の発明は、イソシアネート化合物のブロック化物(B)のブロック化剤が、オキシム系のブロック化剤であることを特徴とする第1ないし第5の発明いずれか記載の接着剤である。
【0039】
第7の発明は、ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量が5000〜30000であり、水酸基価が3〜25mgKOH/gであることを特徴とする第1ないし第6の発明いずれか記載の接着剤である。
【0040】
第8の発明は、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量が20000〜80000であることを特徴とする第1ないし第6の発明いずれか記載の接着剤である。
【0041】
第9の発明は、エポキシ樹脂(C)が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とする第1ないし第8の発明いずれかに記載の接着剤である。
【0042】
第10の発明は、ブロックカルボン酸化合物(D)が、カルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)と、ビニルエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)とを必須成分として形成されてなることを特徴とする第1ないし第9の発明のいずれか記載の接着剤である。
【0043】
第11の発明は、さらに白色顔料を含有することを特徴とする第1ないし第10の発明いずれか記載の接着剤である。
【0044】
第12の発明は、印刷層を設けたプラスチックフィルム/金属板貼着用であることを特徴とする第1ないし第11の発明いずれか記載の接着剤である。
【0045】
第13の発明は、プラスチックフィルムの一方の面に印刷層が設けられ、該印刷層上に第1ないし第11の発明いずれか記載の接着剤を用いてなる接着剤層が設けられていることを特徴とする接着剤層付きプラスチックフィルムである。
【0046】
第14の発明は、プラスチックフィルムの非印刷層側にトップコート層が設けられていることを特徴とする第13の発明記載の接着剤層付きプラスチックフィルムである。
【0047】
第15の発明は、第13又は第14の発明記載の接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層上に金属板が積層されてなることを特徴とするプラスチックフィルム被覆金属板である。
【0048】
第16の発明は、第15の発明記載のプラスチックフィルム被覆金属板を用いてなる飲料用缶である。
【0049】
第17の発明は、プラスチックフィルムの一方の面に印刷層が設けられ、該印刷層上に接着剤層が設けられている接着剤層付きプラスチックフィルムであって、
前記印刷層が、水酸基及び/又はアミノ基を有するポリウレタンを含有する印刷インキから形成され、かつ、
前記接着剤層が、ポリエステルポリオール(a1)と3官能以上のイソシアネート化合物(a2−1)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A−1)、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のブロック化イソシアネート化合物(B−1)、エポキシ樹脂(C)及びカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)のカルボキシル基を、ビニルエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)でブロックしてなるブロックカルボン酸化合物(D−4)を含有する接着剤から形成されることを特徴とする接着剤層付きプラスチックフィルムである。
【0050】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるポリエステルポリオール(a1)は、常法に従い、得ることができる。例えば、反応槽中に多価アルコールと多塩基酸を仕込み、加熱、撹拌しながら180〜250℃にて反応することにより得られる。
【0051】
多価アルコールの例としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブチンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサド付加物などの飽和および不飽和の低分子グリコール類、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類やバーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類である。
更には、環状エステル化合物を開環重合せしめたりしてポリエステルポリオールを得ることもできる。
【0052】
前記多塩基酸の例としては、例えばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの二塩基酸もしくはこれらの無水物が挙げられる。
なお、金属板との接着性、耐レトルト性の点よりフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸を使用したポリエルテルポリオールが好ましい。
【0053】
なお、ポリエステルポリオール(a1)は、数平均分子量(以下Mnという)が5000〜30000、水酸基価が3〜25mgKOH/gであることが好ましく、更にはMnが10000〜20000、水酸基価6〜12mgKOH/gがより好ましい。
Mnが5000未満であったり、又は水酸基価が25mgKOH/gを越えると、イソシアネート基と反応して得られるウレタン変性ポリエステルポリオールの凝集力が高くなりすぎて接着剤層と金属板との接着性が低下し易くなり、Mnが30000を超えたり、又は水酸基価が3未満になると、ポリイソシアネート化合物(a2)と反応させる際、急激な粘度上昇やゲル化を起こし易くなり、また接着剤の流動性が悪くなり好ましくない。
【0054】
ポリエステルポリオール(a1)と反応させるためのポリイソシアネート化合物(a2)としては、2官能もしくは3官能以上のイソシアネート化合物が好ましく、特に接着剤のプラスチックフィルムの端面からはみ出し防止の観点からは3官能以上が好ましい。
【0055】
ジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知の種々のジイソシアネート類が挙げられる。
例えば、芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が、
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が、
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4’−ジイソシアネート、1,3ービス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0056】
3官能以上のイソシアネート化合物としては、以下に示すようなアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等が挙げられる。
【0057】
アダクト体は、各種公知の種々のジイソシアネート化合物と3価以上のアルコールとを反応させて得られる。以下に3官能のアルコールの場合について示す。
【0058】
【化1】
【0059】
アダクト体に使用される3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトール等が挙げられる。
【0060】
イソシアヌレート体は、以下の式に示されるように、各種公知の種々のジイソシアネート化合物3分子からなる。
【0061】
【化2】
【0062】
ビュレット体は、以下の式に示されるように、各種公知の種々のジイソシアネート化合物と水との反応により得られる。
【0063】
【化3】
【0064】
更にポリエステルポリオール(a1)と反応させるための3官能以上のイソシアネート化合物(a2)としては、上記したアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等の他に、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’’−テトライソシアネート等の3個以上のイソシアネ−ト基を有するイソシアネート化合物も使用できる。
【0065】
更には、各種公知のジイソシアネート化合物のカルボジイミド変性体も使用できる。
【0066】
ウレタン変性の方法としては、ポリエステルポリオール(a1)をイソシアネート化合物とは反応しない有機溶剤に溶かし、ポリイソシアネート化合物(a2)を加え、必要に応じアミン化合物、有機金属化合物等の反応触媒を添加し加熱することにより得られるが、これに限定されることはない。
【0067】
ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)のMnは、20000〜80000が好ましく、30000〜50000であることがより好ましい。ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)のMnが20000未満では、貼着・積層時のプラスチックフィルムの収縮抑制効果は小さくなり、Mnが80000を超えると貼着・積層後プラスチックフィルム被覆金属板の接着剤層の凝集力が高くなり、金属板に高度な加工(打ち抜き、レトルト加工等)を加えると接着剤層と金属板との接着性が低下し易くなる。また、これを使用した接着剤の粘度が高くなりレベリング性の点で好ましくはない。
【0068】
次に上記したウレタン変性ポリエステルポリオール(A)と反応させるために用いる3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)について説明する。
3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)は、ポリイソシアネート化合物(a1)の説明の項で記載した3官能以上のイソシアネート化合物を従来公知の方法にてブロック化剤でブロックされてなるものであり、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B−1)が貼着・積層し焼き付けたプラスチック被覆金属板に高度な加工を加えた後、さらにレトルト処理を加えた場合、接着剤層と金属または接着剤層と印刷層の接着力の点で好ましい(以下、高度な加工を加え、さらにレトルト処理した後の接着性を加工密着性という)。
【0069】
ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール類、3,5−ジメチルピラゾール、1,2−ピラゾール等のピラゾール類、1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられ、その他にもアミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられ、加工密着性の点より、メチルエチルケトンオキシムをブロック化剤とするもの使用することが好ましい。
さらにいわゆるウィケット圧痕の解消という点からは、メチルエチルケトンオキシムでブロック化したものを必須とし、これにピラゾール類もしくはトリアゾール類でブロック化したものを併せて使用することが好ましい。メチルエチルケトンオキシム、ピラゾール類及びトリアゾール類でそれぞれブロック化したものを3種類併用することもできる。
【0070】
尚、ここでいうウィケット圧痕とは、絵柄や隠蔽層(接着剤層)の薄くなった部分や「ヌケ」をいう。接着剤層と金属板とを熱圧着し、プラスチックフィルム/接着剤層/金属/接着剤層/印刷層/プラスチックフィルムという構成のプラスチックフィルム被覆金属板をウイケット架台上に乗せ、接着剤を熱硬化させる。この際印刷層に隣接するプラスチックフィルム、即ち缶胴部の外面を構成する面がウイケット架台上に接触することとなる。高温のウィケット架台に外面側のプラスチックフィルムが接触すると、その部分の接着剤が軟化、溶融し流動してしまう。接着剤の流動に伴い、プラスチックフィルムと接着剤の間に位置する印刷層も流動しててしまうことがある。プラスチックフィルムを介してウィケット架台に接触していた部分の接着剤や印刷層が流動すると、絵柄や隠蔽層(接着剤層)が薄くなり、移動が著しい場合には「ヌケ」が生じ外面側のプラスチックフィルムを通して金属素地が見えてしまう。絵柄や隠蔽層(接着剤層)の薄くなった部分や「ヌケ」を「ウイケット圧痕」という。
【0071】
本発明において用いられるエポキシ樹脂(C)について説明する。
エポキシ樹脂(C)は、硬化後の接着層の凝集力を高めレトルト後の白化を抑制し、かつ高加工時における剥離が生じないために必要である。また、Mnが300〜10000の範囲にあることが好ましく、500〜7000の範囲にあることがより好ましい。Mnが300より小さいエポキシ樹脂を用いて接着剤組成物を得て、プラスチックフィルムと金属板とを貼り合わせても、接着剤層の凝集力が不十分となるため高加工時における剥離が生じやすくなり、一方、Mnが10000よりも大きいエポキシ樹脂は、前記ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)との相溶性が悪く、その結果このようなエポキシ樹脂を用いても均一な接着剤組成物は得難く、不均一な接着剤組成物を用いてプラスチックフィルムと金属板とを貼り合わせた場合には、十分な接着力を確保することが極めて難しい。
【0072】
エポキシ樹脂(C)としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等があげられるが、レトルト後の白化抑制、加工密着性、耐熱性などの点からクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好適である。
【0073】
次にブロックカルボン酸化合物(D)について説明する。
ブロックカルボン酸化合物(D)は、カルボキシル基を有する化合物(d1)のカルボキシル基をビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)でブロックしてなるものである。接着剤層付きプラスチックフィルムを金属板に貼着・積層する際に、ブロックカルボン酸化合物(D)を構成していたブロック化剤であるビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)が解離し、生成したカルボキシル基を有する化合物(d1)が、エポキシ樹脂(C)の硬化剤として機能すると考えられる。その結果、厳しい加工にも十分耐え得る様に密着性が向上する。
【0074】
ブロックカルボン酸化合物(D)は、これを構成するカルボキシル基を有する化合物(d1)、ビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)の官能基数の違い及び組み合わせによって例えば表1のように分類できる。
【0075】
【表1】
【0076】
カルボキシル基を有する化合物(d1)としては、表1にも示すように一分子中にカルボキシル基を1個有する化合物(d1−1)、一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)が挙げられる。
【0077】
一分子中にカルボキシル基を1個有する化合物(d1−1)としては、飽和モノカルボン酸、不飽和モノカルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
飽和モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルプロパン酸(イソ酪酸)、2−エチルへキシル酸、ラウリン酸、シクロヘキ酸カルボン酸等が、
不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸等が、
芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸等が、それぞれ挙げられる。
【0078】
一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)としては、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、脂環族ポリカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ポリカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸等が、
芳香族ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が、
脂環族ポリカルボン酸としては、テトラヒドロカルボン酸、ヘキサヒドロカルボン酸等がそれぞれ挙げられる。
さらに、一分子中にカルボキシル基2個以上を有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、マレイン化ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
【0079】
また、一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)としては、例えば(1)一分子当たりヒドロキシル2個以上を有するポリオールと酸無水物とをハーフエステル化させる、(2)一分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物とヒドロキシカルボン酸またはアミノ酸とを付加させる、(3)カルボキシル基含有α,β−不飽和単量体を単独重合または他のα,β−不飽和単量体と共重合させる、(4)カルボキシル基末端のポリエステル樹脂、等が挙げられる。
【0080】
前記(1)の場合に用いられる一分子当たりヒドロキシル基2個以上を有するポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネノペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブチンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルブタンジオール、ジプロピレングリコール、水添ビスフェノールA、グリセリン、ソルビトール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マチトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジペンタエリスリトール等の多価アルコール類;これらの多価アルコール類とγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン化合物との開環付加体;該多価アルコール類と、トリレンジイソシアネーと、ジフェニルメタンジイシシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイシシアネート等のイソシアネート化合物とのアルコール過剰下での付加体;該多価アルコール類とエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ペンタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメチノールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物とのアルコール過剰下での付加体;および該多価アルコール類とアルコキシシリコーン化合物等とのアルコール過剰下での付加体等を挙げることができる。
【0081】
一方、これらのポリオールと反応させる酸無水物としては、例えばコハク酸、グルタル酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸の酸無水物体を挙げることができる。
【0082】
また前記(2)の場合に用いられる一分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が、
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が、
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4’−ジイソシアネート、1,3ービス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
また、上記ジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等で3官能化したアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等が挙げられる。
【0083】
また前記(2)の場合に用いられるヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、クエン酸、ヒドロキシピパリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸等を挙げることができ、
アミノ酸としては、例えばDL−アラニン、L−グルタミン酸、グリシン、L−テアニン、グリシルグリシン、γ−アモノカプロン酸、L−アスパラギン酸、L−チトルリン、L−アルギニン、L−ロイシン、L−セリン等が挙げられる。
【0084】
さらに前記(3)の場合に用いられるカルボキシル基含有α,β−不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、他のα,β−不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−ビニルトルエン、アクリロニトリル等を挙げることができる。また、カルボキシル基末端のポリエステル樹脂は多価アルコールに対して多塩基酸過剰下での通常のポリエステル樹脂の合成法に従い、容易に得られる。
【0085】
また、ブロック化剤であるビニルエーテル化合物(d2)、ビニルチオエーテル化合物(d3)としても、表1にも示すように一分子中に官能基を1個有する化合物(d2−1)及び(d3−1)、一分子中に官能基を2個以上有する化合物(d2−2)及び(d3−2)が挙げられる。
【0086】
一分子中にビニルエーテル基を1個有する化合物(d2−1)としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル類、2,3−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウム等の環状ビニルエーテル類が挙げられる。
【0087】
また、一分子中にビニルチオエーテル基を1個有する化合物(d3−1)としては、前記ビニルエーテル類の酸素原子をイオウ原子に置換えたものを挙げることができる。
【0088】
一分子中にビニルエーテル基を2個以上有する化合物(d2−1)としては、脂肪族および芳香族ジオール化合物とアセチレンより誘導させる化合物が挙げられる。例えばエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロピレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロピレングリコールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレンジュリコールジビニルエーテル、ペンタンジオールジビニルエーテル、ジメチルブタンジオールジビニルエーテル、3−メチル−1,5―ペンタンジオールジビニルエーテル、水添ビスフェノールAジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0089】
また、一分子中にビニルチオエーテル基を2個以上有する化合物(d3−2)としては、一分子中にビニルエーテル基を2個以上有する化合物の酸素原子をイオウ原子に置換えたものを挙げることができる。
【0090】
本発明において用いるブロックカルボン酸化合物(D)としては、表1に示すように、
・ 一分子中にカルボキシル基を1個有する化合物(d1−1)を、一分子中にビニルエーテル基もしくはビニルチオエーテル基を1個有する化合物(d2−1)、(d3−1)でブロックしてなるもの(D−1)、
・ 一分子中にカルボキシル基を1個有する化合物(d1−1)を、一分子中にビニルエーテル基もしくはビニルチオエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)、(d3−2)でブロックしてなるもの(D−2)、
・ 一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)を、一分子中にビニルエーテル基もしくはビニルチオエーテル基を1個有する化合物(d2−1)、(d3−1)でブロックしてなるもの(D−3)、
・ 一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)を、一分子中にビニルエーテル基もしくはビニルチオエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)、(d3−2)でブロックしてなるもの(D−4)が挙げられ、(D−4)が好ましい。
【0091】
また、本発明では、表1に示したものの他にブロックカルボン酸化合物(D)として、カルボキシル基を有する化合物(d1−1)と(d1−2)とを併用してなるもの、ビニルエーテル基を有する化合物(d2−1)、(d2−2)、ビニルチオエーテル基を有する化合物(d3−1)、(d3−2)を2種類以上併用してなるもの、さらにはカルボキシル基を有する複数の化合物を複数のブロック化剤でブロック化してなるものも用いることができる。
【0092】
本発明において用いられるブロックカルボン酸化合物(D)は、特開平04−72324号公報、特開平04−80242号公報、特開平04−81419号公報、特開平04−218561号公報、特開平04−345602号公報等に記載される方法に従い得ることができる。
即ち、カルボキシル基を有する化合物(d1−1)等と、ビニルエーテル化合物(d2−1)等とを好ましくは−20〜100℃程度の温度で反応させればよい。また、ブロック化剤であるビニルエーテル化合物(d2−1)等は、カルボキシル基をブロックするのに十分な量を反応させればよい。
【0093】
このようなブロックカルボン酸化合物(D)としては、日本油脂(株)製のノフキュアーTY501(一分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物と一分子中にビニルエーテル基を2個以上有する化合物よりなるブロックカルボン酸化合物、固形分50%)等が挙げられる。
【0094】
使用するビニルエーテル類、ビニルチオエーテル類の種類により異なるが、これらブロックカルボン酸(D)は、80〜200℃の範囲の温度で1分間ないし10時間程度加熱することによってブロック化剤が解離するものであることが好ましい。
【0095】
ブロックカルボン酸化合物(D)を構成していたブロック化剤であるビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)が解離し、生成したカルボキシル基を有する化合物(d1)が、エポキシ樹脂(C)の硬化剤として反応するのであるが、この解離・硬化反応を促進する目的で加熱硬化時に活性を示す酸触媒を併用することもできる。
かかる酸触媒としてはルイス酸またはプロトン酸などの酸触媒が挙げられる。また、プロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートとの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物等も触媒として挙げられる。
【0096】
上記ルイス酸は、電子受容体を示す化合物であり、金属ハロゲン化合物、有機金属化合物(下記金属キレート化合物及び有機金属石鹸を除く)、金属キレート化合物、有機金属石鹸等の化合物を用いることができる。
金属ハロゲン化合物としては、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ等が、
有機金属化合物としは、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズ等が、
【0097】
金属キレート化合物としては、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノアセチルアセトナトビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−ブチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエチルアセトアセテート・ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、アセチルアセトナト・ビス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトアセテート)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジクロロ・ビル(アセチルアセトナト)スズ、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)クロム、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルト等が、
【0098】
有機金属石鹸としては、ジブチルススジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等が挙げられる。
【0099】
上記プロトン酸は、プロトンを解離させ酸性を示す物質であり、硫酸、スルホン酸、リン酸、ホウ酸、カルボン酸およびこれらの誘導体などが好ましい。
その具体例としては、例えば硫酸、硫酸モノエステル、リン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、ポリリン酸エステル、ホウ酸モノエステル、ホウ酸ジエステル、スルホン酸、カルボン酸、ハロゲノカルボン酸等が挙げられる。
【0100】
プロトン酸またはルイス酸を中和するためのルイス塩基は、電子供与体を示す化合物であり、アンモニア、アミン類、ホスファイト類、ホスフィン類、アミド系化合物、スルホキシド系化合物、エーテル系化合物、アルキルスルフィド系化合物、ヒドロキシアルキルスルフィド系化合物、含イオウ化合物等が用いられる。
アミン類としては、トリエチルアミン、ピリジン、アニリン、モルホリン、N−メチルピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルオキサゾリン、イミダゾール、N−メチルイミダソール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン、N,N−ジプロピルイソプロパノールアミン、N,N−ジブチルイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−プロピルジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリ−s−ブタノールアミン等が、
【0101】
ホスファイト類としては、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等のトリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトが
【0102】
ホスフィン類としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンが
【0103】
アミド系化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が、
スルホキシド系化合物としては、ジメチルスルホキシド等が、
エーテル系化合物としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が、
アルキルスルフィド系化合物としては、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジ−n−プロピルスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−ヘキシルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジ−sec−ブチルスルフィド、ジ−tert−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−2−エチルヘキシルスルフィド等が、
ヒドロキシアルキルスルフィド系化合物としては、2−(エチルチオ)エタノール、2,2’−チオジエタノール、ビス(2−メトキシエチル)スルフィドやその誘導体;
【0104】
含イオウ化合物としては、
ジフェニルスルフィド、チオアニソール等の芳香族環を有する化合物、
メチルチオ酢酸メチル、メチルチオプロピオン酸エチル、チオジプロピオン酸ジメチル等のカルボン酸エステル部分を含む化合物、
チオジプロピオニトリル等のニトリル基を含む化合物;
その他、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、1,2−オキサチオラン、1,3−ヘキサチオラン、1,3−オキサチアン、1,4−オキサチアン等の化合物がそれぞれ挙げられる。
【0105】
ルイス酸とトリアルキルホスフェートとの混合物に用いるルイス酸としては、前記のルイス酸が挙げられる。
【0106】
前記スルホン酸エステル類としては、例えば一般式(1)
【0107】
【化4】
【0108】
(式中のR1はフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基またはアルキル基、R2は一級炭素または二級炭素を介してスルホニル基と結合している炭素数3〜18のアルキル基、アルケニル基、アルカリール基、アルカノール基、飽和若しくは不飽和のシクロアルキル基またはヒドロキシシクロアルキル基である)で表される化合物、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンベンゼンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類と、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール等の第一級アルコール類またはイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類とのエステル化物、さらには前記スルホン酸類とオキシラン基含有化合物との反応により得られるβ−ヒドロキシアルキルスルホン酸エステル類等が挙げられる。
【0109】
前記リン酸エステル類としては、例えば一般式(2)
【0110】
【化5】
【0111】
(式中のR3は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基、nは1または2である)で表される化合物が挙げられ、例えばn−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の
第一級アルコール類;イソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類等が挙げられる。
【0112】
前記オニウム化合物としては、例えば一般式[(R4)3NR5]+X−、
[(R4)3PR5]+X−、[(R4)3OR5]+X−、[(R4)3SR5]+X−(式中のR4は炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基またはシクロアルキル基であって、2個のR4はたがいに結合してN,P,OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、R5は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基、X−はSbF6 −、AsF6 −、PF6 −またはBF4 −である)で表される化合物等が挙げられる。
【0113】
上記した各種酸触媒の添加量は特に限定されるものではないが、短時間で効率よく硬化させるには、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)成分の固形分総量に対し0.01〜5重量%の範囲にあるのが望ましい。
【0114】
本発明の接着剤は、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)の合計100重量%中に、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)を50〜95重量%、3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B)を2〜47重量%、エポキシ樹脂(C)を2〜47重量%、及びブロックカルボン酸化合物(D)を0.02〜10重量%含有することが好ましく、更にはウレタン変性ポリエステルポリオール(A)を60〜89重量%、3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B)を5〜34重量%、エポキシ樹脂(C)を5〜34重量%、ブロックカルボン酸化合物(D)を0.1〜5重量%含有することがより好ましい。
3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B)が2重量%未満だと加工密着性が悪くなり、また47重量%を越えると塗工面にタックが残り易くなり、印刷層を設けたプラスチックフィルムに塗工後巻き取った場合ブロッキングを起こし易くなり好ましくない。
エポキシ樹脂(C)が、2重量%未満だとレトルト後の白化の抑制が十分ではなく、一方47重量%を越えると硬化した接着剤層の凝集力が高くなりすぎて可撓性が不足し、加工密着性が低下するので好ましくない。
ブロックカルボン酸化合物(D)が、0.02重量%未満だと解離したカルボキシル基を有する化合物(d1)とエポキシ樹脂(C)の反応が充分ではなく、厳しい加工にも十分耐え得る密着性を得ることが難しく、一方10重量%を越えると硬化した塗膜の耐水性が不充分となりレトルト後の加工密着性が低下するので好ましくない。
【0115】
また、本発明の接着剤は、その他必要に応じて種々の顔料、有機溶剤、有機錫化合物、3級アミン等の硬化触媒、帯電防止剤、表面平滑剤、消泡剤、分散剤等の種々の添加剤を含有することができる。
顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられ、貼着・積層後金属地を隠蔽しようとする場合には、白色で隠蔽性に優れる酸化チタンを含有するとこが好ましい。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、更には前記グリコールエーテルのアセテート類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等から溶解性、蒸発速度等を考慮して選択される。
【0116】
上記した本発明の接着剤は、基材又は被着体に塗布・乾燥後タックフリーの状態になることが重要であり、タックフリーの状態にした後、基材と被着体とを加熱・加圧下に貼着・積層することができる。
基材又は被着体としては、プラスチックフィルム、印刷層を設けたプラスチックフィルム、金属板等が挙げられ、プラスチックフィルムと金属板、プラスチックフィルムとプラスチックフィルム、プラスチックフィルムと印刷層を設けたプラスチックフィルム、印刷層を設けたプラスチックフィルムと印刷層を設けたプラスチックフィルム、印刷層を設けたプラスチックフィルムと金属板、金属板と金属板との貼着・積層等に適用でき、特にプラスチックフィルムと金属板とを印刷層を介して貼着・積層する際に好適に使用することができる。
プラスチックフィルムと金属板とを印刷層を介して貼着・積層するには、
(1) 印刷層を設けたプラスチックフィルムの印刷層上に接着剤層を設け、接着剤層付きプラスチックフィルムを得、該接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層と金属板とを接触せしめ、加熱・加圧し、接着剤層付きプラスチックフィルムと金属板とを貼着・積層することもできるし、
(2) 印刷層を設けたプラスチックフィルムの印刷層と、接着剤層を設けた接着剤層付き金属板の接着剤層とを接触せしめ、加熱・加圧し、印刷層付きプラスチックフィルムと接着剤層付き金属板とを貼着・積層することもできるが、前者が好ましい。
【0117】
本発明の接着剤層付きプラスチックフィルムは、プラスチックフィルムと、印刷層と、上述の接着剤から形成される接着剤層とがこの順序で積層されてなるものである。例えば、印刷層を設けたプラスチックフィルムを得た後、その印刷面側に上記した接着剤をスプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、リップコーティングなどにより塗布し、タックフリーになるように加熱乾燥し、接着剤層付きプラスチックフィルムを得ることができる。加熱乾燥後の状態において接着剤層をタックフリーの状態にすることによって、接着剤層付きプラスチックフィルムを巻き取り保存等することができる。この接着剤層付きプラスチックフィルムは、飲料等用の缶の外面側に用いられる。
【0118】
プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。
ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等が、またポリオレフィンフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられ、飲料缶用としてはポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0119】
印刷層は、プラスチックフィルムの一方の面にグラビア印刷、フレキソ印刷等にてインキを印刷・乾燥することにより得られる。
印刷に供される印刷インキとしては、種々のものが用いられるが、耐水性、耐ボイル・レトルト性等の観点から、ポリウレタンをバインダーとするインキが好ましい。
印刷インキに好適なポリウレタンは、常法に従い、得ることができる。例えば、
(1)ポリオールとポリイソシアネート化合物とを、水酸基過剰の条件下に反応せしめる、
(2)ポリオールとポリイソシアネート化合物とを、イソシアネート基過剰の条件下に反応せしめ、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを得、次いで該ポリウレタンプレポリマーと、鎖伸長剤としてジアミン化合物又はジオール化合物とを反応せしめる、
(3)上記(2)の場合において、必要に応じて反応停止剤として単官能のアミン化合物又はアルコールを反応せしめる。
上記(2)(3)の場合において、鎖伸長剤としてのジアミン化合物とジオール化合物、反応停止剤としての単官能アミン化合物と単官能アルコールとをそれぞれ併用することもできるし、また鎖伸長剤としてのジアミン化合物と反応停止剤としての単官能アルコールとを組み合わせることも、鎖伸長剤としてのジオール化合物と反応停止剤としての単官能アミン化合物とを組み合わせることもできる。
【0120】
ポリウレタンを得る際に用いられるポリオールとしては、水酸基を2個以上有するものであればよく、比較的低分子量のジオールの他、一般にポリウレタンの合成に供される比較的高分子量のジオール成分等が用いられる。
低分子量ジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−ブチンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの飽和および不飽和の低分子グリコール類、
n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0121】
また、高分子量ジオールとしては、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどを重合または共重合してなるポリエーテルポリオール類;前記低分子量ジオールやバーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの二塩基酸もしくはこれらの無水物とを脱水縮合せしめて得られるポリエステルポリオール類;
環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類;
ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類;
その他ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類等が挙げられる。
なお、高分子量ジオールのうち、グリコール類と二塩基酸とから得られるポリエステルポリオールを用いる場合は、グリコール類のうち5モル%までを以下の各種ポリオールに置換することが出来る。すなわち、たとえばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトール等のポリオールに置換してもよい。
【0122】
ポリウレタンを得る際に用いられるポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知の種々のジイソシアネート類や、3官能のイソシアネート類も必要に応じて使用することが出来る。
例えば、芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が、
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が、
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4’−ジイソシアネート、1,3ービス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
また、3官能イソシアネート類としては、上記ジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等で3官能化したアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等が挙げられる。
【0123】
ポリウレタンを得る際に用いられる鎖伸長剤としては、各種公知のジアミン類およびグリコール類を使用できる。
ジアミン類としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2− ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2− ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2− ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の分子内に水酸基を有するジアミン類およびダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等が代表例として挙げられる。
また、グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5− ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチルジオール、ジプロピレングリコール等の飽和および不飽和の各種公知の低分子グリコール類およびダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が代表例として挙げられる。
【0124】
更には、ポリウレタンを得る際に反応停止剤を用いることもできる。かかる反応停止剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
【0125】
上記したような種々の方法によって得られた接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層と金属板とを対向・接触せしめつつ、180〜210℃に加熱したロール間を通過させ熱圧着せしめた後、180〜230℃で1〜数分間加熱し、接着剤を十分に硬化させることにより、プラスチックフィルム被覆金属板を得ることができる。
プラスチックフィルム被覆金属板を得る場合、予め内面側がプラスチックフィルムで被覆された金属板を用いても良いし、外面用の接着剤層付きプラスチックフィルムと金属板とを貼着・積層するのと同時に金属板の他方の面に内面用の接着剤層付きプラスチックフィルムを貼着・積層しても良いし、あるいは金属板の一方の面に外面用の接着剤層付きプラスチックフィルムを貼着・積層した後、金属板の他方の面に内面用の接着剤層付きプラスチックフィルムを貼着・積層しても良い。
【0126】
さらに外面側の表面、即ちプラスチックフィルムの印刷層とは接していない方の側(非印刷層側)にトップコート層が設けられていてもよい。このようなトップコート層は、金属板の一方の面に外面用の接着剤層付きプラスチックフィルムを貼着・積層した後に設けてもよいし、あるいは金属板と貼着・積層する前、つまり接着剤層付きプラスチックフィルムの状態で設けておいてもよい。
後者の場合、プラスチックフィルムの一方の面にトップコート層を設け、次いで該プラスチックフィルムの背面、即ちトップコート層を設けていない側に印刷層を設け、次いで該印刷層の上に接着剤層を設けても良いし、プラスチックフィルムの一方の面に印刷層を設け、次いで該プラスチックフィルムの背面、即ち非印刷層側にトップコート層を設け、その後印刷層上に接着剤層を設けても良い。
【0127】
本発明のプラスチックフィルム被覆金属板に用いられる金属板の素材としては、例えば鉄、ブリキ、ステンレス鋼、チタン、銅、アルミニウム等が挙げられる。なお、これらの金属の表面には、あらかじめ表面処理が施されていてもよく、また各種プライマーが形成されていてもよい。
上記のようにして得た内・外面をプラスチックフィルムで被覆した金属板を用いて3ピ−ス缶の缶胴部を得ることができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら具体例のみに限定されるものではない。なお、例中[部]とあるのは[重量部]を示す。
[実施例1]
分水器、還流冷却器、精留塔、温度調節器、窒素導入管、撹拌装置、減圧装置を有する2リットル四口フラスコに、エチレングリコール138部(2.22モル)、ネオペンチルグリコール194部(1.86モル)、ジメチルテレフタレート361部(1.86モル)、酢酸亜鉛0.1部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら160〜220に加熱しエステル交換を4時間行い理論上のメタノールが95%留出したら、イソフタル酸を309部(1.86モル)仕込み徐々に240℃まで加熱、酸化が2以下になるまで反応させた。更にテトラブトキシチタンを0.01部仕込み、所定の粘度になるまで240℃で減圧反応を続け、Mn17000、水酸基価6KOHmg/gの水酸基を有するポリエステル樹脂(a)を得た。
【0128】
得られたポリエステル樹脂(a)300部、トルエン361.8部を同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにヘキサメチレンジイソシアネート(以下HMDIという)の3官能イソシアヌレート体3部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、メチルエチルケトン(以下MEKという)201部を添加し、Mn39000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液を得た。
【0129】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をメチルエチルケトンオキシム(以下MEKオキシムという)でブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液9.6部、ブロックカルボン酸であるノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)0.5部、トルエン34.7部、MEK34.7部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(1)を調整した。
【0130】
[実施例2]
実施例1で合成したポリエステル樹脂(a)300部、トルエン361.8部を実施例1と同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにHMDIの3官能ビュレット体3部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK201部を添加し、Mn34000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A2)溶液を得た。
【0131】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A2)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)0.5部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(2)を調整した。
【0132】
[実施例3]
実施例1で合成したポリエステル樹脂(a)300部、トルエン361.8部を実施例1と同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにHMDIとトリメチロールプロパンを反応させた3官能アダクト体3.2部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK201.1部を添加し、数平均分子量32000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A3)溶液を得た。
【0133】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A3)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMKEオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(3)を調整した。
【0134】
[実施例4]
実施例1で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をマロン酸ジエチルでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液9.6部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン34.7部、MEK34.7部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(4)を調整した。
【0135】
[実施例5]
実施例1で合成したポリエステル樹脂(a)300部、トルエン387.9部を実施例1と同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにイソホロンジイソシアネート(以下IPDIという)の3官能イソシアヌレート体2.5部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK210部を添加し、数平均分子量31000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A4)溶液を得た。
【0136】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A4)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(5)を調整した。
【0137】
[実施例6]
実施例1で合成したポリエステル樹脂(a)300部、トルエン387.9部を実施例1と同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにトリレンジイソシアネートの3官能イソシアヌレート体2.5部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK173.9部を添加し、数平均分子量30000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A5)溶液を得た。
【0138】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A5)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(6)を調整した。
【0139】
[実施例7]
実施例1と同様の2リットル四口フラスコに、エチレングリコール138部(2.22モル)、ネオペンチルグリコール194部(1.86モル)、ジメチルテレフタレート361部(1.86モル)、酢酸亜鉛0.1部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら160〜220に加熱しエステル交換を4時間行い理論上のメタノールが95%留出したら、イソフタル酸を309部(1.86モル)仕込み徐々に240℃まで加熱、酸化が2以下になるまで反応させた。更にテトラブトキシチタンを0.01部仕込み、所定の粘度になるまで240℃で減圧反応を続け、Mn10000、水酸基価10KOHmg/gの水酸基を有するポリエステル樹脂(b)を得た。
【0140】
得られたポリエステル樹脂(b)300部、トルエン366.6部を同様の2リットル四口フラスコに仕込み100℃に昇温し溶液が均一になるまで撹拌した。これにHMDIの3官能イソシアヌレート体4部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、3時間反応を行った。反応終了後、MEK197.8部を添加し、Mn37000、固形分35%のウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液を得た。
【0141】
このウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(7)を調整した。
【0142】
[実施例8]
実施例7で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)2.2部、HMDIの3官能イソシアヌレート体を3,5−ジメチルピラゾールでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)2.1部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)1部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(8)を調整した。
[実施例9]
実施例7で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)0.5部、酸触媒であるオクチル酸亜鉛(CAT1)0.2部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(9)を調整した。
【0143】
[実施例10]
実施例7で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、ノフキュアーTY501(日本油脂(株)製、固形分50%)0.5部、オクチル酸亜鉛とトリエチルホスファイトからなる酸触媒(CAT2)(固形分50%)0.25部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(10)を調整した。
【0144】
[比較例1]
実施例1で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液9.6部、トルエン34.7部、MEK34.7部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(11)を調整した。
【0145】
[比較例2]
実施例2で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A2)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(12)を調整した。
【0146】
[比較例3]
実施例3で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A3)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMKEオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(13)を調整した。
【0147】
[比較例4]
実施例1で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A1)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をマロン酸ジエチルでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液9.6部、トルエン34.7部、MEK34.7部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(14)を調整した。
【0148】
[比較例5]
実施例5で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A4)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(15)を調整した。
【0149】
[比較例6]
実施例6で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A5)溶液68.6部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)6.4部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1)(Mn約690、エポキシ当量215g/eq、軟化点65℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン35部、MEK35.5部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(16)を調整した。
【0150】
[比較例7]
実施例7で合成したウレタン変性ポリエステルポリオール(A6)溶液73.1部、HMDIの3官能イソシアヌレート体をMEKオキシムでブロック化したブロック化イソシアネート(固形分75%)4.3部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP2)(Mn約1360、エポキシ当量215g/eq、軟化点90℃)の固形分50%トルエン溶液6.4部、トルエン34部、MEK34.1部、酸化チタン48部およびジブチル錫ジラウレート0.16部をペイントコンディショナーで混合分散させ、不揮発分40%の接着剤(17)を調整した。
【0151】
[接着剤のはみ出し及び耐レトルト性(加工密着性)評価用プラスチックフィルム被膜金属板の作成]
各実施例及び比較例で得た接着剤を用いて、以下のようにしてプラスチックフィルムと金属板とを貼着・積層した。
厚さ12μのコロナ処理PETフィルムに、ポリウレタンをバインダーとするグラビアインキ「NEWLPスーパーR39S藍」および「NEWLPスーパーR630白」(共に東洋インキ製造(株)製)をトルエン/メトルエチルケトン/イソプロパノール=40/40/20(重量比)の溶剤にて粘度を調整し、35μmグラビア版にてPETフィルム/藍/白の順でグラビア印刷を行った。
次いで、各実施例及び各比較例で調整した接着剤を前記PETフィルム印刷物のインキ面に、バーコーターにて10g/m2になるように塗工、170℃で40秒間乾燥後、縦200mm、横100mmの大きさに切り、ロール温度200℃、ロール圧力5Kg/cm2、ラミネート速度1m/分の条件でスズメッキ鋼板と熱圧着した後、210℃の雰囲気中で2分間加熱処理を行い、プラスチックフィルム被膜金属板を得た。
【0152】
[白化試験用プラスチックフィルム被膜金属板の作成]
各実施例及び比較例で得た接着剤を用いて、以下のようにしてレトルト白化試験用プラスチックフィルム被膜金属板を作成した。
厚さ12μのコロナ処理PETフィルムに、ポリウレタンをバインダーとするグラビアインキ「NEWLPスーパーR262黄」および「NEWLPスーパーR630白」(共に東洋インキ製造(株)製)をトルエン/メトルエチルケトン/イソプロパノール=40/40/20(重量比)の溶剤にて粘度を調整し、35μmグラビア版にてPETフィルム/黄/白の順でグラビア印刷を行った。
次いで、各実施例及び各比較例で調整した接着剤を前記PETフィルム印刷物のインキ面に、バーコーターにて10g/m2になるように塗工、170℃で40秒間乾燥後、縦200mm、横100mmの大きさに切り、ロール温度200℃、ロール圧力5Kg/cm2、ラミネート速度1m/分の条件でスズメッキ鋼板と熱圧着した後、210℃の雰囲気中で2分間加熱処理を行い、プラスチックフィルム被膜金属板を得た。
【0153】
[性能試験]
各例の接着剤にて得られたプラスチックフィルム被膜金属板において、接着剤のはみ出し性、耐レトルト性(加工密着性)、レトルト後の白化を評価し、結果を表−2および表−3に示した。なお、評価条件は以下の通りである。
【0154】
<接着剤のはみ出し性>:加熱処理したプラスチックフィルム被膜金属板のフィルム端部(縦方向)にはみ出している接着剤の量(長さ)を、拡大鏡にて測定した。なお、はみ出した接着剤の量として0.1mm以下を良好レベルとした。
【0155】
<耐レトルト性(加工密着性)>:深絞り加工機を用いて、加熱処理したプラスチックフィルム被膜金属板を直径30mm、絞り高さ12mmのキャップ状に加工し、別途同様にして直径30mm、絞り高さ14mmのキャップ状に加工し、それぞれ加圧レトルト装置により125℃で30分間熱水レトルト処理を行い、レトルト後の接着性を評価した。評価基準は次の5段階評価とした。
尚、絞り高さ14mmのキャップ状加工は、2段ネック加工よりもさらに厳しい3段ネック加工を想定したものである。
5点:フィルムの剥離は見られない。
4点:フィルム剥離は見られないが、ごく僅かに気泡が見られる。
3点:僅かにフィルム剥離が見られる。
2点:加工面積の50%程度にフィルム剥離が見られる。
1点:全面にフィルム剥離が見られる。
【0156】
<レトルト後の白化>:加熱処理した白化試験用プラスチックフィルム被膜金属板を、125℃−30分加圧レトルト装置により125℃で30分間熱水レトルト処理を行い、レトルト処理前後のΔEを色彩色差計にて測定し白化による色変化を評価した。評価基準は次の5段階評価とした。
5点:ΔEが1未満で色変化がほとんど見られない。
4点:ΔEが1以上2未満で色変化がわずかに見られる。
3点:ΔEが2以上3未満で色変化がやや見られる。
2点:ΔEが3以上4未満で色変化が見られる。
1点:ΔEが4以上で色変化が顕著に見られる。
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
【発明の効果】
本発明によれば、金属板とプラスチックフィルムと印刷インキ、とりわけ金属板とPETフィルムと印刷インキとの接着性に優れるため、接着剤のはみ出し、レトルト後の白化が少なく、耐レトルト性の良好なプラスチック被膜金属板を製造することができ、缶蓋、缶内外面などの缶用途に好適に使用することができる。
Claims (17)
- ポリエステルポリオール(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)、エポキシ樹脂(C)及びカルボキシル基を有する化合物(d1)のカルボキシル基をビニルエーテル基を有する化合物(d2)もしくはビニルチオエーテル基を有する化合物(d3)でブロックしてなるブロックカルボン酸化合物(D)を含有することを特徴とする接着剤。
- ポリイソシアネート化合物(a2)が、3官能以上のポリイソシアネート化合物(a2−1)であることを特徴とする請求項1記載の接着剤。
- 3官能以上のポリイソシアネート化合物(a2−1)が、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体であることを特徴とする請求項2記載の接着剤。
- 3官能以上のイソシアネート化合物のブロック化物(B)が、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能のイソシアネート化合物のブロック化物(B−1)であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の接着剤。
- ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)、3官能のブロック化イソシアネート化合物(B)、エポキシ樹脂(C)及びブロックカルボン酸化合物(D)の合計100重量%中に、ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)を50〜95重量%、3官能のブロック化イソシアネート化合物(B)を2〜47重量%、エポキシ樹脂(C)を2〜47重量%、ブロックカルボン酸化合物(D)を0.02〜10重量%含有することを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の接着剤。
- イソシアネート化合物のブロック化物(B)のブロック化剤が、オキシム系のブロック化剤であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の接着剤。
- ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量が5000〜30000であり、水酸基価が3〜25mgKOH/gであることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の接着剤。
- ウレタン変性ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量が20000〜80000であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか記載の接着剤。
- エポキシ樹脂(C)が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1ないし8いずれか記載の接着剤。
- ブロックカルボン酸化合物(D)が、カルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)と、ビニルエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)とを必須成分として形成されてなることを特徴とする請求項1ないし9いずれか記載の接着剤。
- さらに白色顔料を含有することを特徴とする請求項1ないし10いずれか記載の接着剤。
- 印刷層を設けたプラスチックフィルム/金属板貼着用であることを特徴とする請求項1ないし11いずれか記載の接着剤。
- プラスチックフィルムの一方の面に印刷層が設けられ、該印刷層上に請求1ないし11いずれか記載の接着剤を用いてなる接着剤層が設けられていることを特徴とする接着剤層付きプラスチックフィルム。
- プラスチックフィルムの非印刷層側にトップコート層が設けられていることを特徴とする請求項13記載の接着剤層付きプラスチックフィルム。
- 請求項13又は14記載の接着剤層付きプラスチックフィルムの接着剤層上に金属板が積層されてなることを特徴とするプラスチックフィルム被覆金属板。
- 請求項15記載のプラスチックフィルム被覆金属板を用いてなる飲料用缶。
- プラスチックフィルムの一方の面に印刷層が設けられ、該印刷層上に接着剤層が設けられている接着剤層付きプラスチックフィルムであって、前記印刷層が、水酸基及び/又はアミノ基を有するポリウレタンを含有する印刷インキから形成され、かつ、
前記接着剤層が、ポリエステルポリオール(a1)と3官能以上のイソシアネート化合物(a2−1)とを反応させてなるウレタン変性ポリエステルポリオール(A−1)、ジイソシアネート化合物をイソシアヌレート体化してなる3官能以上のブロック化イソシアネート化合物(B−1)、エポキシ樹脂(C)及びカルボキシル基を2個以上有する化合物(d1−2)のカルボキシル基を、ビニルエーテル基を2個以上有する化合物(d2−2)でブロックしてなるブロックカルボン酸化合物(D−4)を含有する接着剤から形成されることを特徴とする接着剤層付きプラスチックフィルム。
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