JP2004106144A - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミック電子部品の表面を研磨する際、十分な研磨効果を得つつ、研磨の際に研磨材が欠けるのを防止するとともに、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着を防止すること。
【解決手段】複数のセラミック焼結体、研磨材および緩衝液を容器内で混合し、前記研磨材が前記セラミック焼結体の表面に衝突することにより、前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程において、前記研磨材の嵩密度をW、真密度をρとしたとき、(1−W/ρ)×100(%)で定義される前記研磨材の空隙率を、40%以上90%以下とする。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のセラミック焼結体、研磨材および緩衝液を容器内で混合し、前記研磨材が前記セラミック焼結体の表面に衝突することにより、前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程において、前記研磨材の嵩密度をW、真密度をρとしたとき、(1−W/ρ)×100(%)で定義される前記研磨材の空隙率を、40%以上90%以下とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨工程を有するセラミック電子部品の製造方法に関する。とくに、積層インダクタ等の積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の従来の技術として、特開2001−76964号公報に開示される積層セラミック電子部品の製造方法がある。この積層セラミック電子部品の製造方法は、セラミック積層体と研磨材とを研磨装置に投入し、セラミック積層体を研磨装置で研磨する際に、セラミック積層体の表面への研磨屑の付着を防止するために、研磨材が研磨屑を吸着するようにするものである。研磨屑を吸着しやすくするため、前記研磨材は多孔質体であり、油脂分を含有することを特徴としている。このようにセラミック積層体の端面に露出した内部電極や外部電極の部分に研磨屑が付着するのを防止することにより、電気特性のばらつきが少ない積層セラミック電子部品を得ることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−76964号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような研磨工程においては、研磨材がエッジ部を多く有するほど研磨能力が高まり、セラミック焼結体表面の付着異物を除去しやすくなる。しかし、エッジ部の多い、例えば多孔質状や扁平状の研磨材は、その形状ゆえに強度が低い傾向がある。したがって、従来技術のようにセラミック焼結体と研磨材のみを装置に投入して研磨を行った場合、上記のような研磨材は研磨時に受ける衝撃によって欠けてしまうという問題がある。
【0005】
また、このようにセラミック焼結体と研磨材のみを装置に投入して研磨した場合、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑がセラミック焼結体へ再付着しやすいという問題もある。
【0006】
本発明は、セラミック電子部品の研磨において、十分な研磨効果を得つつ、研磨の際に研磨材が欠けるのを防止するとともに、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着を防止することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、複数のセラミック焼結体、研磨材および緩衝液を容器内で混合し、前記研磨材が前記セラミック焼結体の表面に衝突することにより、前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程であって、前記研磨材の嵩密度をW、真密度をρとしたとき、1−W/ρにて表わされる前記研磨材の空隙率が、40%以上90%以下であることを特徴とする前記研磨工程を有するものである。
【0008】
また、本発明において前記緩衝液は水を含むことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記研磨工程の後に、前記セラミック焼結体の外表面に外部電極を形成する工程を有するものである。
【0010】
また、本発明において、前記セラミック焼結体はその内部に内部導体が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明において、前記セラミック焼結体はその内部に内部導体が形成されたものであり、前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程の後に、前記セラミック焼結体の外表面に露出した前記内部導体と電気的に接続した外部電極を形成する工程を有するものである。
【0012】
研磨材の空隙率を大きくすると、研磨材の表面で研削作用をするエッジの数が多くなり、研磨能力が高まる。しかし、同時に強度が低下し、研磨材が欠けやすくなる。そこで、セラミック焼結体と研磨材に、緩衝液を加えて研磨を行うことにより、研磨材に加わる衝撃を緩和するようにしたのが本発明の研磨方法である。この方法によれば、十分な研磨効果が得つつ、研磨材の欠けを防止することができる。
【0013】
さらに、緩衝液を加えて研磨することで、乾式での研磨に比べ、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着が防止されるという効果がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の電子部品の製造方法における、セラミック焼結体の研磨工程を示す図である。
【0015】
図示した研磨容器1にセラミック焼結体2、研磨材3、緩衝液4を投入し、研磨容器1を回転または振動させると、容器内部が撹拌され、セラミック焼結体2の表面に研磨材3が接触し、セラミック焼結体2の表面が研削される。
【0016】
研磨材3は、空隙率が40%以上90%以下であることが好ましく、50%以上90%以下であることがより好ましい。ここで「空隙率」は、研磨材の嵩密度をW、真密度をρとして(1−W/ρ)×100(%)で定義される。嵩密度は研磨材の重量を該研磨材が占める空間の容積で割ったものであり、真密度は研磨材の材料そのものの密度である。以上の空隙率の該定義によれば、空隙は、研磨材間の空隙と研磨材内部の空隙を合わせたものである。よって、空隙率が上記の範囲を満たすものであれば、前記研磨材の形状は、相対的に研磨材内部の空隙の比率が高い多孔質状であっても、あるいは相対的に研磨材間の空隙の比率が高い扁平状、針状などであってもよい。
【0017】
研磨材の空隙率が高くなるほど、研磨材の表面で研削作用をするエッジの数が多くなり、研磨能力は高まる。特に、内部導体を有するセラミック電子部品においては、内部導体露出面上の付着異物が十分に除去されることで内部導体の露出率が上昇する。よって、該露出面に外部電極を形成したときの内部導体−外部電極間の接続力が高くなり、内部導体−外部電極接続部での断線が減少する効果を有する。ここで付着異物とは、切断機でのカットの際のカット屑、焼成前のバレルによる研磨屑、焼成時に素体中のガラスが軟化して内部導体の露出面を被覆したものなどである。
【0018】
空隙率が90%を越えると、強度の低下により研磨工程で欠けてしまう。逆に、研磨材の空隙率が40%より小さいと、十分な研磨能力が得られない。
【0019】
研磨材の材質としては、アルミナ、ジルコニアなどのセラミック材、あるいはガラスなどを用いることができる。また、研磨材の大きさは、セラミック焼結体のサイズや材質に応じて、種々の大きさのものを適宜選択することができる。
【0020】
また、研磨は緩衝液を加えて行う。このようにすることで、研磨材に加わる衝撃を緩和することができる。したがって、空隙率が40%以上90%以下と高い研磨材を用いても、研磨材が欠けることなく研磨することができる。また、緩衝液を加えて研磨した場合、乾式での研磨に比べ、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着が低減する。
【0021】
なお、緩衝液としては、水、有機溶媒、あるいは水と有機溶媒の混合物を用いることが可能である。
【0022】
上述のように、本発明の研磨工程は、とくに積層インダクタなどの積層セラミック電子部品の製造に好適に用いられる。該研磨工程によって内部導体が十分に露出するため、該露出面に外部電極を形成する際、内部導体−外部電極間の接続力が高くなり、接続部での断線不良を防止することができる。しかし、積層セラミック電子部品の内部導体露出面以外の部分や、内部導体のないセラミック電子部品の表面を研磨する場合でも、本発明の研磨工程はバリや付着異物を効果的に除去することがきる。
【0023】
また、研磨工程はカット屑の除去、バリの除去等の目的で焼成前の成形体について行ってもよい。その際、成形体に含有するバインダー等の成分が溶け込まない緩衝液を用いればよい。
【0024】
さらに、研磨工程は外部電極を形成した後に行ってもよい。このようにすると、表面に付着異物のないセラミック電子部品を得ることができる。また、外部電極を覆っている酸化膜等を除去できるため、その後めっき皮膜を形成する工程において、めっき皮膜の付着性が向上する。
【0025】
【実施例】
ホウケイ酸ガラス粉末とBaO−Al2O3−SiO2系セラミック粉末をそれぞれ所定量秤量し、水およびバインダー等の有機ビヒクルを加え、混練してスラリーとした。このスラリーをドクターブレード法によりキャリアフィルム上に転写し、セラミックグリーンシートを得た。このセラミックグリーンシートの片主面に導電性ペーストとしてAgペーストを印刷し、導体パターンを形成した。導体パターンの形状は、該パターンを形成したセラミックグリーンシートを積層したとき、積層体の内部でコイルを形成する形状にした。具体的には、セラミックグリーンシートにビアホールを設け、このビアホールを介して、上下のセラミックグリーンシートに形成された導体パターンを接続することで、コイル形状になるように構成している。このようにグリーンシート積み重ねて圧着した後、切断機でチップ状に切り離し、積層体を作製した。該積層体は空気とN2の混合ガス中、500℃で脱バインダーを行い、続いて、空気中860℃で90分焼成し、積層インダクタ用のセラミック焼結体を多数作製した。
【0026】
作製した複数の前記セラミック焼結体を、総体積が35cm3となるように秤量し、研磨材35cm3および緩衝液としての水720cm3とともに研磨容器に投入した後、200rpmの回転速度で90分間研磨容器を回転させ、研磨を行った。研磨材は平均粒子径50〜65μmのアルミナの2次粒子とし、表1に示す種々の空隙率のものを用いた。なお、研磨材の空隙率は嵩密度をW、真密度をρとして(1−W/ρ)×100(%)より求めた。
【0027】
研磨終了後、セラミック焼結体を容器から取り出し水で洗浄した。セラミック焼結対の外表面を観察したところ、洗浄により研磨屑が完全に除去されていることが分かった。
【0028】
また、上記研磨処理を経たセラミック焼結体の内部導体のうち、露出している面積の割合(露出率)を画像解析により測定した結果を表1に示す。なお、表中の*印は本発明の請求の範囲外であることを示す。
【0029】
次に、研磨処理後の内部導体露出面に外部電極を形成したときの、内部導体−外部電極接続部の接続性評価を行った。ただし、セラミック焼結体は内部導体が直線状のものを上述と同様の工程で作製して用いた。内部導体を直線状としたのは、内部導体がビアホールを介して構成されたコイル状の場合、ビアホール部での断線が発生しやすくなり、内部導体−外部電極接続部の接続性評価がしにくくなるためである。該セラミック焼結体の外表面に内部導体と電気的に接続するようにAgペーストを焼き付け、外部電極を形成した。さらに、第2層としてニッケル電解めっき膜、第3層としてスズめっき膜を形成し、積層インダクタを作製した。
【0030】
作製した積層インダクタに120mAのサージ電流を流したときの、内部導体−外部電極接続部での断線発生率を表1に示す。
【0031】
表1の結果から、研磨分の空隙率が40%より小さい場合(研磨材No.10)、研磨後の内部導体露出率が低下し、外部電極との断線が発生しやすくなることが明らかである。これは、研磨材の研磨能力が低下したことによる。
【0032】
一方、研磨材の空隙率が90%を越えると(研磨材No.1、2)、研磨の際の研磨材の欠けが顕著であった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、所定の空隙率の研磨材、および緩衝液を用いて研磨を行うことにより、十分な研磨効果が得られるとともに、研磨の際に研磨材が欠けるのを防止することができる。また、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着を防止することができる。
【0035】
特に、内部導体を有するセラミック電子部品においては、内部導体露出面上の付着異物が十分に除去され、内部導体の露出率が上昇する。よって、該露出面に外部電極を形成した場合、内部導体−外部電極間の接続力が高くなり、サージによる内部導体−外部電極接続部での断線を防止する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を説明する図である。
【符号の説明】
1 研磨容器
2 セラミック焼結体
3 研磨材
4 緩衝液
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨工程を有するセラミック電子部品の製造方法に関する。とくに、積層インダクタ等の積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の従来の技術として、特開2001−76964号公報に開示される積層セラミック電子部品の製造方法がある。この積層セラミック電子部品の製造方法は、セラミック積層体と研磨材とを研磨装置に投入し、セラミック積層体を研磨装置で研磨する際に、セラミック積層体の表面への研磨屑の付着を防止するために、研磨材が研磨屑を吸着するようにするものである。研磨屑を吸着しやすくするため、前記研磨材は多孔質体であり、油脂分を含有することを特徴としている。このようにセラミック積層体の端面に露出した内部電極や外部電極の部分に研磨屑が付着するのを防止することにより、電気特性のばらつきが少ない積層セラミック電子部品を得ることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−76964号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような研磨工程においては、研磨材がエッジ部を多く有するほど研磨能力が高まり、セラミック焼結体表面の付着異物を除去しやすくなる。しかし、エッジ部の多い、例えば多孔質状や扁平状の研磨材は、その形状ゆえに強度が低い傾向がある。したがって、従来技術のようにセラミック焼結体と研磨材のみを装置に投入して研磨を行った場合、上記のような研磨材は研磨時に受ける衝撃によって欠けてしまうという問題がある。
【0005】
また、このようにセラミック焼結体と研磨材のみを装置に投入して研磨した場合、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑がセラミック焼結体へ再付着しやすいという問題もある。
【0006】
本発明は、セラミック電子部品の研磨において、十分な研磨効果を得つつ、研磨の際に研磨材が欠けるのを防止するとともに、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着を防止することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、複数のセラミック焼結体、研磨材および緩衝液を容器内で混合し、前記研磨材が前記セラミック焼結体の表面に衝突することにより、前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程であって、前記研磨材の嵩密度をW、真密度をρとしたとき、1−W/ρにて表わされる前記研磨材の空隙率が、40%以上90%以下であることを特徴とする前記研磨工程を有するものである。
【0008】
また、本発明において前記緩衝液は水を含むことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、前記研磨工程の後に、前記セラミック焼結体の外表面に外部電極を形成する工程を有するものである。
【0010】
また、本発明において、前記セラミック焼結体はその内部に内部導体が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明において、前記セラミック焼結体はその内部に内部導体が形成されたものであり、前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程の後に、前記セラミック焼結体の外表面に露出した前記内部導体と電気的に接続した外部電極を形成する工程を有するものである。
【0012】
研磨材の空隙率を大きくすると、研磨材の表面で研削作用をするエッジの数が多くなり、研磨能力が高まる。しかし、同時に強度が低下し、研磨材が欠けやすくなる。そこで、セラミック焼結体と研磨材に、緩衝液を加えて研磨を行うことにより、研磨材に加わる衝撃を緩和するようにしたのが本発明の研磨方法である。この方法によれば、十分な研磨効果が得つつ、研磨材の欠けを防止することができる。
【0013】
さらに、緩衝液を加えて研磨することで、乾式での研磨に比べ、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着が防止されるという効果がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の電子部品の製造方法における、セラミック焼結体の研磨工程を示す図である。
【0015】
図示した研磨容器1にセラミック焼結体2、研磨材3、緩衝液4を投入し、研磨容器1を回転または振動させると、容器内部が撹拌され、セラミック焼結体2の表面に研磨材3が接触し、セラミック焼結体2の表面が研削される。
【0016】
研磨材3は、空隙率が40%以上90%以下であることが好ましく、50%以上90%以下であることがより好ましい。ここで「空隙率」は、研磨材の嵩密度をW、真密度をρとして(1−W/ρ)×100(%)で定義される。嵩密度は研磨材の重量を該研磨材が占める空間の容積で割ったものであり、真密度は研磨材の材料そのものの密度である。以上の空隙率の該定義によれば、空隙は、研磨材間の空隙と研磨材内部の空隙を合わせたものである。よって、空隙率が上記の範囲を満たすものであれば、前記研磨材の形状は、相対的に研磨材内部の空隙の比率が高い多孔質状であっても、あるいは相対的に研磨材間の空隙の比率が高い扁平状、針状などであってもよい。
【0017】
研磨材の空隙率が高くなるほど、研磨材の表面で研削作用をするエッジの数が多くなり、研磨能力は高まる。特に、内部導体を有するセラミック電子部品においては、内部導体露出面上の付着異物が十分に除去されることで内部導体の露出率が上昇する。よって、該露出面に外部電極を形成したときの内部導体−外部電極間の接続力が高くなり、内部導体−外部電極接続部での断線が減少する効果を有する。ここで付着異物とは、切断機でのカットの際のカット屑、焼成前のバレルによる研磨屑、焼成時に素体中のガラスが軟化して内部導体の露出面を被覆したものなどである。
【0018】
空隙率が90%を越えると、強度の低下により研磨工程で欠けてしまう。逆に、研磨材の空隙率が40%より小さいと、十分な研磨能力が得られない。
【0019】
研磨材の材質としては、アルミナ、ジルコニアなどのセラミック材、あるいはガラスなどを用いることができる。また、研磨材の大きさは、セラミック焼結体のサイズや材質に応じて、種々の大きさのものを適宜選択することができる。
【0020】
また、研磨は緩衝液を加えて行う。このようにすることで、研磨材に加わる衝撃を緩和することができる。したがって、空隙率が40%以上90%以下と高い研磨材を用いても、研磨材が欠けることなく研磨することができる。また、緩衝液を加えて研磨した場合、乾式での研磨に比べ、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着が低減する。
【0021】
なお、緩衝液としては、水、有機溶媒、あるいは水と有機溶媒の混合物を用いることが可能である。
【0022】
上述のように、本発明の研磨工程は、とくに積層インダクタなどの積層セラミック電子部品の製造に好適に用いられる。該研磨工程によって内部導体が十分に露出するため、該露出面に外部電極を形成する際、内部導体−外部電極間の接続力が高くなり、接続部での断線不良を防止することができる。しかし、積層セラミック電子部品の内部導体露出面以外の部分や、内部導体のないセラミック電子部品の表面を研磨する場合でも、本発明の研磨工程はバリや付着異物を効果的に除去することがきる。
【0023】
また、研磨工程はカット屑の除去、バリの除去等の目的で焼成前の成形体について行ってもよい。その際、成形体に含有するバインダー等の成分が溶け込まない緩衝液を用いればよい。
【0024】
さらに、研磨工程は外部電極を形成した後に行ってもよい。このようにすると、表面に付着異物のないセラミック電子部品を得ることができる。また、外部電極を覆っている酸化膜等を除去できるため、その後めっき皮膜を形成する工程において、めっき皮膜の付着性が向上する。
【0025】
【実施例】
ホウケイ酸ガラス粉末とBaO−Al2O3−SiO2系セラミック粉末をそれぞれ所定量秤量し、水およびバインダー等の有機ビヒクルを加え、混練してスラリーとした。このスラリーをドクターブレード法によりキャリアフィルム上に転写し、セラミックグリーンシートを得た。このセラミックグリーンシートの片主面に導電性ペーストとしてAgペーストを印刷し、導体パターンを形成した。導体パターンの形状は、該パターンを形成したセラミックグリーンシートを積層したとき、積層体の内部でコイルを形成する形状にした。具体的には、セラミックグリーンシートにビアホールを設け、このビアホールを介して、上下のセラミックグリーンシートに形成された導体パターンを接続することで、コイル形状になるように構成している。このようにグリーンシート積み重ねて圧着した後、切断機でチップ状に切り離し、積層体を作製した。該積層体は空気とN2の混合ガス中、500℃で脱バインダーを行い、続いて、空気中860℃で90分焼成し、積層インダクタ用のセラミック焼結体を多数作製した。
【0026】
作製した複数の前記セラミック焼結体を、総体積が35cm3となるように秤量し、研磨材35cm3および緩衝液としての水720cm3とともに研磨容器に投入した後、200rpmの回転速度で90分間研磨容器を回転させ、研磨を行った。研磨材は平均粒子径50〜65μmのアルミナの2次粒子とし、表1に示す種々の空隙率のものを用いた。なお、研磨材の空隙率は嵩密度をW、真密度をρとして(1−W/ρ)×100(%)より求めた。
【0027】
研磨終了後、セラミック焼結体を容器から取り出し水で洗浄した。セラミック焼結対の外表面を観察したところ、洗浄により研磨屑が完全に除去されていることが分かった。
【0028】
また、上記研磨処理を経たセラミック焼結体の内部導体のうち、露出している面積の割合(露出率)を画像解析により測定した結果を表1に示す。なお、表中の*印は本発明の請求の範囲外であることを示す。
【0029】
次に、研磨処理後の内部導体露出面に外部電極を形成したときの、内部導体−外部電極接続部の接続性評価を行った。ただし、セラミック焼結体は内部導体が直線状のものを上述と同様の工程で作製して用いた。内部導体を直線状としたのは、内部導体がビアホールを介して構成されたコイル状の場合、ビアホール部での断線が発生しやすくなり、内部導体−外部電極接続部の接続性評価がしにくくなるためである。該セラミック焼結体の外表面に内部導体と電気的に接続するようにAgペーストを焼き付け、外部電極を形成した。さらに、第2層としてニッケル電解めっき膜、第3層としてスズめっき膜を形成し、積層インダクタを作製した。
【0030】
作製した積層インダクタに120mAのサージ電流を流したときの、内部導体−外部電極接続部での断線発生率を表1に示す。
【0031】
表1の結果から、研磨分の空隙率が40%より小さい場合(研磨材No.10)、研磨後の内部導体露出率が低下し、外部電極との断線が発生しやすくなることが明らかである。これは、研磨材の研磨能力が低下したことによる。
【0032】
一方、研磨材の空隙率が90%を越えると(研磨材No.1、2)、研磨の際の研磨材の欠けが顕著であった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、所定の空隙率の研磨材、および緩衝液を用いて研磨を行うことにより、十分な研磨効果が得られるとともに、研磨の際に研磨材が欠けるのを防止することができる。また、セラミック焼結体から削り取られた研磨屑のセラミック焼結体への再付着を防止することができる。
【0035】
特に、内部導体を有するセラミック電子部品においては、内部導体露出面上の付着異物が十分に除去され、内部導体の露出率が上昇する。よって、該露出面に外部電極を形成した場合、内部導体−外部電極間の接続力が高くなり、サージによる内部導体−外部電極接続部での断線を防止する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を説明する図である。
【符号の説明】
1 研磨容器
2 セラミック焼結体
3 研磨材
4 緩衝液
Claims (5)
- 複数のセラミック焼結体、研磨材および緩衝液を容器内で混合し、前記研磨材が前記セラミック焼結体の表面に衝突することにより、前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程であって、前記研磨材の嵩密度をW、真密度をρとしたとき、
(1−W/ρ)×100(%)
で定義される前記研磨材の空隙率が、40%以上90%以下であることを特徴とする前記工程を有する、セラミック電子部品の製造方法。 - 前記緩衝液は水を含むことを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
- 前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程の後に、前記セラミック焼結体の外表面に外部電極を形成する工程を有する、請求項1または請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
- 前記セラミック焼結体は、その内部に内部導体が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
- 前記セラミック焼結体は、その内部に内部導体が形成されたものであり、前記セラミック焼結体の表面を研磨する工程の後に、前記セラミック焼結体の外表面に露出した前記内部導体と電気的に接続した外部電極を形成する工程を有する、請求項1または請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
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JP2002274974A JP2004106144A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | セラミック電子部品の製造方法 |
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CN107891314A (zh) * | 2017-10-25 | 2018-04-10 | 湖北亿佳欧电子陶瓷股份有限公司 | 一种陶瓷棒的研磨方法 |
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- 2002-09-20 JP JP2002274974A patent/JP2004106144A/ja active Pending
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