JP2004105947A - 凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置 - Google Patents

凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004105947A
JP2004105947A JP2003132018A JP2003132018A JP2004105947A JP 2004105947 A JP2004105947 A JP 2004105947A JP 2003132018 A JP2003132018 A JP 2003132018A JP 2003132018 A JP2003132018 A JP 2003132018A JP 2004105947 A JP2004105947 A JP 2004105947A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cleaning
state
cleaning medium
pressure
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003132018A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004105947A5 (ja
JP3697448B2 (ja
Inventor
Yasusuke Irie
入江 庸介
Kiyoyuki Morita
森田 清之
Masaaki Suzuki
鈴木 正明
Akihisa Adachi
足立 明久
Masahiko Hashimoto
橋本 雅彦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2003132018A priority Critical patent/JP3697448B2/ja
Publication of JP2004105947A publication Critical patent/JP2004105947A/ja
Publication of JP2004105947A5 publication Critical patent/JP2004105947A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3697448B2 publication Critical patent/JP3697448B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Cleaning In General (AREA)
  • Cleaning By Liquid Or Steam (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

【課題】凹部構造を有する部品を液化ガスや超臨界流体の洗浄媒体を用いて洗浄することで洗浄効果を向上させることができる凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置を提供することにある。
【解決手段】凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、洗浄槽内に洗浄媒体を導入して上記部品を上記洗浄媒体雰囲気中に存在させ、上記洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて上記洗浄媒体を液体状態と気体状態との交互の状態変化を行い、上記凹部構造表面に洗浄媒体が行き渡るようにして洗浄を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹部構造を有する部品、具体的には機械加工、プレス加工などで作成された部品、特に電子部品関連に用いられる精密加工部品の洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、機械加工やプレス加工などで作製する部品、特に電子部品に用いられるような精密部品は機械加工やプレス加工などの加工後、「洗浄」、「すすぎ」、「乾燥」の3工程が必須である。これは機械加工やプレス加工においては加工油を加工対象物に用いており、この加工対象物に付着した不要な加工油を除去する必要があるためである。特に高度な洗浄効果を必要とする精密部品においては、洗浄能力の高い洗浄剤が要求されるのはもちろんであるが、最終工程である乾燥工程がきわめて重要視される。
【0003】
このような背景から精密洗浄分野の最終工程では、フロン113や1,1,1−トリクロロエタンの蒸気洗浄を用いて加工油である潤滑油を除去していた。しかし、フロン113や1,1,1−トリクロロエタンは環境面においてオゾン層破壊を引き起こしたり、また、1,1,1−トリクロロエタンに関しては、人体に対して中枢神経系に大きな影響を与え、高濃度における意識不明と呼吸停止などを引き起こす。以上のような理由から、日本では1989年7月からフロン規制が始まり、1995年には生産が全廃された。
【0004】
フロン113、1,1,1−トリクロロエタンの撤廃によって最近では、オゾン破壊物質代替え品の液体洗浄剤として非水系では臭素系溶剤(1−ブロモプロパンやプロピルプロマイド)、炭化水素系溶剤(ノルマルパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系、芳香族系)、ヨウ素系溶剤(パーフルオロn−プロピルアイオダイド、パーフルオロn−ブチルアイオダイド、パーフルオロn−ヘキシルアイオダイド)、塩素系溶剤(脂肪族であるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化メチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレンと芳香族であるモノクロロトルエン、ベンゾトリフルオライド、パラクロロベンゾトリフルオライド(PCBTF)、3,4−ジクロロベンゾトリフルオライド(3,4−DCBTF))、フッ素系溶剤(HCFC系のHCFC−255ca,HCFC−141b、HCFC−123、HFC系のHFC−4310mee、HFC−356mcf、HFC−338Pcc、HFE系のHFE−7100、HFE−7200、環状HFC系のOFCPA)、シロキサン系溶剤(揮発性メチルシロキサン系(VMS)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン)、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン(MEX))、アルコール系溶剤(エタノール、イソプロパノール(IPA)、又は、ベンクフルオロプロパノール(5FP))が用いられている。
【0005】
準水系としては、炭化水素系(ノルマルパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系、若しくは、芳香族系)、グリコールエーテル類(エチレン系グルコールエーテル、若しくは、イソプレン系グルコールエーテル)、N・メチル−2−ビロリドン(NMP)、テルベンゼン類(d−リモネン)、又は、シロキサン系(揮発性メチルシロキサン系:VMS、ドデカメチルシクロヘキサン、ヘキサメチルジシロキサン、若しくは、デカメチルテトラシロキサン)が用いられる。
【0006】
水系としては無添加(脱酸素水、脱イオン水、若しくは、超純水)、添加物による洗浄性改良されたもの(アルカリ系、酸性、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール系界面活性剤、若しくは、オゾン添加超純水)などがある。
【0007】
このように、数多くのフロン代替用液体洗浄剤が製造され、それらを用いた洗浄方法が精密部品に使用されている。
【0008】
特許文献1(特開平9−263994号公報)に示されるように電池用ケースでは有機溶剤の代わりに700〜900℃といった非常に高い温度で焼鈍を行い加工油である潤滑油を焼き飛ばしてしまう洗浄を用いている。しかし、アルミニウム電解コンデンサーに用いられるフィルム積層用アルミニウム板においては圧延板表面に付着している圧延油、金属粉などの汚れが焼鈍中に焼き付き、それが外観不良や密着性不良などの不具合を生じるため特許文献2(特開平6−272015号公報)では軟化処理の焼鈍において、焼鈍前にアルミニウム板の表面を鉱酸又は有機酸、又はその混酸で洗浄した後、焼鈍処理を行っている。
【0009】
また、最近では電池用ケースとして特許文献3(国際公開番号WO97/42668)、特許文献4(国際公開番号WO97/42667)、特許文献5(国際公開番号WO98/10475)では鋼板を有機溶剤又はアルカリ系脱脂剤を用いて脱脂し、酸洗浄、めっき後熱処理を施し、塗布される石油ワックス系潤滑剤の融点に加熱し、その表面に溶融した潤滑剤を塗布した表面処理鋼板を深絞り加工、DI(Drawn & Ironed)加工又はDS(Dry Sanding)加工、DTR(Drawing & Thin Redrawing)加工に用いている。この潤滑油は加工成型後に200〜350℃の温度で加熱すると大部分が揮散除去できるため加工後の洗浄を簡略化できる。
【0010】
さらに、特許文献6(特許第3234541号)に記載のHDD(ハードディスクドライブ)の筐体や電解コンデンサー、精密電子部品などにはアルミニウム合金素材の片面又は両面に潤滑剤を含有する有機樹脂皮膜を形成し、成型加工性を向上させ、その表面に揮発性の潤滑剤を塗布して加工後潤滑剤を加熱し揮発除去している。
【0011】
別の洗浄方法としては、特許文献7(特開2000−225382号公報)で示されるように超臨界又は亜臨界状態の水で金属部品や金型を洗浄する際に、洗浄成分として働く有機又は無機の還元剤を共存させることで金型表面の状態を変えたり、接触物により損傷したりすることなく汚れを洗浄除去することが提案されている。また、特許文献8(特表昭59−502137号公報)には超臨界ガスを用いて有機物を除去する洗浄方法が提案されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−263994号公報
【特許文献2】
特開平6−272015号公報
【特許文献3】
国際公開第97/42668号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第97/42667号パンフレット
【特許文献5】
国際公開第98/10475号パンフレット
【特許文献6】
特許第3234541号
【特許文献7】
特開2000−225382号公報
【特許文献8】
特表昭59−502137号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、成型加工においては成型加工性を向上させる潤滑油は必要不可欠なものであり、潤滑油の開発こそがより高度な成型加工の開発といっても過言ではない。しかし、この成型加工に用いられる潤滑油は加工された精密部品を製品として使用する場合、完全に除去されていないと製品性能の劣化や汚染など製品不良の原因を引き起こす。従って、成型加工においては潤滑油の塗布と同様に、この潤滑油を完全除去する洗浄方法の開発も必要不可欠である。
【0014】
しかし、溶剤を用いた洗浄方法、特に脱脂に関しては代替えフロン剤など環境面を意識してオゾン層破壊に影響を与えない溶剤として多く用いられているが、環境への影響はあまりわかっていない。また、洗浄にかかる時間、コストも非常に問題になる。成型加工された部品がどのような製品に使用されるかで、加工後の洗浄レベルが決まる。そのため、洗浄力の高い溶剤を用いることが望ましいが、洗浄力の高い溶剤は上述したように環境に与える影響は未知であり、そのため影響の低い溶剤は洗浄力も低いため時間と工程(洗浄回数)も増やさなければならない。
【0015】
例えば、電池ケース、アルミ電解コンデンサーのように加工後、めっきが施されるものに関しては精密洗浄が必要とされ、脱脂、不純物除去、活性化と洗浄工程も多く時間もかかる。また、HDDに使われる筐体などは、出ガス防止が重要で脱脂処理が重要視される。このように、溶剤洗浄の場合には、溶剤の管理(消防法、)や、廃液回収処理など非常に管理面において取り扱いが複雑で、それに対する労力も多く生産効率を低下させていた。
【0016】
そこで、溶剤を用いた洗浄方法をできるだけ簡略化、あるいは溶剤洗浄をしなくても良い方法として有機樹脂被膜と揮発性潤滑油などの組み合わせによる加工後、焼鈍で揮発性潤滑油を蒸発させる方法が用いられるようになってきた。しかし、この方法も完全に潤滑油を蒸発させれるわけではなく、ミクロレベルではどうしても加工表面に油分あるいは不純物などが僅かに残留してしまう。また、特にプレス成形加工された深絞り部品において、凹部などの複雑構造を有する部品などは、潤滑油を蒸発させるために焼鈍しても、構造上、完全に蒸発できない場合や、プレス用潤滑油がステンレスなどの結晶粒界などに刷り込まれて不純物が残る場合が多く、少しでも油分や不純物などの残留物が存在する状態で焼鈍を行うと、油分などが炭化したり、不純物が焼き付いたりして、しみやむらによる不良や脱ガスによって応用される製品の性能を低下させていた。しかも、加工後の洗浄を簡素化、又は精密洗浄を用いなくとも製品の性能低下を防止するために用いられる表面処理鋼板においても、表面処理鋼板の製造時に従来通りの有機溶剤又はアルカリ系脱脂剤を用いて脱脂し、酸洗浄、めっき後、熱処理を施しているため、加工前に洗浄を行うか、加工後に洗浄を行うかだけの差で環境面や人体面に対する影響は殆ど改善されていない。
【0017】
環境面を考慮した別の洗浄方法として、超臨界や亜臨界水で洗浄する洗浄法が提案されているが、超臨界や亜臨界水で有機物を分解除去する技術は公知であり、また、超臨界や亜臨界水に洗浄成分として働く有機又は無機の還元剤を共存させ、金型の表面状態を変えたり、接触物により損傷しないで除去することを重要視するプラスチックで成型するレンズプリズムなどの精密金型や金型周辺の部品などに応用されているだけで、主に有機物の除去が主たる目的であった。
【0018】
しかし、プレス成型加工で加工される部品、特に電子部品に関しては加工時に発生する不純物は潤滑油に代表される有機物だけでなく、切削くずや粉体等の無機物単体や有機物と無機物が混在することが多く、幾ら有機物の除去に効果があっても無機物と有機物が混在するような環境では有機物除去の効果が得られ難かった。
【0019】
また、洗浄システムが非常に高価で洗浄時間がかかるため洗浄物としては金型など非常に高価で繰り返し使用される部品が主たる応用であった。
【0020】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、凹部構造を有する部品を液化ガスや超臨界流体の洗浄媒体を用いて洗浄することで洗浄効果を向上させることができる凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、以下のように構成している。
【0022】
本発明の第1態様によれば、凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造の表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、
上記付着物が付着した上記部品を洗浄槽に収納し、
上記洗浄槽内に洗浄媒体を導入して上記部品を上記洗浄媒体雰囲気中に存在させ、上記洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて上記洗浄媒体を液体状態と気体状態との交互の状態変化を行い、上記凹部構造表面に洗浄媒体が行き渡るようにして洗浄を行う洗浄方法を提供する。
【0023】
本発明の第6態様によれば、凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造の表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、
上記付着物が付着した上記部品を洗浄槽に収納し、
上記洗浄槽内に第1洗浄媒体を導入して上記部品を上記第1洗浄媒体の雰囲気中に存在させ、上記第1洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて上記第1洗浄媒体を超臨界状態に変化させて、上記凹部構造の上記表面に上記第1洗浄媒体が行き渡るようにして洗浄を行った後、更に第2洗浄媒体としての液体による液体洗浄を上記部品に行う洗浄方法を提供する。
【0024】
本発明の第9態様によれば、洗浄槽と、
上記洗浄槽に洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部と、
上記洗浄媒体に温度変化を与える加熱装置と、
上記洗浄媒体に圧力変化を与える加圧装置と、
上記洗浄媒体供給部、加熱装置、加圧装置とを制御する制御手段とを備え、
上記加熱装置、加圧装置の少なくとも一方を制御することにより、上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、洗浄媒体を超臨界状態、あるいは亜臨界状態に変化させて上記洗浄槽内の部品の凹部構造表面の洗浄を行う洗浄装置を提供する。
【0025】
本発明の第10態様によれば、洗浄媒体を導入する導入口と洗浄媒体を排出する排出口とを有するとともに洗浄対象物を収納する洗浄槽と、
上記導入口を介して上記洗浄媒体を上記洗浄槽に供給する洗浄媒体供給部と、
上記洗浄媒体に温度変化を与える加熱装置と、
上記洗浄媒体に圧力変化を与える加圧装置と、
上記洗浄媒体供給部、加熱装置、加圧装置とを制御する制御手段と、
上記排出口から排出された洗浄媒体を回収し洗浄後の除去物質を収集する回収部とを備え、
上記加熱装置、加圧装置の少なくとも一方を制御することにより、上記洗浄槽に収納された凹部構造を有する上記洗浄対象物に超臨界ガス又は液化ガスを用いて上記凹部構造表面に洗浄媒体が行き渡るようにして洗浄を行うと共に、上記導入口が上記排出口よりも下側に位置し、上記排出口は洗浄対象物よりも上側に位置している洗浄装置を提供する。
【0026】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、超臨界ガス又は液化ガスを用いて上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行うものである。
【0027】
この構成により、凹部構造表面に超臨界ガスや液化ガスを用いた洗浄媒体が満遍なく行き渡り、凹部に付着した付着物を容易に、早く洗浄することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
【0029】
以下、図面を参照して本発明における実施形態を説明する前に、本発明の概要について説明する。
【0030】
本発明における第1発明は、凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、超臨界ガス又は液化ガスを用いて上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行う洗浄方法である。
【0031】
本発明の第2発明は、第1発明において、凹部構造を有する部品の表面全体に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行う洗浄方法である。
【0032】
本発明の第3発明は、凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、付着物が付着した部品を洗浄槽に収納し、上記洗浄槽内に洗浄媒体を導入し上記部品を上記洗浄媒体雰囲気中に存在させ、上記洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて上記洗浄媒体を液体状態と気体状態との交互の状態変化を行い、上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行う洗浄方法である。
【0033】
この構成により液体状態の密度、粘性などの物性制御、液体、気体、超臨界状態の状態変化に寄与する物理的なエネルギーを利用することで洗浄効率を向上させる。
【0034】
本発明の第4発明は、第3発明において上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、洗浄媒体を超臨界状態に変化させて凹部構造表面の洗浄を行う洗浄方法である。
【0035】
本発明の第5発明は、第3発明において、上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、洗浄媒体を亜超臨界状態に変化させて凹部構造表面の洗浄を行う洗浄方法である。
【0036】
本発明の第6発明は、第3又は4発明において、洗浄媒体に対して液体状態から温度一定で圧力を変化させて気体状態と液体状態とを交互に繰り返し状態変化をさせる洗浄方法である。
【0037】
本発明の第7発明は、第3又は4発明において、洗浄媒体に対して温度一定で圧力を変化させて気体状態と液体状態とを交互に繰り返し状態変化をさせる洗浄方法である。
【0038】
本発明の第8発明は、凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、付着物が付着した部品を洗浄槽に収納し、上記洗浄槽内に洗浄媒体を導入し上記部品を上記洗浄媒体雰囲気中に存在させ、上記洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて洗浄媒体を超臨界状態に変化させて、上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行う洗浄方法である。
【0039】
本発明の第9発明は、凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、付着物が付着した部品を洗浄槽に収納し、上記洗浄槽内に洗浄媒体を導入し上記部品を上記洗浄媒体雰囲気中に存在させ、上記洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて洗浄媒体を超臨界状態に変化させて、上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行った後、更に液体洗浄を行う洗浄方法である。
【0040】
本発明の第10発明は、第1〜9発明のいずれか1つにおいて、洗浄媒体は二酸化炭素ガス、水である洗浄方法である。
【0041】
本発明の第11発明は、凹部構造を有する部品の少なくとも上記凹部構造表面に付着する付着物を除去する洗浄方法において、付着物が付着した部品を洗浄槽に収納し、上記洗浄槽内に洗浄媒体として二酸化炭素を導入し上記部品を上記洗浄媒体雰囲気中に存在させ、上記洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて洗浄媒体を超臨界状態に変化させて、上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行った後、更に洗浄媒体として新たに水を導入し当該洗浄媒体である水を超臨界状態に変化させて凹部構造表面の洗浄を行う洗浄方法である。
【0042】
本発明の第12発明は、洗浄槽と、上記洗浄槽に洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部と、上記洗浄媒体に温度変化を与える加熱装置と、上記洗浄媒体に圧力変化を与える加圧装置と、上記洗浄媒体供給部、加熱装置、加圧装置とを制御する制御手段とを備え、上記加熱装置、加圧装置の少なくとも一方を制御することにより、洗浄槽に収納された凹部構造を有する洗浄対象物に超臨界ガス又は液化ガスを用いて上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行う洗浄装置である。
【0043】
本発明の第13発明は、第12発明において、加熱装置、加圧装置の少なくとも一方を制御することにより、上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、洗浄媒体を超臨界状態、あるいは亜臨界状態に変化させて凹部構造表面の洗浄を行う洗浄装置である。
【0044】
本発明の第14発明は、洗浄媒体を導入する導入口と洗浄媒体を排出する排出口とを有するとともに洗浄対象物を収納する洗浄槽と、導入口を介して洗浄媒体を上記洗浄槽に供給する洗浄媒体供給部と、上記洗浄媒体に温度変化を与える加熱装置と、上記洗浄媒体に圧力変化を与える加圧装置と、上記洗浄媒体供給部、加熱装置、加圧装置とを制御する制御手段と、上記排出口から排出された洗浄媒体を回収し洗浄後の除去物質を収集する、回収部の一例としての、抽出捕集容器とを備え、上記加熱装置、加圧装置の少なくとも一方を制御することにより、洗浄槽に収納された凹部構造を有する洗浄対象物に超臨界ガス又は液化ガスを用いて上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡るようにして洗浄を行うと共に、上記導入口が上記排出口よりも下側に位置し、上記排出口は洗浄対象物よりも上側に位置している洗浄装置である。
【0045】
本発明の第15発明は、第1から11発明のいずれか1つにおいて、凹部構造を有する部品はプレス成型、あるいは切削加工法によって形成された構造体であることを特徴とする洗浄方法である。
【0046】
本発明の第16発明は、第1から11発明のいずれか1つにおいて、上記凹部構造を有する部品はプレス成型加工法又は切削加工法によって形成された構造体であり、上記構造体は主に金属材料から構成されることを特徴とする洗浄方法である。
【0047】
本発明の第17発明は、第16発明において、上記凹部構造を有する部品を形成する金属材料は主成分がFe、Al、Cu、又は、Tiから構成されることを特徴とする洗浄方法である。
【0048】
本発明の第18発明は、第1から11発明のいずれか1つにおいて、上記凹部構造を有する部品はプレス成型加工法又は切削加工法によって形成されたれた構造体であり、上記構造体は主に有機材料から構成されることを特徴とする洗浄方法である。
【0049】
本発明の第19発明は、第18発明において、上記凹部構造を有する部品を形成する有機材料は主成分がポリイミド、又は、エポキシからなることを特徴とする洗浄方法である。
【0050】
本発明の第20発明は、第1から11発明のいずれか1つにおいて、上記凹部構造を有する部品はプレス成型加工法又は切削加工法によって形成された構造体であり、上記構造体は主にセラミック材料から構成されることを特徴とする洗浄方法である。
【0051】
本発明の第21発明は、第20発明において、上記凹部構造を有する部品を形成するセラミック材料は主成分がSiO、PZT、Ag、又はCからなることを特徴とする洗浄方法である。
【0052】
本発明の第22発明は、第1から11発明のいずれか1つにおいて、上記凹部構造を有する部品は、主に金属と有機材料の複合体、主に有機材料とセラミック材料の複合体、あるいは主に金属、有機材料とセラミック材料の複合体から構成される洗浄方法である。
【0053】
本発明の第23発明は、第1から11発明のいずれか1つにおいて、凹部構造を有する部品は、超音波センサー用の整合層、あるいは電子部品用、超音波センサー用、電池用、HDD(ハードディスクドライブ)用、電解コンデンサー用の各種ケースであることを特徴とする洗浄方法である。
【0054】
ここで洗浄媒体としては一例として液化ガスの超臨界状態もしくは液体状態(亜臨界状態を含む)を用いる。液化ガスの種類としては主に二酸化炭素(CO)又は水(HO)単体か、二酸化炭素と水の混合を用いる。部品を構成する主たる材料や汚染物質の構成物に応じてどの洗浄媒体を使用するか、あるいハードの洗浄媒体を組み合わせるかを選択する。
【0055】
例えば、洗浄部品の主成分が金属で、汚染物が油脂などの有機系と無機系の酸化物である場合は、まず二酸化炭素を用いて有機系の汚れを洗浄した後に、水を導入して無機系の酸化物などをエッチング除去する。
【0056】
また本発明は、液体状態の密度、粘性などの物性制御、液体、気体、超臨界状態の状態変化に寄与する物理的なエネルギーを利用することで洗浄効率を向上させる。特に二酸化炭素の液体状態は容器内の温度又は圧力を変化させることで液体の密度、粘性など物性の制御や気体状態、液体状態、超臨界状態の状態制御も簡単で、制御温度、圧力差が比較的常温、大気圧に近いため扱いやすい。
【0057】
また環境側面、人体側面においても悪影響は少ない。洗浄したい対象物に応じて、物性、状態変化を適切に組み合わせることで、物性、状態変化に伴って生じる物理的エネルギーを汚染物(加工油や切削くずなど)に与えて除去したり、洗浄物に対する汚染物の付着力を低下させ洗浄効率を向上できる。例えば、まず高圧容器内に二酸化炭素の液体状態を導入して、温度又は圧力を変化させて、液体状態と気体状態を繰り返す。この工程で状態変化に伴う二酸化炭素の物性も同時に変化することで、汚染物に物理的なエネルギーが作用して汚染物の付着強度を低下させる。その後、超臨界状態に移行することで油脂などの有機成分を溶解、分解する。二酸化炭素の超臨界状態では有機物などの油脂成分を溶融、分解可能であることは公知であるが、気体、液体状態の状態変化と組み合わせることで有機物や無機物、有機物と無機物の混合物などの汚染物を効率的に洗浄できる。
【0058】
本発明の洗浄物の一例としては、プレス成型で加工された部品、あるいは切削で加工された部品であって、凹部構造を有することを特徴とする。特に凹部構造を有する部品は、凹部構造部分に汚染物(加工油や切削くずなど)が構造面からあるいは加工時に圧力などが加わって刷り込まれたり、塑性変形に伴う切削くずなどが残り易く、洗浄時においても最も洗浄し難い。しかし、液化ガスの気体、液体状態及び超臨界状態を適切に使うことで、特に凹部構造を有する部品の洗浄効率を向上でき、二酸化炭素に関しては、常温で気体になるため乾燥工程が必要ないことを特徴とする。洗浄物である部品は主にプレス成型加工や切削加工を用いて作製された部品で、その部品の主成分は金属材料、有機材料、セラミック材料、又はそれらの複合物から構成されることを特徴とする。その金属材料の主成分はFe、Al、Cu、Tiのどれかを含む。有機材料の主成分としてはポリイミド、又は、エポキシ、又は、熱可塑性樹脂で、セラミック材料の主成分としてはSiO、Ag、PZT、又は、Cであることを特徴とする。洗浄媒体は二酸化炭素、水などを洗浄対象物に応じて選択する。
【0059】
本発明の洗浄適合部品は、特に超音波センサーの整合層やケース、電池用のケースや電極、HDD用のケース(筐体)、又は、電解コンデンサーのケースなど凹部構造を有し、洗浄レベルとして精密洗浄が必要でかつ付加価値が高く、1つあたりの容積が小さいという条件を兼ね備えた電子部品であることを特徴とする。
【0060】
以下、本発明の第1実施形態の洗浄方法及びその装置について図1〜図4(B)を用いて説明する。
【0061】
まず、洗浄方法で用いられる超臨界流体及び液化ガスについて説明する。
【0062】
図1に横軸に温度Tを、縦軸に圧力Pをとった洗浄媒体の状態図を示す。図1内の三重点(図の黒丸21)は気体、液体、固体の三相が共存する状態である。三重点の温度よりも低い温度では固体とその蒸気が平衡を保ち、その時の蒸気の圧力は昇華曲線(図1の20)で与えられる。この曲線より低い圧力では固体が昇華して気体となり、高い圧力では気体は凝固して固体になる。三重点よりも高い温度では液体とその蒸気が平衡となり、このときの圧力が飽和蒸気圧として蒸気曲線(図1の22)で表される。この曲線よりも低い圧力では液体は全部気化し、また、これよりも高い圧力では蒸気はすべて液化する(領域Aとする)。圧力を一定にして温度を変化させてもこの曲線を超えると液体が蒸気に、また蒸気が液体になる。この蒸気曲線の終点を臨界点(図1の白丸23)といい、液体と気体の区別がつかなくなる状態が存在し、気液の境界面も消失する。この臨界点より高温の状態では、気液共存状態を生じることなく液体と気体の間を移り変わることができる。この領域ではいくら密度を増大させても凝縮が起こらなくなる。この臨界温度(Tc)以上でかつ臨界圧力(Pc)以上の状態(領域Bとする)を超臨界流体という。
【0063】
また、液体ガスとは、図1に示すような温度範囲は三重点の温度以上で臨界温度以下、圧力は三重点の圧力以上でかつ蒸気曲線より圧力の高い領域の状態をいう。
【0064】
そして、液化ガス状態から超臨界流体に至るまでの過程で、図1に示すような臨界点よりも温度、圧力が低い状態である亜臨界状態を経ることになる。ここで亜臨界状態とは、上記臨界温度(Tc)及び臨界圧力(Pc)の0.6倍までの範囲にある状態をいい、従って、次の亜臨界温度及び亜臨界圧力の範囲にある状態を定義する。
【0065】
臨界温度(Tc)>亜臨界温度≧0.6×臨界温度(Tc)
臨界圧力(Pc)>亜臨界温度≧0.6×臨界温度(Pc)
このように洗浄媒体は、液体ガスから亜臨界状態を経て超臨界状態へと変化していく。
【0066】
ここで使用される超臨界流体又は液化ガスは二酸化炭素(CO)もしくは水(HO)である。
【0067】
二酸化炭素の臨界温度(Tc)=31.1℃、臨界圧力(Pc)=7.38MPaであり、水は臨界温度(Tc)=374.1℃、臨界圧力(Pc)=22.04MPaである。
【0068】
次に、本発明の第1実施形態の洗浄システムの概要について図3を用いて説明する。本発明の第1実施形態の洗浄装置は、少なくとも、洗浄槽の一例である高圧容器1、洗浄媒体を保有している液化供給槽(又は高圧ボンベ)2、液化供給槽2から洗浄媒体となる液化ガスを高圧容器1に供給する液体ポンプ(洗浄媒体供給部の一例に相当)3、高圧容器1内を加熱するヒータ5、ヒータ5を制御することにより高圧容器1内の液化ガスの温度制御を行うヒータコントローラ4、高圧容器1内の洗浄後の廃液を回収する廃液回収槽6、廃液回収槽6に回収された液化ガスを気化する気化器7、洗浄後の除去物質を収集する、回収部の一例としての、抽出捕集容器8を備えるように構成している。高圧容器1内は、液体ポンプ3による液化ガス供給により圧力が変化させられ、ヒータコントローラ4の制御の下でヒータ5により液化ガスの温度が制御される。そして、上記温度や上記圧力を制御することにより、洗浄媒体である超臨界流体(本実施形態では超臨界ガス)、亜臨界流体(第1実施形態では亜臨界ガス)、や液体ガスを発生させて、洗浄媒体により洗浄物を洗浄する。また、図3において、1000は上記洗浄装置の洗浄動作を制御する制御装置であり、液体ポンプ3とヒータコントローラ4と気化器7と抽出捕集容器8とに接続されて、それぞれの動作を制御するようにしている。
【0069】
ここで、液化ガスを洗浄媒体として用いたが、高圧容器1内に、直接、亜臨界流体や超臨界流体を供給しても良く、また気化器7は亜臨界流体、又は超臨界流体を気化するものであってもよい。
【0070】
次に、洗浄物について説明する。図2(A)、図2(B)、図2(C)、図2(D)に示されるように、凹部を有するプレス成型加工された部品(27,28,29,30)又は切削加工によって形成された部品(27,28,29,30)は、特に凹部に付着物26である加工油である潤滑油や不純物(切削くずなど)を付着させやすい。また、この凹部部分は入り組んだ構造であること、加工時に圧力が加わる部分であることから他の平坦な構造部分と比較すると加工油である潤滑油や不純物(切削くずなど)の付着性が高く、洗浄剤などが浸透し難いため洗浄むら、洗浄残りが発生しやすい。
【0071】
より具体的に、洗浄対象物又は被洗浄物である部品のゴミが残る場所40の具体例としては、プレス成型品のうちの深絞り加工品の場合には、マクロ的には図10(A)に示すようにプレス成型によって曲げられた局部近辺であり、ミクロ的には図10(B)に示すように凹凸が激しい部分(言い換えれば、素材面の荒れた部分)や、特に、洗浄用の溶剤が入りにくい部分である。また、プレス成型品のうちの打ち抜き加工品の場合には、図11に示すように、マクロ的には打ち抜き時に打ち抜き用の刃が接触する部分41であり、ミクロ的には凹凸が激しい部分(言い換えれば、素材面の荒れた部分)や、特に、洗浄用の溶剤が入りにくい部分である。
【0072】
また、特に汚れが落ちにくい付着物であって本発明の洗浄方法及び装置により洗浄可能な付着物の例としては、上記付着物がプレス成型油(塗布型)の場合には、プレス成型時に使用される潤滑油で、特に素材に刷り込まれた潤滑油や熱などが加わって加工変質した潤滑油がある。また、上記付着物が素材前塗布型潤滑油の場合には、素材に予め潤滑油が塗布されている加工成型用の素材で、プレス成型時に塗布するのではなく、素材メーカで表面にコーティングした潤滑油である。
【0073】
本発明の洗浄方法及び装置の洗浄対象物又は被洗浄物である部品の材質としては、金属の場合には、ステンレス各種、アルミニウム、チタン、又は、鉄などである。特にさびやすい鉄などは、乾燥する必要がないので、本発明の洗浄方法及び装置の洗浄対象物又は被洗浄物である部品の材質として適している。これ以外には、金属と有機物複合材料としては、金属表面に有機物(PPT、PETなど)のシートを貼り付けたものやコーティングしたものがある。
【0074】
また、洗浄対象物の他の例として、他の超音波ケースの形状を図12に示す。
【0075】
そこで、高圧容器1内に洗浄媒体として、まず浸透性が高く、ある程度の粘度性を備えた二酸化炭素や水の液化状態(亜臨界流体を含む)を導入する。特に二酸化炭素は比較的低い温度と圧力で液体状態になる。そのため、制御装置1000により液体ポンプ3とヒータコントローラ4とを動作制御して温度と圧力を制御することで液体状態と気体状態との物性変化(ここで物性変化とは、例えば気体と液体で比較すると密度は0.6〜1kg/mと1000kg/mで3〜4桁変化し、粘度は10−5Ps・sと10−3Ps・sで2桁、拡散係数は10−5と10−9以下で4桁以上。熱伝導度は10−3と10−1で2桁変化する)や液体状態から気体状態、気体状態から液体状態といった状態変化を簡単に作り出せる。
【0076】
また、二酸化炭素や水は人体側面においても無害であるため取り扱い性も良い。
【0077】
さらに、二酸化炭素や水は臨界状態では有機物の分解、除去作用を有し、水は特定圧力と温度状態では酸化物などのエッチング効果を有するため、それぞれの特徴を生かすことで凹部構造を有する部品の洗浄に有効である。
【0078】
ここで、二酸化炭素の超臨界状態が有機物の分解、除去作用や水が酸化物を有するメカニズムは、はっきりとは分かっていないのが現状であるが、密度の関数として表せる溶解力、イオン積等の平衡物性であるマクロな平均的性質と溶媒和(クラスター)などの分子レベルの局所的な構造を有するところにあると考えられている。特に溶質分子周りに形成される溶媒和構造にあると考えられるようになってきたのは比較的最近で、熱運動と分子間力が拮抗している超臨界流体柱に溶質分子が存在すると、溶質−溶媒相互作用が相対的に優位になり溶質分子周り溶媒分子が引きつけられて溶媒和がおこり、溶質分子の近傍はバルクに比べて高密度状態になる。これが超臨界流体の溶解力の高選択性や反応速度の促進などの特徴的な現象に強く関連していると考えられる。
【0079】
また、水の酸化物エッチング効果については、図9に示す水の物性の温度依存性(25Mpa一定圧力化)を示す。室温での水の誘電率は約80と非常に大きい。
【0080】
そのため、電解質などの無機物はよく溶けるが有機物は殆ど溶解しない。しかしながら温度を上げると誘電率は徐々に低下し、374℃以上の超臨界水では10程度と極性の小さな有機溶媒並の値となる。その結果、有機物はよく溶けるが無機物は殆ど溶けない。このような物性変化状態をうまく利用し、酸化物などの無機物に対するエッチングにおいては、特に温度200℃前後で5〜10Mpa程度の圧力下でも効果が得られる。
【0081】
このような洗浄物である凹部を有する部品を図3に示す洗浄システムにて洗浄する様子を説明する。ここで図4(A),図4(B)は図1に示す洗浄媒体の状態図と同様である。
【0082】
プレス成型加工された部品(特に電子部品)である洗浄物は、加工油や不純物を付着したまま高圧容器1に納められる。高圧容器1内に部品を導入後、温度又は圧力のどちらか一方を変化させて液体状態から気体状態へ、気体状体から液体状態の状態変化を行う。
【0083】
例えば図4(A)に示す経路1は液体状態から圧力一定で温度を上げると気体状態になり、その状態から温度を戻すと(下げる)液体状体になる。一方、図4(B)に示す経路2では温度一定で圧力を下げると液体状態から気体状態へ変化し、その状態から圧力を上げると気体状態から液体状態に戻る。この工程を何度か繰り返すと、特に液体状態から気体状態に変化するときに加工油や不純物(切削くずなど)に物理的なエネルギー(物性変化でいえば、例えば気体と液体で比較すると密度は0.6〜1kg/mと1000kg/mで3〜4桁変化し、粘度は10−5Ps・sと10−3Ps・sで2桁、拡散係数は10−5と10−9以下で4桁以上。熱伝導度は10−3と10−1で2桁変化する。この中で、特に密度変化と粘度変化に伴う、表面張力の変化によってもたらされる物理的なエネルギーと考えられる)が作用し、部品に付着している加工油や不純物(切削くずなど)の付着力が低下して、洗浄効果を向上させる。
【0084】
また、液体状態と気体状態を繰り返すことで、図5に示すように高圧容器内で液化ガスの対流(矢印31)が生じ、凹部を有する部品32の隅々まで洗浄剤である液化ガスが浸透し洗浄効果を向上させる。
【0085】
その後、温度、圧力を臨界点以上に変化させ、超臨界状態に移行して本洗浄を行うことを特徴とする。このとき気体状態、液体状態を繰り返す工程を何度か経た後、液化ガスを高圧容器外に排出し、新たに液化ガスを導入後、温度又は圧力を臨界点温度及び臨界点圧力以上に変化させ超臨界状態での洗浄工程へ移る。超臨界状態では、主に有機物の分解除去、特定温度・圧力状態で無機系の酸化物のエッチング(水使用の場合)を行う。
【0086】
また、洗浄物である部品の汚染レベルにより、超臨界状態まで用いなくとも上記液体状体と気体状態を繰り返す洗浄工程のみでも洗浄可能である。
【0087】
ここでの部品の洗浄レベルとは日本産業洗浄協議会の平成6年度の報告書「一般的な洗浄度評価方法と洗浄度の指標の分類」で示されている「試料2」を用いて説明すると、そこで洗浄度として記されている「粗洗浄」レベル又は「一般洗浄」レベルを指す。
【0088】
本発明の第1実施形態の洗浄装置としては、高圧容器1、超臨界ガス及び液化ガスを上記高圧容器1に導入する液体ポンプ3、高圧容器1内の超臨界ガス及び液化ガスの温度を制御するヒータコントローラ4及びヒータ5、洗浄後の除去物質を収集する抽出捕集容器8と、制御装置1000とを備え、図3及び図5に示されるように、上記高圧容器1に液化ガスを導入するための導入口1aは、上記高圧容器1内から液化ガスを廃棄する排出口1bよりも必ず下側に設け、更に排出口1bは洗浄対象物31に対して上側に設ける。これは主に液体状態もしくは超臨界状態において洗浄物31の比重が洗浄ガスの比重よりも重く、それに対して有機物系の汚れや無機物系の酸化物は洗浄ガスの比重より小さい。そのため、汚染物である有機物や無機物は液体状態又は超臨界状態では洗浄物より上に浮く傾向にある。導入口1aが排出口1bより下側である必要性は、洗浄物31である凹部構造を有する部品に洗浄ガスである液化ガスが満遍なく行き渡らせるためである。
【0089】
一方、排気口1bが導入口1aよりも上側に位置する必要性は、洗浄部品31から一度除去された付着物又は汚染物が部品31に再付着するのを防止するためである。
【0090】
本発明の第1実施形態の洗浄方法及び洗浄装置で洗浄効果が期待できる部品は主にエレクトロニクス関連に用いられる電子部品及びその関連部品である。特に、プレス成形加工及び切削加工による精密加工部品である。これらの部品は、加工精度を向上させるためには必ず加工油である潤滑油が必要不可欠である。しかし、この加工油の残留が次工程の処理、例えばメッキ処理や接着などの性能特性に影響を与え、デバイス及び製品としての性能や信頼性の低下を引き起こす。そのため、高レベルの残留物除去、すなわち精密洗浄を必要とする部品に効果を発揮する。
【0091】
応用商品としては、超音波センサーの整合層や電池の電極(特に二次電池など)、その他としては電池用ケース、HDD用ケース(筐体ともいう)、又は、電解コンデンサー用のケースなどがある。超音波センサー用の整合層などは無数の微細な孔や凹凸が形成されており微視的に凹部構造が形成されている。そして、具体的には、無機系のガラスバルーンと有機系のエポキシを混合したり、無機系のガラスバルーンだけのもの、有機系のエポキシだけのものなど様々な素材が用いられる。
【0092】
また、超音波センサー用ケースなどは、素材がステンレス、アルミニウム、又は、エポキシ樹脂である。加工は、プレス成型加工による深絞りや樹脂成形、切削加工で加工される。電池用ケースについては、一般に、アルミニウム又は最近ではアルミニウムにメッキを施した多層鋼材が用いられプレス成型加工で作製される。HDD用ケースとしては、素材としてアルミニウムが使用され、最近では特にアルミニウムに有機物系のコートをした複合鋼材が用いられ、プレス成型加工される。電解コンデンサー用ケースも同様に、素材はアルミニウム単体のものやアルミニウム素材の上に有機膜のコートを施した複合鋼板を用いてプレス成形加工される。
【0093】
このように、素材の異なる有機物と無機物が積層された複合材料に対しても工程や使用洗浄媒体であるガス主を選択することで応用可能である。なお、これらの製品分野に限らず、プレス成型加工及び切削加工に加工された凹部構造を有する部品にも効果を有することは論じるまでもない。
【0094】
すなわち、上記第1実施形態の洗浄方法においては、上記洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて上記洗浄媒体を液体状態と気体状態との交互の状態変化を行い、上記凹部構造表面に洗浄媒体が満遍なく行き渡らせるようにしている。また、さらに、必要に応じて、上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、上記洗浄媒体を超臨界状態に変化させて上記凹部構造表面の洗浄を行うようにしている。又は、上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、上記洗浄媒体を亜超臨界状態に変化させて上記凹部構造表面の洗浄を行うようにしている。
【0095】
これを整理すると、洗浄媒体を部品に満遍なく行き渡らせる方法としては、圧力又は温度を変化させて対流によって行き渡らせるため、以下の7つの方法がある。これらは、いずれも、制御装置1000により、液体ポンプ3とヒータコントローラ4とを動作制御して温度と圧力を制御することで行うことができる。
【0096】
(1) (液体―気体)を1サイクルとして少なくとも1サイクル以上行った後、超臨界状態へ温度制御する。
【0097】
(2) (気体―液体)を1サイクルとして少なくとも1サイクル以上行った後、超臨界状態へ圧力制御する。
【0098】
(3) (液体―気体―液体)を1サイクルとして少なくとも1サイクル以上行った後、超臨界状態へ温度制御する。
【0099】
(4) (気体―液体―気体)を1サイクルとして少なくとも1サイクル以上行った後、超臨界状態へ圧力制御する。
【0100】
(5) (液体―超臨界)を1サイクルとして少なくとも1サイクル以上行った後、超臨界状態へ温度制御する。
【0101】
(6) (気体―超臨界)を1サイクルとして少なくとも1サイクル以上行った後、超臨界状態へ圧力制御する。
【0102】
(7) (1)〜(6)の1サイクル中に少なくとも1回は超臨界状態にする。圧力又は温度制御する。
【0103】
ここで、液体ポンプ3の動作制御による制御装置1000の圧力制御用のタイムチャートは、図13に示されるように、横軸の時間軸に対する縦軸がそれぞれチャンバー内圧力とCO導入排出である。チャンバー内圧力が高いときにはCOが導入され、チャンバー内圧力が低いときにはCOが排出されており、これを定期的に繰り返すことにより圧力制御するようにしている。
【0104】
また、ヒータコントローラ4の動作制御による制御装置1000の温度制御用のタイムチャートは、図13に示されるように、横軸の時間軸に対する縦軸がそれぞれチャンバー内温度とヒータ電源がON又はOFFである。チャンバー内温度を高くするときにはヒータ電源がONされ、チャンバー内温度を低くするときにはヒータ電源がOFFされており、これを定期的に繰り返すことにより温度制御するようにしている。
【0105】
上記圧力制御の他の方法としては、メインチャンバー43とサブチャンバー44とからなる2層式のチャンバーを用いて、制御装置1000の動作制御の下で、圧力を高くするときは図15に示されるように層を分けている扉45を閉じて圧力を高くしやすくする一方、圧力を下げるときは図16に示されるように層を分けている扉45を制御装置1000の動作制御により開放にすることが考えられる。なお、図15及び図16において、46は洗浄媒体、47は洗浄対象物である。
【0106】
さらに、温度制御の他の方法しては、図17に示されるように、メインチャンバー48内の洗浄液体49内に、洗浄液体49の温度より高い温度又は低い温度の洗浄媒体49を、液体ポンプ3により液体状態で導入することにより、メインチャンバー48内の洗浄媒体を所定温度に制御することもできる。また、図18に示されるように、メインチャンバー48内に洗浄液体49の温度より高い温度又は低い温度の洗浄媒体50を、ポンプ3に代わるポンプ3Aにより気体状態で導入することにより、メインチャンバー48内の洗浄液体49を所定温度に制御することもできる。
【0107】
図19は、上記洗浄方法の動作制御の制御プログラムを内蔵した制御装置1000と、制御装置1000により動作制御されるヒータコントローラ4内の温度制御用リレー53と、制御装置1000により動作制御される液体ポンプ3内の圧力制御用リレー54と、上記洗浄装置60とを示す説明図である。
【0108】
図20に示されるように、上記第1実施形態において、洗浄効率を高める方法の一例として、メインチャンバー64の天井側に配置されたロータ(かき回し用のプロペラ)62を、制御装置1000の制御の下に、モータ63により回転させて、メインチャンバー64内の洗浄媒体65を攪拌させて、洗浄対象物47に対する洗浄媒体65による洗浄効率を高めるようにしてもよい。
【0109】
また、図21に示されるように、上記第1実施形態において、洗浄効率を高める方法の別の例として、メインチャンバー64の底面側に配置されたロータ(かき回し用のプロペラ)62を、制御装置1000の制御の下に、モータ63により回転させて、メインチャンバー64内の洗浄媒体65を攪拌させて、洗浄対象物47に対する洗浄媒体65による洗浄効率を高めるようにしてもよい。
【0110】
また、図22に示されるように、上記第1実施形態において、洗浄効率を高める方法の別の例として、メインチャンバー64の側面側に配置されたロータ(かき回し用のプロペラ)62を、制御装置1000の制御の下に、モータ63により回転させて、メインチャンバー64内の洗浄媒体65を攪拌させて、洗浄対象物47に対する洗浄媒体65による洗浄効率を高めるようにしてもよい。
【0111】
また、図23に示されるように、上記第1実施形態において、洗浄効率を高める方法の別の例として、メインチャンバー64の天井側に配置されたロータ(かき回し用のプロペラ)62を、制御装置1000の制御の下に、モータ63により回転させて、メインチャンバー64内の洗浄媒体65を攪拌させるとともに、制御装置1000の制御の下に、液体ポンプ3を駆動させて、メインチャンバー64の対向する側面に配置された一対のノズル66から洗浄媒体をメインチャンバー64内に導入して、洗浄対象物47に対する洗浄媒体65による洗浄効率を高めるようにしてもよい。
【0112】
また、図24に示されるように、上記第1実施形態において、洗浄効率を高める方法のさらに別の例として、制御装置1000の制御の下に、液体ポンプ3を駆動させて、メインチャンバー64の円筒状側面に放射状に配置された多数のノズル66から洗浄媒体をメインチャンバー64内に導入して、洗浄対象物47に対する洗浄媒体65による洗浄効率を高めるようにしてもよい。
【0113】
また、図25に示されるように、上記第1実施形態において、洗浄効率を高める方法のさらに別の例として、制御装置1000の制御の下に、メインチャンバー64の対向側面に配置された一対の超音波センサ67を同時的に又は逐次駆動させて、メインチャンバー64の側面から超音波を洗浄媒体65に振動を付与して、洗浄対象物47に対する洗浄媒体65による洗浄効率を高めるようにしてもよい。
【0114】
また、図26に示されるように、上記第1実施形態において、洗浄効率を高める方法のさらに別の例として、制御装置1000の制御の下に、メインチャンバー64の円筒状側面に放射状に配置された多数の超音波センサ67を同時的に又は逐次駆動させて、メインチャンバー64の側面から超音波を洗浄媒体65に振動を付与して、洗浄対象物47に対する洗浄媒体65による洗浄効率を高めるようにしてもよい。
【0115】
また、図28に示されるように、図24の洗浄装置において、洗浄効率を高める方法のさらに別の例として、制御装置1000の制御の下に、メインチャンバー64の円筒状側面に放射状に配置された多数のノズル66から洗浄媒体をメインチャンバー64内に逐次導入して、洗浄対象物47に対する洗浄媒体65による洗浄効率を高めるようにしてもよい。この場合、図28に示す、1から8のノズルの番号の順番に、又は、8から1の順番にノズル66から洗浄媒体をメインチャンバー64内に逐次導入して、メインチャンバー64内に対流を生じさせて洗浄効率をさらに高めることができる。各ノズルに開閉弁又はシャッターを設けて、その開閉弁又はシャッターを制御装置1000により動作制御させて、洗浄媒体導入順序、開閉時間、噴出圧力、噴出量を任意に制御させることができる。
【0116】
なお、上記した第1実施形態の各ノズル66の先端形状としては、図27(A)〜図27(C)に示されるような形状が好ましい。ノズル形状としては、図27(A)〜図27(C)に示すように、吹き出し口のセパレート数、噴出圧力、噴出時間を変えることによって、ノズルから噴出される流動体のエネルギー密度を変化させ、洗浄対象物に応じて撹拌効率を高める構造を有する。例えば、洗浄対象物の大きさが大きく、構造が単純である場合には、あまり撹拌しなくとも不純物を除去し易いため、図27(A)に示すような単純なノズル形状でも問題ない。一方、洗浄対象物の大きさが小さく構造が複雑である場合には、その大きさ、複雑度に応じてノズル形状も図27(B)、図27(C)などのより撹拌効果の高いものを使用する。また、洗浄対象物が非常に精密な光学部品などや、非常に脆い場合には、ノズル形状、噴出圧力、噴出時間を洗浄対象物に応じて変えることが望ましい。なお、図面上では2次元的にしか示されていないが、実際には3次元的な構造を有している。
【0117】
以下、具体的な実施例により、本発明の上記第1実施形態の効果の説明を行う。
【0118】
(実施例1)
プレス成型加工及び切削加工されたケースの洗浄を行った。洗浄用の液化ガスとしては二酸化炭素を用いて行った。図6に示すように材質はSUS304、大きさはφ:12mm、高さh:5mmの凹部構造を有するケースである。このケースを用いて洗浄プロセスの違いによる残留物(油分)の量とパーティクル量を調べた。洗浄プロセスとしては、▲1▼溶剤洗浄(1−ブロモプロパン)、▲2▼液体状態で温度一定で圧力を変化させた洗浄、▲3▼温度一定で圧力を変化させ、気体状態と液体状態を5回繰り返し状態変化をさせた洗浄、▲4▼超臨界洗浄のみの洗浄、▲5▼▲2▼の工程後超臨界洗浄、▲6▼▲3▼の洗浄後超臨界洗浄、▲7▼超臨界状態で洗浄後液体状態で洗浄の7通りの工程を検討した。それぞれの洗浄工程でケースは100個ずつ洗浄し分析を行った。残留油分分析は溶剤(四塩化炭素)で油分抽出したのちその抽出油分をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)で測定した。またパーティクルについては洗浄後パーティクル検査機(ToPcon製ウェーハ表面検査装置 WM−1700/1500)を用いて測定した。表1にその結果を示す。
【0119】
【表1】
Figure 2004105947
【0120】
以上の結果から、溶剤洗浄と比較すると残留油分量、パーティクル量ともに低い値が得られている。また、圧力を変化させて二酸化炭素の気体状態、液体状態、超臨界状態を組み合わせることで無機物系のパーティクル除去にも更に洗浄効果が向上することがわかった。
【0121】
(実施例2)
実施例1と同様に プレス成型加工及び切削加工されたケースの洗浄を行った。洗浄用の液化ガスとしては二酸化炭素を用いて行った。図6に示すように材質はSUS304、大きさはφ12mm、高さ5mmの凹部構造を有するケースである。このケースを用いて洗浄プロセスの違いによる残留物(油分)の量とパーティクル量を調べた。洗浄プロセスとしては、▲1▼液体状態で圧力一定で温度を変化させた洗浄、▲2▼圧力一定で温度を変化させ、気体状態と液体状態を5回繰り返し状態変化をさせた洗浄、▲3▼超臨界洗浄のみの洗浄、▲4▼▲1▼の工程後超臨界洗浄、▲5▼▲2▼の洗浄後超臨界洗浄の5通りの工程を検討した。それぞれの洗浄工程でケースは100個ずつ洗浄し分析を行った。残留油分分析は溶剤(四塩化炭素)で油分抽出したのちその抽出油分をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)で測定した。またパーティクルについては洗浄後パーティクル検査機(ToPcon製ウェーハ表面検査装置 WM−1700/1500)を用いて測定した。表2にその結果を示す。
【0122】
【表2】
Figure 2004105947
【0123】
以上の結果、温度一定で圧力を変化させて物性変化、状態変化した場合と同様に圧力一定で温度を変化させて洗浄した場合も残留油分量、パーティクル量ともに低い値が得れている。よって、温度を変化させて二酸化炭素の気体状態、液体状態、超臨界状態を組み合わせることで無機物系のパーティクル除去にも洗浄効果が向上することがわかった。
【0124】
(実施例3)
実施例1で検討した洗浄方法で最も効果のあった洗浄工程▲6▼「温度一定で圧力を変化させ、気体状態と液体状態を5回繰り返し状態変化をさせた後超臨界洗浄」を用いて材質の異なるケースを洗浄した。ケースの材質は、▲1▼アルミニウム、▲2▼アルミニウム上に有機膜をコートした複合板、▲3▼ステンレスSUS304、▲4▼Cu、▲5▼Tiである。図7に示すように、ケース形状は縦5mm×横30mm×高さ50mmである。それぞれの洗浄工程でケースは100個ずつ洗浄し分析を行った。洗浄用の液化ガスとしては二酸化炭素を用いて行った。残留油分分析は溶剤(四塩化炭素)で油分抽出したのちその抽出油分をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)で測定した。また、パーティクルについては洗浄後パーティクル検査機(ToPcon製ウェーハ表面検査装置 WM−1700/1500)を用いて測定した。表3にその結果を示す。
【0125】
【表3】
Figure 2004105947
【0126】
以上の結果、残留油分量とパーティクル量と外観検査で判断したが問題なく洗浄効果が得られた。また、材質の異なるケースにおいても外傷を与えることなく洗浄できることが判明した。
【0127】
外見検査、パーティクル量の判断基準は、日本産業洗浄協議会の平成6年度の報告書「一般的な洗浄度評価方法と洗浄度の指標の分類」で示されている「試料2」を用いて説明すると、そこで洗浄度として記されている「一般洗浄」以上を○とした。
【0128】
(実施例4)
実施例1で検討した洗浄方法で最も効果のあった洗浄工程▲6▼「温度一定で圧力を変化させ、気体状態と液体状態を5回繰り返し状態変化をさせた後超臨界洗浄」を用いて材質の異なる部品を洗浄した。ただし、有機物系の材質は金属系及びセラミックス系と比べて弱いので時間を短くした。洗浄用の液化ガスとしては二酸化炭素を用いて行った。部品はプレス成型加工、切削を行って形状を加工したものである。部品の材質は、▲1▼エポキシ樹脂、▲2▼ポリイミド樹脂、▲3▼プラスチック、▲4▼エポキシとガラスバルーンの混合、▲5▼SiO、▲6▼C(カーボン)である。部品形状は、直径φ10.8mm×高さ1.15mmである。外観検査についてはSEM(Scanning Electron Microscopy)を用いて、パーティクルについては洗浄後パーティクル検査機(ToPcon製ウェーハ表面検査装置 WM−1700/1500)を用いて測定した。表4にその結果を示す。
【0129】
【表4】
Figure 2004105947
【0130】
外見検査、パーティクル量の判断基準は、日本産業洗浄協議会の平成6年度の報告書「一般的な洗浄度評価方法と洗浄度の指標の分類」で示されている「試料2」を用いて説明すると、そこで洗浄度として記されている「一般洗浄」以上を○とした。
【0131】
(実施例5)
更に、洗浄効果、特に汚染物の再付着の防止効果を調べるために高圧容器の構造と洗浄対象物の容器固定位置を変えて洗浄を行い残留油分量とパーティクル量測定した。洗浄用の液化ガスとしては二酸化炭素を用いて行った。洗浄工程は実施例1で検討した洗浄方法で最も効果のあった洗浄工程▲6▼「温度一定で圧力を変化させ、気体状態と液体状態を5回繰り返し状態変化をさせた後超臨界洗浄」を用いて洗浄した。部品はプレス成型加工を行って作成したケースで形状は縦5mm×横30mm×高さ50mmである。高圧容器の構造及び洗浄対象物の容器内固定位置を以下のように変えて洗浄を行った。▲1▼液化ガス導入口<洗浄対象物<液化ガス排出口、▲2▼液化ガス導入口>洗浄対象物>液化ガス排出口、▲3▼液化ガス導入口<液化ガス排出口<洗浄対象物、▲4▼洗浄対象物<液化ガス導入口<液化ガス排出口、▲5▼洗浄対象物<液化ガス排出口<液化ガス導入口、▲6▼液化ガス排出口<液化ガス導入口<洗浄対象物の6通りの検討を行った。それぞれの洗浄工程でケースは100個ずつ洗浄し分析を行った。残留油分分析は溶剤(四塩化炭素)で油分抽出したのちその抽出油分をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)で測定した。また、パーティクルについては洗浄後パーティクル検査機(ToPcon製ウェーハ表面検査装置 WM−1700/1500)を用いて測定した。表5にその結果を示す。
【0132】
【表5】
Figure 2004105947
【0133】
以上の結果、高圧容器の構造と浄対象物の容器内固定位置は液化ガス導入口<洗浄対象物<液化ガス排出口にすることで汚染物の再付着防止効果で洗浄効果を向上可能であることがわかった。
【0134】
(実施例6)
凹部構造の深さや形状に依存しないかを調べるために凹部構造の形状や深さを変化させて洗浄効果を検討した。洗浄用の液化ガスとしては二酸化炭素を用いて行った。実施例1で検討した洗浄方法で最も効果のあった洗浄工程▲6▼「温度一定で圧力を変化させ、気体状態と液体状態を5回繰り返し状態変化をさせた後超臨界洗浄」を用いて洗浄した。部品はプレス成型加工を行って作成したケースで形状は▲1▼縦5mm×横30mm×高さ50mm、▲2▼縦5mm×横10mm×高さ5mm、▲3▼縦3mm×横5mm×高さ20mm、▲4▼φ10.8mm×高さ5mm▲5▼φ5mm×高さ5mmである。それぞれのケース形状でケースは100個ずつ洗浄し分析を行った。残留油分分析は溶剤(四塩化炭素)で油分抽出したのちその抽出油分をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)で測定した。またパーティクルについては洗浄後パーティクル検査機(ToPcon製ウェーハ表面検査装置WM−1700/1500)を用いて測定した。表6にその結果を示す。
【0135】
【表6】
Figure 2004105947
【0136】
以上の結果からケース形状にかかわらず洗浄効果が見られた。よって、ケースの形状によらず洗浄できることがわかった。
【0137】
(実施例7)
プレス成型加工及び切削加工されたケースの洗浄工程の検討を行った。洗浄用の液化ガスとしては二酸化炭素と水を用いて行った。材質はSUS304、大きさはφ12mm、高さ5mmの凹部構造を有するケースである。このケースを用いて洗浄プロセスの違いによる残留物(油分)の量とパーティクル量、酸化物の変化、接触角測定による濡れ性を調べた。洗浄プロセスとしては、▲1▼二酸化炭素を用いて、温度一定で圧力を変化させ、気体状態と液体状態を5回繰り返し状態変化をさせた洗浄後超臨界状態へ移行して洗浄、▲2▼▲1▼の洗浄後二酸化炭素を追い出して水を導入して200℃、5Mpaで洗浄、▲3▼▲1▼の洗浄後二酸化炭素中に水を導入して200℃、5Mpaで洗浄、▲4▼水の200℃、5Mpaのみの洗浄の4通りの工程を検討した。それぞれの洗浄工程でケースは100個ずつ洗浄し分析を行った。残留油分分析は溶剤(四塩化炭素)で油分抽出したのちその抽出油分をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)で測定した。またパーティクルについては洗浄後パーティクル検査機(ToPcon製ウェーハ表面検査装置 WM−1700/1500)を用いて測定した。
【0138】
また、酸化物の変化についてはESCA(X線光電子分光法)を用いて測定した(酸化物の判断基準としては、初期値(脱脂処理後)の酸化物ピーク強度を1として、各洗浄後の酸化物ピーク強度を比で示した)。
【0139】
また、接触角については協和界面化学(株)製の自動接触角計CA−Z型を用いて測定した。接触角とは、物質表面の液体に対するなじみやすさ(親和性、又はぬれ性)を表す指標として、一般に用いられる。図8に示すように接触角とは、固体、液体、気体の三相の界面で液滴の接線と固体面とのなす角のことをいい、液体が表面になじみやすくなるにつれて、接触角は小さくなる。
【0140】
表7にその結果を示す。酸化物量は洗浄工程▲1▼を1として規格化した。また、接触角は液体として純水で測定した。
【0141】
【表7】
Figure 2004105947
【0142】
以上の結果、二酸化炭素の洗浄工程と水の200℃、5Mpa洗浄を組み合わせることで油分及び無機物系の酸化物を除去可能であり、さらに接触角も小さくなり濡れ性も改善できることが判明した。
【0143】
本発明の第1実施形態によれば、凹部構造を有する部品を液化ガスや超臨界流体の洗浄媒体を用いて洗浄することで、洗浄効果を向上させることができる。
【0144】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態で用いられる加圧された流動体、特に超臨界状態の意味について、図29を参照しながら、説明する。
【0145】
この第2実施形態は、第1実施形態で除去した物質を再利用することを考慮したものである。すなわち、従来では、超臨界や亜臨界状態の流体を用いる洗浄において、洗浄効果を高めるためにいろいろな工夫が行われている。例えば、超臨界又は亜臨界状態の流体を急速に状態変化させる方法が開示されている。しかし、これら流体の急激な状態変化は物理的な衝撃を洗浄の対象物に与えるため、部品のゆがみやひどい場合には欠けなどを生じる場合がある。特に、密度の低い部品や、薄板で複雑な構造の凹部を形成した部品などは、その影響を強く受けやすい。
【0146】
一方、プレス成型加工で加工される部品、特に電子部品に関しては、精度を高めるため多くの潤滑油を使用する。このため、加工後部品の洗浄液には潤滑油主成分である炭化水素系有機物が大量に含まれる。さらに潤滑油には、加工精度向上を目的として、炭化水素系有機物以外にも界面活性剤等の有機物が含有されている。ところが、通常の洗浄では炭化水素系有機物と界面活性剤等の有機物を分離することが出来ず、再利用はできなかった。
【0147】
また、洗浄システムが非常に高価で洗浄時間がかかるため、洗浄物としては金型など非常に高価で繰り返し使用される部品が主たる応用であった。
【0148】
これらの問題を解消しようとするものが第2及び第3実施形態である。
【0149】
本発明の加圧流動体による洗浄方法は、加圧された流動体を被洗浄物に接触させることによって被洗浄物の表面に付着する不純物を除去する方法であり、被洗浄物に接触している加圧された流動体の相状態を変化させることなく、その流動体の密度を変化させることを特徴とする洗浄方法である。
【0150】
特に、被洗浄物の密度が流動体の液体密度以下であって、その流動体の圧力、温度の少なくとも一つの条件を変化することによって、流動体の密度を被洗浄物の密度に対して高低を繰り返すことによって洗浄の効果が得る。この際に、加圧された流動体が超臨界流体であるときに、効果が高くなる。
【0151】
また、本発明の加圧流動体による洗浄方法は、加圧された流動体を被洗浄物に接触させることによって被洗浄物の表面に付着する不純物を除去する洗浄方法であり、加圧された第1の流動体の中に浸漬してなる被洗浄物に対して、その第1の流動体に対して密度の異なる加圧された第2の流動体を接触させて洗浄する。その際に、第1の流動体の相状態を変化させることなく、第2の流動体を被洗浄物に接触してなることを特徴とする洗浄方法である。
【0152】
この際に、第2の流動体が超臨界流体であるときに好ましい効果が得られる。特に、被洗浄物の密度が第1の流動体の液体密度以下であって、その被洗浄物の密度よりも密度が低い第2の流動体を被洗浄物に接触してなることで洗浄効果が高くなる。また、第1の流動体と第2の流動体とが同一であって、第1の流動体が液体であり、第2の流動体が超臨界流体である場合に特に好ましい効果が得られる。
【0153】
本発明の加圧流体による洗浄方法では、用いる流動体が二酸化炭素、水、アンモニア、亜酸化炭素、アルコールの少なくとも1つを含むことによって好ましい効果が得られる。
【0154】
また、本発明を適用する被洗浄物の表面に付着する不純物が潤滑油である場合に効果が高くなる。さらに、本発明を適用する被洗浄物が凹部構造を有する部品である場合に効果が高くなる。
【0155】
まず、第2実施形態について説明する。
【0156】
図29は、二酸化炭素や水等の流動体(流体)の状態図を示す。図29において、横軸は温度を表し、縦軸は圧力を表している。温度が臨界温度Tc102で圧力が臨界圧力Pc103の点(Tc、Pc)が臨界点101である。温度が臨界温度Tc102以上で圧力が臨界圧力Pc103以上の範囲が超臨界状態104である。この超臨界状態104においては、流動体が気体105、液体106、固体107とは異なる相である。この超臨界状態は、気体、液体、固体などとは異なる性質を示し流体であることが知られている。例えば、超臨界状態の流体の密度は、気体と液体の中間の値を有し、温度と圧力の条件で調整することも可能である。また、超臨界状態は密度だけでなく、洗浄に関して、イオン積、誘電率、拡散なども制御できるため高い洗浄効果を得る方法として用いることができる。
【0157】
さらに、洗浄に関しては、液体状態は密度が非常の大きいため、洗浄には効果的な流動体であり、場合によっては液体状態を用いることもある。また、超臨界状態だけでなく比較的高温、高圧の領域で、圧力、温度条件が超臨界状態に近い液体状態を亜臨界領域状態と呼ぶことがあり、この加圧された液体状態も洗浄に用いることがある。
【0158】
ここで、例えば、流動体として二酸化炭素の臨界温度Tc102は約31.1℃であり、二酸化炭素の臨界圧力Pc103は約7.38MPaである。水の場合は、臨界温度Tc102は約374.3℃であり、臨界圧力Pc103は約22.1MPaである。
【0159】
流動体としては、常温常圧で気体の物質が好ましく、二酸化炭素、水、アンモニア、亜酸化炭素等が用いられるが、その他に少し温度を上げると飛散するアルコールを用いても良い。中でも、二酸化炭素や水は人体側面においても無害であるため取り扱い性も良い。さらに二酸化炭素は臨界状態では有機物の分解、除去作用を有し、水は酸化物などのエッチング効果を有するため、それぞれの特徴を生かすことで凹部構造を有する部品の洗浄に有効である。
【0160】
本発明の第2実施形態にかかる洗浄方法については、凹部構造を有している部品に適用するのが好ましい。これらの部品は、特に凹部に加工油である潤滑油や不純物(切削くずなど)を付着させやすい。また、この凹部部分は入り組んだ構造であること、加工時に圧力が加わる部分であることから他の平坦な構造部分と比較すると加工油である潤滑油の付着性が高く、洗浄剤などが浸透し難いため洗浄むら、洗浄残りが発生しやすい。そこで、洗浄媒体として浸透性が高く、ある程度の粘性、溶解性を有している液体状態(亜臨界流体を含む)や超臨界状態の加圧された流動体を用いるのが効果が高い。
【0161】
次に、本発明の第2実施形態の加圧流体を用いた洗浄方法について説明する。
【0162】
本発明の第2実施形態である洗浄方法は、加圧された流動体を被洗浄物に接触させることによって被洗浄物の表面に付着する不純物を除去する方法であり、被洗浄物に接触している加圧された流動体の相状態を変化させることなく、その流動体の密度を変化させて洗浄するものである。特に、被洗浄物の密度が流動体の液体密度以下である場合に、その流動体の密度を制御することによって被洗浄物に加わる浮力を変える。それによって流動体の密度が被洗浄物の密度に対して高低を繰り返すのに伴って、流動体中で被洗浄物を上下に運動させ、攪拌効果を生じさせる方法である。この際に、加圧された流動体が超臨界状態の流体である場合には、密度を大きく変化させることができるので好ましい上に、密度変化に伴って誘電率等が変化して溶解性が変化する効果も有している。
【0163】
例えば、二酸化炭素では0.1MPa、30℃での気体の密度が約1kg/mであるのに対して、液体では30℃〜15℃で約600〜1600kg/m、超臨界状態では温度、圧力条件で変わるが臨界圧力以上で約200kg/mから1000kg/m以上まで制御することができる。したがって、被洗浄物はこれらの密度範囲を有するものが好ましい。
【0164】
被洗浄物の密度は、密度が約200kg/mから約1500kg/mの範囲であるものが好ましく、超臨界状態の流動体を用いる場合には、被洗浄物の密度は約200kg/mから約1000kg/mの範囲が好適である。被洗浄物としては、樹脂の成型体や内部に中空構造を有する軽量材からなる部品などが適して用いることができる。被洗浄物としては、例えば、中空ガラスビーズをエポキシ樹脂等で固めた部品は超音波センサの音響整合部品として用いられるが、成型する際に切削加工などによって中空ガラスビーズが切断されたり抜けたりしてビーズサイズの凹部構造が加工表面に形成されている。凹部構造の大きさは、幅、深さが数μmから数百μmであり、その内部に加工時に割れたガラス片が入っていて、単なる浸漬洗浄では除去することが困難である。また、成型時、加工時の残留油成分も表面や内部に存在することがある。これらの汚れを洗浄するのに本発明の効果を発揮できる。なお、適用できるものとしては、これに限定されるものではない。
【0165】
図30,図32,図33は、本発明の第2実施形態にかかる洗浄方法を行う洗浄装置の概略図である。特に、図32と図33は、流動体380の密度によって、被洗浄物214が軽くなったときに密着状態が解けて不純物381を除去しやすくなり、それを繰り返すことによって攪拌効果によって洗浄が行われることを示す図である。
【0166】
この装置は主な構成要素として、洗浄槽の一例は圧力容器210であり、不純物381を回収する分離容器220、流動体380を供給するボンベ(又はタンク)201と液体ポンプ202と、流動体380の温度調整器204と各容器を温度制御する温度制御装置211、221と、圧力制御バルブ203、213、223を制御する圧力制御装置230である。
【0167】
流動体380として二酸化炭素を用い、被洗浄物214として中空ガラスビーズのエポキシ樹脂硬化成型体(密度約550kg/m)を用いて説明する。被洗浄物214を洗浄用治具212内に入れて圧力容器210内に設置し、温度調整器204、圧力制御バルブ203で温度、圧力条件を調整して流動体380を圧力容器210内に液体ポンプ202を用いて導入する。圧力容器210は、容器用の温度制御装置211と圧力制御装置230を用いて洗浄条件を制御する。二酸化炭素は、約47℃、約12MPaの超臨界状態の流動体380として、圧力容器210に送られる。この条件での二酸化炭素の密度は約600kg/mであるために、被洗浄物214は、圧力容器210中では二酸化炭素の流動体に浮いている状態になっている。この初期状態から温度一定で圧力を制御すると、流動体380の密度は約10MPaで約500kg/mになり、被洗浄物214の密度よりも軽くなるために被洗浄物214は沈みはじめる。また、初期状態から圧力一定で温度を制御すると、流動体380の密度は約55℃で約500kg/mになり、被洗浄物214の密度よりも軽くなるために被洗浄物214は沈みはじめる。圧力又は温度、あるいは両者を制御して流動体380の密度を高くしたり低くしたりすることで、被洗浄物214を流動体380中で上がったり下がったりさせることができ(図33参照)、攪拌効果を高めることで洗浄効果を向上させることができる。これによって、超臨界状態の二酸化炭素に溶解しやすい潤滑油などの成分である不純物381は、被洗浄物214の凹部や狭部まで効果的に溶出除去することが容易になる。また、超臨界状態の二酸化炭素に溶解しにくいガラスや樹脂の切削粉などの成分である不純物381は被洗浄物214の凹部や狭部から押し出されて除去することが容易になる。
【0168】
なお、被洗浄物214の密度と流動体380の密度とが大略同一のときは、圧力制御装置230などの制御装置の動作制御の下に、攪拌羽根383を回転させて流動体380を攪拌させることにより、密度変化と同様に、被洗浄物214に加わえる浮力を変えるようにして、上記したような洗浄効果を奏するようにしてもよい。これは、上記した密度の高低ではなく、両者の密度を限りなく近くすることによって、他のメカニカルな作用で被洗浄物214同士の密着を容易に解く例である。この方法によって流動体の密度(圧力、温度)の高低を繰り返す必要が無くなるために、条件の制御は簡便になる。
【0169】
また、さらに外力による機械的な変動としては、メカニカルな攪拌だけでなく流動体のノズル噴射によっても実施することができるため、後述する図31は、本発明の第3実施形態における洗浄装置に適用した例として図36に流動体のノズル噴射とを組み合わせた例を示す。なお、図36において、400は部品毎に洗浄条件を換えるための部品(被洗浄物)情報データベースである。すなわち、情報データベース400内の情報に基づき、被洗浄物214の密度と流動体380の密度とが大略同一のときは、ノズル噴射により、被洗浄物214同士の密着を容易に解くようにしている。この方法によって流動体の密度(圧力、温度)の高低を繰り返す必要が無くなるために、条件の制御は簡便になる。
【0170】
また、本方法では、初期状態で被洗浄物214と加圧された流動体380の密度をほぼ一致させておくことで、圧力、又は温度の条件をわずかに変化させることで、被洗浄物214を加圧された流動体中で上下させることができるため、洗浄効果を発揮させやすくなる。また、図30では、圧力容器210全体の条件を制御する例を示しているが、被洗浄物214の近傍に加熱機構を設置して、被洗浄物214の近傍の温度を上げることでそこのみの密度を低下させて被洗浄物214を沈降させることも可能である。これらの条件は、被洗浄物214に付着している不純物の種類等によって使い分ければ良い。本方法の効果に加えて、圧力容器210の外部又は内部において攪拌効果を補助する機構を設けておけばさらに効果は高まる。これらの機構としては、回転羽根式の攪拌機構や超音波振動子による攪拌機構などを適宜用いることができる。
【0171】
被洗浄物214から除去した不純物を含む超臨界状態の二酸化炭素は、分離容器220へ送られ、圧力を制御して超臨界状態の二酸化炭素の圧力を低下させ、気体状態に戻す。この時、二酸化炭素に溶解している不純物は溶解度の低下に伴って分離するために洗浄残留物222として回収される。また、二酸化炭素に不溶の不純物381は沈降して洗浄残留物222として回収される。圧力容器210と別の容器で不純物381を回収することによって、部品への再付着を防ぐことができる。
【0172】
図30において流動体は、気体状態から排気する形になっているが、この気体状態の二酸化炭素を冷却しながら液体ポンプに送り再度加圧して、再使用することもできる。そのため、連続的な洗浄装置を提供することができる。
【0173】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態である洗浄方法について説明する。
【0174】
第3実施形態も加圧された流動体を被洗浄物に接触させることによって被洗浄物の表面に付着する不純物を除去する方法であり、被洗浄物に接触している加圧された流動体の相状態を変化させることなく洗浄効果を高める方法である。本方法では、第1の流動体の相状態を変化させることなく、第2の流動体を被洗浄物に接触させることによって特に優れた効果が得られる。加圧された第1の流動体の中に浸漬してなる被洗浄物に対して、その第1の流動体に対して密度の異なる加圧された第2の流動体を接触させることによって、被洗浄部に噴射や泡沫等による攪拌効果を向上させる。
【0175】
さらに、第2の流動体が超臨界状態の流体である場合には、凹部や狭部を有する部品などの被洗浄物に対しては、超臨界流体の拡散性の高さによって洗浄しにくい部品の奥まで効果的に不純物を除去できる。この際に、加圧された流動体が超臨界状態の流体である場合には、密度を大きく変化させることができるので好ましい上に、密度変化に伴って誘電率等が変化して溶解性が変化する効果も有している。
【0176】
また、第1の流動体と第2の流動体とが同一であって、第1の流動体が液体であり、第2の流動体が超臨界流体である場合に特に好ましい効果が得られる。2つの流動体が異なる場合には両者の溶解性の相違を用いて洗浄効果を高めることができるが、二つの流動体が同じ場合には洗浄後の流動体の再利用をするのに流動体を分離する必要が無く効率的な洗浄が可能になるという利点がある。また、被洗浄物の密度が第1の流動体よりも低く第2の流動体よりも高い場合には、第2実施形態と同様に、第2の流動体が被洗浄物に接触させて浮力を制御することによる攪拌効果を与えることができ、洗浄効果が向上できる。
【0177】
図31は、本発明の第3実施形態の洗浄方法を行う洗浄装置の概略図である。この装置は主な構成要素として、洗浄槽は圧力容器310であり、不純物を回収する分離容器320、第1の流動体を供給するボンベ(又はタンク)301と液体ポンプ302と、第1の流動体の温度調整器304と各容器を温度制御する温度制御装置311、321と、圧力制御バルブ303、313、323を制御する圧力制御装置330である。これに、第2の流動体を供給するボンベ(又はタンク)341を液体ポンプ342と、第2の流動体の温度調整器344と圧力制御バルブ343を制御する圧力制御装置330を用いて被洗浄物314近傍に第2の流動体を接触させる。
【0178】
流動体として二酸化炭素を用い、被洗浄物314としてハット型のSUS(ステンレススチール)ケースに代表される凹部を有するプレス成型加工された部品又は切削加工法によって形成された部品を用いて説明する。被洗浄物314を洗浄用治具312内に入れて圧力容器310内に設置し、温度調整器304、圧力制御バルブ303で温度、圧力条件を調整した流動体を圧力容器310内に液体ポンプ302を用いて導入する。圧力容器310は、容器用の温度制御装置311と圧力制御装置330を用いて洗浄条件を制御する。二酸化炭素は、液体状態で圧力容器310に送り被洗浄物314を浸漬して洗浄に用いる。さらに、圧力容器310中の凹部構造を有する被洗浄物314に対して、第2の流動体を供給するボンベ(又はタンク)341を液体ポンプ342と、第2の流動体の温度調整器344と圧力制御バルブ343を制御する圧力制御装置330を用いて被洗浄物314近傍に噴出し部345を通して第2の流動体としての超臨界状態の二酸化炭素を接触させる。
【0179】
凹部構造を有する被洗浄物314は圧力容器310中に配置しており、第1の流動体中で洗浄されながら、第2の流動体によって洗浄効果を促進することになる。第2の流動体の噴出し部345が、被洗浄物314の開口部に向けて設置している場合は洗浄しにくい奥まで洗浄を行いやすくできる。効果としては、密度の異なる流体の接触による拡散等による攪拌効果とそれに伴う不純物のはく離除去効果、溶解度の異なる流体による様様な溶解度を有する不純物に対する溶解除去効果、両流動体に圧力差がある場合には圧力の均等化への衝撃による振動効果などが働き、洗浄効果が加速されるものと考えられる。これによって、流動体に溶解しやすい潤滑油などの成分は、被洗浄物の凹部や狭部まで効果的に溶出除去することが容易になる。また、流動体に溶解しにくいガラスや樹脂の切削粉などの成分は被洗浄物の凹部や狭部からはく離や押し出されて除去することが容易になる。このときに第2の流動体を接触させるタイミングは連続でも間欠でもよく、一定速度でも、速度変調を行ってもよく、被洗浄物等に応じて設定すればよい。
【0180】
また、被洗浄物314の密度が第1の流動体の液体状態での密度よりも低い場合には、密度の異なる第2の流動体を接触させることによって、第2実施形態と同じ被洗浄物の上下運動による攪拌効果等が得られ、洗浄効果が向上される。
【0181】
また、被洗浄物314から除去した不純物を含む第1の流動体と第2の流動体が混合した流動体は、分離容器320へ送られ、圧力又は温度を制御して混合流動体を分離して回収すると共に、洗浄残留物322を分離回収する。分離した各流動体はそれぞれ加圧して循環利用することができる。また、第1と第2の流動体が同一であれば、洗浄装置及び洗浄操作は簡略化できる。
【0182】
本発明の第2及び第3実施形態にかかる洗浄方法及び洗浄装置で洗浄効果が期待できる部品は主にエレクトロニクス関連に用いられる電子部品及びその関連部品である。特に、プレス成形加工及び切削加工による精密加工部品である。これらの部品は、加工精度を向上させるためには必ず加工油である潤滑油が必要不可欠である。しかし、この加工油の残留が次工程の処理、例えばメッキ処理や接着などの性能特性に影響を与え、デバイス及び製品としての性能や信頼性の低下を引き起こす。そのため、高レベルの残留物除去、すなわち精密洗浄を必要とする部品に効果を発揮する。応用商品としては、超音波センサの整合層や電池の電極(特に二次電池など)。その他としては電池用ケース、HDD用ケース(筐体ともいう)、電解コンデンサ用のケースなどがある。超音波センサ用の整合層などは無機系のガラスバルーンと有機系のエポキシを混合したもの、無機系のガラスバルーンだけのもの、有機系のエポキシだけのものなど様々な素材が用いられる。また、超音波センサ用ケースなどは素材がステンレス、アルミニウム、エポキシ樹脂である。加工はプレス成型加工による深絞りや樹脂成形、切削加工で加工される。電池用ケースについては一般にアルミニウム又は最近ではアルミニウムにメッキを施した多層鋼材が用いられプレレス成型加工で作製される。HDD用ケースとしては素材としてアルミニウムが使用され、最近では特にアルミニウムに有機物系のコートをした複合鋼材が用いられプレス成型加工される。電解コンデンサ用ケースも同様に素材はアルミニウム単体のものやアルミニウム素材の上に有機膜のコートを施した複合鋼板を用いてプレス成形加工される。このように、素材の異なる有機物と無機物が積層された複合材料に対しても工程や使用洗浄媒体であるガス種を選択することで応用可能である。なお、これらの製品分野に限らず、プレス成型加工及び切削加工に加工された凹部構造を有する部品にも効果を有することは論じるまでもない。
【0183】
以下具体的な実施例により、この発明の第2及び第3実施形態の効果の説明を行う。
【0184】
(実施例8)
中空ガラスビーズ(約30μm)をエポキシ樹脂で含浸して加熱硬化した成型体を所定の部品形状に切削加工した後に洗浄を行った。部品形状は直径φ10.8mm×高さ1.15mmであり、密度は約550kg/mであった。この部品は、加工面で中空ガラスビーズが切断されたり、抜けたりしてビーズサイズの凹部構造が多数存在している。
【0185】
なお、洗浄の効果は、外観検査と、表面付着した非溶解性のパーティクル量を測定して評価した。外観検査については目視で欠け、割れ等が無いかを確認し、パーティクルについては洗浄後に実体光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡によって部品表面及び凹部内部の不純物の存在を観察した。
【0186】
洗浄は、上記の部品100個ずつをカゴ状の洗浄用治具に入れて、流動体として二酸化炭素を用いて行った。以下の洗浄方法について比較した。
【0187】
(1)洗浄なし(2)超臨界状態の二酸化炭素(約57℃、13MPa、密度約550kg/m)中に浸漬後、10分間隔で12MPaと14MPaの間の昇降圧を繰返して3時間洗浄(3)超臨界状態の二酸化炭素(約47℃、12MPa、密度約600kg/m)中に3時間浸漬洗浄(4)液体状態の二酸化炭素(約20℃、密度約750kg/m)に1時間浸漬後、上記(2)の条件で洗浄(5)超臨界状態の二酸化炭素(約47℃、12MPa、密度約600kg/m)中に1時間浸漬後、温度一定で急激に圧力開放をして容器内を気体状態にすることを3回繰返して洗浄した結果を表8に示す。
【0188】
【表8】
Figure 2004105947
【0189】
この部品の場合には、洗浄を行っても、(3)、(4)のように単に部品を加圧した二酸化炭素に浸漬しておくだけでは、不純物、特に二酸化炭素に不溶性のものについては洗浄効果が低いことがわかった。これは、部品が流体に浮いてしまっており、部品同士が重なってしまい、その重なりの部分が離れずに洗浄されないためである。また、流体に接触しておくだけでは、部品の微小な凹部の奥まで不純物除去が難しいことがわかった。また、(5)のように、流体の急激な相変化を生じさせることは、その衝撃で不純物の除去は促進されるが、密度の低い本部品では、部品同士の衝突による欠けや割れが見られるものがあった。
【0190】
これらに対して、本発明の洗浄方法である(2)では、凹部まで良好に洗浄が行われていることがわかった。この効果は、圧力容器の内部を観察した結果、加圧された二酸化炭素の密度が変化することによって部品が上下して接触面が離れるとともに、それに伴う攪拌効果が作用するために生じるものであることがわかった。
【0191】
(実施例9)
プレス成型加工及び切削加工されたケースの洗浄を行った。材質はSUS304、大きさはφ12mm、高さ5mmの凹部構造を有するケースである。
【0192】
なお、洗浄の効果は、ケースは100個ずつ洗浄し分析を行い、外観検査と、残留油分検査と、表面付着した非溶解性のパーティクル量を測定して評価した。外観検査については目視で欠け、割れ等が無いかを確認した。残留油分分析は溶剤(四塩化炭素)で油分抽出したのちその抽出油分をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)で測定した。また、パーティクルについては洗浄後パーティクル検査機(Topcon製ウェーハ表面検査装置WM−1700/1500)を用いて測定した。
【0193】
洗浄は、上記の部品100個ずつをカゴ状の洗浄用治具に入れて、1つの流動体だけを用いる場合には二酸化炭素を用いた。また、2つの流動体を用いる場合には、第1の流動体として液体状態の二酸化炭素、第2の流動体として超臨界状態の二酸化炭素を用いて行った。以下の洗浄方法について比較した。
【0194】
(1)液体状態の二酸化炭素(約20℃)に浸漬した状態で、超臨界状態の二酸化炭素(約47℃、12MPa)を噴出して部品にあてながら、3時間洗浄(2)超臨界状態の二酸化炭素(約47℃、12MPa)中に3時間浸漬洗浄(3)液体状態の二酸化炭素(約20℃)に1時間浸漬後、上記(2)の条件で洗浄(4)超臨界状態の二酸化炭素(約47℃、12MPa)中に1時間浸漬後、温度一定で急激に圧力開放をして容器内を気体状態にすることを3回繰返して洗浄した結果を表9に示す。
【0195】
【表9】
Figure 2004105947
【0196】
いずれの方法も外観は油分の付着による変色は見られず、加圧した二酸化炭素を用いることで残留油分量は少なくすることができていた。しかし、二酸化炭素に不溶性のパーティクルについては浸漬のみの洗浄では、効果が小さいことがわかった。特に、凹部構造の内部に存在していることが観察された。これらに対して、本発明の洗浄方法である(1)では不純物の除去に対して良好に洗浄が行われていることがわかった。
【0197】
本発明によれば、凹部構造を有する部品に対して加圧された流動体の密度を制御して接触させることによって、加圧された流動体の溶媒効果による流動体に溶解する潤滑油などの不純物を効率的に除去することができる。さらに、部品に接触させる流動体の密度を制御して攪拌効果を持たせることによって、流動体に不溶の不純物を効率的に除去することができる。したがって、本発明では洗浄処理において、その部品に適した洗浄条件の最適化によって、加圧された流動体の溶媒効果に加えて、攪拌効果を同時に与えることでき、効率的な部品の洗浄を行わせることができため、工業的に価値の大なるものである。
【0198】
また、上記した密着を解くための技術を応用することにより、表面改質するために被処理物と被処理物の接している密着を解くことによって、被処理物の表面を均質に、水酸基などの形成による親水化、表面処理剤などによる撥水化、撥油化、表面への他材料のコートすることなどに応用することも可能である。なお、表面改質については、第2流動体を噴射するケースでは、この流動体に処理剤を添加しておくことで、効率的に表面改質が可能になるという効果を得ることもできる。また、抽出するために被処理物と被処理物の接している密着を解くことによって、被処理物の内部からの成分抽出を効率的に行うことが可能になり、潤滑油などの油脂抽出、植物等からのエキス抽出、香料抽出などにも適用することができる。
【0199】
上記表面改質では、洗浄処理物であるケースと不純物である潤滑油とCOとを加圧することで、流動体であるCOの特性が潤滑油など油脂分と親和性になる(溶解度が高くなる)ことを利用している。
【0200】
上記抽出では、ミクロ的には分子同士の密着を解き、マクロ的には溶解させるように、COの温度と圧力を変化させることで、抽出する対象物のCOへの溶解度を変える(言い換えれば、溶媒であるCOの密度を変える)ことを利用して、溶媒中に抽出する対象物を溶かしたのち、温度と圧力を下げて、抽出する対象物を析出させて抽出している。
【0201】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0202】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0203】
【発明の効果】
本発明によれば、凹部構造を有する部品を液化ガスや超臨界流体の洗浄媒体を用いて洗浄することで、洗浄効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における洗浄媒体の状態図である。
【図2】(A),(B),(C),(D)は、本発明の第1実施形態における凹部構造を有する部品の例を示す断面図及び斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態のおける洗浄システムを示す説明図である。
【図4】(A),(B)は、本発明の第1実施形態における洗浄工程を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態のおける洗浄状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の実施例1における洗浄対象物を示す説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態の実施例3における洗浄対象物を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態の実施例3における接触角を説明する説明図である。
【図9】水の物性の温度依存性を示す説明図である。
【図10】(A),(B)は、マクロ的に汚れが残りやすい部分を矢印で示す説明図とミクロ的に汚れが残りやすい部分を矢印で示す説明図である。
【図11】マクロ的に汚れが残りやすい部分を矢印で示す説明図である。
【図12】本発明の第1実施形態の洗浄方法における洗浄対象物の他の例である超音波センサーケースの概略断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態の洗浄方法における圧力制御時のタイムチャートである。
【図14】本発明の第1実施形態の洗浄方法における温度制御時のタイムチャートである。
【図15】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において2層式のチャンバーを用いて圧力を高めるときの説明図である。
【図16】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において2層式のチャンバーを用いて圧力を下げるときに2層に分けている扉を開いた状態の説明図である。
【図17】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において液体状態で熱媒体を供給する状態の説明図である。
【図18】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において気体状態で熱媒体を供給する状態の説明図である。
【図19】本発明の第1実施形態の洗浄装置の制御装置と温度制御用リレーと圧力制御用リレーとの関係を示す説明図である。
【図20】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において洗浄効率を高めるために掻き回し用のプロペラを回転させる状態の説明図である。
【図21】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において洗浄効率を高めるために掻き回し用のプロペラを回転させる状態の説明図である。
【図22】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において洗浄効率を高めるために掻き回し用のプロペラを回転させる状態の説明図である。
【図23】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において洗浄効率を高めるために掻き回し用のプロペラを回転させるとともにノズルからも洗浄媒体を供給する状態の説明図である。
【図24】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において洗浄効率を高めるためにノズルから洗浄媒体を供給する状態の説明図である。
【図25】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において洗浄効率を高めるために掻き回し用のプロペラを回転させるとともに超音波センサーから超音波を供給する状態の説明図である。
【図26】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において洗浄効率を高めるために超音波センサーから超音波を供給する状態の説明図である。
【図27】(A),(B),(C)は、本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置での様々なノズル形状を示す概略断面図である。
【図28】本発明の第1実施形態の変形例にかかる洗浄装置において洗浄効率を高めるために複数のノズルから洗浄媒体を順に供給して対流を生じさせる状態の説明図である。
【図29】二酸化炭素や水等の流動体(流体)の状態図である。
【図30】本発明の第1実施形態における洗浄装置の概略図である。
【図31】本発明の第2実施形態における洗浄装置の概略図である。
【図32】被洗浄物の密度が流動体の密度よりも大きい場合の被洗浄物と流動体との関係を示す概略説明図である。
【図33】被洗浄物の密度が流動体の密度よりも小さい場合の被洗浄物と流動体との関係を示す概略説明図である。
【図34】被洗浄物の密度と流動体の密度とが大略等しくかつプロペラを回転させない場合の被洗浄物と流動体との関係を示す概略説明図である。
【図35】被洗浄物の密度と流動体の密度とが大略等しくかつプロペラを回転させる場合の被洗浄物と流動体との関係を示す概略説明図である。
【図36】図30の洗浄装置に情報データベースを設けた場合の概略図である。
【符号の説明】
1 洗浄槽(高圧容器)
1a 導入口
1b 排出口
2 液化供給槽
3 洗浄媒体供給部(液体ポンプ)
4 ヒータコントローラー
5 ヒータ
6 廃液回収層
7 気化器
8 回収部
26 付着物
27,28,29,30,32 部品
31 洗浄対象物
101 臨界点
102 臨界温度Tc
103 臨界圧力Pc
104 超臨界状態
201 流動体の供給ボンベ(またはタンク)
202 液体ポンプ
203 圧力制御バルブ
204 温度調整器
210 圧力容器
211 温度制御装置
212 洗浄用治具
213 圧力調整バルブ
214 被洗浄物(部品)
220 分離容器
221 温度制御装置
222 洗浄残留物
223 圧力調整バルブ
230 圧力制御装置
301 第1の流動体の供給ボンベ(またはタンク)
302 液体ポンプ
303 圧力制御バルブ
304 温度調整器
310 圧力容器
311 温度制御装置
312 洗浄用治具
313 圧力調整バルブ
314 被洗浄物(部品)
320 分離容器
321 温度制御装置
322 洗浄残留物
323 圧力調整バルブ
330 圧力制御装置
341 第2の流動体の供給ボンベ(またはタンク)
342 液体ポンプ
343 圧力制御バルブ
344 温度調整器
380 流動体
381 不純物
1000 制御手段

Claims (19)

  1. 凹部構造を有する部品(27,28,29,30,32)の少なくとも上記凹部構造の表面に付着する付着物(26)を除去する洗浄方法において、
    上記付着物が付着した上記部品を洗浄槽(1)に収納し、
    上記洗浄槽内に洗浄媒体を導入して上記部品を上記洗浄媒体雰囲気中に存在させ、上記洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて上記洗浄媒体を液体状態と気体状態との交互の状態変化を行い、上記凹部構造表面に洗浄媒体が行き渡るようにして洗浄を行う洗浄方法。
  2. 上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、上記洗浄媒体を超臨界状態に変化させて上記凹部構造表面の洗浄を行う請求項1に記載の洗浄方法。
  3. 上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、上記洗浄媒体を亜超臨界状態に変化させて上記凹部構造表面の洗浄を行う請求項1に記載の洗浄方法。
  4. 上記洗浄媒体に対して液体状態から温度一定で圧力を変化させて気体状態と液体状態とを交互に繰り返して状態変化をさせる請求項1又は2に記載の洗浄方法。
  5. 上記洗浄媒体に対して温度一定で圧力を変化させて気体状態と液体状態とを交互に繰り返して状態変化をさせる請求項1又は2に記載の洗浄方法。
  6. 凹部構造を有する部品(27,28,29,30,32)の少なくとも上記凹部構造の表面に付着する付着物(26)を除去する洗浄方法において、
    上記付着物が付着した上記部品を洗浄槽(1)に収納し、
    上記洗浄槽内に第1洗浄媒体を導入して上記部品を上記第1洗浄媒体の雰囲気中に存在させ、上記第1洗浄媒体に対して温度や圧力を変化させて上記第1洗浄媒体を超臨界状態に変化させて、上記凹部構造の上記表面に上記第1洗浄媒体が行き渡るようにして洗浄を行った後、更に第2洗浄媒体としての液体による液体洗浄を上記部品に行う洗浄方法。
  7. 上記洗浄媒体は二酸化炭素ガス、又は、水である請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  8. 上記第1洗浄媒体は二酸化炭素であり、上記第2洗浄媒体は水であり、当該第2洗浄媒体である水を超臨界状態に変化させて上記凹部構造の上記表面の洗浄を行う請求項6に記載の洗浄方法。
  9. 洗浄槽(1)と、
    上記洗浄槽に洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給部(3)と、
    上記洗浄媒体に温度変化を与える加熱装置(5)と、
    上記洗浄媒体に圧力変化を与える加圧装置(3)と、
    上記洗浄媒体供給部、加熱装置、加圧装置とを制御する制御手段(1000)とを備え、
    上記加熱装置、加圧装置の少なくとも一方を制御することにより、上記洗浄媒体に対して液体状態と気体状態との交互の状態変化を行った後、洗浄媒体を超臨界状態、あるいは亜臨界状態に変化させて上記洗浄槽内の部品の凹部構造表面の洗浄を行う洗浄装置。
  10. 洗浄媒体を導入する導入口(1a)と洗浄媒体を排出する排出口(1b)とを有するとともに洗浄対象物(31)を収納する洗浄槽(1)と、
    上記導入口を介して上記洗浄媒体を上記洗浄槽に供給する洗浄媒体供給部(3)と、
    上記洗浄媒体に温度変化を与える加熱装置(5)と、
    上記洗浄媒体に圧力変化を与える加圧装置(3)と、
    上記洗浄媒体供給部、加熱装置、加圧装置とを制御する制御手段(1000)と、
    上記排出口から排出された洗浄媒体を回収し洗浄後の除去物質を収集する回収部(8)とを備え、
    上記加熱装置、加圧装置の少なくとも一方を制御することにより、上記洗浄槽に収納された凹部構造を有する上記洗浄対象物に超臨界ガス又は液化ガスを用いて上記凹部構造表面に洗浄媒体が行き渡るようにして洗浄を行うと共に、上記導入口が上記排出口よりも下側に位置し、上記排出口は洗浄対象物よりも上側に位置している洗浄装置。
  11. 凹部構造を有する部品はプレス成型、あるいは切削加工法によって形成された構造体である請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  12. 上記凹部構造を有する部品はプレス成型加工法又は切削加工法によって形成された構造体であり、上記構造体は主に金属材料から構成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  13. 上記凹部構造を有する部品を形成する金属材料は、主成分が、Fe、Al、Cu、又は、Tiから構成される請求項12に記載の洗浄方法。
  14. 上記凹部構造を有する部品はプレス成型加工法又は切削加工法によって形成されたれた構造体であり、上記構造体は主に有機材料から構成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  15. 上記凹部構造を有する部品を形成する有機材料は、主成分が、ポリイミド、又は、エポキシからなる請求項14に記載の洗浄方法。
  16. 上記凹部構造を有する部品はプレス成型加工法又は切削加工法によって形成された構造体であり、上記構造体は主にセラミック材料から構成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  17. 上記凹部構造を有する部品を形成するセラミック材料は、主成分が、SiO、PZT、Ag、又は、Cからなる請求項16に記載の洗浄方法。
  18. 上記凹部構造を有する部品は、主に金属と有機材料の複合体、主に有機材料とセラミック材料の複合体、あるいは主に金属、有機材料とセラミック材料の複合体から構成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  19. 凹部構造を有する部品は、超音波センサー用の整合層、あるいは電子部品用、超音波センサー用、電池用、ハードディスクドライブ用、電解コンデンサー用の各種ケースである請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄方法。
JP2003132018A 2002-05-20 2003-05-09 凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置 Expired - Fee Related JP3697448B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003132018A JP3697448B2 (ja) 2002-05-20 2003-05-09 凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002144246 2002-05-20
JP2002213403 2002-07-23
JP2003132018A JP3697448B2 (ja) 2002-05-20 2003-05-09 凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004105947A true JP2004105947A (ja) 2004-04-08
JP2004105947A5 JP2004105947A5 (ja) 2005-07-21
JP3697448B2 JP3697448B2 (ja) 2005-09-21

Family

ID=32303239

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003132018A Expired - Fee Related JP3697448B2 (ja) 2002-05-20 2003-05-09 凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3697448B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017057500A (ja) * 2015-09-18 2017-03-23 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 内部流路処理のための超臨界水による方法
JP2020012178A (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 株式会社不二越 洗浄システム
CN113644333A (zh) * 2021-08-11 2021-11-12 华南师范大学 一种回收电池中电解液的装置和方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017057500A (ja) * 2015-09-18 2017-03-23 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 内部流路処理のための超臨界水による方法
US10221488B2 (en) 2015-09-18 2019-03-05 General Electric Company Supercritical water method for treating internal passages
JP2020012178A (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 株式会社不二越 洗浄システム
JP7125600B2 (ja) 2018-07-20 2022-08-25 株式会社不二越 洗浄システム
CN113644333A (zh) * 2021-08-11 2021-11-12 华南师范大学 一种回收电池中电解液的装置和方法
CN113644333B (zh) * 2021-08-11 2022-07-29 华南师范大学 一种回收电池中电解液的装置和方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3697448B2 (ja) 2005-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7507297B2 (en) Cleaning method and cleaning apparatus
US7267727B2 (en) Processing of semiconductor components with dense processing fluids and ultrasonic energy
JPH03140485A (ja) 脱脂洗浄方法および装置
US6783602B2 (en) Multistep single chamber parts processing method
WO2003097258A1 (fr) Procede et dispositif de lavage
US20080000505A1 (en) Processing of semiconductor components with dense processing fluids
US7270717B2 (en) Compositions and methods for cleaning contaminated articles
CN1551296A (zh) 清洁装置
JP3699962B2 (ja) 加圧流動体による洗浄方法
JP3697448B2 (ja) 凹部構造を有する部品の洗浄方法及び洗浄装置
JP2004050109A (ja) 部品の洗浄方法及び洗浄装置
KR100734342B1 (ko) 아세틸렌계 디올 및/또는 알콜을 포함하는 고밀도 유체를사용한 기판의 처리
CN114653679A (zh) 一种碳化硅晶片表面有机污染物清洗方法
JPH1043702A (ja) 超臨界洗浄装置
JP5197228B2 (ja) 被処理物洗浄方法及び被処理物洗浄装置
JP2006041065A (ja) 固体噴霧洗浄方法
TW496789B (en) Cleaning processes using hydrofluorocarbons and/or hydrochlorofluorocarbon compounds
Reinhardt et al. AN ADVANCED BEOL CLEANING METHOD
US20080257386A1 (en) Water-Based Cleaning
Paciej et al. EVALUATION OF PLASMA CLEANING, PROCESS, FOR REMOVING
JPH06330361A (ja) グリース及び/又はオイルを含有する物質の付着した物品を脱脂しかつ浄化するための方法
JP2004305908A (ja) ガラス基板の洗浄方法およびその装置
JPH0839019A (ja) 乾燥方法
AU2004305141A1 (en) Water-based cleaning
JPS6265704A (ja) 脱水方法

Legal Events

Date Code Title Description
A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20041105

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20041125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050405

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050603

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050628

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050704

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100708

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110708

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110708

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120708

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120708

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130708

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees