JP2004105914A - スピードスプレーヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】室外用熱交換ユニットが、散布される薬液によって腐食することのないスピードスプレーヤを提供することを目的とする。
【解決手段】キャビン11用の空調機を具備するスピードスプレーヤ10において、薬液タンク15の下方で、車輌本体20の外方に面する側面33aと下面33bのみが開口するよう形成された収納空間33内に、空調機の室外用熱交換ユニット22が、室外用熱交換ユニット22の空気を吸い込む面30aを、車輌本体20の前側斜め下に向けた姿勢で配設され、収納空間33の開口する側面33aには、室外用熱交換ユニット22の空気を排出する側の上部斜め半分のみに排気孔36が設けられたサイドカバー35が配設されていることを特徴とする。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビン用の空調機を有するスピードスプレーヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に示されるスピードスプレーヤ10は、圃場で農薬等の薬液を噴霧する車輌であり、車輌本体20の後部の風洞19内にエア導入用の動翼を設け、動翼から導入したエアを車輌本体20の上方及び側方に吹き出して薬液を噴霧するよう構成されている。
車輌本体20の前部には、ハンドル14、運転席等が配設されるキャビン11が設けられているが、特に図4に示したスピードスプレーヤ10は、運転者を果樹の枝や散布された薬液から保護するため、運転者の四方を囲む密閉型のキャビン11となっている。
【0003】
密閉型のキャビン11を有するスピードスプレーヤは、キャビン11のフロントガラス21の曇りを防いだり、キャビン11内の空調を行うために空調機が装備される。空調機は、キャビン11内に配設される室内用熱交換ユニットの他に、キャビン11の室外に配置されて熱交換を行う室外用熱交換ユニット22を有する。室外用熱交換ユニット22は、略四角形の平面形状を有するコンデンサ30と、その上面30b側に設けられた電動式のファン31から成る(図3参照)。ファン31を作動させることによってコンデンサの下面30a側から空気をコンデンサ内に導入して、ファン31から放出して熱交換を行なう。
【0004】
従来、室外用熱交換ユニット22は、図4に示されるように、キャビン11の後方に配置される薬液タンク15の下方に設けられた収納空間33内に配設されていた。収納空間33は、同じく薬液タンクの下方で前輪12と後輪13の間の空間に配設される燃料タンク38の外壁面、薬液タンク15の底面及び車体フレーム等によって囲まれて、車輌本体20の側方に面する側面33aと、地面に面する下面33bのみが開口するよう形成されている。
このような収納空間33の内部で室外用熱交換ユニット22は、図6に示されるように空気を吸い込む面であるコンデンサの下面30aを、開口する側面33aに向けた姿勢で配置されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような室外用熱交換ユニット22の配設方法では、コンデンサ30が矢印のように車輌本体20の側方から空気を取り込むので、車輌本体20の側方及び上方に散布される薬液を、コンデンサ30内に空気と一緒に取り込んでしまう。このため、コンデンサ30が薬液によって腐食されてしまい、故障の原因となっていた。
【0006】
そこで、本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、室外用熱交換ユニットが、散布される薬液によって腐食することのないスピードスプレーヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、本発明は、キャビン用の空調機を具備するスピードスプレーヤにおいて、薬液タンクの下方で、車輌本体の外方に面する側面と下面のみが開口するよう形成された収納空間内に、前記空調機の室外用熱交換ユニットが、該室外用熱交換ユニットの空気を吸い込む面を、車輌本体の前側斜め下に向けた姿勢で配設され、前記収納空間の開口する側面には、前記室外用熱交換ユニットの空気を排出する側の上部斜め半分のみに排気孔が設けられたサイドカバーが配設されていることを特徴とする。
【0008】
室外用熱交換ユニットは、その空気を吸い込む面を、車輌本体の前側斜め下に向けた状態で配設されているので、車輌本体の前側にある薬液の混在していない清浄な空気を、収納空間の開口する下面を介してコンデンサに取り込むことができる。このとき、スピードスプレーヤの走行によって起きる空気流によって、車輌本体の前方にある清浄な空気がさらに取り込みやすくなる。これにより、コンデンサが薬液によって腐食し、故障することがなくなる。
【0009】
また、収納空間の開口する側面に、室外用熱交換ユニットの空気を排出する側の上部斜め半分のみに排気孔が設けられたサイドカバーを配設することにより、確実に、空気を開口する下面から取り込み、排気孔から排出することができる。これにより空気が室外用熱交換ユニットの付近を循環して、繰り返しコンデンサ内を通過することがなくなり、常に清浄な空気をコンデンサ内に取り込むことができるので、熱交換の効率を上げることができる。
【0010】
さらに、コンデンサの空気を吸い込む面が車輌本体の前側に向いているので、スピードスプレーヤの走行風を利用して、コンデンサ内に空気を効率良く取り込むことができる。
また、本発明は、前記サイドカバーは、開閉可能に設けられていることを特徴とし、室外用熱交換ユニットのメンテナンスが容易にできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面と共に詳細に説明する。
図1は、車輌本体を側方から見た際の、収納空間とその内部に配設された室外用熱交換ユニットを示す説明図であり、図2は、収納空間内を上方から見た際の説明図である。図3は、収納空間内に室外用熱交換ユニットが配設される際の姿勢を示す斜視図、図4はスピードスプレーヤの全体構成を示す概略図、図5は、図1のA―A´線における断面図である。
【0012】
本発明によるスピードスプレーヤの基本的な構成について、図4を用いて説明する。
車輌本体20の前部には密閉型のキャビン11が設けられ、内部にハンドル、運転席等が配設されている。その後方には、薬液が貯留される薬液タンク15が配設されている。さらに、その薬液タンク15の後方には、スピードスプレーヤの走行や、後述する動翼の駆動等に用いるエンジンが配設される動力部18が設けられている。
【0013】
車輌本体の最後部には、動翼、静翼を有する風洞19が設けられている。そして、風洞19と動力部18との間には、車輌本体20の上方及び側方に向けて開口する整流部23が配設され、薬液タンク15に繋がるノズル24は、整流部23の開口部に沿って配置されている。
【0014】
そして、本発明によるスピードスプレーヤ10では、前輪12と後輪13の間の、薬液タンク15の下方であり車輌本体20の側部となる位置に設けられた収納空間33内に、室外用熱交換ユニット22を配設する。収納空間33は、図1に示されるように、同じく薬液タンク15の下方で前輪12と後輪13の間の空間に配設される燃料タンク38の外壁面、薬液タンクの底面及び車体フレーム等によって囲まれて、車輌本体20の側方に面する側面33aと、地面に面する下面33bのみが開口するよう形成されている。
【0015】
また、図5に示されるように、収納空間33は、その上面33cを形成する薬液タンク15の部分に、車輌本体20の内部側から開口する側面33aに向けて徐々に大きくなる凹部15cが形成されることによって、内部側から側面33a方向に広がるように形成されている。
さらに側面33aには、その開口部分を覆うよう、車輌本体20の後部側の斜め上半分に複数の排気孔36が設けられたサイドカバー35を配設している。サイドカバー35は、蝶番によって車体フレームに固定され、開閉可能となっている。
【0016】
このような収納空間33に配設される室外用熱交換ユニット22は、図3に示されるように略四角形の平面形状を有するコンデンサ30と、その上面30b側に設けられた電動式のファン31から成る。ファン31を作動させることによってコンデンサの下面30a側から空気を吸い込んで、コンデンサ30を通過させ、ファン31側から放出して熱交換を行なう。
このような構成から成る室外用熱交換ユニット22は、収納空間33において、図3に示されるように、空気を吸い込む面であるコンデンサの下面30aを、車輌本体20の前側(矢印B方向)斜め下に向けた姿勢で配設されている。従って下面30aの反対側にあるファン31は車輌本体20の後方斜め上を向くように配設される。
【0017】
上記構成から成るスピードスプレーヤでは、薬液は、車輌本体の後部に位置するノズル24から、整流部23の開口形状に倣って車輌本体の側方及び上方に向かって散布される。
そして、室外用熱交換ユニット22が空気を吸い込む際の空気の流れを図1及び図3の矢印Nで示し、排出した空気の流れを図2、図3及び図5の矢印Tで示す。
【0018】
図に示されるように、室外用熱交換ユニット22は、その空気を吸い込む面30aを、車輌本体20の前側斜め下に向けた状態で配設されているので、車輌本体20の前側にある薬液の混在していない清浄な空気を、収納空間33の開口する底面33bを介してコンデンサ30内に取り込むことができる。このとき、サイドカバーは、面30aの側方である前側斜め下半分については、排気孔が配設されず、開口していないので、車輌本体の側方から空気がコンデンサ30内に吸い込まれることがない。これにより、コンデンサ30が薬液によって腐食し、故障することがなくなる。
さらに、このとき、スピードスプレーヤの走行によって起きる空気流によって、車輌本体20の前方にある清浄な空気がより取り込みやすくなる。空気が取り込みやすくなることで、効率良く熱交換もできる。
【0019】
また、開口する側面33aに、ファン31の側方である上部斜め半分のみに排気孔36が設けられたサイドカバー34を配設することにより、確実に、排気孔36から車輌本体側方へと排出することができる。また、ファン31が、車輌本体の側方へと排出した空気を再び取り込んでしまうこともなく、常に清浄な空気をコンデンサ内に導入することができ、熱交換の効率を上げることができる。
【0020】
さらに、図5に示されるように収納空間33はその上面33cが、薬液タンク15の凹部15c形状によって、内部側から側面33aに向かって広がるように形成されているので、収納空間33の内部で、コンデンサ30から排出される空気がよどむことなく、速やかに排気孔36を介して車輌本体20から外方へと排出できる。
また、サイドカバー35は蝶番によって開閉可能に設けられているので、収納空間33内の室外用熱交換ユニット22のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0021】
以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
例えば、全面に複数の通気孔を有するアンダーカバーを収納空間の下面33bの、開口部分を覆うよう配設すると、通気孔を介してコンデンサ内に空気を導入することができる上に、コンデンサを草木や石等から防護することができる。
また、室外用熱交換ユニットは、ファンがコンデンサの空気を吸い込む方の面に付設されて、コンデンサに空気を送り込むものでも良い。
【0022】
【発明の効果】
薬液が混合した空気が導入されることがなく、空調用コンデンサが薬液によって腐食することのないスピードスプレーヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車輌本体を側方から見た際の収納空間を示す説明図である。
【図2】上方から見た際の室外用熱交換ユニットの姿勢を示す説明図である。
【図3】収納空間内に配設された室外用熱交換ユニットの姿勢を示す斜視図である。
【図4】スピードスプレーヤの全体構成を示す概略図である。
【図5】図1のA−A´線における断面図である。
【図6】従来の室外用熱交換ユニットの配置方法を示す説明図である。
【符号の説明】
10 スピードスプレーヤ
11 キャビン
12 前輪
13 後輪
14 ハンドル
15 薬液タンク
18 動力部
19 風洞
20 車輌本体
21 フロントガラス
22 室外用熱交換ユニット
23 整流部
24 ノズル
30 コンデンサ
31 ファン
33 収納空間
35 サイドカバー
36 排気孔
38 燃料タンク

Claims (2)

  1. キャビン用の空調機を具備するスピードスプレーヤにおいて、
    薬液タンクの下方で、車輌本体の外方に面する側面と下面のみが開口するよう形成された収納空間内に、
    前記空調機の室外用熱交換ユニットが、該室外用熱交換ユニットの空気を吸い込む面を、車輌本体の前側斜め下に向けた姿勢で配設され、
    前記収納空間の開口する側面には、前記室外用熱交換ユニットの空気を排出する側の上部斜め半分のみに排気孔が設けられたサイドカバーが配設されていることを特徴とするスピードスプレーヤ。
  2. 前記サイドカバーは、開閉可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤ。
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