JP2004105858A - 熱膨張性マイクロカプセル - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性と耐溶剤性に優れた熱膨張性マイクロカプセルにおいて、熱膨張性が優れた熱膨張性マイクロカプセルの提供。
【解決手段】ニトリル系モノマーを含有するモノマー成分から得られるポリマーをシェル壁とし、該ポリマーの軟化温度以下でガス状になる揮発性膨張剤をマイクロカプセル化した熱膨張性マイクロカプセルであって、多官能性モノマーを除く残存モノマー(以下、残存モノマーと称す)の合計量が50ppm以上である熱膨張性マイクロカプセル。
【選択図】 なし
【解決手段】ニトリル系モノマーを含有するモノマー成分から得られるポリマーをシェル壁とし、該ポリマーの軟化温度以下でガス状になる揮発性膨張剤をマイクロカプセル化した熱膨張性マイクロカプセルであって、多官能性モノマーを除く残存モノマー(以下、残存モノマーと称す)の合計量が50ppm以上である熱膨張性マイクロカプセル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱膨張性マイクロカプセル、特に発泡倍率が高く、且つ、発泡適正温度領域の広いマイクロカプセルに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリマーを壁材として、該ポリマーの軟化温度以下でガス状になる揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法は広く知られている。例えば特公昭42−26524号公報には、低沸点の脂肪族炭化水素などの発泡剤を単量体に添加し、この単量体混合物に油溶性触媒を混合し、次いで、分散剤を含有する水系分散媒体中に単量体混合物を攪拌しながら添加し、懸濁重合をおこなうことにより発泡剤を包含したマイクロカプセルを製造する方法が開示されている。また、特公平5−15499号公報には、ニトリル系モノマー80〜97重量%、非ニトリル系モノマー20〜3重量%および三官能性架橋剤0.1〜1重量%を含有するモノマー成分から得られるポリマーを用いて、揮発性膨張剤をマイクロカプセル化する熱膨張性マイクロカプセルの製造方法が記載されているが、この場合、140℃以下では発泡せず十分な熱膨張性が得られない場合がある。熱膨張性マイクロカプセルには、高い発泡倍率、安定した発泡性が要求され発泡温度領域に広い発泡性マイクロカプセルが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発泡倍率が高く、且つ、発泡温度領域の広い、発泡性に優れた熱膨張性マイクロカプセルを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ニトリル系モノマーを含有するモノマー成分から得られるポリマーをセル壁とし、該ポリマーの軟化温度以下でガス状になる揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルであって、揮発性膨張剤の含有量が20重量%以上である熱膨張性マクロカプセルである。
請求項2記載の発明は、熱膨張剤がn−ペンタン40〜65重量%とn−ヘキサン35〜60重量%とからなる請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセルである。
請求項3記載の発明は、セル壁がニトリル系モノマ−66〜99.9重量%を含有するポリマーからなり、該ニトリル系モノマー中の30〜60重量%がメタクリロニトリルである請求項1又は2に記載の熱膨張性マイクロカプセルである。
請求項4記載の発明は、ニトリル系モノマーの残留量が300ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の熱膨張性マイクロカプセルである。
【0005】
本発明において用いられるニトリル系モノマーは、ニトリル基を含有する重合性二重結合を有するモノマーであり、具体的には、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好適に用いられる。ニトリル系モノマーとしては1種類が単独で用いられても良いし2種類以上が併用されても良いが、メタクリロニトリルを含有せしめるのが好ましく、その量はニトリル系モノマー中の30〜60重量%であるのが好ましい。
重合によりセル壁を構成する全モノマー中のニトリル系モノマーの量は88〜99.9重量%であるのが好ましく、88重量%未満の場合は、マイクロカプセル壁ののガスバリヤー性が低下したり、熱膨張性マイクロカプセルの発泡温度領域が狭くなってしまう。
【0006】
ニトリル系モノマーと共に用いられる非ニトリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等が挙げられる。これら非ニトリル系モノマーは、熱膨張性マイクロカプセルに必要な特性に応じて適宜選択されて使用され得るが、これらのなかでメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル等が好適に用いられる。重合によりセル壁を構成する全モノマー中の非ニトリル系モノマーの使用量は12重量%未満である。
【0007】
本発明においては、上記モノマー以外に、必要に応じてビニル基を2個以上有する多官能性モノマー(以後:架橋剤と称す)を用いても良く、架橋剤を用いることによりセル壁の強度を強化することができ熱膨張時にセル壁が破泡し難くなる。上記架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジアクリレート、数平均分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジメタクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0008】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルのセル壁は上記のモノマー成分を重合開始剤により重合せしめることにより得られる。重合開始剤としては、特に限定されず、一般に使用されているものを使用することができるが、使用するモノマーに可溶の油溶性重合開始剤が好ましく、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物等が挙げられる。
【0009】
上記重合開始剤の具体例としては、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化ジアルキル化合物、イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の過酸化ジアシル化合物、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1− メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル化合物、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート化合物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。
【0010】
上記マイクロカプセル内に包含される揮発性膨張剤としては、上記のモノマー成分から合成されるポリマーの軟化温度以下でガス状になる物質であれば特に限定されないが、低沸点有機溶剤が好適に用いられる。具体例としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの低分子量炭化水素化合物、CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン化合物、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシランなどのテトラアルキルシラン化合物等が挙げられる。これらの中でも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、石油エーテル等が好適に用いられ、特に好ましくは、n−ペンタン、n−へキサンである。高発泡倍率を得るためには高い蒸気圧が得られる低分子量の炭化水素を用いればよいが、n−ブタンよりも低分子量の炭化水素を用いた場合はガスがセル壁を透過しやすくなってしまい良好な発泡体が得られ難いことがある。。また、n−ヘプタンよりも高分子量の炭化水素を用いた場合には、熱膨張温度において十分な蒸気圧が得られず、蒸気圧を高めるために発泡温度を高くするとセル壁を構成するポリマーが分解を起こしやすくなる。
【0011】
熱膨張性マイクロカプセル中の揮発性膨張剤の量は20重量%以上である。これまで知られていたマイクロカプセルにおいては、揮発性膨張剤の量はせいぜい18重量%以下であり、膨張剤の量を18重量%以上含有するにするにはマイクロカプセル化が困難であった。
本発明においては、膨張剤を多くすることにより、アクリロニトリルと他のモノマーをシェル樹脂成分とすることでマイクロカプセルを壊さず膨張させることができることを見いだした。
安定した発泡が実現する発泡温度領域の拡大のためには、nペンタンとnヘキサンとからなる揮発性膨張剤の内、ヘキサンの比率が3560重量%であることが好ましい。
【0012】
上記揮発性膨張剤をカプセル化して熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法は特に限定されず、一般的に行われている方法で製造される。好適な方法としては、例えば、特公昭42−26524号公報に開示されているように、ニトリル系及び非ニトリル系モノマー、架橋剤、揮発性膨張剤及び重合開始剤を混合し、該混合物を分散安定剤等を含む水性媒体中で懸濁重合させる方法等が挙げられる。
【0013】
分散安定剤としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これら分散安定剤の量は特に限定されず、分散剤の種類、マイクロカプセルの粒径等により適宜決定されて良いが、通常は、モノマー100重量部に対して0.1〜20重量部が用いられる。
【0014】
上記懸濁重合の際には分散安定剤に安定助剤が併用されて良く、分散安定剤としては、安定助剤としては、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
【0015】
上記分散安定剤と安定助剤は適宜組み合わせて使用されて良いが、コロイダルシリカと縮合生成物との組合せ、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物との組合せ、水酸化マグネシウムおよび/またはリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせ等が好適に用いられる。
【0016】
上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸からなる縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸からなる縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸からなる縮合生成物が好ましい。
【0017】
上記水溶性窒素含有化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。
【0018】
コロイダルシリカの使用量は、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径によって適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して1〜20重量部が好ましく、特に好ましくは2〜10重量部である。一方、縮合生成物及び水溶性窒素含有化合物の量は、コロイダルシリカの量及び熱膨張性マイクロカプセルの粒子径によって適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して0.05〜2重量部の割合が好適に使用される。
【0019】
さらに塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を重合系に添加することにより、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得られやすくなる。無機塩は、通常、モノマー100重量部に対して、0〜100重量部の割合で使用される。
【0020】
水性分散媒体に各成分を添加する順序は、任意であるが、通常は重合器に、水と分散安定剤、必要に応じて安定助剤を加えて、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調整する。また、必要に応じて亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等の化合物が加えられて良い。モノマーおよび発泡剤は、別々に水性分散媒体に加えて、水性分散媒体中で油性混合物を形成してもよいが、通常は、予め両者を混合してから、水性分散媒体に添加する。重合開始剤は、予め上記油性混合物に添加して使用することができるが、水性混合物と油性混合物を重合器内で攪拌混合した後、添加されてもよい。また、油性混合物と水性混合物との混合を別の容器で行って、混合攪拌した後、重合器に仕込んでも良い。
【0021】
分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調整する。重合時の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカなどのシリカを使用する場合は、塩酸等の酸を加えて、重合系のpHを3〜4に調整し、酸性環境下で重合させる。一方、水酸化マグネシウムまたはリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性に調製してアルカリ環境下で重合させる。
【0022】
上記で得られる熱膨張性マイクロカプセルを含むスラリーの固形分は、特に限定されるものではないが、生産性、重合の安定性等から10〜70重量%が好ましい。
【0023】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの粒径は未発泡状態で、通常約5〜50μmであり、また揮発性膨張剤の包含量は約10〜30重量%である。使用する重合性単量体の組み合わせや量比の制御と発泡剤の選択により、用途に応じた発泡挙動を示す熱膨張性マイクロカプセルの製造が可能である。
【0024】
上記熱膨張性マイクロカプセル中の、残存ニトリル系モノマーの量は300ppm以下であるのが好ましい。残存ニトリル系モノマーの量が300ppmを超えた場合は、熱膨張性が低下し良好な発泡性マイクロカプセルが得られないことがある。残存ニトリル系モノマーは、マイクロカプセルのセル壁を可塑化させる作用があり、残存モノマーの量が300ppmを超えると、セル壁を軟化させ強度やガスバリヤー性を低下させるために熱膨張性が低下すると推察される。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。
実施例1〜2、比較例1〜6
〔熱膨張性マイクロカプセルの製造〕
表1の配合処方に従って、カプセル壁形成用モノマー、発泡剤、開始剤を混合し、ホモジナイザーで攪拌して分散モノマー液を調製した。
一方、イオン交換水300重量部、塩化ナトリウム30重量部、亜硝酸ナトリウム0.03重量部、シリカ9重量部、ポリビニルピロリドン0.2重量部を反応器に投入し攪拌、混合した。所定量の上記分散モノマー液を反応器に一括投入した後に、反応器内を減圧し、次にチッソにより0.5MPaまで加圧した。反応器を60℃まで昇温し、6時間反応させた。更に、80℃まで昇温し2時間保持した後冷却し反応を終了した。反応終了後、脱水、洗浄を繰り返して40℃で乾燥し熱膨張性マイクロカプセルを得た。
【0026】
〔評価〕
得られたマイクロカプセルについて、熱膨張性マイクロカプセルの組成(セル壁組成、発泡剤組成、残留モノマー濃度)、平均粒径、発泡性能(最大変位量、安定発泡温度領域)を評価し、結果を表2に示した。
(セル壁組成)
試料1mgをアルミカップに入れ、ギア式オーブン中で170℃で1時間加熱をして発泡させた。発泡粒子をDMF99gに溶解し、プロトンNMR(LAMBDA400型、日本電子社製)にて分析し、シェル層の組成を求めた。
(揮発性膨張剤の定量)
2段階型熱分解GC/MSと、300℃における熱脱着GC/MSにより揮発性膨張剤の定量を行った。
(残存モノマー濃度)
熱膨張性マイクロカプセルをDMF溶媒に溶解(サンプル/DMF=1/49)後、遠心分離により上澄み溶液を分取しガスクロマトグラフィーにより残存モノマー量を測定した。
(平均粒径)
熱膨張性マイクロカプセルを見ず媒体中に分散させ、レーザー回折、散乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所社製)を用いて測定し、個数平均粒子径を求めた。
(発泡性能)
TMA(TMA2940、TA instruments社製)を使用し、試料250μgを直径7mm、深さ1mmのアルミカップに入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、80℃から220℃まで、5℃/minの昇温速度で加熱した際の引加圧子の垂直方向の変位を連続的に測定し、発泡倍率と安定発泡領域温度を下記のようにして求めた。
発泡倍率:最大変位量を発泡倍率の尺度とした。
安定発泡温度領域:最大変位長さの1/2
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、上記のごとく、従来品に比べて発泡倍率が高く、且つ、発泡が安定している発泡温度領域がひろい。これにより、高い発泡倍率が要求される用途に好適に用いられ、発泡温度領域が広いので発泡加工時の温度管理等が容易である。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱膨張性マイクロカプセル、特に発泡倍率が高く、且つ、発泡適正温度領域の広いマイクロカプセルに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリマーを壁材として、該ポリマーの軟化温度以下でガス状になる揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法は広く知られている。例えば特公昭42−26524号公報には、低沸点の脂肪族炭化水素などの発泡剤を単量体に添加し、この単量体混合物に油溶性触媒を混合し、次いで、分散剤を含有する水系分散媒体中に単量体混合物を攪拌しながら添加し、懸濁重合をおこなうことにより発泡剤を包含したマイクロカプセルを製造する方法が開示されている。また、特公平5−15499号公報には、ニトリル系モノマー80〜97重量%、非ニトリル系モノマー20〜3重量%および三官能性架橋剤0.1〜1重量%を含有するモノマー成分から得られるポリマーを用いて、揮発性膨張剤をマイクロカプセル化する熱膨張性マイクロカプセルの製造方法が記載されているが、この場合、140℃以下では発泡せず十分な熱膨張性が得られない場合がある。熱膨張性マイクロカプセルには、高い発泡倍率、安定した発泡性が要求され発泡温度領域に広い発泡性マイクロカプセルが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発泡倍率が高く、且つ、発泡温度領域の広い、発泡性に優れた熱膨張性マイクロカプセルを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ニトリル系モノマーを含有するモノマー成分から得られるポリマーをセル壁とし、該ポリマーの軟化温度以下でガス状になる揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルであって、揮発性膨張剤の含有量が20重量%以上である熱膨張性マクロカプセルである。
請求項2記載の発明は、熱膨張剤がn−ペンタン40〜65重量%とn−ヘキサン35〜60重量%とからなる請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセルである。
請求項3記載の発明は、セル壁がニトリル系モノマ−66〜99.9重量%を含有するポリマーからなり、該ニトリル系モノマー中の30〜60重量%がメタクリロニトリルである請求項1又は2に記載の熱膨張性マイクロカプセルである。
請求項4記載の発明は、ニトリル系モノマーの残留量が300ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の熱膨張性マイクロカプセルである。
【0005】
本発明において用いられるニトリル系モノマーは、ニトリル基を含有する重合性二重結合を有するモノマーであり、具体的には、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好適に用いられる。ニトリル系モノマーとしては1種類が単独で用いられても良いし2種類以上が併用されても良いが、メタクリロニトリルを含有せしめるのが好ましく、その量はニトリル系モノマー中の30〜60重量%であるのが好ましい。
重合によりセル壁を構成する全モノマー中のニトリル系モノマーの量は88〜99.9重量%であるのが好ましく、88重量%未満の場合は、マイクロカプセル壁ののガスバリヤー性が低下したり、熱膨張性マイクロカプセルの発泡温度領域が狭くなってしまう。
【0006】
ニトリル系モノマーと共に用いられる非ニトリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等が挙げられる。これら非ニトリル系モノマーは、熱膨張性マイクロカプセルに必要な特性に応じて適宜選択されて使用され得るが、これらのなかでメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル等が好適に用いられる。重合によりセル壁を構成する全モノマー中の非ニトリル系モノマーの使用量は12重量%未満である。
【0007】
本発明においては、上記モノマー以外に、必要に応じてビニル基を2個以上有する多官能性モノマー(以後:架橋剤と称す)を用いても良く、架橋剤を用いることによりセル壁の強度を強化することができ熱膨張時にセル壁が破泡し難くなる。上記架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジアクリレート、数平均分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジメタクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0008】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルのセル壁は上記のモノマー成分を重合開始剤により重合せしめることにより得られる。重合開始剤としては、特に限定されず、一般に使用されているものを使用することができるが、使用するモノマーに可溶の油溶性重合開始剤が好ましく、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物等が挙げられる。
【0009】
上記重合開始剤の具体例としては、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化ジアルキル化合物、イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の過酸化ジアシル化合物、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1− メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル化合物、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート化合物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。
【0010】
上記マイクロカプセル内に包含される揮発性膨張剤としては、上記のモノマー成分から合成されるポリマーの軟化温度以下でガス状になる物質であれば特に限定されないが、低沸点有機溶剤が好適に用いられる。具体例としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの低分子量炭化水素化合物、CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン化合物、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシランなどのテトラアルキルシラン化合物等が挙げられる。これらの中でも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、石油エーテル等が好適に用いられ、特に好ましくは、n−ペンタン、n−へキサンである。高発泡倍率を得るためには高い蒸気圧が得られる低分子量の炭化水素を用いればよいが、n−ブタンよりも低分子量の炭化水素を用いた場合はガスがセル壁を透過しやすくなってしまい良好な発泡体が得られ難いことがある。。また、n−ヘプタンよりも高分子量の炭化水素を用いた場合には、熱膨張温度において十分な蒸気圧が得られず、蒸気圧を高めるために発泡温度を高くするとセル壁を構成するポリマーが分解を起こしやすくなる。
【0011】
熱膨張性マイクロカプセル中の揮発性膨張剤の量は20重量%以上である。これまで知られていたマイクロカプセルにおいては、揮発性膨張剤の量はせいぜい18重量%以下であり、膨張剤の量を18重量%以上含有するにするにはマイクロカプセル化が困難であった。
本発明においては、膨張剤を多くすることにより、アクリロニトリルと他のモノマーをシェル樹脂成分とすることでマイクロカプセルを壊さず膨張させることができることを見いだした。
安定した発泡が実現する発泡温度領域の拡大のためには、nペンタンとnヘキサンとからなる揮発性膨張剤の内、ヘキサンの比率が3560重量%であることが好ましい。
【0012】
上記揮発性膨張剤をカプセル化して熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法は特に限定されず、一般的に行われている方法で製造される。好適な方法としては、例えば、特公昭42−26524号公報に開示されているように、ニトリル系及び非ニトリル系モノマー、架橋剤、揮発性膨張剤及び重合開始剤を混合し、該混合物を分散安定剤等を含む水性媒体中で懸濁重合させる方法等が挙げられる。
【0013】
分散安定剤としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これら分散安定剤の量は特に限定されず、分散剤の種類、マイクロカプセルの粒径等により適宜決定されて良いが、通常は、モノマー100重量部に対して0.1〜20重量部が用いられる。
【0014】
上記懸濁重合の際には分散安定剤に安定助剤が併用されて良く、分散安定剤としては、安定助剤としては、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
【0015】
上記分散安定剤と安定助剤は適宜組み合わせて使用されて良いが、コロイダルシリカと縮合生成物との組合せ、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物との組合せ、水酸化マグネシウムおよび/またはリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせ等が好適に用いられる。
【0016】
上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸からなる縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸からなる縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸からなる縮合生成物が好ましい。
【0017】
上記水溶性窒素含有化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。
【0018】
コロイダルシリカの使用量は、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径によって適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して1〜20重量部が好ましく、特に好ましくは2〜10重量部である。一方、縮合生成物及び水溶性窒素含有化合物の量は、コロイダルシリカの量及び熱膨張性マイクロカプセルの粒子径によって適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して0.05〜2重量部の割合が好適に使用される。
【0019】
さらに塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を重合系に添加することにより、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得られやすくなる。無機塩は、通常、モノマー100重量部に対して、0〜100重量部の割合で使用される。
【0020】
水性分散媒体に各成分を添加する順序は、任意であるが、通常は重合器に、水と分散安定剤、必要に応じて安定助剤を加えて、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調整する。また、必要に応じて亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等の化合物が加えられて良い。モノマーおよび発泡剤は、別々に水性分散媒体に加えて、水性分散媒体中で油性混合物を形成してもよいが、通常は、予め両者を混合してから、水性分散媒体に添加する。重合開始剤は、予め上記油性混合物に添加して使用することができるが、水性混合物と油性混合物を重合器内で攪拌混合した後、添加されてもよい。また、油性混合物と水性混合物との混合を別の容器で行って、混合攪拌した後、重合器に仕込んでも良い。
【0021】
分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調整する。重合時の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカなどのシリカを使用する場合は、塩酸等の酸を加えて、重合系のpHを3〜4に調整し、酸性環境下で重合させる。一方、水酸化マグネシウムまたはリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性に調製してアルカリ環境下で重合させる。
【0022】
上記で得られる熱膨張性マイクロカプセルを含むスラリーの固形分は、特に限定されるものではないが、生産性、重合の安定性等から10〜70重量%が好ましい。
【0023】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの粒径は未発泡状態で、通常約5〜50μmであり、また揮発性膨張剤の包含量は約10〜30重量%である。使用する重合性単量体の組み合わせや量比の制御と発泡剤の選択により、用途に応じた発泡挙動を示す熱膨張性マイクロカプセルの製造が可能である。
【0024】
上記熱膨張性マイクロカプセル中の、残存ニトリル系モノマーの量は300ppm以下であるのが好ましい。残存ニトリル系モノマーの量が300ppmを超えた場合は、熱膨張性が低下し良好な発泡性マイクロカプセルが得られないことがある。残存ニトリル系モノマーは、マイクロカプセルのセル壁を可塑化させる作用があり、残存モノマーの量が300ppmを超えると、セル壁を軟化させ強度やガスバリヤー性を低下させるために熱膨張性が低下すると推察される。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。
実施例1〜2、比較例1〜6
〔熱膨張性マイクロカプセルの製造〕
表1の配合処方に従って、カプセル壁形成用モノマー、発泡剤、開始剤を混合し、ホモジナイザーで攪拌して分散モノマー液を調製した。
一方、イオン交換水300重量部、塩化ナトリウム30重量部、亜硝酸ナトリウム0.03重量部、シリカ9重量部、ポリビニルピロリドン0.2重量部を反応器に投入し攪拌、混合した。所定量の上記分散モノマー液を反応器に一括投入した後に、反応器内を減圧し、次にチッソにより0.5MPaまで加圧した。反応器を60℃まで昇温し、6時間反応させた。更に、80℃まで昇温し2時間保持した後冷却し反応を終了した。反応終了後、脱水、洗浄を繰り返して40℃で乾燥し熱膨張性マイクロカプセルを得た。
【0026】
〔評価〕
得られたマイクロカプセルについて、熱膨張性マイクロカプセルの組成(セル壁組成、発泡剤組成、残留モノマー濃度)、平均粒径、発泡性能(最大変位量、安定発泡温度領域)を評価し、結果を表2に示した。
(セル壁組成)
試料1mgをアルミカップに入れ、ギア式オーブン中で170℃で1時間加熱をして発泡させた。発泡粒子をDMF99gに溶解し、プロトンNMR(LAMBDA400型、日本電子社製)にて分析し、シェル層の組成を求めた。
(揮発性膨張剤の定量)
2段階型熱分解GC/MSと、300℃における熱脱着GC/MSにより揮発性膨張剤の定量を行った。
(残存モノマー濃度)
熱膨張性マイクロカプセルをDMF溶媒に溶解(サンプル/DMF=1/49)後、遠心分離により上澄み溶液を分取しガスクロマトグラフィーにより残存モノマー量を測定した。
(平均粒径)
熱膨張性マイクロカプセルを見ず媒体中に分散させ、レーザー回折、散乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所社製)を用いて測定し、個数平均粒子径を求めた。
(発泡性能)
TMA(TMA2940、TA instruments社製)を使用し、試料250μgを直径7mm、深さ1mmのアルミカップに入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、80℃から220℃まで、5℃/minの昇温速度で加熱した際の引加圧子の垂直方向の変位を連続的に測定し、発泡倍率と安定発泡領域温度を下記のようにして求めた。
発泡倍率:最大変位量を発泡倍率の尺度とした。
安定発泡温度領域:最大変位長さの1/2
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、上記のごとく、従来品に比べて発泡倍率が高く、且つ、発泡が安定している発泡温度領域がひろい。これにより、高い発泡倍率が要求される用途に好適に用いられ、発泡温度領域が広いので発泡加工時の温度管理等が容易である。
Claims (4)
- ニトリル系モノマーを含有するモノマー成分から得られるポリマーをセル壁とし、該ポリマーの軟化温度以下でガス状になる揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルであって、揮発性膨張剤の含有量が20重量%以上であることを特徴とする熱膨張性マクロカプセル。
- 熱膨張剤がn−ペンタン40〜65重量%とn−ヘキサン35〜60重量%とからなることを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- セル壁がニトリル系モノマ−66〜99.9重量%を含有するポリマーからなり、該ニトリル系モノマー中の30〜60重量%がメタクリロニトリルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- ニトリル系モノマーの残留量が300ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱膨張性マイクロカプセル。
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