JP2004104553A - 圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な回路構成で圧電振動子の電流を低減した圧電発振器を提供することを目的とする。
【解決手段】この発振回路は、インバータIVの入出力間に圧電素子X(10MHz)とコンデンサC2(100pF)を直列接続した回路を接続し、更に、コンデンサC1とダイオードD1、D2を並列に接続したクランプ回路を直列接続した回路を接続し、インバータIVの入出力端子の夫々をコンデンサC4(100pF)、C5(100pF)により接地する。また、インバータIVの入出力間には、発振の起動を容易にするために帰還抵抗器R1(100KΩ)が接続され、出力端子から固定抵抗器R2(10KΩ)とコンデンサC3(1000pF)の直列回路により出力信号を取り出す構成になっている。
【選択図】 図1
【解決手段】この発振回路は、インバータIVの入出力間に圧電素子X(10MHz)とコンデンサC2(100pF)を直列接続した回路を接続し、更に、コンデンサC1とダイオードD1、D2を並列に接続したクランプ回路を直列接続した回路を接続し、インバータIVの入出力端子の夫々をコンデンサC4(100pF)、C5(100pF)により接地する。また、インバータIVの入出力間には、発振の起動を容易にするために帰還抵抗器R1(100KΩ)が接続され、出力端子から固定抵抗器R2(10KΩ)とコンデンサC3(1000pF)の直列回路により出力信号を取り出す構成になっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電発振器に関し、さらに詳しくは、圧電発振器の省電力化を図った回路構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、携帯電話や携帯情報端末機器などの移動体通信用機器が、一般的に広く利用されるようになってきている。このような移動体通信用として使用される半導体集積回路に内蔵された発振回路により圧電素子を駆動する圧電発振器には、通常、圧電発振起動を必要な時間内に立ち上げるのに十分な駆動能力を備えたCMOSインバータが使用されるのが一般的である。そのため本来であれば、圧電発振回路は、一度電源が投入されて圧電発振を起動したのちは、大きな駆動能力を必要としないにも拘わらず、駆動能力の大きいCMOSインバータを用いているために、この動作のために発生する無駄な電力消費により移動体通信機器の電池寿命を短くしてしまっているという問題があった。また、定常発振状態において圧電素子を必要以上に強励振させることになるので、圧電素子に加わる機械的ストレスが大きく、圧電発振器として優れたエージング特性が得られない場合があった。
この問題を解消する従来技術として、特開平10−145141号公報には、圧電発振回路の駆動回路の前段にゲート回路を設け、不要時は圧電発振回路の動作を停止させることにより、消費電力を従来よりも少なくする技術が開示されている。
また、特開2002−135052公報には、周辺部品を付加することなく、且つ外部制御することなく、発振駆動による消費電力を低減化することができる水晶発振装置とその制御方法について開示されている。これによると、水晶発振起動用インバータに対して、抵抗およびコンデンサの直列回路から発生するオン・オフ信号によるオン・オフ制御を可能にし、インバータによる水晶発振駆動において、最も電力を必要とする発振起動時には、駆動能力の大きい水晶発振起動用インバータにより発振駆動をオンさせ、水晶発振起動後は、駆動能力の小さい常時水晶発振駆動用インバータによる発振駆動のみで水晶発振駆動を維持することにより、水晶発振を駆動するインバータの駆動能力を最適化するとしている。
【0003】
図5は、クランプ回路により励振レベルを抑圧して圧電素子に流れる電流を減少する従来技術のインバータ発振回路の一例である。本回路はインバータIVの入出力間に圧電素子XとコンデンサC11を直列接続した回路を接続し、インバータIVの出力端子を抵抗器R12、コンデンサC14をダイオードD11、D12により構成されるクランプ回路を介して接地したものである。つまり、この回路はインバータIVの出力をクランプして圧電素子Xに入力する方法であるが、インバータIVは利得が高く、また圧電振動子電流はインバータIVの両端のレベルで決まるため、本方式では効果的に圧電振動子電流を減少させることはできなかった。図6は実際に各部品の定数を決定した実施回路図であり、この回路で測定したところ、圧電振動子電流はクランプ付きで、1.46mA、クランプ無しで18.6mAであった。
【特許文献1】特開平10−145141号公報
【特許文献2】特開2002−135052公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来から消費電力を減らす提案は多くなされているが、前記特開平10−145141号公報に係る技術によれば、発振回路の他にゲート回路により発振を停止・駆動させるため部品点数が増えると共に、常時発振が必要な回路には使用できないといった問題がある。また、特開2002−135052公報は、インバータ回路を2回路用意し、しかも、その回路を切り替える回路も必要となるため、部品点数が多くなり、回路のコストを高くしてしまう問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、簡単な回路構成で圧電振動子の電流を低減した圧電発振器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して前記圧電素子を励振させる信号反転増幅器と、前記圧電素子の励振レベルを制限するダイオード・クランプ回路と、を備えた圧電発振器であって、前記ダイオード・クランプ回路、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した回路を前記信号反転増幅器の入出力間に接続したことを特徴とする。
従来のクランプ付インバータ発振回路は、あくまでも発振回路の出力端子と接地間にクランプ回路を挿入して励振振幅を抑圧し、その結果、圧電振動子に流れる電流を減らす方式であった。しかし、圧電振動子に流れる電流はインバータの入出力間のレベルで決まるため、利得が高いインバータでは電流抑制の効果は低かった。そこで、本発明では最も電流抑制効果の高いインバータの入出力間にクランプ回路を挿入することにより、本課題を解決するものである。
かかる発明によれば、クランプ回路をインバータの入出力間に挿入することにより、圧電振動子の両端をクランプすると共に、インバータのインピーダンスを急激に低下させて発振利得を低下させるので、圧電振動子に流れる電流抑制効果を高めることができる。
請求項2は、前記ダイオード・クランプ回路は、2つのダイオードを互いに極性が異なるように並列接続したことを特徴とする。
発振波形は基本的に交流である。従って、両極の波形毎にクランプをかける必要がある。そこでダイオードを互いに逆極性にして並列に接続することにより実現できる。
かかる発明によれば、発振波形の両極でクランプをかけるので、クランプ量が大きく、しかも、バランスよくクランプすることができる。
【0006】
請求項3は、前記ダイオード・クランプ回路は、1つのダイオードにより構成されていることを特徴とする。
ダイオードの順電圧を超えるとインバータのインピーダンスが急激に低下し、それにより発振利得が急激に低下する。この特性によりクランプダイオードを1つでもある程度発振利得を低下させることができる。
かかる発明によれば、発振波形の片極でクランプをかけるので、多少発振利得の低下は低くなるが、部品数が低減した分コストダウンとなる。
請求項4は、前記圧電素子、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した第1の回路と、前記ダイオード・クランプ回路、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した第2の回路と、を備え、前記第1の回路及び第2の回路を前記信号反転増幅器の入出力間に並列に接続し、前記信号反転増幅器の夫々の入出力間をコンデンサにより接地することを特徴とする。
本来の発振回路はインバータの入出力間に圧電素子とコンデンサを直列接続した回路を接続し、夫々の入出力間をコンデンサにより接地することにより実現できる。本発明はその回路に更に並列に、コンデンサとクランプ回路を直列接続した回路を接続して、インバータと圧電振動子を同時にクランプするものである。
かかる発明によれば、インバータ発振回路に並列にクランプ回路を挿入するので、インバータと圧電振動子を同時にクランプしてより急激にインバータの発振利得を抑圧できるので、圧電振動子に流れる電流を更に少なくすることができる。
請求項5は、前記信号反転増幅器は、入力と出力が反転するインバータ論理回路、又はECL回路により構成されることを特徴とする。
本発明の発振回路は、圧電素子を励振させる信号反転増幅器の構成が入出力位相が反転する構成であれば、本発明の発振器を実現することができる。例えば、論理回路のインバータ、NAND回路、或いはECL(Emitter Coupled Logic)回路などで実現可能である。特に、ECL回路はエミッタフォロアであり、出力インピーダンスが低いので、発振周波数が負荷に影響されずに安定した波形を出力することができる。
かかる発明によれば、信号反転増幅器にECL回路を使用するので、発振周波数が負荷に影響されずに安定した波形を出力することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るクランプ回路付インバータ発振回路の回路図である。尚、以下に回路要素符号と共に( )内に一例として示した回路素子値は後述する発振器電気的特性を確認した際の設定条件である。この発振回路は、インバータIVの入出力間に圧電素子X(10MHz)とコンデンサC2(100pF)を直列接続した回路を接続し、更に、コンデンサC1とダイオードD1、D2を並列に接続したクランプ回路を直列接続した回路を接続し、インバータIVの入出力端子の夫々をコンデンサC4(100pF)、C5(100pF)により接地する。また、インバータIVの入出力間には、帰還抵抗器R1(100KΩ)が接続され、出力端子から固定抵抗器R2(10KΩ)とコンデンサC3(1000pF)の直列回路により出力信号を取り出す構成になっている。
【0008】
次に、本実施形態の動作について説明するが、発振動作については周知の技術であるのでここでは詳細な説明は省略する。先ず、インバータIVに電源VCC5Vが投入されると、圧電素子Xの固有振動数に従って振動を開始し、インバータIVの出力にレベルの高い電圧が発生する。その電圧の交流分はコンデンサC1を通過してクランプダイオードに入力される。クランプダイオードはダイオードの端子間電圧が所定の電圧(約0.7V)以上になると導通する特性を持っており、電圧が正極であればダイオードD1により導通され、電圧が負極であればダイオードD2により導通される。したがってインバータIVの出力端から圧電素子Xに供給されようとする帰還信号が一定の励振レベルを越えるとダイオードD1、D2が導通して、例えば±0.7Vp−p以上に励振レベルが大きくなることはない。この結果インバータIVの入出力間のインピーダンスが急激に低下して発振利得が急激に低下するので、圧電素子Xに流れる電流を大幅に抑制することができる。
図4は、図1のコンデンサC1の値と圧電素子Xに流れる電流との関係を表す図である。横軸はコンデンサC1の値、縦軸は圧電素子Xに流れる電流である。
この図から明らかなようにコンデンサC1が100pF以上になると、ほぼ一定に圧電素子Xに流れる電流は60μAとなる。この値は、図6の従来回路のクランプ付の電流が1.46mAと比較すると1/24に減少していることがわかる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るクランプ付インバータ発振回路の回路図である。同じ構成要素には同じ符号が付されているので、重複する説明は省略する。図2が図1と異なる点は、クランプ回路を1つのダイオードを用いて構成した点である。この場合はクランプが波形の片側のみであるが、圧電素子Xに流れる電流は1.28mA(C6=1000pF)であり、従来回路の場合と比較して電流抑圧効果が大きい。
図3は、本発明の第3の実施形態に係るクランプ回路付インバータ発振回路の回路図である。この発振回路は、図1、図2のインバータに代わってECL回路を使用した点が異なり、ECL回路の正転入力IN1と反転出力OUT2の間に圧電素子XとコンデンサC12を直列接続した回路を接続し、更に、コンデンサC11とダイオードD4、D5を並列に接続したクランプ回路とを直列接続した回路を接続し、ECL回路の正転入力IN1と反転入力IN2との間に固定抵抗器R10を接続し、反転入力IN2側をコンデンサC13により接地する。また、ECL回路の正転出力OUT1から出力信号を取り出す構成になっている。この実施形態の特徴は、ECL回路を使用することにより周辺部品が少なくなり、出力形態がエミッタフォロアのため出力インピーダンスを低くでき、負荷の影響を最小限にすることができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はインバータ発振回路の入出力間にクランプ回路を挿入するところに特徴があり、クランプ回路の形態、インバータ回路の構成は本実施形態で説明したものに限らず、他の形態、回路構成でも本発明の主旨を逸脱するものではない。
【0009】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、クランプ回路をインバータの入出力間に挿入することにより、圧電振動子の両端をクランプすると共に、インバータのインピーダンスを急激に低下させて発振利得を低下させるので、圧電振動子に流れる電流抑制効果を高め、更に駆動能力の小さい信号反転増幅器を使用できトータルの消費電力を低くすることができる。
また請求項2では、発振波形の両極でクランプをかけるので、クランプ量が大きくなって発振利得を大幅に低減し、しかも、波形をバランスよくクランプすることができる。
また請求項3では、発振波形の片極でクランプをかけるので、多少発振利得の低下は低くなるが、部品コストが低減した分コストダウンとなる。
また請求項4では、インバータ発振回路の入出力間にクランプ回路を挿入するので、インバータと圧電振動子を同時にクランプしてより急激にインバータの発振利得を抑圧できるので、圧電振動子に流れる電流を更に少なくすることができる。
また請求項5では、信号反転増幅器にECL回路を使用するので、発振周波数が負荷に影響されずに安定した波形を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るクランプ付インバータ発振回路の回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るクランプ付インバータ発振回路の回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るクランプ付インバータ発振回路の回路図である。
【図4】本発明のコンデンサの値と圧電素子に流れる電流の関係を表す図である。
【図5】従来技術のインバータ発振回路の一例を示す図である。
【図6】従来技術のインバータ発振回路の実施回路図である。
【符号の説明】
X 圧電素子、C1、C2、C3、C4、C5 コンデンサ、D1、D2
ダイオード、IV インバータ、R1 帰還抵抗器、R2 固定抵抗器
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電発振器に関し、さらに詳しくは、圧電発振器の省電力化を図った回路構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、携帯電話や携帯情報端末機器などの移動体通信用機器が、一般的に広く利用されるようになってきている。このような移動体通信用として使用される半導体集積回路に内蔵された発振回路により圧電素子を駆動する圧電発振器には、通常、圧電発振起動を必要な時間内に立ち上げるのに十分な駆動能力を備えたCMOSインバータが使用されるのが一般的である。そのため本来であれば、圧電発振回路は、一度電源が投入されて圧電発振を起動したのちは、大きな駆動能力を必要としないにも拘わらず、駆動能力の大きいCMOSインバータを用いているために、この動作のために発生する無駄な電力消費により移動体通信機器の電池寿命を短くしてしまっているという問題があった。また、定常発振状態において圧電素子を必要以上に強励振させることになるので、圧電素子に加わる機械的ストレスが大きく、圧電発振器として優れたエージング特性が得られない場合があった。
この問題を解消する従来技術として、特開平10−145141号公報には、圧電発振回路の駆動回路の前段にゲート回路を設け、不要時は圧電発振回路の動作を停止させることにより、消費電力を従来よりも少なくする技術が開示されている。
また、特開2002−135052公報には、周辺部品を付加することなく、且つ外部制御することなく、発振駆動による消費電力を低減化することができる水晶発振装置とその制御方法について開示されている。これによると、水晶発振起動用インバータに対して、抵抗およびコンデンサの直列回路から発生するオン・オフ信号によるオン・オフ制御を可能にし、インバータによる水晶発振駆動において、最も電力を必要とする発振起動時には、駆動能力の大きい水晶発振起動用インバータにより発振駆動をオンさせ、水晶発振起動後は、駆動能力の小さい常時水晶発振駆動用インバータによる発振駆動のみで水晶発振駆動を維持することにより、水晶発振を駆動するインバータの駆動能力を最適化するとしている。
【0003】
図5は、クランプ回路により励振レベルを抑圧して圧電素子に流れる電流を減少する従来技術のインバータ発振回路の一例である。本回路はインバータIVの入出力間に圧電素子XとコンデンサC11を直列接続した回路を接続し、インバータIVの出力端子を抵抗器R12、コンデンサC14をダイオードD11、D12により構成されるクランプ回路を介して接地したものである。つまり、この回路はインバータIVの出力をクランプして圧電素子Xに入力する方法であるが、インバータIVは利得が高く、また圧電振動子電流はインバータIVの両端のレベルで決まるため、本方式では効果的に圧電振動子電流を減少させることはできなかった。図6は実際に各部品の定数を決定した実施回路図であり、この回路で測定したところ、圧電振動子電流はクランプ付きで、1.46mA、クランプ無しで18.6mAであった。
【特許文献1】特開平10−145141号公報
【特許文献2】特開2002−135052公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来から消費電力を減らす提案は多くなされているが、前記特開平10−145141号公報に係る技術によれば、発振回路の他にゲート回路により発振を停止・駆動させるため部品点数が増えると共に、常時発振が必要な回路には使用できないといった問題がある。また、特開2002−135052公報は、インバータ回路を2回路用意し、しかも、その回路を切り替える回路も必要となるため、部品点数が多くなり、回路のコストを高くしてしまう問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、簡単な回路構成で圧電振動子の電流を低減した圧電発振器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して前記圧電素子を励振させる信号反転増幅器と、前記圧電素子の励振レベルを制限するダイオード・クランプ回路と、を備えた圧電発振器であって、前記ダイオード・クランプ回路、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した回路を前記信号反転増幅器の入出力間に接続したことを特徴とする。
従来のクランプ付インバータ発振回路は、あくまでも発振回路の出力端子と接地間にクランプ回路を挿入して励振振幅を抑圧し、その結果、圧電振動子に流れる電流を減らす方式であった。しかし、圧電振動子に流れる電流はインバータの入出力間のレベルで決まるため、利得が高いインバータでは電流抑制の効果は低かった。そこで、本発明では最も電流抑制効果の高いインバータの入出力間にクランプ回路を挿入することにより、本課題を解決するものである。
かかる発明によれば、クランプ回路をインバータの入出力間に挿入することにより、圧電振動子の両端をクランプすると共に、インバータのインピーダンスを急激に低下させて発振利得を低下させるので、圧電振動子に流れる電流抑制効果を高めることができる。
請求項2は、前記ダイオード・クランプ回路は、2つのダイオードを互いに極性が異なるように並列接続したことを特徴とする。
発振波形は基本的に交流である。従って、両極の波形毎にクランプをかける必要がある。そこでダイオードを互いに逆極性にして並列に接続することにより実現できる。
かかる発明によれば、発振波形の両極でクランプをかけるので、クランプ量が大きく、しかも、バランスよくクランプすることができる。
【0006】
請求項3は、前記ダイオード・クランプ回路は、1つのダイオードにより構成されていることを特徴とする。
ダイオードの順電圧を超えるとインバータのインピーダンスが急激に低下し、それにより発振利得が急激に低下する。この特性によりクランプダイオードを1つでもある程度発振利得を低下させることができる。
かかる発明によれば、発振波形の片極でクランプをかけるので、多少発振利得の低下は低くなるが、部品数が低減した分コストダウンとなる。
請求項4は、前記圧電素子、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した第1の回路と、前記ダイオード・クランプ回路、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した第2の回路と、を備え、前記第1の回路及び第2の回路を前記信号反転増幅器の入出力間に並列に接続し、前記信号反転増幅器の夫々の入出力間をコンデンサにより接地することを特徴とする。
本来の発振回路はインバータの入出力間に圧電素子とコンデンサを直列接続した回路を接続し、夫々の入出力間をコンデンサにより接地することにより実現できる。本発明はその回路に更に並列に、コンデンサとクランプ回路を直列接続した回路を接続して、インバータと圧電振動子を同時にクランプするものである。
かかる発明によれば、インバータ発振回路に並列にクランプ回路を挿入するので、インバータと圧電振動子を同時にクランプしてより急激にインバータの発振利得を抑圧できるので、圧電振動子に流れる電流を更に少なくすることができる。
請求項5は、前記信号反転増幅器は、入力と出力が反転するインバータ論理回路、又はECL回路により構成されることを特徴とする。
本発明の発振回路は、圧電素子を励振させる信号反転増幅器の構成が入出力位相が反転する構成であれば、本発明の発振器を実現することができる。例えば、論理回路のインバータ、NAND回路、或いはECL(Emitter Coupled Logic)回路などで実現可能である。特に、ECL回路はエミッタフォロアであり、出力インピーダンスが低いので、発振周波数が負荷に影響されずに安定した波形を出力することができる。
かかる発明によれば、信号反転増幅器にECL回路を使用するので、発振周波数が負荷に影響されずに安定した波形を出力することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るクランプ回路付インバータ発振回路の回路図である。尚、以下に回路要素符号と共に( )内に一例として示した回路素子値は後述する発振器電気的特性を確認した際の設定条件である。この発振回路は、インバータIVの入出力間に圧電素子X(10MHz)とコンデンサC2(100pF)を直列接続した回路を接続し、更に、コンデンサC1とダイオードD1、D2を並列に接続したクランプ回路を直列接続した回路を接続し、インバータIVの入出力端子の夫々をコンデンサC4(100pF)、C5(100pF)により接地する。また、インバータIVの入出力間には、帰還抵抗器R1(100KΩ)が接続され、出力端子から固定抵抗器R2(10KΩ)とコンデンサC3(1000pF)の直列回路により出力信号を取り出す構成になっている。
【0008】
次に、本実施形態の動作について説明するが、発振動作については周知の技術であるのでここでは詳細な説明は省略する。先ず、インバータIVに電源VCC5Vが投入されると、圧電素子Xの固有振動数に従って振動を開始し、インバータIVの出力にレベルの高い電圧が発生する。その電圧の交流分はコンデンサC1を通過してクランプダイオードに入力される。クランプダイオードはダイオードの端子間電圧が所定の電圧(約0.7V)以上になると導通する特性を持っており、電圧が正極であればダイオードD1により導通され、電圧が負極であればダイオードD2により導通される。したがってインバータIVの出力端から圧電素子Xに供給されようとする帰還信号が一定の励振レベルを越えるとダイオードD1、D2が導通して、例えば±0.7Vp−p以上に励振レベルが大きくなることはない。この結果インバータIVの入出力間のインピーダンスが急激に低下して発振利得が急激に低下するので、圧電素子Xに流れる電流を大幅に抑制することができる。
図4は、図1のコンデンサC1の値と圧電素子Xに流れる電流との関係を表す図である。横軸はコンデンサC1の値、縦軸は圧電素子Xに流れる電流である。
この図から明らかなようにコンデンサC1が100pF以上になると、ほぼ一定に圧電素子Xに流れる電流は60μAとなる。この値は、図6の従来回路のクランプ付の電流が1.46mAと比較すると1/24に減少していることがわかる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るクランプ付インバータ発振回路の回路図である。同じ構成要素には同じ符号が付されているので、重複する説明は省略する。図2が図1と異なる点は、クランプ回路を1つのダイオードを用いて構成した点である。この場合はクランプが波形の片側のみであるが、圧電素子Xに流れる電流は1.28mA(C6=1000pF)であり、従来回路の場合と比較して電流抑圧効果が大きい。
図3は、本発明の第3の実施形態に係るクランプ回路付インバータ発振回路の回路図である。この発振回路は、図1、図2のインバータに代わってECL回路を使用した点が異なり、ECL回路の正転入力IN1と反転出力OUT2の間に圧電素子XとコンデンサC12を直列接続した回路を接続し、更に、コンデンサC11とダイオードD4、D5を並列に接続したクランプ回路とを直列接続した回路を接続し、ECL回路の正転入力IN1と反転入力IN2との間に固定抵抗器R10を接続し、反転入力IN2側をコンデンサC13により接地する。また、ECL回路の正転出力OUT1から出力信号を取り出す構成になっている。この実施形態の特徴は、ECL回路を使用することにより周辺部品が少なくなり、出力形態がエミッタフォロアのため出力インピーダンスを低くでき、負荷の影響を最小限にすることができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はインバータ発振回路の入出力間にクランプ回路を挿入するところに特徴があり、クランプ回路の形態、インバータ回路の構成は本実施形態で説明したものに限らず、他の形態、回路構成でも本発明の主旨を逸脱するものではない。
【0009】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、クランプ回路をインバータの入出力間に挿入することにより、圧電振動子の両端をクランプすると共に、インバータのインピーダンスを急激に低下させて発振利得を低下させるので、圧電振動子に流れる電流抑制効果を高め、更に駆動能力の小さい信号反転増幅器を使用できトータルの消費電力を低くすることができる。
また請求項2では、発振波形の両極でクランプをかけるので、クランプ量が大きくなって発振利得を大幅に低減し、しかも、波形をバランスよくクランプすることができる。
また請求項3では、発振波形の片極でクランプをかけるので、多少発振利得の低下は低くなるが、部品コストが低減した分コストダウンとなる。
また請求項4では、インバータ発振回路の入出力間にクランプ回路を挿入するので、インバータと圧電振動子を同時にクランプしてより急激にインバータの発振利得を抑圧できるので、圧電振動子に流れる電流を更に少なくすることができる。
また請求項5では、信号反転増幅器にECL回路を使用するので、発振周波数が負荷に影響されずに安定した波形を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るクランプ付インバータ発振回路の回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るクランプ付インバータ発振回路の回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るクランプ付インバータ発振回路の回路図である。
【図4】本発明のコンデンサの値と圧電素子に流れる電流の関係を表す図である。
【図5】従来技術のインバータ発振回路の一例を示す図である。
【図6】従来技術のインバータ発振回路の実施回路図である。
【符号の説明】
X 圧電素子、C1、C2、C3、C4、C5 コンデンサ、D1、D2
ダイオード、IV インバータ、R1 帰還抵抗器、R2 固定抵抗器
Claims (5)
- 所定の周波数で励振される圧電素子を備えた圧電振動子と、該圧電素子に電流を流して前記圧電素子を励振させる信号反転増幅器と、前記圧電素子の励振レベルを制限するダイオード・クランプ回路と、を備えた圧電発振器であって、
前記ダイオード・クランプ回路、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した回路を前記信号反転増幅器の入出力間に接続したことを特徴とする圧電発振器。 - 前記ダイオード・クランプ回路は、2つのダイオードを互いに極性が異なるように並列接続したことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
- 前記ダイオード・クランプ回路は、1つのダイオードにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
- 前記圧電素子、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した第1の回路と、前記ダイオード・クランプ回路、及び所定の容量値を有するコンデンサを直列接続した第2の回路と、を備え、
前記第1の回路及び第2の回路を前記信号反転増幅器の入出力間に並列に接続し、前記信号反転増幅器の夫々の入出力間をコンデンサにより接地することを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。 - 前記信号反転増幅器は、入力と出力が反転するインバータ論理回路、又はECL回路により構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の圧電発振器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008122366A (ja) * | 2006-10-17 | 2008-05-29 | Seiko Epson Corp | 駆動装置、物理量測定装置及び電子機器 |
JP2009124290A (ja) * | 2007-11-13 | 2009-06-04 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 水晶発振器 |
JP2011077724A (ja) * | 2009-09-29 | 2011-04-14 | Murata Mfg Co Ltd | 水晶発振回路 |
CN109639239A (zh) * | 2017-10-06 | 2019-04-16 | 瑞昱半导体股份有限公司 | 晶体振荡电路及其方法 |
-
2002
- 2002-09-11 JP JP2002265001A patent/JP2004104553A/ja not_active Withdrawn
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