JP2009124290A - 水晶発振器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 起動時に発振起動時間が遅くなったり、不発振となるのを防いで安定した発振動作を行うと共に、水晶振動子に流れる高周波電流を十分低減でき、更に、振動子に印加される電圧を調整可能として所望の発振周波数を得ることができる水晶発振器を提供する。
【解決手段】 インバータIC1と、水晶振動子2と、帰還抵抗3とが並列に接続された水晶発振器で、インバータIC1の出力側と水晶振動子2の一端とを直流阻止コンデンサ9を介して接続すると共に、水晶振動子2の当該一端に、調整用抵抗10と、ダイオード7,8から構成されるクランプ回路とを直列に接続した回路を接続し、当該回路の他端を接地した水晶発振器である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水晶発振器に係り、特に振動子に流れる高周波電流を制限して、安定した発振動作を行うことができ、また、発振周波数を調整できる水晶発振器に関する。
[従来の水晶発振器(1):図2]
水晶発振器において、水晶振動子に流れる高周波電流が過大であると、発振周波数が不安定になったり、周波数−温度特性が不規則な変化を起こすことがある。
また、移動体通信等に広く使用される水晶発振器には、小型化に適したインバータICが多く用いられている。
従来の、インバータICを用いた水晶発振器について図2を用いて説明する。図2は、第1の従来の水晶発振器の構成を示す回路図である。
図2に示すように、第1の従来の水晶発振器は、インバータIC1と、水晶振動子2と、帰還抵抗3と、励振レベル制限抵抗4と、固定コンデンサ5,6とから構成され、インバータIC1と水晶振動子2と帰還抵抗3とが並列に接続され、水晶振動子2の両端がそれぞれ固定コンデンサ5,6を介して接地され、インバータIC1の出力端子と水晶振動子2の間に励振レベル制限抵抗4が接続された構成となっている。
上記構成の水晶発振器においては、インバータIC1の出力に直列に励振レベル制限抵抗4を挿入することにより、水晶振動子2に流れる高周波電流を制限するものである。
[従来の水晶発振器(2):図3]
第2の従来の水晶発振器について図3を用いて説明する。図3は、第2の従来の水晶発振器の構成を示す回路図である。
図3に示すように、第2の従来の水晶発振器は、図2に示した従来の水晶発振器と基本的な構成は同じであり、図2の構成に加えて、調整コンデンサ11と、ダイオード7,8から成るクランプ回路とを直列に接続した回路を、インバータIC1の出力側となる水晶振動子2の一端に接続し、クランプ回路の他端を接地した構成となっている。クランプ回路のダイオード7,8は、逆向きに並列に接続されている。
第2の従来の水晶発振器は、インバータIC1の出力をクランプして水晶振動子2に入力することにより、水晶振動子2の励振レベルを制限するものである。
[先行技術文献]
尚、インバータICを用いた水晶発振器に関する先行技術としては、特開2004−104553号公報(特許文献1)、特開平7−240629号公報(特許文献2)がある。
特許文献1には、インバータと圧電振動子とが並列に接続された圧電発振器において、クランプ回路とコンデンサとを直列接続した回路を、インバータの入出力間に接続した構成が記載されており、圧電振動子の両端をクランプすると共に、インバータのインピーダンスを急激に低下させて発振利得を低下させ、圧電振動子に流れる電流抑制効果を高めることが記載されている。
つまり、特許文献1は、圧電振動子とクランプ回路のダイオードとが並列に接続されている構成である。
特許文献2には、インバータと圧電振動子とが並列に接続された電圧制御圧電発振器(VCXO)において、圧電振動子と直列にバリキャップダイオードを接続すると共に、バリキャップダイオードのアノードと接地の間にクランプ回路を設けて、圧電振動子の励振レベルを下げることによりバリキャップダイオードに加わる電圧を制限し、VCXOの制御電圧対周波数変化の直線性を改善することが記載されている。
特開2004−1045553号公報 特開平7−240629号公報
しかしながら、上記第1の従来の水晶発振器では、インバータICの出力に接続された制限抵抗は、振幅に関わらず電流を制限するため、起動時にも制限抵抗として働き、発振回路のループゲインが下がって発振起動時間が長くなったり、負性抵抗の減少により回路マージンが減少して不発振となるおそれがあるという問題点があった。
また、上記第2の従来の水晶発振器では、インバータICは利得が高く、圧電振動子に流れる電流はインバータICの両端のレベルで決まるため、圧電振動子電流を効果的に減少させることができないという問題点があった。
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、起動時に発振起動時間が遅くなったり、不発振となることを防いで安定した発振動作を行うと共に、水晶振動子に流れる高周波電流を十分低減でき、更に、振動子に印加される電圧を調整可能として所望の発振周波数を得ることができる水晶発振器を提供することを目的とする。
尚、上述した特許文献1及び2には、インバータICの出力側と水晶振動子の一端をコンデンサで接続すると共に、抵抗とクランプ回路とを直列に接続した回路を、インバータICの出力側となる水晶振動子の一端に接続した構成は記載されていない。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、インバータICと、水晶振動子が並列に接続された水晶発振器であって、インバータICの出力側と水晶振動子の一端を直流阻止コンデンサを介して接続し、水晶振動子の両端を各々固定コンデンサを介して接地すると共に、直流阻止コンデンサが接続された水晶振動子の一端に、抵抗とクランプ回路とを直列に接続して接地したことを特徴としている。
また、本発明は、上記水晶発振器において、抵抗を水晶振動子の電圧を調整する可変抵抗としたことを特徴としている。
また、本発明は、上記水晶発振器において、クランプ回路は、2つのダイオードを互いに極性が異なるよう並列に接続したものであることを特徴としている。
本発明によれば、インバータICと、水晶振動子が並列に接続された水晶発振器において、インバータICの出力側と水晶振動子の一端を直流阻止コンデンサを介して接続し、水晶振動子の両端を各々固定コンデンサを介して接地すると共に、直流阻止コンデンサが接続された水晶振動子の一端に、抵抗とクランプ回路とを直列に接続して接地した水晶発振器としているので、インバータICの出力振幅が小さいときにはクランプ回路は動作せず、振幅が一定レベルより大きくなると振幅を制限する動作を行うため、発振起動時の振幅が小さい時に起動を遅くしたり不発振を引き起こしたりすることはなく、十分振幅が大きくなると制限動作を行って、水晶振動子に流れる高周波電流を抑圧して安定した発振動作を行うと共に、抵抗値を変えることにより水晶振動子に印加される電圧を調整して発振周波数を調整することができる効果がある。
また、本発明によれば、抵抗を水晶振動子の電圧を調整する可変抵抗とした上記水晶発振器としているので、水晶発振器の製造後であっても、可変抵抗の抵抗値を調整することにより発振周波数を微調整することができる効果がある。
[発明の概要]
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係る水晶発振器は、インバータICと水晶振動子と帰還抵抗とを並列に接続した水晶発振器において、インバータICの出力側となる水晶振動子の一端に、調整抵抗とクランプ回路を直列に接続した回路を接続し、当該回路の他端を接地した構成とし、水晶振動子に流れる信号レベルが一定以上になった場合にのみ高周波電流の振幅を制限することができ、一定レベルよりも小さい発振起動時には影響を与えず、発振起動時間が遅くなったり、不発振となることを防ぐと共に、レベルが大きくなった場合には水晶振動子に流れる電流を十分低減でき、また、調整抵抗の抵抗値を変えることにより水晶振動子に印加される電圧を調整して発振周波数を調整することができるものである。
[実施の形態の水晶発振器:図1]
図1は、本発明の実施の形態に係る水晶発振器の回路図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る水晶発振器(本発振器)は、インバータIC1と、水晶振動子2と、帰還抵抗3と、直流阻止コンデンサ9と、固定コンデンサ5,6と、調整抵抗10と、ダイオード7,8とを備え、インバータIC1と水晶振動子2と帰還抵抗3とが並列に接続され、水晶振動子2の両端がそれぞれ固定コンデンサ5,6を介して接地され、インバータIC1の出力端子と水晶振動子2の間に直流阻止コンデンサ9が接続されている。
そして、本発振器の特徴部分として、ダイオード7,8から成るクランプ回路と、調整抵抗10とを直列に接続した回路が、インバータICの出力側に、固定コンデンサ6に並列に接続され、クランプ回路の他端は接地されている。
本装置の特徴部分について具体的に説明する。
[直流阻止コンデンサ9]
直流阻止コンデンサ9は、インバータIC1の出力から直流成分をカットするコンデンサである。
[クランプ回路]
クランプ回路は、従来の励振レベル制限抵抗4の代わりに設けられたものであって、ダイオード7,8を互いに逆方向(極性が異なる向き)に並列に接続したものであり、インバータIC1の出力から水晶振動子2に流れる高周波電流を制限する振幅制限回路である。
クランプ回路では、ダイオード7,8の順方向電圧により決まる信号レベルより小さい信号では、ダイオード7,8がOFF状態であるため電流は流れず、回路動作に影響を与えることはない。
したがって、発振起動時のような信号レベルが小さい場合には、ループゲインが下がることはないため、起動が遅くなることはなく、回路マージンの減少による不発振が発生することもない。
信号レベルがダイオード7,8の特性値より大きくなると、ダイオード7,8がONとなって、振幅制限の動作を開始し、水晶振動子2に過大な高周波電流が流れるのを防ぐ。
そして、ダイオード7,8の順方向電圧の特性を変える(異なる特性のダイオードを選択する)ことにより、制限される振幅を所望のレベルに調整することができるものである。
[調整用抵抗10]
調整用抵抗10は、抵抗値を変えることにより、制限する振幅を調整して水晶振動子2に流れる高周波電流を制限すると共に、水晶振動子2に印加される電圧を調整するものである。これにより、本発振器では、水晶振動子2に流れる高周波電流を効果的に抑制できると共に、VCXOにおいて発振周波数の微調整を行うことができるものである。
尚、上述した第2の従来の水晶発振器でもクランプ回路によって振幅制限を行うようにしているが、第2の従来の水晶発振器には調整用抵抗10が設けられておらず、本発振器のように、調整用抵抗10の抵抗値を変えることにより、水晶振動子2への高周波電流を所望の程度に制限でき、更に、水晶振動子2に印加される電圧を調整して発振周波数を調整する効果は得られない。
また、調整用抵抗10を可変抵抗としてもよく、可変抵抗とした場合には、発振器の製造後であっても可変抵抗の抵抗値を調整して、水晶振動子2の電圧を更に微調整し、発振周波数を調整することが可能となる。
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態によれば、インバータIC1と、水晶振動子2と、帰還抵抗3とが並列に接続された水晶発振器で、インバータIC1の出力側となる水晶振動子2の一端に、調整用抵抗10と、ダイオード7,8から構成されるクランプ回路とを直列に接続した回路を接続し、当該回路の他端を接地した構成としているので、インバータICの出力振幅が小さいときにはダイオード7,8がオフとなってクランプ回路は動作せず、振幅が一定レベルより大きくなると振幅を制限する動作を行うため、発振起動時の振幅が小さい時に起動を遅くしたり不発振を引き起こしたりすることはなく、十分振幅が大きくなると制限動作を行って、水晶振動子に流れる高周波電流を抑圧して安定した発振動作を行うことができる効果がある。
また、本発振器によれば、クランプ回路に直列に調整用抵抗10を設けているので、制限する振幅を調整できると共に、水晶振動子2に印加される電圧を調整して、発振周波数を所望の値に調整することができる効果がある。
更に、調整用抵抗10を可変抵抗とすることにより、本発振器の製造後であっても可変抵抗の抵抗値を調整して、水晶振動子2の電圧及び発振周波数を調整可能とすることができる効果がある。
本発明は、振動子に流れる高周波電流を制限して、安定した発振動作を行わせることができ、また、発振周波数を調整できる水晶発振器に適している。
本発明の実施の形態に係る水晶発振器の回路図である。 第1の従来の水晶発振器の構成を示す回路図である。 第2の従来の水晶発振器の構成を示す回路図である。
符号の説明
1…インバータIC、 2…水晶振動子、 3…帰還抵抗、 4…励振レベル制限抵抗、 5,6…固定コンデンサ、 7,8…ダイオード、 9…直流阻止コンデンサ、 10…調整抵抗、 11…調整コンデンサ

Claims (3)

  1. インバータICと、水晶振動子が並列に接続された水晶発振器であって、
    前記インバータICの出力側と前記水晶振動子の一端を直流阻止コンデンサを介して接続し、
    前記水晶振動子の両端を各々固定コンデンサを介して接地すると共に、前記直流阻止コンデンサが接続された前記水晶振動子の一端に、抵抗とクランプ回路とを直列に接続して接地したことを特徴とする水晶発振器。
  2. 抵抗を水晶振動子の電圧を調整する可変抵抗としたことを特徴とする請求項1記載の水晶発振器。
  3. クランプ回路は、2つのダイオードを互いに極性が異なるよう並列に接続したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の水晶発振器。
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