JP2004103704A - 半導体受光装置およびこれを備えた光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】受光感度の向上を図りつつ、静電気による静電破壊や素子分離領域の表面反転の生じない半導体受光装置を提供する。
【解決手段】p型シリコン基板1の主表面に形成された受光面を有する受光部と、受光面を覆うように形成され、入射する光の反射を防止する反射防止膜30とを備え、反射防止膜30は、受光面を覆うように形成された第1の酸化膜8と、この第1の酸化膜8を覆うように形成された第2の酸化膜13と、この第2の酸化膜13を覆うように形成された窒化膜14とを含む。第1の酸化膜8は熱酸化法によって形成された酸化膜であり、第2の酸化膜13はCVD法によって形成された酸化膜である。
【選択図】 図1
【解決手段】p型シリコン基板1の主表面に形成された受光面を有する受光部と、受光面を覆うように形成され、入射する光の反射を防止する反射防止膜30とを備え、反射防止膜30は、受光面を覆うように形成された第1の酸化膜8と、この第1の酸化膜8を覆うように形成された第2の酸化膜13と、この第2の酸化膜13を覆うように形成された窒化膜14とを含む。第1の酸化膜8は熱酸化法によって形成された酸化膜であり、第2の酸化膜13はCVD法によって形成された酸化膜である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光部を有する半導体受光装置およびこれを備えた光学装置に関するものであり、特に、青色DVD用のフォトダイオードを有する半導体受光装置およびこれを備えた光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体受光装置においては、受光素子としてフォトダイオードが利用されている。フォトダイオードは、光学信号を電気信号に変換するための素子であり、各種の光−電気変換器に広く用いられている。このフォトダイオードを備えた光−電気変換器の一例として、光ディスク装置に搭載される光ピックアップがある。
【0003】
光ピックアップは、半導体レーザの出射光を微小なスポットとして光ディスクの情報記録トラック上に集光し、情報記録トラックに照射された光の反射光をフォトダイオードを用いて受光することにより、情報を再生する装置である。このフォトダイオードは、光ディスク上に書き込まれているデータを検出するのみならず、ディスク上にて反射された複数の反射光を読み取ることにより、フォーカス信号やサーボ信号を同時に検出している。光ディスク装置においては、検出されたフォーカス信号やサーボ信号に基づいてフォーカス制御およびサーボ制御が行なわれ、常にレーザ光が適切に光ディスクの情報記録トラックに照射されるように制御されている。
【0004】
近年においては、光ディスク装置に用いられるレーザ光の波長は、光ディスクの高密度化に伴ってますます短波長化してきている。CD(Compact Disk)やMD(Mini Disk)においては、波長780nmのレーザ光が用いられ、DVD(Digital Versatile Disk)においては、波長650nmのレーザ光が用いられている。さらに、近年開発が進んでいる青色DVDにおいては、波長405nmのレーザ光が採用されている。
【0005】
フォトダイオードの感度を向上させるための方策としては、フォトダイオードが受光する光量を増大させることが考えられる。受光量を増大させるためには、受光素子の受光面において反射する反射光の光量を可能な限り低く抑えることが有効である。このため、フォトダイオードの受光部は、入射する光が反射することを防止するための反射防止膜によって覆われる。
【0006】
反射防止膜を設けた場合の反射率は、反射防止膜自体の膜質および膜厚に大きく依存する。また、反射防止膜を積層膜とした場合には、各層の膜構成および膜厚に大きく依存する。このため、反射率を低減するためには、反射防止膜の膜構成および膜厚を十分に検討する必要がある。
【0007】
従来の青色DVD用の光ディスク装置に用いられるフォトダイオードを内蔵した半導体受光装置の一例を図9に示す。図に示す半導体受光装置は、フォトダイオードと信号処理回路とを内蔵した回路内蔵型受光素子であり、半導体層には、npnトランジスタが形成される領域Tと、フォトダイオードが形成される領域PDとが設けられている。なお、ここにいう半導体層という概念は、半導体として機能する層のことを意味し、半導体基板のみならず半導体基板上に形成されたエピタキシャル層等をも含む概念である。
【0008】
フォトダイオードが形成される領域PDは、光を受光する受光部である領域Sを含んでいる。領域Sの中央には、素子分離のためのp+型拡散領域112が位置しており、このp+型拡散領域112の両側には、n型拡散領域110がそれぞれ独立して設けられている。この独立して設けられたn型拡散領域110は、それぞれp型エピタキシャル層103とpn接合を形成しており、この結果、図に示すフォトダイオードにあっては分割型のフォトダイオードが構成されている。
【0009】
受光部である領域Sの半導体層の主表面は、シリコン酸化膜108によって覆われており、さらにシリコン酸化膜108は、シリコン窒化膜114によって覆われている。これらシリコン酸化膜108とシリコン窒化膜114とにより、反射防止膜130が構成されている。
【0010】
反射防止膜としては、一般に酸化膜と窒化膜の積層膜が使用される。上述のように、たとえば半導体層としてシリコン層を用いた場合には、フォトダイオードの受光面を覆う反射防止膜としては、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが用いられる。これらシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜の膜厚を調節することにより、反射率を低く抑えることが可能になる。たとえば、膜厚16nmのシリコン酸化膜と、膜厚30nmのシリコン窒化膜とした場合には、波長405nmのレーザ光に対して反射率が5%以下になることが知られている。
【0011】
以下においては、上記構造の半導体受光装置の製造方法の一例について説明する。たとえば、比抵抗40Ω・cmのp型シリコン基板101の表面に、npnトランジスタのコレクタ領域の一部となるn+型埋め込み拡散層105と、素子分離領域やフォトダイオードのアノード取出し部となるp+型埋め込み拡散層104とを選択的に形成する。次に、p型シリコン基板101上に、たとえば比抵抗200Ω・cm、厚さ3μm程度のp型エピタキシャル層103を形成する。これにより、p型シリコン基板101とp型エピタキシャル層103とからなる半導体層が形成される。つづいて、所定のアニール処理を施こすことにより、p型シリコン基板101中の不純物を熱拡散させ、p型エピタキシャル層103中にまで埋め込み拡散層104,105を拡張させる。
【0012】
次に、p型エピタキシャル層103の主表面にn−型ウェル拡散領域106を選択的に形成し、さらに素子分離のための素子分離絶縁膜107をたとえばLOCOS法を用いて厚さ1μmとなるように形成する。これにより、素子間の分離は、素子分離絶縁膜107、p+型埋め込み拡散層104およびp型シリコン基板101によって行われることになる。
【0013】
領域PDにおいては、たとえば熱酸化法により膜厚16nmのシリコン酸化膜108が形成され、このシリコン酸化膜108越しにp型エピタキシャル層103にイオン注入が行なわれる。これにより、n型拡散領域110およびp+型拡散領域112が形成される。次に、たとえばCVD法により膜厚30nmのシリコン窒化膜114をシリコン酸化膜108上に形成する。その後、所定のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を経ることにより、受光部である領域S上に反射防止膜130が形成される。
【0014】
次に、npnトランジスタが形成される領域Tにおいては、素子分離絶縁膜107によって囲まれた一つの領域に、n+型コレクタ領域109が形成される。次に、素子分離絶縁膜107によって囲まれた他の領域に、p型ベース領域111が形成される。
【0015】
次に、たとえばシリコン酸化膜からなる絶縁膜113を堆積する。次に、シリコン酸化膜108および絶縁膜113を選択的に除去し、領域Tにおいてはnpnトランジスタのコレクタコンタクトおよびエミッタコンタクトが形成される部分に、領域PDにおいてはカソードコンタクトが形成される部分にコンタクト孔を形成する。つづていこれらコンタクト孔を多結晶シリコンにて埋め込み、この多結晶シリコンに砒素イオンを注入し、その後不要の部分を除去することにより、n+型ポリシリコン層115を形成する。
【0016】
つづいて、所定のアニール処理を施すことにより、n+型ポリシリコン層115中のn型不純物をp型エピタキシャル層103の表面に熱拡散させ、n型エミッタ領域116を形成する。このようにして、n型エミッタ領域116、p型ベース領域111およびn+型コレクタ領域109を有するnpnトランジスタが形成される。
【0017】
次に、npnトランジスタおよびフォトダイオードを覆うように、たとえばシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜117が形成される。シリコン酸化膜108、絶縁膜113および第1の層間絶縁膜117の所定の領域にコンタクト孔を形成し、たとえばチタンタングステンまたはアルミニウムなどを堆積することによって第1の配線118が形成される。
【0018】
次に、第1の配線118を覆うように、たとえばシリコン酸化膜からなる第2の層間絶縁膜119が形成される。その第2の層間絶縁膜119上に、たとえばアルミニウムなどからなる第2の配線120が形成される。さらに、第2の配線120上には、たとえばシリコン窒化膜からなる保護膜121が形成される。
【0019】
以上により、フォトダイオードの受光面が反射防止膜によって覆われた図9に示す如くの半導体受光装置が製作される。
【0020】
【特許文献1】
特開平10−107312号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の青色DVD用の半導体受光装置において用いられる反射防止膜130にあっては、シリコン酸化膜108とシリコン窒化膜114との間に静電気が生じ易く、反射防止膜130がこの静電気によって静電破壊を起こすことがあった。この静電破壊が生じた場合には、S領域においてn型拡散領域110とp+型拡散領域112とにリークが発生し、素子特性に重大な影響を及ぼす。また、反射防止膜130が静電破壊にまで至らない場合にも、上記静電気によってp+型拡散領域112の表面反転が生じリークが生じることがある。
【0022】
この静電気の影響を回避するためには、シリコン酸化膜108の膜厚を大きくすることが有効である。しかしながら、通常このシリコン酸化膜108は、シリコン層からなる半導体層の主表面を熱酸化させることによって形成される薄いシリコン酸化膜であり、フォトダイオードの受光部の一部であるn型拡散領域110を形成するためのイオン注入工程の前処理として形成されたシリコン酸化膜をそのまま残置させたものである場合が多い。このため、このシリコン酸化膜108を分厚くした場合には、イオン注入工程において形成されるn型拡散領域110の半導体層主表面における不純物濃度を高く維持するために、注入エネルギーを増大させる必要がある。この結果、シリコン酸化膜108を分厚くした場合には、n型拡散領域110のpn接合面はより深い位置へと移動することになり、フォトダイオードの受光感度が低下してしまうことになる。
【0023】
このように、受光感度の観点からは反射防止膜130の最下層に位置するシリコン酸化膜108は薄いことが好ましく、反対に、静電破壊やp+型拡散領域112の表面反転を防止する観点からはシリコン酸化膜108は厚いことが好ましい。このため、従来においてはシリコン酸化膜108の最適な厚みの調節が非常に困難となっていた。
【0024】
したがって、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、受光感度の向上を図りつつ、静電気による静電破壊や拡散層の表面反転の生じない半導体受光装置およびこれを備えた光学装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく半導体受光装置は、受光部と反射防止膜とを備えている。受光部は、半導体層の主表面に形成された受光面を有する。反射防止膜は、受光部の受光面を覆うように形成され、入射する光の反射を防止する。反射防止膜は、受光面を覆うように形成された第1の酸化膜と、第1の酸化膜を覆うように形成された第2の酸化膜とを含んでいる。
【0026】
このように、受光面を覆う反射防止膜を、受光面を覆う第1の酸化膜とこの第1の酸化膜を覆う第2の酸化膜とを含む膜構成とすることにより、第1の酸化膜の形成後でかつ第2の酸化膜の形成前に受光部を形成するためのイオン注入を行うことが可能になるため、受光部の受光感度を高く維持したまま静電気に対しても強い半導体受光装置を提供することが可能になる。これにより、高性能でかつ信頼性に優れた半導体受光装置を歩留まりよく製造することが可能になる。
【0027】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、第1の酸化膜は熱酸化法によって形成された酸化膜であり、第2の酸化膜はCVD法によって形成された酸化膜であることが好ましい。このように、受光面を覆う第1の酸化膜を熱酸化法によって形成し、第1の酸化膜を覆う第2の酸化膜をCVD法によって形成することにより、簡便に二層構造の酸化膜を含む反射防止膜を形成することが可能になる。第1の酸化膜は、第2の酸化膜に比して薄いことが好ましく、このため熱酸化法による成膜が好ましい。これに対して第2の酸化膜は、静電耐性を確保するためにより厚いことが好ましいため、CVD法による成膜が好ましい。
【0028】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、反射防止膜は第2の酸化膜を覆うように形成された窒化膜をさらに含んでいることが望ましい。このように、第2の酸化膜を覆うように窒化膜を堆積することにより、下層から順に酸化膜/酸化膜/窒化膜の三層構造の反射防止膜を形成することが可能になり、反射率をより低減することが可能になる。
【0029】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、第1の酸化膜の膜厚は15nm以上30nm以下であることが好ましい。このように、第1の酸化膜の膜厚を15nm以上30nm以下とすることにより、半導体層表面における不純物濃度を高く保ちつつ浅いpn接合を有する不純物拡散領域を形成することが可能になり、受光感度を高く保つことが可能になる。
【0030】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、受光部は、半導体層の導電型とは異なる導電型の不純物拡散領域によって構成され、不純物拡散領域の半導体層主表面からの深さが500nm以下であることが好ましい。このように、受光部を構成する不純物拡散領域の半導体層表面からの深さを500nm以下にすることにより、青色DVDに用いられる波長405nmのレーザ光に対する受光感度が向上するようになる。
【0031】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、不純物拡散領域を形成するための不純物が砒素を含んでいることが好ましい。このように、不純物として原子の半径の大きい砒素を用いることにより、浅い不純物拡散層の形成が可能となり、受光感度の高い半導体受光装置を製造することが可能になる。
【0032】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、受光部が形成された領域とは異なる半導体層の領域に形成され、所定の信号を処理する信号処理回路部をさらに備えていてもよい。このとき、信号処理回路部が半導体層の主表面を覆う第1の絶縁膜によって覆われている場合には、この第1の絶縁膜と同じ層から第1の酸化膜が形成されていることが好ましい。また、さらに第1の絶縁膜が第2の絶縁膜によって覆われている場合には、この第2の絶縁膜と同じ層から第2の酸化膜が形成されていることが好ましい。これにより、信号処理回路部を形成する工程に合わせて反射防止膜を同時に形成することが可能なり、製造プロセスの簡素化が可能になる。
【0033】
本発明に基づく光学装置は、上述のいずれかの半導体受光装置を備えている。これにより、高性能でかつ信頼性に優れた光学装置を提供することが可能になる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半導体受光装置の概略断面図である。図に示す半導体受光装置は、信号処理回路部を有していないフォトダイオードである。なお、図においてはコンタクト形成工程以降に形成されるコンタクトや配線、層間絶縁膜、保護膜などについてはその図示を省略している。
【0036】
図1に示すように、本実施の形態における半導体受光装置にあっては、半導体層として、p型シリコン基板1とp型シリコン基板1の主表面上に形成されたp型エピタキシャル層3とを備えている。p型シリコン基板1の主表面には、p+型埋め込み拡散層2が位置している。p型エピタキシャル層3の所定位置には、p型エピタキシャル層3の主表面からp+型埋め込み拡散層2まで至るp+型拡散領域4aが形成されている。また、p型エピタキシャル層3の主表面には、p+型拡散領域12が位置しており、このp+型拡散領域12の両側には、n型拡散領域10がそれぞれ独立して設けられている。この独立して設けられたn型拡散領域10はp型エピタキシャル層3とpn接合を形成しており、この結果、図に示すフォトダイオードにあっては分割型のフォトダイオードが構成される。
【0037】
n型拡散領域10およびp+型拡散領域12が形成されたp型エピタキシャル層3の主表面は、シリコン酸化膜からなる第1の酸化膜8によって覆われている。また、第1の酸化膜8は、シリコン酸化膜からなる第2の酸化膜13によって覆われている。さらに第2の酸化膜13は、シリコン窒化膜からなる窒化膜14によって覆われている。これら第1の酸化膜8、第2の酸化膜13および窒化膜14によって反射防止膜30が構成されている。ここで、第1の酸化膜8の膜厚は23nmであり、第2の酸化膜13の膜厚は100nmである。また、窒化膜14の膜厚は65nmである。すなわち、反射防止膜30の総膜厚は188nmである。
【0038】
次に、上記構造の半導体受光装置の製造方法について説明する。まず、たとえば、比抵抗40Ω・cm程度のp型シリコン基板1の主表面に、不純物濃度が1×1018cm−3程度のp+型埋め込み拡散層2をイオン注入法によって形成する。次に、p型シリコン基板1主表面に比抵抗200Ω・cm、厚さ10μm程度のp型エピタキシャル層3を形成する。つづいて、p型エピタキシャル層3の主表面に、熱酸化法によってシリコン酸化膜からなる第1の酸化膜8を膜厚23nmとなるように形成する。次に、p型エピタキシャル層3の所定の位置に不純物を注入することにより、p型エピタキシャル層3の主表面からp+型埋め込み拡散層2に達するようにp+型拡散領域4aを形成する。このp+型拡散領域4aは、素子分離領域としての役割を果たす。
【0039】
さらに、第1の酸化膜8越しに砒素を注入することにより、p型エピタキシャル層3の主表面にn型拡散領域10を形成する。青色DVDに用いられるレーザ光の波長は405nmであるため、その侵入長は300nm程度である。このため、好ましくはこのn型拡散領域10の深さを500nm以下とする。つづいて、このn型拡散領域10に挟まれたp型エピタキシャル層3の主表面に第1の酸化膜8越しにイオン注入を行ない、p+型拡散領域12を形成する。
【0040】
次に、CVD法を用いて第1の酸化膜8の主表面を覆うようにシリコン酸化膜からなる第2の酸化膜13を膜厚100nmとなるように堆積する。さらに、CVD法を用いてこの第2の酸化膜13を覆うようにシリコン窒化膜からなる窒化膜14を膜厚65nmとなるように堆積する。つづいて、所定のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を経ることにより、第2の酸化膜13および窒化膜14のパターニングを行ない、第1の酸化膜8、第2の酸化膜13および窒化膜14の三層の膜からなる反射防止膜30を得る。以上の工程を経ることにより、図1に示す半導体受光装置の製作が完了する。
【0041】
上記のように、熱酸化法による第1の酸化膜8の形成後であってかつCVD法による第2の酸化膜13の堆積前に、受光部を形成するためのイオン注入を行うことにより、受光部を構成するn型拡散領域10の接合深さを比較的浅くすることが可能になり、受光感度に優れた半導体受光装置を提供することが可能になる。また、イオン注入工程後に堆積される第2の酸化膜13を比較的厚くすることにより、強い静電耐性が確保された半導体受光装置とすることが可能になる。このように、従来、一層の酸化膜によって形成されていた反射防止膜の酸化膜を第1の酸化膜8と第2の酸化膜13との二層の酸化膜によって構成することにより、良好な受光感度と強い静電耐性とを兼ね備えた半導体受光装置とすることが可能になる。
【0042】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す概略断面図であり、図3から図8は、図2に示す半導体受光装置の製造方法を示す工程図である。図2に示すように、本実施の形態における半導体受光装置は、同一半導体層上に信号処理回路部を有する回路内蔵型受光素子であり、半導体層には、npnトランジスタが形成される領域Tと、フォトダイオードが形成される領域PDとが設けられている。
【0043】
フォトダイオードが形成される領域PDは、レーザ光を受光する受光部である領域Sを含んでいる。領域Sの中央には、素子分離のためのp+型拡散領域12が位置しており、このp+型拡散領域12の両側には、n型拡散領域10がそれぞれ独立して設けられている。この独立して設けられたn型拡散領域10は、それぞれp型エピタキシャル層3とpn接合を形成しており、この結果、図に示すフォトダイオードにあっては分割型のフォトダイオードが構成されている。
【0044】
受光部である領域Sの半導体層の主表面は、シリコン酸化膜からなる第1の酸化膜8によって覆われており、この第1の酸化膜8は、シリコン酸化膜からなる第2の酸化膜13によって覆われている。さらに、第2の酸化膜13は、シリコン窒化膜からなる窒化膜14によって覆われている。これら第1の酸化膜8、第2の酸化膜13および窒化膜14とにより、反射防止膜30が構成されている。
【0045】
第1の酸化膜8の膜厚は23nmであり、第2の酸化膜13の膜厚は100nmである。また、窒化膜14の膜厚は65nmである。すなわち、反射防止膜30の総膜厚は188nmとなっている。このような膜構成とすることにより、青色DVDに用いられる波長405nmのレーザ光に対する反射率が5%以下に抑えられることが確認されている。
【0046】
次に、上記構造の半導体受光装置の製造方法について説明する。図3に示すように、たとえば比抵抗40Ω・cmのp型シリコン基板1の表面に、npnトランジスタのコレクタ領域の一部となるn+型埋め込み拡散層5と、素子分離領域やフォトダイオードのアノード取出し部となるp+型埋め込み拡散層4とを選択的に形成する。
【0047】
次に、図4に示すように、p型シリコン基板1上に、たとえば比抵抗500Ω・cm、厚さ2μm程度のp型エピタキシャル層3を形成する。これにより、p型シリコン基板1とp型エピタキシャル層3とからなる半導体層が形成される。つづいて、所定のアニール処理を施すことにより、p型シリコン基板1中の不純物を熱拡散させ、p型エピタキシャル層3中にまで埋め込み拡散層4,5を拡張させる。
【0048】
次に、p型エピタキシャル層3の主表面にn−型ウェル拡散領域を選択的に形成し、さらに素子分離のための素子分離絶縁膜7をLOCOS法を用いて厚さ1μmとなるように形成する。つづいて、半導体層の主表面であるp型エピタキシャル層3の表面を全面にわたって熱酸化し、厚さ23nmの第1の酸化膜8を形成する。この第1の酸化膜8は、領域PDにおいては反射防止膜を構成する膜となり、領域Tにおいては信号処理回路部を覆う第1の絶縁膜に相当する膜となる。
【0049】
次に、図5に示すように、npnトランジスタが形成される領域Tにおいては、素子分離絶縁膜7によって囲まれた一つの領域にn+型コレクタ領域9を形成する。次に、素子分離絶縁膜7によって囲まれた他の領域にp型ベース領域11を形成する。また、フォトダイオードが形成される領域PDにおいては、n型拡散領域10と、p+型拡散領域12を形成する。これら不純物領域は、すべて第1の酸化膜8越しにイオン注入することによって形成される。なお、ここでは、npnトランジスタのp型ベース領域11と、フォトダイオードのp+型拡散領域12とを同時のイオン注入により形成することも可能である。
【0050】
次に、図6に示すように、第1の酸化膜8を覆うように全面にわたってシリコン酸化膜からなる第2の酸化膜13がCVD法により膜厚100nmとなるように堆積される。さらに、この第2の酸化膜13の受光部に対応する部分にのみシリコン窒化膜からなる窒化膜14がCVD法により膜厚65nmとなるように堆積される。
【0051】
次に、図7に示すように、第1の酸化膜8および第2の酸化膜13を選択的に除去し、領域Tにおいてはnpnトランジスタのコレクタコンタクトおよびエミッタコンタクトが形成される部分に、領域PDにおいてはカソードコンタクトが形成される部分にコンタクト孔を形成する。つづいて、これらコンタクト孔を多結晶シリコンにて埋め込み、この多結晶シリコンに砒素イオンを注入し、その後不要部分の多結晶シリコンを除去する。これにより、図に示すようなn+型ポリシリコン層15が形成される。
【0052】
さらに、アニール処理を施すことにより、n+型ポリシリコン層15中のn型不純物を半導体層表面に熱拡散させ、n型エミッタ領域16を形成する。これにより、n型エミッタ領域16、p型ベース領域11およびn+型コレクタ領域9を有するnpnトランジスタが形成される。この後、全面にわたってたとえばシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜17が堆積される。
【0053】
次に、図8に示すように、第1の酸化膜8、第2の酸化膜13および第1の層間絶縁膜17の所定の位置にコンタクト孔を形成し、たとえばチタンタングステンまたはアルミニウムなどを堆積することによって第1の配線18が形成される。次に、第1の配線18を覆うように、たとえばシリコン酸化膜からなる第2の層間絶縁膜19が形成される。
【0054】
次に、図9に示すように、第2の層間絶縁膜19上に、たとえばアルミニウムなどからなる第2の配線20が形成される。さらに、第2の配線20上には、たとえばシリコン窒化膜からなる保護膜21が形成される。最後に、所定のエッチング工程を施すことにより、受光部である領域S上の所定の絶縁膜が除去されることにより、フォトダイオードの受光面が反射防止膜30によって覆われた図2に示す如くの半導体受光装置が製作される。
【0055】
上記のように、熱酸化法による第1の酸化膜8の形成後であってかつCVD法による第2の酸化膜13の堆積前に、受光部を形成するためのイオン注入を行うことにより、受光部を構成するn型拡散領域10の接合深さを比較的浅くすることが可能になり、受光感度に優れた半導体受光装置を提供することが可能になる。また、イオン注入工程後に堆積される第2の酸化膜13を比較的厚くすることにより、強い静電耐性が確保された半導体受光装置とすることが可能になる。このように、従来、一層の酸化膜によって形成されていた反射防止膜の酸化膜を第1の酸化膜8と第2の酸化膜13との二層の酸化膜によって構成することにより、良好な受光感度と強い静電耐性とを兼ね備えた半導体受光装置とすることが可能になる。
【0056】
また、反射防止膜の最下層の膜である第1の酸化膜8を信号処理回路部のnpnトランジスタを覆う第1の絶縁膜と共通化することにより、製造工程の簡素化が可能になる。また、反射防止膜の中間層の膜である第2の酸化膜13を信号処理回路部のnpnトランジスタを覆う第2の絶縁膜と共通化することにより、さらなる製造工程の簡素化が可能になる。このように、信号処理回路部を備えた半導体受光装置にあっても、従来に比べて製造工程を複雑化することなく受光感度と静電耐性に優れた受光素子を提供することが可能になる。
【0057】
上記実施の形態においては、p型シリコン基板を用いて製作された半導体受光装置を例示して説明を行なったが、特にこれに限定されるものではなく、n型シリコン基板を用いて製作される半導体受光装置にも本発明を適用することは当然に可能である。
【0058】
また、上記実施の形態においては、第1の酸化膜を熱酸化法により成膜し、第2の酸化膜をCVD法により成膜した場合を例示して説明を行なったが、成膜方法は特にこれに限定されるものではない。また、上記実施の形態においては、青色DVD用の半導体受光装置に本発明を適用した場合に反射率を低減する上でより好ましい膜厚を例示して説明を行なったが、膜厚は受光するレーザ光の波長に合わせて適宜選択することが可能である。本発明は、従来一層にて形成されていた反射防止膜の酸化膜層を二層にて構成するものであり、その膜厚や成膜方法は特に限定されるものではない。
【0059】
なお、本発明に基づく半導体受光装置は、光ピックアップ、光ファイバー、光カプラ、光空間伝送用の光センサなどの各種光学装置に利用可能である。
【0060】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0061】
【発明の効果】
本発明により、受光感度の向上を図りつつ、静電気による静電破壊や素子分離領域の表面反転の生じない半導体受光装置およびこれを備えた光学装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体受光装置の構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の構造を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第1工程図である。
【図4】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第2工程図である。
【図5】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第3工程図である。
【図6】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第4工程図である。
【図7】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第5工程図である。
【図8】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第6工程図である。
【図9】従来の半導体受光装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 p型シリコン基板、2 p+型埋め込み拡散層、3 p型エピタキシャル層、4 p+型埋め込み拡散層、4a p+型拡散領域、5 n+型埋め込み拡散層、6 n−型ウェル層、7 素子分離絶縁膜、8 第1の酸化膜、9 n+型コレクタ領域、10 n型拡散領域、11 p+型ベース領域、12 p+型拡散領域、13 第2の酸化膜、14 窒化膜、15 n+型ポリシリコン層、16 n型エミッタ領域、17 第1の層間絶縁膜、18 コンタクト、19 第2の層間絶縁膜、20 配線、21 保護膜、30 反射防止膜。
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光部を有する半導体受光装置およびこれを備えた光学装置に関するものであり、特に、青色DVD用のフォトダイオードを有する半導体受光装置およびこれを備えた光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体受光装置においては、受光素子としてフォトダイオードが利用されている。フォトダイオードは、光学信号を電気信号に変換するための素子であり、各種の光−電気変換器に広く用いられている。このフォトダイオードを備えた光−電気変換器の一例として、光ディスク装置に搭載される光ピックアップがある。
【0003】
光ピックアップは、半導体レーザの出射光を微小なスポットとして光ディスクの情報記録トラック上に集光し、情報記録トラックに照射された光の反射光をフォトダイオードを用いて受光することにより、情報を再生する装置である。このフォトダイオードは、光ディスク上に書き込まれているデータを検出するのみならず、ディスク上にて反射された複数の反射光を読み取ることにより、フォーカス信号やサーボ信号を同時に検出している。光ディスク装置においては、検出されたフォーカス信号やサーボ信号に基づいてフォーカス制御およびサーボ制御が行なわれ、常にレーザ光が適切に光ディスクの情報記録トラックに照射されるように制御されている。
【0004】
近年においては、光ディスク装置に用いられるレーザ光の波長は、光ディスクの高密度化に伴ってますます短波長化してきている。CD(Compact Disk)やMD(Mini Disk)においては、波長780nmのレーザ光が用いられ、DVD(Digital Versatile Disk)においては、波長650nmのレーザ光が用いられている。さらに、近年開発が進んでいる青色DVDにおいては、波長405nmのレーザ光が採用されている。
【0005】
フォトダイオードの感度を向上させるための方策としては、フォトダイオードが受光する光量を増大させることが考えられる。受光量を増大させるためには、受光素子の受光面において反射する反射光の光量を可能な限り低く抑えることが有効である。このため、フォトダイオードの受光部は、入射する光が反射することを防止するための反射防止膜によって覆われる。
【0006】
反射防止膜を設けた場合の反射率は、反射防止膜自体の膜質および膜厚に大きく依存する。また、反射防止膜を積層膜とした場合には、各層の膜構成および膜厚に大きく依存する。このため、反射率を低減するためには、反射防止膜の膜構成および膜厚を十分に検討する必要がある。
【0007】
従来の青色DVD用の光ディスク装置に用いられるフォトダイオードを内蔵した半導体受光装置の一例を図9に示す。図に示す半導体受光装置は、フォトダイオードと信号処理回路とを内蔵した回路内蔵型受光素子であり、半導体層には、npnトランジスタが形成される領域Tと、フォトダイオードが形成される領域PDとが設けられている。なお、ここにいう半導体層という概念は、半導体として機能する層のことを意味し、半導体基板のみならず半導体基板上に形成されたエピタキシャル層等をも含む概念である。
【0008】
フォトダイオードが形成される領域PDは、光を受光する受光部である領域Sを含んでいる。領域Sの中央には、素子分離のためのp+型拡散領域112が位置しており、このp+型拡散領域112の両側には、n型拡散領域110がそれぞれ独立して設けられている。この独立して設けられたn型拡散領域110は、それぞれp型エピタキシャル層103とpn接合を形成しており、この結果、図に示すフォトダイオードにあっては分割型のフォトダイオードが構成されている。
【0009】
受光部である領域Sの半導体層の主表面は、シリコン酸化膜108によって覆われており、さらにシリコン酸化膜108は、シリコン窒化膜114によって覆われている。これらシリコン酸化膜108とシリコン窒化膜114とにより、反射防止膜130が構成されている。
【0010】
反射防止膜としては、一般に酸化膜と窒化膜の積層膜が使用される。上述のように、たとえば半導体層としてシリコン層を用いた場合には、フォトダイオードの受光面を覆う反射防止膜としては、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが用いられる。これらシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜の膜厚を調節することにより、反射率を低く抑えることが可能になる。たとえば、膜厚16nmのシリコン酸化膜と、膜厚30nmのシリコン窒化膜とした場合には、波長405nmのレーザ光に対して反射率が5%以下になることが知られている。
【0011】
以下においては、上記構造の半導体受光装置の製造方法の一例について説明する。たとえば、比抵抗40Ω・cmのp型シリコン基板101の表面に、npnトランジスタのコレクタ領域の一部となるn+型埋め込み拡散層105と、素子分離領域やフォトダイオードのアノード取出し部となるp+型埋め込み拡散層104とを選択的に形成する。次に、p型シリコン基板101上に、たとえば比抵抗200Ω・cm、厚さ3μm程度のp型エピタキシャル層103を形成する。これにより、p型シリコン基板101とp型エピタキシャル層103とからなる半導体層が形成される。つづいて、所定のアニール処理を施こすことにより、p型シリコン基板101中の不純物を熱拡散させ、p型エピタキシャル層103中にまで埋め込み拡散層104,105を拡張させる。
【0012】
次に、p型エピタキシャル層103の主表面にn−型ウェル拡散領域106を選択的に形成し、さらに素子分離のための素子分離絶縁膜107をたとえばLOCOS法を用いて厚さ1μmとなるように形成する。これにより、素子間の分離は、素子分離絶縁膜107、p+型埋め込み拡散層104およびp型シリコン基板101によって行われることになる。
【0013】
領域PDにおいては、たとえば熱酸化法により膜厚16nmのシリコン酸化膜108が形成され、このシリコン酸化膜108越しにp型エピタキシャル層103にイオン注入が行なわれる。これにより、n型拡散領域110およびp+型拡散領域112が形成される。次に、たとえばCVD法により膜厚30nmのシリコン窒化膜114をシリコン酸化膜108上に形成する。その後、所定のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を経ることにより、受光部である領域S上に反射防止膜130が形成される。
【0014】
次に、npnトランジスタが形成される領域Tにおいては、素子分離絶縁膜107によって囲まれた一つの領域に、n+型コレクタ領域109が形成される。次に、素子分離絶縁膜107によって囲まれた他の領域に、p型ベース領域111が形成される。
【0015】
次に、たとえばシリコン酸化膜からなる絶縁膜113を堆積する。次に、シリコン酸化膜108および絶縁膜113を選択的に除去し、領域Tにおいてはnpnトランジスタのコレクタコンタクトおよびエミッタコンタクトが形成される部分に、領域PDにおいてはカソードコンタクトが形成される部分にコンタクト孔を形成する。つづていこれらコンタクト孔を多結晶シリコンにて埋め込み、この多結晶シリコンに砒素イオンを注入し、その後不要の部分を除去することにより、n+型ポリシリコン層115を形成する。
【0016】
つづいて、所定のアニール処理を施すことにより、n+型ポリシリコン層115中のn型不純物をp型エピタキシャル層103の表面に熱拡散させ、n型エミッタ領域116を形成する。このようにして、n型エミッタ領域116、p型ベース領域111およびn+型コレクタ領域109を有するnpnトランジスタが形成される。
【0017】
次に、npnトランジスタおよびフォトダイオードを覆うように、たとえばシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜117が形成される。シリコン酸化膜108、絶縁膜113および第1の層間絶縁膜117の所定の領域にコンタクト孔を形成し、たとえばチタンタングステンまたはアルミニウムなどを堆積することによって第1の配線118が形成される。
【0018】
次に、第1の配線118を覆うように、たとえばシリコン酸化膜からなる第2の層間絶縁膜119が形成される。その第2の層間絶縁膜119上に、たとえばアルミニウムなどからなる第2の配線120が形成される。さらに、第2の配線120上には、たとえばシリコン窒化膜からなる保護膜121が形成される。
【0019】
以上により、フォトダイオードの受光面が反射防止膜によって覆われた図9に示す如くの半導体受光装置が製作される。
【0020】
【特許文献1】
特開平10−107312号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の青色DVD用の半導体受光装置において用いられる反射防止膜130にあっては、シリコン酸化膜108とシリコン窒化膜114との間に静電気が生じ易く、反射防止膜130がこの静電気によって静電破壊を起こすことがあった。この静電破壊が生じた場合には、S領域においてn型拡散領域110とp+型拡散領域112とにリークが発生し、素子特性に重大な影響を及ぼす。また、反射防止膜130が静電破壊にまで至らない場合にも、上記静電気によってp+型拡散領域112の表面反転が生じリークが生じることがある。
【0022】
この静電気の影響を回避するためには、シリコン酸化膜108の膜厚を大きくすることが有効である。しかしながら、通常このシリコン酸化膜108は、シリコン層からなる半導体層の主表面を熱酸化させることによって形成される薄いシリコン酸化膜であり、フォトダイオードの受光部の一部であるn型拡散領域110を形成するためのイオン注入工程の前処理として形成されたシリコン酸化膜をそのまま残置させたものである場合が多い。このため、このシリコン酸化膜108を分厚くした場合には、イオン注入工程において形成されるn型拡散領域110の半導体層主表面における不純物濃度を高く維持するために、注入エネルギーを増大させる必要がある。この結果、シリコン酸化膜108を分厚くした場合には、n型拡散領域110のpn接合面はより深い位置へと移動することになり、フォトダイオードの受光感度が低下してしまうことになる。
【0023】
このように、受光感度の観点からは反射防止膜130の最下層に位置するシリコン酸化膜108は薄いことが好ましく、反対に、静電破壊やp+型拡散領域112の表面反転を防止する観点からはシリコン酸化膜108は厚いことが好ましい。このため、従来においてはシリコン酸化膜108の最適な厚みの調節が非常に困難となっていた。
【0024】
したがって、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、受光感度の向上を図りつつ、静電気による静電破壊や拡散層の表面反転の生じない半導体受光装置およびこれを備えた光学装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく半導体受光装置は、受光部と反射防止膜とを備えている。受光部は、半導体層の主表面に形成された受光面を有する。反射防止膜は、受光部の受光面を覆うように形成され、入射する光の反射を防止する。反射防止膜は、受光面を覆うように形成された第1の酸化膜と、第1の酸化膜を覆うように形成された第2の酸化膜とを含んでいる。
【0026】
このように、受光面を覆う反射防止膜を、受光面を覆う第1の酸化膜とこの第1の酸化膜を覆う第2の酸化膜とを含む膜構成とすることにより、第1の酸化膜の形成後でかつ第2の酸化膜の形成前に受光部を形成するためのイオン注入を行うことが可能になるため、受光部の受光感度を高く維持したまま静電気に対しても強い半導体受光装置を提供することが可能になる。これにより、高性能でかつ信頼性に優れた半導体受光装置を歩留まりよく製造することが可能になる。
【0027】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、第1の酸化膜は熱酸化法によって形成された酸化膜であり、第2の酸化膜はCVD法によって形成された酸化膜であることが好ましい。このように、受光面を覆う第1の酸化膜を熱酸化法によって形成し、第1の酸化膜を覆う第2の酸化膜をCVD法によって形成することにより、簡便に二層構造の酸化膜を含む反射防止膜を形成することが可能になる。第1の酸化膜は、第2の酸化膜に比して薄いことが好ましく、このため熱酸化法による成膜が好ましい。これに対して第2の酸化膜は、静電耐性を確保するためにより厚いことが好ましいため、CVD法による成膜が好ましい。
【0028】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、反射防止膜は第2の酸化膜を覆うように形成された窒化膜をさらに含んでいることが望ましい。このように、第2の酸化膜を覆うように窒化膜を堆積することにより、下層から順に酸化膜/酸化膜/窒化膜の三層構造の反射防止膜を形成することが可能になり、反射率をより低減することが可能になる。
【0029】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、第1の酸化膜の膜厚は15nm以上30nm以下であることが好ましい。このように、第1の酸化膜の膜厚を15nm以上30nm以下とすることにより、半導体層表面における不純物濃度を高く保ちつつ浅いpn接合を有する不純物拡散領域を形成することが可能になり、受光感度を高く保つことが可能になる。
【0030】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、受光部は、半導体層の導電型とは異なる導電型の不純物拡散領域によって構成され、不純物拡散領域の半導体層主表面からの深さが500nm以下であることが好ましい。このように、受光部を構成する不純物拡散領域の半導体層表面からの深さを500nm以下にすることにより、青色DVDに用いられる波長405nmのレーザ光に対する受光感度が向上するようになる。
【0031】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、不純物拡散領域を形成するための不純物が砒素を含んでいることが好ましい。このように、不純物として原子の半径の大きい砒素を用いることにより、浅い不純物拡散層の形成が可能となり、受光感度の高い半導体受光装置を製造することが可能になる。
【0032】
上記本発明に基づく半導体受光装置にあっては、たとえば、受光部が形成された領域とは異なる半導体層の領域に形成され、所定の信号を処理する信号処理回路部をさらに備えていてもよい。このとき、信号処理回路部が半導体層の主表面を覆う第1の絶縁膜によって覆われている場合には、この第1の絶縁膜と同じ層から第1の酸化膜が形成されていることが好ましい。また、さらに第1の絶縁膜が第2の絶縁膜によって覆われている場合には、この第2の絶縁膜と同じ層から第2の酸化膜が形成されていることが好ましい。これにより、信号処理回路部を形成する工程に合わせて反射防止膜を同時に形成することが可能なり、製造プロセスの簡素化が可能になる。
【0033】
本発明に基づく光学装置は、上述のいずれかの半導体受光装置を備えている。これにより、高性能でかつ信頼性に優れた光学装置を提供することが可能になる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半導体受光装置の概略断面図である。図に示す半導体受光装置は、信号処理回路部を有していないフォトダイオードである。なお、図においてはコンタクト形成工程以降に形成されるコンタクトや配線、層間絶縁膜、保護膜などについてはその図示を省略している。
【0036】
図1に示すように、本実施の形態における半導体受光装置にあっては、半導体層として、p型シリコン基板1とp型シリコン基板1の主表面上に形成されたp型エピタキシャル層3とを備えている。p型シリコン基板1の主表面には、p+型埋め込み拡散層2が位置している。p型エピタキシャル層3の所定位置には、p型エピタキシャル層3の主表面からp+型埋め込み拡散層2まで至るp+型拡散領域4aが形成されている。また、p型エピタキシャル層3の主表面には、p+型拡散領域12が位置しており、このp+型拡散領域12の両側には、n型拡散領域10がそれぞれ独立して設けられている。この独立して設けられたn型拡散領域10はp型エピタキシャル層3とpn接合を形成しており、この結果、図に示すフォトダイオードにあっては分割型のフォトダイオードが構成される。
【0037】
n型拡散領域10およびp+型拡散領域12が形成されたp型エピタキシャル層3の主表面は、シリコン酸化膜からなる第1の酸化膜8によって覆われている。また、第1の酸化膜8は、シリコン酸化膜からなる第2の酸化膜13によって覆われている。さらに第2の酸化膜13は、シリコン窒化膜からなる窒化膜14によって覆われている。これら第1の酸化膜8、第2の酸化膜13および窒化膜14によって反射防止膜30が構成されている。ここで、第1の酸化膜8の膜厚は23nmであり、第2の酸化膜13の膜厚は100nmである。また、窒化膜14の膜厚は65nmである。すなわち、反射防止膜30の総膜厚は188nmである。
【0038】
次に、上記構造の半導体受光装置の製造方法について説明する。まず、たとえば、比抵抗40Ω・cm程度のp型シリコン基板1の主表面に、不純物濃度が1×1018cm−3程度のp+型埋め込み拡散層2をイオン注入法によって形成する。次に、p型シリコン基板1主表面に比抵抗200Ω・cm、厚さ10μm程度のp型エピタキシャル層3を形成する。つづいて、p型エピタキシャル層3の主表面に、熱酸化法によってシリコン酸化膜からなる第1の酸化膜8を膜厚23nmとなるように形成する。次に、p型エピタキシャル層3の所定の位置に不純物を注入することにより、p型エピタキシャル層3の主表面からp+型埋め込み拡散層2に達するようにp+型拡散領域4aを形成する。このp+型拡散領域4aは、素子分離領域としての役割を果たす。
【0039】
さらに、第1の酸化膜8越しに砒素を注入することにより、p型エピタキシャル層3の主表面にn型拡散領域10を形成する。青色DVDに用いられるレーザ光の波長は405nmであるため、その侵入長は300nm程度である。このため、好ましくはこのn型拡散領域10の深さを500nm以下とする。つづいて、このn型拡散領域10に挟まれたp型エピタキシャル層3の主表面に第1の酸化膜8越しにイオン注入を行ない、p+型拡散領域12を形成する。
【0040】
次に、CVD法を用いて第1の酸化膜8の主表面を覆うようにシリコン酸化膜からなる第2の酸化膜13を膜厚100nmとなるように堆積する。さらに、CVD法を用いてこの第2の酸化膜13を覆うようにシリコン窒化膜からなる窒化膜14を膜厚65nmとなるように堆積する。つづいて、所定のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を経ることにより、第2の酸化膜13および窒化膜14のパターニングを行ない、第1の酸化膜8、第2の酸化膜13および窒化膜14の三層の膜からなる反射防止膜30を得る。以上の工程を経ることにより、図1に示す半導体受光装置の製作が完了する。
【0041】
上記のように、熱酸化法による第1の酸化膜8の形成後であってかつCVD法による第2の酸化膜13の堆積前に、受光部を形成するためのイオン注入を行うことにより、受光部を構成するn型拡散領域10の接合深さを比較的浅くすることが可能になり、受光感度に優れた半導体受光装置を提供することが可能になる。また、イオン注入工程後に堆積される第2の酸化膜13を比較的厚くすることにより、強い静電耐性が確保された半導体受光装置とすることが可能になる。このように、従来、一層の酸化膜によって形成されていた反射防止膜の酸化膜を第1の酸化膜8と第2の酸化膜13との二層の酸化膜によって構成することにより、良好な受光感度と強い静電耐性とを兼ね備えた半導体受光装置とすることが可能になる。
【0042】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す概略断面図であり、図3から図8は、図2に示す半導体受光装置の製造方法を示す工程図である。図2に示すように、本実施の形態における半導体受光装置は、同一半導体層上に信号処理回路部を有する回路内蔵型受光素子であり、半導体層には、npnトランジスタが形成される領域Tと、フォトダイオードが形成される領域PDとが設けられている。
【0043】
フォトダイオードが形成される領域PDは、レーザ光を受光する受光部である領域Sを含んでいる。領域Sの中央には、素子分離のためのp+型拡散領域12が位置しており、このp+型拡散領域12の両側には、n型拡散領域10がそれぞれ独立して設けられている。この独立して設けられたn型拡散領域10は、それぞれp型エピタキシャル層3とpn接合を形成しており、この結果、図に示すフォトダイオードにあっては分割型のフォトダイオードが構成されている。
【0044】
受光部である領域Sの半導体層の主表面は、シリコン酸化膜からなる第1の酸化膜8によって覆われており、この第1の酸化膜8は、シリコン酸化膜からなる第2の酸化膜13によって覆われている。さらに、第2の酸化膜13は、シリコン窒化膜からなる窒化膜14によって覆われている。これら第1の酸化膜8、第2の酸化膜13および窒化膜14とにより、反射防止膜30が構成されている。
【0045】
第1の酸化膜8の膜厚は23nmであり、第2の酸化膜13の膜厚は100nmである。また、窒化膜14の膜厚は65nmである。すなわち、反射防止膜30の総膜厚は188nmとなっている。このような膜構成とすることにより、青色DVDに用いられる波長405nmのレーザ光に対する反射率が5%以下に抑えられることが確認されている。
【0046】
次に、上記構造の半導体受光装置の製造方法について説明する。図3に示すように、たとえば比抵抗40Ω・cmのp型シリコン基板1の表面に、npnトランジスタのコレクタ領域の一部となるn+型埋め込み拡散層5と、素子分離領域やフォトダイオードのアノード取出し部となるp+型埋め込み拡散層4とを選択的に形成する。
【0047】
次に、図4に示すように、p型シリコン基板1上に、たとえば比抵抗500Ω・cm、厚さ2μm程度のp型エピタキシャル層3を形成する。これにより、p型シリコン基板1とp型エピタキシャル層3とからなる半導体層が形成される。つづいて、所定のアニール処理を施すことにより、p型シリコン基板1中の不純物を熱拡散させ、p型エピタキシャル層3中にまで埋め込み拡散層4,5を拡張させる。
【0048】
次に、p型エピタキシャル層3の主表面にn−型ウェル拡散領域を選択的に形成し、さらに素子分離のための素子分離絶縁膜7をLOCOS法を用いて厚さ1μmとなるように形成する。つづいて、半導体層の主表面であるp型エピタキシャル層3の表面を全面にわたって熱酸化し、厚さ23nmの第1の酸化膜8を形成する。この第1の酸化膜8は、領域PDにおいては反射防止膜を構成する膜となり、領域Tにおいては信号処理回路部を覆う第1の絶縁膜に相当する膜となる。
【0049】
次に、図5に示すように、npnトランジスタが形成される領域Tにおいては、素子分離絶縁膜7によって囲まれた一つの領域にn+型コレクタ領域9を形成する。次に、素子分離絶縁膜7によって囲まれた他の領域にp型ベース領域11を形成する。また、フォトダイオードが形成される領域PDにおいては、n型拡散領域10と、p+型拡散領域12を形成する。これら不純物領域は、すべて第1の酸化膜8越しにイオン注入することによって形成される。なお、ここでは、npnトランジスタのp型ベース領域11と、フォトダイオードのp+型拡散領域12とを同時のイオン注入により形成することも可能である。
【0050】
次に、図6に示すように、第1の酸化膜8を覆うように全面にわたってシリコン酸化膜からなる第2の酸化膜13がCVD法により膜厚100nmとなるように堆積される。さらに、この第2の酸化膜13の受光部に対応する部分にのみシリコン窒化膜からなる窒化膜14がCVD法により膜厚65nmとなるように堆積される。
【0051】
次に、図7に示すように、第1の酸化膜8および第2の酸化膜13を選択的に除去し、領域Tにおいてはnpnトランジスタのコレクタコンタクトおよびエミッタコンタクトが形成される部分に、領域PDにおいてはカソードコンタクトが形成される部分にコンタクト孔を形成する。つづいて、これらコンタクト孔を多結晶シリコンにて埋め込み、この多結晶シリコンに砒素イオンを注入し、その後不要部分の多結晶シリコンを除去する。これにより、図に示すようなn+型ポリシリコン層15が形成される。
【0052】
さらに、アニール処理を施すことにより、n+型ポリシリコン層15中のn型不純物を半導体層表面に熱拡散させ、n型エミッタ領域16を形成する。これにより、n型エミッタ領域16、p型ベース領域11およびn+型コレクタ領域9を有するnpnトランジスタが形成される。この後、全面にわたってたとえばシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜17が堆積される。
【0053】
次に、図8に示すように、第1の酸化膜8、第2の酸化膜13および第1の層間絶縁膜17の所定の位置にコンタクト孔を形成し、たとえばチタンタングステンまたはアルミニウムなどを堆積することによって第1の配線18が形成される。次に、第1の配線18を覆うように、たとえばシリコン酸化膜からなる第2の層間絶縁膜19が形成される。
【0054】
次に、図9に示すように、第2の層間絶縁膜19上に、たとえばアルミニウムなどからなる第2の配線20が形成される。さらに、第2の配線20上には、たとえばシリコン窒化膜からなる保護膜21が形成される。最後に、所定のエッチング工程を施すことにより、受光部である領域S上の所定の絶縁膜が除去されることにより、フォトダイオードの受光面が反射防止膜30によって覆われた図2に示す如くの半導体受光装置が製作される。
【0055】
上記のように、熱酸化法による第1の酸化膜8の形成後であってかつCVD法による第2の酸化膜13の堆積前に、受光部を形成するためのイオン注入を行うことにより、受光部を構成するn型拡散領域10の接合深さを比較的浅くすることが可能になり、受光感度に優れた半導体受光装置を提供することが可能になる。また、イオン注入工程後に堆積される第2の酸化膜13を比較的厚くすることにより、強い静電耐性が確保された半導体受光装置とすることが可能になる。このように、従来、一層の酸化膜によって形成されていた反射防止膜の酸化膜を第1の酸化膜8と第2の酸化膜13との二層の酸化膜によって構成することにより、良好な受光感度と強い静電耐性とを兼ね備えた半導体受光装置とすることが可能になる。
【0056】
また、反射防止膜の最下層の膜である第1の酸化膜8を信号処理回路部のnpnトランジスタを覆う第1の絶縁膜と共通化することにより、製造工程の簡素化が可能になる。また、反射防止膜の中間層の膜である第2の酸化膜13を信号処理回路部のnpnトランジスタを覆う第2の絶縁膜と共通化することにより、さらなる製造工程の簡素化が可能になる。このように、信号処理回路部を備えた半導体受光装置にあっても、従来に比べて製造工程を複雑化することなく受光感度と静電耐性に優れた受光素子を提供することが可能になる。
【0057】
上記実施の形態においては、p型シリコン基板を用いて製作された半導体受光装置を例示して説明を行なったが、特にこれに限定されるものではなく、n型シリコン基板を用いて製作される半導体受光装置にも本発明を適用することは当然に可能である。
【0058】
また、上記実施の形態においては、第1の酸化膜を熱酸化法により成膜し、第2の酸化膜をCVD法により成膜した場合を例示して説明を行なったが、成膜方法は特にこれに限定されるものではない。また、上記実施の形態においては、青色DVD用の半導体受光装置に本発明を適用した場合に反射率を低減する上でより好ましい膜厚を例示して説明を行なったが、膜厚は受光するレーザ光の波長に合わせて適宜選択することが可能である。本発明は、従来一層にて形成されていた反射防止膜の酸化膜層を二層にて構成するものであり、その膜厚や成膜方法は特に限定されるものではない。
【0059】
なお、本発明に基づく半導体受光装置は、光ピックアップ、光ファイバー、光カプラ、光空間伝送用の光センサなどの各種光学装置に利用可能である。
【0060】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0061】
【発明の効果】
本発明により、受光感度の向上を図りつつ、静電気による静電破壊や素子分離領域の表面反転の生じない半導体受光装置およびこれを備えた光学装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体受光装置の構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の構造を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第1工程図である。
【図4】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第2工程図である。
【図5】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第3工程図である。
【図6】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第4工程図である。
【図7】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第5工程図である。
【図8】本発明の実施の形態2における半導体受光装置の製造方法を示す第6工程図である。
【図9】従来の半導体受光装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 p型シリコン基板、2 p+型埋め込み拡散層、3 p型エピタキシャル層、4 p+型埋め込み拡散層、4a p+型拡散領域、5 n+型埋め込み拡散層、6 n−型ウェル層、7 素子分離絶縁膜、8 第1の酸化膜、9 n+型コレクタ領域、10 n型拡散領域、11 p+型ベース領域、12 p+型拡散領域、13 第2の酸化膜、14 窒化膜、15 n+型ポリシリコン層、16 n型エミッタ領域、17 第1の層間絶縁膜、18 コンタクト、19 第2の層間絶縁膜、20 配線、21 保護膜、30 反射防止膜。
Claims (10)
- 半導体層の主表面に形成された受光面を有する受光部と、
前記受光面を覆うように形成され、入射する光の反射を防止する反射防止膜とを備え、
前記反射防止膜は、前記受光面を覆うように形成された第1の酸化膜と、前記第1の酸化膜を覆うように形成された第2の酸化膜とを含む、半導体受光装置。 - 前記第1の酸化膜は、熱酸化法によって形成された酸化膜であり、前記第2の酸化膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成された酸化膜である、請求項1に記載の半導体受光装置。
- 前記反射防止膜は、前記第2の酸化膜を覆うように形成された窒化膜をさらに含む、請求項1または2に記載の半導体受光装置。
- 前記第1の酸化膜の膜厚は、15nm以上30nm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の半導体受光装置。
- 前記受光部は、前記半導体層の導電型とは異なる導電型の不純物拡散領域によって構成され、
前記不純物拡散領域の前記半導体層主表面からの深さが、500nm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の半導体受光装置。 - 前記不純物拡散領域を形成するための不純物が、砒素を含む、請求項1から5のいずれかに記載の半導体受光装置。
- 前記受光部が形成された領域とは異なる前記半導体層の領域に形成され、所定の信号を処理する信号処理回路部をさらに備えた、請求項1から6のいずれかに記載の半導体受光装置。
- 前記信号処理回路部が形成された前記半導体層の領域の主表面を覆う第1の絶縁膜を備え、
前記第1の酸化膜は、前記第1の絶縁膜と同じ層から形成された膜である、請求項1から7のいずれかに記載の半導体受光装置。 - 前記第1の絶縁膜を覆う第2の絶縁膜を備え、
前記第2の酸化膜は、前記第2の絶縁膜と同じ層から形成された膜である、請求項8に記載の半導体受光装置。 - 請求項1から9のいずれかに記載の半導体受光装置を備えた、光学装置。
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2002
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