JP2004103457A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】速やかに起動できる、改質器を備えた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】炭化水素系燃料と、水または酸化ガスの内少なくとも水を用いた改質反応により水素リッチガスを生成する改質器1と、水素リッチガスと酸化ガスとから電気を発生するスタック2を備える。さらに、少なくとも改質器1を冷却するLLCを循環させるLLCライン3と、LLCライン3中のLLCから水を分離する水分離器4を備える。このような燃料電池システムの起動時に、LLCライン3のLLCから水を分離して、分離した水を改質反応に用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】炭化水素系燃料と、水または酸化ガスの内少なくとも水を用いた改質反応により水素リッチガスを生成する改質器1と、水素リッチガスと酸化ガスとから電気を発生するスタック2を備える。さらに、少なくとも改質器1を冷却するLLCを循環させるLLCライン3と、LLCライン3中のLLCから水を分離する水分離器4を備える。このような燃料電池システムの起動時に、LLCライン3のLLCから水を分離して、分離した水を改質反応に用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】
【従来の技術】
従来の改質器システムを備えた燃料電池システムとしては、次のようなものがある。
【0003】
燃料電池を管路の一部とする冷却水循環路を設け、この冷却水循環路に水にエチレングリコールを混合した不凍液を循環させて燃料電池を冷却する。冷却水循環路には、限外ろ過膜を用いて不凍液から水を精製・分離する水分離膜装置を備え、水のみが限外ろ過膜を透過することにより不凍液からエチレングリコールを含まない水を精製し、この水を冷却水循環路から分離する。精製・分離した水は、メタノール改質装置と燃料電池との間の加湿器に水素ガス加湿用の水として供給され、この加湿器に貯留される。つまり、加湿器における水素ガス加湿用の水は、不凍液から精製・分離を経て調達されている。(特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平8−185877号公報
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、燃料電池システムに備えた水タンクの水を用いて改質反応を行うので、環境温度が氷点下になると水タンク内の水分が凍結する可能性が生じて起動がスムーズに行えないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、速やかな起動を行うことのできる、改質器を備えた燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
炭化水素系燃料と、水または酸化ガスのうち少なくとも水を用いた改質反応により水素リッチガスを生成する改質器と、前記改質器で生成した水素リッチガスと酸化ガスとから電気を発生する燃料電池スタックを備える。さらに、少なくとも前記改質器を冷却する不凍液を循環させる不凍液ラインと、前記不凍液ライン中の不凍液から水を分離する水分離器を備える。このような燃料電池システムの起動時に、前記不凍液ライン中の不凍液から分離した水を前記改質器における改質反応に用いる。
【0008】
【作用及び効果】
このように不凍液ラインの不凍液から水を分離して、分離した水を改質反応に用いることで、環境温度が氷点下の場合でもスムーズに改質器に水を供給して改質反応を開始することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる燃料電池システムの概略を図1に示す。
【0010】
燃料電池システムは、改質原料となる炭化水素系燃料、水、空気から水素リッチガスを生成する改質器1と、水素リッチガスと空気から電気を生成する燃料電池スタック2(以下、スタック2)を備える。また、改質器1を冷却するための凝固点降下剤を含んだ冷却水(以下、LLC)の流通路となるLLCライン3を備える。ここで改質器1には、例えば改質反応により生成した改質ガス中のCOを選択酸化反応により除去するCO除去部等を含む。CO除去部では発電反応を行うので、改質器1を適温に維持するためにLLCにより改質器1の冷却を行う。
【0011】
LLCライン3には、LLCから凝固点降下剤を含まない水を分離する水分離器4、LLCを冷却するラジエータ5を備える。さらに、LLCを循環させるLLCポンプ6、水分離器4内の圧力を調整する圧力調整弁7を備える。また、水分離器4で抽出した水を改質器1に送る水ポンプ8を備え、LLCから分離した水を用いて改質を行う構成とする。
【0012】
改質器1には燃焼部を備え、改質器1上流より供給される炭化水素系燃料、またはスタック2から排出される排水素リッチガス、および上流より供給される空気、またはスタック2からの排空気を燃焼して改質反応に必要な熱を生成する。また、改質器1で生成した水素リッチガスの一部は、選択的に改質器リターンライン9を介して燃焼部に供給可能とする。この選択は、改質器1からスタック2へ水素リッチガスを供給する配管から、スタック2から改質器1の燃焼部に排水素リッチガスを供給する配管へ分岐する改質器リターンライン9の分岐点に配置した切替バルブ10により行う。
【0013】
さらに、改質器1の温度を検出する改質器温度センサ11と、LLCの温度を検出するLLC温度センサ13、このような燃料電池システムを制御するコントローラ12を備える。改質器温度センサ11、LLC温度センサ13の出力はコントローラ12に入力する。
【0014】
次に、このようなシステムにおけるLLCの動作を説明する。
【0015】
通常運転時には、LLCはLLCポンプ6により改質器1に送られて改質器1の冷却を行う。その後、LLCは改質器1で回収した熱をラジエータ5において放熱し、水分離器4を通ってLLCポンプ6に戻る。
【0016】
水分離器4では、ろ過膜の働きにより凝固点降下剤を含まない水だけを分離し、分離された水分を改質器1へ送って改質反応に利用する。分離する水の量は、水分離器4の下流に配置した圧力調整弁7により、水分離器4の一次側(LLC側)の圧力を調整することにより制御する。圧力調整弁7により、LLC側の圧力を高くすると分離する水の量が増大し、圧力を低くすると分離する水の量が減少する。
【0017】
一方、システム起動開始直後には、改質器1では水を用いずに、炭化水素系燃料と空気のみで、発熱反応である酸化反応、または部分酸化反応を行って暖機運転を行う。このとき、切替バルブ10を改質器リターンライン9側に設定し、改質器1で消費されなかった炭化水素燃料を改質器1の燃焼部で燃焼することにより、改質器1の暖機を促進する。
【0018】
また、LLCポンプ6を動作させて改質器1にLLCを循環させる。これによりLLCが昇温したら、水分離器4において水の分離を開始して改質器1への水の供給を開始する。このように、改質器1に水を供給できるようになった時点から、酸化反応、または、部分酸化反応に加えて水蒸気改質反応を行い、水素リッチガスを生成する。
【0019】
このような燃料電池システムの起動時の制御フローを図2に示す。
【0020】
起動時には、まず起動指令を検知したら、ステップS1において、改質器1内の点火プラグへ通電し、改質器1へ燃料と空気を供給して酸化反応または部分酸化反応を生じる。次に、ステップS2に進み、改質器1が所定の温度になったかどうか判断する。これは、改質器温度センサ11の検出結果と所定の温度を比較することにより判断することができる。ここで所定の温度は、改質器1で生じる熱によりLLCの暖機を開始できる温度を指し、これは実験等により予め設定しておく。
【0021】
改質器1が所定の温度に達するまで改質器1の暖機を継続し、所定の温度に達したら、ステップS3に進む。ステップS3では、LLCポンプ6を起動し、LLCを改質器1に循環させることでLLCを昇温させる。ステップS4では、LLC温度センサ13によりLLC温度を検出し、ステップS5においてその検出結果よりLLCが所定の温度に達したかどうかを判断する。ここの所定温度は、例えば、水分離器4においてLLCから水を分離することができる下限温度、もしくはそれより高い温度とする。
【0022】
LLCが所定の温度に達するまでLLCの加熱を継続し、LLCが所定の温度に達したらステップS6に進む。ステップS6では水分離器4の下流に配置した圧力調整バルブ7を調整して水分離を開始する。ステップS7に進み、水ポンプ8を稼動させて、分離した水を改質器1へ供給する。
【0023】
改質器1に水が供給され始めたらステップS8において改質器1を通常運転、つまり、酸化反応または部分酸化反応と水蒸気改質反応を行うことにより水素リッチガスを生成する運転に切り替える。改質器1において水素リッチガスが生成され始めたら、ステップS9において切替バルブ10をスタック2側に設定して水素リッチガスをスタック2に供給する。ステップS10においてスタック2における発電を開始して起動運転を終了し、通常運転を行う。
【0024】
次に、燃料電池システム停止時の運転を図3に示したフローチャートを用いて説明する。
【0025】
まず停止指令を検知したらステップS11において、切替バルブ10を改質器リターンライン9側に設定し、スタック2への水素リッチガスの供給を停止して発電を終了する。また、図示しないコンプレッサ等の空気供給手段を停止して、スタック2および改質器1への空気供給を停止する。
【0026】
次にステップS12において、改質器1へのインジェクタ等による燃料の供給を停止する。また、水ポンプ8を停止し、水分離器4における水の分離を停止して、システムを停止する。
【0027】
なお、本実施形態には図示しないLLCライン3に水を追加する手段を備え、水分離器4において分離した水と概略等しい量の水を追加する。これにより、LLCに含まれる凝固点降下剤の濃度が過剰に上昇するのを防止する。
【0028】
次に、このようなシステムを用いた本実施形態の効果を説明する。
【0029】
炭化水素系燃料と、水または酸化ガスのうち少なくとも水を用いた改質反応により水素リッチガスを生成する改質器1と、改質器1で生成した水素リッチガスと酸化ガスとから電気を発生するスタック2と、を備える。また、少なくとも改質器1を冷却するLLCを循環させるLLCライン3と、LLCライン3中のLLCから水を分離する水分離器4と、を備える。このようなシステムの起動時に、LLCライン3中のLLCから分離した水を、改質器1における改質反応に用いる。LLCから水を分離して改質反応に用いることで、氷点下等の寒冷時にも速やかに改質反応を開始し、ひいては発電を開始することができる。
【0030】
システム起動時には、改質器1において酸化反応または部分酸化反応を行い、LLCを改質器1に循環させることによりLLCを昇温させてから水分離器4においてLLCから水を分離し、分離した水を改質器1に供給して改質反応を開始する。これにより、起動時に改質器1で生じる熱を用いてLLCを速やかに昇温させることができる。その結果、LLCからの水の分離を速やかに開始することができ、改質器1を起動するまでの時間を短縮することができる。
【0031】
次に、第2の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池システムの構成を図4に示す。ここでは、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0032】
第1の実施形態に対して、LLCライン3にLLCタンク15と、これをバイパスするバイパスライン16、LLCをLLCタンク15とバイパスライン16のどちらに供給するかを選択する切替バルブ17を備える。さらに、LLCタンク15への逆流を防止するためにLLCタンク15の下流側、且つ、バイパスライン16との合流部の上流側に逆止弁18を備える。
【0033】
次にこのような燃料電池システムにおける動作を説明する。
【0034】
起動時には、切替バルブ17をバイパスライン16側に設定し、LLCポンプ6を用いてバイパスライン16にLLCを循環させる。これにより、システム内を循環するLLCの量、つまりは改質器1において加熱されるLLCの量を抑制することができ、急速にLLC温度を上昇させることができる。LLC温度が上昇したところで、水分離を開始する。
【0035】
LLC内の水を分離して改質器1に供給することでLLCライン3内の液量が減少するが、減少した分をLLCタンク15から逆止弁18を介してLLCライン3に補充する。例えば、LLCから分離した水量に相当する量をLLCタンク15からLLCライン3に供給することもできる。ここでは、LLCの温度に応じて、切替バルブ17の開度を調整し、バイパスライン16からLLCタンク15内を循環するラインに切り替えていく。LLCがLLCタンク15を通過することで、LLCの液量減少分を補うことができる。
【0036】
このような燃料電池システムの制御フローを図5に示す。
【0037】
ステップS1、S2では、第1の実施形態と同様に改質器1を所定温度まで昇温させる。次に、ステップS21において、切替バルブ17をバイパスライン16側に設定して、LLCをバイパスライン16に流通させる。次に、ステップS3〜S10においては、第1の実施形態と同様に、LLCを加熱して水分離を行い、改質器1およびスタック2の運転を開始する。
【0038】
ステップS10において発電を開始したらステップS22に進み、LLC温度センサ13によりLLCライン3内のLLC温度を検出する。ステップS23において、この温度が所定温度を超えているかどうかを判断する。ここの所定値は、例えば改質器1の冷却を効率的に行うことができる温度範囲の上限、もしくはそれより低い温度とする。所定温度を超えていなかったらステップS24に進み、切替バルブ17の開度を現状のまま維持しながらLLCによる改質器1の冷却を継続し、ステップS22に戻って再びLLC温度を検出する。これを繰り返し、LLC温度が所定温度を超えたらステップS25に進み、バイパスライン16側からLLCタンク15側に切替バルブ17の開度を増やす。
【0039】
ステップS26に進み、切替バルブ17がLLCタンク17側に全開かどうかを判断する。全開でなければステップS22に進み、ステップS22〜S25の制御を切替バルブ17がLLCタンク17に全開となるまで繰り返す。ステップS26において切替バルブ17がLLCタンク17側に全開していると判断されたら、起動運転を終了して通常運転を行う。なお、通常運転時には、LLCはLLCタンク15を介して循環し、ラジエータ5において温度調整される。
【0040】
次に、このような燃料電池システムの効果を説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0041】
LLCの温度を検出するLLC温度センサ13と、LLCライン3を循環するLLCを貯蔵するLLCタンク15と、LLCライン3の一部で、LLCタンク15をLLCが選択的に迂回するためのバイパスライン16と、を備える。システム起動時には、LLCがLLCタンク15を迂回してバイパスライン16を流通するように設定し、バイパスライン16を介して循環するLLCを改質器1により昇温してから水分離器4においてLLCからの水の分離を開始する。このように、バイパスライン16を設けて起動時にLLCタンク15を迂回させることにより、システム内にあるLLC全量を暖機する必要がなくなる。これにより、LLCの昇温を速やかに行うことができ、水分離を行うまでの時間を短縮することができる。
【0042】
また、水分離器4において水の分離を開始した後、水分離器4においてLLCから分離した水と概略同等の量だけ、LLCをLLCタンク15からLLCライン3に供給する。これにより、LLCライン3の水分離により上昇したLLCの凝固点降下剤濃度を下げることができる。その結果、LLCを循環させるためのLLCポンプ6の負荷を小さくできる。また、LLCからの水分離をスムーズに行うことができる。
【0043】
また、LLCライン3を循環するLLCの温度が高くなりすぎた場合には、LLCタンク15に貯蔵したLLCの一部をLLCライン3に循環させる。これにより、LLCラインの温度が過度に高くなることを防止できる。また、LLCタンク15内のLLCを予熱して、水分離を生じ易い状態にすることができる。
【0044】
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態の構成を図6を用いて説明する。ここでは、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0045】
LLCライン3を、改質器1を冷却する改質器冷却ライン3aと、スタック2を冷却する燃料電池冷却ライン3bと、から構成する。さらに、改質器冷却ライン3aと燃料電池冷却ライン3bへ分配するLLCの流量割合を制御する方向制御バルブ20を備える。
【0046】
ここで、改質器冷却ライン3aは、LLCポンプ6の下流側に配置した方向制御バルブ20から改質器1側に分岐し、改質器1内を通ってからラジエータ5に接続する。一方、燃料電池冷却ライン3bは、方向制御バルブ20からスタック2側に分岐し、スタック2内を通ってからラジエータ5に接続する。
【0047】
さらに、スタック2にはスタック温度センサ21を備え、その出力をコントローラ12へ入力する。また、LLC温度センサ13として、改質器冷却ライン3aを流れるLLC温度を検出するLLC温度センサ13aを備える。
【0048】
このような燃料電池システムにおける動作を説明する。
【0049】
起動時には、改質器1から発生する熱でLLCライン3を循環するLLCを暖機し、LLCが所定温度を超えたら燃料電池冷却ライン3bにも循環するように、方向制御バルブ20を調整する。これにより、改質器冷却ライン3aを循環するLLが過度に昇温するのを防ぐだけでなく、燃料電池冷却ライン3bも加熱できるので、スタック2を速やかに暖機することができる。
【0050】
このような燃料電池システムの制御フローを図7に示す。
【0051】
ステップS1、2においては、第1の実施形態と同様に改質器1の昇温を行う。ステップS31において、改質器1に生じる熱を用いてLLCの昇温を行うために、方向制御バルブ20を改質器冷却ライン3a側に全開にする。次に、ステップS3〜S10では、第1の実施形態と同様に、LLCの昇温を行って、改質器1およびスタック2の運転を開始する。
【0052】
ステップS10において発電を開始したら、ステップS32に進み、LLC温度センサ13aを用いて改質器冷却ライン3b内のLLC温度を、また、スタック温度センサ21によりスタック2の温度を検出する。ステップS33において、スタック温度センサ21の出力より、スタック2に冷却が必要かどうかを判断し、冷却が必要であればステップS34に進み方向制御バルブ20を通常運転時の開度に設定して起動運転を終了し、通常運転を行う。一方、ステップS33において、スタック2がまだ昇温されておらず、冷却が必要ないと判断されたらステップS35に進む。
【0053】
ステップS35では、ステップS32で検出したLLC温度が所定温度を超えたかどうかを判断する。所定温度を超えていなければLLCにより改質器1の冷却を行うことができるので、ステップS36に進み、方向制御バルブ20の開度を維持する。LLCが所定の温度を超えるまでステップS32〜S35を繰り返し、LLCが所定の温度を超えたと判断されたら、ステップS37に進む。ステップS37では、方向制御バルブ20の開度を調整して、燃料電池冷却ライン3bに流れるLLCの流量割合を増大させる。ここで、所定温度は、例えば、LLCにより改質器1の冷却を効率的に行うことのできる上限温度、もしくはそれより低い温度とする。この所定温度を超えたらLLCを燃料電池冷却ライン3bにも流してスタック2の暖機を行うと同時にLLC温度を抑制する。
【0054】
次に、ステップS38において方向制御バルブ20が通常運転時の開度になっているかどうかを判断する。通常運転時の開度になっていなければステップS32に戻り、再びLLC温度が所定温度まで昇温したらスタック2に流通させるLLCの流量割合をさらに増大する。このような制御を繰り返して方向制御バルブ20が通常運転時の開度になったら、起動運転を終了して通常運転を行う。
【0055】
次に、このような燃料電池システムの効果を説明する。ここでは、第2の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0056】
LLCライン3の一部で、スタック2を選択的に循環する燃料電池冷却ライン3bを備え、起動時に循環するLLCの温度が高くなりすぎた場合には、燃料電池冷却ライン3bにLLCを循環させる。これにより、LLCの温度が過度に高くなるのを防止でき、また、同時に燃料電池冷却ライン3a、ひいてはスタック2の暖機を速やかに行うことができる。
【0057】
第4の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図8に示す。
【0058】
ここでは、第3の実施形態において、スタック2からの排空気をコンデンサ23に流通させて、排空気中の水分を凝縮・回収してから改質器1の燃焼部に供給する。排空気の冷却源としては、燃料電池冷却ライン3bを流れるLLCを用い、また、回収した水は水分離器4で回収した水と共に、水ポンプ8により改質器1に供給する。
【0059】
改質器1の起動後に発電を始めると、スタック2から水蒸気を含んだ排空気が排出される。そこで、コンデンサ23において排空気中の水を凝縮させて、その回収が始まったら回収量を運転状態や図示しない流量計等により把握し、その量に応じてLLCラインからの水抽出量を減らす。これにより、LLCラインからの水抽出に必要な圧力を低減することができるので、LLCポンプ6の負荷を低減することができ、燃費を向上することができる。
【0060】
次に、このような燃料電池システムの制御を図9のフローチャートに示す。
【0061】
ステップS1、S2においては、第1の実施形態と同様に改質器1を所定の温度に達するまで暖機する。ステップS41において、LLCライン3をバイパスライン16側に設定するために、切替バルブ17をバイパスライン16側に設定する。また、方向制御バルブ20は改質器冷却ライン3a側に設定する。
【0062】
ステップS3〜S6までは、第1の実施形態と同様に、LLCの昇温を行って、LLラインからの水分離を開始する。水分離を開始したら、ステップS42において、水分離量を計測、または推定する。ステップS43において、水分離量が十分かどうかを判断し、水分量が十分ではない場合にはステップS6に戻り、再び圧力調整弁7を調整して水分離量を調整する。ステップS43において水分離量が十分と判断されるまでステップS6、S42、S43を繰り返し、水分離量が十分と判断されたらステップS7に進む。ステップS7〜S10では、改質器1およびスタック2の運転を開始する。ステップS10で発電を開始したら、スタック2から水分が含まれた排空気が排出され始めるので、ステップS44に進み、コンデンサ23において凝縮水の回収を開始する。
【0063】
ステップS45において、後述する水回収制御のサブルーチンを実行することにより、コンデンサ23における凝縮水量に応じて、LLCからの水抽出量の調整を行う。その後、第3の実施形態と同様に、ステップS32〜S38において、LLC温度を維持しながら徐々に方向制御バルブ20を燃料電池冷却ライン3b側に開き、方向制御バルブ20の開度が通常運転時の開度と等しくなった時点で起動運転を終了し、通常運転を行う。
【0064】
次に、図10のフローチャートを用いて、ステップS45で行う水回収制御について説明する。
【0065】
水回収制御の指令を検知したら、ステップS51において、コンデンサ23における凝縮水の回収量を計測または推定する。次にステップS52において、コンデンサ23で回収している凝縮水のみで改質に必要な水が賄えるかどうかを判断する。必要な水を賄える場合には、ステップS53に進み、水分離器4におけるLLCからの水抽出の停止指令を出し、ステップS54において圧力調整弁7を全開とする。
【0066】
一方、ステップS52で改質に必要な水が賄えないと判断された場合には、ステップS55に進み、LLCからの水抽出量をコンデンサ23からの凝縮量分だけ減らすように調整指令を出す。ステップS56において、調整指令に従って、水分離器4の下流側の圧力調整弁7を開いて圧力を低減させる。
【0067】
このように、ステップS54、または、ステップS56で圧力調整弁7の調整を行ったら、ステップS57において、LLCが所定の流量だけ循環するようにLLCポンプ6を調整する。
【0068】
このように水回収制御を行うことで、LLCポンプ6の負荷を低減することができ、つまりは、LLCポンプ6の稼動に必要なエネルギを低減することができる。
【0069】
次に、本実施形態における効果を説明する。ここでは、第3の実施形態と異なる構成のみを説明する。
【0070】
スタック2からの排空気中の水分を回収するコンデンサ23を備え、コンデンサ23による水の凝縮・回収を開始したら、その回収量に応じて水分離器4におけるLLCからの水の分離を低減する。このように、LLCからの水分離を低減し、コンデンサ23からの水回収に切り替えることで、LLCポンプ6の負荷が軽減され、燃費が良くなる。このように起動から定常運転に至る運転状態の変化に応じて水の回収方法を変化させることで、効率のよい方法で水を得ることができる。
【0071】
第5実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図11に示す。
【0072】
これは、第4の実施形態にさらに水タンク25を備え、水分離器4で抽出した水や、コンデンサ23で回収した凝縮水を一度水タンク25に溜めてから、水ポンプ8で改質器1に供給する。
【0073】
水分離器4やコンデンサ23から得られる水量の変化は、燃料電池システムの運転負荷の変更の指令に対して遅れを生じる。例えば、起動時や定常運転中、運転負荷が急減した場合には、改質器1で消費する水分が低減してから、遅れて排空気中に含まれる水分が低減するので、水分離器4やコンデンサ23で回収される水分が過剰になる。反対に、運転負荷が急増した場合には、改質器1で要求される水分量に対して水分離器4およびコンデンサ23で回収される水は一時的に不足する。
【0074】
そこで、水タンク25を備えて、水分離器4およびコンデンサ23で回収した水を一時的に溜める。このように水分離器4またはコンデンサ23の少なくとも一方で回収した水を溜める水タンク25を備えることで、過剰に回収した水を水の不足時に用いることができ、負荷の変更に遅れることなく改質器1に必要な水を供給することができる。
【0075】
第6の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図12に示す。
【0076】
第4の実施形態において、コンデンサ23で回収した凝縮水を改質器1に供給する配管から分岐して、LLCタンク15に直接供給する分岐路31を設ける。さらにその分岐点に方向制御バルブ26を備え、コンデンサ23で回収した水のうち改質器1に供給する水量とLLCタンク15に回収する水量との割合を調整可能とする。
【0077】
起動時に、LLCから水分離器4で水を抽出するとLLCに含まれる凝固点降下剤の濃度が高くなる。これにより、LLCの冷却性能が低下するばかりでなく、LLCポンプ6における損失も大きくなるので、燃料電池システムの性能低下に繋がる。そこで、コンデンサ23において凝縮水を回収できるようになったら、コンデンサ23で改質に必要な量以上の凝縮水を回収して、回収した水の一部をLLCタンク15に戻し、LLCの濃度をもとに戻すことで性能を回復する。
【0078】
このように起動時に水分離器4で抽出した水量と概略同等の量の水をコンデンサ23で回収してLLライン3に戻すことで、LLCの濃度をもとに戻すことができる。これにより、LLCの冷却性能を維持するとともに、LLCポンプ6における損失を抑制することができる。
【0079】
第7の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図13に示す。
【0080】
ここでは、第4の実施形態において、コンデンサ23および水分離器4で回収した水を循環させる水ポンプ8の下流側からLLCタンク15に分岐する分岐路30を備える。さらに、その分岐点に、水ポンプ8で改質器1へ送る水の少なくとも一部を選択的にLLCタンク15に供給するための方向制御バルブ27を備える。
【0081】
このように構成し、方向制御バルブ27をLLCタンク15側に開くことで、濃度の高くなったLLC中に水を供給することができる。その結果、第6の実施形態と同様に、LLCの凝固点降下剤濃度を元に戻すことができ、LLCの冷却性能を回復すると共にLLCポンプ6の損失を低減することができる。特に、水ポンプ8の下流側に分岐点を配置することで、コンデンサ23で回収した水をLLC循環系に戻す際の制御性を向上することができる。
【0082】
第8の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図14に示す。
【0083】
ここでは、第5実施形態に用いた燃料電池システムの水タンク25にヒータ28を備える。ここでは、ヒータ28としてLLCライン3の一部を水タンク25内に備え、改質器1においてLLCが得た熱を水タンク25の昇温に用いる。
【0084】
起動時に、水タンク25が氷点下の状態になっていると、LLCから水を抽出しても水タンク25内に保有されている間に凍結してしまう。そこで、水を抽出する前に水タンク25水を、LLCライン3を循環するLLCにより加熱することで、水分離器4で分離した水を水タンク25に回収した際に凍結するのを避けることができる。
【0085】
第9の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図15に示す。
【0086】
ここでは、第6実施形態において、LLCタンク15にLLC濃度計29を備え、凝固点降下剤の濃度を検出可能とした。LLCタンク15内の凝固点降下剤の濃度を検出し、システム運転中、または停止時にLLCの凝固点降下剤の濃度が所定の範囲を超えないようにLLCタンク15への水回収量を調整する。
【0087】
このような構成の燃料電池システムにおける定常運転時の水回収量の調整方法を、図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0088】
ステップS61において、LLC濃度計29を用いてLLCタンク15内のLLCの凝固点降下剤濃度を検出する。ステップS62において、検出した凝固点降下剤濃度が所定の範囲より高いかどうかを判断する。ここでは、所定の範囲は、LLCの凍結を防ぎ、且つ、燃料電池システムの性能を低下させないような凝固点降下剤濃度の範囲とする。
【0089】
ステップS62において、LLCの凝固点降下剤の濃度が所定範囲より高いと判断されたらステップS63に進み、コンデンサ23で回収する凝縮水の流量を増大する。この増大した分の水を方向制御バルブ26を介してLLCタンク15に回収し、LLCの凝固点降下剤濃度を低下させる。LLC濃度が所定範囲より高くないと判断されるまでステップS62、S63を繰り返して凝固点降下剤濃度を調整する。
【0090】
一方、ステップS62でLLC中の凝固点降下剤濃度が所定範囲より高いと判断されなかったらステップS64に進む。ステップS64では、凝固点降下剤濃度が所定範囲より低いかどうかを判断する。この所定範囲は、ステップS62の範囲と同様で、LLCの凍結を防ぎ、且つ、燃料電池システムの性能を低下させないような凝固点降下剤濃度の範囲である。
【0091】
凝固点降下剤濃度が所定範囲より低い場合には、ステップS65に進み、水分離器4においてLLCから分離する水量を増大する。これにより、LLCに含まれる水の割合が小さくなり凝固点降下剤濃度が増大する。その後、再びステップS62に進み、凝固点降下剤濃度が所定範囲より高いか、またステップS64に進み所定範囲より低いかを判断し、凝固点降下剤濃度が所定の範囲内になったら本制御を終了し、定常運転を継続する。
【0092】
このように、LLCの濃度を検出するLLC濃度計29を備え、この出力に応じて、水分離器4においてLLCから分離する水の量およびコンデンサ23により回収してLLCに供給する水の量を調整する。これにより、LLCの凝固点降下剤濃度が低くなりすぎて凍結が生じたり、高くなりすぎて冷却不足やLLCポンプ6の負荷が大きくなりすぎたりするのを防ぐことができる。
【0093】
第10の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図17を用いて説明する。
【0094】
ここでは、第7実施形態において、LLCタンク15にLLC濃度計29を備えたものである。第9の実施形態と同様に、LLCタンク15内の凝固点降下剤の濃度を検出し、システム運転中、または停止時にLLCの凝固点降下剤の濃度が所定の範囲を超えないようにLLCタンク15への水回収量を調整する。
【0095】
次に、水回収量の制御方法を図18のフローチャートに基づいて説明する。
【0096】
ここで行う制御は、第9の実施形態で用いた図16のフローチャートとほぼ同じであるが、本実施形態では水タンク25を備え、その下流側からLLCタンク15に分岐している。そのため、ステップS62でLLC中の凝固点降下剤濃度が所定の範囲より低い場合には、ステップS73に進み、分岐点に設けた方向制御バルブ27をLLCタンク15側に開く。これにより、水ポンプ8により改質器1に供給される水の一部がLLCタンク15に供給されるので、LLC中の凝固点降下剤の濃度を低減することができる。このように構成することで、第9の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
次に、第11の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図19に示す。
【0098】
ここでは、第3の実施形態において、LLCポンプを二つ設ける。つまり、改質器冷却ライン3aにLLCポンプ6aを、燃料電池冷却ライン3bにLLCポンプ6bを設け、それぞれのラインを流れるLLCの流量をそれぞれのポンプにより調整する。また、改質器冷却ライン3aを流れるLLC温度を検出するための改質器側のLLC温度センサ13aを備える。
【0099】
起動時には、まずLLCポンプ6aを稼動させて改質器1から発生する熱で改質器冷却ライン3aのLLCを暖機する。LLC温度が所定温度を超えたら、LLCポンプ6bを稼動させ、燃料電池冷却ライン3bにもLLCを循環させる。これにより、改質器冷却ライン3a側のLLCが過剰に昇温するのを抑制できるだけでなく、燃料電池冷却ライン3bのLLCも加熱できるので、スタック2の暖機を速やかに行うことができる。
【0100】
次に、このような燃料電池システムの起動時の制御方法を図20のフローチャートに示す。
【0101】
ステップS1、S2において、第1の実施形態と同様に改質器1の温度を上昇させる。ステップS81において、LLCポンプ6aを稼動して改質器1にLLCを循環させる。ステップS82において、LLC温度センサ13aを用いて改質器冷却ライン3aを流れるLLCの温度を検出し、ステップS83において、ステップS82で検出したLLC温度が所定温度に達しているかどうかを判断する。LLCが所定温度に達するまでその状態を維持して、所定温度に達したらステップS6〜S10において、LLCからの水分離および改質器1、スタック2の運転を開始する。
【0102】
ステップS10において発電を開始したら、ステップS84に進み、改質器側LLC温度センサ13aを用いてLLC温度を測定する。また、スタック温度センサ21を用いてスタック2の温度を検出する。ステップS85において、スタック2を冷却する必要があるかどうかを判断する。
【0103】
冷却する必要がある場合にはステップS86に進み、LLCポンプ6bを通常運転と同様の負荷で運転することにより、スタック2にLLCを循環させて冷却を行う。このように制御したら、起動運転を終了して通常運転を行う。
【0104】
一方、ステップS85においてスタック2が冷却を必要とするほど昇温していないと判断された場合には、ステップS87に進み、ステップS84で検出したLLC温度が所定の温度を超えているかどうかを判断する。ここの所定温度は、例えば、LLCにより改質器1の冷却を効率良く行うことのできる温度範囲の上限、もしくはそれより低い温度とする。
【0105】
所定の温度を超えていなければ改質器1の冷却が可能なので、ステップS88に進み、LLCポンプ6bの回転数を現状のまま維持する。LLC温度が所定温度を超えるまでステップS84以降の制御を繰り返し、LLC温度が所定温度を超えてLLC温度が過剰に高くなったと判断されたらステップS89に進む。ステップS89において、LLCポンプ6bの回転数を増大して燃料電池冷却ライン3bに循環させるLLC流量の割合を増加する。これにより、スタック2を暖機できるとともに、LLCの過度の温度上昇を抑制することができる。
【0106】
次にステップS90にLLCポンプ6bの回転数が通常運転時の回転数となっているかどうかを判断し、通常の回転数に達していなければステップS84以降の制御を繰り返す。一方、LLCポンプ6bの回転数が通常の回転数に達していれば、起動制御を終了して通常制御に切り替える。
【0107】
次に、本実施形態における効果を説明する。ここでは、第3の実施形態に加えて以下のような効果を得ることができる。
【0108】
起動時に、LLCの温度が所定温度を超えた場合には、LLCをスタック2に循環させることにより、LLCの過度の温度上昇を抑制することができるとともに、スタック2の暖機を行うことができる。ここでは特に、改質器1にLLCを循環させるLLCポンプ6aとスタック2にLLCを循環させるLLCポンプ6bとを設け、それぞれを制御することで、循環するLLCの流量を正確に調整することができる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図2】第1の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態における停止時の運転制御を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図5】第2の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図7】第3の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【図8】第4の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図9】第4の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態における水回収制御を示すフローチャートである。
【図11】第5の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図12】第6の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図13】第7の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図14】第8の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図15】第9の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図16】第9の実施形態における運転時の水回収の制御を示すフローチャートである。
【図17】第10の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図18】第10の実施形態における運転時の水回収の制御を示すフローチャートである。
【図19】第11の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図20】第11の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 改質器
2 スタック(燃料電池スタック)
3 LLCライン(不凍液ライン)
3a 燃料電池冷却ライン
4 水分離器
13 LLC温度センサ(不凍液温度検出手段)
15 LLCタンク(不凍液タンク)
16 バイパスライン
23 コンデンサ
25 水タンク
29 LLC濃度計(濃度検出手段)
【産業上の利用分野】
【0002】
【従来の技術】
従来の改質器システムを備えた燃料電池システムとしては、次のようなものがある。
【0003】
燃料電池を管路の一部とする冷却水循環路を設け、この冷却水循環路に水にエチレングリコールを混合した不凍液を循環させて燃料電池を冷却する。冷却水循環路には、限外ろ過膜を用いて不凍液から水を精製・分離する水分離膜装置を備え、水のみが限外ろ過膜を透過することにより不凍液からエチレングリコールを含まない水を精製し、この水を冷却水循環路から分離する。精製・分離した水は、メタノール改質装置と燃料電池との間の加湿器に水素ガス加湿用の水として供給され、この加湿器に貯留される。つまり、加湿器における水素ガス加湿用の水は、不凍液から精製・分離を経て調達されている。(特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平8−185877号公報
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、燃料電池システムに備えた水タンクの水を用いて改質反応を行うので、環境温度が氷点下になると水タンク内の水分が凍結する可能性が生じて起動がスムーズに行えないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、速やかな起動を行うことのできる、改質器を備えた燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
炭化水素系燃料と、水または酸化ガスのうち少なくとも水を用いた改質反応により水素リッチガスを生成する改質器と、前記改質器で生成した水素リッチガスと酸化ガスとから電気を発生する燃料電池スタックを備える。さらに、少なくとも前記改質器を冷却する不凍液を循環させる不凍液ラインと、前記不凍液ライン中の不凍液から水を分離する水分離器を備える。このような燃料電池システムの起動時に、前記不凍液ライン中の不凍液から分離した水を前記改質器における改質反応に用いる。
【0008】
【作用及び効果】
このように不凍液ラインの不凍液から水を分離して、分離した水を改質反応に用いることで、環境温度が氷点下の場合でもスムーズに改質器に水を供給して改質反応を開始することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる燃料電池システムの概略を図1に示す。
【0010】
燃料電池システムは、改質原料となる炭化水素系燃料、水、空気から水素リッチガスを生成する改質器1と、水素リッチガスと空気から電気を生成する燃料電池スタック2(以下、スタック2)を備える。また、改質器1を冷却するための凝固点降下剤を含んだ冷却水(以下、LLC)の流通路となるLLCライン3を備える。ここで改質器1には、例えば改質反応により生成した改質ガス中のCOを選択酸化反応により除去するCO除去部等を含む。CO除去部では発電反応を行うので、改質器1を適温に維持するためにLLCにより改質器1の冷却を行う。
【0011】
LLCライン3には、LLCから凝固点降下剤を含まない水を分離する水分離器4、LLCを冷却するラジエータ5を備える。さらに、LLCを循環させるLLCポンプ6、水分離器4内の圧力を調整する圧力調整弁7を備える。また、水分離器4で抽出した水を改質器1に送る水ポンプ8を備え、LLCから分離した水を用いて改質を行う構成とする。
【0012】
改質器1には燃焼部を備え、改質器1上流より供給される炭化水素系燃料、またはスタック2から排出される排水素リッチガス、および上流より供給される空気、またはスタック2からの排空気を燃焼して改質反応に必要な熱を生成する。また、改質器1で生成した水素リッチガスの一部は、選択的に改質器リターンライン9を介して燃焼部に供給可能とする。この選択は、改質器1からスタック2へ水素リッチガスを供給する配管から、スタック2から改質器1の燃焼部に排水素リッチガスを供給する配管へ分岐する改質器リターンライン9の分岐点に配置した切替バルブ10により行う。
【0013】
さらに、改質器1の温度を検出する改質器温度センサ11と、LLCの温度を検出するLLC温度センサ13、このような燃料電池システムを制御するコントローラ12を備える。改質器温度センサ11、LLC温度センサ13の出力はコントローラ12に入力する。
【0014】
次に、このようなシステムにおけるLLCの動作を説明する。
【0015】
通常運転時には、LLCはLLCポンプ6により改質器1に送られて改質器1の冷却を行う。その後、LLCは改質器1で回収した熱をラジエータ5において放熱し、水分離器4を通ってLLCポンプ6に戻る。
【0016】
水分離器4では、ろ過膜の働きにより凝固点降下剤を含まない水だけを分離し、分離された水分を改質器1へ送って改質反応に利用する。分離する水の量は、水分離器4の下流に配置した圧力調整弁7により、水分離器4の一次側(LLC側)の圧力を調整することにより制御する。圧力調整弁7により、LLC側の圧力を高くすると分離する水の量が増大し、圧力を低くすると分離する水の量が減少する。
【0017】
一方、システム起動開始直後には、改質器1では水を用いずに、炭化水素系燃料と空気のみで、発熱反応である酸化反応、または部分酸化反応を行って暖機運転を行う。このとき、切替バルブ10を改質器リターンライン9側に設定し、改質器1で消費されなかった炭化水素燃料を改質器1の燃焼部で燃焼することにより、改質器1の暖機を促進する。
【0018】
また、LLCポンプ6を動作させて改質器1にLLCを循環させる。これによりLLCが昇温したら、水分離器4において水の分離を開始して改質器1への水の供給を開始する。このように、改質器1に水を供給できるようになった時点から、酸化反応、または、部分酸化反応に加えて水蒸気改質反応を行い、水素リッチガスを生成する。
【0019】
このような燃料電池システムの起動時の制御フローを図2に示す。
【0020】
起動時には、まず起動指令を検知したら、ステップS1において、改質器1内の点火プラグへ通電し、改質器1へ燃料と空気を供給して酸化反応または部分酸化反応を生じる。次に、ステップS2に進み、改質器1が所定の温度になったかどうか判断する。これは、改質器温度センサ11の検出結果と所定の温度を比較することにより判断することができる。ここで所定の温度は、改質器1で生じる熱によりLLCの暖機を開始できる温度を指し、これは実験等により予め設定しておく。
【0021】
改質器1が所定の温度に達するまで改質器1の暖機を継続し、所定の温度に達したら、ステップS3に進む。ステップS3では、LLCポンプ6を起動し、LLCを改質器1に循環させることでLLCを昇温させる。ステップS4では、LLC温度センサ13によりLLC温度を検出し、ステップS5においてその検出結果よりLLCが所定の温度に達したかどうかを判断する。ここの所定温度は、例えば、水分離器4においてLLCから水を分離することができる下限温度、もしくはそれより高い温度とする。
【0022】
LLCが所定の温度に達するまでLLCの加熱を継続し、LLCが所定の温度に達したらステップS6に進む。ステップS6では水分離器4の下流に配置した圧力調整バルブ7を調整して水分離を開始する。ステップS7に進み、水ポンプ8を稼動させて、分離した水を改質器1へ供給する。
【0023】
改質器1に水が供給され始めたらステップS8において改質器1を通常運転、つまり、酸化反応または部分酸化反応と水蒸気改質反応を行うことにより水素リッチガスを生成する運転に切り替える。改質器1において水素リッチガスが生成され始めたら、ステップS9において切替バルブ10をスタック2側に設定して水素リッチガスをスタック2に供給する。ステップS10においてスタック2における発電を開始して起動運転を終了し、通常運転を行う。
【0024】
次に、燃料電池システム停止時の運転を図3に示したフローチャートを用いて説明する。
【0025】
まず停止指令を検知したらステップS11において、切替バルブ10を改質器リターンライン9側に設定し、スタック2への水素リッチガスの供給を停止して発電を終了する。また、図示しないコンプレッサ等の空気供給手段を停止して、スタック2および改質器1への空気供給を停止する。
【0026】
次にステップS12において、改質器1へのインジェクタ等による燃料の供給を停止する。また、水ポンプ8を停止し、水分離器4における水の分離を停止して、システムを停止する。
【0027】
なお、本実施形態には図示しないLLCライン3に水を追加する手段を備え、水分離器4において分離した水と概略等しい量の水を追加する。これにより、LLCに含まれる凝固点降下剤の濃度が過剰に上昇するのを防止する。
【0028】
次に、このようなシステムを用いた本実施形態の効果を説明する。
【0029】
炭化水素系燃料と、水または酸化ガスのうち少なくとも水を用いた改質反応により水素リッチガスを生成する改質器1と、改質器1で生成した水素リッチガスと酸化ガスとから電気を発生するスタック2と、を備える。また、少なくとも改質器1を冷却するLLCを循環させるLLCライン3と、LLCライン3中のLLCから水を分離する水分離器4と、を備える。このようなシステムの起動時に、LLCライン3中のLLCから分離した水を、改質器1における改質反応に用いる。LLCから水を分離して改質反応に用いることで、氷点下等の寒冷時にも速やかに改質反応を開始し、ひいては発電を開始することができる。
【0030】
システム起動時には、改質器1において酸化反応または部分酸化反応を行い、LLCを改質器1に循環させることによりLLCを昇温させてから水分離器4においてLLCから水を分離し、分離した水を改質器1に供給して改質反応を開始する。これにより、起動時に改質器1で生じる熱を用いてLLCを速やかに昇温させることができる。その結果、LLCからの水の分離を速やかに開始することができ、改質器1を起動するまでの時間を短縮することができる。
【0031】
次に、第2の実施形態について説明する。ここで用いる燃料電池システムの構成を図4に示す。ここでは、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0032】
第1の実施形態に対して、LLCライン3にLLCタンク15と、これをバイパスするバイパスライン16、LLCをLLCタンク15とバイパスライン16のどちらに供給するかを選択する切替バルブ17を備える。さらに、LLCタンク15への逆流を防止するためにLLCタンク15の下流側、且つ、バイパスライン16との合流部の上流側に逆止弁18を備える。
【0033】
次にこのような燃料電池システムにおける動作を説明する。
【0034】
起動時には、切替バルブ17をバイパスライン16側に設定し、LLCポンプ6を用いてバイパスライン16にLLCを循環させる。これにより、システム内を循環するLLCの量、つまりは改質器1において加熱されるLLCの量を抑制することができ、急速にLLC温度を上昇させることができる。LLC温度が上昇したところで、水分離を開始する。
【0035】
LLC内の水を分離して改質器1に供給することでLLCライン3内の液量が減少するが、減少した分をLLCタンク15から逆止弁18を介してLLCライン3に補充する。例えば、LLCから分離した水量に相当する量をLLCタンク15からLLCライン3に供給することもできる。ここでは、LLCの温度に応じて、切替バルブ17の開度を調整し、バイパスライン16からLLCタンク15内を循環するラインに切り替えていく。LLCがLLCタンク15を通過することで、LLCの液量減少分を補うことができる。
【0036】
このような燃料電池システムの制御フローを図5に示す。
【0037】
ステップS1、S2では、第1の実施形態と同様に改質器1を所定温度まで昇温させる。次に、ステップS21において、切替バルブ17をバイパスライン16側に設定して、LLCをバイパスライン16に流通させる。次に、ステップS3〜S10においては、第1の実施形態と同様に、LLCを加熱して水分離を行い、改質器1およびスタック2の運転を開始する。
【0038】
ステップS10において発電を開始したらステップS22に進み、LLC温度センサ13によりLLCライン3内のLLC温度を検出する。ステップS23において、この温度が所定温度を超えているかどうかを判断する。ここの所定値は、例えば改質器1の冷却を効率的に行うことができる温度範囲の上限、もしくはそれより低い温度とする。所定温度を超えていなかったらステップS24に進み、切替バルブ17の開度を現状のまま維持しながらLLCによる改質器1の冷却を継続し、ステップS22に戻って再びLLC温度を検出する。これを繰り返し、LLC温度が所定温度を超えたらステップS25に進み、バイパスライン16側からLLCタンク15側に切替バルブ17の開度を増やす。
【0039】
ステップS26に進み、切替バルブ17がLLCタンク17側に全開かどうかを判断する。全開でなければステップS22に進み、ステップS22〜S25の制御を切替バルブ17がLLCタンク17に全開となるまで繰り返す。ステップS26において切替バルブ17がLLCタンク17側に全開していると判断されたら、起動運転を終了して通常運転を行う。なお、通常運転時には、LLCはLLCタンク15を介して循環し、ラジエータ5において温度調整される。
【0040】
次に、このような燃料電池システムの効果を説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0041】
LLCの温度を検出するLLC温度センサ13と、LLCライン3を循環するLLCを貯蔵するLLCタンク15と、LLCライン3の一部で、LLCタンク15をLLCが選択的に迂回するためのバイパスライン16と、を備える。システム起動時には、LLCがLLCタンク15を迂回してバイパスライン16を流通するように設定し、バイパスライン16を介して循環するLLCを改質器1により昇温してから水分離器4においてLLCからの水の分離を開始する。このように、バイパスライン16を設けて起動時にLLCタンク15を迂回させることにより、システム内にあるLLC全量を暖機する必要がなくなる。これにより、LLCの昇温を速やかに行うことができ、水分離を行うまでの時間を短縮することができる。
【0042】
また、水分離器4において水の分離を開始した後、水分離器4においてLLCから分離した水と概略同等の量だけ、LLCをLLCタンク15からLLCライン3に供給する。これにより、LLCライン3の水分離により上昇したLLCの凝固点降下剤濃度を下げることができる。その結果、LLCを循環させるためのLLCポンプ6の負荷を小さくできる。また、LLCからの水分離をスムーズに行うことができる。
【0043】
また、LLCライン3を循環するLLCの温度が高くなりすぎた場合には、LLCタンク15に貯蔵したLLCの一部をLLCライン3に循環させる。これにより、LLCラインの温度が過度に高くなることを防止できる。また、LLCタンク15内のLLCを予熱して、水分離を生じ易い状態にすることができる。
【0044】
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態の構成を図6を用いて説明する。ここでは、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0045】
LLCライン3を、改質器1を冷却する改質器冷却ライン3aと、スタック2を冷却する燃料電池冷却ライン3bと、から構成する。さらに、改質器冷却ライン3aと燃料電池冷却ライン3bへ分配するLLCの流量割合を制御する方向制御バルブ20を備える。
【0046】
ここで、改質器冷却ライン3aは、LLCポンプ6の下流側に配置した方向制御バルブ20から改質器1側に分岐し、改質器1内を通ってからラジエータ5に接続する。一方、燃料電池冷却ライン3bは、方向制御バルブ20からスタック2側に分岐し、スタック2内を通ってからラジエータ5に接続する。
【0047】
さらに、スタック2にはスタック温度センサ21を備え、その出力をコントローラ12へ入力する。また、LLC温度センサ13として、改質器冷却ライン3aを流れるLLC温度を検出するLLC温度センサ13aを備える。
【0048】
このような燃料電池システムにおける動作を説明する。
【0049】
起動時には、改質器1から発生する熱でLLCライン3を循環するLLCを暖機し、LLCが所定温度を超えたら燃料電池冷却ライン3bにも循環するように、方向制御バルブ20を調整する。これにより、改質器冷却ライン3aを循環するLLが過度に昇温するのを防ぐだけでなく、燃料電池冷却ライン3bも加熱できるので、スタック2を速やかに暖機することができる。
【0050】
このような燃料電池システムの制御フローを図7に示す。
【0051】
ステップS1、2においては、第1の実施形態と同様に改質器1の昇温を行う。ステップS31において、改質器1に生じる熱を用いてLLCの昇温を行うために、方向制御バルブ20を改質器冷却ライン3a側に全開にする。次に、ステップS3〜S10では、第1の実施形態と同様に、LLCの昇温を行って、改質器1およびスタック2の運転を開始する。
【0052】
ステップS10において発電を開始したら、ステップS32に進み、LLC温度センサ13aを用いて改質器冷却ライン3b内のLLC温度を、また、スタック温度センサ21によりスタック2の温度を検出する。ステップS33において、スタック温度センサ21の出力より、スタック2に冷却が必要かどうかを判断し、冷却が必要であればステップS34に進み方向制御バルブ20を通常運転時の開度に設定して起動運転を終了し、通常運転を行う。一方、ステップS33において、スタック2がまだ昇温されておらず、冷却が必要ないと判断されたらステップS35に進む。
【0053】
ステップS35では、ステップS32で検出したLLC温度が所定温度を超えたかどうかを判断する。所定温度を超えていなければLLCにより改質器1の冷却を行うことができるので、ステップS36に進み、方向制御バルブ20の開度を維持する。LLCが所定の温度を超えるまでステップS32〜S35を繰り返し、LLCが所定の温度を超えたと判断されたら、ステップS37に進む。ステップS37では、方向制御バルブ20の開度を調整して、燃料電池冷却ライン3bに流れるLLCの流量割合を増大させる。ここで、所定温度は、例えば、LLCにより改質器1の冷却を効率的に行うことのできる上限温度、もしくはそれより低い温度とする。この所定温度を超えたらLLCを燃料電池冷却ライン3bにも流してスタック2の暖機を行うと同時にLLC温度を抑制する。
【0054】
次に、ステップS38において方向制御バルブ20が通常運転時の開度になっているかどうかを判断する。通常運転時の開度になっていなければステップS32に戻り、再びLLC温度が所定温度まで昇温したらスタック2に流通させるLLCの流量割合をさらに増大する。このような制御を繰り返して方向制御バルブ20が通常運転時の開度になったら、起動運転を終了して通常運転を行う。
【0055】
次に、このような燃料電池システムの効果を説明する。ここでは、第2の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0056】
LLCライン3の一部で、スタック2を選択的に循環する燃料電池冷却ライン3bを備え、起動時に循環するLLCの温度が高くなりすぎた場合には、燃料電池冷却ライン3bにLLCを循環させる。これにより、LLCの温度が過度に高くなるのを防止でき、また、同時に燃料電池冷却ライン3a、ひいてはスタック2の暖機を速やかに行うことができる。
【0057】
第4の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図8に示す。
【0058】
ここでは、第3の実施形態において、スタック2からの排空気をコンデンサ23に流通させて、排空気中の水分を凝縮・回収してから改質器1の燃焼部に供給する。排空気の冷却源としては、燃料電池冷却ライン3bを流れるLLCを用い、また、回収した水は水分離器4で回収した水と共に、水ポンプ8により改質器1に供給する。
【0059】
改質器1の起動後に発電を始めると、スタック2から水蒸気を含んだ排空気が排出される。そこで、コンデンサ23において排空気中の水を凝縮させて、その回収が始まったら回収量を運転状態や図示しない流量計等により把握し、その量に応じてLLCラインからの水抽出量を減らす。これにより、LLCラインからの水抽出に必要な圧力を低減することができるので、LLCポンプ6の負荷を低減することができ、燃費を向上することができる。
【0060】
次に、このような燃料電池システムの制御を図9のフローチャートに示す。
【0061】
ステップS1、S2においては、第1の実施形態と同様に改質器1を所定の温度に達するまで暖機する。ステップS41において、LLCライン3をバイパスライン16側に設定するために、切替バルブ17をバイパスライン16側に設定する。また、方向制御バルブ20は改質器冷却ライン3a側に設定する。
【0062】
ステップS3〜S6までは、第1の実施形態と同様に、LLCの昇温を行って、LLラインからの水分離を開始する。水分離を開始したら、ステップS42において、水分離量を計測、または推定する。ステップS43において、水分離量が十分かどうかを判断し、水分量が十分ではない場合にはステップS6に戻り、再び圧力調整弁7を調整して水分離量を調整する。ステップS43において水分離量が十分と判断されるまでステップS6、S42、S43を繰り返し、水分離量が十分と判断されたらステップS7に進む。ステップS7〜S10では、改質器1およびスタック2の運転を開始する。ステップS10で発電を開始したら、スタック2から水分が含まれた排空気が排出され始めるので、ステップS44に進み、コンデンサ23において凝縮水の回収を開始する。
【0063】
ステップS45において、後述する水回収制御のサブルーチンを実行することにより、コンデンサ23における凝縮水量に応じて、LLCからの水抽出量の調整を行う。その後、第3の実施形態と同様に、ステップS32〜S38において、LLC温度を維持しながら徐々に方向制御バルブ20を燃料電池冷却ライン3b側に開き、方向制御バルブ20の開度が通常運転時の開度と等しくなった時点で起動運転を終了し、通常運転を行う。
【0064】
次に、図10のフローチャートを用いて、ステップS45で行う水回収制御について説明する。
【0065】
水回収制御の指令を検知したら、ステップS51において、コンデンサ23における凝縮水の回収量を計測または推定する。次にステップS52において、コンデンサ23で回収している凝縮水のみで改質に必要な水が賄えるかどうかを判断する。必要な水を賄える場合には、ステップS53に進み、水分離器4におけるLLCからの水抽出の停止指令を出し、ステップS54において圧力調整弁7を全開とする。
【0066】
一方、ステップS52で改質に必要な水が賄えないと判断された場合には、ステップS55に進み、LLCからの水抽出量をコンデンサ23からの凝縮量分だけ減らすように調整指令を出す。ステップS56において、調整指令に従って、水分離器4の下流側の圧力調整弁7を開いて圧力を低減させる。
【0067】
このように、ステップS54、または、ステップS56で圧力調整弁7の調整を行ったら、ステップS57において、LLCが所定の流量だけ循環するようにLLCポンプ6を調整する。
【0068】
このように水回収制御を行うことで、LLCポンプ6の負荷を低減することができ、つまりは、LLCポンプ6の稼動に必要なエネルギを低減することができる。
【0069】
次に、本実施形態における効果を説明する。ここでは、第3の実施形態と異なる構成のみを説明する。
【0070】
スタック2からの排空気中の水分を回収するコンデンサ23を備え、コンデンサ23による水の凝縮・回収を開始したら、その回収量に応じて水分離器4におけるLLCからの水の分離を低減する。このように、LLCからの水分離を低減し、コンデンサ23からの水回収に切り替えることで、LLCポンプ6の負荷が軽減され、燃費が良くなる。このように起動から定常運転に至る運転状態の変化に応じて水の回収方法を変化させることで、効率のよい方法で水を得ることができる。
【0071】
第5実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図11に示す。
【0072】
これは、第4の実施形態にさらに水タンク25を備え、水分離器4で抽出した水や、コンデンサ23で回収した凝縮水を一度水タンク25に溜めてから、水ポンプ8で改質器1に供給する。
【0073】
水分離器4やコンデンサ23から得られる水量の変化は、燃料電池システムの運転負荷の変更の指令に対して遅れを生じる。例えば、起動時や定常運転中、運転負荷が急減した場合には、改質器1で消費する水分が低減してから、遅れて排空気中に含まれる水分が低減するので、水分離器4やコンデンサ23で回収される水分が過剰になる。反対に、運転負荷が急増した場合には、改質器1で要求される水分量に対して水分離器4およびコンデンサ23で回収される水は一時的に不足する。
【0074】
そこで、水タンク25を備えて、水分離器4およびコンデンサ23で回収した水を一時的に溜める。このように水分離器4またはコンデンサ23の少なくとも一方で回収した水を溜める水タンク25を備えることで、過剰に回収した水を水の不足時に用いることができ、負荷の変更に遅れることなく改質器1に必要な水を供給することができる。
【0075】
第6の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図12に示す。
【0076】
第4の実施形態において、コンデンサ23で回収した凝縮水を改質器1に供給する配管から分岐して、LLCタンク15に直接供給する分岐路31を設ける。さらにその分岐点に方向制御バルブ26を備え、コンデンサ23で回収した水のうち改質器1に供給する水量とLLCタンク15に回収する水量との割合を調整可能とする。
【0077】
起動時に、LLCから水分離器4で水を抽出するとLLCに含まれる凝固点降下剤の濃度が高くなる。これにより、LLCの冷却性能が低下するばかりでなく、LLCポンプ6における損失も大きくなるので、燃料電池システムの性能低下に繋がる。そこで、コンデンサ23において凝縮水を回収できるようになったら、コンデンサ23で改質に必要な量以上の凝縮水を回収して、回収した水の一部をLLCタンク15に戻し、LLCの濃度をもとに戻すことで性能を回復する。
【0078】
このように起動時に水分離器4で抽出した水量と概略同等の量の水をコンデンサ23で回収してLLライン3に戻すことで、LLCの濃度をもとに戻すことができる。これにより、LLCの冷却性能を維持するとともに、LLCポンプ6における損失を抑制することができる。
【0079】
第7の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図13に示す。
【0080】
ここでは、第4の実施形態において、コンデンサ23および水分離器4で回収した水を循環させる水ポンプ8の下流側からLLCタンク15に分岐する分岐路30を備える。さらに、その分岐点に、水ポンプ8で改質器1へ送る水の少なくとも一部を選択的にLLCタンク15に供給するための方向制御バルブ27を備える。
【0081】
このように構成し、方向制御バルブ27をLLCタンク15側に開くことで、濃度の高くなったLLC中に水を供給することができる。その結果、第6の実施形態と同様に、LLCの凝固点降下剤濃度を元に戻すことができ、LLCの冷却性能を回復すると共にLLCポンプ6の損失を低減することができる。特に、水ポンプ8の下流側に分岐点を配置することで、コンデンサ23で回収した水をLLC循環系に戻す際の制御性を向上することができる。
【0082】
第8の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図14に示す。
【0083】
ここでは、第5実施形態に用いた燃料電池システムの水タンク25にヒータ28を備える。ここでは、ヒータ28としてLLCライン3の一部を水タンク25内に備え、改質器1においてLLCが得た熱を水タンク25の昇温に用いる。
【0084】
起動時に、水タンク25が氷点下の状態になっていると、LLCから水を抽出しても水タンク25内に保有されている間に凍結してしまう。そこで、水を抽出する前に水タンク25水を、LLCライン3を循環するLLCにより加熱することで、水分離器4で分離した水を水タンク25に回収した際に凍結するのを避けることができる。
【0085】
第9の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図15に示す。
【0086】
ここでは、第6実施形態において、LLCタンク15にLLC濃度計29を備え、凝固点降下剤の濃度を検出可能とした。LLCタンク15内の凝固点降下剤の濃度を検出し、システム運転中、または停止時にLLCの凝固点降下剤の濃度が所定の範囲を超えないようにLLCタンク15への水回収量を調整する。
【0087】
このような構成の燃料電池システムにおける定常運転時の水回収量の調整方法を、図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0088】
ステップS61において、LLC濃度計29を用いてLLCタンク15内のLLCの凝固点降下剤濃度を検出する。ステップS62において、検出した凝固点降下剤濃度が所定の範囲より高いかどうかを判断する。ここでは、所定の範囲は、LLCの凍結を防ぎ、且つ、燃料電池システムの性能を低下させないような凝固点降下剤濃度の範囲とする。
【0089】
ステップS62において、LLCの凝固点降下剤の濃度が所定範囲より高いと判断されたらステップS63に進み、コンデンサ23で回収する凝縮水の流量を増大する。この増大した分の水を方向制御バルブ26を介してLLCタンク15に回収し、LLCの凝固点降下剤濃度を低下させる。LLC濃度が所定範囲より高くないと判断されるまでステップS62、S63を繰り返して凝固点降下剤濃度を調整する。
【0090】
一方、ステップS62でLLC中の凝固点降下剤濃度が所定範囲より高いと判断されなかったらステップS64に進む。ステップS64では、凝固点降下剤濃度が所定範囲より低いかどうかを判断する。この所定範囲は、ステップS62の範囲と同様で、LLCの凍結を防ぎ、且つ、燃料電池システムの性能を低下させないような凝固点降下剤濃度の範囲である。
【0091】
凝固点降下剤濃度が所定範囲より低い場合には、ステップS65に進み、水分離器4においてLLCから分離する水量を増大する。これにより、LLCに含まれる水の割合が小さくなり凝固点降下剤濃度が増大する。その後、再びステップS62に進み、凝固点降下剤濃度が所定範囲より高いか、またステップS64に進み所定範囲より低いかを判断し、凝固点降下剤濃度が所定の範囲内になったら本制御を終了し、定常運転を継続する。
【0092】
このように、LLCの濃度を検出するLLC濃度計29を備え、この出力に応じて、水分離器4においてLLCから分離する水の量およびコンデンサ23により回収してLLCに供給する水の量を調整する。これにより、LLCの凝固点降下剤濃度が低くなりすぎて凍結が生じたり、高くなりすぎて冷却不足やLLCポンプ6の負荷が大きくなりすぎたりするのを防ぐことができる。
【0093】
第10の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図17を用いて説明する。
【0094】
ここでは、第7実施形態において、LLCタンク15にLLC濃度計29を備えたものである。第9の実施形態と同様に、LLCタンク15内の凝固点降下剤の濃度を検出し、システム運転中、または停止時にLLCの凝固点降下剤の濃度が所定の範囲を超えないようにLLCタンク15への水回収量を調整する。
【0095】
次に、水回収量の制御方法を図18のフローチャートに基づいて説明する。
【0096】
ここで行う制御は、第9の実施形態で用いた図16のフローチャートとほぼ同じであるが、本実施形態では水タンク25を備え、その下流側からLLCタンク15に分岐している。そのため、ステップS62でLLC中の凝固点降下剤濃度が所定の範囲より低い場合には、ステップS73に進み、分岐点に設けた方向制御バルブ27をLLCタンク15側に開く。これにより、水ポンプ8により改質器1に供給される水の一部がLLCタンク15に供給されるので、LLC中の凝固点降下剤の濃度を低減することができる。このように構成することで、第9の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
次に、第11の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を図19に示す。
【0098】
ここでは、第3の実施形態において、LLCポンプを二つ設ける。つまり、改質器冷却ライン3aにLLCポンプ6aを、燃料電池冷却ライン3bにLLCポンプ6bを設け、それぞれのラインを流れるLLCの流量をそれぞれのポンプにより調整する。また、改質器冷却ライン3aを流れるLLC温度を検出するための改質器側のLLC温度センサ13aを備える。
【0099】
起動時には、まずLLCポンプ6aを稼動させて改質器1から発生する熱で改質器冷却ライン3aのLLCを暖機する。LLC温度が所定温度を超えたら、LLCポンプ6bを稼動させ、燃料電池冷却ライン3bにもLLCを循環させる。これにより、改質器冷却ライン3a側のLLCが過剰に昇温するのを抑制できるだけでなく、燃料電池冷却ライン3bのLLCも加熱できるので、スタック2の暖機を速やかに行うことができる。
【0100】
次に、このような燃料電池システムの起動時の制御方法を図20のフローチャートに示す。
【0101】
ステップS1、S2において、第1の実施形態と同様に改質器1の温度を上昇させる。ステップS81において、LLCポンプ6aを稼動して改質器1にLLCを循環させる。ステップS82において、LLC温度センサ13aを用いて改質器冷却ライン3aを流れるLLCの温度を検出し、ステップS83において、ステップS82で検出したLLC温度が所定温度に達しているかどうかを判断する。LLCが所定温度に達するまでその状態を維持して、所定温度に達したらステップS6〜S10において、LLCからの水分離および改質器1、スタック2の運転を開始する。
【0102】
ステップS10において発電を開始したら、ステップS84に進み、改質器側LLC温度センサ13aを用いてLLC温度を測定する。また、スタック温度センサ21を用いてスタック2の温度を検出する。ステップS85において、スタック2を冷却する必要があるかどうかを判断する。
【0103】
冷却する必要がある場合にはステップS86に進み、LLCポンプ6bを通常運転と同様の負荷で運転することにより、スタック2にLLCを循環させて冷却を行う。このように制御したら、起動運転を終了して通常運転を行う。
【0104】
一方、ステップS85においてスタック2が冷却を必要とするほど昇温していないと判断された場合には、ステップS87に進み、ステップS84で検出したLLC温度が所定の温度を超えているかどうかを判断する。ここの所定温度は、例えば、LLCにより改質器1の冷却を効率良く行うことのできる温度範囲の上限、もしくはそれより低い温度とする。
【0105】
所定の温度を超えていなければ改質器1の冷却が可能なので、ステップS88に進み、LLCポンプ6bの回転数を現状のまま維持する。LLC温度が所定温度を超えるまでステップS84以降の制御を繰り返し、LLC温度が所定温度を超えてLLC温度が過剰に高くなったと判断されたらステップS89に進む。ステップS89において、LLCポンプ6bの回転数を増大して燃料電池冷却ライン3bに循環させるLLC流量の割合を増加する。これにより、スタック2を暖機できるとともに、LLCの過度の温度上昇を抑制することができる。
【0106】
次にステップS90にLLCポンプ6bの回転数が通常運転時の回転数となっているかどうかを判断し、通常の回転数に達していなければステップS84以降の制御を繰り返す。一方、LLCポンプ6bの回転数が通常の回転数に達していれば、起動制御を終了して通常制御に切り替える。
【0107】
次に、本実施形態における効果を説明する。ここでは、第3の実施形態に加えて以下のような効果を得ることができる。
【0108】
起動時に、LLCの温度が所定温度を超えた場合には、LLCをスタック2に循環させることにより、LLCの過度の温度上昇を抑制することができるとともに、スタック2の暖機を行うことができる。ここでは特に、改質器1にLLCを循環させるLLCポンプ6aとスタック2にLLCを循環させるLLCポンプ6bとを設け、それぞれを制御することで、循環するLLCの流量を正確に調整することができる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図2】第1の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態における停止時の運転制御を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図5】第2の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図7】第3の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【図8】第4の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図9】第4の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態における水回収制御を示すフローチャートである。
【図11】第5の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図12】第6の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図13】第7の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図14】第8の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図15】第9の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図16】第9の実施形態における運転時の水回収の制御を示すフローチャートである。
【図17】第10の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図18】第10の実施形態における運転時の水回収の制御を示すフローチャートである。
【図19】第11の実施形態における燃料電池システムの概略図である。
【図20】第11の実施形態における起動時の運転制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 改質器
2 スタック(燃料電池スタック)
3 LLCライン(不凍液ライン)
3a 燃料電池冷却ライン
4 水分離器
13 LLC温度センサ(不凍液温度検出手段)
15 LLCタンク(不凍液タンク)
16 バイパスライン
23 コンデンサ
25 水タンク
29 LLC濃度計(濃度検出手段)
Claims (11)
- 炭化水素系燃料と、水または酸化ガスのうち少なくとも水を用いた改質反応により水素リッチガスを生成する改質器と、
前記改質器で生成した水素リッチガスと酸化ガスとから電気を発生する燃料電池スタックと、
少なくとも前記改質器を冷却する不凍液を循環させる不凍液ラインと、
前記不凍液ライン中の不凍液から水を分離する水分離器と、を備え、
システム起動時に、前記不凍液ライン中の不凍液から分離した水を、前記改質器における改質反応に用いることを特徴とする燃料電池システム。 - システム起動時には、前記改質器において酸化反応または部分酸化反応を行い、不凍液を前記改質器に循環させることにより不凍液を昇温させてから前記水分離器において不凍液から水を分離し、分離した水を前記改質器に供給して改質反応を開始する請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記不凍液ラインを流れる不凍液の温度を検出する不凍液温度検出手段と、
前記不凍液ラインを循環する不凍液を貯蔵する不凍液タンクと、
前記不凍液ラインの一部で、前記不凍液タンクを不凍液が選択的に迂回するためのバイパスラインと、を備え、
システム起動時には、不凍液が前記不凍液タンクを迂回して前記バイパスラインを流通するように設定し、前記バイパスラインを介して循環する不凍液を前記改質器により昇温させてから、前記水分離器において不凍液から水の分離を開始する請求項1または2に記載の燃料電池システム。 - 前記水分離器において水の分離を開始した後、前記水分離器において不凍液から分離した水と概略同等の量だけ、前記不凍液タンクから前記不凍液ラインに不凍液を供給する請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記不凍液ラインを循環する不凍液の温度が高くなりすぎた場合には、前記不凍液タンクに貯蔵した不凍液の一部を前記不凍液ラインに循環させる請求項3または4に記載の燃料電池システム。
- 前記不凍液ラインの一部で、前記燃料電池スタックを選択的に循環する燃料電池冷却ラインを備え、
起動時に前記不凍液ラインを循環する不凍液の温度が高くなりすぎた場合には、前記燃料電池冷却ラインに不凍液を循環させる請求項3から5のいずれか一つに記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池スタックからの排空気中の水分を回収するコンデンサを備え、
前記コンデンサによる水の凝縮・回収を開始したら、その回収量に応じて前記水分離器における不凍液からの水の分離量を低減する請求項1または2に記載の燃料電池システム。 - 前記水分離器または前記コンデンサの少なくとも一方で回収した水を溜める水タンクを備える請求項7に記載の燃料電池システム。
- 前記水タンクを、前記不凍液ラインを循環する不凍液により加熱する請求項8に記載の燃料電池システム。
- 起動時に前記水分離器で抽出した水量と概略同等の量の水を前記コンデンサで回収して前記不凍液ラインに戻す請求項7から9のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
- 不凍液の濃度を検出する濃度検出手段を備え、
前記濃度検出手段の出力に応じて、前記水分離器において不凍液から分離する水の量および前記コンデンサにより回収して前記不凍液に供給する水の量を調整する請求項7から9のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
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