JP2004100850A - ハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ - Google Patents

ハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ Download PDF

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Abstract

【課題】スリーブを外輪に確実かつ強固に固定することができるとともに、アウトガスの問題も解消することがでるピボットアッセンブリを提供する。
【解決手段】シャフト1の両端部にボールベアリング2を嵌合し、これらボールベアリング2の外周に、内壁部31がボールベアリング2どうしの間に配置されるスリーブ3を嵌合し、スリーブ3をボールベアリング2の外輪22にレーザ溶接にて固定した。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブにおけるスイングアーム方式アクチュエータの軸受として用いられるピボットアッセンブリに係り、特に、ボールベアリングどうしの間隔を保持するスリーブの固定手段の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなピボットアッセンブリとしては、たとえばシャフトの両端部にボールベアリングを固定するとともに、ボールベアリングの外周にスリーブを嵌合し、ボールベアリングの外輪どうしの間隔をスリーブの内壁部で保持したものが知られている。このようなピボットアッセンブリは、先端部に磁気ヘッドを有するスイングアームの基部に嵌合させられ、スリーブに形成されたネジ孔にスイングアームを挿通させたネジにより取り付けられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−161328号(第2頁、段落[0008])
【特許文献2】
特開2001−50291号公報(第1頁、要約)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のピボットアッセンブリでは、ボールベアリングの外輪とスリーブとが接着剤によって固定されていた。このため、接着剤からガスが発生し、ハードディスクや磁気ヘッドの表面に有害な影響をもたらすという問題があった。このようなアウトガスの問題を解消するために、外輪をスリーブに圧入して固定することも行われている。ところが、圧入による固定では圧入代の管理が難しく、スリーブの固定の信頼性に欠けるという問題がある。
したがって、本発明は、スリーブを確実かつ強固に固定することができるとともに、アウトガスの問題も解消することができるピボットアッセンブリを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シャフトの両端部にボールベアリングを嵌合し、これらボールベアリングの外周に、内壁部がボールベアリングどうしの間に配置されるスリーブを嵌合したハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリにおいて、スリーブは、ボールベアリングの外輪にレーザ溶接にて固定されていることを特徴としている。
【0006】
上記構成のハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ(以下、単に「ピボットアッセンブリ」と称する)にあっては、スリーブが外輪にレーザ溶接にて固定されているから、スリーブを確実かつ強固に固定することができ、しかも、アウトガスの問題を解消することができる。
【0007】
レーザ溶接のレーザ発生源には限定はなく、たとえばYAGレーザを用いることができる。また、レーザ溶接は、スリーブと外輪との接触部の全周に亘って行うことができ(シーム溶接)、あるいは、接触部に沿って互いに離間した複数箇所に行うことができる(スポット溶接)。
【0008】
ところで、スリーブをボールベアリングの外輪に溶接するに際しては、電気抵抗溶接やガス溶接によるスポット溶接では、溶着部が大きく熱影響により軸受精度を低下させるため採用できなかった。本発明では、レーザ溶接によりスリーブを外輪に溶接するため、レーザビームのスポット径を例えば0.4mm程度に絞ることにより、溶着部を小さくすることができる。これにより、溶着部が外輪に与える熱影響が少なく軸受精度の低下を防止することができる。
【0009】
また、スリーブと外輪との溶接は、外輪の端面とスリーブの内周との境界で行うことができる。しかしながら、外輪は、その外周面と端面との交叉部に断面略円弧状の面取りを有しているのが通常であるから、外輪の端面の縁部とスリーブとの間に凹部が形成される。この場合、凹部は奥へ行くに従って隙間が狭くなり、その最奥部に位置するスリーブおよび外輪の接触部にレーザビームを正確に当てなければならない。しかも、レーザビームは、スリーブの内周と面取りとの共通接線、つまりスリーブの内周をなぞるようにして照射しなければならない。これらの点を鑑みると、上記のようにレーザビームが小径である場合には、スリーブの位置が少しでも狂うとレーザビームが必要な箇所に照射されないから、レーザ溶接は容易ではない。
【0010】
そこで、本発明では、スリーブの外周に、外輪の外周の近傍まで達する凹部を形成し、この凹部の底壁が外輪の外周とレーザ溶接されていることを好適な態様としている。このような態様では、レーザビームが凹部の底壁のいずれかの箇所に照射されればレーザ溶接が行われる。したがって、レーザビームの照射角度および照射位置を厳密に管理する必要がないので、レーザ溶接を容易に行うことができる。ただし、上記のように絞ったレーザビームで底壁を溶融させるために、その厚さは0.3mm以下であることが望ましい。ここで、凹部は、スリーブの全周に亘って延在する溝とすることができる。この場合には、溝の全周に亘ってシーム溶接することができ、あるいは、円周方向に沿って互いに離間した複数箇所でスポット溶接を行うことができる。また、溝を形成する場合には、スリーブの強度を確保するために、底壁の厚さは0.1mm以上であることが望ましい。なお、凹部は、スリーブの円周方向に互いに離間して設けられた穴であっても良く、その穴の底壁の1または2以上の箇所でスポット溶接することもできる。
【0011】
レーザ溶接を容易にする他の態様として、スリーブの外周に、外輪の外周に連通する孔を形成し、この孔の縁部を外輪の外周とレーザ溶接することもできる。この場合にも、レーザビームが孔の縁部のいずれかの箇所に照射されればレーザ溶接が行われるので、レーザビームの照射角度および照射位置を厳密に管理する必要がないので、レーザ溶接を容易に行うことができる。また、このような態様では、溝を形成する場合と異なりスリーブの強度が殆ど低下しないという利点もある。
【0012】
なお、上記のようなレーザ溶接は、外輪の転動溝から軸線方向に離間した箇所で行われることが望ましい。これにより、レーザ溶接による転動溝およびボールへの熱影響を少なくすることができ、軸受精度を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図3を参照して説明する。これらの図において符号1はシャフトである。シャフト1の中心には孔11が形成され、この孔11に貫通させたシャフトによって、ピボットアッセンブリはハードディスクドライブに取り付けられる。シャフト1の下端部にはフランジ12が形成されている。シャフト1の外周には、フランジ12に端面を当接させたボールベアリング2が嵌合させられている。
【0014】
ボールベアリング2は、内輪21および外輪22と、それらの間で円周方向に転動可能な複数のボール23とを備えている。ボール23は、図示しないリテーナによって円周方向に等間隔に保持されている。内輪21および外輪22の間の開口部は、シール25によって閉塞されている。なお、図中符号26は、シール25を固定するためのスナップリングである。
【0015】
シャフト1の上端部にも上記と同じボールベアリング2が嵌合させられている。そして、これら2つのボールベアリング2の外周には、スリーブ3が嵌合させられている。スリーブ3は円筒状をなし、その軸線方向中央部には、両端部よりも内径が小さいスペーサ部(内壁部)31が形成されている。スペーサ部31の両端面には、ボールベアリング2の外輪22が当接し、これによって外輪22は一定の間隔で互いに離間している。また、スリーブ3の両端部の外周には、外輪22の外周の近傍に達する溝(凹部)32が全周に亘って形成されている。溝32の底壁33の中心は、外輪22の端面に一致させられている。そして、底壁33の中心は、円周方向に等間隔離間した複数箇所で外輪22の縁部にレーザ溶接され、これによって、スリーブ3は外輪22に固定されている。図2において符号Pは溶接によるナゲットを示している。なお、底壁33の中心の全周に亘ってシーム溶接することも可能である。
【0016】
上記構成のピボットアッセンブリの外周には、先端部に磁気ヘッドを備えたスイングアームの基部が取り付けられる。スイングアームの基部には、ピボットアッセンブリが嵌合する孔が形成され、上記基部を挿通させたネジがスリーブ3に形成されたネジ孔(図示略)に螺合される。
【0017】
上記構成のピボットアッセンブリにあっては、スリーブ3が外輪22にレーザ溶接にて固定されているから、スリーブを確実かつ強固に固定することができ、しかも、アウトガスの問題を解消することができる。
【0018】
特に、上記第1実施形態では、スリーブ3の外周に、外輪22の外周の近傍まで達する溝32を形成し、この溝32の底壁33が外輪22の外周とレーザ溶接されているから、レーザビームの照射角度および照射位置を厳密に管理する必要がないので、レーザ溶接を容易に行うことができる。また、レーザ溶接がボールベアリング2の転動溝から最も離間した箇所で行われるので、転動溝およびボール23に対する熱影響が少なく、軸受精度を向上させることができる。
【0019】
[第2実施形態]
次に、図4〜図6を参照して本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1実施形態の溝32に代えて孔35を形成した点で第1実施形態と異なっている。そこで、以下の説明において上記第1実施形態と同等の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
【0020】
図に示すように、スリーブ3の両端部の外周には、複数の孔(凹部)35が円周方向へ等間隔に形成されている。孔35の先端部はテーパ状をなし、その先端において外輪22の外周に連通する開口36が形成されている。開口36は、外輪22の端面からボール23側へ寄った箇所に位置している。そして、開口36の縁部は、その一部または全周で外輪22の外周にレーザ溶接され、これによって、スリーブ3は外輪22に固定されている。
【0021】
第2実施形態においても上記第1実施形態と同等の作用、効果を得ることができる。特に、第2実施形態では、外輪22の外周に連通する孔35を形成しているから、第1実施形態のように溝32を形成する場合と比較してスリーブ3の強度低下が殆どないという利点がある。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、スリーブをボールベアリングの外輪にレーザ溶接にて固定するから、スリーブを確実かつ強固に固定することができ、しかも、アウトガスの問題を解消することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のピボットアッセンブリを示す側断面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1の矢印IIIで示す部分を拡大した側断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態のピボットアッセンブリを示す側断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4の矢印VIで示す部分を拡大した側断面図である。
【符号の説明】
1 シャフト
2 ボールベアリング
3 スリーブ
22 外輪
31 内壁部
32 溝(凹部)
33 底壁
35 孔(凹部)
36 開口

Claims (6)

  1. シャフトの両端部にボールベアリングを嵌合し、これらボールベアリングの外周に、内壁部が上記ボールベアリングどうしの間に配置されるスリーブを嵌合したハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリにおいて、上記スリーブは、上記ボールベアリングの外輪にレーザ溶接にて固定されていることを特徴とするハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ。
  2. 前記スリーブの外周に、前記外輪の外周の近傍まで達する凹部を形成し、この凹部の底壁が上記外輪の外周とレーザ溶接されていることを特徴とする請求項1に記載のハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ。
  3. 前記凹部は、前記スリーブの全周に亘って延在する溝であることを特徴とする請求項2に記載のハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ。
  4. 前記凹部は、前記スリーブの円周方向に互いに離間して設けられた穴であることを特徴とする請求項2に記載のハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ。
  5. 前記スリーブの外周に、前記外輪の外周に連通する孔を形成し、この孔の縁部が上記外輪の外周とレーザ溶接されていることを特徴とする請求項1に記載のハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ。
  6. 前記レーザ溶接は、前記外輪の転動溝から軸線方向に離間した箇所で行われていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のハードディスクドライブ用ピボットアッセンブリ。
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