JP2004100459A - 多気筒エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】振動の発生を抑制しながらトラクション性能を改善できる、又はエンジン幅を狭くできる多気筒エンジンを提供する。
【解決手段】複数の主気筒9a,9b,9d,9eとこれより少数の副気筒9cとを備え、該副気筒9cのボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つが、所定のトルク変動形態が得られるように主気筒のボア径,ストローク,クランク位相角の少なくとも1つと異なる値に設定されている。
【選択図】 図2
【解決手段】複数の主気筒9a,9b,9d,9eとこれより少数の副気筒9cとを備え、該副気筒9cのボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つが、所定のトルク変動形態が得られるように主気筒のボア径,ストローク,クランク位相角の少なくとも1つと異なる値に設定されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動二輪車用に採用される多気筒エンジンに関し、より具体的には振動を抑制しつつトラクション性能を改善できるようにした、またエンジン幅を狭くできるようにした多気筒エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車等に搭載されるエンジンでは、残存慣性力等により振動が発生するとライダーに不快感や負担を与えることから、この種の残存慣性力はできる限り消去されるべきである。特に大排気量エンジンの場合にはこの要請が強い。
【0003】
ここで本明細書において、残存慣性力とは、ピストン等の往復運動部品の往復移動により発生する慣性力のうち、各気筒の慣性力によっても互いに打ち消しきれずに残存する慣性力を意味する。なお、残存慣性力としては、クランク軸回転数と同周期,2倍周期の一次,二次残存慣性力が問題となる。
【0004】
例えば、Vバンクの一側に第1,第2気筒を、他側に第3,第4気筒を配設してなるV型4気筒エンジンの場合、互いにVバンクをなす第1,第3気筒、及び第2,第4気筒をそれぞれ共通の第1,第2クランクピンに連結し、該第1,第2クランクピンのクランク位相角を180°とすることにより、バンク角度の如何に係わらず上記一次残存慣性力を消去でき、一次残存慣性力による振動の発生を回避することができる。
【0005】
【発明が解決すようとする課題】
ところで自動二輪車の場合、駆動輪が後輪のみであり、また後輪荷重も小さいため、駆動輪により路面を駆動する場合の効率(以下、トラクション性能と記す)が四輪車に比べて低く、これを改善することが要請されている。この要請に応えるために、従来から、例えば気筒数や点火間隔を適宜設定することによりエンジンのトルク変動形態を制御し、もってトラクション性能を改善することが行われている。
【0006】
なお、本明細書において、トルク変動形態とは、以下のように定義される。即ち、一般に、等爆発間隔の4サイクルエンジンでは、1サイクル720°間で概ね気筒数と同じ数,同じ周期でトルクカーブ上のピークが発生する。一方、不等爆発間隔の4サイクルエンジンの場合、何れかの気筒間で爆発間隔が狭くなり、他の気筒間で爆発間隔が広くなる。そのため上記トルクピークが気筒の数だけ存在しなくなり、かつ爆発間隔の狭い気筒に起因してトルクピークの絶対値は大きくなる。このようにトルクピークが大きくなると、タイヤの瞬間的なグリップ力が向上し、上記トラクション性能が向上する。
【0007】
一方、上記クランク位相角が180°の多気筒エンジンの場合、振動の発生を抑制する面では有利であるものの、点火間隔の自由度が低く、従ってトルク変動形態の制御ひいてはトラクション性能の改善といった観点からは不利であるといった問題がある。
【0008】
また自動二輪車の場合、コーナを走行する際には車体を傾斜させる必要があるが、車体を傾斜させていったときタイヤ以外の部分が接地するまでの角度(バンク角)を確保する観点からエンジン幅をできるだけ小さくすることが望まれる。しかし従来のエンジンの場合、発電機をクランク軸の端部に装着していることから、この発電機による突出がエンジンの幅寸法を小さくする場合の制約となっている。
【0009】
本発明は上記従来の状況に鑑みてなされたもので、振動の発生を抑制しながらトラクション性能を改善できる、又はエンジン幅を狭くできる多気筒エンジンを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、複数の主気筒とこれより少数の副気筒とを備え、該副気筒のボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つが、所定のトルク変動形態が得られるように主気筒のボア径,ストローク,クランク位相角の少なくとも1つと異なる値に設定されていることを特徴とする多気筒エンジンである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンの間のクランク位相角は180°に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンは上記第1クランクピンと同じクランク位相角に設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2において、点火順序については、第1気筒及び副気筒、第4気筒、第3気筒、第2気筒、第1気筒及び副気筒の順であり、点火間隔については第1気筒及び副気筒〜第4第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第3気筒間が(180°)、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1気筒及び副気筒間が(180°)に設定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンの間のクランク位相角は180°に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンの上記第1クランクピンに対するクランク位相角Φは(180°≧Φ>θ)に設定されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4において、点火順序については、第1気筒、第4気筒、副気筒、第3気筒、第2気筒、第1気筒の順であり、点火間隔については第1気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜副気筒間が(θ+180°−Φ)、副気筒〜第3気筒間が(Φ−θ)、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1気筒間が(180°)に設定されていることを特徴としている。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンは同一クランク位相角に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンの上記第1,第2クランクピンに対するクランク位相角は180°に設定されていることを特徴としている。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6において、点火順序については、第1気筒、副気筒、第4気筒、第2気筒、第3気筒、第1気筒の順であり、点火間隔については第1気筒〜副気筒間が(180°)、副気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第2気筒間が(θ)、第2気筒〜第3気筒間が(360°−θ)、第3気筒〜第1気筒間が(θ)に設定されていることを特徴としている。
【0017】
請求項8の発明は、請求項2ないし7の何れかにおいて、上記第3,第4気筒の間にかつ上記副気筒と対向するようにバランサ機構を設けたことを特徴としている。
【0018】
請求項9の発明は、請求項2ないし8の何れかにおいて、上記第3,第4気筒の間に発電機を設けたことを特徴としている。
【0019】
請求項10の発明は、Vバンク一側に第1,第2気筒を、他側に第3,第4気筒を配置し、第1,第3気筒のピストンを共通の第1クランクピンに連結し、第2,第4気筒のピストンを共通の第2クランクピンに連結した多気筒エンジンにおいて、上記Vバンク一側の第1気筒と第2気筒との間に副気筒を配置し、該副気筒のピストンを副クランクピンに連結し、上記Vバンク他側の第3気筒と第4気筒との間に発電機を配設し、該発電機を駆動する駆動ギヤをクランク軸の上記副クランクピンが接続された副クランクアーム部に形成したことを特徴としている。
【0020】
請求項11の発明は、請求項10において、上記発電機は、ブロック状のホルダに支持されており、該ホルダはクランクケースの底部に着脱可能に装着されていることを特徴としている。
【0021】
請求項12の発明は、請求項11において、上記発電機の回転軸と同軸をなすようにバランサ軸が配置され、上記ホルダの一側に発電機が、他側にバランサウェイトが配置されていることを特徴としている。
【0022】
【発明の作用効果】
請求項1の発明によれば、主気筒の他に副気筒を設け、該副気筒のボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つを主気筒と異なる値に設定したので、該副気筒のボア径,クランク位相角等を適宜選定することにより所望のエンジントルク変動形態を得ることが可能であり、トラクション性能を向上できる。
【0023】
即ち、本発明では、上記副気筒をトラクション性能のコントロール用気筒として捉えている。上記副気筒のボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つを適宜選定することによりエンジン1回転当たりのトルク変動形態を所望のトルク変動形態とするのである。
【0024】
例えば、主気筒及び副気筒全体のエンジン排気量を同一とした条件下で、主気筒及び副気筒のボア径,ストロークを全て同じに設定した比較例エンジンと、副気筒のボア径,ストロークを適宜変化させた本発明エンジンとを比較すると、副気筒のボア径,ストロークを変化させた場合、副気筒の爆発力とピストン,コンロッド等による慣性力が変化し、これにともなって主気筒と合成したトルク変動形態も変化する。従って副気筒のボア径,ストローク等を適宜設定することにより必要なトルク変動形態を実現することができる。
【0025】
請求項2,請求項4,請求項6の発明によれば、Vバンク一側,他側の第1,第3気筒を第1クランクピンに連結し、Vバンク一側,他側の第2,第4気筒を第2クランクピンに連結し、上記第1,第2気筒の間に副気筒を配設したので、V型5気筒エンジンにおいて、主気筒と副気筒とを備えた構造を無理無く実現でき、該副気筒のボア径,ストローク,クランク位相角を適宜選定することにより所望のエンジントルク変動形態を実現できる。
【0026】
そして請求項2の発明では、副気筒のクランク位相角を上記第1クランクピンと同一に設定したので、請求項3の発明に示す点火時期及び点火間隔を選択可能とすることができ、エンジントルク変動形態は図11に示すように、その変動幅が大きくなり、トラクション性能が向上する。従って請求項2,3の発明は、より高いトラクション性能を要求する用途のエンジンに適している。
【0027】
一方、請求項4の発明では、副気筒のクランク位相角Φを上記第1クランクピンに対して(180°≧Φ>θ)に設定したので、請求項5に示す点火時期及び点火間隔を選択可能とすることができ、エンジントルク変動形態は図12に示すように、その変動幅は上記請求項2,3に比べて小さくなっており、従って請求項4,5の発明は、よりスムーズなトルク特性を要する用途のエンジンに適している。
【0028】
また、請求項6の発明では、第1,第2クランクピンを同一クランク位相角とし、副気筒のクランク位相角Φを上記第1,第2クランクピンに対して(180°)に設定したので、請求項7に示す点火時期及び点火間隔を選択可能とすることができ、エンジントルク変動形態の変動幅は、上記請求項2〜5 の中間レベルとなるが、クランウェイトによるバランシングの選択により残存振動レベルを小さくでき、使用エンジン回転数域が低い場合にはバランサ機構を不要にできる可能性がある。
【0029】
請求項8の発明によれば、上記V型5気筒エンジンの場合に、副気筒を設けたのと反対側のバンクにおける第3,第4気筒間にバランサ機構を配置したので、副気筒を設けたことで必然的に生じる第3,第4気筒間の空間をバランサ機構の配置空間に利用でき、エンジンの大型化を来すことなくバランサ機構を備えることができる。
【0030】
請求項9の発明によれば、上述のように副気筒を設けたことで必然的に生じる第3,第4気筒間の空間を発電機の配置空間に利用でき、クランク軸端部に発電機を設けた場合に比較してエンジン幅の大型化を回避できる。また上記バランサ機構と発電機とを一体化したユニット構造とした場合には、構造を簡素化できるとともにエンジンへの組み付け作業を容易化できる。
【0031】
請求項10の発明によれば、Vバンク一側に第1,第2気筒を、他側に第3,第4気筒を配置した場合に、上記Vバンク一側の第1気筒と第2気筒との間に副気筒を配置し、上記Vバンク他側の第3気筒と第4気筒との間に発電機を配設したので、副気筒を設けたことで必然的に生じる第3,第4気筒間の空間を利用して発電機を配置でき、クランク軸の端部に発電機を配置した場合に比較してエンジン幅を狭めることができる。
【0032】
また副気筒のピストンが接続された副クランクピンを支持するクランクアーム部に発電機駆動ギヤを形成したので、比較的大径となる駆動ギヤをクランクアームが大径であることを利用して簡単に形成できる。
【0033】
請求項11の発明によれば、上記発電機を、ブロック状のホルダで支持し、該ホルダをクランクケースの底部に着脱可能に装着することにより所定位置に配置するようにしたので、例えばクランクケースに発電機を支持するためのボス部等を一体的に形成する場合に比較して発電機の支持構造を簡素化できる。
【0034】
また発電機の取付においては、エンジン外部で発電機をホルダに組み付けることでユニット化し、これをクランクケース底部にボルト締め等で固定するだけで済むので、組み付け作業が容易である。
【0035】
請求項12の発明によれば、上記発電機の回転軸と同軸をなすようにバランサ軸を配置し、上記ホルダの一側に発電機を、他側にバランサウェイトを配置したので、発電機とバランサ機構とをホルダに組み付けてユニット化でき、バランサ機構を含めた支持構造の簡素化,組み付け作業の容易化を図ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図10は本発明の第1実施形態による自動二輪車用V型5気筒エンジン(多気筒エンジン)を説明するための図である。
【0037】
各図において、1はV型5気筒エンジンであり、該エンジン1のシリンダブロック2の下側合面2aにはクランクケース3がボルト締め結合され、上側合面2b,2cにはシリンダヘッド4,4の下側合面4a,4aがボルト締め結合され、該シリンダヘッド4,4の上側合面4b,4bにはヘッドカバー6,6が装着されている。
【0038】
上記シリンダブロック2は、図1に示すように、クランク軸直角断面(横断面)で見て大略V字状でクランク軸方向(図1紙面直角方向)に延びる大略柱状のものであり、基部となるクランク軸支持部8aにRバンク8bとLバンク8cとがVバンク一側(図1左側),他側(同図右側)に位置して所定のバンク角θをなすように一体形成されている。
【0039】
上記Rバンク8bの、クランク軸方向一側(図2左側),他側(同図右側)に第1,第2気筒9a,9bが形成され、該第1,第2気筒9a,9bの間のクランク軸方向中心に副気筒9cが形成されている。
【0040】
また上記Lバンク8cの、クランク軸方向一側,他側に第3,第4気筒9d,9eが形成され、該第3,第4気筒9d,9eの間には上記副気筒9cを設けたことにより発生する一次残存慣性力を消去し、もって該慣性力による振動の発生を回避するためのバランサ機構10が上記副気筒9cとVバンクを挟んで対向するように配設されている。なお、上記副気筒9cの配設位置は、上記第3,第4気筒9d,9eのクランク軸方向中心とも一致しており、従ってこの副気筒9cはエンジン1の幅方向中心に位置していることとなる。
【0041】
上記第1気筒9aと第3気筒9d、及び第2気筒9bと第3気筒9eとはコンロッドの幅分だけクランク軸方向に偏位(オフセット)させて配置されている。この場合に、副気筒9cが設けられた側の第1気筒9a,第2気筒9bがクランク軸方向外側に、第3気筒9d,第4気筒9eがクランク軸方向内側にそれぞれ位置している。このように配置したのでエンジン幅を最小にしながら第1,第2気筒9a,9bの間隔を拡げることができ、該第1,第2気筒9a,9bの間に上記副気筒9cを配置するためのスペースを無理なく確保することができる。
【0042】
上記第1気筒9a,第3気筒9dに摺動自在に挿入配置された第1ピストン11a,第3ピストン11dは、それぞれコンロッド12a,12dを介してクランク軸13に一体形成された共通の第1クランクピン13aに連結されている。また上記第2気筒9b,第4気筒9eに摺動自在に挿入配置された第2ピストン11b,第4ピストン11eは、それぞれコンロッド12b,12eを介してクランク軸13に一体形成された共通の第2クランクピン13bに連結されている。
【0043】
さらにまた上記副気筒9cに摺動自在に挿入配置された副ピストン11cはコンロッド12cを介してクランク軸13に一体形成された副クランクピン13cに連結されている。
【0044】
上記クランク軸13は、上記第1クランクピン13a,副クランクピン13c,第2クランクピン13bの間及び両端部に形成された4組のジャーナル部13eを備えている。この各ジャーナル部13eは、シリンダブロック2のクランク軸支持部8aの合面に凹設された4組の上側軸受部と、上記クランクケース3に一体形成された4組のクランク軸支持部3bの各合面に凹設された4組の下側軸受部とで軸支されており、該クランクケース3の各クランク軸支持部3bは各ジャーナル部毎に4本のボルト3cにより上記シリンダブロック2側に固定されている。
【0045】
また上記クランク軸13の図2左端部には、発電機30のマグネットを支持するための円筒状のマグネットケース30aがテーパ嵌合により装着されてボルト30bで締め付け固定されている。また上記マグネットケース30a内にはコイル30cが配置されており、該コイル30cはシリンダブロック2に着脱可能に装着されたカバー30dに固定されている。またマグネットケース30aの外周面にはクランク軸の回転角度を検出するための凹凸30eが形成されており、該凹凸30eに対向するように配置されたクランク角センサ30fは上記カバー30dに固定されている。
【0046】
本実施形態エンジン1の潤滑油供給系統32は、図9に示すように構成されている。即ち、上記クランクケース3の下合面に装着されたオイルパン33内の潤滑油がオイルストレーナ32aを介してオイルポンプ32bで吸引加圧され、レギュレータ32cにより所定圧力に調整され、その一部がオイルクーラー32d内で冷却されつつオイルフィルタ32eを介して上記クランクケース3にクランク軸13と平行に形成されたメインギャラリ3dに供給される。
【0047】
上記メインギャラリ3dに供給された潤滑油は、シリンダブロック2の発電機30と反対側に装着されたカバー29内に形成されたオイル通路29aを介して上記クランク軸13の図2右端部に装着されたオイル導入部材31のオイル導入孔31aに供給され、ここからクランク軸13内にドリル加工により形成されたオイル孔13fを通り、該オイル孔13fの途中から分岐するように形成された分岐孔13gを通り、上記各クランクピン13a〜13cのコンロッド摺動面に供給される。
【0048】
また上記メインギャラリ3dに供給された潤滑油の一部は、該メインギャラリ3dの途中から分岐するように上記クランク軸支持部3bに形成された分岐孔3eを通って上記クランク軸13のジャーナル部13eを支持する上,下軸受部に凹設されたオイル溝3fに供給され、さらにクランク軸支持部8aに形成された連通孔8eを介して上記Vバンクの底壁部にクランク軸と平行に形成されたサブギャラリ8fに供給される。該サブギャラリ8fに供給された潤滑油は、途中から分岐する分岐孔8gを介してピストンクーラ34のオイル孔34aに供給され、該オイル孔34aから各ピストンの裏面に向かって噴出し、該各ピストンを冷却する。
【0049】
なお、上記サブギャラリ8fに供給された潤滑油の一部は、シリンダヘッドの動弁機構部分に供給され、他の一部はタイミングギヤ列25のギヤ25cの軸受部に供給される。
【0050】
ここで上記第1クランクピン13aと第2クランクピン13bとの間のクランク位相角は180°に設定されている。また上記副クランクピン13cは上記第1クランクピン13aと同じクランク位相各に設定されている。
【0051】
また、上記第1,第2気筒9a,9b、及び第3,第4気筒9d,9eについては、同一のボア径,及びストロークに設定されている。これに対し、上記副気筒9cについては他の気筒に比べてボア径,ストローク、クランク位相角の少なくとも1つが異なる値に設定されており、本実施形態の場合、具体的には、副気筒9cのクランク位相角は第1,第3気筒と同一であり、またストロークは他の全ての気筒と同一であるが、ボア径は他の気筒より大径に設定されている。
【0052】
さらにまた上記各気筒の点火時期順序については、第1気筒及び副気筒(同時点火)、第4気筒、第3気筒、第2気筒、第1気筒の順になっており、各気筒間の点火間隔については、第1,副気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第3気筒間が180°、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1,副気筒間が180°に設定されている。即ち、本実施形態エンジンは、第1,副気筒〜第4気筒間の点火間隔が狭く、第3気筒〜第2気筒間が広いといった不等爆発間隔となっている。
【0053】
上記バランサ機構10は、軸受14で軸支されたバランサ軸部10aの一端に板状のバランサギヤ10bを一体形成し、他端に板状の偏芯ウェイト10cをボルト10dにより結合固定した構造のものである。上記軸受14のインナレース部は上記偏心ウェイト10cのボルト穴周縁に形成されたフランジ部10gと上記バラサンサギヤ10bとで挟持固定されている。
【0054】
上記軸受14は、上記バランサギヤ10bと偏心ウェイト10cとで挟まれるように配置されたバランサホルダ15で支持されており、該バランサホルダ15はシリンダブロック2の第3,第4気筒9d,9e間に形成されたホルダ支持ボス部8dにボルト15c,15dで締め付け固定されている(図1参照)。
【0055】
上記バランサホルダ15は上記バランサギヤ10b及び偏心ウェイト10cより僅かに厚い板状のものであり、基部15aとキャップ部15bとからなる2分割構造となっている。また上記バランサギヤ10bはクランク軸13の上記副クランクピン13cを支持するクランクアーム部の外周に形成された駆動ギヤ13dに噛合している。
【0056】
ここで上記偏心ウェイト10cは、上述のフランジ部10gを周縁に有し、上記バランサ軸部10aに回り止めピン10kを介在させて固定された基部10hと、半円状のウェイト部10iとを有する。またこのウェイト部10iの外周部には鉄より比重の大きい金属からなる重り10fが埋設されている。
【0057】
また上記バランサギヤ10bの、上記重り10fと対向する部位には同様の重り10eが埋設されており、このバランサギヤ10bの重り10eと反対側部分は軽量化のために薄肉とされ、さらに肉抜き穴10jが形成されている。
【0058】
本実施形態エンジン1では、第1,第3気筒9a,9dのピストンが連結された共通の第1クランクピン13aと、第2,第4気筒9b,9eのピストンが連結された共通の第2クランクピン13bとのクランク位相角を180°に設定したので、第1〜第4気筒による一次残存慣性力については、Vバンクの角度に関係なく消去可能である。
【0059】
そして本実施形態では、第1,第2気筒9a,9b間の中心に副気筒9cを配置し、該副気筒9cのボア径を他の気筒のボア径より大径とするとともに、該副気筒9cのクランク位相角を第1,第3気筒9a,9dと同一とし、点火時期については、第1及び副気筒、第4気筒、第3気筒、第2気筒の順とし、点火間隔については第1及び副気筒〜第4気筒間を(180°−θ)、第4〜第3気筒間を180°、第3〜第2気筒間を(180°+θ)としたので、トルク変動幅を図10に示すように大きくすることができ、高いトルク変動形態を必要とする用途のエンジンに適用できる。
【0060】
図10は本実施形態におけるトルク変動形態を説明するための実験結果を示す図である。この実験例エンジンでは、バンク角θ=70°であり、点火間隔は、第1及び副気筒〜第4気筒間は110°、第4〜第3気筒間は180°、第3〜第2気筒間は250°、第2〜第1,副気筒間は180°となっている。
【0061】
図10において、特に正側のエンジントルクが大きく、そのため全体としてのトルク変動幅が大きくなっており、トラクション性能が高くなっていることが判る。
【0062】
また本実施形態では、第3,第4気筒9d,9eの間に、副気筒9c専用のバランサ機構10を設けたので、副気筒9cを追加したことによる一次残存慣性力を消去できる。
【0063】
さらにまた本実施形態では副気筒9cは第1,第2気筒のクランク軸方向中心でかつ第3,第4気筒のクランク軸方向中心に、つまりエンジンのクランク軸方向中心に配置されているので、該副気筒9cを追加したことによる慣性偶力の発生は無い。
【0064】
そして本実施形態のバランサ機構10は、軸受幅より僅かに長いバランサ軸部10aをバランサホルダ15により軸受14を介して支持し、該バランサ軸部10aの両端に板状のバランサギヤ10b,偏心ウェイト10cを同じく板状のバランサホルダ15を挟むように配置した構造のものとしたので、該バランサ機構10の軸方向長さを短縮でき、第3,第4気筒9d,9eの間という極めて限られた狭い空間を利用してバランサ機構を配置できる。なお、第1,第2気筒9a,9bの間に副気筒9cを配置したので、第3,第4気筒9d,9eの間にバランサ機構の配設空間を確保できたものである。
【0065】
また本実施形態のバランサ機構10は、2分割式バランサホルダ15により支持された組立体となっており、該バランサホルダ15をボルト15c,15dによりシリンダヘッド2のバランサ支持ボス部8dに締め付け固定する構造を採用したので、バランサ機構の支持構造が極めて簡素であり、また組立作業が極めて容易である。
【0066】
ここで25は、クランク軸13により吸気,排気カム軸を回転駆動するためのタイミングギヤ列である。このタイミングギヤ列25は、クランク軸13の端部に形成されたクランクギヤ25aにより、中間ギヤアッシー25bと、第1,第2アイドラギヤ25c,25dを介して吸気,排気カム軸に固着された吸気,排気カムギヤ25e,25fを回転駆動するようになっている。
【0067】
ここで上記中間ギヤアッシー25bは、主として図5〜図7に示すように、上記クランクギヤ25aにより駆動される平板状で該クランクギヤ25aより大径の中間従動ギヤ25gと、これを挟みこむように内側,外側に配置され該中間従動ギヤ25gより小径の内,外中間駆動ギヤ25h,25iとをピン25jで共に回転するように結合するとともに、これら三部品を軸芯に螺挿されたボルト27で結合一体化したものである。上記内,外中間駆動ギヤ25h,25iのボス部25kが軸受26を介してシリンダブロック2により支持されている。
【0068】
このように中間ギヤアッシー25bを、平板状の中間従動ギヤ25gと内,外中間駆動ギヤ25h,25iをボルト締め結合したので、歯切り加工が容易であり、コストを低減できる。
【0069】
また上記外中間駆動ギヤ25iのボス部25kにはポンプ軸部25mが同軸状で外方に延びるように一体形成されており、該ポンプ軸部25mの先端部には冷却水ポンプ28のインペラ29の軸芯部が螺装固着されている。
【0070】
上記冷却水ポンプ28の上記インペラ29を収容するケーシング32は、シリンダブロック2側にボルト締め固定されたベース部31と該ベース部31に着脱可能に装着されたカバー部30とからなる2分割構造になっている。そして上記ケーシング32には上記インペラ29の軸芯部に冷却水を導入する1つの冷却水入口部32aと、冷却水を吐出する2つの冷却水出口部32bが形成されており、該各冷却水出口部32bはシリンダブロック2の各バンク部に対応して形成された冷却水通路2cに連通接続されている。
【0071】
このように本実施形態では、冷却水ポンプ28をシリンダブロック2の側壁に直接取り付けたので、冷却水ポンプ28をクランクケース内に配置した場合よりもコンパクト化でき、また該冷却水ポンプ28の出口部32bをシリンダブロック2の冷却水通路2cに直接接続でき、この点からも冷却水ポンプ回りをコンパクト化でき、また冷却水ホースが不要である。
【0072】
またタイミングギヤ列25の中間ギヤアッシー25bの一部を構成する外中間駆動ギヤ25iに一体形成したポンプ軸部25mにインペラ29を直接固定する構造を採用したので、冷却水ポンプ28の駆動構造が簡単であり、コスト上有利であるとともに、この点からも冷却水ポンプ回りがコンパクトとなっている。
【0073】
さらにまた冷却水ポンプ28を駆動する際の反力が上記中間ギヤアッシー25bに作用するので、タイミングギヤ列25におけるバックラッシュが吸収され、バックラッシュによるギヤ音を低減できる。
【0074】
上記第1実施形態では、副気筒が第1,第3気筒と同じクランク位相角に設定された場合を説明したが、本発明における副気筒は、バンク角をθとすると、クランク位相角Φを(180°≧Φ>θ)に設定することができる。
【0075】
クランク位相角Φを上記範囲に設定した第2実施形態の場合、点火順序については、第1気筒、第4気筒、副気筒、第3気筒、第2気筒とし、点火間隔については第1気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜副気筒間が(θ+180°−Φ)、副気筒〜第3気筒間が(Φ−θ)、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1気筒間が(180°)とすることができる。
【0076】
なお、本第2実施形態において、副気筒のクランク位相角,点火順序,点火間隔以外の構成は上記第1実施形態の場合と同じである。
【0077】
図11は本第2実施形態におけるエンジントルク変動形態を説明するための実験結果を示す。本実験例では、バンク角θ=70°、副気筒のクランク位相角Φ=180°としている。従って点火間隔は、第1気筒〜第4気筒間は110°、第4気筒〜副気筒間は70°、副気筒〜第3気筒間は110°、第3気筒〜第2気筒間は250°、第2気筒〜第1気筒間は180°となっている。
【0078】
図11において、上記第1実施形態に比較して特にトルクピークの発生回数が増加しており、また正側のエンジントルクが小さくなり、全体としてのトルク変動幅が小さくなっている。従って本第2実施形態のエンジンは、よりスムーズなトルク特性を要する用途のエンジンに適している。
【0079】
さらにまた上記第1,第2実施形態では、第1クランクピンと第2クランクピンとが180°のクランク位相角を有する場合を説明したが、本発明では、ダイ1,第2クランクピンを同一クランク位相角とすることもできる。
【0080】
このように構成した第3実施形態では、Vバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒が主気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンは同一クランク位相角に設定される。
【0081】
上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンの上記第1,第2クランクピンに対するクランク位相角は180°に設定されている。
【0082】
また本第3実施形態では、点火順序については、第1気筒、副気筒、第4気筒、第2気筒、第3気筒、第1気筒の順であり、点火間隔については第1気筒〜副気筒間が(180°)、副気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第2気筒間が(θ)、第2気筒〜第3気筒間が(360°−θ)に設定されている。
【0083】
図12は、本第3実施形態におけるエンジントルク変動形態を説明するための実験結果を示す。本実験例では、バンク角θ=70°、副クランクピンの第1,第2クランクピンとのクランク位相角は180°としている。従って点火間隔は、第1気筒〜副気筒間は180°、副気筒〜第4気筒間は110°、第4気筒〜第2気筒間は70°、第2気筒〜第3気筒間は290°、第3気筒〜第1気筒間は70°となっている。
【0084】
図12において、上記第1実施形態に比較してトルクピークの発生回数は同様であり、また正側のエンジントルクは上記第2実施形態より僅かに大きく、全体としてのトルク変動幅は第1実施形態と第2実施形態との中間程度となっている。が小さくなっている。従って本第3実施形態のエンジンは、スムーズなトルク特性でかつトラクション性能も有することが要求される用途のエンジンに適している。
【0085】
図13は本発明の第4実施形態を説明するための図であり、これは第3気筒と第4気筒との間に配置されたバランサ機構40に発電機を一体化した例であり、図中、図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0086】
本第4実施形態では、バランサ軸40aの一端には上記第1実施形態と同様の構造を有するバランサウェイト10cが一体形成され、他端には上記第1実施形態と同様の構造を有する発電機30′が結合されている。
【0087】
上記発電機30′のマグネットケース30aは上記バランサ軸40aに対して着脱可能に、例えばボルト10dにより締め付け固定されている。またコイル30cはバランサホルダ15に着脱可能に、例えばボルト30dにより締め付け固定されている。そして上記マグネットケース30aの外周に形成された駆動ギヤ10bが上記クランク軸13に形成された駆動ギヤ13dに噛合している。
【0088】
このようにバランサ軸40aを駆動するための専用の駆動ギヤを設ける代わりに、マグネットケース30aの外周に駆動ギヤ10bを形成し、該駆動ギヤ10bによりマグネットケース30aとバランサ軸40aとを同時に回転させるようにしたので、部品の共用化ができ、またクランク軸端部に発電機を設けた場合に比較してエンジン幅を狭くできる。
【0089】
また副気筒のピストンが接続された副クランクピンを支持するクランクアーム部に発電機駆動ギヤ13dを形成したので、比較的大径となる駆動ギヤをクランクアームが大径であることを利用して簡単に形成できる。
【0090】
さらにまた、本第4実施形態におけるバランサ装置40も、上記第1実施形態の場合と同様に、2分割式バランサホルダ15によりバラサンサ軸及び発電機を支持してユニット化し、該ユニットをボルト15c,15dによりシリンダヘッド2のバランサ支持ボス部8dに締め付け固定するだけで発電機付きバランサ装置をエンジンに装着でき、組立作業が極めて容易である。
【0091】
なお、上記第4実施形態において、第3,第4気筒の間に、バランサ機構は設けずに発電機のみを設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における多気筒エンジンのシリンダブロック部分の断面側面図(図2のI−I 線断面図)である。
【図2】上記エンジンのシリンダブロック部分の断面平面展開図である。
【図3】上記エンジンのバランサ機構部分の断面平面図である。
【図4】上記エンジンのカム軸駆動用ギヤ列の模式正面図である。
【図5】上記ギヤ列の模式側面図である。
【図6】上記ギヤ列の正面図である。
【図7】上記エンジンの冷却水ポンプ部分の断面側面図である。
【図8】上記上記冷却水ポンプのカバーを取り外した状態の正面図である。
【図9】上記エンジンの潤滑油供給系統図である。
【図10】上記エンジンのトルク変動形態を説明するためのクランク角−トルク特性図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるエンジンのトルク変動形態を説明するためのクランク角−トルク特性図である。
【図12】本発明の第3実施形態によるエンジンのトルク変動形態を説明するためのクランク角−トルク特性図である。
【図13】本発明の第4実施形態によるバランサ機構付き発電機部分の断面平面図である。
【符号の説明】
9a,9b 第1,第2気筒(主気筒)
9d,9e 第3,第4気筒(主気筒)
9c 副気筒
13a,13b 第1,第2クランクピン
13c 副クランクピン
10 バランサ機構
15 ホルダ
30′ 発電機
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動二輪車用に採用される多気筒エンジンに関し、より具体的には振動を抑制しつつトラクション性能を改善できるようにした、またエンジン幅を狭くできるようにした多気筒エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車等に搭載されるエンジンでは、残存慣性力等により振動が発生するとライダーに不快感や負担を与えることから、この種の残存慣性力はできる限り消去されるべきである。特に大排気量エンジンの場合にはこの要請が強い。
【0003】
ここで本明細書において、残存慣性力とは、ピストン等の往復運動部品の往復移動により発生する慣性力のうち、各気筒の慣性力によっても互いに打ち消しきれずに残存する慣性力を意味する。なお、残存慣性力としては、クランク軸回転数と同周期,2倍周期の一次,二次残存慣性力が問題となる。
【0004】
例えば、Vバンクの一側に第1,第2気筒を、他側に第3,第4気筒を配設してなるV型4気筒エンジンの場合、互いにVバンクをなす第1,第3気筒、及び第2,第4気筒をそれぞれ共通の第1,第2クランクピンに連結し、該第1,第2クランクピンのクランク位相角を180°とすることにより、バンク角度の如何に係わらず上記一次残存慣性力を消去でき、一次残存慣性力による振動の発生を回避することができる。
【0005】
【発明が解決すようとする課題】
ところで自動二輪車の場合、駆動輪が後輪のみであり、また後輪荷重も小さいため、駆動輪により路面を駆動する場合の効率(以下、トラクション性能と記す)が四輪車に比べて低く、これを改善することが要請されている。この要請に応えるために、従来から、例えば気筒数や点火間隔を適宜設定することによりエンジンのトルク変動形態を制御し、もってトラクション性能を改善することが行われている。
【0006】
なお、本明細書において、トルク変動形態とは、以下のように定義される。即ち、一般に、等爆発間隔の4サイクルエンジンでは、1サイクル720°間で概ね気筒数と同じ数,同じ周期でトルクカーブ上のピークが発生する。一方、不等爆発間隔の4サイクルエンジンの場合、何れかの気筒間で爆発間隔が狭くなり、他の気筒間で爆発間隔が広くなる。そのため上記トルクピークが気筒の数だけ存在しなくなり、かつ爆発間隔の狭い気筒に起因してトルクピークの絶対値は大きくなる。このようにトルクピークが大きくなると、タイヤの瞬間的なグリップ力が向上し、上記トラクション性能が向上する。
【0007】
一方、上記クランク位相角が180°の多気筒エンジンの場合、振動の発生を抑制する面では有利であるものの、点火間隔の自由度が低く、従ってトルク変動形態の制御ひいてはトラクション性能の改善といった観点からは不利であるといった問題がある。
【0008】
また自動二輪車の場合、コーナを走行する際には車体を傾斜させる必要があるが、車体を傾斜させていったときタイヤ以外の部分が接地するまでの角度(バンク角)を確保する観点からエンジン幅をできるだけ小さくすることが望まれる。しかし従来のエンジンの場合、発電機をクランク軸の端部に装着していることから、この発電機による突出がエンジンの幅寸法を小さくする場合の制約となっている。
【0009】
本発明は上記従来の状況に鑑みてなされたもので、振動の発生を抑制しながらトラクション性能を改善できる、又はエンジン幅を狭くできる多気筒エンジンを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、複数の主気筒とこれより少数の副気筒とを備え、該副気筒のボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つが、所定のトルク変動形態が得られるように主気筒のボア径,ストローク,クランク位相角の少なくとも1つと異なる値に設定されていることを特徴とする多気筒エンジンである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンの間のクランク位相角は180°に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンは上記第1クランクピンと同じクランク位相角に設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2において、点火順序については、第1気筒及び副気筒、第4気筒、第3気筒、第2気筒、第1気筒及び副気筒の順であり、点火間隔については第1気筒及び副気筒〜第4第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第3気筒間が(180°)、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1気筒及び副気筒間が(180°)に設定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンの間のクランク位相角は180°に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンの上記第1クランクピンに対するクランク位相角Φは(180°≧Φ>θ)に設定されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4において、点火順序については、第1気筒、第4気筒、副気筒、第3気筒、第2気筒、第1気筒の順であり、点火間隔については第1気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜副気筒間が(θ+180°−Φ)、副気筒〜第3気筒間が(Φ−θ)、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1気筒間が(180°)に設定されていることを特徴としている。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンは同一クランク位相角に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンの上記第1,第2クランクピンに対するクランク位相角は180°に設定されていることを特徴としている。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6において、点火順序については、第1気筒、副気筒、第4気筒、第2気筒、第3気筒、第1気筒の順であり、点火間隔については第1気筒〜副気筒間が(180°)、副気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第2気筒間が(θ)、第2気筒〜第3気筒間が(360°−θ)、第3気筒〜第1気筒間が(θ)に設定されていることを特徴としている。
【0017】
請求項8の発明は、請求項2ないし7の何れかにおいて、上記第3,第4気筒の間にかつ上記副気筒と対向するようにバランサ機構を設けたことを特徴としている。
【0018】
請求項9の発明は、請求項2ないし8の何れかにおいて、上記第3,第4気筒の間に発電機を設けたことを特徴としている。
【0019】
請求項10の発明は、Vバンク一側に第1,第2気筒を、他側に第3,第4気筒を配置し、第1,第3気筒のピストンを共通の第1クランクピンに連結し、第2,第4気筒のピストンを共通の第2クランクピンに連結した多気筒エンジンにおいて、上記Vバンク一側の第1気筒と第2気筒との間に副気筒を配置し、該副気筒のピストンを副クランクピンに連結し、上記Vバンク他側の第3気筒と第4気筒との間に発電機を配設し、該発電機を駆動する駆動ギヤをクランク軸の上記副クランクピンが接続された副クランクアーム部に形成したことを特徴としている。
【0020】
請求項11の発明は、請求項10において、上記発電機は、ブロック状のホルダに支持されており、該ホルダはクランクケースの底部に着脱可能に装着されていることを特徴としている。
【0021】
請求項12の発明は、請求項11において、上記発電機の回転軸と同軸をなすようにバランサ軸が配置され、上記ホルダの一側に発電機が、他側にバランサウェイトが配置されていることを特徴としている。
【0022】
【発明の作用効果】
請求項1の発明によれば、主気筒の他に副気筒を設け、該副気筒のボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つを主気筒と異なる値に設定したので、該副気筒のボア径,クランク位相角等を適宜選定することにより所望のエンジントルク変動形態を得ることが可能であり、トラクション性能を向上できる。
【0023】
即ち、本発明では、上記副気筒をトラクション性能のコントロール用気筒として捉えている。上記副気筒のボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つを適宜選定することによりエンジン1回転当たりのトルク変動形態を所望のトルク変動形態とするのである。
【0024】
例えば、主気筒及び副気筒全体のエンジン排気量を同一とした条件下で、主気筒及び副気筒のボア径,ストロークを全て同じに設定した比較例エンジンと、副気筒のボア径,ストロークを適宜変化させた本発明エンジンとを比較すると、副気筒のボア径,ストロークを変化させた場合、副気筒の爆発力とピストン,コンロッド等による慣性力が変化し、これにともなって主気筒と合成したトルク変動形態も変化する。従って副気筒のボア径,ストローク等を適宜設定することにより必要なトルク変動形態を実現することができる。
【0025】
請求項2,請求項4,請求項6の発明によれば、Vバンク一側,他側の第1,第3気筒を第1クランクピンに連結し、Vバンク一側,他側の第2,第4気筒を第2クランクピンに連結し、上記第1,第2気筒の間に副気筒を配設したので、V型5気筒エンジンにおいて、主気筒と副気筒とを備えた構造を無理無く実現でき、該副気筒のボア径,ストローク,クランク位相角を適宜選定することにより所望のエンジントルク変動形態を実現できる。
【0026】
そして請求項2の発明では、副気筒のクランク位相角を上記第1クランクピンと同一に設定したので、請求項3の発明に示す点火時期及び点火間隔を選択可能とすることができ、エンジントルク変動形態は図11に示すように、その変動幅が大きくなり、トラクション性能が向上する。従って請求項2,3の発明は、より高いトラクション性能を要求する用途のエンジンに適している。
【0027】
一方、請求項4の発明では、副気筒のクランク位相角Φを上記第1クランクピンに対して(180°≧Φ>θ)に設定したので、請求項5に示す点火時期及び点火間隔を選択可能とすることができ、エンジントルク変動形態は図12に示すように、その変動幅は上記請求項2,3に比べて小さくなっており、従って請求項4,5の発明は、よりスムーズなトルク特性を要する用途のエンジンに適している。
【0028】
また、請求項6の発明では、第1,第2クランクピンを同一クランク位相角とし、副気筒のクランク位相角Φを上記第1,第2クランクピンに対して(180°)に設定したので、請求項7に示す点火時期及び点火間隔を選択可能とすることができ、エンジントルク変動形態の変動幅は、上記請求項2〜5 の中間レベルとなるが、クランウェイトによるバランシングの選択により残存振動レベルを小さくでき、使用エンジン回転数域が低い場合にはバランサ機構を不要にできる可能性がある。
【0029】
請求項8の発明によれば、上記V型5気筒エンジンの場合に、副気筒を設けたのと反対側のバンクにおける第3,第4気筒間にバランサ機構を配置したので、副気筒を設けたことで必然的に生じる第3,第4気筒間の空間をバランサ機構の配置空間に利用でき、エンジンの大型化を来すことなくバランサ機構を備えることができる。
【0030】
請求項9の発明によれば、上述のように副気筒を設けたことで必然的に生じる第3,第4気筒間の空間を発電機の配置空間に利用でき、クランク軸端部に発電機を設けた場合に比較してエンジン幅の大型化を回避できる。また上記バランサ機構と発電機とを一体化したユニット構造とした場合には、構造を簡素化できるとともにエンジンへの組み付け作業を容易化できる。
【0031】
請求項10の発明によれば、Vバンク一側に第1,第2気筒を、他側に第3,第4気筒を配置した場合に、上記Vバンク一側の第1気筒と第2気筒との間に副気筒を配置し、上記Vバンク他側の第3気筒と第4気筒との間に発電機を配設したので、副気筒を設けたことで必然的に生じる第3,第4気筒間の空間を利用して発電機を配置でき、クランク軸の端部に発電機を配置した場合に比較してエンジン幅を狭めることができる。
【0032】
また副気筒のピストンが接続された副クランクピンを支持するクランクアーム部に発電機駆動ギヤを形成したので、比較的大径となる駆動ギヤをクランクアームが大径であることを利用して簡単に形成できる。
【0033】
請求項11の発明によれば、上記発電機を、ブロック状のホルダで支持し、該ホルダをクランクケースの底部に着脱可能に装着することにより所定位置に配置するようにしたので、例えばクランクケースに発電機を支持するためのボス部等を一体的に形成する場合に比較して発電機の支持構造を簡素化できる。
【0034】
また発電機の取付においては、エンジン外部で発電機をホルダに組み付けることでユニット化し、これをクランクケース底部にボルト締め等で固定するだけで済むので、組み付け作業が容易である。
【0035】
請求項12の発明によれば、上記発電機の回転軸と同軸をなすようにバランサ軸を配置し、上記ホルダの一側に発電機を、他側にバランサウェイトを配置したので、発電機とバランサ機構とをホルダに組み付けてユニット化でき、バランサ機構を含めた支持構造の簡素化,組み付け作業の容易化を図ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図10は本発明の第1実施形態による自動二輪車用V型5気筒エンジン(多気筒エンジン)を説明するための図である。
【0037】
各図において、1はV型5気筒エンジンであり、該エンジン1のシリンダブロック2の下側合面2aにはクランクケース3がボルト締め結合され、上側合面2b,2cにはシリンダヘッド4,4の下側合面4a,4aがボルト締め結合され、該シリンダヘッド4,4の上側合面4b,4bにはヘッドカバー6,6が装着されている。
【0038】
上記シリンダブロック2は、図1に示すように、クランク軸直角断面(横断面)で見て大略V字状でクランク軸方向(図1紙面直角方向)に延びる大略柱状のものであり、基部となるクランク軸支持部8aにRバンク8bとLバンク8cとがVバンク一側(図1左側),他側(同図右側)に位置して所定のバンク角θをなすように一体形成されている。
【0039】
上記Rバンク8bの、クランク軸方向一側(図2左側),他側(同図右側)に第1,第2気筒9a,9bが形成され、該第1,第2気筒9a,9bの間のクランク軸方向中心に副気筒9cが形成されている。
【0040】
また上記Lバンク8cの、クランク軸方向一側,他側に第3,第4気筒9d,9eが形成され、該第3,第4気筒9d,9eの間には上記副気筒9cを設けたことにより発生する一次残存慣性力を消去し、もって該慣性力による振動の発生を回避するためのバランサ機構10が上記副気筒9cとVバンクを挟んで対向するように配設されている。なお、上記副気筒9cの配設位置は、上記第3,第4気筒9d,9eのクランク軸方向中心とも一致しており、従ってこの副気筒9cはエンジン1の幅方向中心に位置していることとなる。
【0041】
上記第1気筒9aと第3気筒9d、及び第2気筒9bと第3気筒9eとはコンロッドの幅分だけクランク軸方向に偏位(オフセット)させて配置されている。この場合に、副気筒9cが設けられた側の第1気筒9a,第2気筒9bがクランク軸方向外側に、第3気筒9d,第4気筒9eがクランク軸方向内側にそれぞれ位置している。このように配置したのでエンジン幅を最小にしながら第1,第2気筒9a,9bの間隔を拡げることができ、該第1,第2気筒9a,9bの間に上記副気筒9cを配置するためのスペースを無理なく確保することができる。
【0042】
上記第1気筒9a,第3気筒9dに摺動自在に挿入配置された第1ピストン11a,第3ピストン11dは、それぞれコンロッド12a,12dを介してクランク軸13に一体形成された共通の第1クランクピン13aに連結されている。また上記第2気筒9b,第4気筒9eに摺動自在に挿入配置された第2ピストン11b,第4ピストン11eは、それぞれコンロッド12b,12eを介してクランク軸13に一体形成された共通の第2クランクピン13bに連結されている。
【0043】
さらにまた上記副気筒9cに摺動自在に挿入配置された副ピストン11cはコンロッド12cを介してクランク軸13に一体形成された副クランクピン13cに連結されている。
【0044】
上記クランク軸13は、上記第1クランクピン13a,副クランクピン13c,第2クランクピン13bの間及び両端部に形成された4組のジャーナル部13eを備えている。この各ジャーナル部13eは、シリンダブロック2のクランク軸支持部8aの合面に凹設された4組の上側軸受部と、上記クランクケース3に一体形成された4組のクランク軸支持部3bの各合面に凹設された4組の下側軸受部とで軸支されており、該クランクケース3の各クランク軸支持部3bは各ジャーナル部毎に4本のボルト3cにより上記シリンダブロック2側に固定されている。
【0045】
また上記クランク軸13の図2左端部には、発電機30のマグネットを支持するための円筒状のマグネットケース30aがテーパ嵌合により装着されてボルト30bで締め付け固定されている。また上記マグネットケース30a内にはコイル30cが配置されており、該コイル30cはシリンダブロック2に着脱可能に装着されたカバー30dに固定されている。またマグネットケース30aの外周面にはクランク軸の回転角度を検出するための凹凸30eが形成されており、該凹凸30eに対向するように配置されたクランク角センサ30fは上記カバー30dに固定されている。
【0046】
本実施形態エンジン1の潤滑油供給系統32は、図9に示すように構成されている。即ち、上記クランクケース3の下合面に装着されたオイルパン33内の潤滑油がオイルストレーナ32aを介してオイルポンプ32bで吸引加圧され、レギュレータ32cにより所定圧力に調整され、その一部がオイルクーラー32d内で冷却されつつオイルフィルタ32eを介して上記クランクケース3にクランク軸13と平行に形成されたメインギャラリ3dに供給される。
【0047】
上記メインギャラリ3dに供給された潤滑油は、シリンダブロック2の発電機30と反対側に装着されたカバー29内に形成されたオイル通路29aを介して上記クランク軸13の図2右端部に装着されたオイル導入部材31のオイル導入孔31aに供給され、ここからクランク軸13内にドリル加工により形成されたオイル孔13fを通り、該オイル孔13fの途中から分岐するように形成された分岐孔13gを通り、上記各クランクピン13a〜13cのコンロッド摺動面に供給される。
【0048】
また上記メインギャラリ3dに供給された潤滑油の一部は、該メインギャラリ3dの途中から分岐するように上記クランク軸支持部3bに形成された分岐孔3eを通って上記クランク軸13のジャーナル部13eを支持する上,下軸受部に凹設されたオイル溝3fに供給され、さらにクランク軸支持部8aに形成された連通孔8eを介して上記Vバンクの底壁部にクランク軸と平行に形成されたサブギャラリ8fに供給される。該サブギャラリ8fに供給された潤滑油は、途中から分岐する分岐孔8gを介してピストンクーラ34のオイル孔34aに供給され、該オイル孔34aから各ピストンの裏面に向かって噴出し、該各ピストンを冷却する。
【0049】
なお、上記サブギャラリ8fに供給された潤滑油の一部は、シリンダヘッドの動弁機構部分に供給され、他の一部はタイミングギヤ列25のギヤ25cの軸受部に供給される。
【0050】
ここで上記第1クランクピン13aと第2クランクピン13bとの間のクランク位相角は180°に設定されている。また上記副クランクピン13cは上記第1クランクピン13aと同じクランク位相各に設定されている。
【0051】
また、上記第1,第2気筒9a,9b、及び第3,第4気筒9d,9eについては、同一のボア径,及びストロークに設定されている。これに対し、上記副気筒9cについては他の気筒に比べてボア径,ストローク、クランク位相角の少なくとも1つが異なる値に設定されており、本実施形態の場合、具体的には、副気筒9cのクランク位相角は第1,第3気筒と同一であり、またストロークは他の全ての気筒と同一であるが、ボア径は他の気筒より大径に設定されている。
【0052】
さらにまた上記各気筒の点火時期順序については、第1気筒及び副気筒(同時点火)、第4気筒、第3気筒、第2気筒、第1気筒の順になっており、各気筒間の点火間隔については、第1,副気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第3気筒間が180°、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1,副気筒間が180°に設定されている。即ち、本実施形態エンジンは、第1,副気筒〜第4気筒間の点火間隔が狭く、第3気筒〜第2気筒間が広いといった不等爆発間隔となっている。
【0053】
上記バランサ機構10は、軸受14で軸支されたバランサ軸部10aの一端に板状のバランサギヤ10bを一体形成し、他端に板状の偏芯ウェイト10cをボルト10dにより結合固定した構造のものである。上記軸受14のインナレース部は上記偏心ウェイト10cのボルト穴周縁に形成されたフランジ部10gと上記バラサンサギヤ10bとで挟持固定されている。
【0054】
上記軸受14は、上記バランサギヤ10bと偏心ウェイト10cとで挟まれるように配置されたバランサホルダ15で支持されており、該バランサホルダ15はシリンダブロック2の第3,第4気筒9d,9e間に形成されたホルダ支持ボス部8dにボルト15c,15dで締め付け固定されている(図1参照)。
【0055】
上記バランサホルダ15は上記バランサギヤ10b及び偏心ウェイト10cより僅かに厚い板状のものであり、基部15aとキャップ部15bとからなる2分割構造となっている。また上記バランサギヤ10bはクランク軸13の上記副クランクピン13cを支持するクランクアーム部の外周に形成された駆動ギヤ13dに噛合している。
【0056】
ここで上記偏心ウェイト10cは、上述のフランジ部10gを周縁に有し、上記バランサ軸部10aに回り止めピン10kを介在させて固定された基部10hと、半円状のウェイト部10iとを有する。またこのウェイト部10iの外周部には鉄より比重の大きい金属からなる重り10fが埋設されている。
【0057】
また上記バランサギヤ10bの、上記重り10fと対向する部位には同様の重り10eが埋設されており、このバランサギヤ10bの重り10eと反対側部分は軽量化のために薄肉とされ、さらに肉抜き穴10jが形成されている。
【0058】
本実施形態エンジン1では、第1,第3気筒9a,9dのピストンが連結された共通の第1クランクピン13aと、第2,第4気筒9b,9eのピストンが連結された共通の第2クランクピン13bとのクランク位相角を180°に設定したので、第1〜第4気筒による一次残存慣性力については、Vバンクの角度に関係なく消去可能である。
【0059】
そして本実施形態では、第1,第2気筒9a,9b間の中心に副気筒9cを配置し、該副気筒9cのボア径を他の気筒のボア径より大径とするとともに、該副気筒9cのクランク位相角を第1,第3気筒9a,9dと同一とし、点火時期については、第1及び副気筒、第4気筒、第3気筒、第2気筒の順とし、点火間隔については第1及び副気筒〜第4気筒間を(180°−θ)、第4〜第3気筒間を180°、第3〜第2気筒間を(180°+θ)としたので、トルク変動幅を図10に示すように大きくすることができ、高いトルク変動形態を必要とする用途のエンジンに適用できる。
【0060】
図10は本実施形態におけるトルク変動形態を説明するための実験結果を示す図である。この実験例エンジンでは、バンク角θ=70°であり、点火間隔は、第1及び副気筒〜第4気筒間は110°、第4〜第3気筒間は180°、第3〜第2気筒間は250°、第2〜第1,副気筒間は180°となっている。
【0061】
図10において、特に正側のエンジントルクが大きく、そのため全体としてのトルク変動幅が大きくなっており、トラクション性能が高くなっていることが判る。
【0062】
また本実施形態では、第3,第4気筒9d,9eの間に、副気筒9c専用のバランサ機構10を設けたので、副気筒9cを追加したことによる一次残存慣性力を消去できる。
【0063】
さらにまた本実施形態では副気筒9cは第1,第2気筒のクランク軸方向中心でかつ第3,第4気筒のクランク軸方向中心に、つまりエンジンのクランク軸方向中心に配置されているので、該副気筒9cを追加したことによる慣性偶力の発生は無い。
【0064】
そして本実施形態のバランサ機構10は、軸受幅より僅かに長いバランサ軸部10aをバランサホルダ15により軸受14を介して支持し、該バランサ軸部10aの両端に板状のバランサギヤ10b,偏心ウェイト10cを同じく板状のバランサホルダ15を挟むように配置した構造のものとしたので、該バランサ機構10の軸方向長さを短縮でき、第3,第4気筒9d,9eの間という極めて限られた狭い空間を利用してバランサ機構を配置できる。なお、第1,第2気筒9a,9bの間に副気筒9cを配置したので、第3,第4気筒9d,9eの間にバランサ機構の配設空間を確保できたものである。
【0065】
また本実施形態のバランサ機構10は、2分割式バランサホルダ15により支持された組立体となっており、該バランサホルダ15をボルト15c,15dによりシリンダヘッド2のバランサ支持ボス部8dに締め付け固定する構造を採用したので、バランサ機構の支持構造が極めて簡素であり、また組立作業が極めて容易である。
【0066】
ここで25は、クランク軸13により吸気,排気カム軸を回転駆動するためのタイミングギヤ列である。このタイミングギヤ列25は、クランク軸13の端部に形成されたクランクギヤ25aにより、中間ギヤアッシー25bと、第1,第2アイドラギヤ25c,25dを介して吸気,排気カム軸に固着された吸気,排気カムギヤ25e,25fを回転駆動するようになっている。
【0067】
ここで上記中間ギヤアッシー25bは、主として図5〜図7に示すように、上記クランクギヤ25aにより駆動される平板状で該クランクギヤ25aより大径の中間従動ギヤ25gと、これを挟みこむように内側,外側に配置され該中間従動ギヤ25gより小径の内,外中間駆動ギヤ25h,25iとをピン25jで共に回転するように結合するとともに、これら三部品を軸芯に螺挿されたボルト27で結合一体化したものである。上記内,外中間駆動ギヤ25h,25iのボス部25kが軸受26を介してシリンダブロック2により支持されている。
【0068】
このように中間ギヤアッシー25bを、平板状の中間従動ギヤ25gと内,外中間駆動ギヤ25h,25iをボルト締め結合したので、歯切り加工が容易であり、コストを低減できる。
【0069】
また上記外中間駆動ギヤ25iのボス部25kにはポンプ軸部25mが同軸状で外方に延びるように一体形成されており、該ポンプ軸部25mの先端部には冷却水ポンプ28のインペラ29の軸芯部が螺装固着されている。
【0070】
上記冷却水ポンプ28の上記インペラ29を収容するケーシング32は、シリンダブロック2側にボルト締め固定されたベース部31と該ベース部31に着脱可能に装着されたカバー部30とからなる2分割構造になっている。そして上記ケーシング32には上記インペラ29の軸芯部に冷却水を導入する1つの冷却水入口部32aと、冷却水を吐出する2つの冷却水出口部32bが形成されており、該各冷却水出口部32bはシリンダブロック2の各バンク部に対応して形成された冷却水通路2cに連通接続されている。
【0071】
このように本実施形態では、冷却水ポンプ28をシリンダブロック2の側壁に直接取り付けたので、冷却水ポンプ28をクランクケース内に配置した場合よりもコンパクト化でき、また該冷却水ポンプ28の出口部32bをシリンダブロック2の冷却水通路2cに直接接続でき、この点からも冷却水ポンプ回りをコンパクト化でき、また冷却水ホースが不要である。
【0072】
またタイミングギヤ列25の中間ギヤアッシー25bの一部を構成する外中間駆動ギヤ25iに一体形成したポンプ軸部25mにインペラ29を直接固定する構造を採用したので、冷却水ポンプ28の駆動構造が簡単であり、コスト上有利であるとともに、この点からも冷却水ポンプ回りがコンパクトとなっている。
【0073】
さらにまた冷却水ポンプ28を駆動する際の反力が上記中間ギヤアッシー25bに作用するので、タイミングギヤ列25におけるバックラッシュが吸収され、バックラッシュによるギヤ音を低減できる。
【0074】
上記第1実施形態では、副気筒が第1,第3気筒と同じクランク位相角に設定された場合を説明したが、本発明における副気筒は、バンク角をθとすると、クランク位相角Φを(180°≧Φ>θ)に設定することができる。
【0075】
クランク位相角Φを上記範囲に設定した第2実施形態の場合、点火順序については、第1気筒、第4気筒、副気筒、第3気筒、第2気筒とし、点火間隔については第1気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜副気筒間が(θ+180°−Φ)、副気筒〜第3気筒間が(Φ−θ)、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1気筒間が(180°)とすることができる。
【0076】
なお、本第2実施形態において、副気筒のクランク位相角,点火順序,点火間隔以外の構成は上記第1実施形態の場合と同じである。
【0077】
図11は本第2実施形態におけるエンジントルク変動形態を説明するための実験結果を示す。本実験例では、バンク角θ=70°、副気筒のクランク位相角Φ=180°としている。従って点火間隔は、第1気筒〜第4気筒間は110°、第4気筒〜副気筒間は70°、副気筒〜第3気筒間は110°、第3気筒〜第2気筒間は250°、第2気筒〜第1気筒間は180°となっている。
【0078】
図11において、上記第1実施形態に比較して特にトルクピークの発生回数が増加しており、また正側のエンジントルクが小さくなり、全体としてのトルク変動幅が小さくなっている。従って本第2実施形態のエンジンは、よりスムーズなトルク特性を要する用途のエンジンに適している。
【0079】
さらにまた上記第1,第2実施形態では、第1クランクピンと第2クランクピンとが180°のクランク位相角を有する場合を説明したが、本発明では、ダイ1,第2クランクピンを同一クランク位相角とすることもできる。
【0080】
このように構成した第3実施形態では、Vバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒が主気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンは同一クランク位相角に設定される。
【0081】
上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンの上記第1,第2クランクピンに対するクランク位相角は180°に設定されている。
【0082】
また本第3実施形態では、点火順序については、第1気筒、副気筒、第4気筒、第2気筒、第3気筒、第1気筒の順であり、点火間隔については第1気筒〜副気筒間が(180°)、副気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第2気筒間が(θ)、第2気筒〜第3気筒間が(360°−θ)に設定されている。
【0083】
図12は、本第3実施形態におけるエンジントルク変動形態を説明するための実験結果を示す。本実験例では、バンク角θ=70°、副クランクピンの第1,第2クランクピンとのクランク位相角は180°としている。従って点火間隔は、第1気筒〜副気筒間は180°、副気筒〜第4気筒間は110°、第4気筒〜第2気筒間は70°、第2気筒〜第3気筒間は290°、第3気筒〜第1気筒間は70°となっている。
【0084】
図12において、上記第1実施形態に比較してトルクピークの発生回数は同様であり、また正側のエンジントルクは上記第2実施形態より僅かに大きく、全体としてのトルク変動幅は第1実施形態と第2実施形態との中間程度となっている。が小さくなっている。従って本第3実施形態のエンジンは、スムーズなトルク特性でかつトラクション性能も有することが要求される用途のエンジンに適している。
【0085】
図13は本発明の第4実施形態を説明するための図であり、これは第3気筒と第4気筒との間に配置されたバランサ機構40に発電機を一体化した例であり、図中、図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0086】
本第4実施形態では、バランサ軸40aの一端には上記第1実施形態と同様の構造を有するバランサウェイト10cが一体形成され、他端には上記第1実施形態と同様の構造を有する発電機30′が結合されている。
【0087】
上記発電機30′のマグネットケース30aは上記バランサ軸40aに対して着脱可能に、例えばボルト10dにより締め付け固定されている。またコイル30cはバランサホルダ15に着脱可能に、例えばボルト30dにより締め付け固定されている。そして上記マグネットケース30aの外周に形成された駆動ギヤ10bが上記クランク軸13に形成された駆動ギヤ13dに噛合している。
【0088】
このようにバランサ軸40aを駆動するための専用の駆動ギヤを設ける代わりに、マグネットケース30aの外周に駆動ギヤ10bを形成し、該駆動ギヤ10bによりマグネットケース30aとバランサ軸40aとを同時に回転させるようにしたので、部品の共用化ができ、またクランク軸端部に発電機を設けた場合に比較してエンジン幅を狭くできる。
【0089】
また副気筒のピストンが接続された副クランクピンを支持するクランクアーム部に発電機駆動ギヤ13dを形成したので、比較的大径となる駆動ギヤをクランクアームが大径であることを利用して簡単に形成できる。
【0090】
さらにまた、本第4実施形態におけるバランサ装置40も、上記第1実施形態の場合と同様に、2分割式バランサホルダ15によりバラサンサ軸及び発電機を支持してユニット化し、該ユニットをボルト15c,15dによりシリンダヘッド2のバランサ支持ボス部8dに締め付け固定するだけで発電機付きバランサ装置をエンジンに装着でき、組立作業が極めて容易である。
【0091】
なお、上記第4実施形態において、第3,第4気筒の間に、バランサ機構は設けずに発電機のみを設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における多気筒エンジンのシリンダブロック部分の断面側面図(図2のI−I 線断面図)である。
【図2】上記エンジンのシリンダブロック部分の断面平面展開図である。
【図3】上記エンジンのバランサ機構部分の断面平面図である。
【図4】上記エンジンのカム軸駆動用ギヤ列の模式正面図である。
【図5】上記ギヤ列の模式側面図である。
【図6】上記ギヤ列の正面図である。
【図7】上記エンジンの冷却水ポンプ部分の断面側面図である。
【図8】上記上記冷却水ポンプのカバーを取り外した状態の正面図である。
【図9】上記エンジンの潤滑油供給系統図である。
【図10】上記エンジンのトルク変動形態を説明するためのクランク角−トルク特性図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるエンジンのトルク変動形態を説明するためのクランク角−トルク特性図である。
【図12】本発明の第3実施形態によるエンジンのトルク変動形態を説明するためのクランク角−トルク特性図である。
【図13】本発明の第4実施形態によるバランサ機構付き発電機部分の断面平面図である。
【符号の説明】
9a,9b 第1,第2気筒(主気筒)
9d,9e 第3,第4気筒(主気筒)
9c 副気筒
13a,13b 第1,第2クランクピン
13c 副クランクピン
10 バランサ機構
15 ホルダ
30′ 発電機
Claims (12)
- 複数の主気筒とこれより少数の副筒気筒とを備え、該副気筒のボア径,ストローク,及びクランク位相角の少なくとも1つが、所定のトルク変動形態が得られるように主気筒のボア径,ストローク,クランク位相角の少なくとも1つと異なる値に設定されていることを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンの間のクランク位相角は180°に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンは上記第1クランクピンと同じクランク位相角に設定されていることを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項2において、点火順序については、第1気筒及び副気筒、第4気筒、第3気筒、第2気筒、第1気筒及び副気筒の順であり、点火間隔については第1気筒及び副気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第3気筒間が(180°)、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1気筒及び副気筒間が(180°)に設定されていることを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンの間のクランク位相角は180°に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンの上記第1クランクピンに対するクランク位相角Φは(180°≧Φ>θ)に設定されていることを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項4において、点火順序については、第1気筒、第4気筒、副気筒、第3気筒、第2気筒,第1気筒の順であり、点火間隔については第1気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜副気筒間が(θ+180°−Φ)、副気筒〜第3気筒間が(Φ−θ)、第3気筒〜第2気筒間が(180°+θ)、第2気筒〜第1気筒間が(180°)に設定されていることを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項1において、該エンジンはV型5気筒エンジンであり、上記主気筒は、互いにバンク角θのVバンクをなすように配置されたVバンク一側の第1,第2気筒とVバンク他側の第3,第4気筒であり、上記第1,第3気筒のピストンは共通の第1クランクピンに、第2,第4気筒のピストンは共通の第2クランクピンに接続され、第1,第2クランクピンは同一クランク位相角に設定され、上記副気筒は上記第1,第2気筒の間に1つ配置され、かつ該副気筒の副ピストンが連結された副クランクピンの上記第1,第2クランクピンに対するクランク位相角は180°に設定されていることを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項6において、点火順序については、第1気筒、副気筒、第4気筒、第2気筒、第3気筒、第1気筒の順であり、点火間隔については第1気筒〜副気筒間が(180°)、副気筒〜第4気筒間が(180°−θ)、第4気筒〜第2気筒間が(θ)、第2気筒〜第3気筒間が(360°−θ)、第3気筒〜第1気筒間が(θ)に設定されていることを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項2ないし7の何れかにおいて、上記第3,第4気筒の間にかつ上記副気筒と対向するようにバランサ機構を設けたことを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項2ないし8の何れかにおいて、上記第3,第4気筒の間に発電機を設けたことを特徴とする多気筒エンジン。
- Vバンク一側に第1,第2気筒を、他側に第3,第4気筒を配置し、第1,第3気筒のピストンを共通の第1クランクピンに連結し、第2,第4気筒のピストンを共通の第2クランクピンに連結した多気筒エンジンにおいて、上記Vバンク一側の第1気筒と第2気筒との間に副気筒を配置し、該副気筒のピストンを副クランクピンに連結し、上記Vバンク他側の第3気筒と第4気筒との間に発電機を配設し、該発電機を駆動する駆動ギヤをクランク軸の上記副クランクピンが接続された副クランクアーム部に形成したことを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項10において、上記発電機は、ブロック状のホルダに支持されており、該ホルダはクランクケースの底部に着脱可能に装着されていることを特徴とする多気筒エンジン。
- 請求項11において、上記発電機の回転軸と同軸をなすようにバランサ軸が配置され、上記ホルダの一側に発電機が、他側にバランサウェイトが配置されていることを特徴とする多気筒エンジン。
Priority Applications (1)
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JP2002259117A JP2004100459A (ja) | 2002-09-04 | 2002-09-04 | 多気筒エンジン |
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JP2002259117A JP2004100459A (ja) | 2002-09-04 | 2002-09-04 | 多気筒エンジン |
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JP2004100459A true JP2004100459A (ja) | 2004-04-02 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004100459A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012127271A (ja) * | 2010-12-15 | 2012-07-05 | Isuzu Motors Ltd | エンジンの振動低減装置 |
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2002
- 2002-09-04 JP JP2002259117A patent/JP2004100459A/ja active Pending
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JP2012127271A (ja) * | 2010-12-15 | 2012-07-05 | Isuzu Motors Ltd | エンジンの振動低減装置 |
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