JP2004100011A - 電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】予めめっき被膜の膜厚やSn存在比率などと導電性メディアの投入量や通電電流値との間の関係を求めて、これらの関係からめっき被膜の形成状態を制御することができる、電子部品の製造方法を得る。
【解決手段】電子部品の素体22と導電性メディア40とをめっき容器12に投入し、めっき液42中で通電して、素体22の焼付け電極上にめっき被膜を形成する。このとき、予め、導電性メディア40の投入量および通電電流値とめっき被膜の厚みなどとの関係を求めておき、これらの関係から、所望のめっき被膜の厚みなどを得るために必要な導電性メディア投入量および通電電流値を決定する。
【選択図】 図1
【解決手段】電子部品の素体22と導電性メディア40とをめっき容器12に投入し、めっき液42中で通電して、素体22の焼付け電極上にめっき被膜を形成する。このとき、予め、導電性メディア40の投入量および通電電流値とめっき被膜の厚みなどとの関係を求めておき、これらの関係から、所望のめっき被膜の厚みなどを得るために必要な導電性メディア投入量および通電電流値を決定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子部品の製造方法に関し、特に、たとえば振動めっきまたはバレルめっきによるめっき被膜を有する外部電極が形成された電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、積層セラミックコンデンサなどにおいては、誘電体セラミック層と内部電極層とが交互に積層された素体の外側面に、外部電極が形成される。この場合、素体の外側面にAgやCuなどの焼付け電極が形成され、その上にめっき被膜が形成される。
【0003】
このようなめっき被膜を形成するために、振動めっき法やバレルめっき法などが用いられる。たとえば、振動めっき法は、めっき容器中に焼付け電極が形成された素体と導電性メディアとを投入し、このめっき容器をめっき液中に入れて、素体上の焼付け電極にめっき被膜を形成するものである。このとき、めっき容器外に陽極が配置され、めっき容器内に陰極が配置される。そして、導電性メディアが陰極と素体上の焼付け電極とを電気的に接続し、焼付け電極上にめっき被膜を形成させるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、振動めっき法などによって焼付け電極にめっき皮膜を形成する場合、素体を投入するめっき容器の大きさと電子部品の材料や外形寸法から、素体の投入量が決定されている。また、必要により、電子部品の材料や外形寸法によって、用いられる導電性メディアの寸法や投入量も決定されている。そして、このように決定された素体の投入量、導電性メディアの寸法および投入量で、実際に通電させる電流値を制御して、めっき膜厚のばらつきが小さく、所望のめっき膜厚となる最適の電流値が決定されている。
【0005】
一方、外部電極にめっき皮膜を形成する場合、まず、Niなどの耐半田食われ性を有する材料からなるめっき被膜を形成し、その上にSn−PbやSnなどの半田付き性の良好なめっき被膜を形成するような、2層構造とするのが一般的である。そして、このような2層のめっき被膜を形成する際には、連続して行うのが効率的であるため、素体および導電性メディアを投入しためっき容器は、2種類のめっき被膜形成において、そのまま利用されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−70999号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、めっき処理を行うときに最適条件を模索する場合、たとえば、今までめっき処理していた電子部品と外形寸法の異なる電子部品にめっき皮膜を形成するとき、まず、素体の投入量を決定し、導電性メディアの寸法および投入量を決定し、それらが決定された上で、さらに最適な電流値を模索する必要がある。このように、基本的には電流値を変化させることだけで最適条件の設定を行おうとしていたため、逆に最適条件の設定に非常に時間を要することとなっていた。
【0008】
また、Niめっき被膜およびSn−Pbめっき被膜を形成した場合、電子部品の半田付き性が悪くなるという問題が生じることがある。この原因について実験を重ねた結果、Sn−Pbめっき被膜のSn存在比率が多くなっており、これによって半田付き性が劣化していることがわかった。また、Snの存在比率が多くなる要因については、導電性メディアの投入量に関係することがわかった。
【0009】
すなわち、導電性メディアの投入量が多くなると、めっき液中のPbイオンが導電性メディアに奪われやすくなり、電子部品の外部電極にはSn比率が多いめっき被膜が形成されていることがわかった。これは、SnイオンよりもPbイオンのほうが、鉄などを主成分とする導電性メディアへの濡れ性がよいためであると考えられる。また、めっき被膜の膜厚に関しては、Niめっき被膜については、導電性メディアの投入量が多くなると膜厚が厚くなり、Sn−Pbめっき被膜については、Niめっき被膜の膜厚の傾向とは逆に、導電性メディアの投入量が多くなると、膜厚が薄くなるという傾向がわかった。これらの傾向から、導電性メディアの投入量が、めっき被膜の膜厚やSn−Pbめっき被膜中のSn存在比率などを決定するための重要な条件になると考えられる。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、予め、めっき被膜の膜厚やSn存在比率などと導電性メディアの投入量や通電電流値との間の関係を求めて、これらの関係からめっき被膜の形成状態を制御することができる、電子部品の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、素体の外表面の電極にめっき皮膜を形成する工程を含む電子部品の製造方法において、振動めっきまたはバレルめっきにより外部電極にめっき被膜を形成する際、予め導電性メディアの投入量とめっき被膜の膜厚との関係を示す一次式を求め、その一次式から外部電極に形成されるめっき被膜の膜厚を制御するための導電性メディアの投入量を決定することを特徴とする、電子部品の製造方法である。
このような電子部品の製造方法において、一次式は、めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められ、この関係からめっき被膜の膜厚を制御するための通電電流値を決定することができる。
さらに、めっき被膜としてSn−Pbめっき被膜を含む電子部品の製造方法において、予めSn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量と導電性メディアの投入量との関係を示す一次式を求め、Snの量と導電性メディアの投入量との関係を示す一次式から、Sn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量を制御するための導電性メディアの投入量を決定することができる。
ここで、Sn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量と導電性メディアの投入量との関係を示す一次式は、めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められ、この関係からSn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量を制御するための通電電流値を決定することができる。
【0012】
予め、導電性メディアの投入量とめっき被膜の膜厚との関係を調べ、一次回帰計算によって、これらの関係を一次式として求めておくことにより、その一次式から、所望のめっき膜厚を得るための導電性メディアの投入量を知ることができる。したがって、このような一次式を用いて導電性メディアの投入量を決定することにより、ほぼ正確な厚みを有するめっき被膜が形成された電子部品を得ることができる。
一次式は、めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められることが好ましい。この場合、導電性メディアの投入量とともに、通電電流値も適正に設定することができ、より正確な膜厚を有するめっき被膜を得ることができる。
さらに、導電性メディアの投入量とSn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量との関係について調べ、一次回帰計算によって、これらの関係を一次式として求めておくことにより、その一次式から、所望のSn含有量を有するめっき被膜を形成することができる。したがって、このような一次式を用いて導電性メディアの投入量を決定することにより、ほぼ正確なSn含有量を有するSn−Pbめっき被膜が形成された電子部品を得ることができる。
導電性メディアの投入量とSn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量との関係を示す一次式についても、めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められることが好ましい。それにより、導電性メディアの投入量とともに、通電電流値も適正に設定することができ、Sn−Pbめっき被膜中のSn含有量をより正確に制御することができる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の電子部品の製造方法に用いられる振動めっき装置の一例を示す図解図である。振動めっき装置10は、めっき容器12を含む。めっき容器12は、たとえば上面開口のバスケット部14を含み、その中央で支持部材16で支持されている。バスケット部14には、内側底面に複数の陰極18が形成される。
【0015】
この振動めっき装置10を用いて、たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品の外部電極にめっきが施される。積層セラミックコンデンサ20は、図2に示すように、素体22を含む。素体22は、複数の誘電体セラミック層24と内部電極層26とが交互に積層された構造を有する。そして、対向する内部電極層26が、素体22の対向端面に交互に露出している。内部電極層26が露出した素体22の端面には、外部電極28が形成される。外部電極28は、たとえばAgやCuなどの焼付け電極30を含み、その上に、Niめっき被膜32やSn−Pbめっき被膜34などが形成される。Niめっき被膜32は、積層セラミックコンデンサ20をプリント基板などに実装する際に、半田食われを防止するために形成される。また、Sn−Pbめっき被膜34は、半田付き性を良好にするために形成される。
【0016】
図1に示すように、このような積層セラミックコンデンサ20を製造するために、焼付け電極30が形成された素体22が、めっき容器12内に投入される。さらに、めっき容器12内には、鋼球などで形成された導電性メディア40が投入される。なお、導電性メディア40の形状としては、必ずしも球状である必要はなく、たとえば素体22と同様の直方体状などのような異形のものであってもよい。また、球状の導電性メディア40と異形の導電性メディア40とが混合されていてもよい。
【0017】
めっき容器12に投入される導電性メディア40の径は、積層セラミックコンデンサ20の外形寸法によって決定される。つまり、導電性メディア40の径は、積層セラミックコンデンサ20において、めっきを施す対象である積層セラミックコンデンサ20の外形寸法とほぼ同等程度に設定される。
【0018】
素体22と導電性メディア40とが投入されためっき容器12は、めっき液42中に浸漬される。なお、めっき容器12の外側には、めっき液42に浸漬されるようにして、陽極(図示せず)が取り付けられる。そして、めっき容器12が、支持部16を介してバスケット部14の軸を中心として回転させられる。このような状態で、陰極18と陽極との間に電圧が印加されることにより、導電性メディア40を介して素体22に形成された焼付け電極30と陰極18とが電気的に接続され、素体22の焼付け電極30上にめっき被膜が形成される。
【0019】
このとき、導電性メディア40の投入量を変え、さらに通電する電流値を変えて、めっき膜厚、めっき膜厚のばらつき、めっき膜の組成などが検出される。詳述すると、たとえば、1.0×0.5×0.5(mm)の積層セラミックコンデンサ用の素体22を投入する場合、導電性メディア40の投入量を素体22の投入量と同数程度から数パターン投入量を変えて、それぞれの導電性メディア40の投入量について、複数パターンの通電電流値でのめっき膜厚、めっき膜厚のばらつき、めっき被膜の組成が測定される。なお、導電性メディア40の投入量としては、個数ではなく、体積(cc)などで投入量を決めてもよい。
【0020】
そして、これらの関係から、図3に示すように、導電性メディア40の投入量とNiめっき膜厚との関係が求められる。また、図4に示すように、導電性メディア40の投入量とSn−Pbめっき膜厚との関係が求められる。さらに、図5に示すように、導電性メディア40の投入量とSn−Pb被膜中のSn存在比率が求められる。これらの関係は、実測値から一次回帰計算によって求められ、図3〜図5からわかるように、各通電電流値に関して、ほぼ直線状の一次式で示される。
【0021】
これらの関係を把握しておくことにより、めっき処理時に最適条件を探す必要がなくなり、所望のめっき被膜の厚みを得たり、Sn−Pbめっき被膜中のSn含有量を所定の値とするために必要な導電性メディア40の投入量と通電電流値を決定することができる。さらに、各電子部品について、めっき容器12への投入量ごとにこれらの関係を求めておくことにより、めっき処理時に最適の導電性メディア40の投入量と通電電流値とを決定することができ、所望のめっき被膜を形成することができる。
【0022】
なお、上述の例では、積層セラミックコンデンサ用の素体に形成された焼付け電極にNiめっき被膜およびSn−Pbめっき被膜を形成する場合について説明したが、チップ型のインダクタやLC部品などのように、他の電子部品についても、めっき被膜を有する外部電極を形成する場合に、この方法を適用することができる。
【0023】
また、上述の例では、振動めっき装置を例にあげて説明したが、バレルめっき装置を用いる場合にも、この方法を適用することができる。なお、めっき膜厚ばらつきが生じやすい振動めっき装置を用いる場合に特に有効である。
【0024】
【発明の効果】この発明によれば、予め、電子部品の外部電極に形成されるめっき被膜の厚みや含有成分の量と、めっき容器に投入される導電性メディアの量および通電電流値との関係を一次式として求めておくことにより、この一次式から電子部品のめっき処理時に最適条件を決定することができ、容易に所望のめっき被膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電子部品の製造方法に用いられる振動めっき装置の一例を示す図解図である。
【図2】この発明の電子部品の製造方法によって製造される電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサの構造を示す図解図である。
【図3】導電性メディア投入量および通電電流値と素体上に形成されるNiめっき被膜の厚みとの関係を示すグラフである。
【図4】導電性メディア投入量および通電電流値と素体上に形成されるSn−Pbめっき被膜の厚みとの関係を示すグラフである。
【図5】導電性メディア投入量および通電電流値と素体上に形成されるSn−Pbめっき被膜に含まれるSn存在比率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 振動めっき装置
12 めっき容器
20 積層セラミックコンデンサ
22 素体
28 外部電極
30 焼付け電極
32 Niめっき被膜
34 Sn−Pbめっき被膜
40 導電性メディア
42 めっき液
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子部品の製造方法に関し、特に、たとえば振動めっきまたはバレルめっきによるめっき被膜を有する外部電極が形成された電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、積層セラミックコンデンサなどにおいては、誘電体セラミック層と内部電極層とが交互に積層された素体の外側面に、外部電極が形成される。この場合、素体の外側面にAgやCuなどの焼付け電極が形成され、その上にめっき被膜が形成される。
【0003】
このようなめっき被膜を形成するために、振動めっき法やバレルめっき法などが用いられる。たとえば、振動めっき法は、めっき容器中に焼付け電極が形成された素体と導電性メディアとを投入し、このめっき容器をめっき液中に入れて、素体上の焼付け電極にめっき被膜を形成するものである。このとき、めっき容器外に陽極が配置され、めっき容器内に陰極が配置される。そして、導電性メディアが陰極と素体上の焼付け電極とを電気的に接続し、焼付け電極上にめっき被膜を形成させるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、振動めっき法などによって焼付け電極にめっき皮膜を形成する場合、素体を投入するめっき容器の大きさと電子部品の材料や外形寸法から、素体の投入量が決定されている。また、必要により、電子部品の材料や外形寸法によって、用いられる導電性メディアの寸法や投入量も決定されている。そして、このように決定された素体の投入量、導電性メディアの寸法および投入量で、実際に通電させる電流値を制御して、めっき膜厚のばらつきが小さく、所望のめっき膜厚となる最適の電流値が決定されている。
【0005】
一方、外部電極にめっき皮膜を形成する場合、まず、Niなどの耐半田食われ性を有する材料からなるめっき被膜を形成し、その上にSn−PbやSnなどの半田付き性の良好なめっき被膜を形成するような、2層構造とするのが一般的である。そして、このような2層のめっき被膜を形成する際には、連続して行うのが効率的であるため、素体および導電性メディアを投入しためっき容器は、2種類のめっき被膜形成において、そのまま利用されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−70999号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、めっき処理を行うときに最適条件を模索する場合、たとえば、今までめっき処理していた電子部品と外形寸法の異なる電子部品にめっき皮膜を形成するとき、まず、素体の投入量を決定し、導電性メディアの寸法および投入量を決定し、それらが決定された上で、さらに最適な電流値を模索する必要がある。このように、基本的には電流値を変化させることだけで最適条件の設定を行おうとしていたため、逆に最適条件の設定に非常に時間を要することとなっていた。
【0008】
また、Niめっき被膜およびSn−Pbめっき被膜を形成した場合、電子部品の半田付き性が悪くなるという問題が生じることがある。この原因について実験を重ねた結果、Sn−Pbめっき被膜のSn存在比率が多くなっており、これによって半田付き性が劣化していることがわかった。また、Snの存在比率が多くなる要因については、導電性メディアの投入量に関係することがわかった。
【0009】
すなわち、導電性メディアの投入量が多くなると、めっき液中のPbイオンが導電性メディアに奪われやすくなり、電子部品の外部電極にはSn比率が多いめっき被膜が形成されていることがわかった。これは、SnイオンよりもPbイオンのほうが、鉄などを主成分とする導電性メディアへの濡れ性がよいためであると考えられる。また、めっき被膜の膜厚に関しては、Niめっき被膜については、導電性メディアの投入量が多くなると膜厚が厚くなり、Sn−Pbめっき被膜については、Niめっき被膜の膜厚の傾向とは逆に、導電性メディアの投入量が多くなると、膜厚が薄くなるという傾向がわかった。これらの傾向から、導電性メディアの投入量が、めっき被膜の膜厚やSn−Pbめっき被膜中のSn存在比率などを決定するための重要な条件になると考えられる。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、予め、めっき被膜の膜厚やSn存在比率などと導電性メディアの投入量や通電電流値との間の関係を求めて、これらの関係からめっき被膜の形成状態を制御することができる、電子部品の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、素体の外表面の電極にめっき皮膜を形成する工程を含む電子部品の製造方法において、振動めっきまたはバレルめっきにより外部電極にめっき被膜を形成する際、予め導電性メディアの投入量とめっき被膜の膜厚との関係を示す一次式を求め、その一次式から外部電極に形成されるめっき被膜の膜厚を制御するための導電性メディアの投入量を決定することを特徴とする、電子部品の製造方法である。
このような電子部品の製造方法において、一次式は、めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められ、この関係からめっき被膜の膜厚を制御するための通電電流値を決定することができる。
さらに、めっき被膜としてSn−Pbめっき被膜を含む電子部品の製造方法において、予めSn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量と導電性メディアの投入量との関係を示す一次式を求め、Snの量と導電性メディアの投入量との関係を示す一次式から、Sn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量を制御するための導電性メディアの投入量を決定することができる。
ここで、Sn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量と導電性メディアの投入量との関係を示す一次式は、めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められ、この関係からSn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量を制御するための通電電流値を決定することができる。
【0012】
予め、導電性メディアの投入量とめっき被膜の膜厚との関係を調べ、一次回帰計算によって、これらの関係を一次式として求めておくことにより、その一次式から、所望のめっき膜厚を得るための導電性メディアの投入量を知ることができる。したがって、このような一次式を用いて導電性メディアの投入量を決定することにより、ほぼ正確な厚みを有するめっき被膜が形成された電子部品を得ることができる。
一次式は、めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められることが好ましい。この場合、導電性メディアの投入量とともに、通電電流値も適正に設定することができ、より正確な膜厚を有するめっき被膜を得ることができる。
さらに、導電性メディアの投入量とSn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量との関係について調べ、一次回帰計算によって、これらの関係を一次式として求めておくことにより、その一次式から、所望のSn含有量を有するめっき被膜を形成することができる。したがって、このような一次式を用いて導電性メディアの投入量を決定することにより、ほぼ正確なSn含有量を有するSn−Pbめっき被膜が形成された電子部品を得ることができる。
導電性メディアの投入量とSn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量との関係を示す一次式についても、めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められることが好ましい。それにより、導電性メディアの投入量とともに、通電電流値も適正に設定することができ、Sn−Pbめっき被膜中のSn含有量をより正確に制御することができる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の電子部品の製造方法に用いられる振動めっき装置の一例を示す図解図である。振動めっき装置10は、めっき容器12を含む。めっき容器12は、たとえば上面開口のバスケット部14を含み、その中央で支持部材16で支持されている。バスケット部14には、内側底面に複数の陰極18が形成される。
【0015】
この振動めっき装置10を用いて、たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品の外部電極にめっきが施される。積層セラミックコンデンサ20は、図2に示すように、素体22を含む。素体22は、複数の誘電体セラミック層24と内部電極層26とが交互に積層された構造を有する。そして、対向する内部電極層26が、素体22の対向端面に交互に露出している。内部電極層26が露出した素体22の端面には、外部電極28が形成される。外部電極28は、たとえばAgやCuなどの焼付け電極30を含み、その上に、Niめっき被膜32やSn−Pbめっき被膜34などが形成される。Niめっき被膜32は、積層セラミックコンデンサ20をプリント基板などに実装する際に、半田食われを防止するために形成される。また、Sn−Pbめっき被膜34は、半田付き性を良好にするために形成される。
【0016】
図1に示すように、このような積層セラミックコンデンサ20を製造するために、焼付け電極30が形成された素体22が、めっき容器12内に投入される。さらに、めっき容器12内には、鋼球などで形成された導電性メディア40が投入される。なお、導電性メディア40の形状としては、必ずしも球状である必要はなく、たとえば素体22と同様の直方体状などのような異形のものであってもよい。また、球状の導電性メディア40と異形の導電性メディア40とが混合されていてもよい。
【0017】
めっき容器12に投入される導電性メディア40の径は、積層セラミックコンデンサ20の外形寸法によって決定される。つまり、導電性メディア40の径は、積層セラミックコンデンサ20において、めっきを施す対象である積層セラミックコンデンサ20の外形寸法とほぼ同等程度に設定される。
【0018】
素体22と導電性メディア40とが投入されためっき容器12は、めっき液42中に浸漬される。なお、めっき容器12の外側には、めっき液42に浸漬されるようにして、陽極(図示せず)が取り付けられる。そして、めっき容器12が、支持部16を介してバスケット部14の軸を中心として回転させられる。このような状態で、陰極18と陽極との間に電圧が印加されることにより、導電性メディア40を介して素体22に形成された焼付け電極30と陰極18とが電気的に接続され、素体22の焼付け電極30上にめっき被膜が形成される。
【0019】
このとき、導電性メディア40の投入量を変え、さらに通電する電流値を変えて、めっき膜厚、めっき膜厚のばらつき、めっき膜の組成などが検出される。詳述すると、たとえば、1.0×0.5×0.5(mm)の積層セラミックコンデンサ用の素体22を投入する場合、導電性メディア40の投入量を素体22の投入量と同数程度から数パターン投入量を変えて、それぞれの導電性メディア40の投入量について、複数パターンの通電電流値でのめっき膜厚、めっき膜厚のばらつき、めっき被膜の組成が測定される。なお、導電性メディア40の投入量としては、個数ではなく、体積(cc)などで投入量を決めてもよい。
【0020】
そして、これらの関係から、図3に示すように、導電性メディア40の投入量とNiめっき膜厚との関係が求められる。また、図4に示すように、導電性メディア40の投入量とSn−Pbめっき膜厚との関係が求められる。さらに、図5に示すように、導電性メディア40の投入量とSn−Pb被膜中のSn存在比率が求められる。これらの関係は、実測値から一次回帰計算によって求められ、図3〜図5からわかるように、各通電電流値に関して、ほぼ直線状の一次式で示される。
【0021】
これらの関係を把握しておくことにより、めっき処理時に最適条件を探す必要がなくなり、所望のめっき被膜の厚みを得たり、Sn−Pbめっき被膜中のSn含有量を所定の値とするために必要な導電性メディア40の投入量と通電電流値を決定することができる。さらに、各電子部品について、めっき容器12への投入量ごとにこれらの関係を求めておくことにより、めっき処理時に最適の導電性メディア40の投入量と通電電流値とを決定することができ、所望のめっき被膜を形成することができる。
【0022】
なお、上述の例では、積層セラミックコンデンサ用の素体に形成された焼付け電極にNiめっき被膜およびSn−Pbめっき被膜を形成する場合について説明したが、チップ型のインダクタやLC部品などのように、他の電子部品についても、めっき被膜を有する外部電極を形成する場合に、この方法を適用することができる。
【0023】
また、上述の例では、振動めっき装置を例にあげて説明したが、バレルめっき装置を用いる場合にも、この方法を適用することができる。なお、めっき膜厚ばらつきが生じやすい振動めっき装置を用いる場合に特に有効である。
【0024】
【発明の効果】この発明によれば、予め、電子部品の外部電極に形成されるめっき被膜の厚みや含有成分の量と、めっき容器に投入される導電性メディアの量および通電電流値との関係を一次式として求めておくことにより、この一次式から電子部品のめっき処理時に最適条件を決定することができ、容易に所望のめっき被膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電子部品の製造方法に用いられる振動めっき装置の一例を示す図解図である。
【図2】この発明の電子部品の製造方法によって製造される電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサの構造を示す図解図である。
【図3】導電性メディア投入量および通電電流値と素体上に形成されるNiめっき被膜の厚みとの関係を示すグラフである。
【図4】導電性メディア投入量および通電電流値と素体上に形成されるSn−Pbめっき被膜の厚みとの関係を示すグラフである。
【図5】導電性メディア投入量および通電電流値と素体上に形成されるSn−Pbめっき被膜に含まれるSn存在比率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 振動めっき装置
12 めっき容器
20 積層セラミックコンデンサ
22 素体
28 外部電極
30 焼付け電極
32 Niめっき被膜
34 Sn−Pbめっき被膜
40 導電性メディア
42 めっき液
Claims (4)
- 素体の外表面の電極にめっき皮膜を形成する工程を含む電子部品の製造方法において、
振動めっきまたはバレルめっきにより前記外部電極にめっき被膜を形成する際、予め導電性メディアの投入量と前記めっき被膜の膜厚との関係を示す一次式を求め、前記一次式から前記外部電極に形成される前記めっき被膜の膜厚を制御するための前記導電性メディアの投入量を決定することを特徴とする、電子部品の製造方法。 - 前記一次式は、前記めっき被膜形成時における複数の通電時における複数の通電電流値に対応して求められ、この関係から前記めっき被膜の膜厚を制御するための通電電流値を決定することを特徴とする、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 前記めっき被膜としてSn−Pbめっき被膜を含む電子部品の製造方法において、
予め前記Sn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量と前記導電性メディアの投入量との関係を示す一次式を求め、Snの量と前記導電性メディアの投入量との関係を示す一次式から、前記Sn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量を制御するための前記導電性メディアの投入量を決定することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電子部品の製造方法。 - 前記Sn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量と前記導電性メディアの投入量との関係を示す一次式は、前記めっき被膜形成時における複数の通電電流値に対応して求められ、この関係から前記Sn−Pbめっき被膜に含まれるSnの量を制御するための通電電流値を決定することを特徴とする、請求項3に記載の電子部品の製造方法。
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