JP2004099768A - ホットメルト接着剤の製造方法 - Google Patents

ホットメルト接着剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】曳糸性が小さく、したがって高速塗工性に優れるホットメルト接着剤を短時間で効率的かつ安定的に製造することができるホットメルト接着剤の製造方法を提供する。
【解決手段】ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび上記ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂が含有されてなるホットメルト接着剤の製造方法であって、上記粘着性付与樹脂および/またはワックスと上記ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂とを完全溶融混練してマスターバッチを作製する工程と、ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび上記マスターバッチを完全溶融混練する工程との少なくとも2工程を含むことを特徴とするホットメルト接着剤の製造方法、ベース樹脂がエチレン系共重合体であることを特徴とする上記ホットメルト接着剤の製造方法、および、ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂が低密度ポリエチレンであることを特徴とする上記ホットメルト接着剤の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホットメルト接着剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットメルト接着剤は、無溶剤であり、瞬間接着、高速接着が可能であるという接着工程および経済面での利点を備えているため、包装、製本、木工等の分野を主体として大量に使用されている。上記ホットメルト接着剤のベース樹脂(主成分)としては、接着性、柔軟性、加熱安定性、価格等のバランスに優れることから、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン系共重合体が汎用されている。また、ホットメルト接着剤は、これらのベース樹脂に対して、粘接着性向上剤としての粘着性付与樹脂や機能改質剤としてのワックス等が添加されてなる。
【0003】
上記各成分のうち、ベース樹脂は、ホットメルト接着剤にバルク特性を付与するための凝集力を発現するものであり、強靱で引張応力や圧縮応力に対して強い性質を有している。また、粘着性付与樹脂は、ホットメルト接着剤に被着体に対する濡れ、浸透、タック(粘着性)等を付与して、粘接着性を向上させる機能を有する。上記粘着性付与樹脂は、一般に無定形でベース樹脂よりも高いガラス転移温度(Tg)を有しているため、ホットメルト接着剤の耐熱性を向上させる機能を有するものでもある。さらに、ワックスは、ホットメルト接着剤の溶融粘度を低下させて、塗工性を向上させたり、ホットメルト接着剤に速固化性を付与して、高速接着を可能にする機能を有する。上記各成分の機能を効果的に発現させるためには、これら各成分が溶融状態において相溶していることが好ましい。
【0004】
上記ホットメルト接着剤は高温で塗工する必要があるため、塗工時にはホットメルトアプリケーターと言われる専用の塗工装置が用いられる。このホットメルトアプリケーターは、通常、ホットメルト接着剤を120〜190℃程度まで加熱して、圧縮空気やギヤポンプを用いることにより、ノズルの先端から間欠的に吐出(ショット)して、被着体に対する塗工を行う。その際、一般的に、ホットメルト接着剤を吐出するノズルの先端から被着体の間で吐出毎にホットメルト接着剤が有する曳糸性に起因する糸状物が発生する。この糸状物が発生すると、様々な使用過程において、周辺装置や被着体を汚染したり、センサーの誤作動や印字ミス等を惹き起こすという問題点が発生する。
【0005】
ホットメルト接着剤の上記曳糸性を抑制する方法として、例えば、特開平11−236543号公報では、エチレン−不飽和エステル共重合体、粘着性付与樹脂およびワックスからなるホットメルト接着剤において、上記ホットメルトマトリックス中に微粒化分散状態で存在する低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)を含有することを特徴とするホットメルト接着剤が開示されている。
【0006】
上記公報に開示されているホットメルト接着剤は、低密度ポリエチレンを微粒化分散状態で含有させることにより、発生する糸状物の長さを短くして上記問題点の発生を抑制しようとするものであるが、低密度ポリエチレンの微粒化分散の程度がはっきりしないため、ホットメルト接着剤の配合組成によっては曳糸性に大きなばらつきを生じる恐れがあり、従来の製造設備を用いて曳糸性の少ないホットメルト接着剤を効率的かつ安定的に製造することは困難であるという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、曳糸性が小さく、したがって高速塗工性に優れるホットメルト接着剤を短時間で効率的かつ安定的に製造することができるホットメルト接着剤の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)によるホットメルト接着剤の製造方法は、ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび上記ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂が含有されてなるホットメルト接着剤の製造方法であって、上記粘着性付与樹脂および/またはワックスと上記ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂とを完全溶融混練してマスターバッチを作製する工程と、ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび上記マスターバッチを完全溶融混練する工程との少なくとも2工程を含むことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によるホットメルト接着剤の製造方法は、上記請求項1に記載のホットメルト接着剤の製造方法において、ベース樹脂がエチレン系共重合体であることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明によるホットメルト接着剤の製造方法は、上記請求項2に記載のホットメルト接着剤の製造方法において、ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂が低密度ポリエチレンであることを特徴とする。
【0011】
本発明のホットメルト接着剤の製造方法(以下、単に「製造方法」と略記する)によるホットメルト接着剤に用いられるベース樹脂(ベースポリマー)としては、従来からホットメルト接着剤に一般的に用いられている各種ベース樹脂で良く、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(EnBA)などのエチレン系共重合体;アモルファスポリα−オレフィン(APAO)、アタクチックポリプロピレン(APP)、変性ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;飽和ポリエステル系樹脂;ウレタン系樹脂;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などの熱可塑性ブロック共重合体等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも、塗工性、接着性、柔軟性、加熱安定性、価格等のバランスに優れるホットメルト接着剤を得られやすいことから、上記エチレン系共重合体がより好適に用いられる。これらのベース樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0012】
なお、上記変性ポリエチレンとは、APAOやAPPのような従来の製造方法で製造されたポリオレフィン系樹脂ではなく、例えば特開平10−72574号公報に記載されているような、シングルサイトメタロセン触媒を用いて製造された、エチレンと炭素原子数が3〜12個の少なくとも1種類の他のα−オレフィンとからなる直鎖状共重合体のことである。
【0013】
本発明の製造方法によるホットメルト接着剤に用いられる粘着性付与樹脂としては、従来からホットメルト接着剤に一般的に用いられている各種粘着性付与樹脂で良く、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも、上記ベース樹脂に対して優れた相溶性を有する粘着性付与樹脂がより好適に用いられる。これらの粘着性付与樹脂は、無水マレイン酸やマレイン酸エステル等でグラフト変性されたものであっても良い。また、これらの粘着性付与樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0014】
脂肪族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、1−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、ピペリジンなどのC4もしくはC5のモノオレフィンまたはジオレフィンを主成分とする重合体等が挙げられ、好適に用いられる。これらの脂肪族系炭化水素樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0015】
脂環族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、スペントC4留分中もしくはスペントC5留分中のジエン成分を環化二量体化後、重合させた樹脂、シクロペンタジエンなどの環化モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂等が挙げられ、好適に用いられる。これらの脂環族系炭化水素樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】
芳香族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレンなどのC9もしくはC10のビニル芳香族系炭化水素を主成分とする重合体等が挙げられ、好適に用いられる。これらの芳香族系炭化水素樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0017】
ポリテルペン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン−フェノール共重合体、α−ピネン−フェノール共重合体等が挙げられる。これらのポリテルペン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0018】
ロジン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油などのロジンや、水添ロジン、不均化ロジン、二量化ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステルなどの変性ロジン等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも、熱安定性や耐候性に優れることから、ロジンエステルや水添ロジンエステルがより好適に用いられる。上記ロジンエステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ロジンとエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどとのエステル等が挙げられる。これらのロジン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0019】
スチレン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエンなどの重合体等が挙げられ、好適に用いられる。これらのスチレン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0020】
本発明の製造方法によるホットメルト接着剤に用いられるワックスとしては、従来からホットメルト接着剤に一般的に用いられている各種ワックスで良く、特に限定されるものではないが、例えば、フィッシャートロプシュワックスやポリエチレンワックスなどの合成系ワックスや、パラフィンワックス、精製パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然系ワックス等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも、ホットメルト接着剤の溶融粘度を低下させて、塗工性を向上させたり、ホットメルト接着剤に速固化性を付与して、高速接着を可能にする機能等に優れることから、融点が60〜120℃の範囲にあるワックスがより好適に用いられる。これらのワックスは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0021】
本発明の製造方法によるホットメルト接着剤に用いられるベース樹脂に対して非相溶性の樹脂(以下、単に「非相溶性樹脂」と略記する)としては、前記ベース樹脂に対して非相溶性であって、ホットメルト接着剤中に均一に分散しうる樹脂であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、ベース樹脂に対して非相溶性であって、ホットメルト接着剤中に均一に分散しうる各種樹脂(各種ポリマー)が挙げられ、好適に用いられる。これらの非相溶性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0022】
上記非相溶性樹脂は、ホットメルト接着剤中に微量添加され、均一に分散することにより、ホットメルト接着剤の曳糸性を効果的に低減させる機能を発現する。もし上記樹脂がベース樹脂に対して相溶性であると、ホットメルト接着剤中に均一に溶融してしまうので、ホットメルト接着剤の曳糸性を低減させることができなくなる。
【0023】
ベース樹脂と上記非相溶性樹脂との組み合わせの具体例を挙げると、特に限定されるものではないが、例えば、ベース樹脂がエチレン系共重合体である場合、非相溶性樹脂としては低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0024】
なお、上記低密度ポリエチレンとは、メルトインデックスが3〜100、融点が100〜115℃、密度が0.91〜0.93の物性を有するポリエチレンのことである。
【0025】
本発明の製造方法は、前記粘着性付与樹脂および/またはワックスと上記非相溶性樹脂とを完全溶融混練してマスターバッチを作製する工程と、ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび上記マスターバッチを完全溶融混練する工程との少なくとも2工程からなる。
【0026】
例えばバタフライ攪拌羽根やヘリカルリボン攪拌羽根のような通常のホットメルト製造設備を用いて、前記非相溶性樹脂をホットメルト接着剤中に均一に分散させることは困難であり、非常に長時間を要するが、本発明の製造方法においては、予め非相溶性樹脂の上記マスターバッチを作製した後、このマスターバッチとベース樹脂、粘着性付与樹脂およびワックスとを完全溶融混練してホットメルト接着剤とする方法、いわゆるマスターバッチ法を採るので、ホットメルト接着剤中に非相溶性樹脂を容易に短時間で均一に分散させることができ、非相溶性樹脂のホットメルト接着剤に対する曳糸性低減効果はより優れたものとなる。
【0027】
上記マスターバッチを作製する際に非相溶性樹脂と混練される成分(以下、「混練媒体」と記す)としては、粘着性付与樹脂またはワックスのいずれか1種類が用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0028】
非相溶性樹脂が例えば低密度ポリエチレンや酢酸ビニル含有量の高いEVA等である場合、混練媒体としては、上記非相溶性樹脂を十分に溶かし込めることから、粘着性付与樹脂やワックスを用いることが好ましい。
【0029】
上記マスターバッチ法の具体例を挙げると、特に限定されるものではないが、例えば、ホットメルト接着剤中に添加する非相溶性樹脂の添加量を1重量%とする場合、非相溶性樹脂の含有量が50重量%(重量比で、非相溶性樹脂/混練媒体=1/1)となるように非相溶性樹脂と混練媒体とを完全溶融混練して、予めマスターバッチを作製した後、このマスターバッチとベース樹脂およびマスターバッチ中に含有される量を除く残量の粘着性付与樹脂および/またはワックスとをマスターバッチの添加量が2重量%となるように完全溶融混練することにより、所望のホットメルト接着剤を得ることができる。
【0030】
マスターバッチ中における非相溶性樹脂の含有量は、50重量%に限定されるものではなく、50重量%を超える量であっても良いし、50重量%未満の量であっても良いが、マスターバッチとしての機能をより十分に発揮させるためには、50重量%以上であることが好ましい。
【0031】
本発明の製造方法は、上述したマスターバッチ法を採るので、ホットメルト接着剤の曳糸性を効果的に低減させる機能を有する非相溶性樹脂をホットメルト接着剤中に容易に短時間で均一に分散させることができる。したがって、非相溶性樹脂をホットメルト接着剤中に通常の方法(非マスターバッチ法)で均一に分散させる場合に比較して、ホットメルト接着剤の製造時間が著しく短縮されるとともに、得られるホットメルト接着剤は曳糸性が著しく低減されたものとなる。
【0032】
本発明の製造方法によるホットメルト接着剤には、必須成分であるベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび非相溶性樹脂以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、粘度調整剤、揺変性付与剤、軟化剤(可塑剤)、プロセスオイル、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。なお、軟化剤(可塑剤)やプロセスオイルは、前記非相溶性樹脂の均一な分散をより容易に行うためにも用いられる。
【0033】
【作用】
本発明の製造方法は、ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよびホットメルト接着剤の曳糸性を効果的に低減させる機能を有する非相溶性樹脂が含有されてなるホットメルト接着剤の製造方法であって、上記粘着性付与樹脂および/またはワックスと上記非相溶性樹脂とを完全溶融混合してマスターバッチを作製する工程と、ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび上記マスターバッチを完全溶融混合する工程との少なくとも2工程を含むので、すなわちマスターバッチ法を採るので、上記非相溶性樹脂をホットメルト接着剤中に容易に短時間で均一に分散させることが可能であって、曳糸性が小さく、したがって高速塗工性に優れるホットメルト接着剤を効率的かつ安定的に製造することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
【0035】
(実施例1)
非相溶性樹脂として低密度ポリエチレン(商品名「ミラソン16P」、メルトインデックス:3.7、三井化学社製)100部および混練媒体としてロジンエステル樹脂(商品名「ネオトール125H」、軟化点:125℃、ハリマ化成社製)100部を、160℃に温度調節された万能混合攪拌機(型式「25AM型」、撹拌具:フック、ダルトン社製)中に順次投入し、完全に加熱溶融した後、回転数60rpmで1時間攪拌混練して、マスターバッチ(A)を作製した。
【0036】
次いで、ベース樹脂としてEVA(商品名「エバフレックス210」、酢酸ビニル含有量:28%、メルトインデックス:400、三井デュポンポリケミカル社製)100部、粘着性付与樹脂としてロジンエステル樹脂「ネオトール125H」98.75部、ワックスとして精製パラフィンワックス(商品名「パラフィンワックスHNP−9」、融点:75℃、日本精蝋社製)50部、上記マスターバッチ(A)2.5部および酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.8部を、160℃に温度調節されたホモジナイザー用攪拌機中に順次投入し、完全に加熱溶融した後、回転数60rpmで攪拌混練して、ホットメルト接着剤を製造した。
【0037】
(実施例2)
非相溶性樹脂のマスターバッチの配合組成を、非相溶性樹脂としての低密度ポリエチレン「ミラソン16P」100部および混練媒体としての精製パラフィンワックス「パラフィンワックスHNP−9」100部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、マスターバッチ(B)を作製した。次いで、ホットメルト接着剤の配合組成を、ベース樹脂としてのEVA「エバフレックス210」100部、粘着性付与樹脂としてのロジンエステル樹脂「ネオトール125H」100部、ワックスとしての精製パラフィンワックス「パラフィンワックスHNP−9」48.75部、上記マスターバッチ(B)2.5部および酸化防止剤「イルガノックス1010」0.8部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ホットメルト接着剤を製造した。
【0038】
(実施例3)
非相溶性樹脂のマスターバッチとして実施例2で作製したマスターバッチ(B)を用い、ホットメルト接着剤の配合組成を、ベース樹脂としてのEVA(商品名「エバフレックス220」、酢酸ビニル含有量:28%、メルトインデックス:800、三井デュポンポリケミカル社製)100部、粘着性付与樹脂としてのロジンエステル樹脂「ネオトール125H」50部、同じく粘着性付与樹脂としてのテルペンスチレン樹脂(商品名「YSレジンTO−125」、軟化点:125℃、ヤスハラケミカル社製)50部、ワックスとしての精製パラフィンワックス「パラフィンワックスHNP−9」48.75部、上記マスターバッチ(B)2.5部および酸化防止剤「イルガノックス1010」0.8部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ホットメルト接着剤を製造した。
【0039】
(実施例4)
非相溶性樹脂のマスターバッチの配合組成を、非相溶性樹脂としての低密度ポリエチレン(商品名「ミラソン68」、メルトインデックス:23、三井化学社製)100部および混練媒体としてのロジンエステル樹脂「ネオトール125H」100部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、マスターバッチ(C)を作製した。次いで、ホットメルト接着剤の配合組成を、ベース樹脂としてのEVA「エバフレックス210」100部、粘着性付与樹脂としてのロジンエステル樹脂「ネオトール125H」98.75部、ワックスとしての精製パラフィンワックス「パラフィンワックスHNP−9」50部、上記マスターバッチ(C)2.5部および酸化防止剤「イルガノックス1010」0.8部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ホットメルト接着剤を製造した。
【0040】
(比較例1)
非相溶性樹脂のマスターバッチの配合組成を、非相溶性樹脂としての低密度ポリエチレン「ミラソン16P」100部および混練媒体としてのEVA「エバフレックス210」100部とし、かつ、160℃における攪拌混練時間を3時間としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、マスターバッチ(D)を作製した。次いで、ホットメルト接着剤の配合組成を、ベース樹脂としてのEVA「エバフレックス210」98.75部、粘着性付与樹脂としてのロジンエステル樹脂「ネオトール125H」100部、ワックスとしての精製パラフィンワックス「パラフィンワックスHNP−9」50部、上記マスターバッチ(D)2.5部および酸化防止剤「イルガノックス1010」0.8部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ホットメルト接着剤を製造した。
【0041】
実施例1〜実施例4および比較例1で用いたマスターバッチ(A)〜マスターバッチ(D)の配合組成をまとめて表1に示した。
【0042】
(比較例2)
非相溶性樹脂のマスターバッチを作製することなく、ホットメルト接着剤の配合組成を、ベース樹脂としてのEVA「エバフレックス210」100部、粘着性付与樹脂としてのロジンエステル樹脂「ネオトール125H」100部、ワックスとしての精製パラフィンワックス「パラフィンワックスHNP−9」50部、非相溶性樹脂としての低密度ポリエチレン「ミラソン16P」1.25部および酸化防止剤「イルガノックス1010」0.8部としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ホットメルト接着剤を製造した。
【0043】
実施例1〜実施例4、ならびに、比較例1および比較例2のホットメルト接着剤の製造過程において、所定時間毎にホットメルト接着剤をサンプリングし、下記評価方法によりホットメルト接着剤の曳糸性を評価した。その結果は表2に示すとおりであった。
【0044】
〔曳糸性の評価方法〕
図1に示すように、ホットメルトガンの先端から距離20cmの所に被着体を垂直に配置し、その間に落下物を捕獲するための板状の受け皿を敷いておく。20℃の無風雰囲気下、下記条件で、交流電源シーケンサーを用いて、サンプリングしたホットメルト接着剤を600ショット/10分(1ショット/秒)の条件で間欠塗工し、受け皿上に溜まった落下物の形状を目視で観察した。落下物が糸状であれば曳糸性が大きく、落下物が瞬時に粒状になれば曳糸性が小さいと判定し、落下物が瞬時に粒状になる最短混練時間を確認した。
ホットメルトアプリケーター:商品名「ノードソン3400」(ピストンポンプ式、ノードソン社製)
ホットメルトガン:H−200ガン(ノズル径:18/1000インチ、ノズル:3オリフィスノズル)
吐出エアー圧力:294kPa
タンク、ホースおよびガンの温度:175℃
【0045】
【表1】
Figure 2004099768
【0046】
【表2】
Figure 2004099768
【0047】
表2から明らかなように、本発明の実施例1〜実施例4の製造方法によれば、いずれも完全溶融から20分以内の短時間で曳糸性の小さいホットメルト接着剤を製造することができた。
【0048】
これに対し、非相溶性成分(低密度ポリエチレン「ミラソン16P」)をマスターバッチ化する際の混練媒体としてベース樹脂(EVA「エバフレックス210」)を用いた比較例1の製造方法においては、曳糸性の小さいホットメルト接着剤を製造するのに完全溶融から2時間もの長時間を要した。また、非相溶性樹脂(低密度ポリエチレン「ミラソン16P」)をマスターバッチ化することなく、そのまま添加した比較例2の製造方法においては、曳糸性の小さいホットメルト接着剤を製造するのに4時間もの極端な長時間を要した。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の製造方法によれば、曳糸性が小さく、したがって高速塗工性に優れるホットメルト接着剤を短時間で効率的かつ安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】曳糸性の評価方法を示す断面図である。

Claims (3)

  1. ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび上記ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂が含有されてなるホットメルト接着剤の製造方法であって、上記粘着性付与樹脂および/またはワックスと上記ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂とを完全溶融混練してマスターバッチを作製する工程と、ベース樹脂、粘着性付与樹脂、ワックスおよび上記マスターバッチを完全溶融混練する工程との少なくとも2工程を含むことを特徴とするホットメルト接着剤の製造方法。
  2. ベース樹脂がエチレン系共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のホットメルト接着剤の製造方法。
  3. ベース樹脂に対して非相溶性の樹脂が低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項2に記載のホットメルト接着剤の製造方法。
JP2002264395A 2002-09-10 2002-09-10 ホットメルト接着剤の製造方法 Expired - Lifetime JP4420596B2 (ja)

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