JP2004067822A - ホットメルト接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】糸曳き性をより改良したホットメルト接着剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス、及びエラストマー樹脂を含有し、溶融粘度が500〜2000mPa・sとし、上記エチレン系共重合体100重量部に対して、上記エラストマー樹脂を1〜15重量部含有させる。
【選択図】 なし
【解決手段】エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス、及びエラストマー樹脂を含有し、溶融粘度が500〜2000mPa・sとし、上記エチレン系共重合体100重量部に対して、上記エラストマー樹脂を1〜15重量部含有させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、糸曳き性の改良されたホットメルト接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、ホットメルト接着剤は、無溶剤で、瞬間接着、高速接着が可能であるので、段ボールの封緘作業等の包装等において多く使用されている。
【0003】
しかしながら、ホットメルト接着剤は、塗布した際の糸曳きが非常に多く、そのホットメルト接着剤の糸様状物が、段ボール箱や封緘ライン等の製品や製造機器に付着して汚染したり、清掃のために製造工程を停止する必要がある等、生産性を損なうといった問題点がある。
【0004】
これに対し、特許第2625173号公報に、ホットメルト接着剤の塗布時における糸曳きを解決するため、ホットメルト接着剤塗布直後に圧縮空気を噴出する塗布ガンが提案されている。
【0005】
しかし、この塗布ガンを用いるには、機械の大幅な変更が必要となり、経済的にも問題を有する。
【0006】
また、特開平11−199833号公報には、所定割合の熱可塑性樹脂、粘着性付与樹脂及びワックスを含有し、メルトフローインデックスが300以上の組成物を用いた、糸曳き性を改良したホットメルト接着剤が開示されている。
【0007】
しかし、上記のホットメルト接着剤を、段ボール箱等の箱を封緘する封緘機で使用する場合、糸曳きが生じる場合があり、上記の糸曳き性の改良効果は十分ではない場合があった。
【0008】
そこで、この発明は、糸曳き性をより改良したホットメルト接着剤組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス、及びエラストマー樹脂を含有し、溶融粘度が500〜2000mPa・sであり、上記エチレン系共重合体100重量部に対して、上記エラストマー樹脂を1〜15重量部含有するホットメルト接着剤組成物を用いることにより、上記課題を解決したのである。
【0010】
エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂及びワックスに、エラストマー樹脂を所定量含有させ、得られる組成物の溶融粘度を所定範囲内とするので、この組成物を封緘機に適用した場合、塗布時の糸曳き性が改善、すなわち、抑制される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
この発明にかかるホットメルト接着剤組成物は、エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス、及びエラストマー樹脂を含有する組成物である。
【0012】
上記エチレン系共重合体とは、エチレンをモノマー成分として含有する共重合体であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体等があげられる。
【0013】
上記粘着性付与樹脂とは、得られる組成物に粘着性を付与するための樹脂をいい、ホットメルト接着剤分野で従来より用いられている公知の各種粘着性付与樹脂が用いられる。この粘着性付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂等があげられる。なお、上記粘着性付与樹脂を単独で用いても良く、また、2種類以上を併用してもよい。
【0014】
上記脂肪族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、1−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、ピペリジン等の炭素数4〜5のモノ又はジオレフィンを主成分とする重合体等があげられる。
【0015】
上記脂環族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、炭素数4〜5留分中のジエン成分を環化二量体化後重合させた樹脂、シクロペンタジエンなどの環化モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂等があげられる。
【0016】
上記芳香族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレンなどの炭素数9〜10のビニル芳香族炭化水素を主成分とした樹脂等があげられる。
【0017】
上記ポリテルペン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン−フェノール共重合体、α−ピネン−フェノール共重合体等があげられる。
【0018】
上記ロジン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油等のロジン及びそれらの変性物があげられる。上記変性物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水素添加、不均化、二量化、エステル化等の変性手段を施したもの等があげられる。また、エステル化変性を施したロジンエステルとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のロジンエステルがあげられる。
【0019】
上記スチレン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン等の重合体があげられる。
【0020】
なお、上記の各種粘着性付与樹脂は、無水マレイン酸やマレイン酸エステル等でグラフト変性されたものであっても良い。
【0021】
上記ワックスは、得られるホットメルト接着剤組成物の好ましい溶融粘度、及びこのホットメルト接着剤組成物を用いる際の、好ましいオープンタイム、セットタイムを得るために添加されるものである。
【0022】
上記ワックスとしては、上記のエチレン系共重合体や粘着性付与樹脂との相溶性が良好であれば、特に限定されるものではなく、合成ワックス、石油ワックス、天然ワックス等があげられる。この合成ワックスの具体例としては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等があげられる。
【0023】
また、上記石油ワックスの具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等があげられる。さらに、上記天然ワックスとしては、木蝋、カルナバ蝋、蜜蝋等があげられる。
なお、上記ワックスを、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用しても良い。
【0024】
上記エラストマー樹脂とは、得られる組成物に弾性を付与し、塗布時に糸を曳いた場合であっても、容易にこの糸が切れ、組成物本体に巻き戻る特性を付与するためのものである。
【0025】
このエラストマー樹脂としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBS)、スチレン−イソプレンゴム(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエンゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレンゴム(SEPS)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)等があげられる。
【0026】
上記のエチレン系共重合体と粘着性付与樹脂との混合比は、上記エチレン系共重合体100重量部に対し、粘着性付与樹脂50〜200重量部がよく、75〜150重量部が好ましい。50重量部未満だと、得られるホットメルト接着剤組成物の接着力が不十分となる場合があり、一方、200重量部を超えると、得られるホットメルト接着剤組成物の耐熱性や耐久性等が低下する場合がある。
【0027】
上記のエチレン系共重合体とワックスとの混合比は、上記エチレン系共重合体100重量部に対し、ワックス2〜100重量部がよく、5〜80重量部が好ましい。2重量部未満だと、得られるホットメルト接着剤組成物の溶融粘度が高くなり過ぎる場合があり、一方、100重量部を超えると、得られるホットメルト接着剤組成物の接着力や使用温度が高くなるため耐熱性等が低下する場合がある。
【0028】
上記のエチレン系共重合体100重量部に対する上記エラストマー樹脂の含有量は、1〜15重量部がよく、2〜10重量部が好ましい。1重量部より少ないと、糸曳き低減の効果が失われるようになる。一方、15重量部より多いと、接着性を損なう場合がある。
【0029】
この発明にかかるホットメルト接着剤組成物は、特に限定されるものではなく、加熱装置を備えた通常の攪拌混練機等を用い、上記のエチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス及びエラストマー樹脂をそれぞれ所定量ずつ、全てが溶融状態となることのできる温度で均一に攪拌混練することにより、製造することができる。
【0030】
また、この発明にかかるホットメルト接着剤組成物には、上記の各成分以外に、必要に応じて、この発明の効果を阻害しない範囲で、無機充填材、有機充填剤、軟化剤、可塑剤、オイル、カップリング剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等の各種添加剤の1種又は2種以上を添加してもよい。
【0031】
上記の方法で製造されるホットメルト接着剤組成物の溶融粘度は、500〜2000mPa・sがよく、800〜1500mPa・sが好ましい。500mPa・sより小さいと、得られるホットメルト接着剤組成物の塗布に支障をきたす場合がある。一方、2000mPa・sより大きいと、糸曳きが生じる場合がある。
【0032】
また、上記の方法で製造されるホットメルト接着剤組成物は、190℃に昇温したときに白濁状態を保持しているものがよく、また、190℃に昇温したときに透明状態となった場合であっても、これをJIS K 2269に記載の「石油製品曇り点試験方法」に準じて冷却したとき、150℃、好ましくは170℃までに白濁状態となるものがよい。
上記白濁状態とは、上記ホットメルト接着剤組成物を構成する成分が互いに相分離するために外観的に生じた、不透明な白濁の状態をいう。
なお、上記の白濁の有無は、目視で判断される。
【0033】
この発明によって得られるホットメルト接着剤組成物は、段ボール箱等の箱用の封緘機用に用いられる接着剤として有用に使用でき、また、それ以外に、その他の包装、製本、木工等にも有用に使用できる。
【0034】
【実施例】
以下、この発明を実施例を用いてより詳細に説明する。まず、下記に試験法について示す。
【0035】
<溶融粘度>
JAI(日本接着剤工業会規格)−7−1999に記載の方法に従って、得られた接着剤組成物について、180℃での溶融粘度(単位:mPa・s)を測定した。
【0036】
<曇点>
JIS K 2269に記載の「石油製品曇り点試験方法」に準じて測定した。すなわち、得られた接着剤組成物を190℃まで昇温して、その45mlを試験管に入れ、JIS K 2269の「石油製品曇り点試験方法」に記載された装置の冷却箱の外管に上記試験管を入れ、上記JIS K 2269に記載の「石油製品曇り点試験方法」にしたがって冷却した。このとき、5〜10℃低下する毎に上記試験管を取り出して素早く曇り(白濁)の有無を目視で確認した。そして、試験管の内容物に曇り(白濁)が生じている時点の温度を曇点とした。
なお、表1において、「>190℃」とは、190℃に昇温しても白濁状態を保持していることを意味している。
【0037】
<接着性試験>
サンセイ理工(株)製ホットメルトアプリケーター(AD400ND)を用いて、オープンタイム2秒、セットタイム2秒、荷重2kgの塗布条件で、得られた接着剤組成物を、Bフルート段ボールシート(表裏Kライナー、坪量220g/m2、レンゴー(株)製;RKA220、大きさ 10×5cm)の表面に圧着した。このときの接着剤組成物の塗布量は、0.15gであり、圧着時の接着剤組成物の温度は180℃であった。
【0038】
次いで、12時間、15℃、50%RHの環境下に放置した後、手で、接着剤組成物からなる層とBフルート段ボールシートとを剥離した。そして、板紙が材料破壊している面積を求め、下記の基準で判断した。
○:材料破壊率が80%以上
△:材料破壊率が50%以上80%未満
×:材料破壊率が50%未満
【0039】
<糸曳き性>
得られた接着剤組成物を、サンセイ理工(株)製ホットメルトアプリケーター(AD400ND)を用いて、下記の条件で段ボールに塗布した。この接着剤組成物の吐出後にノズル先端に残っている接着剤組成物からなる糸様状物の消失時間を計測し、下記の基準で判断した。
【0040】
[塗布条件]
・ノズル直径:0.8mm
・タンク温度:180℃
・ノズル温度:180℃
・吐出圧力 :0.3Pa
・吐出時間 :吐出量が0.15gとなる時間とする。
【0041】
[判断基準]
○:糸曳きなし
△:糸様状物の消失時間が0.5〜1秒
×:糸様状物の消失時間が1秒以上
【0042】
<使用原材料>
(エチレン系共重合体)
[エチレン−酢酸ビニル共重合体]
・東ソー(株)製:U727(メルトフローインデックス(以下、「MI」と略する。=2200、以下、「U727」と称する。)
・東ソー(株)製:U725(MI=1000、以下、「U725」と称する。)
・東ソー(株)製:U722(MI=400、以下、「U722」と称する。)
・東ソー(株)製:U720(MI=150、以下、「U720」と称する。)
(粘着性付与樹脂)
・東ソー(株)製:ペトコール120(軟化点:120℃、以下、「ペトコール」と称する。)
・荒川化学(株)製:スーパーエステルT125(軟化点:116〜126℃、以下、「T125」と称する。)
【0043】
(ワックス)
・サゾール(株)製:H1
(エラストマー樹脂)
・クレイトン(株)製:D1102(SBS、以下、「SBS」と略する。)
・クレイトン(株)製:D1107(SIS、以下、「SIS」と略する。)
・クレイトン(株)製:G1652(スチレン−エチレン−ブタジエン樹脂、以下、「SEBS」と略する。)
(その他)
・酸化防止剤…チバガイギー社製IRGANOX1010
【0044】
(実施例1〜5、比較例1〜4)
攪拌混練機に、表1に示す各原材料を表1に示す量づつ投入し、温度を160℃に上昇しながら撹拌して、上記各原材料を溶融混合させ、接着剤組成物を製造した。
得られた接着剤組成物を用いて、上記の方法に従って各試験を行った。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
この発明によると、エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂及びワックスに、エラストマー樹脂を所定量含有させ、得られる組成物の溶融粘度を所定範囲内とするので、この組成物を封緘機に適用した場合、塗布時の糸曳き性が改善、すなわち、抑制される。
【発明の属する技術分野】
この発明は、糸曳き性の改良されたホットメルト接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、ホットメルト接着剤は、無溶剤で、瞬間接着、高速接着が可能であるので、段ボールの封緘作業等の包装等において多く使用されている。
【0003】
しかしながら、ホットメルト接着剤は、塗布した際の糸曳きが非常に多く、そのホットメルト接着剤の糸様状物が、段ボール箱や封緘ライン等の製品や製造機器に付着して汚染したり、清掃のために製造工程を停止する必要がある等、生産性を損なうといった問題点がある。
【0004】
これに対し、特許第2625173号公報に、ホットメルト接着剤の塗布時における糸曳きを解決するため、ホットメルト接着剤塗布直後に圧縮空気を噴出する塗布ガンが提案されている。
【0005】
しかし、この塗布ガンを用いるには、機械の大幅な変更が必要となり、経済的にも問題を有する。
【0006】
また、特開平11−199833号公報には、所定割合の熱可塑性樹脂、粘着性付与樹脂及びワックスを含有し、メルトフローインデックスが300以上の組成物を用いた、糸曳き性を改良したホットメルト接着剤が開示されている。
【0007】
しかし、上記のホットメルト接着剤を、段ボール箱等の箱を封緘する封緘機で使用する場合、糸曳きが生じる場合があり、上記の糸曳き性の改良効果は十分ではない場合があった。
【0008】
そこで、この発明は、糸曳き性をより改良したホットメルト接着剤組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス、及びエラストマー樹脂を含有し、溶融粘度が500〜2000mPa・sであり、上記エチレン系共重合体100重量部に対して、上記エラストマー樹脂を1〜15重量部含有するホットメルト接着剤組成物を用いることにより、上記課題を解決したのである。
【0010】
エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂及びワックスに、エラストマー樹脂を所定量含有させ、得られる組成物の溶融粘度を所定範囲内とするので、この組成物を封緘機に適用した場合、塗布時の糸曳き性が改善、すなわち、抑制される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
この発明にかかるホットメルト接着剤組成物は、エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス、及びエラストマー樹脂を含有する組成物である。
【0012】
上記エチレン系共重合体とは、エチレンをモノマー成分として含有する共重合体であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体等があげられる。
【0013】
上記粘着性付与樹脂とは、得られる組成物に粘着性を付与するための樹脂をいい、ホットメルト接着剤分野で従来より用いられている公知の各種粘着性付与樹脂が用いられる。この粘着性付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂等があげられる。なお、上記粘着性付与樹脂を単独で用いても良く、また、2種類以上を併用してもよい。
【0014】
上記脂肪族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、1−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、ピペリジン等の炭素数4〜5のモノ又はジオレフィンを主成分とする重合体等があげられる。
【0015】
上記脂環族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、炭素数4〜5留分中のジエン成分を環化二量体化後重合させた樹脂、シクロペンタジエンなどの環化モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂等があげられる。
【0016】
上記芳香族系炭化水素樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレンなどの炭素数9〜10のビニル芳香族炭化水素を主成分とした樹脂等があげられる。
【0017】
上記ポリテルペン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン−フェノール共重合体、α−ピネン−フェノール共重合体等があげられる。
【0018】
上記ロジン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油等のロジン及びそれらの変性物があげられる。上記変性物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水素添加、不均化、二量化、エステル化等の変性手段を施したもの等があげられる。また、エステル化変性を施したロジンエステルとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のロジンエステルがあげられる。
【0019】
上記スチレン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン等の重合体があげられる。
【0020】
なお、上記の各種粘着性付与樹脂は、無水マレイン酸やマレイン酸エステル等でグラフト変性されたものであっても良い。
【0021】
上記ワックスは、得られるホットメルト接着剤組成物の好ましい溶融粘度、及びこのホットメルト接着剤組成物を用いる際の、好ましいオープンタイム、セットタイムを得るために添加されるものである。
【0022】
上記ワックスとしては、上記のエチレン系共重合体や粘着性付与樹脂との相溶性が良好であれば、特に限定されるものではなく、合成ワックス、石油ワックス、天然ワックス等があげられる。この合成ワックスの具体例としては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等があげられる。
【0023】
また、上記石油ワックスの具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等があげられる。さらに、上記天然ワックスとしては、木蝋、カルナバ蝋、蜜蝋等があげられる。
なお、上記ワックスを、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用しても良い。
【0024】
上記エラストマー樹脂とは、得られる組成物に弾性を付与し、塗布時に糸を曳いた場合であっても、容易にこの糸が切れ、組成物本体に巻き戻る特性を付与するためのものである。
【0025】
このエラストマー樹脂としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBS)、スチレン−イソプレンゴム(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエンゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレンゴム(SEPS)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)等があげられる。
【0026】
上記のエチレン系共重合体と粘着性付与樹脂との混合比は、上記エチレン系共重合体100重量部に対し、粘着性付与樹脂50〜200重量部がよく、75〜150重量部が好ましい。50重量部未満だと、得られるホットメルト接着剤組成物の接着力が不十分となる場合があり、一方、200重量部を超えると、得られるホットメルト接着剤組成物の耐熱性や耐久性等が低下する場合がある。
【0027】
上記のエチレン系共重合体とワックスとの混合比は、上記エチレン系共重合体100重量部に対し、ワックス2〜100重量部がよく、5〜80重量部が好ましい。2重量部未満だと、得られるホットメルト接着剤組成物の溶融粘度が高くなり過ぎる場合があり、一方、100重量部を超えると、得られるホットメルト接着剤組成物の接着力や使用温度が高くなるため耐熱性等が低下する場合がある。
【0028】
上記のエチレン系共重合体100重量部に対する上記エラストマー樹脂の含有量は、1〜15重量部がよく、2〜10重量部が好ましい。1重量部より少ないと、糸曳き低減の効果が失われるようになる。一方、15重量部より多いと、接着性を損なう場合がある。
【0029】
この発明にかかるホットメルト接着剤組成物は、特に限定されるものではなく、加熱装置を備えた通常の攪拌混練機等を用い、上記のエチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス及びエラストマー樹脂をそれぞれ所定量ずつ、全てが溶融状態となることのできる温度で均一に攪拌混練することにより、製造することができる。
【0030】
また、この発明にかかるホットメルト接着剤組成物には、上記の各成分以外に、必要に応じて、この発明の効果を阻害しない範囲で、無機充填材、有機充填剤、軟化剤、可塑剤、オイル、カップリング剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等の各種添加剤の1種又は2種以上を添加してもよい。
【0031】
上記の方法で製造されるホットメルト接着剤組成物の溶融粘度は、500〜2000mPa・sがよく、800〜1500mPa・sが好ましい。500mPa・sより小さいと、得られるホットメルト接着剤組成物の塗布に支障をきたす場合がある。一方、2000mPa・sより大きいと、糸曳きが生じる場合がある。
【0032】
また、上記の方法で製造されるホットメルト接着剤組成物は、190℃に昇温したときに白濁状態を保持しているものがよく、また、190℃に昇温したときに透明状態となった場合であっても、これをJIS K 2269に記載の「石油製品曇り点試験方法」に準じて冷却したとき、150℃、好ましくは170℃までに白濁状態となるものがよい。
上記白濁状態とは、上記ホットメルト接着剤組成物を構成する成分が互いに相分離するために外観的に生じた、不透明な白濁の状態をいう。
なお、上記の白濁の有無は、目視で判断される。
【0033】
この発明によって得られるホットメルト接着剤組成物は、段ボール箱等の箱用の封緘機用に用いられる接着剤として有用に使用でき、また、それ以外に、その他の包装、製本、木工等にも有用に使用できる。
【0034】
【実施例】
以下、この発明を実施例を用いてより詳細に説明する。まず、下記に試験法について示す。
【0035】
<溶融粘度>
JAI(日本接着剤工業会規格)−7−1999に記載の方法に従って、得られた接着剤組成物について、180℃での溶融粘度(単位:mPa・s)を測定した。
【0036】
<曇点>
JIS K 2269に記載の「石油製品曇り点試験方法」に準じて測定した。すなわち、得られた接着剤組成物を190℃まで昇温して、その45mlを試験管に入れ、JIS K 2269の「石油製品曇り点試験方法」に記載された装置の冷却箱の外管に上記試験管を入れ、上記JIS K 2269に記載の「石油製品曇り点試験方法」にしたがって冷却した。このとき、5〜10℃低下する毎に上記試験管を取り出して素早く曇り(白濁)の有無を目視で確認した。そして、試験管の内容物に曇り(白濁)が生じている時点の温度を曇点とした。
なお、表1において、「>190℃」とは、190℃に昇温しても白濁状態を保持していることを意味している。
【0037】
<接着性試験>
サンセイ理工(株)製ホットメルトアプリケーター(AD400ND)を用いて、オープンタイム2秒、セットタイム2秒、荷重2kgの塗布条件で、得られた接着剤組成物を、Bフルート段ボールシート(表裏Kライナー、坪量220g/m2、レンゴー(株)製;RKA220、大きさ 10×5cm)の表面に圧着した。このときの接着剤組成物の塗布量は、0.15gであり、圧着時の接着剤組成物の温度は180℃であった。
【0038】
次いで、12時間、15℃、50%RHの環境下に放置した後、手で、接着剤組成物からなる層とBフルート段ボールシートとを剥離した。そして、板紙が材料破壊している面積を求め、下記の基準で判断した。
○:材料破壊率が80%以上
△:材料破壊率が50%以上80%未満
×:材料破壊率が50%未満
【0039】
<糸曳き性>
得られた接着剤組成物を、サンセイ理工(株)製ホットメルトアプリケーター(AD400ND)を用いて、下記の条件で段ボールに塗布した。この接着剤組成物の吐出後にノズル先端に残っている接着剤組成物からなる糸様状物の消失時間を計測し、下記の基準で判断した。
【0040】
[塗布条件]
・ノズル直径:0.8mm
・タンク温度:180℃
・ノズル温度:180℃
・吐出圧力 :0.3Pa
・吐出時間 :吐出量が0.15gとなる時間とする。
【0041】
[判断基準]
○:糸曳きなし
△:糸様状物の消失時間が0.5〜1秒
×:糸様状物の消失時間が1秒以上
【0042】
<使用原材料>
(エチレン系共重合体)
[エチレン−酢酸ビニル共重合体]
・東ソー(株)製:U727(メルトフローインデックス(以下、「MI」と略する。=2200、以下、「U727」と称する。)
・東ソー(株)製:U725(MI=1000、以下、「U725」と称する。)
・東ソー(株)製:U722(MI=400、以下、「U722」と称する。)
・東ソー(株)製:U720(MI=150、以下、「U720」と称する。)
(粘着性付与樹脂)
・東ソー(株)製:ペトコール120(軟化点:120℃、以下、「ペトコール」と称する。)
・荒川化学(株)製:スーパーエステルT125(軟化点:116〜126℃、以下、「T125」と称する。)
【0043】
(ワックス)
・サゾール(株)製:H1
(エラストマー樹脂)
・クレイトン(株)製:D1102(SBS、以下、「SBS」と略する。)
・クレイトン(株)製:D1107(SIS、以下、「SIS」と略する。)
・クレイトン(株)製:G1652(スチレン−エチレン−ブタジエン樹脂、以下、「SEBS」と略する。)
(その他)
・酸化防止剤…チバガイギー社製IRGANOX1010
【0044】
(実施例1〜5、比較例1〜4)
攪拌混練機に、表1に示す各原材料を表1に示す量づつ投入し、温度を160℃に上昇しながら撹拌して、上記各原材料を溶融混合させ、接着剤組成物を製造した。
得られた接着剤組成物を用いて、上記の方法に従って各試験を行った。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
この発明によると、エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂及びワックスに、エラストマー樹脂を所定量含有させ、得られる組成物の溶融粘度を所定範囲内とするので、この組成物を封緘機に適用した場合、塗布時の糸曳き性が改善、すなわち、抑制される。
Claims (3)
- エチレン系共重合体、粘着性付与樹脂、ワックス、及びエラストマー樹脂を含有し、溶融粘度が500〜2000mPa・sであり、上記エチレン系共重合体100重量部に対して、上記エラストマー樹脂を1〜15重量部含有するホットメルト接着剤組成物。
- 190℃に昇温したときに白濁状態を保持している請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
- 190℃に昇温したときに透明状態となり、これをJIS K 2269に記載の「石油製品曇り点試験方法」に準じて冷却したとき、150℃までに白濁状態となる請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
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JP2019172961A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | 藤森工業株式会社 | 接着性樹脂組成物、フッ素系樹脂接着用フィルム、積層体、及び積層体の製造方法 |
-
2002
- 2002-08-05 JP JP2002227729A patent/JP2004067822A/ja active Pending
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JP7270376B2 (ja) | 2018-03-29 | 2023-05-10 | 藤森工業株式会社 | 接着性樹脂組成物、フッ素系樹脂接着用フィルム、積層体、及び積層体の製造方法 |
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