JP2004099756A - ゴムと金属との接着促進剤含有ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、及び耐破壊特性の何れもが良好なゴムと金属との接着促進剤組成物を提供する。
【解決手段】ゴム成分100重量部に対して、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるビスフェノールA誘導体レジンを0.5〜5重量部、コバルトの重量が0.15〜0.25重量部となる量の有機酸コバルト、硫黄を2〜12重量部、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を0.5〜5重量部含有する接着促進剤含有ゴム組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ゴム成分100重量部に対して、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるビスフェノールA誘導体レジンを0.5〜5重量部、コバルトの重量が0.15〜0.25重量部となる量の有機酸コバルト、硫黄を2〜12重量部、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を0.5〜5重量部含有する接着促進剤含有ゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビスフェノールA誘導体レジンを含有するゴムと金属との接着促進剤含有ゴム組成物に関し、特にタイヤのスチールコードまたはビードワイヤーの接着などに有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ラジヤルタイヤなどの補強材として、スチールコードやビードワイヤーが用いられており、その補強効果を高めるべく、スチールコードやビードワイヤーとゴムとの接着力を向上させる手法がとられていた。このためスチールコードおよびビードワイヤーには、真鍮、ブロンズ、亜鉛などのメッキが施され、更に、接着用のゴム組成物には、接着界面層(CuxS)の形成を促進させるために他の部材のゴム組成物と比べ非常に多くの硫黄が使用されてきた。また、硫黄以外のものとしては、有機酸コバルト、有機酸ニッケルなどの有機酸金属塩がよく使用されてきた。
【0003】
しかし、最近の車両の高速化やハイパワー化に伴う高い発熱の下での劣化、タイヤの長寿命化に伴う熱履歴による劣化、また製造期間から走行期間までの湿熱による劣化などにより、最近では従来と比較してより高い接着性が要求されている。
【0004】
従来の有機酸コバルトなどの有機酸金属塩や硫黄は、初期の接着性には優れるが、熱老化による接着性の低下が大きく、最近の要求性能に追いつかなくなりつつある。このような熱老化の原因は明らかではないが、有機酸金属塩の酸化促進作用が強いため、接着層形成の促進作用が、走行末期には接着層の厚みを増大させ、層破壊へ至らしめていると考えられる。
【0005】
また、高濃度で硫黄を含有し、さらに有機酸金属塩を含有する接着用ゴム組成物は、ゴム被覆率が高くても、初期接着力や湿熱条件下での接着力が低い場合にはタイヤ故障時の損傷が大きくなる。その原因としては、熱に弱いポリサルファイド架橋がゴム内部で増加し、劣化を促進させるためと考えられる。
【0006】
前記問題を解決する方法として、フェノール系樹脂、オキシラン化合物などにビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるメチレン受容体とヘキサメチレンテトラミンなどのメチレン供与体を硫黄、カーボンブラック、シリカ、及び促進剤などと共に天然ゴムや合成ゴムに配合した接着促進剤含有ゴム組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5945500号明細書(第13、14欄)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、米国特許第5945500号明細書記載の接着促進剤含有ゴム組成物は、湿熱接着性には優れるが、有機酸コバルトを含有していないため、初期接着性と湿熱接着性については十分でなく、今後要求される接着力を満足できない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、従来では得られない初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、及び耐破壊特性の何れもが良好なゴムと金属との接着促進剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、接着促進剤含有ゴム組成物について鋭意研究したところ、接着促進剤含有ゴム組成物を所定の配合比にすることで、初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、及び耐破壊特性が良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明のゴムと金属との接着促進剤含有ゴム組成物は、ゴム成分100重量部に対して、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるビスフェノールA誘導体レジンを0.5〜5重量部、コバルトの重量が0.15〜0.25重量部となる量の有機酸コバルト、硫黄を2〜12重量部、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を0.5〜5重量部含有することを特徴とする。
【0011】
このような配合比にすることにより、実施例の結果が示すように、初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、耐破壊特性、及びゴム被覆率のいずれもが良好となる。
【0012】
本発明においては、前記ゴム組成物が、さらにゴム成分100重量部に対してシリカを1〜15重量部含有することが好ましい。特定量のシリカを含有することにより、さらに前記諸物性が向上する。
【0013】
上記において、ポリヒドロキシベンゼンがレゾルシノールであり、ビスフェノールAエポキシ化合物がビスフェノールAジグリシジルエーテルであり、かつビニル基含有芳香族化合物がスチレンであることが好ましい。該化合物からなるビスフェノールA誘導体レジンを用いることにより、より確実に初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性、耐破壊特性、及びゴム被覆率を改善することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のゴムと金属との接着促進剤含有ゴム組成物は、ゴム成分、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるビスフェノールA誘導体レジン、有機酸コバルト、硫黄、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有する。
【0015】
ビスフェノールA誘導体レジンは、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなる樹脂である。
【0016】
ポリヒドロキシベンゼンとは、少なくとも2つ以上のヒドロキシル基を有するベンゼンであって、例えば、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、及び1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。前記ポリヒドロキシベンゼンは、ベンゼン環にヒドロキシル基以外の置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、Cl、Brなどのハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7〜12のアリールアルキル基、炭素数2〜18のアルカノイル基、炭素数7〜11のアロイル基などが挙げられる。本発明においては、前記ポリヒドロキシベンゼンがレゾルシノールであることが好ましい。
【0017】
ビスフェノールAエポキシ化合物とは、ビスフェノールAジアルキレンオキサイドエーテルのことである。アルキレンオキサイドの炭素数は3〜18であることが好ましい。本発明においては、前記ビスフェノールAエポキシ化合物がビスフェノールAジグリシジルエーテルであることが特に好ましい。
【0018】
ビニル基含有芳香族化合物とは、少なくとも1つのビニル基を有する芳香族炭化水素であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。前記ビニル基含有芳香族化合物は、芳香環にビニル基以外の置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、Cl、Brなどのハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。本発明においては、前記ビニル基含有芳香族化合物がスチレンであることが好ましい。
【0019】
ビスフェノールA誘導体レジンの製造方法としては、例えば、トリアルキルフォスフィン、トリアリールフォスフィン、トリアルキルアミンなどの塩基性触媒、又は硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸(PTSA)などの酸触媒の存在下、ポリヒドロキシベンゼンとビスフェノールAエポキシ化合物とを130〜180℃、好ましくは150〜155℃で、3〜5時間、好ましくは3時間反応させる。その後、PTSAなどの酸触媒の存在下で反応物にビニル基含有芳香族化合物を加え、150〜155℃で3〜5時間反応させてビスフェノールA誘導体レジンを製造する。ビスフェノールA誘導体レジンの詳細な製造方法は、米国特許第5945500号明細書に記載されている。
【0020】
前記ビスフェノールA誘導体レジンの市販品としては、インドスペック社のCRL−411などが挙げられる。
【0021】
本発明のゴム組成物は、ビスフェノールA誘導体レジンをゴム成分100重量部に対して、0.5〜5重量部含有する。好ましくは、1〜5重量部である。0.5重量部未満の場合には、十分な接着力が得られず、5重量部を超える場合にも接着力が低下する。
【0022】
有機酸コバルトの有機酸は特に制限されるものではないが、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数12〜18の脂肪族カルボン酸、ナフテン酸などの脂環式カルボン酸などが挙げられる。
【0023】
本発明のゴム組成物は、有機酸コバルトをゴム成分100重量部に対して、コバルト金属分量の重量が0.15〜0.25重量部となるように含有する。上記が0.15重量部未満の場合には、初期接着力及び湿熱接着性が不十分となり、上記が0.25重量部を超えると、酸化促進作用が大きくなりすぎ、耐破壊特性が劣る傾向にある。また、有機酸コバルトに加えて、ホウ酸などのホウ素化合物を含有してもよく、ホウ素化合物を含有することで、初期接着性が向上し、製造時のロールへの過粘着の防止やゴムの弾性率の向上が可能となる。
【0024】
本発明のゴム組成物は、加硫剤である硫黄をゴム成分100重量部に対して、2〜12重量部含有する。好ましくは、4.5〜12重量部である。2重量部未満の場合には、耐破壊特性やゴム被覆率が劣り、12重量部を超える場合には、特に耐破壊特性が低下する傾向にある。
【0025】
本発明のゴム組成物は、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体をゴム成分100重量部に対して、0.5〜5重量部含有する。好ましくは、1〜4重量部である。0.5重量部未満の場合には、ゴム被覆率が低下し、5重量部を超える場合には、ゴムの硬化が起こる傾向にある。メラミン誘導体としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、又はヘキサ−N−メチロールメラミンなどが挙げられる。
【0026】
ゴム成分としては、天然ゴムの他、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムなどが使用できる。
【0027】
これらのゴム組成物にはカーボンブラックやシリカ等の充填材を配合してもよい。シリカは、ゴム成分100重量部に対して、1〜15重量部含有することが好ましい。15重量部を超えて配合するとコストメリットが低下する傾向にあるため好ましくない。カーボンブラックは、ゴム成分100重量部に対して、例えば0〜200重量部配合される。その際、カーボンブラックとシリカは、合計20〜200重量部配合するのが好ましい。カーボンブラックとシリカの合計量が200重量部を超える場合には、ゴムが十分に練られなくなる傾向にあるため好ましくない。
【0028】
また、アロマオイル等の軟化剤、亜鉛華、ジフェニルグアニジンを例とするスルフェンアミド系、メルカプトベンゾチアゾールを例とするチアゾール系、N,N−ジシクロヘキシルジルスルフェンアミドを例とするスルフェンアミド系、テトラメチルチウラムジスルフィドを例とするチウラム系などの加硫促進助剤、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)を例とするアミン・ケトン系、フェニル−α−ナフチルアミンを例とするジアリールアミン系などの老化防止剤等の通常のゴム工業で使用される配合剤を通常の配合量で適宜配合することができる。
【0029】
接着促進剤含有ゴム組成物は、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール混練装置等を用いて調製することができる。混練後のゴム組成物の排出温度は、添加剤の溶け残りがでるため150℃以上が好ましい。
【0030】
本発明の接着促進剤含有ゴム組成物は、ゴムと金属との接着促進剤として使用される。対象となるゴムとしては、前述したゴム成分の加硫ゴム等が挙げられる。また、金属としては、特に限定されないが、真鍮、ブロンズ、亜鉛などのメッキが施されたスチールコード及びビードワイヤーに対して好適に使用できる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0032】
(ベルトトッピングゴム−スチールコードの作製)
黄銅メッキしたスチールコード(構成:3×0.2mm+6×0.35mm)を12本/25mmの間隔で並べ、評価ゴム組成物をシーティング(厚み1.0mm)したゴムシートでこれを挟みこみ、得られたシートを2枚重ねて、150℃で30分加硫し、スチールコードが2層存在するゴムシートサンプルAを作製した。
【0033】
(ビードインシュレーションゴム−ビードワイヤーの作成)
評価ゴム組成物中へ青銅メッキビードワイヤー(1.6mmφ)を10mm埋め込み、150℃で30分加硫してゴムサンプルB(幅25mm)を作製した(JIS G3510に準拠)。
【0034】
(1)初期接着性
作製した各ゴムシートサンプルA又は各ゴムサンプルBをオートグラフ(島津製作所製、DCS500)を用いてスチールコード又はビードワイヤーの剥離力を測定した。その結果を比較例5を基準指数として表示した。
【0035】
(2)耐熱接着性
作製した各ゴムシートサンプルA又は各ゴムサンプルBを160℃の環境下で96時間放置した後、オートグラフを用いてスチールコード又はビードワイヤーの剥離力を測定た。その結果を比較例5を基準指数として表示した。
【0036】
(3)湿熱接着性
作製した各ゴムシートサンプルA又は各ゴムサンプルBを100℃のスチーム環境下で96時間放置した後、オートグラフを用いてスチールコード又はビードワイヤーの剥離力を測定した。その結果を比較例5を基準指数として表示した。
【0037】
(4)耐破壊特性
作製した各ゴムシートサンプルA又は各ゴムサンプルBを90℃のギヤーオーブン中で192時間放置した後、引張り試験(JIS K6253に準拠)を行い、初期に対する破断伸びの保持率を測定した。その結果を比較例5を基準指数として表示した。
【0038】
(実車のベルト部の状態)
下記表1、2に示す配合処方にて、バンバリーミキサーを用いて調製したゴム組成物からなるベルト部を有するタイヤ(11R22.5)を作製した。10万キロ走行後にタイヤを解体し、エッジ浮き長さとエッジ部のゴム被覆率を下記の基準で評価した。
エッジ浮き長さの基準
◎:0〜2mm
○:2〜8mm
△:8〜15mm
×:15mm超
エッジ部のゴム被覆率の基準(ゴムの被覆率を目視で確認)
◎:100〜95%
○:94〜80%
△:79〜50%
×:49%以下
(実車のビード部の状態)
下記表1、2に示す配合処方にて、バンバリーミキサーを用いて調製したゴム組成物からなるビード部を有するタイヤ(11R22.5)を作製した。10万キロ走行後にタイヤを解体し、ビード部からワイヤーを取り出し、ゴムの被覆率を目視で確認し、下記の基準で評価した。
◎:100〜95%
○:94〜80%
△:79〜50%
×:49%以下
(湿熱劣化時のワイヤーへのゴムの被覆率)
黄銅メッキスチールコード(構成:3×0.2mm+6×0.35mm)を12本/25mmの間隔で並べ、評価ゴム組成物をシーティング(厚み1.0mm)したゴムシートでこれを挟みこみ、得られたシートを2枚重ねて、150℃で30分加硫した。その加硫したサンプルを、100℃×96h×100%RHで老化させた。その後、25mm幅サンプルのコードとコードの間を剥離し、そのコードのゴム被覆率を目視で評価した。
◎:100〜80%
○:79〜60%
△:59〜30%
×:29%以下
実施例1
天然ゴム100重量部、カーボンブラック(昭和キャボット社製、N326)60重量部、老化防止剤(モンサント社製、サントフレックス6PPD)2重量部、亜鉛華(三井金属社製、亜鉛華3号)8重量部、ステアリン酸コバルト(日本鉱業社製)2重量部(コバルト重量:0.2重量部)、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーDZ−G)1重量部、ビスフェノールA誘導体レジン(インドスペック社製、CRL−411)0.5重量部、ヘキサメトキシメチルメラミン(三井サイテック社製、サイレッツ963L)4重量部、及び硫黄4.5重量部をバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を作製した。
【0039】
実施例2〜9及び比較例1〜9
下記表1、2に記載の配合量で、実施例1と同様の方法によりゴム組成物を作製した。なお、表1、2中の前記以外の原料は以下の通りである。SBR(JSR社製、SBR1502)、シリカ(トクシマ社製、トクシールUR)、レゾルシン・アルキルフェノール・ホルマリン共重合体(住友化学社製、スミカノール620)、レゾルシン・ホルマリン反応物ペナコライト樹脂(インドスペック社製、B19−S)、レゾルシン(住友化学社製)、ヘキサメチレンテトラミン(大内新興化学工業社製、ノクセラーH)
【表1】
【表2】
作製した実施例1〜9及び比較例1〜9のゴム組成物を用いて、耐破壊特性、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性などの試験を行った。評価結果を表3、4に示す。
【0040】
【表3】
【表4】
なお、表3、4は比較例5の評価結果を基準指数として、実施例及び他の比較例の評価結果を指数表示した。
【0041】
表3、4の結果から明らかなように、ゴム成分100重量部に対して、ビスフェノールA誘導体レジンを0.5〜5重量部、コバルトの重量が0.15〜0.25重量部となるステアリン酸コバルト、硫黄を2〜12重量部、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を0.5〜5重量部含有してなる接着促進剤含有ゴム組成物(実施例1〜9)は、初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、耐破壊特性、及びゴム被覆率のすべてが良好であることがわかる。シリカを含有する場合(実施例5)には、特にその効果が顕著である。
【0042】
一方、硫黄を12重量部以上含有する場合(比較例3)、又は硫黄が2重量部未満の場合(比較例8)には、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性、耐破壊特性、及びゴム被覆率のいずれも劣る。また、コバルトの重量が0.15重量部未満となる量のステアリン酸コバルトを含有する場合(比較例9)も、初期接着性、湿熱接着性、及びゴム被覆率が不十分である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビスフェノールA誘導体レジンを含有するゴムと金属との接着促進剤含有ゴム組成物に関し、特にタイヤのスチールコードまたはビードワイヤーの接着などに有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ラジヤルタイヤなどの補強材として、スチールコードやビードワイヤーが用いられており、その補強効果を高めるべく、スチールコードやビードワイヤーとゴムとの接着力を向上させる手法がとられていた。このためスチールコードおよびビードワイヤーには、真鍮、ブロンズ、亜鉛などのメッキが施され、更に、接着用のゴム組成物には、接着界面層(CuxS)の形成を促進させるために他の部材のゴム組成物と比べ非常に多くの硫黄が使用されてきた。また、硫黄以外のものとしては、有機酸コバルト、有機酸ニッケルなどの有機酸金属塩がよく使用されてきた。
【0003】
しかし、最近の車両の高速化やハイパワー化に伴う高い発熱の下での劣化、タイヤの長寿命化に伴う熱履歴による劣化、また製造期間から走行期間までの湿熱による劣化などにより、最近では従来と比較してより高い接着性が要求されている。
【0004】
従来の有機酸コバルトなどの有機酸金属塩や硫黄は、初期の接着性には優れるが、熱老化による接着性の低下が大きく、最近の要求性能に追いつかなくなりつつある。このような熱老化の原因は明らかではないが、有機酸金属塩の酸化促進作用が強いため、接着層形成の促進作用が、走行末期には接着層の厚みを増大させ、層破壊へ至らしめていると考えられる。
【0005】
また、高濃度で硫黄を含有し、さらに有機酸金属塩を含有する接着用ゴム組成物は、ゴム被覆率が高くても、初期接着力や湿熱条件下での接着力が低い場合にはタイヤ故障時の損傷が大きくなる。その原因としては、熱に弱いポリサルファイド架橋がゴム内部で増加し、劣化を促進させるためと考えられる。
【0006】
前記問題を解決する方法として、フェノール系樹脂、オキシラン化合物などにビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるメチレン受容体とヘキサメチレンテトラミンなどのメチレン供与体を硫黄、カーボンブラック、シリカ、及び促進剤などと共に天然ゴムや合成ゴムに配合した接着促進剤含有ゴム組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5945500号明細書(第13、14欄)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、米国特許第5945500号明細書記載の接着促進剤含有ゴム組成物は、湿熱接着性には優れるが、有機酸コバルトを含有していないため、初期接着性と湿熱接着性については十分でなく、今後要求される接着力を満足できない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、従来では得られない初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、及び耐破壊特性の何れもが良好なゴムと金属との接着促進剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、接着促進剤含有ゴム組成物について鋭意研究したところ、接着促進剤含有ゴム組成物を所定の配合比にすることで、初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、及び耐破壊特性が良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明のゴムと金属との接着促進剤含有ゴム組成物は、ゴム成分100重量部に対して、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるビスフェノールA誘導体レジンを0.5〜5重量部、コバルトの重量が0.15〜0.25重量部となる量の有機酸コバルト、硫黄を2〜12重量部、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を0.5〜5重量部含有することを特徴とする。
【0011】
このような配合比にすることにより、実施例の結果が示すように、初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、耐破壊特性、及びゴム被覆率のいずれもが良好となる。
【0012】
本発明においては、前記ゴム組成物が、さらにゴム成分100重量部に対してシリカを1〜15重量部含有することが好ましい。特定量のシリカを含有することにより、さらに前記諸物性が向上する。
【0013】
上記において、ポリヒドロキシベンゼンがレゾルシノールであり、ビスフェノールAエポキシ化合物がビスフェノールAジグリシジルエーテルであり、かつビニル基含有芳香族化合物がスチレンであることが好ましい。該化合物からなるビスフェノールA誘導体レジンを用いることにより、より確実に初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性、耐破壊特性、及びゴム被覆率を改善することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のゴムと金属との接着促進剤含有ゴム組成物は、ゴム成分、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるビスフェノールA誘導体レジン、有機酸コバルト、硫黄、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を含有する。
【0015】
ビスフェノールA誘導体レジンは、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなる樹脂である。
【0016】
ポリヒドロキシベンゼンとは、少なくとも2つ以上のヒドロキシル基を有するベンゼンであって、例えば、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、及び1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。前記ポリヒドロキシベンゼンは、ベンゼン環にヒドロキシル基以外の置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、Cl、Brなどのハロゲン、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7〜12のアリールアルキル基、炭素数2〜18のアルカノイル基、炭素数7〜11のアロイル基などが挙げられる。本発明においては、前記ポリヒドロキシベンゼンがレゾルシノールであることが好ましい。
【0017】
ビスフェノールAエポキシ化合物とは、ビスフェノールAジアルキレンオキサイドエーテルのことである。アルキレンオキサイドの炭素数は3〜18であることが好ましい。本発明においては、前記ビスフェノールAエポキシ化合物がビスフェノールAジグリシジルエーテルであることが特に好ましい。
【0018】
ビニル基含有芳香族化合物とは、少なくとも1つのビニル基を有する芳香族炭化水素であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。前記ビニル基含有芳香族化合物は、芳香環にビニル基以外の置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、Cl、Brなどのハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。本発明においては、前記ビニル基含有芳香族化合物がスチレンであることが好ましい。
【0019】
ビスフェノールA誘導体レジンの製造方法としては、例えば、トリアルキルフォスフィン、トリアリールフォスフィン、トリアルキルアミンなどの塩基性触媒、又は硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸(PTSA)などの酸触媒の存在下、ポリヒドロキシベンゼンとビスフェノールAエポキシ化合物とを130〜180℃、好ましくは150〜155℃で、3〜5時間、好ましくは3時間反応させる。その後、PTSAなどの酸触媒の存在下で反応物にビニル基含有芳香族化合物を加え、150〜155℃で3〜5時間反応させてビスフェノールA誘導体レジンを製造する。ビスフェノールA誘導体レジンの詳細な製造方法は、米国特許第5945500号明細書に記載されている。
【0020】
前記ビスフェノールA誘導体レジンの市販品としては、インドスペック社のCRL−411などが挙げられる。
【0021】
本発明のゴム組成物は、ビスフェノールA誘導体レジンをゴム成分100重量部に対して、0.5〜5重量部含有する。好ましくは、1〜5重量部である。0.5重量部未満の場合には、十分な接着力が得られず、5重量部を超える場合にも接着力が低下する。
【0022】
有機酸コバルトの有機酸は特に制限されるものではないが、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数12〜18の脂肪族カルボン酸、ナフテン酸などの脂環式カルボン酸などが挙げられる。
【0023】
本発明のゴム組成物は、有機酸コバルトをゴム成分100重量部に対して、コバルト金属分量の重量が0.15〜0.25重量部となるように含有する。上記が0.15重量部未満の場合には、初期接着力及び湿熱接着性が不十分となり、上記が0.25重量部を超えると、酸化促進作用が大きくなりすぎ、耐破壊特性が劣る傾向にある。また、有機酸コバルトに加えて、ホウ酸などのホウ素化合物を含有してもよく、ホウ素化合物を含有することで、初期接着性が向上し、製造時のロールへの過粘着の防止やゴムの弾性率の向上が可能となる。
【0024】
本発明のゴム組成物は、加硫剤である硫黄をゴム成分100重量部に対して、2〜12重量部含有する。好ましくは、4.5〜12重量部である。2重量部未満の場合には、耐破壊特性やゴム被覆率が劣り、12重量部を超える場合には、特に耐破壊特性が低下する傾向にある。
【0025】
本発明のゴム組成物は、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体をゴム成分100重量部に対して、0.5〜5重量部含有する。好ましくは、1〜4重量部である。0.5重量部未満の場合には、ゴム被覆率が低下し、5重量部を超える場合には、ゴムの硬化が起こる傾向にある。メラミン誘導体としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、又はヘキサ−N−メチロールメラミンなどが挙げられる。
【0026】
ゴム成分としては、天然ゴムの他、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムなどが使用できる。
【0027】
これらのゴム組成物にはカーボンブラックやシリカ等の充填材を配合してもよい。シリカは、ゴム成分100重量部に対して、1〜15重量部含有することが好ましい。15重量部を超えて配合するとコストメリットが低下する傾向にあるため好ましくない。カーボンブラックは、ゴム成分100重量部に対して、例えば0〜200重量部配合される。その際、カーボンブラックとシリカは、合計20〜200重量部配合するのが好ましい。カーボンブラックとシリカの合計量が200重量部を超える場合には、ゴムが十分に練られなくなる傾向にあるため好ましくない。
【0028】
また、アロマオイル等の軟化剤、亜鉛華、ジフェニルグアニジンを例とするスルフェンアミド系、メルカプトベンゾチアゾールを例とするチアゾール系、N,N−ジシクロヘキシルジルスルフェンアミドを例とするスルフェンアミド系、テトラメチルチウラムジスルフィドを例とするチウラム系などの加硫促進助剤、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)を例とするアミン・ケトン系、フェニル−α−ナフチルアミンを例とするジアリールアミン系などの老化防止剤等の通常のゴム工業で使用される配合剤を通常の配合量で適宜配合することができる。
【0029】
接着促進剤含有ゴム組成物は、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール混練装置等を用いて調製することができる。混練後のゴム組成物の排出温度は、添加剤の溶け残りがでるため150℃以上が好ましい。
【0030】
本発明の接着促進剤含有ゴム組成物は、ゴムと金属との接着促進剤として使用される。対象となるゴムとしては、前述したゴム成分の加硫ゴム等が挙げられる。また、金属としては、特に限定されないが、真鍮、ブロンズ、亜鉛などのメッキが施されたスチールコード及びビードワイヤーに対して好適に使用できる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0032】
(ベルトトッピングゴム−スチールコードの作製)
黄銅メッキしたスチールコード(構成:3×0.2mm+6×0.35mm)を12本/25mmの間隔で並べ、評価ゴム組成物をシーティング(厚み1.0mm)したゴムシートでこれを挟みこみ、得られたシートを2枚重ねて、150℃で30分加硫し、スチールコードが2層存在するゴムシートサンプルAを作製した。
【0033】
(ビードインシュレーションゴム−ビードワイヤーの作成)
評価ゴム組成物中へ青銅メッキビードワイヤー(1.6mmφ)を10mm埋め込み、150℃で30分加硫してゴムサンプルB(幅25mm)を作製した(JIS G3510に準拠)。
【0034】
(1)初期接着性
作製した各ゴムシートサンプルA又は各ゴムサンプルBをオートグラフ(島津製作所製、DCS500)を用いてスチールコード又はビードワイヤーの剥離力を測定した。その結果を比較例5を基準指数として表示した。
【0035】
(2)耐熱接着性
作製した各ゴムシートサンプルA又は各ゴムサンプルBを160℃の環境下で96時間放置した後、オートグラフを用いてスチールコード又はビードワイヤーの剥離力を測定た。その結果を比較例5を基準指数として表示した。
【0036】
(3)湿熱接着性
作製した各ゴムシートサンプルA又は各ゴムサンプルBを100℃のスチーム環境下で96時間放置した後、オートグラフを用いてスチールコード又はビードワイヤーの剥離力を測定した。その結果を比較例5を基準指数として表示した。
【0037】
(4)耐破壊特性
作製した各ゴムシートサンプルA又は各ゴムサンプルBを90℃のギヤーオーブン中で192時間放置した後、引張り試験(JIS K6253に準拠)を行い、初期に対する破断伸びの保持率を測定した。その結果を比較例5を基準指数として表示した。
【0038】
(実車のベルト部の状態)
下記表1、2に示す配合処方にて、バンバリーミキサーを用いて調製したゴム組成物からなるベルト部を有するタイヤ(11R22.5)を作製した。10万キロ走行後にタイヤを解体し、エッジ浮き長さとエッジ部のゴム被覆率を下記の基準で評価した。
エッジ浮き長さの基準
◎:0〜2mm
○:2〜8mm
△:8〜15mm
×:15mm超
エッジ部のゴム被覆率の基準(ゴムの被覆率を目視で確認)
◎:100〜95%
○:94〜80%
△:79〜50%
×:49%以下
(実車のビード部の状態)
下記表1、2に示す配合処方にて、バンバリーミキサーを用いて調製したゴム組成物からなるビード部を有するタイヤ(11R22.5)を作製した。10万キロ走行後にタイヤを解体し、ビード部からワイヤーを取り出し、ゴムの被覆率を目視で確認し、下記の基準で評価した。
◎:100〜95%
○:94〜80%
△:79〜50%
×:49%以下
(湿熱劣化時のワイヤーへのゴムの被覆率)
黄銅メッキスチールコード(構成:3×0.2mm+6×0.35mm)を12本/25mmの間隔で並べ、評価ゴム組成物をシーティング(厚み1.0mm)したゴムシートでこれを挟みこみ、得られたシートを2枚重ねて、150℃で30分加硫した。その加硫したサンプルを、100℃×96h×100%RHで老化させた。その後、25mm幅サンプルのコードとコードの間を剥離し、そのコードのゴム被覆率を目視で評価した。
◎:100〜80%
○:79〜60%
△:59〜30%
×:29%以下
実施例1
天然ゴム100重量部、カーボンブラック(昭和キャボット社製、N326)60重量部、老化防止剤(モンサント社製、サントフレックス6PPD)2重量部、亜鉛華(三井金属社製、亜鉛華3号)8重量部、ステアリン酸コバルト(日本鉱業社製)2重量部(コバルト重量:0.2重量部)、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーDZ−G)1重量部、ビスフェノールA誘導体レジン(インドスペック社製、CRL−411)0.5重量部、ヘキサメトキシメチルメラミン(三井サイテック社製、サイレッツ963L)4重量部、及び硫黄4.5重量部をバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を作製した。
【0039】
実施例2〜9及び比較例1〜9
下記表1、2に記載の配合量で、実施例1と同様の方法によりゴム組成物を作製した。なお、表1、2中の前記以外の原料は以下の通りである。SBR(JSR社製、SBR1502)、シリカ(トクシマ社製、トクシールUR)、レゾルシン・アルキルフェノール・ホルマリン共重合体(住友化学社製、スミカノール620)、レゾルシン・ホルマリン反応物ペナコライト樹脂(インドスペック社製、B19−S)、レゾルシン(住友化学社製)、ヘキサメチレンテトラミン(大内新興化学工業社製、ノクセラーH)
【表1】
【表2】
作製した実施例1〜9及び比較例1〜9のゴム組成物を用いて、耐破壊特性、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性などの試験を行った。評価結果を表3、4に示す。
【0040】
【表3】
【表4】
なお、表3、4は比較例5の評価結果を基準指数として、実施例及び他の比較例の評価結果を指数表示した。
【0041】
表3、4の結果から明らかなように、ゴム成分100重量部に対して、ビスフェノールA誘導体レジンを0.5〜5重量部、コバルトの重量が0.15〜0.25重量部となるステアリン酸コバルト、硫黄を2〜12重量部、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を0.5〜5重量部含有してなる接着促進剤含有ゴム組成物(実施例1〜9)は、初期接着性に加えて、耐熱接着性、湿熱接着性、耐破壊特性、及びゴム被覆率のすべてが良好であることがわかる。シリカを含有する場合(実施例5)には、特にその効果が顕著である。
【0042】
一方、硫黄を12重量部以上含有する場合(比較例3)、又は硫黄が2重量部未満の場合(比較例8)には、初期接着性、耐熱接着性、湿熱接着性、耐破壊特性、及びゴム被覆率のいずれも劣る。また、コバルトの重量が0.15重量部未満となる量のステアリン酸コバルトを含有する場合(比較例9)も、初期接着性、湿熱接着性、及びゴム被覆率が不十分である。
Claims (3)
- ゴム成分100重量部に対して、ポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールAエポキシ化合物、及びビニル基含有芳香族化合物を反応させてなるビスフェノールA誘導体レジンを0.5〜5重量部、コバルトの重量が0.15〜0.25重量部となる量の有機酸コバルト、硫黄を2〜12重量部、及びヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体を0.5〜5重量部含有する接着促進剤含有ゴム組成物。
- さらにゴム成分100重量部に対して、シリカを1〜15重量部含有する請求項1記載の接着促進剤含有ゴム組成物。
- ポリヒドロキシベンゼンがレゾルシノールであり、ビスフェノールAエポキシ化合物がビスフェノールAジグリシジルエーテルであり、かつビニル基含有芳香族化合物がスチレンである請求項1又は2記載の接着促進剤含有ゴム組成物。
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JP2002263930A JP2004099756A (ja) | 2002-09-10 | 2002-09-10 | ゴムと金属との接着促進剤含有ゴム組成物 |
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JP2007211152A (ja) * | 2006-02-10 | 2007-08-23 | Bridgestone Corp | ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
WO2012114667A1 (ja) * | 2011-02-24 | 2012-08-30 | 株式会社ブリヂストン | ゴム-金属ワイヤー複合体及びそれを用いたタイヤ |
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2002
- 2002-09-10 JP JP2002263930A patent/JP2004099756A/ja not_active Withdrawn
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