JP2004099711A - 非対称スクアリリウム化合物、及びそれを用いた映像表示機器用フィルター - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性に優れた映像表示機器用フィルター、及び該フィルターに含有されるスクアリリウム色素化合物の提供。
【解決手段】式(1)で示される非対称スクアリリウム化合物。
(式中、R1〜R4は水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル又は置換されていてもよいフェニルを表す。R5はハロゲン、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ又は置換されていてもよいアルケニルを表し、mは1〜4の整数、nは1〜4の整数を表す。mとnの和は2〜5である。nが複数である場合にR5は互いに同一でも、異なっていてもよい。)
【選択図】 なし
【解決手段】式(1)で示される非対称スクアリリウム化合物。
(式中、R1〜R4は水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル又は置換されていてもよいフェニルを表す。R5はハロゲン、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ又は置換されていてもよいアルケニルを表し、mは1〜4の整数、nは1〜4の整数を表す。mとnの和は2〜5である。nが複数である場合にR5は互いに同一でも、異なっていてもよい。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクアリリウム系化合物、及びそれを用いた映像表示機器用フィルターに関する。詳しくは、本発明は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ又はリアプロジェクション方式テレビ等のような画面表示装置の表面に取り付けられる映像表示機器用フィルターの色再現性を改良するための非対称スクアリリウム化合物、及び該非対称スクアリリウム化合物を含有する層を有する映像表示機器用フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
映像表示機器の映像のコントラストと色再現性を向上させるために、映像表示部の前面に有機色素化合物を含有させたフィルターを設置して、特定範囲の波長の光を吸収させる方法が一般に採用されている。例えば、プラズマディスプレイパネルでは、放電によりキセノンとネオンの混合ガスが励起されて真空紫外線が放射され、真空紫外線励起による赤、緑、青の各蛍光体の発光を利用して3原色発光を得ているが、上記蛍光体からの発光には余分な光が含まれている。そして、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに580nm付近の光を発光する。この580nm付近の不要な光を選択的に吸収するため、対称形のスクアリリウム色素化合物をフィルターに含有させて色補正する方法が提案されている(特許文献1参照)。
又、フェノール環とピロール環が4員環の両端の炭素原子にそれぞれ結合した非対称形のスクアリリウム色素化合物を含有させた反射防止フィルムも公知である(特許文献2参照)。
しかしながら、上記の対称形のスクアリリウム色素を含むフィルターや、フェノール環とピロール環が4員環の両端の炭素原子にそれぞれ結合した非対称形のスクアリリウム色素化合物を含む反射防止フィルムは、必ずしも耐久性に優れたものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−183522号公報(段落番号0004)
【0004】
【特許文献2】
特開2000−43175号公報(段落番号0070)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、映像表示機器用フィルターに適用した際に耐久性に優れた色素化合物を提供すること、及び、耐久性に優れた映像表示機器用フィルターを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、フェノール環とピロール環が4員環の両端の炭素原子にそれぞれ結合し、且つフェノール環に水酸基以外の特定の置換基が更に置換された非対称スクアリリウム化合物を映像表示機器用フィルターとして用いると、上記目的を達成できることを見出して本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、下式(1)で示される非対称スクアリリウム化合物、及び、該非対称スクアリリウム化合物(1)を含有することを特徴とする映像表示機器用フィルターを提供するものである。
【0008】
【0009】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアルケニル基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。但し、m及びnの和は2〜5である。又、nが複数である場合に、R5は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
式(1)におけるR1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。R1〜R4で表されるアルキル基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。R1〜R4で表されるアルケニル基としては、直鎖状または分岐状の炭素数2〜6のアルケニル基が好ましい。R1〜R4で表されるアルコキシカルボニル基としては、直鎖または分岐状の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0011】
R1〜R4で表されるフェニル基の置換基としては、例えば、ハロゲノ、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアルキル基またはアルケニル基の置換基としては、例えばヒドロキシ、ハロゲノ、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜7のアルコキシカルボニルまたはシアノ等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアルコキシカルボニル基の置換基としては、例えばヒドロキシ、ハロゲノまたはシアノ等が挙げられる。
【0012】
R1〜R4としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基又はフェニル基等が好ましい。
【0013】
R5はハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基または置換されていてもよいアルケニル基を表す。
R5で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子等が挙げられる。
R5で表される上記アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基を挙げることができる。該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基又はペンタデシル基等を挙げることができる。
R5で表されるアルキル基の置換基としては、例えば、ヒドロキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、アセチルオキシカルボニル、プロピニルオキシカルボニル、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ、シクロヘキシル又はフェニル等が挙げられる。
【0014】
R5で表される上記アルコキシ基としては、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルコキシ基を挙げることができる。該アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基又はペンタデシルオキシ基等を挙げることができる。
R5で表されるアルコキシ基の置換基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ等の炭素数1〜8の直鎖又は分岐状アルコキシ等が挙げられる。
【0015】
R5で表される上記アルケニル基としては、エテニル基(ビニル基)が好ましい。該エテニル基は、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐状アルキル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−アルコキシ(炭素数1〜8)フェニル、3,4−ビスアルコキシ(炭素数1〜8)フェニル、3,5−ビスアルコキシ(炭素数1〜8)フェニル又は3,4、5−トリスアルコキシ(炭素数1〜8)フェニル等で置換されていてもよい。
好ましいR5は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐状アルコキシ基、又は前記置換基を有するエテニル基である。特に好ましいR5は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐状アルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐状アルコキシ基である。
好ましいmは2又は3である。好ましいnは1である。
【0016】
非対称スクアリリウム化合物(1)は、例えば、Dyes and Pigments 49(2001)161−179頁に記載の方法に準拠して製造することができる。
先ず、下式(a)
【0017】
【0018】
(式中、R6は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
で示される化合物1モルに対し、下式(b)
【0019】
【0020】
(式中、R1、R2、R3及びR4は前述の定義と同じである。)
で示される化合物1モルを、炭素数1〜4のアルコール溶媒中で、30℃〜還流する温度範囲の条件下に加熱することにより、下式(c)
【0021】
【0022】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR6は前述の定義と同じである。)
で示される化合物を製造する。次いで、化合物(c)を50%酢酸水溶液中で、30℃〜還流温度の条件下で加熱することにより、下式(d)
【0023】
【0024】
(式中、R1、R2、R3及びR4は前述の定義と同じである。)
で示されるセミスクアリン酸化合物を製造する。さらに、セミスクアリン酸化合物(d)1モルと下式(e)
【0025】
【0026】
(式中、R5、m、及びnは前述の定義と同じである。)
で示されるフェノール系化合物1モルとを、炭素数1〜4のアルコール、酢酸、n−ブチルアルコール−ベンゼン混合溶媒、又はn−ブチルアルコール−トルエン混合溶媒等の存在下で、必要に応じてトリエチルアミン又はキノリン等の塩基性触媒を0.1〜1モルの範囲で加え、70〜150℃の範囲に加熱しながら脱水縮合させることにより、製造することができる。
非対称スクアリリウム化合物(1)において、下式(4)
【0027】
【0028】
(式中、R1、R2、R3及びR4は前述の定義と同じである。)
で示される残基としては、例えば次の基が挙げられる。なお、次の式中、−Phはフェニル基を意味する。
【0029】
【0030】
非対称スクアリリウム化合物(1)において、下式(5)
【0031】
【0032】
(式中、R5、m及びnは、前述の定義と同じである。)
で示される残基としては、例えば次の基が挙げられる。
【0033】
【0034】
非対称スクアリリウム化合物(1)としては、可視領域における最大吸収波長(λmax)が550〜610nmの範囲にあるものが好ましい。
【0035】
非対称スクアリリウム化合物(1)は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
非対称スクアリリウム化合物(1)の使用量は、映像表示機器用フィルターの用途等により適宜選択されるが、上記フィルターとしたときに、波長580nmにおける光線透過率が好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下となるように調整される。
【0036】
本発明の映像表示機器用フィルターは、非対称スクアリリウム化合物(1)を含有するものであり、透明基材と上記化合物(1)とを含んで構成される。本発明の映像表示機器用フィルターは、前面板として用いてもよいし、ディスプレイに直接貼合して用いてもよい。本発明の映像表示機器用フィルターを前面板として用いる場合には、非対称スクアリリウム化合物(1)は例えば透明基材中に混合されていてもよい。又、例えば透明基材の表面に非対称スクアリリウム化合物(1)の層が設けられていてもよい。
透明基材としては、例えば、非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する樹脂板等の透明板、又は上記化合物(1)を含有する層が積層された樹脂板若しくはガラス板等の透明板が挙げられる。上記透明板の厚さは、強度の点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、軽量性の点から、好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下である。透明板としては、可視光透過率が50%以上のものが好ましく用いられる。
【0037】
透明板が樹脂板である場合、厚さ3mmの板としたときの可視光透過率が70%以上である樹脂板が好ましい。このような樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、ノルボルネン樹脂又はシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上併用することもできる。透明性の観点からは、メタクリル樹脂が特に好ましい。
【0038】
メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルを50重量%以上含む単量体から得られるメタクリル酸メチル系樹脂が好ましく、該メタクリル酸メチル系樹脂としては、メタクリル酸メチルの単独重合体やメタクリル酸メチル50重量%以上とこれと共重合可能な不飽和単量体50重量%以下とからなる共重合体が挙げられる。上記の不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸エチルもしくはメタクリル酸ブチルのようなメタクリル酸エステル類、アクリル酸エチルもしくはアクリル酸ブチルのようなアクリル酸エステル類、またはスチレンもしくはα−メチルスチレンのようなスチレン類等が挙げられる。これらの不飽和単量体は、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0039】
樹脂板には、非対称スクアリリウム化合物(1)以外に、必要に応じて、光吸収性化合物、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光拡散剤、帯電防止剤、難燃化剤、離型剤又は近赤外線吸収剤等を含有させてもよい。
【0040】
非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する樹脂板の製造方法としては、例えば、樹脂を上記化合物(1)と溶融混練して押出成形もしくは射出成形する方法、樹脂を化合物(1)と溶融混練してペレットとした後に該ペレットをプレス成形する方法、又は樹脂の構成単量体を非対称スクアリリウム化合物(1)と混合して注型重合させる方法等が挙げられる。
【0041】
非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する層が積層された透明板を得る方法としては、例えば、上記化合物(1)を透明板に塗布する方法、化合物(1)を含有するフィルムを透明板に貼合する方法、又は化合物(1)を塗布したフィルムを透明板に貼合する方法等が挙げられる。フィルムを透明板に貼合する際には、化合物(1)を含有する粘着剤を用いてもよい。
【0042】
非対称スクアリリウム化合物(1)を透明板やフィルムに塗布する場合は、例えば、バインダー樹脂及び化合物(1)を有機溶剤(シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等)に溶解した塗布液を調製し、該塗布液をディッピング法、バーコーター法又はグラビアコート法等により塗布する方法が採用される。
非対称スクアリリウム化合物(1)を含有するフィルムを透明板に貼合する場合、上記のフィルムは樹脂を化合物(1)と溶融混練して押出成形することにより調製される。
上記フィルムは、ディスプレイ前面に直接貼合して用いることができる。
【0043】
本発明のフィルターは、必要に応じて、電磁波遮蔽層、ハードコート層、近赤外線吸収層、反射防止層または汚染防止層等を有していてもよい。
【0044】
電磁波遮蔽層は、通常、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、銅若しくはアルミニウム等の格子状導電性薄膜、又は金、銀若しくは白金等の透明導電性薄膜からなる。
格子状導電性薄膜の格子間隔は好ましくは80〜200μmの範囲である。また、格子状導電性薄膜の膜厚は好ましくは1〜20μmの範囲、より好ましくは5〜20μmの範囲である。更に、格子状導電性薄膜の格子線幅は好ましくは5〜50μmの範囲、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
格子状導電性薄膜の開口率は好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。また、透明導電性薄膜の厚さは好ましくは30〜1000nmの範囲、より好ましくは50〜500nmの範囲である。
生産性の観点からは、電磁波遮蔽層は格子状導電性薄膜又は透明導電性薄膜が表面に設けられたフィルムを貼合することにより形成させることが好ましい。上記のフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等の透明フィルムが用いられる。
【0045】
ハードコート層は、通常、多官能性モノマー、シリコーン系架橋性樹脂、メラミン系架橋性樹脂又はエポキシ系架橋性樹脂を含むハードコート剤を塗布後、硬化することにより形成させることができる。ハードコート層の厚さは好ましくは1〜30μmの範囲である。又、ハードコート層に二酸化ケイ素や酸化アルミニウムのような無機化合物等の微粒子を含有させることにより、防眩機能を付与してもよい。
【0046】
近赤外線吸収層は、波長800〜1,100nmの間の近赤外領域に吸収を示す層であり、この層の形成には通常、近赤外領域に吸収を示す色素が用いられる。このような近赤外線吸収性色素としては、可視光に対して透過率が高く、近赤外領域の光を多く吸収するものが好ましい。具体的には、ジイモニウム系近赤外線吸収剤、アミニウム系近赤外線吸収剤、アントラキノン系近赤外線吸収剤、フタロシアニン系、特に含フッ素フタロシアニン系の近赤外線吸収剤、ニッケル錯体系近赤外線吸収剤、ポリメチン系近赤外線吸収剤、ジフェニルメタン系近赤外線吸収剤、トリフェニルメタン系近赤外線吸収剤、シアニン系近赤外線吸収剤などが挙げられる。これらのうちから2種類以上を組み合わせるのがよい。
又、必要に応じて、近赤外線領域に吸収を示す色素を非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する層に添加してもよい。
【0047】
反射防止層は、通常、無機酸化物、無機ハロゲン化物又はフッ素含有重合体等からなり、汚染防止層は、通常、フッ素含有化合物又はシロキサン化合物等からなる。
【0048】
本発明の非対称スクアリリウム化合物(1)は吸収スペクトルがシャープであり(半値幅が狭い)、耐熱性及び耐光性等の耐久性に優れ、有機溶剤に対する溶解性が良好である。又、非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する映像表示機器用フィルターは、特に波長580nm付近の光線を選択的に吸収することができ、上記耐久性に優れた選択波長吸収機能を有し、各種映像表示装置に用いられる。該映像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ又はリアプロジェクション方式テレビ等が挙げられる。中でも、本発明の映像表示機器用フィルターは、プラズマディスプレイ用として好適である。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0050】
参考例1
3−エチル−2,5−ジメチルピロール1.23g、3,4−ジ(n−ブトキシ)−3−シクロブテン−1,2−ジオン2.26g及びn−ブタノール10mlを反応容器に加え、110℃で2時間反応させた。次いで、反応混合物を放冷し、沈殿物を濾別後、ジエチルエーテルで結晶を洗浄した。次いで、洗浄後の結晶を酢酸により再結晶し、次の化合物(I)の2.28gを得た。
【0051】
【0052】
参考例2
参考例1で得た化合物(I)1.65gを酢酸15ml、水15ml及び2N塩酸2.4mlの混合物中で2時間加熱還流した。次いで、反応混合物を放冷後、沈殿物を濾別した。ジエチルエーテルで結晶を洗浄し、乾燥後、次の化合物(II)の1.41gを得た。
【0053】
【0054】
実施例1
参考例2で得た化合物(II)の1.10gと5−メトキシレゾルシノールの0.71gをトルエン/n−ブタノール混合溶媒(1:1)の52ml中で、窒素気流下にDean−Starkトラップを用いて水を除きながら、130℃で2時間反応させた。次いで、反応混合物を放冷後、沈殿物を濾別した。ジエチルエーテルで結晶を洗浄し、乾燥後、次の非対称スクアリリウム化合物(III)の0.5gを得た。
【0055】
【0056】
可視吸収スペクトル λmax=555nm(メタノール)
マススペクトル[ESI(+)法] m/z=342(M+H)
1H−NMR[270MHz、d6−DMSO、20℃、δ(ppm)]
5.91(2H,s)、3.77(3H,s)、2.52−2.38(8H,m)、1.06−1.00(3H,t)
【0057】
実施例2
実施例1で得たスクアリリウム化合物(III)の0.5%シクロヘキサノン溶液の20重量部とアクリル樹脂[住友化学工業(株)製、スミペックスMM−A]の25重量%トルエン溶液の40重量部を混合した。得られた混合物に、更に30重量部のシクロヘキサノン及び10重量部のトルエンを混合して、塗工液を調製した。この塗工液をNo.16のバーコーターを用いて、厚さ約0.125mmのアクリルフィルム[住友化学工業(株)製のR526]上に塗布し、乾燥後、厚さが約2μmであるフィルムを形成させた。
【0058】
実施例3
実施例2で得たフィルムを80℃で250時間保存して、耐久性加速試験を実施した。試験後のフィルムを分光光度計[株式会社 島津製作所製のUV−3100PC]で測定した吸光度で色素残存率を測定したところ、94.7%であった。
【0059】
比較例1
スクアリリウム化合物(III)の代わりに次のスクアリリウム化合物(IV)を用いる以外は、実施例2及び3と同様にして塗工液の調製、コーティングフィルムの作製、及び80℃における耐久性加速試験(250時間)を実施した。スクアリリウム化合物(IV)の残存率を測定したところ、78.1%であった。
【0060】
【0061】
比較例2
スクアリリウム化合物(III)の代わりに次のスクアリリウム化合物(V)を用いる以外は、実施例2及び3と同様にして塗工液の調製、コーティングフィルムの作製、及び80℃における耐久性加速試験(250時間)を実施した。スクアリリウム化合物(V)の残存率を測定したところ、59.9%であった。
【0062】
【0063】
【発明の効果】
本発明の非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する映像表示機器用フィルターは、耐久性に優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクアリリウム系化合物、及びそれを用いた映像表示機器用フィルターに関する。詳しくは、本発明は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ又はリアプロジェクション方式テレビ等のような画面表示装置の表面に取り付けられる映像表示機器用フィルターの色再現性を改良するための非対称スクアリリウム化合物、及び該非対称スクアリリウム化合物を含有する層を有する映像表示機器用フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
映像表示機器の映像のコントラストと色再現性を向上させるために、映像表示部の前面に有機色素化合物を含有させたフィルターを設置して、特定範囲の波長の光を吸収させる方法が一般に採用されている。例えば、プラズマディスプレイパネルでは、放電によりキセノンとネオンの混合ガスが励起されて真空紫外線が放射され、真空紫外線励起による赤、緑、青の各蛍光体の発光を利用して3原色発光を得ているが、上記蛍光体からの発光には余分な光が含まれている。そして、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに580nm付近の光を発光する。この580nm付近の不要な光を選択的に吸収するため、対称形のスクアリリウム色素化合物をフィルターに含有させて色補正する方法が提案されている(特許文献1参照)。
又、フェノール環とピロール環が4員環の両端の炭素原子にそれぞれ結合した非対称形のスクアリリウム色素化合物を含有させた反射防止フィルムも公知である(特許文献2参照)。
しかしながら、上記の対称形のスクアリリウム色素を含むフィルターや、フェノール環とピロール環が4員環の両端の炭素原子にそれぞれ結合した非対称形のスクアリリウム色素化合物を含む反射防止フィルムは、必ずしも耐久性に優れたものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−183522号公報(段落番号0004)
【0004】
【特許文献2】
特開2000−43175号公報(段落番号0070)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、映像表示機器用フィルターに適用した際に耐久性に優れた色素化合物を提供すること、及び、耐久性に優れた映像表示機器用フィルターを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、フェノール環とピロール環が4員環の両端の炭素原子にそれぞれ結合し、且つフェノール環に水酸基以外の特定の置換基が更に置換された非対称スクアリリウム化合物を映像表示機器用フィルターとして用いると、上記目的を達成できることを見出して本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、下式(1)で示される非対称スクアリリウム化合物、及び、該非対称スクアリリウム化合物(1)を含有することを特徴とする映像表示機器用フィルターを提供するものである。
【0008】
【0009】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアルケニル基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。但し、m及びnの和は2〜5である。又、nが複数である場合に、R5は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
式(1)におけるR1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。R1〜R4で表されるアルキル基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。R1〜R4で表されるアルケニル基としては、直鎖状または分岐状の炭素数2〜6のアルケニル基が好ましい。R1〜R4で表されるアルコキシカルボニル基としては、直鎖または分岐状の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0011】
R1〜R4で表されるフェニル基の置換基としては、例えば、ハロゲノ、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアルキル基またはアルケニル基の置換基としては、例えばヒドロキシ、ハロゲノ、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜7のアルコキシカルボニルまたはシアノ等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアルコキシカルボニル基の置換基としては、例えばヒドロキシ、ハロゲノまたはシアノ等が挙げられる。
【0012】
R1〜R4としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基又はフェニル基等が好ましい。
【0013】
R5はハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基または置換されていてもよいアルケニル基を表す。
R5で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子等が挙げられる。
R5で表される上記アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基を挙げることができる。該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基又はペンタデシル基等を挙げることができる。
R5で表されるアルキル基の置換基としては、例えば、ヒドロキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、アセチルオキシカルボニル、プロピニルオキシカルボニル、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ、シクロヘキシル又はフェニル等が挙げられる。
【0014】
R5で表される上記アルコキシ基としては、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルコキシ基を挙げることができる。該アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基又はペンタデシルオキシ基等を挙げることができる。
R5で表されるアルコキシ基の置換基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ等の炭素数1〜8の直鎖又は分岐状アルコキシ等が挙げられる。
【0015】
R5で表される上記アルケニル基としては、エテニル基(ビニル基)が好ましい。該エテニル基は、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐状アルキル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−アルコキシ(炭素数1〜8)フェニル、3,4−ビスアルコキシ(炭素数1〜8)フェニル、3,5−ビスアルコキシ(炭素数1〜8)フェニル又は3,4、5−トリスアルコキシ(炭素数1〜8)フェニル等で置換されていてもよい。
好ましいR5は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐状アルコキシ基、又は前記置換基を有するエテニル基である。特に好ましいR5は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐状アルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐状アルコキシ基である。
好ましいmは2又は3である。好ましいnは1である。
【0016】
非対称スクアリリウム化合物(1)は、例えば、Dyes and Pigments 49(2001)161−179頁に記載の方法に準拠して製造することができる。
先ず、下式(a)
【0017】
【0018】
(式中、R6は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
で示される化合物1モルに対し、下式(b)
【0019】
【0020】
(式中、R1、R2、R3及びR4は前述の定義と同じである。)
で示される化合物1モルを、炭素数1〜4のアルコール溶媒中で、30℃〜還流する温度範囲の条件下に加熱することにより、下式(c)
【0021】
【0022】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR6は前述の定義と同じである。)
で示される化合物を製造する。次いで、化合物(c)を50%酢酸水溶液中で、30℃〜還流温度の条件下で加熱することにより、下式(d)
【0023】
【0024】
(式中、R1、R2、R3及びR4は前述の定義と同じである。)
で示されるセミスクアリン酸化合物を製造する。さらに、セミスクアリン酸化合物(d)1モルと下式(e)
【0025】
【0026】
(式中、R5、m、及びnは前述の定義と同じである。)
で示されるフェノール系化合物1モルとを、炭素数1〜4のアルコール、酢酸、n−ブチルアルコール−ベンゼン混合溶媒、又はn−ブチルアルコール−トルエン混合溶媒等の存在下で、必要に応じてトリエチルアミン又はキノリン等の塩基性触媒を0.1〜1モルの範囲で加え、70〜150℃の範囲に加熱しながら脱水縮合させることにより、製造することができる。
非対称スクアリリウム化合物(1)において、下式(4)
【0027】
【0028】
(式中、R1、R2、R3及びR4は前述の定義と同じである。)
で示される残基としては、例えば次の基が挙げられる。なお、次の式中、−Phはフェニル基を意味する。
【0029】
【0030】
非対称スクアリリウム化合物(1)において、下式(5)
【0031】
【0032】
(式中、R5、m及びnは、前述の定義と同じである。)
で示される残基としては、例えば次の基が挙げられる。
【0033】
【0034】
非対称スクアリリウム化合物(1)としては、可視領域における最大吸収波長(λmax)が550〜610nmの範囲にあるものが好ましい。
【0035】
非対称スクアリリウム化合物(1)は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
非対称スクアリリウム化合物(1)の使用量は、映像表示機器用フィルターの用途等により適宜選択されるが、上記フィルターとしたときに、波長580nmにおける光線透過率が好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下となるように調整される。
【0036】
本発明の映像表示機器用フィルターは、非対称スクアリリウム化合物(1)を含有するものであり、透明基材と上記化合物(1)とを含んで構成される。本発明の映像表示機器用フィルターは、前面板として用いてもよいし、ディスプレイに直接貼合して用いてもよい。本発明の映像表示機器用フィルターを前面板として用いる場合には、非対称スクアリリウム化合物(1)は例えば透明基材中に混合されていてもよい。又、例えば透明基材の表面に非対称スクアリリウム化合物(1)の層が設けられていてもよい。
透明基材としては、例えば、非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する樹脂板等の透明板、又は上記化合物(1)を含有する層が積層された樹脂板若しくはガラス板等の透明板が挙げられる。上記透明板の厚さは、強度の点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、軽量性の点から、好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下である。透明板としては、可視光透過率が50%以上のものが好ましく用いられる。
【0037】
透明板が樹脂板である場合、厚さ3mmの板としたときの可視光透過率が70%以上である樹脂板が好ましい。このような樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、ノルボルネン樹脂又はシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上併用することもできる。透明性の観点からは、メタクリル樹脂が特に好ましい。
【0038】
メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルを50重量%以上含む単量体から得られるメタクリル酸メチル系樹脂が好ましく、該メタクリル酸メチル系樹脂としては、メタクリル酸メチルの単独重合体やメタクリル酸メチル50重量%以上とこれと共重合可能な不飽和単量体50重量%以下とからなる共重合体が挙げられる。上記の不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸エチルもしくはメタクリル酸ブチルのようなメタクリル酸エステル類、アクリル酸エチルもしくはアクリル酸ブチルのようなアクリル酸エステル類、またはスチレンもしくはα−メチルスチレンのようなスチレン類等が挙げられる。これらの不飽和単量体は、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0039】
樹脂板には、非対称スクアリリウム化合物(1)以外に、必要に応じて、光吸収性化合物、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光拡散剤、帯電防止剤、難燃化剤、離型剤又は近赤外線吸収剤等を含有させてもよい。
【0040】
非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する樹脂板の製造方法としては、例えば、樹脂を上記化合物(1)と溶融混練して押出成形もしくは射出成形する方法、樹脂を化合物(1)と溶融混練してペレットとした後に該ペレットをプレス成形する方法、又は樹脂の構成単量体を非対称スクアリリウム化合物(1)と混合して注型重合させる方法等が挙げられる。
【0041】
非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する層が積層された透明板を得る方法としては、例えば、上記化合物(1)を透明板に塗布する方法、化合物(1)を含有するフィルムを透明板に貼合する方法、又は化合物(1)を塗布したフィルムを透明板に貼合する方法等が挙げられる。フィルムを透明板に貼合する際には、化合物(1)を含有する粘着剤を用いてもよい。
【0042】
非対称スクアリリウム化合物(1)を透明板やフィルムに塗布する場合は、例えば、バインダー樹脂及び化合物(1)を有機溶剤(シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等)に溶解した塗布液を調製し、該塗布液をディッピング法、バーコーター法又はグラビアコート法等により塗布する方法が採用される。
非対称スクアリリウム化合物(1)を含有するフィルムを透明板に貼合する場合、上記のフィルムは樹脂を化合物(1)と溶融混練して押出成形することにより調製される。
上記フィルムは、ディスプレイ前面に直接貼合して用いることができる。
【0043】
本発明のフィルターは、必要に応じて、電磁波遮蔽層、ハードコート層、近赤外線吸収層、反射防止層または汚染防止層等を有していてもよい。
【0044】
電磁波遮蔽層は、通常、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、銅若しくはアルミニウム等の格子状導電性薄膜、又は金、銀若しくは白金等の透明導電性薄膜からなる。
格子状導電性薄膜の格子間隔は好ましくは80〜200μmの範囲である。また、格子状導電性薄膜の膜厚は好ましくは1〜20μmの範囲、より好ましくは5〜20μmの範囲である。更に、格子状導電性薄膜の格子線幅は好ましくは5〜50μmの範囲、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
格子状導電性薄膜の開口率は好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。また、透明導電性薄膜の厚さは好ましくは30〜1000nmの範囲、より好ましくは50〜500nmの範囲である。
生産性の観点からは、電磁波遮蔽層は格子状導電性薄膜又は透明導電性薄膜が表面に設けられたフィルムを貼合することにより形成させることが好ましい。上記のフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等の透明フィルムが用いられる。
【0045】
ハードコート層は、通常、多官能性モノマー、シリコーン系架橋性樹脂、メラミン系架橋性樹脂又はエポキシ系架橋性樹脂を含むハードコート剤を塗布後、硬化することにより形成させることができる。ハードコート層の厚さは好ましくは1〜30μmの範囲である。又、ハードコート層に二酸化ケイ素や酸化アルミニウムのような無機化合物等の微粒子を含有させることにより、防眩機能を付与してもよい。
【0046】
近赤外線吸収層は、波長800〜1,100nmの間の近赤外領域に吸収を示す層であり、この層の形成には通常、近赤外領域に吸収を示す色素が用いられる。このような近赤外線吸収性色素としては、可視光に対して透過率が高く、近赤外領域の光を多く吸収するものが好ましい。具体的には、ジイモニウム系近赤外線吸収剤、アミニウム系近赤外線吸収剤、アントラキノン系近赤外線吸収剤、フタロシアニン系、特に含フッ素フタロシアニン系の近赤外線吸収剤、ニッケル錯体系近赤外線吸収剤、ポリメチン系近赤外線吸収剤、ジフェニルメタン系近赤外線吸収剤、トリフェニルメタン系近赤外線吸収剤、シアニン系近赤外線吸収剤などが挙げられる。これらのうちから2種類以上を組み合わせるのがよい。
又、必要に応じて、近赤外線領域に吸収を示す色素を非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する層に添加してもよい。
【0047】
反射防止層は、通常、無機酸化物、無機ハロゲン化物又はフッ素含有重合体等からなり、汚染防止層は、通常、フッ素含有化合物又はシロキサン化合物等からなる。
【0048】
本発明の非対称スクアリリウム化合物(1)は吸収スペクトルがシャープであり(半値幅が狭い)、耐熱性及び耐光性等の耐久性に優れ、有機溶剤に対する溶解性が良好である。又、非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する映像表示機器用フィルターは、特に波長580nm付近の光線を選択的に吸収することができ、上記耐久性に優れた選択波長吸収機能を有し、各種映像表示装置に用いられる。該映像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ又はリアプロジェクション方式テレビ等が挙げられる。中でも、本発明の映像表示機器用フィルターは、プラズマディスプレイ用として好適である。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0050】
参考例1
3−エチル−2,5−ジメチルピロール1.23g、3,4−ジ(n−ブトキシ)−3−シクロブテン−1,2−ジオン2.26g及びn−ブタノール10mlを反応容器に加え、110℃で2時間反応させた。次いで、反応混合物を放冷し、沈殿物を濾別後、ジエチルエーテルで結晶を洗浄した。次いで、洗浄後の結晶を酢酸により再結晶し、次の化合物(I)の2.28gを得た。
【0051】
【0052】
参考例2
参考例1で得た化合物(I)1.65gを酢酸15ml、水15ml及び2N塩酸2.4mlの混合物中で2時間加熱還流した。次いで、反応混合物を放冷後、沈殿物を濾別した。ジエチルエーテルで結晶を洗浄し、乾燥後、次の化合物(II)の1.41gを得た。
【0053】
【0054】
実施例1
参考例2で得た化合物(II)の1.10gと5−メトキシレゾルシノールの0.71gをトルエン/n−ブタノール混合溶媒(1:1)の52ml中で、窒素気流下にDean−Starkトラップを用いて水を除きながら、130℃で2時間反応させた。次いで、反応混合物を放冷後、沈殿物を濾別した。ジエチルエーテルで結晶を洗浄し、乾燥後、次の非対称スクアリリウム化合物(III)の0.5gを得た。
【0055】
【0056】
可視吸収スペクトル λmax=555nm(メタノール)
マススペクトル[ESI(+)法] m/z=342(M+H)
1H−NMR[270MHz、d6−DMSO、20℃、δ(ppm)]
5.91(2H,s)、3.77(3H,s)、2.52−2.38(8H,m)、1.06−1.00(3H,t)
【0057】
実施例2
実施例1で得たスクアリリウム化合物(III)の0.5%シクロヘキサノン溶液の20重量部とアクリル樹脂[住友化学工業(株)製、スミペックスMM−A]の25重量%トルエン溶液の40重量部を混合した。得られた混合物に、更に30重量部のシクロヘキサノン及び10重量部のトルエンを混合して、塗工液を調製した。この塗工液をNo.16のバーコーターを用いて、厚さ約0.125mmのアクリルフィルム[住友化学工業(株)製のR526]上に塗布し、乾燥後、厚さが約2μmであるフィルムを形成させた。
【0058】
実施例3
実施例2で得たフィルムを80℃で250時間保存して、耐久性加速試験を実施した。試験後のフィルムを分光光度計[株式会社 島津製作所製のUV−3100PC]で測定した吸光度で色素残存率を測定したところ、94.7%であった。
【0059】
比較例1
スクアリリウム化合物(III)の代わりに次のスクアリリウム化合物(IV)を用いる以外は、実施例2及び3と同様にして塗工液の調製、コーティングフィルムの作製、及び80℃における耐久性加速試験(250時間)を実施した。スクアリリウム化合物(IV)の残存率を測定したところ、78.1%であった。
【0060】
【0061】
比較例2
スクアリリウム化合物(III)の代わりに次のスクアリリウム化合物(V)を用いる以外は、実施例2及び3と同様にして塗工液の調製、コーティングフィルムの作製、及び80℃における耐久性加速試験(250時間)を実施した。スクアリリウム化合物(V)の残存率を測定したところ、59.9%であった。
【0062】
【0063】
【発明の効果】
本発明の非対称スクアリリウム化合物(1)を含有する映像表示機器用フィルターは、耐久性に優れる。
Claims (6)
- 式(1)におけるR5が、置換されてもよいアルキル基である請求項1〜3のいずれかに記載の非対称スクアリリウム化合物。
- 式(1)におけるR5が、置換されてもよいアルコキシ基である請求項1〜3のいずれかに記載の非対称スクアリリウム化合物。
- 請求項1〜5に記載の非対称スクアリリウム化合物を含有することを特徴とする映像表示機器用フィルター。
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