JP2004099670A - 生分解性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用後に埋設・焼却等の廃棄処理を行っても自然環境に悪影響を及ぼさないものでありながら、透明性、ヒートシール性に優れた生分解性フィルムを提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとが、質量比で、(ポリ乳酸系重合体)/(他の生分解性ポリマー)=95/5〜60/40で配合され、同時二軸延伸されたフィルムであり、ヘイズが10%以下である。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生分解性フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種の食品、飲料、薬品、雑貨等の、液状物、粉粒物、固形物の包装用資材として、あるいは農業用資材、建築用資材などとして、幅広い用途において、紙、プラスチックフィルム、アルミ箔等が用いられている。特に、プラスチックフィルムは、強度、耐水性、成形性、透明性、コスト性等の優れた性能を有し、袋や熱成形された容器として、多くの用途で使用されている。これらの用途においてフィルムに要求される特性として、ヒートシール性、柔軟性、耐熱性等が挙げられる。
【0003】
現在、これらの用途のフィルムに使用されているプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等がある。しかし、これらのプラスチックからなるフィルムは、化学的、生物学的安定性のために、自然環境下では生分解又は加水分解しないか、または分解速度が極めて遅い。このために、使用後、埋め立てにより廃棄処理された場合に残存したり、投棄された場合に景観を損ねたり、生物の生活環境を破壊したりすることがある。また、焼却処理された場合でも、有害なガスを生じたり、焼却時の発熱量が高いため焼却炉を傷める恐れがあるという問題がある。
【0004】
そこで、近年の環境保全に対する社会的要求の高まりに伴い、微生物などにより分解可能な生分解性を有し、コンポストでの堆肥化処理が可能なフィルムである生分解性フィルムが要望されている。生分解性フィルムを製造するための、生分解性を有する重合体の中で、特にポリ乳酸系重合体は、各種でんぷんや糖類などを発酵して得られる乳酸を重合した植物由来の原料であり、最終的には再び炭酸ガスと水になって地球的規模で環境リサイクルされる理想的なポリマー原料として、各種用途に利用され始めている。
【0005】
しかし、ポリ乳酸系重合体は、そのままでは非常に固く脆い性質をもつために、従来から広く知られている食品用フィルムや工業用フィルムとして用いる場合には、二軸延伸を施すことにより柔軟性等を付与する必要がある。しかし、もともと、ポリ乳酸系重合体は生分解性ポリマーの中でも融点が高く、分子配向や配向結晶化を行うとヒートシール性を損なう傾向にあり、ヒートシール性のさらなる改良が求められている。
【0006】
そこで、特開平9−157408号公報には、ポリ乳酸系重合体とガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルとを主成分とし、その含有量はポリ乳酸系重合体100重量部に対してガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル3〜70重量部であり、少なくとも一軸方向に延伸された後に熱処理が施されることで、ヒートシール性能および溶断シール性能、熱寸法安定性を付与した、延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートが開示されている。
【0007】
特許第3182077号公報には、ポリ乳酸系重合体とポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルとを75:25〜20:80で混合してなるフィルムであって、引張弾性率を250kg/mm以下、光線透過率を65〜85%の範囲とした、柔軟性及び透明性に優れた生分解性フィルムが開示されている。
【0008】
特開2001−64414号公報には、ポリ乳酸系重合体と、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジヒドロキシ化合物及びカーボネート化合物からなる共重合体とを、重量比75:25〜20:80で混合した樹脂組成物から成形され、透明性、耐衝撃性に優れ、フィッシュアイが少ない、生分解性フィルムが開示されている。
【0009】
ヒートシール性能や柔軟性(耐衝撃性)を得るためには、ポリ乳酸系重合体に対しポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステル等をある範囲以上で混合する必要があり、その混合量が多いほど優れたヒートシール性能や柔軟性が得られる。しかし、脂肪族ポリエステル等は結晶性が高いため、混合量が多くなるほど透明性に劣りやすくなる。また、ポリ乳酸系重合体に対する相溶性の低いポリマーを混合する場合においても、混合量が多くなるほど透明性が劣りやすくなる。特に、二軸延伸を行った場合には、結晶化や相分離を生じることによりさらに透明性が劣るという問題があり、その改良が求められている。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−157408号公報
【0011】
【特許文献2】
特許第3182077号公報
【0012】
【特許文献3】
特開2001−64414号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、使用後に埋設・焼却等の廃棄処理を行っても自然環境に悪影響を及ぼさないものでありながら、透明性、ヒートシール性に優れた生分解性フィルムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとを特定の配合割合とした同時二軸延伸フィルムによって上記課題を解決できることを見出して、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとが、質量比で、(ポリ乳酸系重合体)/(他の生分解性ポリマー)=95/5〜60/40で配合され、同時二軸延伸されたフィルムであり、ヘイズが10%以下であることを特徴とする生分解性フィルム。
【0016】
(2)試料2枚を重ね合わせ130℃、0.2MPaの条件で2秒間ヒートシールして作成されたサンプルを、JIS K−6854に準じて剥離速度300mm/分で剥離するまでT型剥離試験を行ったときのピーク値が、2N/cm以上であることを特徴とする上記(1)記載の生分解性フィルム。
【0017】
(3)他の生分解性ポリマーが、ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族共重合ポリエステル、ポリエステルカーボネートから選ばれる少なくとも1種以上のポリマーからなることを特徴とする上記(1)または(2)記載の生分解性フィルム。
【0018】
(4)ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとを、質量比で、(ポリ乳酸系重合体)/(他の生分解性ポリマー)=95/5〜60/40の割合で配合し、この配合した原料を用いて、同時二軸延伸法により、ヘイズが10%以下のフィルムを得ることを特徴とする生分解性フィルムの製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるポリ乳酸系重合体としては、主成分が乳酸成分であればよく、ポリ乳酸が挙げられるとともに、乳酸またはラクチドと他のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、環状ラクトン等との共重合体が挙げられる。
【0020】
乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
【0021】
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0022】
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエ−テルポリオールや、ビス−ヒドロキシメチルベンゼン、トルエンジオール等の芳香族ジオールが挙げられる。
【0023】
環状ラクトンとしては、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、ピバロラクトン、グリコリド等が挙げられる。
ポリ乳酸系重合体の重合方法については、特に限定されないが、縮合重合法、開環重合法などが挙げられる。また、ポリ乳酸重合時もしくは重合直後に、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、脂肪族/芳香族ポリエステル、グリコリド、カプロラクトン等の1種以上の副成分を加えて、重合をさらに進める方法も採用可能である。
【0024】
本発明に用いられるポリ乳酸系重合体には、重合のどの段階でもかまわないが、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを添加することも可能である。また、前記重合後、加熱下、窒素等の不活性ガス流通下、または減圧下において固相重合を行い、その分子量を高めることも可能である。
【0025】
ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量は、5万以上50万以下であることが好ましい。より好ましくは10万〜30万である。重量平均分子量が5万未満であると、得られたフィルムの物性が劣る。一方、50万を越えると、溶融押出成形時に圧力が高くなり十分な押出量が得られない、押出機内での混練時の発熱が著しくなる等の困難が生じることがある。
【0026】
本発明に用いられるポリ乳酸系重合体以外の他の生分解性ポリマーとしては、ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族共重合ポリエステル、ポリエステルカーボネートが挙げられる。
【0027】
脂肪族ポリエステルとしては、L−乳酸またはD−乳酸以外のヒドロキシカルボン酸、ラクチド以外の環状ラクトンの重合体や共重合体およびそれらの混合物、例えば、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリヒドロキシブチレートバリレート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分とする重合体や共重合体およびそれらの混合物、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げられる。中でも、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートが好適に用いられる。
【0028】
脂肪族芳香族共重合ポリエステルとしては、脂肪族成分と芳香族成分を有するポリエステルであればよく、L−乳酸またはD−乳酸以外のヒドロキシカルボン酸、ラクチド以外の環状ラクトン、ジカルボン酸、ジオールからなる重合体や共重合体およびそれらの混合物等が挙げられる。中でも、脂肪族ジオールとしてポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、脂肪族ジカルボン酸としてコハク酸又はアジピン酸、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸を有するものが好ましい。
【0029】
ポリエステルカーボネートとしては、ジオールとジカルボン酸又はそのアルキルエステルあるいはジオールと炭酸ジエステルを反応させることにより得られるものを用いることができる。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート等が挙げられる。中でも、ジオールとしてエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジカルボン酸としてコハク酸又はアジピン酸、炭酸ジエステルとしてジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート又はジフェニルカーボネートを用いたものが好ましい。
【0030】
ポリ乳酸以外の他の生分解性ポリマーの重合方法についても、特に限定されない。また、重合のどの段階でもかまわないが、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを添加することも可能である。また、前記重合後、加熱下、窒素等の不活性ガス流通下、または減圧下において固相重合を行い、その分子量を高めることも可能である。
【0031】
ポリ乳酸以外の他の生分解性ポリマーの重量平均分子量は、1万以上50万以下であることが好ましい。より好ましくは2万〜30万である。重量平均分子量が1万未満であると、得られたフィルムの物性が劣り、一方、50万を越えると、溶融押出成形時に圧力が高くなり十分な押出量が得られない、押出機内での混練時の発熱が著しくなる等の困難が生じることがある。
【0032】
本発明のフィルムにおける、ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとの混合割合は、ポリ乳酸系重合体/他の生分解性ポリマー=95/5〜60/40(質量%)である。好ましくは、90/10〜70/30、さらに好ましくは85/15〜70/30である。ポリ乳酸系重合体の配合割合が95質量%を越えると、ヒートシール性が低下する。また、60質量%未満であると、機械的強力、寸法安定性、耐熱性、透明性等が低下する傾向にあり、また、ブロッキングが発生しやすくなり操業性が低下する。
【0033】
透明性に関し、本発明のフィルムのヘイズは、10%以下であることが必要である。用途にもよるが、ヘイズが10%を越えると、製袋加工をした場合に、商品を入れると中身が見えにくかったり、袋に印刷・ラミネート加工した場合に、インクの発色性、色彩の輝度が劣ったり、不鮮明になるなどして、商品の価値を低下させてしまうことがある。ヘイズは、好ましくは、8%以下である。
【0034】
一般に、フィルムを構成するポリマー中に大きな結晶が存在する場合(結晶が成長すると光を散乱しフィルムは白くなる)や、非相溶または相溶性が低く、屈折率の異なる他のポリマーが混合される場合や、フィルム中にボイドを含有する場合等には、フィルムの透明性が阻害される。特に、脂肪族ポリエステル等の結晶性の高いポリマーを混合する場合は、その混合量が多くなるほど透明性に劣る。また、相溶性の低いポリマーを混合する場合においても、その混合量が多くなるほど透明性が劣る。
【0035】
本発明のフィルムは、ヒートシール性に優れたものである。具体的には、フィルムにて形成された試料2枚を重ね合わせ130℃、0.2MPaの条件で2秒間ヒートシールして作成されたサンプルを、JIS K−6854に準じて剥離速度300mm/分で剥離するまでT型剥離試験を行ったときのピーク値が、2N/cm以上である程度に、ヒートシール性に優れたものであると、好適である。
【0036】
本発明においては、このようにポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとが特定の割合で配合された同時二軸延伸フィルムとすることにより、透明性及びヒートシール性に優れたフィルムが得られる。
【0037】
本発明のフィルムには、本発明の効果を阻害しない範囲において、フィルムの物性や加工性を調整する目的で、可塑剤、滑剤、無機フィラー、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、顔料等の添加剤、改質剤、あるいは、他の高分子材料等を添加またはコートすることが可能である。
【0038】
本発明のフィルムの厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。フィルムの厚みが5μm未満であるとフィルムのハンドリング性に劣り、反対に100μmを越えると経済性に劣り、好ましくない。
【0039】
本発明のフィルムは、後述の理由により、同時二軸延伸されたものであることが必要である。さもないと、上述のヘイズを10%以下にして優れた透明性を達成させることが実質的に不可能になる。
【0040】
次に本発明のフィルムの製造方法について説明する。溶融したポリマーをダイから押し出すための押出方法は、特に限定されないが、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられる。具体的には、例えば、原料を十分に乾燥し水分を除去した後、ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとを所定量配合して混合する。混合方法としては、リボンブレンダーやタンブラー等を用いた混合方法が好適である。または、押出機を用いてあらかじめ加熱溶融混練する方法がある。さらには必要に応じて添加剤を押出機のホッパーに供給したうえで、混合物を、組成に適した溶融温度130℃〜260℃で、押出機より所定の厚みに押出し、10〜60℃に制御された冷却ロールにて冷却し、厚さ50〜500μmの未延伸シートを得る。
【0041】
得られた未延伸シートは、同時二軸延伸処理が施される。その場合に、縦方向への予備延伸を行うことも可能である。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ式、ネジ式、リニアモーター駆動式の同時二軸延伸機があり、どの方式のものを用いてもかまわない。
【0042】
例えば、得られた未延伸シートをロール式の縦一軸延伸機に導いて、50℃〜110℃以下の温度で、1.0〜3.0倍の延伸倍率で縦方向に予備延伸を行い、続いて、パンタグラフ式同時二軸延伸機に導き、縦及び横方向に延伸温度50℃〜120℃で、各々1.5〜10.0倍の延伸倍率、好ましくは2.5〜8.0倍の延伸倍率で延伸する。
【0043】
上記したように、本発明のフィルムは、理由は定かではないものの、得られるフィルムの物性、特に、透明性及び操業性の点から同時二軸延伸を行うことが必要である。
【0044】
その理由は、明らかではないが、次のように考えることができる。
すなわち、逐次二軸延伸法を用いると、まず縦方向に大きく延伸されるため、フィルムを構成するポリマーの分子鎖が縦方向に引きそろえられ、結晶化した状態または非常に結晶化しやすい状態となる。そして、引き続いて行う横延伸に先立ちフィルムが再加熱されると、さらに安定な結晶状態へと進み、その横延伸が困難となり白化を生じやすくなる。このため、延伸条件等がきわめて狭い範囲に限定され、所要の透明度すなわちヘイズが10%以下となるフィルムを得ることは、実質的に不可能になる。
【0045】
しかし、本発明のように同時二軸延伸法を用いる場合は、上述のように理由は定かでないものの、縦及び横方向に同時に延伸するため、フィルムを構成するポリマーの分子鎖も縦及び横方向に同時に引っ張られ、分子鎖は方向性を持たずに伸びていく。そのため、延伸途上での結晶化が生じにくく、容易に延伸を継続していくことが可能であり、透明性に優れたフィルムが得られると考えることができる。また、縦方向と横方向の延伸比の選択幅が広くなり、特に、縦の延伸倍率を大きくとることも可能となる。縦の延伸倍率が高いフィルムは、縦方向の強度、弾性率、熱収縮率等の物性に優れたものとなり、後の加工性が良化する。
【0046】
同時二軸延伸を行った後、その内部応力を緩和し、適度に結晶化させて物性の安定化を図るため、熱処理が行われる。延伸後の熱処理方法は、特に限定されないが、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法、加熱されたロール上を接触走行させる方法等が挙げられる。なかでも、均一に精度よく加熱できる点で、熱風を吹き付ける方法が好ましく、得られた同時二軸延伸フィルムを、70℃〜170℃で熱処理を行うことが好ましい。
【0047】
本発明のフィルムには、インキやシーラント等との密着性を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、サンドプラスト処理等の表面処理を行ってもかまわない。あるいは、共押出法やラミネート加工、またはコーティング加工等により、接着層を設けてもかまわない。
【0048】
【実施例】
次に実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。しかし、本発明は、必ずしも以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
以下の実施例、比較例における各種物性の評価方法は、以下の通りである。
*透明性
日本電色社製ヘーズメーター(NDH 2000)を用い、JIS K 7105に準じて、全光線透過率(Tt)、拡散透過率(Td)、平行光線透過率(Tp:Tt−Td)、ヘ−ズ(Hz:Td/Tt×100)の測定を行った。
*強伸度
島津製作所社製オートグラフ(AG−100E)を用い、JIS K−7127に準じて、試料長100mm、幅10mmの試料を用いて、強度および伸度の測定をフィルムのMD方向およびTD方向について行った。
*ヒートシール性
フィルムから試料長100mm、幅10mmの試料を切り出し、2枚を重ね合わせ、20mm幅のヒートシールバーを有するヒートシーラーに直交するようにセットし、130℃で加熱し、0.2MPaの圧力で2秒間ヒートシールして、サンプルを得た。このサンプルについて、島津製作所社製オートグラフ(AGS−100B)を用い、JIS K−6854に準じて、剥離速度300mm/分で剥離するまで、T型剥離試験を行った。その結果のピーク値をヒートシール強度とし、このヒートシール強度が3N/cm以上のものを良として○、3N/cm未満のものを不良として×で、それぞれ評価を行った。
実施例1
ポリ乳酸(カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、ネイチャーワークス:D体=4モル%含有)90質量%と、脂肪族芳香族共重合ポリエステル(BASF社製、エコフレックス F)10質量%とを混合して用い、225℃で溶融し、Tダイより押出し、25℃のキャストロールに密着させて、未延伸シートを得た。この未延伸シートに、80℃で、縦方向3倍×横方向3倍の延伸倍率で同時二軸延伸を行い、125℃で熱処理して、厚み25μmの同時二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 2004099670
【0051】
実施例2
ポリ乳酸(カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、ネイチャーワークス:D体=1モル%含有)80質量%と、脂肪族芳香族共重合ポリエステル(イーストマンケミカル社製、イースターバイオ GP コポリエステル)20質量%とを用い、表1に示すように縦方向3倍×横方向4倍の延伸倍率で、実施例1と同様にして同時二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
実施例3
脂肪族芳香族共重合ポリエステルの代わりに脂肪族ポリエステル(昭和高分子社製、ビオノーレ#3001)を用い、表1に示す条件で、実施例1と同じポリ乳酸を用いて実施例1と同様にして同時二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
実施例4〜5
脂肪族芳香族共重合ポリエステルの代わりに脂肪族ポリエステルカーボネート(三菱瓦斯化学社製、ユーペック550)を用い、表1に示す配合割合および延伸条件で、実施例2と同じポリ乳酸を用いて実施例2と同様にして同時二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
比較例1
ポリ乳酸(カーギル・ダウ・ポリマーズ社製 ネイチャーワークス:D体=4モル%含有)90質量%と、脂肪族芳香族共重合ポリエステル(BASF社製、エコフレックス F)10質量%とを用い、230℃で溶融し、Tダイより押出し、25℃のキャストロールに密着させて、未延伸シートを得た。この未延伸シートを予熱ロール60℃で予熱し、延伸ロール70℃で縦方向に3倍延伸し、引き続いて80℃のテンター内で、横方向に3倍延伸した。その後、125℃で熱処理し、厚み25μmの逐次二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
比較例2
ポリ乳酸(カーギル・ダウ・ポリマーズ社製 ネイチャーワークス:D体=1モル%含有)80質量%と、脂肪族芳香族共重合ポリエステル(イーストマンケミカル社製、イースターバイオ GP コポリエステル)20質量%とを用い、表1に示す延伸条件で、比較例1と同様に逐次二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
比較例3
脂肪族芳香族共重合ポリエステルの代わりに脂肪族ポリエステル(昭和高分子社製、ビオノーレ#3001)を用い、表1に示す条件で、比較例1と同じポリ乳酸を用いて比較例1と同様に逐次二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
比較例4
脂肪族芳香族共重合ポリエステルの代わりに脂肪族ポリエステルカーボネート(三菱瓦斯化学社製、ユーペック550)を用い、表1に示す配合割合および延伸条件で、比較例2と同じポリ乳酸を用いて比較例2と同様にして逐次二軸延伸フィルムを得ようとした。しかし、延伸ムラを生じ、製膜が困難であったため、フィルムを得ることができなかった。
比較例5
脂肪族芳香族共重合ポリエステルの代わりに脂肪族ポリエステルカーボネート(三菱瓦斯化学社製、ユーペック550)を用い、表1に示す配合割合および延伸条件で、比較例2と同じポリ乳酸を用いて比較例2と同様にして逐次二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
比較例6
表1に示す配合割合とした。そして、それ以外は実施例1と同様にして、同時二軸延伸フィルムを得ようとした。しかし、ポリ乳酸の配合割合が低過ぎたことで、混練ムラを生じ、製膜が困難であったため、フィルムを得ることができなかった。
比較例7
表1に示すように、実施例2で用いたのと同じポリ乳酸のみを原料として、表1に示す延伸条件で、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0052】
実施例1〜5のフィルムは、いずれも、所要の強度および伸度を備えたうえで、ヘーズが10%以下と透明性が高く、またヒートシール性にも優れたものであった。
【0053】
比較例1〜3および比較例5のフィルムは、本発明の同時二軸延伸フィルムではなく、逐次二軸延伸フィルムであったため、ヘーズが10%を越えて透明性に劣るものであった。
【0054】
比較例7のフィルムは、ポリ乳酸100%のフィルムであったため、ヒートシール性に劣るものであった。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明の生分解性フィルムは、ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとの配合割合が質量比で95/5〜60/40であり、同時二軸延伸されたものであり、ヘイズが10%以下であるため、使用後、埋設・焼却等の廃棄処理を行っても、自然環境に悪影響を及ぼさず、しかも、透明性、ヒートシール性に優れており、したがって有用なフィルムである。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとが、質量比で、(ポリ乳酸系重合体)/(他の生分解性ポリマー)=95/5〜60/40で配合され、同時二軸延伸されたフィルムであり、ヘイズが10%以下であることを特徴とする生分解性フィルム。
  2. 試料2枚を重ね合わせ130℃、0.2MPaの条件で2秒間ヒートシールして作成されたサンプルを、JIS K−6854に準じて剥離速度300mm/分で剥離するまでT型剥離試験を行ったときのピーク値が、2N/cm以上であることを特徴とする請求項1記載の生分解性フィルム。
  3. 他の生分解性ポリマーが、ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族共重合ポリエステル、ポリエステルカーボネートから選ばれる少なくとも1種以上のポリマーからなることを特徴とする請求項1または2記載の生分解性フィルム。
  4. ポリ乳酸系重合体と他の生分解性ポリマーとを、質量比で、(ポリ乳酸系重合体)/(他の生分解性ポリマー)=95/5〜60/40の割合で配合し、この配合した原料を用いて、同時二軸延伸法により、ヘイズが10%以下のフィルムを得ることを特徴とする生分解性フィルムの製造方法。
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