JP2004099563A - 栄養組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】肝不全患者の栄養管理および栄養治療に有用な栄養組成物を提供することを課題とする。また本発明は、手術や感染、熱傷などの生体侵襲下の患者における代謝・栄養管理に有用な栄養組成物を提供する。さらにまた本発明は、炎症性疾患患者の病態改善に有用な栄養組成物を提供する。
【解決手段】乳清タンパク質加水分解物、脂質代謝改善作用を有するレシチンおよび高オレイン酸含有油脂、ならびにインスリン節約効果を有するパラチノースを必須成分として含む栄養組成物が、ガラクトサミン肝障害の発症を抑制することを見出した。また、該栄養組成物中に含まれるホエイタンパク質加水分解物が、マクロファージにおけるエンドトキシン誘導性TNF−αおよびインターロイキン6(IL−6)産生を抑制することを見出した。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肝疾患患者の栄養管理および栄養治療に有用な栄養組成物に関する。また本発明は、手術や感染、熱傷などの生体侵襲下の患者における代謝・栄養管理に有用な栄養組成物に関する。さらにまた本発明は、炎症性疾患患者の病態改善に有用な栄養組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
肝疾患の栄養病態は、糖質代謝では一般に解糖系酵素活性の変化と、末梢におけるインスリン感受性の低下により耐糖能異常が高頻度にみられる。とくに、肝硬変ではエネルギー消費が亢進し、エネルギー基質として糖質利用率も低下する。タンパク代謝では肝炎や肝硬変で、血漿アミノ酸の不均衡(分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸の比(Fischer比)の低下)、タンパク異化の亢進、負の窒素出納による低タンパク血症、高アンモニア血症がみられる。さらに、脂質代謝では多価飽和脂肪酸の減少、脂溶性ビタミンの低下が顕在化する。
肝硬変のうち、代償性と非代償性で病態も違い、その代謝・栄養管理も異なる。代償性肝硬変ではおおむね慢性肝炎に準じた管理方針でよい。しかし、非代償性肝硬変では慢性肝不全状態にあり、タンパク異化亢進が存在するため、過剰のタンパク質投与は高アンモニア血症を招きかねない。分枝鎖アミノ酸(BCAA)であるバリン、ロイシン、イソロイシンの経口投与は末梢組織のタンパク異化を抑制し、肝でのタンパク合成を促進する。さらに、筋で代謝されたBCAAはアラニンとなり、肝での糖新生(グルコース−アラニン回路)を活性化してエネルギー基質としての糖利用効率の改善に働く。これらのことから、骨格筋でのエネルギー不足を補充するため、BCAA 製剤(ヘパンED、アミノレバンEN:50〜150 g/day)が用いられている。
また、BCAAの他にアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸など多価不飽和脂肪酸を配合した上、腸内環境を整えるために難消化性のラクツロースおよびラフィノースを配合した食品タイプの液状流動食品「ヘパネシア」の、慢性肝不全患者における付加摂取の効果(栄養状態、臨床効果等)が報告されている(JJPEN. Vol.22 No.7: 475−484, 2000 )。
【0003】
一方、生体は、手術や感染、熱傷など過度の侵襲を受けると、局所や全身の炎症性メディエーターの産生が亢進する。なかでもサイトカインは、循環系、内分泌系、免疫系、代謝系などに多彩な反応を引き起こす重要なメディエーターである。
一般に侵襲時に対する代謝反応の特徴は、体タンパク、とくに骨格筋のタンパク分解亢進、脂肪分解亢進によるグリセロールと脂肪酸の産生、さらに肝でのグルコース新生や急性タンパク、アルブミン産生などである。一方、免疫系は細胞性・液性免疫とも抑制されると考えられ、さらに侵襲時には著しいタンパク異化亢進に伴い、免疫に関与するタンパク合成の低下が予想される。
このような侵襲生体での代謝変化に、各種のサイトカインが関与していることは、サイトカイン自体の投与実験、サイトカイン産生、あるいはその作用をブロックする実験などで明らかにされてきた。すなわち、TNF、IL−1、IL−6による代謝変動は、(1) 糖代謝においては、高血糖・低血糖、グリコーゲン分解亢進であり(Science, 234: 470−474, 1986; Am. J. Physiol., 262: E275−E281, 1992; Biophys. Res. Commun., 149: 1−6, 1987)、(2) アミノ酸・タンパク代謝においては、筋崩壊・アミノ酸放出増加、腸グルタミン摂取増加、腸アラニン放出増加、肝アミノ酸摂取増加、急性相タンパク合成亢進であり(Am. J. Physiol., 253: C766−C773, 1987; 藤田淳也・他: 日本臨床・経腸栄養研究会誌. 11: 80−83, 1996; Am. J. Physiol., 262: E275−E281, 1992 )、そして(3) 脂質代謝においては、脂肪酸分解亢進、lipoprotein lipase活性低下である(Adv. Intern. Med., 35: 45−72, 1990; Endocrinology. 124: 2336, 1989; Endocrinology. 125: 267, 1989)。
【0004】
サイトカインによる侵襲時の代謝異常や臓器障害を防止するには、局所のサイトカインは正常に産生させるが、全身へのこの波及を防止する方法が合理的である。そのような方法として、経腸栄養やω−3系脂肪酸、あるいは成長ホルモンなどがある。
栄養投与経路の相違による侵襲時のサイトカイン産生の相違についていくつかの報告がある。侵襲のない健康成人では、経腸栄養あるいは経静脈栄養の1週間の施行で、血中のTNFやIL−6値に明らかな相違は生じない(New Horizon. 2: 164−174, 1994 )が、健康成人で経腸栄養あるいは経静脈栄養を7日間施行した後、エンドトキシンを静注すると、そのさいの発熱やTNF、侵襲ホルモン分泌などの全身生体反応が経静脈栄養よりも経腸栄養で軽微であることが報告されている(Ann. Surg. 210: 449−457, 1989 )。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、肝不全患者の栄養管理および栄養治療に有用な栄養組成物を提供することを課題とする。また本発明は、手術や感染、熱傷などの生体侵襲下の患者における代謝・栄養管理に有用な栄養組成物を提供することを課題とする。さらにまた本発明は、炎症性疾患患者の病態改善に有用な栄養組成物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、乳清(ホエイ)タンパク質加水分解物、脂質代謝改善作用を有するレシチンおよび高オレイン酸含有油脂、ならびにインスリン節約効果を有するパラチノースを必須成分として含む栄養組成物が、ガラクトサミン肝障害発症を抑制することを見出した。また、該栄養組成物中に含まれるホエイタンパク質加水分解物が、マクロファージにおけるエンドトキシン誘導性TNF−αおよびインターロイキン6(IL−6)産生を抑制することを見出した。これらの結果から、本発明の栄養組成物は、肝疾患患者の栄養管理および栄養治療、そして手術や感染、熱傷などの生体侵襲下にある患者の代謝・栄養管理さらに炎症性疾患の病態改善に有用であることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)タンパク質としてホエイタンパク加水分解物および発酵乳由来のタンパク質、脂質として高オレイン酸含有油脂およびレシチン、ならびに糖質としてパラチノースを含む肝疾患患者用栄養組成物、
(2)さらにラクツロース、ラクチトールまたはラフィノースを含む(1)の栄養組成物、
(3)発酵乳由来のタンパク質がクワルクである(1)の栄養組成物、
(4)レシチンが乳由来および大豆由来である(1)の栄養組成物、
(5)タンパク質としてホエイタンパク加水分解物および発酵乳由来のタンパク質、脂質として高オレイン酸含有油脂およびレシチン、ならびに糖質としてパラチノースを含む高度侵襲患者用栄養組成物、
(6)さらにラクツロース、ラクチトールまたはラフィノースを含む(5)の高度侵襲患者用栄養組成物、
(7)発酵乳由来のタンパク質がクワルクである(5)の栄養組成物、
(8)レシチンが乳由来および大豆由来である(5)の栄養組成物、
からなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
1.タンパク質
1−1 ホエイタンパク加水分解物
本発明に用いることのできるホエイタンパク加水分解物は、例えば、以下のものがあげられる。特許第3183945は、加熱変性したホエイタンパク質分離物(WPI)を、エンドペプチダーゼおよびエキソペプチダーゼで加水分解後、この加水分解物中の芳香族アミノ酸をイオン交換樹脂で吸着処理することのより、Fischer比が10以上、分岐鎖アミノ酸が15 %以上、芳香族アミノ酸が2 %未満のホエイタンパク加水分解物(分子量200〜3,000のペプチド混合物)を開示している。
特表平6−50756は、タンパク質含量が少なくとも65 %のホエイタンパク濃縮物(WPC)の12 %水溶液を、60 ℃を超える温度で熱処理後、B. licheniformis由来のアルカラーゼおよびB. subtilis由来のニュートラーゼで15〜35 %のDHまで加水分解し、この加水分解物を、10,000を超えるカットオフ値をもつ限外濾過(Ultrafiltration:UF )後、ナノ濾過(Nanofiltration:NF )で濃縮し、このNF保持液を噴霧乾燥して、無臭で苦味の少ないホエイタンパク加水分解物を開示している。
市販されているものとしては、例えばIF03090(Arla Foods )、WE80BH(DMV )、HWP206(Tatua)、Biozate−5(Davisco)、Proliant 8350(Proliant)などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
1−2 発酵乳由来タンパク質
乳酸発酵により乳タンパクの一部がアミノ酸やペプチドに分解したタンパク質は消化吸収がよく、好適である。このようなタンパクとして、例えばクワルク(Quarq )があげられる。
クワルクは、非熟成型(フレッシュ)チーズで、脂肪含量が低く、爽やかなフレーバーと酸味が特徴である。一般的には、次のような工程で製造される。脱脂乳を殺菌する。乳酸菌スターター(Streptococcus thermophilusおよびLactococcus lactis subsp. lactisの混合培養 )を0.5〜5 %接種し発酵させる。酸度が0.20〜0.21になったとき、レンネットを添加する。pH 4.6に達するとカードが形成される。カードをカッターで切断し、攪拌しながら58〜60℃に加温する。クワルクセパレーターにかけホエーを分離し、得られたカードを冷却する。クワルクの組成の一例は、全固形分17〜19 %、タンパク質11〜13 %、脂肪1 %>、炭水化物2〜8 %、乳糖3 %>である。
その他では、レンネットを使用しないで乳酸菌のみで凝固させたものも使用可能である。例えば、ラクトコッカスに属するラクチス菌・クレモリス菌とロイコノストック属の菌種の混合培養を脱脂乳に添加、培養し、ホエイを排除して得らる。
【0010】
2.脂質
2−1 リン脂質
リン脂質として乳由来レシチンおよび大豆由来レシチンを用いる。レシチンという用語は、生化学、医学、薬学などの分野ではホスファチジルコリンだけに使用しているが、商業的あるいは工業的には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸および他のリン脂質の混合物の総称として使われている。食品添加物公定書第7版(1999)では、レシチンは、「油糧種子又は動物原料から得られたもので、その主成分は、リン脂質である」、と定義されている。本発明では乳由来のリン脂質も一括して「乳由来レシチン」と称する。
・ 乳由来レシチン
牛乳リン脂質は、スフィンゴミエリン(Sph)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)、リゾホスファチジルコリン(LPC)からなり、牛乳脂肪球皮膜(MFGM)のみに局在している。MFGMリン脂質画分の成分組成を表1(乳業技術 Bulletin of Japan Dairy Technical Association:Vol. 50:pp. 58−91, 2000)に示す。
【0011】
【表1】
Figure 2004099563
【0012】
MFGMを多く含むものとして、限外濾過(ultrafiltration:UF)および精密濾過(microfiltration:MF)の組み合わせで製造されるWPIの副産物(MF保持液)の凍結乾燥物、ホエイクリームからバターオイルを除いた画分(バターゼラム)などが挙げられる。バターゼラムよりエタノールで数回抽出して濃縮した脂質画分、またはアセトン不溶性画分(α−Lipid:ニュージランドのAnchor Pruducts 社)を用いてもよい。
大豆レシチン
大豆レシチンは天然の食品添加物として、食品分野で広く使われる一方、ポリエンホスファチジルコリンは医薬品(適応:慢性肝疾患における肝機能の改善、脂肪肝、高脂質血症)としても使われている。大豆レシチンの生理作用として、(1) 生体膜の形態と機能の調整、(2) 肺機能改善、(3) 動脈硬化症の改善、(4) 脂質代謝の改善、(5) 肝臓脂質代謝の改善および(6)神経機能の改善、向上、が挙げられている(食品と開発, Vol. 29(3):18−21, 1994 )。
いわゆる天然系の一連のレシチン製品に関しては、通常、製品中のPC含量によって序列されている。レシチンの用途に応じてグレートアップした各種のレシチンが製造されている。大豆レシチンの精製、分画による主なPC含量の違いにより、大豆レシチン製品は便宜的に表2のように分類されている(藤川琢馬:油化学第40巻(10), pp.951−p58, 1991 )。
【0013】
【表2】
Figure 2004099563
【0014】
2−2 その他の脂質
厚生省(厚生労働省)は、飽和脂肪酸(SFA:パルミチン酸、ステアリン酸等):一価不飽和脂肪酸(MUFA:オレイン酸等):多価不飽和脂肪酸(PUFA:リノール酸、リノレン酸等)の望ましい摂取比率を従来の1:1.5:1から3:4:3となるよう、また、n−6系脂肪酸:n−3系脂肪酸の比率が4:1となるよう勧告している。我が国において、MUFAの摂取比を1.5倍まで高めた食生活の実施は難しいということが理由の一つである。そこで、脂質の脂肪酸組成中一価不飽和脂肪酸(MUFA)の含量を高める。そのために一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を脂肪酸組成中50%以上、好ましくは60〜80%配合する。オレイン酸を多く含む脂質源としては、例えば、高オレイン酸のハイオレイックヒマワリ油、ナタネ油、オリーブ油、高オレイン酸ベニバナ油、大豆油、コーン油、パーム油などが挙げられる。またオレイン酸を含む脂質源として栄養調製油脂(日本油脂(株))が挙げられる。ヒマワリ油、ナタネ油、オリーブ油、およびオリーブ油との混合物も用いることができる。
【0015】
3.糖質および食物繊維
糖質としては、パラチノースを種とする。その他の糖質としては、糖アルコール(ソルビトール、キシリトール、マルチトールなど)、ハチミツ、グラニュー糖、ブドウ糖、果糖、転化などがあげられる。
パラチノースは、パラチノースシロップ、還元パラチノースあるいはパラチノース水飴などを含む。パラチノース水飴は、パラチノースの脱水縮合によって生じる四糖、六糖、八糖等のオリゴ糖を主成分とする水飴状の液状物である。パラチノースはショ糖と同様にグルコースとフルクトースに消化されて吸収され〔合田敏尚・他:日本栄養・食糧学会誌, Vol. 36(3): 169−173, 1983 )るが、その加水分解速度がショ糖の1/5と遅い(Tsuji, Y. et al.: J. Nutr. Sci. Vitaminol., 32: 93−100, 1986 〕ために、摂取後の血中グルコースおよびインスリン濃度を一定レベルに長時間維持する〔Kawai, K. et al.: Endocrinol, Japan, 32(6): 933−936, 1985〕。
タンパク質、脂質および糖質のエネルギー比率は、第六次改定日本人の栄養所要量にほぼ準ずる。
食物繊維は水溶性食物繊維および不溶性食物繊維に分けられる。水溶性食物繊維として、難消化性オリゴ糖のラクツロース、ラクチトール、あるいはラフィノースを用いることができる。難消化性オリゴ糖の生理機能としては、未消化物のまま大腸に到達し、腸内ビフィズス菌の活性化および増殖に寄与し、腸内環境の改善すなわち整腸効果を有することが知られている。ラクツロースは、ガラクトースとフルクトースからなる合成二糖類であり、高アンモニア血症用に対する基本的な薬剤として使用される(Bircher, J. et al.: Lancet i: 890, 1965 )。慢性肝不全による慢性再発型肝性脳症は、ラクツロースの投与、肝不全用特殊アミノ酸輸液(Fischer液)などに対してよく反応する。第二世代のラクツロースというべきラクチトール(β−galactosyl−sorbitol )の慢性肝性脳症に対する臨床効果はラクツロースと同程度であり(Lanthier, PL.and Morgan, M.: Gut, 26: 415, 1985; Uribe, M., et al.: Dig. Dis. Sci., 32: 1345, 1987; Heredia, D. et al.: J. Hepatol, 7: 106, 1988; Riggio, O., et al.: Dig. Dis. Sci., 34: 823, 1989)、現在高アンモニア血症治療剤として用いられている。
【0016】
その他の水溶性食物繊維の候補として、脂質代謝改善作用(コレステロールや中性脂肪の低下)を有するペクチン(プロとペクチン、ペクチニン酸、ペクチン酸)、グアーガム・酵素分解物、タマリンドシードガムなどが挙げられる。グアーガム分解物には血糖値上昇抑制作用およびインスリン節約効果もみられる(大和谷一彦・他:日本栄養・食糧学会誌, 46: 199, 1993 )。さらに、水溶性食物繊維の候補として、高分子水溶性食物繊維では、こんにゃくグルコマンナン、アルギン酸・低分子アルギン酸、サイリウム、アラビアガム、海藻多糖類(セルロース、リグニン様物質、寒天、カラギーナン、アルギン酸、フコダイン、ラミナン)、微生物ガム(ウエランガム、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、プルラン、ラムザンガム)、その他のガム(種子由来のローカストビーンガム、タマリンドガム、タラガム、樹液由来のカラヤガム、トラガントガム)など、低分子水溶性食物繊維のポリデキストロース、難消化性デキストリン、マルチトールなどが挙げられる。
不溶性食物繊維は、大腸での不消化物のカサを増やし、通過時間を短縮する。その結果排便回数が増し、便量の増加をもたらす。不溶性食物繊維の候補として、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン・キトサン、大豆食物繊維、小麦ふすま、パインファイバー、コーンファイバー、ビートファイバーなどが挙げられる。
【0017】
4.ビタミン
現在ビタミンは13種類が知られている。そのうち肝臓に深いかかわりをもつことが知られているのは、ビタミンA、B群(B、B、ニコチン酸、B、パントテン酸、葉酸、B12、ビオチン)およびKである。肝障害との関連においては、Aの欠乏症と過剰症、B群の欠乏症、Kの過剰症が主として問題になる。
ビタミンAは閉塞性黄疸などで腸管内に胆汁が不足すると吸収率が低下し欠乏が起こる。また、タンパク低栄養状態では、レチノール結合タンパク(RBP)の生成が低下するためビタミンAが目標器官に輸送されず、欠乏症状が発現する。非代償性肝硬変などの場合は比較的少量でビタミンAの過剰による中毒症状が発現する。慢性肝疾患ではビタミンB群の利用障害がみられる。ビタミンKは腸内細菌が合成したものも利用されるので、通常は起こることがないが、閉塞性黄疸などで腸管内に胆汁が不足すると吸収率が低下する。
このようにビタミンと肝臓とのかかわりに基づいて、各種ビタミンの適切な量を本栄養組成物に含ませることができる。
【0018】
5.ミネラル
体液管理を行う場合に通常問題となる電解質は、ナトリウム、塩素、カリウム、リン、カルシウムおよびマグネシウムである。ミネラルの処方を組み立てるさいには、(1) 細胞内に取り込まれるミネラルが十分に配分されているか、(2) 患者の内分泌環境が、投与しようとしている栄養基質の量とと種類に十分対応できるか、(3) 腎に対する浸透圧物質負荷量の推測と適正な尿浸透圧を維持するための投与水分量はどうか、の3点に配慮する。
鉄、または天然物由来の微量元素、例えば酵母ミネラルの銅、亜鉛、セレン、マンガン、クロムなどが含まれる。グルコン酸銅、グルコン亜鉛なども使用可能である。
栄養組成物の浸透圧は約300〜1000mOsm/l、例えば約300〜750mOsm/lの浸透圧を有する。室温で測定する場合、栄養組成物の粘度は、約5〜40cp(1cp = 0.001
Pa・s)、好ましくは20未満である。
栄養組成物のカロリーは、約0.7〜3kcal/ml、好ましくは、1〜1.5kcal/mlである。
栄養組成物は、直接使用できる形態であることが望ましい。この形態で組成物は、経管で鼻−胃、空腸を経て、また、経口摂取することができる。このような栄養組成物は、各種形態、例えば、果実ジュース型飲料、ミルクシェーク型飲料などであってもよい。また、栄養組成物は、使用前に再構成できる可溶性粉末であってもよい。
栄養組成物は、各種フレーバー(例えばバニラなど)、甘味料および他の添加物を含むことができる。人工甘味料、例えばアスパルテームなどが使用できる。
また、便臭低減効果のあるシャンピニオンエキスを5mg〜500mg(0.005%〜0.5%)、栄養強化の目的で、カロチノイド製剤(例えば、α−カロチン、 β−カロチン、リコピン、ルテインなどを含む)を10μg〜200μg (0.00001%〜0.0002%)含ませることもできる。
さらにまた、抗酸化剤として、カテキン、ポリフェノールなどを含ませることもできる。
栄養組成物は、例えば、表1に示す配合のタンパク、糖質および脂質を混合することにより製造できる。この場合、乳化剤を混合物に含ませることができる。
【0019】
本発明の栄養組成物の製造は、当業界公知の方法で実施できる。例えば、液状栄養組成物を予め加熱滅菌した後、無菌的に容器に充填する方法(例えば、UHT滅菌法とアセプティック包装法を併用した方法)、また、液状栄養組成物を容器に充填した後、容器とともに加熱滅菌する方法(例えば、オートクレーブ法)などである。
使用形態が液状の場合、均質化物は、缶容器に充填し、レトルト殺菌を行うか、または、再度、約140〜145℃で約5〜8秒間加熱殺菌後、冷却し、無菌充填を行う。使用形態が粉末の場合、均質化物は例えば噴霧乾燥する。
本発明の栄養組成物は、食品タイプとして、急性肝炎(劇症肝炎)、慢性肝炎、代償性肝硬変、非代償性肝硬変の栄養管理に用いることができる。とくに肝性脳症の発現の可能性を有する慢性肝不全の栄養管理に有用である。とくに、食事摂取が可能な慢性肝不全患者の栄養補充に用いることができる。
また、本発明の栄養組成物は、手術や感染、熱傷などの侵襲下の患者の栄養管理に用いることができる。
本発明の栄養組成物は、肝疾患患者の治療食用食品(肝臓病食)、あるいは経管・経腸栄養組成物としても用いることができる。
患者への栄養組成物の給与は、患者の状態、患者の体重、患者の年令および栄養組成物が栄養の唯一のものであるかにより異なる。そしてその給与量は、患者の担当医により決定される。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例および試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1] 栄養組成物の調製
表3に示す成分を含む栄養組成物を常法により調製した。
【0021】
【表3】
Figure 2004099563
【0022】
ホエイタンパク加水分解物(IF−3090)のアミノ酸組成を表4に示す。
【0023】
【表4】
Figure 2004099563
【0024】
調製油脂は、ハイオレィックひまわり93 %およびしそ油7%からなり、n−6/n−3が1.54である。その組成を表5に示す。
【0025】
【表5】
Figure 2004099563
【0026】
乳由来のリン脂質の組成を表6に示す。
【0027】
【表6】
Figure 2004099563
【0028】
[試験例1]  ガラクトサミン肝障害抑制効果
本発明の栄養組成物および比較対照としてメイバランスCの、ラットガラクトサミン肝炎に対する抑制効果を調べた。メイバランスC〔明治乳業株式会社〕は、半消化態の総合流動栄養食である。
・材料および方法
Sprague−Dawley系雄ラット(6週齡、日本SLC(株))を1週間予備飼育後、体重により、表1に示す栄養組成物飼育群(n=8)およびメイバランスC飼育群(n=8)に群分けした。ホエイタンパク加水分解物は、Arla Foods社(デンマーク)のIF3090、パラチノースは新三井製糖(株)、新調製油脂は日本油脂株式会社、乳由来リン脂質はニュージランドのAnchor Products社より購入した。
各群に対し、D−ガラクトサミン塩酸塩(D−galactosamine・HCl:和光純薬株式会社)を生理食塩水200 mg/mLで溶解して、その300mg/kgをラットの腹腔内に投与した(この日をday 0とする)。投与後、飼料を、栄養組成物あるいはメイバランスCに切り替えた。day 7にガラクトサミン塩酸塩600mg/kgを各群ラットの腹腔内に投与した。day 9に、4時間絶食後、ジエチルエーテル麻酔下、腹部大動脈より採血し、遠心(3,000 rpm、10分間)して血清を得、測定日(翌日)まで−20℃に保存した。血清中のアンモニア濃度は採血日に測定した。また、肝臓および脾臓を摘出し重量を測定した。血清中のAST(GOT)、ALT(GPT)、総タンパク、アルブミン、アンモニア、コレステロールおよびトリグリセリドの生化学検査的を富士ドライケムを用いて実施した。また、肝重量および脾重量を測定し、剖検した。実験期間中、飼料および水は自由摂取させた。体重および飼料摂取量を測定した。
生化学検査の結果は平均±標準誤差で示し。統計的処理は、分散の等しい場合はStudent−t検定、分散が等しくない場合はMann−Whitney検定を用いた。有意水準を5%未満とした。
GOTおよびGPTの測定結果を図1に示す。また、体重、餌の摂取量、肝重量、脾重量、総タンパク、アルブミン、アンモニア、コレステロールおよびトリグリセリドの測定結果を表7にまとめた。
【0029】
【表7】
Figure 2004099563
【0030】
図1に示すように、ガラクトサミン肝障害モデルにおいて、メイバランスC摂取群の血清GOTおよびGPTは上昇したが、栄養組成物摂取群で有意に抑制された。また、栄養組成物摂取群の血清総タンパク量、アルブミン量、コレステロール量およびトリグリセリド量はメイバランスC群に対して有意に上昇し、アンモニア量は有意(p<0.05)に抑制された。
一方、栄養組成物摂取群とメイバランスC群の餌の摂取量はほとんど同一で差は認められないが、栄養組成物摂取群の体重、肝重量および脾臓重量はメイバランスC群のそれらに比較して有意(p<0.05)に増加した。
GOTおよびGPTは肝細胞が変性もしくは壊死に至ると血中に逸脱するもので、その血清中の活性を測定することによって、主に器質的な障害の程度を把握することが可能である。また、血清総タンパク量、アルブミン量、コレステロール量およびトリグリセリド量は、必ずしも器質的障害と平行した変動を示すとは限らないが、タンパク合成や脂質代謝などの予備能を含めた肝の機能的側面に対する効能を評価するのに役立つ。
これらの結果から、本発明の栄養組成物は、慢性肝不全の栄養治療に有効であることが期待される。
【0031】
[試験例2]ホエイタンパク加水分解物の抗炎症作用
方法
6週齢のICR系雄マウス(日本エスエルシー(株))を1週間予備飼育後、体重の平均値が等しくなるように3群(各群6匹)に分けた。タンパク質源として、100 %カゼイン(対照群)、50 %カゼイン+50 % ホエイタンパク分離物(WPI、:Davisco Foods社)、あるいは50 %カゼイン+50 % ホエイタンパク加水分解物(PEPTIGEN IF−3090:Arla Foods社)を精製飼料(AIN93M)に14 %(重量)添加した実験飼料を各群に与え7日間飼育した。
飼育後マウスの腹腔内にリポ多糖(LPS)を1.4μg/g体重の用量で投与した。90分後に眼窩採血し、遠心操作(10,000×g、15分間)により血清を得た。血清中のTNF−αおよびIL−6をELISAキット(Amersham bioscience社)により測定した。Fisher PLSDにより群間の有意差検定を行った。血清中のTNF−α濃度を図2に、IL−6濃度を図3に示す。
【0032】
<結果>
LPS投与後のTNF−α産生量は、カゼイン群(対照群)に対して、WPI群およびWE80BH群では抑制傾向がみられ、PEPTIGEN IF−3090群では有意(p=0.033)に抑制された(図2)。
一方、IL−6の産生量は、カゼイン群(対照群)に対して、WPI群では抑制傾向がみられ、WE80BH群およびPEPTIGEN IF−3090群では有意(p=0.0002)に抑制された(図3)。
以上の結果から、PEPTIGEN IF−3090(以降「IF−3090」という)を経口摂取すると、その後のLPS刺激によるTNF−αおよびIL−6産生を有意に抑制することが見出されたので、IF−3090の配合量を種々変えてTNF−α産生抑制効果を調べた。
すなわち、タンパク質源として、100 %カゼイン、80 %カゼイン+20 % IF−3090、70 %カゼイン+30 % IF−3090、および50 %カゼイン+50 % IF−3090について同様の実験を行った。F検定後、Bonferroni/Dunn検定により群間の有意差検定を行った。結果を図4に示す。
LPS投与後のTNF−α産生量は、カゼイン群に対して、20 % IF−3090群で抑制傾向がみられ、30 % IF−3090群および50 % IF−3090群で有意(p=0.0496およびp=0.0479)に抑制された。
【0033】
<考察>
1.肝疾患とTNF−αとの関連について
TNF−α、IL−1、IL−6は炎症や免疫反応に際し、主にマクロファージ系細胞と内皮細胞により産生され、それ自身が発熱物質として作用するとともに肝細胞に直接働き、急性期タンパク(CRP)の産生を促す(Hepatology 23: 909−916, 1996;J. Immunol., 146: 3032−3037, 1991;Intensive Care Med., 24: 224−229, 1998;Hepatology 9: 497−499, 1989)。
とくに、急性肝炎(とりわけ劇症肝炎)やアルコール性肝障害などの病態では、発熱、白血球増多、CRP陽性など炎症性サイトカインの関与を示す所見を認める。
TNF−αは、エンドトキシン刺激によりマクロファージから産生され、多臓器不全を誘導することがある(肝不全−基礎と臨床, 日本医事新報社, 東京, 1994, pp30−46;肝不全−基礎と臨床, 日本医事新報社, 東京, 1994, pp123−137)。実際、劇症肝炎患者では網内系機能の低下があり、高エンドトキシン血症の続発がしばしば観察され、TNF−αやIL−1の産生が生体内で亢進していると考えられている(Lancet 2: 72−74, 1988 )。劇症肝炎患者血中の炎症性サイトカイン濃度は急性肝炎に比べ、ほとんど有意に上昇し、とくにTNF−αとIL−6濃度は、肝再生の指標とされるヒト肝細胞増殖因子(HGF)のそれとよい相関を示す(Clin. Exp. Immunol., 98: 71−77, 1994 )。
【0034】
一方、慢性肝疾患である肝硬変患者の炎症性サイトカインの血中濃度は、非肝硬変患者のそれに比べて有意に高いこと、また、病因にかかわらず炎症より肝機能障害を反映している可能性が示されている(Gastroenterology 103: 264−274,1992 )。B型慢性肝炎患者のIL−1産生は亢進しており、肝線維化の程度とよい相関を認め、IL−1が肝硬変への進展に重要であるとする報告がある(Gastroenterology 94: 999−1005, 1988)。
肝疾患とIL−6との関連について
アルコール性肝硬変では、血中IL−6値と末梢血単核球のIL−6産生は増えており、その程度はIgA値と正の、IL−2やIFN−γ産生とは負の相関を示す(Clin. Exp. Immunol., 77: 221−225, 1989 )。慢性肝炎の急性増悪時にも血中IL−6活性は上昇しており(Am. J. Gastroenterol., 86: 1804−1808, 1991 )、血中IL−6値と末梢血単核球の非刺激時のIL−6産生は、それぞれ肝内の炎症の程度をよく反映するものと思われる。
急性ウイルス性肝炎では、IL−6は、類洞壁内皮細胞、クッパー細胞、侵潤単核球に検出され(J. Clin. Pathol., 45: 408−411, 1992 )、慢性肝炎では、主に門脈域の侵潤リンパ球や線維芽細胞に検出される。したがって、IL−6の発現は、急性および慢性肝疾患において、病因にかかわりなく炎症と免疫反応に密接に関連すると推定される。IL−6は肝細胞の再生を促進するとともに、過剰の産生は組織障害や線維化を誘導する可能性がある。
【0035】
2.栄養投与経路とサイトカイン産生
サイトカインによる侵襲時の代謝異常や臓器障害を防止するには局所のサイトカインは正常に産生させるが、全身へのこの波及を防止することは合理的と考えられる。そこで、栄養投与経路の相違で侵襲時のサイトカイン産生を修飾することが可能かどうかについて議論がなされている。侵襲のない健康成人では経腸栄養あるいは経静脈栄養の1週間の施行で、血中のTNFやIL−6値に明らかな相違は生じない(New Horizon. 2: 164−174, 1994 )。しかし、健康成人で経腸栄養あるいは経静脈栄養の7日間施行した後、エンドトキシンを静注すると、そのさいの発熱やTNF、侵襲ホルモン分泌などの全身生体反応は経静脈栄養より経腸栄養で軽微であることが報告されている(Ann. Surg., 210: 449−457, 1989 )。斉藤らも栄養投与経路の異なる腹腔内細菌投与ラットを用いて、栄養投与経路とサイトカイン産生の関係を検討した結果、経腸栄養では経静脈栄養に比べて、サイトカイン産生の修飾が生体反応にとって有利な方向に向かうことを確認している(Ann. Surg., 223: 84−93, 1996 )。
【0036】
3.栄養組成物と肝障害抑制効果の関連について
本発明の栄養組成物を経口摂取すると、エンドトキシン誘導性のTNF−αおよびIL−6の血中濃度上昇が有意に抑制された。その抑制作用は、主として栄養組成物中に含まれるホエイタンパク加水分解物によるものであり、血中におけるTNF−αおよびIL−6濃度上昇抑制は経口摂取による修飾によるものと考えられる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の栄養組成物は、急性肝炎(劇症肝炎)、慢性肝炎、代償性肝硬変、非代償性肝硬変の栄養管理に有用である。とくに肝性脳症の発現の可能性を有する慢性肝不全の栄養管理に有用である。慢性肝不全において、食事摂取が可能な例では、摂取タンパク量の制限が基本である。しかし高度のタンパク制限が長期間に及ぶと食欲を阻害し、タンパクの異化を亢進させ、低栄養状態をさらに悪化させる。そこで何らかの栄養補充が必要となる。本発明の食品タイプの栄養組成物は食品タイプであり、栄養組成物を毎食に付加給与することのより、慢性肝不全の栄養状態の改善が期待できる。
また、本発明の栄養組成物は、手術や感染、熱傷などの侵襲下の患者の栄養管理に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラクトサミン肝障害モデルラットにおける栄養組成物およびメイバランスCのGOTおよびGPT上昇抑制効果を示す。
【図2】ホエイタンパク加水分解物のTNF−α産生抑制作用を示す。
【図3】同上のIL−6産生抑制作用を示す。
【図4】ホエイタンパク加水分解物のTNF−α産生抑制作用を示す。

Claims (8)

  1. タンパク質としてホエイタンパク加水分解物および発酵乳由来のタンパク質、脂質として高オレイン酸含有油脂およびレシチン、ならびに糖質としてパラチノースを含む肝疾患患者用栄養組成物。
  2. さらにラクツロース、ラクチトールまたはラフィノースを含む請求項1記載の栄養組成物。
  3. 発酵乳由来のタンパク質がクワルクである請求項1記載の栄養組成物。
  4. レシチンが乳由来および大豆由来である請求項1記載の栄養組成物。
  5. タンパク質としてホエイタンパク加水分解物および発酵乳由来のタンパク質、脂質として高オレイン酸含有油脂およびレシチン、ならびに糖質としてパラチノースを含む高度侵襲患者用栄養組成物。
  6. さらにラクツロース、ラクチトールまたはラフィノースを含む請求項5記載の高度侵襲患者用栄養組成物。
  7. 発酵乳由来のタンパク質がクワルクである請求項5記載の栄養組成物。
  8. レシチンが乳由来および大豆由来である請求項5記載の栄養組成物。
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