JP2004099560A - 薬剤性腎障害の予防及び/又は治療のための医薬 - Google Patents

薬剤性腎障害の予防及び/又は治療のための医薬 Download PDF

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Naoki Kashiwabara
柏原 直樹
Hiroshi Makino
槇野 博史
Ryozo Oishi
大石 了三
Yoshinori Ito
伊藤 善規
Minoru Sato
佐藤 稔
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Abstract

【課題】薬剤性腎障害の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供する。
【解決手段】下記式(I):
【化1】
Figure 2004099560

(式中、Rは、水素原子、アリール基、アルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基を表し;Rは、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R及びRは、共同してアルキレン基を表し;Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又はアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルメルカプト基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む薬剤性腎障害の予防及び/又は治療のための医薬。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む薬剤性腎障害の予防及び/又は治療のための医薬、ならびに腎細胞アポトーシス阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
薬剤性腎障害は種々の薬剤や化学物質により惹起される重篤な副作用の一つである。これまでシスプラチンなどの抗癌剤、アミノグリシド系抗生物質などが薬剤性腎障害を引き起こすことが知られている。
シスプラチンは中心にプラチナ原子、塩素原子、及びシス位にアンモニア分子を含む白金複合体であり、あらゆる種類の腫瘍性疾患の治療に用いられている(非特許文献1参照)。シスプラチンは抗悪性腫瘍薬として有効である一方、腎障害、胃腸機能障害、耳毒性、及び末梢神経毒性などの多くの副作用がある(非特許文献2参照)。特に、腎毒性は主要な合併症であり、シスプラチン治療において用量を制限しなければならない理由となる。従って、シスプラチン治療時の腎毒性を軽減させる薬剤が望まれている。
【0003】
一方、下記式(I):
【化3】
Figure 2004099560
(式中、Rは水素原子、アリール、炭素数1〜5のアルキル又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、Rは、水素原子、アリールオキシ、アリールメルカプト、炭素数1〜5のアルキル又は1〜3のヒドロキシアルキルを表し、あるいは、R及びRは、共同して炭素数3〜5のアルキレンを表し、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数5〜7のシクロアルキル、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、ベンジル、ナフチル又はフェニル、又は炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル、炭素数1〜3のアルキルメルカプト、炭素数1〜4のアルキルアミノ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、カルボキシル、シアノ、水酸基、ニトロ、アミノ、及びアセトアミドからなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニルを表す。)で表されるピラゾロン誘導体については、医薬の用途として、脳機能正常化作用(特許文献1参照)、過酸化脂質生成抑制作用(特許文献2参照)、抗潰瘍作用(特許文献3参照)、及び血糖上昇抑制作用(特許文献4参照)等が知られている。
【0004】
また、上記式(I)の化合物のうち、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンを有効成分とする製剤は、2001年6月以来、脳保護剤(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)として上市されている。この「エダラボン」は、活性酸素に対して高い反応性を有することが報告されている(非特許文献3;非特許文献4参照)。このように、エダラボンは活性酸素をはじめとする種々のフリーラジカルを消去することで、細胞障害などを防ぐ働きをするフリーラジカルスカベンジャーである。しかしながら、これまでシスプラチン誘導腎障害などの薬剤性腎障害に対して有効であるか否かの検討については全く報告がない。
【非特許文献1】
Lebwohl D, et al., Eur J Cancer, 34, 1522−1534, 1998
【非特許文献2】
Cooley ME, et al., Cancer Nurs, 17, 283−293, 1994
【特許文献1】
特公平5−31523号公報
【特許文献2】
特公平5−35128号公報(例1の化合物)
【特許文献3】
特開平3−215425号公報
【特許文献4】
特開平3−215426号公報
【非特許文献3】
Kawai, H., et al., J. Phamacol. Exp. Ther., 281(2), 921, 1997
【非特許文献4】
Wu, TW. et al., Life Sci, 67(19), 2387, 2000
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、薬剤性腎障害の予防及び/又は治療のための医薬、ならびに腎細胞アポトーシス阻害剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の検討を行った結果、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物が、シスプラチン暴露によって誘導したマウス近位尿細管細胞(PTC)損傷を用いるin vitro試験において、細胞毒性、ミトコンドリア膜電位低下、ROS生成を抑制した。さらに、上記ピラゾロン誘導体等はマウスのシスプラチン誘導急性腎障害(ARF)モデルを用いる in vivo試験において、腎やミトコンドリア障害、タンパク質酸化、アポトーシスを抑制し、腎保護作用を有することを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
【0007】
即ち、本発明によれば、下記式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む薬剤性腎障害の予防及び/又は治療のための医薬が提供される。
【0008】
【化4】
Figure 2004099560
【0009】
(式中、Rは、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;Rは、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R及びRは、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
【0010】
本発明の好ましい態様によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物である上記医薬が提供される。
【0011】
本発明の好ましい態様によれば、腎障害を副作用として起こす薬剤と同時に、別々に、又は経時的に使用するための上記医薬;該腎障害を副作用として起こす薬剤が白金含有製剤である上記医薬;該白金含有製剤がシスプラチン製剤である上記医薬が提供される。
【0012】
本発明の別の局面によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む腎細胞アポトーシス保護剤が提供される。
【0013】
本発明の別の局面によれば、式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、薬剤性腎障害の予防及び/又は治療方法が提供される。本発明のさらに別の側面によれば、上記医薬の製造のための式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の薬剤性腎障害の予防及び/又は治療のための医薬、ならびに腎細胞アポトーシス阻害剤(以下、これらを総称して本発明の医薬という)は、本明細書に定義する式(I)で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む。
【0015】
本発明で用いる式(I)で示される化合物は、互変異性により、以下の式(I’)又は(I”)で示される構造をもとりうる。本明細書の式(I)には、便宜上、互変異性体のうちの1つを示したが、当業者には下記の互変異性体の存在は自明である。本発明の医薬の有効成分としては、下記の式(I’)又は(I”)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を用いてもよい。
【0016】
【化5】
Figure 2004099560
【0017】
式(I)において、Rの定義におけるアリール基は単環性又は多環性アリール基のいずれでもよい。例えば、フェニル基、ナフチル基などのほか、メチル基、ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子などのハロゲン原子、又は水酸基等の置換基で置換されたフェニル基等が挙げられる。アリール部分を有する他の置換基(アリールオキシ基など)におけるアリール部分についても同様である。
【0018】
、R及びRの定義における炭素数1〜5のアルキル基は直鎖状、分枝鎖状のいずれでもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。アルキル部分を有する他の置換基(アルコキシカルボニルアルキル基)におけるアルキル部分についても同様である。
【0019】
の定義における総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基等が挙げられる。
【0020】
の定義におけるアリールオキシ基としては、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基等が挙げられ、アリールメルカプト基としては、フェニルメルカプト基、p−メチルフェニルメルカプト基、p−メトキシフェニルメルカプト基、p−クロロフェニルメルカプト基、p−ヒドロキシフェニルメルカプト基等が挙げられる。
【0021】
及びRの定義における炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。Rの定義における炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
【0022】
の定義において、フェニル基の置換基における炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられ、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシSカルボニル基等が挙げられ、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基としては、メチルメルカプト基、エチルメルカプト基、プロピルメルカプト基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等が挙げられ、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
【0023】
本発明の医薬の有効成分として好適に用いられる化合物(I)として、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(3,4−ジメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−プロピルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
【0024】
1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−プロポキシフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
【0025】
1−(4−ブロモフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メチルメルカプトフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−(3−メチル−5−オキソ−2−ピラゾリン−1−イル)安息香酸;
1−(4−エトキシカルボニルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ニトロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−エチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−フェニル−3−プロピル−2−ピラゾリン−5−オン;
【0026】
1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−フェニル−1−(p−トリル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3,4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−イソブチル−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
4−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−4−フェノキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−4−フェニルメルカプト−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
【0027】
3,3’,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−2−フェニル−2H−インダゾール−3−オン;
3−(エトキシカルボニルメチル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1,3−ジメチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−エチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−ブチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−ヒドロキエチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−シクロヘキシル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−ベンジル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
【0028】
1−(α−ナフチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−メチル−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
【0029】
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(3,4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−アミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−メチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−エチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ブチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;
1−(アセトアミドフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン;及び
1−(4−シアノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン
【0030】
本発明の医薬の有効成分としては、式(I)で表される遊離形態の化合物のほか、生理学的に許容される塩を用いてもよい。生理学的に許容される塩としては、塩酸、硫酸、臭化水素塩、リン酸等の鉱酸との塩;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、アスコルビン酸、クエン酸、サリチル酸、ニコチン酸、酒石酸等の有機酸との塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニア、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルタミン、L−グルタミン等のアミンとの塩が挙げられる。また、グリシンなどのアミノ酸との塩を用いてもよい。
【0031】
本発明の医薬の有効成分としては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩の水和物、又は上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩の溶媒和物を用いてもよい。溶媒和物を形成する有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどを例示することができる。また、上記式(I)で表される化合物は、置換基の種類により1以上の不斉炭素を有する場合があり、光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する場合がある。本発明の医薬の有効成分としては、純粋な形態の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などを用いてもよい。
【0032】
式(I)で表される化合物はいずれも公知の化合物であり、特公平5−31523号公報などに記載された方法により当業者が容易に合成できる。
【0033】
本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、通常は、有効成分である式(I)で示される化合物の重量として一般に経口投与の場合には一日あたり0.1〜1000mg/kg体重、好ましくは一日あたり0.5〜50mg/kg体重、であり、非経口投与の場合には一日あたり0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.1〜10mg/kg体重である。上記投与量は1日1回又は2〜3回に分けて投与するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減してもよい。
【0034】
本発明の医薬としては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物をそのまま投与してもよいが、一般的には、有効成分である上記の物質と薬理学的及び製剤学的に許容される添加物を含む医薬組成物を調製して投与することが好ましい。
【0035】
薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を用いることができる。
【0036】
経口投与に適する医薬組成物には、添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、又はハードファット等の基剤を用いることができる。
【0037】
注射あるいは点滴用に適する医薬組成物には、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の添加物を用いることができる。
【0038】
本発明の医薬の形態は特に限定されず、当業者に利用可能な種々の形態をとることができる。経口投与に適する医薬として、例えば、固体の製剤用添加物を用いて錠剤、散剤、顆粒剤、硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、又はトローチ剤などを調製することができ、液状の製剤用添加物を用いてシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤などを調製することができる。また、非経口投与に適する医薬として、注射剤、点滴剤、吸入剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを調製することができる。なお、上記の式(I)の化合物を有効成分とする脳保護剤(点滴剤)が、すでに臨床において使用されているので(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売)、本発明の医薬において上記市販製剤をそのまま用いることができる。
【0039】
本発明の医薬は、薬剤性腎障害に有効である。すなわち、本発明の医薬は、薬剤性腎障害を防止する予防剤としての作用、及び/又は薬剤性腎障害を正常な状態に回復させる治療剤としての作用を有している。
【0040】
一般に、「薬剤性腎障害」とは、薬剤の副作用によって起こる腎障害をいい、かかる腎障害を副作用として起こす薬剤としては、代表的には以下のものが挙げられる。
1)抗癌剤:白金含有製剤(シスプラチン、カルボプラチン)、マイトマイシンC、ニトロソウレア、メチルCCNU、ストレプトゾシン等
2)抗生物質:アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン等)、β−ラクタム系(ペニシリン、セファロスポリン等)、ST(スルファメトキサゾール/トリメトプリム)合剤、テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ミノマイシン、ビブラマイシン、アクロマイシン等)、リファンピシン、エタンブトール、アンホテリシンB、ポリペプチド系(ポリミキシン、コリスチン等)等
3)抗炎症・抗鎮痛剤:インドメタシン、フェノプロフェン、フェナセチン、アスピリン等
4)利尿剤:クロロサイアザイド、フロセミド、トリアムテレン等
5)抗痙攣剤:フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン等
6)抗リウマチ薬:金製剤、D−ペニシラミン、ブリラミン等
【0041】
本発明における「薬剤性腎障害」は、特にはシスプラチン製剤による腎障害をいうが、これに限定されるわけでなく、上記に例示した種々の薬剤による腎障害をも含むものとする。
【0042】
本発明においては、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物と、腎障害を副作用として起こす薬剤とを同時に、別々に、又は経時的に使用することが可能である。すなわち、上記式(I)で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む医薬と、腎障害を副作用として起こす薬剤とを、それぞれの患者の年齢、病態、性別、症状等により適宜増減して決定した投与量に基づいて、一つの医薬組成物として投与することも可能であるし、それぞれ別々の医薬組成物として投与することも可能である。別々の医薬組成物として投与する場合には、それぞれ同じか、又は異なる投与形態で、同時に投与することも可能であるし、それぞれ同じか、又は異なる投与形態で同じ日に時間をずらして、あるいは患者の年齢、病態、性別、症状等により数日間、数週間、又は数ヶ月にわたり所定間隔で投与することも可能である。
【0043】
本明細書において、「薬剤性腎障害」とは、上記の各種薬剤より直接的にまたはその代謝物により間接的に惹起された腎細胞の損傷、腎機能の低下などの病態をいう。この用語は、上記の定義に合致するかぎり最も広義に解釈されるべきであり、疾患名の異同に拘泥して解釈されるべきではない。なお、薬剤性腎障害に相当する疾患であるか否かは熟練した医師ならば容易に診断可能である。薬剤性腎障害としては、上記の薬剤によって惹起される腎障害、具体的には、急性腎不全(急性腎前性腎不全、急性腎性腎不全)、慢性腎不全などが挙げられ、特には急性腎性腎不全、具体的には急性尿細管壊死、急性間質性腎炎をいう。
【0044】
本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、経口的または非経口的に投与することができる。例えば、上記疾患を引き起こしうる薬剤を用いる治療に先立って、本発明の医薬を予防的に経口投与しておくことができ、あるいは上記疾患を引き起こしうる薬剤と併用して本発明の医薬を経口投与することもできる。また、上記各疾患の患者に対しては、症状の悪化の防止ないしは症状の軽減などを目的として、静脈内、動脈内に注射により投与することもできる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0046】
合成例:3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン(以下、エダラボンと称す)の合成
エタノール50ml中にアセト酢酸エチル13.0g及びフェニルヒドラジン10.8gを加え、3時間還流攪拌した。反応液を放冷後、析出した結晶をろ取し、エタノールより再結晶して、表題の化合物11.3gを無色結晶として得た。
収率 67%
融点 127.5〜128.5℃
【0047】
実施例1(in vitro試験)
(1)実験方法
▲1▼細胞生存性アッセイ
マウス腎臓近位尿細管上皮mPox24細胞(PTC)を4mMグルタミン、5%仔ウシ血清、100U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトアビジンを添加したダルベッコの改変イーグル培地を用い、95%室内空気−5%COガス混合物の雰囲気下、1%ゼラチンを被覆したディッシュ上で37℃にて培養した。
生細胞数はトリパンブルー排除法によって、ミトコンドリア生存性(細胞増殖・毒性)はテトラゾリウム塩(WST−1)分解アッセイによって試験した。
トリパンブルー排除法では、細胞を12ウェルプレートに撒き、続いてリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)又は20μMシスプラチン(Sigma−Aldrich 社製)を含む培地に24時間エダラボン有り又は無しの状態でさらした。非接着細胞を除去し、接着細胞をトリプシン−EDTA消化によって収集し、0.4%トリパンブルーで5分間37℃にて染色した。トリパンブルーを排除する細胞の数を血球計数器でカウントし、ベヒクルで処理した細胞と比較した生存細胞の割合(%)で表した。
ミトコンドリア生存性はミトコンドリア脱水素酵素活性を有するテトラゾリウム塩(WST−1)の分解によって測定される。WST−1分解アッセイでは、細胞を96ウェルプレートに置き、20μMシスプラチンと24時間インキュベートした。WST−1測定は製造業者のプロトコル(Cell Proliferation Assay System, タカラバイオメディカル社製)に従って実施した。
トリパンブルー排除法及びWST−1分解アッセイはいずれも三重で実施し、少なくとも2度繰り返した。
【0048】
▲2▼ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)及び活性酸素産生の測定
ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)はミトコンドリアの機能および障害の重要な指標となる。シスプラチンにより誘導されるミトコンドリア損傷を評価するために、ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)の変化を、電位測定用蛍光染色剤5,5’6,6’−テトラクロロ−1,1’,3,3’−テトラエチルベンズイミダゾリル−カルボシアニンヨウ化物(JC−1;Molecular Probes 社製)を用いた(Di LF, et al., J Physiol(Lond), 486, 1−13, 1995)。
細胞内反応性酸素種(ROS)レベルの変化は細胞透過性2’,7’−ジクロロフルオレセイン二酢酸塩(DCFH−DA, Molecular Probes社製)の蛍光ジクロロフルオレセイン(DCF)への酸化的転換を共焦点レーザー走査顕微鏡又は蛍光活性化セルソーター(FACS)によって測定することによって調べた(Mancini M, et al., Ann Surg Oncol , 5, 287−295, 1998)。
【0049】
細胞を6ウェルプレートに撒き、続いてPBS又は20μMシスプラチンを含む培地にエダラボン有りまたは無しの状態で6時間さらした。細胞を5μg/ml JC−1又は20μM DCFH−DAと共に培地内で15分間37℃にて暗所でインキュベートした。浮遊及び接着細胞の両方を集め、500×g、5分間遠心分離することによってペレット化した。各試料において、最小数10,000細胞をFACS Calibur(日本ベクトンディキンソン社製)及びCellQestソフトウェア(日本ベクトンディキンソン社製)を用いるFACSに供した。染料の細胞内分布を共焦点レーザー走査顕微鏡TCS−NT(Leica−microsystems 社製)によって評価した。各試験はいずれも三重で実施し、少なくとも2度繰り返した。
【0050】
(2)実験結果
▲1▼細胞生存性アッセイ
生存PTCの数は20μMシスプラチンで24時間処理することによって減少した。ところが、エダラボンよる処理はシスプラチン誘導性細胞毒性を顕著に用量依存的に減少させた。100μMエダラボンによる処理では細胞生存性を45.0%増加させた(シスプラチン:38.6±4.3%;シスプラチン+100μMエダラボン:83.6±5.2%;P<0.01;n=6)(図1A)。
また、シスプラチンは顕著にミトコンドリア脱水素酵素活性を減少させた。これに対し、種々の濃度のエダラボンとのインキュベーションにより用量依存的に生存率が増加した(図1B)。100μMエダラボンによる処理でシスプラチンによって誘導されるミトコンドリア機能障害が顕著に回復した(シスプラチン:55.1±9.1%;シスプラチン+100μMエダラボン:84.9±12.6%;P<0.01;n=6)
【0051】
▲2▼ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)及び活性酸素産生の測定
ミトコンドリア膜電位が高いときは、JC−1は十分に蓄積して凝集し、最大発光で大きな赤色(590nm)シフトが生じる。またミトコンドリア膜電位が低いときは、緑色の蛍光(530nm)モノマーとして存在する。図2Aに示すように赤色のJC−1蛍光がコントロール細胞で観察された。20μMシスプラチンにて6時間処理したシスプラシチン処理群では赤色の蛍光がコントロール群よりも弱くなる一方、緑色の蛍光が強くなった。即ち、シスプラチン暴露後、JC−1染色は低いΔΨmを示した。しかしながら、100μMエダラボン処理によって、膜電位レベルがコントロール群のパターンの近くに上昇した。
FACS分析よれば、コントロール細胞においては高いΨmが維持された(図2B)。シスプラチン処理後、高いΨm率が減少し、低いΔΨm率が増加した。エダラボンとのプレインキュベーションによって、Ψmは高いレベルに維持された。
【0052】
ROS生成増加がシスプラチン処理細胞で観察される一方、コントール細胞ではROS生成増加が明白ではなかった。エダラボン処理によってシスプラチン処理近位尿細管細胞(PTC)におけるROS生成が減少した(図3A)。FACS分析ではシスプラチンがROS生成を顕著に増加させたことを示す(1.4%対74.5%)(図3B)。一方、PTCを100μMエダラボンと前インキュベーションすると、顕著にROSレベルが減少した(22.3%)。
【0053】
実施例2 (in vivo試験)
(1)実験方法
▲1▼試験動物
雄性ウイスターラット(300±30g体重;チャルズリバー社製)を標準食及び水道水を自由に与えて飼育した。ラットを以下の4つの群に分けた。第1群:コントロール(生理食塩水処理)(n=7)、第2群:シスプラチン処理ラット(n=7)、第3群:シスプラチン+エダラボン1mg/kg処理ラット(n=7)、第4群:シスプラチン+エダラボン5mg/kg処理ラット(n=7)。エーテル麻酔下、動物に1mg/kg 生理食塩水又は5mg/kgシスプラチンを腹腔内に投与した。同時に、0.1mg/kgの生理食塩水、1mg/kg 又は5mg/kgのエダラボンを単回静脈注射によって投与した。シスプラチン又は生理食塩水注射後4日目に各群のラットについて採尿、採血を行い、下記の血液・尿検査に供した。そして5日目にラットをペントバルビタール麻酔下で屠殺し、腎臓を切除した。腎臓標本を直ちに簡易凍結させ、未固定のクリオスタット切片(5μm厚さ)を調製した。別の腎臓横断面を4%中性緩衝化パラホルムアミド中に採取して下記の組織学的試験に、また腎臓の残りの部分を液体窒素中で簡易凍結させ、DNA及びタンパク質単離のために−80℃で保存した。
【0054】
▲2▼腎組織学的試験(HE染色)
パラホルムアルデヒド中に採取した組織を処理し、パラフィンで覆い、セグメント化し(4μm厚さ)、ヘマトキシリン及びエオジンにて染色した。盲検様式で腎臓切片の半定量化分析を行った。尿細管、特にシスプラチン毒性の主要部位である近位尿細管S3部位における、腫れ、空胞形成、壊死、剥離などの変化を観察した。尿細管障害は次のように等級化した。0=損傷なし;1+=損傷面積<50%;2+=損傷面積>50% 髄放線内S3部位の部分的病巣を伴う;3+=損傷面積100% 髄放線内S3部位のびまん性病巣を伴う。各群の平均スコアを計算した。
【0055】
▲3▼血液・尿検査による腎機能の評価(血中尿素(BUN)、クレアチニン(Cr)、尿中NAG、クリアチニンクリアランス(Ccr)の測定)
各群の動物から採取した尿、血液について血中尿素(BUN)、クレアチニン(Cr)、尿中N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ(NAG)排泄量、クレアチニンクリアランス(Ccr)を測定した。
【0056】
▲4▼組織ミトコンドリア活性の測定(チトクローム−cオキシダーゼ染色)
in vivoにおけるミトコンドリア活性を確認するために、チトクローム−cオキシダーゼ(COX)染色法(Seligman AM, et al., J Cell Biol, 38, 1−14, 1968)を用いた。糸球体の除外を有するCOX−陽性領域の割合をイメージアナライザー(MCIDイメージアナライザー、富士写真フイルム社製)を用いることによって測定した。各ラットの腎皮質から10個の連続的な視野をランダムに選択し、倍率100で評価した。
【0057】
▲5▼酸化タンパク質、脂質、及び核酸の分析(ウェスタンブロット分析)
腎試料を0.25M シュクロース、50mM DTT、3mM HEPES(pH7.9)、500μM EGTA、1mM 4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフッ化物、0.8μM アプロチニン、21μM ロイペプチン、36μM ベスタチン、15μM ペプスタチンA、14μM(4−グアニジノ)ブタン及び1% Triton X−100を含む溶解緩衝液でホモジナイズした。遠心分離(8000×g、10分、4℃)後、上清をウェスタンブロッティングに用いた。タンパク質濃度はタンパク質濃度アッセイキット(QuantiPro BCA assay kit, Sigma社製)を用いて測定した。
酸化タンパク質ウェスタンブロット分析は既報(Keller RJ, et al., Chem Res Toxicol, 6, 430−433, 1993)に記述されるように、製造者のプロトコル(Oncor, Gaithersburg, MD)に従い、Oncor Oxyblot kitを用いて行った。
4−ヒドロキシ−2−ノネナル(HNE)イムノブロットは以下のようにして行った。まず、タンパク質(10μg)を12.5%SDS−ポリアクリルアミドゲルにて分離し、フッ化ポリビニリデン膜上に移した。膜を抗−HNEモノクローナル抗体(日本老化制御研究所、1μg/ml)と1時間インキュベートし、続いてパーオキシダーゼ結合ヤギ−抗−マウスIgG抗体(0.1μg/ml)を1時間インキュベートした。バンドをECL−Plusウェスタンブロッティング検出システム(Amersham Pharmacia
Biotech社製)を用いて可視化した。
【0058】
▲6▼組織活性酸素測定によるDNA酸化損傷の評価(DCFH染色)
DNA中の8−ヒドロキシ−デオキシグアノシン(8−OHdG)の量を競合酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キット(8−OHdG Check; 日本老化制御研究所)(Toyokuni S, et al., Lab Invest 76, 365−374, 1997)を用いて測定した。腎臓からのゲノムをDNAzol Reagent(Life Technologies Oriental 社製)を用いて抽出した。DNAヌクレアーゼ及びアルカリホスファターゼにて加水分解した後、10μgDNAをELISAに用いた。
DNAのアプリン酸/アピリミジン酸(AP)部位の数をDNA損傷定量キット(Kumamoto Immunochemical Laboratories 製)を用いて検出した。精製したDNA(1μg)をAP部位に特異的に結合するN’−アミノオキシメチルカルボニル−ヒドラジノ−d−ビオチンと37℃にて1時間インキュベートした。96ウェルプレートに室温で一晩固定化した後、プレートをパーオキシダーゼ結合ストレプトアビジンと37℃にて1時間インキュベートした。基質溶液で発色させた後、吸光度を660nmにて測定した。
【0059】
▲7▼アポトーシスの評価(TUNEL染色)
アポトーシス核をアポトーシス検出キット(In situ アポトーシス検出キット;タカラバイオメディカル社製)を用いて製造業者のプロトコルに従って、TUNEL(TdT−mediated dUTP Nick−End−Labeling)法にて検出した。分析を盲検様式で行った。ランダムな領域を倍率100で観察し、尿細管皮質に存在するアポトーシス核の数をスコアした。少なくとも20のランダムな視野内で染色された細胞の平均数をTUNEL−陽性細胞の数として表した。
【0060】
▲8▼統計学的分析
全てのデータは平均値±SEMで表した。2つの群の比較のためにt−testを用いた。統計学的分析をStat Viewを用いて行った。P<0.05を統計学的に有意差ありとした。
【0061】
(2)実験結果
▲1▼腎組織学的試験(HE染色)
HE染色試験によれば、シスプラチン処理群の腎組織切片はコントロール群と比較すると、尿細管の壊死、変性、注出、及び赤血球細胞溢血によって特徴付けられる構造的損傷が顕著に現われた(図4)。これらの変化はS3セグメント全体に含まれていた。
組織学的病変の半定量的評価はシスプラチン処理ラット対コントロールにおいて顕著に高いスコアを表した(表1参照:2.7±0.2対0.1±0.1、P<0.05)。エダラボン処理群(5mg/kg)ではシスプラチン処理群に比べて顕著に半定量的スコアが低下した(シスプラチン±5mg/kgエダラボン:1.7±0.3、P<0.05対シスプラチン処理群)
【0062】
【表1】
Figure 2004099560
【0063】
▲2▼血液・尿検査による腎機能の評価(血中尿素(BUN)、クレアチニン(Cr)、尿中NAG、クレアチニンクリアランス(Ccr)の測定)
シスプラチン注射後5日目には血漿中BUNレベルが顕著に増加したが、エダラボンの投与によって顕著にBUNの増加が抑制された。クレアチニン(Cr)レベルもまたエダラボン処理によって改善した。エダラボンのみ(5mg/kg)の投与はBUN及びクレアチニンの血漿レベルに関して評価すべき効果はなかった。シスプラチン注射後5日目に、Ccrにおける注目すべき顕著な減少がシスプラチン処理群対コントロール群において観察された(0.05±0.01ml/分/100g体重対0.93±0.05ml/分/100g体重、p<0.05)。下記表2に示すように、Ccrはコントロール群に比べてエダラボン処理群において顕著に高くなかった。尿細管損傷のマーカーである尿中NAG排出量もまた、シスプラチン処理群で増加したが、エダラボン5mg/kgの投与によって顕著に減少した(1.01±0.15IU/日対0.48±0.07IU/日、P<0.05)。
【0064】
【表2】
Figure 2004099560
【0065】
▲3▼組織ミトコンドリア活性の測定(チトクローム−cオキシダーゼ染色)
ミトコンドリア損傷はシスプラチンによって誘導される腎細胞損傷において必須の役割を果たしていると考えられている(Davis CA, et al., J Am Soc Nephrol, 12, 2683−2690, 2001;Nishikawa M, et al., Arch Biochem Biophys, 387, 78−84, 2001)。
組織化学的COX染色によるCOX活性分析結果を図5Aに示す。COXによる組織化学的染色はコントロール群の尿細管細胞では強く、はっきりとした粒状パターンを表した。シスプラチン処理群では尿細管のCOX反応性がコントロール群に比べて顕著に減少した。一方、エダラボン処理群ではコントロール群に匹敵するCOX反応性を表した。COX陽性領域はエダラボン処理によって顕著に増加した(図5B;シスプラチン,44.7%;シスプラチン+エダラボン5mg/kg,79.6%)。
【0066】
▲4▼酸化タンパク質、脂質、及び核酸の分析(ウェスタンブロット分析)
カルボキシル基はタンパク質酸化(Stadman ER, Science, 257, 1220−1224, 1992)の標準マーカーとなる。図6Aに示されるように、多くのカルボキシル基がシスプラチン処理ラットのサイトゾルタンパク質に存在した。エダラボン(5mg/kg)はサイトゾル抽出物中のシスプラチンによるタンパク質酸化を減少させた。また、脂質過酸化の指標であるHNE含量はシスプラチン処理によって増加したが(図6B)、その増加は5mg/mlエダラボンによる処理で完全に抑制された。
【0067】
▲5▼組織活性酸素測定によるDNA酸化損傷の評価(DCFH染色)
シスプラチン処理によってコントロール群に比べて8−OHdG及びAPが顕著に増加した(表3)。8−OHdG及びAP部位の増加はエダラボン処理によって用量依存的に減少した。
【0068】
【表3】
Figure 2004099560
【0069】
▲6▼アポトーシスの評価(TUNEL染色)
図7Aに示すように、シスプラチン処理群ではアポトーシス核の数が顕著に増加したが、エダラボン処理群ではアポトーシス核はほとんど観察されなかった。図7Bはシスプラチン投与後5日目のアポトーシス核の定量結果を示す。シスプラチン処理、及びシスプラチン+エダラボン処理群ではアポトーシス核の増加はそれぞれコントロール(生理食塩水処理)群の10倍及び2.5倍であった。
【発明の効果】
本発明の医薬は、シスプラチンなどの種々の薬剤により引き起こされる腎障害の予防及び/又は治療のための医薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞生存性アッセイの結果を示す(図1A:トリプンブルー排除法によって測定した細胞生存率;図1B:WST−1アッセイによって測定したミトコンドリア脱水素活性)。*:P<0.01対シスプラチン(+)+エダラボン(−)。
【図2】図2Aはミトコンドリア膜電位(ΔΨm)変化を示す。図2Bはフローサイトメトリー(FACS)分析の結果を示す。横座標は低いΔΨmの細胞を表す530nm発光を示し、縦座標は高いΔΨmの細胞を表す590nm発光を示す。各パネルは計10,000インプット細胞からの結果を表す。
【図3】図3Aはin vitroにおける反応性酸素種(ROS)生成を示す(倍率:×200)。図3BはDCF蛍光の変化を示す。横座標はROS生成細胞を表す530nm発光を示し、縦座標は細胞数を示す。
【図4】HE染色した腎細胞の光学顕微鏡写真を示す(倍率:×20)。
【図5】図5Aは組織化学的COX染色によるCOX活性分析結果を示す(倍率:×100)。図5Bはイメージアナライザーによって測定したCOX陽性領域の割合を示す。*:P<0.05対シスプラチン処理群。
【図6】図6Aはカルボキシル基を含む酸化タンパク質、図6BはHNEを含む酸化タンパク質のウェスタンブロット分析結果を示す。
【図7】図7はTUNEL法による免疫染色図を示す(倍率:×100)。図7BはTUNEL陽性核の定量結果を示す。*:P<0.05対シスプラチン処理群。

Claims (7)

  1. 下記式(I):
    Figure 2004099560
    (式中、Rは、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;Rは、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R及びRは、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
    で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む薬剤性腎障害の予防及び/又は治療のための医薬。
  2. 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項1に記載の医薬。
  3. 腎障害を副作用として起こす薬剤と同時に、別々に、又は経時的に使用するための請求項1又は2に記載の医薬。
  4. 前記薬剤が白金含有製剤である請求項3に記載の医薬。
  5. 前記白金含有製剤がシスプラチン製剤である請求項4に記載の医薬。
  6. 下記式(I):
    Figure 2004099560
    (式中、Rは、水素原子、アリール基、炭素数1〜5のアルキル基又は総炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し;Rは、水素原子、アリールオキシ基、アリールメルカプト基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、R及びRは、共同して炭素数3〜5のアルキレン基を表し;Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基、又は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、総炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基及びアセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基を表す。)
    で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む腎細胞アポトーシス阻害剤。
  7. 式(I)で示されるピラゾロン誘導体が3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンである請求項6に記載の腎細胞アポトーシス阻害剤。
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