JP2004098033A - 複層黒色塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、深み感及び漆黒性にすぐれ、しかも塗装工程における塗料の配管設備を省略することが可能な新規の複層黒色塗膜形成方法に関する。
【構成】溶剤可溶性黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料を上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることを特徴とする複層黒色塗膜形成方法。
【選択図】なし。
【構成】溶剤可溶性黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料を上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることを特徴とする複層黒色塗膜形成方法。
【選択図】なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、深み感及び漆黒性にすぐれ、しかも塗装工程における塗料の配管設備を省略することが可能な新規の複層黒色塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
黒色顔料入り黒色ベース塗料及び黒色染料入りカラークリヤ塗料を塗装して複層黒色塗膜を形成する方法はすでに提案されている(例えば、特許文献1など)。黒色ベース塗料による黒色塗膜は被塗物面まで光を透過させることがなく、そしてカラークリヤ塗料の塗膜は黒色透明であるために、深み感及び漆黒性にすぐれた複層塗膜が形成される。
【0003】
しかしながら、この方法によれば、塗装工程において、カラークリヤ塗料の異なる色調ごとにそれぞれの塗料圧送用の専用配管が必要になり、そのための配管設備に多大の労力と時間を要し、しかも費用も加算されるという欠陥を有している。
【0004】
本発明の目的はこれらの欠陥を解消することであり、深み感及び漆黒性などを低下させることなく、しかも塗装工程における塗料の配管設備を省略することができる新規な複層黒色塗膜形成方法を開発することである。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−15223号公報
【問題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために鋭意研究を行なった結果、溶剤可溶性黒色染料含有黒色ベース塗料を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料を塗装し、下層の黒色ベース塗料塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料をその上層のクリヤ塗料の塗膜中に移行させることによって、上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、溶剤可溶性黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料を上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることを特徴とする複層黒色塗膜形成方法(以下、「本方法」という)が提供される。
【0007】
以下に、本方法についてさらに具体的に説明する。
【0008】
【発明の実施の態様】
本方法は、溶剤可溶性黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料を上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることを特徴とする複層黒色塗膜形成方法に関する。
【0009】
黒色ベース塗料(A)は溶剤に可溶な黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する液状塗料である。具体的には、塗料用樹脂組成物及び溶剤可溶性黒色染料を必須成分として含有し、これらを溶剤に混合することにより調製することができる。
【0010】
ここで、「PHR」は、per hundred resinの略で、塗料用樹脂組成物の固形分100重量部あたりの配合比率のことである。具体的には、塗料用樹脂組成物の固形分100重量部あたり、溶剤可溶性黒色染料を1〜30重量部の比率で含有することである。また、「溶剤」とは、有機溶剤及び水から選ばれた1又は2種以上を指している。
【0011】
塗料用樹脂組成物として溶剤に溶解又は分散することが可能なそれ自体既知の塗料用樹脂が使用できる。具体的には、1分子中に水酸基のような架橋官能基を有するアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などから選ばれた1種又は2種以上の基体樹脂とこれらの架橋性官能基と反応するアルキルエ−テル化メラミン樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物などの架橋剤とからなる組成物が好適に使用できる。基体樹脂と架橋剤との構成比率は、この両成分の合計固形分量を基準に、前者は50〜90重量%、特に60〜85重量%、後者は50〜10重量%、特に40〜15重量%の範囲内が好ましい。
【0012】
溶剤可溶性黒色染料は、石炭や墨のような黒い色を示すそれ自体既知の染料を使用することができる。この黒色染料は有機溶剤及び水から選ばれた1種又は2種以上の溶剤に対して容易に溶解することが好ましい。その溶解性は、溶剤100重量部あたり黒色染料を30重量部以上、特に好ましくは50重量部以上混合してもこれらの溶剤中に均一に溶解しうることが好ましい。カーボンブラックなどの顔料はこのような溶剤に対して非溶解性であるために、黒色染料には含まれない。
【0013】
このような溶剤可溶性黒色染料として、例えば、アゾ骨格を有するクロム錯体化合物が好適にあげられ、これらの市販品として、BASF社製、黒色染料、商品名、「NeoZaponX55」及び「NeoZaponX51」及び『BasantolBlackX82』などが例示できる。
【0014】
黒色ベース塗料(A)において、溶剤可溶性黒色染料は1〜30PHRの比率で含有する。具体的には、塗料用樹脂組成物100重量部(固形分)あたり、1〜30重量部、特に好ましくは2〜25重量部の範囲内である。黒色染料の含有率が1PHRより少なくなると、その上層の有機溶剤系クリヤ塗料(B)の塗膜への黒色染料の移行が不十分となり本発明の目的が達成されず、一方、30PHRより多くなると黒色ベース塗料(A)の塗膜自体の性能が低下するので好ましくない。
【0015】
有機溶剤としては、通常の塗料用有機溶剤を使用することができる。例えば、炭化水素系、エステル系、ケトン系、アルコール系などの溶剤から選ばれた1種又は2種以上が使用できる。黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料がその上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中にすみやかに移行させるために、黒色ベース塗料(A)における有機溶剤として、例えば、エタノール、PMアセテート、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、フ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノフ゛チルエーテル、シ゛フ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノフ゛チルエーテル、トリフ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノフ゛チルエーテル、フ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノメチルエーテル、シ゛フ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノメチルエーテル、トリフ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノメチルエーテルなどの特定有機溶剤が好適に使用することができる。これらの特定有機溶剤は、塗装時における黒色ベース塗料(A)に含まれる有機溶剤の全量を基準に5重量%以上含有させることが好ましい。
【0016】
黒色ベース塗料(A)は、塗料用樹脂組成物、溶剤可溶性黒色染料及び溶剤を必須成分として含有しており、さらに必要に応じてカーボンブラックなどの黒色無機顔料、沈降防止剤などを必要に応じて含有せしめることができる。このうち、カーボンブラック顔料の配合比率は7PHR以下、特に0.5〜5PHRの範囲内が好ましい。
【0017】
黒色ベース塗料(A)の単独塗膜は黒色であり、L値で5以下であることが好ましい。この値は、CIELabに基づくものであり、変角色差計のハイライト部のみのL値である。
【0018】
黒色ベース塗料(A)は、金属製又はプラスチック製の乗用車、トラック、オ−トバイ、バスなどの自動車車体の外板部、家庭電気製品の外板部などに、直接に塗装する、又はこれらの被塗物にカチオン電着塗料などの下塗り塗料及び中塗り塗料などをあらかじめ塗装し、これらの塗膜を硬化してから塗装することができる。このうち金属製被塗物は、あらかじめ、りん酸塩、クロム酸塩などで化成処理を行っておくことがこのましい。また、下塗り塗料及び中塗り塗料などはそれ自体既知のものが使用できる。
【0019】
黒色ベース塗料(A)は、塗装にあたり、固形分含有率を15〜40重量%、特に20〜30重量%、粘度を10〜40秒/フォードカップ#4/20℃、特に15〜30秒/フォードカップ#4/20℃に調整しておくことが好ましい。塗装は、これらの被塗物(下塗り塗料、さらに適宜中塗り塗料を塗装したものも含む)に、静電塗装、エアレススプレ、エアスプレなどの噴霧塗装方式により行なうことができる。その塗装膜厚は、通常、硬化塗膜に基づいて、5〜30μm、特に10〜20μmが適している。
【0020】
本方法では、黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料がその上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に速やかに移行させるために、クリヤ塗料(B)の塗装時において、黒色ベース塗料(A)の未硬化塗膜の固形分含有率が25〜95重量%、特に30〜95重量%の範囲内にあることが好ましい。またこの塗膜は必要に応じて、未硬化塗膜の固形分含有率が上記の範囲内に包含されるように、80〜100℃で3〜10分程度乾燥させることができる。黒色ベース塗料(A)の塗膜中の固形分含有率が上記より高くなると、黒色染料のクリヤー塗料(B)の塗膜中に移行が困難になることがある。
【0021】
本方法では、上記のように調整された黒色ベース塗料(A)の未硬化塗膜の塗面にクリヤ塗料(B)を塗装することができる。
【0022】
クリヤ塗料(B)は、黒色ベース塗料(A)の未硬化塗膜の塗面に塗装する塗料であり、無色透明の塗膜を形成する有機溶剤系熱硬化性塗料が好ましい。具体的には、熱硬化性樹脂組成物及び有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて紫外線吸収剤などを配合してなる塗料があげられる。
【0023】
熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノ−ル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂などの基体樹脂及びこれらの架橋性官能基と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック)ポリイソシアネ−ト化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂などの架橋剤からなる組成物があげられる。基体樹脂と架橋剤との比率は、この両成分の合計固形分重量に基いて、基体樹脂は50〜90%、特に65〜80%、架橋剤は50〜10%、特に35〜20%の範囲内が好ましい。
【0024】
これらの熱硬化性樹脂組成物のうち、耐酸性及び耐スリキズ性などのすぐれた塗膜を形成する、カルボキシル基、シラノ−ル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂(基体樹脂)及びエポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物などから選ばれた架橋剤からなる組成物を使用することが好ましい。
【0025】
クリヤ塗料(B)を黒色ベース塗料(A)の未硬化塗膜の塗面に塗装するにあたり、このクリヤ塗料(B)の固形分含有率を40〜65重量%、特に45〜60重量%、粘度を10〜40秒/フォードカップ#4/20℃、特に20〜30秒/フォードカップ#4/20℃に調整しておくことが好ましい。
【0026】
クリヤ塗料(B)は、例えば、静電塗装、エアレススプレ−、エアスプレ−などで塗装することができる。その膜厚は硬化塗膜に基づいて、10〜80μm、特に20〜50μmの範囲内が適している。そして、その後、100〜180℃で、好ましくは120〜160℃で、10〜40分程度加熱して両塗膜を架橋硬化せしめることにより本方法を達成することができる。
【0027】
【発明の効果】
本方法によれば、溶剤可溶性黒色染料を5〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に、有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる有機溶剤可溶性黒色着色剤をクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることによって複層黒色塗膜を形成するために、塗装ラインにおいて黒色ベース塗料(A)の色調が異なっても、クリヤ塗料(B)を変更する必要はなく、共通して使用することができるため、塗料の圧送配管を増設する必要がなく、経費節減が可能になった。しかも、形成される複層黒色塗膜の深み感及び漆黒性もすぐれている。
【0028】
【実施例】
本発明に関する実施例及び比較例について説明する。部及び%はいずれも重量を基準にしており、また、塗膜の膜厚は硬化塗膜を基準にしている。
【0029】
実施例 1
水酸基含有アクリル樹脂(注1)75部、メラミン樹脂(注2)25部、「RAVEN5000UltraII」(コロンビヤン社製、商品名、カーボンブラック)4部を脱イオン水に混合分散し、さらに、『NeoZaponX55』(BASF社製、商品名、黒色染料)2部をエタノールに溶解し10%溶液としたものを配合して水性黒色ベース塗料(A−1)を得た。塗装時での固形分含有率は25重量%、粘度は25秒/フォ−ドカップ#4/20℃である。この単独塗膜は黒色であり、L値は1.65である。
【0030】
(注1)水酸基含有アクリル樹脂:メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレ−ト17部、n−ブチルアクリレ−ト17部、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト7部、ラウリルメタクリレ−ト20部及びアクリル酸1部からなる単量体の共重合体。数平均分子量50000、水酸基価54mgKOH/g
【0031】
(注2)メラミン樹脂:ブチルエ−テル化メラミン樹脂、「ユ−バン28−60」(三井サイテック社製、商品名)
【0032】
カチオン電着塗料及び中塗り塗料を塗装し、これらの各塗膜を加熱硬化せしめてなる鋼板(被塗物)に水性黒色ベース塗料(A−1)を噴霧塗装した。膜厚は14μmである。塗膜を室温で3分のプレヒートした。かくして形成された黒色ベース塗料(A−1)の未硬化塗膜の固形分含有率は60重量%である。この黒色ベース塗料(A−1)の未硬化塗膜面に、クリア塗料(B−1)(注3)を膜厚40μmになるように塗装してから、140℃で30分間加熱して両塗膜を同時に硬化せしめた。得られた複層塗膜の測色を行ない、その結果を表1に示した。
【0033】
(注3)クリア塗料(B−1):カルボキシル基含有アクリル樹脂(注4)50部、エポキシ基含有アクリル樹脂(注5)50部、「チヌビン900」(チバガイギ社製、商品名、紫外線吸収剤)1部、テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルりん酸との当量配合物2部、「BYK300」(ビッグケミ−社製、商品名、表面調整剤)0.1部を芳香族炭化水素系溶剤に混合分散して、固形分含有率を50重量%、粘度を25秒/フォードカップ#4/20℃に調整した。
【0034】
(注4)カルボキシル基含有アクリル樹脂:無水マレイン酸のメタノ−ルハ−フエステル化物20部、アクリル酸4−ヒドロキシn−ブチル20部、n−ブチルアクリレ−ト40部及びスチレン20部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量3500、水酸基価78mgKOH/g、酸価86mgKOH/g
【0035】
(注5)エポキシ基含有アクリル樹脂:グリシジルメタクリレ−ト30部、アクリル酸4−ヒドロキシn−ブチル20部、n−ブチルアクリレ−ト30部及びスチレン20部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量3000、エポキシ基含有量2.12ミリモル/g、水酸基価78mgKOH/g
【0036】
実施例 2
カチオン電着塗料及び中塗り塗料を塗装し、これらの各塗膜を加熱硬化せしめてなる鋼板(被塗物)に水性黒色ベース塗料(A−1)を噴霧塗装した。膜厚は14μmである。塗膜を80℃で3分のプレヒートした。かくして形成された黒色ベース塗料(A−1)の未硬化塗膜の固形分含有率は85重量%である。この黒色ベース塗料(A−1)の未硬化塗膜面に、クリア塗料(B−2)(注6)を膜厚40μmになるように塗装してから、140℃で30分間加熱して両塗膜を同時に硬化せしめた。得られた複層塗膜の測色を行ない、その結果を表1に示した。
【0037】
(注6)クリア塗料(B−2):水酸基基含有アクリル樹脂(注7)65部、メラミン樹脂(注8)35部、「チヌビン900」(チバガイギ社製、商品名、紫外線吸収剤)1部、「BYK300」(ビッグケミ−社製、商品名、表面調整剤)0.1部を芳香族炭化水素系溶剤に混合分散して、固形分含有率を50重量%、粘度を25秒/フォードカップ#4/20℃に調整した。
【0038】
(注7)水酸基含有アクリル樹脂:メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレ−ト17部、n−ブチルアクリレ−ト17部、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト7部、ラウリルメタクリレ−ト20部及びアクリル酸1部からなる単量体の共重合体。数平均分子量50000、水酸基価54mgKOH/g
【0039】
(注8)メラミン樹脂:ブチルエ−テル化メラミン樹脂、「ユ−バン28−60」(三井サイテック社製、商品名)
【0040】
比較例 1
水酸基含有アクリル樹脂(注1)75部、メラミン樹脂(注2)25部、「RAVEN5000UltraII」(コロンビヤン社製、商品名、カーボンブラック)4部を脱イオン水に混合分散して、水性黒色ベース塗料(A−2)を得た。塗装時での固形分含有率は25重量%、粘度は25秒/フォ−ドカップ#4/20℃である。この単独塗膜は黒色であり、L値は1.70である。
【0041】
カチオン電着塗料及び中塗り塗料を塗装し、これらの各塗膜を加熱硬化せしめてなる鋼板(被塗物)に水性黒色ベース塗料(A−2)を噴霧塗装した。膜厚は14μmである。塗膜を80℃で3分のプレヒートした。かくして形成された黒色ベース塗料(A−2)の未硬化塗膜の固形分含有率は86重量%である。黒色ベース塗料(A−2)の未硬化塗膜面に、クリア塗料(B−1)(注3)を膜厚40μmになるように塗装してから、140℃で30分間加熱して両塗膜を同時に硬化せしめた。得られた複層塗膜の測色を行ない、その結果を表1に示した。
【0042】
比較例 2
カチオン電着塗料及び中塗り塗料を塗装し、これらの各塗膜を加熱硬化せしめてなる鋼板(被塗物)に水性黒色ベース塗料(A−1)を噴霧塗装し、140℃で30分間加熱して黒色塗膜を架橋硬化した。膜厚は14μmである。かくして形成された黒色ベース塗料(A−1)の硬化塗膜面に、クリア塗料(B−1)(注3)を膜厚40μmになるように塗装してから、140℃で30分間加熱してクリヤ塗膜を硬化せしめた。得られた複層塗膜の測色を行ない、その結果を表1に示した。
【0043】
試験結果
複層塗膜の測色方法は次のとおりである。
【0044】
黒色度(漆黒性):目視評価。人工太陽灯のもとで塗面を目視し、特にシェードでの黒さを調べた結果であり、○はシェード、底色の白ホ゛ケ感がなく、漆黒性が良好、△はシェードでやや白ホ゛ケ感が見られ、漆黒性がやや劣る、×はシェードで白ホ゛ケ感が見られ、漆黒性が劣ることを示す。
【0045】
計測値は変角色差計CM512m3(ミノルタ社製、商品名)を用いて測定した結果であり、受光角(塗面に対して垂直方向を0°としたもの)に対して、25°(ハイライト部)、45°、75°(シェード)の3角度で測色した各角度のL値を合計した値を示している。この値が小さいもの程、入射光に対する光散乱が少なく、漆黒性が優れていることを示す。
【0046】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は、深み感及び漆黒性にすぐれ、しかも塗装工程における塗料の配管設備を省略することが可能な新規の複層黒色塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
黒色顔料入り黒色ベース塗料及び黒色染料入りカラークリヤ塗料を塗装して複層黒色塗膜を形成する方法はすでに提案されている(例えば、特許文献1など)。黒色ベース塗料による黒色塗膜は被塗物面まで光を透過させることがなく、そしてカラークリヤ塗料の塗膜は黒色透明であるために、深み感及び漆黒性にすぐれた複層塗膜が形成される。
【0003】
しかしながら、この方法によれば、塗装工程において、カラークリヤ塗料の異なる色調ごとにそれぞれの塗料圧送用の専用配管が必要になり、そのための配管設備に多大の労力と時間を要し、しかも費用も加算されるという欠陥を有している。
【0004】
本発明の目的はこれらの欠陥を解消することであり、深み感及び漆黒性などを低下させることなく、しかも塗装工程における塗料の配管設備を省略することができる新規な複層黒色塗膜形成方法を開発することである。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−15223号公報
【問題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために鋭意研究を行なった結果、溶剤可溶性黒色染料含有黒色ベース塗料を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料を塗装し、下層の黒色ベース塗料塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料をその上層のクリヤ塗料の塗膜中に移行させることによって、上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、溶剤可溶性黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料を上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることを特徴とする複層黒色塗膜形成方法(以下、「本方法」という)が提供される。
【0007】
以下に、本方法についてさらに具体的に説明する。
【0008】
【発明の実施の態様】
本方法は、溶剤可溶性黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料を上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることを特徴とする複層黒色塗膜形成方法に関する。
【0009】
黒色ベース塗料(A)は溶剤に可溶な黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する液状塗料である。具体的には、塗料用樹脂組成物及び溶剤可溶性黒色染料を必須成分として含有し、これらを溶剤に混合することにより調製することができる。
【0010】
ここで、「PHR」は、per hundred resinの略で、塗料用樹脂組成物の固形分100重量部あたりの配合比率のことである。具体的には、塗料用樹脂組成物の固形分100重量部あたり、溶剤可溶性黒色染料を1〜30重量部の比率で含有することである。また、「溶剤」とは、有機溶剤及び水から選ばれた1又は2種以上を指している。
【0011】
塗料用樹脂組成物として溶剤に溶解又は分散することが可能なそれ自体既知の塗料用樹脂が使用できる。具体的には、1分子中に水酸基のような架橋官能基を有するアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などから選ばれた1種又は2種以上の基体樹脂とこれらの架橋性官能基と反応するアルキルエ−テル化メラミン樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物などの架橋剤とからなる組成物が好適に使用できる。基体樹脂と架橋剤との構成比率は、この両成分の合計固形分量を基準に、前者は50〜90重量%、特に60〜85重量%、後者は50〜10重量%、特に40〜15重量%の範囲内が好ましい。
【0012】
溶剤可溶性黒色染料は、石炭や墨のような黒い色を示すそれ自体既知の染料を使用することができる。この黒色染料は有機溶剤及び水から選ばれた1種又は2種以上の溶剤に対して容易に溶解することが好ましい。その溶解性は、溶剤100重量部あたり黒色染料を30重量部以上、特に好ましくは50重量部以上混合してもこれらの溶剤中に均一に溶解しうることが好ましい。カーボンブラックなどの顔料はこのような溶剤に対して非溶解性であるために、黒色染料には含まれない。
【0013】
このような溶剤可溶性黒色染料として、例えば、アゾ骨格を有するクロム錯体化合物が好適にあげられ、これらの市販品として、BASF社製、黒色染料、商品名、「NeoZaponX55」及び「NeoZaponX51」及び『BasantolBlackX82』などが例示できる。
【0014】
黒色ベース塗料(A)において、溶剤可溶性黒色染料は1〜30PHRの比率で含有する。具体的には、塗料用樹脂組成物100重量部(固形分)あたり、1〜30重量部、特に好ましくは2〜25重量部の範囲内である。黒色染料の含有率が1PHRより少なくなると、その上層の有機溶剤系クリヤ塗料(B)の塗膜への黒色染料の移行が不十分となり本発明の目的が達成されず、一方、30PHRより多くなると黒色ベース塗料(A)の塗膜自体の性能が低下するので好ましくない。
【0015】
有機溶剤としては、通常の塗料用有機溶剤を使用することができる。例えば、炭化水素系、エステル系、ケトン系、アルコール系などの溶剤から選ばれた1種又は2種以上が使用できる。黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料がその上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中にすみやかに移行させるために、黒色ベース塗料(A)における有機溶剤として、例えば、エタノール、PMアセテート、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、フ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノフ゛チルエーテル、シ゛フ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノフ゛チルエーテル、トリフ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノフ゛チルエーテル、フ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノメチルエーテル、シ゛フ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノメチルエーテル、トリフ゜ロヒ゜レンク゛リコールモノメチルエーテルなどの特定有機溶剤が好適に使用することができる。これらの特定有機溶剤は、塗装時における黒色ベース塗料(A)に含まれる有機溶剤の全量を基準に5重量%以上含有させることが好ましい。
【0016】
黒色ベース塗料(A)は、塗料用樹脂組成物、溶剤可溶性黒色染料及び溶剤を必須成分として含有しており、さらに必要に応じてカーボンブラックなどの黒色無機顔料、沈降防止剤などを必要に応じて含有せしめることができる。このうち、カーボンブラック顔料の配合比率は7PHR以下、特に0.5〜5PHRの範囲内が好ましい。
【0017】
黒色ベース塗料(A)の単独塗膜は黒色であり、L値で5以下であることが好ましい。この値は、CIELabに基づくものであり、変角色差計のハイライト部のみのL値である。
【0018】
黒色ベース塗料(A)は、金属製又はプラスチック製の乗用車、トラック、オ−トバイ、バスなどの自動車車体の外板部、家庭電気製品の外板部などに、直接に塗装する、又はこれらの被塗物にカチオン電着塗料などの下塗り塗料及び中塗り塗料などをあらかじめ塗装し、これらの塗膜を硬化してから塗装することができる。このうち金属製被塗物は、あらかじめ、りん酸塩、クロム酸塩などで化成処理を行っておくことがこのましい。また、下塗り塗料及び中塗り塗料などはそれ自体既知のものが使用できる。
【0019】
黒色ベース塗料(A)は、塗装にあたり、固形分含有率を15〜40重量%、特に20〜30重量%、粘度を10〜40秒/フォードカップ#4/20℃、特に15〜30秒/フォードカップ#4/20℃に調整しておくことが好ましい。塗装は、これらの被塗物(下塗り塗料、さらに適宜中塗り塗料を塗装したものも含む)に、静電塗装、エアレススプレ、エアスプレなどの噴霧塗装方式により行なうことができる。その塗装膜厚は、通常、硬化塗膜に基づいて、5〜30μm、特に10〜20μmが適している。
【0020】
本方法では、黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料がその上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に速やかに移行させるために、クリヤ塗料(B)の塗装時において、黒色ベース塗料(A)の未硬化塗膜の固形分含有率が25〜95重量%、特に30〜95重量%の範囲内にあることが好ましい。またこの塗膜は必要に応じて、未硬化塗膜の固形分含有率が上記の範囲内に包含されるように、80〜100℃で3〜10分程度乾燥させることができる。黒色ベース塗料(A)の塗膜中の固形分含有率が上記より高くなると、黒色染料のクリヤー塗料(B)の塗膜中に移行が困難になることがある。
【0021】
本方法では、上記のように調整された黒色ベース塗料(A)の未硬化塗膜の塗面にクリヤ塗料(B)を塗装することができる。
【0022】
クリヤ塗料(B)は、黒色ベース塗料(A)の未硬化塗膜の塗面に塗装する塗料であり、無色透明の塗膜を形成する有機溶剤系熱硬化性塗料が好ましい。具体的には、熱硬化性樹脂組成物及び有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて紫外線吸収剤などを配合してなる塗料があげられる。
【0023】
熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノ−ル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂などの基体樹脂及びこれらの架橋性官能基と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック)ポリイソシアネ−ト化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂などの架橋剤からなる組成物があげられる。基体樹脂と架橋剤との比率は、この両成分の合計固形分重量に基いて、基体樹脂は50〜90%、特に65〜80%、架橋剤は50〜10%、特に35〜20%の範囲内が好ましい。
【0024】
これらの熱硬化性樹脂組成物のうち、耐酸性及び耐スリキズ性などのすぐれた塗膜を形成する、カルボキシル基、シラノ−ル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂(基体樹脂)及びエポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物などから選ばれた架橋剤からなる組成物を使用することが好ましい。
【0025】
クリヤ塗料(B)を黒色ベース塗料(A)の未硬化塗膜の塗面に塗装するにあたり、このクリヤ塗料(B)の固形分含有率を40〜65重量%、特に45〜60重量%、粘度を10〜40秒/フォードカップ#4/20℃、特に20〜30秒/フォードカップ#4/20℃に調整しておくことが好ましい。
【0026】
クリヤ塗料(B)は、例えば、静電塗装、エアレススプレ−、エアスプレ−などで塗装することができる。その膜厚は硬化塗膜に基づいて、10〜80μm、特に20〜50μmの範囲内が適している。そして、その後、100〜180℃で、好ましくは120〜160℃で、10〜40分程度加熱して両塗膜を架橋硬化せしめることにより本方法を達成することができる。
【0027】
【発明の効果】
本方法によれば、溶剤可溶性黒色染料を5〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に、有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる有機溶剤可溶性黒色着色剤をクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることによって複層黒色塗膜を形成するために、塗装ラインにおいて黒色ベース塗料(A)の色調が異なっても、クリヤ塗料(B)を変更する必要はなく、共通して使用することができるため、塗料の圧送配管を増設する必要がなく、経費節減が可能になった。しかも、形成される複層黒色塗膜の深み感及び漆黒性もすぐれている。
【0028】
【実施例】
本発明に関する実施例及び比較例について説明する。部及び%はいずれも重量を基準にしており、また、塗膜の膜厚は硬化塗膜を基準にしている。
【0029】
実施例 1
水酸基含有アクリル樹脂(注1)75部、メラミン樹脂(注2)25部、「RAVEN5000UltraII」(コロンビヤン社製、商品名、カーボンブラック)4部を脱イオン水に混合分散し、さらに、『NeoZaponX55』(BASF社製、商品名、黒色染料)2部をエタノールに溶解し10%溶液としたものを配合して水性黒色ベース塗料(A−1)を得た。塗装時での固形分含有率は25重量%、粘度は25秒/フォ−ドカップ#4/20℃である。この単独塗膜は黒色であり、L値は1.65である。
【0030】
(注1)水酸基含有アクリル樹脂:メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレ−ト17部、n−ブチルアクリレ−ト17部、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト7部、ラウリルメタクリレ−ト20部及びアクリル酸1部からなる単量体の共重合体。数平均分子量50000、水酸基価54mgKOH/g
【0031】
(注2)メラミン樹脂:ブチルエ−テル化メラミン樹脂、「ユ−バン28−60」(三井サイテック社製、商品名)
【0032】
カチオン電着塗料及び中塗り塗料を塗装し、これらの各塗膜を加熱硬化せしめてなる鋼板(被塗物)に水性黒色ベース塗料(A−1)を噴霧塗装した。膜厚は14μmである。塗膜を室温で3分のプレヒートした。かくして形成された黒色ベース塗料(A−1)の未硬化塗膜の固形分含有率は60重量%である。この黒色ベース塗料(A−1)の未硬化塗膜面に、クリア塗料(B−1)(注3)を膜厚40μmになるように塗装してから、140℃で30分間加熱して両塗膜を同時に硬化せしめた。得られた複層塗膜の測色を行ない、その結果を表1に示した。
【0033】
(注3)クリア塗料(B−1):カルボキシル基含有アクリル樹脂(注4)50部、エポキシ基含有アクリル樹脂(注5)50部、「チヌビン900」(チバガイギ社製、商品名、紫外線吸収剤)1部、テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルりん酸との当量配合物2部、「BYK300」(ビッグケミ−社製、商品名、表面調整剤)0.1部を芳香族炭化水素系溶剤に混合分散して、固形分含有率を50重量%、粘度を25秒/フォードカップ#4/20℃に調整した。
【0034】
(注4)カルボキシル基含有アクリル樹脂:無水マレイン酸のメタノ−ルハ−フエステル化物20部、アクリル酸4−ヒドロキシn−ブチル20部、n−ブチルアクリレ−ト40部及びスチレン20部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量3500、水酸基価78mgKOH/g、酸価86mgKOH/g
【0035】
(注5)エポキシ基含有アクリル樹脂:グリシジルメタクリレ−ト30部、アクリル酸4−ヒドロキシn−ブチル20部、n−ブチルアクリレ−ト30部及びスチレン20部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量3000、エポキシ基含有量2.12ミリモル/g、水酸基価78mgKOH/g
【0036】
実施例 2
カチオン電着塗料及び中塗り塗料を塗装し、これらの各塗膜を加熱硬化せしめてなる鋼板(被塗物)に水性黒色ベース塗料(A−1)を噴霧塗装した。膜厚は14μmである。塗膜を80℃で3分のプレヒートした。かくして形成された黒色ベース塗料(A−1)の未硬化塗膜の固形分含有率は85重量%である。この黒色ベース塗料(A−1)の未硬化塗膜面に、クリア塗料(B−2)(注6)を膜厚40μmになるように塗装してから、140℃で30分間加熱して両塗膜を同時に硬化せしめた。得られた複層塗膜の測色を行ない、その結果を表1に示した。
【0037】
(注6)クリア塗料(B−2):水酸基基含有アクリル樹脂(注7)65部、メラミン樹脂(注8)35部、「チヌビン900」(チバガイギ社製、商品名、紫外線吸収剤)1部、「BYK300」(ビッグケミ−社製、商品名、表面調整剤)0.1部を芳香族炭化水素系溶剤に混合分散して、固形分含有率を50重量%、粘度を25秒/フォードカップ#4/20℃に調整した。
【0038】
(注7)水酸基含有アクリル樹脂:メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレ−ト17部、n−ブチルアクリレ−ト17部、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト7部、ラウリルメタクリレ−ト20部及びアクリル酸1部からなる単量体の共重合体。数平均分子量50000、水酸基価54mgKOH/g
【0039】
(注8)メラミン樹脂:ブチルエ−テル化メラミン樹脂、「ユ−バン28−60」(三井サイテック社製、商品名)
【0040】
比較例 1
水酸基含有アクリル樹脂(注1)75部、メラミン樹脂(注2)25部、「RAVEN5000UltraII」(コロンビヤン社製、商品名、カーボンブラック)4部を脱イオン水に混合分散して、水性黒色ベース塗料(A−2)を得た。塗装時での固形分含有率は25重量%、粘度は25秒/フォ−ドカップ#4/20℃である。この単独塗膜は黒色であり、L値は1.70である。
【0041】
カチオン電着塗料及び中塗り塗料を塗装し、これらの各塗膜を加熱硬化せしめてなる鋼板(被塗物)に水性黒色ベース塗料(A−2)を噴霧塗装した。膜厚は14μmである。塗膜を80℃で3分のプレヒートした。かくして形成された黒色ベース塗料(A−2)の未硬化塗膜の固形分含有率は86重量%である。黒色ベース塗料(A−2)の未硬化塗膜面に、クリア塗料(B−1)(注3)を膜厚40μmになるように塗装してから、140℃で30分間加熱して両塗膜を同時に硬化せしめた。得られた複層塗膜の測色を行ない、その結果を表1に示した。
【0042】
比較例 2
カチオン電着塗料及び中塗り塗料を塗装し、これらの各塗膜を加熱硬化せしめてなる鋼板(被塗物)に水性黒色ベース塗料(A−1)を噴霧塗装し、140℃で30分間加熱して黒色塗膜を架橋硬化した。膜厚は14μmである。かくして形成された黒色ベース塗料(A−1)の硬化塗膜面に、クリア塗料(B−1)(注3)を膜厚40μmになるように塗装してから、140℃で30分間加熱してクリヤ塗膜を硬化せしめた。得られた複層塗膜の測色を行ない、その結果を表1に示した。
【0043】
試験結果
複層塗膜の測色方法は次のとおりである。
【0044】
黒色度(漆黒性):目視評価。人工太陽灯のもとで塗面を目視し、特にシェードでの黒さを調べた結果であり、○はシェード、底色の白ホ゛ケ感がなく、漆黒性が良好、△はシェードでやや白ホ゛ケ感が見られ、漆黒性がやや劣る、×はシェードで白ホ゛ケ感が見られ、漆黒性が劣ることを示す。
【0045】
計測値は変角色差計CM512m3(ミノルタ社製、商品名)を用いて測定した結果であり、受光角(塗面に対して垂直方向を0°としたもの)に対して、25°(ハイライト部)、45°、75°(シェード)の3角度で測色した各角度のL値を合計した値を示している。この値が小さいもの程、入射光に対する光散乱が少なく、漆黒性が優れていることを示す。
【0046】
【表1】
Claims (2)
- 溶剤可溶性黒色染料を1〜30PHRの比率で含有する黒色ベース塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に有機溶剤系クリヤ塗料(B)を塗装し、下層の黒色ベース塗料(A)の塗膜中に含まれる溶剤可溶性黒色染料を上層のクリヤ塗料(B)の塗膜中に移行させることを特徴とする複層黒色塗膜形成方法。
- 請求項1で得られる複層黒色塗膜の変角色差計で測定した3角度のL値の合計が2未満であることを特徴とする複層黒色塗膜形成方法。
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