JP2004094361A - 色変換方法、色変換装置、プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】色変換に必要な処理時間を低減する。
【解決手段】色変換テーブル41eは3次元ルックアップテーブル411のみならず、1次元ルックアップテーブル412をも有する。1次元ルックアップテーブル412は、モノクローム画像に対するインクの使用量を決定する。モノクローム画像に付与された色相が決定されていれば、3次元ルックアップテーブル411を参照する必要はなく、1次元ルックアップテーブル412を参照すればインクの使用量が求められる。よってモノクローム画像が有する階調値に基づいて1次元ルックアップテーブル412を用いた補間処理は迅速に行われる。
【選択図】 図1
【解決手段】色変換テーブル41eは3次元ルックアップテーブル411のみならず、1次元ルックアップテーブル412をも有する。1次元ルックアップテーブル412は、モノクローム画像に対するインクの使用量を決定する。モノクローム画像に付与された色相が決定されていれば、3次元ルックアップテーブル411を参照する必要はなく、1次元ルックアップテーブル412を参照すればインクの使用量が求められる。よってモノクローム画像が有する階調値に基づいて1次元ルックアップテーブル412を用いた補間処理は迅速に行われる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、色変換に必要な処理時間を低減する技術に関する。本発明は、例えばグレー画像に色相を付与して印刷する技術に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
図12は、カラープリンタを用いてカラー画像を印刷する技術を概念的に示すブロック図である。スキャナ20は読み込んだ画像を示す所定の画像データDT2をコンピュータ10へ出力する。コンピュータ10は画像データDT2に基づいてCRT22に画像を表示させ、カラープリンタ30に画像を印刷させる。読み込んだ画像をカラーで印刷したい場合には、画像データDT2として、それぞれ赤、緑、青の量を示すR信号、G信号、B信号(以下、これらを総称して「RGB信号」ともいう)が採用される。
【0003】
コンピュータ10では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム40が動作する。このオペレーティングシステムには、CRTドライバソフト17やプリンタドライバソフト41が組み込まれている。アプリケーションプログラム40からはプリンタドライバソフト41を介して、カラープリンタ30に転送するための画像データDT1が出力される。
【0004】
アプリケーションプログラム40は、例えばフォトレタッチソフトであり、画像データDT2に対して画像のレタッチなどの所定の処理を行う。アプリケーションプログラム40によって得られた処理結果DT3は、CRTドライバソフト17やプリンタドライバソフト41に与えられる。
【0005】
アプリケーションプログラム40が印刷命令を発すると、コンピュータ10のプリンタドライバソフト41が、処理結果DT3をカラープリンタ30にて処理可能な信号DT1に変換する。カラープリンタ30は種々のインクを備えており、信号DT1は画像データDT2に対応したインクの使用量や、印刷箇所などについての情報を有している。
【0006】
プリンタドライバ41は、内部に解像度変換モジュール41aと、色変換モジュール41bと、色変換テーブル41eと、ハーフトーンモジュール41cと、ラスタライザ41dとを備えている。
【0007】
解像度変換モジュール41aは、アプリケーションプログラム40から得られた処理結果DT3の解像度、即ち単位長さ当たりの画素数をプリンタドライバ41にて扱うことができる解像度に変換して変換結果DT4を得る。変換結果DT4も当然、色についての情報を有している。色変換モジュール41bは色変換テーブル41eを用いて、変換結果DT4に基づいて各画素毎にカラープリンタ30が使用する種々のインクの使用量を決定する。ハーフトーンモジュール41cは、ドットを分散して形成することによりカラープリンタ30で種々の階調値を表現するためのハーフトーン処理を実行する。ラスタライザ41dはカラープリンタ30に転送すべきデータ順にインクの使用量を並べ替え、最終的な画像データとして信号DT1をカラープリンタ30に出力する。
【0008】
かかる技術は例えば特開2002−59571において紹介されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにして、印刷媒体上にカラー画像を表示する技術は広く使用されている。しかしながら、色相が単一であるモノクローム画像は、所定の色相を有している場合に独特の雰囲気を有しており、モノクローム画像を印刷する需要も高い。図12に例示された従来の技術においても、モノクローム画像を印刷することは可能である。
【0010】
例えばスキャナ20が読み込んだ画像を無彩色のグレー画像としてコンピュータ10に認識させる。グレー画像ではいずれの画素においても赤、緑、青が等量であるので、画像データDT2のR信号、G信号、B信号は、相互に等しい値を採る。
【0011】
アプリケーションプログラム40は、画像データDT2が表すグレー画像に対して所定の色相を付与する処理(以下「色相付与処理」と称す)を行って、処理結果DT3を生成する。
【0012】
図13乃至図16は、色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフであり、色相付与処理を行って得られた処理結果DT3が有する新たなR信号、G信号、B信号をそれぞれR’信号、G’信号、B’信号として示している(以下、これらを総称して「R’G’B’信号」ともいう)。画像データDT2のR信号、G信号、B信号は相互に等しい値を採る。ここではRGB信号の階調値を0〜255の整数に対応した256段階である場合を例示している。
【0013】
図13はグレー画像をグレー画像として(以下「ニュートラル調」と称す)印刷させたい場合を、図14は寒色気味(以下「クール調」と称す)に印刷させたい場合を、図15は暖色気味(以下「ウォーム調」と称す)に印刷させたい場合を、図16はカラー写真が褪色した色合い(以下「セピア調」と称す)に印刷させたい場合を、それぞれ示す。
【0014】
このようにして得られたR’G’B’信号は解像度変換モジュール41aで解像度が変換された後、色変換モジュール41bにおいて色変換テーブル41eを用いてカラープリンタ30が使用する種々のインクの使用量に変換する。解像度変換モジュール41aで解像度が変換されても、R’G’B’信号の値は維持される。
【0015】
図17は色変換テーブル41eを用いて、R’G’B’信号に基づいてシアン、マゼンタ、イエロー、黒の各インクの使用量C,M,Y,Kを設定する技術を説明するグラフである。R’信号、G’信号、B’信号は相互に独立であるので、3次元の立方体で色変換テーブル41eが模式的に表現される。ここでは階調値を0〜255の256(=28)段階である場合を示している。色変換テーブル41eが独立した28×28×28組(約1678万組)のデータを記憶することは、メモリ容量の制限から望ましくない。このため、色変換テーブル41eでのデータの記憶位置は、格子点として離散的に、例えば階調値17個分毎に設定される。ここで一組のデータには例えばインクの使用量C,M,Yの3種のデータが含まれている。図17にはR’信号、G’信号、B’信号がそれぞれ値r0,g0,b0を採る場合に対応する位置T0を例示している。
【0016】
しかしながら、一般的には値r0,g0,b0に対応した格子点は存在しない場合がある。このような場合には一般には位置T0を囲む複数個の格子点をピックアップし、ピックアップされた格子点のそれぞれに記憶されたインクの使用量を用いた補間により、位置T0に対応したインク量を設定する。上述の通り、インクの使用量は画素毎に求められるので、上記の補間は画素毎に行われることになる。つまりグレー画像を示す画像データDT2ではRGB信号が256種類で足りるにも関わらず、カラー画像の場合と同じ処理が必要となる。
【0017】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、色変換に必要な処理時間を低減することを主たる目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明のうち請求項1にかかるものは色変換方法であって、相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルを作成する。
【0019】
この発明のうち請求項2にかかるものは、請求項1記載の色変換方法であって、(a)ある画素についての前記色ξiの前記階調値αiを入力するステップと、(b)前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応する前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記第1の色変換テーブルに基づいて決定するステップと、(c)前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応づけて、前記ステップ(b)で決定された前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を記憶するステップと、(d)他の画素についての前記色ξiの前記階調値αiを入力するステップと、(e)前記ステップ(d)で入力された前記色ξiの前記階調値αiが、前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiと等しい場合に、前記ステップ(c)で記憶された前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記ステップ(d)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応して出力するステップとを備える。
【0020】
この発明のうち請求項3にかかるものは、請求項2記載の色変換方法であって、前記画素が帰属する画像はモノクローム画像である。
【0021】
この発明のうち請求項4にかかるものは、請求項1記載の色変換方法であって、(a)モノクローム画像を得るためにグレー画像に付与すべき色相を設定するステップと、(b)前記ステップ(a)で設定された色相に基づき、前記色ξiの前記階調値αiを前記グレー画像の階調値毎に求めるステップと、(c)前記ステップ(b)で設定された前記色ξiの前記階調値αiに対応する前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記第1の色変換テーブルに基づいて決定するステップと、(d)前記グレー画像の階調値と対応づけて、前記強度βj(α1,…,αP)を前記第2の色変換テーブルに記憶するステップとを備える。
【0022】
この発明のうち請求項5にかかるものは、請求項3及び請求項4のいずれか一つに記載の色変換方法であって、前記モノクローム画像が視認される。
【0023】
この発明のうち請求項6にかかるものは、請求項4記載の色変換方法であって、前記ステップ(d)において、前記グレー画像の階調値に対する前記強度βj(α1,…,αP)に対してスムージング処理が行われる。
【0024】
この発明のうち請求項7にかかるものは、請求項6記載の色変換方法であって、前記第2の色変換テーブルの前記強度βj(α1,…,αP)のビット長は、前記第1の色変換テーブルの前記強度βj(α1(a1),…,αP(aP))のビット長よりも長い。
【0025】
この発明のうち請求項8にかかるものは、請求項5記載の色変換方法であって、前記スムージング処理は補間関数を用いて行われ、(e)前記補間関数を用いて、前記グレー画像の階調値に対する前記モノクローム画像についての階調値を求める。
【0026】
この発明のうち請求項9にかかるものは、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の色変換方法であって、前記強度βj(α1,…,αP)は、前記色ηjのインクの使用量である。
【0027】
この発明のうち請求項10にかかるものは、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の色変換方法であって、前記強度βj(α1,…,αP)は、前記色ηjのドットについての形成密度である。
【0028】
この発明のうち請求項11にかかるものは色変換装置であって、相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルを作成する。
【0029】
この発明のうち請求項12にかかるものはプログラムであって、相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルをコンピュータに作成させる。
【0030】
この発明のうち請求項13にかかるものは、コンピュータが読みとり可能な記録媒体であって、請求項12に記載のプログラムを格納する。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1にかかる、カラープリンタを用いてモノクローム画像を印刷する技術を概念的に示すブロック図である。図12に示された構成と比較して、色変換テーブル41eの構成と、色変換モジュール41bの機能とが特徴的に異なっている。
【0032】
色変換テーブル41eは従来の技術においても設けられ、図17で模式的に示された3次元ルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)411と、後に詳述する本発明で特徴的な1次元ルックアップテーブル412とを有している。
【0033】
図2は色変換モジュール41bの、本実施の形態における特徴的な色変換工程を示すフローチャートである。ステップS11においては、色変換モジュール41bに入力された変換結果DT4が有するR’G’B’信号が、新たな値であるかが判断される。
【0034】
ある画像について最初にステップS11が実行された場合、ある画素についてのR’G’B’信号は必ず新たな値となるので、ステップS12へと進む。ステップS12では1次元ルックアップテーブル412を作成する。図17で示されたように、R’G’B’信号のそれぞれの階調値同士の組み合わせは、3次元空間の一つの位置を決定する。ここでは、現在処理中のR’G’B’信号のそれぞれの階調値をそれぞれR’,G’,B’とし、これらの値の組み合わせに対応したインクの使用量をφ(R’,G’,B’)として表す。例えばインクの使用量φはシアン、マゼンタ、イエロー、黒のそれぞれに対応したインクの使用量C,M,Y,Kを規定する4元のベクトルであり、3変数R’,G’,B’の関数である。ステップS12では1次元ルックアップテーブル412に対し、インクの使用量φ(R’,G’,B’)を追加する。
【0035】
次に他の画素についてのR’G’B’信号が入力した場合、これが新たな値であればステップS12に進んで上述の処理が進められ、1次元ルックアップテーブル412の内容が増加する。しかし、他の画素についてのR’G’B’信号が新たな値ではない場合、つまり以前に処理したある画素についてのR’G’B’信号の値と、今回処理する他の画素についてのR’G’B’信号の値とが等しい場合にはステップS13へ進む。
【0036】
ステップS13に処理が進むということは、現在処理中のR’G’B’信号については既にステップS12によって1次元ルックアップテーブル412において対応するインクの使用量φ(R’,G’,B’)が存在することになる。よってステップS13では、1次元ルックアップテーブル412からインクの使用量φ(R’,G’,B’)を読み出す。この場合には補間を行う必要がないので、インクの使用量を決定する処理時間を短くすることができる。
【0037】
図3はステップS12の詳細を示すフローチャートである。ステップS121,S122では、3次元ルックアップテーブル411に基づいて、現在処理中のR’G’B’信号に対応したインク量を求める。図17で示されたように、R’G’B’信号のそれぞれの階調値同士の組み合わせは、3次元空間の一つの位置を決定する。ここでは、現在処理中のR’G’B’信号のそれぞれの階調値をそれぞれR’,G’,B’とし、これらの値の組み合わせによって決定される3次元空間の一つの位置をT0(R’,G’,B’)として表す。
【0038】
位置T0(R’,G’,B’)は予め3次元ルックアップテーブル411において準備された位置であるとは限らない。よってまず3次元ルックアップテーブル411において、位置T0の周囲で予め準備された8個の格子点T1〜T8(図17参照)をピックアップする。次にステップS122に処理が進み、格子点T1〜T8において設定されたインクの使用量φ(T1)〜φ(T8)の値を用いた補間によってインクの使用量φ(T0)を求める。このような補間は、立方体補間として公知の技術である。あるいはステップS122において、四面体補間や、ピラミッド補間、プリズム補間等、公知の補間技術を採用してもよい。その場合にはステップS121でピックアップされるべき格子点はそれぞれ4,5,6個となる。
【0039】
ステップS122からステップS123へと処理が進み、ステップS122で得られたインクの使用量φ(T0)を、位置T0と対にして1次元ルックアップテーブル412に追加する。
【0040】
本実施の形態によれば、同じ色が繰り返し使用される複数の画素が存在する場合に、処理時間を短くすることができる。本実施の形態は一般にフォトレタッチを行った画像に対して効果的である。しかし、モノクローム画像では最大でも階調値の段階の数(上述の例では256個)の色しか有しないので、アプリケーションプログラム40で色相付与処理を行う場合に、処理の迅速という効果が顕著である。しかもこの場合に特化して構成するのであれば、つまり画素が帰属する画像がモノクローム画像であることを前提とすれば、1次元ルックアップテーブル412のサイズは小さくてすむ。なお、アプリケーションプログラム40でフォトレタッチが行われた結果得られる画像のプレビューを、処理結果DT3に基づいてCRT22に表示させてもよい。これにより、例えばモノクローム画像を得るために付与する色相を容易に設定することができる。
【0041】
上述の態様をより一般的に考えると以下のように把握できる。R’G’B’信号は、相互に色相が異なるP個の色ξi(但し1≦i≦P)についての階調値αiを示していると把握できる。即ちP=3であり、色ξ1,ξ2,ξ3はそれぞれR’信号、G’信号、B’信号に対応している。
【0042】
3次元ルックアップテーブル411は、R’信号、G’信号、B’信号のそれぞれの所定個数A1,A2,A3の階調値α1(a1),α2(a2),α3(a3)同士の組み合わせに対応してインクの使用量を記憶している(但し1≦a1≦A1,1≦a2≦A2,1≦a3≦A3)。
【0043】
上記の階調値α1(a1),α2(a2),α3(a3)同士の組み合わせに対応して、3次元ルックアップテーブル411は、相互に色相が異なるQ個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),α2(a2),α3(a3))を決定する。即ちここではQ=4であり、色η1,η2,η3,η4はそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、黒に対応している。また強度β1,β2,β3,β4はベクトルφに相当し、それぞれインクの使用量C,M,Y,Kとして把握できる。
【0044】
1次元ルックアップテーブル412は、R’信号、G’信号、B’信号のそれぞれの階調値α1,α2,α3同士の所定個数の組み合わせに対応して、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のそれぞれのインクの使用量C,M,Y,Kを記憶する、と把握できる。本実施の形態において、1次元ルックアップテーブル412の所定個数の組み合わせは、ステップS12が実行された回数と一致する。
【0045】
なお既述の通り、色変換モジュール41bと、色変換テーブル41eとを有するプリンタドライバ41は、コンピュータ10において所定のオペレーティングシステムの下で動作するアプリケーションプログラム40に含まれる。よってコンピュータ10はアプリケーションプログラム40の少なくとも一部によって動作することにより、色変換装置として機能する。換言すれば、アプリケーションプログラム40の少なくとも一部は、1次元ルックアップテーブル412をコンピュータ10に作成させるためのプログラムである。当該プログラムはコンピュータが読みとり可能な記録媒体に記録させ、当該記録媒体から当該プログラムを読み込んだコンピュータに1次元ルックアップテーブル412を作成させ、当該コンピュータを色変換装置として機能させることができる。
【0046】
実施の形態2.
本実施の形態では色相付与処理を、プリンタドライバソフト41において行う場合を例示する。例えばスキャナ20において読み込んだ画像がグレー画像であって、画像データDT2のR信号、G信号、B信号は、相互に等しい値を採る場合がある。また例えばスキャナ20において読み込んだ画像がカラー画像であっても、アプリケーションプログラム40によるフォトレタッチによってグレー画像に変換される場合がある。いずれの場合においても処理結果DT3は相互に等しい階調値を採るR”信号、G”信号、B”信号を有する。そして変換結果DT4においてもR”信号、G”信号、B”信号は、相互に等しい階調値を採る。
【0047】
図4は色変換モジュール41bの、本実施の形態における特徴的な色変換工程を示すフローチャートである。ステップS21において色変換モジュール41bは、モノクローム印刷を行うか、カラー印刷を行うかを決定する。プリンタドライバソフト41に与えられた画像(処理結果DT3によって表される画像)をモノクローム画像で印刷するのか、カラー画像で印刷するのかを、プリンタドライバに予め設定でき、ステップS21では、かかる設定に基づいて判断する。
【0048】
なお簡単のために、以下の説明では、モノクローム印刷を行う場合には処理結果DT3によって表される画像がグレー画像であり、処理結果DT3は相互に値が等しいR”信号、G”信号、B”信号を有しているものとする。またカラー印刷を行う場合には処理結果DT3によって表される画像がカラー画像である場合を想定している。しかし処理結果DT3によって表される画像がカラー画像であり、処理結果DT3が有するR”信号、G”信号、B”信号の値が相互に異なっている場合であっても、いずれか一つの信号に着目し、着目した信号の値を他の二つの信号も採ると見なしてモノクローム印刷を行う処理を行うことは可能である。一方、カラー印刷を行う場合には、処理結果DT3によって表される画像がカラー画像である場合はもちろん、グレー画像である場合であっても従来の技術と同様に処理することにより、グレー画像の印刷を行うことは可能である。しかし既述の通り、従来の技術と同様にしてグレー画像に基づいてカラー印刷を行うことは、処理時間の観点からは望ましくない。
【0049】
カラー画像で印刷する旨が設定されている場合はステップS22へと処理が進んで色変換処理が行われる。ステップS22においては従来の技術で説明されたように、RGB信号に基づいて色変換テーブル41eを用いてインクの使用量が決定される。
【0050】
モノクローム画像で印刷する旨が設定されている場合はステップS23へと処理が進んで色相付与処理が行われる。予め設定された色相が、色相付与処理においてグレー画像に付与される。より具体的には、予め設定された色相に基づいて作成された1次元ルックアップテーブル412に基づいて、インクの使用量が決定される。1次元ルックアップテーブル412の具体的な作成の説明の前に、予め色相を設定するユーザインタフェースについて説明する。
【0051】
図5はステップS23においてユーザに対して示されるユーザインタフェースの画像を模式的に示す図である。かかる画像は、色変換モジュール41bの機能により、プリンタドライバソフト41がCRTドライバソフト17に対してCRT22において表示させることができる。これにより、モノクローム画像を得るために付与する色相を容易に設定することができる。
【0052】
プリンタドライバソフト41において、モノクローム画像を得るためにどのような色相をグレー画像に付与するかを設定するための、メニュー画像800を表示させる。メニュー画像800上部には、グレー画像に付与する色相を設定するボックス801が表示され、画面下部には、色相の付与量を設定するボックス802が表示される。
【0053】
ボックス801には、インジケータ801dが表示されている。またクール調、ウォーム調、セピア調を示す示すマーク801C、801W、801Sが、これらの色相に対応して、インジケータ801dの周囲に環状に配置されている。
【0054】
ユーザは図示されないポインタデバイスを用いて、インジケータ801dの位置を移動させ、上記の環状に配置されたマーク801c,801m,801y,801C、801W、801Sを目安として、グレー画像に付与する色相を設定することができる。例えばインジケータ801dをマーク801Sに合わせれば、グレー画像に付与すべき色相としてセピア調が設定される。
【0055】
ボックス802では、ボックス801で設定した色相の付与量が設定される。ユーザは図示されないポインタデバイスを用いて、ボックス802中のインジケータ802dを移動させることにより、色相の付与量を所望の値に設定することができる。例えば、インジケータ802dの位置を左端の「付与せず」と表示されている位置に合わせれば、色相が全く付与されていないグレー画像を設定したことになる。インジケータ802dの位置を右側に動かして行くにつれて、グレー画像から次第に色相を帯びたモノクローム画像に変化していく。
【0056】
図6は例えばグレー画像に付与すべき色相としてクール調が設定されている場合の、色相の付与を説明するグラフである。ここでは相互に等しい値を有するR信号、G信号、B信号に対してクール調の色相を与える場合を、色相の付与量を変えて示している。縦軸は色相が付与された画像に対応するR’信号、G’信号、B’信号の値を示す。グラフB2’で示されるB’信号の値は、グラフB1’で示されるB’信号の値よりも、色相の付与量が大きい。つまり色相の付与量が大きくなるほど、B’信号の値は、階調値の最小値“0”と最大値“255”を除いて増加する。他の色相を付与する場合も同様であり、R’G’B’信号の値がRGB信号の値と乖離する場合には、その乖離は、色相の付与量が大きい程顕著となる。
【0057】
図7は色相を設定する処理(以下「色相設定処理」と称す)を示すフローチャートであり、色変換工程とは別個に実行することができる。色相設定処理は色変換モジュール41bが色変換テーブル41eを用いて実行することができる。まずステップS31において、図5で示されたメニュー画像800を表示し、上述のように色相を設定することにより、グレー画像に付与すべき色相を指示する。
【0058】
その後ステップS32、1次元ルックアップテーブル412を作成するパラメータaの初期値として、値“0”をセットする。そしてステップS33で仮想的なRGB信号の値r0,g0,b0としていずれも等しくパラメータaを採用する。パラメータaを順次更新することにより、グレー画像の全ての階調値について1次元ルックアップテーブル412を作成する。
【0059】
ステップS34では指示された色相に基づいて、具体的には例えば図6に示されたグラフに基づいて、グレー画像に色相を付加して得ることができるモノクローム画像を表示するためのR’G’B’信号の値r1,g1,b1を決定する。これらの値は当然RGB信号の値r0,g0,b0が採用するパラメータaの関数となる。よって3次元ルックアップテーブル411においてR’G’B’信号の値の組を3次元空間中の点Sの座標として把握すると、ステップS34では点S(r1(a),g1(a),b1(a))の位置を決定する処理が行われることになる。ステップS34の処理は上述の通りであるので、ステップS33を省略することもできる。
【0060】
次にステップS35において、3次元ルックアップテーブル411を用いて、インクの使用量φ(S)を求める。この処理は図3においてステップS121,S122を用いて行った処理と類似して、点S(r1(a),g1(a),b1(a))の周囲の格子点におけるインクの使用量φに基づいて、補間によって、点S(r1(a),g1(a),b1(a))におけるインクの使用量φを求める。しかし、値r0,g0,b0はいずれもパラメータaによって一意に定まり、点S(r1(a),g1(a),b1(a))は指示された色相に基づいて、パラメータaに対して一意に定まる。よってインクの使用量φは、指示された色相が固定されていれば、1変数aの関数であってφ(a)と表すことができる。
【0061】
その後、ステップS36において、ステップS35で得られたインクの使用量φ(a)を、パラメータaの値と対応づけて、例えばパラメータaに対応するアドレスにおいて、1次元ルックアップテーブル412に追加する。例えばシアンのインクの使用量Cも1変数aの関数であってC(a)と表すことができる。
【0062】
その後、ステップS37においてパラメータaの値を1だけ増加させて更新し、ステップS38へと処理が進む。ステップS38では、1次元ルックアップテーブル411に更にデータを追加する処理を行うか否かが判断される。具体的には、ステップS37において更新されたパラメータaの値が、グレー画像の階調値の総数A(例えば256個)未満であれば、ステップステップS33に戻り、ステップS36におけるデータの追加が行われる。つまりグレー画像の階調値として捉えうるパラメータa毎に、各色のインクの使用量を得る。
【0063】
ステップS37において更新されたパラメータaの値が、階調値の総数A以上であれば、ステップS39において後述するスムージングが行われる。スムージングが終了すれば色相設定処理は終了するが、スムージングを行うステップS39は省略することもできる。
【0064】
色相設定処理が終了後、ステップS23では実施の形態1のステップS13と同様にして、1次元ルックアップテーブル412からφ(R’,G’,B’)を読み出し、ステップS31で指示された色相を有するモノクローム画像についてのインクの使用量が求められる。
【0065】
図8はスムージングを説明するグラフである。白丸印はステップS36によって順次作成された、パラメータaに対応するインクの使用量C(a)を例示する。3次元ルックアップテーブル411の記憶するインクの使用量は、これを表すデータのビット数が例えば8ビットと小さいので、特に明度が高い(階調値が大きい場合)に誤差が大きい。またインクの使用量C(a)は補間計算を用いて計算されたために、量子化雑音などの影響が残る。これにより、1次元ルックアップテーブル412が記憶するインクの使用量の精度は低くなる。
【0066】
そこで補間関数、例えばスプライン関数を用いてスムージングを行い、少なくともステップS32,S37で設定や更新された離散的なパラメータaにおけるインクの使用量C(a)を計算して1次元ルックアップテーブル412の記憶内容を更新する。当該スムージングの効果を得るためには、1次元ルックアップテーブル412が記憶するデータのビット長が、3次元ルックアップテーブル411が記憶するデータのビット長よりも大きい必要がある。例えばインクの使用量を示すデータとして、1次元ルックアップテーブル412は16ビット長のデータを扱い、3次元ルックアップテーブル411は8ビット長のデータを扱う。このように扱うデータ長が異なっていても、ステップS35の処理では、3次元ルックアップテーブル411が記憶するデータのビット長で1次元ルックアップテーブル412にデータを記憶させることができる。
【0067】
黒丸印はステップS39によって得られたインクの使用量C(a)を例示する。かかるスムージングにより、色相が付与される対象であるグレー画像の階調値の変化に対して滑らかに階調値が変化するモノクローム画像を得ることができる。これは他のインクの使用量についても同様である。
【0068】
そして3次元ルックアップテーブル411と比較すると、1次元ルックアップテーブル412が記憶すべきデータの数は非常に少ない。例えばR信号、G信号、B信号のそれぞれについて階調値が28=256段階であり、3次元ルックアップテーブル411の格子点数を17×17×17個とすれば、データ数は約19分の1ですむ。よって1次元ルックアップテーブル412が取り扱うデータ長を2倍程度にしても、必要な記憶領域は非常に小さい。
【0069】
上述の態様をより一般的に考えると以下のように把握できる。値r1(a),g1(a),b1(a)は、それぞれ相互に色相が異なるP個の色ξi(但し1≦i≦P)についての階調値αiを示していると把握できる。即ちP=3であり、色ξ1,ξ2,ξ3はそれぞれR’信号、G’信号、B’信号に対応している。
【0070】
3次元ルックアップテーブル411は、R’信号、G’信号、B’信号のそれぞれの所定個数A1,A2,A3の階調値α1(a1),α2(a2),α3(a3)同士の組み合わせに対応してインクの使用量を記憶している(但し1≦a1≦A1,1≦a2≦A2,1≦a3≦A3)。
【0071】
上記の階調値α1(a1),α2(a2),α3(a3)同士の組み合わせに対応して、3次元ルックアップテーブル411は、相互に色相が異なるQ個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),α2(a2),α3(a3))を決定する。即ちここではQ=4であり、色η1,η2,η3,η4はそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、黒に対応している。また強度β1,β2,β3,β4はベクトルφに相当し、それぞれインクの使用量C,M,Y,Kとして把握できる。
【0072】
そしてR’信号、G’信号、B’信号のそれぞれの階調値α1,α2,α3同士の所定個数の組み合わせに対応して、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のそれぞれのインクの使用量C,M,Y,Kを記憶する、と把握できる。本実施の形態ではr1(a),g1(a),b1(a)はパラメータa毎に設定されるので、これらの値の組み合わせの所定個数はパラメータaが更新される個数、即ちグレー画像の階調値の総数Aとなる。つまりパラメータaはグレー画像の階調値に対応している。
【0073】
実施の形態3.
実施の形態1において、アプリケーションプログラム40でモノクローム画像に対して色相付与処理を行う場合に、1次元ルックアップテーブル412のサイズは小さくて済む。また実施の形態2においても1次元ルックアップテーブル412のサイズは小さくて済む。
【0074】
よって1次元ルックアップテーブル412が、階調値一つ当たりに記憶すべきデータ量を増大させても、3次元ルックアップテーブル411において階調値一つ当たりに記憶すべきデータ量を増大させる場合と比較すると、メモリサイズは顕著に小さい。そのため、例えば実施の形態2で説明したように、1次元ルックアップテーブル412が記憶するインクの使用量のデータ長を長くしてもよい。
【0075】
その他、1次元ルックアップテーブル412が、インクの使用量に替えて、あるいはインクの使用量とともに、カラープリンタ30が印刷するインクのドットの大きさについての情報を記憶することができる。説明の便宜上、以下ではいずれのインクも大・中・小の3種類のドットを形成可能であるものとして、実施の形態2の1次元ルックアップテーブル412について説明する。しかし、ドットの種類は3種類に限られず、またインク毎に種類の数が異なっていてもよい。また実施の形態1の1次元ルックアップテーブル411についても、複数種のドットについてのデータを記憶させることができる。
【0076】
図9は本実施の形態にかかるフローチャートを示し、図7に示されたフローチャートのステップS36に置換して処理されるステップS361〜S362を示している。
【0077】
ステップS35においてインクの使用量φ(a)を求めた後、ステップS361において、当該インクの使用量に基づいて、各インクのドットの形成密度Ψ(a)を計算する。本実施の形態では形成密度Ψは上述の強度βiに相当する。
【0078】
例えばシアンのインクの使用量C(a)に基づいて、シアンの大ドット、中ドット、小ドットの各ドットについての形成密度CL(C(a)),CM(C(a)),CS(C(a))に変換する。インクの使用量C(a)が大きいほど形成密度CL(C(a))は大きく、形成密度CS(C(a))は小さい。図10はシアンのインクの使用量C(a)と形成密度CL(C(a)),CM(C(a)),CS(C(a))の関係を概念的に示すグラフである。横軸にはシアンのインクの使用量C(a)を、その最大値Cmaxで除した値を採用している。
【0079】
インクとして黒を採用する場合にはUCR(Under Color Removal)を行うのが通常であり、階調値の低い領域では黒のインクの使用量が多く、シアン、マゼンタ、イエローのインクの使用量が少なくなる。図11はグレー画像の階調値として把握可能なパラメータaに対する、シアンの形成密度CL(a),CM(a),CS(a)と、黒の大ドット、中ドット、小ドットの各ドットについての形成密度KL(a),KM(a),KS(a)を例示するグラフである。形成密度CL(a),CM(a),CS(a)は図10に示されるようにシアンのインクの使用量C(a)についての関数であるが、インクの使用量C(a)は実施の形態2で説明したようにパラメータaについての関数であるので、形成密度CL(a),CM(a),CS(a)についてもパラメータaについての関数として表記している。黒のインクの形成密度KL(a),KM(a),KS(a)についても同様である。
【0080】
以上に説明したように、本実施の形態ではR’G’B’信号を一旦、インクの使用量φに一旦変換し、これに基づいて更に形成密度Ψへと変換している。よって実施の形態1,実施の形態2に示した場合と比較して、1次元ルックアップテーブル411の作成には時間がかかる。しかしながら、これを一旦作成してしまえば、変換のための時間は不要であり、1次元ルックアップテーブル411を参照すれば、グレー画像の階調値から、インクの使用量を介することなく各インクの各種ドットについての形成密度を得ることができる。よって画像全体としては形成密度を迅速に得ることになる。
【0081】
【発明の効果】
この発明のうち請求項1にかかる色変換方法において、第1の色変換テーブルは色ξ1,…,ξPの所定個数の階調値同士の組み合わせに対応して準備されているに過ぎず、色ξiの階調値同士の組み合わせの全てに対応して準備されている訳ではない。従って、色ξ1,…,ξPの階調値α1,…,αP同士の組み合わせに対応して色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定するためには、第1の色変換テーブルにおいて予め準備された強度βj(α1(a1),…,αP(aP))に基づいて、補間を行う必要がある。
【0082】
この発明のうち請求項1にかかる色変換方法、請求項11にかかる色変換装置、請求項12にかかるプログラムによれば、強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルを作成するので、上記補間を行う回数を少なくし、処理時間を短くすることができる。
【0083】
この発明のうち請求項2にかかる色変換方法によれば、ステップ(c)によって第2の色変換テーブルを作成することができ、色ξiの階調値αiが複数回入力された場合に、ステップ(b)ではなく、ステップ(e)が実行される。よって一般的に補間を必要とするステップ(b)の実行を減らし、処理時間を短くすることができる。
【0084】
この発明のうち請求項3にかかる色変換方法によれば、第2の色変換テーブルに必要なサイズが小さくてすむ。
【0085】
この発明のうち請求項4にかかる色変換方法によれば、ステップ(d)によって第2の色変換テーブルを作成することができる。このように作成された第2の色変換テーブルを参照することにより、第1の色変換テーブルを参照する場合と比較して、補間の実行を減らし、処理時間を短くすることができる。また第2の色変換テーブルに必要なサイズも小さい。
【0086】
この発明のうち請求項5にかかる色変換方法によれば、モノクローム画像を得るための色相の設定が容易である。
【0087】
この発明のうち請求項6にかかる色変換方法によれば、グレー画像の階調値の変化に対して滑らかに階調値が変化するモノクローム画像を得ることができる。
【0088】
この発明のうち請求項7,請求項8にかかる色変換方法によれば、第2の色変換テーブルを参照して色相が付加される対象であるグレー画像の階調値が、第2の色変換テーブルを作成するためのステップ(b)でのグレー画像の階調値と一致しない場合でも、その階調値の変化に対して滑らかに階調値が変化するモノクローム画像を得ることができる。
【0089】
この発明のうち請求項9にかかる色変換方法によれば、インクの使用量を求める処理を迅速にすることができる。
【0090】
この発明のうち請求項10にかかる色変換方法によれば、一旦第2の色変換テーブルを作成した後は、グレー画像の階調値から各色ηjのドットについての形成密度を得ることができる。よって画像全体としては形成密度を迅速に得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を概念的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2におけるユーザインタフェースの画像を模式的に示す図である。
【図6】色相の付与を説明するグラフである。
【図7】色相設定処理を示すフローチャートである。
【図8】スムージングを説明するグラフである。
【図9】本発明の実施の形態3を示すフローチャートである。
【図10】シアンのインクの使用量と形成密度の関係を概念的に示すグラフである。
【図11】グレー画像の階調値に対する、インクの形成密度を例示するグラフである。
【図12】従来の技術を概念的に示すブロック図である。
【図13】色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフである。
【図14】色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフである。
【図15】色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフである。
【図16】色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフである。
【図17】色変換テーブルを用いて、インクの使用量を設定する技術を説明するグラフである。
【符号の説明】
17…CRTドライバソフト
30…カラープリンタ
40…アプリケーション
41…プリンタドライバソフト
41b…色変換モジュール
41e…色変換テーブル
411…3次元ルックアップテーブル
412…1次元ルックアップテーブル
【発明の属する技術分野】
この発明は、色変換に必要な処理時間を低減する技術に関する。本発明は、例えばグレー画像に色相を付与して印刷する技術に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
図12は、カラープリンタを用いてカラー画像を印刷する技術を概念的に示すブロック図である。スキャナ20は読み込んだ画像を示す所定の画像データDT2をコンピュータ10へ出力する。コンピュータ10は画像データDT2に基づいてCRT22に画像を表示させ、カラープリンタ30に画像を印刷させる。読み込んだ画像をカラーで印刷したい場合には、画像データDT2として、それぞれ赤、緑、青の量を示すR信号、G信号、B信号(以下、これらを総称して「RGB信号」ともいう)が採用される。
【0003】
コンピュータ10では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム40が動作する。このオペレーティングシステムには、CRTドライバソフト17やプリンタドライバソフト41が組み込まれている。アプリケーションプログラム40からはプリンタドライバソフト41を介して、カラープリンタ30に転送するための画像データDT1が出力される。
【0004】
アプリケーションプログラム40は、例えばフォトレタッチソフトであり、画像データDT2に対して画像のレタッチなどの所定の処理を行う。アプリケーションプログラム40によって得られた処理結果DT3は、CRTドライバソフト17やプリンタドライバソフト41に与えられる。
【0005】
アプリケーションプログラム40が印刷命令を発すると、コンピュータ10のプリンタドライバソフト41が、処理結果DT3をカラープリンタ30にて処理可能な信号DT1に変換する。カラープリンタ30は種々のインクを備えており、信号DT1は画像データDT2に対応したインクの使用量や、印刷箇所などについての情報を有している。
【0006】
プリンタドライバ41は、内部に解像度変換モジュール41aと、色変換モジュール41bと、色変換テーブル41eと、ハーフトーンモジュール41cと、ラスタライザ41dとを備えている。
【0007】
解像度変換モジュール41aは、アプリケーションプログラム40から得られた処理結果DT3の解像度、即ち単位長さ当たりの画素数をプリンタドライバ41にて扱うことができる解像度に変換して変換結果DT4を得る。変換結果DT4も当然、色についての情報を有している。色変換モジュール41bは色変換テーブル41eを用いて、変換結果DT4に基づいて各画素毎にカラープリンタ30が使用する種々のインクの使用量を決定する。ハーフトーンモジュール41cは、ドットを分散して形成することによりカラープリンタ30で種々の階調値を表現するためのハーフトーン処理を実行する。ラスタライザ41dはカラープリンタ30に転送すべきデータ順にインクの使用量を並べ替え、最終的な画像データとして信号DT1をカラープリンタ30に出力する。
【0008】
かかる技術は例えば特開2002−59571において紹介されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにして、印刷媒体上にカラー画像を表示する技術は広く使用されている。しかしながら、色相が単一であるモノクローム画像は、所定の色相を有している場合に独特の雰囲気を有しており、モノクローム画像を印刷する需要も高い。図12に例示された従来の技術においても、モノクローム画像を印刷することは可能である。
【0010】
例えばスキャナ20が読み込んだ画像を無彩色のグレー画像としてコンピュータ10に認識させる。グレー画像ではいずれの画素においても赤、緑、青が等量であるので、画像データDT2のR信号、G信号、B信号は、相互に等しい値を採る。
【0011】
アプリケーションプログラム40は、画像データDT2が表すグレー画像に対して所定の色相を付与する処理(以下「色相付与処理」と称す)を行って、処理結果DT3を生成する。
【0012】
図13乃至図16は、色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフであり、色相付与処理を行って得られた処理結果DT3が有する新たなR信号、G信号、B信号をそれぞれR’信号、G’信号、B’信号として示している(以下、これらを総称して「R’G’B’信号」ともいう)。画像データDT2のR信号、G信号、B信号は相互に等しい値を採る。ここではRGB信号の階調値を0〜255の整数に対応した256段階である場合を例示している。
【0013】
図13はグレー画像をグレー画像として(以下「ニュートラル調」と称す)印刷させたい場合を、図14は寒色気味(以下「クール調」と称す)に印刷させたい場合を、図15は暖色気味(以下「ウォーム調」と称す)に印刷させたい場合を、図16はカラー写真が褪色した色合い(以下「セピア調」と称す)に印刷させたい場合を、それぞれ示す。
【0014】
このようにして得られたR’G’B’信号は解像度変換モジュール41aで解像度が変換された後、色変換モジュール41bにおいて色変換テーブル41eを用いてカラープリンタ30が使用する種々のインクの使用量に変換する。解像度変換モジュール41aで解像度が変換されても、R’G’B’信号の値は維持される。
【0015】
図17は色変換テーブル41eを用いて、R’G’B’信号に基づいてシアン、マゼンタ、イエロー、黒の各インクの使用量C,M,Y,Kを設定する技術を説明するグラフである。R’信号、G’信号、B’信号は相互に独立であるので、3次元の立方体で色変換テーブル41eが模式的に表現される。ここでは階調値を0〜255の256(=28)段階である場合を示している。色変換テーブル41eが独立した28×28×28組(約1678万組)のデータを記憶することは、メモリ容量の制限から望ましくない。このため、色変換テーブル41eでのデータの記憶位置は、格子点として離散的に、例えば階調値17個分毎に設定される。ここで一組のデータには例えばインクの使用量C,M,Yの3種のデータが含まれている。図17にはR’信号、G’信号、B’信号がそれぞれ値r0,g0,b0を採る場合に対応する位置T0を例示している。
【0016】
しかしながら、一般的には値r0,g0,b0に対応した格子点は存在しない場合がある。このような場合には一般には位置T0を囲む複数個の格子点をピックアップし、ピックアップされた格子点のそれぞれに記憶されたインクの使用量を用いた補間により、位置T0に対応したインク量を設定する。上述の通り、インクの使用量は画素毎に求められるので、上記の補間は画素毎に行われることになる。つまりグレー画像を示す画像データDT2ではRGB信号が256種類で足りるにも関わらず、カラー画像の場合と同じ処理が必要となる。
【0017】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、色変換に必要な処理時間を低減することを主たる目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明のうち請求項1にかかるものは色変換方法であって、相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルを作成する。
【0019】
この発明のうち請求項2にかかるものは、請求項1記載の色変換方法であって、(a)ある画素についての前記色ξiの前記階調値αiを入力するステップと、(b)前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応する前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記第1の色変換テーブルに基づいて決定するステップと、(c)前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応づけて、前記ステップ(b)で決定された前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を記憶するステップと、(d)他の画素についての前記色ξiの前記階調値αiを入力するステップと、(e)前記ステップ(d)で入力された前記色ξiの前記階調値αiが、前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiと等しい場合に、前記ステップ(c)で記憶された前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記ステップ(d)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応して出力するステップとを備える。
【0020】
この発明のうち請求項3にかかるものは、請求項2記載の色変換方法であって、前記画素が帰属する画像はモノクローム画像である。
【0021】
この発明のうち請求項4にかかるものは、請求項1記載の色変換方法であって、(a)モノクローム画像を得るためにグレー画像に付与すべき色相を設定するステップと、(b)前記ステップ(a)で設定された色相に基づき、前記色ξiの前記階調値αiを前記グレー画像の階調値毎に求めるステップと、(c)前記ステップ(b)で設定された前記色ξiの前記階調値αiに対応する前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記第1の色変換テーブルに基づいて決定するステップと、(d)前記グレー画像の階調値と対応づけて、前記強度βj(α1,…,αP)を前記第2の色変換テーブルに記憶するステップとを備える。
【0022】
この発明のうち請求項5にかかるものは、請求項3及び請求項4のいずれか一つに記載の色変換方法であって、前記モノクローム画像が視認される。
【0023】
この発明のうち請求項6にかかるものは、請求項4記載の色変換方法であって、前記ステップ(d)において、前記グレー画像の階調値に対する前記強度βj(α1,…,αP)に対してスムージング処理が行われる。
【0024】
この発明のうち請求項7にかかるものは、請求項6記載の色変換方法であって、前記第2の色変換テーブルの前記強度βj(α1,…,αP)のビット長は、前記第1の色変換テーブルの前記強度βj(α1(a1),…,αP(aP))のビット長よりも長い。
【0025】
この発明のうち請求項8にかかるものは、請求項5記載の色変換方法であって、前記スムージング処理は補間関数を用いて行われ、(e)前記補間関数を用いて、前記グレー画像の階調値に対する前記モノクローム画像についての階調値を求める。
【0026】
この発明のうち請求項9にかかるものは、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の色変換方法であって、前記強度βj(α1,…,αP)は、前記色ηjのインクの使用量である。
【0027】
この発明のうち請求項10にかかるものは、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の色変換方法であって、前記強度βj(α1,…,αP)は、前記色ηjのドットについての形成密度である。
【0028】
この発明のうち請求項11にかかるものは色変換装置であって、相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルを作成する。
【0029】
この発明のうち請求項12にかかるものはプログラムであって、相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルをコンピュータに作成させる。
【0030】
この発明のうち請求項13にかかるものは、コンピュータが読みとり可能な記録媒体であって、請求項12に記載のプログラムを格納する。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1にかかる、カラープリンタを用いてモノクローム画像を印刷する技術を概念的に示すブロック図である。図12に示された構成と比較して、色変換テーブル41eの構成と、色変換モジュール41bの機能とが特徴的に異なっている。
【0032】
色変換テーブル41eは従来の技術においても設けられ、図17で模式的に示された3次元ルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)411と、後に詳述する本発明で特徴的な1次元ルックアップテーブル412とを有している。
【0033】
図2は色変換モジュール41bの、本実施の形態における特徴的な色変換工程を示すフローチャートである。ステップS11においては、色変換モジュール41bに入力された変換結果DT4が有するR’G’B’信号が、新たな値であるかが判断される。
【0034】
ある画像について最初にステップS11が実行された場合、ある画素についてのR’G’B’信号は必ず新たな値となるので、ステップS12へと進む。ステップS12では1次元ルックアップテーブル412を作成する。図17で示されたように、R’G’B’信号のそれぞれの階調値同士の組み合わせは、3次元空間の一つの位置を決定する。ここでは、現在処理中のR’G’B’信号のそれぞれの階調値をそれぞれR’,G’,B’とし、これらの値の組み合わせに対応したインクの使用量をφ(R’,G’,B’)として表す。例えばインクの使用量φはシアン、マゼンタ、イエロー、黒のそれぞれに対応したインクの使用量C,M,Y,Kを規定する4元のベクトルであり、3変数R’,G’,B’の関数である。ステップS12では1次元ルックアップテーブル412に対し、インクの使用量φ(R’,G’,B’)を追加する。
【0035】
次に他の画素についてのR’G’B’信号が入力した場合、これが新たな値であればステップS12に進んで上述の処理が進められ、1次元ルックアップテーブル412の内容が増加する。しかし、他の画素についてのR’G’B’信号が新たな値ではない場合、つまり以前に処理したある画素についてのR’G’B’信号の値と、今回処理する他の画素についてのR’G’B’信号の値とが等しい場合にはステップS13へ進む。
【0036】
ステップS13に処理が進むということは、現在処理中のR’G’B’信号については既にステップS12によって1次元ルックアップテーブル412において対応するインクの使用量φ(R’,G’,B’)が存在することになる。よってステップS13では、1次元ルックアップテーブル412からインクの使用量φ(R’,G’,B’)を読み出す。この場合には補間を行う必要がないので、インクの使用量を決定する処理時間を短くすることができる。
【0037】
図3はステップS12の詳細を示すフローチャートである。ステップS121,S122では、3次元ルックアップテーブル411に基づいて、現在処理中のR’G’B’信号に対応したインク量を求める。図17で示されたように、R’G’B’信号のそれぞれの階調値同士の組み合わせは、3次元空間の一つの位置を決定する。ここでは、現在処理中のR’G’B’信号のそれぞれの階調値をそれぞれR’,G’,B’とし、これらの値の組み合わせによって決定される3次元空間の一つの位置をT0(R’,G’,B’)として表す。
【0038】
位置T0(R’,G’,B’)は予め3次元ルックアップテーブル411において準備された位置であるとは限らない。よってまず3次元ルックアップテーブル411において、位置T0の周囲で予め準備された8個の格子点T1〜T8(図17参照)をピックアップする。次にステップS122に処理が進み、格子点T1〜T8において設定されたインクの使用量φ(T1)〜φ(T8)の値を用いた補間によってインクの使用量φ(T0)を求める。このような補間は、立方体補間として公知の技術である。あるいはステップS122において、四面体補間や、ピラミッド補間、プリズム補間等、公知の補間技術を採用してもよい。その場合にはステップS121でピックアップされるべき格子点はそれぞれ4,5,6個となる。
【0039】
ステップS122からステップS123へと処理が進み、ステップS122で得られたインクの使用量φ(T0)を、位置T0と対にして1次元ルックアップテーブル412に追加する。
【0040】
本実施の形態によれば、同じ色が繰り返し使用される複数の画素が存在する場合に、処理時間を短くすることができる。本実施の形態は一般にフォトレタッチを行った画像に対して効果的である。しかし、モノクローム画像では最大でも階調値の段階の数(上述の例では256個)の色しか有しないので、アプリケーションプログラム40で色相付与処理を行う場合に、処理の迅速という効果が顕著である。しかもこの場合に特化して構成するのであれば、つまり画素が帰属する画像がモノクローム画像であることを前提とすれば、1次元ルックアップテーブル412のサイズは小さくてすむ。なお、アプリケーションプログラム40でフォトレタッチが行われた結果得られる画像のプレビューを、処理結果DT3に基づいてCRT22に表示させてもよい。これにより、例えばモノクローム画像を得るために付与する色相を容易に設定することができる。
【0041】
上述の態様をより一般的に考えると以下のように把握できる。R’G’B’信号は、相互に色相が異なるP個の色ξi(但し1≦i≦P)についての階調値αiを示していると把握できる。即ちP=3であり、色ξ1,ξ2,ξ3はそれぞれR’信号、G’信号、B’信号に対応している。
【0042】
3次元ルックアップテーブル411は、R’信号、G’信号、B’信号のそれぞれの所定個数A1,A2,A3の階調値α1(a1),α2(a2),α3(a3)同士の組み合わせに対応してインクの使用量を記憶している(但し1≦a1≦A1,1≦a2≦A2,1≦a3≦A3)。
【0043】
上記の階調値α1(a1),α2(a2),α3(a3)同士の組み合わせに対応して、3次元ルックアップテーブル411は、相互に色相が異なるQ個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),α2(a2),α3(a3))を決定する。即ちここではQ=4であり、色η1,η2,η3,η4はそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、黒に対応している。また強度β1,β2,β3,β4はベクトルφに相当し、それぞれインクの使用量C,M,Y,Kとして把握できる。
【0044】
1次元ルックアップテーブル412は、R’信号、G’信号、B’信号のそれぞれの階調値α1,α2,α3同士の所定個数の組み合わせに対応して、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のそれぞれのインクの使用量C,M,Y,Kを記憶する、と把握できる。本実施の形態において、1次元ルックアップテーブル412の所定個数の組み合わせは、ステップS12が実行された回数と一致する。
【0045】
なお既述の通り、色変換モジュール41bと、色変換テーブル41eとを有するプリンタドライバ41は、コンピュータ10において所定のオペレーティングシステムの下で動作するアプリケーションプログラム40に含まれる。よってコンピュータ10はアプリケーションプログラム40の少なくとも一部によって動作することにより、色変換装置として機能する。換言すれば、アプリケーションプログラム40の少なくとも一部は、1次元ルックアップテーブル412をコンピュータ10に作成させるためのプログラムである。当該プログラムはコンピュータが読みとり可能な記録媒体に記録させ、当該記録媒体から当該プログラムを読み込んだコンピュータに1次元ルックアップテーブル412を作成させ、当該コンピュータを色変換装置として機能させることができる。
【0046】
実施の形態2.
本実施の形態では色相付与処理を、プリンタドライバソフト41において行う場合を例示する。例えばスキャナ20において読み込んだ画像がグレー画像であって、画像データDT2のR信号、G信号、B信号は、相互に等しい値を採る場合がある。また例えばスキャナ20において読み込んだ画像がカラー画像であっても、アプリケーションプログラム40によるフォトレタッチによってグレー画像に変換される場合がある。いずれの場合においても処理結果DT3は相互に等しい階調値を採るR”信号、G”信号、B”信号を有する。そして変換結果DT4においてもR”信号、G”信号、B”信号は、相互に等しい階調値を採る。
【0047】
図4は色変換モジュール41bの、本実施の形態における特徴的な色変換工程を示すフローチャートである。ステップS21において色変換モジュール41bは、モノクローム印刷を行うか、カラー印刷を行うかを決定する。プリンタドライバソフト41に与えられた画像(処理結果DT3によって表される画像)をモノクローム画像で印刷するのか、カラー画像で印刷するのかを、プリンタドライバに予め設定でき、ステップS21では、かかる設定に基づいて判断する。
【0048】
なお簡単のために、以下の説明では、モノクローム印刷を行う場合には処理結果DT3によって表される画像がグレー画像であり、処理結果DT3は相互に値が等しいR”信号、G”信号、B”信号を有しているものとする。またカラー印刷を行う場合には処理結果DT3によって表される画像がカラー画像である場合を想定している。しかし処理結果DT3によって表される画像がカラー画像であり、処理結果DT3が有するR”信号、G”信号、B”信号の値が相互に異なっている場合であっても、いずれか一つの信号に着目し、着目した信号の値を他の二つの信号も採ると見なしてモノクローム印刷を行う処理を行うことは可能である。一方、カラー印刷を行う場合には、処理結果DT3によって表される画像がカラー画像である場合はもちろん、グレー画像である場合であっても従来の技術と同様に処理することにより、グレー画像の印刷を行うことは可能である。しかし既述の通り、従来の技術と同様にしてグレー画像に基づいてカラー印刷を行うことは、処理時間の観点からは望ましくない。
【0049】
カラー画像で印刷する旨が設定されている場合はステップS22へと処理が進んで色変換処理が行われる。ステップS22においては従来の技術で説明されたように、RGB信号に基づいて色変換テーブル41eを用いてインクの使用量が決定される。
【0050】
モノクローム画像で印刷する旨が設定されている場合はステップS23へと処理が進んで色相付与処理が行われる。予め設定された色相が、色相付与処理においてグレー画像に付与される。より具体的には、予め設定された色相に基づいて作成された1次元ルックアップテーブル412に基づいて、インクの使用量が決定される。1次元ルックアップテーブル412の具体的な作成の説明の前に、予め色相を設定するユーザインタフェースについて説明する。
【0051】
図5はステップS23においてユーザに対して示されるユーザインタフェースの画像を模式的に示す図である。かかる画像は、色変換モジュール41bの機能により、プリンタドライバソフト41がCRTドライバソフト17に対してCRT22において表示させることができる。これにより、モノクローム画像を得るために付与する色相を容易に設定することができる。
【0052】
プリンタドライバソフト41において、モノクローム画像を得るためにどのような色相をグレー画像に付与するかを設定するための、メニュー画像800を表示させる。メニュー画像800上部には、グレー画像に付与する色相を設定するボックス801が表示され、画面下部には、色相の付与量を設定するボックス802が表示される。
【0053】
ボックス801には、インジケータ801dが表示されている。またクール調、ウォーム調、セピア調を示す示すマーク801C、801W、801Sが、これらの色相に対応して、インジケータ801dの周囲に環状に配置されている。
【0054】
ユーザは図示されないポインタデバイスを用いて、インジケータ801dの位置を移動させ、上記の環状に配置されたマーク801c,801m,801y,801C、801W、801Sを目安として、グレー画像に付与する色相を設定することができる。例えばインジケータ801dをマーク801Sに合わせれば、グレー画像に付与すべき色相としてセピア調が設定される。
【0055】
ボックス802では、ボックス801で設定した色相の付与量が設定される。ユーザは図示されないポインタデバイスを用いて、ボックス802中のインジケータ802dを移動させることにより、色相の付与量を所望の値に設定することができる。例えば、インジケータ802dの位置を左端の「付与せず」と表示されている位置に合わせれば、色相が全く付与されていないグレー画像を設定したことになる。インジケータ802dの位置を右側に動かして行くにつれて、グレー画像から次第に色相を帯びたモノクローム画像に変化していく。
【0056】
図6は例えばグレー画像に付与すべき色相としてクール調が設定されている場合の、色相の付与を説明するグラフである。ここでは相互に等しい値を有するR信号、G信号、B信号に対してクール調の色相を与える場合を、色相の付与量を変えて示している。縦軸は色相が付与された画像に対応するR’信号、G’信号、B’信号の値を示す。グラフB2’で示されるB’信号の値は、グラフB1’で示されるB’信号の値よりも、色相の付与量が大きい。つまり色相の付与量が大きくなるほど、B’信号の値は、階調値の最小値“0”と最大値“255”を除いて増加する。他の色相を付与する場合も同様であり、R’G’B’信号の値がRGB信号の値と乖離する場合には、その乖離は、色相の付与量が大きい程顕著となる。
【0057】
図7は色相を設定する処理(以下「色相設定処理」と称す)を示すフローチャートであり、色変換工程とは別個に実行することができる。色相設定処理は色変換モジュール41bが色変換テーブル41eを用いて実行することができる。まずステップS31において、図5で示されたメニュー画像800を表示し、上述のように色相を設定することにより、グレー画像に付与すべき色相を指示する。
【0058】
その後ステップS32、1次元ルックアップテーブル412を作成するパラメータaの初期値として、値“0”をセットする。そしてステップS33で仮想的なRGB信号の値r0,g0,b0としていずれも等しくパラメータaを採用する。パラメータaを順次更新することにより、グレー画像の全ての階調値について1次元ルックアップテーブル412を作成する。
【0059】
ステップS34では指示された色相に基づいて、具体的には例えば図6に示されたグラフに基づいて、グレー画像に色相を付加して得ることができるモノクローム画像を表示するためのR’G’B’信号の値r1,g1,b1を決定する。これらの値は当然RGB信号の値r0,g0,b0が採用するパラメータaの関数となる。よって3次元ルックアップテーブル411においてR’G’B’信号の値の組を3次元空間中の点Sの座標として把握すると、ステップS34では点S(r1(a),g1(a),b1(a))の位置を決定する処理が行われることになる。ステップS34の処理は上述の通りであるので、ステップS33を省略することもできる。
【0060】
次にステップS35において、3次元ルックアップテーブル411を用いて、インクの使用量φ(S)を求める。この処理は図3においてステップS121,S122を用いて行った処理と類似して、点S(r1(a),g1(a),b1(a))の周囲の格子点におけるインクの使用量φに基づいて、補間によって、点S(r1(a),g1(a),b1(a))におけるインクの使用量φを求める。しかし、値r0,g0,b0はいずれもパラメータaによって一意に定まり、点S(r1(a),g1(a),b1(a))は指示された色相に基づいて、パラメータaに対して一意に定まる。よってインクの使用量φは、指示された色相が固定されていれば、1変数aの関数であってφ(a)と表すことができる。
【0061】
その後、ステップS36において、ステップS35で得られたインクの使用量φ(a)を、パラメータaの値と対応づけて、例えばパラメータaに対応するアドレスにおいて、1次元ルックアップテーブル412に追加する。例えばシアンのインクの使用量Cも1変数aの関数であってC(a)と表すことができる。
【0062】
その後、ステップS37においてパラメータaの値を1だけ増加させて更新し、ステップS38へと処理が進む。ステップS38では、1次元ルックアップテーブル411に更にデータを追加する処理を行うか否かが判断される。具体的には、ステップS37において更新されたパラメータaの値が、グレー画像の階調値の総数A(例えば256個)未満であれば、ステップステップS33に戻り、ステップS36におけるデータの追加が行われる。つまりグレー画像の階調値として捉えうるパラメータa毎に、各色のインクの使用量を得る。
【0063】
ステップS37において更新されたパラメータaの値が、階調値の総数A以上であれば、ステップS39において後述するスムージングが行われる。スムージングが終了すれば色相設定処理は終了するが、スムージングを行うステップS39は省略することもできる。
【0064】
色相設定処理が終了後、ステップS23では実施の形態1のステップS13と同様にして、1次元ルックアップテーブル412からφ(R’,G’,B’)を読み出し、ステップS31で指示された色相を有するモノクローム画像についてのインクの使用量が求められる。
【0065】
図8はスムージングを説明するグラフである。白丸印はステップS36によって順次作成された、パラメータaに対応するインクの使用量C(a)を例示する。3次元ルックアップテーブル411の記憶するインクの使用量は、これを表すデータのビット数が例えば8ビットと小さいので、特に明度が高い(階調値が大きい場合)に誤差が大きい。またインクの使用量C(a)は補間計算を用いて計算されたために、量子化雑音などの影響が残る。これにより、1次元ルックアップテーブル412が記憶するインクの使用量の精度は低くなる。
【0066】
そこで補間関数、例えばスプライン関数を用いてスムージングを行い、少なくともステップS32,S37で設定や更新された離散的なパラメータaにおけるインクの使用量C(a)を計算して1次元ルックアップテーブル412の記憶内容を更新する。当該スムージングの効果を得るためには、1次元ルックアップテーブル412が記憶するデータのビット長が、3次元ルックアップテーブル411が記憶するデータのビット長よりも大きい必要がある。例えばインクの使用量を示すデータとして、1次元ルックアップテーブル412は16ビット長のデータを扱い、3次元ルックアップテーブル411は8ビット長のデータを扱う。このように扱うデータ長が異なっていても、ステップS35の処理では、3次元ルックアップテーブル411が記憶するデータのビット長で1次元ルックアップテーブル412にデータを記憶させることができる。
【0067】
黒丸印はステップS39によって得られたインクの使用量C(a)を例示する。かかるスムージングにより、色相が付与される対象であるグレー画像の階調値の変化に対して滑らかに階調値が変化するモノクローム画像を得ることができる。これは他のインクの使用量についても同様である。
【0068】
そして3次元ルックアップテーブル411と比較すると、1次元ルックアップテーブル412が記憶すべきデータの数は非常に少ない。例えばR信号、G信号、B信号のそれぞれについて階調値が28=256段階であり、3次元ルックアップテーブル411の格子点数を17×17×17個とすれば、データ数は約19分の1ですむ。よって1次元ルックアップテーブル412が取り扱うデータ長を2倍程度にしても、必要な記憶領域は非常に小さい。
【0069】
上述の態様をより一般的に考えると以下のように把握できる。値r1(a),g1(a),b1(a)は、それぞれ相互に色相が異なるP個の色ξi(但し1≦i≦P)についての階調値αiを示していると把握できる。即ちP=3であり、色ξ1,ξ2,ξ3はそれぞれR’信号、G’信号、B’信号に対応している。
【0070】
3次元ルックアップテーブル411は、R’信号、G’信号、B’信号のそれぞれの所定個数A1,A2,A3の階調値α1(a1),α2(a2),α3(a3)同士の組み合わせに対応してインクの使用量を記憶している(但し1≦a1≦A1,1≦a2≦A2,1≦a3≦A3)。
【0071】
上記の階調値α1(a1),α2(a2),α3(a3)同士の組み合わせに対応して、3次元ルックアップテーブル411は、相互に色相が異なるQ個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),α2(a2),α3(a3))を決定する。即ちここではQ=4であり、色η1,η2,η3,η4はそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、黒に対応している。また強度β1,β2,β3,β4はベクトルφに相当し、それぞれインクの使用量C,M,Y,Kとして把握できる。
【0072】
そしてR’信号、G’信号、B’信号のそれぞれの階調値α1,α2,α3同士の所定個数の組み合わせに対応して、シアン、マゼンタ、イエロー、黒のそれぞれのインクの使用量C,M,Y,Kを記憶する、と把握できる。本実施の形態ではr1(a),g1(a),b1(a)はパラメータa毎に設定されるので、これらの値の組み合わせの所定個数はパラメータaが更新される個数、即ちグレー画像の階調値の総数Aとなる。つまりパラメータaはグレー画像の階調値に対応している。
【0073】
実施の形態3.
実施の形態1において、アプリケーションプログラム40でモノクローム画像に対して色相付与処理を行う場合に、1次元ルックアップテーブル412のサイズは小さくて済む。また実施の形態2においても1次元ルックアップテーブル412のサイズは小さくて済む。
【0074】
よって1次元ルックアップテーブル412が、階調値一つ当たりに記憶すべきデータ量を増大させても、3次元ルックアップテーブル411において階調値一つ当たりに記憶すべきデータ量を増大させる場合と比較すると、メモリサイズは顕著に小さい。そのため、例えば実施の形態2で説明したように、1次元ルックアップテーブル412が記憶するインクの使用量のデータ長を長くしてもよい。
【0075】
その他、1次元ルックアップテーブル412が、インクの使用量に替えて、あるいはインクの使用量とともに、カラープリンタ30が印刷するインクのドットの大きさについての情報を記憶することができる。説明の便宜上、以下ではいずれのインクも大・中・小の3種類のドットを形成可能であるものとして、実施の形態2の1次元ルックアップテーブル412について説明する。しかし、ドットの種類は3種類に限られず、またインク毎に種類の数が異なっていてもよい。また実施の形態1の1次元ルックアップテーブル411についても、複数種のドットについてのデータを記憶させることができる。
【0076】
図9は本実施の形態にかかるフローチャートを示し、図7に示されたフローチャートのステップS36に置換して処理されるステップS361〜S362を示している。
【0077】
ステップS35においてインクの使用量φ(a)を求めた後、ステップS361において、当該インクの使用量に基づいて、各インクのドットの形成密度Ψ(a)を計算する。本実施の形態では形成密度Ψは上述の強度βiに相当する。
【0078】
例えばシアンのインクの使用量C(a)に基づいて、シアンの大ドット、中ドット、小ドットの各ドットについての形成密度CL(C(a)),CM(C(a)),CS(C(a))に変換する。インクの使用量C(a)が大きいほど形成密度CL(C(a))は大きく、形成密度CS(C(a))は小さい。図10はシアンのインクの使用量C(a)と形成密度CL(C(a)),CM(C(a)),CS(C(a))の関係を概念的に示すグラフである。横軸にはシアンのインクの使用量C(a)を、その最大値Cmaxで除した値を採用している。
【0079】
インクとして黒を採用する場合にはUCR(Under Color Removal)を行うのが通常であり、階調値の低い領域では黒のインクの使用量が多く、シアン、マゼンタ、イエローのインクの使用量が少なくなる。図11はグレー画像の階調値として把握可能なパラメータaに対する、シアンの形成密度CL(a),CM(a),CS(a)と、黒の大ドット、中ドット、小ドットの各ドットについての形成密度KL(a),KM(a),KS(a)を例示するグラフである。形成密度CL(a),CM(a),CS(a)は図10に示されるようにシアンのインクの使用量C(a)についての関数であるが、インクの使用量C(a)は実施の形態2で説明したようにパラメータaについての関数であるので、形成密度CL(a),CM(a),CS(a)についてもパラメータaについての関数として表記している。黒のインクの形成密度KL(a),KM(a),KS(a)についても同様である。
【0080】
以上に説明したように、本実施の形態ではR’G’B’信号を一旦、インクの使用量φに一旦変換し、これに基づいて更に形成密度Ψへと変換している。よって実施の形態1,実施の形態2に示した場合と比較して、1次元ルックアップテーブル411の作成には時間がかかる。しかしながら、これを一旦作成してしまえば、変換のための時間は不要であり、1次元ルックアップテーブル411を参照すれば、グレー画像の階調値から、インクの使用量を介することなく各インクの各種ドットについての形成密度を得ることができる。よって画像全体としては形成密度を迅速に得ることになる。
【0081】
【発明の効果】
この発明のうち請求項1にかかる色変換方法において、第1の色変換テーブルは色ξ1,…,ξPの所定個数の階調値同士の組み合わせに対応して準備されているに過ぎず、色ξiの階調値同士の組み合わせの全てに対応して準備されている訳ではない。従って、色ξ1,…,ξPの階調値α1,…,αP同士の組み合わせに対応して色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定するためには、第1の色変換テーブルにおいて予め準備された強度βj(α1(a1),…,αP(aP))に基づいて、補間を行う必要がある。
【0082】
この発明のうち請求項1にかかる色変換方法、請求項11にかかる色変換装置、請求項12にかかるプログラムによれば、強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルを作成するので、上記補間を行う回数を少なくし、処理時間を短くすることができる。
【0083】
この発明のうち請求項2にかかる色変換方法によれば、ステップ(c)によって第2の色変換テーブルを作成することができ、色ξiの階調値αiが複数回入力された場合に、ステップ(b)ではなく、ステップ(e)が実行される。よって一般的に補間を必要とするステップ(b)の実行を減らし、処理時間を短くすることができる。
【0084】
この発明のうち請求項3にかかる色変換方法によれば、第2の色変換テーブルに必要なサイズが小さくてすむ。
【0085】
この発明のうち請求項4にかかる色変換方法によれば、ステップ(d)によって第2の色変換テーブルを作成することができる。このように作成された第2の色変換テーブルを参照することにより、第1の色変換テーブルを参照する場合と比較して、補間の実行を減らし、処理時間を短くすることができる。また第2の色変換テーブルに必要なサイズも小さい。
【0086】
この発明のうち請求項5にかかる色変換方法によれば、モノクローム画像を得るための色相の設定が容易である。
【0087】
この発明のうち請求項6にかかる色変換方法によれば、グレー画像の階調値の変化に対して滑らかに階調値が変化するモノクローム画像を得ることができる。
【0088】
この発明のうち請求項7,請求項8にかかる色変換方法によれば、第2の色変換テーブルを参照して色相が付加される対象であるグレー画像の階調値が、第2の色変換テーブルを作成するためのステップ(b)でのグレー画像の階調値と一致しない場合でも、その階調値の変化に対して滑らかに階調値が変化するモノクローム画像を得ることができる。
【0089】
この発明のうち請求項9にかかる色変換方法によれば、インクの使用量を求める処理を迅速にすることができる。
【0090】
この発明のうち請求項10にかかる色変換方法によれば、一旦第2の色変換テーブルを作成した後は、グレー画像の階調値から各色ηjのドットについての形成密度を得ることができる。よって画像全体としては形成密度を迅速に得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を概念的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2におけるユーザインタフェースの画像を模式的に示す図である。
【図6】色相の付与を説明するグラフである。
【図7】色相設定処理を示すフローチャートである。
【図8】スムージングを説明するグラフである。
【図9】本発明の実施の形態3を示すフローチャートである。
【図10】シアンのインクの使用量と形成密度の関係を概念的に示すグラフである。
【図11】グレー画像の階調値に対する、インクの形成密度を例示するグラフである。
【図12】従来の技術を概念的に示すブロック図である。
【図13】色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフである。
【図14】色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフである。
【図15】色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフである。
【図16】色相付与処理に伴ってRGB信号の変換を示すグラフである。
【図17】色変換テーブルを用いて、インクの使用量を設定する技術を説明するグラフである。
【符号の説明】
17…CRTドライバソフト
30…カラープリンタ
40…アプリケーション
41…プリンタドライバソフト
41b…色変換モジュール
41e…色変換テーブル
411…3次元ルックアップテーブル
412…1次元ルックアップテーブル
Claims (13)
- 相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、
前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルを作成する、色変換方法。 - (a)ある画素についての前記色ξiの前記階調値αiを入力するステップと、
(b)前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応する前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記第1の色変換テーブルに基づいて決定するステップと、
(c)前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応づけて、前記ステップ(b)で決定された前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を記憶するステップと、
(d)他の画素についての前記色ξiの前記階調値αiを入力するステップと、
(e)前記ステップ(d)で入力された前記色ξiの前記階調値αiが、前記ステップ(a)で入力された前記色ξiの前記階調値αiと等しい場合に、前記ステップ(c)で記憶された前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記ステップ(d)で入力された前記色ξiの前記階調値αiに対応して出力するステップと
を備える、請求項1記載の色変換方法。 - 前記画素が帰属する画像はモノクローム画像である、請求項2記載の色変換方法。
- (a)モノクローム画像を得るためにグレー画像に付与すべき色相を設定するステップと、
(b)前記ステップ(a)で設定された色相に基づき、前記色ξiの前記階調値αiを前記グレー画像の階調値毎に求めるステップと、
(c)前記ステップ(b)で設定された前記色ξiの前記階調値αiに対応する前記色ηjの強度βj(α1,…,αP)を、前記第1の色変換テーブルに基づいて決定するステップと、
(d)前記グレー画像の階調値と対応づけて、前記強度βj(α1,…,αP)を前記第2の色変換テーブルに記憶するステップと
を備える、請求項1記載の色変換方法。 - 前記モノクローム画像が視認される、請求項3及び請求項4のいずれか一つに記載の色変換方法。
- 前記ステップ(d)において、前記グレー画像の階調値に対する前記強度βj(α1,…,αP)に対してスムージング処理が行われる、請求項4記載の色変換方法。
- 前記第2の色変換テーブルの前記強度βj(α1,…,αP)のビット長は、前記第1の色変換テーブルの前記強度βj(α1(a1),…,αP(aP))のビット長よりも長い、請求項6記載の色変換方法。
- 前記スムージング処理は補間関数を用いて行われ、
(e)前記補間関数を用いて、前記グレー画像の階調値に対する前記モノクローム画像についての階調値を求める、請求項5記載の色変換方法。 - 前記強度βj(α1,…,αP)は、前記色ηjのインクの使用量である、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の色変換方法。
- 前記強度βj(α1,…,αP)は、前記色ηjのドットについての形成密度である、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の色変換方法。
- 相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、
前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルを作成する、色変換装置。 - 相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、
前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルをコンピュータに作成させるプログラム。 - 相互に色相が異なるP(但しP≧2)個の色ξi(但し1≦i≦P)のそれぞれの所定個数Ai(但しAi≧2)の階調値αi(ai)(但し1≦ai≦Ai)同士の、A1・…・AP個の組み合わせに対応して、相互に色相が異なるQ(但しQ≧2)個の色ηj(但し1≦j≦Q)のそれぞれの強度βj(α1(a1),…,αP(aP))を決定する第1の色変換テーブルに基づいて、
前記色ξiの階調値αi同士の所定個数の組み合わせに対応して、前記色ηjのそれぞれの強度βj(α1,…,αP)を決定する第2の色変換テーブルをコンピュータに作成させるプログラムを格納する、コンピュータが読みとり可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002251500A JP2004094361A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 色変換方法、色変換装置、プログラム、記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002251500A JP2004094361A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 色変換方法、色変換装置、プログラム、記録媒体 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002251500A patent/JP2004094361A/ja not_active Withdrawn
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US8098413B2 (en) | 2006-12-22 | 2012-01-17 | Canon Kabushiki Kaisha | Image output apparatus, image output method, computer program and recording medium |
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