JP2004092268A - 貯留浸透装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた機械的強度を有すると共に、コストが安価な貯留浸透装置を提供する。
【解決手段】土壌2を掘削して得られた設置穴40の凹部表面に設けられる透水層60と、透水層60の底面上に設けられる、複数の第1貯留浸透ユニット100aからなる第1貯留浸透槽100と、第1貯留浸透槽100の上段側に配設した第2貯留浸透槽200と、第2貯留浸透槽200の上部に設けられる保護層50と、第2貯留浸透槽200中に挿通され、その内部を雨水等が流れる流入管70とを備えた貯留浸透装置1である。
【選択図】 図1
【解決手段】土壌2を掘削して得られた設置穴40の凹部表面に設けられる透水層60と、透水層60の底面上に設けられる、複数の第1貯留浸透ユニット100aからなる第1貯留浸透槽100と、第1貯留浸透槽100の上段側に配設した第2貯留浸透槽200と、第2貯留浸透槽200の上部に設けられる保護層50と、第2貯留浸透槽200中に挿通され、その内部を雨水等が流れる流入管70とを備えた貯留浸透装置1である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雨水の貯留浸透装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、雨水貯留浸透装置は、集水した雨水を一時的に貯留し、貯留した雨水を地中に緩やかに浸透させて排出することにより、河川への急激な雨水流入を調整する目的で、地中に埋設して用いられる。また、雨水貯留装置は、集水した雨水等を貯留するために地中に埋設されるものである。
【0003】
このような貯留浸透装置には、例えば、ハニカム状のブロック状積層体から構成されるもの(非特許文献1参照)や、面板部材と側板部材からなる箱状の貯留浸透槽を組み合わせたもの(非特許文献2参照)がある。
【0004】
【非特許文献1】
特願2002−117034、(出願人:エバタ株式会社)
【非特許文献2】
特願2001−222220、(出願人:エバタ株式会社)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特願2002−117034に記載された貯留浸透装置は、機械的強度が大きいが、組立作業がやや面倒で製造コストを下げることが困難であった。また、特願2001−222220に記載された貯留浸透装置では、組立作業が容易であるが、前記特願2002−117034に記載された貯留浸透装置に比較して、機械的強度がやや低いという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、優れた機械的強度を有すると共に、コストが安価な貯留浸透装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するため、本発明の請求項1に係る貯留浸透装置は、地盤を掘削して得られた設置穴の底面に配設される第1貯留浸透槽と、該第1貯留浸透槽の上段に配設される第2貯留浸透槽とを備えた貯留浸透装置であって、
前記第1貯留浸透槽は、箱状の第1貯留浸透ユニットを複数組み合わせた第1貯留浸透ユニット群であり、
前記第2貯留浸透槽は、複数の凹凸板を横方向に積層させながら組み合わせてなるハニカム形状のブロック状積層体から構成されるブロック状積層体群であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記第1貯留浸透ユニットは、上下に間隔を隔てて配置される面板部材と、これらの面板部材の周囲を上下に亘って取り囲みながら上下の面板部材を橋渡すように配設される側板部材とを備え、
前記面板部材は、面内に開口部を有するとともに、少なくとも2組の対向辺組を有し、該対向辺組の相対向する2辺は、互いに対応する凹部及び凸部を有しており、
前記側板部材は、面内に開口部を有し、前記面板部材の一面と凹凸嵌合により結合されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記第1貯留浸透ユニット群中に前記面板部材及び前記側板部材が複数設けられ、これら複数の面板部材は、隣接する2つの面板部材の一方に設けられた前記凸部が、他方の面板部材に設けられた前記凹部と凹凸嵌合することによって面状に配置され、前記複数の側板部材のうち、隣接する2つの前記第1貯留浸透ユニットの境界に存在する側板部材は、隣接する2つの第1貯留浸透ユニットにおいて共用されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記ブロック状積層体を構成する凹凸板のそれぞれには、表面及び裏面において条状の凹部及び凸部が交互に繰り返して形成され、前記凹部及び凸部は、前記凹凸板の外郭形状に対し、少なくとも一方向に斜行する部分を含み、
前記ブロック状積層体では、互いに隣接する凹凸板が、その相対向面において、それぞれの前記凹部及び凸部が交差するように順次に積層され、前記凸部の接触部において互いに結合されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記ブロック状積層体の凹凸板の前記凹部及び凸部は、前記外郭形状に対し、少なくとも異なる二方向に斜行する波形形状を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記ブロック状積層体の凹凸板の前記凹部及び凸部は、前記外郭形状に対し、一方向にのみ斜行する部分を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る貯留浸透装置の周囲には、周知の技術に従って、不織布等の透水層を設けることにより、第1及び第2貯留浸透槽の内部への土砂の流入を阻止することができる。また、貯留浸透装置の周囲に遮水層を設けた場合は雨水貯留装置として用いることができる。
【0014】
前記第1貯留浸透ユニットは、前述したように、面板部材と、側板部材とを含む。前記面板部材は、面内に開口部を有するとともに、少なくとも2組の対向辺組を有し、前記対向辺組の相対向する2辺は互いに対応する凹部及び凸部を有する。前記側板部材は、面内に開口部を有し、前記面板部材の一面に、凹凸嵌合により結合される。
【0015】
前述したように、第1貯留浸透ユニットは、面板部材と、側板部材とに分かれているので、嵩張ることのない態様で輸送することができる。このため、輸送コストが低減されると共に、輸送が容易になる。
【0016】
本発明に係る貯留浸透装置を作製する手順を簡単に説明する。まず、地中に形成した設置穴に透水層を設け、該透水層で覆われた凹部内で、第1貯留浸透槽を組み立てる。この第1貯留浸透槽は、後述するように、面板部材及び側板部材を、左右、上下及び前後方向に立体的に組み合わせて行く。次いで、第1貯留浸透槽の上段に、後述する方法によって、第2貯留浸透槽を組み立てる。最後に、第2貯留浸透槽の上部に保護層を配設し、流入管を第2貯留浸透槽に配設することによって、本発明の貯留浸透装置を組み上げることができる。
【0017】
次に、個々の組立手順について詳細に説明する。
【0018】
前記第1貯留浸透槽の組立てにおいては、面板部材を底板として用い、これを、地中に設けた設置穴の透水層の底面上に平面状に配置する。面板部材は、対向辺組の相対向する2辺に、互いに対応する凹部及び凸部を有する。従って、隣接する面板部材において、一方の凹部に、他方の凸部を嵌め込む凹凸嵌合により、全体として一体化され、平面化された底板配置構造を実現できる。このように、面板部材の凹凸嵌合によって敷きつめて行くので、底板の組立作業が極めて容易になる。面板部材及び側板部材の間の結合も、凹凸嵌合によるので、その組立作業が極めて容易になる。
【0019】
側板部材のうち、隣接する面板部材の境界に存する側板部材は、隣接する面板部材において共用される。従って、側板部材の使用数を減少させ、コスト低減、組立容易化、及び、組立迅速化を図ることができる。
【0020】
前述のようにして配置された側板部材の上に、天板として面板部材を配置する。但し、最小単位の第1貯留浸透ユニットを得る場合は天板であるが、複数層の積み重ね構造とする場合は、天板ではなく、中間板となる。
【0021】
天板を構成する面板部材の一面は、側板部材に対して、凹凸嵌合により結合する。天板を構成する面板部材も、側板部材に対して凹凸嵌合されるので、その組立作業が極めて容易になる。
【0022】
しかも、天板を構成する面板部材において、相対向する2辺は互いに対応する凹部及び凸部を有する。従って、隣接する天板のうち、一方の天板を構成する面板部材の凹部に、他方の天板を構成する面板部材の凸部を嵌め込み、凹凸嵌合により、全体として一体化され、平面化された天板配置構造を実現できる。
【0023】
前述したように、第1貯留浸透槽は天板を面板部材の凹凸嵌合によって敷きつめて行くだけでよいので、その組立作業が極めて容易になる。天板を構成する面板部材は、底板を構成する面板部材と、全く同じものであってもよいし、基本構造を同じくし、かつ、具体的細部で異なっていてもよい。また、面板部材及び側板部材は、面内に開口部を有するため、流入した雨水を一次的に貯留し、貯留した雨水を、前記開口部を通して時間を掛けて緩やかに地中に浸透させることができる。
【0024】
貯留浸透装置の平面積及び容積は、面板部材の平面枚数、及び、面板部材と側板部材との積み重ね数の選択により、任意に変更できる。従って、平面積及び容積の違いに容易に追従し得る。
【0025】
また、前記第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体は、前述したように複数の凹凸板を含む。前記複数の凹凸板のそれぞれは、表面及び裏面において条状の凹部及び凸部を交互に繰り返す板状部材である。
【0026】
前記凹部及び凸部は、前記凹凸板の外郭形状に対し、少なくとも一方向に斜行する部分を含んでいる。前記複数の凹凸板は、隣接する凹凸板が、その相対向面において、それぞれの前記凹部及び凸部が交差するように、順次に積層され、前記凸部の接触部において互いに結合されている。
【0027】
前述したように、複数の凹凸板のそれぞれは、表面及び裏面において条状の凹部及び凸部を交互に繰り返す板状部材であるから、製造加工を容易、且、迅速に実行できるとともに、優れた機械的強度を有する。
【0028】
また、凹凸板は板状部材であって、通常、軽量な薄板構造で形成されるから、凹凸板を用いたブロック状積層体への組立てや、材料及び製品の運搬が容易である。
【0029】
条状の凹部及び凸部は、凹凸板の外郭形状に対し、少なくとも一方向に斜行する部分を含む。複数の凹凸板は、隣接する凹凸板が、その相対向面において、それぞれの凹部及び凸部が交差するように、順次に積層され、凸部の接触部において互いに結合されている。従って、土圧等の押圧力に対抗する方向を多様化できるため、優れた機械的強度を確保し得る。
【0030】
ブロック状積層体の内部の交差構造は、ブロック状積層体の外郭形状を決定する要素ではないため、ブロック状積層体を具体的な設置場所に適した外郭形状に成形することができる。
【0031】
また、ブロック状積層体は積層構造であるため、凹凸板の積層枚数を増減し、さらには凹凸板自体の寸法を適宜設定することにより、多様な施工条件において平面積及び容積の違いに容易に追従できる。
【0032】
ブロック状積層体は凸部の接触部で結合されるから、凸部と凹部とによって生ずる高低差により、各凹部間には、空隙を多数もしくは広く形成できる。従って、ブロック状積層体は広い雨水等の貯留空間を有する。
【0033】
他方、凸部の接触部以外は結合されていないため、第2貯留浸透槽の内部における雨水等の流動が容易に行なわれる。従って、この種のブロック構造体を含む貯留浸透槽において、完全に区画された構造を有する区画枠体を使用する従来技術に比べ、実質的に広い雨水等の貯留空間を有する。なお、凹部と凸部とを異なる二方向に斜行させると、ブロック状積層体の空隙中を雨水が下方に向かって左右にジグザグ状に流れるため、雨水の流速を抑制することができる。また、流速を抑えることによって、雨水の保持時間を長くすることができる。
【0034】
さらに、第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の組立においては、まず、複数の凹凸板のうち、隣接する凹凸板は、相対向面において、それぞれの凹部及び凸部が交差するように横方向に積層する。次に、隣接する凹凸板の相対向面において、それぞれの凸部の接触部で結合する。さらに、ブロック状積層体を結合部で切断する工程を含んでも良い。
【0035】
なお、本発明に係る貯留浸透装置は、その周囲に透水層を設けているため、雨水を一次的に貯留すると共に、この貯留した雨水を地中に緩やかに浸透させて排出する作用を有する。また、周囲に遮水層を設ければ、雨水を貯留しておく雨水貯留装置としても有効に用いることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る貯留浸透装置1を地中に埋設した状態を示す断面図である。
【0037】
この図1に示す雨水等の貯留浸透装置1は、土壌2を掘削して得られた設置穴40の凹部表面に設けられる透水層60と、該透水層60の底面上に設けられる、第1貯留浸透ユニット100aからなる第1貯留浸透槽100と、該第1貯留浸透槽100の上段側に配設した第2貯留浸透槽200と、該第2貯留浸透槽200の上部に設けられる保護層50と、第2貯留浸透槽200中に挿通され、その内部を雨水等が流れる流入管70とを備えている。
【0038】
第1貯留浸透槽100は優れた機械的強度を有するため、設置穴40内部において、複数の第1貯留浸透ユニット100aを上下、左右及び縦横に積み重ねることができる。また、第1貯留浸透ユニット100aを大きく作製し、1つだけの第1貯留浸透ユニット100aからなる第1貯留浸透槽100としてもよい。
【0039】
保護層50は、通常、土、砂利、コンクリートまたはアスファルト等を含み、主に地表面からの押圧力または衝撃に耐えるとともに、貯留浸透装置1の内部への異物混入を防止する機能を有する。
【0040】
透水層60は、通常、不織布等の透水性素材を含み、装置内部に対する異物混入を防止すると共に、貯留された雨水等の排出部として機能する。流入管70は、図示しない集水装置で集水した雨水等を、貯留浸透装置1の内部に注入する機能を有する。
【0041】
図示する流入管70は、周知の方法により、第2貯留浸透槽200に挿入されている。前述した流入管70の配置によると、雨水等は第2貯留浸透槽200及び第1貯留浸透槽100の内部を三次元方向に拡散しつつ円滑に流入する。流入管70から流れ込んだ雨水等は、第2貯留浸透槽200の内部に一次的に貯留され、こののち、透水層60を通して徐々に土壌2の地中に浸透する。
【0042】
なお、図1に示す貯留浸透装置1を貯留装置として用いる場合には、透水層60に代えて、遮水層80(図1参照)を配設すればよい。
【0043】
図2は、第1貯留浸透槽100を構成する第1貯留浸透ユニット100aを組み上げた状態を示す斜視図、図3は図2の第1貯留浸透ユニット100aを示す分解斜視図であり、これらの図は、最小単位としての貯留浸透ユニットを示す。
【0044】
図示された第1貯留浸透ユニット100aは、面板部材101,102と、側板部材103とを含む。これらは、適当なプラスチック材料、または、プラスチック材料と無機粉体とを混合した複合材料を用いた成型品として構成することができる。
【0045】
第1貯留浸透槽100を構成する第1貯留浸透ユニット100aは、平板状の面板部材101,102及び仕切板133を有する側板部材103を積層した構造であり、側板部材103の仕切板133により地表側から加わる荷重を板面と平行な方向(縦方向)で受ける波形であるから、地表側から加わる荷重に対して十分に大きな機械的強度を確保することができる。横方向から加わる土圧に対しても、仕切板133を波形にしたことにより、十分に対抗することができる。
【0046】
図4は面板部材101の平面図である。図示するように、面板部材101は、面内に開口部111を有する。図示実施例では、面板部材101の一面または両面にリブ112を格子状に配置し、リブ112の間に、適当な大きさの開口部111を貫通孔として設けてある。リブ112の本数、及び、形成位置は任意である。また、開口部111の大きさ、個数も任意でよい。
【0047】
面板部材101は、少なくとも2組の対向辺組を有する。図4に示す対向辺組X,Yのそれぞれにおいて、相対向する2辺X,Yは互いに対応する位置に凹部113及び凸部114を有する。図示の実施例に示された面板部材101は、全体形状がほぼ正四角形状であり、隣接する2辺のほぼ中間部に凹部113を設け、他の隣接する2辺の中間部に凸部114を設けてある。凹部113の両側には、凸部114,114が設けられており、凸部114の両側には凹部113,113が設けられている。凹部113及び凸部114は、いわゆる「鳩尾継」を構成し得る形状を持つ。
【0048】
実施例とは異なって、面板部材101,102は、他の角形状、例えば、6角形状、8角形状等であってもよい。凹部及び凸部は面板部材101の外形形状に合わせてその形成位置が選定される。
【0049】
面板部材101の一面または両面には、各辺に沿って、図5に示すように、2つ1組の突起115,116が設けられている。図5は突起115,116の部分を拡大して示す部分断面図である。図示実施例では、面板部材101の両面の相対する位置に、間隔G11を隔てて、高さH11の2本の突起115,116を設けてある。
【0050】
図6は突起115,116の別の例を示す部分拡大断面図である。この実施例では、2本の突起115,116は、上端に内向きフック部115a,116aを有する。
【0051】
図7は面板部材102の平面図である。面板部材102は、面板部材101と基本的構造を同じくするものであって、図4に示した面板部材101と全く同じものであってもよい。
【0052】
図7に例示された面板部材102は、開口部121の大きさ、個数、及び、リブ122の本数及び形成位置において、面板部材101と異なるだけで、他の基本的構成は面板部材101と同じである。図示された面板部材は、中間板であり、最上面を構成する場合は、面板部材101を用いる。
【0053】
面板部材102の構造について、更に具体的に述べると、面板部材102の一面または両面にリブ122を十字状に配置し、リブ122の間に、適当な大きさの開口部121を、貫通孔として設けてある。
【0054】
図示の実施例に示された面板部材102は、全体形状がほぼ正四角形状であり、隣接する2辺のほぼ中間部に凹部123を設け、他の隣接する2辺の中間部に凸部124を設けてある。凹部123の両側には、凸部124が設けられており、凸部124の両側には凹部123,123が設けられている。凹部123及び凸部124も、「鳩尾継」を構成し得る形状を持つ。
【0055】
面板部材102も、他の角形状、例えば、6角形状、8角形状等であってもよいこと、凹部や凸部は面板部材102の外形形状に合わせてその形成位置が選定されること等は、面板部材101の場合と同様である。
【0056】
また、面板部材102の一面または両面には、各辺に沿って、2つ1組の突起125,126が設けられている。これらの突起125,126も、図5及び図6に示した構造を有する。
【0057】
図8は側板部材103の斜視図、図9は図8のB−B線に沿った拡大部分断面図である。側板部材103は、面内に開口部131を有する。図示実施例の側板部材103は、図9に拡大して示すように、周辺部を囲むように配置された外枠部132を持ち、外枠部132の間に、上下方向に延び、横方向に波形に連続する仕切板133を配置し、仕切板133の山及び谷の部分に、多数の貫通孔状の開口部131を設けた構造を持つ。図示実施例の側板部材103は、ほぼ直交する2つの面を含むL形の形状を有する。L形形状は一体成型、調板構造による機械的接続等によって実現できる。これとは異なって、平板状であってもよい。また、開口部131は、上下方向に延びるスリットであってもよい。
【0058】
側板部材103は、面板部材101の一面と、図5と図6に示すように、凹凸嵌合により結合される。具体的には、側板部材103は、下端部が面板部材101に備えられた2つの突起115,116の間に挿入され、その際に生じる凹凸嵌合により、面板部材101の一面に結合される。2つの突起115,116が、図6に示したような構造を持つ場合、側板部材103の下端部は、突起115,116の内向きフック部115a,116aによって、確実に保持される。
【0059】
側板部材103の上端部には、面板部材102が結合される。結合において、面板部材102に備えられた2つの突起125,126の間に、側板部材101の上端部が挿入され、その際に生じる凹凸嵌合により、面板部材102の一面に結合される。2つの突起125,126が、図6に示したような構造を持つ場合、側板部材103の下端部は、突起125,126の内向きフック部125a,126aによって、確実に保持される。
【0060】
前述したように、第1貯留浸透ユニット100aは、面板部材101,102と、側板部材103とに分離されているので、面板部材101,102及び側板部材103を、嵩張ることのない態様で輸送することができ、輸送コスト低減される共に、輸送が容易になる。まず、面板部材101,102は平板状であり、嵩張らない状態で重ねて輸送できる。また、図示の側板部材103はL形であるから、同一向きに重ねることにより嵩張りを回避し得る。側板部材103が平板状である場合には、面板部材101,102と同様に、積み重ねて輸送できる。
【0061】
第1貯留浸透ユニット100aを構成するには、面板部材101を底板として用い、その上に側板部材103を凹凸嵌合により結合し、その上に、面板部材102を天板として、凹凸嵌合により結合するだけでよい。このため、組立作業が極めて容易になる。
【0062】
以上の説明は、最初に述べたように、最小単位としての第1貯留浸透ユニット100aを示したものである。次に、実際の使用に、より適する多層構造の第1貯留浸透槽100の構成について説明する。
【0063】
図10は第1貯留浸透槽100の構成の一部を示す分解斜視図、図11は図10に示した第1貯留浸透槽100の組立状態を示す斜視図である。図示された貯留浸透槽100を構成するには、地中に設けた設置穴(掘削穴)40の内部で、面板部材101,102及び側板部材103を、左右、上下及び前後方向に、立体的に組み合わせて行く。
【0064】
組み合わせにおいては、まず、第1貯留浸透槽100のそれぞれに含まれる面板部材101を底板として用い、これを、地中に設けた設置穴(掘削穴)40の透水性保護層60の底面上に平面状に配置する。面板部材101は、2組の対向辺組のそれぞれが相対向する2辺X,Yを含み、2辺X,Yのうちの一辺Xは凹部113を有し、他辺Yは凹部113と対応する凸部114を有する。従って、図12に示すように、隣接する面板部材101,101において、一方の凹部113に他方の凸部114を嵌め込み、凹凸嵌め合いにより全体として一体化され、平面化された底板配置構造を実現できる。このように、底板となる面板部材101を凹凸嵌合によって敷きつめて行くので、その組立作業が極めて容易になる。
【0065】
底板を構成する面板部材101は、第1貯留浸透槽100として要求される平面積に応じて、必要な枚数だけ、前後及び左右に平面的に配置し、かつ、相互に凹凸嵌合により結合する。
【0066】
次に、底板を構成する面板部材101の一面に、側板部材103を凹凸嵌合により結合する。凹凸嵌合は、面板部材101の一面上に設けられた2つの突起115,116の間に、側板部材103の下端部を挿入する(図5及び図6等参照)ことによって実行される。このように、面板部材101及び側板部材103の結合も凹凸嵌合によるので、その組立作業が極めて容易になる。
【0067】
側板部材103は筒状となるように配置する。この場合、側板部材103のうち、隣接する面板部材101の境界に存する側板部材103は、隣接する面板部材101において共用される。従って、側板部材103の使用数を減少させ、コスト低減、組立容易化、及び、組立迅速化を図ることができる。隣接する面板部材1の境界に存しない側板部材103としては、L形(図8参照)の他、平板状のものも用いることができる。
【0068】
前述のようにして配置された側板部材103の上に、中間板として面板部材102を配置する。中間板を構成する面板部材102の一面は、側板部材103に対して凹凸嵌合により結合する。凹凸嵌合は、面板部材102の一面上に設けられた2つの突起125,126の間に、側板部材103の上端部を挿入する(図5及び図6等参照)ことによって実行される。このため、側板部材103に対する面板部材102の組立作業も極めて容易になる。
【0069】
しかも、中間板を構成する面板部材102は、相対向する2辺Z,W(図7参照)のうちの一辺Zは凹部123を有し、他辺Wは凹部123と対応する凸部124を有する。従って、図13に示すように、隣接する中間板のうち、一方の面板部材102の凹部123に、他方の面板部材102の凸部124を嵌め込み、凹凸嵌め合いにより全体として一体化され、平面化された中間板の配置構造を実現できる。前述したように、中間板を、面板部材102の凹凸嵌合によって敷きつめて行くだけでよいので、その組立作業が極めて容易になる。
【0070】
この後、中間板を構成する面板部材102の上に側板部材103を嵌め込み、更に中間板となる面板部材102を側板部材103に嵌め込む組立作業を必要回数繰り返す。これにより、要求される容積を持つ第1貯留浸透槽100が得られる。
【0071】
第1貯留浸透槽100の平面積及び容積は、面板部材101,102の平面敷設枚数、及び、面板部材101,102と側板部材103との積み重ね数の選択により、任意に変更できる。従って、実際的な場面で要求される平面積及び容積を有する貯留浸透装置を容易に実現し得る。
【0072】
図14は側板部材103の配置を説明する図である。図示実施例は、(n×n)個のL形の側板部材103をn行n列配置とした例を示している。図示するように、行数及び列数が同じ場合には、配置対角線D1を境界線にして、下半分に属する側板部材の群G1と、上半分に属する側板部材の群G2とを、互いに対向させた配置になる。
【0073】
図15は側板部材103の別の配置を説明する図である。図示実施例は、側板部材103をn行m列配置(m<n)とした例を示している。図示するように、行数nと列数mとが異なる場合には、L形の側板部材103の他、平面状の側板部材103m1、103m2を用いればよい。行数n及び列数mの差が大きくなるにつれ、平面状の側板部材の数は増加する。
【0074】
前述したように、L形の側板部材103を用いた場合は、平面積及び容積が変化しても、規則的に配置してゆけばよいので、その配置及び組立を、迅速に実行することができる。
【0075】
以上の第1貯留浸透槽100によれば、面板部材101,102及び側板部材103は、面内に、それぞれ開口部111,121,131を有するため、流入管108から流入した雨水を一時的に貯留し、開口部111,121,131を通して地中に浸透させることができる。
【0076】
次いで、ブロック状積層体からなる第2貯留浸透槽200について説明する。
【0077】
[第2貯留浸透槽の第1実施例]
図16は第2貯留浸透槽200を構成するブロック状積層体の一部を示す斜視図、図17は図16に示すブロック状積層体200aの正面図、図18は図17のC−C線による断面図、図19は図17のD−D線による断面図、図20は図17のE−E線による断面図である。図示する第2貯留浸透槽200のブロック状積層体200aは、複数の凹凸板220(220a,220b)と、結合部224とを含む。
【0078】
複数の凹凸板220のそれぞれは、表面及び裏面において条状の凹部222及び凸部221を交互に繰り返す板状部材であり、表面側の凸部221は、裏面側においては凹部222となる。また、図16の矢印に示すように、ブロック状積層体200aの空隙225の開口部が上側及び下側に向くように配置される。
【0079】
凹部222及び凸部221は波形形状であって、凹凸板220の外郭形状に対し、異なる2方向に斜行する。波形形状は、頂点部及び両端部において、凹凸板220の外郭形状の一辺に対し、平行する直線部を含むことが好ましい。斜行角度は、好ましくは10〜45度程度である。
【0080】
図示する凹凸板220は、成形及び組立容易性の観点から、好ましくは合成樹脂材料を用いることができる。用いられる合成樹脂材料としては、ポリプロピレンや塩化ビニル(PVC)等が一般的である。
【0081】
前述した構造を有する凹凸板220は、製造加工を容易、かつ迅速にできるとともに、優れた機械的強度を得ることができる。
【0082】
また、凹凸板220は、通常、薄板構造で形成されるから、軽量であって、ブロック状積層体への組立てや、材料及び製品の運搬が容易である。
【0083】
図示するブロック状積層体200aは、隣接する凹凸板220の相対向面において、それぞれの凹部222及び凸部221が交差するように積層されている(図17参照)。
【0084】
積層された凸部221のそれぞれは、相対向面において接触部223を含む。接触部223には、適宜に結合部224が設けられる。結合部224は、隣接する2つの凹凸板220a,220bを結合する。凸部221及び凹部222は、隣接する2つの凹凸板220a,220bの接触面223を基準にして、接触面223の上にある部分を凸部221とし、接触面223よりも凹凸板220の方向に後退する部分を凹部222とする。
【0085】
前述した構造によると、第2貯留浸透槽200は、条状の凹部222及び凸部221が交差して結合されている構造となる。従って、土圧等の押圧力に対抗する方向を多様化できるため、優れた機械的強度を有することができる。
【0086】
特に、凹凸板220の波形形状の利点は、凹凸板220をブロック状積層体に組み立てる場合に顕著になる。即ち、図示の実施例においてブロック状積層体200aを構成する凹凸板220は、波形の表面構造を有するから、凸部221が交差するように積層した場合、凸部221の交差部分が多数発生する。凸部221の交差部分は接触部223であって、接触部223には結合部224を設けることができるから、大規模のブロック状積層体200aを構成した場合にも優れた機械的強度を有することができる。
【0087】
凹凸板220の波形形状は、凹凸板220の外郭形状と区別される内部構造である。従って、凹凸板220を積層して形成されるブロック状積層体200aの外郭形状は、波形形状のピッチ数やピッチ間隔等に制約されることなく、具体的な設置場所に適するように成形できる。例えば、ブロック状積層体200aの外郭形状は、正六面体や直方体さらには台形形状等に設定することができる。
【0088】
また、ブロック状積層体200aは積層構造であるから、凹凸板220の積層枚数や、凹凸板220自体の寸法等を適宜設定することにより、多様な施工条件において平面積及び容積の違いに容易に追従できる。図16において、ブロック状積層体200aは、凹凸板220を12枚使用しているが、凹凸板220の枚数は特に限定されない。
【0089】
さらに、図示の実施例では、好ましい例として直線部が形成される。直線部は、土圧等の押圧力が集中しやすい波形形状の頂点部や両端部等に形成される。直線部の接触部223は、通常、交差部分の接触部223より面積が広くなる。従って、ブロック状積層体において、直線部には結合強度の高い結合部224を設けることができる。
【0090】
図示するブロック状積層体200aは、結合部224で結合される。結合部224は、凸部221の接触部223に設けられる。したがって、各凹部222間には、凸部221と凹部222とによって生ずる高低差により、空隙225が形成される。空隙225は雨水等の貯留空間として機能する。
【0091】
他方、凸部221の接触部223以外には結合部224が設けられていないから、隣接する2つの凹凸板220の相互間には、非結合部分が多く形成されている。ブロック状積層体200aが非結合部分を多く含む構造によると、実質的に広い雨水等の貯留空間を有することができる。
【0092】
例えば、凹部222及び凸部221が交差するように積層した場合、交差部分において、接触部223のそれぞれは完全に密着し、図18に示すように、切断端面にハニカム状の開口形状が現れるが、接触部223から遠ざかるに従って非接触領域が増え、切断端面でみた開口形状が、図19に示すように、ハニカム形状を崩してしてゆき、図20に示すように、平行な開口を積層したような形状に変化する。
【0093】
このため、凹凸板220により仕切られた空隙225の内部に侵入した雨水等が他の空隙225へ流動し易くなる。従って、この種のブロック構造体を使用する場合に、例えば完全に区画された構造を有する区画枠体を使用する従来技術に比し、実質的に広い雨水等の貯留空間を有することができる。
【0094】
凹凸板220は、好ましくは、合成樹脂材料で構成される。例えば、ポリプロピレン等の熱溶着性を有する合成樹脂材料を用いて凹凸板220を形成した場合、隣接する2つの凹凸板220の結合部224の形成手段として熱コテ等を利用することができる。
【0095】
他方、熱溶着性を有しない合成樹脂材料を用いて凹凸板220を形成した場合でも、接触部223に接着剤等を塗布して結合部224を形成することができる。
【0096】
次に、図21〜図25を参照して、ブロック状積層体200aの製造方法を説明する。
【0097】
まず、図21に示すように凹凸板220aの上に、凹凸板220bを、波形形状の頂点部を左右反転して、凸部221が交差するように配置する。
【0098】
次に、図22,図23に示すように、凹凸板220aの凸部221と、凹凸板220bの凸部221との接触部223に、熱コテ230を矢印で示す方向に移動させて突き当てることにより、凹凸板220a,220bを結合する。換言すれば、接触部223には結合部224が形成され、凹凸板220a,220bが結合される。熱コテ230は一本であってもよいが、作業効率の観点からは、図示するように、多連型のものを用いることが望ましい。
【0099】
図24は、図22及び図23に示す製造工程により形成される結合部224を示す一部拡大断面図である。図示するように、凹凸板220a,220bは結合部224において結合されている。この後、凹凸板220bの上に他の凹凸板を反転関係で積層し、同様の結合工程を実行し、更にその上に他の凹凸板を反転積層し、結合する工程を、繰り返し実行することにより、隣接する2つの凹凸板220a,220bを順次結合したブロック状積層体200aが得られる。
【0100】
前述した順次接合方法によると、凹凸板220の積層枚数や、凹凸板220自体の寸法等を適宜設定することにより、多様な施工条件において平面積及び容積の違いに容易に追従できるブロック状積層体200aを提供することができる。
【0101】
図25は、別の製造工程を用いた場合の結合部224を示す一部拡大断面図である。図示する接触部223は、通水孔226を含む。通水孔226の形成は、図22及び図23の結合工程において、先端部が鋭利な熱コテ230等を使用し、結合部224の形成と同時に、実行することができる。通水孔226の周囲には結合部224が形成され、結合部224により複数の凹凸板220を結合することができる。
【0102】
前述した方法によると、図21に示す配置で予め必要な枚数積層した凹凸板220に一括して結合部224を形成することができる。
【0103】
また、通水孔226を設けることにより、雨水等を複数の空隙225の相互間で流動させ、雨水等の貯留空間全体の水位を均一化し、貯水効率を向上させることができる。
【0104】
前述した観点からすると、接触部223に通水孔226を設ける構成は、結合工程の簡便化を図る側面と、貯水効率をより向上させる側面の両方を含む。従って、通水孔226の設置部位は、必ずしも接触部223に限られない。
【0105】
さらに、図21〜図25は、ポリプロピレン等の熱溶着性を有する合成樹脂材料からなる凹凸板220を好ましい例として説明しているが、凹凸板220は熱溶着性を有しない合成樹脂材料であってもよい。凹凸板220を、熱溶着性を有しない合成樹脂材料から形成する場合は、接触部223に接着剤等を塗布して結合部224を形成する。通水孔226の形成は、結合部224の形成前後を自由に選択して実行することができる。
【0106】
[第2貯留浸透槽の第2実施例]
図26は第2貯留浸透槽200を構成するブロック状積層体の第2実施例を示す斜視図である。図示において、図16〜図20に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付し、重複説明を省略する。
【0107】
図26に示すブロック状積層体300aと、図16に示すブロック状積層体200aとの相違点は、条状の凹部222及び凸部221が同一面上において、1方向にのみ斜行する点にある。即ち、図26に示す実施例のブロック状積層体300aは、図16〜図20に示したブロック状積層体(ブロック構造体)200aを半分に切断した態様である。
【0108】
図26に示すブロック状積層体(ブロック構造体)300aも、図16〜図20に示したブロック状積層体200aと同様の作用効果を奏する。図26に示すブロック構造体300aは、図16〜図20に示したブロック状積層体200aを中間部で切断することによって得ることができる他、図21〜図23に示した製造工程を実行することによっても得ることができる。
【0109】
また、図27に示すブロック状構造体(ブロック状積層体)400aは、図16のブロック状構造体200aにおいて波状の凹凸が形成されたものであり、その他は図16と全て同一である。
【0110】
以上の構成を有する貯留浸透装置1の作製方法を簡単に説明する。
【0111】
まず、設置穴40の凹部表面に透水層60を設け、該透水層60の底面上に、前述の方法によって第1貯留浸透槽100を組み立てる。次いで、この第1貯留浸透槽100の上に、第2貯留浸透槽200を組み付ける。最後に、第2貯留浸透槽200の上から保護層50を設け、第2貯留浸透槽200に流入管70を接続することによって、貯留浸透装置1を製造することができる。
【0112】
そして、図28は、自動車等の重量物Tが地表S上に載置された場合の地中における鉛直荷重qの大きさを概略的に示す図である。この図において、重量物Tから地表S上に荷重Pが入力されると、この荷重Pは地表Sと約45°の角度をなして下方に放射状に伝達される。ここで、地表Sから深さhの地中における鉛直荷重qは、q=P/(2h+0.2)で表せる。このため、地表Sからの深さが浅いほど鉛直荷重qは大きくなることが判る。
【0113】
従って、地表Sから浅い部位には、大きな鉛直荷重Pに耐えることができるハニカム状のブロック状積層体200aからなる第2貯留浸透槽200を配置すると共に、地表Sから深い部位には、前記ブロック状積層体200aよりは比較的に機械的強度が小さな第1貯留浸透ユニット100aからなる第1貯留浸透槽100を配置している。このように、大きな強度が必要とされる部位には第2貯留浸透槽200を、比較的に強度があまり必要とされない部位には第1貯留浸透槽100を配置することによって、効率的に第1貯留浸透槽100と第2貯留浸透槽200を組み合わせた貯留浸透装置1を得ることができる。
【0114】
【発明の効果】
以前述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
【0115】
(a)大きな強度が必要とされる部位には機械的強度が大きい第2貯留浸透槽を配置し、あまり大きな強度が必要とされない部位には第1貯留浸透槽を配置することによって、効率的に第1貯留浸透槽と第2貯留浸透槽を組み合わせた貯留浸透装置を得ることができる。
【0116】
(b)製造加工及び組立作業を容易、かつ迅速に実行し得る貯留浸透装置を提供することができる。
【0117】
(c)広い雨水等の貯留空間を有する貯留浸透装置を提供することができる。
【0118】
(d)幅、深さ及び長さを自在に変更し、平面積及び容積の違いに容易に追従し得る貯留浸透装置を提供することができる。
【0119】
(e)嵩張ることのない態様で輸送することができ、輸送コスト低減に有効な貯留浸透装置を提供することができる。
【0120】
(f)構成部材の必要数を減少させ、コスト低減、組立容易化、及び、組立迅速化を図った貯留浸透装置を提供することができる。
【0121】
(g)幅、深さ及び長さを自在に変更し、平面積及び容積の違いに容易に追従し得る貯留浸透装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る貯留浸透装置を地中に埋設した状態を示す断面図である。
【図2】図1に示した第1貯留浸透槽を構成する第1貯留浸透ユニットの組立状態を示す斜視図である。
【図3】図2の第1貯留浸透ユニットの分解斜視図である。
【図4】第1貯留浸透ユニットの底板として用いられる面板部材の平面図である。
【図5】図4のA−A線による突起部分の拡大断面図である。
【図6】第1貯留浸透ユニットの面板部材に設けられた突起の別の例を示す部分拡大断面図である。
【図7】第1貯留浸透ユニットにおいて、天板または中間板として用いられる面板部材の平面図である。
【図8】第1貯留浸透ユニットに含まれる側板部材の斜視図である。
【図9】図8のB−B線に沿った拡大部分断面図である。
【図10】本発明に係る第1貯留浸透槽の一部を示す分解斜視図である。
【図11】図10に示した第1貯留浸透槽の組立状態を示す斜視図である。
【図12】第1貯留浸透ユニットの底板を構成する面板部材の配置及び連結を説明する図である。
【図13】第1貯留浸透ユニットの天板または中間板を構成する面板部材の配置及び連結を説明する図である。
【図14】第1貯留浸透ユニットの側板部材の配置を説明する図である。
【図15】第1貯留浸透ユニットの側板部材の別の配置を説明する図である。
【図16】第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の一部を省略した斜視図である。
【図17】図1に示すブロック状積層体の正面図である。
【図18】図17のC−C線に沿った断面図である。
【図19】図17のD−D線に沿った断面図である。
【図20】図17のE−E線に沿った断面図である。
【図21】第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の製造方法を示す斜視図である。
【図22】図21に示した工程の後の工程を示す斜視図である。
【図23】図22に示した工程の後の工程を示す斜視図である。
【図24】図23に示した結合部の構造を示す一部拡大断面図である。
【図25】図24について別の実施例を示す一部拡大断面図である。
【図26】第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の別の実施例を示す斜視図である。
【図27】第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の更に別の実施例を示す斜視図である。
【図28】地表に重量物が載置された場合の、地中における鉛直荷重の分布状況を示す概略図である。
【符号の説明】
2 地盤
40 設置穴
100 第1貯留浸透槽
100a 第1貯留浸透ユニット
101,102 画板部材
103 測板部材
111,121,131 開口部
113,123,222 凹部
114,124,221 凸部
200 第2貯留浸透槽
200a ブロック状積層体
【発明の属する技術分野】
本発明は、雨水の貯留浸透装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、雨水貯留浸透装置は、集水した雨水を一時的に貯留し、貯留した雨水を地中に緩やかに浸透させて排出することにより、河川への急激な雨水流入を調整する目的で、地中に埋設して用いられる。また、雨水貯留装置は、集水した雨水等を貯留するために地中に埋設されるものである。
【0003】
このような貯留浸透装置には、例えば、ハニカム状のブロック状積層体から構成されるもの(非特許文献1参照)や、面板部材と側板部材からなる箱状の貯留浸透槽を組み合わせたもの(非特許文献2参照)がある。
【0004】
【非特許文献1】
特願2002−117034、(出願人:エバタ株式会社)
【非特許文献2】
特願2001−222220、(出願人:エバタ株式会社)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特願2002−117034に記載された貯留浸透装置は、機械的強度が大きいが、組立作業がやや面倒で製造コストを下げることが困難であった。また、特願2001−222220に記載された貯留浸透装置では、組立作業が容易であるが、前記特願2002−117034に記載された貯留浸透装置に比較して、機械的強度がやや低いという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、優れた機械的強度を有すると共に、コストが安価な貯留浸透装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するため、本発明の請求項1に係る貯留浸透装置は、地盤を掘削して得られた設置穴の底面に配設される第1貯留浸透槽と、該第1貯留浸透槽の上段に配設される第2貯留浸透槽とを備えた貯留浸透装置であって、
前記第1貯留浸透槽は、箱状の第1貯留浸透ユニットを複数組み合わせた第1貯留浸透ユニット群であり、
前記第2貯留浸透槽は、複数の凹凸板を横方向に積層させながら組み合わせてなるハニカム形状のブロック状積層体から構成されるブロック状積層体群であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記第1貯留浸透ユニットは、上下に間隔を隔てて配置される面板部材と、これらの面板部材の周囲を上下に亘って取り囲みながら上下の面板部材を橋渡すように配設される側板部材とを備え、
前記面板部材は、面内に開口部を有するとともに、少なくとも2組の対向辺組を有し、該対向辺組の相対向する2辺は、互いに対応する凹部及び凸部を有しており、
前記側板部材は、面内に開口部を有し、前記面板部材の一面と凹凸嵌合により結合されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記第1貯留浸透ユニット群中に前記面板部材及び前記側板部材が複数設けられ、これら複数の面板部材は、隣接する2つの面板部材の一方に設けられた前記凸部が、他方の面板部材に設けられた前記凹部と凹凸嵌合することによって面状に配置され、前記複数の側板部材のうち、隣接する2つの前記第1貯留浸透ユニットの境界に存在する側板部材は、隣接する2つの第1貯留浸透ユニットにおいて共用されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記ブロック状積層体を構成する凹凸板のそれぞれには、表面及び裏面において条状の凹部及び凸部が交互に繰り返して形成され、前記凹部及び凸部は、前記凹凸板の外郭形状に対し、少なくとも一方向に斜行する部分を含み、
前記ブロック状積層体では、互いに隣接する凹凸板が、その相対向面において、それぞれの前記凹部及び凸部が交差するように順次に積層され、前記凸部の接触部において互いに結合されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記ブロック状積層体の凹凸板の前記凹部及び凸部は、前記外郭形状に対し、少なくとも異なる二方向に斜行する波形形状を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記ブロック状積層体の凹凸板の前記凹部及び凸部は、前記外郭形状に対し、一方向にのみ斜行する部分を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る貯留浸透装置の周囲には、周知の技術に従って、不織布等の透水層を設けることにより、第1及び第2貯留浸透槽の内部への土砂の流入を阻止することができる。また、貯留浸透装置の周囲に遮水層を設けた場合は雨水貯留装置として用いることができる。
【0014】
前記第1貯留浸透ユニットは、前述したように、面板部材と、側板部材とを含む。前記面板部材は、面内に開口部を有するとともに、少なくとも2組の対向辺組を有し、前記対向辺組の相対向する2辺は互いに対応する凹部及び凸部を有する。前記側板部材は、面内に開口部を有し、前記面板部材の一面に、凹凸嵌合により結合される。
【0015】
前述したように、第1貯留浸透ユニットは、面板部材と、側板部材とに分かれているので、嵩張ることのない態様で輸送することができる。このため、輸送コストが低減されると共に、輸送が容易になる。
【0016】
本発明に係る貯留浸透装置を作製する手順を簡単に説明する。まず、地中に形成した設置穴に透水層を設け、該透水層で覆われた凹部内で、第1貯留浸透槽を組み立てる。この第1貯留浸透槽は、後述するように、面板部材及び側板部材を、左右、上下及び前後方向に立体的に組み合わせて行く。次いで、第1貯留浸透槽の上段に、後述する方法によって、第2貯留浸透槽を組み立てる。最後に、第2貯留浸透槽の上部に保護層を配設し、流入管を第2貯留浸透槽に配設することによって、本発明の貯留浸透装置を組み上げることができる。
【0017】
次に、個々の組立手順について詳細に説明する。
【0018】
前記第1貯留浸透槽の組立てにおいては、面板部材を底板として用い、これを、地中に設けた設置穴の透水層の底面上に平面状に配置する。面板部材は、対向辺組の相対向する2辺に、互いに対応する凹部及び凸部を有する。従って、隣接する面板部材において、一方の凹部に、他方の凸部を嵌め込む凹凸嵌合により、全体として一体化され、平面化された底板配置構造を実現できる。このように、面板部材の凹凸嵌合によって敷きつめて行くので、底板の組立作業が極めて容易になる。面板部材及び側板部材の間の結合も、凹凸嵌合によるので、その組立作業が極めて容易になる。
【0019】
側板部材のうち、隣接する面板部材の境界に存する側板部材は、隣接する面板部材において共用される。従って、側板部材の使用数を減少させ、コスト低減、組立容易化、及び、組立迅速化を図ることができる。
【0020】
前述のようにして配置された側板部材の上に、天板として面板部材を配置する。但し、最小単位の第1貯留浸透ユニットを得る場合は天板であるが、複数層の積み重ね構造とする場合は、天板ではなく、中間板となる。
【0021】
天板を構成する面板部材の一面は、側板部材に対して、凹凸嵌合により結合する。天板を構成する面板部材も、側板部材に対して凹凸嵌合されるので、その組立作業が極めて容易になる。
【0022】
しかも、天板を構成する面板部材において、相対向する2辺は互いに対応する凹部及び凸部を有する。従って、隣接する天板のうち、一方の天板を構成する面板部材の凹部に、他方の天板を構成する面板部材の凸部を嵌め込み、凹凸嵌合により、全体として一体化され、平面化された天板配置構造を実現できる。
【0023】
前述したように、第1貯留浸透槽は天板を面板部材の凹凸嵌合によって敷きつめて行くだけでよいので、その組立作業が極めて容易になる。天板を構成する面板部材は、底板を構成する面板部材と、全く同じものであってもよいし、基本構造を同じくし、かつ、具体的細部で異なっていてもよい。また、面板部材及び側板部材は、面内に開口部を有するため、流入した雨水を一次的に貯留し、貯留した雨水を、前記開口部を通して時間を掛けて緩やかに地中に浸透させることができる。
【0024】
貯留浸透装置の平面積及び容積は、面板部材の平面枚数、及び、面板部材と側板部材との積み重ね数の選択により、任意に変更できる。従って、平面積及び容積の違いに容易に追従し得る。
【0025】
また、前記第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体は、前述したように複数の凹凸板を含む。前記複数の凹凸板のそれぞれは、表面及び裏面において条状の凹部及び凸部を交互に繰り返す板状部材である。
【0026】
前記凹部及び凸部は、前記凹凸板の外郭形状に対し、少なくとも一方向に斜行する部分を含んでいる。前記複数の凹凸板は、隣接する凹凸板が、その相対向面において、それぞれの前記凹部及び凸部が交差するように、順次に積層され、前記凸部の接触部において互いに結合されている。
【0027】
前述したように、複数の凹凸板のそれぞれは、表面及び裏面において条状の凹部及び凸部を交互に繰り返す板状部材であるから、製造加工を容易、且、迅速に実行できるとともに、優れた機械的強度を有する。
【0028】
また、凹凸板は板状部材であって、通常、軽量な薄板構造で形成されるから、凹凸板を用いたブロック状積層体への組立てや、材料及び製品の運搬が容易である。
【0029】
条状の凹部及び凸部は、凹凸板の外郭形状に対し、少なくとも一方向に斜行する部分を含む。複数の凹凸板は、隣接する凹凸板が、その相対向面において、それぞれの凹部及び凸部が交差するように、順次に積層され、凸部の接触部において互いに結合されている。従って、土圧等の押圧力に対抗する方向を多様化できるため、優れた機械的強度を確保し得る。
【0030】
ブロック状積層体の内部の交差構造は、ブロック状積層体の外郭形状を決定する要素ではないため、ブロック状積層体を具体的な設置場所に適した外郭形状に成形することができる。
【0031】
また、ブロック状積層体は積層構造であるため、凹凸板の積層枚数を増減し、さらには凹凸板自体の寸法を適宜設定することにより、多様な施工条件において平面積及び容積の違いに容易に追従できる。
【0032】
ブロック状積層体は凸部の接触部で結合されるから、凸部と凹部とによって生ずる高低差により、各凹部間には、空隙を多数もしくは広く形成できる。従って、ブロック状積層体は広い雨水等の貯留空間を有する。
【0033】
他方、凸部の接触部以外は結合されていないため、第2貯留浸透槽の内部における雨水等の流動が容易に行なわれる。従って、この種のブロック構造体を含む貯留浸透槽において、完全に区画された構造を有する区画枠体を使用する従来技術に比べ、実質的に広い雨水等の貯留空間を有する。なお、凹部と凸部とを異なる二方向に斜行させると、ブロック状積層体の空隙中を雨水が下方に向かって左右にジグザグ状に流れるため、雨水の流速を抑制することができる。また、流速を抑えることによって、雨水の保持時間を長くすることができる。
【0034】
さらに、第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の組立においては、まず、複数の凹凸板のうち、隣接する凹凸板は、相対向面において、それぞれの凹部及び凸部が交差するように横方向に積層する。次に、隣接する凹凸板の相対向面において、それぞれの凸部の接触部で結合する。さらに、ブロック状積層体を結合部で切断する工程を含んでも良い。
【0035】
なお、本発明に係る貯留浸透装置は、その周囲に透水層を設けているため、雨水を一次的に貯留すると共に、この貯留した雨水を地中に緩やかに浸透させて排出する作用を有する。また、周囲に遮水層を設ければ、雨水を貯留しておく雨水貯留装置としても有効に用いることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る貯留浸透装置1を地中に埋設した状態を示す断面図である。
【0037】
この図1に示す雨水等の貯留浸透装置1は、土壌2を掘削して得られた設置穴40の凹部表面に設けられる透水層60と、該透水層60の底面上に設けられる、第1貯留浸透ユニット100aからなる第1貯留浸透槽100と、該第1貯留浸透槽100の上段側に配設した第2貯留浸透槽200と、該第2貯留浸透槽200の上部に設けられる保護層50と、第2貯留浸透槽200中に挿通され、その内部を雨水等が流れる流入管70とを備えている。
【0038】
第1貯留浸透槽100は優れた機械的強度を有するため、設置穴40内部において、複数の第1貯留浸透ユニット100aを上下、左右及び縦横に積み重ねることができる。また、第1貯留浸透ユニット100aを大きく作製し、1つだけの第1貯留浸透ユニット100aからなる第1貯留浸透槽100としてもよい。
【0039】
保護層50は、通常、土、砂利、コンクリートまたはアスファルト等を含み、主に地表面からの押圧力または衝撃に耐えるとともに、貯留浸透装置1の内部への異物混入を防止する機能を有する。
【0040】
透水層60は、通常、不織布等の透水性素材を含み、装置内部に対する異物混入を防止すると共に、貯留された雨水等の排出部として機能する。流入管70は、図示しない集水装置で集水した雨水等を、貯留浸透装置1の内部に注入する機能を有する。
【0041】
図示する流入管70は、周知の方法により、第2貯留浸透槽200に挿入されている。前述した流入管70の配置によると、雨水等は第2貯留浸透槽200及び第1貯留浸透槽100の内部を三次元方向に拡散しつつ円滑に流入する。流入管70から流れ込んだ雨水等は、第2貯留浸透槽200の内部に一次的に貯留され、こののち、透水層60を通して徐々に土壌2の地中に浸透する。
【0042】
なお、図1に示す貯留浸透装置1を貯留装置として用いる場合には、透水層60に代えて、遮水層80(図1参照)を配設すればよい。
【0043】
図2は、第1貯留浸透槽100を構成する第1貯留浸透ユニット100aを組み上げた状態を示す斜視図、図3は図2の第1貯留浸透ユニット100aを示す分解斜視図であり、これらの図は、最小単位としての貯留浸透ユニットを示す。
【0044】
図示された第1貯留浸透ユニット100aは、面板部材101,102と、側板部材103とを含む。これらは、適当なプラスチック材料、または、プラスチック材料と無機粉体とを混合した複合材料を用いた成型品として構成することができる。
【0045】
第1貯留浸透槽100を構成する第1貯留浸透ユニット100aは、平板状の面板部材101,102及び仕切板133を有する側板部材103を積層した構造であり、側板部材103の仕切板133により地表側から加わる荷重を板面と平行な方向(縦方向)で受ける波形であるから、地表側から加わる荷重に対して十分に大きな機械的強度を確保することができる。横方向から加わる土圧に対しても、仕切板133を波形にしたことにより、十分に対抗することができる。
【0046】
図4は面板部材101の平面図である。図示するように、面板部材101は、面内に開口部111を有する。図示実施例では、面板部材101の一面または両面にリブ112を格子状に配置し、リブ112の間に、適当な大きさの開口部111を貫通孔として設けてある。リブ112の本数、及び、形成位置は任意である。また、開口部111の大きさ、個数も任意でよい。
【0047】
面板部材101は、少なくとも2組の対向辺組を有する。図4に示す対向辺組X,Yのそれぞれにおいて、相対向する2辺X,Yは互いに対応する位置に凹部113及び凸部114を有する。図示の実施例に示された面板部材101は、全体形状がほぼ正四角形状であり、隣接する2辺のほぼ中間部に凹部113を設け、他の隣接する2辺の中間部に凸部114を設けてある。凹部113の両側には、凸部114,114が設けられており、凸部114の両側には凹部113,113が設けられている。凹部113及び凸部114は、いわゆる「鳩尾継」を構成し得る形状を持つ。
【0048】
実施例とは異なって、面板部材101,102は、他の角形状、例えば、6角形状、8角形状等であってもよい。凹部及び凸部は面板部材101の外形形状に合わせてその形成位置が選定される。
【0049】
面板部材101の一面または両面には、各辺に沿って、図5に示すように、2つ1組の突起115,116が設けられている。図5は突起115,116の部分を拡大して示す部分断面図である。図示実施例では、面板部材101の両面の相対する位置に、間隔G11を隔てて、高さH11の2本の突起115,116を設けてある。
【0050】
図6は突起115,116の別の例を示す部分拡大断面図である。この実施例では、2本の突起115,116は、上端に内向きフック部115a,116aを有する。
【0051】
図7は面板部材102の平面図である。面板部材102は、面板部材101と基本的構造を同じくするものであって、図4に示した面板部材101と全く同じものであってもよい。
【0052】
図7に例示された面板部材102は、開口部121の大きさ、個数、及び、リブ122の本数及び形成位置において、面板部材101と異なるだけで、他の基本的構成は面板部材101と同じである。図示された面板部材は、中間板であり、最上面を構成する場合は、面板部材101を用いる。
【0053】
面板部材102の構造について、更に具体的に述べると、面板部材102の一面または両面にリブ122を十字状に配置し、リブ122の間に、適当な大きさの開口部121を、貫通孔として設けてある。
【0054】
図示の実施例に示された面板部材102は、全体形状がほぼ正四角形状であり、隣接する2辺のほぼ中間部に凹部123を設け、他の隣接する2辺の中間部に凸部124を設けてある。凹部123の両側には、凸部124が設けられており、凸部124の両側には凹部123,123が設けられている。凹部123及び凸部124も、「鳩尾継」を構成し得る形状を持つ。
【0055】
面板部材102も、他の角形状、例えば、6角形状、8角形状等であってもよいこと、凹部や凸部は面板部材102の外形形状に合わせてその形成位置が選定されること等は、面板部材101の場合と同様である。
【0056】
また、面板部材102の一面または両面には、各辺に沿って、2つ1組の突起125,126が設けられている。これらの突起125,126も、図5及び図6に示した構造を有する。
【0057】
図8は側板部材103の斜視図、図9は図8のB−B線に沿った拡大部分断面図である。側板部材103は、面内に開口部131を有する。図示実施例の側板部材103は、図9に拡大して示すように、周辺部を囲むように配置された外枠部132を持ち、外枠部132の間に、上下方向に延び、横方向に波形に連続する仕切板133を配置し、仕切板133の山及び谷の部分に、多数の貫通孔状の開口部131を設けた構造を持つ。図示実施例の側板部材103は、ほぼ直交する2つの面を含むL形の形状を有する。L形形状は一体成型、調板構造による機械的接続等によって実現できる。これとは異なって、平板状であってもよい。また、開口部131は、上下方向に延びるスリットであってもよい。
【0058】
側板部材103は、面板部材101の一面と、図5と図6に示すように、凹凸嵌合により結合される。具体的には、側板部材103は、下端部が面板部材101に備えられた2つの突起115,116の間に挿入され、その際に生じる凹凸嵌合により、面板部材101の一面に結合される。2つの突起115,116が、図6に示したような構造を持つ場合、側板部材103の下端部は、突起115,116の内向きフック部115a,116aによって、確実に保持される。
【0059】
側板部材103の上端部には、面板部材102が結合される。結合において、面板部材102に備えられた2つの突起125,126の間に、側板部材101の上端部が挿入され、その際に生じる凹凸嵌合により、面板部材102の一面に結合される。2つの突起125,126が、図6に示したような構造を持つ場合、側板部材103の下端部は、突起125,126の内向きフック部125a,126aによって、確実に保持される。
【0060】
前述したように、第1貯留浸透ユニット100aは、面板部材101,102と、側板部材103とに分離されているので、面板部材101,102及び側板部材103を、嵩張ることのない態様で輸送することができ、輸送コスト低減される共に、輸送が容易になる。まず、面板部材101,102は平板状であり、嵩張らない状態で重ねて輸送できる。また、図示の側板部材103はL形であるから、同一向きに重ねることにより嵩張りを回避し得る。側板部材103が平板状である場合には、面板部材101,102と同様に、積み重ねて輸送できる。
【0061】
第1貯留浸透ユニット100aを構成するには、面板部材101を底板として用い、その上に側板部材103を凹凸嵌合により結合し、その上に、面板部材102を天板として、凹凸嵌合により結合するだけでよい。このため、組立作業が極めて容易になる。
【0062】
以上の説明は、最初に述べたように、最小単位としての第1貯留浸透ユニット100aを示したものである。次に、実際の使用に、より適する多層構造の第1貯留浸透槽100の構成について説明する。
【0063】
図10は第1貯留浸透槽100の構成の一部を示す分解斜視図、図11は図10に示した第1貯留浸透槽100の組立状態を示す斜視図である。図示された貯留浸透槽100を構成するには、地中に設けた設置穴(掘削穴)40の内部で、面板部材101,102及び側板部材103を、左右、上下及び前後方向に、立体的に組み合わせて行く。
【0064】
組み合わせにおいては、まず、第1貯留浸透槽100のそれぞれに含まれる面板部材101を底板として用い、これを、地中に設けた設置穴(掘削穴)40の透水性保護層60の底面上に平面状に配置する。面板部材101は、2組の対向辺組のそれぞれが相対向する2辺X,Yを含み、2辺X,Yのうちの一辺Xは凹部113を有し、他辺Yは凹部113と対応する凸部114を有する。従って、図12に示すように、隣接する面板部材101,101において、一方の凹部113に他方の凸部114を嵌め込み、凹凸嵌め合いにより全体として一体化され、平面化された底板配置構造を実現できる。このように、底板となる面板部材101を凹凸嵌合によって敷きつめて行くので、その組立作業が極めて容易になる。
【0065】
底板を構成する面板部材101は、第1貯留浸透槽100として要求される平面積に応じて、必要な枚数だけ、前後及び左右に平面的に配置し、かつ、相互に凹凸嵌合により結合する。
【0066】
次に、底板を構成する面板部材101の一面に、側板部材103を凹凸嵌合により結合する。凹凸嵌合は、面板部材101の一面上に設けられた2つの突起115,116の間に、側板部材103の下端部を挿入する(図5及び図6等参照)ことによって実行される。このように、面板部材101及び側板部材103の結合も凹凸嵌合によるので、その組立作業が極めて容易になる。
【0067】
側板部材103は筒状となるように配置する。この場合、側板部材103のうち、隣接する面板部材101の境界に存する側板部材103は、隣接する面板部材101において共用される。従って、側板部材103の使用数を減少させ、コスト低減、組立容易化、及び、組立迅速化を図ることができる。隣接する面板部材1の境界に存しない側板部材103としては、L形(図8参照)の他、平板状のものも用いることができる。
【0068】
前述のようにして配置された側板部材103の上に、中間板として面板部材102を配置する。中間板を構成する面板部材102の一面は、側板部材103に対して凹凸嵌合により結合する。凹凸嵌合は、面板部材102の一面上に設けられた2つの突起125,126の間に、側板部材103の上端部を挿入する(図5及び図6等参照)ことによって実行される。このため、側板部材103に対する面板部材102の組立作業も極めて容易になる。
【0069】
しかも、中間板を構成する面板部材102は、相対向する2辺Z,W(図7参照)のうちの一辺Zは凹部123を有し、他辺Wは凹部123と対応する凸部124を有する。従って、図13に示すように、隣接する中間板のうち、一方の面板部材102の凹部123に、他方の面板部材102の凸部124を嵌め込み、凹凸嵌め合いにより全体として一体化され、平面化された中間板の配置構造を実現できる。前述したように、中間板を、面板部材102の凹凸嵌合によって敷きつめて行くだけでよいので、その組立作業が極めて容易になる。
【0070】
この後、中間板を構成する面板部材102の上に側板部材103を嵌め込み、更に中間板となる面板部材102を側板部材103に嵌め込む組立作業を必要回数繰り返す。これにより、要求される容積を持つ第1貯留浸透槽100が得られる。
【0071】
第1貯留浸透槽100の平面積及び容積は、面板部材101,102の平面敷設枚数、及び、面板部材101,102と側板部材103との積み重ね数の選択により、任意に変更できる。従って、実際的な場面で要求される平面積及び容積を有する貯留浸透装置を容易に実現し得る。
【0072】
図14は側板部材103の配置を説明する図である。図示実施例は、(n×n)個のL形の側板部材103をn行n列配置とした例を示している。図示するように、行数及び列数が同じ場合には、配置対角線D1を境界線にして、下半分に属する側板部材の群G1と、上半分に属する側板部材の群G2とを、互いに対向させた配置になる。
【0073】
図15は側板部材103の別の配置を説明する図である。図示実施例は、側板部材103をn行m列配置(m<n)とした例を示している。図示するように、行数nと列数mとが異なる場合には、L形の側板部材103の他、平面状の側板部材103m1、103m2を用いればよい。行数n及び列数mの差が大きくなるにつれ、平面状の側板部材の数は増加する。
【0074】
前述したように、L形の側板部材103を用いた場合は、平面積及び容積が変化しても、規則的に配置してゆけばよいので、その配置及び組立を、迅速に実行することができる。
【0075】
以上の第1貯留浸透槽100によれば、面板部材101,102及び側板部材103は、面内に、それぞれ開口部111,121,131を有するため、流入管108から流入した雨水を一時的に貯留し、開口部111,121,131を通して地中に浸透させることができる。
【0076】
次いで、ブロック状積層体からなる第2貯留浸透槽200について説明する。
【0077】
[第2貯留浸透槽の第1実施例]
図16は第2貯留浸透槽200を構成するブロック状積層体の一部を示す斜視図、図17は図16に示すブロック状積層体200aの正面図、図18は図17のC−C線による断面図、図19は図17のD−D線による断面図、図20は図17のE−E線による断面図である。図示する第2貯留浸透槽200のブロック状積層体200aは、複数の凹凸板220(220a,220b)と、結合部224とを含む。
【0078】
複数の凹凸板220のそれぞれは、表面及び裏面において条状の凹部222及び凸部221を交互に繰り返す板状部材であり、表面側の凸部221は、裏面側においては凹部222となる。また、図16の矢印に示すように、ブロック状積層体200aの空隙225の開口部が上側及び下側に向くように配置される。
【0079】
凹部222及び凸部221は波形形状であって、凹凸板220の外郭形状に対し、異なる2方向に斜行する。波形形状は、頂点部及び両端部において、凹凸板220の外郭形状の一辺に対し、平行する直線部を含むことが好ましい。斜行角度は、好ましくは10〜45度程度である。
【0080】
図示する凹凸板220は、成形及び組立容易性の観点から、好ましくは合成樹脂材料を用いることができる。用いられる合成樹脂材料としては、ポリプロピレンや塩化ビニル(PVC)等が一般的である。
【0081】
前述した構造を有する凹凸板220は、製造加工を容易、かつ迅速にできるとともに、優れた機械的強度を得ることができる。
【0082】
また、凹凸板220は、通常、薄板構造で形成されるから、軽量であって、ブロック状積層体への組立てや、材料及び製品の運搬が容易である。
【0083】
図示するブロック状積層体200aは、隣接する凹凸板220の相対向面において、それぞれの凹部222及び凸部221が交差するように積層されている(図17参照)。
【0084】
積層された凸部221のそれぞれは、相対向面において接触部223を含む。接触部223には、適宜に結合部224が設けられる。結合部224は、隣接する2つの凹凸板220a,220bを結合する。凸部221及び凹部222は、隣接する2つの凹凸板220a,220bの接触面223を基準にして、接触面223の上にある部分を凸部221とし、接触面223よりも凹凸板220の方向に後退する部分を凹部222とする。
【0085】
前述した構造によると、第2貯留浸透槽200は、条状の凹部222及び凸部221が交差して結合されている構造となる。従って、土圧等の押圧力に対抗する方向を多様化できるため、優れた機械的強度を有することができる。
【0086】
特に、凹凸板220の波形形状の利点は、凹凸板220をブロック状積層体に組み立てる場合に顕著になる。即ち、図示の実施例においてブロック状積層体200aを構成する凹凸板220は、波形の表面構造を有するから、凸部221が交差するように積層した場合、凸部221の交差部分が多数発生する。凸部221の交差部分は接触部223であって、接触部223には結合部224を設けることができるから、大規模のブロック状積層体200aを構成した場合にも優れた機械的強度を有することができる。
【0087】
凹凸板220の波形形状は、凹凸板220の外郭形状と区別される内部構造である。従って、凹凸板220を積層して形成されるブロック状積層体200aの外郭形状は、波形形状のピッチ数やピッチ間隔等に制約されることなく、具体的な設置場所に適するように成形できる。例えば、ブロック状積層体200aの外郭形状は、正六面体や直方体さらには台形形状等に設定することができる。
【0088】
また、ブロック状積層体200aは積層構造であるから、凹凸板220の積層枚数や、凹凸板220自体の寸法等を適宜設定することにより、多様な施工条件において平面積及び容積の違いに容易に追従できる。図16において、ブロック状積層体200aは、凹凸板220を12枚使用しているが、凹凸板220の枚数は特に限定されない。
【0089】
さらに、図示の実施例では、好ましい例として直線部が形成される。直線部は、土圧等の押圧力が集中しやすい波形形状の頂点部や両端部等に形成される。直線部の接触部223は、通常、交差部分の接触部223より面積が広くなる。従って、ブロック状積層体において、直線部には結合強度の高い結合部224を設けることができる。
【0090】
図示するブロック状積層体200aは、結合部224で結合される。結合部224は、凸部221の接触部223に設けられる。したがって、各凹部222間には、凸部221と凹部222とによって生ずる高低差により、空隙225が形成される。空隙225は雨水等の貯留空間として機能する。
【0091】
他方、凸部221の接触部223以外には結合部224が設けられていないから、隣接する2つの凹凸板220の相互間には、非結合部分が多く形成されている。ブロック状積層体200aが非結合部分を多く含む構造によると、実質的に広い雨水等の貯留空間を有することができる。
【0092】
例えば、凹部222及び凸部221が交差するように積層した場合、交差部分において、接触部223のそれぞれは完全に密着し、図18に示すように、切断端面にハニカム状の開口形状が現れるが、接触部223から遠ざかるに従って非接触領域が増え、切断端面でみた開口形状が、図19に示すように、ハニカム形状を崩してしてゆき、図20に示すように、平行な開口を積層したような形状に変化する。
【0093】
このため、凹凸板220により仕切られた空隙225の内部に侵入した雨水等が他の空隙225へ流動し易くなる。従って、この種のブロック構造体を使用する場合に、例えば完全に区画された構造を有する区画枠体を使用する従来技術に比し、実質的に広い雨水等の貯留空間を有することができる。
【0094】
凹凸板220は、好ましくは、合成樹脂材料で構成される。例えば、ポリプロピレン等の熱溶着性を有する合成樹脂材料を用いて凹凸板220を形成した場合、隣接する2つの凹凸板220の結合部224の形成手段として熱コテ等を利用することができる。
【0095】
他方、熱溶着性を有しない合成樹脂材料を用いて凹凸板220を形成した場合でも、接触部223に接着剤等を塗布して結合部224を形成することができる。
【0096】
次に、図21〜図25を参照して、ブロック状積層体200aの製造方法を説明する。
【0097】
まず、図21に示すように凹凸板220aの上に、凹凸板220bを、波形形状の頂点部を左右反転して、凸部221が交差するように配置する。
【0098】
次に、図22,図23に示すように、凹凸板220aの凸部221と、凹凸板220bの凸部221との接触部223に、熱コテ230を矢印で示す方向に移動させて突き当てることにより、凹凸板220a,220bを結合する。換言すれば、接触部223には結合部224が形成され、凹凸板220a,220bが結合される。熱コテ230は一本であってもよいが、作業効率の観点からは、図示するように、多連型のものを用いることが望ましい。
【0099】
図24は、図22及び図23に示す製造工程により形成される結合部224を示す一部拡大断面図である。図示するように、凹凸板220a,220bは結合部224において結合されている。この後、凹凸板220bの上に他の凹凸板を反転関係で積層し、同様の結合工程を実行し、更にその上に他の凹凸板を反転積層し、結合する工程を、繰り返し実行することにより、隣接する2つの凹凸板220a,220bを順次結合したブロック状積層体200aが得られる。
【0100】
前述した順次接合方法によると、凹凸板220の積層枚数や、凹凸板220自体の寸法等を適宜設定することにより、多様な施工条件において平面積及び容積の違いに容易に追従できるブロック状積層体200aを提供することができる。
【0101】
図25は、別の製造工程を用いた場合の結合部224を示す一部拡大断面図である。図示する接触部223は、通水孔226を含む。通水孔226の形成は、図22及び図23の結合工程において、先端部が鋭利な熱コテ230等を使用し、結合部224の形成と同時に、実行することができる。通水孔226の周囲には結合部224が形成され、結合部224により複数の凹凸板220を結合することができる。
【0102】
前述した方法によると、図21に示す配置で予め必要な枚数積層した凹凸板220に一括して結合部224を形成することができる。
【0103】
また、通水孔226を設けることにより、雨水等を複数の空隙225の相互間で流動させ、雨水等の貯留空間全体の水位を均一化し、貯水効率を向上させることができる。
【0104】
前述した観点からすると、接触部223に通水孔226を設ける構成は、結合工程の簡便化を図る側面と、貯水効率をより向上させる側面の両方を含む。従って、通水孔226の設置部位は、必ずしも接触部223に限られない。
【0105】
さらに、図21〜図25は、ポリプロピレン等の熱溶着性を有する合成樹脂材料からなる凹凸板220を好ましい例として説明しているが、凹凸板220は熱溶着性を有しない合成樹脂材料であってもよい。凹凸板220を、熱溶着性を有しない合成樹脂材料から形成する場合は、接触部223に接着剤等を塗布して結合部224を形成する。通水孔226の形成は、結合部224の形成前後を自由に選択して実行することができる。
【0106】
[第2貯留浸透槽の第2実施例]
図26は第2貯留浸透槽200を構成するブロック状積層体の第2実施例を示す斜視図である。図示において、図16〜図20に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付し、重複説明を省略する。
【0107】
図26に示すブロック状積層体300aと、図16に示すブロック状積層体200aとの相違点は、条状の凹部222及び凸部221が同一面上において、1方向にのみ斜行する点にある。即ち、図26に示す実施例のブロック状積層体300aは、図16〜図20に示したブロック状積層体(ブロック構造体)200aを半分に切断した態様である。
【0108】
図26に示すブロック状積層体(ブロック構造体)300aも、図16〜図20に示したブロック状積層体200aと同様の作用効果を奏する。図26に示すブロック構造体300aは、図16〜図20に示したブロック状積層体200aを中間部で切断することによって得ることができる他、図21〜図23に示した製造工程を実行することによっても得ることができる。
【0109】
また、図27に示すブロック状構造体(ブロック状積層体)400aは、図16のブロック状構造体200aにおいて波状の凹凸が形成されたものであり、その他は図16と全て同一である。
【0110】
以上の構成を有する貯留浸透装置1の作製方法を簡単に説明する。
【0111】
まず、設置穴40の凹部表面に透水層60を設け、該透水層60の底面上に、前述の方法によって第1貯留浸透槽100を組み立てる。次いで、この第1貯留浸透槽100の上に、第2貯留浸透槽200を組み付ける。最後に、第2貯留浸透槽200の上から保護層50を設け、第2貯留浸透槽200に流入管70を接続することによって、貯留浸透装置1を製造することができる。
【0112】
そして、図28は、自動車等の重量物Tが地表S上に載置された場合の地中における鉛直荷重qの大きさを概略的に示す図である。この図において、重量物Tから地表S上に荷重Pが入力されると、この荷重Pは地表Sと約45°の角度をなして下方に放射状に伝達される。ここで、地表Sから深さhの地中における鉛直荷重qは、q=P/(2h+0.2)で表せる。このため、地表Sからの深さが浅いほど鉛直荷重qは大きくなることが判る。
【0113】
従って、地表Sから浅い部位には、大きな鉛直荷重Pに耐えることができるハニカム状のブロック状積層体200aからなる第2貯留浸透槽200を配置すると共に、地表Sから深い部位には、前記ブロック状積層体200aよりは比較的に機械的強度が小さな第1貯留浸透ユニット100aからなる第1貯留浸透槽100を配置している。このように、大きな強度が必要とされる部位には第2貯留浸透槽200を、比較的に強度があまり必要とされない部位には第1貯留浸透槽100を配置することによって、効率的に第1貯留浸透槽100と第2貯留浸透槽200を組み合わせた貯留浸透装置1を得ることができる。
【0114】
【発明の効果】
以前述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
【0115】
(a)大きな強度が必要とされる部位には機械的強度が大きい第2貯留浸透槽を配置し、あまり大きな強度が必要とされない部位には第1貯留浸透槽を配置することによって、効率的に第1貯留浸透槽と第2貯留浸透槽を組み合わせた貯留浸透装置を得ることができる。
【0116】
(b)製造加工及び組立作業を容易、かつ迅速に実行し得る貯留浸透装置を提供することができる。
【0117】
(c)広い雨水等の貯留空間を有する貯留浸透装置を提供することができる。
【0118】
(d)幅、深さ及び長さを自在に変更し、平面積及び容積の違いに容易に追従し得る貯留浸透装置を提供することができる。
【0119】
(e)嵩張ることのない態様で輸送することができ、輸送コスト低減に有効な貯留浸透装置を提供することができる。
【0120】
(f)構成部材の必要数を減少させ、コスト低減、組立容易化、及び、組立迅速化を図った貯留浸透装置を提供することができる。
【0121】
(g)幅、深さ及び長さを自在に変更し、平面積及び容積の違いに容易に追従し得る貯留浸透装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る貯留浸透装置を地中に埋設した状態を示す断面図である。
【図2】図1に示した第1貯留浸透槽を構成する第1貯留浸透ユニットの組立状態を示す斜視図である。
【図3】図2の第1貯留浸透ユニットの分解斜視図である。
【図4】第1貯留浸透ユニットの底板として用いられる面板部材の平面図である。
【図5】図4のA−A線による突起部分の拡大断面図である。
【図6】第1貯留浸透ユニットの面板部材に設けられた突起の別の例を示す部分拡大断面図である。
【図7】第1貯留浸透ユニットにおいて、天板または中間板として用いられる面板部材の平面図である。
【図8】第1貯留浸透ユニットに含まれる側板部材の斜視図である。
【図9】図8のB−B線に沿った拡大部分断面図である。
【図10】本発明に係る第1貯留浸透槽の一部を示す分解斜視図である。
【図11】図10に示した第1貯留浸透槽の組立状態を示す斜視図である。
【図12】第1貯留浸透ユニットの底板を構成する面板部材の配置及び連結を説明する図である。
【図13】第1貯留浸透ユニットの天板または中間板を構成する面板部材の配置及び連結を説明する図である。
【図14】第1貯留浸透ユニットの側板部材の配置を説明する図である。
【図15】第1貯留浸透ユニットの側板部材の別の配置を説明する図である。
【図16】第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の一部を省略した斜視図である。
【図17】図1に示すブロック状積層体の正面図である。
【図18】図17のC−C線に沿った断面図である。
【図19】図17のD−D線に沿った断面図である。
【図20】図17のE−E線に沿った断面図である。
【図21】第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の製造方法を示す斜視図である。
【図22】図21に示した工程の後の工程を示す斜視図である。
【図23】図22に示した工程の後の工程を示す斜視図である。
【図24】図23に示した結合部の構造を示す一部拡大断面図である。
【図25】図24について別の実施例を示す一部拡大断面図である。
【図26】第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の別の実施例を示す斜視図である。
【図27】第2貯留浸透槽を構成するブロック状積層体の更に別の実施例を示す斜視図である。
【図28】地表に重量物が載置された場合の、地中における鉛直荷重の分布状況を示す概略図である。
【符号の説明】
2 地盤
40 設置穴
100 第1貯留浸透槽
100a 第1貯留浸透ユニット
101,102 画板部材
103 測板部材
111,121,131 開口部
113,123,222 凹部
114,124,221 凸部
200 第2貯留浸透槽
200a ブロック状積層体
Claims (6)
- 地盤を掘削して得られた設置穴の底面に配設される第1貯留浸透槽と、該第1貯留浸透槽の上段に配設される第2貯留浸透槽とを備えた貯留浸透装置であって、
前記第1貯留浸透槽は、箱状の第1貯留浸透ユニットを複数組み合わせた第1貯留浸透ユニット群であり、
前記第2貯留浸透槽は、複数の凹凸板を横方向に積層させながら組み合わせてなるハニカム形状のブロック状積層体から構成されるブロック状積層体群であることを特徴とする貯留浸透装置。 - 前記第1貯留浸透ユニットは、上下に間隔を隔てて配置される面板部材と、これらの面板部材の周囲を上下に亘って取り囲みながら上下の面板部材を橋渡すように配設される側板部材とを備え、
前記面板部材は、面内に開口部を有するとともに、少なくとも2組の対向辺組を有し、該対向辺組の相対向する2辺は、互いに対応する凹部及び凸部を有しており、
前記側板部材は、面内に開口部を有し、前記面板部材の一面と凹凸嵌合により結合されることを特徴とする請求項1に記載の貯留浸透装置。 - 前記第1貯留浸透ユニット群中に前記面板部材及び前記側板部材が複数設けられ、これら複数の面板部材は、隣接する2つの面板部材の一方に設けられた前記凸部が、他方の面板部材に設けられた前記凹部と凹凸嵌合することによって面状に配置され、前記複数の側板部材のうち、隣接する2つの前記第1貯留浸透ユニットの境界に存在する側板部材は、隣接する2つの第1貯留浸透ユニットにおいて共用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の貯留浸透装置。
- 前記ブロック状積層体を構成する凹凸板のそれぞれには、表面及び裏面において条状の凹部及び凸部が交互に繰り返して形成され、前記凹部及び凸部は、前記凹凸板の外郭形状に対し、少なくとも一方向に斜行する部分を含み、
前記ブロック状積層体では、互いに隣接する凹凸板が、その相対向面において、それぞれの前記凹部及び凸部が交差するように順次に積層され、前記凸部の接触部において互いに結合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずかれに記載の貯留浸透装置。 - 前記ブロック状積層体の凹凸板の前記凹部及び凸部は、前記外郭形状に対し、少なくとも異なる二方向に斜行する波形形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の貯留浸透装置。
- 前記ブロック状積層体の凹凸板の前記凹部及び凸部は、前記外郭形状に対し、一方向にのみ斜行する部分を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貯留浸透装置。
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