JP2004091962A - 生分解性仮撚紡績糸及び織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の新合繊や長短繊維複合化技術では表現できなかった天然繊維のナチュラル感,ソフト感及び合成繊維の清涼感,ドライ感、さらには生分解性も同時に併せ持ち、その他の繊維と交撚,交織,配列などを施すことで種々の表情,感覚を展開できる生分解性仮撚紡績糸及び織編物を提供することに技術的課題がある。
【解決手段】再生繊維又は天然繊維の少なくとも一方を含む短繊維とバインダー繊維とを混紡又は複重層形態にして得られる繊維束を仮撚することで、該短繊維が相互に融着された仮撚紡績糸において、バインダー繊維が生分解性を有する。
また該バインダー繊維は芯部が高融点で鞘部が低融点の生分解性複合短繊維であるのが望ましく、さらには前記芯部が、ポリ乳酸ステレオコンプレックスであるのが望ましい。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バインダー繊維が生分解性を有し、かつ少なくとも脂肪族ポリエステル系重合体あるいは脂肪族ポリエステルアミド系共重合体からなる生分解性短繊維を含有する生分解性仮撚紡績糸、及び該生分解性仮撚紡績糸から構成される織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衣料としての価値を決定付ける要素は種々存在するが、大別して耐磨耗性,寸法安定性,ウォッシュアンドウエアなどの機能性と風合い,仕立て映えなどの質感に分けられる。
合成繊維は天然繊維並に比べ前者では優れるものの、後者で決定的に劣るとされる。しかし時代のニーズに答えるべく様々な態様で差別化を計ってきた。その手法は(1)ポリマー改良、添加剤付与などの原糸製造の工夫(2)高次仮撚技術を駆使する糸加工の工夫(3)整理・染色条件の工夫、以上3技術に代表され、それらの高度複合化により、「新合繊」なる名称で、天然繊維の質感を凌駕するほどの価値を備えるまでに成長した。
【0003】
しかしこの「新合繊」は高い質感を追求すればそれだけ高次加工が必要となり、天然繊維のそれと同格以上に仕上げると、かえってコスト高になる問題が生じ、用途が高級ゾーンに限られるなど問題もあった。また近年、志向の多様化が進み、本来の素材(天然繊維)感への回帰や更なる機能充実の動きもみられ、その対応方法も様々である。中でも、天然繊維本来の質感と合成繊維の高い機能性を併せ持つ商品に注目が集まり、これが近年の志向の中心であり、長短繊維複合化技術が対応方法の主流となっている。
長短繊維複合化技術には交織,交撚,配列等があり、用途に応じてあらゆる組合せが考えられ、「新合繊」世代の次をになう技術と位置付けられている。
【0004】
従来から、衣料に求められる質感はナチュラル感,ソフト感,ふくらみ感など「柔」の部分を基礎として、用途に応じストレッチ感,張り腰感,清涼感など「剛」の部分が加わるという構図が大勢であったが、先に述べた志向の多様化の中では、「柔」「剛」の各要件が絡み合うケースや、「柔」「剛」のいずれかの要素を従来よりも強調するケースが現れ、前記の長短繊維複合化技術だけではカバーしきれない部分が出始めてきた。例えば天然繊維のナチュラル感と合成繊維の清涼感をベースとし、目的に応じた要素が加わるといった場合や、再生繊維・天然繊維のナチュラル感を、再生繊維・天然繊維を使用して更に強調するといった場合である。
【0005】
前者は、清涼感を付与させた天然繊維の加工糸を用いることで解決が図られている。例えば、特公昭57−8218号公報では、二成分以上の混紡糸を仮撚して、繊維束を構成する単繊維を相互に接着させる無撚紡績糸の製造方法が開示されている。この発明では構成繊維の選定及び仮撚温度の規定により、再生繊維・天然繊維のソフト感,ナチュラル感と合成繊維の適度な曲げ強さ,ドライ感を併せ持つ無撚紡績糸が得られるが、バインダー成分に芳香族ポリエステル共重合体やポリカプラミドを使用しているため仮撚温度が高く、天然繊維の黄変あるいは毛羽の焼失による風合い低下などの問題があった。また特公昭48−41784号公報では、バインダー成分に融点差のあるポリマーが配された芯鞘型複合繊維を用い、低融点成分のみを融解させることで、ソフト感,ドライ感を併せ持つ仮撚紡績糸の製造方法が開示されているが、この発明も前記特公昭57−8218号公報と同様の問題がある。
【0006】
このように、バインダー成分を含有する紡績糸を仮撚することで、天然繊維のナチュラル感と合成繊維の清涼感を同時に表現する技術思想は、古くから知られている。
また、バインダー成分についてはその後低融点のものが開発され、特開昭60−181331号公報では融点150℃以下のバインダー成分からなる接着紡績糸が開示されているが、仮撚方式でなく、単に接着のみに留まることから、ソフト感,嵩高性に欠ける。また特開平8−246240号公報,特開平9−310227号公報では、シンジオタクチックポリプロピレンを主体とする鞘成分を有する複合繊維をバインダーとすることで、ソフト感の向上が図られているが、いずれの発明も近年ますます高まる環境問題への対応、すなわち環境保護の観点から生分解性材料へ代替が求められているが、その対応がとれないなど課題を残している。
【0007】
一方後者の、再生繊維・天然繊維のナチュラル感を、再生繊維・天然繊維を使用して更に強調するといった場合は、例えば特公昭48−41784号公報や特開昭50−155号公報に開示されているような、融着された無撚紡績糸を織編物にした後、バインダー成分を除去することでソフト感,ふくらみ感を向上させる技術思想が対処方法の一つに挙げられる。しかしこれらも前記と同じく溶融接着温度が高く、加えて接着成分の除去に高濃度の酸を使用するなど、主体となる再生繊維・天然繊維を傷める危険があるなど課題を残している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な現状に鑑みて行われたものであり、従来の新合繊や長短繊維複合化技術では表現できなかった天然繊維のナチュラル感,ソフト感及び合成繊維の清涼感,ドライ感、さらには生分解性も同時に併せ持ち、その他の繊維と交撚,交織,配列などを施すことで種々の表情,感覚を展開できる仮撚紡績糸及び織編物を提供することに技術的課題がある。
さらに本発明では、この仮撚紡績糸を用い、再生繊維・天然繊維の特性を損なうことなく、その特性をより一層表現できる織編物を提供することにも技術的課題がある。
【0009】
【発明が解決するための手段】
本発明者は、仮撚紡績糸のバインダー成分における溶融温度,溶剤可溶性及び生分解性能並びに該仮撚紡績糸を使用した織編物の表情,差別化可能性について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は次の(1)〜(5)を要旨とするものである。
(1)再生繊維又は天然繊維の少なくとも一方を含む短繊維とバインダー繊維とを混紡又は複重層形態にして得られる繊維束を仮撚することで、該短繊維が相互に融着された仮撚紡績糸において、バインダー繊維が生分解性を有し、かつ少なくとも脂肪族ポリエステル系重合体あるいは脂肪族ポリエステルアミド系共重合体からなる生分解性短繊維を含有することを特徴とする生分解性仮撚紡績糸。
そして、本発明の生分解性仮撚紡績糸には次の好ましい態様がある。
(2)前記バインダー繊維が、芯鞘複合短繊維であって、芯部が高融点の生分解性熱可塑性重合体からなり、鞘部が該重合体より低融点の生分解性熱可塑性重合体からなる生分解性複合短繊維であることを特徴とする(1)記載の生分解性仮撚紡績糸。
(3)前記芯鞘複合短繊維において、芯部を構成する成分が、結晶融解開始温度が180℃以上でステレオコンプレックスを形成しているポリ乳酸系重合体からなり、鞘部を構成する成分が、芯部を構成する成分の融点よりも低い融点を有し、その融点差が30℃以上であることを特徴とする(2)記載の生分解性仮撚紡績糸。
このように、バインダー繊維を全て溶融させるのではなく、繊維形態を保持させることで、該生分解性仮撚紡績糸にナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性を持たせるのが好ましい。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の生分解性仮撚紡績糸を、少なくともその構成の一部とすることを特徴とする織編物。
(5)(4)記載の織編物において、構成糸のバインダー繊維を溶解除去したことを特徴とする嵩高性織編物。
織編物にする際は、少なくとも前記生分解性仮撚紡績糸を使用し、また該生分解性仮撚紡績糸に含まれるバインダー繊維を除去すれば、ナチュラル感,ソフト感が本来の素材よりも増す。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳説する。
本発明に使用される再生繊維又は天然繊維は、生分解性を有するものであれば、特に限定されない。例えば再生繊維の場合は、ビスコースレーヨン,キュプラ,溶剤紡糸セルロース繊維などが挙げられ、天然繊維の場合は、綿,羊毛,絹などが挙げられる。繊維形態は短繊維であり、目的に応じこれらの繊維を複数混合して使用することもできる。混合方法及び混合比率は特に限定されず、例えば混打綿工程でそれぞれの繊維を混ぜ合わせ、梳綿,練条,粗紡を経る方法、もしくはそれぞれの繊維を単独でカード工程まで紡績したのち、練条工程にてスライバーで合せる方法、又はそれぞれの繊維を単独に練条した複数のスライバーを引き揃えて粗紡する方法、あるいはそれぞれの繊維の粗糸を用意し、後述する融着仮撚工程で合せる方法などがある。さらに杢感を表現したい場合などは光沢や染着性能の異なる繊維を使用する。ビスコースレーヨンと羊毛のように染着性能の異なる組合せ以外にも、繊維製造時に着色剤を混用して製造した原着綿あるいは異型断面繊維,艶消剤の含有量が異なる繊維などを適当量混ぜることで染色後に光沢や色相の異なる杢感を表現できる。
【0011】
このように用途,目的に応じて複数又は単独で使用されることに何ら制限を受けない。またステープルの太さ及び長さは任意に選択可能であり、前記再生繊維又は天然繊維が長繊維にあっては、機械的に所定の長さに切断して使用するが、実用性を考慮すると単繊維繊度1〜3dTex,平均繊維長30〜50mmが好ましい範囲である。3dTexより太くなれば、紡績糸としての繊維構成本数が減少してしまい、ドラフト斑や糸切れを多発させ、実用性のある紡績糸の作製が困難となりやすい。また平均繊維長が50mmより長くなれば、紡績ドラフト時における繊維のコントロールが困難となり、斑やネップの発生や、紡績糸表面から突出した繊維、いわゆる毛羽も長くなり、紡績糸の糸質を低下させるとともに、織編物の外観を著しく損ねる結果となりやすい。また30mm未満は均斉度の低下を招き好ましくない。
他方、切断前にスタッフイングボックスを用いる機械捲縮付与、あるいは加熱処理による捲縮付与なども目的に応じて任意に行うこともできる。
【0012】
以上、本発明に使用される再生繊維又は天然繊維は目的に応じ選択は任意であるが、採算性,操業性などの生産面並びに実用性,用途汎用性から総合的に判断すると、溶剤紡糸セルロース繊維「リヨセル」(レンチング社製)もしくは「テンセル」(テンセル社製)又は綿のいずれか単独が最も望ましい。
【0013】
次にバインダー繊維について説明する。
本発明に使用するバインダー繊維は生分解性を有し、かつ少なくとも熱可塑性の脂肪族ポリエステル系重合体あるいは脂肪族ポリエステルアミド系共重合体からなる短繊維で、該脂肪族ポリエステル系重合体には、ポリ脂肪族ヒドロキシカルボン酸、並びに脂肪族多価アルコールと脂肪族ジカルボン酸の重縮合体が挙げられる。
【0014】
ポリ脂肪族ヒドロキシカルボン酸の例では、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)、またはこれらを主たる繰り返し単位とする共重合体が挙げられる。その他、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)も挙げられる。ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロネート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシコクタノエートのようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)や、これらの繰り返し単位とポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブチレートの繰り返し単位との共重合体等も挙げられる。
【0015】
他方、脂肪族多価アルコールと脂肪族ジカルボン酸の重縮合体の例では、グリコールとジカルボン酸の縮重合体からなるポリアルキレンアルカノエートがあり、具体的にはポリエチレンノキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート等が挙げられる。またこれらを主たる繰り返し単位とするポリアルキレンアルカノエート共重合体も挙げられる。
【0016】
本発明においては、生分解性,融点及び実用性などの点から、上記の重合体の中で特にポリ乳酸系重合体を好適に用いることができる。脂肪族ポリエステル系重合体がポリ乳酸系重合体である場合は、光学異性体の存在からポリD−乳酸,ポリL−乳酸,D−乳酸とL−乳酸の共重合体との他に、D及びL−乳酸の内少なくとも一方と後述の脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体が挙げられる。
【0017】
乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体を製造する際のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。これらの内、特にヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸を用いることが低コストの面から望ましい。
【0018】
脂肪族ポリエステル系重合体の物性は後述の融着仮撚工程に支障がなければ特に限定するものではないが、紡糸工程、製編織工程及び染色加工工程を考慮すると、融点150℃以上、引張強力3.5cN/dTex以上及び伸度20〜60%の範囲であることが望ましい。
【0019】
さらに本発明における接着成分は、上述した脂肪族ポリエステル系重合体と、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウロラクタミド(ナイロン12)のような脂肪族ポリアミド系重合体との重縮合体である脂肪族ポリエステルアミド系共重合体からなる短繊維も、好適に用いられる。
【0020】
一方、本発明におけるバインダー繊維は上述した以外に、繊維断面が上述した重合体の内から選択された融点を20〜110℃異にする二種の重合体から構成された芯鞘構造を有し、芯部が高融点の生分解性熱可塑性重合体からなり、かつ鞘部が該重合体より低融点の生分解性熱可塑性重合体からなる構造を有する芯鞘複合短繊維であることが望ましい。これはバインダー繊維を全て溶融させるのではなく、鞘部だけを融解させ、芯部の繊維形態を保持させることで、本発明の生分解性仮撚紡績糸を使用した織編物に適度な清涼感,ドライ感並びにナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性を具備させることができる。勿論上述した脂肪族ポリエステル系重合体又は脂肪族ポリエステルアミド系共重合体の少なくとも一方をバインダー繊維に含める場合も、バインダー繊維全てを溶融させるのではなく、表面だけが融着に関わるよう仮撚温度を設定するのが重要である。バインダー繊維全てを溶融させると、生分解性仮撚紡績糸の曲げ剛性が大きすぎて、硬くゴワゴワした風合いになりやすい。
この芯鞘複合短繊維において、前記両重合体の融点差が20℃未満であると、融着仮撚工程における温度設定がシビアになり実用にそぐわない。また融点差が110℃を超えると両重合体の融点差が余りにも大きいため、両重合体を用いて複合紡糸をする際、紡糸ノズルパツク内において紡糸温度の制御が困難となるため好ましくない。したがって本発明においては、前記融点差を20℃以上さらに好ましくは30℃以上にすることが望ましい。また、一定の耐熱性を具備しなければ、衣服としての実用性が喪失するので、前記鞘部の熱可塑性重合体の融点は好ましくは150℃以上が望ましい。この複合短繊維においては、複合比すなわち芯部の重合体に対する鞘部の重合体の重量比を1/5〜5/1とするのが望ましい。芯部の重合体1に対し鞘部の重合体の比が5を超えると該短繊維の強度低下が発生、あるいは溶融部分が多すぎて織編物の風合いが硬くなる。一方、芯部の重合体成分5に対し鞘部の重合体の比が1未満であると、この短繊維を用い繊維間を十分に融着させることができず、強度低下を生じるため好ましくない。したがって本発明においては、前記複合比を1/5〜5/1好ましくは1/2〜2/1がよい。
【0021】
次に前記複合短繊維における望ましい態様について言及する。
該複合短繊維の芯部を構成する成分が、結晶融解開始温度が180℃以上でステレオコンプレックスを形成しているポリ乳酸系重合体からなり、鞘部を構成する成分が、芯部を構成する成分の融点よりも低い融点を有し、その融点差が30℃以上であるのが望ましい。
【0022】
まずポリ乳酸ステレオコンプレックスについて説明する。
ポリ乳酸ステレオコンプレックスとは、ポリL−乳酸は左巻きらせん構造を有するのに対し、光学異性体のポリD−乳酸は右巻きらせん構造を有するところから、これらを混合すると、二成分間に立体特異的な結合が生じ、ポリL−乳酸あるいはポリD−乳酸それぞれ単独の場合に形成される結晶構造よりも緊密かつ強固な結晶構造を形成する。この結晶構造をステレオコンプレックスという。このステレオコンプレックスの形成により、ポリ乳酸系重合体の融点が高くなり、熱収縮率も低くなる。
【0023】
ポリ乳酸ステレオコンプレックスを得るには、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を個々に溶融した後溶液混合する方法、ポリL−乳酸ペレットとポリD−乳酸ペレットを混合後溶融する方法などがあるが、いずれの方法であっても構わない。
混合比率はD/L=40/60〜60/40が望ましく、最も望ましいのは当量である。この混合比率を外れると立体特異的な結合であるステレオコンプレックスの形成を阻害し、結晶融解開始温度が180℃以上とすることが難しくなる。
【0024】
該ポリ乳酸ステレオコンプレックスは、前記バインダー繊維の芯部を構成するが、その結晶融解開始温度は180℃以上であり、鞘部を構成する成分との融点差は30℃以上であるのが望ましい。結晶融解開始温度とは、高温結晶融解相の融解開始温度のことで、これは高温融解結晶相の吸熱ピークの開始(onset)温度を指し、低温側吸熱ピークのDSC曲線の傾きが最大の点で引いた接線と低温側のベースラインを高温側へ延長した直線とが交差する点の温度をいう。
本発明の生分解性仮撚紡績糸を使用した織編物に適度な清涼感,ドライ感並びにナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性を具備させるためには、鞘部だけを融解させ、芯部の繊維形態を保持させるのが望ましく、芯・鞘部の融点が接近するとそれだけ仮撚温度の設定がシビアになり実用にそぐわなくなる。そのため、芯・鞘部の融点差は30℃以上であるのが望ましい。また芯部を構成するポリ乳酸ステレオコンプレックスの結晶融解開始温度は180℃未満であると、鞘部を構成する成分は融点がその分だけ低くなり、後に生分解性仮撚紡績糸を使用した織編物にアイロンを掛けるなど、日常行われる熱処理に耐えられなくなる危険がある。
【0025】
以上詳説したバインダー繊維は、いずれも生分解性の短繊維で、単独もしくは上述した重合体の混合、あるいは他の生分解性バインダー繊維と混合して、本発明に供される。そして例えば次のような方法により効率良く製造することができる。重合体を複数の紡糸孔が穿設された紡糸口金から溶融紡出し、紡出長繊維群を冷却した後引き取り、集束して10万dTex程度を超える未延伸トウとし、得られた未延伸トウを例えば複数段熱ローラ延伸装置を用い延伸して延伸トウとし、所定長に切断して短繊維とする。このとき繊度・繊維長は任意に選択可能であるが、後に再生繊維又は天然繊維と共に仮撚するので、均斉度の関係上、繊度1〜3dTex,繊維長30〜50mmが望ましい。
溶融紡出に際しての紡糸温度は、用いる重合体の融点や重合度によるが、通常は120〜300℃とするのが望ましい。紡糸温度が120℃未満であると重合体の溶融押出しが困難となり、一方、紡糸温度が300℃を超えると重合体の熱分解が著しくなって高強度の繊維を得ることができず、いずれも好ましくない。
未延伸長繊維糸条に延伸を施すに際しての全延伸倍率は、目的とする短繊維の強度水準によるが、通常は2.0〜4.0倍とし、これにより引張強力3.5cN/dTex以上,伸度20〜60%以上の短繊維を得ることができる。
【0026】
該短繊維の断面形状は、何ら限定されるものでなく、丸型,楕円型,菱型,三角型,T字型,井型など任意の形状でよい。特に三角型や井型のように形状に鋭角部分を有する場合は、融着形態が点接着に近くなり、本発明の生分解性仮撚紡績糸の曲げ剛性が低下し、織編物のナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性が向上する。
さらに点接着の効果を促進するには、かかる短繊維に切断する前にスタッフイングボックスを用いる機械捲縮付与、あるいは加熱処理による捲縮付与などを施すのも好ましい態様である。
また該短繊維には、必要に応じて、例えば艶消剤,顔料,光安定剤,熱安定剤,酸化防止剤等の各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加することができる。
【0027】
本発明の生分解性仮撚紡績糸は、再生繊維又は天然繊維を含む短繊維と前記バインダー繊維とを混紡もしくは複重層形態にし、融着仮撚することで得られる。
混紡糸及び複重層糸は、公知法で作製される。それぞれを例示すると、混紡糸は既に述べた混打綿工程や練条工程などを経て作製され、前記再生繊維,天然繊維及びバインダー繊維の混合比率は目的に応じて適宜決定される。複重層糸は、複数本のスライバーを粗紡機のドラフト域の中に並べて供給し、少なくとも一本のスライバーを芯にして、他のスライバーを捲き付けて粗糸とする。各スライバーは、目的に応じて、前記再生繊維,天然繊維及びバインダー繊維の任意の混合比率で構成される。
本発明の生分解性仮撚紡績糸におけるバインダー繊維とそれ以外の短繊維との混合比率は、5:95〜30:70とするのが好ましい。バインダー繊維の混合比率が5%未満であると、熱融着の効果が少なく、織編物にした際、繊維抜けによるピリングが発生しやすくなる。またバインダー繊維の混合比率が30%を超えると熱融着が進行しすぎて織編物の風合いが硬くなる
【0028】
以上述べたバインダー繊維を含む混紡糸あるいは複重層糸は、粗糸又は精紡糸の形態にした後融着仮撚される。ただしこの場合は、粗糸を15〜25倍ドラフトし、連続して仮撚する、いわゆる「無撚紡績糸」の製法が望ましい。精紡糸を融着仮撚した場合、織編物に張り腰感,ドライ感を与えるもののナチュラル感,嵩高性にやや欠けることがある。これは精紡糸が施撚されている(通常、撚係数3.0〜4.2の範囲で施撚。K=T/N1/2   ただし、T:撚回数/2.54cm,N:綿番手,K:撚係数)ため、初めから繊維(ステープル)間の空隙が少なく、融着することでさらに空隙が減少するためである。
【0029】
一方、融着仮撚の方法であるが、加撚−加熱−解撚を連続して行う公知法を用いる。一例を示すと、粗糸をドラフト装置に供給した後、仮撚施撚体によって加撚されながらヒータ(非接触)によって融着固定され、デリベリローラを経て巻取ローラによってパッケージに巻き取られる。
該仮撚施撚体はスピンドルピンの他、フリクションディスク,ベルトニップ,流体旋回装置など、前記混紡糸あるいは複重層糸に旋回力を付与できる仮撚施撚体であれば特に限定されるものではないが、風綿による品質及び効率低下を考慮すれば、流体旋回装置が好ましい。さらにこの融着仮撚工程で付加的効果をねらうことができる。例えば、斑効果を得るには、間歇的に加撚操作を施して、加撚集束部と逆撚集束部とを交互に形成させるとよい。
【0030】
このようにして得られた本発明の生分解性仮撚紡績糸を用い織編物とする。製織編工程は公知法を用い、サイジングをするのが望ましい。織機は特に限定されないが、汎用性を考慮してレピア織機が望ましい。
本発明の生分解性仮撚紡績糸のみ使用した織編物は、適度な清涼感,ドライ感並びにナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性を具備しているが、他の糸と複合することで、より高い効果を奏することができる。
複合方法は用途・目的に応じ任意に行えばよい。具体的には、交撚,交織編,配列などがあり、ストレッチを発現したい場合は潜在捲縮糸を、ピーチ感には極細糸を、シャンブレー調ならカチオン可染糸を複合させればよい。織編組織も特に限定されない。
【0031】
以上、製織編された生機は公知の染色加工を施される。例えば、精練後、分散染料にてバインダー繊維を染め、還元洗浄の後再生繊維・天然繊維をアルカリの存在下の反応染料で染める。
【0032】
一方、再生繊維・天然繊維の特性を損なうことなく、その特性をより一層表現するには、接着成分を染色加工工程中にアルカリ溶液などで除去する。これによりナチュラル感,ソフト感,ふくらみ感が一層助長された嵩高性織編物が得られる。
【0033】
【作用】
本発明の生分解性仮撚紡績糸は、再生繊維又は天然繊維の少なくとも一方を含有する短繊維とバインダー繊維とを混紡又は複重層形態にして得られる繊維束を仮撚することで、該短繊維が相互に融着された構造を呈するが、バインダー繊維が少なくとも脂肪族ポリエステル系重合体あるいは脂肪族ポリエステルアミド系共重合体を含有する生分解性短繊維であることから、生分解性を有する作用を奏する。また該バインダー繊維を全て溶融させるのではなく、繊維形態を保持させることで、生分解性仮撚紡績糸にナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性を持たせる作用を奏する。特にバインダー繊維が、芯鞘複合短繊維であって、芯部が高融点の生分解性熱可塑性重合体からなり、鞘部が該重合体より低融点の生分解性熱可塑性重合体からなる生分解性複合短繊維が望ましく、さらに前記作用を一層反映させる態様として、前記芯鞘複合短繊維において、芯部を構成する成分が、結晶融解開始温度が180℃以上でステレオコンプレックスを形成しているポリ乳酸系重合体からなり、鞘部を構成する成分が、芯部を構成する成分の融点よりも低い融点を有し、その融点差が30℃以上である生分解性仮撚紡績糸が挙げられる。
【0034】
さらに本発明の生分解性仮撚紡績糸のみ使用した織編物は、適度な清涼感,ドライ感並びにナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性を発現する作用を奏するが、他の糸と複合することで、より高い作用を奏することができる。また生分解性仮撚紡績糸に含まれるバインダー繊維を除去すれば、ナチュラル感,ソフト感が本来の素材よりも増し嵩高性を増幅させる作用を奏する。
【0035】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
融点(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
結晶融解開始温度(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度10℃/分、250℃で5分ホールドし、降温速度10℃/分で20℃まで降温し、再び昇温速度10℃/分で280℃まで昇温させたときのDSC曲線で吸熱ピークの開始(onset)する温度を結晶融解開始温度とした。
【0036】
(実施例1)
融点170℃、ガラス転移点66℃、融解熱42J/g、光学純度99%(L体主体:乳酸モノマー重合時のL、D体仕込み割合により決定される。)で、メルトフローレート値21g/10分のポリ乳酸チツプを減圧乾燥した後、通常の溶融紡糸装置を使用して溶融し、紡糸温度210℃で丸断面の紡糸孔を複数個有する紡糸口金装置を介して溶融紡出した。紡出糸条を冷却した後、引取速度1000m/分で引取って未延伸繊維糸条を得た。得られた糸条を集束して10万dTexのトウにし、延伸倍率2.8、延伸温度90℃で延伸し、温度130℃のヒートドラムで熱処理してから、押し込み式クリンパーを使用して捲縮を付与した後、繊度1.3dTex,平均繊維長35mmのポリ乳酸バインダー繊維を得た。
次に、混打綿機を用いて混綿し、得られた混打綿に対しローラーカード機を用い開繊してウエブとし、練条工程を経てポリ乳酸スライバーを得た。
一方、公知の紡績工程を経て綿コーマスライバーを用意し、粗紡機において、芯部をなすスライバー(ポリ乳酸バインダー繊維)をフライヤーヘッドから見て外側に供給し、巻き付けスライバー(綿コーマ糸)をフライヤーヘッドから見て内側に供給して複重層粗糸を紡出した。なお綿コーマスライバーとポリ乳酸スライバーの質量比は、85:15である。
次に、該複重層粗糸に20倍のドラフトを与え、仮撚施撚体にエアジェット旋回ノズルを使用し、ノズルエア圧4.0Kg,糸速80m/分,ヒータ温度160℃(非接触)の条件で融着仮撚し、パッケージに捲取った。得られた本発明の生分解性仮撚紡績糸は60番手であり、断面及び側面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリ乳酸バインダー繊維は表面部分だけが溶融し、繊維形態は保持されていた。
【0037】
(実施例2)
融点140℃,ガラス転移温度59℃,光学純度95%,メルトフローレート値18g/10分,結晶化温度132℃のポリL−乳酸を鞘成分とし、融点172℃,ガラス転移温度60℃,光学純度が99%,メルトフローレート値25g/10分,結晶化温度136℃のポリL−乳酸に平均粒径1μmのタルクを10重量%添加したマスターチップ組成物を芯成分し、単軸のエクストルーダー型溶融押出し機二台を備えた複合紡糸装置を用い、直径0.4mm,孔数180個の紡糸孔を有する紡糸口金より紡糸温度210℃,単孔吐出量1.0g/分,芯/鞘複合比(重量比)=1/1で溶融紡出し、空気冷却装置にて冷却、油剤付与をしながら紡糸速度1100m/分で巻取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸をリワインドして、22万dTexの未延伸糸トウを形成した。次いで、一般的に用いられている二段延伸が可能の多段熱延伸装置を用い、該未延伸糸トウを延伸した。延伸に際しては、第1ローラー温度を65℃、第2ローラー温度を95℃、温浴バス温度を80℃、全延伸倍率を2.3として繊度2.0dTex,平均繊維長37mmのポリ乳酸芯鞘バインダー繊維を得た。
一方、再生繊維として、溶剤紡糸セルロース繊維「リヨセル」(レンチング社製)繊度1.5dTex,平均繊維長40mmの短繊維を用意し、再生繊維成分/ポリ乳酸成分の混合比(重量比)を92/8で混打綿機を用いて混綿し、得られた混合綿をローラーカード機で開繊してウエブとし、練条・粗紡を経て粗糸を得た。
得られた粗糸に23倍のドラフトを与え、仮撚施撚体にエアジェット旋回ノズルを使用し、ノズルエア圧4.4Kg,糸速80m/分,ヒータ温度147℃(非接触)の条件で融着仮撚し、パッケージに捲取った。得られた本発明の生分解性仮撚紡績糸は60番手であり、断面及び側面を光学顕微鏡で観察したところ、バインダー繊維の鞘成分のみ溶融し、芯部の繊維形態は保持されていた。
【0038】
(実施例3)
芯部に、それぞれの光学純度が99%のポリL−及びポリD−乳酸とを当量に混合し作製された結晶融解開始温度206℃,融点218℃のポリ乳酸ステレオコンプレックスを、鞘部には実施例1で用いたポリ乳酸を使用し、孔数560個の丸断面芯鞘複合紡糸口金にて、芯/鞘複合比(溶融容積比)=1/1,紡糸温度240℃,紡糸速度900m/分で溶融紡糸し、未延伸糸を得た。次いで、該未延伸糸を温度60℃,倍率4.15で延伸後、切断し、繊度1.8dTex,平均繊維長35mmのポリ乳酸芯鞘バインダー繊維を得た。
そして、該ポリ乳酸芯鞘バインダー繊維を使用すること以外実施例1と同様にして、60番手生分解性仮撚紡績糸を得た。
【0039】
(実施例4)
実施例3の60番手生分解性仮撚紡績糸を経緯に用い、レピア織機にて模紗織物を作製し、90℃×30分の精練後、ポリ乳酸染色として110℃×60分の分散染料染色を行ない、70℃×20分の還元洗浄を経て、55℃×60分にて反応染料で綿成分を染めて、織編物を得た。
得られた織編物は、清涼感,ドライ感に加えナチュラル感,ソフト感にも優れ、模紗織の通気性との相乗効果で、夏服用として最適であった。またピリング防止に優れ、ゴワゴワせず仕立て映えのよい織編物であった。
【0040】
(実施例5)
実施例2の60番手生分解性仮撚紡績糸を経糸に用い、サイドバイサイド型潜在捲縮ポリ乳酸フィラメント110dTex24fを緯糸に用い、フランス綾織物を作製し、実施例1と同様の染色加工を施して織編物を得た。
得られた織編物は適度な清涼感,ドライ感並びにナチュラル感,ソフト感を具備するだけでなく、ストレッチ,反発感,張り腰感も併せ持つ織編物であった。
【0041】
(実施例6)
実施例1の生分解性仮撚紡績糸を経緯に用いたベネシャン織物を作製し、精錬後、80℃×40分のアルカリ処理を行ってバインダー繊維を除去し、反応染料で綿成分を染めた。
得られた織編物は、ナチュラル感,ソフト感が本来の綿素材よりも増していた。
【0042】
【発明の効果】
本発明の生分解性仮撚紡績糸は、再生繊維又は天然繊維の少なくとも一方を含む短繊維とバインダー繊維とを混紡又は複重層形態にして得られる繊維束を仮撚することで、該短繊維が相互に融着される構造を呈するが、バインダー繊維が生分解性短繊維であることから、生分解性を有し、該バインダー繊維を全て溶融させるのではなく、繊維形態を保持させることで、生分解性仮撚紡績糸にナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性を持たせる効果を奏する。
特にバインダー繊維が、芯鞘複合短繊維であって、芯部が高融点の生分解性熱可塑性重合体からなり、鞘部が該重合体より低融点の生分解性熱可塑性重合体からなる生分解性複合短繊維が望ましく、さらに前記効果を一層反映させる態様として、前記芯鞘複合短繊維において、芯部を構成する成分が、結晶融解開始温度が180℃以上でステレオコンプレックスを形成しているポリ乳酸系重合体からなり、鞘部を構成する成分が、芯部を構成する成分の融点よりも低い融点を有し、その融点差が30℃以上である生分解性仮撚紡績糸が挙げられる。
【0043】
さらに本発明の生分解性仮撚紡績糸のみ使用した織編物は、適度な清涼感,ドライ感並びにナチュラル感,ソフト感,嵩高性,柔軟性を発現する効果を奏するが、他の糸と複合することで、より高い効果を奏する。また生分解性仮撚紡績糸に含まれるバインダー繊維を除去すれば、ナチュラル感,ソフト感が本来の素材よりも増した嵩高性織編物が得られる効果を奏する。
以上の如く本発明の生分解性仮撚紡績糸は用途・目的に応じ様々な態様が列挙でき、厚地・薄地を問わず、極めて汎用性のある新規な衣料素材である。そして再生繊維又は天然繊維が相互に融着されていることから、ピリング防止に優れ、適度な曲げ剛性を有することから、ナチュラルな肌触りを保持しつつ、ゴワゴワせず、洗濯後も型崩れしない仕立て映えの良好な衣料素材を提供できる。

Claims (5)

  1. 再生繊維又は天然繊維の少なくとも一方を含む短繊維とバインダー繊維とを混紡又は複重層形態にして得られる繊維束を仮撚することで、該短繊維が相互に融着された仮撚紡績糸において、バインダー繊維が生分解性を有し、かつ少なくとも脂肪族ポリエステル系重合体あるいは脂肪族ポリエステルアミド系共重合体からなる生分解性短繊維を含有することを特徴とする生分解性仮撚紡績糸。
  2. 前記バインダー繊維が、芯鞘複合短繊維であって、芯部が高融点の生分解性熱可塑性重合体からなり、鞘部が該重合体より低融点の生分解性熱可塑性重合体からなる生分解性複合短繊維であることを特徴とする請求項1記載の生分解性仮撚紡績糸。
  3. 前記芯鞘複合短繊維において、芯部を構成する成分が、結晶融解開始温度が180℃以上でステレオコンプレックスを形成しているポリ乳酸系重合体からなり、鞘部を構成する成分が、芯部を構成する成分の融点よりも低い融点を有し、その融点差が30℃以上であることを特徴とする請求項2記載の生分解性仮撚紡績糸。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性仮撚紡績糸を、少なくともその構成の一部とすることを特徴とする織編物。
  5. 請求項4記載の織編物において、構成糸のバインダー繊維を溶解除去したことを特徴とする嵩高性織編物。
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