JP2004091874A - 成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常のALD技術に比較して成膜速度を向上できる成膜方法を提供する。
【解決手段】第1、第2の反応ガスを供給する第1、第2のガス供給ステップの間に、第1の反応ガスの分圧を低下させる第1の分圧低下ステップが行われ、処理室内に第1の反応ガスが残留している状態で第2の反応ガスが供給される。第1のガス供給ステップの結果、基板上に第1の反応ガスの分子が吸着する。その後に、第2の反応ガスが供給され、基板に吸着した第1の反応ガスに第2の反応ガスが吸着し、第1、第2の反応ガスが互いに反応して基板上に膜が形成される。
ここで、第2の反応ガスの供給が第1の反応ガスが残留した状態で行われることから、基板に吸着している第2の反応ガスの分子の層がその層の表裏両方で第1の反応ガスの分子と反応することが可能になり、膜の形成が促進される。
【選択図】 図2
【解決手段】第1、第2の反応ガスを供給する第1、第2のガス供給ステップの間に、第1の反応ガスの分圧を低下させる第1の分圧低下ステップが行われ、処理室内に第1の反応ガスが残留している状態で第2の反応ガスが供給される。第1のガス供給ステップの結果、基板上に第1の反応ガスの分子が吸着する。その後に、第2の反応ガスが供給され、基板に吸着した第1の反応ガスに第2の反応ガスが吸着し、第1、第2の反応ガスが互いに反応して基板上に膜が形成される。
ここで、第2の反応ガスの供給が第1の反応ガスが残留した状態で行われることから、基板に吸着している第2の反応ガスの分子の層がその層の表裏両方で第1の反応ガスの分子と反応することが可能になり、膜の形成が促進される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板等に成膜を行う成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造において、原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)と呼ばれる手法が用いられるようになってきている。ALDにおいては、2種の反応ガスを交互に供給し、それぞれの反応ガスの成分を基板上に交互に化学吸着させることで、基板への成膜を行う。
ALD技術を用いることで通常のCVD(Chemical Vapor Deposition)よりも低温で成膜を行うことが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ALD技術を用いた成膜においては、膜の成長速度が大きいとはいえない。成膜が化学吸着を基礎として行われ、ガスの交互供給によって膜が成長することから、所望の膜厚の膜を成膜するためにはガスの交互供給を多数回行う必要があるのが通例である。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、通常のALD技術に比較して成膜速度を向上できる成膜方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】
A. 上記課題を解決するため、本発明に係る成膜方法は、基板を収容する処理室内に第1の反応ガスを供給する第1のガス供給ステップと、前記第1の反応ガスが供給された前記処理室内における該第1の反応ガスの分圧を低下させる第1の分圧低下ステップと、前記第1の反応ガスの分圧が所定分圧値以上のときに、該第1の反応ガスと異なる第2の反応ガスを供給する第2のガス供給ステップと、を具備することを特徴とする。
【0005】
第1、第2の反応ガスを供給する第1、第2のガス供給ステップの間に、第1の反応ガスの分圧を低下させる第1の分圧低下ステップが行われ、処理室内に第1の反応ガスが残留している状態で第2の反応ガスが供給される。
第1のガス供給ステップの結果、基板上に(基板上に直接、あるいは基板に形成された膜上に)第1の反応ガスの分子が吸着する。その後に、第2の反応ガスが供給され、基板に吸着した第1の反応ガスに第2の反応ガスが吸着し、第1、第2の反応ガスが互いに反応して基板上に膜が形成される。
【0006】
ここで、第2の反応ガスの供給が第1の反応ガスが残留した状態で行われることから、第2の反応ガスの分子は基板側に吸着した第1のガス分子に加えて、雰囲気側の第1のガス分子とも反応することが可能となる。このように、基板に吸着している第2の反応ガスの分子の層がその層の表裏両方で第1の反応ガスの分子と反応できることから、膜の形成がより促進される。
【0007】
なお、ここでいう第1、第2の反応ガスは、基板上で相互に反応して膜を形成する反応成分を含むガス一般が含まれ、窒素ガス、キャリアガス(例えば、Arガス等の不活性ガス)によって希釈されていても差し支えない。第1、第2の反応ガスのいずれかがキャリアガスで希釈されている場合には、第1、第2の反応ガスの分圧にはキャリアガスの分圧成分は除外される。
【0008】
(1)ここで、前記第2の反応ガスが供給された前記処理室内における該第2の反応ガスの分圧を低下させる第2の分圧低下ステップをさらに具備してもよい。その後に、第1の反応ガス、または第1、第2の反応ガスのいずれとも異なる第3の反応ガスを供給することで、第2の反応ガスが他の反応ガスと共存した状態にすることができる。
▲1▼これに加えて、前記第1のガス供給ステップ、前記第1の分圧低下ステップ、前記第2のガス供給ステップ、および前記第2の分圧低下ステップを繰り返しても差し支えない。
2回目以降の第1のガス供給ステップにおける第1の反応ガスの供給を、第2の反応ガスが残留した状態で行うことが可能となる。この第1の反応ガスの供給によって、第1の反応ガスの分子が基板に吸着し、この吸着層の表裏双方で第2の反応ガスの分子との反応が生じる。このため、第1、第2の反応分子相互の反応による膜の形成がさらに促進される。
また、第1、第2の反応ガスの供給を繰り返すことで、膜を成長させ所望の膜厚の膜を形成することが可能となる。
【0009】
▲2▼また、前記処理室内における前記第2の反応ガスの分圧が所定分圧値以上のときに、前記第1、第2の反応ガスのいずれとも異なる第3の反応ガスを供給する第3のガス供給ステップをさらに具備しても差し支えない。
3種類の反応ガスを用いた成膜を行うことができる。
【0010】
(2)前記第1の分圧低下ステップが、前記第1の反応ガスの供給を停止または低減するステップを含んでもよい。
処理室内からの排気が継続していれば、第1の反応ガスの供給を停止または低減することで第1の処理ガスの分圧は低下する。
【0011】
(3)前記第1の分圧低下ステップが、前記処理室内に不活性ガスを供給するステップを含んでもよい。
不活性ガスを処理室内に供給することで処理室内から第1の処理ガスを追い出して、第1の処理ガスの分圧を低減することができる。
この不活性ガスとしては、窒素ガス、Arガス等を適宜に用いることが可能である。また、この不活性ガスの供給は第1の反応ガスの供給を停止または低減と並行して行うことで、第1の反応ガスの分圧をより速やかに低減することが可能となる。
【0012】
(4)所定圧力を0.5Paあるいは1.0Paと設定することができる。
第1の処理ガスの分圧が0.5Pa程度以上のときに第2の処理ガスを供給することで、2種類の反応ガスの相乗効果による成膜の促進が可能となる。また、第1の処理ガスの分圧を1.0Pa程度以上とすることでさらなる成膜の促進が可能となる。
【0013】
(5)第1、第2の反応ガスのいずれかが、TiF4、TiCl4、TiBr4、TiI4、Ti[N(C2H5CH3)2]4、Ti[N(CH3)2]4、Ti[N(C2H5)2]4、TaF5、TaCl5、TaBr5、TaI5、Ta(NC(CH3)3)(N(C2H5)2)3、Ta(OC2H5)5、Al(CH3)3、Zr(O−t(C4H9))4、ZrCl4、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、及びSiCl4の少なくともいずれかとすることができる。
また、第1、第2の反応ガスのいずれかが、NH3、H2O、及びO2の少なくともいずれかとすることができる。
これらの反応ガスの組み合わせにより種々の膜を形成できる。
【0014】
B. 本発明に係る成膜方法は、基板を収容する処理室内に第1の反応ガスが存在するステップと、前記処理室内に前記第1の反応ガスおよび前記第1の反応ガスと異なる第2の反応ガスが混在するステップと、前記処理室内に前記第2の反応ガスが存在するステップと、を具備することを特徴とする。
【0015】
第1の反応ガスが存在するステップでは、基板上に(基板上に直接、あるいは基板に形成された膜上に)第1の反応ガスの分子が吸着する。その後の第1、第2の反応ガスが混在するステップにおいては、第2の反応ガスの分子は基板側に吸着した第1のガス分子に加えて、雰囲気側の第1のガス分子とも反応することが可能となる。このように、基板に吸着している第2の反応ガスの分子の層がその層の表裏両方で第1の反応ガスの分子と反応できることから、膜の形成がより促進される。
なお、第1の反応ガスが存在するステップにおいては、処理室内に第2の反応ガスが実質的には存在せず、第2の反応ガスが存在するステップにおいては、処理室内に第1の反応ガスが実質的には存在しない。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る成膜装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る成膜装置10を表す一部断面図である。図1に示されるように、成膜装置10は、例えばアルミニウムやステンレス鋼により形成されたチャンバ11を備えている。このチャンバ11内の空間が本発明における処理室に対応する。
チャンバ11の側部には開口12が形成され、開口12には半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wをチャンバ11内に搬入或いは搬出するためのゲートバルブ13が取り付けられている。
【0017】
チャンバ11内には、ウエハWを載置する略円板状のサセプタ14が配設されている。サセプタ14内には、サセプタ14を所定の温度に加熱するヒータ15が配設されている。ヒータ15でサセプタ14を所定の温度に加熱することにより、サセプタ14に載置されたウエハWが所望の温度に加熱される。
サセプタ14の3箇所には、孔14aが上下方向に形成されている。孔14aの下方には、孔14aに挿入してウエハWを昇降させるためのウエハ昇降ピン16がそれぞれ配設されている。ウエハ昇降ピン16はウエハ昇降ピン支持台17に固定され、ウエハ昇降ピン支持台17には図示しない昇降手段が接続されている。昇降手段を駆動することにより、ウエハ昇降ピン16が昇降して、サセプタ14へのウエハWの載置および離間が行われる。
【0018】
チャンバ11の上部には、第1、第2の反応ガスGas1,Gas2それぞれをサセプタ14に向けて吐出するシャワーヘッド20が設置されている。シャワーヘッド20は、第1の反応ガスGas1を吐出する第1吐出部20aと、第1の反応ガスGas2を吐出する第2吐出部20bとに区分できる。第1吐出部20aには、第1の反応ガスGas1を吐出する多数の第1吐出孔が形成されている。同様に第2吐出部20bには、第2の反応ガスを吐出する多数の第2吐出孔が形成されている。なお、第1,第2の反応ガスGas1,Gas2として例えば、TiCl4、NH3を用いることで、ウエハW上にTiNを成膜できる。
【0019】
シャワーヘッド20の第1吐出部20aには、第1の反応ガスGas1を供給する第1供給系30aが接続されている。また、第2吐出部20bには、第2吐出部20bに第2の反応ガスGas2を供給する第2供給系30bが接続されている。
第1供給系30aは、流量調節器(MFC:Mass Flow Controller)31aおよびバルブ32aを通じて、第1供給配管33aから第1の反応ガスGas1を供給する。また、第2供給系30bは、流量調節器31bおよびバルブ32bを通じて、第2供給配管33bから第2の反応ガスGas2を供給する。流量調節器31a、31bにより第1、第2の反応ガスGas1、Gas2の供給量(流量)が調節される。また、バルブ32a,32bによって第1、第2の反応ガスGas1、Gas2の供給および供給停止が行われる。バルブ32a,32bには、バルブ32a,32bを制御するバルブ制御器35が接続されている。
【0020】
チャンバ11の底部には、圧力調節器(APC:Auto Pressure Controller)41を備えた排気系40(図示せず)が接続されている。排気系40によってチャンバ11内から第1,第2の反応ガス等を排出する。圧力調節器41で排気系40のコンダクタンスを調節することで、チャンバ11内の圧力を制御できる。圧力調節器41以降の排気系は、ドライポンプおよびターボ分子ポンプの組み合わせから構成できる。このうち、ドライポンプは、チャンバ11内の粗引きおよびターボ分子ポンプの負担軽減を行う。一方、ターボ分子ポンプは、精密引きを行うものであり、チャンバ11内から余分な反応ガス等を排出し、その圧力が所定の圧力(あるいは真空度)になるように維持する。
【0021】
(第1の実施形態における成膜の手順)
以下、成膜装置10で行われる成膜の手順について図2,3に沿って説明する。図2は本実施形態に係る成膜装置10で行われる成膜の手順の一例を表すフローチャートであり、図3はチャンバ11内における第1、第2の反応ガスGas1,Gas2それぞれの分圧P1,P2の時間的変化の一例を表すグラフである。
【0022】
(1)チャンバ11内へのウエハWの搬入・載置(ステップS11、時刻t0〜t1)
▲1▼まず、チャンバ11内にウエハWが搬入される。
具体的には、ゲートバルブ13が開かれ、ウエハWを保持した図示しない搬送アームが伸長して、チャンバ11内にウエハWが搬入される。
通例、ウエハWの搬入に先んじて、チャンバ11内が真空に引かれ、またウエハWは予め真空に引いた予備室(図示せず)内に配置される。ゲートバルブ13を開くことで、チャンバ11と予備室とが接続され、予備室からチャンバ11へのウエハWの搬入が可能となる。このようにすることで、ウエハWの搬入時においてもチャンバ11内の真空度を維持してウエハWへの成膜を速やかに行うことが可能となる。なお、チャンバ11内の真空引きは、例えば、ドライポンプによる粗引き及びターボ分子ポンプによる精密引きによって行える。
【0023】
▲2▼チャンバ11内に搬入されたウエハWがサセプタ14上に載置される。
ウエハ昇降ピン16が上昇して搬送アームが縮退することで、ウエハWがウエハ昇降ピン16上に載置され、その後にウエハ昇降ピン16が下降してウエハWが加熱されたサセプタ14上に載置される。
【0024】
(2)チャンバ11内への第1の反応ガスの供給(ステップS12、時刻t1〜t2)
ウエハWが昇温した後、バルブ32aが開かれて、第1吐出部20aからウエハWに向けて第1の反応ガスGas1が吐出される(反応ガスの供給開始)。その結果、チャンバ11内の第1の反応ガスGas1の分圧P1は上昇する。なお、この間も排気系40によるチャンバ11の排気は継続されている。
第1供給系30aからの第1の反応ガスGas1の供給量と排気系40からのガスの排気量とのバランスの結果、チャンバ11内における第1の反応ガスの分圧はP11に落ち着く。なお、このときの最終的な分圧P11が所望の値となるように、通例、圧力調節器41による排気量の調節が行われる。
【0025】
第1の反応ガスGas1の分子がウエハWに接触することで、ウエハW表面に第1の反応ガスGas1の分子が吸着される。
ここで、第1の反応ガスには適宜に窒素ガス、Arガス等の不活性ガスをキャリアガスとして混合してもよい。このときには、第1の反応ガスGas1の分圧P1は、キャリアガスを除外して考えるものとする(反応に寄与する成分のみを考慮)。
【0026】
(3)第1の反応ガスの分圧低減(ステップS13、時刻t2〜t3)
チャンバ11内における第1の反応ガスGas1の分圧P1を低減する。
この分圧低減は、排気系40によるガスの排気量に対する第1供給系30aからのガスの供給量を低減することによって行える。例えば、バルブ32aを閉じ第1の反応ガスGas1の供給を停止することで、チャンバ11内の第1の反応ガスGas1の分圧P1を低減できる。
【0027】
▲1▼第1の反応ガスGas1の供給の低減(または停止)に加えて、排気系40によるガスの排気量を増大してもよい。排気量を増大することで、チャンバ11内の分圧P1を速やかに低減できる。
▲2▼この排気量の増大に替えて、あるいはこれと共に、チャンバ11内に不活性ガス(窒素ガス、Arガス等)を供給することで、第1の反応ガスの分圧P1の低下を促進できる。即ち、不活性ガスをパージガスとして用い、第1の反応ガスGas1をチャンバ11内から追い出す。
【0028】
(4)第2の反応ガスの供給(ステップS14、時刻t3〜t4)
第1の反応ガスGas1の分圧P1が低下してP10に達したときに、バルブ32bを開き第2供給系30bからの第2の反応ガスGas2の供給が開始される。即ち、第1の反応ガスがチャンバ11内に残留した状態で、第2の反応ガスが供給される。
【0029】
▲1▼このとき、第2の反応ガスの供給開始の判断は、例えば以下のようにして行える。
・第1の反応ガスの分圧P1を測定して、この分圧P1が所定値P10に達したことにより、バルブ32bを開く。第1の反応ガスGas1にキャリアガスが混合されているときには、この混合ガスの全圧を測定し、第1の反応ガスGas1とキャリアガスの混合比を基に第1の反応ガスの分圧P1を算出できる。
・第1の反応ガスの分圧P1の低下が開始されてから(例えばバルブ32aを閉じてから)の時間(t3−t2)が所定値に達したことにより、バルブ32bを開いて第2の反応ガスGas2を供給する。
例えばバルブ32aを閉じてから所定時間が経過したことにより、バルブ32bを開いて第2の反応ガスGas2を供給する。バルブ32aを閉じてからの時間tの経過と第1のガスの分圧P1の変化が対応するからである。この時間tと分圧P1の対応関係は成膜に先んじて予め求めることができる。このようにすることで、第1の反応ガスGas1の分圧の測定を行うことなく、第2の反応ガスGas2の供給を開始することができる。
【0030】
▲2▼バルブ32bが開かれて、第2吐出部20bから第2の反応ガスGas2が吐出される(第2の反応ガスの供給開始)。その結果、チャンバ11内の第2の反応ガスGas2の分圧P2は上昇する。そして、第2供給系30bからの第2の反応ガスGas2の供給量と排気系40からのガスの排気量とのバランスの結果、チャンバ11内における第2の反応ガスの分圧はP21に落ち着く。なお、このときの最終的な分圧P21が所望の値となるように、通例、圧力調節器41による排気量の調節が行われる。
一方、第1の反応ガスGas1の分圧P1は、その供給が削減(または停止)されていることから、時刻t3以降も低下してゆきほぼゼロに近づく。
なお、第2の反応ガスには適宜に窒素ガス、Arガス等の不活性ガスをキャリアガスとして混合してもよい。このときには、第2の反応ガスGas2の分圧P2は、キャリアガスを除外して考えるものとする(反応に寄与する成分のみを考慮)。
【0031】
▲3▼以上から、少なくとも第2の反応ガスGas2の供給を開始した当初においては、第1の反応ガスGas1が残留している。
第2の反応ガスGas2の成分はウエハW上に吸着した第1の反応ガスGas1の成分と反応し、ウエハW上に第1、第2の反応ガスの反応生成物からなる膜が形成される。この反応の際に、第1の反応ガスの成分が残留していることから、膜の形成が速やかに行われる。なお、このメカニズムの詳細は後述する。
【0032】
(5)第2の反応ガスの分圧低減(ステップS15、S16、時刻t4〜t5)成膜を終了しない場合には(ステップS15)、成膜が続行され、第2の反応ガスの分圧P2が低減される(ステップS16)。なお、ステップS15における成膜の終了判断の詳細は後述する。
この分圧低減は、排気系40によるガスの排気量に対する第2供給系30bからのガスの供給量を低減することによって行える。例えば、バルブ32bを閉じ第2の反応ガスGas2の供給を停止することで、チャンバ11内の第2の反応ガスの分圧P2を低減できる。
【0033】
▲1▼第2の反応ガスGas2の供給の低減(または停止)に加えて、排気系40によるガスの排気量を増大してもよい。排気量を増大することで、チャンバ11内の分圧P2を速やかに低減できる。
▲2▼この排気量の増大に替えて、あるいはこれと共に、チャンバ11内に不活性ガス(窒素ガス、Arガス等)を供給することで、第2の反応ガスの分圧P2の低下を促進できる。即ち、不活性ガスをパージガスとして用い、第2の反応ガスGas2をチャンバ11内から追い出す。
【0034】
(6)第1の反応ガスの供給(2回目のステップS12、時刻t5〜t6)
第2の反応ガスGas2の分圧が低下してP20に達したときに、第1の反応ガスの供給が開始される。即ち、第2の反応ガスがチャンバ11内に残留した状態で、第1の反応ガスが供給される。このときの第1の反応ガスの供給開始は、ステップS14で説明したと同様に、第2の反応ガスの分圧P2の測定結果、あるいは時刻t4からの時間の経過のいずれに基づいて行うこともできる。
第1の反応ガスGas1が供給されることから、チャンバ11内の第1の反応ガスの分圧P1はP11に向かって増加する。この一方、第2の反応ガスの分圧P2がP20からさらに低下してゆきほぼゼロに近づく。
第1の反応ガスGas1の成分はウエハWの膜上に吸着する。この吸着の際に、第2の反応ガスの成分が残留していることから、膜の形成が速やかに行われる。
以上のようにして、時刻t5以降でステップS12〜S16が繰り返され、先の第1、第2の反応ガスが残留した状態で、その次の第2、第1の反応ガスの供給が行われる。
【0035】
(7)成膜の終了判断(ステップS15)
所望の膜厚の膜が形成されたら成膜が終了する。この判断はウエハW上に形成された膜の膜厚を測定することで行ってもよいが、これに代えてステップS12、S14の繰り返し数に基づいて行うことができる。この繰り替えし数と形成される膜厚が対応するからである。例えば、ステップS12,S14での第1、第2の反応ガスGas1,Gas2の供給を1サイクルとして、このサイクルを所定回数(所定サイクル)行う。
具体的には、第1、第2の反応ガスGas1,Gas2としてTiCl4、NH3を用い、ステップS12,S14を200サイクル行うことで、10数nm程度のTiNの膜を形成できる。但し、後述するように、この膜厚は次の反応ガスの供給を開始するときに残留している反応ガスの分圧P10、P20に依存する。
【0036】
(8)反応ガスの排出(ステップS17)
ステップS15で成膜の終了判断がなされたときには、チャンバ11から反応ガスが排出される。このときに排出される反応ガスは、ステップS12,S14が1組として工程が繰り返されることから、第2の反応ガスGas2である。
但し、これに代えて第1の反応ガスの供給、第1の反応ガスの排気を最後に行うことも可能である。即ち、第1、第2の反応ガスのどちらを最後に供給するかは、成膜工程における絶対的な要求ではない。成膜処理中でステップS12〜S16が繰り返される結果、個々のステップが成膜処理全体に与える影響は余り大きくないのが通例だからである。
第2の反応ガスを排出するには、バルブ32bを閉じ第2の反応ガスGas2の供給を停止すればよい。排気系40によりチャンバ11内から第2の反応ガスGas2が排出される。
この排出は、チャンバ11内のガス圧が充分小さくなるまで(例えば、ガス圧が約1.33×10−2Pa(1×10−4Torr)程度以下になるまで)継続される。
【0037】
(9)ウエハWの離間・搬出(ステップS18)
反応ガスの排気が完了すると、ウエハ昇降ピン16が上昇し、ウエハWがサセプタ14から離れる。その後、ゲートバルブ13が開かれ、図示しない搬送アームが伸長して、搬送アームにウエハWが保持される。最後に、搬送アームが縮退して、ウエハWがチャンバ11から搬出される。
【0038】
(ALD等との比較)
以下に本実施形態で示した成膜の手法と通常のALD技術等による成膜の手法とを比較して説明する。
A.成膜処理時間について(サイクル数を同一とした場合)
本実施形態における成膜では先の反応ガスが残留した状態で次の反応ガスを供給している。これに対して通常のALDでは先の反応ガスが完全に排出された後に次の反応ガスを供給する。このため、本実施形態における成膜はALDによる成膜よりも成膜処理のプロセスに要する時間が短縮される。
図4は、ALDによる成膜中におけるチャンバ内の第1、第2の反応ガスそれぞれの分圧P1,P2の時間的変化を表すグラフであり、図3に対応する。
図4の時刻t10〜t19それぞれが図3の時刻t0〜t9に対応する。時刻t11,t15,t19で第1の反応ガスGas1の供給が開始され、時刻t13,t17で第2の反応ガスGas2の供給が開始されている。これらの第1、第2の反応ガスGas1,Gas2の供給は、先の第2、第1の反応ガスGas2,Gas1の分圧がほぼゼロとなってから開始されている。
【0039】
ALDでの成膜は例えば、それぞれ10秒間の第1、第2の反応ガスの供給(時刻t11〜t12,t13〜t14,t15〜t16、t17〜t18)の間に、2秒間の反応ガスを排出する工程(時刻t12〜t13,t14〜t15,t16〜t17,t18〜t19)が設けられている。第1の反応ガスGas1の供給、排出、第2の反応ガスGas1の供給、排出を1サイクルとして200サイクル処理すると、処理時間の合計は以下のように算出できる。
(10+2+10+2)秒*200=4800秒=1時間20分
【0040】
これに対して、本実施形態で示した成膜手法では、反応ガスが全て排出されない内に次の反応ガスを供給することから、少なくともガスの排出時間を短縮できる。ガスの排出時間を例えば、0.5秒として他の条件をALDと同様とすると(実際には、後述するようにサイクル数の低減が可能)、処理時間の合計は以下のように算出できる。
(10+.5+10+.5)秒*200=4200秒=1時間10分
このように、サイクル数を同一(200サイクル)とした場合に10分間の時間短縮が可能である。
実際には、次に示すようにサイクル数当たりに成長する膜厚が異なることから、本実施形態で示した手法を用いることで、更なる成膜時間の短縮が可能となる。
【0041】
B.成膜速度(1サイクル当たりの成長膜厚)
次に本実施形態の手法における成膜速度についてALDと比較して説明する。一般には、成膜速度は単位処理時間当たりに成長する膜厚で表す場合が多いが、本実施形態で示した手法の場合には、次に示すように1サイクル当たりに成長する膜厚で表すのが適切である。
【0042】
CVDにおいては、混合した反応ガスを用い、この混合反応ガスが加熱されたウエハWの表面で反応することで成膜が行われる(いわゆる表面反応)。このため、混合反応ガスがウエハWに接触している時間(いわゆる処理時間)に対応して(比例して)膜厚が増加する。このため、成膜速度を単位処理時間当たりに成長する膜厚で表すことがふさわしい。
しかしながら、本実施形態で示した手法では、成膜のメカニズムがCVDとは全く異なり、第1、第2の反応ガスGas1、Gas2を供給している時間(例えば図3の時刻t1〜t2、t5〜t6、時刻t3〜t4,t7〜t8)の全期間において連続的に成膜が行われてはいない。このため、単位時間当たりの成長膜厚にはあまり意味がない。第1、第2の反応ガスGas1、Gas2の交互供給によって膜が成長することから、成膜速度をこの交互供給の1サイクル当たりの成長膜厚で表すのがより適切である。
【0043】
本実施形態の手法は、成膜速度を1サイクル当たりの成長膜厚で表せる点でALDと対応する。但し、本実施形態の手法を利用することで、ALDに比較して成膜速度(1サイクル当たりの成長膜厚)を2倍程度以上に向上することができる。
以下に、本実施形態の手法を用いることで成膜速度が向上するメカニズムを説明する。ここでは、2つの反応ガスとしてTiCl4とNH3を用いた場合を例をして説明する。この2つの反応ガスが交互に供給されることから、NH3が残留している状態でTiCl4が供給される場合と、その逆にTiCl4が残留している状態でNH3が供給される場合の2通りがある。
【0044】
(1)NH3が残留している状態でTiCl4が供給される場合
まず、本実施形態の手法で、NH3が残留している状態でTiCl4が供給される場合につき説明する。
▲1▼先に、比較例としてALDの場合について説明する。
図5はALDによる成膜のメカニズムを表す模式図である。なお、ここに示す模式図はあくまで概念的なものであるから、分子を構成する原子の数まで正確に表しているとは限らない。
ウエハW上にTiCl4を供給する。供給されたTiCl4は、ウエハW(あるいは既に形成されたTiN層)上に吸着される(図5(A))。その後、TiCl4を排出してNH3を供給する。供給したNH3はTiCl4と反応してTiNが形成される(図5(B))。このとき、形成されるTiNはウエハWに吸着したTiCl4の分布を反映したものとなる。即ち、図5(B)で形成されたTiNは、仮想線で示したようにその間にTiNの分子を配置する余地がある。このため、TiCl4とNH3の供給を1サイクル行っても、TiN本来の単層が形成されるには至らない。
これは、TiCl4の分子構造に起因するものであり、Ti原子に結合しているCl原子がTiCl4分子同士の密な分布を妨げている。TiCl4の立体的な分子構造に起因するTiの分布の障害であり、一種の立体障害といえる。
【0045】
▲2▼次に本実施形態の手法を用いた場合につき説明する。
図6は本実施形態の手法による成膜のメカニズムを表す模式図である。
NH3が残留している状態で、ウエハW上にTiCl4を供給する。供給されたTiCl4は、ウエハWの表面に吸着するが、その一部は残留しているNH3と反応してTiNが形成される(図6(A))。TiNはTiCl4よりも分子が小さいため、形成されたTiNの周りでは、TiCl4が他よりも近接して分布することができる。
その結果、次にNH3を供給したときに、TiNがALDの場合よりも密に形成される(図6(B))。このように、TiCl4の供給時に在留しているNH3がTiCl4と反応することで、成膜速度が向上する。
【0046】
(2)TiCl4が残留している状態でNH3が供給される場合
本実施形態の手法で、TiCl4が残留している状態でNH3が供給される場合につき説明する。
▲1▼比較例としてALDの場合について説明する。
図7はALDによる成膜のメカニズムを表す模式図である。
ウエハW上にNH3を供給する。供給されたNH3は、ウエハW(あるいは既に形成されたTiN層)上に吸着される(図7(A))。その後、NH3を排出してTiCl4を供給する。供給したTiCl4はNH3上に単層を形成して(図7(B))、TiCl4とNH3が反応することでTiNが形成される(図7(C))。このとき、TiCl4の分子の大きさの関係でウエハW上には未反応のNH3が残され、TiN本来の単層が形成されるには至らない。
これは、前記(1)の場合と同様に、TiCl4の立体的な分子構造に起因する一種の立体障害である。
【0047】
▲2▼次に本実施形態の手法を用いた場合につき説明する。
図8は本実施形態の手法による成膜のメカニズムを表す模式図である。
TiCl4が残留している状態で、ウエハW上にNH3を供給する。供給されたNH3は、ウエハWの表面に吸着するが、吸着したNH3の少なくとも一部に残留しているTiCl4が吸着する(図8(A))。その次にTiCl4を供給したときには、先のNH3に吸着したTiCl4はNH3と反応してTiNが形成されている(図8(B))。このため、TiCl4分子の立体構造に起因する立体障害は低減され、より密にTiNが形成される(図8(C))。
このように、NH3の供給時に在留しているTiCl4がNH3と反応することで、成膜速度が向上する。
【0048】
(3)▲1▼以上のようにNH3が残留している状態でTiCl4が供給された場合、TiCl4が残留している状態でNH3が供給された場合のいずれにおいても1サイクル当たりの成長膜厚を増大できる。即ち、図2,3に示したプロセスでは、2つの反応ガスGas1,Gas2それぞれが残留している状態で、次の反応ガスGas2,Gas1を供給しているが、これは必須条件ではない。
一方の反応ガス(例えば、第1の反応ガス)が残留した状態で他方の反応ガス(例えば、第2の反応ガス)を供給する一方、この一方の反応ガス(例えば、第1の反応ガス)の供給は他方の反応ガス(例えば、第2の反応ガス)を完全に排出してから行っても、成膜速度の向上を図ることができる。具体的には、図2のステップS13,S16の一方において第1、第2の反応ガスを完全に排出しても差し支えない。なお、このことは、後述する実験によっても確認されている。
▲2▼上述の(1)、(2)のメカニズムを一般的に表すと、吸着した反応ガスAの分子層の表裏いずれからも他の反応ガスの分子による反応が生じ得ることで成膜の促進が行われるといえる。即ち、反応ガスAの分子層は、その下層に吸着している反応ガスBの分子および雰囲気中に存在する反応ガスBの分子のいずれとも反応できることで成膜が促進される。
【0049】
C. 本実施形態の手法の位置づけ
本実施形態の手法の成膜技術としての位置づけをCVD、ALDとの比較において説明する。
ALDはCVDに比べて次のような特徴があるとされている。
(1)より低温での成膜が可能
(2)より多様なガス種を利用可能
(3)ステップカバレージが良好であり、微細な凹凸への均一な成膜が可能
本実施形態で示した手法は上記の(1)〜(3)の利点を保持したまま、成膜速度の向上を図ることができる。さらに後述するように、本実施形態の手法に基づく手法で形成された膜はALDで形成された膜と近似するか、あるいはむしろ優れた性質を有することが確認されている。
【0050】
本実施形態で示した手法は、複数の反応ガスを交互に供給することで反応ガスの供給中の全期間(図3の時刻t1〜t2,t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8)における連続的な成膜を行わないようにしている点で、ALDと共通する。一方、ALDがそれぞれの反応ガスを単層ずつウエハWに吸着させて反応させているのに対して、本実施形態で示した手法では残留した反応ガスを利用してそれぞれの反応ガスにおける単層を越えた成膜を可能とする。なお、本実施形態で示した手法は、例えば基板の温度についてALDの場合と同程度の温度条件を採用することができる。
以上から判るように本実施形態で示した手法は、CVDとALDの中間的な手法といえる。反応ガスを供給する期間のうち、膜の形成に直接関与する期間を限定することで、局所的な成膜速度の違いを吸収し、均質な膜の形成を可能としている(局所的に成膜速度が相違する箇所があっても、成膜速度の速い箇所である程度の成膜が行われた状態で成膜が停止し、成膜速度の遅い箇所での成膜の完了を待つことになる)。
【0051】
(実施例)
次に、第1、第2の反応ガスとしてTiCl4、NH3をそれぞれ用いてTiNを成膜した場合における実施例を示す。
図9、10はそれぞれ、TiCl4およびNH3の減圧時間(供給を停止してからの時間)Vacuum Timeに対する成膜速度GR(1サイクル当たりの成長膜厚)および抵抗率Resistivityの変化を表したグラフである。実線のグラフが成膜速度GRを、破線のグラフが抵抗率Resistivityを表している。また、図11はTiCl4およびNH3の減圧時間Vacuum Timeに対する分圧Pressureの変化を窒素ガスの場合と対比して表したグラフである。減圧時間Vacuum Timeに対応して、分圧Pressureが減少してゆくことが判る。ここで、TiCl4の減圧時間が0.5秒、1秒のときに、その分圧はそれぞれ、6.90Pa(5.18×10−2Torr)、0.563Pa(4.22×10−3Torr)である。また、NH3の減圧時間が0.5秒、1秒のときに、その分圧はそれぞれ、8.77Pa(6.58×10−2Torr)、0.549Pa(4.12×10−3Torr)である。
【0052】
なお、図9,10では次のような通常のALDの範囲に含まれるプロセスを基準としてそれからTiCl4およびNH3を減圧する時間を変化させている。
基準プロセスでは、次の▲1▼〜▲4▼を200サイクル繰り返す。▲1▼200.0Pa(1.5Torr)のTiCl4を10秒間供給、▲2▼TiCl4の供給を停止してその分圧を2秒間減少、▲3▼200.0Pa(1.5Torr)のNH3を10秒間供給、▲4▼NH3の供給を停止して分圧を2秒間減少する。なお、このとき、ウエハWは400℃に加熱されている。
【0053】
図9,10に示すように、TiCl4、NH3いずれの減圧時間を変化させた場合でも減圧時間1秒程度を境界として成膜速度GRが増大していることが判る。即ち、分圧で示せば0.5Pa程度以上で成膜速度GRが向上する。そして、成膜速度をより向上させるには、分圧が1Pa以上、さらには5Pa以上であることが好ましいことが判る。
【0054】
この成膜速度GRの向上と対応するように抵抗率Resistivityが低下している。TiN等の本来導電性の材料においては、不純物(例えば、Cl)の残留等によって抵抗率の増大が生じると考えられる。即ち、この抵抗率の低下はTiNの膜質がより良好になることを間接的に表すものと考えられる。
以上に示すように、TiCl4、NH3いずれの減圧時間を短くした場合(即ち、残留分圧を増大した場合)でも、成膜速度および膜質の双方を向上することが示される。そして、この境界は分圧にしてTiCl4、NH3いずれでも0.5Pa程度が境界となる。この分圧は次に供給する反応ガスの分圧の1/400(=0.5Pa/200Pa)である(好ましくは、1/200以上、さらに好ましくは1/40以上)。
【0055】
図11に示すように、分圧の時間的変化はガス種によって相違がある。これはチャンバ11の内壁に対する吸着性がガス種によって相違することに起因すると考えられる。
一般にガス分子はチャンバ11の内壁に吸着する。チャンバ11の内壁に吸着したガス分子は、その後に再びチャンバ11の内壁から脱離しチャンバ11内の雰囲気となる。このチャンバ11内壁へのガス分子の吸着、脱離はいわばチャンバ11内壁が呼吸しているようなものであり、チャンバ11内におけるガスの排出(分圧の低下)を妨げる要因になる。このため、チャンバ11内壁に吸着し易いガス分子であるほど分圧の時間的変化が緩やかになる。
参考に示した窒素ガスの場合は反応性が高くないため比較的チャンバ11の内壁に吸着されにくく、速やかにチャンバ11から排出される。これに対して、TiCl4、NH3は比較的反応性が高く、チャンバ11の内壁に吸着されやすい、特にNH3は極性分子であるためチャンバ11内壁への吸着性が大きい。
【0056】
このように、図11でのTiCl4およびNH3の分圧と、窒素ガスの分圧の変化の相違はチャンバ11内壁への吸着、脱離によるガス成分を反映するものといえる。
このチャンバ11内壁に対するガス分子の吸着特性はガス分子のみに依存する訳ではなく、チャンバ11の内壁を構成する材料にも依存する。
以上のように、排気時間そのものはガスの分圧の値そのものと常に一対一の関係にある訳ではなく、本実施形態を直接的に特徴付ける量とはいえないことが判る。
【0057】
(第2の実施の形態)
第1の実施形態では2種類の反応ガスを交互に供給していたが、本実施形態では3種類の反応ガスを順に繰り返し供給する場合を示す。
図12は本実施の形態に係る成膜装置110を表す一部断面図である。
本実施形態では、第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3それぞれを吐出するシャワーヘッド120が設置されている。シャワーヘッド120は、第1、第2の反応ガスGas1、Gas2を吐出する第1吐出部120aと、第3の反応ガスGas3を吐出する第2吐出部120bとに区分できる。第1吐出部120aには、第1、第2の反応ガスGas1をそれぞれ供給する第1供給系130aおよび第2供給系130bが接続されている。また、第2吐出部120bには、第2吐出部120bに第3の反応ガスGas3を供給する第3供給系130cが接続されている。なお、本実施形態では第1、第2の反応ガスを共通する第1吐出部120aから吐出しているが、互いに異なる吐出部から吐出させても差し支えない。
【0058】
第1〜3の供給系130a〜130cはそれぞれ、流量調節器131a〜131cおよびバルブ132a〜132cを通じて、第1〜3供給配管133a〜133cより第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3を供給する。流量調節器131a〜131cにより第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3の供給量(流量)が調節され、バルブ132a〜132cによって第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3の供給、供給停止が行われる。バルブ132a〜132cには、バルブ132a〜132cを制御するバルブ制御器135が接続されている。
本実施形態は、第1の実施形態と本質的に相違する訳ではないので、その他の点の説明を省略する。
【0059】
(第2の実施形態における成膜の手順)
以下、成膜装置110で行われる成膜の手順について図13,14に沿って説明する。図13は本実施の形態に係る成膜装置110で行われる成膜の手順を示したフローチャートであり、図14はチャンバ11内における第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3それぞれの分圧P1〜P3の時間的変化を表すグラフである。
本実施形態では、成膜の終了に至るまでステップS22〜S28における、第1の反応ガスの供給および分圧低減、第2の反応ガスの供給および分圧低減、第3の反応ガスの供給および分圧低減が繰り返し行われる。
その他の点では、第1の実施形態と本質的に異なる訳ではないので、記載を省略する。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は、上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜に追加、変更が可能である。
(1)例えば、反応ガスとして種々のガス種を用いることができる。表1は、反応ガスののガス種および形成される膜の材質(膜種)を例示したものである。既述のTiCl4とNH3の組み合わせに替えて、表1に示す他の反応ガスを利用できる。
【表1】
なお、表1において、TEMATはTi[N(C2H5CH3)2]4、TDMATはTi[N(CH3)2]4、TDEATはTi[N(C2H5)2]4、TBTDETはTa(NC(CH3)3)(N(C2H5)2)3をそれぞれ表す。
【0061】
(2)反応ガスを供給する順序は表1の第1〜第3の順序に限る必要はない。例えば、TiCl4、NH3の順序に替えて、NH3、TiCl4の順序で供給してもよい。
(3)成膜を行う対象としては、ウエハWに限らず、ガラス基板等の基板一般、さらには成膜対象一般を用いることができる。
(4)既述のように反応ガスの排気の際にN2のようなパージガスをチャンバ2内に供給して分圧の変化を促進することも可能である。
【0062】
(5)既述のように反応ガスの残留は、必ずしも全ての反応ガスについて行う必要はない。いずれかの反応ガスについてのみ残留した状態で次の反応ガスを供給してもよい。成膜処理の時間中にチャンバ内で複数の反応ガスが共存する時間が一部に存在する限り、複数の反応ガスの相乗効果による成膜速度の向上等が生じうる。
このことは、▲1▼反応ガスAの存在、▲2▼反応ガスA,Bの共存、▲3▼反応ガスBの存在の▲1▼〜▲3▼の工程が確保できれば良く、この工程の前または後に他の反応ガスを供給する工程を適宜に付加できることを意味する。
【0063】
(6)さらにいえば、この▲1▼〜▲3▼の工程を実現する手段も適宜に選択可能である。上記実施形態では第1の反応ガスの排出が完了しない内に第2の反応ガスを供給することで、▲2▼の工程を実現していたが、例えば第1、第2の反応ガスを意図的に混合して供給することでも▲2▼の工程を実現できる。
(7)なお、反応ガスの供給はシャワーヘッドに限らずチャンバ内に適宜の手段で供給することが可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の成膜方法によれば、通常のALD技術に比較して成膜速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る成膜装置を表す一部断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る成膜装置で行われる成膜の手順の一例を表すフローチャートである。
【図3】成膜装置のチャンバ内における第1、第2の反応ガスそれぞれの分圧の時間的変化の一例を表すグラフである。
【図4】ALDによる成膜中における成膜装置のチャンバ内の第1、第2の反応ガスそれぞれの分圧の時間的変化の例を表すグラフである。
【図5】ALDによる成膜のメカニズムの一例を表す模式図である。
【図6】第1の実施形態で示した手法による成膜のメカニズムの一例を表す模式図である。
【図7】ALDによる成膜のメカニズムの他の例を表す模式図である。
【図8】第1の実施形態で示した手法による成膜のメカニズムの他の例を表す模式図である。
【図9】TiCl4の供給を停止してからの時間に対する成膜速度および抵抗率の変化を表したグラフである。
【図10】NH3の供給を停止してからの時間に対する成膜速度および抵抗率の変化を表したグラフである。
【図11】TiCl4およびNH3の供給を停止してからの時間に対する分圧の変化を窒素ガスの場合と対比して表したグラフである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る成膜装置を表す一部断面図である。
【図13】第2の実施形態に係る成膜装置で行われる成膜の手順の一例を表すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態に係る成膜装置のチャンバ内における第1、第2、第3の反応ガスそれぞれの分圧の時間的変化の一例を表すグラフである。
【符号の説明】
10…成膜装置、11…チャンバ、12…開口、13…ゲートバルブ、14…サセプタ、14a…孔、15…ヒータ、16…ウエハ昇降ピン、17…ウエハ昇降ピン支持台、20…シャワーヘッド、20a…第1吐出部、20b…第2吐出部、30a…第1供給系、30b…第2供給系、31a、31b…流量調節器、32a、32b…バルブ、33a…供給配管、33b…供給配管、35…バルブ制御器、40…排気系、41…圧力調節器
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板等に成膜を行う成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造において、原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)と呼ばれる手法が用いられるようになってきている。ALDにおいては、2種の反応ガスを交互に供給し、それぞれの反応ガスの成分を基板上に交互に化学吸着させることで、基板への成膜を行う。
ALD技術を用いることで通常のCVD(Chemical Vapor Deposition)よりも低温で成膜を行うことが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ALD技術を用いた成膜においては、膜の成長速度が大きいとはいえない。成膜が化学吸着を基礎として行われ、ガスの交互供給によって膜が成長することから、所望の膜厚の膜を成膜するためにはガスの交互供給を多数回行う必要があるのが通例である。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、通常のALD技術に比較して成膜速度を向上できる成膜方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】
A. 上記課題を解決するため、本発明に係る成膜方法は、基板を収容する処理室内に第1の反応ガスを供給する第1のガス供給ステップと、前記第1の反応ガスが供給された前記処理室内における該第1の反応ガスの分圧を低下させる第1の分圧低下ステップと、前記第1の反応ガスの分圧が所定分圧値以上のときに、該第1の反応ガスと異なる第2の反応ガスを供給する第2のガス供給ステップと、を具備することを特徴とする。
【0005】
第1、第2の反応ガスを供給する第1、第2のガス供給ステップの間に、第1の反応ガスの分圧を低下させる第1の分圧低下ステップが行われ、処理室内に第1の反応ガスが残留している状態で第2の反応ガスが供給される。
第1のガス供給ステップの結果、基板上に(基板上に直接、あるいは基板に形成された膜上に)第1の反応ガスの分子が吸着する。その後に、第2の反応ガスが供給され、基板に吸着した第1の反応ガスに第2の反応ガスが吸着し、第1、第2の反応ガスが互いに反応して基板上に膜が形成される。
【0006】
ここで、第2の反応ガスの供給が第1の反応ガスが残留した状態で行われることから、第2の反応ガスの分子は基板側に吸着した第1のガス分子に加えて、雰囲気側の第1のガス分子とも反応することが可能となる。このように、基板に吸着している第2の反応ガスの分子の層がその層の表裏両方で第1の反応ガスの分子と反応できることから、膜の形成がより促進される。
【0007】
なお、ここでいう第1、第2の反応ガスは、基板上で相互に反応して膜を形成する反応成分を含むガス一般が含まれ、窒素ガス、キャリアガス(例えば、Arガス等の不活性ガス)によって希釈されていても差し支えない。第1、第2の反応ガスのいずれかがキャリアガスで希釈されている場合には、第1、第2の反応ガスの分圧にはキャリアガスの分圧成分は除外される。
【0008】
(1)ここで、前記第2の反応ガスが供給された前記処理室内における該第2の反応ガスの分圧を低下させる第2の分圧低下ステップをさらに具備してもよい。その後に、第1の反応ガス、または第1、第2の反応ガスのいずれとも異なる第3の反応ガスを供給することで、第2の反応ガスが他の反応ガスと共存した状態にすることができる。
▲1▼これに加えて、前記第1のガス供給ステップ、前記第1の分圧低下ステップ、前記第2のガス供給ステップ、および前記第2の分圧低下ステップを繰り返しても差し支えない。
2回目以降の第1のガス供給ステップにおける第1の反応ガスの供給を、第2の反応ガスが残留した状態で行うことが可能となる。この第1の反応ガスの供給によって、第1の反応ガスの分子が基板に吸着し、この吸着層の表裏双方で第2の反応ガスの分子との反応が生じる。このため、第1、第2の反応分子相互の反応による膜の形成がさらに促進される。
また、第1、第2の反応ガスの供給を繰り返すことで、膜を成長させ所望の膜厚の膜を形成することが可能となる。
【0009】
▲2▼また、前記処理室内における前記第2の反応ガスの分圧が所定分圧値以上のときに、前記第1、第2の反応ガスのいずれとも異なる第3の反応ガスを供給する第3のガス供給ステップをさらに具備しても差し支えない。
3種類の反応ガスを用いた成膜を行うことができる。
【0010】
(2)前記第1の分圧低下ステップが、前記第1の反応ガスの供給を停止または低減するステップを含んでもよい。
処理室内からの排気が継続していれば、第1の反応ガスの供給を停止または低減することで第1の処理ガスの分圧は低下する。
【0011】
(3)前記第1の分圧低下ステップが、前記処理室内に不活性ガスを供給するステップを含んでもよい。
不活性ガスを処理室内に供給することで処理室内から第1の処理ガスを追い出して、第1の処理ガスの分圧を低減することができる。
この不活性ガスとしては、窒素ガス、Arガス等を適宜に用いることが可能である。また、この不活性ガスの供給は第1の反応ガスの供給を停止または低減と並行して行うことで、第1の反応ガスの分圧をより速やかに低減することが可能となる。
【0012】
(4)所定圧力を0.5Paあるいは1.0Paと設定することができる。
第1の処理ガスの分圧が0.5Pa程度以上のときに第2の処理ガスを供給することで、2種類の反応ガスの相乗効果による成膜の促進が可能となる。また、第1の処理ガスの分圧を1.0Pa程度以上とすることでさらなる成膜の促進が可能となる。
【0013】
(5)第1、第2の反応ガスのいずれかが、TiF4、TiCl4、TiBr4、TiI4、Ti[N(C2H5CH3)2]4、Ti[N(CH3)2]4、Ti[N(C2H5)2]4、TaF5、TaCl5、TaBr5、TaI5、Ta(NC(CH3)3)(N(C2H5)2)3、Ta(OC2H5)5、Al(CH3)3、Zr(O−t(C4H9))4、ZrCl4、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、及びSiCl4の少なくともいずれかとすることができる。
また、第1、第2の反応ガスのいずれかが、NH3、H2O、及びO2の少なくともいずれかとすることができる。
これらの反応ガスの組み合わせにより種々の膜を形成できる。
【0014】
B. 本発明に係る成膜方法は、基板を収容する処理室内に第1の反応ガスが存在するステップと、前記処理室内に前記第1の反応ガスおよび前記第1の反応ガスと異なる第2の反応ガスが混在するステップと、前記処理室内に前記第2の反応ガスが存在するステップと、を具備することを特徴とする。
【0015】
第1の反応ガスが存在するステップでは、基板上に(基板上に直接、あるいは基板に形成された膜上に)第1の反応ガスの分子が吸着する。その後の第1、第2の反応ガスが混在するステップにおいては、第2の反応ガスの分子は基板側に吸着した第1のガス分子に加えて、雰囲気側の第1のガス分子とも反応することが可能となる。このように、基板に吸着している第2の反応ガスの分子の層がその層の表裏両方で第1の反応ガスの分子と反応できることから、膜の形成がより促進される。
なお、第1の反応ガスが存在するステップにおいては、処理室内に第2の反応ガスが実質的には存在せず、第2の反応ガスが存在するステップにおいては、処理室内に第1の反応ガスが実質的には存在しない。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る成膜装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る成膜装置10を表す一部断面図である。図1に示されるように、成膜装置10は、例えばアルミニウムやステンレス鋼により形成されたチャンバ11を備えている。このチャンバ11内の空間が本発明における処理室に対応する。
チャンバ11の側部には開口12が形成され、開口12には半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wをチャンバ11内に搬入或いは搬出するためのゲートバルブ13が取り付けられている。
【0017】
チャンバ11内には、ウエハWを載置する略円板状のサセプタ14が配設されている。サセプタ14内には、サセプタ14を所定の温度に加熱するヒータ15が配設されている。ヒータ15でサセプタ14を所定の温度に加熱することにより、サセプタ14に載置されたウエハWが所望の温度に加熱される。
サセプタ14の3箇所には、孔14aが上下方向に形成されている。孔14aの下方には、孔14aに挿入してウエハWを昇降させるためのウエハ昇降ピン16がそれぞれ配設されている。ウエハ昇降ピン16はウエハ昇降ピン支持台17に固定され、ウエハ昇降ピン支持台17には図示しない昇降手段が接続されている。昇降手段を駆動することにより、ウエハ昇降ピン16が昇降して、サセプタ14へのウエハWの載置および離間が行われる。
【0018】
チャンバ11の上部には、第1、第2の反応ガスGas1,Gas2それぞれをサセプタ14に向けて吐出するシャワーヘッド20が設置されている。シャワーヘッド20は、第1の反応ガスGas1を吐出する第1吐出部20aと、第1の反応ガスGas2を吐出する第2吐出部20bとに区分できる。第1吐出部20aには、第1の反応ガスGas1を吐出する多数の第1吐出孔が形成されている。同様に第2吐出部20bには、第2の反応ガスを吐出する多数の第2吐出孔が形成されている。なお、第1,第2の反応ガスGas1,Gas2として例えば、TiCl4、NH3を用いることで、ウエハW上にTiNを成膜できる。
【0019】
シャワーヘッド20の第1吐出部20aには、第1の反応ガスGas1を供給する第1供給系30aが接続されている。また、第2吐出部20bには、第2吐出部20bに第2の反応ガスGas2を供給する第2供給系30bが接続されている。
第1供給系30aは、流量調節器(MFC:Mass Flow Controller)31aおよびバルブ32aを通じて、第1供給配管33aから第1の反応ガスGas1を供給する。また、第2供給系30bは、流量調節器31bおよびバルブ32bを通じて、第2供給配管33bから第2の反応ガスGas2を供給する。流量調節器31a、31bにより第1、第2の反応ガスGas1、Gas2の供給量(流量)が調節される。また、バルブ32a,32bによって第1、第2の反応ガスGas1、Gas2の供給および供給停止が行われる。バルブ32a,32bには、バルブ32a,32bを制御するバルブ制御器35が接続されている。
【0020】
チャンバ11の底部には、圧力調節器(APC:Auto Pressure Controller)41を備えた排気系40(図示せず)が接続されている。排気系40によってチャンバ11内から第1,第2の反応ガス等を排出する。圧力調節器41で排気系40のコンダクタンスを調節することで、チャンバ11内の圧力を制御できる。圧力調節器41以降の排気系は、ドライポンプおよびターボ分子ポンプの組み合わせから構成できる。このうち、ドライポンプは、チャンバ11内の粗引きおよびターボ分子ポンプの負担軽減を行う。一方、ターボ分子ポンプは、精密引きを行うものであり、チャンバ11内から余分な反応ガス等を排出し、その圧力が所定の圧力(あるいは真空度)になるように維持する。
【0021】
(第1の実施形態における成膜の手順)
以下、成膜装置10で行われる成膜の手順について図2,3に沿って説明する。図2は本実施形態に係る成膜装置10で行われる成膜の手順の一例を表すフローチャートであり、図3はチャンバ11内における第1、第2の反応ガスGas1,Gas2それぞれの分圧P1,P2の時間的変化の一例を表すグラフである。
【0022】
(1)チャンバ11内へのウエハWの搬入・載置(ステップS11、時刻t0〜t1)
▲1▼まず、チャンバ11内にウエハWが搬入される。
具体的には、ゲートバルブ13が開かれ、ウエハWを保持した図示しない搬送アームが伸長して、チャンバ11内にウエハWが搬入される。
通例、ウエハWの搬入に先んじて、チャンバ11内が真空に引かれ、またウエハWは予め真空に引いた予備室(図示せず)内に配置される。ゲートバルブ13を開くことで、チャンバ11と予備室とが接続され、予備室からチャンバ11へのウエハWの搬入が可能となる。このようにすることで、ウエハWの搬入時においてもチャンバ11内の真空度を維持してウエハWへの成膜を速やかに行うことが可能となる。なお、チャンバ11内の真空引きは、例えば、ドライポンプによる粗引き及びターボ分子ポンプによる精密引きによって行える。
【0023】
▲2▼チャンバ11内に搬入されたウエハWがサセプタ14上に載置される。
ウエハ昇降ピン16が上昇して搬送アームが縮退することで、ウエハWがウエハ昇降ピン16上に載置され、その後にウエハ昇降ピン16が下降してウエハWが加熱されたサセプタ14上に載置される。
【0024】
(2)チャンバ11内への第1の反応ガスの供給(ステップS12、時刻t1〜t2)
ウエハWが昇温した後、バルブ32aが開かれて、第1吐出部20aからウエハWに向けて第1の反応ガスGas1が吐出される(反応ガスの供給開始)。その結果、チャンバ11内の第1の反応ガスGas1の分圧P1は上昇する。なお、この間も排気系40によるチャンバ11の排気は継続されている。
第1供給系30aからの第1の反応ガスGas1の供給量と排気系40からのガスの排気量とのバランスの結果、チャンバ11内における第1の反応ガスの分圧はP11に落ち着く。なお、このときの最終的な分圧P11が所望の値となるように、通例、圧力調節器41による排気量の調節が行われる。
【0025】
第1の反応ガスGas1の分子がウエハWに接触することで、ウエハW表面に第1の反応ガスGas1の分子が吸着される。
ここで、第1の反応ガスには適宜に窒素ガス、Arガス等の不活性ガスをキャリアガスとして混合してもよい。このときには、第1の反応ガスGas1の分圧P1は、キャリアガスを除外して考えるものとする(反応に寄与する成分のみを考慮)。
【0026】
(3)第1の反応ガスの分圧低減(ステップS13、時刻t2〜t3)
チャンバ11内における第1の反応ガスGas1の分圧P1を低減する。
この分圧低減は、排気系40によるガスの排気量に対する第1供給系30aからのガスの供給量を低減することによって行える。例えば、バルブ32aを閉じ第1の反応ガスGas1の供給を停止することで、チャンバ11内の第1の反応ガスGas1の分圧P1を低減できる。
【0027】
▲1▼第1の反応ガスGas1の供給の低減(または停止)に加えて、排気系40によるガスの排気量を増大してもよい。排気量を増大することで、チャンバ11内の分圧P1を速やかに低減できる。
▲2▼この排気量の増大に替えて、あるいはこれと共に、チャンバ11内に不活性ガス(窒素ガス、Arガス等)を供給することで、第1の反応ガスの分圧P1の低下を促進できる。即ち、不活性ガスをパージガスとして用い、第1の反応ガスGas1をチャンバ11内から追い出す。
【0028】
(4)第2の反応ガスの供給(ステップS14、時刻t3〜t4)
第1の反応ガスGas1の分圧P1が低下してP10に達したときに、バルブ32bを開き第2供給系30bからの第2の反応ガスGas2の供給が開始される。即ち、第1の反応ガスがチャンバ11内に残留した状態で、第2の反応ガスが供給される。
【0029】
▲1▼このとき、第2の反応ガスの供給開始の判断は、例えば以下のようにして行える。
・第1の反応ガスの分圧P1を測定して、この分圧P1が所定値P10に達したことにより、バルブ32bを開く。第1の反応ガスGas1にキャリアガスが混合されているときには、この混合ガスの全圧を測定し、第1の反応ガスGas1とキャリアガスの混合比を基に第1の反応ガスの分圧P1を算出できる。
・第1の反応ガスの分圧P1の低下が開始されてから(例えばバルブ32aを閉じてから)の時間(t3−t2)が所定値に達したことにより、バルブ32bを開いて第2の反応ガスGas2を供給する。
例えばバルブ32aを閉じてから所定時間が経過したことにより、バルブ32bを開いて第2の反応ガスGas2を供給する。バルブ32aを閉じてからの時間tの経過と第1のガスの分圧P1の変化が対応するからである。この時間tと分圧P1の対応関係は成膜に先んじて予め求めることができる。このようにすることで、第1の反応ガスGas1の分圧の測定を行うことなく、第2の反応ガスGas2の供給を開始することができる。
【0030】
▲2▼バルブ32bが開かれて、第2吐出部20bから第2の反応ガスGas2が吐出される(第2の反応ガスの供給開始)。その結果、チャンバ11内の第2の反応ガスGas2の分圧P2は上昇する。そして、第2供給系30bからの第2の反応ガスGas2の供給量と排気系40からのガスの排気量とのバランスの結果、チャンバ11内における第2の反応ガスの分圧はP21に落ち着く。なお、このときの最終的な分圧P21が所望の値となるように、通例、圧力調節器41による排気量の調節が行われる。
一方、第1の反応ガスGas1の分圧P1は、その供給が削減(または停止)されていることから、時刻t3以降も低下してゆきほぼゼロに近づく。
なお、第2の反応ガスには適宜に窒素ガス、Arガス等の不活性ガスをキャリアガスとして混合してもよい。このときには、第2の反応ガスGas2の分圧P2は、キャリアガスを除外して考えるものとする(反応に寄与する成分のみを考慮)。
【0031】
▲3▼以上から、少なくとも第2の反応ガスGas2の供給を開始した当初においては、第1の反応ガスGas1が残留している。
第2の反応ガスGas2の成分はウエハW上に吸着した第1の反応ガスGas1の成分と反応し、ウエハW上に第1、第2の反応ガスの反応生成物からなる膜が形成される。この反応の際に、第1の反応ガスの成分が残留していることから、膜の形成が速やかに行われる。なお、このメカニズムの詳細は後述する。
【0032】
(5)第2の反応ガスの分圧低減(ステップS15、S16、時刻t4〜t5)成膜を終了しない場合には(ステップS15)、成膜が続行され、第2の反応ガスの分圧P2が低減される(ステップS16)。なお、ステップS15における成膜の終了判断の詳細は後述する。
この分圧低減は、排気系40によるガスの排気量に対する第2供給系30bからのガスの供給量を低減することによって行える。例えば、バルブ32bを閉じ第2の反応ガスGas2の供給を停止することで、チャンバ11内の第2の反応ガスの分圧P2を低減できる。
【0033】
▲1▼第2の反応ガスGas2の供給の低減(または停止)に加えて、排気系40によるガスの排気量を増大してもよい。排気量を増大することで、チャンバ11内の分圧P2を速やかに低減できる。
▲2▼この排気量の増大に替えて、あるいはこれと共に、チャンバ11内に不活性ガス(窒素ガス、Arガス等)を供給することで、第2の反応ガスの分圧P2の低下を促進できる。即ち、不活性ガスをパージガスとして用い、第2の反応ガスGas2をチャンバ11内から追い出す。
【0034】
(6)第1の反応ガスの供給(2回目のステップS12、時刻t5〜t6)
第2の反応ガスGas2の分圧が低下してP20に達したときに、第1の反応ガスの供給が開始される。即ち、第2の反応ガスがチャンバ11内に残留した状態で、第1の反応ガスが供給される。このときの第1の反応ガスの供給開始は、ステップS14で説明したと同様に、第2の反応ガスの分圧P2の測定結果、あるいは時刻t4からの時間の経過のいずれに基づいて行うこともできる。
第1の反応ガスGas1が供給されることから、チャンバ11内の第1の反応ガスの分圧P1はP11に向かって増加する。この一方、第2の反応ガスの分圧P2がP20からさらに低下してゆきほぼゼロに近づく。
第1の反応ガスGas1の成分はウエハWの膜上に吸着する。この吸着の際に、第2の反応ガスの成分が残留していることから、膜の形成が速やかに行われる。
以上のようにして、時刻t5以降でステップS12〜S16が繰り返され、先の第1、第2の反応ガスが残留した状態で、その次の第2、第1の反応ガスの供給が行われる。
【0035】
(7)成膜の終了判断(ステップS15)
所望の膜厚の膜が形成されたら成膜が終了する。この判断はウエハW上に形成された膜の膜厚を測定することで行ってもよいが、これに代えてステップS12、S14の繰り返し数に基づいて行うことができる。この繰り替えし数と形成される膜厚が対応するからである。例えば、ステップS12,S14での第1、第2の反応ガスGas1,Gas2の供給を1サイクルとして、このサイクルを所定回数(所定サイクル)行う。
具体的には、第1、第2の反応ガスGas1,Gas2としてTiCl4、NH3を用い、ステップS12,S14を200サイクル行うことで、10数nm程度のTiNの膜を形成できる。但し、後述するように、この膜厚は次の反応ガスの供給を開始するときに残留している反応ガスの分圧P10、P20に依存する。
【0036】
(8)反応ガスの排出(ステップS17)
ステップS15で成膜の終了判断がなされたときには、チャンバ11から反応ガスが排出される。このときに排出される反応ガスは、ステップS12,S14が1組として工程が繰り返されることから、第2の反応ガスGas2である。
但し、これに代えて第1の反応ガスの供給、第1の反応ガスの排気を最後に行うことも可能である。即ち、第1、第2の反応ガスのどちらを最後に供給するかは、成膜工程における絶対的な要求ではない。成膜処理中でステップS12〜S16が繰り返される結果、個々のステップが成膜処理全体に与える影響は余り大きくないのが通例だからである。
第2の反応ガスを排出するには、バルブ32bを閉じ第2の反応ガスGas2の供給を停止すればよい。排気系40によりチャンバ11内から第2の反応ガスGas2が排出される。
この排出は、チャンバ11内のガス圧が充分小さくなるまで(例えば、ガス圧が約1.33×10−2Pa(1×10−4Torr)程度以下になるまで)継続される。
【0037】
(9)ウエハWの離間・搬出(ステップS18)
反応ガスの排気が完了すると、ウエハ昇降ピン16が上昇し、ウエハWがサセプタ14から離れる。その後、ゲートバルブ13が開かれ、図示しない搬送アームが伸長して、搬送アームにウエハWが保持される。最後に、搬送アームが縮退して、ウエハWがチャンバ11から搬出される。
【0038】
(ALD等との比較)
以下に本実施形態で示した成膜の手法と通常のALD技術等による成膜の手法とを比較して説明する。
A.成膜処理時間について(サイクル数を同一とした場合)
本実施形態における成膜では先の反応ガスが残留した状態で次の反応ガスを供給している。これに対して通常のALDでは先の反応ガスが完全に排出された後に次の反応ガスを供給する。このため、本実施形態における成膜はALDによる成膜よりも成膜処理のプロセスに要する時間が短縮される。
図4は、ALDによる成膜中におけるチャンバ内の第1、第2の反応ガスそれぞれの分圧P1,P2の時間的変化を表すグラフであり、図3に対応する。
図4の時刻t10〜t19それぞれが図3の時刻t0〜t9に対応する。時刻t11,t15,t19で第1の反応ガスGas1の供給が開始され、時刻t13,t17で第2の反応ガスGas2の供給が開始されている。これらの第1、第2の反応ガスGas1,Gas2の供給は、先の第2、第1の反応ガスGas2,Gas1の分圧がほぼゼロとなってから開始されている。
【0039】
ALDでの成膜は例えば、それぞれ10秒間の第1、第2の反応ガスの供給(時刻t11〜t12,t13〜t14,t15〜t16、t17〜t18)の間に、2秒間の反応ガスを排出する工程(時刻t12〜t13,t14〜t15,t16〜t17,t18〜t19)が設けられている。第1の反応ガスGas1の供給、排出、第2の反応ガスGas1の供給、排出を1サイクルとして200サイクル処理すると、処理時間の合計は以下のように算出できる。
(10+2+10+2)秒*200=4800秒=1時間20分
【0040】
これに対して、本実施形態で示した成膜手法では、反応ガスが全て排出されない内に次の反応ガスを供給することから、少なくともガスの排出時間を短縮できる。ガスの排出時間を例えば、0.5秒として他の条件をALDと同様とすると(実際には、後述するようにサイクル数の低減が可能)、処理時間の合計は以下のように算出できる。
(10+.5+10+.5)秒*200=4200秒=1時間10分
このように、サイクル数を同一(200サイクル)とした場合に10分間の時間短縮が可能である。
実際には、次に示すようにサイクル数当たりに成長する膜厚が異なることから、本実施形態で示した手法を用いることで、更なる成膜時間の短縮が可能となる。
【0041】
B.成膜速度(1サイクル当たりの成長膜厚)
次に本実施形態の手法における成膜速度についてALDと比較して説明する。一般には、成膜速度は単位処理時間当たりに成長する膜厚で表す場合が多いが、本実施形態で示した手法の場合には、次に示すように1サイクル当たりに成長する膜厚で表すのが適切である。
【0042】
CVDにおいては、混合した反応ガスを用い、この混合反応ガスが加熱されたウエハWの表面で反応することで成膜が行われる(いわゆる表面反応)。このため、混合反応ガスがウエハWに接触している時間(いわゆる処理時間)に対応して(比例して)膜厚が増加する。このため、成膜速度を単位処理時間当たりに成長する膜厚で表すことがふさわしい。
しかしながら、本実施形態で示した手法では、成膜のメカニズムがCVDとは全く異なり、第1、第2の反応ガスGas1、Gas2を供給している時間(例えば図3の時刻t1〜t2、t5〜t6、時刻t3〜t4,t7〜t8)の全期間において連続的に成膜が行われてはいない。このため、単位時間当たりの成長膜厚にはあまり意味がない。第1、第2の反応ガスGas1、Gas2の交互供給によって膜が成長することから、成膜速度をこの交互供給の1サイクル当たりの成長膜厚で表すのがより適切である。
【0043】
本実施形態の手法は、成膜速度を1サイクル当たりの成長膜厚で表せる点でALDと対応する。但し、本実施形態の手法を利用することで、ALDに比較して成膜速度(1サイクル当たりの成長膜厚)を2倍程度以上に向上することができる。
以下に、本実施形態の手法を用いることで成膜速度が向上するメカニズムを説明する。ここでは、2つの反応ガスとしてTiCl4とNH3を用いた場合を例をして説明する。この2つの反応ガスが交互に供給されることから、NH3が残留している状態でTiCl4が供給される場合と、その逆にTiCl4が残留している状態でNH3が供給される場合の2通りがある。
【0044】
(1)NH3が残留している状態でTiCl4が供給される場合
まず、本実施形態の手法で、NH3が残留している状態でTiCl4が供給される場合につき説明する。
▲1▼先に、比較例としてALDの場合について説明する。
図5はALDによる成膜のメカニズムを表す模式図である。なお、ここに示す模式図はあくまで概念的なものであるから、分子を構成する原子の数まで正確に表しているとは限らない。
ウエハW上にTiCl4を供給する。供給されたTiCl4は、ウエハW(あるいは既に形成されたTiN層)上に吸着される(図5(A))。その後、TiCl4を排出してNH3を供給する。供給したNH3はTiCl4と反応してTiNが形成される(図5(B))。このとき、形成されるTiNはウエハWに吸着したTiCl4の分布を反映したものとなる。即ち、図5(B)で形成されたTiNは、仮想線で示したようにその間にTiNの分子を配置する余地がある。このため、TiCl4とNH3の供給を1サイクル行っても、TiN本来の単層が形成されるには至らない。
これは、TiCl4の分子構造に起因するものであり、Ti原子に結合しているCl原子がTiCl4分子同士の密な分布を妨げている。TiCl4の立体的な分子構造に起因するTiの分布の障害であり、一種の立体障害といえる。
【0045】
▲2▼次に本実施形態の手法を用いた場合につき説明する。
図6は本実施形態の手法による成膜のメカニズムを表す模式図である。
NH3が残留している状態で、ウエハW上にTiCl4を供給する。供給されたTiCl4は、ウエハWの表面に吸着するが、その一部は残留しているNH3と反応してTiNが形成される(図6(A))。TiNはTiCl4よりも分子が小さいため、形成されたTiNの周りでは、TiCl4が他よりも近接して分布することができる。
その結果、次にNH3を供給したときに、TiNがALDの場合よりも密に形成される(図6(B))。このように、TiCl4の供給時に在留しているNH3がTiCl4と反応することで、成膜速度が向上する。
【0046】
(2)TiCl4が残留している状態でNH3が供給される場合
本実施形態の手法で、TiCl4が残留している状態でNH3が供給される場合につき説明する。
▲1▼比較例としてALDの場合について説明する。
図7はALDによる成膜のメカニズムを表す模式図である。
ウエハW上にNH3を供給する。供給されたNH3は、ウエハW(あるいは既に形成されたTiN層)上に吸着される(図7(A))。その後、NH3を排出してTiCl4を供給する。供給したTiCl4はNH3上に単層を形成して(図7(B))、TiCl4とNH3が反応することでTiNが形成される(図7(C))。このとき、TiCl4の分子の大きさの関係でウエハW上には未反応のNH3が残され、TiN本来の単層が形成されるには至らない。
これは、前記(1)の場合と同様に、TiCl4の立体的な分子構造に起因する一種の立体障害である。
【0047】
▲2▼次に本実施形態の手法を用いた場合につき説明する。
図8は本実施形態の手法による成膜のメカニズムを表す模式図である。
TiCl4が残留している状態で、ウエハW上にNH3を供給する。供給されたNH3は、ウエハWの表面に吸着するが、吸着したNH3の少なくとも一部に残留しているTiCl4が吸着する(図8(A))。その次にTiCl4を供給したときには、先のNH3に吸着したTiCl4はNH3と反応してTiNが形成されている(図8(B))。このため、TiCl4分子の立体構造に起因する立体障害は低減され、より密にTiNが形成される(図8(C))。
このように、NH3の供給時に在留しているTiCl4がNH3と反応することで、成膜速度が向上する。
【0048】
(3)▲1▼以上のようにNH3が残留している状態でTiCl4が供給された場合、TiCl4が残留している状態でNH3が供給された場合のいずれにおいても1サイクル当たりの成長膜厚を増大できる。即ち、図2,3に示したプロセスでは、2つの反応ガスGas1,Gas2それぞれが残留している状態で、次の反応ガスGas2,Gas1を供給しているが、これは必須条件ではない。
一方の反応ガス(例えば、第1の反応ガス)が残留した状態で他方の反応ガス(例えば、第2の反応ガス)を供給する一方、この一方の反応ガス(例えば、第1の反応ガス)の供給は他方の反応ガス(例えば、第2の反応ガス)を完全に排出してから行っても、成膜速度の向上を図ることができる。具体的には、図2のステップS13,S16の一方において第1、第2の反応ガスを完全に排出しても差し支えない。なお、このことは、後述する実験によっても確認されている。
▲2▼上述の(1)、(2)のメカニズムを一般的に表すと、吸着した反応ガスAの分子層の表裏いずれからも他の反応ガスの分子による反応が生じ得ることで成膜の促進が行われるといえる。即ち、反応ガスAの分子層は、その下層に吸着している反応ガスBの分子および雰囲気中に存在する反応ガスBの分子のいずれとも反応できることで成膜が促進される。
【0049】
C. 本実施形態の手法の位置づけ
本実施形態の手法の成膜技術としての位置づけをCVD、ALDとの比較において説明する。
ALDはCVDに比べて次のような特徴があるとされている。
(1)より低温での成膜が可能
(2)より多様なガス種を利用可能
(3)ステップカバレージが良好であり、微細な凹凸への均一な成膜が可能
本実施形態で示した手法は上記の(1)〜(3)の利点を保持したまま、成膜速度の向上を図ることができる。さらに後述するように、本実施形態の手法に基づく手法で形成された膜はALDで形成された膜と近似するか、あるいはむしろ優れた性質を有することが確認されている。
【0050】
本実施形態で示した手法は、複数の反応ガスを交互に供給することで反応ガスの供給中の全期間(図3の時刻t1〜t2,t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8)における連続的な成膜を行わないようにしている点で、ALDと共通する。一方、ALDがそれぞれの反応ガスを単層ずつウエハWに吸着させて反応させているのに対して、本実施形態で示した手法では残留した反応ガスを利用してそれぞれの反応ガスにおける単層を越えた成膜を可能とする。なお、本実施形態で示した手法は、例えば基板の温度についてALDの場合と同程度の温度条件を採用することができる。
以上から判るように本実施形態で示した手法は、CVDとALDの中間的な手法といえる。反応ガスを供給する期間のうち、膜の形成に直接関与する期間を限定することで、局所的な成膜速度の違いを吸収し、均質な膜の形成を可能としている(局所的に成膜速度が相違する箇所があっても、成膜速度の速い箇所である程度の成膜が行われた状態で成膜が停止し、成膜速度の遅い箇所での成膜の完了を待つことになる)。
【0051】
(実施例)
次に、第1、第2の反応ガスとしてTiCl4、NH3をそれぞれ用いてTiNを成膜した場合における実施例を示す。
図9、10はそれぞれ、TiCl4およびNH3の減圧時間(供給を停止してからの時間)Vacuum Timeに対する成膜速度GR(1サイクル当たりの成長膜厚)および抵抗率Resistivityの変化を表したグラフである。実線のグラフが成膜速度GRを、破線のグラフが抵抗率Resistivityを表している。また、図11はTiCl4およびNH3の減圧時間Vacuum Timeに対する分圧Pressureの変化を窒素ガスの場合と対比して表したグラフである。減圧時間Vacuum Timeに対応して、分圧Pressureが減少してゆくことが判る。ここで、TiCl4の減圧時間が0.5秒、1秒のときに、その分圧はそれぞれ、6.90Pa(5.18×10−2Torr)、0.563Pa(4.22×10−3Torr)である。また、NH3の減圧時間が0.5秒、1秒のときに、その分圧はそれぞれ、8.77Pa(6.58×10−2Torr)、0.549Pa(4.12×10−3Torr)である。
【0052】
なお、図9,10では次のような通常のALDの範囲に含まれるプロセスを基準としてそれからTiCl4およびNH3を減圧する時間を変化させている。
基準プロセスでは、次の▲1▼〜▲4▼を200サイクル繰り返す。▲1▼200.0Pa(1.5Torr)のTiCl4を10秒間供給、▲2▼TiCl4の供給を停止してその分圧を2秒間減少、▲3▼200.0Pa(1.5Torr)のNH3を10秒間供給、▲4▼NH3の供給を停止して分圧を2秒間減少する。なお、このとき、ウエハWは400℃に加熱されている。
【0053】
図9,10に示すように、TiCl4、NH3いずれの減圧時間を変化させた場合でも減圧時間1秒程度を境界として成膜速度GRが増大していることが判る。即ち、分圧で示せば0.5Pa程度以上で成膜速度GRが向上する。そして、成膜速度をより向上させるには、分圧が1Pa以上、さらには5Pa以上であることが好ましいことが判る。
【0054】
この成膜速度GRの向上と対応するように抵抗率Resistivityが低下している。TiN等の本来導電性の材料においては、不純物(例えば、Cl)の残留等によって抵抗率の増大が生じると考えられる。即ち、この抵抗率の低下はTiNの膜質がより良好になることを間接的に表すものと考えられる。
以上に示すように、TiCl4、NH3いずれの減圧時間を短くした場合(即ち、残留分圧を増大した場合)でも、成膜速度および膜質の双方を向上することが示される。そして、この境界は分圧にしてTiCl4、NH3いずれでも0.5Pa程度が境界となる。この分圧は次に供給する反応ガスの分圧の1/400(=0.5Pa/200Pa)である(好ましくは、1/200以上、さらに好ましくは1/40以上)。
【0055】
図11に示すように、分圧の時間的変化はガス種によって相違がある。これはチャンバ11の内壁に対する吸着性がガス種によって相違することに起因すると考えられる。
一般にガス分子はチャンバ11の内壁に吸着する。チャンバ11の内壁に吸着したガス分子は、その後に再びチャンバ11の内壁から脱離しチャンバ11内の雰囲気となる。このチャンバ11内壁へのガス分子の吸着、脱離はいわばチャンバ11内壁が呼吸しているようなものであり、チャンバ11内におけるガスの排出(分圧の低下)を妨げる要因になる。このため、チャンバ11内壁に吸着し易いガス分子であるほど分圧の時間的変化が緩やかになる。
参考に示した窒素ガスの場合は反応性が高くないため比較的チャンバ11の内壁に吸着されにくく、速やかにチャンバ11から排出される。これに対して、TiCl4、NH3は比較的反応性が高く、チャンバ11の内壁に吸着されやすい、特にNH3は極性分子であるためチャンバ11内壁への吸着性が大きい。
【0056】
このように、図11でのTiCl4およびNH3の分圧と、窒素ガスの分圧の変化の相違はチャンバ11内壁への吸着、脱離によるガス成分を反映するものといえる。
このチャンバ11内壁に対するガス分子の吸着特性はガス分子のみに依存する訳ではなく、チャンバ11の内壁を構成する材料にも依存する。
以上のように、排気時間そのものはガスの分圧の値そのものと常に一対一の関係にある訳ではなく、本実施形態を直接的に特徴付ける量とはいえないことが判る。
【0057】
(第2の実施の形態)
第1の実施形態では2種類の反応ガスを交互に供給していたが、本実施形態では3種類の反応ガスを順に繰り返し供給する場合を示す。
図12は本実施の形態に係る成膜装置110を表す一部断面図である。
本実施形態では、第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3それぞれを吐出するシャワーヘッド120が設置されている。シャワーヘッド120は、第1、第2の反応ガスGas1、Gas2を吐出する第1吐出部120aと、第3の反応ガスGas3を吐出する第2吐出部120bとに区分できる。第1吐出部120aには、第1、第2の反応ガスGas1をそれぞれ供給する第1供給系130aおよび第2供給系130bが接続されている。また、第2吐出部120bには、第2吐出部120bに第3の反応ガスGas3を供給する第3供給系130cが接続されている。なお、本実施形態では第1、第2の反応ガスを共通する第1吐出部120aから吐出しているが、互いに異なる吐出部から吐出させても差し支えない。
【0058】
第1〜3の供給系130a〜130cはそれぞれ、流量調節器131a〜131cおよびバルブ132a〜132cを通じて、第1〜3供給配管133a〜133cより第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3を供給する。流量調節器131a〜131cにより第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3の供給量(流量)が調節され、バルブ132a〜132cによって第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3の供給、供給停止が行われる。バルブ132a〜132cには、バルブ132a〜132cを制御するバルブ制御器135が接続されている。
本実施形態は、第1の実施形態と本質的に相違する訳ではないので、その他の点の説明を省略する。
【0059】
(第2の実施形態における成膜の手順)
以下、成膜装置110で行われる成膜の手順について図13,14に沿って説明する。図13は本実施の形態に係る成膜装置110で行われる成膜の手順を示したフローチャートであり、図14はチャンバ11内における第1〜3の反応ガスGas1〜Gas3それぞれの分圧P1〜P3の時間的変化を表すグラフである。
本実施形態では、成膜の終了に至るまでステップS22〜S28における、第1の反応ガスの供給および分圧低減、第2の反応ガスの供給および分圧低減、第3の反応ガスの供給および分圧低減が繰り返し行われる。
その他の点では、第1の実施形態と本質的に異なる訳ではないので、記載を省略する。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は、上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜に追加、変更が可能である。
(1)例えば、反応ガスとして種々のガス種を用いることができる。表1は、反応ガスののガス種および形成される膜の材質(膜種)を例示したものである。既述のTiCl4とNH3の組み合わせに替えて、表1に示す他の反応ガスを利用できる。
【表1】
なお、表1において、TEMATはTi[N(C2H5CH3)2]4、TDMATはTi[N(CH3)2]4、TDEATはTi[N(C2H5)2]4、TBTDETはTa(NC(CH3)3)(N(C2H5)2)3をそれぞれ表す。
【0061】
(2)反応ガスを供給する順序は表1の第1〜第3の順序に限る必要はない。例えば、TiCl4、NH3の順序に替えて、NH3、TiCl4の順序で供給してもよい。
(3)成膜を行う対象としては、ウエハWに限らず、ガラス基板等の基板一般、さらには成膜対象一般を用いることができる。
(4)既述のように反応ガスの排気の際にN2のようなパージガスをチャンバ2内に供給して分圧の変化を促進することも可能である。
【0062】
(5)既述のように反応ガスの残留は、必ずしも全ての反応ガスについて行う必要はない。いずれかの反応ガスについてのみ残留した状態で次の反応ガスを供給してもよい。成膜処理の時間中にチャンバ内で複数の反応ガスが共存する時間が一部に存在する限り、複数の反応ガスの相乗効果による成膜速度の向上等が生じうる。
このことは、▲1▼反応ガスAの存在、▲2▼反応ガスA,Bの共存、▲3▼反応ガスBの存在の▲1▼〜▲3▼の工程が確保できれば良く、この工程の前または後に他の反応ガスを供給する工程を適宜に付加できることを意味する。
【0063】
(6)さらにいえば、この▲1▼〜▲3▼の工程を実現する手段も適宜に選択可能である。上記実施形態では第1の反応ガスの排出が完了しない内に第2の反応ガスを供給することで、▲2▼の工程を実現していたが、例えば第1、第2の反応ガスを意図的に混合して供給することでも▲2▼の工程を実現できる。
(7)なお、反応ガスの供給はシャワーヘッドに限らずチャンバ内に適宜の手段で供給することが可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の成膜方法によれば、通常のALD技術に比較して成膜速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る成膜装置を表す一部断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る成膜装置で行われる成膜の手順の一例を表すフローチャートである。
【図3】成膜装置のチャンバ内における第1、第2の反応ガスそれぞれの分圧の時間的変化の一例を表すグラフである。
【図4】ALDによる成膜中における成膜装置のチャンバ内の第1、第2の反応ガスそれぞれの分圧の時間的変化の例を表すグラフである。
【図5】ALDによる成膜のメカニズムの一例を表す模式図である。
【図6】第1の実施形態で示した手法による成膜のメカニズムの一例を表す模式図である。
【図7】ALDによる成膜のメカニズムの他の例を表す模式図である。
【図8】第1の実施形態で示した手法による成膜のメカニズムの他の例を表す模式図である。
【図9】TiCl4の供給を停止してからの時間に対する成膜速度および抵抗率の変化を表したグラフである。
【図10】NH3の供給を停止してからの時間に対する成膜速度および抵抗率の変化を表したグラフである。
【図11】TiCl4およびNH3の供給を停止してからの時間に対する分圧の変化を窒素ガスの場合と対比して表したグラフである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る成膜装置を表す一部断面図である。
【図13】第2の実施形態に係る成膜装置で行われる成膜の手順の一例を表すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態に係る成膜装置のチャンバ内における第1、第2、第3の反応ガスそれぞれの分圧の時間的変化の一例を表すグラフである。
【符号の説明】
10…成膜装置、11…チャンバ、12…開口、13…ゲートバルブ、14…サセプタ、14a…孔、15…ヒータ、16…ウエハ昇降ピン、17…ウエハ昇降ピン支持台、20…シャワーヘッド、20a…第1吐出部、20b…第2吐出部、30a…第1供給系、30b…第2供給系、31a、31b…流量調節器、32a、32b…バルブ、33a…供給配管、33b…供給配管、35…バルブ制御器、40…排気系、41…圧力調節器
Claims (11)
- 基板を収容する処理室内に第1の反応ガスを供給する第1のガス供給ステップと、
前記第1の反応ガスが供給された前記処理室内における該第1の反応ガスの分圧を低下させる第1の分圧低下ステップと、
前記第1の反応ガスの分圧が所定分圧値以上のときに、該第1の反応ガスと異なる第2の反応ガスを供給する第2のガス供給ステップと、
を具備することを特徴とする成膜方法。 - 前記第2の反応ガスが供給された前記処理室内における該第2の反応ガスの分圧を低下させる第2の分圧低下ステップ
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の成膜方法。 - 前記第1のガス供給ステップ、前記第1の分圧低下ステップ、前記第2のガス供給ステップ、および前記第2の分圧低下ステップを繰り返す
ことを特徴とする請求項2記載の成膜方法。 - 前記処理室内における前記第2の反応ガスの分圧が所定分圧値以上のときに、前記第1、第2の反応ガスのいずれとも異なる第3の反応ガスを供給する第3のガス供給ステップ
をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の成膜方法。 - 前記第1の分圧低下ステップが、前記第1の反応ガスの供給を停止または低減するステップを含む
ことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。 - 前記第1の分圧低下ステップが、前記処理室内に不活性ガスを供給するステップを含む
ことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。 - 前記所定分圧値が0.5Paである
ことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。 - 前記所定分圧値が1.0Paである
ことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。 - 前記第1、第2の反応ガスのいずれかが、TiF4、TiCl4、TiBr4、TiI4、Ti[N(C2H5CH3)2]4、Ti[N(CH3)2]4、Ti[N(C2H5)2]4、TaF5、TaCl5、TaBr5、TaI5、Ta(NC(CH3)3)(N(C2H5)2)3、Ta(OC2H5)5、Al(CH3)3、Zr(O−t(C4H9))4、ZrCl4、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、及びSiCl4の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
- 前記第1、第2の反応ガスのいずれかが、NH3、H2O、及びO2の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
- 基板を収容する処理室内に第1の反応ガスが存在するステップと、
前記処理室内に前記第1の反応ガスおよび前記第1の反応ガスと異なる第2の反応ガスが混在するステップと、
前記処理室内に前記第2の反応ガスが存在するステップと、
を具備することを特徴とする成膜方法。
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