JP2004091782A - 植物油脂製造工程から生じる油滓の資源化方法 - Google Patents

植物油脂製造工程から生じる油滓の資源化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004091782A
JP2004091782A JP2003292563A JP2003292563A JP2004091782A JP 2004091782 A JP2004091782 A JP 2004091782A JP 2003292563 A JP2003292563 A JP 2003292563A JP 2003292563 A JP2003292563 A JP 2003292563A JP 2004091782 A JP2004091782 A JP 2004091782A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
soapstock
producing
oil
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003292563A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Nishida
西田 穣
Toshinori Saida
斎田 利典
Kaori Kunisawa
國澤 香織里
Shigeru Kato
加藤 茂
Kitoku Kojima
小島 紀徳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshin Oillio Ltd
Original Assignee
Nisshin Oillio Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Oillio Ltd filed Critical Nisshin Oillio Ltd
Priority to JP2003292563A priority Critical patent/JP2004091782A/ja
Publication of JP2004091782A publication Critical patent/JP2004091782A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11CFATTY ACIDS FROM FATS, OILS OR WAXES; CANDLES; FATS, OILS OR FATTY ACIDS BY CHEMICAL MODIFICATION OF FATS, OILS, OR FATTY ACIDS OBTAINED THEREFROM
    • C11C3/00Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom
    • C11C3/003Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by esterification of fatty acids with alcohols

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Liquid Carbonaceous Fuels (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)

Abstract

【課題】植物油の製造工程において排出され、廃棄・焼却処理されている油滓から脂肪酸エステル化物等の資源を回収して利用することができるようにする。
【解決手段】通常、脂肪酸エステル化物を製造するためには、アルコールの添加だけでなく、強アルカリ等の反応触媒が必要となるところを、油滓にアルコールを添加するだけで、強アルカリ等の反応触媒が不要な状態で脂肪酸エステル化物を製造する方法に関するものである。また、当該方法により得られた、脂肪酸エステル化物からは燃料等を製造することとした。
【選択図】    図1

Description

 本発明は、植物油脂(植物油)の製造工程より生じる副生成物である油滓の処理方法、具体的には、従来より廃棄処分や焼却処分されている油滓から、脂肪酸エステル化物、脂肪酸、グリセリン等の資源物を回収することができる油滓の有効活用方法に関し、また、前記脂肪酸エステル化物を燃料その他のエネルギー源として利用する方法に関する。
 油滓は水分を含み、かつ高粘性・ペースト状のものであるため、扱いが困難なこともあって、有益な利用方法が少なく、産業廃棄物等としてその殆どが焼却処分等に付されていた。しかし現在では、焼却場所や焼却炉の老朽化等の問題もあり、産業廃棄物として存在すること自体が問題視されてきたことから、こうした油滓の有効利用が検討されるようになった。このような有効利用方法としては、石けんや塗料の原料として脂肪酸を製造することが一部の工場において工業化されている。また、油滓を堆肥化する方法等も開発されている(特許文献1)。
 しかし、上記従来方法では、いずれも処理できるのは油滓の一部に過ぎないということがあり、油滓を十分に有効使用しているとは言いがたく、処理できる油滓量としても限界があった。
特開平9−268086号公報
 本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物油脂の製造工程において排出され、従来、廃棄、焼却処理されている油滓を今まで以上に有効活用することにある。
 上記課題を解決するため本発明者らが鋭意研究した結果、油滓にアルコールを添加することにより、特に触媒を添加することなく、燃料等に利用可能な脂肪酸エステル化物を簡易に得ることができるということを見出し、そこに油滓の有効利用の途を見出すことによって、本発明を完成させるに至った。
 本発明の重要な技術的手段として、植物油脂製造工程で得られる油滓から脂肪酸エステル化物を製造する方法があげられる。即ち、一般的な脂肪酸エステル化物の製造方法では、エステル化反応において別途強アルカリ等を添加することが必要となるが、本発明は、植物油脂製造工程において、強アルカリ(水酸化ナトリウム)が添加されることを利用することによりなる。これは、脂肪酸エステル化物の製造という面からも極めて簡易であり、作業工程、安全面、コスト面に優れると共に、油滓を有効活用するという視点からも優れている。ここで、脂肪酸エステル化物は燃料とすることができ、また、該燃料で得たエネルギー源を植物油脂製造工程に利用することもできる。
 すなわち、本発明は以下の内容からなる。
 (1) 植物油脂の製造工程より得られる油滓組成物に、アルコールを添加し、触媒を添加せずに加熱処理することを特徴とする脂肪酸エステル化物の製造方法。
 (2) 前記アルコールがメタノールであることを特徴とする(1)に記載の脂肪酸エステル化物の製造方法。
 (3) 前記油滓組成物が乾燥処理されたものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の脂肪酸エステル化物の製造方法。
 (4) 前記油滓組成物に油脂および/または脂肪酸を添加することを特徴とする(1)から(3)いずれか記載の脂肪酸エステル化物の製造方法。
 (5) (1)から(4)いずれかに記載した方法において、前記油滓組成物から有効資源物を回収することにより、植物油脂製造ラインから排出される廃棄物を低減する方法。
 (6) 植物油脂の製造工程より得られる油滓組成物に、アルコールを添加し、触媒を添加せずに加熱処理することを特徴とする脂肪酸エステル化物の製造方法であって、前記植物油脂の製造工程より得られる油滓組成物にアルコールを添加し、触媒を添加せずに加熱処理する工程と、脂肪酸エステル化物を分離する工程と、当該分離(分配)処理で生じた分離残渣から脂肪酸およびグリセリンを製造する工程と、を有し、該製造された脂肪酸の一部または全部を前記工程の油滓組成物、アルコールおよびこれらの混合物のいずれか1以上に添加することを特徴とする油滓組成物から資源物を製造する方法。
 (7) (1)から(6)いずれか記載の方法であって、前記油滓組成物から資源物を製造するにおいて、前記脂肪酸、脂肪酸エステル化物、またはグリセリンを製造する量を調整することが可能であることを特徴とする油滓組成物から資源物を製造する方法。
 (8) (1)から(4)いずれか記載の脂肪酸エステル化物の製造方法により製造した脂肪酸エステル化物を原料として使用して燃料の製造をすることを特徴とする燃料製造方法。
 (9) (1)から(4)いずれか記載の脂肪酸エステル化物の製造方法により製造した脂肪酸エステル化物を燃料として利用し、熱、電気、蒸気を提供する方法。
 (10) (1)から(4)いずれか記載の脂肪酸エステル化物を製造する方法において、当該脂肪酸エステル化物を製造する工程が、プログラムされたコンピュータによって制御されるものであることを特徴とする脂肪酸エステル化物の製造方法。
 (1)の発明は、(2)の発明から(4)の発明に記載した発明の基礎となる発明である。すなわち、植物油脂製造工程から排出される油滓組成物(以下、油滓と称する)は有効資源を含んでいる。前記有効資源にアルコールを添加し、触媒を添加せずに加熱処理することにより、脂肪酸エステル化物として回収しようとするものである。この場合、例えば油脂から脂肪酸エステル化物を製造するためには、アルコール以外に強アルカリ等を触媒として加える必要があるが、本発明では強アルカリ等の触媒が不要である点に特徴がある。
 (2)の発明は、上記発明において添加するアルコールをメタノールに限定したものである。
 (3)の発明は、(1)の発明または(2)の発明に記載した発明について、原料である油滓を乾燥処理させたものである。この処理をすることにより、脂肪酸エステル化物の製造効率が上昇することに着目したものである。ここで、乾燥とは、油滓中の水分を減少させることを意味し、脱水も含むものとする。
 (4)の発明は、原料である油滓に油脂、脂肪酸を添加するものである。この操作により、脂肪酸エステル化物の製造効率が上昇することに着目したものである。また、この方法を使用し、工場化する場合、各製造工程で発生する廃油等の処理を考えたものである。
 (5)の発明によれば、植物油脂の製造工程より生じる色々な廃棄物のうち、本発明において特に、本来扱いが困難なため、産業廃棄物等としてその殆どが焼却処分等に付されていた油滓に着目し、有用物質を取り出すための対象として選択される。そして、対象となる油滓から、上記に説明した脂肪酸エステル化物を効率良く取り出すための有効な方法を採用することにより、より多くの有用物質が取り出され、最終的に、植物油脂の製造工程から排出される廃棄物量の低減がなされるものである。
 (6)の発明について、油滓から脂肪酸エステル化物を製造する場合、分離残渣から脂肪酸石けんが得られ、さらに、中和処理することによって脂肪酸が得られる。前記得られた脂肪酸を出発原料である油滓等にフィードバックすることにより、前記脂肪酸エステル化物の製造効率のアップを図ったものである。
 (7)の発明は、(1)から(6)の発明の資源物製造量を調整可能としたものであり、製造工程の弾力化を図ったものである。
 (8)の発明によれば、前記(1)から(4)の発明により製造された脂肪酸エステル化物を原料にして、ディーゼル燃料などの燃料や燃料油添加剤、潤滑油基油が製造されることになる。
 (9)の発明によれば、前記(1)から(4)の発明により製造された脂肪酸エステル化物を燃料として利用して、そのエネルギーが熱、電気、蒸気等に変換されて提供されることになる。これによって、植物油製造工程、脂肪酸エステル化物製造工程およびこれらを含む一群のプラント等の熱源やディーゼル機関の燃料等として利用できる。また、燃料油添加剤、潤滑油基油として利用できる。
 (10)の発明によれば、脂肪酸エステル化物を生成する工程がROM等に内蔵されたコンピュータ動作可能なプログラムによる操作によって、製造装置のバルブ、各種検出器等の周辺機器・装置を制御することができる。このROM等に内蔵のプログラムによる工程の制御により、資材の効率的な移動や、総合的な処理時間の制御を行うことが可能となる。
 本発明の効果としては、植物油脂製造工程から排出される油滓について、従来では殆ど利用されていなかったところ、本発明により、資源化することにより利用可能となった。また、処理に必要な薬液が少なくてすむため、実施しやすい。このため、本発明によれば、安価に燃料等を製造できるということになる。また、環境保全、CO低減、および資源の有効活用につながるものである。
 以下に、本発明の反応条件、操作等を示す。また、製造例として油滓の脂肪酸エステル化物系統図を図1に示す。
[用語の定義等]
 植物油脂の製造工程より得られる油滓とは、主に油脂の精製工程における遊離脂肪酸を除去することを等を目的とする脱酸処理工程から生じるものであり、植物油脂の製造工程の副生成物である。
 油滓は、通常、高粘性・ペースト状であり、水分を40〜50%、中性油を15〜20%、脂肪酸石けんを30〜40%、その他を5〜15%や、水分を30〜60%、中性油を10〜30%、脂肪酸石けんを15〜35%、その他5〜15%を含んでいるものを一般例として例示することができる。
 また、油滓とは、主に油滓そのもののことを言うがこれに限定されず、油滓を主成分とする組成物をも含む。油滓を主成分とする組成物としては、例えば、粘度調整等のために油脂類を混合したものもが挙げられる。また、脂肪酸エステル化物の収率等を考慮すれば乾燥された油滓が好ましいが、水との混合物も含まれる。更に、異なる植物油脂から副生された油滓が複数混合したものでもよい。
 油滓は各種の植物油脂の製造工程において生じる。例えば菜種油、大豆油、紅花油、亜麻仁油、パーム油、パーム核油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油などの製造工程から排出されるものを含むが、これらには限定されない。また、これらの油脂が複数混合したもの、及びジグリセリドやモノグリセリドを含む油脂、更には一部酸化、還元、加水分解等の変性を起こした油脂を含んだ油滓でもよい。
 尚、含水油滓について言えば、脂肪酸エステル化物の収率等を考えれば、油滓の水分は少ない方が好ましい。油滓の乾燥方法としては、回転加熱ロール乾燥装置やドラムドライヤーもしくは真空ドラムドライヤー等により乾燥することを例示できる。
 ここで、含水油滓から水分を除去することについて言及すれば、含水油滓から水分を除去することにより油滓容積が減少するため、製造面での取り扱い性が良くなり、効率が向上することになる。ただし、乾燥処理をすることで収率は向上するが、油滓が半固体化しハンドリングが困難となる傾向があるため、含水油滓から水分を除きすぎるのは好ましくなく、従って、油滓中の水分は収率と操作性に応じて調整する必要がある。
 操作性や反応性の向上を目的として、油滓に溶剤を添加しても良い。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、MEK、MIBK、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤等を配合することができる。
[アルコール添加による油滓の反応]
 上述したように、油滓は種類によって性質は異なるが、一般的に高粘性物質(ペースト状)もしくは半固体物であるため、図1に示す加熱機付反応槽2において油滓を溶解、さらには反応を促進するために攪拌もしくは錬合することが好ましい。また、加熱処理することが好ましい。
 添加するアルコールの種類としては特に限定されないが、一般式R−OHで示されるアルコールのうち、Rが炭素数1から10のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基などが挙げられるが、好ましくはRが炭素数1から4の直鎖及び分岐アルキル基であり、より好ましくはメタノール、エタノール、ブタノールであり、更に好ましくはメタノールである。また、アルコールは単独でも二種以上を混合して用いても良い。
 アルコールの使用量は使用する油滓及びアルコール等の種類によって適宜決定されるが、特に、含水油滓を用いる場合はエステル化反応を促進させるため、さらに、乾燥油滓を用いる場合は溶媒として使用することもできるため、反応量等に対して過剰に用いる方が好ましく、油滓10質量部に対して1質量部から1000質量部、好ましくは2質量部から500質量部、さらに好ましくは2質量部から200質量部、最も好ましくは2〜100質量部である。なお、過剰のアルコールは適宜回収して再度用いられる。尚、この過剰のアルコールは、例えば、図1に示す精製槽13,14,19において回収することができる。
 油滓とアルコールとの反応は、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましいが、特に限定されない。また、この反応は常圧、加圧および減圧下いずれでも実施することが可能である。
 また、この反応は無溶媒もしくは溶媒中で実施することができるが、無溶媒反応であるのが好ましい。尚、溶媒中で実施する場合に用いられる溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン等の脂肪族炭化水素、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素などが挙げられる。
[加熱処理]
 前記油滓―アルコール混合物の反応において、気温よりも高い温度にしたい場合、早期に温度条件を調整したい場合、一定温度に保持したい場合、高反応率を達成したい場合等には加熱処理が必要である。加熱処理としては、通常、電気、ガス、蒸気、熱水等を利用した方法があり、例えば、加熱機付きの反応槽で加熱することを例示できる。また、植物油脂製造ラインやこれを含む一群のプラント内で発生する排熱を利用することもできる。例えば、蒸気、ドレイン、温水、排気、装置から発生した熱等を利用することができる。
 反応温度は、使用する油滓及びアルコール等の種類とその配合量によって適宜決定されるが、一般的には5℃〜300℃、望ましくは25℃〜250℃である。また、加熱処理による反応の促進を強める場合、40℃〜300℃、望ましくは100℃〜300℃、さらに望ましくは200℃〜250℃である。
 具体的には、前記アルコールがメタノールの場合、一般的には5℃〜70℃、望ましくは25℃〜70℃である。また、加熱処理による反応の促進を強める場合、30℃〜70℃、望ましくは40℃〜70℃、さらに望ましくは50℃〜70℃である。
 前記アルコールがエタノールの場合、一般的には5℃〜85℃、望ましくは25℃〜85℃である。また、加熱処理による反応の促進を強める場合、30℃〜85℃、望ましくは55℃〜85℃、さらに望ましくは65℃〜85℃である。
 前記アルコールがブタノールの場合、一般的には5℃〜120℃、望ましくは25℃〜120℃である。また、加熱処理による反応の促進を強める場合、30℃〜120℃、望ましくは55℃〜120℃、さらに望ましくは90℃〜120℃である。
 尚、ブタノールは沸点が100℃以上なので、生成する水を系外に留去させながら微減圧下において加熱することが好ましい。この場合、30℃〜100℃、望ましくは55℃〜100℃、さらに望ましくは65℃〜90℃である。
 反応時間は、使用する油滓及びアルコール等の種類とその配合量、要求される収率等によって適宜決定されるが、一般に30分〜600分、好ましくは60分〜480分である。反応時間が短いと反応が充分に進行しないために収率の低下が起こり、長いとコスト上好ましくない。
 ここで、出発原料である油滓において、油脂類を配合することができる。油脂類とは植物油脂等が挙げられるが、これらに限られず、脂肪酸、ジグリセリドやモノグリセリド等も含まれる。また、使用済油や廃油も含まれる。ただし、配合量は当該反応を阻害しない程度であることが好ましい。
[脂肪酸エステル化物の抽出・精製]
 上記アルコール添加による油滓反応後は、脂肪酸エステル化物を精製する必要がある。精製例の一環としてろ過、抽出、分離、遠心分離、洗浄、乾燥が挙げられる。まず、アルコール−油滓混合物は、数%の固形物等が混在しているため、図1に示す加熱機付反応槽2から分離槽兼抽出槽5に移行する際にろ過処理を行う。
 分離槽兼抽出槽5は、抽出、分離の例示である。抽出は、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン等の脂肪族炭化水素、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素等で行う。この抽出はアルコールおよび抽出溶剤を全て分離して脂肪酸エステル化物のみを回収しても良いし、アルコールおよび抽出溶剤が残留している状態で回収しても良い。
 前記分離は、電離水、水等によっても可能であるが、電離水を用いる方が好ましい。この電離水、水等による分離の場合、分離液すなわち油相と分離残渣すなわち水相が比較的きれいに分離する。反応副生成物である脂肪酸石けんおよびグリセリンは、分離残渣である水相へ移行させることができる。
 電離水(電解水)は、電解質水溶液もしくは海水であり、電解質としては食塩、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸亜鉛等がある。電離水等を添加し、攪拌処理した後、静置することで分離させる。この場合、分離残渣は水分を多く含むか、水溶液状となる。
 生成した脂肪酸エステルは、各々の用途に応じて必要な純度まで精製して使用する。精製の方法としては特に限定されず、蒸留、抽出、水洗、分離、遠心分離、乾燥、ろ過、脱臭、脱色等一般的な方法が適用できる。
[分離残渣の資源化]
 当該製造工程では、上記反応分離後の図1に示す水相6に残渣が残る。当該残渣には、脂肪酸ナトリウム等の脂肪酸石けんおよびグリセリン等が残余している。このため、当該残渣から脂肪酸およびグリセリンを製造することができる。
 ここで、脂肪酸は、脂肪酸石けんを図1に示す中和処理反応槽8において酸で中和処理することにより、遊離脂肪酸を得ることができる。脂肪酸ナトリウムの中和反応式を以下の化学式1に一例を示す。
Figure 2004091782
 生成した脂肪酸は、各々の用途に応じて必要な純度まで、図1に示す精製槽13において精製して使用する。精製の方法としては特に限定されず、蒸留、抽出、水洗、乾燥、分離、遠心分離、ろ過、脱臭、脱色等の一般的な方法が適用できる。
 使用する酸としては、塩酸、硫酸、燐酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、パラトルエンスルホン酸(PTS)等が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪酸は精製されたものでも、未精製なものでも可能(中和反応後のものを添加しても良い)である。また更には精製した脂肪酸は、アルコール及び、酸又はアルカリ触媒を添加して反応させることにより、脂肪酸エステル化物を得ることができる。また、この反応は、精製する前の脂肪酸(油相11)にアルコール及び、酸又はアルカリ触媒を添加して反応させてもよい。これにより、油滓からの脂肪酸エステル化物の回収率をアップさせることができる。遊離脂肪酸からの脂肪酸エステル化物生成の反応式を以下に示す(化学式2)。
Figure 2004091782
 また、該脂肪酸(図1に示す油相11、または精製槽13で精製した脂肪酸)を油滓または油滓に添加するアルコールに配合し、図1に示す加熱機付反応槽2へフィードバックしてエステル化反応工程に利用することができる。上記処理により、図1に示す水相6に未反応物として残余していた脂肪酸石けんは、ほぼ全て有効利用することが可能となる。
[燃料]
 上述のようにして製造した脂肪酸エステル化物は、ディーゼル燃料などの燃料、潤滑油基油、燃料油添加剤等にその用途の要求に応じて、単独で、あるいは、他の成分と混合して使用することができる。
 新編自動車工学ハンドブック(社団法人 自動車技術会編)によると、ディーゼル燃料として用いる場合には、着火性、粘度が重要になる。比較的低粘度の脂肪酸エステル化物を用いると摩耗や焼き付けの原因となるため、ディーゼル機関に適合した粘度の脂肪酸エステル化物を用いる必要がある。また、分子量が高すぎると臭気や排煙の原因となるので、そのような脂肪酸エステル化物は好ましくない。例えば、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸イソプロピルエステル、脂肪酸イソブチルエステル等がディーゼル燃料として好ましく用いられる。このなかで脂肪酸イソプロピルエステル、脂肪酸イソブチルエステルは低温時において特性の高いディーゼル燃料となる。潤滑油基油として用いる場合にも、粘度が重要になる。夏季用としては高い潤滑性を出すために比較的高粘度であることが望まれるが、冬期や低温の場所で使用する場合には比較的低粘度、低流動性の脂肪酸エステル化物が望まれる。そのため、幅広い範囲の脂肪酸エステル化物が潤滑油基油として使用できる。燃料油添加剤としては、主として摩擦を少なくする目的で脂肪酸エステル化物を燃料に添加する。潤滑油とほぼ同じ役割をしており、潤滑油基油と同様の性質が望まれる。
 以下に、本発明における実施の形態の例を、図1及び図2のフロー図を用いて説明する。
 植物油脂の製造工程の副生成物である油滓を原料として減圧・脱水槽1に収容する。必要に応じて加熱・減圧下で油滓の乾燥を行う。これによって、脂肪酸エステル化物の製造効率が向上する。ここで、油滓は、菜種油、大豆油、紅花油、亜麻仁油、パーム油、パーム核油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油などの製造工程から排出されるものが挙げられるが、これらに限らず様々な植物油脂の製造工程で排出される油滓を用いることができる。
 減圧・脱水槽1から定量送出ポンプによって一定量の油滓が加熱機付反応槽2へ送り込まれる。該加熱機付反応槽2は反応促進のため攪拌機がついているものが好ましい。加熱機付反応槽2の油滓質量に対して所定質量のメタノール3を定量送出ポンプで加熱機付反応槽2へ送り込む。
 加熱機付反応槽2の油滓とメタノールの混合物を、30〜70℃の所定の反応温度で約2〜5時間、もしくは約1〜5時間、加熱・攪拌することで、脂肪酸エステル化物が生成され、残渣との混合物が得られる。ここで、残渣とは、脂肪酸ナトリウム等の脂肪酸石けん、メタノール、グリセリン等の脂肪酸エステル化物以外のものをいう。
 メチルエステル化反応の終了した脂肪酸エステル化物−残渣の混合物を、分離槽兼抽出槽5にポンプで送り込む。このとき、加熱機付反応槽2から分離槽兼抽出槽5へ送付する配管に、20〜300メッシュのフィルターを設置しておき、脂肪酸エステル化物−残渣の混合物をろ過処理することができ、この場合、固形物等を除去することができる。次に、反応に使用したメタノールと例えば2倍量のヘキサン4を分離槽兼抽出槽5へ送り込む。攪拌によりヘキサン相へのメチルエステル化物の抽出処理を行った後、静置することにより脂肪酸エステル化物を含有する油相7と、残渣を含有する水相6に分離される。また、この分離は遠心分離による分離も可能であり、この場合、連続的、迅速に分離することができる。
 分離槽兼抽出槽5で分離した脂肪酸エステル化物を含有する油相7は精製槽19に送られる。ここで減圧処理により脱ヘキサンを行うことで、脂肪酸メチルエステル(脂肪酸エステル化物)を得る。回収されたヘキサンは、再度、分離槽兼抽出槽5での脂肪酸エステル化物の抽出溶剤として使用することができる。脂肪酸メチルエステル(脂肪酸エステル化物)中に脂肪酸石けん等の不純物が残存している場合があることから、該脂肪酸エステル化物について脱ヘキサン処理の前又は後に、水洗やろ過等の精製処理を行うことが好ましく、この精製処理により、高純度な脂肪酸エステル化物を得ることができる。
 分離槽兼抽出槽5で分離した残渣を含有する水相6は、中和処理反応槽8へ送られる。そして、硫酸9を中和処理反応槽8に投入し、攪拌して中和処理を行う。この中和処理により、脂肪酸石けんから遊離脂肪酸を生成することができる。中和処理反応槽8で中和処理された後、分離槽10へ送り出し、分離槽10で脂肪酸を含有する油相11と残渣を含有する水相12に分離される。該分離処理は、上述の静置や遠心分離により行うことができる。
 次いで、分離槽10の脂肪酸を含有する油相11を精製槽13へ送り込み、水洗、乾燥、ろ過等の精製処理を行うことで、精製脂肪酸を得ることができる。得られた精製脂肪酸は製品として販売されたり、エステル原料としても利用できる。さらに、得られた精製脂肪酸を反応槽15に送り込み、メタノールを定量送出ポンプで反応槽15に送り込み、さらに反応槽15に酸またはアルカリ触媒を投入し、撹拌しながらメチルエステル化反応を行うことで脂肪酸エステル化物の製造を行うこともできる。
 また、分離槽10での分離で得られた脂肪酸を含有する油相11は、フィードバック管により加熱機付反応槽2中の油滓に混合することで、再度、脂肪酸エステル化物の原料とすることができる。この場合、油滓から脂肪酸エステル化物を製造するという視点から、非常に高収率、効率的であり、好ましい形態といえる。
 また、分離槽10で分離された残渣を含有する水相12を精製槽14へ送り込み、乾燥、ろ過、抽出、蒸留等の精製処理を行うことで、グリセリンを得ることもできる。そして、得られたグリセリンは製品として販売される。
 該態様によれば、脂肪酸エステル化物を効率よく製造することができ、また、併せて、脂肪酸やグリセリンも製造することができるため、油滓の資源化としても好ましい態様である。
 上述したが、油滓から脂肪酸エステル化物を製造し、その残渣から中和処理等をすることで脂肪酸を生成し、これを原料として常法により脂肪酸エステル化物を製造することで(多段的な製造)、出発原料である油滓から収率良く脂肪酸エステル化物を得ることができる。
 また、前記脂肪酸を未精製のまま又は精製処理して、フィードバック管により加熱機付反応槽2へ直接、またはアルコールと共に添加し、加熱・攪拌処理することで、一つの脂肪酸エステル化物製造ラインであっても高収率・効率的、かつ、簡易な工程により脂肪酸エステル化物を製造することができ、工業的に優れた態様である。また、予定されている製造量に応じ、フィードバックする量を調整することで、脂肪酸エステル化物の製造量を調整することもできる。この場合、フィードバック管に連接された調整弁等によりフィードバック量を調整することができ、また、該調整弁に指示された製造量により、または、指示された製造量と実際に製造された量との関係により調整弁の動作を指示する機能を有するシステムである場合が好ましい。
 さらに、前記脂肪酸エステル化物の製造ライン(システム)やこれを含む資源化ラインが複数ある場合や、別途脂肪製造ラインが併設されている場合には、これらの複数のラインにおいて連携をとることで、脂肪酸エステル化物の製造量や、脂肪酸、グリセリンの製造量を調整することができる。例えば、脂肪酸エステル化物の製造ラインを含む資源化ラインが複数並存している場合、脂肪酸エステル化物が多く必要な場合、それぞれのラインにおいて、含まれている設備に応じて上記の多段的な製造やフィードバックによる循環製造により、製造量を最大量にする。脂肪酸が必要になった場合は、多段的な製造やフィードバックによる循環製造を中止し、脂肪酸エステル化物と脂肪酸を製造することができる。さらに、脂肪酸製造ラインが並存されている場合には、その調整の幅を大きくできるという利点がある。例えば脂肪酸エステル化物の製造について、脂肪酸製造ラインから生成する脂肪酸を、脂肪酸エステル化物製造ラインに送出することにより、更に多くの脂肪酸エステル化物を製造することができる。また、脂肪酸の製造量を増やす必要がある場合には、脂肪酸エステル化物製造ラインにおいて生成される脂肪酸をそのまま用いることにより、脂肪酸の全体製造量を増加させることができる。
 本発明は、脂肪酸エステル化物の製造量の増加・調整という面でも優れており、また、脂肪酸エステル化物や脂肪酸、グリセリン等の製造量のバランスを調整することができる。さらには、ある時点で求められる最も収益性等の高いバランスで製造することができ、また、需要を考慮し求められる製造バランスに柔軟に対応することができるため好ましい態様である。
 製造量の調整においては、上述の調整弁や前記求められる製造量・バランスを自動的にコントロールする機能を有するシステムが好ましい。
 次に、図3、図4および図5に基づいて、脂肪酸メチルエステル化物を生成する工程がROM等に内蔵されたコンピュータ動作可能なプログラムによる操作によって制御するプログラムの処理のフローについて説明する。
 図3は、脂肪酸エステル化物を生成する工程のプログラムの処理のフローを示す図であり、図4は、コンピュータと接続されたバルブ等の周辺装置・機器を含む油滓のメチルエステル化物製造工程の系統図であり、図5はコンピュータの構成を示すブロック図である。
 コンピュータ50は、図5に示すように、データバス(BUS)51に接続されたCPU52、ROM53、RAM54、メチルエステル化物製造工程における複数のバルブ23a〜23j(図4)等との間で信号の送受信を行う通信インターフェイス55とから構成されている。
 CPU52はROM53に格納されているコンピュータプログラムに従って種々の動作を実行するようになされており、該動作に応じて各回路部を制御する。尚、本実施形態では、プログラムはROM53に記録されているが、他の記録部に記録されていてもよく、例えばCD−ROM等の記録媒体に記録されていてもよい。
 次に、図3および図4により、コンピュータ制御による脂肪酸エステル化物の製造フローについて説明する。尚、それぞれの反応ごとに別個の反応槽や精製槽を設けているが、これらの一部は一つの槽で兼用されるものであってもよい。
 尚、以下に説明する製造フローの各ステップ(Sで表示する)の制御処理は、コンピュータ50に接続されているバルブ23a〜23j等の各周辺装置・機器をコンピュータ50のCPU(中央処理装置)52が制御することによって行われる。すなわち、このステップにおいて、油滓、溶媒等の投入するための油滓、溶媒等を移送する配管のバルブの開閉、エステル化反応等において原料を加熱するために反応槽に付帯して備えられた加熱機の作動および油滓の水分を脱水処理するためのドラムドライヤー等の乾燥機(図示せず)の作動等はコンピュータ50により制御される。尚、コンピュータと接続されて制御されるのは、上記のものだけに限定されるものでなく、例えば、油滓、溶媒を移送する送出ポンプの作動等も含めたものであってもよい。
 先ず、減圧・脱水槽1に油滓があるか否かを感知してバルブ23aを開き、植物油脂の製造工程の副産物である油滓を減圧・脱水槽1に定量送出ポンプ(図示せず)で投入する(S101)。次いで、油滓の投入が終了したら、例えばドラムドライヤー等の乾燥機(図示せず)を作動し、投入された油滓が所定含水になるまで脱水(乾燥)される(S102)。
 脱水処理が終了すると、バルブ23bを開き、脱水処理された油滓が加熱機付反応槽2に移送される。その後、バルブ23cを開き、メタノール等のアルコール3が加熱機付反応槽2に投入される(S103)。投入が終了すると、バルブ23cを閉じ、加熱機付反応槽2を作動し、加熱が開始され(S104)、脂肪酸メチルエステル化反応が行われる。この際、加熱機付反応槽2内の温度制御は、サーモスタット等により行うことができる。
 所定の反応時間が終了した後、バルブ23dを開き、送出ポンプ(図示せず)により反応生成物が分離槽兼抽出槽5に移送される。その後、バルブ23eを開き、ヘキサンおよび水又は塩水4が分離槽兼抽出槽5内に投入され(S106)、所定時間静置あるいは遠心分離等により脂肪酸メチルエステルを含有する油相7と脂肪酸石けんを含有する水相6とに分離される。分離後、バルブ23fを開き、送出ポンプ(図示せず)により、脂肪酸石けん他を含有する水相6が中和処理反応槽8に移送される。尚、脂肪酸メチルエステルを含有する油相7は、精製槽19に移送されて精製され、脂肪酸メチルエステルが製造される。
 中和処理反応槽8へ水相6の移送が終了したことを感知して、バルブ23gを開き、酸9が中和処理反応槽8に投入され(S108)、水相6中の脂肪酸石けんが中和処理されて脂肪酸が生成される。
 所定の中和処理時間が終了した後、バルブ23hを開き、反応生成物が送出ポンプ(図示せず)により分離槽10に移送される。そして、この分離槽10で所定時間静置あるいは遠心分離等により脂肪酸を含有する油相11とグリセリン等の残渣を含有する水相12とに分離される(S110)。
 その後、バルブ23iを開き、脂肪酸を含有する油相11が精製槽13に移送されて精製処理される(S112)。精製処理された脂肪酸は、メチルエステル化するか否かを判定し(S113)、“NO”(エステル化しない場合)であれば、油滓の脂肪酸メチルエステル化反応は終了される。一方、“YES”(エステル化する場合)であれば、精製された脂肪酸が反応槽15に移送される。この移送が終了後、バルブ23jを開き、反応槽15にメタノール、酸又はアルカリ16が投入されて(S114)、脂肪酸がメチルエステル化反応されて脂肪酸メチルエステルが生成される。
 所定の反応時間が終了した後、脂肪酸メチルエステルの製造は終了する。
[エネルギー]
 本発明で得られる脂肪酸エステル化物は燃料として好適であるため、該脂肪酸エステル化物の製造ラインと、これを燃料として熱、電気、蒸気等のエネルギーを供給することができる。これらのエネルギーは、油滓が発生する植物油脂製造ラインや、これを含む一群のプラントに供給することができる。この場合、資源・エネルギーの有効利用であると共に、廃棄物である油滓が生じた植物油脂製造ライン等に、再びエネルギーとなって利用されることは、資源・エネルギーの好循環として好適な態様である。そして、環境面からも優れた態様といえる。
[油滓処理]
 また、そもそも油滓は廃棄物であるところ、これを脂肪酸エステル化物等の有効な資源としたことにより、植物油脂の製造ラインにおいて、さらには、これを含む一群のプラントにおいても廃棄物の低減となるため好ましい態様である。
 さらに、脂肪酸エステル化物を含む資源物を製造し、エネルギーを供給し、さらに油滓の粕を焼却処理する工程を有するプラントは、該プラント系内において油滓の有効利用を含む全ての処理を行うもののうち最も優れた態様の一つであるといえる。
 その他、脂肪酸エステル化物は燃料、脂肪酸は塗料等の原料、グリセリンは薬品等として利用することができるため、油滓から、脂肪酸エステル化物等を製造し、最終品である複数の製品の製造工程を併設することもできる。
 これらのことから、廃棄物である油滓の有効利用として、本発明が非常に優れていることがわかる。
 以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られた生成物の成分組成はガスクロマトグラフィー質量分析計および赤外線吸光分析計を用いて確認した。また、収量については、ガスクロマトグラフィー分析装置を用いて内部標準法によって求めた。なお、実施例および比較例においては、油滓として大豆油滓を用いた。
[実施例1]
 窒素置換した200mlナス型フラスコに大豆油滓2.0g、メタノール50mlと沸石を0.02g仕込み、65〜70℃で1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.27gの脂肪酸メチルエステルを得た。
[比較例1]
 窒素置換した200mlナス型フラスコに大豆油滓2.0g、メタノール50mlと沸石を0.02gとさらに水酸化ナトリウム0.2gを仕込み、65〜70℃で1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.12gの脂肪酸メチルエステルを得た。
[実施例2]
 窒素置換した200mlナス型フラスコに、水分を乾燥させた大豆油滓2.0g、メタノール50mlと沸石を0.02g仕込み、65〜70℃で1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.36gの脂肪酸メチルエステルを得た。一方、抽出残渣に希塩酸をpH3程度になるまで添加して2相に分離し、油相を抽出水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.57gの大豆油脂肪酸を得た。これにさらに水分を乾燥させた大豆油滓2.0g、メタノール50mlと沸石を0.02g仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.49gの脂肪酸メチルエステルを得た。
[実施例3]
 窒素置換した200mlナス型フラスコに、大豆油滓2.0g、メタノール10mlと沸石0.02gを仕込み、65〜70℃で1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。この時の固体残渣は0.13gであった。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.70gの脂肪酸メチルエステルを得た。一方、抽出残渣に希塩酸をpH3程度になるまで添加して2相に分離し、油相を抽出水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.57gの大豆脂肪酸を得た。これにさらに大豆油滓2.0g、メタノール10mlと沸石0.02gを仕込み、1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。この時の固体残渣は0.09gであった。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、1.11gの脂肪酸メチルエステルを得た。一方、抽出残渣に希塩酸をpH3程度になるまで添加して2相に分離し、油相を抽出水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.46gの大豆脂肪酸を得た。これにさらに大豆油滓2.0g、メタノール10mlと沸石0.02gを仕込み、1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。この時の固体残渣は0.23gであった。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、1.27gの脂肪酸メチルエステルを得た。
[実施例4]
 窒素置換した200mlナス型フラスコに、大豆油滓2.0g、メタノール30mlと沸石0.02gを仕込み、65〜70℃で1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。この時の固体残渣は0.11gであった。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.50gの脂肪酸メチルエステルを得た。一方、抽出残渣に希塩酸をpH3程度になるまで添加して2相に分離し、油相を抽出水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.69gの大豆脂肪酸を得た。これにさらに大豆油滓2.0g、メタノール30mlと沸石0.02gを仕込み、1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。この時の固体残渣は0.19gであった。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.92gの脂肪酸メチルエステルを得た。一方、抽出残渣に希塩酸をpH3程度になるまで添加して2相に分離し、油相を抽出水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、0.93gの大豆脂肪酸を得た。これにさらに大豆油滓2.0g、メタノール30mlと沸石0.02gを仕込み、1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン100mlで抽出した。この時の固体残渣は0.22gであった。ヘキサン抽出物を水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、1.15gの脂肪酸メチルエステルを得た。
[実施例5]
 窒素置換した1L四ツ口フラスコに、大豆油滓1.0kg、メタノール2.0Lと大豆脂肪酸300gを仕込み、攪拌しながら65〜70℃で1時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却し、ろ過処理後、n−ヘキサン5Lで抽出した。この時の固体残渣は52gであった。ヘキサン抽出物を水洗後、脱水、脱溶剤及び温水洗することにより精製し、650gの脂肪酸メチルエステルを得た。一方、抽出残渣に塩酸100gと精製水10gを添加して2相に分離し、油相を抽出水洗後、脱水及び脱溶剤することにより精製し、310gの大豆脂肪酸を得た。得られた脂肪酸メチルエステルについて、成分分析を行い、軽油と比較したものを表1に示した。
Figure 2004091782
[実施例6]
 窒素置換した500ml四ツ口フラスコに、大豆油滓10.0g、ブタノール150mlとを仕込み、攪拌しながら110〜115℃で3時間加熱還流した。反応終了後ろ過処理を行い、室温まで冷却後遠心分離により石けん分を沈殿させ、上澄みを採取した。上澄みを水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、4.56gの脂肪酸ブチルエステルを得た。
 一方、沈殿物に希塩酸をpH3程度になるまで添加して2相に分離し、油相を抽出水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、2.19gの大豆脂肪酸を得た。これにさらに大豆油滓10.0g、ブタノール150mlを仕込み、攪拌しながら3時間加熱還流した。反応終了後ろ過処理を行い、室温まで冷却後、遠心分離により石けん分を沈殿させ、上澄みを採取した。上澄みを水洗後、エバポレーターで脱水及び脱溶剤することにより精製し、4.38gの脂肪酸ブチルエステルを得た。
 本発明は、植物油脂の製造工程において排出されている油滓を脂肪酸エステル化物、脂肪酸、グリセリン等の資源物として回収することができる。また、回収した資源物を燃料その他のエネルギー源として適用できる。
油滓のメチルエステル化系統図、すなわち植物油脂製造工程から排出される油滓が資源化されるまでのフローを示したものである。 工場全体およびエネルギーのシステムフロー図である。 脂肪酸エステル化物を生成する工程のプログラムの処理のフローを示すフロー図である。 コンピュータと接続されたバルブ、検出器等の周辺装置・機器を含む油滓のメチルエステル化物製造工程の系統図である。 コンピュータの構成を示すブロック図である。
符号の説明
 1  減圧・脱水槽
 2  加熱機付反応槽
 3  メタノール(アルコール)
 4  ヘキサン、水又は塩水
 5  分離槽兼抽出槽
 6  水相
 7  油相
 8  中和処理反応槽
 9  酸
 10 分離槽
 11 油相
 12 水相
 13 精製槽
 14 精製槽
 15 反応槽
 16 メタノール、酸またはアルカリ
 17 脂肪酸メチルエステル
 18 グリセリン
 19 精製槽
 20 脂肪酸メチルエステル
 21 フィードバック管
 22 脂肪酸
 23a〜23j バルブ
 50 コンピュータ
 51 BUS
 52 CPU
 53 ROM
 54 RAM
 55 通信インターフェイス

Claims (10)

  1.  植物油脂の製造工程より得られる油滓組成物に、アルコールを添加し、触媒を添加せずに加熱処理することを特徴とする脂肪酸エステル化物の製造方法。
  2.  前記アルコールがメタノールであることを特徴とする請求項1記載の脂肪酸エステル化物の製造方法。
  3.  前記油滓組成物が乾燥処理されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の脂肪酸エステル化物の製造方法。
  4.  前記油滓組成物に油脂および/または脂肪酸を添加することを特徴とする請求項1から3いずれか記載の脂肪酸エステル化物の製造方法。
  5.  請求項1から4いずれかに記載した方法において、前記油滓組成物から有効資源物を回収することにより、植物油脂製造ラインから排出される廃棄物を低減する方法。
  6.  植物油脂の製造工程より得られる油滓組成物に、アルコールを添加し、触媒を添加せずに加熱処理することを特徴とする脂肪酸エステル化物の製造方法であって、
     前記植物油脂の製造工程より得られる前記油滓組成物にアルコールを添加し、触媒を添加せずに加熱処理する工程と、前記脂肪酸エステル化物を分離する工程と、当該分離(分配)処理で生じた分離残渣から脂肪酸およびグリセリンを製造する工程と、を有し、
     該製造された脂肪酸の一部または全部を前記工程の油滓組成物、アルコールおよびこれらの混合物のいずれか1以上に添加することを特徴とする油滓組成物から資源物を製造する方法。
  7.  請求項1から6いずれか記載の方法であって、前記油滓組成物から資源物を製造するにおいて、
     前記脂肪酸、脂肪酸エステル化物、またはグリセリンを製造する量を調整することが可能であることを特徴とする、油滓組成物から資源物を製造する方法。
  8.  請求項1から4いずれか記載の脂肪酸エステル化物の製造方法により製造した脂肪酸エステル化物を原料として使用して燃料の製造をすることを特徴とする燃料製造方法。
  9.  請求項1から4いずれか記載の脂肪酸エステル化物の製造方法により製造した脂肪酸エステル化物を燃料として利用し、熱、電気、蒸気を提供する方法。
  10.  請求項1から4いずれか記載の脂肪酸エステル化物を製造する方法において、脂肪酸エステル化物を製造する工程が、プログラムされたコンピュータによって制御されるものであることを特徴とする脂肪酸エステル化物の製造方法。
JP2003292563A 2002-08-16 2003-08-12 植物油脂製造工程から生じる油滓の資源化方法 Withdrawn JP2004091782A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003292563A JP2004091782A (ja) 2002-08-16 2003-08-12 植物油脂製造工程から生じる油滓の資源化方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002276230 2002-08-16
JP2003292563A JP2004091782A (ja) 2002-08-16 2003-08-12 植物油脂製造工程から生じる油滓の資源化方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004091782A true JP2004091782A (ja) 2004-03-25

Family

ID=32072449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003292563A Withdrawn JP2004091782A (ja) 2002-08-16 2003-08-12 植物油脂製造工程から生じる油滓の資源化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004091782A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006028146A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Ics Kk 油脂類を原料とする脂肪酸エステルの製造方法
JP2009523866A (ja) * 2006-01-23 2009-06-25 ヴルフェニア ベタイリグングス ゲーエムベーハー 植物性及び動物性脂肪廃棄物からの燃料取得方法及びその方法を実行するためのプラント
JP2011099013A (ja) * 2009-11-04 2011-05-19 Agri Future Joetsu Co Ltd 天然有機物と合成有機物の複合体の製造方法
US20140096577A1 (en) * 2011-05-25 2014-04-10 Arkema France Process of reactive trituration directly on an oil cake
CN116286178A (zh) * 2023-03-27 2023-06-23 泰安金冠宏食品科技有限公司 一种油渣分离滤清系统

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006028146A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Ics Kk 油脂類を原料とする脂肪酸エステルの製造方法
JP2009523866A (ja) * 2006-01-23 2009-06-25 ヴルフェニア ベタイリグングス ゲーエムベーハー 植物性及び動物性脂肪廃棄物からの燃料取得方法及びその方法を実行するためのプラント
JP2011099013A (ja) * 2009-11-04 2011-05-19 Agri Future Joetsu Co Ltd 天然有機物と合成有機物の複合体の製造方法
US20140096577A1 (en) * 2011-05-25 2014-04-10 Arkema France Process of reactive trituration directly on an oil cake
US9120996B2 (en) * 2011-05-25 2015-09-01 Arkema France Process of reactive trituration directly on an oil cake
CN116286178A (zh) * 2023-03-27 2023-06-23 泰安金冠宏食品科技有限公司 一种油渣分离滤清系统
CN116286178B (zh) * 2023-03-27 2024-02-02 泰安金冠宏食品科技有限公司 一种油渣分离滤清系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8728177B2 (en) Production of biodiesel and glycerin from high free fatty acid feedstocks
JP2005350632A (ja) バイオディーゼル燃料の製造方法
WO2004085585A1 (en) Manufacturing method of bio-diesel oil
EP3026096B1 (en) Method for preparing fatty acid alkyl ester using fat
EP3019580B1 (en) Production of products from feedstocks containing free fatty acids
CA2507329A1 (en) Method for production of alkyl esters
JP2003096473A (ja) 廃食油からのディーゼル燃料油の製造方法
JP2004091782A (ja) 植物油脂製造工程から生じる油滓の資源化方法
JP3934630B2 (ja) 酸性油脂類および劣化油脂類からのバイオディーゼル燃料製造方法
JP2005350630A (ja) 低排出型バイオディーゼル燃料製造技術
US9725397B2 (en) Production of biodiesel and glycerin from high free fatty acid feedstocks
JP2004091783A (ja) 植物油脂製造工程から生じる油滓の資源化システム
JP2009161776A (ja) バイオディーゼル燃料の製造方法及び製造装置
JP2009120847A (ja) バイオディーゼル燃料の製造方法
US20150197469A1 (en) Process of Crude Glycerin Purification Originated From Transesterifications With Alkaline Catalysis Without Using Acidification and Distillation Producing Purified Glycerin 96% and 99% Purity
JP7417270B2 (ja) 硫酸カリウムの製造方法および製造システム
JP2007211139A (ja) 脂肪酸エステルとグリセリンの製造方法及び製造装置並びに燃料
JP7252588B2 (ja) バイオディーゼル燃料の製造方法
Gharabeiki et al. Plant-derived solvents: Production and purification
JPWO2020213701A1 (ja) メタン発酵方法、メタン発酵システム、廃棄物再利用方法および廃棄物再利用システム
AU2008276734B2 (en) Method and apparatus for the batch preparation of biodiesel
JP6142452B2 (ja) グリセリンを副生しないバイオディーゼル燃料の製造方法
JP2008239372A (ja) 高反応性消石灰の製造方法
ZA200504848B (en) Method for production of alkyl esters

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040701

A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20061107