JPWO2020213701A1 - メタン発酵方法、メタン発酵システム、廃棄物再利用方法および廃棄物再利用システム - Google Patents

メタン発酵方法、メタン発酵システム、廃棄物再利用方法および廃棄物再利用システム Download PDF

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Abstract

グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する原料からメタンを含むバイオガスを製造するメタン発酵方法であって、原料と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離工程と、第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和工程と、中和された第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離工程と、第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行う発酵工程と、を備えることを特徴とするメタン発酵方法。本発明によれば、グリセリン含有廃棄物や脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物から効率よくメタンを含むバイオガスを製造することができる。また、グリセリン含有廃棄物からのメタンの回収率が従来の方法に比して飛躍的に大きくなる。

Description

本発明は、メタン発酵方法に関するものであり、特に、バイオディーゼル燃料の製造過程で得られるグリセリンを含有する副産物(本明細書において「廃グリセリン」ともいう)や、石鹸工場、油脂工場、化粧品工場、医薬品工場等における油脂類を原料とする加工工程で副生されるグリセリン含有の廃棄物、廃食油や高酸価油等の脂肪酸グリセリンエステル含有の廃棄物などから、メタンを含むバイオガスを効率よく生成することができるメタン発酵方法に関するものである。また、本発明は上記メタン発酵方法を実現することのできるメタン発酵システム、グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する廃棄物の再利用方法および再利用システムにも関する。
近年、地球温暖化防止の観点から、二酸化炭素の発生を削減し、資源のリサイクルに繋がるような、従来の化石燃料に替わる燃料の開発が進められており、その一つとして、植物油や廃食油等を原料とするバイオディーゼル燃料が注目されている。バイオディーゼル燃料の合成方法としては、動植物の油脂や廃食用油等の油脂と、1価アルコールとを原料とし、アルカリ性物質を触媒としてエステル交換反応により合成する方法が主流である(例えば、非特許文献1)。この合成反応において、グリセリンを含有する副産物(廃グリセリン)も生成される。
また、油脂から遊離脂肪酸を工業的に製造する方法としては、高温高圧分解法、酵素分解法等が挙げられるが、いずれも動植物等に由来する油脂を加水分解して脂肪酸を遊離するものである。かかる加水分解においても、グリセリンを含有する副産物が生成される。
グリセリンを含有する廃棄物は、触媒や未反応油脂等の不純物を多く含むものである。そのため、グリセリンそのものには、医薬品や化粧品等の原料としての用途があるものの、上述したグリセリン含有廃棄物を医薬品や化粧品等の原料として用いるためには多大なコストをかけて精製しなければならず、実用的ではなかった。そのため、グリセリン含有廃棄物は、産業廃棄物として処分されることが多かった。
一方、食用油などの油脂が劣化すると、加水分解が生じたり、炭素鎖が切れてさらに酸化したりするため、酸価の高い油(高酸価油)となる。また、植物油脂の精製における脱酸工程において、油脂(原油)から油滓が分離される。これらの高酸価油や油滓は、脂肪酸グリセリンエステルを含む廃棄物である。
このような状況下で、環境負荷を低減する観点から、廃グリセリン等のグリセリン含有廃棄物を有効活用する種々の試みがなされている。例えば、生ごみ、畜糞尿、汚泥などを主原料としてメタン発酵を行う際に、発酵を促進させる目的でグリセリン含有廃棄物を副原料として利用する方法が提案されている(特許文献1〜5)。また、固形有機性廃棄物及び油脂含有廃棄物を含む原料を用いてメタン発酵を行う際に、固形原料の可溶化を目的としてグリセリン含有廃棄物を利用する方法も提案されている(特許文献6)。さらに、廃グリセリンを主原料としてメタン発酵を行う際に、メタン発酵を促進させるために原料に糖を添加する方法も提案されている(特許文献7)。
特開2007−098239号公報 特許5036938号公報 特開2010−193767号公報 特開2006−348191号公報 特開2012−39912号公報 特開2005−279411号公報 特開2012−039975号公報
日本マリンエンジニアリング学会誌,2012年,第47巻,第1号,第45-50頁
しかしながら、特許文献2〜6に開示された方法では、グリセリン含有廃棄物は単に副原料として用いているだけであり、グリセリン含有廃棄物の有効利用という観点からはまだ不十分なものである。また、特許文献7に開示の方法においても、グリセリン含有廃棄物は、原料の可溶化のために用いられているだけである。一方、特許文献8に開示の方法では、メタン発酵の促進のために廃グリセリンに糖を加えなければならず、製造コスト、実用化の観点からはまだ十分なものとは言えない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、グリセリンを含有する廃棄物や脂肪酸グリセリンエステルを含有する廃棄物を含む原料から、効率よく、メタンを含むバイオガスを生成させるメタン発酵方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含む原料を適切なpHに調整するとともに原料から油分を分離除去し、この分離除去工程で得られたグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行えば、効率よくメタンを含むバイオガスを産出することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する原料からメタンを含むバイオガスを製造するメタン発酵方法であって、
前記原料と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離工程と、
前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和工程と、
中和された前記第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離工程と、
前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行う発酵工程と、
を備えることを特徴とするメタン発酵方法。
〔2〕 前記第二の分離工程の後に前記第二のグリセリン含有液からアルコールを除去し、アルコールを分離除去した第二のグリセリン含有液を用いて前記メタン発酵を行うことを特徴とする〔1〕に記載のメタン発酵方法。
〔3〕 前記第一の分離工程において、前記原料と前記無機酸との混合液のpHが3以下であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のメタン発酵方法。
〔4〕 前記中和工程において、前記第一のグリセリン含有液のpHが4〜8となるように中和することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
〔5〕 前記メタン発酵工程において、前記第二のグリセリン含有液に加え、窒素及び/又はリンを含む副原料をメタン発酵槽に投入することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
〔6〕 前記副原料が、生ごみ、畜糞尿、リン酸、リン酸塩、アンモニア、及びアンモニウム塩からなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする〔5〕に記載のメタン発酵方法。
〔7〕 前記メタン発酵槽内の消化汚泥の総窒素(T−N)濃度が100〜10,000mg/Lとなるように、前記副原料を添加することを特徴とする〔5〕または〔6〕に記載のメタン発酵方法。
〔8〕 前記メタン発酵槽内のCODcr負荷が2〜20kg/m3・dayとなるように、前記第二のグリセリン含有液の投入量を調節することを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
〔9〕 前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵工程への供給量を調整することを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
〔10〕 アルカリ触媒法以外の方法であって、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法からなる群より選択される少なくとも一つの方法により、脂肪酸アルキルエステルを製造するエステル化工程を備え、
前記エステル化工程においては、前記第一の分離工程で分離された第一の油分および/または前記第二の分離工程で分離された第二の油分を原料として用いる
ことを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
〔11〕 前記エステル化工程で得られた脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一部を用いて発電する発電工程を備えることを特徴とする〔10〕に記載のメタン発酵方法。
〔12〕 前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、前記第二のグリセリン含有液の前記メタン発酵工程への供給量を調整するとともに、前記脂肪酸アルキルエステルの需要に応じて、前記脂肪酸アルキルエステルの前記発電工程への供給量を調整することを特徴とする〔11〕に記載のメタン発酵方法。
〔13〕 グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する原料からメタンを含むバイオガスを製造するメタン発酵システムであって、
前記原料と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離装置と、
前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和装置と、
中和された前記第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離装置と、
前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行うメタン発酵装置と、
を備えることを特徴とするメタン発酵システム。
〔14〕 前記第二の分離装置の後段に、前記第二のグリセリン含有液を貯留するグリセリン貯留タンクを備え、
前記グリセリン貯留タンクは、貯留された前記第二のグリセリン含有液の量を検知する検知計を備え、
前記第二のグリセリン含有液の量が所定量以上となった場合に、前記第二のグリセリン含有液が前記メタン発酵装置へ供給される
ことを特徴とする〔13〕に記載のメタン発酵システム。
〔15〕 アルカリ触媒法以外の方法であって、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法からなる群より選択される少なくとも一つの方法により、脂肪酸アルキルエステルを製造するエステル化装置を備え、
前記第一の分離工程で分離された第一の油分および/または前記第二の分離工程で分離された第二の油分が、原料として前記エステル化装置に供給される
ことを特徴とする〔13〕または〔14〕に記載のメタン発酵システム。
〔16〕 前記エステル化装置の後段に、前記脂肪酸アルキルエステルを貯留する脂肪酸アルキルエステル貯留タンクを備えるともに、
前記脂肪酸アルキルエステル貯留タンクの後段に、前記脂肪酸アルキルエステルを用いて発電する発電装置を備え、
前記脂肪酸アルキルエステル貯留タンクは、貯留された前記脂肪酸アルキルエステルの量を検知する検知計を備え、
前記脂肪酸アルキルエステルの量が所定量以上となった場合に、前記脂肪酸アルキルエステルが前記発電装置へ供給される
ことを特徴とする〔15〕に記載のメタン発酵システム。
〔17〕 グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する廃棄物を再利用する方法であって、
前記廃棄物と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離工程と、
前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和工程と、
中和された前記第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離工程と、
前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行う発酵工程と、
を備えることを特徴とする廃棄物再利用方法。
〔18〕 前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵工程への供給量を調整することを特徴とする〔17〕に記載の廃棄物再利用方法。
〔19〕 アルカリ触媒法以外の方法であって、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法からなる群より選択される少なくとも一つの方法により、脂肪酸アルキルエステルを製造するエステル化工程を備え、
前記エステル化工程においては、前記第一の分離工程で分離された第一の油分および/または前記第二の分離工程で分離された第二の油分を原料として用いる
ことを特徴とする〔17〕または〔18〕に記載の廃棄物再利用方法。
〔20〕 前記エステル化工程で得られた脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一部を用いて発電する発電工程を備え、
前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、前記第二のグリセリン含有液の前記メタン発酵工程への供給量を調整するとともに、前記脂肪酸アルキルエステルの需要に応じて、前記脂肪酸アルキルエステルの前記発電工程への供給量を調整することを特徴とする〔19〕に記載の廃棄物再利用方法。
〔21〕 グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する廃棄物を再利用するシステムであって、
前記廃棄物と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離装置と、
前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和装置と、
中和された前記第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離装置と、
前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行うメタン発酵装置と、
を備えることを特徴とする廃棄物再利用システム。
〔22〕 前記第二の分離装置の後段に、第二のグリセリン含有液を貯留するグリセリン貯留タンクを備え、
前記グリセリン貯留タンクは、貯留された前記第二のグリセリン含有液の量を検知する検知計を備え、
前記第二のグリセリン含有液の量が所定量以上となった場合に、前記第二のグリセリン含有液が前記メタン発酵装置へ供給される
ことを特徴とする〔21〕に記載の廃棄物再利用システム。
〔23〕 アルカリ触媒法以外の方法であって、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法からなる群より選択される少なくとも一つの方法により、脂肪酸アルキルエステルを製造するエステル化装置を備え、
前記第一の分離工程で分離された第一の油分および/または前記第二の分離工程で分離された第二の油分が、原料として前記エステル化装置に供給される
ことを特徴とする〔21〕または〔22〕に記載の廃棄物再利用システム。
〔24〕 前記エステル化装置の後段に、前記脂肪酸アルキルエステルを貯留する脂肪酸アルキルエステル貯留タンクを備えるともに、
前記脂肪酸アルキルエステル貯留タンクの後段に、前記脂肪酸アルキルエステルを用いて発電する発電装置を備え、
前記脂肪酸アルキルエステル貯留タンクは、貯留された前記脂肪酸アルキルエステルの量を検知する検知計を備え、
前記脂肪酸アルキルエステルの量が所定量以上となった場合に、前記脂肪酸アルキルエステルが前記発電装置へ供給される
ことを特徴とする〔23〕に記載の廃棄物再利用システム。
本発明によれば、グリセリン含有廃棄物や脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物から効率よくメタンを含むバイオガスを製造することができる。また、グリセリン含有廃棄物からのメタンの回収率が従来の方法に比して飛躍的に大きくなる。
本発明の一実施形態に係るメタン発酵方法のフローを表す図である。 本発明の好ましい実施形態が備えるエステル化工程(第二のエステル化工程)のフローを表す図である。 本発明の一実施形態に係るメタン発酵システム(廃棄物再利用システム)を説明する図である。 実施例で用いた実験装置を示す模式図である。 実施例におけるガス発生量を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔メタン発酵方法〕
本発明の一実施形態に係るメタン発酵方法は、グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する原料からメタンを含むバイオガスを製造する方法であって、前記原料と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離工程と;前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和工程と;中和されたグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離工程と;前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行う発酵工程と;を備える。
図1は本実施形態に係るメタン発酵方法の特に好適な実施形態におけるフローを表す図である。図1においては、グリセリン含有廃棄物または脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物を含む原料に無機酸を混合して第一の油分を分離除去する第一の分離工程と、それに続く第一のグリセリン含有液の中和工程と、中和されたグリセリン含有液から第二の油分と無機塩を分離除去する第二の分離工程と、それに続く第二のグリセリン含有液からアルコールを分離除去するアルコール除去工程とが図示されている。さらに、これらの工程を経て得られた第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行う工程が図示されている。なお、アルコール除去工程は任意工程であり、第二のグリセリン含有液はアルコール除去工程を介さずにメタン発酵工程に供給されてもよい。
(1)原料
本実施形態において用いる原料は、グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含むものであれば、特に限定されない。
グリセリンを含む原料としては、例えば、グリセリンを含有する廃棄物が例示される。また、脂肪酸グリセリンエステルを含む原料は、後述する第一の分離工程において、酸触媒エステル交換反応等によりグリセリンを生成するため、これらも好適に利用することができる。
以下、グリセリン含有廃棄物および脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物についてやや詳しく説明する。
(1−1)グリセリン含有廃棄物
本実施形態で用いられるグリセリン含有廃棄物としては、バイオディーゼル燃料の製造過程で副生される廃グリセリン、遊離脂肪酸の製造工程で副生されるグリセリン廃液、甘水、脂肪酸アルキルエステルの洗浄廃水などを用いることができる。
ここで、遊離脂肪酸の製造工程で副生されるグリセリン廃液とは、動植物の油脂を加水分解して遊離脂肪酸を製造する場合に副生される廃棄物である。加水分解による遊離脂肪酸の製造方法としては、高温高圧分解法、酵素分解法等が挙げられる。かかる製造工程で副生されるグリセリン廃液には、グリセリンの他、未反応の油脂、部分的に加水分解された油脂等が含まれる。
また、甘水は、油脂を鹸化(アルカリ加水分解)して脂肪酸塩を生成させる場合(例えば、石鹸の製造過程など)における副生成物であり、グリセリン、水分、アルカリ等を含む。
脂肪酸アルキルエステルの洗浄廃水は、バイオディーゼル燃料をはじめとする脂肪酸アルキルエステルの製造過程において、反応物を洗浄したときに生じる廃水であり、水分の他、脂肪酸アルキルエステルの製造反応において副生されるグリセリンが含まれ、さらに未反応の遊離脂肪酸およびその塩、1価アルコール等が含まれる。
次に、バイオディーゼル燃料の製造過程で副生される廃グリセリンについて、やや詳しく説明する。
バイオディーゼル燃料となる脂肪酸アルキルエステルは、植物油などの原料油脂に、メタノール等の1価アルコールと、水酸化カリウム等のアルカリ触媒とを加え、エステル交換反応を行うことで得られる。
バイオディーゼル燃料の原料油脂としては、菜種油、パーム油、オリーブ油、ひまわり油、大豆油、コメ油、大麻油等の植物油;魚油、豚脂、牛豚等の獣脂;天ぷら油等の廃食油;などを用いることができる。
1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、エチルヘキサノール等を用いることができ、メタノールおよびエタノールが好ましく、メタノールが特に好ましい。
アルカリ触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化カルシウム等を用いることができるが、本実施形態で分離回収される塩の析出性や再利用容易性等の観点から、水酸化カリウムが好ましい。
上記エステル交換反応においては、原料油脂に含まれる脂肪酸グリセリンエステルが1価アルコールと反応し、脂肪酸アルキルエステルおよびグリセリンが生成する。得られる反応液は、脂肪酸アルキルエステル相と、廃グリセリン相とに液々分離し、バイオディーゼル燃料の製造においては、得られた脂肪酸アルキルエステル相を回収して洗浄等を行い、バイオディーゼル燃料とする。
一方、廃グリセリン相は、グリセリンを高濃度に含む他、未反応の1価アルコール(特にメタノール)、未反応の油脂、脂肪酸およびその塩、アルカリ触媒、さらには原料油脂に由来する夾雑物などが含まれる。廃グリセリンとしては、液状の廃グリセリンであっても良いし、また、固体状の廃グリセリンであっても良いが、作業性、取り扱い等の観点から、液状の廃グリセリンであることが好ましい。
廃グリセリンにおけるグリセリン、1価アルコール、油脂並びに脂肪酸およびその塩の含有量は特に限定されないが、通常、廃グリセリン全体に対して、グリセリンは25質量%以上65質量%以下、1価アルコールは2質量%以上20質量%以下、油脂ならびに脂肪酸およびその塩の合計は30質量%以上50質量%以下となる場合が多い。
廃グリセリンはアルカリ触媒を多量に含むため、pHは9以上であることが多く、本実施形態においては、9〜13であってよい。
第一の分離工程において、廃グリセリンに含まれる未反応の油脂および1価アルコールによる酸触媒エステル化反応を進行させやすくする観点から、廃グリセリンにおける水分の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。廃グリセリンにおける水分含有量は、加熱、減圧、乾燥剤等の使用、精製グリセリン中を透過させることなどにより適宜調整することができる。
ここで、グリセリンは医薬品や化粧品等の原料となり得るが、廃グリセリンに含まれるグリセリンをかかる用途に用いるためには高純度に精製する必要があり、多大なコストやエネルギーを要する。そのため廃グリセリンはグリセリンとしての利用価値がかなり低く、従来は処理困難物となっていた。
しかし、本実施形態によれば、廃グリセリンをメタン発酵の主原料として用いることができ、産業廃棄物である廃グリセリンを有効活用できる観点からも、環境負荷を低減することができる。
本実施形態においては、後述する第一の分離工程における利用のしやすさの観点から、以上述べたグリセリン含有廃棄物の中でも、バイオディーゼル燃料の製造過程で副生される廃グリセリン、および遊離脂肪酸の製造工程で副生されるグリセリン廃液の少なくとも1種を用いることが好ましく、バイオディーゼル燃料の製造過程で副生される廃グリセリンを用いることが特に好ましい。
(1−2)脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物
本実施形態においては、脂肪酸グリセリンエステルを含有する廃棄物も原料として用いることができる。本実施形態においては、無機酸を用いた第一の分離工程、中和工程および第二の分離工程にて行うため、脂肪酸グリセリンエステルを含有する原料を用い、第一の分離工程における酸触媒エステル化反応によりグリセリンの収量を高めることもできる。
脂肪酸グリセリンエステルを含有する廃棄物としては、例えば、廃食油や賞味期限切れ油脂含有食品(天ぷら油、マヨネーズ、ドレッシング、バター、クリーム、チーズ等)、動植物油、高酸価油(グリストラップ油、下水油、地溝油、廃液処理再生油等)の脂肪酸グリセリンエステルを主成分とする油脂;油滓、石鹸等の脂肪酸塩を主成分とする組成物;などが挙げられる。
なお、本明細書において「主成分とする」とは、当該組成物において含有量が最も多い成分(ただし最も多い成分が水である場合には2番目に含有量が多い成分)であることを意味し、好ましくは含有量が40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
ここで、高酸価油は、酸価10mgKOH/g以上の油脂をいい、油脂の主成分である脂肪酸グリセリンエステルの他、遊離脂肪酸等を含む。酸価は20mgKOH/g以上であってよく、さらには50mgKOH/g以上であってもよい。なお、酸価の上限は、通常は200mgKOH/g以下である。
油滓は、植物油脂の精製における脱酸工程において油脂(原油)から分離される副生成物であり、脂肪酸塩、脂肪酸グリセリンエステル、アルカリ、水分等を含む。
(1−3)副原料
本実施形態においては、副原料として、生ごみ、畜糞尿、汚泥、生活排水(し尿・下水)、産業排水、脱臭廃水等、その他リンや窒素を含む化学物質、例えば、リン酸、リン酸塩、アンモニア、アンモニウム塩、具体的には、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等を加えることができる。なお、副原料は後述するメタン発酵工程において用いるものであり、主原料となる廃グリセリン等を中和工程、分離工程を施して得られた第二のグリセリン含有液をメタン発酵槽に投入する際に合わせて発酵槽に投入する。
(2)第一の分離工程
第一の分離工程は、グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含む原料と、無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを相分離する工程である。
本工程で分離される油分には、脂肪酸アルキルエステルの他、脂肪酸グリセリンエステル、遊離脂肪酸が含まれる。
グリセリンを含む原料を用いる場合、中でも廃グリセリンを用いる場合には、本工程において、廃グリセリン等に含まれる脂肪酸の塩が、無機酸により遊離脂肪酸に変換される。また、脂肪酸およびその塩は、無機酸を酸触媒とし、廃グリセリンに含まれる未反応の1価アルコールとのエステル化反応により、脂肪酸アルキルエステルを生成する。
また、原料として脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物を用いる場合には、1価アルコールとのエステル交換反応により、脂肪酸アルキルエステルとグリセリンとを生成する。この場合の1価アルコールは、別途添加することができ、例えば、後述するアルコール分離工程において回収した1価アルコールを用いることができる。また、脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物と同時に廃グリセリンを処理することにより、廃グリセリンに含まれる未反応の1価アルコールを利用してもよい。
1価アルコールの存在下で第一の分離工程を行う場合、本工程は酸触媒エステル化工程ということもできる。なお、後述する第二のエステル化反応との対比において、第一の分離工程を「第一のエステル化工程」という場合がある。
なお、1価アルコールが含まれない場合であっても、脂肪酸グリセリンエステルは、第一の分離工程において酸の存在下で遊離脂肪酸とグリセリンとを生成する。また、原料に脂肪酸塩が含まれる場合は、酸により脂肪酸塩が遊離脂肪酸に変換され、グリセリンと分離しやすくなる。
そのため、原料に1価アルコールが含まれない場合であっても、本実施形態を好適に適用することができる。
本実施形態においては、無機酸の存在下で第一の分離工程を行うため、多様な原料を同時に処理することができる。また、第一の分離工程を行うことにより、廃グリセリン、廃食油、高酸価油など、グリセリンや脂肪酸グリセリンエステルを含有する廃棄物を有効活用できるため、環境負荷の低減にも寄与することができる。
なかでも高酸価油は、酸価が10mgKOH/g以上と高いことから前述したアルカリ触媒によるエステル交換反応の原料としての利用は困難である。しかし、酸触媒エステル化反応ともいうべき第一の分離工程においては、高酸価油も原料として好適に用いることができる。
廃グリセリンや脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物などを原料として用いる場合には、第一の分離工程で生じる脂肪酸アルキルエステルおよび遊離脂肪酸は、第一の油分からなる油相に移行するため、第一のグリセリン含有液と分離することができる。なお、油相を回収した場合、得られた第一の油分(脂肪酸アルキルエステル,遊離脂肪酸等)は、さらなるエステル化反応(後述するエステル化工程)に付し、最終的にはバイオディーゼル燃料等の原料とすることができる。
一方、第一のグリセリン含有液は、無機酸の添加により酸性化されている。また、第一のグリセリン含有液は、無機酸とグリセリン含有廃棄物に含まれるアルカリとから生成した無機塩を含有する場合がある。なお、無機塩の一部は析出していてもよく、すなわち第一のグリセリン含有液は、酸性グリセリン相と析出した無機塩とを含んでいてもよい。
第一の分離工程において使用し得る原料は、水分含有量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。水分含有量が低い原料(例えば、水分含有量の少ない廃グリセリン等)を用いることで、後述する反応液の水分含有量を低くすることが容易となる。なお、原料の水分含有量は、加熱、減圧、乾燥剤等の使用、精製グリセリン中を透過させることなどにより適宜調整することができる。
第一の分離工程で用いる無機酸としては、濃硫酸、リン酸、濃硝酸、塩化水素等が挙げられるが、水分含有量の低い濃硫酸およびリン酸が好ましく、濃硫酸が特に好ましい。
第一の分離工程においては、上記原料と上記無機酸との混合液(反応液)のpHを3以下にすることが好ましく、1以下にすることが特に好ましい。反応液のpHは、上記無機酸の添加量により調整することができる。
反応液は、水分含有量を10質量%以下とすることが好ましく、0.5質量%以下とすることが特に好ましい。反応液の水分含有量は、各原料の水分含有量および投入量の調整、反応液への乾燥剤の使用などにより適宜調整することができる。
反応液のpHおよび水分含有量を上記範囲とすることで、酸触媒エステル化反応の効率を高めることができ、また第一の油分と第一のグリセリン含有液(酸性グリセリン相、無機塩を含む)とを良好に分離させることができる。
第一の分離工程における反応液の温度は、30〜64℃とすることができ、さらには50〜60℃とすることができる。また、反応時間は、0.5〜12時間とすることができ、さらには4〜12時間とすることができる。この間は反応液を攪拌することが好ましい。
上記反応(あるいは攪拌)が終了したのち、0.2〜12時間静置することで、脂肪酸アルキルエステルや未反応の油脂等を含む第一の油分と、酸性グリセリン相や無機塩を含む第一のグリセリン含有液とが分離する。第一の油分は、さらなる酸触媒エステル化反応に付すことで、脂肪酸アルキルエステルの生成に用いることができる。一方、第一のグリセリン含有液は、続く中和工程に付される。
(3)中和工程
中和工程は、第一の分離工程で得られた第一のグリセリン含有液を、アルカリ性物質により中和する工程である。
かかるアルカリ性物質としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物、を用いることができる。
また、上記アルカリ性物質として、グリセリンを含有する物質を用いることができる。かかるグリセリン含有アルカリ性物質としては、例えば、上記廃グリセリン等、油脂のアルカリ触媒エステル交換反応による副生成物;などが挙げられる。これらは、酸性グリセリンを中和できるのみならず、グリセリンの収量を高めることができるため、かかる観点からもグリセリン含有アルカリ性物質の使用は好ましい。かかるグリセリン含有アルカリ性物質は、脂肪酸塩や脂肪酸グリセリンエステルを含有するものでもよい。
上記グリセリン含有アルカリ性物質は、グリセリン含有量が25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば99質量%以下であってよく、90質量%以下であってよい。
また、上記グリセリン含有アルカリ性物質は、pHが9以上であることが好ましく、9〜13であることが特に好ましい。
さらに、上記アルカリ性物質として、脂肪酸塩を主成分とする組成物を用いてもよい。脂肪酸塩を主成分とするアルカリ性物資としては、例えば、油滓、アルカリ石鹸などが挙げられる。
上記中和工程においては、グリセリン含有液のpHが4.0〜8.0となるように、さらには4.5〜7.0となるように、特に5.0〜6.5となるように中和することが好ましい。グリセリン含有液のpHがかかる範囲となるように中和することで、続く第二の分離工程において、油分が分離しやすくなり、また無機塩も析出しやすくなる。グリセリン含有液のpHは、上記アルカリ性物質の添加量を制御することで適宜調整することが可能である。
中和工程においては、液性が酸性から中性付近に移行するよう、酸性グリセリン含有液を撹拌しながら上記アルカリ性物質を添加することが好ましい。前述したとおり、中和に用いるアルカリ性物質として脂肪酸塩を含有する物質を用いてもよいところ、上記のような添加順序とすることで、脂肪酸塩が酸により遊離脂肪酸に変換される。遊離脂肪酸は、グリセリン含有液から相分離した油相に移行し、グリセリン含有液のpHが高くなってもグリセリン含有液に再溶解し難くなる。これにより、続く第二の分離工程における分離がより一層容易となる。なお、脂肪酸塩は、上述した脂肪酸の塩を主成分とする物質のほか、油脂のアルカリ触媒エステル交換反応やアルカリ加水分解による副生成物にも含まれる。
上記アルカリ性物質により、第一の分離工程で得られた第一のグリセリン含有液は中和される。中和されたグリセリン含有液は、続く第二の分離工程に付される。
(4)第二の分離工程
第二の分離工程は、中和工程にて得られた中和されたグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離し、第二のグリセリン含有液を得る工程である。
ここで、分離される第二の油分には、第一の分離工程でも分離されず第一のグリセリン含有液に残った油脂や脂肪酸の他、中和工程において添加されたアルカリ性物質に由来する油脂や遊離脂肪酸などが含まれる。
また、第二の分離工程において分離される無機塩は、第一の分離工程において添加された無機酸(濃硫酸等)と、アルカリ(カリウム、ナトリウム等)との塩であり、好ましくは硫酸カリウムである。上記アルカリは、第一の分離工程に投入される原料(廃グリセリン等)や、中和工程において添加されたアルカリ性物質に含まれるものであり、無機塩は第一の分離工程や中和工程において析出している。
一方、グリセリン含有液には、グリセリンの他、廃グリセリンに由来する1価アルコール、水分等が含まれる。かかるグリセリン含有液に対し、油分や無機塩は溶解度が低いため、グリセリン含有液と分離される。
この第二の分離工程では、中和後の原料を3〜12時間ほど静置後、上部液(油分)、下部液(グリセリン含有液)を別々に回収し、下部液となるグリセリン含有液を得ることができるが、遠心分離等により分離速度を高めることが好ましい。かかる遠心分離においては、上部液(すなわち油分)、下部液(すなわちグリセリン含有液)および固形物(すなわち無機塩)を分離することのできる三相分離型の遠心分離機を好適に用いることができる。また、無機塩が多量に析出する場合には、デカンタ型等の固液分離が可能な遠心分離機により一定程度の無機塩をあらかじめ分離した後、液相部分をさらに三相分離型遠心分離機により分離することが好ましい。
第二の分離工程において得られる第二の油分は、例えば、第一の分離工程において分離された第一の油分と合わせ、さらなる酸触媒エステル化反応(後述するエステル化工程)に付すことで、脂肪酸アルキルエステルの生成に用いることができる。具体的には、第二の分離工程において得られる第二の油分は、バイオディーゼル燃料となる脂肪酸メチルエステル(FAME)製造の原料として用いることができる。即ち、この油分にメタノールと触媒とを加えメチルエステル化反応を起こすというものである。
また、無機塩は、例えば、洗浄工程等を経て無機肥料等の原料とすることができる。
一方、以上のようにして得られた第二のグリセリン含有液は、そのままでもメタン発酵の炭素源として後述するメタン発酵工程に用いることができるが、原料等に由来する1価アルコールを除去する場合には、さらにアルコール除去工程に付してもよい。
さらにアルコール除去工程に付すことで、メタン発酵の効率性向上の観点、作業性の観点、さらには危険物として取り扱う必要を回避する観点から、好ましい場合がある。一方、アルコール除去に要する運転コストを節減する観点からは、あるいは第二のグリセリン含有液において1価アルコールの存在が問題とならない場合(例えば、原料に1価アルコールが含まれず、第二のグリセリン含有液にも1価アルコールが含まれない場合など)は、アルコール除去工程に付さずに上記第二のグリセリン含有液をそのままメタン発酵工程に供給してもよい。
(5)アルコール除去工程
アルコール除去工程は、第二の分離工程で得られた第二のグリセリン含有液から1価アルコール(メタノール等)を除去する工程であって、必要に応じて実施する任意工程である。
上記第二のグリセリン含有液には、廃グリセリンに由来し、第一の分離工程(酸触媒エステル化反応)においても残存した1価アルコールが含まれ得る。かかる1価アルコールが残存したままでもメタン発酵に用いることができるが、除去することでメタン発酵の効率を向上させることができる。
1価アルコールの分離・除去工程においては、減圧蒸留法、気液接触法、膜分離法などを採用することができる。
減圧蒸留法は、グリセリン含有液を加温(例えば、60℃程度)してメタノール等の1価アルコールを蒸発させ、その後減圧することで1価アルコール等を分離する方法である。分離した1価アルコール等は冷却して回収することができる。
気液接触法は、グリセリン含有液を微細な液滴として気相と接触させ、沸点の低い1価アルコールを気相に移行させて分離する方法であり、具体的にはスプレードライ法等を好適に採用することができる。
膜分離法は、1価アルコールを優先的に透過させる膜を用いる方法である。
ちなみに、第二のグリセリン含有液を蒸留して回収されたメタノール等の1価アルコールは、バイオディーゼル燃料の製造に積極的に用いることができる。
なお、第二のグリセリン含有液には水分がさらに含まれている場合がある。かかる水分は、メタン発酵における炭素源としての効果を妨げるものではなく精製グリセリンに残存していてもよいが、例えば減圧蒸留法や気液接触法等においては、1価アルコールとともに気相に移行するため水分を除去することもできる。
また、上記1価アルコールを分離するアルコール分離工程の前または後に、イオン交換法や、活性白土、珪藻土、炭素、ゼオライト等を用い、さらなる精製処理を行ってもよい。
この工程で分離された1価アルコールは、そのまま、あるいは必要に応じて再蒸留等により精製し、アルカリ触媒エステル交換反応や酸触媒エステル化反応の原料として再利用することができる。また、上記第二の分離工程において分離された無機塩等の洗浄液等として用いてもよい。
なお、上記方法で得られたグリセリンは純度が高いものであり、例えば、グリセリンの純度が85質量%以上、90質量%以上、97質量%以上、さらには99質量%以上とすることができる。上記方法においては、上述した第一の分離工程、中和工程および第二の分離工程を介することにより、廃グリセリン等が原料であるにも関わらず、また比較的簡便な方法でありながら、上記数値範囲のような純度の高い精製グリセリンを得ることができる。
上記方法で得られた第二のグリセリン含有液は、後述するメタン発酵工程に付されるほか、アスファルト含有組成物やセメント含有組成物の剥離剤;生物学的硝化脱窒処理における有機炭素源として用いられる脱窒剤;工業用原料(例えば、脂肪酸グリセリンエステルの原料)など、多様な用途に用いることができる。また、さらに蒸留等の工程に付すことで、さらなる高純度が必要となる用途(例えば、化粧品、飲食品、医薬品等)への適用も可能である。
(6)メタン発酵工程
メタン発酵工程では、上述した工程を経て得られた第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行う以外、常法に従って行うことができる。
より具体的には、上述した第二のグリセリン含有液をメタン発酵槽に投入するが、この時、上述した副原料を加えるのが好ましい。
メタン発酵槽は密閉型の反応槽であり、内部には嫌気性微生物であるメタン菌が充填されているとともに、嫌気条件下に保たれる。また、メタン発酵槽内には、汚泥、主原料、副原料、その他メタン発酵を促す有機物・必須元素の混合物中に、メタン菌が均一に分散し作用するように撹拌機が設置される。メタン発酵槽内では、上記した混合物が嫌気性微生物で分解され、メタン発酵の進行に伴って、メタンガスと消化液とが生成される。具体的には、メタン発酵槽内では、メタン発酵によって生成されたメタンガスを主とするバイオガスが発酵槽の最上部の空洞部分に滞留し、下部に消化液が貯留される。
本実施形態においては、発酵槽内を37℃付近に保ちながら行う中温発酵、および55℃付近に保ちながら行う高温発酵のいずれでもよく、嫌気牲の雰囲気下で内容物を攪拌しながらメタン発酵を実行するのが好ましい。
本実施形態において用いられる第二のグリセリン含有液は、n−ヘキサン抽出物質(n−Hex)が10,000mg/kg以下であることが好ましく、5,000mg/kg以下であることがより好ましく、2,000mg/kg以下であることが特に好ましい。ここで、n−ヘキサン抽出物質は、有機溶剤であるn−ヘキサンによって抽出される不揮発性の物質の総称であり、水中の「油分等」の量を表す指標として用いられているものである。本実施形態において用いられる第二のグリセリン含有液は、グリセリン含有廃棄物から油分を除去しているため、n−Hexが小さい値となっている。かかる油分が除去された第二のグリセリン含有液を用いることで、メタン発酵の効率(特にメタン生成速度)を向上させることができる。
本実施形態においては、メタン発酵工程におけるメタン発酵槽内のCODcr負荷が2〜20kg/m3・dayの範囲内に入るように、第二のグリセリン含有液の投入量を適宜調節することが好ましい。さらに好ましくは、メタン発酵槽内のCODcr負荷を5〜10kg/m3・dayとする。CODcr負荷をかけ過ぎると、メタン発酵が速やかに進行し難くなる。上記のようなCODcr負荷の範囲に発酵槽内を調整することで、メタン発酵の速度を維持することが容易となる。
副原料の投入は、メタン菌の活動に必要な栄養素(窒素・リン・その他の必須元素)を補充する目的で加えるものである。副原料の投入量は好ましくは、メタン発酵槽内の消化汚泥の全窒素(T−N)濃度が100〜10,000mg/リットルになるように調整する。さらに好ましくは、T−N濃度が500〜5,000mg/リットルとなるように投入する。このような濃度になるように副原料の投入量を調整すると、メタン発酵が好適に進行し、メタンの生成量が増加する。
メタン発酵槽で生成されたメタンガスは、適宜回収され、発電などの燃料として用いるほか、精製後、高純度のメタンガスとして種々の用途に用いられる。
(7)エステル化工程
上述した第一および第二の分離工程においては、分離した油相より第一および第二の油分がそれぞれ回収される。これらは、アルカリ触媒法による脂肪酸アルキルエステルの製造における原料として循環供給することも考えられるが、純度が必ずしも高くないため、そのままの状態で原料として用いようとすると、脂肪酸アルキルエステルを効率的に製造することが困難な場合がある。また、第一および/または第二の油分には、遊離脂肪酸等の酸価の高い油脂が含まれており、とりわけ第一の油分は、酸触媒を用いたエステル化反応ともいうことができる第一の分離工程(第一のエステル化工程)にて分離されたものであるため、酸性の油分となっている。そのため、第一および第二の油分をそのままアルカリ触媒による脂肪酸アルキルエステルの製造の原料として用いることはより一層困難となる。
しかし、アルカリ触媒法以外の方法であれば、酸価の高い油脂であっても、脂肪酸アルキルエステルを製造することが可能である。そこで、本実施形態においては、アルカリ触媒法以外の方法により脂肪酸アルキルエステルを製造する、エステル化工程を備えることが好ましい。
なお、前述した第一の分離工程(第一のエステル化工程)との対比において、本工程を「第二のエステル化工程」ということがある。
第二のエステル化工程においては、第一の分離工程で分離された第一の油分、および/または上記第二の分離工程で分離された第二の油分を原料として用いることが好ましい。
その他の原料としては、上記酸反応工程(第一のエステル化工程)と同様の原料(高酸価油等)を用いることができる。
これらを原料とすることにより、上述したメタン発酵方法において、産業廃棄物をより一層効率的に再資源化することが可能となる。アルカリ触媒法以外の方法であれば、これらの原料であっても好適に用いることができる。
また、第二のエステル化工程においては、上記アルコール分離工程で分離された1価のアルコールを原料として用いることが好ましい。これにより、上述したメタン発酵方法において、産業廃棄物をより一層効率的に再資源化することが可能となる。
第二のエステル化工程で採用し得る方法は、アルカリ触媒法以外の方法であり、より具体的には、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法が例示される。これらの方法であれば、酸価の高い廃食油や油脂であっても、さらには未反応の遊離脂肪酸を含む油脂であっても、メタノールなどの1価アルコールとエステル交換反応を行うことができる。
第二のエステル化工程においては、脂肪酸アルキルエステルを含有する油分とともに、グリセリンが副生される。第二のエステル化工程で得られる油分と、グリセリン含有液とは、静置、遠心分離等により、相分離させることができる。分離した油分は、脂肪酸アルキルエステルを回収し、バイオディーゼル燃料等とすることができる。一方、副生されたグリセリンは、例えば、上記第一の分離工程(第一のエステル化工程)で得られた第一のグリセリン含有液とともに中和工程に供給することができる。このように構成すると、第二のエステル化工程で副生されたグリセリンについても、中和工程、第二の分離工程等を経て第二のグリセリン含有液の一部とすることができるため、より一層効率的に再資源化することができる。
第二のエステル化工程として、上述したアルカリ触媒法以外の方法の中でも、特に酸触媒法を採用することが好ましい。
図2に示すように、第二のエステル化工程として酸触媒法を採用する場合には、上記第一の油分および/または第二の油分を原料として用いる。その他の原料としては、アルコール除去工程で回収された1価のアルコールを用いることができ、さらには、第一の分離工程(第一のエステル化工程)と同様の原料(高酸価油等)を用いても良い。
第二のエステル化工程で得られた反応液は、脂肪酸アルキルエステルを含む油分と、副生したグリセリンや酸触媒およびその塩等を含むグリセリン含有液とに分離させる。得られる油分およびグリセリン含有液はいずれも酸性となっており、このうち酸性グリセリン含有液は上記中和工程などに供給することができる。
一方、脂肪酸アルキルエステルを含む油分については、中和や脱水等を行うことが好ましい。ここで、中和・脱水の方法としては、バイオディーゼル燃料の製造過程で副生される廃グリセリンを用いる方法が好ましく例示される。具体的には、バイオディーゼル燃料の製造過程で副生される廃グリセリンを脱アルコール化してタンク等に貯留しておき、当該タンクの下部から、中和させる油分を投入して廃グリセリンと接触させる。これにより、酸性の油分は廃グリセリンのアルカリにより中和され、さらに油分に含まれる水および1価アルコールは廃グリセリン液に吸収される。そして、下部から投入された油分は比重差により上部からオーバーフローされるため、容易に回収することができる。このような方法により、中和、脱水および脱アルコールを同時に行うことができ、高品質な油分を簡便に得ることができる。なお、水および1価アルコールを吸収した廃グリセリン液は、上述した中和工程に供給することができ、第二の分離工程等を経て第二のグリセリン含有液の一部とすることができる。
なお、第二のエステル化工程において、酸触媒法以外の方法としては、生体触媒法、超臨界法、亜臨界法を好ましく例示することができる。
生体触媒法は、エステル変換反応の触媒活性を備えたリパーゼやホスホリパーゼを用いて、エステル交換反応を促す方法である。生体触媒法は、反応条件が穏やかであるが、酸価値の高い油脂であってもエステル交換反応を促進でき、副生物が少ないという特性がある。
超臨界法や亜臨界法は、温度や圧力を調整して、原材料を超臨界状態または亜臨界状態に変えることで、物質の相状態を気液二相から液液二相、さらに誘電率を下げて一相へと変化させて、本来触媒を用いる必要があった反応系を無触媒系へと変えて、加水分解を促進する方法である。
このような第二のエステル化工程を行うことにより、産業廃棄物をより一層効率的に再資源化することが可能となる。得られた脂肪酸アルキルエステルは、バイオディーゼル燃料、バイオ重油等として出荷できるほか、発電などに付すことでエネルギーを回収することもできる。すなわち、第二のエステル化工程で得られた脂肪酸アルキルエステルを用いて発電する発電工程をさらに備えていてもよい。
(8)変形例
本発明に係る方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することができる。
例えば、上記メタン発酵方法は、「グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含む廃棄物を再利用する方法」とすることができる。
また、前述したとおり、第二の分離工程で得られた第二のグリセリン含有液、またはアルコール除去工程でアルコールを分離除去したグリセリン含有液は、精製グリセリンとして多様な用途に適用することができる。
そのため、本発明においては、得られた第二のグリセリン含有液(精製されたグリセリン)をメタン発酵以外の用途に用い、残部を上記メタン発酵工程に付す構成を採用してもよい。
すなわち、前述した第一の分離工程、中和工程および第二の分離工程を備え(必要に応じて、さらに上記アルコール除去工程を備える)、得られた第二のグリセリン含有液(精製されたグリセリン)をメタン発酵以外の用途に用い、第二のグリセリン含有液の残部を上記メタン発酵工程に付す、との態様は、本発明の変形例の一つである。
なお、精製されたグリセリンの一部をメタン発酵以外の用途に用いる場合、本態様の方法は「グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含む原料からグリセリンを精製する方法」とすることができる。
メタン発酵以外の用途としては、例えば、アスファルト含有組成物やセメント含有組成物の剥離剤;生物学的硝化脱窒処理における有機炭素源として用いられる脱窒剤;工業用原料(例えば、脂肪酸グリセリンエステルの原料);グリセリンの高純度が必要となる用途(例えば、化粧品、飲食品、医薬品等)等が挙げられる。
この変形例においては、メタン発酵以外の用途の需要に応じて、メタン発酵に付す第二のグリセリン含有液の量を調整することとしてもよい。
また、前述したとおり、上述した方法においては、グリセリン含有廃棄物や脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物を原料として用いることができ、第二のグリセリン含有液(精製されたグリセリン)と、油分(第一および/または第二の油分)とを得ることができる。第二のグリセリン含有液は、メタン発酵以外の用途に用いることができ、一方で油分は上記第二のエステル化工程に付すことで脂肪酸アルキルエステルを製造することができる。
ここで、原料となるグリセリン含有廃棄物や脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物は、由来や組成等が多様であり、原料によってグリセリンや脂肪酸グリセリンエステルの含有比率が大きく異なる。そのため、上記方法で分離されるグリセリン含有液と、油分(第一および/または第二の油分)との比率との比率も、原料に依存して異なるものとなり、得られる第二のグリセリン含有液(精製されたグリセリン)と脂肪酸アルキルエステルとの比率も、原料に依存して変動する。この場合、精製グリセリンの需要(メタン発酵以外の用途)や、脂肪酸アルキルエステルの需要(バイオディーゼル燃料等)に応じた製造量の調整が困難となる場合がある。
これに対し、メタン発酵以外の用途の需要に応じて、第二のグリセリン含有液のメタン発酵工程への供給量を調整するとともに、脂肪酸アルキルエステルの需要に応じて、脂肪酸アルキルエステルの発電工程への供給量を調整することができる。
すなわち、前述した第一の分離工程、中和工程、第二の分離工程およびメタン発酵工程を備えるとともに、前述した第二のエステル化工程および発電工程をさらに備え、第二の分離工程で得られた第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、第二のグリセリン含有液のメタン発酵工程への供給量を調整するとともに、第二のエステル化工程で得られた脂肪酸アルキルエステルの需要に応じて、脂肪酸アルキルエステルの発電工程への供給量を調整する、との態様は、本発明の変形例の一つである。
なお、第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要とは、上記メタン発酵工程に供給されない第二のグリセリン含有液の出荷量と言い換えることができる。また、脂肪酸アルキルエステルの需要とは、上記発電工程に供給されない脂肪酸アルキルエステルの出荷量と言い換えることができる。
このように構成することで、原料によってグリセリンや脂肪酸グリセリンエステルの含有比率が大きく変動しても、精製グリセリンや脂肪酸アルキルエステルの需要に応じて柔軟に対応することができる。そのため、本態様の方法は、グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含む廃棄物を再利用する方法として特に好適である。
〔メタン発酵システム〕
上述した実施形態に係るメタン発酵方法を実現することのできる、本発明の一実施形態に係るメタン発酵システムについて説明する。
なお、前述したメタン発酵方法と同様に、以下に説明するメタン発酵システムは、グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含む廃棄物を再利用するシステムとすることができる。
図3に示すように、メタン発酵システム(廃棄物再利用システム)100は、第一の分離装置101と、中和装置102と、第二の分離装置103と、メタン発酵装置104とを備えて構成されている。
なお、図3に例示されるメタン発酵システム100は、さらにグリセリン含有液を貯留する貯留タンク105および107、アルコール除去装置106、第二のエステル化装置111、脂肪酸アルキルエステルを貯留する貯留タンク112、および発電装置113を備えるように図示されている。
原料である、グリセリンまたは脂肪酸グリセリンエステルを含む組成物(図3ではグリセリン含有廃棄物および脂肪酸グリセリンエステル含有廃棄物を示している)は、無機酸とともに、第一の分離装置101に投入され、酸触媒エステル交換反応等が行われる。一定時間が経過すると、反応液は酸性グリセリン相(第一のグリセリン含有液)と油相(第一の油分)とに相分離する。
第一のグリセリン含有液には、グリセリン、無機塩、1価アルコール等が含まれており、第一のグリセリン含有液は中和装置102に供給され、アルカリ性物質が投入されて中和される。
中和装置102にて中和して得られた中和グリセリン含有液は、第二の分離装置103に供給され、第二のグリセリン含有液、油分(第二の油分)、および無機塩に分離される。第二の分離装置103としては、三相分離型遠心分離機などを好適に用いることができ、その前段にデカンタ型などの固液分離可能な遠心分離機などを設けても良い。
なお、第二の分離装置103より分離された無機塩は、肥料などに用いることができる。
第二の分離装置103で分離された第二のグリセリン含有液は、メタン発酵装置104に供給される。なお、第二の分離装置103とメタン発酵装置104との間に、第二のグリセリン含有液を貯留する貯留タンク105を設けてもよい。
また、第二の分離装置103で分離された第二のグリセリン含有液に、1価アルコールが残存している場合には、これをアルコール除去装置106にて分離・除去してもよい。アルコールが除去された第二のグリセリン含有液は、グリセリン貯留タンク107にて貯留し、メタン発酵以外の用途に用いることができる。また、分離除去された1価アルコールは、後述する第二のエステル化装置111へ供給されるように構成してもよい。
なお、第二のグリセリン含有液において1価アルコールの存在が問題とならない場合(例えば、原料に1価アルコールが含まれず、第二のグリセリン含有液にも1価アルコールが含まれない場合など)は、図3中の一点鎖線で示すように、第二のグリセリン含有液を、アルコール除去装置106をバイパスして貯留タンク107に供給されるように構成してもよい。
ところで、前述したとおり、原料中のグリセリンや脂肪酸グリセリンエステルの含有比率は、原料によって大きく変動する。第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要(メタン発酵装置104に供給されない第二のグリセリン含有液の出荷量)に比べて、第二のグリセリン含有液の製造量が多いと、第二のグリセリン含有液の貯留量が多くなる。
そこで、好ましい態様において、グリセリン貯留タンク107は、第二のグリセリン含有液のレベルを検知するレベル計L1を備える。そして、第二のグリセリン含有液のレベルが所定値以上となったことがレベル計L1によって検知されると、メタン発酵システム100は、バルブV1を開き、第二のグリセリン含有液をメタン発酵装置104へ供給するように構成することができる。
このように構成することで、原料によってグリセリンや脂肪酸グリセリンエステルの含有比率が大きく変動しても、精製グリセリンの需要に応じて柔軟に対応することができる。
この場合において、グリセリン貯留タンク107は、第二のグリセリン含有液の量を検知できる検知計を備えていればよく、例えば、レベル計の代わりに重量計を用いてもよい。
なお、図3においては、第二の分離装置103で分離された第二のグリセリン含有液が、メタン発酵装置104とアルコール除去装置106とに分かれて供給されるように図示されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、メタン発酵効率を向上させる観点から、アルコール除去装置106でアルコール除去されたグリセリン含有液を、メタン発酵装置104に供給する構成としてもよい。
かかる構成において、さらにグリセリン貯留タンク107がレベル計L1を備える場合には、アルコール除去装置106(またはグリセリン貯留タンク107)からメタン発酵装置104へ第二のグリセリン含有液を供給する経路にバルブV1を設け、レベル計L1により検知されるグリセリン含有液のレベルに応じてバルブV1を開閉する構成とすることができる。
また、アルコール除去装置106は、任意の構成であり、本システムにおいては省略も可能である。このような場合においては、貯留タンク105も省略することができる。かかる構成において、さらにグリセリン貯留タンク107がレベル計L1を備える場合には、グリセリン貯留タンク107からメタン発酵装置104へ第二のグリセリン含有液を供給する経路にバルブV1を設け、レベル計L1により検知される第二のグリセリン含有液のレベルに応じてバルブV1を開閉する構成としてもよい。
本実施形態の好ましい一態様において、メタン発酵システム100は、さらに第二のエステル化装置111を備えている。第二のエステル化装置111は、アルカリ触媒法以外の方法を用いて脂肪酸アルキルエステルを製造するためのエステル化反応槽で構成されている。第二のエステル化装置111には、第一の分離装置101で分離された油分(第一の油分)、および/または、第二の分離装置103で分離された油分(第二の油分)が供給される。さらに、アルコール除去装置106で分離・除去された1価アルコールが供給される構成としてもよい。
第二のエステル化装置111においては、アルカリ触媒法以外の方法、より具体的には、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法または固体触媒法が実施される。これらのいずれかの方法によりエステル化反応(エステル交換反応を含む)が行われ、脂肪酸アルキルエステルを含む油分と、グリセリン含有液とが分離される。副生されたグリセリン含有液は、例えば、上述した中和装置102に供給され、中和および分離を経て、メタン発酵等の原料として再資源化することができる。
なお、第二のエステル化装置111において酸触媒法によりエステル化反応が行われる場合は、脂肪酸アルキルエステルを含む油分は酸性となっている。かかる酸性の油分は、廃グリセリンを貯留したタンク等(図示しない)の下部から注入してグリセリン相の上部にオーバーフローさせることで、中和・脱水・脱アルコール化を同時に行ってもよい。
このようにして得られた脂肪酸アルキルエステルは、脂肪酸アルキルエステル貯留タンク112にて貯留される。
本実施形態に係るメタン発酵システム100は、さらに好ましい一態様において、貯留タンク112の後段に、脂肪酸アルキルエステルを用いて発電する発電装置113を備えていてもよい。発電装置113を備えることにより、バイオディーゼル燃料等として脂肪酸アルキルエステルを出荷するだけでなく、メタン発酵システム100において脂肪酸アルキルエステルからエネルギーを回収することができる。
また、前述したとおり、原料中のグリセリンや脂肪酸グリセリンエステルの含有比率は、原料によって大きく変動する。脂肪酸アルキルエステルの需要(発電113に供給されない脂肪酸アルキルエステルの出荷量)に比べて、脂肪酸アルキルエステルの製造量が多いと、脂肪酸アルキルエステルの貯留量が多くなる。
そこで、好ましい態様において、脂肪酸アルキルエステル貯留タンク112は、脂肪酸アルキルエステルのレベルを検知するレベル計L2を備える。そして、脂肪酸アルキルエステルのレベルが所定値以上となったことがレベル計L2によって検知されると、メタン発酵システム100は、バルブV2を開き、脂肪酸アルキルエステルを発電装置113へ供給するように構成することができる。
このように構成することで、原料によってグリセリンや脂肪酸グリセリンエステルの含有比率が大きく変動しても、脂肪酸アルキルエステルの需要に応じて柔軟に対応することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
(廃グリセリンの準備)
水酸化カリウムを触媒とするアルカリ触媒法により、廃食油とメタノールとをエステル交換させてバイオディーゼル燃料を製造した。このとき生成したグリセリンを含む副生成物を廃グリセリンとして回収した。
この廃グリセリンにゼオライトを廃グリセリン1kgあたり20g添加して水分を除去した。ゼオライトが添加された廃グリセリンは、250メッシュのフィルターを通過させて、ゼオライトおよび固体状の不純物を除去した。
こうして得られた原料としての廃グリセリン(以下、「原料廃グリセリン」という。)の組成および物性は表1に示すとおりであった。
Figure 2020213701
(第一の分離工程)
加温冷却機能を有する容量1,000L(リットル)の反応タンクに、原料廃グリセリン500kg、高酸価油(150mgKOH/g)300kgを投入し、攪拌(120rpm)しながら55℃まで加温した。この状態で、濃硫酸32Lを反応容器中に15分かけて添加した。濃硫酸の添加にあたり、反応容器中の混合物の温度が65℃を超えないように留意した。濃硫酸を全量添加した後の反応液のpHは1であった。濃硫酸の添加終了後、240分間攪拌を継続した。その後10時間静置し、油相(第一の油分)と酸性グリセリン相(第一のグリセリン含有液)とに分離させ、第一のグリセリン含有液(酸性グリセリン相,析出した硫酸カリウムを含む)を回収した。以上の操作を繰り返すことにより、第一のグリセリン含有液5,000kgを得た。
(中和工程)
容量15,000Lの反応タンクに、攪拌しながら第一のグリセリン含有液5,000kg、廃グリセリン5,000kgを投入した。pHは7.1であった。その後も4時間攪拌を継続し、その後24時間静置した。
(第二の分離工程)
中和されたグリセリンを、デカンタ型遠心分離機(製品名:Z18H−V,タナベウィルテック社製)にて5,500rpm、180分間処理し、析出した硫酸カリウムを分離回収した。液相について、さらに三相分離型遠心分離機(アルファ・ラバル社製)にて8,000rpm、180分間処理し、第二の油分、第二のグリセリン含有液、硫酸カリウムをそれぞれ分離回収した。この工程で得られた第二のグリセリン含有液を試料1とした。
(アルコール除去工程)
上記第二の分離工程で得られた第二のグリセリン含有液を、真空蒸留装置を用いて蒸留温度110℃で10分のバッチ式で蒸留し、メタノールおよび水を分離除去した。得られた第二のグリセリン含有液(メタノール及び水の除去後のグリセリン含有液)を試料2とした。
なお、比較の目的で、最初に得られた原料廃グリセリンを試料3とした。
試料1〜3のそれぞれについて、pH、BOD、TOC,CODcr、T−N、n−Hex、T−P、全塩素、グリセリン濃度、メタノール濃度、及び比重を測定した。結果を表2に示す。
ここで、以下に述べる各項目は、JIS K0102に準拠して測定した。BOD(生物化学的酸素要求量)とは、水中の有機物などの量を、その酸化分解のために微生物が必要とする酸素の量で表したものである。TOC(全有機炭素)とは、水中の有機物の総量を「有機物中に含まれる炭素量」として表現する指標である。また、COD(化学的酸素要求量)とは、水中の有機物量を、「酸化剤により分解した時の酸素消費量」として表現する指標であり、使用する酸化剤の種類や反応条件に応じて複数の種類がある。本実施形態では、COD指標として、酸化剤に二クロム酸カリウムを用いる「CODCr」を好適に用いることができる。酸化剤に過マンガン酸カリウムを使う「CODMn」は実際の有機物量に対する捕捉率が低いためである。また、T−N(全窒素)は水中に含まれる窒素化合物の総量を示すものである。次に、n−Hex(n−ヘキサン抽出物質)は、昭和49年環境省告示64号付表4抽出・重量法により測定した。n−Hexは、有機溶剤であるn−ヘキサンによって抽出される不揮発性の物質の総称であり、水中の「油分等」の量を表す指標として用いられているものである。ここで油分等とは動植物油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、リン脂質などの脂肪酸誘導体、ワックス、グリース、石油系炭化水素等を含む。また、T−P(総リン)は水中に含まれるリン化合物の総量である。全塩素は、燃焼イオンクロマトグラフ法で測定し、水中に含まれる塩素及び塩化物の総量である。
また、メタノール濃度はガスクロマトグラフ法、グリセリン濃度は液体クロマトグラフ法により測定した。
Figure 2020213701
表2からわかるように、試料1及び2(本発明における実施例)と比較のために用いた試料3とでは、BOD、TOC,CODcrの値においてはそれほど大きな差異、及び顕著な傾向はとくには見られない。しかしながら、水中に存在する油分の指標として用いられるn−Hexでは、試料1(分離工程後、アルコール除去を行わなかったサンプル)、及び試料2(分離工程後、アルコール除去を行ったサンプル)と、比較として用いた試料3(廃グリセリン)とでは値に大きな違いがある。即ち、本発明の方法によれば、グリセリン含有廃棄物中の油分を極めて高い効率で分離除去できることがわかる。
次に、試料1〜3のそれぞれについて、図4に示すメタン発酵装置を用い、以下に示す要領でメタン発酵実験を行い、各試料のバイオガス発生量を測定した。なお、試験は、試験開始(メタン発酵開始)から15日間経過した時点で終了とした。
実施例で用いたメタン発酵装置を、図4を用いて説明する。メタン発酵装置1は、発酵槽2と、撹拌子4と、加温装置6と、温度計8と、原料投入口10と、ドレイン12と、ガス出口14とを有する。発酵槽2は、容量が20LでSUS製の密閉型円筒状タンクである。発酵槽2のガス出口14にはガスチューブ16が装着されており、そのガスチューブ16は流量計18(容積式フローメータ)に接続されている。流量計18はデータロギング装置を内蔵しており、これにより24時間連続でのガス発生量をモニターして記録することができる。さらに、流量計18にはもう一つのガスチューブ20を介して、発生したガスを捕集するためのアルミ製のガスパック22が接続されている。
まず、発酵槽2に、窒素・リンを含む食品残渣で馴養した汚泥3.5Lを種汚泥として投入した。次に、発酵槽内を37℃に加温しつつ、試料1〜3のそれぞれを50グラム発酵槽2に投入した。発酵槽2内の雰囲気を窒素でパージし、槽内温度を37℃±0.5℃に保ちながら攪拌子4を常時作動させ、発酵槽2内を攪拌し続けた。流量計18を用いガス発生量の計測と、流量計に連結するガスパック22によりガスの全量捕集を行った。ここで、ガス発生量は流量計18に付随するデータロガーにより連続的に記録した。
試料1〜3を用いた場合のそれぞれについてのガス発生量の経時変化を図5に示す。図5からわかるように、本発明による方法では(試料1及び2を用いた場合には)、バイオガスの生成速度が、廃グリセリンを用いた(試料3を用いた)場合のそれに比して格段に速くなっており、バイオガスの生成量も多くなっているのがわかる。
ここで、バイオガスの原料となり得る炭素源は、BOD、TOC、CODcrのいずれを指標としても、試料1〜3で同程度であるにもかかわらず、試料1及び2においてバイオガスの生成速度が速くなっており、生成量も多くなっていることから、グリセリン含有廃棄物から油分を除去することで、メタン発酵の効率が飛躍的に高まったものと認められる。
本発明によれば、産業廃棄物である廃グリセリン等を原料とし、メタン発酵によりメタンを含有するバイオガスを効率よく製造することができる。従来は利用価値が低いとされていた廃グリセリン等のグリセリン含有廃棄物を積極的に利用することができ、産業上の利用価値は大なるものがある。例えば、本発明による方法で生成されたバイオガスを脱硫工程に回し、得られたガスをガスエンジンに供給して発電をすることもできる。また、分離膜等で含有する二酸化炭素を除去し、家庭用ガスとして供給することもできる。
また、本発明によるメタン発酵方法の途中の分離工程で得られた油分は、バイオディーゼル燃料を製造する際の原材料として用いることができる。さらにまた、本発明の方法において中間生成物として得られたグリセリン含有液は、適宜希釈して水処理脱窒剤、及びアスファルト付着防止剤としても利用することができる。
このように、本発明によれば、これまで廃棄物として処理されていた廃グリセリン等のグリセリン含有廃棄物は種々の用途・分野において利用が可能となり、多くの利用先を確保することにより、安定的なリサイクルフローが可能になる。この結果、産業上の利用価値は大なるものがある。

Claims (24)

  1. グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する原料からメタンを含むバイオガスを製造するメタン発酵方法であって、
    前記原料と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離工程と、
    前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和工程と、
    中和された前記第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離工程と、
    前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行う発酵工程と、
    を備えることを特徴とするメタン発酵方法。
  2. 前記第二の分離工程の後に前記第二のグリセリン含有液からアルコールを除去し、アルコールを分離除去した第二のグリセリン含有液を用いて前記メタン発酵を行うことを特徴とする請求項1に記載のメタン発酵方法。
  3. 前記第一の分離工程において、前記原料と前記無機酸との混合液のpHが3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のメタン発酵方法。
  4. 前記中和工程において、前記第一のグリセリン含有液のpHが4〜8となるように中和することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
  5. 前記メタン発酵工程において、前記第二のグリセリン含有液に加え、窒素及び/又はリンを含む副原料をメタン発酵槽に投入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
  6. 前記副原料が、生ごみ、畜糞尿、リン酸、リン酸塩、アンモニア、及びアンモニウム塩からなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項5に記載のメタン発酵方法。
  7. 前記メタン発酵槽内の消化汚泥の総窒素(T−N)濃度が100〜10,000mg/Lとなるように、前記副原料を添加することを特徴とする請求項5または6に記載のメタン発酵方法。
  8. 前記メタン発酵槽内のCODcr負荷が2〜20kg/m3・dayとなるように、前記第二のグリセリン含有液の投入量を調節することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
  9. 前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵工程への供給量を調整することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
  10. アルカリ触媒法以外の方法であって、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法からなる群より選択される少なくとも一つの方法により、脂肪酸アルキルエステルを製造するエステル化工程を備え、
    前記エステル化工程においては、前記第一の分離工程で分離された第一の油分および/または前記第二の分離工程で分離された第二の油分を原料として用いる
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のメタン発酵方法。
  11. 前記エステル化工程で得られた脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一部を用いて発電する発電工程を備えることを特徴とする請求項10に記載のメタン発酵方法。
  12. 前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、前記第二のグリセリン含有液の前記メタン発酵工程への供給量を調整するとともに、前記脂肪酸アルキルエステルの需要に応じて、前記脂肪酸アルキルエステルの前記発電工程への供給量を調整することを特徴とする請求項11に記載のメタン発酵方法。
  13. グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する原料からメタンを含むバイオガスを製造するメタン発酵システムであって、
    前記原料と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離装置と、
    前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和装置と、
    中和された前記第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離装置と、
    前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行うメタン発酵装置と、
    を備えることを特徴とするメタン発酵システム。
  14. 前記第二の分離装置の後段に、前記第二のグリセリン含有液を貯留するグリセリン貯留タンクを備え、
    前記グリセリン貯留タンクは、貯留された前記第二のグリセリン含有液の量を検知する検知計を備え、
    前記第二のグリセリン含有液の量が所定量以上となった場合に、前記第二のグリセリン含有液が前記メタン発酵装置へ供給される
    ことを特徴とする請求項13に記載のメタン発酵システム。
  15. アルカリ触媒法以外の方法であって、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法からなる群より選択される少なくとも一つの方法により、脂肪酸アルキルエステルを製造するエステル化装置を備え、
    前記第一の分離工程で分離された第一の油分および/または前記第二の分離工程で分離された第二の油分が、原料として前記エステル化装置に供給される
    ことを特徴とする請求項13または14に記載のメタン発酵システム。
  16. 前記エステル化装置の後段に、前記脂肪酸アルキルエステルを貯留する脂肪酸アルキルエステル貯留タンクを備えるともに、
    前記脂肪酸アルキルエステル貯留タンクの後段に、前記脂肪酸アルキルエステルを用いて発電する発電装置を備え、
    前記脂肪酸アルキルエステル貯留タンクは、貯留された前記脂肪酸アルキルエステルの量を検知する検知計を備え、
    前記脂肪酸アルキルエステルの量が所定量以上となった場合に、前記脂肪酸アルキルエステルが前記発電装置へ供給される
    ことを特徴とする請求項15に記載のメタン発酵システム。
  17. グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する廃棄物を再利用する方法であって、
    前記廃棄物と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離工程と、
    前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和工程と、
    中和された前記第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離工程と、
    前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行う発酵工程と、
    を備えることを特徴とする廃棄物再利用方法。
  18. 前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵工程への供給量を調整することを特徴とする請求項17に記載の廃棄物再利用方法。
  19. アルカリ触媒法以外の方法であって、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法からなる群より選択される少なくとも一つの方法により、脂肪酸アルキルエステルを製造するエステル化工程を備え、
    前記エステル化工程においては、前記第一の分離工程で分離された第一の油分および/または前記第二の分離工程で分離された第二の油分を原料として用いる
    ことを特徴とする請求項17または18に記載の廃棄物再利用方法。
  20. 前記エステル化工程で得られた脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一部を用いて発電する発電工程を備え、
    前記第二のグリセリン含有液のメタン発酵以外の用途の需要に応じて、前記第二のグリセリン含有液の前記メタン発酵工程への供給量を調整するとともに、前記脂肪酸アルキルエステルの需要に応じて、前記脂肪酸アルキルエステルの前記発電工程への供給量を調整することを特徴とする請求項19に記載の廃棄物再利用方法。
  21. グリセリンおよび脂肪酸グリセリンエステルの少なくとも1種を含有する廃棄物を再利用するシステムであって、
    前記廃棄物と無機酸とを混合し、第一の油分と第一のグリセリン含有液とを分離する第一の分離装置と、
    前記第一のグリセリン含有液をアルカリ性物質により中和する中和装置と、
    中和された前記第一のグリセリン含有液から、第二の油分および析出した無機塩を分離して第二のグリセリン含有液を得る第二の分離装置と、
    前記第二のグリセリン含有液を用いてメタン発酵を行うメタン発酵装置と、
    を備えることを特徴とする廃棄物再利用システム。
  22. 前記第二の分離装置の後段に、第二のグリセリン含有液を貯留するグリセリン貯留タンクを備え、
    前記グリセリン貯留タンクは、貯留された前記第二のグリセリン含有液の量を検知する検知計を備え、
    前記第二のグリセリン含有液の量が所定量以上となった場合に、前記第二のグリセリン含有液が前記メタン発酵装置へ供給される
    ことを特徴とする請求項21に記載の廃棄物再利用システム。
  23. アルカリ触媒法以外の方法であって、酸触媒法、酸アルカリ触媒法、生体触媒法、イオン交換樹脂法、超臨界法、亜臨界法および固体触媒法からなる群より選択される少なくとも一つの方法により、脂肪酸アルキルエステルを製造するエステル化装置を備え、
    前記第一の分離工程で分離された第一の油分および/または前記第二の分離工程で分離された第二の油分が、原料として前記エステル化装置に供給される
    ことを特徴とする請求項21または22に記載の廃棄物再利用システム。
  24. 前記エステル化装置の後段に、前記脂肪酸アルキルエステルを貯留する脂肪酸アルキルエステル貯留タンクを備えるともに、
    前記脂肪酸アルキルエステル貯留タンクの後段に、前記脂肪酸アルキルエステルを用いて発電する発電装置を備え、
    前記脂肪酸アルキルエステル貯留タンクは、貯留された前記脂肪酸アルキルエステルの量を検知する検知計を備え、
    前記脂肪酸アルキルエステルの量が所定量以上となった場合に、前記脂肪酸アルキルエステルが前記発電装置へ供給される
    ことを特徴とする請求項23に記載の廃棄物再利用システム。
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