JP2004091573A - 木質材料用水系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】有毒な鉛金属石鹸およびマンガン金属石鹸を使用せず、しかも、鉛金属石鹸を使用した場合に匹敵する硬化性能を有し、さらに、塗料及び木質材料に塗工後も塗膜を着色させない木質材料用水系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】コバルト金属石鹸(A)、アミノアルコール(B)、界面活性剤(C)を必須成分とする水系樹脂用硬化促進剤と、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂を必須成分とする木質材料用水系樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】コバルト金属石鹸(A)、アミノアルコール(B)、界面活性剤(C)を必須成分とする水系樹脂用硬化促進剤と、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂を必須成分とする木質材料用水系樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質材料用水系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
後記の特開2001−89672号公報にも記載されているように、一般に、水系アルキッド樹脂等、乾性油のごとき分子内に不飽和脂肪酸を有する水系樹脂には、硬化促進剤(金属ドライヤー)が添加される。従来、硬化促進剤としては、コバルト、鉛等の金属石鹸と界面活性剤との組み合わせが用いられてきた。しかしながら、近年、低公害化、安全衛生上の観点から、硬化促進剤の脱鉛化が進んできている。鉛金属石鹸を使用しない代りにコバルト金属石鹸の使用量を増やせば、硬化性能は向上するが、皮膜の表面硬化が早く進むため、しわや縮みを生じやすく、また、樹脂のコストアップになり、実用的でない。コバルト金属石鹸とジルコニウム金属石鹸と界面活性剤との組み合わせも鉛金属石鹸代替物として有用であるが、塗膜の密着性が不十分である。さらに、硬化促進剤の活性を増大させる添加剤として、特開平8−217915号公報には、コバルト金属石鹸、ビピリジル誘導体、非イオン性界面活性剤及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩またはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩との組み合わせが開示されているが、この混合物は茶褐色を呈し、塗料を着色してしまうため、白色塗料には使用しにくいという欠点がある。また、木質材料に使用すると、塗工後、塗膜が茶褐色に変色するという欠点がある。また、コバルト金属石鹸とマンガン金属石鹸と界面活性剤との組み合わせによりガラス材料への接着が試みられている(例えば、特開2001−89672号公報)が、厚膜での乾燥が不十分であるという欠点がある上、マンガン金属石鹸を使用するとマンカ゛ン中毒の原因にもなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、有毒な鉛金属石鹸およびマンガン金属石鹸を使用せず、しかも、鉛金属石鹸を使用した場合に匹敵する硬化性能を有し、さらに、塗料及び木質材料に塗工後も塗膜を着色させない木質材料用水系樹脂組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、マンガン金属石鹸を使用しなくてもコバルト金属石鹸、アミノアルコール、界面活性剤を必須成分とする水系樹脂用硬化促進剤を分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂、特にポリウレタン成分を含むアルキッド系の水系樹脂に配合することにより、コバルト金属石鹸の活性を高め、さらに、乾燥時間を短縮でき、また、塗料の着色及び木質材料に塗工後も塗膜に着色のない木質材料用水系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、コバルト金属石鹸(A)、アミノアルコール(B)、界面活性剤(C)を必須成分とする水系樹脂用硬化促進剤と、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂を必須成分とする木質材料用水系樹脂組成物を提供する。
また、アミノアルコール(B)が、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミンより選ばれる少なくとも1種である前記発明の木質材料用水系樹脂組成物を提供する。
また、コバルト金属石鹸(A)中のコバルト金属1重量部に対して、アミノアルコール(B)を1〜3重量部になるように含んでなる、前記発明の木質材料用水系樹脂組成物を提供する。
さらに、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂がポリウレタン成分を含む木質材料用水系樹脂組成物を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明で使用されるコバルト金属石鹸としては、公知慣用のものが使用できる。例えば、オクチル酸コバルト、ネオデカン酸コバルトのごとき炭素数7〜12の脂肪族モノカルボン酸コバルト、トール油脂肪酸コバルト、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
本発明で使用されるアミノアルコールとしては、公知慣用のものが使用できるが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルエタノールアミン、n−ブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、t−ブチルエタノールアミン、t−ブチルジエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルブタノールアミン、ジメチルヘキサノールアミン、ジメチルアミノフェノール等が挙げられる。これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できるが、好ましくは、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミンである。
【0006】
本発明で使用される界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノパルミネート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ラウリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリドなどのグリセリン脂肪酸エステルに代表される非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、アルキルリン酸カリウムなどのリン酸エステル塩に代表される陰イオン性界面活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩に代表される陽イオン性界面活性剤などが挙げられる。しかしながら、樹脂への分散性が良いという点から非イオン性界面活性剤のみ、または、非イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
【0007】
アミノアルコールとコバルト金属石鹸の使用割合は、特に制限されないが、好ましくは、コバルト金属石鹸1重量部に対してアミノアルコールが3重量部以下である。塗膜の硬度の面から、さらに好ましくは、コバルト金属石鹸1重量部に対してアミノアルコールが1〜3重量部である。
本発明で使用される界面活性剤の量は、コバルト金属石鹸及びアミノアルコールを配合した溶液100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲が好ましく、さらに、1〜20重量部が好ましい。
本発明の木質材料用水系樹脂組成物は、コバルト金属石鹸、アミノアルコール、界面活性剤を、分子中に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂に配合して得られるが、好ましくは、あらかじめ、コバルト金属石鹸、アミノアルコール、界面活性剤を溶剤に溶解してから、分子中に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂に配合して得られる。
【0008】
当該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、プロピルエーテル、メチルセルソルブ、セルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのエーテル系溶剤や水などが挙げられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。
【0009】
本発明の木質材料用水系樹脂組成物中の分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂としては、公知公用のものが使用できるが、具体的には、乾性油または不乾性油、例えば、ヒマシ油、ヤシ油、アマニ油、キリ油、大豆油、トール油、サフラワー油、合成乾性油等の油脂成分を主成分とするアルキッド系樹脂や、変性フェノール樹脂、エポキシエステル樹脂などの油変性樹脂が挙げられ、特にアルキッド系樹脂が好ましい。これらの樹脂を乳化剤による強制乳化法または転相乳化法により水性化して本発明に使用する木質材料用水系樹脂組成物が得られる。特に、ポリウレタン成分を含むものを使用することが好ましい。ポリウレタン成分の含有量は樹脂固形分中40〜99重量%、好ましくは、60〜98重量%である。ポリウレタン成分の含有量が40重量%より少ないと硬化時の硬化収縮により塗膜にクラック等の欠陥が発生するので、好ましくなく、逆に、99重量%より多いと塗膜の耐水性、耐溶剤性が低下するので好ましくない。
それらの具体例として米国Soluol社製の不飽和アルキッド基含有ポリウレタンディスパージョンであるSolucote102−211SFNM等がある。
【0010】
また、本発明の木質材料用水系樹脂組成物中の硬化促進剤の配合量は、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂の不揮発分100部に対して、コバルト原子に換算して0.001〜1重量部、好ましくは、0.01〜0.2重量部の範囲である。なお、木質材料用水系樹脂には必要に応じて、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ヒ゛スマス、セリウム、カルシウムなどの金属石鹸、各種の含量、タレ止め剤、皮張り防止剤、その他塗料用添加剤などを配合することができる。
【0011】
【実施例】
(実施例1〜2)
Co−NAPHTHENATE6%(大日本インキ化学工業株式会社製、ミネラルスピリット分50%)、アミノアルコール、界面活性剤とを表1に示した割合で混合した添加剤を、Solucote102−211SFNM(米国Soluol社製、不飽和アルキッド基含有ポリウレタンディスパージョン、金属ドライヤー不含)に、表2に示した割合で添加して得られた木質材料用水系樹脂組成物を、なら材にドライで膜厚70ミクロンになるように塗工し、室温で7日間乾燥後、塗膜物性の評価を行った。
【0012】
(比較例)
Co−NAPHTHENATE6%(大日本インキ化学工業株式会社製、ミネラルスピリット分50%)、溶剤、界面活性剤とを表1に示した割合で混合した添加剤を、Solucote102−211SFNM(米国Soluol社製、不飽和アルキッド基含有ポリウレタンディスパージョン、金属ドライヤー不含)に、表2に示した割合で添加して得られた木質材料用水系樹脂組成物を、なら材にドライで膜厚70ミクロンになるように塗工し、室温で7日間乾燥後、塗膜物性の評価を行った。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
上記表2中の注釈は以下の通りである。
1)樹脂不揮発分100部に対するコバルト金属石鹸の添加量(コバルト原子に換算)
2)木質材料用水系樹脂組成物を60℃で7日間保存後、目視で測定
〇:着色なし
×:着色あり
3)なら材にドライで70ミクロンになるように木質材料用水系樹脂組成物を塗工し、室温で1日硬化後、目視で測定
〇:着色なし
×:茶褐色に着色
塗膜物性評価法
光沢:JIS K5400での60度鏡面光沢試験に準じた。
SWARD硬度:SWARD硬度計を用い、ガラス板での値を100としたときの測定値を示した。
鉛筆硬度:JIS K5400での鉛筆引っかき試験に準じた。
【0016】
木質材料に適用した時、通常、金属石鹸による従来の自己酸化架橋タイプのコーティングでは、木からのリグニンやタンニンの溶出と金属石鹸とのキレーションによってウイスキー色に着色するのに対して本発明の樹脂組成物においては、添加されているアミノアルコールにより着色を防止することができた。
【0017】
【発明の効果】
本発明により、特に人体に接触する機会の多い木質材料に対して有毒な鉛金属石鹸およびマンガン金属石鹸を使用せず、しかも、鉛金属石鹸を使用した場合に匹敵する硬化性能を有し、さらに、塗料及び木質材料に塗工後も塗膜を着色させない木質材料用水系樹脂組成物を提供することができるようになった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質材料用水系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
後記の特開2001−89672号公報にも記載されているように、一般に、水系アルキッド樹脂等、乾性油のごとき分子内に不飽和脂肪酸を有する水系樹脂には、硬化促進剤(金属ドライヤー)が添加される。従来、硬化促進剤としては、コバルト、鉛等の金属石鹸と界面活性剤との組み合わせが用いられてきた。しかしながら、近年、低公害化、安全衛生上の観点から、硬化促進剤の脱鉛化が進んできている。鉛金属石鹸を使用しない代りにコバルト金属石鹸の使用量を増やせば、硬化性能は向上するが、皮膜の表面硬化が早く進むため、しわや縮みを生じやすく、また、樹脂のコストアップになり、実用的でない。コバルト金属石鹸とジルコニウム金属石鹸と界面活性剤との組み合わせも鉛金属石鹸代替物として有用であるが、塗膜の密着性が不十分である。さらに、硬化促進剤の活性を増大させる添加剤として、特開平8−217915号公報には、コバルト金属石鹸、ビピリジル誘導体、非イオン性界面活性剤及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩またはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩との組み合わせが開示されているが、この混合物は茶褐色を呈し、塗料を着色してしまうため、白色塗料には使用しにくいという欠点がある。また、木質材料に使用すると、塗工後、塗膜が茶褐色に変色するという欠点がある。また、コバルト金属石鹸とマンガン金属石鹸と界面活性剤との組み合わせによりガラス材料への接着が試みられている(例えば、特開2001−89672号公報)が、厚膜での乾燥が不十分であるという欠点がある上、マンガン金属石鹸を使用するとマンカ゛ン中毒の原因にもなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、有毒な鉛金属石鹸およびマンガン金属石鹸を使用せず、しかも、鉛金属石鹸を使用した場合に匹敵する硬化性能を有し、さらに、塗料及び木質材料に塗工後も塗膜を着色させない木質材料用水系樹脂組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、マンガン金属石鹸を使用しなくてもコバルト金属石鹸、アミノアルコール、界面活性剤を必須成分とする水系樹脂用硬化促進剤を分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂、特にポリウレタン成分を含むアルキッド系の水系樹脂に配合することにより、コバルト金属石鹸の活性を高め、さらに、乾燥時間を短縮でき、また、塗料の着色及び木質材料に塗工後も塗膜に着色のない木質材料用水系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、コバルト金属石鹸(A)、アミノアルコール(B)、界面活性剤(C)を必須成分とする水系樹脂用硬化促進剤と、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂を必須成分とする木質材料用水系樹脂組成物を提供する。
また、アミノアルコール(B)が、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミンより選ばれる少なくとも1種である前記発明の木質材料用水系樹脂組成物を提供する。
また、コバルト金属石鹸(A)中のコバルト金属1重量部に対して、アミノアルコール(B)を1〜3重量部になるように含んでなる、前記発明の木質材料用水系樹脂組成物を提供する。
さらに、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂がポリウレタン成分を含む木質材料用水系樹脂組成物を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明で使用されるコバルト金属石鹸としては、公知慣用のものが使用できる。例えば、オクチル酸コバルト、ネオデカン酸コバルトのごとき炭素数7〜12の脂肪族モノカルボン酸コバルト、トール油脂肪酸コバルト、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
本発明で使用されるアミノアルコールとしては、公知慣用のものが使用できるが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルエタノールアミン、n−ブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、t−ブチルエタノールアミン、t−ブチルジエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルブタノールアミン、ジメチルヘキサノールアミン、ジメチルアミノフェノール等が挙げられる。これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できるが、好ましくは、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミンである。
【0006】
本発明で使用される界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノパルミネート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ラウリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリドなどのグリセリン脂肪酸エステルに代表される非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、アルキルリン酸カリウムなどのリン酸エステル塩に代表される陰イオン性界面活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩に代表される陽イオン性界面活性剤などが挙げられる。しかしながら、樹脂への分散性が良いという点から非イオン性界面活性剤のみ、または、非イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
【0007】
アミノアルコールとコバルト金属石鹸の使用割合は、特に制限されないが、好ましくは、コバルト金属石鹸1重量部に対してアミノアルコールが3重量部以下である。塗膜の硬度の面から、さらに好ましくは、コバルト金属石鹸1重量部に対してアミノアルコールが1〜3重量部である。
本発明で使用される界面活性剤の量は、コバルト金属石鹸及びアミノアルコールを配合した溶液100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲が好ましく、さらに、1〜20重量部が好ましい。
本発明の木質材料用水系樹脂組成物は、コバルト金属石鹸、アミノアルコール、界面活性剤を、分子中に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂に配合して得られるが、好ましくは、あらかじめ、コバルト金属石鹸、アミノアルコール、界面活性剤を溶剤に溶解してから、分子中に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂に配合して得られる。
【0008】
当該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、プロピルエーテル、メチルセルソルブ、セルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのエーテル系溶剤や水などが挙げられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。
【0009】
本発明の木質材料用水系樹脂組成物中の分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂としては、公知公用のものが使用できるが、具体的には、乾性油または不乾性油、例えば、ヒマシ油、ヤシ油、アマニ油、キリ油、大豆油、トール油、サフラワー油、合成乾性油等の油脂成分を主成分とするアルキッド系樹脂や、変性フェノール樹脂、エポキシエステル樹脂などの油変性樹脂が挙げられ、特にアルキッド系樹脂が好ましい。これらの樹脂を乳化剤による強制乳化法または転相乳化法により水性化して本発明に使用する木質材料用水系樹脂組成物が得られる。特に、ポリウレタン成分を含むものを使用することが好ましい。ポリウレタン成分の含有量は樹脂固形分中40〜99重量%、好ましくは、60〜98重量%である。ポリウレタン成分の含有量が40重量%より少ないと硬化時の硬化収縮により塗膜にクラック等の欠陥が発生するので、好ましくなく、逆に、99重量%より多いと塗膜の耐水性、耐溶剤性が低下するので好ましくない。
それらの具体例として米国Soluol社製の不飽和アルキッド基含有ポリウレタンディスパージョンであるSolucote102−211SFNM等がある。
【0010】
また、本発明の木質材料用水系樹脂組成物中の硬化促進剤の配合量は、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂の不揮発分100部に対して、コバルト原子に換算して0.001〜1重量部、好ましくは、0.01〜0.2重量部の範囲である。なお、木質材料用水系樹脂には必要に応じて、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ヒ゛スマス、セリウム、カルシウムなどの金属石鹸、各種の含量、タレ止め剤、皮張り防止剤、その他塗料用添加剤などを配合することができる。
【0011】
【実施例】
(実施例1〜2)
Co−NAPHTHENATE6%(大日本インキ化学工業株式会社製、ミネラルスピリット分50%)、アミノアルコール、界面活性剤とを表1に示した割合で混合した添加剤を、Solucote102−211SFNM(米国Soluol社製、不飽和アルキッド基含有ポリウレタンディスパージョン、金属ドライヤー不含)に、表2に示した割合で添加して得られた木質材料用水系樹脂組成物を、なら材にドライで膜厚70ミクロンになるように塗工し、室温で7日間乾燥後、塗膜物性の評価を行った。
【0012】
(比較例)
Co−NAPHTHENATE6%(大日本インキ化学工業株式会社製、ミネラルスピリット分50%)、溶剤、界面活性剤とを表1に示した割合で混合した添加剤を、Solucote102−211SFNM(米国Soluol社製、不飽和アルキッド基含有ポリウレタンディスパージョン、金属ドライヤー不含)に、表2に示した割合で添加して得られた木質材料用水系樹脂組成物を、なら材にドライで膜厚70ミクロンになるように塗工し、室温で7日間乾燥後、塗膜物性の評価を行った。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
上記表2中の注釈は以下の通りである。
1)樹脂不揮発分100部に対するコバルト金属石鹸の添加量(コバルト原子に換算)
2)木質材料用水系樹脂組成物を60℃で7日間保存後、目視で測定
〇:着色なし
×:着色あり
3)なら材にドライで70ミクロンになるように木質材料用水系樹脂組成物を塗工し、室温で1日硬化後、目視で測定
〇:着色なし
×:茶褐色に着色
塗膜物性評価法
光沢:JIS K5400での60度鏡面光沢試験に準じた。
SWARD硬度:SWARD硬度計を用い、ガラス板での値を100としたときの測定値を示した。
鉛筆硬度:JIS K5400での鉛筆引っかき試験に準じた。
【0016】
木質材料に適用した時、通常、金属石鹸による従来の自己酸化架橋タイプのコーティングでは、木からのリグニンやタンニンの溶出と金属石鹸とのキレーションによってウイスキー色に着色するのに対して本発明の樹脂組成物においては、添加されているアミノアルコールにより着色を防止することができた。
【0017】
【発明の効果】
本発明により、特に人体に接触する機会の多い木質材料に対して有毒な鉛金属石鹸およびマンガン金属石鹸を使用せず、しかも、鉛金属石鹸を使用した場合に匹敵する硬化性能を有し、さらに、塗料及び木質材料に塗工後も塗膜を着色させない木質材料用水系樹脂組成物を提供することができるようになった。
Claims (4)
- コバルト金属石鹸(A)、アミノアルコール(B)、界面活性剤(C)を必須成分とする水系樹脂用硬化促進剤と、分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂を必須成分とする木質材料用水系樹脂組成物。
- アミノアルコール(B)が、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミンより選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の木質材料用水系樹脂組成物。
- コバルト金属石鹸(A)中のコバルト金属1重量部に対して、アミノアルコール(B)を1〜3重量部になるように含んでなる、請求項1または請求項2記載の木質材料用水系樹脂組成物。
- 分子内に不飽和脂肪酸基を有する水系樹脂がポリウレタン成分を含む請求項1から3のいずれかに記載の木質材料用水系樹脂組成物。
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JP2002252870A JP2004091573A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 木質材料用水系樹脂組成物 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2007119619A (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-17 | Dainippon Ink & Chem Inc | 水性塗料用硬化促進剤 |
JP2007284477A (ja) * | 2006-04-12 | 2007-11-01 | Dainippon Ink & Chem Inc | 酸化重合硬化型油性塗料用ドライヤー及びそれを用いた塗料 |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002252870A patent/JP2004091573A/ja active Pending
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