JP2004091410A - 光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤、及びこれを用いた分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学分割剤として有効な光学活性ポリマーを提供する。
【解決手段】光学活性アミノ酸から合成したマレイミド誘導体を光学活性配位子存在下、不斉アニオン重合することにより得られる光学活性ポリマレイミドを光学分割剤として用いる。
【解決手段】光学活性アミノ酸から合成したマレイミド誘導体を光学活性配位子存在下、不斉アニオン重合することにより得られる光学活性ポリマレイミドを光学分割剤として用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性なポリマレイミド誘導体からなる分離剤に関する。本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤は、光学活性化合物の光学分割剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学分割剤として利用される光学活性な合成高分子は数多く知られており、例えば、光学活性メタクリル酸トリフェニルメチル重合体(特開昭56−106907 号公報)、光学活性アクリル酸アミド重合体(特開昭56−167708 号公報)、光学活性ポリウレタン(特開平06−100648 号公報)、光学活性なポリアセチレン誘導体(特開平08−133991 号公報)、側鎖にアミノ酸残基を有するポリアクリルアミド(特開平11−322839 号公報)光学活性ポリ(N−1− ナフチルマレイミド)(特開2001−106729 号公報)、光学活性ポリ(N− α− メチルベンジルマレイミド)(特開2002−97227号公報)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれらの光学活性高分子は、モノマーの入手が困難であったり、光学活性化合物の分離剤として用いた場合、特異の化合物についての分離性能は優れているが、分離可能なラセミ体化合物は限られており、応用範囲を広げるために、特異な性能を有する新規な高分子化合物の種類を持つ必要がある。
【0004】
また、分析技術及び機器の発達により、より分離性能が高い分離剤の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、新規かつ高い分割性能を有する光学活性体の分離剤の開発を目指し、鋭意検討した結果、下記一般式(I )
【0006】
【化3】
【0007】
(式中、R1、R2は、各々独立して、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐したアルキル基、炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置放されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で2又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、ハロゲン原子で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基を示す。但し、R1とR2は等しくない。また、nは2〜10000の範囲の数を示し、*印は光学活性炭素を表す。)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤及びそれを用いた光学活性化合物の分離方法である。
【0009】
本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤は、上記一般式(I )で示される化合物を有効成分として含有する。
【0010】
上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、反応に不活性な溶媒中、不斉配位子存在又は非存在下、下記一般式(II)
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、R1、R2は、各々独立して、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐したアルキル基、炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、ハロゲン原子で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基を示す。但し、R1とR2は等しくない。また、*印は光学活性炭素を表す。)で示される光学活性マレイミド誘導体を不斉アニオン重合することにより容易に調製可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体の不斉アニオン重合による製造方法について説明する.
【0014】
原料となる上記一般式(II)で示される光学活性マレイミド誘導体としては、特に限定するものではないが、具体的には、N− マレオイル− L− アラニン= メチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= エチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= n− ブチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= s− ブチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= t− ブチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン=ペンチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= ヘキシルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= シクロヘキシルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= フェニルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= ナフチルエステル、N− マレオイル−L− アラニン= アントラニルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= メチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= エチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= n−ブチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= s− ブチルアミド、N− マレオイル−L− アラニン=t− ブチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= ペンチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= ヘキシルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= シクロヘキシルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= フェニルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= ナフチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= アントラニルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= メチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= エチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= n−ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= s− ブチルエステル、N−マレオイル− L− フェニルアラニン= t− ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ペンチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ヘキシルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= シクロヘキシルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= フェニルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ナフチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= アントラニルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= メチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= エチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= n− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= s− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= t− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ペンチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ヘキシルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= シクロヘキシルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= フェニルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ナフチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= アントラニルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル、N− マレオイル− L−フェニルグリシン= エチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= n− ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= s− ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= t− ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ペンチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ヘキシルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= シクロヘキシルエステル、N−マレオイル− L− フェニルグリシン= フェニルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ナフチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= アントラニルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= エチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= n− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= s− チルアミド、N−マレオイル− L− フェニルグリシン= t− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ペンチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ヘキシルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= シクロヘキシルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= フェニルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ナフチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= アントラニルアミド、N− マレオイル− L− バリン= メチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= エチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= n− ブチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= s− ブチルエテル、N− マレオイル− L− バリン= t− ブチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= ペンチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= ヘキシルエステル、N− マレオイル− L− バリン= シクロヘキシルエステル、N− マレオイル− L− バリン= フェニルエステル、N− マレオイル− L− バリン= ナフチルエステル、N−マレオイル− L− バリン= アントラニルエステル、N− マレオイル− L− バリン= メチルアミド、N− マレオイル− L− バリン= エチルアミド、N− マレオイル− L− バリン=n− ブチルアミド、N− マレオイル− L− バリン= s− ブチルアミド、N− マレオイル−L− バリン= t− ブチルアミド、N− マレオイル− L−バリン= ペンチルアミド、N− マレオイル− L− バリン= ヘキシルアミド、N−マレオイル− L− バリン= シクロヘキシルアミド、N− マレオイル− L− バリン=フェニルアミド、N− マレオイル− L− バリン= ナフチルアミド、N− マレオイル− L− バリン= アントラニルアミド等が挙げられ、また、これらと光学的に対称である(D)体もあげられる。
【0015】
不斉アニオン重合に用いる触媒としては、具体的には、n− ブチルリチウム、フルオレニルリチウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛等の有機金属触媒が挙げられ、使用量としては反応に具する原料光学活性マレイミド誘導体に対して、通常、0.1 〜30モル%の範囲で使用する.
【0016】
不斉アニオン重合時に不斉配位子を使用する場合、不斉配位子の種類としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(III )で示されるビスオキサゾリン誘導体
【0017】
【化5】
【0018】
(式中、R3、R4は、メチル基、エチル基、炭素数3〜8の直鎖状、分岐状若しくは環式の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、炭素数8〜20の芳香族炭化水素基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜8の直鎖状、分岐状若しくは環式の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる置換基で置換された炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。A は炭素数0〜5のメチレン鎖を表す。*印は光学活性炭素を表す。)又は下記式(IV)に示される(− )− スパルテイン
【0019】
【化6】
【0020】
等を、反応に使用する触媒に対して0.5 〜3.0 モル量使用しても良い。
【0021】
上記一般式(III )で示されるビスオキサゾリン誘導体としては、特に限定するものではないが、具体的には、(4S)−2,2 ’− (1−エチルプロピリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2,2 ’− (1−エチルプロピリデン)ビス[4−(1−(1−ナフチル)エチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2,2 ’− (1−メチルエチリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2,2 ’− (シクロプロピリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2,2 ’− (1 ,3−フェニル)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール、(4S)−2,2 ’− (2,8−ピリジル)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール等が挙げられる。
【0022】
反応に用いる溶剤としては、反応に不活性なものであれば特に限定するものではないが、通常は、反応に具する原料、触媒及び光学活性配位子を十分溶解させるエーテル系溶剤又は芳香族系溶剤を用いる。具体的には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、THF と略す)、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられ、使用量としては、反応に具する原料マレイミド誘導体に対して重量で1 〜1000倍程度使用する。
【0023】
反応温度としては、反応に具する原料光学活性マレイミド誘導体の種類、触媒の違いにより異なり、特に限定するものではないが、通常−78 〜100 ℃の範囲である。
【0024】
反応時間としては、原料のマレイミド、触媒及び反応温度の違いにより異なり、特に限定するものではないが、通常1時間〜240時間の範囲内で反応は完結する。
【0025】
反応終了後、反応液を、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の生成物の溶解度が低い溶剤に滴下晶析させることにより、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体を粉末として取り上げる。純度を向上させるために、THF やトルエン等の溶剤に再溶解させ、再度メタノール等の溶剤に投入し、再晶析を行っても良い。
【0026】
本発明の分離剤の有効成分である、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体としては、前記したとおり上記一般式(II)で示される光学活性マレイミド誘導体の重合により得られる、比旋光度を有する重合物であればあらゆるものが適用可能である。
【0027】
具体的には、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= メチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= エチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= n− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= s− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= t− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ペンチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= シクロヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= フェニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ナフチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= アントラニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= メチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= エチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン=n− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= s− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= t− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ペンチルアミド)、ポリ(N− マレオイル−L− アラニン= ヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= シクロヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= フェニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ナフチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= アントラニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= メチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= エチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= n− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= s− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= t− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ペンチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= シクロヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= フェニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ナフチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= アントラニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= メチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= エチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= n− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= s− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= t− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ペンチルアミド)、ポリ(N− マレオイル−L− フェニルアラニン= ヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= シクロヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン=フェニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ナフチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= アントラニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)、ポリ(N− マレオイル−L− フェニルグリシン= エチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= n− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= s− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= t− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ペンチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ヘキシルエステル)、ポリ(N−マレオイル− L− フェニルグリシン= シクロヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= フェニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ナフチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= アントラニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= エチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= n− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= s− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= t− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ペンチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= シクロヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= フェニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ナフチルアミド)、ポリ(N− マレイル− L− フェニルグリシン= アントラニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= メチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= エチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= n− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L−バリン= s− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= t− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ペンチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= シクロヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= フェニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ナフチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L−バリン= アントラニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= メチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= エチルアミド)、ポリ(N− マレオイル−L− バリン= n− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= s− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= t− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ペンチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= シクロヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= フェニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ナフチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= アントラニルアミド)が挙げられ、また原料マレイミドの光学が(D)体のものを用い重合した比旋光度を有する全てのポリマーも含まれる。
【0028】
本発明の上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤又は上記一般式(II)で示される光学分割マイイミド誘導体の重合体からなる分離剤は、光学活性化合物の光学分割剤として幅広く使用することができる。
【0029】
本発明において、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体そのもの又は、上記一般式(II)で示される光学活性マレイミド誘導体の重合体を分離剤として使用できるが、分離剤の耐圧能力の向上、溶媒置換による膨潤、収縮の防止、理論段数の向上等の目的のため、何らかの担体に担持させてもよい。
【0030】
担体としては、例えば、シリカゲル、アルミナ、架橋ポリスチレン、ポリシロキサン等の多孔質担体が好適なものとして挙げられ、光学活性ポリマレイミド誘導体との親和性を向上させるため、有機シラン化合物を用いて表面処理してもよい。
【0031】
担体の粒径としては、使用するカラムやプレートの大きさにより異なり、特に限定するものではないが、通常1μm〜10mm、好ましくは1〜300μmである。また、平均孔径は10Å〜100μm、好ましくは50〜100000Åである。なお、高速液体クロマトグラフィー用のカラム充填剤の固定相として使用する場合、粒径が1〜200μm、平均細孔径が10〜3000Åの範囲の多孔質担体が好ましい。
【0032】
光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に担持させる方法としては、物理的方法でも化学的方法でもよく、特に限定されない。物理的方法としては、光学活性ポリマレイミド誘導体と多孔質担体を接触させる方法が例示される。また、化学的方法としては、光学活性ポリマレイミド誘導体の製造時にそのポリマーの末端に官能基を付与し、多孔質の担体と化学的に結合させる方法が挙げられる。
【0033】
光学活性ポリマレイミド誘導体の担持量としては、用いる担体に種類、物性により異なり、特に限定するものではないが、担体の重量に対して、通常1〜100重量%の範囲である。
【0034】
本発明の上記各分離剤を用いて、光学活性化合物を光学分割する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法により、光学活性物質を容易に分離することができる。
【0035】
本発明の分離剤を、例えば、高速液体クロマトグラフィー用のカラム充填剤の固定相として使用する場合、溶離液としては、本発明の分離剤を溶解又はこれと反応する液体を除いて特に限定するものではなく、ヘキサン− 2− プロパノール等を用いる順相系、アルコール− 水等を用いる逆相系のいずれにおいても応用可能である。
【0036】
本発明の分離剤は、高速液体クロマトグラフィー用カラムの充填剤用途のみに限らず、核磁気共鳴スペクトル(NMR)のシフト試薬として、またガスクロマトグラフィーの光学分割カラム担持体としても利用可能である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
なお、本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体合成において使用する光学活性配位子:(4S)−2,2’− (1−エチルプロピリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5− ジハイドロオキサゾール](以下(S ,S )−Bnboxと略す)はS .E .Denmark等, J. Org. Chem., 60, 4884 (1995)に記載の方法により調製したものを用いた。
【0039】
以下の実施例における物性の測定は、以下の方法に従った。即ち、平均分子量は、島津製作所製 紫外可視検出器SPD−10A を装着したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC) システムを用いて、GPC カラムは島津製作所製 HSG−10, −15, −20, −40(テトラヒドロフラン)を直列に連結使用、又はShodex K−802.5(クロロホルム)し、50℃又は40℃にてテトラヒドロフラン又はクロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算で算出した。旋光度は、日本分光社製 DIP−140を用いて、テトラヒドロフラン又はクロロホルム中、室温にて測定した。
【0040】
実施例1
光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)の調製はマグネット攪拌子を入れた50mlのシュレンク反応容器に、P .Y .Reddy 等,J. Org. Chem., 82 ,2852(1997)記載の方法に従い調製したN− マレオイル−L− フェニルグリシン= メチルエステル[融点(℃):87〜88℃、比旋光度[α]435 =−38.8 ゜(C=1.0, THF)、[α]435=−167.7゜(C=1.0, CHCl3)]0.500 g (2.04 mmol )とTHF 5.0 mLを、また別途にジメチル亜鉛(0.613 mol/L; ヘキサン溶液) 0.33 mL (0.204 mmol)、(S,S )−Bnbox 0.0398 g (0.102 mmol)及びTHF 2.0 mL を混合した不斉開始剤溶液を調製した。この不斉開始剤溶液を− 40℃でN− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステルのトルエン溶液に添加、さらに同温度で72時間反応を行った。
【0041】
反応終了後、反応液を少量の塩酸水溶液を添加したメタノール100mLに投入し、次いで析出物をろ取、室温度で減圧下、乾燥することにより目的物の光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル0.352 g を白色粉末として得た(収率70.4%)。
【0042】
数平均分子量(Mn)=11.9 ×103 ,Mw/Mn=3.0
比旋光度[α]435=+396.3 ゜(C=1.0, CHCl3)〕
【0043】
実施例2
光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル(比旋光度[α]435=396.3 ゜(C=1.0, CHCl3))5重量%担持シリカゲル及びその充填カラムの調製50mLのナス型フラスコに、実施例1で調製した光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)(比旋光度[α]435=396.3゜(C=1.0, CHCl3))0.035g及びクロロホルム10mL仕込み溶解させた後、シリカゲル(平均粗径10μm、平均細孔径100 Å)0.7 gを添加、次いでロータリーエバボレーターでクロロホルムを減圧留去することにより目的物の光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)(比旋光度[α]435=396.3゜(C=1.0, CHCl3))5重量%担持シリカゲル0.735 g を得た。
【0044】
得られた光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)(比旋光度[α]435=396.3゜(C=1.0, CHCl3))5重量%担持シリカゲルをメタノールに分散させた後、ステンレス製の2mmID X150mmのカラムに高圧ポンプを用い、流量1.25 mL /min 、最高圧力388kg/cm2 で充填した。得られたカラムの理論段数は798段であった。理論段数の測定に当たっては、溶離液としてn−ヘキサン/2−プロパノール= 9/1 (vol/vol )を用い、トルエンの溶出により測定した。なお、理論段数は下式により算出した。
理論段数(N)=5.54×[tr /(W 1/2 )]2
tr =保持時間(sec )
W 1/2 =半値幅(mm)
【0045】
実施例3
実施例2と同様な方法で担体のシリカゲルにオクタデシル化処理されたシリカゲルODS (平均粗径10μm、平均細孔径100 Å)を用いても良い。シリカゲルODSを用いて調製した充填カラムは理論段数954段であった。
【0046】
実施例4〜5
実施例2、3で調製したカラムを用い、表1中に示した条件下、各種化合物の分離を行った。結果を表1中にあわせて示すとともに、それらの測定チャートを図1〜図2にあわせて示した。実施例4は実施例2、実施例5は実施例3で調製したカラムを用いている。なお実施例4〜5において光学分割されていることを確認するため、紫外可視検出器と旋光度検出器を並列に接続し測定した結果を図1〜図2に示した(上段:旋光度検出器、下段:UV検出器)。旋光度検出器により、ラセミ体が光学分割されていることを確認した。
【0047】
【表1】
なお、表1中、1)〜6)は下記のことを意味する。
1) ラセミ化合物A :下式で示される化合物
2) 移動相(1) :n−ヘキサン/2−プロパノール= 9/1 (vol/vol )
移動相(2) :メタノール/水= 7/3 (vol/vol )
3) k1’:最初に溶出するエナンチオマーの保持係数
k1’ = (t1−t0)/t0
4) k2’:2番目に溶出するエナンチオマーの保持係数
k2’ = (t2−t0)/t0
5) α:分離係数
α= k2’/k1 ’
6) Rs:分離度
Rs = 2(t2−t1)/(W1+W2)
【0048】
【発明の効果】
本発明の光学活性化合物の分離剤は、各種分離用途に利用可能であり、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4の結果を示す測定チャートである。
【図2】実施例5の結果を示す測定チャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性なポリマレイミド誘導体からなる分離剤に関する。本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤は、光学活性化合物の光学分割剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学分割剤として利用される光学活性な合成高分子は数多く知られており、例えば、光学活性メタクリル酸トリフェニルメチル重合体(特開昭56−106907 号公報)、光学活性アクリル酸アミド重合体(特開昭56−167708 号公報)、光学活性ポリウレタン(特開平06−100648 号公報)、光学活性なポリアセチレン誘導体(特開平08−133991 号公報)、側鎖にアミノ酸残基を有するポリアクリルアミド(特開平11−322839 号公報)光学活性ポリ(N−1− ナフチルマレイミド)(特開2001−106729 号公報)、光学活性ポリ(N− α− メチルベンジルマレイミド)(特開2002−97227号公報)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれらの光学活性高分子は、モノマーの入手が困難であったり、光学活性化合物の分離剤として用いた場合、特異の化合物についての分離性能は優れているが、分離可能なラセミ体化合物は限られており、応用範囲を広げるために、特異な性能を有する新規な高分子化合物の種類を持つ必要がある。
【0004】
また、分析技術及び機器の発達により、より分離性能が高い分離剤の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、新規かつ高い分割性能を有する光学活性体の分離剤の開発を目指し、鋭意検討した結果、下記一般式(I )
【0006】
【化3】
【0007】
(式中、R1、R2は、各々独立して、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐したアルキル基、炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置放されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で2又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、ハロゲン原子で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基を示す。但し、R1とR2は等しくない。また、nは2〜10000の範囲の数を示し、*印は光学活性炭素を表す。)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤及びそれを用いた光学活性化合物の分離方法である。
【0009】
本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤は、上記一般式(I )で示される化合物を有効成分として含有する。
【0010】
上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、反応に不活性な溶媒中、不斉配位子存在又は非存在下、下記一般式(II)
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、R1、R2は、各々独立して、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐したアルキル基、炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルカルボニルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルケニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐若しくは直鎖のアルキニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、ハロゲン原子で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基を示す。但し、R1とR2は等しくない。また、*印は光学活性炭素を表す。)で示される光学活性マレイミド誘導体を不斉アニオン重合することにより容易に調製可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体の不斉アニオン重合による製造方法について説明する.
【0014】
原料となる上記一般式(II)で示される光学活性マレイミド誘導体としては、特に限定するものではないが、具体的には、N− マレオイル− L− アラニン= メチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= エチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= n− ブチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= s− ブチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= t− ブチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン=ペンチルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= ヘキシルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= シクロヘキシルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= フェニルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= ナフチルエステル、N− マレオイル−L− アラニン= アントラニルエステル、N− マレオイル− L− アラニン= メチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= エチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= n−ブチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= s− ブチルアミド、N− マレオイル−L− アラニン=t− ブチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= ペンチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= ヘキシルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= シクロヘキシルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= フェニルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= ナフチルアミド、N− マレオイル− L− アラニン= アントラニルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= メチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= エチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= n−ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= s− ブチルエステル、N−マレオイル− L− フェニルアラニン= t− ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ペンチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ヘキシルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= シクロヘキシルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= フェニルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ナフチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= アントラニルエステル、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= メチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= エチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= n− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= s− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= t− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ペンチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ヘキシルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= シクロヘキシルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= フェニルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ナフチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルアラニン= アントラニルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル、N− マレオイル− L−フェニルグリシン= エチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= n− ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= s− ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= t− ブチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ペンチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ヘキシルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= シクロヘキシルエステル、N−マレオイル− L− フェニルグリシン= フェニルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ナフチルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= アントラニルエステル、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= エチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= n− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= s− チルアミド、N−マレオイル− L− フェニルグリシン= t− ブチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ペンチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ヘキシルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= シクロヘキシルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= フェニルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ナフチルアミド、N− マレオイル− L− フェニルグリシン= アントラニルアミド、N− マレオイル− L− バリン= メチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= エチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= n− ブチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= s− ブチルエテル、N− マレオイル− L− バリン= t− ブチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= ペンチルエステル、N− マレオイル− L− バリン= ヘキシルエステル、N− マレオイル− L− バリン= シクロヘキシルエステル、N− マレオイル− L− バリン= フェニルエステル、N− マレオイル− L− バリン= ナフチルエステル、N−マレオイル− L− バリン= アントラニルエステル、N− マレオイル− L− バリン= メチルアミド、N− マレオイル− L− バリン= エチルアミド、N− マレオイル− L− バリン=n− ブチルアミド、N− マレオイル− L− バリン= s− ブチルアミド、N− マレオイル−L− バリン= t− ブチルアミド、N− マレオイル− L−バリン= ペンチルアミド、N− マレオイル− L− バリン= ヘキシルアミド、N−マレオイル− L− バリン= シクロヘキシルアミド、N− マレオイル− L− バリン=フェニルアミド、N− マレオイル− L− バリン= ナフチルアミド、N− マレオイル− L− バリン= アントラニルアミド等が挙げられ、また、これらと光学的に対称である(D)体もあげられる。
【0015】
不斉アニオン重合に用いる触媒としては、具体的には、n− ブチルリチウム、フルオレニルリチウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛等の有機金属触媒が挙げられ、使用量としては反応に具する原料光学活性マレイミド誘導体に対して、通常、0.1 〜30モル%の範囲で使用する.
【0016】
不斉アニオン重合時に不斉配位子を使用する場合、不斉配位子の種類としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(III )で示されるビスオキサゾリン誘導体
【0017】
【化5】
【0018】
(式中、R3、R4は、メチル基、エチル基、炭素数3〜8の直鎖状、分岐状若しくは環式の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、炭素数8〜20の芳香族炭化水素基、又はメチル基、エチル基、炭素数3〜8の直鎖状、分岐状若しくは環式の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる置換基で置換された炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。A は炭素数0〜5のメチレン鎖を表す。*印は光学活性炭素を表す。)又は下記式(IV)に示される(− )− スパルテイン
【0019】
【化6】
【0020】
等を、反応に使用する触媒に対して0.5 〜3.0 モル量使用しても良い。
【0021】
上記一般式(III )で示されるビスオキサゾリン誘導体としては、特に限定するものではないが、具体的には、(4S)−2,2 ’− (1−エチルプロピリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2,2 ’− (1−エチルプロピリデン)ビス[4−(1−(1−ナフチル)エチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2,2 ’− (1−メチルエチリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2,2 ’− (シクロプロピリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2,2 ’− (1 ,3−フェニル)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール、(4S)−2,2 ’− (2,8−ピリジル)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール等が挙げられる。
【0022】
反応に用いる溶剤としては、反応に不活性なものであれば特に限定するものではないが、通常は、反応に具する原料、触媒及び光学活性配位子を十分溶解させるエーテル系溶剤又は芳香族系溶剤を用いる。具体的には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、THF と略す)、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられ、使用量としては、反応に具する原料マレイミド誘導体に対して重量で1 〜1000倍程度使用する。
【0023】
反応温度としては、反応に具する原料光学活性マレイミド誘導体の種類、触媒の違いにより異なり、特に限定するものではないが、通常−78 〜100 ℃の範囲である。
【0024】
反応時間としては、原料のマレイミド、触媒及び反応温度の違いにより異なり、特に限定するものではないが、通常1時間〜240時間の範囲内で反応は完結する。
【0025】
反応終了後、反応液を、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の生成物の溶解度が低い溶剤に滴下晶析させることにより、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体を粉末として取り上げる。純度を向上させるために、THF やトルエン等の溶剤に再溶解させ、再度メタノール等の溶剤に投入し、再晶析を行っても良い。
【0026】
本発明の分離剤の有効成分である、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体としては、前記したとおり上記一般式(II)で示される光学活性マレイミド誘導体の重合により得られる、比旋光度を有する重合物であればあらゆるものが適用可能である。
【0027】
具体的には、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= メチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= エチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= n− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= s− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= t− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ペンチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= シクロヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= フェニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ナフチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= アントラニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= メチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= エチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン=n− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= s− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= t− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ペンチルアミド)、ポリ(N− マレオイル−L− アラニン= ヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= シクロヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= フェニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= ナフチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− アラニン= アントラニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= メチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= エチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= n− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= s− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= t− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ペンチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= シクロヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= フェニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ナフチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= アントラニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= メチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= エチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= n− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= s− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= t− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ペンチルアミド)、ポリ(N− マレオイル−L− フェニルアラニン= ヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= シクロヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン=フェニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= ナフチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルアラニン= アントラニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)、ポリ(N− マレオイル−L− フェニルグリシン= エチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= n− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= s− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= t− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ペンチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ヘキシルエステル)、ポリ(N−マレオイル− L− フェニルグリシン= シクロヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= フェニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ナフチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= アントラニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= エチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= n− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= s− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= t− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ペンチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= シクロヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= フェニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= ナフチルアミド)、ポリ(N− マレイル− L− フェニルグリシン= アントラニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= メチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= エチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= n− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L−バリン= s− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= t− ブチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ペンチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= シクロヘキシルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= フェニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ナフチルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L−バリン= アントラニルエステル)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= メチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= エチルアミド)、ポリ(N− マレオイル−L− バリン= n− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= s− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= t− ブチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ペンチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= シクロヘキシルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= フェニルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= ナフチルアミド)、ポリ(N− マレオイル− L− バリン= アントラニルアミド)が挙げられ、また原料マレイミドの光学が(D)体のものを用い重合した比旋光度を有する全てのポリマーも含まれる。
【0028】
本発明の上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤又は上記一般式(II)で示される光学分割マイイミド誘導体の重合体からなる分離剤は、光学活性化合物の光学分割剤として幅広く使用することができる。
【0029】
本発明において、上記一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体そのもの又は、上記一般式(II)で示される光学活性マレイミド誘導体の重合体を分離剤として使用できるが、分離剤の耐圧能力の向上、溶媒置換による膨潤、収縮の防止、理論段数の向上等の目的のため、何らかの担体に担持させてもよい。
【0030】
担体としては、例えば、シリカゲル、アルミナ、架橋ポリスチレン、ポリシロキサン等の多孔質担体が好適なものとして挙げられ、光学活性ポリマレイミド誘導体との親和性を向上させるため、有機シラン化合物を用いて表面処理してもよい。
【0031】
担体の粒径としては、使用するカラムやプレートの大きさにより異なり、特に限定するものではないが、通常1μm〜10mm、好ましくは1〜300μmである。また、平均孔径は10Å〜100μm、好ましくは50〜100000Åである。なお、高速液体クロマトグラフィー用のカラム充填剤の固定相として使用する場合、粒径が1〜200μm、平均細孔径が10〜3000Åの範囲の多孔質担体が好ましい。
【0032】
光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に担持させる方法としては、物理的方法でも化学的方法でもよく、特に限定されない。物理的方法としては、光学活性ポリマレイミド誘導体と多孔質担体を接触させる方法が例示される。また、化学的方法としては、光学活性ポリマレイミド誘導体の製造時にそのポリマーの末端に官能基を付与し、多孔質の担体と化学的に結合させる方法が挙げられる。
【0033】
光学活性ポリマレイミド誘導体の担持量としては、用いる担体に種類、物性により異なり、特に限定するものではないが、担体の重量に対して、通常1〜100重量%の範囲である。
【0034】
本発明の上記各分離剤を用いて、光学活性化合物を光学分割する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法により、光学活性物質を容易に分離することができる。
【0035】
本発明の分離剤を、例えば、高速液体クロマトグラフィー用のカラム充填剤の固定相として使用する場合、溶離液としては、本発明の分離剤を溶解又はこれと反応する液体を除いて特に限定するものではなく、ヘキサン− 2− プロパノール等を用いる順相系、アルコール− 水等を用いる逆相系のいずれにおいても応用可能である。
【0036】
本発明の分離剤は、高速液体クロマトグラフィー用カラムの充填剤用途のみに限らず、核磁気共鳴スペクトル(NMR)のシフト試薬として、またガスクロマトグラフィーの光学分割カラム担持体としても利用可能である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
なお、本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体合成において使用する光学活性配位子:(4S)−2,2’− (1−エチルプロピリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5− ジハイドロオキサゾール](以下(S ,S )−Bnboxと略す)はS .E .Denmark等, J. Org. Chem., 60, 4884 (1995)に記載の方法により調製したものを用いた。
【0039】
以下の実施例における物性の測定は、以下の方法に従った。即ち、平均分子量は、島津製作所製 紫外可視検出器SPD−10A を装着したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC) システムを用いて、GPC カラムは島津製作所製 HSG−10, −15, −20, −40(テトラヒドロフラン)を直列に連結使用、又はShodex K−802.5(クロロホルム)し、50℃又は40℃にてテトラヒドロフラン又はクロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算で算出した。旋光度は、日本分光社製 DIP−140を用いて、テトラヒドロフラン又はクロロホルム中、室温にて測定した。
【0040】
実施例1
光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)の調製はマグネット攪拌子を入れた50mlのシュレンク反応容器に、P .Y .Reddy 等,J. Org. Chem., 82 ,2852(1997)記載の方法に従い調製したN− マレオイル−L− フェニルグリシン= メチルエステル[融点(℃):87〜88℃、比旋光度[α]435 =−38.8 ゜(C=1.0, THF)、[α]435=−167.7゜(C=1.0, CHCl3)]0.500 g (2.04 mmol )とTHF 5.0 mLを、また別途にジメチル亜鉛(0.613 mol/L; ヘキサン溶液) 0.33 mL (0.204 mmol)、(S,S )−Bnbox 0.0398 g (0.102 mmol)及びTHF 2.0 mL を混合した不斉開始剤溶液を調製した。この不斉開始剤溶液を− 40℃でN− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステルのトルエン溶液に添加、さらに同温度で72時間反応を行った。
【0041】
反応終了後、反応液を少量の塩酸水溶液を添加したメタノール100mLに投入し、次いで析出物をろ取、室温度で減圧下、乾燥することにより目的物の光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル0.352 g を白色粉末として得た(収率70.4%)。
【0042】
数平均分子量(Mn)=11.9 ×103 ,Mw/Mn=3.0
比旋光度[α]435=+396.3 ゜(C=1.0, CHCl3)〕
【0043】
実施例2
光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル(比旋光度[α]435=396.3 ゜(C=1.0, CHCl3))5重量%担持シリカゲル及びその充填カラムの調製50mLのナス型フラスコに、実施例1で調製した光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)(比旋光度[α]435=396.3゜(C=1.0, CHCl3))0.035g及びクロロホルム10mL仕込み溶解させた後、シリカゲル(平均粗径10μm、平均細孔径100 Å)0.7 gを添加、次いでロータリーエバボレーターでクロロホルムを減圧留去することにより目的物の光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)(比旋光度[α]435=396.3゜(C=1.0, CHCl3))5重量%担持シリカゲル0.735 g を得た。
【0044】
得られた光学活性ポリ(N− マレオイル− L− フェニルグリシン= メチルエステル)(比旋光度[α]435=396.3゜(C=1.0, CHCl3))5重量%担持シリカゲルをメタノールに分散させた後、ステンレス製の2mmID X150mmのカラムに高圧ポンプを用い、流量1.25 mL /min 、最高圧力388kg/cm2 で充填した。得られたカラムの理論段数は798段であった。理論段数の測定に当たっては、溶離液としてn−ヘキサン/2−プロパノール= 9/1 (vol/vol )を用い、トルエンの溶出により測定した。なお、理論段数は下式により算出した。
理論段数(N)=5.54×[tr /(W 1/2 )]2
tr =保持時間(sec )
W 1/2 =半値幅(mm)
【0045】
実施例3
実施例2と同様な方法で担体のシリカゲルにオクタデシル化処理されたシリカゲルODS (平均粗径10μm、平均細孔径100 Å)を用いても良い。シリカゲルODSを用いて調製した充填カラムは理論段数954段であった。
【0046】
実施例4〜5
実施例2、3で調製したカラムを用い、表1中に示した条件下、各種化合物の分離を行った。結果を表1中にあわせて示すとともに、それらの測定チャートを図1〜図2にあわせて示した。実施例4は実施例2、実施例5は実施例3で調製したカラムを用いている。なお実施例4〜5において光学分割されていることを確認するため、紫外可視検出器と旋光度検出器を並列に接続し測定した結果を図1〜図2に示した(上段:旋光度検出器、下段:UV検出器)。旋光度検出器により、ラセミ体が光学分割されていることを確認した。
【0047】
【表1】
なお、表1中、1)〜6)は下記のことを意味する。
1) ラセミ化合物A :下式で示される化合物
2) 移動相(1) :n−ヘキサン/2−プロパノール= 9/1 (vol/vol )
移動相(2) :メタノール/水= 7/3 (vol/vol )
3) k1’:最初に溶出するエナンチオマーの保持係数
k1’ = (t1−t0)/t0
4) k2’:2番目に溶出するエナンチオマーの保持係数
k2’ = (t2−t0)/t0
5) α:分離係数
α= k2’/k1 ’
6) Rs:分離度
Rs = 2(t2−t1)/(W1+W2)
【0048】
【発明の効果】
本発明の光学活性化合物の分離剤は、各種分離用途に利用可能であり、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4の結果を示す測定チャートである。
【図2】実施例5の結果を示す測定チャートである。
Claims (6)
- 一般式(I )
(式中、R1、R2は、各々独立して、炭素数1〜10の直鎖の若しくは分岐したアルキル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の直鎖の若しくは分岐したアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の直鎖の若しくは分岐したアルキル基、炭素数1〜10の直鎖の若しくは分岐したアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の直鎖の若しくは分岐したアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の直鎖の若しくは分岐したアルキル基、炭素数1〜10の直鎖の若しくは分岐したアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1 又は複数置換された炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1 又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1 又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、ハロゲン原子で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基を示す。但し、R1とR2 は等しくない。また、nは2〜10000の範囲の数を示し、*印は光学活性炭素を表す。) - 一般式(II)
(式中、R1、R2は、各々独立して、炭素数1〜10の直鎖の若しくは分岐したアルキル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルオキシ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキルアミノ基で1 又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1又は複数置換された炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1 又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で2置換されたアミノ基で1 又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1 又は複数置換された炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で3置換されたアンモニウム基で1又は複数置換された炭素数2〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルケニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、炭素数1〜10の分岐した若しくは直鎖のアルキニル基で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基、ハロゲン原子で核が1〜5置換された炭素又はヘテロ原子数5〜20の芳香族基を示す.但し、R1とR2は等しくない。また、*印は光学活性炭素を表す。) - 請求項1に記載の一般式(I )で示される光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に担持してなる分離剤。
- 請求項2に記載の一般式(II)で示される光学活性マレイミド誘導体の重合物を担体に担持してなる分離剤。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の分離剤を用い、クロマトグラフィー法により光学活性化合物を分離することを特徴とする光学活性化合物の分離方法。
- 請求項3又は請求項4に記載の分離剤を固定相成分として含有することを特徴とする高速液体クロマトグラフィー用カラム充填剤。
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JP2002256243A JP2004091410A (ja) | 2002-09-02 | 2002-09-02 | 光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分離剤、及びこれを用いた分離方法 |
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Cited By (1)
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2002
- 2002-09-02 JP JP2002256243A patent/JP2004091410A/ja active Pending
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CN111604034A (zh) * | 2020-04-26 | 2020-09-01 | 同济大学 | 一种改性马来酰亚胺磁性复合材料的制备方法及利用其去除废水中五价砷的方法 |
CN111604034B (zh) * | 2020-04-26 | 2021-05-14 | 同济大学 | 一种改性马来酰亚胺磁性复合材料的制备方法及利用其去除废水中五价砷的方法 |
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