JP2005344040A - 光学活性ポリマレイミド誘導体、並びにそれからなる光学異性体分離剤及び該分離剤を用いた光学活性化合物の分離方法 - Google Patents

光学活性ポリマレイミド誘導体、並びにそれからなる光学異性体分離剤及び該分離剤を用いた光学活性化合物の分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 新規光学活性ポリマレイミド誘導体及び該重合体よりなる広範な溶離剤の使用が可能な光学異性体分離剤及び分離方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)よりなる光学活性ポリマレイミド誘導体
【化12】
Figure 2005344040

(但し、R1はアリール基又はシクロアルキル基、Rは炭素数1〜6のメチレン鎖、Rは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基をそれぞれ示す。またnは2〜10,000、*は光学活性炭素を表す。)で示される末端にトリアルコキシシリル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体であり、該光学活性ポリマレイミド誘導体をシリカゲル等の担体に化学的に結合担持させた光学異性体分離剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、末端にトリアルコキシシリル基を有することを特徴とする新規光学活性ポリマレイミド誘導体、並びにそれからなる光学異性体分離剤及び該分離剤を用いた光学活性化合物の分離方法に関する。
従来、下記一般式(5)
Figure 2005344040
(式中、Rはフェニル基、シクロヘキシル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基を示し、*印は光学活性炭素を表す。)で表されるマレイミド誘導体を不斉アニオン重合することにより高い旋光性、立体規則性を有する光学活性ポリマレイミド誘導体が得られることが知られている(例えば、非特許文献1)。
また、これらの光学活性ポリマレイミド誘導体が光学異性体の分離剤として用い得ることも知られており、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3などには、これら光学活性を有するポリマレイミド誘導体自体を又はシリカゲルなどの担体に物理的に担持させ、クロマトグラフィー用分離剤として用いることが開示されている。
しかし、一般式(5)の重合で得られる光学活性ポリマレイミド誘導体は、末端が前記一般式(5)で表されるマレイミド誘導体骨格であり、通常水素原子が付加した形態の重合体である。これを、シリカゲルなどの担体に担持させて分離剤とした場合、担体との結合力が弱く、容易に剥離するという欠点があった。そのため、担体に担持させた高分子が担体から剥離しないような溶離液を選択、使用する必要があった。溶離液の種類によって分離剤とラセミ体間の相互作用の程度が変化することは一般的に知られており、使用できる溶離液が制限されることは、使用範囲が狭くなり、分離性能も制限されることになるので好ましくない。
これらの問題点を改良するため、光学活性ポリメタクリレート誘導体やポリアクリルアミド誘導体をシリカゲルに化学的に結合させた分離剤も提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5)。これらは、表面に重合性の二重結合部を有するシリカゲルの存在下で、対応するモノマーをラジカル重合することにより調製される。しかし、一般的にラジカル重合によっては、得られるポリマーの立体規則性は低く、また側鎖の光学活性置換基のキラル認識能が低いことから、光学異性体に対する分離性能は低い。
アニオン重合においては、ラジカル重合に比べ高い比旋光度、且つ高い立体規則性を有する光学活性ポリマーが得られるため、光学異性体の分離剤としては好適であると考えられるので、アニオン重合が可能な光学活性ポリマレイミド誘導体が、光学異性体の分離剤としては、本質的に優れていると見られる。しかし前記剥離の問題があり、かかる問題点の解決策が望まれていた。
特開2003−64054号公報 特開2002−64054号公報 特開2002−88121号公報 特開2003−128727号公報 特開昭63−14446号公報 ポリマージャーナル(Polymer Journal) 第33巻 第3号 第227頁(2001年)
本発明は上記課題を解決するものとして、高い旋光性、立体規則性を有する物質であり、光学異性体の分離能が高く、しかも、担体に化学結合により固定し得るという特徴を有する。従って、この物質を、シリカゲル等の担体に固定することにより光学異性体の分離剤として用いた場合、溶媒の種類に影響されることなく広範な溶媒が使用可能となり、且つ長期間高い性能を維持し得る光学異性体の分離剤を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、下記一般式(1)
Figure 2005344040
(式中R1は、アリール基又はシクロアルキル基を示し、R2は炭素数1〜6のメチレン鎖を示し、Rは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。また、nは2〜10,000を表し、*印は光学活性炭素を表す。)で示される末端にトリアルコキシシリル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体を提供する。
本発明は、また上記光学活性ポリマレイミド誘導体からなる光学異性体分離剤でもある。
更に本発明は、上記光学異性体を担体に化学結合により担持させてなる光学異性体分離剤である。
更にまた、本発明は、上記光学活性ポリマレイミド誘導体、またはこれを担体上に化学結合によって担持させた光学活性ポリマレイミド誘導体を光学異性体分離剤として用い、光学異性体の分離を行う方法、好ましくは、該光学異性体分離剤をカラムに充填し、高速液体クロマトグラフィーにより光学活性化合物を分離する方法をも提供する。
本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体は、下記一般式(2)に示される光学活性マレイミド誘導体モノマー
Figure 2005344040
(式中R1は、アリール基又はシクロアルキル基を示す。)
をアニオン重合し、該重合反応の最終段階において、下記一般式(3)で表される重合停止剤
Figure 2005344040
(式中Xは、ハロゲン原子を示し、R2は炭素数1〜6のメチレン鎖を示し、Rは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。)を重合系内に加えて重合を停止させることにより得られる。
特に好適に、本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体を得る方法として、前記一般式(2)で示されるマレイミド誘導体の重合時に、(−)−スパルテイン又は下記一般式(4)
Figure 2005344040
(Yは炭素数2〜10のアルキリデン基又は2価の芳香族基を示し、Zは炭素数0〜5のメチレン鎖を示し、R4は炭素数1〜8の鎖状、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、又は、炭素数1〜8の鎖状、若しくは環状の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる置換基で置換された炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、*印は光学活性炭素を表す。)で示される、ビスオキサゾリン誘導体の存在下で不斉アニオン重合を行い、重合の最終段階で重合を停止させる際に、下記一般式(3)
Figure 2005344040
(Xは、ハロゲン原子を示し、R2は炭素数1〜6のメチレン鎖を示し、Rは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。)で示される、トリアルコキシシリルアルキルハロリド化合物を重合停止剤として用いることにより得ることができる。
本発明の末端にトリアルコキシシリル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体はシリカゲルなどの担体に容易に化学結合させることができ、該光学活性ポリマレイミド誘導体をシリカゲルなどの担体に化学結合させてなる光学異性体分離剤は、使用できる溶離液の種類に制限がなく、応用範囲が広く、且つ光学異性体に対して優れた分離能を有する。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明の上記一般式(1)で示される末端にトリアルコキシシリル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体は、上記一般式(2)で表される光学活性マレイミド誘導体を、不斉配位子として(−)−スパルテイン、又は上記一般式(4)で示されるビスオキサゾリン誘導体存在下、アニオン重合触媒を用いて不斉アニオン重合を行い、重合停止時に重合停止剤として上記一般式(3)で表されるトリアルコキシシリルアルキルハロリド化合物を用いて重合を停止させることにより調製することができる。
ここで、一般式(1)、(2)及び(3)に示されている化学式中のR1、R2及びRはそれぞれ同一の有機基を表すものであって、R1はアリール基又はシクロアルキル基でアリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであり、それらの芳香族環にメチル基、エチル基、ターシャリーブチル基などのアルキル基、塩素、臭素などのハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、スルホン酸基、等の置換基が存在していてもよい。またシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基などであり、該環状アルキルは更に、メチル基、エチル基等のアルキル基や、ハロゲン等の置換基を有していてもよい。
R2は炭素数1〜6のメチレン鎖であり、そのメチレンに存在する水素の一部がメチル基、エチル基等のアルキル基などの置換基で置換されていてもよい。
またRは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−オクチル基などの炭素数1〜8の直鎖状脂肪族炭化水素基、iso−プロピル基、tert−ブチル基などの炭素数3〜8の分岐状脂肪族炭化水素基、ビニル基、アリル基等の炭素数2〜8の不飽和脂肪族炭化水素基などである。
また、一般式(4)で示される化学式中のY、Z及びRはそれぞれ有機基であり、Yは炭素数2〜10のアルキリデン基であり、例えば、ビニリデン基、プロピリデン基、メチルプロピリデン基、エチルプロピリデン基などである。
Zは炭素数0〜5のメチレン鎖である。すなわち、不斉炭素にRが直接結合した態様を含み、メチレン基が1〜5連なった形態である。
またRは、炭素数1〜8の鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基若しくは炭素数1〜8の鎖状又は、環状脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる置換基で置換された炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、炭素数1〜8の鎖状又は環状脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環族基であり、炭素数6〜20の芳香族基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリルなどである。
また炭素数6〜20の芳香族炭化水素に上記の如き炭素数1〜8の鎖状又は環状脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が置換されたものも含まれる。
次に、本発明における一般式(1)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体を得るために用いられる各原材料や重合反応条件等を具体的に示すと次のとおりである。
上記一般式(2)で示される光学活性マレイミド誘導体としては、例えば、N−(S)−1−フェニルエチルマレイミド、N−(S)−1−シクロヘキシルエチルマレイミド、N−(S)−1−(1−ナフチル)エチルマレイミド、N−(S)−1−(2−ナフチル)エチルマレイミド、などが挙げられ、これら(S)体と鏡像体の(R)も含まれる。
アニオン重合触媒としては、n−ブチルリチウム、フルオレニルリチウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、等の有機金属触媒が挙げられ、使用量としては、反応に供する原料の光学活性マレイミド誘導体に対して、通常0.1〜30モル%の範囲で使用するのが好適である。
不斉配位子として用いる(−)−スパルテイン、又は前記一般式(4)で示されるビスオキサゾリン誘導体の使用量としては、重合に使用するアニオン重合触媒に対して理論的には等モル量の使用で良いが、安定した反応を行うため、好ましくは1.01〜2.0モル量使用すれば十分である。
また、上記一般式(4)で示されるビスオキサゾリン誘導体としては、具体的には、(4S)−2、2’−(1−エチルプロピリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2、2’−(1−エチルプロピリデン)ビス[4−(1−(1−ナフチル)エチル)−4、5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2、2’−(1−メチルエチリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2、2’−(1−シクロプロピリデン)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、(4S)−2、2’−(2,6−ピリジル)ビス[4−(1−フェニルエチル)−4,5−ジハイドロオキサゾール]、などが挙げられる。
重合停止剤として用いる上記一般式(3)で表されるトリアルコキシシリルアルキルハロリド化合物としては、具体的には、3−(トリメトキシシリル)プロピルクロライド、3−(トリエトキシシリル)プロピルクロライド、2−
(トリメトキシシリル)エチルクロライド、2−トリエトキシシリル)エチルクロライド、3−(トリメトキシシリル)プロピルブロマイド、3−(トリメトキシシリル)プロピルアイオダイドなどが挙げられ、使用量としては、重合に使用するアニオン重合触媒に対して1.0〜2.0モル量使用するのが好ましく用いられる。
重合に用いる溶剤は、反応に不活性な溶剤であればあらゆる溶剤が使用可能であるが、通常は、反応に用いる原料及び反応開始剤を充分に溶解させることのできる溶剤を用いる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)、ジクロロメタン、クロロホルム、などが挙げられ、使用量としては、反応に供する原料のマレイミド誘導体に対して重量で1〜100倍程度使用するのが好適である。
反応温度は、反応に供する原料のマレイミド誘導体やアニオン重合触媒、不斉配位子、溶媒の種類により異なり、特に限定するものではないが、通常−100℃〜30℃の範囲が好適である。
反応時間は、反応に供する原料のマレイミド誘導体やアニオン重合触媒、不斉配位子、溶媒の種類により異なり、特に限定するものではないが、通常1時間〜500時間の範囲で反応は完結する。
反応終了後、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノールなど、生成物の溶解度が低い溶剤に反応液を滴下晶析させることにより、本発明の末端にトリアルコキシシリル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体を粉末として取得できる。純度を向上させるために、THFやDMF等の溶剤に溶解させ、再度メタノール等の貧溶剤に投入し、再晶析を行っても良い。
更に本発明の末端にトリアルコキシシリル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体は、光学異性体の分離剤として使用することができる。
本発明の末端にトリアルコキシシリル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体を用いて光学活性物質を分離する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体の末端のトリアルコキシシリル基の反応性を利用して、担体に光学活性ポリマレイミド誘導体を化学的に結合させた分離剤を調製し、これらを充填したカラムを用い、例えば高速液体クロマトグラフィー等により光学異性体を容易に分離することができる。
本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体を担持させる担体としては、特に限定するものではないが、シリカゲル、アルミナ、架橋ポリスチレン、ポリシロキサン等が挙げられ、特にシリカゲルが好適である。担体の粒子としては1μm〜200μm、平均細孔径としては10Å〜300Åのものが高速液体クロマトグラフィーにおける分離剤としては好ましい。
本発明においては、本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体を担体と接触させ物理的に担持させて用いることを除外するものではないが、上述のように、本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体の末端のトリアルコキシシリル基の反応性を利用して、担体に光学活性ポリマレイミド誘導体を化学的に結合させる方がより好適である。
担体に対する本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体の担持量としては、用いる担体の種類、物性により異なり、特に限定するものではないが、通常、充填剤の重量に対して1〜50重量%の範囲で担持可能である。
本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に担持させてなる分離剤は、水素結合やπ−π相互作用等が可能な光学活性物質の分離に適用可能である。例えば、高速液体クロマトグラフィー用のカラムの充填剤として使用する場合、溶離液としてヘキサン/2−プロパノールなどを用いる順相系、アルコール/水等を用いる逆相系のいずれにおいても幅広く応用可能である。更に、光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に化学結合させてなる分離剤を充填剤として使用する場合は、光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に接触させ物理的に担持させた分離剤では担持させた光学活性ポリマレイミド誘導体を溶解、剥離させてしまうために使用できないクロロホルム/ヘキサン、THF/水、なども溶離液として使用可能であり、溶離液に制限がない。
以上、詳細に説明した実施の形態により、本発明は末端にトリアルコキシシリル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体及びそれからなる光学異性体分離剤を提供するものであると共に、(1)アニオン重合により調製される高い旋光性及び立体規則性を有する光学活性ポリマレイミド誘導体を容易に担体に化学結合させることが可能である、(2)溶離液に制限がなく、順相系、逆相系ともに使用でき、応用範囲が広い、などの効果を有するものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
核磁気共鳴(以下、1H NMRと略す)スペクトル(270MHz)は、重クロロホルム中、テトラメチルシラン(以下、TMSと略す)を内部標準として、JEOL−EX270(日本電子株式会社)で測定した。赤外吸収(以下、IRと略す)スペクトルの測定には、FTIR−8100A(島津製作所)を用いて測定した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、ポンプ(LC−10AS、島津製作所)、UV検出器(SPD−10A、254nm、島津製作所)、旋光検出器(JASCO−OR990、350nm−900nm、日本分光株式会社)
を備えたCHROMATOPAC C−R7Aplus(島津製作所)を用いて、THF中、50℃にて、測定を行った。 ポリマーの比旋光度は、JASCO DIP−140(日本分光株式会社)及びJASCO P−1000(日本分光株式会社)により、435nm、THF中、25℃で円筒の石英セル(10cm)を使用して測定した。元素分析はPERKIN−ELMER JAPAN 2400IIを用いて測定した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、ポンプにLC−10AT VP(島津製作所)、UV検出器にSPD−10A VP(254nm、島津製作所)を備えたCHROMATOPAC C−R 8A(島津製作所)を使用し、旋光検出に(JASCO−OR 2090plus、350−900nm、日本分光株式会社)を備えたCHROMATOPAC C−R 8A(島津製作所)を使用した。
重合溶媒として用いたトルエンは塩化カルシウムで脱水した後、金属ナトリウムで蒸留したものを使用した。HPLCの溶媒は市販品(1級)を蒸留して使用した。カラムクロマトグラフィー、再沈殿の溶媒は、市販品(1級)をそのまま使用した。重合開始剤として用いたジエチル亜鉛のn−ヘキサン溶液
(1.083molL−1)は、市販品 (関東化学株式会社)をそのまま使用した。
また不斉配位子として用いた (−)−スパルテインは市販品(Aldrich)を真空蒸留により精製後、使用した。比旋光度=−10.3°(c=1.0gdL−1)。
重合停止剤として用いた3−トリメトキシシリルプロピルクロリドは、市販品(関東化学株式会社)をそのまま使用した。
参考例1(モノマー合成)
(S)−(−)−1−フェニルエチルアミン(4.5g、37mmol)をナスフラスコに精秤し、酢酸エチル(100mL)を加えた後、氷水で冷やしながら、さらに無水マレイン酸(4.4g、44.4mmol)の酢酸エチル(50mL)溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌し、その懸濁液を分液漏斗中で水、酢酸エチルの順によく洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥後、溶媒を減圧除去し濾取した。得られた白色粉末状のメチルベンジルマレアミン酸(以下、MBZMAと略す)は真空乾燥機で24時間乾燥した。MBZMA(8.4g、38.2mmol)をトルエン(300mL)に懸濁させ、50℃に加熱した後、臭化亜鉛(以下ZnBrと略す、8.6g、38.2mmol)を加えた。さらに、懸濁液を100℃に加熱し、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSと略す、12.1mL、1.5×38.2mmol、チッソ株式会社)のトルエン(100mL)溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、4時間還流させた。反応終了後、トルエン不溶物を濾過し、濾液を分液漏斗中で塩酸水溶液(0.5N)、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順によく洗浄した。トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した後溶媒を留去し、粗(S)−(−)−メチルベンジルマレイミド(以下、(S)−MBZMIと略す)を得た。粗(S)−MBZMIを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−へキサン:酢酸=4:1)、続いて真空蒸留により精製を行い、(S)−MBZMIを得た。収量2.8g、10.8mmol、収率36.8%、bp.163−165℃/5mmHg、比旋光度−92.6℃(c=1.0gdL−1)。1H NMR(CDCl1H NMR (CDCl3) d ppm:7.50−7.20(5H、m、phenyl)、5.43(1H、q、J=7.3Hz、CH)、2.65(4H、m、CH−CH)、1.85(3H、d、J=7.3Hz、CH)。
実施例1(末端にトリメトキシシリル基を有するポリマーの合成)
参考例1で調製した(S)−MBZMI(0.5g)を、マグネット撹拌子を備えたSchlenk反応管に精秤し、脱気と窒素置換を5回行った後、窒素雰囲気下で精製したトルエン(2mL)をシリンジを用いて加えることにより、モノマー溶液を調製した。また、(−)−スパルテイン((S)−MBZMIに対して0.12モル%)をナシ型フラスコに精秤し、脱気と窒素置換を5回行った後、窒素雰囲気下で精製したトルエン(3mL)をシリンジを用いて加え、さらにジエチル亜鉛((S)−MBZMIに対して0.1モル%)のn−ヘキサン溶液
(1.083molL−1)をシリンジを用いて加えることにより、アニオン重合触媒と不斉配位子の混合溶液を調製した。モノマー溶液を重合温度である−35℃に保持し、窒素雰囲気下でマグネット撹拌子を撹拌させながら、キャネラーを用いてアニオン重合触媒と不斉配位子の混合溶液を添加することにより重合を開始させ、450時間重合を行った。重合溶液に、重合停止剤として3−トリメトキシシリルプロピルクロリド((S)−MBZMIに対して0.3モル%)を添加することにより重合を停止させ、さらに72時間、室温で撹拌を行った後、重合溶液を大量のメタノール中に滴下しポリマーを析出させた。析出したポリマーをガラスフィルターで吸引濾取し、メタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥させた。乾燥後、析出物をTHF2mLに溶解させ、再度メタノール100mLに投入し再晶析を行った。さらに、同様な方法により、2回再晶析を行った後、室温、減圧下で乾燥させることにより、目的物の末端にトリメトキシシリル基を有するポリ((S)−MBZMI)169mgを得た。収率33.8%、比旋光度+355.6゜(c=1.0gdL−1,THF)、数平均分子量(
以下、Mnと略す)45600、多分散度(以下、 Mw/Mnと略す)5.2。得られたポリマーのNMRスペクトル測定において、トリメトキシ基に起因するピークが4.5ppmで観測され、ポリマー末端にトリメトキシシリル基が導入されていることが確認された。
比較例1(末端が水素原子であるポリマーの合成)
参考例1で調製した(S)−MBZMI(0.5g)を、マグネット撹拌子を備えたSchlenk反応管に精秤し、脱気と窒素置換を5回行った後、窒素雰囲気下で精製したトルエン(2mL)をシリンジを用いて加えることにより、モノマー溶液を調製した。また、(−)−スパルテイン((S)−MBZMIに対して0.12モル量)をナシ型フラスコに精秤し、脱気と窒素置換を5回行った後、窒素雰囲気下で精製したトルエン(3mL)をシリンジを用いて加え、さらにジエチル亜鉛((S)−MBZMIに対して0.1モル量)のn−ヘキサン溶液
(1.083molL−1)をシリンジを用いて加えることにより、アニオン重合触媒と不斉配位子の混合溶液を調製した。モノマー溶液を重合温度である−35℃に保持し、窒素雰囲気下でマグネット撹拌子を撹拌させながら、キャネラーを用いてアニオン重合触媒と不斉配位子の混合溶液を添加することにより重合を開始させ、240時間重合を行った。重合溶液に、重合停止剤として0.1N塩酸((S)−MBZMIに対して0.3モル%)を添加することにより重合を停止させた後、重合溶液を大量のメタノール中に滴下しポリマーを析出させた。析出したポリマーをガラスフィルターで吸引濾取し、メタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥させた。乾燥後、析出物をTHF2mLに溶解させ、再度メタノール100mLに投入し再晶析を行った。さらに、同様な方法により、2回再晶析を行った後、室温、減圧下で乾燥させることにより、末端が水素原子であるポリ((S)−MBZMI)500mgを得た。収率100%、比旋光度+311.5゜(c=1.0gdL−1,THF)。
実施例2(末端にトリメトキシシリル基を有するポリマーをシリカゲルに物理的に担持させた分離剤の調製、及びそれを充填したカラムの作製)
30mLのナスフラスコに、実施例1で調製した末端にトリアルコキシシリル基を有するポリ((S)−MBZMI)35mgを精秤し、クロロホルム20mLを加え完全に溶解させた。その溶液にシリカゲル(TSK−GEL SI100、平均粒径5μm、平均細孔径100Å)7gを加え、15分間超音波照射した後、クロロホルムを減圧留去させることにより、ポリ((S)−MBZMI)を物理的に担持させたシリカゲルを得た。ポリ((S)−MBZMI)のシリカゲルへの担持量は5wt%である。
調製した末端にトリアルコキシシリル基を有するポリ((S)−MBZMI)を物理的に担持させたシリカゲルを2−プロパノール10mLに懸濁させ、15分間超音波照射することにより均一に分散したスラリー溶液を調製した。ステンレス製の4.6mm(ID)×250mmのリザーバーにスラリー溶液を加え、溶離液に2−プロパノールを用いてステンレス製の2mm(ID)×150mm(L)のカラムに高圧ポンプを用い、最高圧力400kgcm−2で充填した。得られたカラムの理論段数は452段であった。理論段数の測定には、溶離液に2−プロパノールを用い、トルエンの溶出により測定した。なお、理論段数(以下、Nと略す)は下式により算出した。
Figure 2005344040
ここで、Trは保持時間(sec)、W1/2は半値幅(mm)を示す。
実施例3(末端にトリメトキシシリル基を有するポリマーをシリカゲルに化学結合させた分離剤の調製及びそれを充填したカラムの作製)
30mLのナスフラスコに、実施例1で調製した末端にトリアルコキシシリル基を有するポリ((S)−MBZMI)35mgを精秤し、クロロホルム20mLを加え完全に溶解させた。その溶液にシリカゲル(TSK−GEL SI100、平均粒径5μm、平均細孔径100Å)7gを加え、15分間超音波照射した後、クロロホルムを減圧留去させた。続いて、ナスフラスコに還流コンデンサーを備え、乾燥トルエン65mLを加え、3時間還流を行った。反応物を冷却後、トルエンを減圧留去し、再度クロロホルム20mLを加え、15分間超音波照射することにより均一に分散させた。ステンレス製の4.6mm(ID)×250mmのリザーバーにその溶液を加え、大量のクロロホルムを用いてステンレス製の2mm(ID)×150mm(L)のカラムに最高圧力400kgcm−2で充填しながら、シリカゲルと未反応のポリ((S)−MBZMI)の洗浄を行った。洗浄終了後、カラムからシリカゲルを取り出し、クロロホルムを減圧留去し、乾燥させることにより、ポリ((S)−MBZMI)を化学結合させたシリカゲルを得た。実際にポリ((S)−MBZMI)がシリカゲルに結合していることは、元素分析及びIRスペクトル測定により確認した。すなわち、元素分析の結果は、C,1.74:H,0.87:N,0.12、となり、ポリ((S)−MBZMI)中の窒素原子が検出された。また、IRスペクトル測定においては、700cm−1にポリ((S)−MBZMI)中のフェニル基に起因する吸収が観測された。これらの測定結果から、シリカゲルに化学結合したポリ((S)−MBZMI)の担持量を算出したところ、2.3%であった。
調製したポリ((S)−MBZMI)を化学結合させたシリカゲルを2−プロパノール10mLに懸濁させ、15分間超音波照射することにより均一に分散したスラリー溶液を調製した。ステンレス製の4.6mm(ID)×250mmのリザーバーにスラリー溶液を加え、溶離液に2−プロパノールを用いてステンレス製の2mm(ID)×150mm(L)のカラムに高圧ポンプを用い、最高圧力400kgcm−2で充填した。得られたカラムの理論段数は601段であった。
実施例4(シラン処理したポリ((S)−MBZMI)をシリカゲルに化学結合させた分離剤の調製及びそれを充填したカラムの作製)
シリカゲル上に((S)−MBZMI)を化学結合させた分離剤は、一般にシリカゲル表面に余剰の水酸基を持っている。これをシラン処理することにより、消滅させ、水酸基の影響を除去する。
50mLのナスフラスコに、実施例3で調製したポリ((S)−MBZMI)を化学結合させたシリカゲル1.0gを精秤し、トルエン30mL、ビフェニルジクロロシラン(0.97g)、トリエチルアミン(0.8mL)を加え、24時間還流した。反応終了後、室温まで冷却し、ろ過、及び大量のメタノールで洗浄を行った後、減圧下で乾燥させることにより、シラン処理したポリ((S)−MBZMI)を化学結合させたシリカゲルを得た。
シラン処理したポリ((S)−MBZMI)を化学結合させたシリカゲルを2−プロパノール10mLに懸濁させ、15分間超音波照射することにより均一に分散したスラリー溶液を調製した。ステンレス製の4.6mm(ID)×250mmのリザーバーにスラリー溶液を加え、溶離液に2−プロパノールを用いてステンレス製の2mm(ID)×150mm(L)のカラムに高圧ポンプを用い、最高圧力400kgcm−2で充填した。得られたカラムの理論段数は614段であった。
比較例2(末端が水素原子であるポリマーを物理的に担持させたシリカゲルの調製、及びそれを充填したカラムの作製)
30mLのナスフラスコに、比較例1で調製した末端が水素原子であるポリ((S)−MBZMI)70mgを精秤し、クロロホルム20mLを加え完全に溶解させた。その溶液にシリカゲル(TSK−GEL SI100、平均粒径5μm、平均細孔径100Å)7gを加え、15分間超音波照射した後、クロロホルムを減圧留去させることにより、ポリ((S)−MBZMI)を物理的に担持させたシリカゲルを得た。ポリ((S)−MBZMI)のシリカゲルへの担持量は10wt%である。
調製した末端が水素原子であるポリ((S)−MBZMI)を物理的に担持させたシリカゲルを2−プロパノール10mLに懸濁させ、15分間超音波照射することにより均一に分散したスラリー溶液を調製した。ステンレス製の4.6mm(ID)×250mmのリザーバーにスラリー溶液を加え、溶離液に2−プロパノールを用いてステンレス製の2mm(ID)×150mm(L)のカラムに高圧ポンプを用い、最高圧力400kgcm−2で充填した。得られたカラムの理論段数は743段であった。
実施例5〜26
実施例2、実施例3及び実施例4で調製したカラムを用い、表1中に示した条件下で各種ラセミ体の分離を行った。結果を表1中に合わせて示す。
Figure 2005344040
備考1.ラセミ体(1):トランス−エポキシ−1−(2−フルオロフェニル)−4,4’−ジメチルペンタン−3−オン、ラセミ体(2):トランス−スチルベンオキサイド、ラセミ体(3):マンデル酸、ラセミ体(4):マンデル酸エチルエステル、ラセミ体(5):2−ベンゾイルオキシメチルピラン−4−オン、ラセミ体(6):2−フェニル−N−(フェニルスルフォニル)−4−ピリドン、ラセミ体(7):トランス−エポキシ−1−フェニル−3−フェニルプロパン−3−オン、ラセミ体(8):トランス−エポキシ−1−(3−フルオロフェニル)−4,4’−ジメチルペンタン−3−オン、ラセミ体(9):トランス−エポキシ−1−(4−フルオロフェニル)−4,4’−ジメチルペンタン−3−オン、ラセミ体(10):トランス−エポキシ−1−(4−クロロフェニル)−3−フェニルプロパン−3−オン、ラセミ体(11):トランス−3,4−ジメチル−N−フェニルスクシンイミド。
備考2.移動相(A):n−ヘキサン/2−プロパノール=9/1(vol/vol)、移動相(B):メタノール/水=7/3(vol/vol)、移動相(C):クロロホルム/n−ヘキサン=1/9(vol/vol)。
備考3.k:最初に溶出する光学異性体の保持係数、k=(t−t)/t、ここで、tは最初に溶出する光学異性体の溶出時間であり、tは1,3,5−トリ−tert−ブチルベンゼンの溶出時間である。
備考4.k:2番目に溶出する光学異性体の保持係数、k=(t−t)/t、ここで、tは2番目に溶出する光学異性体の溶出時間であり、tは1,3,5−トリ−tert−ブチルベンゼンの溶出時間である。
備考5.α:分離係数、α=k/k
実測したクロマトグラムの例として、実施例11で得られたクロマトグラムを図1に示した。図1は、ラセミ体(1)であるトランス−エポキシ−1−(2−フルオロフェニル)−4,4’−ジメチルペンタン−3−オンが実施例3で調製したカラムを通過した直後を、UV検出器(下の曲線)および旋光検出器(上の曲線)によりモニタリングした図である。UV検出器による曲線おいて、ピークが二つ現れていることから、またピーク面積比がほぼ等しいことからラセミ体(1)に対する光学分割能が示唆される。旋光検出器による曲線においては、最初に溶出してくる光学異性体が左旋性(−)、2番目に溶出してくる光学異性体が右旋性(+)の光学活性体であることを示している。従って、この場合カラム内のキラル固定相は、左旋性(−)の光学異性体よりも右旋性(+)の光学異性体とより強く相互作用していることになる。
上記の表1において、実施例3で調製した光学活性ポリマレイミド誘導体をシリカゲルに化学的に結合させてなる分離剤の方が、実施例2で調製した光学活性ポリマレイミド誘導体をシリカゲルに物理的に担持させてなる分離剤に比べ、使用可能な溶離液に制限がなく、応用範囲が広く、より多くの光学異性体に対して光学分割能を示し、また、優れた分離能を示すことが明らかである。すなわち、実施例5〜10において、実施例2で調製した分離剤ではラセミ体(1)〜(6)に対して光学分割能を示し、実施例11〜26において、実施例3で調製した分離剤ではラセミ体(1)〜(5)及び(7)〜(11)に対して光学分割能を示した。また、実施例15の方が実施例5に比べ、分離係数は大きくなっており、実施例3で調製した光学活性ポリマレイミド誘導体をシリカゲルに化学的に結合させてなる分離剤の方が実施例2で調製した光学活性ポリマレイミド誘導体をシリカゲルに物理的に担持させてなる分離剤より、優れた分離能を有していることが示唆される。
比較例3
比較例2で調製したカラムを用い、移動相にクロロホルム/n−ヘキサン=1/9(vol/vol)を用いて、各種ラセミ体に対する光学分割能の検討を試みた。しかし、カラム内を移動相であるクロロホルム/n−ヘキサン=1/9(vol/vol)で置換した時点で、物理的に担持していたポリマーのシリカゲルからの剥離がおこり、カラム内の急激な圧力上昇を伴い移動相の送液ポンプが停止し、これ以上の操作継続は不可能となった。従って、比較例2で調製したカラムにおいては、移動相にクロロホルム/n−ヘキサン=1/9(vol/vol)を用いることができないことが示唆され、さらには、シリカゲルに物理的に担持させたポリマーを溶融、又は剥離させるような溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトンなどは移動相として使用できない。
以上のことから、本発明の光学活性ポリマレイミド誘導体をシリカゲルに化学的に結合させてなる分離剤は、溶離液の制限がなく、従来型の光学活性ポリマレイミド誘導体をシリカゲルに物理的に担持させてなる分離剤に比べ、応用範囲が広く、優れた分離能を有する光学異性体分離剤として非常に有用である。
実施例11で得られたクロマトグラム図

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2005344040
    (但し、式中R1は、アリール基又はシクロアルキル基を示し、R2は炭素数1〜6のメチレン鎖を示し、Rは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。また、nは2〜10,000を表し、*印は光学活性炭素を表す。)で示される末端にトリアルコキシシリル基を有することを特徴とする光学活性ポリマレイミド誘導体
  2. 下記一般式(2)
    Figure 2005344040
    (式中、R1はアリール基又はシクロアルキル基を示す。)で表されるマレイミド
    誘導体をアニオン重合触媒を用い重合を行い、その最終段階において、下記一般式(3)
    Figure 2005344040
    (式中、Xは、ハロゲン原子を示し、R2は炭素数1〜6のメチレン鎖を示し、Rは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。)で表されるトリアルコキシアルキルハロリド化合物を重合系に加えて、重合を停止させることを特徴とする請求項1記載の光学活性ポリマレイミド誘導体の製造方法
  3. 不斉配位子として(−)−スパルテイン又は下記一般式(4)
    Figure 2005344040
    (式中、Yは炭素数2〜10のアルキリデン基又は2価の芳香族基を示し、Zは炭素数0〜5のメチレン鎖を示し、R4は炭素数1〜8の鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、若しくは、炭素数1〜8の鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる置換基で置換された炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、*印は光学活性炭素を表す。)で示される、ビスオキサゾリン誘導体の存在下で重合を行うことを特徴とする請求項2記載の光学活性ポリマレイミド誘導体の製造方法
  4. 請求項1記載の光学活性ポリマレイミド誘導体からなる光学異性体分離剤
  5. 請求項1記載の光学活性ポリマレイミド誘導体が、シリル基の部分で担体に化学的に結合されてなる光学異性体分離剤
  6. 担体がシリカゲルである請求項5記載の光学異性体分離剤
  7. 下記一般式(1)
    Figure 2005344040
    (式中R1は、アリール基又はシクロアルキル基を示し、R2は炭素数1〜6のメチレン鎖を示し、Rは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。また、nは2〜10,000を表し、*印は光学活性炭素を示す。)で表される末端にトリアルコキシシル基を有する光学活性ポリマレイミド誘導体とシリカゲルとを溶媒中で加熱処理することを特徴とする光学活性ポリマレイミド誘導体がシリカゲルに化学結合によって担持された光学異性体の分離剤の製造方法。
  8. 請求項4又は請求項5又は請求項6記載の分離剤を使用することを特徴とする光学異性体の分離方法
  9. 請求項4又は請求項5又は請求項6記載の分離剤を充鎮したカラムを用い、高速液体クロマトグラフィーにより光学活性化合物を分離することを特徴とする光学異性体の分離方法






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