JP2004090716A - ステアリングダンパおよびステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に作動油を必要としないステアリングダンパおよびステアリング装置を提供することである。
【解決手段】ヘッドパイプ2と、ヘッドパイプ2内に回転自在に挿通されたステアリングシャフト1と、ステアリングシャフト1に固着したコイル3と、ヘッドパイプ2の内周に上記コイル3と対向し、かつ、ヘッドパイプ2内に磁界を発生させるように固着した永久磁石5a、5bとを有してなり、コイルの3両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングダンパおよびステアリング装置に関し、特に、電磁力を減衰力として用いた二輪車用に適するステアリングダンパおよびステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、自動二輪車等におけるステアリング装置は、図5に示すように、下端が前輪側車軸(図示せず)に枢着されるフロントフォーク51の上部がアッパーブラケット52とアンダーブラケット53に挿入されて固定状態に保持されている。
【0003】
そして、この上下となるアッパーブラケット52とアンダーブラケット53にステアリングシャフト54がいわゆる上下に掛け渡されて固定状態に連結されるとともに、この、ステアリングシャフト54が自動二輪車等(図示せず)の車体フレーム55における前端に連設されたヘッドパイプ56の軸心部に挿通されている。
【0004】
ここで、ハンドルは、図示はしないが、アッパーブラケット52の上端面に連結されるか、あるいは、ステアリングシャフト54の上端に連結され、このとき、ステアリングシャフト54は、軸受57の配在下にヘッドパイプ56に対して回動可能に連繋されている。
【0005】
したがって、自動二輪車の走行時には、ハンドル操作で車体フレーム55の向きにかかわりなく、上記アッパーブラケット52とフロントフォーク51とを介して、前輪を転舵することが可能となるが、その反面、前輪にシミーやキックバックなどによる振動が発生する場合には、これがハンドルに直接伝播されるから乗り心地を悪くする。
【0006】
そこで、走行中の自動二輪車等において、図6に示すように、前輪に振動が入力されたときに、これをロータリ式のオイルダンパDで減衰させて、振動を抑制するステアリング装置の提案(たとえば、特開2000−25547号公報参照)がある。
【0007】
同じく、車体フレームとフロントフォークとの間にステアリングダンパを介させているものも公知である(たとえば、特開平5−201378号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のオイルダンパを利用したステアリングダンパあるいはステアリング装置では、機能面で特に問題はあるわけではないが、高減衰力が得られ、上記振動の抑制に便利であるが、その反面、油が必要であり、この油の漏れを防止するシール機構や複雑なバルブ機構、制御機構を必要とする。
【0009】
また、万が一、油が漏れた場合には、地球環境の悪化の原因になると指摘される恐れがある。オイルダンパに使用する作動油を、地球環境を汚染しない生分解性作動油とすることが提言されているが、生分解性作動油は極めて高価であり、またこの種の作動油の特性は緩衝器の適正な減衰力を発生させるのに不十分であるので、実用化されていない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、特に作動油を必要としないステアリングダンパおよびステアリング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために本発明の第1の課題解決手段は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、ステアリングシャフトに固着したコイルと、ヘッドパイプの内周に上記コイルと対向し、かつ、ヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石とを有してなり、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とする。
【0012】
上記の構成により、ステアリングシャフトが回転すると、ステアリングシャフトに固着したコイルも回転運動を呈することになるので、コイルが、ヘッドパイプ内周に固着した永久磁石の磁束を横切ることとなり、コイルに誘導起電力が発生する。
【0013】
そして、上述の通りコイルの両端は短絡されている場合には、コイルにはステアリングシャフトの回転に抗するトルクを発生するように電流が流れるので、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクがステアリングシャフトの回転運動を抑制することとなる。
【0014】
すなわち、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクが減衰力として作用することとなるので、作動油を使用せずに減衰力の発生が可能である。
【0015】
また、コイルの両端を制御装置に接続する場合には、誘導起電力に起因するコイルに流れる電流の大きさを制御装置によりコントロールすることが可能となるので、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクの調節が可能となる。
【0016】
さらに、自動二輪車等の走行状態、すなわち、車速やハンドル操舵角速度等の情報を基にした減衰力制御が可能となる。
【0017】
したがって、このステアリングダンパを自動二輪車等に適用すれば乗り心地を向上することができる。
【0018】
また、本発明の第2の課題解決手段は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、ステアリングシャフトにヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石と、ヘッドパイプの内周に上記永久磁石と対向するように固着したコイルとを有してなり、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とする。
【0019】
したがって、この場合も第1の課題解決手段と同様に、ステアリングシャフトの回転により、コイルにはステアリングシャフトの回転に抗するトルクを発生するようにソレノイドに電流が流れるので、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクがステアリングシャフトの回転運動を抑制することとなるので、第1の課題解決手段と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0020】
そして、本発明の第3の課題解決手段は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ヘッドパイプとステアリングシャフトの間に回転自在に挿通した筒体と、ステアリングシャフトに設けた径方向に伸びる一本または複数本のアームと、各アームの先端に設けた遊星歯車と、筒体に設けた第1太陽歯車と、同じく筒体に固着したコイルと、ヘッドパイプ内に設けた第2太陽歯車と、ヘッドパイプの内周に上記コイルと対向し、かつ、ヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石とを有してなり、第1太陽歯車と第2太陽歯車との間に遊星歯車を介装して、各歯車を噛合させ、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とする。
【0021】
この場合には、ステアリングシャフトが回転すると、ステアリングシャフトのアームに設けられた遊星歯車も回転し、これに噛合する第1太陽歯車も回転するから、筒体に取付けられたコイルも回転し、このコイルが、ヘッドパイプの内周に固着した永久磁石の磁束を横切るので、第1の課題解決手段同様、減衰力を発生することが可能である。
【0022】
したがって、その作用効果も第1の課題解決手段と同様であるが、上述のように、第1、第2太陽歯車および遊星歯車でプラネタリギアを構成し、このプラネタリギアを介しているから、筒体の回転速度をステアリングシャフトの回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。
【0023】
すなわち、実際にこのステアリングダンパを自動二輪車等に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、コイルや永久磁石の規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0024】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、コイルや永久磁石を大型化する必要が無くなる。
【0025】
さらに、本発明の第4の課題解決手段は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ヘッドパイプとステアリングシャフトの間に回転自在に挿通した筒体と、ステアリングシャフトに設けた径方向に伸びる一本または複数本のアームと、各アームの先端に設けた遊星歯車と、筒体に設けた第1太陽歯車と、同じく筒体にヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石と、ヘッドパイプ内に設けた第2太陽歯車と、ヘッドパイプの内周に上記永久磁石と対向するように固着したコイルとを有してなり、第1太陽歯車と第2太陽歯車との間に遊星歯車を介装して、各歯車を噛合させ、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とする。
【0026】
そして、さらに、本発明の第5の課題解決手段は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ヘッドパイプとステアリングシャフトの間に回転自在に挿通した筒体と、ステアリングシャフトに設けた径方向に伸びる一本または複数本のアームと、各アームの先端に設けた遊星歯車と、筒体に設けた第1太陽歯車と、同じく筒体に固着したコイルと、ヘッドパイプ内に設けた第2太陽歯車と、ステアリングシャフトに上記コイルと対向し、かつ、ヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石とを有してなり、第1太陽歯車と第2太陽歯車との間に遊星歯車を介装して、各歯車を噛合させ、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とする。
【0027】
そして、また、本発明の第6の課題解決手段は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ヘッドパイプとステアリングシャフトの間に回転自在に挿通した筒体と、ステアリングシャフトに設けた径方向に伸びる一本または複数本のアームと、各アームの先端に設けた遊星歯車と、筒体に設けた第1太陽歯車と、同じく筒体にヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石と、ヘッドパイプ内に設けた第2太陽歯車と、ステアリングシャフトに上記永久磁石と対向するように固着したコイルとを有してなり、第1太陽歯車と第2太陽歯車との間に遊星歯車を介装して、各歯車を噛合させ、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とする。
【0028】
したがって、第4、第5、第6の課題解決手段によっても、プラネタリギアを介しているから、筒体の回転速度をステアリングシャフトの回転速度より増速もしくは減速させることが可能であるので、これらの課題解決手段でも第3の課題解決手段と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0029】
また、さらに、本発明の第7の課題解決手段は、第1、2、3、4、5または6の課題解決手段において、制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づき、上記コイルに流れる電流を調節することを特徴とする。
【0030】
したがって、制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づいて、ステアリングシャフトの回転による誘導起電力に基づきコイルに流れる電流量を調整することが可能となる。
【0031】
また、このとき、コイルには誘導起電力に基づく電流が流れるので、特に、通電する必要が無く、電力供給を制御装置のみに行えばよいので、消費電力を低く押えることが可能となるとともに、電流量を適切なものとすることにより、ステアリングダンパの発生する減衰力も自動二輪車等の走行状態に適したものとすることに調節可能であるので、乗り心地が向上する。
【0032】
そして、本発明の第8の課題解決手段は、第1、2、3、4、5、6または7の課題解決手段において、ヘッドパイプが二輪車の車体フレームに結合され、ステアリングシャフトの上下端がフロントフォークを保持するアッパーブラケットとアンダーブラケットに結合されていることを特徴とする。
【0033】
したがって、上述のように構成することにより、本発明のステアリングダンパをステアリング装置に適用することが可能である。
【0034】
また、さらに、本発明の第9の課題解決手段は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ステアリングシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合したモータとを有し、モータの電極を短絡もしくは制御装置に接続させ、ステアリングシャフトの回転運動を直接または動力伝達手段を介してモータシャフトに伝達し、当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記ステアリングシャフトの回転に抗するトルクを減衰力として利用することを特徴とするステアリング装置である。
【0035】
上述のように、モータをステアリングシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合することによっても、作動油を使用せずに減衰力を発生させることが可能である。したがって、このステアリング装置を自動二輪車等に適用すれば乗り心地を向上することができる。
【0036】
そして、また、本発明の第10の課題解決手段は、第9の課題解決手段において、動力伝達手段を、歯車機構としたことを特徴とする。
【0037】
したがって、この場合には、第3の課題解決手段同様に、モータシャフトの回転速度をステアリングシャフトの回転速度より増速もしくは減速させることが可能となるので、第3の課題解決手段同様の効果を奏することができる。
【0038】
また、本発明の第11の課題解決手段は、第9、10の課題解決手段において、制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づき、上記コイルに流れる電流を調節することを特徴とする。
【0039】
すなわち、制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づいて、ステアリングシャフトの回転による誘導起電力に基づきコイルに流れる電流量を調整することが可能となる。
【0040】
また、このとき、コイルには誘導起電力に基づく電流が流れるので、特に、通電する必要が無く、電力供給を制御装置のみに行えばよいので、消費電力を低く押えることが可能となるとともに、電流量を適切なものとすることにより、ステアリングダンパの発生する減衰力も自動二輪車等の走行状態に適したものとすることに調節可能であるので、乗り心地が向上する。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるステアリングダンパの第1の実施の形態は、図1に示すように、ヘッドパイプ2と、ヘッドパイプ2内に回転自在に挿通されたステアリングシャフト1と、ステアリングシャフト1に固着したコイル3と、ヘッドパイプ2の内周に上記コイル3と対向し、かつ、ヘッドパイプ2内に磁界を発生させるように固着した永久磁石5a、5bとで構成されている。
【0042】
以下、更に詳細な構造について説明する。ヘッドパイプ2は筒状に形成され、外周側面に車体フレームAに結合されるとともに、その内周には、永久磁石5a、5bを取付けたヨーク4が固着されており、この永久磁石5a、5bでヘッドパイプ2内に磁界を発生させている。また、ヨーク4には、後述の整流子6に接触してコイル3に流れる電流を整流するブラシ7と、ブラシ7を保持するブラシホルダ9と、ブラシ7に接続された電線8が設けられている。
【0043】
なお、ブラシ7が一つしか図示されていないが、ブラシ7は一対となるように設けられ、各ブラシ7が、整流子6に接触するようになっている。そして、電線8は、図示はしないが各ブラシ7に接続する2本の導線から構成されており、その先端で短絡されている。したがって、この場合には電線8をヘッドパイプ2外で短絡させる必要は無いので、各ブラシ7同士をヘッドパイプ2内で短絡させても良い。
【0044】
ステアリングシャフト1の外周には、コア(付示せず)に導線を巻きつけたコイル3が形成されるとともに、コイル3の両端部を同じくステアリングシャフト1の外周であって、コイル3の近傍に設けた整流子6に接続されている。
【0045】
そして、このステアリングシャフト1は、ヘッドパイプ2の内周の上下端部に設けた軸受13、19を介してヘッドパイプ2内に回転自在に挿入され、このとき、ステアリングシャフト1に設けたコイル3は、上述の永久磁石5a、5bと対向するように配置されている。
【0046】
また、ステアリングシャフト1の上端部には螺子部1aが形成されており、この螺子部1aに螺合したナット14、15により挟持されることにより、ステアリングシャフト1にアッパーブラケット16が取付けられている。他方、ステアリングシャフト1の下端部にはアンダーブラケット17が圧入されており、このアッパーブラケット16とアンダーブラケット17の挿入孔にフロントフォークFFが挿入されて、ステアリング装置として使用される。
【0047】
さて、このステアリングダンパの作用であるが、フロントフォークFFから衝撃が入力されステアリングシャフト1が回転運動を呈すると、ステアリングシャフト1に形成したコイル3も回転するが、このとき、コイル3が永久磁石5a、5bがヘッドパイプ2内に形成している磁束を横切ることとなり、コイル3には誘導起電力が発生する。
そして、コイル3には、上記誘導起電力に起因する電流が流れるが、コイル3の両端は整流子6およびブラシ7および電線8の導線を介して短絡されているので、コイル3はステアリングシャフト1の回転に抗するトルクを発生し、このステアリングシャフト1の回転に抗するトルクがステアリングシャフト1の回転運動を抑制することとなる。
【0048】
すなわち、ステアリングシャフト1の回転に抗するトルクが減衰力として作用することとなるので、特段の電源や作動油を使用せずに、誘導起電力によりコイルに流れる電流を利用して減衰力の発生が可能であり、この減衰力により自動二輪車の走行時には、前輪にシミーやキックバックなどによる振動が発生しても、その振動を抑制でき、自動二輪車等の乗り心地が向上する。
【0049】
また、上記したところでは、コイル3を短絡してステアリングシャフト1の回転に抗するトルクを得ているが、これに換えて、たとえば、コイル3を誘導機電力の大きさによって内部抵抗を変更可能な電気回路に接続し、誘導起電力に起因するコイル3に流れる電流量を、この電気回路によって調節しても良い。そうすることによって、コイル3に流れる電流量を調節することが可能となり、すると、ステアリングダンパの発生する減衰力も調節可能となる。
【0050】
なお、図示したところでは、ステアリングシャフト1にコイル3を巻装し、ヘッドパイプ2の内周に永久磁石5a、5bを設けているが、逆にステアリングシャフト1に永久磁石を取付け、ヘッドパイプ2側にコイルを取付けても良い。この場合には、ステアリングシャフトが回転すると、永久磁石が回転し、コイルが磁束を横切ることになるので、やはりコイルには誘導起電力が発生し、電流が流れ、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクが発生するので、上述のように、減衰作用を呈することとなる。
【0051】
つづいて、本実施の形態の変形例について説明する。当該変形例にあっては、その基本構成は上述の実施の形態と同様にして、そのステアリングダンパの電線8を制御装置(図示せず)に接続したものである。
【0052】
制御装置は、たとえば、自動二輪車の速度を検出する車速検出器と、車両の操舵角速度を検出する操舵角速度検出器と、車両の前輪分担荷重を検出する前輪分担荷重検出器と、前記車速と操舵角速度の検出結果に基づき減衰力を演算するコントローラと、前記コントローラの演算結果に基づき上記コイルに流れる電流量を調節する電流調節手段とで構成される。
【0053】
以下、詳細に説明すると、コントローラは、車速検出器と操舵角速度検出器と前輪分担荷重検出器とに接続され、上記各検出器が検出した検出結果を受け取り可能となっている。
【0054】
ここで、コントローラは、ハードウェアとしては、図示しないが、各検出器が検出した車速および操舵角速度の信号を受け取り、前記各信号に基づいて制御力を演算でき、制御信号としての電力を出力できるものであれば良く、例えば、前記信号増幅するためのアンプと、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と低周波及び高周波成分をカットするバンドパスフィルタと、CPU、ROM、RAM、水晶発振子及びこれらを連絡するバスラインからなるコンピュータシステムとにより構成され、ステアリングダンパの必要減衰力の演算に使用される演算処理手順と制御信号出力手順は、プログラムとしてROMに予め格納させておくとする周知なシステムで良い。
【0055】
さらに、コントローラは、電流調節手段に接続されている。電流調節手段は、コントローラからの信号を受け取り、誘導起電力によってコイル3に流れる電流量を調節できるものであれば良く、したがって、たとえば、電流調節手段は、コントローラからの信号により駆動するアクチュエータと、コイル3と接続される電気回路内にポテンショメータを配設したものとして、アクチュエータによりポテンショメータを駆動して、当該電気回路の抵抗を変化させ、誘導起電力によってコイル3に流れる電流量を調節するものとしても良いし、他に駆動源を用いずに電気的に電流調節手段の回路の抵抗を変化させても良い。
【0056】
つづいて、本実施の形態におけるステアリングダンパの動作について説明する。車両走行中に、先ず、車速検出器と操舵角速度検出器と前輪分担荷重検出器が、車速および操舵角速度および前輪分担荷重の各値を検出し、コントローラに前記車速および操舵角速度および前輪分担荷重が信号として入力される。
【0057】
つぎに、コントローラは、入力された車速および操舵角速度および前輪分担荷重の各値に基づいて、ステアリングダンパの適切な減衰力を演算する。
【0058】
そして、この演算結果に基づき電流調整手段が、誘導起電力によりコイル3に流れる電流量を変化させて、コイル3に生じる誘導起電力に起因するステアリングシャフト1の回転運動に抗するトルク、すなわち減衰力を変化させる。
【0059】
この状態で、ステアリングシャフト1が回転すると、上述のようにコイル3に誘導起電力が発生し電流が流れるが、電流量は先程の電流調整手段によって調節されているので、ステアリングダンパはコントローラが演算した減衰力を発生することとなる。すなわち、本実施の形態における制御手段によって、ステアリングダンパの発生する減衰力を自動二輪車等の走行状態に適したものとすることに調節可能であるので、乗り心地が向上する。
【0060】
このとき、たとえば、上述のように電流調節手段が、アクチュエータと、ポテンショメータとで構成される場合には、アクチュエータがポテンショメータを駆動し電流調節手段の電気回路の抵抗値を変化させるが、あらかじめ、電流調節手段を、ステアリングダンパに必要な減衰力を発生させるのに必要とされる抵抗値を選択できるように調整しておけば良い。
【0061】
また、コイルには誘導起電力に基づく電流が流れるので、特に、通電する必要が無く、電力供給を制御装置のみに行えばよいので、消費電力を低く押えることが可能となる。
【0062】
ここで、本実施の形態では、上述のように誘導起電力に起因してコイル3に流れる電流量を調節することとなるので、コントローラにステアリングダンパの減衰力を演算させるのではなく、ステアリングダンパが減衰力を発現させるのに、必要な抵抗値を演算させるようにしてもよい。
【0063】
また、コントローラにあらかじめ記録される、車速および操舵角速度に基づくステアリングダンパに発生させる減衰力を演算する演算手法についてであるが、このステアリングダンパが搭載される自動二輪車等の運動性能や車重等により、適宜その自動二輪車等に適した制御を行えるように設定すればよい。たとえば、コントローラが自動二輪車の速度が高速で操舵角速度が高い場合には、ステアリングダンパの発現する減衰力を高めような制御を行えるように設定されたり、前輪分担荷重が小さい場合にはキックバックが生じやすくなるため減衰力を高めるように設定されたりするであろう。
【0064】
なお、上記したところでは、車速、操舵角速度、前輪分担荷重の各値に基づいてコイルに流れる電流を調節しているが、上記した3つの各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づいてコイルに流れる電流を調節することも可能である。
【0065】
つづいて、第2の実施の形態について説明する。ここで、第1の実施の形態のステアリングダンパと同一の部材については、説明が重複するので、同一の符号を付するのみとして、その詳細については説明を省略する。
【0066】
第2の実施の形態のステアリングダンパは、図2に示すように、ヘッドパイプ25と、ヘッドパイプ25内に回転自在に挿通されたステアリングシャフト20と、上記ヘッドパイプ25とステアリングシャフト20の間に回転自在に挿通した筒体27と、ステアリングシャフト20に設けた径方向に伸びる2本のアーム21と、各アーム21の先端に設けた遊星歯車28と、筒体27に設けた第1太陽歯車27aと、同じく筒体27に固着したコイル3と、ヘッドパイプ25内に設けた第2太陽歯車26と、ヘッドパイプ25の内周に上記コイル3と対向し、かつ、ヘッドパイプ25内に磁界を発生させるように固着した永久磁石5a、5bとで構成されている。
【0067】
以下、詳細に説明すると、ヘッドパイプ25は、第1の実施の形態同様に筒状に形成され、外周側面に車体フレームAに結合されるとともに、その内周には、永久磁石5a、5bを取付けたヨーク4が固着されており、この永久磁石5a、5bでヘッドパイプ2内に磁界を発生させている。また、ヨーク4には、後述の整流子6に接触してコイルに流れる電流を整流するブラシ7と、ブラシ7を保持するブラシホルダ9と、ブラシ7に接続された電線8が設けられている。第2の実施の形態では、これらの構成に加えて、ヘッドパイプ25の内周に第2太陽歯車26を設けている。なお、ブラシ7が一つしか図示されていないが、ブラシ7は一対となるように設けられ、各ブラシ7が、整流子6に接触するようになっている。そして、電線8は、図示はしないが各ブラシ7に接続する2本の導線から構成されており、その先端で短絡されている。したがって、この場合には電線8をヘッドパイプ2外で短絡させる必要は無いので、各ブラシ7同士をヘッドパイプ2内で短絡させても良いのは、第1の実施の形態と同様である。
【0068】
そして、ステアリングシャフト20とヘッドパイプ25の間に筒体27を挿通し、この筒体27はヘッドパイプ2に固着されたヨーク4の上下端部に配在の軸受29、30を介して、ヘッドパイプ25およびステアリングシャフト20に対して回転可能となっている。また、第1の実施の形態では、ステアリングシャフトにコイルを形成したが、第2の実施の形態では、この筒体27の外周にコア(付示せず)に導線を巻きつけたコイル3が形成されるとともに、コイル3の両端部を同じく筒体27の外周であって、コイル3の近傍に設けた整流子6に接続されており、コイル3は、上述の永久磁石5a、5bと対向するように配置されている。さらに、この筒体27の上端部には第1太陽歯車27aが形成されている。
【0069】
他方、ステアリングシャフト20には2本のアーム21を設けて、その各アーム21の先端に遊星歯車28を設けてあり、各遊星歯車28を筒体27に形成した第1太陽歯車27aとヘッドパイプ25の内周に設けた第2太陽歯車28との間に介装して、各歯車が互いに噛合するようになっている。すなわち、これら歯車でプラネタリギアを構成している。
【0070】
また、ステアリングシャフト20の上端部には螺子部20aが形成されており、この螺子部20aに螺合したナット14、15により挟持されることにより、ステアリングシャフト20にアッパーブラケット16が取付けられている。他方、ステアリングシャフト1の下端部にはアンダーブラケット17が圧入されており、このアッパーブラケット16とアンダーブラケット17の挿入孔にフロントフォークFFが挿入されて、ステアリング装置として使用される。
【0071】
さて、このステアリングダンパの作用であるが、ステアリングシャフト20が回転運動を呈すると、ステアリングシャフト20の各アーム21に設けた遊星歯車28も回転する。そして、遊星歯車28の回転運動が、第2太陽歯車26が不動であるので、第1太陽歯車27aに伝達される。
【0072】
すると、筒体27の外周に形成したコイル3も回転するが、このとき、コイル3が永久磁石5a、5bがヘッドパイプ2内に形成している磁束を横切ることとなり、コイル3には誘導起電力が誘導起電力を発生する。
そして、コイル3には、上記誘導起電力に起因する電流が流れるが、コイル3の両端は整流子6およびブラシ7および電線8の導線を介して短絡されているので、コイル3はステアリングシャフト20の回転に抗するトルクを発生し、このステアリングシャフト20の回転に抗するトルクがステアリングシャフト20の回転運動を抑制することとなる。
【0073】
すなわち、ステアリングシャフト20の回転に抗するトルクが減衰力として作用することとなるので、特段の電源や作動油を使用せずに、誘導起電力によりコイルに流れる電流を利用して減衰力の発生が可能であり、この減衰力により自動二輪車の走行時には、前輪にシミーやキックバックなどによる振動が発生しても、その振動を抑制できる。したがって、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0074】
ここで、上記プラネタリギアを介しているから、筒体27の回転速度をステアリングシャフト20の回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。
【0075】
すなわち、実際にこのステアリングダンパを自動二輪車等に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、コイルや永久磁石の規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0076】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、コイルや永久磁石を大型化する必要が無くなる。
【0077】
また、上記したところでは、コイル3を短絡してステアリングシャフト20の回転に抗するトルクを得ているが、これに換えて、たとえば、コイル3を誘導起電力の大きさによって内部抵抗を変更可能な電気回路に接続し、誘導起電力に起因するコイル3に流れる電流量を、この電気回路によって調節してもよいことは、第1の実施の形態と同様であり、そうすることによって、コイル3に流れる電流量を調節することが可能となり、すると、ステアリングダンパの発生する減衰力も調節可能となる。
【0078】
なお、図示したところでは、筒体27にコイル3を形成し、ヘッドパイプ25の内周に永久磁石5a、5bを設けているが、逆に筒体27に永久磁石を取付け、ヘッドパイプ2側にコイルを取付けても良い。さらに、ステアリングシャフト20にコイルを形成し、筒体27に永久磁石を取付けるか、または、ステアリングシャフト20に永久磁石を取付け、筒体27にコイルを形成してもよい。この場合には、ステアリングシャフトが回転すると、永久磁石またはコイルが回転し、コイルが磁束を横切ることになるので、やはりコイルには誘導起電力が発生し、電流が流れ、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクが発生するので、上述のように、減衰作用を呈することとなる。
【0079】
なお、コイル3を第1の実施の形態で説明した制御装置に接続すれば、ステアリングダンパが発生する減衰力を制御できるのは第1の実施の形態の変形例と同様である。
【0080】
さらに、第3の実施の形態のステアリング装置について説明する。第3の実施の形態におけるステアリング装置は、図3に示すように、ヘッドパイプ36と、ヘッドパイプ36内に軸受13、19を介して回転自在に挿通されたステアリングシャフト37と、上記ステアリングシャフト37に動力伝達手段たる歯車機構Kを介して結合したモータMとで構成される。
【0081】
モータMは、特に詳細に説明しないが、例えば直流モータを例に取ると、直流ブラシ付モータであれば、モータM内に磁界発生用の複数の永久磁石とコイルと電機子とヨークと整流子とフレームとモータシャフトSとから構成され、モータシャフトSには電機子が設けられており、導電線を巻きつけコイルを形成して、モータシャフトSの回転によりコイルが上記永久磁石の発生する磁界を横切ることにより誘導起電力を発生するものである。そして、モータMは、上述の制御装置や電気回路に接続されるか、直接モータMの各電極(図示せず)同士を短絡してある。
【0082】
また、モータの種類としては、直流ブラシ付モータの他に、ブラシレスモータ、交流モータ、誘導モータ等のモータも使用可能である。
【0083】
歯車機構Kは、歯車ケース34、35内に3つの歯数の異なる歯車31、32、33を噛合させて回転自在に納められており、歯車ケース35でモータMの上部を固定するとともに、先端側の歯車33を上述のモータMのモータシャフトSに連結し、基端側の歯車31をステアリングシャフト37に結合させている。
【0084】
さらに、モータMの下部は、車体フレーム45に支持されたブラケット39で抱持され、モータMのぐらつきを防止している。
【0085】
さて、このステアリング装置の作用であるが、ステアリングシャフト37が回転運動を呈すると、上述の歯車機構Kによりその回転運動が、モータMのモータシャフトSに伝達される。
【0086】
すると、モータM内のコイルに誘導起電力が発生し、コイルに誘導起電力に起因する電流が流れ、モータシャフトSの回転に抗するトルクが発生する。このトルクが、やはり、上述の歯車機構Kを介して、ステアリングシャフト37に伝達されるので、この場合も第1、第2の実施の形態と同様に減衰力を発生することが可能である。
【0087】
また、動力伝達手段に歯車機構を用いているので、モータMのモータシャフトSの回転速度をステアリングシャフト37の回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。なお、動力伝達手段には、歯車機構以外にも、摩擦車や、ベルト伝動等の他の慣用手段を用いても良い。
【0088】
すなわち、実際にこのステアリングダンパを自動二輪車等に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、モータMの規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0089】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、ステアリング装置に使用するモータMを大型化する必要が無くなる。
【0090】
なお、このステアリング装置のモータMを上述の制御装置に接続すれば、ステアリング装置が発生する減衰力を調節することが可能となることは言うまでもない。
【0091】
また、第4の実施の形態におけるステアリング装置は、図4に示すように、モータMのモータシャフトSをステアリングシャフト37に直接結合したものである。
【0092】
この場合には、モータMは、車体フレーム47に連結されたブラケット40により支持されるとともに、モータMのモータシャフトSがステアリングシャフト37に螺合されている。なお、モータシャフトSとステアリングシャフト37の結合方法には、螺合以外にも慣用される他の方法を用いても良い。また、モータには、各種のモータが使用可能なことは、第3の実施の形態と同様である。
【0093】
そして、第4の実施の形態においても、ステアリングシャフト37の回転運動をモータMに伝達可能であるので、他の実施の形態と同様に、誘導起電力に起因する減衰力を発生することが可能である。すなわち、この実施の形態においても、特段の電源や作動油を使用せずに、誘導起電力によりコイルに流れる電流を利用して減衰力の発生が可能であり、この減衰力により自動二輪車の走行時には、前輪にシミーやキックバックなどによる振動が発生しても、その振動を抑制できる。
【0094】
なお、モータMを制御装置に接続し、その発生する減衰力を調節できるのは他の実施の形態と同様である。
【0095】
【発明の効果】
以上のように、請求項1、2、3、4、5、6に記載の発明によれば、ステアリングシャフトが回転すると、ステアリングシャフトに固着したコイルまたは永久磁石も回転運動を呈することになるので、コイルが、ヘッドパイプ内周に固着した永久磁石の磁束を横切ることとなり、コイルに誘導起電力が発生するので、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクが発生し、ステアリングシャフトの回転運動を抑制できる。
【0096】
すなわち、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクが減衰力として作用することとなるので、作動油を使用せずに減衰力の発生が可能である。
【0097】
また、コイルの両端を制御装置に接続する場合には、誘導起電力に起因するコイルに流れる電流の大きさを制御装置によりコントロールすることが可能となるので、ステアリングシャフトの回転に抗するトルクの調節が可能となる。
【0098】
したがって、このステアリングダンパを自動二輪車等に適用すれば乗り心地を向上することができる。
【0099】
また、請求項3、4、5および6に記載の発明によれば、プラネタリギアを介しているから、筒体の回転速度をステアリングシャフトの回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。
【0100】
すなわち、実際にこのステアリングダンパを自動二輪車等に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、コイルや永久磁石の規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0101】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、コイルや永久磁石を大型化する必要が無くなる。
【0102】
また、請求項7および11に記載の発明によれば、制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づいて、ステアリングシャフトの回転による誘導起電力に基づきコイルに流れる電流量を調整することが可能となる。
【0103】
また、このとき、コイルには誘導起電力に基づく電流が流れるので、特に、通電する必要が無く、電力供給を制御装置のみに行えばよいので、消費電力を低く押えることが可能となるとともに、電流量を適切なものとすることにより、ステアリングダンパの発生する減衰力も自動二輪車等の走行状態に適したものとすることに調節可能であるので、乗り心地が向上する。
【0104】
そして、請求項9、10に記載の発明によれば、ステアリングシャフトが回転すると、ステアリングシャフトに結合したモータのモータシャフトも回転運動を呈することになるので、モータ内のコイルに誘導起電力が発生し、コイルに誘導起電力に起因する電流が流れ、モータシャフトの回転に抗するトルクが発生すし、このトルクが、ステアリングシャフトに伝達されるので、ステアリングシャフトの回転運動を抑制できる。
【0105】
すなわち、モータシャフトの回転に抗するトルクが減衰力として作用することとなるので、作動油を使用せずに減衰力の発生が可能である。
【0106】
また、モータの各電極を制御装置に接続する場合には、誘導起電力に起因するモータに流れる電流の大きさを制御装置によりコントロールすることが可能となるので、モータシャフトの回転に抗するトルクの調節が可能となる。
【0107】
したがって、このステアリング装置を自動二輪車等に適用すれば乗り心地を向上することができる。
【0108】
さらに、請求項10に記載の発明によれば、動力伝達手段を、歯車機構としたので、モータシャフトの回転速度をステアリングシャフトの回転速度より増速もしくは減速させることが可能となるので、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。
【0109】
すなわち、実際にこのステアリングダンパを自動二輪車等に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、モータの規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0110】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、モータを大型化する必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態におけるステアリングダンパの側面断面図である。
【図2】第2の実施の形態におけるステアリングダンパの側面断面図である。
【図3】第3の実施の形態におけるステアリングダンパの側面断面図である。
【図4】第4の実施の形態におけるステアリングダンパの側面断面図である。
【図5】従来のステアリング装置の側面図である。
【図6】従来のステアリング装置の側面断面図である。
【符号の説明】
1、20、37 ステアリングシャフト
1a、20a、37a 螺子部
2、25、36ヘッドパイプ
3 コイル
4 ヨーク
5a、5b 永久磁石
6 整流子
7 ブラシ
8 電線
9 ブラシホルダ
16 アッパーブラケット
17 アンダーブラケット
21 アーム
26 第2太陽歯車
27 筒体
27a 第1太陽歯車
28 遊星歯車
31、32、33 歯車
A 車体フレーム
K 歯車機構
M モータ
S モータシャフト

Claims (11)

  1. ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、ステアリングシャフトに固着したコイルと、ヘッドパイプの内周に上記コイルと対向し、かつ、ヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石とを有してなり、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とするステアリングダンパ。
  2. ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、ステアリングシャフトにヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石と、ヘッドパイプの内周に上記永久磁石と対向するように固着したコイルとを有してなり、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とするステアリングダンパ。
  3. ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ヘッドパイプとステアリングシャフトの間に回転自在に挿通した筒体と、ステアリングシャフトに設けた径方向に伸びる一本または複数本のアームと、各アームの先端に設けた遊星歯車と、筒体に設けた第1太陽歯車と、同じく筒体に固着したコイルと、ヘッドパイプ内に設けた第2太陽歯車と、ヘッドパイプの内周に上記コイルと対向し、かつ、ヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石とを有してなり、第1太陽歯車と第2太陽歯車との間に遊星歯車を介装して、各歯車を噛合させ、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とするステアリングダンパ。
  4. ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ヘッドパイプとステアリングシャフトの間に回転自在に挿通した筒体と、ステアリングシャフトに設けた径方向に伸びる一本または複数本のアームと、各アームの先端に設けた遊星歯車と、筒体に設けた第1太陽歯車と、同じく筒体にヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石と、ヘッドパイプ内に設けた第2太陽歯車と、ヘッドパイプの内周に上記永久磁石と対向するように固着したコイルとを有してなり、第1太陽歯車と第2太陽歯車との間に遊星歯車を介装して、各歯車を噛合させ、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とするステアリングダンパ。
  5. ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ヘッドパイプとステアリングシャフトの間に回転自在に挿通した筒体と、ステアリングシャフトに設けた径方向に伸びる一本または複数本のアームと、各アームの先端に設けた遊星歯車と、筒体に設けた第1太陽歯車と、同じく筒体に固着したコイルと、ヘッドパイプ内に設けた第2太陽歯車と、ステアリングシャフトに上記コイルと対向し、かつ、ヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石とを有してなり、第1太陽歯車と第2太陽歯車との間に遊星歯車を介装して、各歯車を噛合させ、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とするステアリングダンパ。
  6. ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ヘッドパイプとステアリングシャフトの間に回転自在に挿通した筒体と、ステアリングシャフトに設けた径方向に伸びる一本または複数本のアームと、各アームの先端に設けた遊星歯車と、筒体に設けた第1太陽歯車と、同じく筒体にヘッドパイプ内に磁界を発生させるように固着した永久磁石と、ヘッドパイプ内に設けた第2太陽歯車と、ステアリングシャフトに上記永久磁石と対向するように固着したコイルとを有してなり、第1太陽歯車と第2太陽歯車との間に遊星歯車を介装して、各歯車を噛合させ、コイルの両端を短絡もしくは制御装置に接続させたことを特徴とするステアリングダンパ。
  7. 制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づき、上記コイルに流れる電流を調節することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載のステアリングダンパ。
  8. ヘッドパイプが二輪車の車体フレームに結合され、ステアリングシャフトの上下端がフロントフォークを保持するアッパーブラケットとアンダーブラケットに結合されている請求項1、2、3、4、5、6または7に記載のステアリングダンパ。
  9. ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内に回転自在に挿通されたステアリングシャフトと、上記ステアリングシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合したモータとを有し、モータの各電極を短絡もしくは制御装置に接続させ、ステアリングシャフトの回転運動を直接または動力伝達手段を介してモータシャフトに伝達し、当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記ステアリングシャフトの回転に抗するトルクを減衰力として利用するステアリング装置。
  10. 動力伝達手段を、歯車機構としたことを特徴とする請求項9に記載のステアリング装置。
  11. 制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づき、上記コイルに流れる電流を調節することを特徴とする請求項9または10に記載のステアリング装置。
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