JP2004090678A - 電気油圧式パワーステアリング装置 - Google Patents

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JP2004090678A JP2002250963A JP2002250963A JP2004090678A JP 2004090678 A JP2004090678 A JP 2004090678A JP 2002250963 A JP2002250963 A JP 2002250963A JP 2002250963 A JP2002250963 A JP 2002250963A JP 2004090678 A JP2004090678 A JP 2004090678A
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Shinichi Hagihira
萩平 慎一
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Kayaba Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】操舵フィーリングを良好に保つとともに、信頼性の高いフェールセーフ機能を備えた電気油圧式パワーステアリング装置を提供することである。
【解決手段】駆動源の作動に応じて常時作動するポンプ18と、ポンプ18に接続したオープンセンタタイプの制御バルブ20と、制御バルブ20に第1連通路25を介して一方の室26aを接続し、第2連通路28を介して他方の室26bを接続した油圧シリンダ26と、第1連通路25と第2連通路28とを接続し、これら両連通路を連通したりその連通を遮断したりするソレノイドバルブ31と、操舵トルクを検出するトルクセンサ40と、トルクセンサ40のトルク信号に基づいて制御バルブ20の切換位置を制御するコントローラCと、システムの異常を検知するセンサとを備え、コントローラCは、システムが正常に作動している場合に、操舵状況にかかわらずソレノイドバルブ31を閉位置31aに保つ。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フェールセーフ機能を備えた電気油圧式パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気油圧式パワーステアリング装置として、特開平6−16145号公報に記載されたものが知られている。図2は、この公報に記載された従来の装置を示している。
図示するように、ポンプ1には、供給路3を介して制御バルブ2を接続している。そして、この制御バルブ2に油圧シリンダ4を接続している。
上記ポンプ1には、電動モータ5を接続し、この電動モータ5をコントローラ6によって制御するようにしている。
【0003】
上記制御バルブ2は、センタークローズタイプのバルブであり、コントローラ6によって切り換わるようにしている。そして、この制御バルブ2が切換位置2bに切り換わったときに、ポンプ1からの供給油を、連通路7を介して油圧シリンダ4の一方の室4aに導くとともに、他方の室4bからの戻り油を連通路8を介してタンクTに戻すようにしている。また、制御バルブ2が切換位置2aに切り換わったときに、供給油を連通路8を介して他方の室4bに導くとともに、一方の室4aからの戻り油を連通路7を介してタンクTに戻すようにしている。
【0004】
上記連通路7と連通路8との間には、ソレノイドバルブ9を備えている。このソレノイドバルブ9は、そのソレノイドを励磁することによって図示する閉位置9aに切り換わり、連通路7と連通路8とを遮断する。また、ソレノイドが非励磁の状態になるとスプリングの弾性力によって開位置9bに切り換わり、連通路7と連通路8とを連通する。なお、上記ソレノイドへの励磁電流は、コントローラ6によって制御するようにしている。
【0005】
上記油圧シリンダ4のピストンロッド10には、ラック14を形成するとともに、このラック14にピニオンギヤ13をかみ合わせている。このピニオンギヤ13には、ステアリングシャフト12を介してステアリングホィール11を接続している。したがって、上記ステアリングホィール11を操舵すると、その操舵トルクがステアリングシャフト12を介してピストンロッド10に伝達される。
【0006】
上記ステアリングシャフト12には、操舵トルクを検出するトルクセンサ15を設けている。そして、このトルクセンサ15によって検出したトルク信号を、上記コントローラ6に入力するようにしている。
なお、コントローラ6には、車速センサ16を接続し、この車速センサ16によって検出した車速信号も、コントローラ6に入力するようにしている。
【0007】
上記のようにした従来の装置は、ステアリングホィール11の操舵により操舵トルクが生じると、その操舵トルクがトルクセンサ15によって検出されて、トルク信号がコントローラ6に入力される。トルク信号を入力したコントローラ6は、そのトルク信号が所定の大きさ以上であれば、電動モータ5を作動させるとともに、ソレノイドを励磁してソレノイド弁9を閉位置9aに切り換える。また、コントローラ6は、ステアリングホィール11の操舵方向に応じて制御バルブ2を切換位置2aあるいは2bに切り換える。
【0008】
ソレノイド弁9が閉位置9aに切り換わると、油圧シリンダ4の両室4a、4bとの連通が遮断される。そのため、制御バルブ2を介して連通路7あるいは連通路8に導いた作動油は、そのまま油圧シリンダ4の室4aあるいは4bに供給される。油圧シリンダ4の室4aあるいは4bに供給油が導かれると、他方の室の作動油がタンクTに戻される。したがって、ピストンロッド10が左右いずれかの方向に移動して、このピストンロッド10に連結した操舵輪17が転舵される。つまり、ドライバーがステアリング11を操舵すると、このときの操舵トルクに応じたアシスト力が油圧シリンダ4によって発揮されて、操舵輪17が転舵することになる。
【0009】
一方、上記油圧シリンダ4によるアシストは、直進走行している場合には必要としない。そこで、この従来の装置では、直進状態を示す信号が上記コントローラ6に入力されている間、ソレノイド弁9を開位置9bに切り換えて、油圧シリンダ4の両室4a,4bを連通させる。このように油圧シリンダ4の両室4a,4bを連通させれば、油圧シリンダ4のアシスト力は発揮されなくなる。
また、このアシスト力を必要としないときには、コントローラ6が制御バルブ2を中立位置2cに切り換えるとともに、電動モータ5の作動を停止する。このように電動モータ5の作動を停止することによって、ポンプ1から無駄な圧油が吐出されないようにしている。つまり、直進走行中の省エネルギー化を図っている。
【0010】
なお、上記直進状態を示す信号とは、検出されるトルク信号が0および設定した不感帯領域内にある信号のことである。この信号が入力されている間は、コントローラ6が直進状態にあると判断して、電動モータ5の作動を停止する。
一方、コントローラ6に上記不感帯領域外のトルク信号が入力された場合には、ステアリングホィールを転舵している状態、すなわちアシスト力を必要とする状態である。そこで、コントローラ6は、不感帯領域外のトルク信号が入力された場合には、電動モータ5を作動させて、ポンプ1から圧油を吐出させるとともに、ソレノイド弁9を閉位置9aに切り換える。このようにすれば、制御バルブ2の切り換え状況に応じて油圧シリンダ4を作動させることができる。
【0011】
また、上記ソレノイド弁9は、システムの故障をコントローラ6が検知した場合や、システムがダウンした場合に、開位置9bに切り換わるようにしている。ソレノイド弁9が開位置9bに切り換わると、油圧シリンダ4の両室4a,4bが連通するので、ステアリングホィール11を操舵すれば、ピストンロッド10を手動で動かすことができる。つまり、上記ソレノイド弁9は、フェールセーフ弁としての機能も備えている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来例では、トルク信号が不感帯領域内にあるか不感帯領域外にあるかによって、コントローラ6が電動モータ5の作動をON/OFF制御するとともに、ソレノイド弁9の切換位置を切り換えるようにしているため、次のような問題があった。
すなわち、コントローラ6によって、上記電動モータ5をOFFからONに切り換えると、この電動モータ5に接続したポンプ1が圧油を吐出するが、電動モータ5が作動してからポンプ1が実際に圧油を吐出するまでに僅かながら時間がかかる。そのため、アシスト力が発揮されるまでにタイムラグが生じて、このタイムラグのために、操舵フィーリングが悪化するという問題があった。
【0013】
また、例えばコーナリング時には、ドライバーは操舵輪の転舵角を修正するために、小刻みに何度もステアリングホィール11を操舵する場合があるが、このような場合には、トルク信号が上記不感帯域を出たり入ったりする。トルク信号が不感帯域を出たり入ったりすると、それに応じて電動モータ5が作動、停止を繰り返すため、ポンプ1から圧油が連続的に吐出されなくなる。このように圧油が連続的に吐出されなくなると、上記したように操舵フィーリングが悪化して、操作性を損なうという問題がある。
【0014】
さらに、上記のようにトルク信号が不感帯域を出たり入ったりすると、ソレノイド弁9も閉位置9aと開位置9bとに頻繁に切り換わる。このようにソレノイド弁9の切り換わる回数が多くなればなるほど、このソレノイド弁9の製品寿命が短くなる。また、ソレノイド弁9が故障する確率も高くなる。
ソレノイド弁9は、上記したようにフェールセーフ弁としての機能も備えているので、このソレノイド弁9が故障するということは、安全性の面からも非常に大きな問題となる。
この発明の目的は、操舵フィーリングを良好に保つとともに、信頼性の高いフェールセーフ機能を備えた電気油圧式パワーステアリング装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、駆動源と、この駆動源の作動に応じて常時作動するポンプと、このポンプに接続したオープンセンタタイプの制御バルブと、この制御バルブに第1連通路を介して一方の室を接続するとともに、第2連通路を介して他方の室を接続した油圧シリンダと、上記第1連通路と第2連通路とを接続するとともに、これら両連通路を連通したりその連通を遮断したりするソレノイドバルブと、操舵トルクを検出するトルクセンサと、このトルクセンサのトルク信号に基づいて上記制御バルブの切換位置を制御するコントローラと、システムの異常を検知するセンサとを備え、上記コントローラは、システムが正常に作動している場合に、操舵状況にかかわらず、ソレノイドバルブを閉位置に保つ構成にしたことを特徴とする。
上記システムが正常に作動している場合とは、この装置の機械的及び電気的な機構に故障がなく、これら機構が正常に作動している状態のことであり、いわゆるフェールセーフを必要としない状態のことである。
【0016】
第2の発明は、上記第1の発明において、第1連通路に第1圧力センサを設け、第2連通路に第2圧力センサを設け、これら第1圧力センサの圧力信号と第2圧力センサの圧力信号とをコントローラに入力するとともに、このコントローラは、上記第1圧力センサの圧力信号と第2圧力センサの圧力信号との大小関係を比較して、その大小関係が検出した操舵トルクの方向と不一致であるときに、ソレノイドバルブを開位置に切り換えることを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、コントローラは、第1圧力センサ及び第2圧力センサによって検出した圧力信号に基づいて、制御バルブの切り換え位置をフィードバック制御することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に示すこの発明の実施形態は、ポンプ18に、供給路19を接続するとともに、この供給路19を介してポンプ18と制御バルブ20とを接続している。上記ポンプ18は、図示していないエンジンや電動モータなどの駆動源によって作動するようにしているが、このポンプ18は、駆動源が作動している間は、常に作動するようにしている。
【0019】
上記制御バルブ20は、オープンセンタタイプのものであり、中立位置20aにおいて、ポンプ18に接続する第1ポート21と、タンクTに接続する第2ポート22とを短絡路23を介して接続するようにしている。そして、第3ポート24においては、第1連通路25を介して油圧シリンダ26の一方の室26aと接続し、第4ポート27は第2連通路28を介して他方の室26bと接続するようにしている。
また、この制御バルブ20には、ソレノイド29、30を設けている。これらソレノイド29,30にはコントローラCを接続し、このコントローラCによって制御された励磁電流によって、制御バルブ20の切り換え位置を制御するようにしている。
【0020】
一方、上記第1連通路25と第2連通路28とを接続する通路には、ソレノイドバルブ31を設けている。このソレノイドバルブ31には、ソレノイド32とスプリング33とを設け、上記ソレノイド32にはコントローラCを接続している。そして、このコントローラCによってソレノイド32の励磁電流を制御するようにしているが、ソレノイド32が非励磁状態のときには、スプリング33の弾性力によってソレノイドバルブ31は開位置31aを保つようにしている。そして、このとき第1連通路25と第2連通路28とを連通させる。一方、ソレノイド32が励磁すると、ソレノイドバルブ31が閉位置31bに切り換わり、第1連通路25と第2連通路28との連通が遮断される。
【0021】
上記油圧シリンダ26は、ピストン33によって、一方の室26aと、他方の室26bとに区画されている。また、このピストン33を固定したピストンロッド34の両端には、操舵輪35,35を連係している。
上記ピストンロッド34にはラック39を形成し、このラック39にピニオンギヤ38をかみ合わせている。そして、このピニオンギヤ38を固定したステアリングシャフト37に、ステアリングホィール36を連結している。
また、上記ステアリングシャフト37には、操舵トルクを検出するトルクセンサ40を設けている。そして、このトルクセンサ40によって検出したトルク信号を、上記コントローラCに出力するようにしている。
【0022】
上記第1連通路25に第1圧力センサ41を設けるとともに、この第1圧力センサ41によって第1連通路25内の圧力を検出するようにしている。また、第2連通路28に第2圧力センサ42を設けるとともに、この第2圧力センサ42によって第2連通路28内の圧力を検出するようにしている。そして、これら両センサ41,42によって検出した圧力を、それぞれ第1、第2圧力信号としてコントローラCに入力するようにしている。
【0023】
また、上記コントローラCには、車速を検出する車速センサ43と、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ44と、操舵輪の舵角を検出する舵角センサ45とを接続している。そして、これら各センサ43,44,45によって検出した車速信号、舵角信号、ヨーレート信号を、それぞれコントローラCに入力するようにしている。
【0024】
次に、この実施形態の作用を説明する。
まず、図示していない駆動源を作動させると、それに応じてポンプ18が駆動する。そして、このポンプ18から吐出された圧油は、供給路19を介して制御バルブ20に導かれる。このとき、制御バルブ20が図示する中立位置にあれば、吐出油は短絡路23を介してタンクTに戻される。
また、駆動源を作動させると、コントローラCがソレノイド32を励磁して、ソレノイドバルブ31を閉位置31bに切り換える。そして、第1連通路25と第2連通路28との連通を遮断する。
【0025】
上記の状態から、ドライバーがステアリングホィール36を左右何れかの方向に転舵すると、そのときの操舵トルクがトルクセンサ40によって検出されて、このトルク信号がコントローラCに入力される。そして、コントローラCは、上記操舵トルク信号が一定値以上の場合に転舵状態と判断し、操舵方向に応じて制御バルブ20のソレノイド29あるいは30を励磁する。
【0026】
ソレノイド29あるいはソレノイド30の励磁により、例えば制御バルブ20が切換位置20bに切り換わると、ポンプ18からの作動油が、供給路19→第1ポート21→第4ポート27→第2連通路28を介して油圧シリンダ26の室26bに供給される。したがって、室26aから作動油が排出されつつピストンロッド34が図面右方向に移動して、それに応じて操舵輪35が転舵することになる。
上記と反対に制御バルブ20が切換位置20aに切り換わると、ポンプ18からの作動油が、供給路19→第1ポート21→第3ポート24→第1連通路25を介して油圧シリンダ26の室26aに供給される。そのため、室26bから作動油が排出されつつピストンロッド34が図面左方向に移動して、それに応じて操舵輪35が転舵することになる。
【0027】
上記ソレノイド29、30に供給される励磁電流は、操舵トルクの大きさに応じてコントローラCが決めているが、この励磁電流は、次のようにして設定している。すなわち、操舵輪35が転舵するのに必要とする力は、操舵トルクに応じて決まるが、この力は、油圧シリンダ26の出力に対応している。また、油圧シリンダ26の出力というのは、この油圧シリンダ26の各室26a,26bに供給される圧力によって決まる。そして、この油圧シリンダ26の各室26a,26bに供給される圧力は、制御バルブ20の開度によって決まり、この制御バルブ20の開度の開度を決めているのが、ソレノイド29,30の励磁電流である。
そこで、コントローラCでは、検出した操舵トルクに対応した出力が油圧シリンダ26から発揮されるように、ソレノイド29,30への励磁電流を設定するようにしている。このようにすれば、油圧シリンダ26によるアシスト力を最適に制御することができる。
【0028】
また、上記したように、コントローラCには、操舵トルク信号以外にも舵角信号、車速信号、ヨーレート信号も入力されている。したがって、これらの信号も考慮して、最適なアシスト力が発揮されるように、ソレノイド29,30の励磁電流を制御するようにしてもよい。
【0029】
一方、上記コントローラCは、上記のように油圧シリンダ26の出力を制御している最中に、上記第1、第2圧力センサ41,42の各圧力信号に基づいて、制御バルブ20の開度の修正を行っている。
すなわち、コントローラCは、トルクセンサ40からのトルク信号等に基づいて、油圧シリンダ26に供給する圧力を制御しているが、油温や配管抵抗などの影響があるために、コントローラCが要求した圧力と、実際の圧力とにずれが生じることがある。そこで、コントローラCは、トルク信号に基づいて設定した要求圧力と、圧力センサ41,42によって検出した実際の圧力とを比較して、これら両者間に差があるようであれば、その差の分だけ、制御バルブ20の開度を修正するようにしている。つまり、コントローラCによって、制御バルブ20の開度をフィードバック制御するようにしている。このようにすれば、より正確な制御が可能となる。
【0030】
また、コントローラCは、上記第1、第2圧力センサ41,42によって検出した圧力信号を利用して、システムの故障も判断している。例えば、トルクセンサ40が、左に転舵しているトルク信号を検出しているのにもかかわらず、制御バルブ20が反対方向に切り換わっているような場合には、第1連通路25と第2連通路28との圧力の大小関係が、コントローラCの設定した大小関係と逆になる。そこで、このような場合には、コントローラCが、システムの故障と判断して、ソレノイドバルブ31のソレノイド32を非励磁にして開位置31aに切り換える。このようにすれば、逆方向のアシスト力が発揮されなくなると同時に、手動操舵状態に切り換わるので、安全性を確保することができる。つまり、上記ソレノイドバルブ31は、フェールセーフ弁として機能する。
【0031】
ところで、上記コントローラCには、メインコンピュータ46を接続している。このメインコンピュータ46には、システムの異常を検知する図示していないセンサを複数接続するとともに、これらセンサによって、車両の機械的及び電気的な機構の故障の有無を検知するようにしている。そして、これらセンサから故障に相当する信号が入力されると、メインコンピュータ46は、故障を知らせる信号をコントローラCに出力する。コントローラCは、この信号に応じてソレノイド32への通電をストップして、ソレノイドバルブ31を開位置31aに切り換える。このようにソレノイドバルブ31を開位置31aに切り換えれば、上記したように、手動操舵状態に切り換わり、安全性が確保されることになる。
【0032】
なお、各種車両状態を示す信号を、メインコンピュータ46からコントローラCに入力し、これら信号を基にコントローラCが車両側の故障を判断して、ソレノイドバルブ31を切り換えるようにしてもよい。つまり、システムの異常をコントローラCによって判断するようにしてもよい。
【0033】
一方、ソレノイドバルブ31は、コントローラCから上記のような特別な信号が出力されない限り、言い換えればこの装置の機械的及び電気的な機構に故障がなく、これらの機構が正常に作動している場合には、操舵状態にかかわらず、常に閉位置31bを保っている。つまり、この実施形態では、ソレノイドバルブ31を操舵状況に応じて頻繁に切り換えるということはしない。したがって、ソレノイドバルブ31の製品寿命を長く維持するとともに、このソレノイドバルブ31が故障する確率も低く抑えることができる。
また、この実施形態では、駆動源が作動している最中は、それに応じてポンプ18が常に作動している。したがって、油圧シリンダ26が作動するときに前記従来例のようなタイムラグが生じることがなく、良好な操舵フィーリングを維持することができる。
【0034】
さらに、制御バルブ20がオープンセンタタイプであるため、この制御バルブ20が中立位置20aにあれば、短絡路23を介してポンプ18とタンクTとが連通する。また、このとき、油圧シリンダ26の両室26a、26bが短絡路23を介して連通する。
したがって、ポンプ18が常に圧油を吐出していても、制御バルブ20を中立位置20aに切り換えれば、油圧シリンダ26がアシスト力を発揮することはない。そして、このとき、油圧シリンダ26の両室26a、室26bが連通するので、手動で油圧シリンダ26を動かすことができるようになる。
【0035】
上記実施形態によれば、オープンセンタタイプの制御バルブ20を用いたので、操舵状態にかかわりなく、ソレノイドバルブ31を閉じた位置に保持しておくことができる。つまり、フェールセーフ弁であるソレノイドバルブ31を、操舵状況に応じて頻繁に切り換える必要がない。
したがって、ソレノイドバルブ31の信頼性が向上し、システムが故障した場合には、確実にフェールセーフ弁として機能させることができる。つまり、高い安全性を確保することができる。
【0036】
また、駆動源が作動している間は、ポンプ18が常に作動しているので、操舵状況に応じてポンプ18が作動を停止することがなく、前記従来例のようなアシスト力が発揮されるまでのタイムラグが生じない。タイムラグが生じないので、ドライバーは良好な操舵フィーリングを得ることができる。
【0037】
なお、この実施形態の装置は、舵角センサ、車速センサ、ヨーレートセンサを備えるようにしているが、必ずしもこのすべてを備えている必要はない。しかし、上記すべてのセンサを備えることによって、より良好な操舵フィーリングを得ることができる。また、操舵の特性に応じて、これらの組み合わせを変えることもできる。
【0038】
また、この実施形態では、ドライバーの操舵トルクをベースにしてアシスト力を決定しているが、上記信号に加えて、道路の車線の位置を検知する位置信号や、車間距離を検出する車間信号などの各種信号を、車両のメインコンピュータ46からコントローラCに入力すれば、自動操舵をすることもできる。すなわち、ドライバーがステアリングホィール36から手を離した状態でも、上記各種の信号に基づいて、コントローラCが制御バルブ20を制御することで、自動的に操舵輪35の操舵を制御するようにしてもよい。そして、この自動操舵の場合においても、上記フィードバック機能や、フェールセーフ機能を得ることができる。さらに、この実施形態では、ラックアンドピニオン式のパワーステアリング装置で説明したが、この形式に限定するものではなく、例えばインテグラル式のパワーステアリング装置に適用してもよい。
【0039】
【発明の効果】
第1の発明によれば、制御バルブをオープンセンタタイプとしたので、操舵状態に係わらず、ソレノイドバルブを常に閉じておくことができる。したがって、前記従来例のように操舵状態に応じてソレノイドバルブを頻繁に切り換える必要性がなく、ソレノイドバルブの故障を防止することができる。このようにソレノイドバルブの信頼性が高いので、システムが故障した場合には、このソレノイドバルブをフェールセーフ弁として機能させることができ、高い安全性を得ることができる。
【0040】
また、駆動源が作動している間は、ポンプを常に作動させているので、前記従来例のようなタイムラグが発生しない。したがって、ドライバーは良好な操舵フィーリングを得ることができる。
【0041】
第2の発明によれば、コントローラは、上記第1圧力センサの圧力信号と第2圧力センサの圧力信号との大小関係を比較して、その大小関係が検出した操舵トルクの方向と不一致であるときに、ソレノイドバルブを開位置に切り換える構成にしたので、誤った方向にアシスト力が発揮されることを防止することができる。
【0042】
第3の発明によれば、コントローラが、第1圧力センサ及び第2圧力センサによって検出した圧力信号に基づいて、制御バルブの切り換え位置をフィードバック制御することにより、正確な舵角制御をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を示した説明図である。
【図2】従来の装置を示した説明図である。
【符号の説明】
C コントローラ
18  ポンプ
20  制御バルブ
20a 中立位置
20b 切換位置
20c 切換位置
25  第1連通路
26  油圧シリンダ
26a 油圧シリンダの室
26b 油圧シリンダの室
28  第2連通路
31  ソレノイドバルブ
31a 開位置
31b 閉位置
40 トルクセンサ

Claims (3)

  1. 駆動源と、この駆動源の作動に応じて常時作動するポンプと、このポンプに接続したオープンセンタタイプの制御バルブと、この制御バルブに第1連通路を介して一方の室を接続するとともに、第2連通路を介して他方の室を接続した油圧シリンダと、上記第1連通路と第2連通路とを接続するとともに、これら両連通路を連通したりその連通を遮断したりするソレノイドバルブと、操舵トルクを検出するトルクセンサと、このトルクセンサのトルク信号に基づいて上記制御バルブの切換位置を制御するコントローラと、システムの異常を検知するセンサとを備え、上記コントローラは、システムが正常に作動している場合に、操舵状況にかかわらず、ソレノイドバルブを閉位置を保つ構成にしたことを特徴とする電気油圧式パワーステアリング装置。
  2. 第1連通路に第1圧力センサを設け、第2連通路に第2圧力センサを設け、これら第1圧力センサの圧力信号と第2圧力センサの圧力信号とをコントローラに入力するとともに、このコントローラは、上記第1圧力センサの圧力信号と第2圧力センサの圧力信号との大小関係を比較して、その大小関係が検出した操舵トルクの方向と不一致であるときに、ソレノイドバルブを開位置に切り換える請求項1記載の電気油圧式パワーステアリング装置。
  3. コントローラは、第1圧力センサ及び第2圧力センサによって検出した圧力信号に基づいて、制御バルブの切り換え位置をフィードバック制御することを特徴とする請求項1又は2記載の電気油圧式パワーステアリング装置。
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JP2010214999A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Kobelco Cranes Co Ltd パワーステアリング装置
JP2013103616A (ja) * 2011-11-14 2013-05-30 Jtekt Corp パワーステアリング装置

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