JP2004090539A - 光学物品の製造方法、光学物品、画像投影スクリーン及び画像投影装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開口部付きダイヘッドにより、透光性基材フィルム上に放射線硬化型樹脂液(UV樹脂等)を塗布する工程と、透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側を、ロール状成形型上に押し付け積層する工程と、透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側とは反対側から、加圧ロール(図中ではニップロール)によりしごいて、透光性基材フィルム上の放射線硬化型樹脂液を均し、平滑化する工程と、透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側とは反対側から放射線(UV樹脂の場合はUV)を照射し、透光性基材フィルム上の放射線硬化型樹脂液を硬化させる工程と、透光性基材フィルムと共に、放射線硬化型樹脂液の硬化物を、ロール状成形型から剥離する工程とを含む光学物品の製造方法。
【選択図】図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学要素を有する光学物品とその製造方法に関するものであり、例えばプロジェクションTV用スクリーンやオーバーヘッドプロジェクター用フレネルレンズ等のレンズシートの製造方法、及び、この製造方法により製造されたレンズシートを用いた透過型、反射型テレビ用のスクリーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フレネルレンズやレンチキュラーレンズ等の表面にレンズ形状を有するシート状の樹脂成形物を製造する方法としては、プレス法やキャスティング法等が挙げられる。しかしながら、これらの製法は、共に成形サイクルに長時間を要するため、生産性が低いことや製造コストが高い等の問題がある。このような問題点を解決するものとして、放射線硬化型樹脂液組成物を成形型内に注入した後、放射線照射し、該樹脂液組成物を硬化させることにより、樹脂成形物を得る、フォトポリマープロセス法(2P法)が提案されている。
2P法において用いられる放射線硬化型樹脂液としては、紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型樹脂液(以下、UV樹脂と称する)が代表的であり、以降はUV樹脂液を用いる場合を代表して説明する。
【0003】
2P法による具体例としては、以下の特許が挙げられる。
(1)特許1891651号
凹凸形状を有する型面と紫外線を透過する透明樹脂板で規定される空隙にUV樹脂を注入した後、前記透明樹脂板側より紫外線照射し、UV樹脂を硬化させ、両者を重合接着することによってフレネルレンズを製造する方法。
(2)特許2790181号
成形型の端部にUV樹脂の液溜まりを形成し、シートの液溜まり側から加圧ロールで均しながらUV樹脂を展延する方法。
(3)特許2623279号
成形型のUV樹脂の液溜まりを形成する箇所を加圧ロール側端部とロールの軸と直交する方向の両端部とし、加圧ロール側端部側から均しながらUV樹脂を展延する方法。
(4)WO98/23978号
成形型に沿って複数のノズルをUV樹脂の塗布方向に略垂直な方向に間隔を置いて配置した多連ノズルにより、成形型上にUV樹脂を展延する方法。
【0004】
上記(1)の方法によれば、UV樹脂を成形型上に展延させる際、あるいは、透明樹脂板を重ねる際に、気泡が入りやすく、しかもいったん入った気泡を抜くことは事実上困難である。
【0005】
上記(2)の方法では、端部のみに液溜まりを形成し、ロールで均すため、比較的容易に実施できるが、端部のみに液溜まりを形成しただけでは、ロールで均す方向に対して両端部及び後半部分まで充分に樹脂液を展延するために過剰の樹脂液溜まりを形成しなければならず、製品部分に必要な樹脂液よりも過剰となりやすく、不経済である。
【0006】
上記(3)の方法は、(2)の方法を改善したもので両端部まで充分に樹脂液を展延することで両端部での樹脂液不足を解消できる。しかしながら、やはりこの方法においても、製品部分に必要な樹脂液よりも過剰になりやすい点は同様である。
【0007】
上記(4)の方法における多連ノズルによる塗布方法では、成形型とのクリアランスをある程度とっても塗工可能であり、成形型の厚み精度を考慮しなくて良い。しかしながら、塗布巾を制御するためには各ノズル毎にON・OFF制御する必要があり、さらに塗布巾を精密に制御するためにはノズル間隔を細かくしなければならないなどの煩雑さがある。
【0008】
また上記(1)〜(3)の方法では、平板状の成形型により成形しているため、ロールで均す際の終端部において若干過剰量のUV樹脂を使用することで気泡を押し出す必要性がある点で、高価なUV樹脂の無駄が発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決しようとするものである。
すなわち、
・UV樹脂の成形型上への塗工時に発生する高価なUV樹脂の無駄。
・UV樹脂への気泡混入。
・光学的あるいは外観上悪影響を及ぼす光学物品中への気泡混入。
上記の点が解決しようとする問題点であり、上記の点を解消した製造方法を提供することで、
・連続的に生産することで生産性を向上させる
・ロール状に巻き付けながらフィルム上に成形できる
などの利点があり、
微細なフレネルレンズ、レンチキュラーレンズあるいはプリズムレンズ形状等の光学要素を有する光学物品を高品質にしかも安価に提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明において上記の課題を達成するために、まず請求項1の発明では、光学物品の微細凹凸形状を反転した形状が設けられたロール状成形型を用いて、透光性基材フィルム上に放射線硬化型樹脂液の硬化物よりなる微細凹凸形状を転写して、光学物品を製造する方法であって、
(1)放射線硬化型樹脂液の塗布方向に略垂直な方向に配置した、リップ先端に間隔を置いて複数の開口部を有するダイヘッドにより、前記透光性基材フィルム上に放射線硬化型樹脂液を塗布する工程、
(2)透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側を、ロール状成形型上に押し付け積層する工程、
(3)透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側とは反対側から、加圧ロールによりしごいて、透光性基材フィルム上の放射線硬化型樹脂液を均し、平滑化する工程、
(4)透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側とは反対側から紫外線を照射し、透光性基材フィルム上の放射線硬化型樹脂液を硬化させる工程、
(5)透光性基材フィルムと共に、放射線硬化型樹脂液の硬化物を、ロール状成形型から剥離する工程、
以上(1)〜(5)の工程を含む光学物品の製造方法としたものである。
【0011】
また請求項2の発明では、透光性基材フィルムを供給し、透光性基材フィルム上に放射線硬化型樹脂液をダイヘッドにより塗布し、透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側をロール状成形型上に押し付け積層すると同時にその反対側から加圧ロールによりしごいて放射線硬化型樹脂液を均し、さらに放射線硬化型樹脂液を均すと同時に紫外線照射することで硬化させ、透光性基材フィルムと共に放射線硬化型樹脂液の硬化物をロール状成形型から剥離する一連の工程を連続的に行なうことを特徴とする請求項1に記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0012】
また請求項3の発明では、前記開口部のピッチ間隔が1〜10mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0013】
また請求項4の発明では、前記ダイヘッドのリップ先端と前記透光性基材フィルムとのクリアランスが塗布厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0014】
また請求項5の発明では、前記ダイヘッドのリップ先端の両端に塗布巾方向に可動する遮蔽部を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0015】
また請求項6の発明では、20℃〜80℃の温度範囲内において、前記放射線硬化型樹脂液の粘度が200〜5000mPa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0016】
また請求項7の発明では、前記放射線硬化型樹脂液を予め、
(a)常温に保持された真空度400Pa以下の減圧容器内、
(b)30℃〜100℃の温度範囲内に保持された加熱容器内、
上記(a)又は(b)の何れかに置くことで気泡除去することを特徴とする請求項1〜6のに記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0017】
また請求項8の発明では、前記ロール状成形型内に中空層を設け、前記中空層内に熱媒体を介在させ前記熱媒体を温度制御することで、前記ロール状成形型を温度制御し、その制御温度範囲が20℃〜80℃であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0018】
また請求項9の発明では、前記成形型表面の微細凹凸形状が、サーキュラーフレネルレンズ、リニアフレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、レンズアレイあるいはプリズムレンズ形状の何れかであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0019】
また請求項10の発明では、放射線硬化型樹脂腋が紫外線硬化型樹脂液であり、放射線が紫外線であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の光学物品の製造方法としたものである。
【0020】
また請求項11の発明では、請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法により製造された光学物品としたものである。
【0021】
また請求項12の発明では、請求項11に記載の光学物品の少なくとも一面に、帯電防止層、反射防止層、ハードコート層、透光性着色層、紫外線吸収層、光拡散層のうち少なくとも1つを設けたことを特徴とする光学物品としたものである。
【0022】
また請求項13の発明では、請求項11又は12に記載の光学物品を含むことを特徴とする画像投影スクリーン又は画像投影装置としたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明による光学物品の製造方法に関する説明図である。
【0025】
本発明による光学物品の製造方法は、図1に示すように、UV樹脂の塗布方向に略垂直な方向に配置したダイヘッドを用いて(リップ先端に間隔を置いて複数の開口部を有するもので、以下開口部付きダイヘッドとする)、透光性基材フィルム上にUV樹脂を塗布する樹脂液塗工工程101と、透光性基材フィルムのUV樹脂を塗布した側を、微細凹凸形状が形成されたロール状成形型上に押しつけ積層する基材フィルム積層工程102と、透光性基材フィルムのUV樹脂を塗布した側とは反対側から加圧ロールによりしごいて、UV樹脂を均す樹脂液均し工程103と、UV樹脂に紫外線を照射して硬化させる樹脂硬化工程104と、UV樹脂の硬化物を基材フィルムと共にロール状成形型から離型(剥離)する離型工程105とを含む製造方法である。なお、開口部付きダイヘッドの構造を図3に例示する。図3中の開口部よりUV樹脂を吐出することで塗布する。
【0026】
光学物品を製造する各工程は以下のようにして実施される。
【0027】
樹脂液塗工工程101は、図2に示すように連続的に搬送されてくる透光性基材フィルム表面に、UV樹脂を塗布する方向に対して、略垂直な方向に配置した開口部付きダイヘッドにてUV樹脂を塗布する工程である。図2の例では、開口部付きダイヘッドユニットを用いている。開口部付きダイヘッドのリップ先端と透光性基材フィルムとの距離は、厳密に制御する必要は無いが、樹脂液の粘度が低い場合には透光性基材フィルムに接触しない程度に近づけたほうがUV樹脂塗布面の表面性が良好であり、好ましい。透光性基材フィルム上の塗布量は、透光性基材フィルムの搬送速度やUV樹脂の供給量を調整することで容易に行なえる。開口部付きダイヘッドのリップ先端部にある開口部のピッチ間隔を小さくすることにより、UV樹脂が吐出する瞬間はすじ状であるが、UV樹脂が透光性基材フィルム上で広がり、透光性基材フィルム表面上を覆うことで、次工程での気泡混入を抑制できる。また、UV樹脂の塗布をロール状金型上ではなく、基材フィルム上へ塗布した後に次工程へいくことで、基材フィルム表面へUV樹脂がなじみ易くなり、UV樹脂と基材フィルムとの密着性が向上する効果もある。
【0028】
なお、このような開口部付きダイヘッド塗工方式以外に各種の塗工方式として、たとえば、スプレーノズル塗工方式、カーテンコート塗工方式やダイヘッド塗工方式等がある。しかしながら、スプレーノズル塗工方式は、溶剤等で希釈し粘度を低く設定しなければならず、塗工されたUV樹脂中の溶剤を揮発させるために乾燥オーブンを設置する必要があり,余分な設備によりコストアップすることになるので好ましくない。また、カーテンコート塗工方式では、同様に溶剤等でUV樹脂を希釈し低粘度に設定しないと、カーテン状に塗工膜を形成しずらく、好ましくない。さらに、ダイヘッド塗工方式は、比較的高粘度でも塗工できるが、塗工機端部でのネックインが生じやすく、ネックインを防止するには透光性基材フィルムとのクリアランスを短くとる必要があり、具体的には塗布厚み程度まで短くとる必要があり、透光性基材フィルム搬送時の変動による表面位置の変動が多いと透光性基材フィルム表面を傷つける恐れがあるため、好ましくない。そのほかに、多連ノズルによる塗工方式があるが、この方式によれば透光性基材フィルムとのクリアランスを大きくとれる利点があるが、各ノズルの制御バルブにより吐出量調整や、塗工巾制御しなければならず、制御バルブの大きさの制限からノズルピッチを小さくできない点で、設備的に不利である。これに対し、図3に例示されるような構造をした開口部付きダイヘッドを用いた塗工方式では、透光性基材フィルムとのクリアランスをある程度とっても、具体的には塗布厚みよりも大きくとっても、多連ノズルによる塗工方式のように安定した塗工が可能であり、また、開口部先端に可動式の遮蔽部を設けて塗布幅端部付近の開口部を遮蔽することで、容易に塗布幅の微調整ができる。さらに、既存のダイヘッド先端部に開口部付きのアタッチメントを付けるだけで、本発明にあるような塗工方式を容易に実現でき、設備的にも通常のダイヘッド塗工方式と共通化でき、塗布されたUV樹脂中への気泡混入も少ない点で、好適である。
【0029】
前述のように、開口部付きダイヘッドの開口部ピッチ間隔を小さくすることで、透光性基材フィルム上でUV樹脂が広がりやすくなるが、具体的なピッチ間隔は、好ましくは1〜10mmであり、さらに好ましくは2〜8mmである。この範囲よりも大きい場合には、透光性基材フィルム上でUV樹脂が充分に広がりきらず、このままの状態で次工程処理するとUV樹脂が広がりきらなかった部分において気泡混入の原因となる。なお、開口部ピッチを本発明の範囲外で行った場合には、UV樹脂を充分に広げるために過剰に塗布することで、気泡混入を防止することが出来るが、一般的に高価なUV樹脂を無駄に使用することとなるため経済的ではなく、さらには塗布幅制御が困難となり好ましくない。また、開口部のピッチ間隔の他に、開口部巾と非開口部巾とを異なるようにし具体的には、開口部巾よりも非開口部巾の距離を小さくすることで、UV樹脂を広がりやすくすることが可能で、さらに好ましい。
【0030】
基材フィルム積層工程102、樹脂液均し工程103、UV樹脂硬化工程104、離型工程105の各工程は、図4に示すようにロール状成形型上に巻き付けるようにして押しつけて積層していく(基材フィルム積層工程102)、押しつけると同時に加圧ロール(図4中ではニップロール)を押し付けながらUV樹脂を均していく(UV樹脂均し工程103)。これら一連の工程を連続して行うことで、生産性を向上できる。UV樹脂層の厚みは透光性基材フィルムの搬送速度や押し圧を適宜変化させることで容易に調整可能である。さらに、透光性基材フィルム側から紫外線を照射することでUV樹脂を反応硬化させ(UV樹脂硬化工程104)、UV樹脂の硬化物と透光性基材フィルムとを重合接着させる。ここで、UV樹脂を充分に硬化させるために、高圧水銀を使用し、紫外線照射量は積算光量で5000J/m2以上照射することが好ましい。最後に透光性基材フィルムと重合接着されたUV樹脂の硬化物とをロール状成形型より離型する(離型工程105)ことで、透光性基材フィルム上に微細凹凸形状が転写された光学物品を得ることができる。
【0031】
さらに、樹脂液均し工程103、UV樹脂硬化工程104、離型工程105の各工程を、図4を参照して、詳細に説明する。
【0032】
図4に示すように、UV樹脂均し工程103は、連続的に搬送されてくる透光性基材フィルム上に塗布したUV樹脂を透光性基材フィルム側より、順次ニップロール(加圧ロール)にて均一に展延する工程である。ここで、ニップロール(加圧ロール)により均す方向はUV樹脂を塗布した方向と略平行である。この工程では、ロール状成形型と透光性基材フィルム間に入り込む気泡を押し出すとともに、UV樹脂を均一に均すことで次工程以降で製造される製品の厚みを一定にする効果もある。
【0033】
図4に示すように、UV樹脂硬化工程104は、連続的に搬送されてくる透光性基材フィルムを介してUV樹脂に紫外線を照射し硬化させる工程である。この工程は、UV樹脂を硬化することで成形型上の微細凹凸形状を転写するとともに、UV樹脂の硬化物と透光性基材フィルムとを重合接着し一体化する働きをし、さらに、透光性基材フィルムにより密閉し空気を遮断することで、UV樹脂硬化時の酸素障害を防止する効果もある。
【0034】
図4に示すように、離型工程105は、UV樹脂の硬化物を剥離ロールを介して連続的に剥離することで、連続的に搬送されてくる透光性基材フィルム上にロール状成形型より剥離することで最終的に微細凹凸形状が転写された光学物品を得る。剥離は、フィルムの巻き取りテンションのみでも剥離可能であるが、離型性が悪い場合は、剥離ロールをモーター駆動とすることでより安定的に剥離動作が出来るので好ましい。
【0035】
ところで、塗布前のUV樹脂を予め真空度400Pa以下の減圧下に置くか、加熱容器内に置くことで、UV樹脂中の気泡を除去することができるので好ましい。特に、真空容器内に置くことで、溶存酸素も抜けるので、UV樹脂硬化時の酸素障害を軽減でき、紫外線による硬化工程を効率的に行なえる。加熱容器内に置くことで気泡除去する場合には、30℃〜100℃の温度範囲内、好ましくは40℃〜80℃の温度範囲にすることが重要である。この温度範囲よりも低い場合には、粘度を充分に下げることが出来ず、加熱するだけで充分な気泡除去するためには長時間を要し、高い場合には、UV樹脂中の成分が一部揮発し成分バランスが崩れやすくなるなどの点で好ましくない。
【0036】
図5及び図6にロール状成形型の一例を示した。図5に示すようにロール表面付近には熱媒体を流通させるために中空層を設け、中空層内に温度制御された熱媒体を流通させることで、20℃〜80℃の温度範囲内で制御した状態で一連の製造を行う。図6はロール状成形型表面付近内部の一例で、ロール両端より熱媒体を交互に流通させると左右及びロール流れ方向温度バラツキが少なく好適である。
温度制御した状態で一連の製造を行うと、以下の点で好ましい。
・UV樹脂の粘度が本発明の範囲内で高粘度(200〜5000mPa・s)である場合には上記温度範囲(20℃〜80℃)内で高温に保持することでUV樹脂を塗布する際の気泡混入を防止できる。
・製造する際の成形型温度を一定とすることで、寸法精度をより向上することが出来る。
・温度制御をUV樹脂の粘度に合わせて適正化することでUV樹脂均し工程でのUV樹脂の展延を効率的に行える。
・成形型上でUV樹脂が充分に広がり、気泡混入が少なくなる。
熱媒体としては、種々使用可能であるが、本発明にある温度範囲(20℃〜80℃)内で制御するには、シリコーンオイルや水などを使用できる。シリコーンオイルを使用した場合には、経時での劣化が少なくメンテナンスの点で好ましく、一方水を使用した場合には、粘度が低いため温度コントロールが容易で簡便に出来る点で良好であるが、経時で錆の発生が問題となることから防錆剤などを混合して使用すると良い。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような種々の効果がある。
【0038】
第1に、本発明による開口部付きダイヘッドを使用することにより、透光性基材フィルム表面を傷つけることなく、安定的に塗布できる。
【0039】
第2に、透光性基材フィルム上へのUV樹脂の塗布する際に、開口部付きダイヘッドを使用することにより、塗布幅を容易に設定でき、成形に必要なUV樹脂量を成形型の有効幅内に塗布できるので、高価なUV樹脂を余分に使用することなく製品を製造でき、製造コストを抑えた光学物品を提供できる。
【0040】
第3に、本発明の範囲内にあるような粘度のUV樹脂を使用し、UV樹脂を予め充分に気泡除去し、さらに成形型を温度制御することで製品への気泡混入を防止し、寸法精度が良好な製品を提供できる。
【0041】
第4に、製造に関する一連の工程を連続的に行うことで、製造サイクルタイムを短縮でき、安価な製品を提供できる。
【0042】
第5に、本発明による光学物品を使用することで高品質な画像投影装置を安価に構成することが出来る。
【0043】
このように、本発明により、UV樹脂の成形型上への塗工時に発生する高価なUV樹脂の無駄、紫外線硬化樹脂液への気泡混入、光学的あるいは外観上悪影響を及ぼす光学物品中への気泡混入という各問題点を解消することで、連続的に生産することで生産性を向上させる、ロール状に巻き付けながらフィルム上に成形できるなどの利点があり、微細なフレネルレンズ、レンチキュラーレンズあるいはプリズムレンズ形状等の光学要素を有する光学物品を高品質にしかも安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光学物品製造方法を示した模式図である。
【図2】図1の製造方法での樹脂液塗工工程を示した図である。
【図3】本発明による開口部付きダイヘッドの構造を示す図である。
【図4】図1の製造方法での一連製造工程の一例を示す図である。
【図5】図4で使用されるロール状成形型の断面構造の一例を示す図である。
【図6】図4で使用されるロール状成形型の表面付近内部構造の一例を示す図である。
Claims (13)
- 光学物品の微細凹凸形状を反転した形状が設けられたロール状成形型を用いて、透光性基材フィルム上に放射線硬化型樹脂液の硬化物よりなる微細凹凸形状を転写して、光学物品を製造する方法であって、
(1)放射線硬化型樹脂液の塗布方向に略垂直な方向に配置した、リップ先端に間隔を置いて複数の開口部を有するダイヘッドにより、前記透光性基材フィルム上に放射線硬化型樹脂液を塗布する工程、
(2)透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側を、ロール状成形型上に押し付け積層する工程、
(3)透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側とは反対側から、加圧ロールによりしごいて、透光性基材フィルム上の放射線硬化型樹脂液を均し、平滑化する工程、
(4)透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側とは反対側から紫外線を照射し、透光性基材フィルム上の放射線硬化型樹脂液を硬化させる工程、
(5)透光性基材フィルムと共に、放射線硬化型樹脂液の硬化物を、ロール状成形型から剥離する工程、
以上(1)〜(5)の工程を含む光学物品の製造方法。 - 透光性基材フィルムを供給し、透光性基材フィルム上に放射線硬化型樹脂液をダイヘッドにより塗布し、透光性基材フィルムの放射線硬化型樹脂液を塗布した側をロール状成形型上に押し付け積層すると同時にその反対側から加圧ロールによりしごいて放射線硬化型樹脂液を均し、さらに放射線硬化型樹脂液を均すと同時に紫外線照射することで硬化させ、透光性基材フィルムと共に放射線硬化型樹脂液の硬化物をロール状成形型から剥離する一連の工程を連続的に行なうことを特徴とする請求項1に記載の光学物品の製造方法。
- 前記開口部のピッチ間隔が1〜10mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学物品の製造方法。
- 前記ダイヘッドのリップ先端と前記透光性基材フィルムとのクリアランスが塗布厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光学物品の製造方法。
- 前記ダイヘッドのリップ先端の両端に塗布巾方向に可動する遮蔽部を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光学物品の製造方法。
- 20℃〜80℃の温度範囲内において、前記放射線硬化型樹脂液の粘度が200〜5000mPa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光学物品の製造方法。
- 前記放射線硬化型樹脂液を予め、
(a)常温に保持された真空度400Pa以下の減圧容器内、
(b)30℃〜100℃の温度範囲内に保持された加熱容器内、
上記(a)又は(b)の何れかに置くことで気泡除去することを特徴とする請求項1〜6のに記載の光学物品の製造方法。 - 前記ロール状成形型内に中空層を設け、前記中空層内に熱媒体を介在させ前記熱媒体を温度制御することで、前記ロール状成形型を温度制御し、その制御温度範囲が20℃〜80℃であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の光学物品の製造方法。
- 前記成形型表面の微細凹凸形状が、サーキュラーフレネルレンズ、リニアフレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、レンズアレイあるいはプリズムレンズ形状の何れかであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の光学物品の製造方法。
- 放射線硬化型樹脂腋が紫外線硬化型樹脂液であり、放射線が紫外線であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の光学物品の製造方法。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法により製造された光学物品。
- 請求項11に記載の光学物品の少なくとも一面に、帯電防止層、反射防止層、ハードコート層、透光性着色層、紫外線吸収層、光拡散層のうち少なくとも1つを設けたことを特徴とする光学物品。
- 請求項11又は12に記載の光学物品を含むことを特徴とする画像投影スクリーン又は画像投影装置。
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JP (1) | JP2004090539A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011227148A (ja) * | 2010-04-15 | 2011-11-10 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 防眩フィルターの製造方法 |
CN115042462A (zh) * | 2022-06-30 | 2022-09-13 | 常州华威新材料有限公司 | 一种连续uv转印菲涅尔膜片的制备工艺 |
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2002
- 2002-09-03 JP JP2002257386A patent/JP2004090539A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011227148A (ja) * | 2010-04-15 | 2011-11-10 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 防眩フィルターの製造方法 |
CN115042462A (zh) * | 2022-06-30 | 2022-09-13 | 常州华威新材料有限公司 | 一种连续uv转印菲涅尔膜片的制备工艺 |
CN115042462B (zh) * | 2022-06-30 | 2023-10-03 | 常州华威新材料有限公司 | 一种连续uv转印菲涅尔膜片的制备工艺 |
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